JP6029155B2 - β−1,3−グルカン誘導体、及びβ−1,3−グルカン誘導体の製造方法 - Google Patents

β−1,3−グルカン誘導体、及びβ−1,3−グルカン誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、β−1,3−グルコシド結合により構成されるグルカンを主鎖とし、熱可塑性に優れたβ−1,3−グルカン誘導体、及びその製造方法に関する。
本願は、2012年11月14日に、日本に出願された特願2012−250569号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、環境負荷低減の点から、植物由来の成分を原料とするプラスチック(バイオプラスチック)が注目されており、生分解性、成形性(熱可塑性)、強度等の要求される特性を備えたプラスチックの開発が盛んである。例えば、ポリ乳酸からなるプラスチックは、生分解性に優れているものの、機械的強度などの実用特性については開発の余地が大きい。一方で、セルロースは、地上で生産される様々なバイオマスの中で最も生産量が多い上に、樹木を構成する中心的な素材であり、構造材料としての高いポテンシャルを持っているが、熱可塑性を有しておらず、成形性が大いに劣る。天然のセルロースが強固にその構造を保つ大きな要因はセルロース鎖間の分子間水素結合であり、この分子間水素結合を弱めることが熱可塑性の獲得につながると考えられている。そこで、長鎖アルキル基を酢酸セルロースに導入するなどによって、分子間水素結合が弱く、熱可塑性を有するセルロース誘導体が開発されている。
多糖類の一種であるβ−1,3−グルカンは、グルコースがβ−1,3結合で連結された天然高分子である。セルロースとの分子構造の違いは、グルコース間の結合様式(セルロースはβ−1,4結合)だけである。β−1,3−グルカンは、セルロースと非常によく似た構造であるが、セルロースはシート構造をとるのに対して、三重らせん構造をとる。また、β−1,3−グルカンは、一般的にセルロースに比べて溶媒に溶解しやすいという特徴がある。
β−1,3−グルカンは、主に藻類や菌類などにより生産される。藻類等により生産されるβ−1,3−グルカンのうち、例えばラミナラン (laminaran)はβ−1,3結合とβ−1,6結合を含む直鎖状の多糖であり、シゾフィラン(schizophyllan)はβ−1,3結合とβ−1,6結合を含む枝分かれ状の多糖である。主鎖がβ−1,3結合からなる多糖のうち、パキマン(pachyman)は1分子に3〜6個の側鎖を持つことが(例えば、非特許文献1参照。)、レンチナン(lentinan)は主鎖のグルコース5個につき2つの側鎖グルコースを持つことが(例えば、非特許文献2参照。)、それぞれ知られている。また、カードラン(curdlan)はほぼ直鎖状ではあるが、約200のグルコース単位に1つの側鎖を持つことが知られている(例えば、非特許文献3及び4参照。)。これらに対して、微細藻類の一種であるユーグレナ(ミドリムシ)が合成・蓄積するパラミロン(paramylon)と呼ばれるβ−1,3−グルカンは、側鎖グルコースを持たない直鎖状である(例えば、非特許文献5及び6参照。)。パラミロンは、エネルギー貯蔵物質であり、ユーグレナの細胞内に卵形のマイクロサイズの粒子(パラミロン粒子)として存在している。
セルロースと同様に、パラミロンもプラスチック原料としての使用が検討されている。例えば、パラミロン粒子をギ酸に溶解することで得られる溶液や、当該溶液にポリビニルアルコールを一定量混合して得られる溶液をキャストする方法によりフィルムを製造する方法が報告されている(例えば、特許文献1、非特許文献7及び8参照。)。
特開2004−331837号公報
ホフマン(Hoffmann)、他2名、カルボハイドレート・リサーチ(Carbohydrate Research)、1971年、第20巻、第185〜188ページ。 吉積智司、他2名、「甘味の系譜とその科学」、株式会社光琳(発行)、1986年、第358ページ。 サイトウ、他2名、アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agricultural and Biological Chemistry)、1968年、第32巻、第1261〜1269ページ。 ハラダ、他2名、アチーブ・オブ・バイオケミストリー・アンド・バイオフィジックス(Archives of Biochemistry and Biophysics)、1968年、第124巻、第292〜298ページ。 コバヤシ、他4名、カルボハイドレート・ポリマーズ(Carbohydrate Polymers)、2010年、第80巻、第491〜497ページ。 クラーク(Clarke)、他1名、バイオケミカ・エ・バイオフィジカ・アクタ(Biochimica et Biophysica Acta)、1960年、第44巻、第161〜163ページ。 カワハラ、他1名、ジャーナル・オブ・アプライド・ポリマー・サイエンス(Journal of Applied Polymer Science)、2006年、第102巻、第3495〜3497ページ。 小金丸昭洋、他1名、繊維学会誌、2003年、第59巻、第11号、第457〜460ページ。
パラミロンは、セルロースと同様に熱可塑性を有していないため、成形性に劣るという問題がある。実際に、特許文献1に記載の方法で製造されたパラミロンフィルムは、破断伸びが小さく、硬いフィルムである。
本発明は、β−1,3−グルカンを主鎖とする高分子であって、良好な熱可塑性を有し、成形性に優れたβ−1,3−グルカン誘導体、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、β−1,3−グルカンを構成するグルコース中の水酸基を脂肪酸等によりアシル化することによって、高分子鎖間の相互作用が弱められる結果、熱可塑性を有するβ−1,3−グルカン誘導体を製造し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明に係るβ−1,3−グルカン誘導体、成形体、β−1,3−グルカン誘導体の製造方法、及び成形体の製造方法は、下記[1]〜[17]である。
[1]下記一般式(1)(式(1)中、複数存在するRはそれぞれ独立して、水素原子、又は−CORを表し、nは、1以上の整数を表す。前記Rは、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。ただし、Rの少なくとも一部は、−CORである。)で表される構造を主鎖として有し、
前記β−1,3−グルカン誘導体中の少なくとも一部のR が、炭素数13以上の長鎖脂肪族炭化水素基であり、
前記β−1,3−グルカン誘導体中の少なくとも一部のR が、炭素数1〜5の短鎖脂肪族炭化水素基又はフェニル基であることを特徴とするβ−1,3−グルカン誘導体。
Figure 0006029155
[2]下記一般式(1a)(式(1a)中、複数存在するRはそれぞれ独立して、水素原子、又は−CORを表し、nは、1以上の整数を表す。前記Rは、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。ただし、Rの少なくとも一部は、−CORである。)で表される高分子である、前記[1]のβ−1,3−グルカン誘導体。
Figure 0006029155
[3]前記β−1,3−グルカン誘導体中のグルコース単位当たりの−CORの数が0.1以上である、前記[1]又は[2]のβ−1,3−グルカン誘導体。
[4]前記一般式(1)又は一般式(1a)中の全てのRが、前記−CORである、前記[1]又は[2]のβ−1,3−グルカン誘導体。
]前記β−1,3−グルカン誘導体中のグルコース単位当たりの−COR21(前記R21は、炭素数13以上の脂肪族炭化水素基を表す。)の数が0.1以上である、前記[1]〜[4]のいずれかのβ−1,3−グルカン誘導体。
]前記一般式(1)又は一般式(1a)中のグルコース単位当たりの−CHOCOR21(前記R21は、炭素数13以上の脂肪族炭化水素基を表す。)の数が0.1以上である、前記[1]〜[4]のいずれかのβ−1,3−グルカン誘導体。
]前記[1]〜[]のいずれかのβ−1,3−グルカン誘導体を成形してなることを特徴とする成形体。
]前記[1]〜[]のいずれかのβ−1,3−グルカン誘導体を成形して成形体を製造することを特徴とする成形体の製造方法。
]β−1,3−グルコシド結合により構成されるグルカンを主鎖とする高分子中の水酸基の少なくとも一部を、下記一般式(2)
Figure 0006029155
(式(2)中、R は、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。)で表されるカルボン酸のうち、前記R が炭素数13以上の長鎖脂肪族炭化水素基であるカルボン酸と、前記R が炭素数1〜5の短鎖脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であるカルボン酸と、の2種類でアシル化することを特徴とする、β−1,3−グルカン誘導体の製造方法。
10]前記高分子中の水酸基の少なくとも一部を、前記一般式(2)で表されるカルボン酸のうち、前記R が炭素数13以上の長鎖脂肪族炭化水素基である長鎖脂肪酸でアシル化した後、得られたβ−1,3−グルカン誘導体中に残存している水酸基の少なくとも一部を、前記一般式(2)で表されるカルボン酸のうち、前記R が炭素数1〜5の短鎖脂肪族炭化水素基である短鎖脂肪酸又は安息香酸でアシル化する、前記[]のβ−1,3−グルカン誘導体の製造方法。
