以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。図1乃至図6は、本実施の形態に係る紙幣処理装置を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態における紙幣処理装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1に示す紙幣処理装置の内部の構成を示す構成図であり、図3は、図1に示す紙幣処理装置の制御ブロック図である。また、図4は、図1に示す紙幣処理装置における紙幣の入金処理の動作を示すフローチャートであり、図5は、図1に示す紙幣処理装置における紙幣の出金処理の動作を示すフローチャートである。また、図6は、図1に示す紙幣処理装置において、搬送部において紙幣のジャム等の搬送エラーが生じたときの動作を示すフローチャートである。
まず、図1および図2を用いて、本実施の形態の紙幣処理装置10の全体的な構成について概略的に説明する。図1に示すように、紙幣処理装置10は略直方体形状の筐体12を備えており、この筐体12の前面には、当該筐体12の外部から内部にバラ紙幣を投入するとともに筐体12の内部から外部にバラ紙幣を投出するための入出金口20が筐体12の外部に露出するよう設けられている。入出金口20には開口部が設けられており、この開口部にはシャッター機構22が設けられている。そして、シャッター機構22により入出金口20の開口部の開閉が行われるようになっている。また、図2に示すように、筐体12の下部には4つの収納カセット40および1つの一時保留用収納カセット42が略水平方向に沿って並列に設けられている。ここで、各収納カセット40は、紙幣を金種別に収納するようになっている。また、一時保留用収納カセット42は、入出金口20により筐体12の外部から内部に投入された紙幣を一時的に保留するようになっている。また、図2に示すように、筐体12の内部には、紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部30が設けられており、この搬送部30は、入出金口20、各収納カセット40および一時保留用収納カセット42の間で紙幣の搬送を行うようになっている。
以下、このような紙幣処理装置10の各構成要素について詳述する。
入出金口20は、図1および図2に示すように、筐体12の前面に設けられており、操作者がこの入出金口20に複数の紙幣を集積状態で投入したりこの入出金口20から複数の紙幣を集積状態で取り出したりすることができるよう構成されている。より具体的には、図2に示すように入出金口20は鉛直方向に対して斜めに傾斜しており、この入出金口20には紙幣が傾斜して投入されるようになっている。入出金口20には紙幣繰出機構21が設けられており、この紙幣繰出機構21により入出金口20に集積された紙幣が1枚ずつ搬送部30に繰り出されるようになっている。また、紙幣の出金処理を行う際には、搬送部30から紙幣が1枚ずつ入出金口20に送られるようになっている。
このような入出金口20は、金融機関への入金分の紙幣を筐体12の外部から内部に投入するための投入部と、出金分の紙幣を筐体12の内部から外部に投出するための投出部とを兼ね備えたものとして機能するようになっている。なお、図1および図2に示す例では投入部および投出部を兼ね備えた入出金口20について説明しているが、投入部および投出部が別々に設けられていてもよい。この場合には、筐体12の前面または上面に、入金口および出金口がそれぞれ設けられるようになる。
図1等に示すように、入出金口20の開口部にはシャッター機構22が設けられており、このシャッター機構22により入出金口20の開口部が開閉されるようになっている。より具体的には、操作者が入出金口20に紙幣を投入したり入出金口20から紙幣を取り出したりする際には、シャッター機構22が開いて入出金口20が筐体12の外部に露出されるようになる。一方、入出金口20に集積された紙幣が1枚ずつ紙幣繰出機構21により搬送部30に繰り出されたり搬送部30から入出金口20に紙幣が1枚ずつ送られたりする際には、シャッター機構22が入出金口20を閉じるようになる。
図2に示すように、搬送部30には識別部31が設置されている。識別部31は、搬送部30により搬送される紙幣の金種や正損、真偽等を識別するとともに、紙幣の記番号を読み取るようになっている。具体的には、識別部31には撮像器(図示せず)が設けられており、識別部31に送られた紙幣は撮像器により撮像され、この撮像データに基づいて紙幣の金種等の識別が行われるとともに紙幣の記番号の読み取りが行われるようになっている。また、筐体12の内部には入金リジェクト部24が設けられており、この入金リジェクト部24は搬送部30に接続されている。そして、紙幣の入金処理を行う際に、入出金口20から紙幣繰出機構21により搬送部30に繰り出され識別部31により識別された紙幣のうち、正常な紙幣ではないリジェクト紙幣であると識別された紙幣や、搬送異常(斜行、重送、連鎖)等により識別部31で識別することができなかった紙幣は搬送部30から入金リジェクト部24に送られるようになっている。また、筐体12の内部には出金リジェクト部26が設けられており、この出金リジェクト部26は搬送部30に接続されている。そして、紙幣の出金処理を行う際に、各収納カセット40等から搬送部30に繰り出され識別部31により識別された紙幣のうち、正常な紙幣ではないリジェクト紙幣であると識別された紙幣や、搬送異常等により識別部31で識別することができなかった紙幣は搬送部30から出金リジェクト部26に送られるようになっている。
