JP3859438B2 - 紙葉類集積装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば金融機関に設置されるATM(自動預金支払機)や両替機などの取引処理装置に内蔵されるような紙葉類集積装置に関し、さらに詳しくは紙葉類の集積処理性能を高めた紙葉類集積装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、複数種類の紙葉類を取扱う取引処理装置は、取扱い対象紙葉類の最大幅寸法を基準にして装置内部の搬送幅や集積幅を決定している。
【0003】
例えば、図10(A)に示すように、ATMの入出金口101を形成する場合、ここに入出金される最大幅寸法の紙幣(万円札)102よりも大きめの収納幅をとって入出金口101を形成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この大きめに形成された入出金口101に万円札以外の他金種の小寸法の紙幣102…が入金されると、この小寸法紙幣は入出金口101内での自由度が高いため幅方向に偏位しやすく、集積状態が乱れて集積されていた。
【0005】
また、このような偏位量を有したままで集積されると、これより繰出して定められたカートリッジ103に搬送するときに、その繰出し時や搬送過程で紙幣102の偏位量が大きくなってジャムを発生させたり、図10(B)に示すように、紙幣102をカートリッジ103内に収納したときに集積状態が乱れて紙幣が不安定に集積される。このように、入出金口に入金されたときの紙幣の初期受入れ時の集積誤差が後段で次第に増大してしまう問題を有していた。
【0006】
そこでこの発明は、紙葉類の集積に際して、装置内部の搬送幅の基準となる幅寸法の異なる複数種類の紙葉類を収納空間の中央部に寄せて集積することに着目し、この中央化集積を紙葉類の受付け段階から実行することにより、紙葉類の整列集積を促進して安定した搬送および集積性能が得られる紙葉類集積装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、紙葉類を集積する紙葉類集積装置において、集積空間の両側より均等に進退することで幅寸法の方向である幅方向の集積空間長さをその幅方向の中央部に向けて複数段階に変更可能であって、紙葉類の集積をガイドする可変ガイド手段と、前記可変ガイド手段を備えて紙葉類を一時保留する第1の一時保留部及び第2の一時保留部とを備えるとともに、幅寸法が異なる複数種類の紙葉類が入金されたとき、幅寸法が短い紙葉類を前記第1の一時保留部に前記可変ガイド手段でガイドして整列保留し、幅寸法が長い紙葉類を前記第2の一時保留部に前記可変ガイド手段でガイドして整列保留する分離保留機能と、入金された全紙葉類について前記分離保留が終了した後に、前記第2の一時保留部に整列保留した紙葉類を繰出し、前記第1の一時保留部の前記可変ガイド手段を変更して幅方向の集積空間長さを広げ、全紙葉類を前記第1の一時保留部にまとめて保留する機能とを有するCPUとを備えたことを特徴とする。
【0008】
この結果、紙葉類の幅寸法に応じた一時保留部を選定して一時保留することができる。このため、紙葉類の幅寸法別に区別して一時保留できるため、その後の搬送および集積動作も確実に安定する。
【0009】
つまり、幅寸法が異なる複数種類の紙葉類を混合集積しても、紙葉類を両側より進退して幅方向に可変にガイドするため、大きな幅寸法の紙葉類は両側がガイドされてそのまま集積動作される。これに対し、小さな幅寸法の紙葉類は同様に両側がガイドされて中央位置に集積され、偏位集積を解消して安定した整列集積ができる。
【0010】
このため、これより繰出す場合も偏位集積状態からの繰出し搬送を解消し、中央位置を基準とする安定した搬送が得られ、搬送途中でジャムを誘起させる恐れもなくなる。さらに、搬送後に集積させる場合も、集積部内では集積状態が乱れず安定して集積される。
【0011】
したがって、初期受入れ時に紙葉類の幅方向を可変してガイドすれば、その後の集積誤差も同時に小さくなり、紙葉類の整列集積を促進して終始円滑な搬送および集積処理を実行できる。
【0012】
また別の発明では、紙葉類の真偽判定及び金種判別を実行する識別部を有し、
前記第2の一時保留部は、前記識別部により識別不良と判定された紙葉類を保留することを特徴とする