11]前記カルボン酸の塩化物と前記高分子中のグルコースユニットの仕込み比([カルボン酸の塩化物(モル)]/[高分子中のグルコースユニット(モル)])を1.5〜4.0とする、前記[]のβ−1,3−グルカン誘導体の製造方法。
12]前記高分子が、細胞内でβ−1,3−グルカンを合成する微細藻類から分離したパラミロンである、前記[]〜[11]のいずれかのβ−1,3−グルカン誘導体の製造方法。
13]前記微細藻類が、ユーグレナ植物門に属する微細藻類である、前記[12]のβ−1,3−グルカン誘導体の製造方法。
14]前記カルボン酸が、植物由来のワックスエステルの加水分解により得られた、前記[]〜[13]のいずれかのβ−1,3−グルカン誘導体の製造方法。
本発明に係るβ−1,3−グルカン誘導体は、ユーグレナ等が産生する天然のβ−1,3−グルカンよりも熱可塑性に優れている。このため、本発明に係るβ−1,3−グルカン誘導体を成形することにより、天然のβ−1,3−グルカンよりも簡便かつ効率よく成形体を製造することができる。
また、本発明に係るβ−1,3−グルカン誘導体の製造方法により、β−1,3−グルカンから熱可塑性に優れたβ−1,3−グルカン誘導体を製造することができる。
[β−1,3−グルカン誘導体]
本発明に係るβ−1,3−グルカン誘導体は、β−1,3−グルカンを主鎖とする高分子中の水酸基、すなわち主鎖を構成するグルコース中の水酸基がアシル化された高分子である。水酸基がアシル化されることにより、主鎖間水素結合による相互作用が弱められるため、本発明に係るβ−1,3−グルカン誘導体は、アシル化前の高分子よりも熱可塑性に優れている。
具体的には、本発明に係るβ−1,3−グルカン誘導体は、下記一般式(1)で表される構造を主鎖として有することを特徴とする。一般式(1)中、複数存在するRはそれぞれ独立して、水素原子、又は−CORを表し、前記Rは、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基(炭素と水素からなる基)を表す。ただし、Rの少なくとも一部は、−CORである。
Figure 0006029155
の脂肪族炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状構造を有していてもよい。いずれの構造であっても、主鎖間の相互作用を弱めることができる。また、炭素数が2以上の場合、炭素−炭素単結合のみからなるアルキル基であってもよく、二重結合又は三重結合を1又は2以上含むアルケニル基やアルキニル基であってもよい。一般式(1)で表される構造としては、合成の容易さ、側鎖の自由度の高さ等から、Rはアルキル基であることが好ましく、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることがより好ましく、直鎖状のアルキル基であることがさらに好ましい。
が比較的嵩高い脂肪族炭化水素基であるほうが、小さな炭化水素基よりも、主鎖間の相互作用を弱める効果が高い。このため、Rとしては、炭素数が11以上の脂肪族炭化水素基(以下、長鎖炭化水素基)であることが好ましく、炭素数が13以上の長鎖炭化水素基であることがより好ましい。一方で、Rの脂肪族炭化水素基は、後述するように、主鎖の水酸基を脂肪酸によってアシル化することにより導入されるが、この際、炭素数が大きい脂肪酸ほど、アシル化効率が低くなる傾向にある。そこで、一般式(1)で表される構造としては、主鎖間の相互作用低減効果とアシル化効率の点から、Rの脂肪族炭化水素基の炭素数は11〜20が好ましく、13〜20がより好ましく、13〜18がさらに好ましく、13〜17がよりさらに好ましい。炭素数が11〜20の脂肪族炭化水素基としては、ウンデシル基、ドデシル基(ラウリル基)、トリデシル基、テトラデシル基(ミリスチル基)、ペンタデシル基、ヘキサデシル基(パルミチル基)、ヘプタデシル基(セチル基)、オクタデシル基(ステアリル基)、ノナデシル基、エイコシル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基(特に、オレイル基、リノール基)、ノナデセニル基、エイコセニル基等が挙げられる。中でも、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、又はヘプタデシル基が好ましく、トリデシル基、ペンタデシル基、又はヘプタデシル基がより好ましい。
一般的に、直鎖状の炭化水素基よりも分岐鎖状の炭化水素基のほうが、同じ炭素数の場合には嵩高くなる傾向にある。そこで、Rとしては、分岐鎖状の炭化水素基であることも好ましい。分岐鎖状の炭化水素基の場合、炭素数は11以上の長鎖炭化水素基以外にも、炭素数8〜11の炭化水素基(以下、分岐鎖状中鎖炭化水素基)であることも好ましい。分岐鎖状中鎖炭化水素基としては、例えば、1−エチルヘキシル基、1−エチルヘプチル基、1−エチルオクチル基、1−エチルノニル基、1−プロピルペンチル基、1−プロピルヘキシル基、1−プロピルヘプチル基、1−プロピルオクチル基、1−ブチルペンチル基、1−ブチルヘキシル基、1−ブチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−エチルヘプチル基、2−エチルオクチル基、2−エチルノニル基、2−プロピルペンチル基、2−プロピルヘキシル基、2−プロピルヘプチル基、2−プロピルオクチル基等が挙げられる。
が小さな脂肪族炭化水素基である場合、例えば、炭素数が1〜5の脂肪族炭化水素基(以下、短鎖炭化水素基)である場合であっても、主鎖の水酸基が全くアシル化されていない天然のβ−1,3−グルカンよりも、主鎖間水素結合による相互作用が弱くなるため、熱可塑性は向上する。短鎖炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基等が挙げられる。中でも、アシル化効率の高さから、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
が芳香族炭化水素基の場合、該芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。該芳香族炭化水素基としては、芳香環中の1又は2以上の水素原子が他の官能基に置換されていてもよい。該他の官能基としては、例えば、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基等が挙げられる。
本発明に係るβ−1,3−グルカン誘導体としては、主鎖の少なくとも一部が、好ましくは主鎖全体の80%以上が前記一般式(1)で表される構造からなる高分子であればよく、−COR以外の側鎖を有していてもよい。側鎖を有するβ−1,3−グルカン誘導体としては、例えば、パキマンやレンチナン、カードラン等のグルコース単位中の水酸基の少なくとも一部が−OCORに置換されている高分子が挙げられる。
本発明に係るβ−1,3−グルカン誘導体としては、主鎖が前記一般式(1)で表される構造からなる高分子、すなわち、下記一般式(1a)で表される高分子であることが好ましい。一般式(1a)中、R及びnは、前記一般式(1)と同様である。当該高分子としては、例えば、パラミロン等の直鎖状のβ−1,3−グルカンのグルコース単位中の水酸基の少なくとも一部が−OCORに置換されている高分子が挙げられる。
Figure 0006029155
β−1,3−グルカン誘導体中の全Rに対する−CORである割合(アシル化率)は、グルコース単位当たりの−CORの数(置換度)で表すことができる。主鎖の両末端以外を構成するグルコースにおける置換度の最大値は理論上「3」であり、両末端を構成するグルコースにおける置換度の最大値は理論上「4」である。β−1,3−グルカン誘導体の置換度は、核磁気共鳴分光法(NMR法)等により測定することができる。例えば、H−NMRにより、グルコース単位中の水酸基を構成する水素原子のシグナルと−CORを構成する水素原子のシグナルとを区別して検出し、それぞれの積分値に基づいて置換度を求めることができる。
β−1,3−グルカン誘導体においてはアシル化率が高くなるほど、主鎖間の相互作用低減効果が高くなり、熱可塑性は向上する。また、アシル化により水酸基が減少するため、耐水性も向上する。一方で、アシル化率が高くなるにつれ、得られた成形体の機械的強度は低下する傾向にある。このため、本発明に係るβ−1,3−グルカン誘導体のアシル化率は、当該誘導体に要求される機械特性と成形性とを考慮して適宜設定することが好ましい。例えば、本発明に係るβ−1,3−グルカン誘導体としては、−CORの置換度は0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましく、1.0以上がよりさらに好ましく、2.0以上が特に好ましい。また、前記一般式(1)(又は一般式(1a))中の全てのRが−CORであってもよい。
本発明に係るβ−1,3−グルカン誘導体中に複数存在する−CORにおけるRは、全て同種の脂肪族炭化水素基であってもよく、互いに異なっていてもよい。例えば、本発明に係るβ−1,3−グルカン誘導体は、Rとして、1種類の長鎖炭化水素基のみを有していてもよく、2種類以上の長鎖炭化水素基を有していてもよく、1種類の短鎖炭化水素基のみを有していてもよく、2種類以上の短鎖炭化水素基を有していてもよい。
特に、本発明に係るβ−1,3−グルカン誘導体は、Rとして、1種類又は2種類以上の長鎖炭化水素基と、1種類又は2種類以上の短鎖炭化水素基を有していることが好ましい。また、1種類又は2種類以上の長鎖炭化水素基と、フェニル基を有していることも好ましい。β−1,3−グルカン誘導体に残存する水酸基が少ないほど、高分子間相互作用を充分に低減させることができ好ましいが、長鎖炭化水素基の置換度が大きすぎる場合には、機械的強度が低くなりすぎるおそれがある。β−1,3−グルカン中の水酸基を、Rが長鎖炭化水素基である−CORと、Rが短鎖炭化水素基又はフェニル基である−CORの両方でバランスよく置換することにより、トレードオフの関係にある熱可塑性(成形性)と機械的強度の両方に優れたβ−1,3−グルカン誘導体を得やすくなる。