図2に示すように、各収納カセット40および一時保留用収納カセット42は、筐体12の奥行き方向(図2の左右方向)に沿って並列に配置されている。各収納カセット40および一時保留用収納カセット42にはそれぞれ搬送部30から1枚ずつ紙幣が送られるようになっている。ここで、各収納カセット40および一時保留用収納カセット42はそれぞれ扁平状の略直方体形状のものからなり、搬送部30から送られた紙幣が積層状態に収納されるようになっている。また、各収納カセット40および一時保留用収納カセット42にはそれぞれ紙幣繰出機構41、43が設けられており、これらの収納カセット40や一時保留用収納カセット42に収納された紙幣は紙幣繰出機構41、43により1枚ずつ搬送部30に繰り出すことができるようになっている。
また、搬送部30における紙幣の搬送路30aの各分岐箇所には、分岐爪からなる分岐部材36がそれぞれ設けられている。各分岐部材36により、搬送部30により搬送される紙幣の搬送先が決められるようになっている。
また、搬送部30における入出金口20の近傍の箇所には通過センサ44が設けられている。この通過センサ44は、入出金口20から紙幣繰出機構21により搬送部30に紙幣が繰り出されたり、搬送部30から入出金口20に紙幣が送られたりするときに当該通過センサ44を通過する紙幣を検出するようになっている。
また、図3に示すように、紙幣処理装置10には、当該紙幣処理装置10の各構成要素を制御するための制御部50が設けられている。より具体的には、制御部50には、紙幣繰出機構21、シャッター機構22、搬送部30、識別部31、分岐部材36、紙幣繰出機構41、43、通過センサ44等がそれぞれ接続されている。そして、識別部31による紙幣の識別結果や記番号の読み取り情報が制御部50に送られるとともに、通過センサ44による紙幣の検出情報が制御部50に送られるようになっている。また、制御部50は、紙幣繰出機構21、シャッター機構22、搬送部30、分岐部材36、紙幣繰出機構41、43等に指令信号を送りこれらの構成要素の制御を行うようになっている。
また、制御部50には、表示部52、操作部54および記憶部56がそれぞれ接続されている。図1に示すように、表示部52および操作部54はそれぞれ筐体12の上面に設けられており、表示部52には紙幣処理装置10による紙幣の処理状況、より具体的には例えば各収納カセット40等に収納された紙幣の金種毎の枚数や合計金額等が表示されるようになっている。また、操作者は操作部54により制御部50に対して様々な指令を与えることができるようになっている。また、記憶部56には、紙幣処理装置10による紙幣の処理状況や、識別部31によって読み取られた各紙幣の記番号、および紙幣処理装置10の各収納カセット40に収納された紙幣の金種毎の枚数や金額等の在高等が記憶されるようになっている。
また、制御部50にはインターフェース58が接続されており、このインターフェース58を介して制御部50は警備会社に設置されたホストコンピュータ等の上位装置と信号の送受信を行うことができるようになっている。また、制御部50にはプリンタ等の印字部60が接続されており、この印字部60により、紙幣処理装置10の各収納カセット40等に収納された紙幣の金種毎の枚数や合計金額等が印字されるようになっている。
次に、上述のような構成からなる紙幣処理装置10の動作について説明する。なお、以下に示す紙幣処理装置10の動作は、制御部50が各構成要素を制御することにより行われる。
最初に、紙幣処理装置10への紙幣の入金処理について図4に示すフローチャートを用いて説明する。紙幣の入金処理を行う際には、まず、紙幣処理装置10における入出金口20のシャッター機構22を開き、操作者が紙幣を入出金口20に投入する(図4のSTEP1)。そして、シャッター機構22を閉じると、入出金口20に投入された紙幣は紙幣繰出機構21により1枚ずつ搬送部30に繰り出される(図4のSTEP2)。紙幣繰出機構21により搬送部30に繰り出された紙幣は当該搬送部30により搬送され、識別部31によりその金種や正損、真偽等の識別が行われるとともに紙幣の記番号が識別部31により読み取られ、読み取られた紙幣の記番号は記憶部56に記憶される(図4のSTEP3)。そして、識別部31により正常な紙幣ではないリジェクト紙幣であると識別された紙幣や、識別部31により識別することができなかった紙幣は(図4のSTEP4の「NO」)、搬送部30から入金リジェクト部24に送られ、この入金リジェクト部24に集積される(図4のSTEP5)。一方、識別部31により正常な紙幣であると識別された紙幣は(図4のSTEP4の「YES」)、一時保留用収納カセット42に搬送され、この一時保留用収納カセット42に積層状態で一時的に保留される(図4のSTEP6)。
