以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.本発明の一実施形態に係る現金処理装置の概要>
まず、本発明の一実施形態に係る現金処理装置の概要および一般的な現金処理装置について説明する。
図6に示す本発明の一実施形態に係る現金処理装置100は、入出金処理機能および現金収納機能を有する。現金処理装置100は、硬貨または紙幣等の現金が投入された際に、投入される現金を金種別に収納し、出金操作が行われた際に、操作によって指示される金種の現金を放出する。また、現金処理装置100は、入出金処理が行われる現金以外に、釣銭準備金等として棒金を収納する。
例えば、店舗の売上金が店員によって現金処理装置100に投入される際に、現金処理装置100は投入される売上金を金種別に収納し、現金回収業者が売上金を回収する際に、現金処理装置100は売上金の金額に相当する現金を放出する。また、店員がレジスタの釣銭を補充する場合等に、現金処理装置100に収納される棒金が取り出される。
一般的に、現金処理装置が設置される小売店の従業員等は、売上金を現金処理装置に投入し、釣銭準備金を現金処理装置から引き出す。また、現金回収業者は、現金処理装置から売上金を引き出し、また釣銭準備金を現金処理装置に投入する。
さらに、小売店の従業員等によって現金処理装置に投入される売上金の合計を算出する締めが行われた際に、例えば電話回線またはインターネットを介して現金回収業者側に売上金の金額が通知され、現金回収業者は通知される金額を小売店の口座に振り込む。その後、現金回収業者は小売店の現金処理装置から売上金を回収する。このため、現金処理装置には小売店側の現金と現金回収業者側の現金とが一時的に混在することになる。
しかし、一般的な現金処理装置は、操作者が現金処理装置の内部装置について操作する場合、現金が収納される内部装置についても操作者が接触し得る構造を有する。図1Aおよび図1Bを参照して一般的な現金処理装置について説明する。図1Aは、一般的な現金処理装置の正面図であり、図1Bは、一般的な現金処理装置の側面図である。
例えば、図1Aおよび図1Bに示したように、一般的な現金処理装置200は、操作部210、制御部220、硬貨処理部230、紙幣処理部240、棒金収納部250および通信部260を備える。
操作部210は、現金処理装置200を操作するための入力操作等を受け付け、制御部220は、現金処理装置200の動作を制御する。硬貨処理部230および紙幣処理部240は、売上金等の入出金処理を行う。棒金収納部250は、棒金を収納する収納庫である。また、通信部260は、外部装置、例えば現金回収業者側の通信装置に売上金等の情報を送信する。さらに、図2〜図5を参照して一般的な現金処理装置200の構造について説明する。図2は、一般的な現金処理装置200の硬貨処理部230の構造を説明するための図であり、図3は、一般的な現金処理装置200の硬貨処理部230の操作の例を示す図である。また、図4は、一般的な現金処理装置200の紙幣処理部240の構造を説明するための図であり、図5は、一般的な現金処理装置200の紙幣処理部240の操作の例を示す図である。
一般的な現金処理装置200の硬貨処理部230は、図2に示したように、硬貨入金部231、硬貨搬送部232、硬貨鑑別部233、硬貨一時保留部234、硬貨収納部235、硬貨出金部236および硬貨回収部237を備える。
例えば、硬貨入金部231に投入される硬貨は硬貨搬送部232によって搬送され、硬貨鑑別部233によって硬貨の汚損有無等が判別される。そして、汚損等が無いと判別される硬貨は、硬貨一時保留部234に搬送された後、硬貨収納部235に収納される。硬貨出金部236は、硬貨収納部235から放出される硬貨を現金処理装置200の外部に送り出し、硬貨回収部237には、現金回収業者が回収する硬貨が硬貨収納部235から搬送されて収納される。
さらに、硬貨処理部230は現金処理装置200から引き出される。例えば、現金処理装置200の筐体の扉が開けられて、図3に示したように、硬貨処理部230全体がスライドされて現金処理装置200の外部に引き出される。