として、長鎖炭化水素基と短鎖炭化水素基を有する場合、Rが長鎖炭化水素基である−CORの置換度は、より高い主鎖間相互作用低減効果が得られる点から、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.3以上がさらに好ましく、0.4以上がよりさらに好ましい。また、Rが短鎖炭化水素基又はフェニル基である−CORの置換度は、残存水酸基量が充分に低減される点から、0.5以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、1.5以上がさらに好ましく、側鎖に充分な長鎖炭化水素基を備えられる点から、2.5以下が好ましく、2.2以下がより好ましい。
前記一般式(1)又は一般式(1a)で表されるβ−1,3−グルカン誘導体としては、1級水酸基に長鎖炭化水素基(特に、炭素数13以上の長鎖炭化水素基)が導入されていることが好ましい。1級水酸基に長鎖炭化水素基が充分に導入されていることにより、より高い熱可塑性が得られる。本発明に係るβ−1,3−グルカン誘導体としては、前記一般式(1)又は一般式(1a)中のグルコース単位当たりの−CHOCOR21(前記R21は、炭素数13以上の長鎖炭化水素基を表す。)の数が0.1以上であることが好ましい。また、β−1,3−グルカン誘導体中の全−CORのうち、1級水酸基に導入された−CORが50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
[β−1,3−グルカン誘導体の製造方法]
本発明に係るβ−1,3−グルカン誘導体は、例えば、β−1,3−グルコシド結合により構成されるグルカンを主鎖とする高分子中の水酸基の少なくとも一部を、脂肪酸又は芳香族カルボン酸でアシル化することにより製造することができる。原料となる高分子として、パラミロン等の側鎖を有さないβ−1,3−グルカンを用いることにより、前記一般式(1a)で表される高分子を製造することができる。側鎖を有するβ−1,3−グルカンを原料の高分子として用いてもよい。側鎖を有するβ−1,3−グルカンとしては、パキマン、レンチナン、カードラン等が挙げられる。
原料として用いる高分子は、合成品であってもよいが、環境負荷低減の点から、生物由来のものが好ましく、植物由来のものがより好ましい。中でも、β−1,3−グルカンの分離回収が容易であることから、細胞内でβ−1,3−グルカンを合成する微細藻類から分離したβ−1,3−グルカンを原料として用いることが好ましい。
前記微細藻類としては、ユーグレナ(ユーグレナ植物門に属する微細藻類)が好ましい。ユーグレナは、栽培が容易であり、成長サイクルも早いことに加えて、光合成産物としてパラミロン粒子を細胞内に大量に蓄積するためである。ユーグレナが合成・蓄積するパラミロンは、通常700〜800個のグルコースがβ−1,3結合してなるβ−1,3−グルカンである。
パラミロン等のβ−1,3−グルカンの微細藻類からの分離は、常法により行うことができる。また、パラミロン等のβ−1,3−グルカンは、水等の通常の溶媒には溶解し難いが、アルカリ水溶液、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ギ酸、DMSO−アミン系溶媒、ジメチルホルムアミド−クロラール−ピリジン系溶媒、ジメチルアセトアミド−リチウムクロライド系溶媒、イミダゾリウム系イオン液体などに溶解可能である。
アシル化には、下記一般式(2)(式(2)中、Rは、一般式(1)と同様である。)で表される脂肪酸を用いることができる。当該脂肪酸は、合成品であってもよいが、環境負荷低減の点から、生物由来のものが好ましく、植物由来のものがより好ましい。
Figure 0006029155
特に、ユーグレナから分離回収されたパラミロン中の水酸基の少なくとも一部を、ユーグレナが産生するワックスエステルの加水分解により得られた脂肪酸でアシル化することにより、植物原料の含有量の多い植物性プラスチック(β−1,3−グルカン誘導体)を製造することができる。
アシル化反応は、例えば、パラミロンを溶解させた溶液中で、塩化リチウム等のルイス酸やピリジン等の塩基の存在下、アシル化剤として前記脂肪酸の塩化物、無水物、又はビニル化合物を反応させることにより行う。反応温度、反応時間等の条件は、使用するアシル化剤の種類、所望の置換度等を考慮して適宜設定される。
脂肪酸の塩化物としては、例えば、酢酸クロリド、ブチル酸クロリド、ドデカン酸クロリド(ラウリン酸クロリド)、テトラデカン酸クロリド(ミリスチン酸クロリド)、ヘキサデカン酸クロリド(パルミチン酸クロリド)、オクタデカン酸クロリド(ステアリン酸クロリド)、ヘキサデセン酸クロリド、オクタデセン酸クロリド(オレイン酸クロリド)、オクタデカジエン酸クロリド(リノール酸クロリド)、オクタデカトリエン酸クロリド(リノレン酸クロリド)等が挙げられる。脂肪酸の無水物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ブチル酸等が挙げられる。脂肪酸のビニル化合物としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ドデカン酸ビニル(ラウリン酸ビニル)、テトラデカン酸ビニル(ミリスチン酸ビニル)、ヘキサデカン酸ビニル(パルミチン酸ビニル)、オクタデカン酸ビニル(ステアリン酸ビニル)、ヘキサデセン酸ビニル、オクタデセン酸ビニル(オレイン酸ビニル)、オクタデカジエン酸ビニル(リノール酸ビニル)、オクタデカトリエン酸ビニル(リノレン酸ビニル)等が挙げられる。
として、1種類又は2種類以上の長鎖炭化水素基と、1種類若しくは2種類以上の短鎖炭化水素基又はフェニル基を有しているβ−1,3−グルカン誘導体を合成する場合には、原料となるパラミロン等の高分子に対して、まず、水酸基の少なくとも一部を長鎖炭化水素基でアシル化した後、得られたβ−1,3−グルカン誘導体中に残存している水酸基の少なくとも一部を短鎖脂肪酸又は安息香酸でアシル化する方法により合成することが好ましい。高分子中の水酸基に対して、先に長鎖炭化水素基を導入することにより、充分な量の1級水酸基へ長鎖炭化水素基を導入しやすい。
として、長鎖炭化水素基のみを有しているβ−1,3−グルカン誘導体を合成する場合には、長鎖脂肪酸の塩化物と原料の高分子中のグルコースユニットの仕込み比([長鎖脂肪酸の塩化物(モル)]/[高分子中のグルコースユニット(モル)])が1.5〜4.0とすることが好ましく、2.0〜3.5とすることがより好ましく、2.5〜3.0とすることがさらに好ましい。当該仕込み比を前記範囲内にすることにより、熱可塑性を有するとともに、射出成形機等を用いた成形が可能な程度の適度な粘性を有するβ−1,3−グルカン誘導体を合成し易くなる。
また、一般式(1)中、nは1以上の整数である。nの数値は、本発明に係るβ−1,3−グルカン誘導体の大きさが熱可塑性を備えるに充分な大きさとなる数値範囲であれば特に限定されるものではない。本発明に係るβ−1,3−グルカン誘導体としては、質量平均分子量(Mw)が5.0×10〜1.0×10の範囲内であることが好ましく、10.0×10〜1.0×10の範囲内であることがより好ましく、15.0×10〜1.0×10の範囲内であることがさらに好ましい。
[成形体及びその製造方法]
本発明に係るβ−1,3−グルカン誘導体をはじめとする、前記β−1,3−グルカン誘導体の製造方法により製造されたβ−1,3−グルカン誘導体は、熱可塑性を有する高分子であり、他の熱可塑性樹脂と同様に、各種成形方法によって成形して成形体を製造することができる。成形方法は、キャスト法、射出成形法、圧縮法、インフレーション法等のような、熱可塑性樹脂の成形に通常使用されている方法の中から適宜選択して使用することができる。
天然のパラミロンの溶液からキャスト法によって成形体を製造する方法(特許文献1等に記載の方法)では、当該溶液中においてパラミロンは少なからず脱重合されるため、得られた成形体は機械的強度が低く、実用性に欠けるという問題がある。これに対して本発明に係るβ−1,3−グルカン誘導体では、アシル化に用いる脂肪酸の種類や組合せ、それぞれの置換度等を適宜調整することによって、機械的強度を過度に犠牲にすることなく、熱可塑性を向上させることができる。
また、アシル化セルロース等のセルロース誘導体は、熱可塑性は有するものの、溶融紡糸するためには比較的大量の可塑剤を必要とする。これに対して、本発明に係るβ−1,3−グルカン誘導体をはじめとする、前記β−1,3−グルカン誘導体の製造方法により製造されたβ−1,3−グルカン誘導体は、可塑剤を必要とせずとも、溶融紡糸することができるという優れた特性を備える。
β−1,3−グルカン誘導体のみから成形してもよいが、β−1,3−グルカン誘導体とその他の成分を含む組成物から成形してもよい。当該他の成分としては、フィラー、酸化防止剤、離形剤、着色剤、分散剤、難燃助剤、難燃剤等の樹脂組成物に一般的に添加される各種添加剤が挙げられる。その他、ポリビニルアルコール等の他の樹脂との混合組成物から成形体を製造することもできる。
以下、実施例で本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
生産性に優れた藻類Euglena gracilis由来の多糖類であるパラミロンを炭素数の異なる脂肪酸を用いてアシル化した各種パラミロン誘導体を製造し、諸物性を比較した。
(製造例1)ミリストイル基導入パラミロン(パラミロンをミリストイル化したパラミロン誘導体)の製造