【0013】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施の形態を以下図面に基づいて詳述する。
図面は銀行等の金融機関に設置されるATMを示し、図1において、このATM11は装置本体の上部前面に、顧客に取引操作を表示案内するタッチパネル兼用のCRT12と、通帳挿入口13と、カード挿入口14と、硬貨の入出金口15と、紙幣の入出金口16とを備えて、入金、出金、振込み、通帳記入、残高照会等の取引を許容している。
【0014】
このATM11の取扱い操作に際しては、タッチパネル兼用のCRT12に、処理項目別の入力案内、操作手順、受入れガイド情報等の各種案内情報を表示し、これに基づいて顧客が入力操作を行う。
【0015】
図2はATM11に内蔵される紙幣処理装置21を示し、この紙幣処理装置21は上部一側に紙幣を出入れする既述した入出金口16を開口し、この入出金口16と連通する内方に紙幣の真偽判別および金種判別を行なう識別部22を設け、この識別部22に導いて適正と判定した紙幣を一時保留する一時保留部23を識別部22の後段奥部に配設し、識別不良と判定した紙幣を返却保留する返却保留部24を識別部22の後段上部に配設している。また、一時保留部23の前段には集積ホイール25を配設しており、ここに導かれた紙幣を1枚ずつ集積して保留する。
【0016】
さらに、一時保留部23からは一時保留した紙幣を1枚ずつ繰出して下部の金種別の第1〜第4スタッカS1 〜S4 および回収箱S5 に収納許容して搬送接続し、返却保留部24からは元の入出金口16に返却可能に搬送接続している。
【0017】
これらの各要素16,22〜25,S1 〜S5 間を搬送ライン26でループ状に接続して、入金処理、出金処理および精査処理等の処理項目に応じた搬送処理を行う。
【0018】
ところで、上述の紙幣の入出金口16、一時保留部23および返却保留部24の内部には、図3に示すように、幅寸法(収納幅寸法)が異なる千円札、二千円札、五千円札、万円札の各金種を混合集積許容する集積空間を有し、その両側より均等に進退して幅方向の集積空間長さを幅方向の中央部に向けて可変にガイドする可変ガイド板31を備えている。
【0019】
上述の可変ガイド板31は、集積空間の内面に左右一対に沿設され、上端枢支部32を傾動支点として幅方向に傾動する下端部がソレノイド33の進退ロッド34に連結されて幅方向に進退移動し、両側に配設された可変ガイド板31を同期して駆動し、そのときの進退量は取扱い対象紙幣の最大幅寸法Lより若干短くした初期規制間隔L1 と、取扱い対象紙幣の最大幅寸法Lより若干長くした規制開放間隔L2 との2段階に切換え許容して設け、通常は全ての紙幣を幅方向の中央部に寄せ得るように初期規制間隔L1 で待機している。
【0020】
このため、紙幣の受付け時には、図4(A)に示すように、可変ガイド板31は取扱い対象紙幣の最大幅寸法Lより短い初期規制間隔L1 に設定されており、これにより小幅紙幣aを受付けたときは中央寄りにガイドすることになり、最大幅紙幣bを受付けたときは、両側が軽く規制されて中央寄りに強制されて受入れられ、若干弯曲状態になっても、この状態では繰出し力を加えないため問題はない。
【0021】
受入れ完了後は受入れた紙幣を次段に1枚ずつ搬送するための取込み動作に移り、図4(B)に示すように、両側の可変ガイド板31を規制開放間隔L2 に移動させると同時に、内部の加圧ローラ41を動作させて受入れた紙幣を集積方向に加圧して繰出し可能な圧縮集積状態にした後、紙幣を1枚ずつ後段に取込ませる。この紙幣の取込み時には両側の可変ガイド板31を開放する状態になって、そのまま中央位置に円滑に導くことができ、幅寸法の異なる長短の紙幣共に集積空間の中央位置に円滑に導くことができる。
【0022】
このように、集積空間に幅寸法が異なる複数金種の紙幣を混合集積しても、この集積空間内で可変ガイド板31が紙幣を両側より進退して中央方向にガイドするため、偏位集積が解消されて安定した整列集積が得られる。
【0023】
さらに、この入出金口16から内方に1枚ずつ取込み搬送する場合も中央位置を基準とする整列集積状態からの繰出しとなり、搬送途中でジャムを誘起させる恐れがなくなり、さらに搬送後に集積させる場合も、後段の集積空間では中央位置のまま集積動作されるため集積状態が乱れずに安定して集積される。