また、一般的な現金処理装置200の紙幣処理部230は、図4に示したように、紙幣入出金部241、紙幣搬送部242、紙幣鑑別部243、紙幣一時保留部244、紙幣収納部245および紙幣回収部246を備える。
例えば、紙幣入出金部241に投入される紙幣は紙幣搬送部242によって搬送され、紙幣鑑別部243によって紙幣の汚損有無等が判別される。そして、汚損等が無いと判別される紙幣は、紙幣一時保留部244に搬送された後、紙幣収納部245に収納される。紙幣回収部246には、現金回収業者が回収する紙幣が紙幣収納部245から搬送されて収納される。
さらに、紙幣処理部240は現金処理装置200から引き出される。例えば、現金処理装置200の筐体の扉が開けられて、図5に示したように、紙幣処理部240全体がスライドされて現金処理装置200の外部に引き出される。
このように、一般的な現金処理装置200では、硬貨処理部230全体および紙幣処理部240全体がそれぞれ引き出される。
ここで、例えば、硬貨処理部230または紙幣処理部240(以下、現金処理部とも称する。)内の搬送路内(硬貨搬送部232または紙幣搬送部242)でジャムが発生した場合等に、現金処理部全体が現金処理装置200から引き出されて、ジャムの発生原因を取り除く作業が行われる。硬貨処理部230または紙幣処理部240に収納されている現金については、通常、小売店側の現金と現金回収業者側の現金とが混在している。したがって、当該ジャムの除去作業を小売店の従業員等が行うとすると、現金回収業者側の現金が収納される部分に対し、小売店の従業員等による操作が行われる可能性がある。そのため、収納される現金の数量等に異常が発生したときに、小売店側または現金回収業者側のどちらの責任であるかを特定することが困難となる。
また、当該ジャムの除去作業全てを現金回収業者が行うとすると、ジャムの発生の度に現金回収業者が出動することになり、ジャムの除去について時間およびコストがかかるといった問題がある。そのため、現金回収業者側の現金が収納される内部装置について小売店の従業員等が操作できない状態で、ジャムの除去作業を小売店の従業員等が行うことが望ましい。
そこで、本発明では、現金が収納される収納庫と他の収納庫が独立して引き出されることが可能な現金処理装置100を提供する。以下、現金処理装置100の構成および動作について順次説明する。
<2.本発明の一実施形態に係る現金処理装置>
以上、本発明の一実施形態に係る現金処理装置100の概要および一般的な現金処理装置200について説明した。次に、本発明の一実施形態に係る現金処理装置100について説明する。
[2−1.現金処理装置の構成]
まず、図6を参照して、本発明の一実施形態に係る現金処理装置100の構成について説明する。図6は、本発明の一実施形態に係る現金処理装置100の斜視図である。
現金処理装置100は、図6に示したように、操作部110、印刷部120および収納庫A〜Fを備える。
操作部110は、現金処理装置100を動作させるための操作を受け付ける。具体的には、操作部110は、現金処理装置100に行わせる動作を選択する操作を検出し、検出される操作に係る情報を後述する制御部170に通知する。例えば、操作部110は、図6に示したように現金処理装置100の上部に配置され、現金処理装置100に行わせる動作を選択するキー入力を受け付ける。なお、操作部110は静電容量方式または抵抗膜方式のタッチパネル等であってもよい。
印刷部120は、操作結果等を印刷する。具体的には、印刷部120は、操作部110について行われる操作に基づいて操作結果等を印刷媒体に印刷する。例えば、印刷部120は、図6に示したように現金処理装置100の上面に配置され、操作部110は、所定の操作、例えば操作結果の印刷指示等が行われたことを検出した際に、当該操作が行われた旨を印刷部120に通知する。当該通知を受ける印刷部120は、後述する記憶部172に記憶される操作結果に係る情報を取得し、取得される操作結果に係る情報の内容を紙等の媒体に印刷する。なお、操作結果は操作部110または制御部170によって記憶部172に記憶される。