500mLの三ツ口フラスコに、パラミロン(1.04g)、塩化リチウム(815mg)、及びN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)(50mL)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約1時間後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(0.9mL)を加え、続いてミリスチン酸クロリド(0.84mL)を溶かしたDMAc(50mL)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。4時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液にメタノール(200mL)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール(120mL)で3回洗浄し、吸引濾過で濾別後、減圧下で加熱乾燥(80℃、3時間)させることにより、目的物(ミリストイル基導入パラミロン、以下、「誘導体1(Myr)」)を得た。
Figure 0006029155
誘導体1(Myr)のFT−IR(フーリエ変換赤外分光法)の測定結果を以下に示す。
FT−IR(cm−1):3380(b),2914(s),2848(s),1720(s),1605(s)
(製造例2)ミリストイル基/アセチル基導入パラミロン(ミリストイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体)の製造
500mLナスフラスコに、製造例1で得た誘導体1(Myr)(1.21g)と塩化リチウム(687mg)、及びDMAc(150mL)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で1時間撹拌した。撹拌後、均一状態になった溶液の液温を70℃まで冷却させた後、当該溶液にピリジン(16.8mL)と無水酢酸(24mL)を加えて窒素雰囲気下で6時間、続いて室温で17時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応溶液に蒸留水(200mL)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過により白沈を得た。当該白沈を水(200mL)及びメタノール(100mL)で洗浄し、減圧下で加熱乾燥(80℃、終夜)させることにより、目的物(ミリストイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体2(Myr−Ac)」(1.39g)を得た。
Figure 0006029155
誘導体2(Myr−Ac)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(δ):4.95−4.70(m,2H),4.47−4.15(m,2H),4.13−3.87(br,1H),3.81−3.43(m,2H),2.06(t,J =24.3Hz),1.60−1.55(m),1.26(s),0.88(t,J=6.4)
FT−IR(cm−1):1735(s)
(製造例3)ミリストイル基導入パラミロンの製造
トリエチルアミンの添加量を1.3mLとし、ミリスチン酸クロリドの添加量を1.7mLとした以外は、製造例1と同様にして、目的物(ミリストイル基導入パラミロン、以下、「誘導体3(Myr)」)を得た。
誘導体3(Myr)のFT−IRの測定結果を以下に示す。
FT−IR(cm−1):3047(b),2919(s),2851(s),1735(s)
(製造例4)ミリストイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
誘導体1(Myr)に代えて製造例3で得た誘導体3(Myr)を用いた以外は、製造例2と同様にして、目的物(ミリストイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体4(Myr−Ac)」)(1.30g)を得た。
誘導体4(Myr−Ac)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(δ):5.03−4.65(m,2H),4.53−4.15(m,2H),4.13−3.90(br,1H),3.85−3.35(m,2H),2.12(s),2.06(s),2.00(s),1.73−1.68(m),1.26(s),0.88(t,J=6.9)
FT−IR(cm−1):1740(s)
(製造例5)ミリストイル基導入パラミロンの製造
トリエチルアミンの添加量を2.6mLとし、ミリスチン酸クロリドの添加量を3.3mLとした以外は、製造例1と同様にして、目的物(ミリストイル基導入パラミロン、以下、「誘導体5(Myr)」)を得た。
誘導体5(Myr)のFT−IRの測定結果を以下に示す。
FT−IR(cm−1):3416(b),2917(s),2850(s),1740(s)
(製造例6)ミリストイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
誘導体1(Myr)に代えて製造例5で得た誘導体5(Myr)を用いた以外は、製造例2と同様にして、目的物(ミリストイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体6(Myr−Ac)」)(1.43g)を得た。
誘導体6(Myr−Ac)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(δ):5.10−4.53(m,2H),4.52−4.12(m,2H),4.11−3.86(br,1H),3.84−3.23(m,2H),2.11(s),2.05(s),1.98(s),1.73−1.68(m),1.26(s),0.88(t,J=6.6)
FT−IR(cm−1):2914(s),2847(s),1740(s)
(製造例7)パルミトイル基導入パラミロンの製造
ミリスチン酸クロリドに代えてパルミチン酸クロリドを用い、かつパルミチン酸クロリド添加量を0.94mLとした以外は、製造例1と同様にして、目的物(パルミトイル基導入パラミロン、以下、「誘導体7(Pam)」)を得た。
誘導体7(Pam)のFT−IRの測定結果を以下に示す。
FT−IR(cm−1):3365(b),2918(s),2850(s),1732(s)
(製造例8)パルミトイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
誘導体1(Myr)に代えて製造例7で得た誘導体7(Pam)を用いた以外は、製造例2と同様にして、目的物(パルミトイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体8(Pam−Ac)」)(1.17g)を得た。
誘導体8(Pam−Ac)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(δ):4.94−4.73(m,2H),4.45−4.13(m,2H),4.08−3.87(br,1H),3.79−3.45(m,2H),2.12(s),2.06(s),2.00(s),1.60−1.55(m),1.26(s),0.88(t,J=6.9)
FT−IR(cm−1):1737(s)
(製造例9)パルミトイル基導入パラミロンの製造
ミリスチン酸クロリドに代えてパルミチン酸クロリドを用い、トリエチルアミンの添加量を1.3mLとし、パルミチン酸クロリド添加量を1.9mLとした以外は、製造例1と同様にして、目的物(パルミトイル基導入パラミロン、以下、「誘導体9(Pam)」)を得た。
誘導体9(Pam)のFT−IRの測定結果を以下に示す。
FT−IR(cm−1):3402(b),2917(s),2850(s),1720(s)
(製造例10)パルミトイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
誘導体1(Myr)に代えて製造例9で得た誘導体9(Pam)を用いた以外は、製造例2と同様にして、目的物(パルミトイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体10(Pam−Ac)」)(1.54g)を得た。
誘導体10(Pam−Ac)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(δ):5.05−4.51(m,2H),4.50−4.14(m,2H),4.13−3.90(br,1H),3.80−3.20(m,2H),2.12(s),2.06(s),2.00(s),1.61−1.58(m),1.26(s),0.88(t,J=6.9)
FT−IR(cm−1):2905(s),2845(s),1740(s)
(製造例11)パルミトイル基導入パラミロンの製造
ミリスチン酸クロリドに代えてパルミチン酸クロリドを用い、トリエチルアミンの添加量を2.6mLとし、パルミチン酸クロリド添加量を3.8mLとした以外は、製造例1と同様にして、目的物(パルミトイル基導入パラミロン、以下、「誘導体11(Pam)」)を得た。
誘導体11(Pam)のFT−IRの測定結果を以下に示す。
FT−IR(cm−1):3424(b),2918(s),2850(s),1728(s)
(製造例12)パルミトイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
