以下、紙幣処理装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明は、紙幣処理装置の一例である。図1及び図2は、紙幣処理装置を含む貨幣処理装置1の構成例を示している。
(貨幣処理装置の全体構成)
図1は、貨幣処理装置1の外観を示している。図2は、貨幣処理装置1の構成を示すブロック図である。貨幣処理装置1は、例えば銀行等の金融機関に設置されかつ、入金処理及び出金処理を含む各種の処理を実行する出納機である。尚、貨幣処理装置1は、金融機関に設置することには限定されない。
貨幣処理装置1は、紙幣処理装置としてのバラ紙幣処理ユニット100、帯封紙幣処理ユニット200、バラ硬貨処理ユニット300、包装硬貨処理ユニット400、損貨・記念貨処理ユニット500、有価媒体処理ユニット600、及び、貨幣保管ユニット700、及び、これらの各処理ユニット100~700を統合制御する制御部8を含んで構成されている。
バラ紙幣処理ユニット100は、入金口に投入されたバラ紙幣を、ユニット内の収納部に収納する入金処理、及び、収納部に収納しているバラ紙幣を、出金口に払い出す出金処理を行う。バラ紙幣処理ユニット100の構成は、後述する。
帯封紙幣処理ユニット200は、所定枚数(例えば100枚)の紙幣を、帯封紙によって一つに束ねた帯封紙幣を作成しかつ、帯封紙幣をユニット内に収納する処理を行うと共に、収納している帯封紙幣を、ユニット外に出金する処理を行う。帯封紙幣処理ユニット200とバラ紙幣処理ユニット100とは、隣り合っている。帯封紙幣処理ユニット200の構成は、後述する。
バラ硬貨処理ユニット300は、入金口に投入されたバラ硬貨を、ユニット内の収納部に収納する入金処理、及び、収納部に収納しているバラ硬貨を、出金口に払い出す出金処理を行う。
包装硬貨処理ユニット400は、所定枚数(例えば50枚)の硬貨を円筒形状に包装した包装硬貨を作成しかつ、包装硬貨をユニット内に収納する処理を行うと共に、収納している包装硬貨を、ユニット外に出金する処理を行う。包装硬貨処理ユニット400とバラ硬貨処理ユニット300とは、隣り合っている。
損貨・記念貨処理ユニット500は、傷みや汚れがひどいため、バラ硬貨処理ユニット300で処理することができないバラ硬貨(つまり、損貨)、及び、バラ硬貨処理ユニット300が処理対象としていない記念硬貨等をユニット内に収納する入金処理を行う。損貨・記念貨処理ユニット500は、有価媒体処理ユニット600の上面に配置されている。
有価媒体処理ユニット600は、傷みや汚れがひどいため、バラ紙幣処理ユニット100で処理することができないバラ紙幣(つまり、損券)、及び、バラ紙幣処理ユニット100が処理対象としていない小切手等の有価媒体をユニット内に収納する入金処理を行う。
貨幣保管ユニット700は、紙幣や硬貨、又は、有価証券類等を保管する収納ドロワを複数備えている。操作者は、収納ドロワを開閉することによって、収納ドロワに紙幣等を収納したり、収納ドロワから紙幣等を取り出したりすることができる。
制御部8は、バラ紙幣処理ユニット100、帯封紙幣処理ユニット200、バラ硬貨処理ユニット300、包装硬貨処理ユニット400、損貨・記念貨処理ユニット500、有価媒体処理ユニット600、貨幣保管ユニット700を制御することによって、銀行の営業店舗における貨幣の出入の管理を行う。貨幣処理装置1は、当該貨幣処理装置1に収納されている紙幣及び硬貨だけでなく、営業店舗に設けられている金庫に保管している貨幣の在高、及び、手持ち管理の貨幣の在高の管理も行う。
貨幣処理装置1はまた、第一ターミナル部41、第二ターミナル部42、プリンタ50、及び、記憶部51を備えている。
第一ターミナル部41は、包装硬貨処理ユニット400の上面に配置されており、第二ターミナル部42は、帯封紙幣処理ユニット200の上面に配置されている。第一ターミナル部41及び第二ターミナル部42は同じ構成を有している。第一ターミナル部41及び第二ターミナル部42はそれぞれ、例えばタッチパネル式の表示操作部を有し、操作者に向けて情報を表示すると共に、操作者の操作を受け付ける。表示操作部は、表示を行う表示部と、操作者の操作を受け付ける操作部とに分けてもよい。第一ターミナル部41及び第二ターミナル部42はまた、操作者の認証を行うために、カード情報を読み取るカードリーダを有している。
プリンタ50は、例えば感熱式プリンタや、インクジェットプリンタによって構成される。プリンタ50は、取引を行う毎に伝票の印刷をしたり、各種のジャーナルの印刷を行ったりする。プリンタ50は、バラ紙幣処理ユニット100の上面と、バラ硬貨処理ユニット300の上面とのそれぞれに配置されている。
記憶部51は、例えばハードディスクドライブや、不揮発性メモリによって構成されている。記憶部51は、貨幣処理装置1において収納している紙幣及び硬貨の在高情報を記憶している。記憶部51はまた、貨幣処理装置1が行った取引の情報を記憶している。
(バラ紙幣処理ユニットの構成)
図3は、バラ紙幣処理ユニット100の構成を例示している。バラ紙幣処理ユニット100には、バラ紙幣を出金するための出金口101とバラ紙幣を入金するための入金口102が設けられている。
バラ紙幣処理ユニット100は、入金部103と、入金リジェクト部104と、出金部105と、出金リジェクト部106と、搬送部107と、入金識別部108と、出金識別部109と、スイッチバック反転部110と、スパイラル反転部111と、四つの収納部112と、四つの一時保留部113と、二つの集積部114と、運搬部115と、を備えている。
入金部103は、入金口102につながっている。ユーザーは、入金口102を通じて入金部103にバラ紙幣を投入する。入金部103は、投入部の一例である。入金部103は、繰出機構103aを備えている。繰出機構103aは、入金部103に投入されたバラ紙幣を一枚ずつ繰り出す。
入金リジェクト部104は、入金識別部108によってリジェクト紙幣と識別された紙幣を受け取る。入金リジェクト部104は、入金口102につながっている。ユーザーは、入金口102を通じて入金リジェクト部104からバラ紙幣を取り出すことができる。
出金部105は、収納部112から繰り出された紙幣を受け取る。出金部105は、出金口101につながっている。ユーザーは、出金口101を通じて出金部105からバラ紙幣を取り出すことができる。出金リジェクト部106は、主に、出金識別部109によりリジェクト紙幣と識別された紙幣を受け取る。