収納庫A~Fは、現金処理装置100の内部装置等を収納し、それぞれ独立して現金処理装置100から引き出される。例えば、図6に示したように、収納庫A〜Fは引手を有し、例えばユーザが収納庫Aの引手を掴んで引くことにより収納庫Aのみが現金処理装置100の前面に引き出される。さらに、図7を参照して収納庫A〜Fに収納される各構成について説明する。図7は、本実施形態に係る現金処理装置100の内部構成を説明するための図である。
図7に示したように、収納庫Aは硬貨処理上段部130−1を収納し、収納庫Bは硬貨処理下段部130−2を収納する。収納庫Cは硬貨出金部130−3および紙幣処理上段部150−1を収納し、収納庫Dは紙幣処理下段部150−2を収納する。収納庫Eは硬貨回収部130−4と紙幣回収部150−3を収納し、収納庫Fは棒金収納部160を収納する。さらに、現金処理装置100は硬貨処理下段部130−2と硬貨回収部130−4とを連通させるシュート140を備える。
(硬貨処理部130等の構成)
まず、図8を参照して、硬貨処理上段部130−1、硬貨処理下段部130−2、硬貨出金部130−3および硬貨回収部130−4(以下、これらを硬貨処理部130とも総称する。)について説明する。図8は、本実施形態に係る現金処理装置100の硬貨処理部130およびシュート140の構成を説明するための図である。
硬貨処理上段部130−1は、現金搬送部の具体的態様の一例である硬貨入金部として、投入される硬貨の搬送処理を行う。具体的には、硬貨処理上段部130−1は投入される硬貨を硬貨処理下段部130−2に搬送する。例えば、硬貨処理上段部130−1は、図8に示したように、外部との接続口としての硬貨入金口131、硬貨搬送部132、硬貨鑑別部133および硬貨一時保留部134を備える。
例えば、硬貨入金口131は硬貨の投入を受け付け、投入される硬貨は硬貨搬送部132によって搬送され、硬貨鑑別部133によって硬貨の汚損有無等が判別される。そして、汚損等が無いと判別される硬貨は、硬貨一時保留部134に搬送される。
硬貨処理下段部130−2は、投入される硬貨の収納処理を行う。具体的には、硬貨処理下段部130−2は硬貨処理上段部130−1から搬送される硬貨を収納する。例えば、図8に示したように、硬貨処理下段部130−2は硬貨収納部135を備え、硬貨収納部135は硬貨一時保留部134から搬送される硬貨を金種別に収納する。
硬貨出金部130−3は、現金搬送部として、収納される硬貨の出金処理を行う。具体的には、硬貨出金部130−3は、硬貨処理下段部130−2に収納される硬貨を現金処理装置100の外部に放出する。例えば、図8に示したように、硬貨出金部130−3は硬貨移送部136および外部との接続口としての硬貨出金口137を備える。硬貨移送部136は、硬貨収納部135から放出される硬貨を硬貨出金口137に移送し、移送される硬貨は硬貨出金口137を介して現金処理装置100の外部に出される。このように、現金搬送部(硬貨処理上段部130−1または硬貨出金部130−3)は、外部との接続口(硬貨入金口131または硬貨出金口137)を介して現金(硬貨)を搬送させる機能を有する。
硬貨回収部130−4は、現金回収業者によって回収される硬貨を収納する。具体的には、硬貨回収部130−4は、硬貨処理下段部130−2から放出される硬貨を収納する。例えば、図8に示したように、硬貨回収部130−4はシュート140を介して硬貨収納部135と連通され、硬貨収納部135から放出されシュート140を通って落下される硬貨を収納する。
シュート140は、硬貨処理下段部130−2から放出される硬貨を硬貨回収部130−4に送る。具体的には、シュート140は硬貨収納部135と硬貨回収部130−4と連通させ、硬貨収納部135から放出され落下する硬貨を硬貨回収部130−4に誘導する。例えば、図8に示したように、シュート140は、収納庫CおよびDに跨って形成され、収納庫Bに収納される硬貨収納部135から放出される硬貨が収納庫Eに収納される硬貨回収部130−4に落下するように誘導する。なお、シュート140は、収納庫A〜Fと独立して構成され、現金処理装置100の外部に引き出されない。