誘導体1(Myr)に代えて製造例11で得た誘導体11(Pam)を用いた以外は、製造例2と同様にして、目的物(パルミトイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体12(Pam−Ac)」)(1.61g)を得た。
誘導体12(Pam−Ac)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(δ):5.18−4.57(m,2H),4.55−4.12(m,2H),4.11−3.87(br,1H),3.85−3.20(m,2H),2.12(s),2.00(s),1.99(s),1.77−1.73(m),1.26(s),0.88(t,J=6.6)
FT−IR(cm−1):2919(s),2848(s),1741(s)
(製造例13)ステアロイル基導入パラミロンの製造
ミリスチン酸クロリドに代えてステアリン酸クロリドを用い、かつステアリン酸クロリド添加量を1.1mLとした以外は、製造例1と同様にして、目的物(ステアロイル基導入パラミロン、以下、「誘導体13(Ste)」)を得た。
誘導体13(Ste)のFT−IRの測定結果を以下に示す。
FT−IR(cm−1):3330(b),2915(s),2848(s),1720(s)
(製造例14)ステアロイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
誘導体1(Myr)に代えて製造例13で得た誘導体13(Ste)を用いた以外は、製造例2と同様にして、目的物(ステアロイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体14(Ste−Ac)」)(1.71g)を得た。
誘導体14(Ste−Ac)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(δ):5.02−4.60(m,2H),4.49−4.13(m,2H),4.10−3.91(br,1H),3.83−3.25(m,2H),2.12(s),2.06(s),2.00(s),1.60−1.55(m),1.26(s),0.88(t,J=6.6)
FT−IR(cm−1):2913(s),2844(s),1739(s)
(製造例15)ステアロイル基導入パラミロンの製造
ミリスチン酸クロリドに代えてステアリン酸クロリドを用い、トリエチルアミンの添加量を1.3mLとし、ステアリン酸クロリド添加量を2.1mLとした以外は、製造例1と同様にして、目的物(ステアロイル基導入パラミロン、以下、「誘導体15(Ste)」)を得た。
誘導体15(Ste)のFT−IRの測定結果を以下に示す。
FT−IR(cm−1):3393(b),2914(s),2848(s),1719(s)
(製造例16)ステアロイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
誘導体1(Myr)に代えて製造例15で得た誘導体15(Ste)を用いた以外は、製造例2と同様にして、目的物(ステアロイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体16(Ste−Ac)」)(1.53g)を得た。
誘導体16(Ste−Ac)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(δ):5.02−4.68(m,2H),4.52−4.17(m,2H),4.11−3.91(br,1H),3.83−3.40(m,2H),2.12(s),2.06(s),2.00(s),1.65−1.53(m),1.26(s),0.88(t,J=6.9)
FT−IR(cm−1):2917(s),2851(s),1738(s)
(製造例17)ステアロイル基導入パラミロンの製造
ミリスチン酸クロリドに代えてステアリン酸クロリドを用い、トリエチルアミンの添加量を2.6mLとし、ステアリン酸クロリド添加量を4.2mLとした以外は、製造例1と同様にして、目的物(ステアロイル基導入パラミロン、以下、「誘導体17(Ste)」)を得た。
誘導体17(Ste)のFT−IRの測定結果を以下に示す。
FT−IR(cm−1):3396(b),2917(s),2849(s),1725(s)
(製造例18)ステアロイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
誘導体1(Myr)に代えて製造例17で得た誘導体17(Ste)を用いた以外は、製造例2と同様にして、目的物(ステアロイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体18(Ste−Ac)」)(1.63g)を得た。
誘導体18(Ste−Ac)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(δ):5.07−4.63(m,2H),4.52−4.15(m,2H),4.11−3.88(br,1H),3.83−3.35(m,2H),2.11(s),2.05(s),1.98(s),1.65−1.53(m),1.25(s),0.87(t,J=6.9)
FT−IR(cm−1):2918(s),2851(s),1742(s)
(DSC測定によるガラス転移点の測定)
製造例2、4、6、8、10、12、14、16及び18において合成した各誘導体について、以下の条件でDSC測定(示差走査熱量測定)を行い、ガラス転移点(Tg)を測定した。
使用機器:Thermo plus EVO II/DSC8230(リガク社製)、
昇温速度:10℃/分、
窒素フロー:100mL/分。
(万能試験機による力学的物性の測定)
製造例2、4、6、8、10,12、14、16、及び18において合成した各誘導体から作製したキャストフィルムの各力学的物性を、万能試験機を用いて測定した。
キャストフィルムは、約1gの誘導体を溶解したクロロホルム溶液をテフロン(登録商標)製バットに入れ、風乾することにより作製した。
得られたキャストフィルムをダンベル型に切り取り、万能試験機(装置名:テンシロンRTG−1225、エー・アンド・デイ社製)を用いて、破断点荷重(N)、弾性率(MPa)、及び破断点応力(MPa)の測定を行った。具体的には、50Nのロードセルを用いて、室温にてダンベル型フィルムを速度7mm/分で引っ張ることで破断点荷重、弾性率、及び破断点応力を測定した。一の誘導体に対して3回の独立した施行を行い、平均値とSDを求めた。
各誘導体の置換度、ガラス転移点(Tg)、破断点荷重、弾性率、及び破断点応力の結果を表1に示す。表1中の「置換度」の欄の上段は、各誘導体のミリストイル基、パルミトイル基、又はステアロイル基の置換度を示し、下段は、アセチル基の置換度を示す。なお、置換度は、H−NMRの積分値から算出した。
Figure 0006029155
導入したアシル基の種類にかかわらず、置換度が大きい誘導体ほど、破断点荷重、弾性率、及び破断点応力が小さくなる傾向にあった。また、同種のアシル基を置換した誘導体を比較すると、長鎖アシル基の置換度が小さい誘導体ほど、弾性率が大きく、機械的強度が高い傾向にあった。
なお、パラミロン自身は、熱可塑性がない。実際に、パラミロンを1N 水酸化ナトリウム水溶液に溶解した後にキャストして得られたフィルムは、脆くパリパリとしており、前記万能試験機による測定はできなかった。一方で、表1に示すように、誘導体2(Myr−Ac)等は、ガラス転移点があり、かつ弾性率も測定可能であったことから、熱可塑性を有することが明らかである。これらの結果から、パラミロン等のβ−1,3−グルカンを主鎖とする高分子中の水酸基の少なくとも一部をアシル化することによって、熱可塑性を有する誘導体が得られることが明らかである。
[実施例2]
Euglena gracilis由来のパラミロンを、炭素数の異なる脂肪酸を用いてアシル化した各種パラミロン誘導体を製造し、諸物性を、バイオプラスチックとして量産されているポリ乳酸とポリアミド11、及び耐久製品用の石油由来のABS樹脂と比較した。ポリ乳酸(PLA)(製品名:TE−4000) はUnitika Ltd.(日本)から、ポリアミド11(Poly 11-aminoundecanoic acid:PA11)(製品名:Rilson BMFO) はArkema Japan Ltd.(日本) から、ABS樹脂(製品名:GA−701)はNippon A&L Co.(日本)から得た。
(製造例19)ミリストイル基導入パラミロンの製造
白沈の洗浄をメタノールに代えてメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒を用いて行った以外は、実施例1の製造例1と同様にして、目的物(ミリストイル基導入パラミロン、以下、「誘導体19(Myr)」)を得た。
(製造例20)ミリストイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
誘導体1(Myr)に代えて製造例19で得た誘導体19(Myr)を用い、反応終了後、蒸留水(3000mL)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過によって得られた白沈を、水(1600mL)で1回撹拌洗浄した後、吸引濾過して得た白沈をメタノール(300mL)で1回洗浄し、未反応物が1質量%以下であることを確認した後に、当該白沈を70℃で1時間、さらに105℃で4時間加熱して乾燥させた以外は、製造例2と同様にして、目的物(ミリストイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体20(Myr−Ac)」)(11.3g)を得た。
(製造例21)パルミトイル基導入パラミロンの製造