搬送部107は、ベルト機構、ローラー機構等により構成されている。搬送部107は、入金部103から収納部112(正確には、後述の一時保留部113)までをつなぐ入金搬送路116と、収納部112から出金部105までをつなぐ出金搬送路117と、入金搬送路116と出金搬送路117とをつなぐ循環搬送路118及びバイパス路119と、入金リジェクト搬送路120と、二つの集積搬送路121と、出金リジェクト搬送路122と、を含んでいる。入金搬送路116は、第二搬送路の一例である。出金搬送路117は、第一搬送路の一例である。
循環搬送路118は、出金搬送路117におけるスパイラル反転部111と集積部114との間と、入金搬送路116における入金識別部108とスイッチバック反転部110との間とをつないでいる。バイパス路119は、入金搬送路116の先端から分岐して、出金搬送路117における集積部114の上流に接続されている。入金リジェクト搬送路120は、入金搬送路116から分岐して、入金リジェクト部104に接続されている。二つの集積搬送路121はそれぞれ、出金搬送路117から分岐して、集積部114に接続されている。出金リジェクト搬送路122は、出金搬送路117から分岐して、出金リジェクト部106に接続されている。
図4に示すように長方形状である紙幣BNは、長手の縁を前にして搬送路に沿って搬送される。搬送部107は、紙幣BNを一枚一枚、間隔を空けて、各搬送路に沿って搬送する。
入金識別部108は、入金搬送路116に配設されている。より詳細に、入金識別部108は、入金搬送路116において、入金部103と、循環搬送路118の接続位置との間に配設されている。入金識別部108は、紙幣BNの金種、真偽、表裏、向き、正損、新旧、搬送状態等を識別する。入金識別部108は、識別部の一例である。
出金識別部109は、出金搬送路117に配設されている。より詳細に、出金識別部109は、出金搬送路117において、収納部112と、スパイラル反転部111との間に配設されている。出金識別部109は、紙幣BNの金種、真偽、表裏、向き、正損、新旧、搬送状態等を識別する。
ここで、入金識別部108及び出金識別部109が識別を行う紙幣BNの方向について説明をする。紙幣BNの方向は、紙幣BNの表裏と向きとの組み合わせによって、A方向、B方向、C方向及びD方向の四つの方向に定まる。紙幣BNの天地方向は、図4に示すように、紙幣BNに描かれた肖像画を基準とした上下の方向である。紙幣BNの左右方向は、天地方向に直交する方向である。長手の縁を前にして搬送される紙幣BNにおいて、天地方向は、搬送方向に一致する。左右方向は、搬送方向に直交する。尚、以下の説明において、搬送方向に直交する方向を、搬送幅方向と呼ぶ場合がある。
図5に示すように、A方向は、紙幣BNが表向きでかつ、搬送方向に対して紙幣BNの天地方向が従う方向である。B方向は、紙幣BNが表向きでかつ、搬送方向に対して紙幣BNの天地方向が逆らう方向である。C方向は、紙幣BNが裏向きでかつ、搬送方向に対して紙幣BNの天地方向が逆らう方向である。D方向は、紙幣BNが裏向きでかつ、搬送方向に対して紙幣BNの天地方向が従う方向である。
スイッチバック反転部110は、入金搬送路116における、循環搬送路118の接続箇所よりも下流に配置されている。スイッチバック反転部110は、入金識別部108の識別結果に応じて、紙幣BNの表裏及び天地方向の両方を、選択的に反転する。スイッチバック反転部110は、第二変換部の一例である。スイッチバック反転部110は、紙幣BNの表裏及び天地方向を反転させるスイッチバック方式の反転パス110aと、紙幣BNの表裏及び天地方向を反転することなく通過させるバイパス110bと、を有している。
反転パス110aを通過した紙幣BNは、搬送幅方向の向きを変えずに、紙幣BNの表裏と搬送方向の向き(つまり、天地方向の向き)との両方が反転する。スイッチバック反転部110は、入金識別部108の識別結果に応じて、表裏及び天地方向の向きを反転する必要がある紙幣BNは、反転パス110aを通過させ、表裏及び天地方向の向きを反転する必要がない紙幣BNは、バイパス110bを通過させる。
スパイラル反転部111は、出金搬送路117において、出金識別部109よりも下流かつ、循環搬送路118の接続箇所よりも上流に設けられている。スパイラル反転部111は、紙幣BNの搬送幅方向の向きを、選択的に反転する。スパイラル反転部111は、変換部の一例である。スパイラル反転部111は、紙幣BNの搬送幅方向の向きを反転させる反転パス111aと、紙幣BNの搬送幅方向の向きを反転することなく通過させるバイパス111bと、を有している。反転パス111aには、紙幣BNを反転する反転機構111cが配設されている。バイパス111bには、バイパス路119が接続されている。反転機構111cは、この構成例では、紙幣BNの搬送方向に沿って伸びる軸回りに、紙幣BNを回転させる、いわゆるスパイラル方式に構成されている。反転機構111cは、紙幣BNの搬送方向に直交する搬送幅方向(つまり、紙幣BNの左右方向)の向きと、紙幣BNの表裏との両方を反転することができる。スパイラル反転部111は、スイッチバック反転部110とは機能が相違する。反転機構111cの構成の詳細は省略するが、スパイラル方式の反転機構111cは、公知の様々な構成を採用することができる。
スパイラル反転部111は、出金識別部109の識別結果に応じて、左右方向の向きを反転する必要がある紙幣BNは、反転パス111aを通過させ、左右方向の向きを反転する必要がない紙幣BNは、バイパス111bを通過させる。反転機構111cの下流において、反転パス111aとバイパス111bとは合流する。このバラ紙幣処理ユニット100は、スイッチバック反転部110とスパイラル反転部111との二種類の反転部を備えることにより、紙幣BNの表裏及び天地方向の向きの両方を揃えることができる。