さらに、硬貨処理部130の各構成をそれぞれ収納する各収納庫は、独立して現金処理装置100から引き出される。図9を参照して硬貨処理部130に係る収納庫の引き出しについて説明する。図9は、本実施形態に係る現金処理装置100の硬貨処理部130の各構成が引き出される例について説明するための図である。
上述したように、硬貨処理部130の各構成はそれぞれ異なる収納庫に収納される。例えば、図9に示したように、硬貨処理上段部130−1は収納庫Aに、硬貨処理下段部130−2は収納庫Bに、硬貨出金部130−3は収納庫Cに、硬貨回収部130−4は収納庫Eにそれぞれ収納される。
そして、各収納庫は独立して現金処理装置100から引き出される。例えば、図9に示したように、収納庫Aは、他の収納庫B〜Fと独立して現金処理装置100の前面に引き出される。すなわち、収納庫Aに収納される硬貨処理上段部130−1は、他の硬貨処理部130の構成と独立して現金処理装置100から引き出されることになる。
(紙幣処理部150の構成)
続いて、図10を参照して、紙幣処理上段部150−1、紙幣処理下段部150−2および紙幣回収部150−3(以下、これらを紙幣処理部150とも総称する。)について説明する。図10は、本実施形態に係る現金処理装置100の紙幣処理部150の構成を説明するための図である。
紙幣処理上段部150−1は、現金搬送部の具体的態様の一例である紙幣入出金部として、投入され、または放出される紙幣の搬送処理を行う。具体的には、紙幣処理上段部150−1は、投入され、または放出される紙幣を紙幣処理下段部150−2に搬送する。例えば、紙幣処理上段部150−1は、図10に示したように、紙幣入出金口151、紙幣搬送部152、紙幣鑑別部153および紙幣一時保留部154を備える。このように、現金搬送部(紙幣処理上段部150−1)は、外部との接続口(紙幣入出金口151)を介して現金(紙幣)を搬送させる機能を有する。
例えば、紙幣入出金口151は紙幣の投入を受け付け、投入される紙幣は紙幣搬送部152によって搬送され、紙幣鑑別部153によって紙幣の汚損有無等が判別される。そして、汚損等が無いと判別される紙幣は、紙幣一時保留部154に搬送される。また、紙幣搬送部152は、紙幣処理下段部150−2から送られる紙幣を紙幣入出金口151に搬送する。
紙幣処理下段部150−2は、投入される紙幣の収納処理を行う。具体的には、紙幣処理下段部150−2は紙幣処理上段部150−1から搬送される紙幣を収納する。例えば、図10に示したように、紙幣処理下段部150−2は紙幣収納部155を備え、紙幣収納部155は紙幣一時保留部154から搬送される紙幣を金種別に収納する。
紙幣回収部150−3は、現金回収業者によって回収される紙幣を収納する。具体的には、紙幣回収部150−3は、紙幣処理下段部150−2から搬送される紙幣を収納する。例えば、図10に示したように、紙幣収納部155から取り出された紙幣は搬送路を通って紙幣回収部150−3に搬送される。
さらに、紙幣処理部150の各構成をそれぞれ収納する各収納庫は、硬貨処理部130の各構成をそれぞれ収納する各収納庫と同様に、独立して現金処理装置100から引き出される。図11を参照して紙幣処理部150に係る収納庫の引き出しについて説明する。図11は、本実施形態に係る現金処理装置100の紙幣処理部150の各構成が引き出される例について説明するための図である。
上述したように、紙幣処理部150の各構成はそれぞれ異なる収納庫に収納される。例えば、図11に示したように、紙幣処理上段部150−1は収納庫Cに、紙幣処理下段部150−2は収納庫Dに、紙幣回収部150−3は収納庫Eにそれぞれ収納される。
そして、各収納庫は独立して現金処理装置100から引き出される。例えば、図11に示したように、収納庫Cは、他の収納庫DおよびEと独立して現金処理装置100の前面に引き出される。すなわち、収納庫Cに収納される紙幣処理上段部150−1は、他の紙幣処理部150の構成と独立して現金処理装置100から引き出されることになる。
(収納庫の錠制御)
続いて、現金処理装置100の収納庫の錠制御について説明する。