その後、入出金口20から一時保留用収納カセット42または入金リジェクト部24に紙幣が全て送られると(図4のSTEP7の「YES」)、表示部52にその旨が表示される。そして、操作者が操作部54により制御部50に対して入金確定の指令を送ると(図4のSTEP8の「YES」)、一時保留用収納カセット42に一時的に保留された紙幣は1枚ずつ搬送部30に繰り出され、識別部31により識別が行われた後、各収納カセット40に金種別に送られる(図4のSTEP9)。このように、一時保留用収納カセット42から各収納カセット40に紙幣が全て送られると、紙幣の入金処理が終了する。一方、操作者が操作部54により制御部50に対して入金確定の指令ではなく返却指令を送ると(図4のSTEP10の「YES」)、一時保留用収納カセット42に一時的に保留された紙幣は1枚ずつ搬送部30に繰り出され、搬送部30により入出金口20に紙幣が戻される(図4のSTEP11)。このような紙幣の入金処理が行われている間、表示部52には各金種の紙幣の収納枚数や合計収納金額等が表示され、記憶部56にはこれらの情報が記憶される。また、インターフェース58を介して制御部50から上位装置に対して各金種の紙幣の収納枚数や合計収納金額等に係る信号が送信される。
次に、紙幣処理装置10からの紙幣の出金処理について図5に示すフローチャートを用いて説明する。操作者が操作部54により制御部50に対して紙幣の出金処理の指令を与えると(図5のSTEP1)、各収納カセット40に収納された紙幣が紙幣繰出機構41により搬送部30に1枚ずつ繰り出され(図5のSTEP2)、搬送部30に繰り出された紙幣は識別部31により識別が行われるとともに紙幣の記番号が識別部31により読み取られ、読み取られた紙幣の記番号は記憶部56に記憶される(図5のSTEP3)。そして、正常な紙幣であると識別された紙幣は(図5のSTEP4の「YES」)、搬送部30から入出金口20に1枚ずつ送られ、この入出金口20で紙幣が積層状態に集積される(図5のSTEP5)。一方、識別部31により正常な紙幣ではないリジェクト紙幣であると識別された紙幣や、識別部31により識別することができなかった紙幣は(図5のSTEP4の「NO」)、搬送部30から出金リジェクト部26に送られ、この出金リジェクト部26で集積される(図5のSTEP6)。そして、出金処理の指令が制御部50に与えられた際に指定された所定の金額分の紙幣が入出金口20に送られると(図5のSTEP7の「YES」)、入出金口20のシャッター機構22が開くことにより、操作者は入出金口20に集積された紙幣を取り出すことができるようになる(図5のSTEP8)。
次に、上述のような紙幣の入金処理や出金処理を行う際に搬送部30において紙幣のジャム等の搬送エラーが生じた場合について以下に説明する。
本実施の形態の紙幣処理装置10においては、搬送部30において紙幣のジャム等の搬送エラーが生じたときのために、制御部50において同一記番号紙幣受入モードおよび同一金額/金種紙幣受入モードの2つのモードが準備されている。ここで、同一記番号紙幣受入モードとは、搬送部30において紙幣の搬送エラーが生じたときに、この搬送エラーに係る紙幣が紙幣処理装置10から一旦取り出された後、当該搬送エラーに係る紙幣の記番号に基づいて、同一の記番号の紙幣のみを紙幣処理装置10内に受け入れ可能とするモードのことをいう。また、同一金額/金種紙幣受入モードとは、搬送部30において紙幣の搬送エラーが生じたときに、この搬送エラーに係る紙幣が紙幣処理装置10から一旦取り出された後、当該搬送エラーに係る紙幣と同一の金額または金種の紙幣を紙幣処理装置10内に受け入れ可能とするモードのことをいう。
制御部50において、上述のような同一記番号紙幣受入モードおよび同一金額/金種紙幣受入モードのうちどちらの紙幣受入モードを実行するかが予め設定されている。通常は、制御部50において、同一記番号紙幣受入モードが標準のモードとして設定されており、この同一記番号紙幣受入モードが実行されるようになっている。しかし、搬送部30において紙幣の搬送エラーが生じたときに、当該搬送エラーに係る紙幣が正券ではないと識別部31により識別されていた場合には、具体的には搬送エラーに係る紙幣が例えば損券であると識別部31により識別されていた場合には、このような正券ではないと識別された紙幣を紙幣処理装置10内に受け入れるのは好ましくないため、制御部50において同一記番号紙幣受入モードから同一金額/金種紙幣受入モードに切り替えられるようになる。
また、同一金額/金種紙幣受入モードが実行される際に、制御部50において、搬送エラーに係る紙幣の記番号と、搬送エラーが生じた後に紙幣処理装置10内に受け入れられ識別部31により読み取られた紙幣の記番号とが関連付けられ記憶部56に記憶されるようになっている。