ここで、図5に示すフローを参照しながら、紙幣BNの表裏及び天地方向の向きを揃えるための、スイッチバック反転部110及びスパイラル反転部111の動作について説明する。ここでは、入金部103から取り込まれた紙幣BNがスイッチバック反転部110を通過した後、収納部112に収納される入金処理、及び、収納部112から繰り出された紙幣BNがスパイラル反転部111を通過した後、出金部105に投出される出金処理が行われる例において、スイッチバック反転部110及びスパイラル反転部111の動作を説明する。尚、以下の説明においては、スイッチバック反転部110及びスパイラル反転部111によって、紙幣BNをA方向に揃えるとする。但し、紙幣BNの揃えの向きは、A方向に限らず、B方向、C方向及びD方向のいずれであってもよい。
入金部103が繰り出した紙幣BNは、入金識別部108によって識別される。入金識別部108の識別結果による紙幣BNの方向に応じて、図5のプロセスは、ステップS41~S44に進む。つまり、紙幣BNがA方向であるときに、プロセスはステップS41に進み、紙幣BNがB方向であるときに、プロセスはステップS42に進み、紙幣BNがC方向であるときに、プロセスはステップS43に進み、紙幣BNがD方向であるときに、プロセスはステップS44に進む。
ステップS51~S54は、スイッチバック反転部110における反転動作に係る。ステップS41に続くステップS51においては、紙幣BNを反転させる必要がないため、スイッチバック反転部110は、紙幣BNを通過させる。つまり、紙幣BNは、バイパス110bを通過する。紙幣の方向はA方向のままである(ステップS61参照)。ステップS42に続くステップS52において、スイッチバック反転部110は、紙幣BNを反転させる。つまり、紙幣BNは、反転パス110aを通過する。これにより、紙幣BNの表裏及び天地方向の向きの両方が反転し、紙幣の方向はB方向からD方向になる(ステップS62参照)。ステップS43に続くステップS53において、スイッチバック反転部110は、紙幣BNを反転させる。これにより、紙幣BNの方向はC方向からA方向になる(ステップS63参照)。ステップS44に続くステップS54において、スイッチバック反転部110は、紙幣BNを通過させる。紙幣BNの方向はD方向のままである(ステップS64参照)。スイッチバック反転部110は、紙幣BNの天地を揃えている。つまり、スイッチバック反転部110を通過した紙幣の方向は、特定の方向を向いている。スイッチバック反転部110を通過した紙幣BNは、収納部112に収納される。収納部112は、特定の方向を向いた紙幣BNを収納している、
収納部112が繰り出した紙幣BNは、出金識別部109によって識別される。図5のプロセスは、ステップS51、S52、S53、及びS54に対応して、ステップS61、S62、S63、及びS64に分かれる。紙幣BNは、前述したように、A方向又はD方向である。
ステップS71~74は、スパイラル反転部111における反転動作に係る。ステップS61に続くステップS71においては、紙幣BNを反転させる必要がないため、スパイラル反転部111は、紙幣BNを通過させる。つまり、紙幣BNは、バイパス111bを通過する。紙幣BNの方向はA方向のままである。ステップS62に続くステップS72において、スパイラル反転部111は、紙幣BNを反転させる。つまり、紙幣BNは、反転パス111aを通過する。これにより、紙幣BNの表裏及び左右方向の向きの両方が反転し、紙幣BNの方向はD方向からA方向になる。ステップS63に続くステップS73において、スパイラル反転部111は、紙幣BNを通過させる。これにより、紙幣BNの方向はA方向のままになる。ステップS64に続くステップS74において、スパイラル反転部111は、紙幣BNを反転させる。紙幣BNの方向はD方向からA方向になる。こうして、紙幣BNの方向は全てA方向に揃う。
収納部112は、入金された紙幣を金種別に収納するために利用される。たとえば、四つの収納部112のそれぞれに対し、一万円、千円、5千円、及び、混合の金種が割り当てられている。収納部112内には、紙幣が上下に積まれるように収納される。収納部112には、その天面に紙幣の入口が形成され、その底面に紙幣の出口が形成される。収納部112には、その底面側に繰出部112aが設けられている。繰出部112aは、収納部112内の紙幣を、一枚ずつ出金搬送路117に繰り出すことができる。収納部112は、先に入れた紙幣BNを先に出す、いわゆる先入れ先出しに構成されている。尚、混合金種の収納部112には、対応する金種別の収納部112に収納できないオーバーフロー紙幣や、金種を識別できるものの払出しには適さない損傷紙幣(損券)や、対応する収納部112が設けられていない2千円紙幣等が収納される。
一時保留部113は、対応する収納部112の上方に配置される。一時保留部113は、収納部112に収納される紙幣を、その収納前に一時的に収納する。四つの一時保留部113には、入金搬送路116が分岐して接続されている。一時保留部113に収納された紙幣は、対応する収納部112へ送られる。一時保留部113はまた、手動で、バラ紙幣処理ユニット100の外に引き出すことができる。ユーザーは、一時保留部113に収納されている紙幣を手で取り出すことができる。
各集積部114は、所定の帯封枚数(通常は、100枚)となるまで、紙幣を集積する。運搬部115は、一対のアームを備えている。運搬部115は、集積部114に集積されているバラ紙幣を、一対のアームで挟んで集積部114内から取り出し、後述する帯封紙幣処理ユニット200の帯封機構201へ運搬する。
(帯封紙幣処理ユニットの構成)
図6は、帯封紙幣処理ユニット200の構成を例示している。帯封紙幣処理ユニット200は、帯封機構201と、第一搬送機構202と、昇降機構203と、第二搬送機構204と、五つのスタッカ205と、を備える。
帯封機構201は、運搬部115の前方に設けられ、運搬部115によって搬送されてきたバラ紙幣の束を、帯封紙によって帯封することで帯封紙幣を作成する。帯封機構201は、帯封紙に印刷を行う印刷部201aを有している。印刷部201aは、帯封紙に印字を行う印字部及び帯封紙にスタンプを押す押印部を含んでいる。
第一搬送機構202は、帯封機構201の前方に設けられている。第一搬送機構202は、前後方向に延びる上下一対のベルトユニット202aを有している。第一搬送機構202は、上下一対のベルトユニット202aの間に帯封紙幣を挟んで、前方の昇降機構203へ帯封紙幣を搬送する。