まず、現金が収納される収納庫は錠を有する。具体的には、硬貨または紙幣が収納される収納庫は施錠または解錠される。例えば、硬貨収納部135、紙幣収納部155(以下、これらを現金収納部とも総称する。)、硬貨回収部130−4、紙幣回収部150−3(以下、これらを現金回収部とも総称する。)、棒金収納部160を収納する収納庫B、D〜Fは錠を備え、後述する制御部170によって収納庫B、D〜Fについての施錠および解錠が制御される。
このように、現金収納部または現金回収部等が収納される収納庫は錠を有する。このため、当該収納庫を解錠できる者しか現金収納部を操作することができなくされることにより、収納される現金についての異常が発生することを抑制することが可能となる。次に、図12を参照して収納庫の錠制御について具体的に説明する。図12は、本実施形態に係る現金処理装置100の概略的な機能構成を示すブロック図である。
現金処理装置100は、図12に示したように、操作部110、制御部170、記憶部172、錠制御部174および通信部176を備える。
操作部110は、上述したように、現金処理装置100に行わせる動作を選択する操作を検出し、検出される操作に係る情報を制御部170に通知する。
制御部170は、現金処理装置100の動作を制御する。具体的には、制御部170は、操作部110によって通知される操作に係る情報に基づいて、現金処理装置100の備える各構成の動作を制御する。例えば、ユーザによって硬貨または紙幣の入出金操作が選択され、操作部110によって当該選択操作に係る情報が通知される場合、制御部170は硬貨処理部130または紙幣処理部150に入出金処理を行わせる。
また、制御部170は、検出される操作に基づいて収納庫の錠制御を行う。具体的には、制御部170は、操作部110から操作に係る情報が通知された際に、当該情報の示す操作が収納庫の錠制御に係る操作であるかを判定する。当該操作が収納庫の錠制御に係る操作であると判定される場合、制御部170は錠制御部174に動作を指示する。
例えば、制御部170は、操作部110によって現金回収操作が検出され、当該操作に係る情報が通知された際に、当該操作と操作に関係する収納庫との対応情報を記憶部172から取得し、対応する収納庫の解錠を当該操作が要するかを判定する。当該操作が収納庫の解錠を要すると判定される場合、制御部170は当該収納庫を解錠するように錠制御部174に指示する。
また、制御部170は、引き出された収納庫が元に戻された際に、当該収納庫を施錠させる。例えば、現金処理装置100は別途収納庫の開閉(以下、引き出された状態を開状態、元に戻された状態閉状態とも称する。)を検出する開閉検出部を備え、開閉検出部は収納庫の開閉状態を検出し、開閉状態が変化した際にその旨を制御部170に通知する。当該通知を受ける制御部170は、開閉状態が閉状態に変化したことを当該通知が示す場合、開閉状態が閉状態に変化した収納庫を施錠するように錠制御部174に指示する。
このように、制御部170は、操作に基づいて、現金収納部が収納される収納庫の錠を制御する。このため、自動的に収納庫の施錠または解錠が行われることにより、ユーザの作業負担を低減することが可能となる。
記憶部172は、操作と収納庫との対応関係に係る情報を記憶する。具体的には、記憶部172は、操作部110により検出され得る操作と、当該検出され得る操作において開閉される収納庫との対応関係に係る情報を記憶する。また、記憶部172は収納庫の錠の有無を上記の対応関係に係る収納庫についての情報として記憶する。
錠制御部174は、収納庫を施錠し、または解錠する。具体的には、錠制御部174は、制御部170の指示に基づいて指示対象の収納庫を施錠し、または解錠する。例えば、錠制御部174は、錠と錠の開閉を行う駆動装置とで構成され、制御部170から動作指示を受けた際に、駆動装置が錠の開閉を行う。例えば、駆動装置は電動モータ等を動力源とし得る。
通信部176は、現金処理装置100の外部の装置と通信する。具体的には、通信部176は、取引結果または操作結果等の情報を外部装置に送信する。例えば、通信部176は、入金された売上金の金額等を含む情報を現金回収業者の装置に向けて送信する。なお、通信方式は有線通信または無線通信のいずれであってもよい。