より詳細に説明すると、図4のフローチャートに示すような紙幣の入金処理が行われる場合、紙幣が一時保留用収納カセット42に一時的に保留された後、制御部50に対して入金確定の指令が送られると(図4のSTEP8の「YES」参照)、一時保留用収納カセット42に収納されている紙幣は紙幣処理装置10内の紙幣として取り扱われるようになる。このため、制御部50に対して入金確定の指令が送られた後、一時保留用収納カセット42から各収納カセット40に紙幣を搬送する間に、搬送部30において紙幣のジャム等の搬送エラーが生じたときには、搬送エラーに係る紙幣を操作者は紙幣処理装置10から一旦取り出した後、この搬送エラーに係る紙幣、または搬送エラーに係る紙幣と同一の金額または金種の紙幣を紙幣処理装置10内に受け入れさせる必要がある。
また、図5のフローチャートに示すような紙幣の出金処理が行われる場合、紙幣が通過センサ44により検出するまでは、各収納カセット40から搬送部30に繰り出された紙幣は、紙幣処理装置10内の紙幣として取り扱われるようになる。このため、制御部50に対して紙幣の出金処理の指令が送られた後、各収納カセット40から入出金口20に紙幣を搬送する間に、搬送部30において通過センサ44を通過する前に紙幣のジャム等の搬送エラーが生じたときには、搬送エラーに係る紙幣を操作者は紙幣処理装置10から一旦取り出した後、この搬送エラーに係る紙幣、または搬送エラーに係る紙幣と同一の金額または金種の紙幣を紙幣処理装置10内に受け入れさせる必要がある。
また、図4のフローチャートに示すような紙幣の入金処理が行われた後、この入金処理により各収納カセット40に収納された紙幣が出金される場合には、各収納カセット40から入出金口20に送られる各紙幣の記番号は既に記憶部56に記憶されているが、紙幣処理装置10の外部から、補充用の紙幣が収納された収納カセット40を紙幣処理装置10内にセットした場合には、この収納カセット40に収納された補充用の紙幣の記番号は制御部50にとって知られていない状態となる。このような場合は、紙幣の出金処理を行う際に、収納カセット40から搬送部30に繰り出された紙幣を識別部31に送り、識別部31において紙幣の金種等の識別を行うとともに紙幣の記番号の読み取りを行う。そして、識別部31を通過した紙幣が入出金口20に送られる際に、搬送部30において通過センサ44を通過する前に紙幣のジャム等の搬送エラーが生じたときも、前述の場合と同様に、搬送エラーに係る紙幣を操作者は紙幣処理装置10から一旦取り出した後、この搬送エラーに係る紙幣と同一の記番号の紙幣を紙幣処理装置10内に受け入れさせることとなる。
なお、識別部31を通過した紙幣が入出金口20に送られる際に、搬送部30において通過センサ44を通過する前に紙幣のジャム等の搬送エラーが生じたときに、当該搬送エラーに係る紙幣が正券ではないと識別部31により識別されていた場合には、具体的には搬送エラーに係る紙幣が例えば損券であると識別部31により識別されていた場合には、制御部50において同一記番号紙幣受入モードから同一金額/金種紙幣受入モードに切り替えられるようになる。この場合には、搬送エラーに係る紙幣を操作者が紙幣処理装置10から一旦取り出した後、この搬送エラーに係る紙幣と同一の金額または金種の紙幣を紙幣処理装置10内に受け入れさせることができるようになる。
以下、搬送部30において紙幣のジャム等の搬送エラーが生じたときの動作について図6に示すフローチャートを用いて具体的に説明する。
図6のフローチャートに示すように、搬送部30において紙幣のジャム等の搬送エラーが生じると(図6のSTEP1)、搬送エラーに係る紙幣を操作者は紙幣処理装置10から一旦取り出す(図6のSTEP2)。そして、搬送エラーに係る紙幣が正券であると識別部31により識別されていた場合において(図6のSTEP3の「YES」)、制御部50において同一記番号紙幣受入モードが設定されている場合には(図6のSTEP4の「YES」)、制御部50は同一記番号紙幣受入モードを実行する(図6のSTEP5)。
同一記番号紙幣受入モードが実行された場合、制御部50は、搬送エラーに係る紙幣の記番号に基づいて、同一の記番号の紙幣のみを紙幣処理装置10内に受け入れ可能とする。この場合には、搬送エラーに係る紙幣が紙幣処理装置10から取り出された後、この搬送エラーに係る紙幣を入出金口20に投入したときには、入出金口20から搬送部30に紙幣が繰り出され識別部31によりこの紙幣の記番号が読み取られたときに、搬送エラーに係る紙幣と記番号が同一であると認識される(図6のSTEP6の「YES」)。この場合には、この紙幣は紙幣処理装置10内に受け入れられる(図6のSTEP7)。具体的には、この紙幣は各収納カセット40や一時保留用収納カセット42に収納される。
一方、搬送エラーに係る紙幣が紙幣処理装置10から取り出された後、この搬送エラーに係る紙幣とは異なる紙幣を入出金口20に投入したときには、入出金口20から搬送部30に紙幣が繰り出され識別部31によりこの紙幣の記番号が読み取られたときに、搬送エラーに係る紙幣と記番号が異なると認識される(図6のSTEP6の「NO」)。この場合には、この紙幣は紙幣処理装置10内に受け入れられず、搬送部30により入出金口20に戻される(図6のSTEP8)。また、この場合、表示部52にエラー紙幣であることを示すメッセージが表示される。