昇降機構203は、帯封紙幣処理ユニット200の前面に沿うように上下に延びる昇降スペース203aと、帯封紙幣を載置した状態で、昇降スペース203a内を昇降するリフト203bとを含んでいる。昇降スペース203aは、その上部において入出金口206につながり、その下部において投出口207につながる。リフト203bは、投出口207の位置を待機位置とし、この待機位置と第一搬送機構202及び入出金口206がある上限位置との間を昇降する。
リフト203bは、ベースと、ベース上に積層されかつ、ベースに対して傾斜可能な載置板とを備える。帯封紙幣を載せたリフト203bが待機位置にあるときに載置板が傾斜すると、帯封紙幣が載置板から滑り落ちて投出口207から投出される。また、リフト203bは、第一搬送機構202から帯封紙幣を受け取り、受け取った帯封紙幣を第二搬送機構204まで搬送する。さらに、リフト203bは、第二搬送機構204から帯封紙幣を受け取り、受け取った帯封紙幣を入出金口206や投出口207の位置まで搬送する。
第二搬送機構204は、前後に離れて配置された一対のローラー204aの間に架け渡されたベルトによって構成されている。ベルトは、図6における時計回りと反時計回りの双方に周回することができる。ベルトには、複数の突起が等間隔で形成されている。ベルトの周回に伴って突起が前後に移動することにより、ベルトの下方に設けられた束搬送路204bの上を、突起に押されて帯封紙幣が移動する。
ベルトの前端部は、昇降スペース203a内に張り出している。第二搬送機構204には、一対のローラー204aの間に、支点ローラー204cが設けられており、ベルトは、前側のローラー204aと支点ローラー204cとの間の部分が、支点ローラー204cを支点として、昇降スペース203a内に進出する進出位置と昇降スペース203a内から退避する退避位置との間で回動する(二点鎖線の矢印参照)。リフト203bが第一搬送機構202側から降下するときには、ベルトが退避位置に退避するため、リフト203bの降下が邪魔されない。一方、リフト203bが束搬送路204bの高さ位置まで降下して停止すると、ベルトが進出位置に進出する。これにより、リフト203bに載せられた帯封紙幣を束搬送路204bへ移動させたり、束搬送路204bを搬送された帯封紙幣をリフト203bに載せたりすることが可能となる。
スタッカ205は、帯封機構201により生成された帯封紙幣を金種別に収納するために利用される。たとえば、5つのスタッカ205のそれぞれに対し、一括(混合)、一万円、一万円、5千円、及び、千円の金種が割り当てられている。スタッカ205内には、帯封紙幣が上下に積まれるように収納される。収納された帯封紙幣を昇降させるため、スタッカ205内に昇降ステージ205aが設けられている。尚、一括(混合)のスタッカ205には、対応する金種別のスタッカ205に収納できなかったオーバーフロー帯封紙幣等が収納される。
束搬送路204bには、各スタッカ205の上方にシャッターにより開閉される出入口が設けられている。束搬送路204bからスタッカ205へ帯封紙幣を収納する際やスタッカ205から束搬送路204bへ帯封紙幣を送り出す際にシャッターが開放され、出入口が開く。出入口を通じてスタッカ205に帯封紙幣が出し入れされる。一方、シャッターが閉鎖された状態では、上面を帯封紙幣が通過する。また、束搬送路204bには、帯封紙幣の金種を識別するための識別部204dが配設されている。
(バラ紙幣処理ユニットにおける各種処理)
以下、バラ紙幣処理ユニット100及び帯封紙幣処理ユニット200において行われる、入金処理、出金処理、装填処理、及び、計数整理処理の各処理について、順に説明をする。
(入金処理)
入金処理を行うときに、ユーザーは、バラ紙幣処理ユニット100の入金部103に入金対象のバラ紙幣を投入する。ユーザーが入金処理の実行を指示する操作を行うと、入金部103の繰出機構103aは、紙幣BNを一枚ずつ繰り出す。搬送部107は、紙幣BNを一枚ずつ、入金搬送路116に沿って搬送する。
入金識別部108は、紙幣BNの識別を行う。スイッチバック反転部110は、入金識別部108の識別結果に基づいて、反転が必要な紙幣BNを選択的に反転させる。スイッチバック反転部110は、前述したように、紙幣BNの天地を揃える。搬送部107は、スイッチバック反転部110を通過した紙幣BNを、金種に対応する一時保留部113へ搬送する。損券は、混合金種の収納部112に対応する一時保留部113へ搬送される。一時保留部113は、紙幣BNを収納する。尚、入金識別部108がリジェクト紙幣と識別した紙幣BNは、搬送部107によって、入金リジェクト搬送路120を通じて、入金リジェクト部104へ搬送される。
投入された紙幣BNを入金部103が全て繰り出すと共に、その計数結果に対しユーザーが承認操作を行うと、一時保留部113は紙幣BNを収納部112へ送り、収納部112は紙幣BNを収納する。こうして、入金処理が終了する。収納部112内では、所定の方向の紙幣BNが積み重なっている。前述の通り、出金時等に紙幣BNの向きをA方向に揃えるのであれば、収納部112内には、A方向又はD方向の紙幣BNが積み重なっている。
(出金処理)
ユーザーが出金処理の実行を指示する操作を行うと、出金対象の紙幣BNを収納している収納部112の繰出部112aは、収納部112から紙幣BNを一枚ずつ繰り出す。搬送部107は、出金搬送路117に沿って、紙幣BNを一枚ずつ搬送する。出金識別部109は、紙幣BNの識別を行う。スパイラル反転部111は、反転が必要な紙幣BNを選択的に反転させる。これにより、スパイラル反転部111を通過した紙幣BNは、表裏及び天地の両方が揃っている。搬送部107はその後、紙幣BNを、出金搬送路117を通じて、出金部105へ搬送する。こうして、表裏及び天地の両方が揃った紙幣BNを、出金部105に投出することができる。出金対象の紙幣BNが全て出金部105へ投出されると、出金処理が終了する。尚、出金識別部109がリジェクト紙幣と識別した紙幣BNは、搬送部107によって、出金リジェクト部106へ搬送される。
(入金口装填処理)
入金口装填処理は、バラ紙幣処理ユニット100の入金部103に投入された紙幣BNから帯封紙幣を作成し、その帯封紙幣を帯封紙幣処理ユニット200のスタッカ205に収納する処理である。従来のバラ紙幣処理ユニットは、入金口装填処理において、入金部103から繰り出した紙幣BNを、スイッチバック反転部110を通過させた後、バイパス路119を通じて集積部114へ搬送していた。帯封される紙幣BNは、スイッチバック反転部110のみを通過しかつ、スパイラル反転部111を通過しないため、紙幣BNの表裏及び天地の両方を揃えることができなかった。