なお、本実施形態においては、図7に示す収納庫A〜F毎に、収納される現金が小売店側の現金または現金回収業者側の現金であるかを明確にしておくことが望ましい。
例えば、収納庫Aは硬貨処理上段部130−1(硬貨入金部)を収納し、収納庫Aに収納される現金は小売店側の現金とする。収納庫Bは硬貨処理下段部130−2(硬貨収納部)を収納し、収納庫Bに収納される現金は小売店側および現金回収業者側の両方の現金とする。収納庫Cは、紙幣処理上段部150−1(紙幣入出金部)と硬貨出金部130−3を収納し、収納庫Cに収納される現金は小売店側の現金とする。収納庫Dは、紙幣収納部155を含む紙幣処理下段部150−2を収納し、収納庫Dに収納される現金は小売店側および現金回収業者側の両方の現金とする。収納庫Eは、硬貨回収部130−4および紙幣回収部150−3を収納し、収納庫Eに収納される現金は現金回収業者側の現金とする。収納庫Fは、棒金収納部160を収納し、収納庫Fに収納される現金は小売店側の現金とする。
さらに、収納庫AおよびCについては小売店側の操作者が解錠可能であるとし、収納庫B、DおよびEについては現金回収業者側の操作者が解錠可能であるとする。また、収納庫Fについては、棒金は搬送されずジャムが発生しないため、小売店側および現金回収業者側の両方が解錠可能とする。
上記のようにすることで、収納庫AおよびCに収納される現金について現金違算が発生した場合、操作者が小売店側に特定されるため、責任の所在が明確になる。また、収納庫BおよびDに収納される現金について現金違算が発生した場合、収納庫BおよびDに収納される現金は小売店側および現金回収業者の両方の現金であるが、現金回収集業者側のみが解錠可能とされることにより、操作者が現金回収業者側に特定されるため、責任の所在が明確になる。また、収納庫Eに収納される現金について現金違算が発生した場合、操作者が現金回収業者側に特定されるため、責任の所在が明確になる。
このように、本発明の一実施形態によれば、現金処理装置100は、外部との接続口を介して、現金を搬送させる現金搬送部を備える。また、現金処理装置100は、当該現金搬送部によって搬送される現金を収納する現金収納部を備える。そして、当該現金搬送部および当該現金収納部は、互いに独立して現金処理装置100から引き出される収納庫にそれぞれ設けられる。このため、操作者は現金収納部以外の内部装置を現金収納部に接触することなく操作することができ、収納される現金についての異常の発生を抑制することが可能となる。特に、現金搬送部においてジャムが発生しやすいため、現金収納部と独立して現金搬送部の引き出しが可能となることにより、当該ジャムの除去作業を小売店側で行うことができ、現金回収業者の出動回数を低減することが可能となる。
また、現金処理装置100は、上記現金収納部から回収される現金を収納し、制御部170によって制御される錠を有する収納庫に収納される現金回収部を備える。そして、当該現金回収部は、少なくとも上記現金搬送部と独立して現金処理装置100から引き出される。このため、現金収納部と別個の現金回収部が設けられることにより、現金回収業者も現金収納部を操作することなく作業を行うことができるようになり、さらに現金についての異常の発生を抑制することが可能となる。
また、上記現金搬送部は、入出金口を介して紙幣を取り込みまたは放出する紙幣入出金部を含み、上記現金収納部は、取り込まれるまたは放出される紙幣を収納する紙幣収納部を含み、上記現金回収部は、回収される紙幣を収納する紙幣回収部を含む。このため、硬貨と比べて高額な紙幣の紛失等の異常が抑制されることにより、紛失等による損害額を効果的に低減することが可能となる。
また、上記現金搬送部は、入金口を介して硬貨を取り込む硬貨入金部と、出金口を介して硬貨を放出する硬貨出金部とを含み、上記現金収納部は、取り込まれるまたは放出される硬貨を収納する硬貨収納部を含み、上記現金回収部は、回収される硬貨を収納する硬貨回収部を含む。このため、紙幣と比べて紛失等されやすい硬貨についての異常が抑制されることにより、異常の発生回数を効果的に低減することが可能となる。
また、上記紙幣回収部および上記硬貨回収部は、同一の収納庫に設けられる。このため、現金回収業者は複数の収納庫について作業を行わずに済み、現金回収業者の作業負担を低減することが可能となる。