【0024】
したがって、初期受入れ時の入出金口16の段階から紙幣の幅方向を中央寄りにガイドすれば、その後の集積誤差も同時に小さくなり、紙幣の整列集積を促進して終始円滑な搬送および集積動作が得られる。
【0025】
図5は紙幣処理装置51の制御回路ブロック図を示し、CPU51はROM52に格納されたプログラムに沿って各回路装置を制御し、その制御データをRAM53で読出し可能に記憶する。
【0026】
CPU51は入金時に入金された紙幣を入出金口16から1枚ずつ取込んで、識別部22に導き、ここで紙幣の真偽判別、金種判別を行う。また、装置内部の各位置に配設された紙幣検知センサ54で紙幣の有無を検知確認する。
【0027】
また、入出金口16、一時保留部23,返却保留部24および第1〜第4スタッカS1 〜S4 には可変ガイド板31を備えて、それぞれ導かれた紙幣を幅方向の中央部に向けてガイドする可変ガイド機能を持たせている。この場合、第1〜第4スタッカS1 〜S4 の可変ガイド板31は、金種別の幅寸法に応じた専用の可変ガイド板を備える。
【0028】
さらに、CPU51は入金時に収納幅の異なる小幅紙幣aと最大幅紙幣bとを同時に混合入金したときは、後段で分離保留させる分離保留機能を持たせている。
【0029】
この分離保留機能は、正規の一時保留部23を用いるだけでなく、返却保留部24も有効利用するものであって、一時保留部23を小幅紙幣aの専用保留部に設定し、返却保留部24を最大幅紙幣bの専用保留部に設定して、紙幣の幅寸法に応じて分離保留するものである。この分離保留を行うことにより、両保留部23,24内で大きく分離された小幅紙幣a…群と最大幅紙幣b…群との紙幣群の幅が揃って整列保留される。このため、その後の搬送および集積動作も同時に安定する。
【0030】
図6は入金時に入金された紙幣の処理経路図を示し、先ず、図6(A)に示すように、入出金口16に小幅紙幣aと最大幅紙幣bが入金されたとき、可変ガイド板31がそれぞれ中央位置に幅寄せして受入れガイドする。
【0031】
その後、識別部22を通過するときに小幅紙幣aと識別されると、CPU51は小幅紙幣aを予め分離設定した一時保留部23に導いて一時保留させる。このとき、図6(B)に示すように、一時保留部23では両側の可変ガイド板31間を狭めて初期規制間隔L1 に設定しておいて、小幅紙幣aの保留に適した幅方向のガイドを行わせる。
【0032】
これに対し、最大幅紙幣bと識別したときは、その最大幅紙幣bを予め分離設定した返却保留部24に導いて一時保留させる。このときは、図6(C)に示すように、返却保留部24では両側の可変ガイド板31間を広げた規制開放間隔L2 に設定しておいて、最大幅紙幣bの保留に適した幅方向のガイドを行わせる。
【0033】
その後、入出金口16が空になって全ての入金紙幣を一時保留させると、返却保留部24に保留されていた最大幅紙幣bを繰出して正規の一時保留部23にまとめて保留させる。このとき、図6(D)に示すように、一時保留部23では両側の可変ガイド板31間を広げた規制開放間隔L2 に設定しておいて、最大幅紙幣bの保留に適した幅方向のガイドを行う。このように紙幣の幅寸法に適した受入れガイド状態にしておいて全ての紙幣を円滑に一時保留する。
【0034】
続いて、この一時保留部23から下部の各スタッカS1 〜S4 に金種別に分配収納する。この分配収納に際しては、図7に示すように、金種別の収納幅を有するスタッカS1 〜S4 に搬送すればよく、紙幣の大きさ別に分離収納されて各紙幣に応じた適切な集積性能が得られる。この場合は、各スタッカS1 〜S4 に金種対応する幅寸法71〜74の大きさに可変ガイド板を設定しておけばよく、この紙幣の集積時には専用の幅寸法を有するスタッカS1 〜S4 に効率よく集積される。
【0035】
図8は第1〜第4スタッカのうち、最大幅紙幣bを収納する第3スタッカS3 と第4スタッカS4 を出金利用した場合を示し、この場合は両スタッカS3 ,S4 の両側の可変ガイド板31を均等に広げて規制開放間隔L2 に設定した状態で繰出し動作すれば円滑に出金させることができる。また、このときは入出金口16の集積空間を規制開放間隔L2 に設定して、出金された最大幅紙幣bの受入れに適した集積空間を確保する。
【0036】