また、搬送部30において紙幣のジャム等の搬送エラーが生じ(図6のSTEP1)、搬送エラーに係る紙幣を操作者が紙幣処理装置10から一旦取り出したときに(図6のSTEP2)、搬送エラーに係る紙幣が正券ではない(例えば損券等)と識別部31により識別されていた場合には(図6のSTEP3の「NO」)、制御部50は同一金額/金種紙幣受入モードを実行する(図6のSTEP9)。搬送エラーに係る紙幣が正券ではないと識別されていたときに、このような正券ではないと識別された紙幣を紙幣処理装置10内に受け入れるのは好ましくないからである。なお、この場合、表示部52における表示がエラー戻し画面から損券登録画面に移行し、操作者が操作部54により損券登録を行うようになっていてもよい。また、搬送エラーに係る紙幣が正券であると識別部31により識別されていた場合でも(図6のSTEP3の「YES」)、制御部50において予め同一記番号紙幣受入モードが設定されていない場合には(図6のSTEP4の「NO」)、制御部50において同一金額/金種紙幣受入モードが設定されているとして、制御部50はこの同一金額/金種紙幣受入モードを実行する(図6のSTEP9)。
同一金額/金種紙幣受入モードが実行された場合には、制御部50は、搬送エラーに係る紙幣と同一の金額または金種の紙幣を紙幣処理装置10内に受け入れ可能とする。この場合には、搬送エラーに係る紙幣が紙幣処理装置10から取り出された後、この搬送エラーに係る紙幣と同一の金額または金種の紙幣を入出金口20に投入したときには、入出金口20から搬送部30に紙幣が繰り出され識別部31によりこの紙幣の金種等が識別されたときに、搬送エラーに係る紙幣と同一の金額または金種の紙幣であると認識され(図6のSTEP10の「YES」)、この紙幣は紙幣処理装置10内に受け入れられる(図6のSTEP11)。なお、入出金口20に投入される紙幣は、搬送エラーに係る紙幣と同一の金額である場合には、複数枚であってもよい。例えば、搬送エラーに係る紙幣が一万円札であった場合に、10枚の千円札を入出金口20に投入してもよい。そして、紙幣処理装置10に紙幣が受け入れられた後、制御部50において、搬送エラーに係る紙幣の記番号と、搬送エラーが生じた後に紙幣処理装置10内に受け入れられ識別部31に読み取られた紙幣の記番号とが関連付けられ記憶部56に記憶される(図6のSTEP12)。このことにより、搬送エラーに係る紙幣と、搬送エラーが生じた後に紙幣処理装置10内に受け入れられた紙幣が異なる場合でも、紙幣の管理の厳正化を図ることができ、違算の発生を抑制することができる。
一方、搬送エラーに係る紙幣が紙幣処理装置10から取り出された後、この搬送エラーに係る紙幣とは金額や金種が異なる紙幣を入出金口20に投入したときには、入出金口20から搬送部30に紙幣が繰り出され識別部31によりこの紙幣の金種等が識別されたときに、搬送エラーに係る紙幣と金額や金種が異なると認識され(図6のSTEP10の「NO」)、この紙幣は紙幣処理装置10内に受け入れられず、搬送部30により入出金口20に戻される(図6のSTEP13)。また、この場合、表示部52にエラー紙幣であることを示すメッセージが表示される。
上述のようにして、搬送部30において紙幣のジャム等の搬送エラーが生じた場合でも、制御部50が同一記番号紙幣受入モードを実行したときには搬送エラーに係る紙幣のみを紙幣処理装置10内に受け入れさせることができ、また、制御部50が同一金額/金種紙幣受入モードを実行したときには搬送エラーに係る紙幣と同一の金額または金種の紙幣を紙幣処理装置10内に受け入れさせることができるので、このような搬送エラーに起因する違算の発生を抑制することができるようになる。
以上のように本実施の形態の紙幣処理装置10によれば、識別部31は紙幣の少なくとも金種の識別を行うとともに、紙幣の記番号を読み取るようになっており、制御部50は、搬送部30において紙幣の搬送エラーが生じたときに、当該搬送エラーに係る紙幣の記番号に基づいて、同一の記番号の紙幣のみを紙幣処理装置10内に受け入れ可能とする同一記番号紙幣受入モードを実行することができるようになっている。このため、同一記番号紙幣受入モードが制御部50において実行されたときには、搬送エラーに係る紙幣のみしか紙幣処理装置10内に受け入れさせることができないようになるので、紙幣の管理の厳正化を図ることができ、紙幣のジャム等の搬送エラーが発生した場合でも違算の発生を抑制することができる。
また、本実施の形態の紙幣処理装置10においては、制御部50は、搬送部30において紙幣の搬送エラーが生じたときに、当該搬送エラーに係る紙幣と同一の金額または金種の紙幣を紙幣処理装置10内に受け入れ可能とする同一金額/金種紙幣受入モードも実行することができるようになっており、制御部50において、同一記番号紙幣受入モードまたは同一金額/金種紙幣受入モードのうちいずれか一方の紙幣受入モードが実行されるようになっている。このため、搬送エラーに係る紙幣が損券等であり紙幣処理装置10内に受け入れさせるのに好ましくない場合、制御部50において同一金額/金種紙幣受入モードを選択することにより、搬送エラーに係る紙幣と同一の金額または金種の紙幣を紙幣処理装置10内に受け入れさせることができるようになり、紙幣処理装置10の運用上、融通が利くという利点がある。また、顧客に紙幣を至急に支払わなければならず、搬送エラーに係る紙幣を顧客に支払ってしまった場合でも、金種または金額が同じであれば搬送エラーに係る紙幣とは異なる紙幣を紙幣処理装置10内に受け入れさせることができるようになり融通が利くという利点がある。