これに対し、このバラ紙幣処理ユニット100は、入金口装填処理において、ユーザーが入金部103に紙幣BNを投入する点は同じであるものの、当該紙幣BNを帯封せずに、当該紙幣BNと同じ金種かつ同じ枚数の紙幣BNを、収納部112から繰り出し、その繰り出した紙幣BNを帯封する。繰り出した紙幣BNがスパイラル反転部111を通過することにより、紙幣BNの表裏及び天地の両方が揃った帯封紙幣を作成しかつ、それを帯封紙幣処理ユニット200のスタッカ205に収納することができる。以下、この新たな入金口装填処理の詳細を、図7及び図8を参照しながら説明する。
図7は、第一ターミナル部41又は第二ターミナル部42に表示される画面の遷移を例示している。図7の上図はメニュー画面D1の例である。メニュー画面D1は、各種処理を表す複数のボタンを含んでいる。ユーザーが、メニュー画面D1において所望のボタンを押すと、貨幣処理装置1は、当該ボタンに対応する処理を開始する。具体的に入金口装填処理を開始する場合、ユーザーは「装填・回収」ボタンを押す。
図7の中図は、入金口装填処理において、ユーザーに対し、バラ紙幣処理ユニット100の入金部103に紙幣BNを投入することを促す画面D2を例示している。ユーザーは、入金口装填処理時に、装填する紙幣の金種を「1金種」とするか、「2金種」とするかを選択可能である。ユーザーが「1金種」を選択すると、バラ紙幣処理ユニット100は、二つの集積部114のそれぞれを、第一金種の紙幣の集積に利用する。ユーザーが「2金種」を選択すると、バラ紙幣処理ユニット100は、二つの集積部114のそれぞれに、金種別に紙幣BNを集積する。ユーザーはまた、図示は省略するが、装填する紙幣の金種を指定する。入金部103に紙幣を投入した後、ユーザーが画面D2の「計数開始」ボタンを押すと、入金部103は、紙幣BNの繰り出しを開始する。
図8は、入金口装填処理時における紙幣BNの搬送経路を示している。図8に太い黒矢印で示すように、搬送部107は、入金部103から繰り出された紙幣BNを、入金搬送路116に沿って入金識別部108へ搬送する。入金識別部108は、紙幣BNの識別を行う。スイッチバック反転部110は、入金識別部108の識別結果に基づいて、反転が必要な紙幣BNを選択的に反転させる。入金処理時と同様に、スイッチバック反転部110は、紙幣BNの天地を揃える。搬送部107は、スイッチバック反転部110を通過した紙幣BNを、金種に対応する一時保留部113へ搬送する。一時保留部113は、紙幣BNを収納する。尚、入金識別部108がリジェクト紙幣と識別した紙幣BNは、搬送部107によって、入金リジェクト搬送路120を通じて、入金リジェクト部104へ搬送される。装填対象の金種以外の金種の紙幣は、リジェクト紙幣として入金リジェクト部104へ搬送される。
装填対象の金種の紙幣BNを収納する一時保留部113に、帯封枚数分(通常は、100枚)の紙幣BNが収納されると、当該一時保留部113に対応する収納部112の繰出部112aは、収納部112から、帯封枚数分の紙幣BNを繰り出す。尚、繰り出される紙幣BNの金種と一時保留部113に収納されている紙幣BNの金種とは、同じである。
図8に白抜き矢印で示すように、搬送部107は、収納部112から繰り出された紙幣BNを、出金搬送路117に沿って出金識別部109へ搬送する。出金識別部109は、紙幣BNの識別を行う。スパイラル反転部111は、反転が必要な紙幣BNを選択的に反転させる。これにより、スパイラル反転部111を通過した紙幣BNは、表裏及び天地の両方が揃っている。搬送部107はその後、紙幣BNを、集積搬送路121を通じて集積部114へ搬送する。集積部114には、表裏及び天地の両方が揃った紙幣BNが集積される。
出金識別部109がリジェクト紙幣と識別した紙幣BNは、搬送部107によって、出金リジェクト搬送路122を通じて、出金リジェクト部106へ搬送される。出金識別部109がリジェクト紙幣を識別した場合、繰出部112aは、新たな紙幣BNを収納部112から追加で繰り出す。
集積部114に帯封枚数分の紙幣BNが集積されると、運搬部115が紙幣BNの束を集積部114から取り出して、帯封紙幣処理ユニット200の帯封機構201へ運搬する。図示は省略するが、帯封機構201は、帯封紙幣を作成し、作成された帯封紙幣は、金種に対応するスタッカ205に収納される。こうして紙幣BNの表裏及び天地の両方が揃った帯封紙幣が、スタッカ205に収納(つまり、装填)される。
ここで、装填対象の金種が1金種の場合、収納部112から繰り出した紙幣BNは、帯封枚数毎に、二つの集積部114へ交互に搬送される。こうすることで、一つの集積部114に帯封枚数分の紙幣BNが集積されて、運搬部115が紙幣BNの束を集積部114から取り出している間に、もう一つの集積部114への紙幣BNの集積を継続して行うことができる。
装填対象の金種が2金種の場合、一時保留部113に、帯封枚数分の紙幣BNが収納される度に紙幣BNを収納部112から繰り出し、当該金種に対応する集積部114へ紙幣BNを搬送する。収納部112から集積部114へ紙幣BNを搬送している最中に、一時保留部113に帯封枚数分の紙幣BNが収納された場合には、実行中の搬送中が終了した後に、次の帯封枚数分の紙幣BNの搬送を開始してもよい。
また、帯封機構201の印刷部201aは、表裏及び天地の両方が揃った帯封紙幣を作成する場合には、帯封紙に、表裏及び天地の両方が揃っていることを印字する。印刷部201aは、通常は、帯封紙幣の作成日時、作成した装置の号機番号、及び、作成した操作者のIDを帯封紙に印字するが、紙幣BNの表裏及び天地の両方が揃っている場合には、例えば「*」を、帯封紙に追加で印字してもよい。こうすることでユーザーは、帯封紙の印字を見れば、帯封紙幣の表裏及び天地の両方が揃っていることを知ることができる。
入金部103の紙幣が全て繰り出されると、図7の下図に示すように、第一ターミナル部41又は第二ターミナル部42は、今回実行した入金口装填処理の情報を含む画面D3を表示する。ユーザーが当該画面D3の「完了」ボタンを押すと、バラ紙幣処理ユニット100は、一時保留部113に収納している紙幣BNを収納部112に収納し、入金口装填処理が終了する。