ミリスチン酸クロリドに代えてパルミチン酸クロリドを用い、得られた白沈の洗浄をメタノールに代えてメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒を用いて行った以外は、実施例1の製造例1と同様にして、目的物(パルミトイル基導入パラミロン、以下、「誘導体21(Pam)」)を得た。
(製造例22)パルミトイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
誘導体1(Myr)に代えて製造例21で得た誘導体21(Pam)を用い、反応終了後、蒸留水(3000mL)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過によって得られた白沈を、水(1600mL)で1回撹拌洗浄した後、吸引濾過して得た白沈をメタノール(300mL)で1回洗浄し、未反応物が1質量%以下であることを確認した後に、当該白沈を70℃で1時間、さらに105℃で4時間加熱して乾燥させた以外は、製造例2と同様にして、目的物(パルミトイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体22(Pam−Ac)」)(10.9g)を得た。
(製造例23)ステアロイル基導入パラミロンの製造
ミリスチン酸クロリドに代えてステアリン酸クロリドを用い、得られた白沈の洗浄をメタノールに代えてメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒を用いて行った以外は、実施例1の製造例1と同様にして、目的物(ステアロイル基導入パラミロン、以下、「誘導体23(Ste)」)を得た。
(製造例24)ステアロイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
誘導体1(Myr)に代えて製造例23で得た誘導体23(Ste)を用い、反応終了後、蒸留水(3000mL)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過によって得られた白沈を、水(1600mL)で1回撹拌洗浄した後、吸引濾過して得た白沈をメタノール(300mL)で1回洗浄し、未反応物が1質量%以下であることを確認した後に、当該白沈を70℃で1時間、さらに105℃で4時間加熱して乾燥させた以外は、製造例2と同様にして、目的物(ステアロイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体24(Ste−Ac)」)(11.0g)を得た。
(置換度の算出)
各誘導体のH−NMRを測定し、積分値からミリストイル基、パルミトイル基、又はステアロイル基の置換度とアセチル基の置換度を算出した。
(数平均分子量の測定)
合成した各誘導体について、数平均分子量(M)(標準ポリスチレン換算)を、GPC法により、以下の条件で測定した。
GPC装置:LC−10AVP system(Shimadzu Co.、日本)、
使用カラム:Shim Pack GPC 80MC(Shimadzu Co.、日本)、
溶離液:クロロホルム、
流速:1.0mL/分、
標準試料:ポリスチレン(製品名:Shodex(登録商標)SM−105、昭和電工社製)。
(成形体)
合成した各誘導体及び市販の樹脂について、機械的特性や吸水率を測定するためのサンプル(成形体)を、射出成形機 (製品名:HAAKE Mini Jet II、Thermo Fisher Scientific Co.、ドイツ)を用い、210℃で成形した。ポリ乳酸は、成形後、結晶化処理のため、100℃で4時間加熱した。
(メルトフローレート(Melt Flow Rate)の測定)
熱可塑性の評価のため、各誘導体及び樹脂のメルトフローレート(MFR)を測定した。具体的には、キャピラリーカラム(製品名:CFT−500D、Shimadzu Co.、日本)を用い、200℃、荷重500kgf/cmで加熱した時の10分間で流下した樹脂量を測定した。サンプルは、測定前に、105℃で5時間加熱し乾燥させた。
(示差走査熱量測定)
示差熱分析計(製品名:DSC 6200/EXSTAR6000、Seiko Instrument Inc.、日本)を使用し、最初に−100〜230℃まで10℃/分で昇温し、230℃で3分間保持した後、冷却した。その後、同じ条件で昇温した時の熱量を測定し、この変曲点からガラス転移温度(Tg)を求めた。
(熱重量分析)
熱重量分析計(製品名:S2 EXSTAR 6000、Seiko Instrument Inc.、日本)を使用し、25℃から500℃まで窒素気流中で10℃/分で昇温した時の重量減量率を測定した。
(耐水性)
曲げ試験片を使い、105℃で2時間乾燥後、室温で24時間純水に浸漬した時の重量増加率を測定して吸水率を求めた。
(曲げ特性)
ASTM D790に準拠して、曲げ測定装置 (製品名:INSTRON 5567、Instron Co.、アメリカ合衆国)を用いて、最大強度、弾性率、及び破断伸びを測定した。試験片は、厚みが2.4mm、長さが40mm、幅が12.4mmとした。
(衝撃性)
JISK7110に準拠して、衝撃強度測定装置 (製品名:Universal Impact Tester C1、Toyo Seiki CO.、日本)を用いて、アイゾット衝撃強度を測定した。試験片は、厚みがノッチ付きで2.4mm、長さが80mm、幅が12.4mmとした。
各誘導体等の置換度、数平均分子量(M)、耐熱性(Tg)、耐熱分解性(5%減量温度)、熱可塑性(MFR)、耐水性(吸水率)、曲げ特性、及び耐衝撃性の結果を表2及び3に示す。表2中の「置換度」の欄の上段は、各誘導体のミリストイル基、パルミトイル基、又はステアロイル基の置換度を示し、下段は、アセチル基の置換度を示す。
Figure 0006029155
Figure 0006029155
誘導体20(Myr−Ac)、誘導体22(Pam−Ac)及び誘導体24(Ste−Ac)は、いずれも、可塑剤(TEC)を添加したアセチルセルロース(CDA)や、従来のバイオプラスチック(PLA、PA11)、及び耐久製品用の石油原料系のABS樹脂等と同様に優れた熱可塑性を示した。また、耐熱性(Tg)は、従来のバイオプラスチックやABS樹脂等よりも優れており、耐熱分解性(5%重量減少温度)は、従来のバイオプラスチックよりはやや低かったものの、充分であった。耐水性(吸水率)については、従来のプラスチックよりは低かったものの、可塑剤添加アセチルセルロースより優れていた。これに対して、機械的特性のうち、曲げ強度、弾性率、耐衝撃性は、いずれも従来のバイオプラスチック等よりも低かった。
[実施例3]
Euglena gracilis由来のパラミロンを、炭素数の異なる脂肪酸を用いてアシル化した各種パラミロン誘導体を製造し、諸物性を調べた。
(製造例25)ミリストイル基導入パラミロンの製造(仕込み比:[ミリスチン酸クロリド]/[グルコースユニット]=0.5)
2Lの三ツ口フラスコに、パラミロン(10.0g)、塩化リチウム(8.0g)、及びDMAc(0.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約1時間後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(7.8mL)を加え、続いてミリスチン酸クロリド(8.4mL)を溶かしたDMAc(0.5L)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液にメタノール(2.0L)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(900mL)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(70℃、2時間)させることにより、目的物(ミリストイル基導入パラミロン、以下、「誘導体T1(Myr)」)を得た。
(製造例26)ミリストイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
2Lナスフラスコに、製造例25で得た誘導体T1(Myr)(12.5g)と塩化リチウム(6.6g)、及びDMAc(1.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で1時間撹拌した。撹拌後、均一状態になった溶液の液温を70℃まで冷却させた後、当該溶液にピリジン(168mL)と無水酢酸(240mL)を加えて窒素雰囲気下で6時間、続いて室温で17時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応溶液に蒸留水(3.0L)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過により白沈を得た。当該白沈を水(1.6L)及びメタノール(0.3L)で洗浄し、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(80℃(1時間)、次いで105℃(4時間))させることにより、目的物(ミリストイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体T2(Myr−Ac)」)(15.1g)を得た。
誘導体T2(Myr−Ac)のH−NMR、13C−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ4.99−4.75(m),4.47−4.20(m),4.08−3.96(m),3.79−3.57(m),2.37−2.21(m),2.12(s),2.06(s),2.00(s),1.57(m),1.26(s),0.88(t,J=6.9).