また、本実施の形態の紙幣処理装置10においては、搬送部30において紙幣の搬送エラーが生じたときに、当該搬送エラーに係る紙幣が正券ではないと識別部31により識別されていた場合には、制御部50において同一金額/金種紙幣受入モードが選択されるようになっている。このことにより、搬送エラーに係る紙幣が正券ではなく紙幣処理装置10内に受け入れさせるのに好ましくない場合、金種または金額が同じであれば搬送エラーに係る紙幣とは異なる紙幣を紙幣処理装置10内に受け入れさせることができるようになる。
また、本実施の形態の紙幣処理装置10においては、同一金額/金種紙幣受入モードが実行される際に、制御部50において、搬送エラーに係る紙幣の記番号と、搬送エラーが生じた後に紙幣処理装置10内に受け入れられ識別部31により読み取られた紙幣の記番号とが関連付けられるようになっている。このことにより、搬送エラーに係る紙幣と、搬送エラーが生じた後に紙幣処理装置10内に受け入れられた紙幣とが異なるものである場合でも、紙幣の管理の厳正化を図ることができ、違算の発生を抑制することができる。
なお、本発明による紙幣処理装置は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
例えば、制御部は、同一記番号紙幣受入モードおよび同一金額/金種紙幣受入モードのうちいずれか一方の紙幣受入モードを実行するものに限定されることはない。他の制御部としては、同一記番号紙幣受入モードのみを実行するようなものが用いられてもよい。
また、本発明による紙幣処理装置は、図1乃至図3に示すような構成のものに限定されることはない。本発明による紙幣処理装置の他の構成を図7乃至図9に示す。なお、図7は、本発明による紙幣処理装置の他の構成の外観を示す斜視図であり、図8は、図7に示す紙幣処理装置におけるバラ紙幣処理部の内部の構成を示す構成図であり、図9は、図7に示す紙幣処理装置における帯封紙幣処理部の内部の構成を示す構成図である。
図7に示すように、紙幣処理装置100は、帯封紙幣(例えば100枚の紙幣が帯封紙で巻かれたもの)を処理する帯封紙幣処理部100aと、バラ紙幣を処理するバラ紙幣処理部100bとを備えている。帯封紙幣処理部100aおよびバラ紙幣処理部100bは、互いの対向面側において連結されている。図7に示すように、帯封紙幣処理部100aは、帯封紙幣を出金するためのシャッター開閉式の帯封紙幣出金口111と、帯封紙幣を装置外に回収するためのシャッター開閉式の帯封紙幣放出口112とを有している。バラ紙幣処理部100bは、バラ紙幣を入金するためのバラ紙幣入金口113と、バラ紙幣を出金するためのバラ紙幣出金口114とを有している。
バラ紙幣処理部100bの構成の詳細について図8を用いて説明する。図8に示すように、バラ紙幣処理部100bは、入金部117に入金されたバラ紙幣を金種毎にバラ紙幣カセット123a〜123dに収納するとともに、各バラ紙幣カセット123a〜123dに収納された紙幣を取り出して、出金部126等から出金するものである。
図8に示すように、このバラ紙幣処理部100bは、大きく分けて、入出金処理部115とバラ紙幣収納部116とから構成されている。
入出金処理部115は、バラ紙幣の入金を受け付けて入金搬送経路R1に送出する入金部117と、入金されたバラ紙幣の金種、真偽、正損等を識別するとともにバラ紙幣の記番号を読み取る入金識別部118と、入金識別部118によって取扱不可と判断された紙幣を排出する入金リジェクト部(入金RJ部)119とを備えている。入金部117および入金リジェクト部119は、シャッター開閉式のバラ紙幣入金口113を介して、その内部を、開放可能に構成されている。入金識別部118の下流側に配置された表裏反転部120は、入金識別部118によって取扱可能と判断された紙幣の表裏を所定の向きに統一して送り出すようになっている。表裏反転部120の更に下流側には、上述したバラ紙幣収納部116が配置されている。
バラ紙幣収納部116は、入金搬送経路R1を搬送されてきたバラ紙幣を受け取って、一時的に保留する一時保留部121、122a〜122dと、一時保留部121、122a〜122dに一時的に保留された紙幣を収納する、バラ紙幣一括カセット124およびバラ紙幣カセット123a〜123dとを備えている。
各バラ紙幣カセット123a〜123dは、それぞれ特定の金種のバラ紙幣を収納するようになっている。一方、バラ紙幣一括カセット124は、バラ紙幣カセット123a〜123dによって取り扱われない金種の紙幣を収納するようになっている。また、バラ紙幣一括カセット124は、各バラ紙幣カセット123a〜123dにバラ紙幣が入りきらなくなった場合に、各バラ紙幣カセット123a〜123dに代わってバラ紙幣を収納するようになっている。