図3に示す構成のバラ紙幣処理ユニット100は、スパイラル反転部111が、収納部112の繰り出し側に接続された出金搬送路117に配設されており、収納部112から繰り出された紙幣BNのみが、スパイラル反転部111を通過することができる。従来の入金口装填処理は、入金部103に投入された紙幣BNから帯封紙幣を作成し、帯封紙幣処理ユニット200のスタッカ205に収納する処理であるから、収納部112から紙幣BNを繰り出すことは行わない。そのため、従来の入金口装填処理では、紙幣BNの表裏及び天地の両方を揃えることができない。
しかしながら、このバラ紙幣処理ユニット100は、入金口装填処理時に、入金部103に投入された紙幣BNと同じ金種でかつ、同じ枚数の紙幣BNを収納部112から繰り出す。このことによって、紙幣BNの表裏及び天地の両方を揃えることができ、表裏及び天地の両方が揃った帯封紙幣を、帯封紙幣処理ユニット200のスタッカ205に収納することができる。
尚、一時保留部113から収納部112へ紙幣BNを送るタイミングは、集積部114に帯封枚数分の紙幣BNが集積された後、としてもよい。
ここで、入金口装填処理の開始前に収納部112の収納量がゼロであった場合には、一時保留部113に収納している帯封枚数分の紙幣BNを、収納部112に収納し直した後で、繰出部112aが当該収納部112から紙幣BNを繰り出してもよい。
但し、前述したように、出金識別部109がリジェクト紙幣を識別した場合には、収納部112から新たな紙幣BNを繰り出さなければならないが、収納部112の収納量がゼロであると、収納部112には、帯封枚数分の紙幣BNしか収納されていないため、集積部114に帯封枚数分の紙幣BNを集積することができなくなる。
そこで、装填対象の金種の紙幣BNを収納している収納部112の収納量が所定量以上(少なくとも1以上)である場合に限って、入金口装填処理は、その実行を可能にしてもよい。
尚、前記の入金口装填処理において、紙幣BNを収納した一時保留部113に対応する収納部112から紙幣BNを繰り出す以外にも、同じ金種の紙幣BNであれば、別の収納部112から紙幣BNを繰り出してもよい。
また、入金部103から繰り出した紙幣BNは、混合金種を収納する収納部112の一時保留部113に収納する一方で、当該金種の紙幣BNを収納している収納部112から、同じ金種でかつ、同じ枚数の紙幣BNを繰り出してもよい。
さらに、入金部103から繰り出した紙幣BNのうち、正券と識別された紙幣BNは、金種別の収納部112の一時保留部113に収納し、損券と識別された紙幣BNは、混合金種を収納する収納部112の一時保留部113に収納してもよい。この場合は、正券と損券との合計が帯封枚数に到達すると、金種別の収納部112の繰出部112aが、当該収納部112から紙幣BNを繰り出すようにしてもよい。
また、紙幣BNを一つの一時保留部113に収納する以外にも、複数の一時保留部113に分けて収納してもよい。例えば一時保留部113の容量の関係により、一つの一時保留部113に帯封枚数分の紙幣BNを収納することができない場合は、同一金種の紙幣BNであっても、複数の収納部112の一時保留部113のそれぞれに、分けて収納をしてもよい。複数の一時保留部113に紙幣BNを分けて収納した場合は、複数の収納部112のそれぞれから、紙幣BNを繰り出してもよいし、一つの収納部112から、紙幣BNを繰り出してもよい。
また、収納部112から紙幣BNを繰り出すタイミングを、前述したように、一時保留部113に帯封枚数分の紙幣BNが収納された後にすることによって、入金部103に投入された紙幣BNの枚数に対応する数の帯封紙幣を作成し、帯封紙幣処理ユニット200のスタッカ205に収納することができる。
尚、一時保留部113に帯封枚数分の紙幣BNが収納された後に、収納部112から紙幣BNの繰り出しを開始するのではなく、一時保留部113への紙幣BNの収納と、収納部112からの紙幣BNの繰り出しとを並行に行ってもよい。こうすることで、入金口装填処理の所要時間を短くすることができる。
(第二の入金口装填処理)
バラ紙幣処理ユニット100は、前記の入金口装填処理(つまり、第一の入金口装填処理)に加えて、第一の入金口装填処理とは異なる第二の入金口装填処理として、従来の入金口装填処理を実行可能に構成してもよい。
図9は、第二の入金口装填処理時における紙幣BNの搬送経路を示している。図9に太い黒矢印で示すように、入金部103は、投入された紙幣BNを繰り出し、搬送部107は、入金搬送路116に沿って、当該紙幣BNを入金識別部108へ搬送する。入金識別部108は、紙幣BNの識別を行う。搬送部107は、装填対象の紙幣BNを、スイッチバック反転部110へ搬送する。装填対象外の紙幣BNを含むリジェクト紙幣は、搬送部107によって入金リジェクト部104へ搬送される。尚、第二の入金口装填処理時にも、ユーザーは、装填対象の金種を、1金種又は2金種から選択することができる。
スイッチバック反転部110は、入金識別部108の識別結果に基づいて、反転が必要な紙幣BNを選択的に反転させる。第一の入金口装填処理とは異なり、スイッチバック反転部110は、紙幣BNの表裏を揃えてもよい。搬送部107は、スイッチバック反転部110を通過した紙幣BNを、バイパス路119から、出金搬送路117及び集積搬送路121を通って、集積部114へ搬送する。集積部114には、少なくとも表裏が揃った紙幣BNが集積される。
集積部114に帯封枚数分の紙幣BNが集積されると、運搬部115が紙幣BNの束を集積部114から取り出して、帯封紙幣処理ユニット200の帯封機構201へ運搬する。帯封機構201は、帯封紙幣を作成し、作成された帯封紙幣は、金種に対応するスタッカ205に収納される。こうして紙幣BNの表裏が揃った帯封紙幣が、スタッカ205に収納(つまり、装填)される。
第一の入金口装填処理は、紙幣BNの表裏及び天地の両方を揃えることができる。第二の入金口装填処理は、表裏のみを揃えることができる。例えば、入金口装填処理の実行を指示する際に、ユーザーが、第一の入金口装填処理又は第二の入金口装填処理を選択可能に構成してもよい。第一の入金口装填処理と第二の入金口装填処理とを切り替え可能にすることによって、ユーザーの利便性を向上させることができる。帯封紙幣の方向を揃えることを優先する場合は、ユーザーは、第一の入金口装填処理を選択し、入金口装填処理の所要時間の短縮を優先する場合は、ユーザーは、第二の入金口装填処理を選択すればよい。