13C−NMR(CDCl):δ173.4,170.5,169.0,168.8,100.7,78.4,72.7,71.8,68.1,62.0,33.9,31.9,29.6,29.5,29.3,29.2,29.1,24.6,22.6,20.8,20.7,20.4,14.1.
FT−IR(cm−1):2875,2807,1740,1365,1212,1033,886.
(製造例27)ミリストイル基導入パラミロンの製造(仕込み比:[ミリスチン酸クロリド]/[グルコースユニット]=1.0)
2Lの三ツ口フラスコに、パラミロン(10.2g)、塩化リチウム(7.9g)、及びDMAc(0.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約1時間後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(12.9mL)を加え、続いてミリスチン酸クロリド(15.2mL)を溶かしたDMAc(0.5L)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液にメタノール(2.0L)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(300mL)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(80℃、2時間)させることにより、目的物(ミリストイル基導入パラミロン、以下、「誘導体T3(Myr)」)を得た。
(製造例28)ミリストイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
2Lナスフラスコに、製造例27で得た誘導体T3(Myr)(12.4g)と塩化リチウム(6.8g)、及びDMAc(1.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で1時間撹拌した。撹拌後、均一状態になった溶液の液温を70℃まで冷却させた後、当該溶液にピリジン(168mL)と無水酢酸(240mL)を加えて窒素雰囲気下で6時間、続いて室温で21時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応溶液に蒸留水(3.0L)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過により白沈を得た。当該白沈を水(1.6L)及びメタノール(0.3L)で洗浄し、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(70℃(0.5時間)、105℃(4時間))させることにより、目的物(ミリストイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体T4(Myr−Ac)」)(12.5g)を得た。
誘導体T4(Myr−Ac)のH−NMR、13C−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ4.99−4.75(m),4.47−4.20(m),4.08−3.96(m),3.79−3.57(m),2.37−2.21(m),2.11(s),2.07(s),1.99(s),1.58(m),1.25(s),0.87(t,J= 6.9).
13C−NMR(CDCl):δ173.4,170.5,169.0,168.8,100.7,78.4,72.7,71.8,68.1,62.0,33.9,31.9,29.6,29.5,29.3,29.2,29.1,24.6,22.6,20.9,20.7,20.5,14.1.
FT−IR(cm−1):2918,2849,1740,1364,1210,1029,888.
(製造例29)ミリストイル基導入パラミロンの製造(仕込み比:[ミリスチン酸クロリド]/[グルコースユニット]=0.5)
2Lの三ツ口フラスコに、パラミロン(10.0g)、塩化リチウム(7.9g)、及びDMAc(0.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約1時間後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(43.0mL)を加え、続いてミリスチン酸クロリド(8.4mL)を溶かしたDMAc(0.1L)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液にメタノール(1.2L)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(900mL)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(80℃、2時間)させることにより、目的物(ミリストイル基導入パラミロン、以下、「誘導体TX1(Myr)」)を得た。
(製造例30)ミリストイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
2Lナスフラスコに、製造例29で得た誘導体TX1(Myr)(13.6g)と塩化リチウム(6.5g)、及びDMAc(1.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で1時間撹拌した。撹拌後、均一状態になった溶液の液温を70℃まで冷却させた後、当該溶液にピリジン(168mL)と無水酢酸(240mL)を加えて窒素雰囲気下で6時間、続いて室温で21時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応溶液に蒸留水(3.0L)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過により白沈を得た。当該白沈を水(1.6L)及びメタノール(0.3L)で洗浄し、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(70℃(0.5時間)、次いで105℃(4時間))させることにより、目的物(ミリストイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体TX2(Myr−Ac)」)(14.8g)を得た。
誘導体TX2(Myr−Ac)のH−NMR、13C−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 4.99−4.75(m),4.45−4.22(m),4.08−3.95(m),3.79−3.55(m),2.41−2.18(m),2.12 (s),2.06(s),1.99 (s),1.75−1.52(m),1.26(s),0.88(t,J=6.9).
13C−NMR(CDCl):δ 173.5,170.6,169.2,100.6,78.3,72.5,71.8,68.0,61.9,33.8,31.8,29.6,29.4,29.3,29.1,24.6,22.6,20.9,20.6,20.4,14.1.
FT−IR(cm−1):2924,2861,1749,1371,1210,1031,8900.
(製造例31)ミリストイル基導入パラミロンの製造(仕込み比:[ミリスチン酸クロリド]/[グルコースユニット]=0.25)
10Lの三ツ口フラスコに、パラミロン(10.0g)、塩化リチウム(7.9g)、及びDMAc(0.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約1時間後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(4.3mL)を加え、続いてミリスチン酸クロリド(4.2mL)を溶かしたDMAc(0.5L)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液に蒸留水(2.0L)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(900mL)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(80℃、2時間)させることにより、目的物(ミリストイル基導入パラミロン、以下、「誘導体TX3(Myr)」)を得た。
(製造例32)ミリストイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
10Lナスフラスコに、製造例31で得た誘導体TX3(Myr)(10.0g)と塩化リチウム(6.5g)、及びDMAc(1.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で1時間撹拌した。撹拌後、均一状態になった溶液の液温を70℃まで冷却させた後、当該溶液にピリジン(168mL)と無水酢酸(240mL)を加えて窒素雰囲気下で6時間、続いて室温で16時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応溶液に蒸留水(3.0L)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過により白沈を得た。当該白沈を水(1.6L)及びメタノール(0.3L)で洗浄し、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(70℃(0.5時間)、次いで105℃(4時間))させることにより、目的物(ミリストイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体TX4(Myr−Ac)」)(14.8g)を得た。
誘導体TX4(Myr−Ac)のH−NMR、13C−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 5.01−4.72(m),4.53−4.21(m),4.14−3.92(m),3.85−3.51(m),2.37−2.18(m),2.12(s),2.06(s),2.00(s),1.62−1.55(m),1.26(s),0.88(t,J=6.9).
13C−NMR(CDCl):δ 173.5,170.6,169.1,168.9,100.6,78.4,72.6,71.7,67.9,61.9,34.0,31.8,29.6,29.4,29.3,29.1,24.6,22.6,20.8,20.6,20.4,14.0.
FT−IR(cm−1):2913,2864,1742,1365,1218,1034,895.
(製造例33)パルミトイル基導入パラミロンの製造(仕込み比:[パルミチン酸クロリド]/[グルコースユニット]=0.5)
10Lの三ツ口フラスコに、パラミロン(10.0g)、塩化リチウム(8.1g)、及びDMAc(0.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約1時間後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(9.5mL)を加え、続いてパルミチン酸クロリド(9.4mL)を溶かしたDMAc(0.5L)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液にメタノール(2.0L)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(900mL)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(80℃、2時間)させることにより、目的物(パルミトイル基導入パラミロン、以下、「誘導体T5(Pam)」)を得た。
(製造例34)パルミトイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
10Lナスフラスコに、製造例33で得た誘導体T5(Pam)(13.2g)と塩化リチウム(6.8g)、及びDMAc(1.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で1時間撹拌した。撹拌後、均一状態になった溶液の液温を70℃まで冷却させた後、当該溶液にピリジン(168mL)と無水酢酸(240mL)を加えて窒素雰囲気下で3時間、続いて室温で21時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応溶液に蒸留水(3.0L)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過により白沈を得た。当該白沈を水(1.6L)及びメタノール(0.3L)で洗浄し、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(70℃(1時間)、105℃(4時間))させることにより、目的物(パルミトイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体T6(Pam−Ac)」)(14.7g)を得た。
誘導体T6(Pam−Ac)のH−NMR、13C−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 4.99−4.75(m),4.47−4.20(m),4.08−3.96(m),3.79−3.57(m),2.37−2.21(m),2.11(s),2.06(s),2.00(s),1.56(m),1.26(s),0.88(t,J=6.9).
13C−NMR(CDCl):δ173.4,170.5,169.0,100.7,78.4,72.7,71.8,68.1,62.0,33.9,31.9,29.7,29.5,29.3,29.1,24.6,22.6,20.9,20.7,20.4,14.1.
FT−IR(cm−1):2911,2846,1741,1365,1213,1032,887.