また、上記紙幣入出金部および上記硬貨出金部は、同一の収納庫に設けられる。このため、収納庫数が削減されることにより、コストの低減および現金処理装置100の縮小化が可能となる。
また、現金処理装置100は、上記硬貨収納部から上記硬貨回収部に硬貨が通過するシュートをさらに備え、上記硬貨収納部を収納する収納庫は、少なくとも1つの他の収納庫を挟んで上記硬貨回収部を収納する収納庫よりも上段に設けられる。このため、現金処理装置100の収納庫の構成に柔軟性がもたらされることにより、現金処理装置100に構成を追加しやすくすることが可能となる。
[2−2.変形例]
以上、本発明の一実施形態について説明した。なお、本実施形態は、上述の例に限定されない。以下に、本実施形態の変形例について説明する。
本実施形態の変形例として、現金処理装置100は、操作者に応じて、現金収納部が収納される収納庫の錠制御を行ってもよい。具体的には、現金処理装置100は操作者情報を取得する情報取得部180をさらに備え、制御部170は、現金収納部の収納される収納庫の解錠に係る操作が行われた際、当該操作者情報の示す操作者が予め決定される操作者である場合に、現金収納部の収納される収納庫を解錠する。さらに、図13を参照して本変形例の情報取得部180について説明する。図13は、本実施形態の変形例に係る現金処理装置100の斜視図である。
現金処理装置100は、図13に示したように、操作部110、印刷部120および収納庫A〜Fに加えて、情報取得部180を備える。
情報取得部180は、現金処理装置100の操作者情報を取得する。具体的には、情報取得部180は、ユーザ操作に基づいて操作者情報を取得し、取得される操作者情報を記憶部172に記憶させる。例えば、情報取得部180は、IC(Integrated Circuit)カードまたは磁気カード等から情報を読み取るカードリーダであり、例えばICカードをカードリーダに接触または近接させる操作が行われた際に当該ICカードから操作者情報を読み取る。なお、情報取得部180はバーコードまたはQRコード(登録商標)等から情報を読み取るコードリーダであってもよい。
なお、情報取得部180は、操作部110に対する操作者情報の入力操作に基づいて操作者情報を取得してもよい。例えば、操作部110は、操作者情報の入力操作を検出し、検出される操作の内容を情報取得部180に通知する。当該通知を受ける情報取得部180は、操作の内容から操作者情報を生成し、生成される操作者情報を記憶部172に記憶させる。
制御部170は、錠制御を要する操作が行われる場合、当該操作を行う操作者が予め決定される操作者であるときは、錠制御部174に動作を指示する。具体的には、操作部110から操作に係る情報が通知され、当該操作が収納庫の錠制御に係る操作であると判定される場合、制御部170は操作者情報を取得する。そして、制御部170は、取得される操作者情報の示す操作者が予め決定される操作者の要件を満たす場合、錠制御部174に操作に係る収納庫の解錠を指示する。
例えば、まず、ICカード等をカードリーダに近接させる操作が行われた際に、操作者情報取得部180によって操作者情報が取得され、記憶部に172に操作者情報が記憶される。次に、操作部110によって例えば現金回収操作が検出され、当該操作に係る情報が通知された際に、制御部170は、当該操作が収納庫の解錠を要すると判定し、操作者情報および予め決定される操作者要件に係る情報を記憶部172から取得する。そして、制御部170は、取得される操作者情報の示す操作者が、操作者要件に係る情報により特定される例えば現金回収業者である場合、錠制御部174に現金回収部の収納される収納庫の解錠を指示する。
このように、本実施形態の変形例によれば、現金処理装置100は操作者情報を取得する情報取得部180を備える。そして、制御部170は、現金収納部の収納される収納庫の解錠に係る操作が行われた際、当該操作者情報の示す操作者が予め決定される操作者である場合に、現金収納部の収納される収納庫を解錠する。このため、自動的に操作者を判別して収納庫の錠制御が行われることにより、収納庫の鍵管理を省略することができ、作業効率および利便性を向上させることが可能となる。