また、貨幣処理装置1を導入・設置する時に、当該貨幣処理装置1が実行する入金口装填処理を、第一の入金口装填処理又は第二の入金口装填処理に設定してもよい。
また、バラ紙幣処理ユニット100の収納部112の収納量に応じて、バラ紙幣処理ユニット100が、第一の入金口装填処理と第二の入金口装填処理とを切り換えて実行してもよい。具体的に、収納部112に収納されている紙幣BNが所定量以上の場合、バラ紙幣処理ユニット100は、収納部112から繰り出した紙幣BNを集積部114へ搬送する第一の入金口装填処理を選択し、収納部112に収納されている紙幣BNが所定量よりも少ない場合、バラ紙幣処理ユニット100は、入金部103に投入された紙幣BNを集積部114へ搬送する第二の入金口装填処理を選択する、としてもよい。尚、バラ紙幣処理ユニット100が第二の入金口装填処理を実行する場合は、表裏及び天地の両方が揃った帯封紙幣が装填されない旨を、第一ターミナル部41又は第二ターミナル部42を通じて、ユーザーに報知してもよい。そして、ユーザーが、第二の入金口装填処理を承認する操作を行ったことを条件に、バラ紙幣処理ユニット100は、第二の入金口装填処理を実行してもよい。
(帯封紙幣装填処理)
貨幣処理装置1は、バラ紙幣を入金部103に投入する前記の入金口装填処理とは異なり、既に作成されている帯封紙幣を、帯封紙幣処理ユニット200の入出金口206を通じてスタッカ205に装填する帯封紙幣装填処理を実行することが可能である。
ユーザーは、帯封紙幣装填処理の実行を指示すると、帯封紙幣処理ユニット200の入出金口206を通じて、リフト203bの上に装填対象の帯封紙幣を置く。リフト203bにセットされた帯封紙幣は、識別部204dにより金種が識別された後、第二搬送機構204により、金種に対応する対応するスタッカ205へ搬送される。スタッカ205は、装填対象の帯封紙幣を収納(つまり、装填)する。
尚、貨幣処理装置1は、帯封紙幣装填処理によって装填した帯封紙幣の表裏及び天地の両方が揃っていることを保証することができないため、帯封紙幣装填処理によって装填した帯封紙幣は、表裏及び天地が揃っていない帯封紙幣として取り扱う。
(計数整理処理)
計数整理処理は、バラ紙幣処理ユニット100の入金部103に投入された紙幣を計数すると共に、当該計数結果に対応する帯封紙幣を、帯封紙幣処理ユニット200の入出金口206又は投出口207から投出する処理である。ユーザーは、計数整理処理においても、整理対象の紙幣の金種を、「1金種」とするか、「2金種」とするかを選択可能である。
計数整理処理時における紙幣BNの搬送経路は、第一の入金口装填処理時における搬送経路と同じである(図8参照)。ユーザーがバラ紙幣処理ユニット100の入金部103に計数対象の紙幣を投入すると共に、計数整理処理の実行を指示する操作を行うと、入金部103は、紙幣BNを一枚ずつ繰り出し、搬送部107は、紙幣BNを一枚ずつ、入金搬送路116に沿って搬送する。入金識別部108は、紙幣BNの識別を行う。このときに、紙幣BNの計数が行われる。搬送部107は、紙幣BNを、スイッチバック反転部110へ搬送する。リジェクト紙幣は、入金リジェクト部104へ搬送される。
スイッチバック反転部110は、入金識別部108の識別結果に基づいて、反転が必要な紙幣BNを選択的に反転させる。スイッチバック反転部110は、入金処理時と同様に、紙幣BNの天地を揃える。搬送部107は、スイッチバック反転部110を通過した整理対象の金種の紙幣BNを、当該金種に対応する一時保留部113へ搬送する。一時保留部113に、帯封枚数分の紙幣BNが収納されると、当該一時保留部113に対応する収納部112の繰出部112aは、帯封枚数分の紙幣BNを収納部112から繰り出す。
搬送部107は、収納部112から繰り出された紙幣BNを、出金搬送路117に沿って出金識別部109へ搬送する。出金識別部109は、紙幣BNの識別を行う。スパイラル反転部111は、反転が必要な紙幣BNを選択的に反転させる。これにより、スパイラル反転部111を通過した紙幣BNは、表裏及び天地の両方が揃っている。搬送部107はその後、紙幣BNを、集積搬送路121を通じて集積部114へ搬送する。集積部114には、表裏及び天地の両方が揃った紙幣BNが集積される。
出金識別部109がリジェクト紙幣と識別した紙幣BNは、搬送部107によって、出金リジェクト部106へ搬送される。出金識別部109がリジェクト紙幣を識別した場合、繰出部112aは、新たな紙幣BNを収納部112から追加で繰り出す。
集積部114に帯封枚数分の紙幣BNが集積されると、運搬部115が紙幣BNの束を集積部114から取り出して、帯封紙幣処理ユニット200の帯封機構201へ運搬する。図示は省略するが、帯封機構201は、帯封紙幣を作成し、作成された帯封紙幣は、帯封紙幣処理ユニット200の入出金口206又は投出口207から投出される。
尚、計数整理処理時に、二つの集積部114への紙幣BNの搬送は、前述した入金口装填処理時における二つの集積部114への紙幣BNの搬送に準じて行えばよい。
こうして、貨幣処理装置1は、計数整理処理時に、紙幣BNの表裏及び天地の両方を揃えることができ、表裏及び天地の両方が揃った帯封紙幣をユーザーに提供することができる。
尚、第二の計数整理処理として、バラ紙幣処理ユニット100が、紙幣BNを、第二の入金口装填処理と同じ経路で搬送することにより、表裏が揃った帯封紙幣を、帯封紙幣処理ユニット200の入出金口206又は投出口207から投出する処理を実行してもよい。
(スパイラル反転部の下流における紙幣の搬送制御)
このバラ紙幣処理ユニット100は、長手の縁を前にして紙幣BNを搬送する。スパイラル反転部111は、紙幣BNの長手方向について紙幣BNを回転させるため、反転後の紙幣BNの斜行量が大きくなってしまう場合がある。
紙幣BNの斜行量は、入金識別部108及び出金識別部109が判断する。入金識別部108及び出金識別部109は、斜行量が大きい紙幣BNをリジェクト紙幣と判断する。