図9はリサイクル運用を図った場合を示し、この場合は入金時と出金時に応じて、そのときに利用される紙幣の大きさに対応する入出金口16、一時保留部23、返却保留部24および各スタッカS1 〜S4 の可変ガイド板31を進退調整して、各集積空間を調整すればよく、入金処理であっても出金処理であっても適用できるため、信頼性の高いリサイクル運用を図ることができる。ことに、集積空間を容易に切換える構成のため、大きさの異なる紙幣の取扱いに適した利用が図れ、紙幣の円滑な搬送および紙幣の高集積性能が得られる。
【0037】
上述のように、幅寸法が異なる金種別の紙幣を入出金口や各保留部で混合集積しても、この混合集積部内で各紙幣を幅方向の中央部に向けて可変にガイドするため、紙幣は中央寄りにガイドされて偏位集積が解消され、安定した整列集積ができる。このため、これより繰出す場合も偏位集積ではなく、幅方向の中央位置を基準とする安定した搬送が得られ、さらに搬送後に集積させる場合も、スタッカ内では集積状態が乱れず安定して集積される。
【0038】
この発明と、上述の一実施の形態の構成との対応において、
この発明の紙葉類集積装置は、実施の形態の紙幣処理装置21に対応し、
以下同様に、
紙葉類は、小幅紙幣aと最大幅紙幣bに対応し、
第1の一時保留部は、一時保留部23に対応し、
第2の一時保留部は、返却保留部24に対応し、
可変ガイド手段は、可変ガイド板31およびこれを制御するCPU51に対応するも、
この発明は、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、上述の一実施の形態の構成のみに限定されるものではない。
【0039】
【発明の効果】
この発明によれば、装置内部の搬送幅の基準となる幅寸法が異なる複数種類の紙葉類を混合集積しても、紙葉類の幅寸法別に区別して一時保留できるため、紙葉類を幅方向の中央部に向けて可変にガイドするため、偏位集積が解消されて安定した整列集積ができ、その後の搬送および集積動作も確実に安定する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明のATMを示す外観斜視図。
【図2】 この発明の紙幣処理装置の搬送経路を示す内部構成図。
【図3】 この発明の可変ガイド板のガイド状態を示す要部平面図。
【図4】 この発明の可変ガイド板の集積ガイド状態を示す要部側面図。
【図5】 この発明の紙幣処理装置の制御回路ブロック図。
【図6】 この発明の入金紙幣の一時保留経路を示す動作説明図。
【図7】 この発明の各スタッカ別の収納幅を示す概略側面図。
【図8】 この発明の紙幣処理装置の出金利用状態を示す搬送説明図。
【図9】 この発明の紙幣処理装置のリサイクル利用状態を示す搬送説明図。
【図10】 従来の紙幣集積状態を示す概略側面図。
【符号の説明】
16…紙幣の入出金口
21…紙幣処理装置
22…識別部
23…一時保留部
24…返却保留部
S1 〜S4 …スタッカ
31…可変ガイド板
L…最大幅寸法
L1 …初期規制間隔
L2 …規制開放間隔
a…小幅紙幣
b…最大幅紙幣
51…CPU
Claims (2)
- 紙葉類を集積する紙葉類集積装置において、
集積空間の両側より均等に進退することで幅寸法の方向である幅方向の集積空間長さをその幅方向の中央部に向けて複数段階に変更可能であって、紙葉類の集積をガイドする可変ガイド手段と、
前記可変ガイド手段を備えて紙葉類を一時保留する第1の一時保留部及び第2の一時保留部とを備えるとともに、
幅寸法が異なる複数種類の紙葉類が入金されたとき、幅寸法が短い紙葉類を前記第1の一時保留部に前記可変ガイド手段でガイドして整列保留し、幅寸法が長い紙葉類を前記第2の一時保留部に前記可変ガイド手段でガイドして整列保留する分離保留機能と、
入金された全紙葉類について前記分離保留が終了した後に、前記第2の一時保留部に整列保留した紙葉類を繰出し、前記第1の一時保留部の前記可変ガイド手段を変更して幅方向の集積空間長さを広げ、全紙葉類を前記第1の一時保留部にまとめて保留する機能とを有するCPUとを備えたことを特徴とする
紙葉類集積装置。 - 紙葉類の真偽判定及び金種判別を実行する識別部を有し、
前記第2の一時保留部は、前記識別部により識別不良と判定された紙葉類を保留することを特徴とする
請求項1に記載の紙葉類集積装置。
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