なお、上記では、予め決定される操作者要件に係る情報は記憶部172から取得される例を説明したが、当該操作者要件に係る情報は通信部176を介して取得されてもよい。例えば、操作部110から操作に係る情報が通知され、当該操作が収納庫の錠制御に係る操作であると判定される場合、制御部170は、通信部176に操作者要件に係る情報の取得要求を外部装置に向けて送信させる。そして、制御部170は、通信部176によって外部装置から受信される操作者要件に係る情報に基づいて錠制御の有無を判断する。この場合、操作者要件に係る情報が外部で管理されるため、現金処理装置100からの情報漏えいの可能性を低下させることが可能となる。
<3.むすび>
以上、本発明の一実施形態によれば、操作者は現金収納部以外の内部装置を現金収納部に接触することなく操作することができ、収納される現金についての異常の発生を抑制することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、現金収納部が収納される収納庫について錠制御が行われる例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、現金処理装置100の全ての収納庫が錠を有し、制御部170は全ての収納庫の錠を制御してもよい。この場合、現金処理装置100の防犯性をさらに向上させることが可能となる。
また、上記実施形態では、現金回収部は1つである例を説明したが、現金回収部は複数備えられてもよい。例えば、紙幣回収部150−3に隣接する位置に別途の紙幣回収部が設けられ、紙幣回収部150−3が満杯となった場合、当該別途の紙幣回収部に紙幣が収納される。この場合、現金回収部が満杯になった際の交換作業の発生頻度が低減されることにより、ユーザの作業効率を向上させることが可能となる。
また、現金処理装置100は現金回収部を備えなくてもよい。例えば、現金回収業者は現金収納部から現金を回収するようにしてもよい。この場合、現金回収部が収納されている収納庫を別の用途に活用すること、または当該収納庫が省略されコストを低減することが可能となる。
また、上記実施形態では、操作者情報が予め決定される操作者である場合、収納庫が解錠される例を説明したが、操作者情報によって選択可能な操作が提示されてもよい。例えば、操作部110は表示部を有し、制御部170は操作者情報の示す操作者が選択可能な操作に係るメニューを表示部に表示させる。この場合、操作者に選択可能な操作以外の操作が提示されないことにより、現金処理装置100の防犯性を向上させることが可能となる。
また、上記実施形態では、現金処理装置100の収納庫は引き出される例を説明したが、当該収納庫は開閉されてもよい。例えば、収納庫は、錠を備える扉を有し、制御部170は収納庫の扉の錠を制御する。また、収納庫は現金処理装置100から取り出されてもよい。
また、上記実施形態では、現金処理装置100は硬貨処理部130および紙幣処理部150の両方を備える例を説明したが、現金処理装置100は硬貨処理部130または紙幣処理部150のいずれか一方のみを備えてもよい。
また、上記実施形態では、硬貨回収部130−4と紙幣回収部150−3とが同じ収納庫に収納される例を説明したが、硬貨回収部130−4および紙幣回収部150−3はそれぞれ別の収納庫に収納されてもよい。同様に、硬貨出金部130−3および紙幣処理上段部150−1もそれぞれ別の収納庫に収納されてもよい。
また、上記実施形態では、現金処理装置100の収納庫は他の収納庫と独立して引き出される例を説明したが、当該収納庫のうちの現金が収納される収納庫については、複数の収納庫が一体となって引き出されてもよい。同様に、現金が収納されない収納庫について、複数の収納庫が一体となって引き出されてもよい。
また、収納庫A〜Fの各々に収納される現金を小売店側および現金回収業者側のいずれかの現金または両方の現金とするかは種々の変更が可能である。また、収納庫A〜Fの各々について、小売店側および現金回収業者側のいずれかまたは両方が解錠可能とするかは種々の変更が可能である。