各バラ紙幣カセット123a〜123dの下部には、出金時にバラ紙幣を搬送する出金搬送経路R2が形成されている。なお、バラ紙幣一括カセット124内のバラ紙幣の回収は、筐体の前面を開いて、カセットごと回収するようになっている。
出金搬送経路R2の途中には、出金時にバラ紙幣の金種、真偽、正損等を識別するとともにバラ紙幣の記番号を読み取る出金識別部125が形成されている。この出金識別部125の下流側において、出金搬送経路R2は、出金部126、出金リジェクト部(出金RJ部)128、およびスタッカ129a、129bに分岐するようになっている。
出金部126は、出金識別部125によって正常な紙幣と判断された紙幣を出金搬送経路R2から取り込むようになっている。バラ紙幣処理部100bは、開閉シャッター式のバラ紙幣出金口114を開いて、出金部126内の紙幣を取り出し可能状態に置くようになっている。
出金リジェクト部128は、出金識別部125により取扱不可と判断されたバラ紙幣を回収するようになっている。
スタッカ129a、129bは、帯封紙幣処理部100aにバラ紙幣を搬送して帯封する際に、帯封に必要な枚数分(例えば100枚)を一時的に積み重ねた状態で収納するようになっている。
入金搬送経路R1と出金搬送経路R2との間にはバイパス経路R3が形成されている。入金された紙幣をそのまま帯封する場合等には、このバイパス経路R3を介して入金された紙幣を直接スタッカ129a、129bに搬送するようになっている。
スタッカ129a、129bの後方には、これらのスタッカ129a、129b内からバラ紙幣の束を受け取って帯封紙幣処理部100aに搬送する束紙幣搬送ユニット130が設けられている。
束紙幣搬送ユニット130は、スタッカ129a、129b内からバラ紙幣の束を受け取る一対の把持部130aと、把持部130aに保持されたバラ紙幣の束を帯封紙幣処理部100aに移動する移動部130bとを備えている。把持部130aは、前後方向に伸縮可能に構成されるとともに、上下2つのスタッカ129a、129bのそれぞれに対応して移動可能に構成されている。
次に、帯封紙幣処理部100aの構成の詳細について図9を用いて説明する。図9に示すように、帯封紙幣処理部100aは、バラ紙幣処理部100bから移動されたバラ紙幣の束を帯封して、金種別に帯封紙幣カセット144a〜144eに収納するとともに、帯封紙幣カセット144a〜144e内に収納された帯封紙幣を取り出して、帯封紙幣出金口111または帯封紙幣放出口112から出金するものである。
図9に示すように、帯封紙幣処理部100aは帯封部141を備えている。この帯封部141は、バラ紙幣の束を束紙幣搬送ユニット130から受け取り、受け取ったバラ紙幣の束を帯封紙Wで帯封するようになっている。帯封部141は、帯封された状態のバラ紙幣の束、すなわち帯封紙幣を搬送経路R4内に送出するようになっている。
図9に示すように、搬送経路R4には帯封紙幣識別部145が設けられている。この帯封紙幣識別部145は、当該搬送経路R4で搬送される帯封紙幣のうち最外層(最上層または最下層)の紙幣の金種等の識別を行うとともに、この最外層の紙幣の記番号を読み取るようになっている。
また、帯封紙幣処理部100aは、帯封紙幣を載せた状態で昇降通路143内を垂直方向に移動して、目的の高さまで移動可能な昇降ステージ142を備えている。この昇降ステージ142が移動する昇降通路143は、上述の搬送経路R4と連通しており、昇降ステージ142は、図9における高さh2の位置にて、搬送経路R4から帯封紙幣を受け取るようになっている。
また、帯封紙幣処理部100aは、帯封紙幣を収納する帯封紙幣カセット144a〜144eを備えている。帯封紙幣カセット144a〜144eに帯封紙幣を収納する際には、昇降ステージ142は高さh3まで移動し、昇降通路143と帯封紙幣カセット144a〜144eとを連結する搬送経路R5内に帯封紙幣を送り出すようになっている。各帯封紙幣カセット144a〜144eはそれぞれ特定の金種の帯封紙幣を収納するようになっている。そして、帯封紙幣識別部145により識別された帯封紙幣の金種に基づいて、搬送経路R5に送られた帯封紙幣は対応する金種の帯封紙幣カセット144a〜144eに収納されるようになっている。
各帯封紙幣カセット144a〜144eは、出金時には、保有する帯封紙幣を昇降ステージ142(高さh3)に向けて送り出し、帯封紙幣を受け取った昇降ステージ142は、出金時用の高さh1まで移動する。帯封紙幣処理部100aは、開閉シャッター式の帯封紙幣出金口111を開いて、昇降ステージ142上の帯封紙幣を取り出し可能状態に置く。一方、帯封紙幣の回収時には、昇降ステージ142は、回収用の高さh4まで移動する。帯封紙幣処理部100aは、開閉シャッター式の帯封紙幣放出口112を開いて、昇降ステージ142上の帯封紙幣を取り出し可能状態に置く。