紙幣BNの斜行量はまた、搬送路に設置した紙幣BNの通過センサよって検知することができる。図10に例示するように、出金搬送路117における所定の箇所には、通過センサ131、132、133、134が配設されている。第一通過センサ131は出金識別部109とスパイラル反転部111との間に配設されている。第一通過センサ131の検知結果は、スパイラル反転部111の分岐爪135の制御に用いられる。第二通過センサ132はスパイラル反転部111の出口に配設されている。第三通過センサ133及び第四通過センサ134はそれぞれ、スパイラル反転部111と集積部114への分岐箇所との間に配設されている。第三通過センサ133の検知結果は、出金搬送路117と集積搬送路121とに紙幣BNを振り分ける分岐爪136の制御に用いられる。
第一通過センサ131~第四通過センサ134はそれぞれ、搬送方向に直交する方向に、所定の間隔を空けて並んだ複数の光学式センサによって構成されている。光学式センサは、紙幣BNの通過を、透光から遮光への切り替わり、及び、遮光から透光への切り替わりによって検出することができる。図10に例示するように、第二通過センサ132は、左センサ132L、右センサ132R及び中央センサ132Cによって構成されている。
尚、第三通過センサ133及び第四通過センサ134も、第二通過センサ132と同様に三つの光学式センサによって構成されていると共に、図10には図示していないが、第一通過センサ131も、第二通過センサ132と同様に三つの光学式センサによって構成されている。尚、通過センサは、紙幣BNと接触することにより紙幣BNを検出する機械式センサによって構成してもよい。
図10に示すように、紙幣BNの斜行量が大きいと左センサ132Lと右センサ132Rとの検知タイミングのずれが大きくなる。各通過センサ131、132、133、134は、左センサと右センサとの検知タイミングのずれに基づいて紙幣BNの斜行量を検出することができる。つまり、検知タイミングのずれが大きいほど、斜行量が大きいと判断することができる。
出金識別部109が斜行量が所定の閾値より小さい正常紙幣と識別した紙幣BNが、スパイラル反転部111を通過後に斜行量が前記閾値以上になった場合を考える。スパイラル反転部111よりも下流の第二通過センサ132の検知に基づいて当該紙幣BNの斜行量が前記閾値以上と判断すると、従来の貨幣処理装置は、搬送エラーとして、バラ紙幣処理ユニットを停止していた。尚、集積部114に紙幣が集積されている状態で、バラ紙幣処理ユニット100がエラー停止した場合、ユーザーは、各搬送路上の紙幣や、集積部114に集積されている紙幣等を全て回収して、もう一度、処理をやり直さなければならない。エラー解除が面倒な上に、回収した紙幣の紛失や、不正が発生してしまう恐れがある。
尚、斜行量が前記閾値以上のリジェクト紙幣と出金識別部109が判断した紙幣BNについて、第二通過センサ132、第三通過センサ133及び第四通過センサ134はそれぞれ、紙幣BNの斜行量の判断を行わない。これにより、搬送部107は、当該リジェクト紙幣を、出金リジェクト部106へ搬送することができる。
従来の貨幣処理装置に対し、この貨幣処理装置1は、スパイラル反転部111の出口の第二通過センサ132の検知に基づいて正常紙幣の斜行量が前記閾値以上になったと判断した場合には、搬送エラーではなく、当該紙幣を正常紙幣からリジェクト紙幣へと切り換える。これにより、搬送部107は、リジェクト紙幣へと切り換えた紙幣を、集積部114ではなく、出金リジェクト部106へ搬送することになる。つまり、第三通過センサ133及び第四通過センサ134はそれぞれ、紙幣BNの斜行量の判断を行わない。また、第三通過センサ133の検知結果に基づいて、分岐爪136が制御される。こうして、正常紙幣からリジェクト紙幣へと切り換えることにより、搬送エラーとして、バラ紙幣処理ユニット100が停止してしまう頻度が低下する。
また、前記の構成は、スパイラル反転部111が反転をした紙幣BNに限らず、スパイラル反転部111を通過した紙幣BNの全てについて斜行量の大きさを判断することができ、斜行量が前記閾値以上の紙幣BNが集積部114へと搬送されることを抑制することができる。集積部114における紙幣BNの集積不良を抑制することもできる。
(紙幣処理装置の他の構成例)
ここに開示する技術が適用可能な紙幣処理装置は、前述した構成のバラ紙幣処理ユニット100に限定されない。紙幣処理装置は、投入部から繰り出された紙幣を識別する識別部と、収納部から繰り出した紙幣の方向を選択的に変換する変換部と、を備えていればよい。
例えば図11に示すバラ紙幣処理ユニット1000は、図3に示すバラ紙幣処理ユニット100に対して、スイッチバック反転部110とスパイラル反転部111との配設箇所を入れ替えている。つまり、スパイラル反転部111は、入金搬送路116における入金識別部108と収納部112との間に配設されている。スイッチバック反転部110は、出金搬送路117における収納部112と集積部114との間に配設されている。バラ紙幣処理ユニット1000において、スパイラル反転部111は第二変換部に対応し、スイッチバック反転部110は、変換部に対応する。
入金処理時、又は、入金口装填処理時に、スパイラル反転部111は、入金識別部108の識別結果に基づいて、紙幣BNを選択的に反転する。具体的に、スパイラル反転部111は、A方向又はC方向となるように紙幣BNを反転してもよい。入金処理時、又は、入金口装填処理時に、収納部112に収納される紙幣BNは、A方向又はC方向となる。
入金口装填処理時に、スイッチバック反転部110は、出金識別部109の識別結果に基づいて、収納部112から繰り出された紙幣BNを選択的に反転する。スイッチバック反転部110は、A方向の紙幣BNを反転せず、C方向の紙幣BNを反転することによって、紙幣BNの表裏及び天地の両方を揃えることができる。
図11に示すバラ紙幣処理ユニット1000も、図3に示すバラ紙幣処理ユニット100と同様に、入金口装填処理時に、表裏及び天地の両方が揃った帯封紙幣を帯封紙幣処理ユニット200のスタッカ205に収納することができる。
尚、詳細な説明は省略するが、図11に示すバラ紙幣処理ユニット1000は、計数整理処理時に、表裏及び天地の両方が揃った帯封紙幣を帯封紙幣処理ユニット200の入出金口206又は投出口207から投出することができる。
尚、バラ紙幣処理ユニット100、1000における二種類の反転部は、スイッチバック方式の反転部及びスパイラル方式の反転部の組み合わせに限定されない。紙幣BNの表裏及び天地の両方を揃えることができる組み合わせであれば、二種類の反転部は、様々な方式の反転部を組み合わせることができる。