また、図9に示すように、帯封紙幣処理部100aには、帯封紙幣処理部100aやバラ紙幣処理部100bの各構成要素の制御を行う制御部150が設けられている。この制御部150には記憶部152が接続されている。記憶部152には、帯封紙幣処理部100aやバラ紙幣処理部100bによる紙幣の処理状況や、各識別部118、125、145によって読み取られた紙幣の記番号、およびバラ紙幣処理部100bのバラ紙幣カセット123a〜123dやバラ紙幣一括カセット124に収納された紙幣の金種毎の枚数や金額等の在高、ならびに帯封紙幣処理部100aの帯封紙幣カセット144a〜144eに収納された帯封紙幣の金種毎の束数や金額等の在高が記憶されるようになっている。
本発明による紙幣処理装置100では、帯封紙幣識別部145により帯封紙幣における最外層にある紙幣の識別および記番号の読み取りが行われた後に、搬送経路R4や搬送経路R5で帯封紙幣のジャム等の搬送エラーが生じたときに、以下の処理が行われるようになっている。すなわち、帯封紙幣識別部145を通過した後に搬送経路R4や搬送経路R5で帯封紙幣のジャム等の搬送エラーが生じた場合には、操作者は紙幣処理装置100からこの帯封紙幣を一旦取り出す。そして、帯封紙幣の帯封紙Wを破ってバラ紙幣(例えば100枚のバラ紙幣)とし、これらのバラ紙幣をバラ紙幣処理部100bの入金部117に投入する。入金部117に投入されたバラ紙幣は入金搬送経路R1に送出され、入金識別部118により紙幣の記番号が読み取られる。
ここで、入金部117に投入され入金識別部118により記番号が読み取られた複数のバラ紙幣(例えば、100枚のバラ紙幣)に、搬送エラーに係る帯封紙幣における最外層にある紙幣の記番号(すなわち、帯封紙幣識別部145により読み取られた紙幣の記番号)のものが含まれている場合には、制御部150は、入金部117に投入されたバラ紙幣を、バラ紙幣処理部100b内に受け入れるよう制御を行う。具体的には、入金部117に投入され入金識別部118により記番号が読み取られた複数のバラ紙幣に、搬送エラーに係る帯封紙幣における最外層にある紙幣の記番号のものが含まれている場合には、これらの複数のバラ紙幣はスタッカ129a、129bに送られたり、あるいは一時保留部121、122a〜122dやバラ紙幣一括カセット124、バラ紙幣カセット123a〜123dに収納されたりする。一方、入金部117に投入され入金識別部118により記番号が読み取られた複数のバラ紙幣に、搬送エラーに係る帯封紙幣における最外層にある紙幣の記番号のものが含まれていない場合には、これらの複数のバラ紙幣がバラ紙幣処理部100b内に受け入れられないようにする。具体的には、これらの複数のバラ紙幣を出金部126に送り、操作者により取り出されるようにする。
このように、制御部150は、搬送経路R4や搬送経路R5において帯封紙幣の搬送エラーが生じたときに、帯封紙幣識別部145により読み取られた、搬送エラーに係る帯封紙幣における最外層にある紙幣の記番号に基づいて、紙幣処理装置100のバラ紙幣処理部100bに投入された複数のバラ紙幣に、前述の記番号のバラ紙幣が含まれている場合には、これらの複数のバラ紙幣をバラ紙幣処理部100b内に受け入れるよう入金搬送経路R1や出金搬送経路R2、バイパス経路R3の制御を行うようになっている。上述のような紙幣処理装置100によれば、帯封紙幣のジャム等の搬送エラーが生じた場合であっても、搬送エラーに係る帯封紙幣を構成するバラ紙幣のみしか紙幣処理装置100内に受け入れさせることができないようになるので、紙幣の管理の厳正化を図ることができ、帯封紙幣のジャム等の搬送エラーが発生した場合でも違算の発生を抑制することができる。
また、本発明による紙幣処理装置100では、更なる変形例として、以下のような動作が行われるようになっていてもよい。すなわち、入金部117に投入され入金搬送経路R1に送出されたバラ紙幣について、入金識別部118によりその記番号が読み取られた後、スタッカ129a、129bに送られ、そして、束紙幣搬送ユニット130に所定の枚数(例えば100枚)のバラ紙幣の束が帯封部141に送られた後、この帯封部141で帯封紙幣が形成され、その後、この帯封紙幣が搬送経路R4や搬送経路R5で帯封紙幣のジャム等の搬送エラーが生じた場合には、操作者は紙幣処理装置100からこの帯封紙幣を一旦取り出す。そして、帯封紙幣の帯封紙Wを破ってバラ紙幣(例えば100枚のバラ紙幣)とし、これらのバラ紙幣をバラ紙幣処理部100bの入金部117に投入する。入金部117に投入されたバラ紙幣は入金搬送経路R1に送出され、入金識別部118により紙幣の記番号が読み取られる。この際に、制御部150は、帯封部141に送られる前に入金識別部118により読み取られた、搬送エラーに係る帯封紙幣を構成する各バラ紙幣の記番号(すなわち、最初に入金識別部118により読み取られたバラ紙幣の記番号)と、搬送エラーが生じた後にバラ紙幣処理部100bに投入され入金識別部118により読み取られた各バラ紙幣の記番号とが一致する場合には、このバラ紙幣をバラ紙幣処理部100b内に受け入れるよう入金搬送経路R1や出金搬送経路R2、バイパス経路R3の制御を行うようになっていてもよい。