(製造例35)パルミトイル基導入パラミロンの製造(仕込み比:[パルミチン酸クロリド]/[グルコースユニット]=1.0)
10Lの三ツ口フラスコに、パラミロン(10.2g)、塩化リチウム(7.9g)、及びDMAc(0.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約1時間後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(12.9mL)を加え、続いてパルミチン酸クロリド(18.7mL)を溶かしたDMAc(0.5L)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液にメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(3.0L)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(400mL)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(80℃、2時間)させることにより、目的物(パルミトイル基導入パラミロン、以下、「誘導体T7(Pam)」)を得た。
(製造例36)パルミトイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
10Lナスフラスコに、製造例35で得た誘導体T7(Pam)(11.0g)と塩化リチウム(6.6g)、及びDMAc(1.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で1時間撹拌した。撹拌後、均一状態になった溶液の液温を70℃まで冷却させた後、当該溶液にピリジン(168mL)と無水酢酸(240mL)を加えて窒素雰囲気下で8時間、続いて室温で14時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応溶液に蒸留水(3.0L)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過により白沈を得た。当該白沈を水(0.8L)及びメタノール(0.15L)で洗浄し、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(70℃(1時間)、次いで105℃(5時間))させることにより、目的物(パルミトイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体T8(Pam−Ac)」)(13.5g)を得た。
誘導体T8(Pam−Ac)のH−NMR、13C−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 4.99−4.75(m),4.47−4.20(m),4.08−3.96(m),3.79−3.57(m),2.37−2.21(m),2.11(s),2.05(s),1.98(s),1.58(m),1.25(s),0.87(t,J=6.9).
13C−NMR(CDCl):δ 173.4,170.5,169.0,168.8,100.7,78.4,72.7,71.8,68.2,62.0,33.9,31.9,29.7,29.5,29.3,29.2,29.1,24.7,22.7,20.8,20.7,20.5,20.4,14.1.
FT−IR(cm−1):2914,2849,1747,1363,1213,1032,890.
(製造例37)ステアロイル基導入パラミロンの製造(仕込み比:[ステアリン酸クロリド]/[グルコースユニット]=0.5)
10Lの三ツ口フラスコに、パラミロン(10.2g)、塩化リチウム(7.9g)、及びDMAc(0.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約1時間後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(9.5mL)を加え、続いてステアリン酸クロリド(10.4mL)を溶かしたDMAc(0.5L)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液にメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(1.8L)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(600mL)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(80℃(4時間)、105℃(4時間))させることにより、目的物(ステアロイル基導入パラミロン、以下、「誘導体T9(Ste)」)を得た。
(製造例38)ステアロイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
10Lナスフラスコに、製造例37で得た誘導体T9(Ste)(29.8g)と塩化リチウム(6.6g)、及びDMAc(1.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で1時間撹拌した。撹拌後、均一状態になった溶液の液温を70℃まで冷却させた後、当該溶液にピリジン(168mL)と無水酢酸(240mL)を加えて窒素雰囲気下で8時間、続いて室温で14時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応溶液に蒸留水(3.0L)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過により白沈を得た。当該白沈を水(1.6L)及びメタノール(0.3L)で洗浄し、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(70℃(2時間)、次いで105℃(4時間))させることにより、目的物(ステアロイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体T10(Ste−Ac)」)(17.5g)を得た。
誘導体T10(Ste−Ac)のH−NMR、13C−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ4.99−4.75(m),4.47−4.20(m),4.08−3.96(m),3.79−3.57(m),2.37−2.21(m),2.12(s),2.06(s),2.00(s),1.55(m),1.26(s),0.88(t,J=6.9).
13C−NMR(CDCl):δ 173.4,170.5,169.0,100.7,78.4,72.6,71.8,68.1, 62.1,33.9,31.9,29.7, 29.5,29.3,29.1,24.6,22.6,20.8,20.7,20.4,14.1.
FT−IR(cm−1):2920,2847,1740,1365,1212,1031,889.
(製造例39)ステアロイル基導入パラミロンの製造(仕込み比:[ステアリン酸クロリド]/[グルコースユニット]=1.0)
10Lの三ツ口フラスコに、パラミロン(10.4g)、塩化リチウム(7.9g)、及びDMAc(0.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約1時間後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(12.9mL)を加え、続いてステアリン酸クロリド(20.8mL)を溶かしたDMAc(0.5L)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液にメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(1.8L)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(900mL)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(80℃、4時間)させることにより、目的物(ステアロイル基導入パラミロン、以下、「誘導体T11(Ste)」)を得た。
(製造例40)ステアロイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
10Lナスフラスコに、製造例39で得た誘導体T11(Ste)(12.3g)と塩化リチウム(6.8g)、及びDMAc(1.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で1時間撹拌した。撹拌後、均一状態になった溶液の液温を70℃まで冷却させた後、当該溶液にピリジン(168mL)と無水酢酸(240mL)を加えて窒素雰囲気下で6時間、続いて室温で19時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応溶液に蒸留水(3.0L)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過により白沈を得た。当該白沈を水(1.6L)及びメタノール(0.3L)で洗浄し、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(70℃(2時間)、次いで105℃(4時間))させることにより、目的物(ステアロイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体T12(Ste−Ac)」)(11.2g)を得た。
誘導体T12(Ste−Ac)のH−NMR、13C−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ4.99−4.75(m),4.47−4.20(m),4.08−3.96(m),3.79−3.57(m),2.37−2.21(m),2.12 (s), 2.08(s),2.00(s),1.58(m),1.25(s),0.87(t,J=6.9).
13C−NMR(CDCl):δ 173.4,170.6,169.1,100.7,78.5,72.7,71.8,68.2,62.0,33.9 31.9,29.7, 29.5,29.4,29.2,24.7,22.7,20.9,20.7, 20.5, 14.1.
FT−IR(cm−1):2920,2849,1740,1366,1209,1030,890.
(製造例41)ステアロイル基導入パラミロンの製造(仕込み比:[ステアリン酸クロリド]/[グルコースユニット]=0.25)
10Lの三ツ口フラスコに、パラミロン(10.0g)、塩化リチウム(7.9g)、及びDMAc(0.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約1時間後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(21.5mL)を加え、続いてステアリン酸クロリド(5.2mL)を溶かしたDMAc(0.5L)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液にメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(1.8L)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(900mL)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(80℃、4時間)させることにより、目的物(ステアロイル基導入パラミロン、以下、「誘導体TX5(Ste)」)を得た。
(製造例42)ステアロイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
10Lナスフラスコに、製造例41で得た誘導体TX5(Ste)(9.5g)と塩化リチウム(6.5g)、及びDMAc(1.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で1時間撹拌した。撹拌後、均一状態になった溶液の液温を70℃まで冷却させた後、当該溶液にピリジン(168mL)と無水酢酸(240mL)を加えて窒素雰囲気下で6時間、続いて室温で19時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応溶液に蒸留水(3.0L)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過により白沈を得た。当該白沈を水(1.6L)及びメタノール(0.3L)で洗浄し、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(70℃(2時間)、次いで105℃(4時間))させることにより、目的物(ステアロイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体TX6(Ste−Ac)」)(12.3g)を得た。
誘導体TX6(Ste−Ac)のH−NMR、13C−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ4.98−4.73(m),4.44−4.23(m),4.07−3.95(m),3.79−3.55(m),2.34−2.16(m),2.11(s),2.05(s),1.99(s),1.62−1.53(m),1.24(s),0.87(t,J=6.9).
13C−NMR(CDCl):δ 173.4,170.5,169.1,168.5,100.7,78.4,72.6,71.7,68.1,62.0,33.9,31.9,29.7,29.6,29.5,29.3,29.1,24.6,22.6,20.8,20.7,20.4,14.1.
FT−IR(cm−1):2922,2857,1739,1374,1216,1032,889.
(製造例43)デカノイル基導入パラミロンの製造(仕込み比:[デカリン酸クロリド]/[グルコースユニット]=0.5)
1Lの三ツ口フラスコに、パラミロン(3.0g)、塩化リチウム(2.4g)、及びDMAc(150mL)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約30分後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(12.9mL)を加え、続いてデカリン酸クロリド(1.9mL)を溶かしたDMAc(150mL)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液にメタノール(0.6L)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(270mL)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(90℃、4時間)させることにより、目的物(デカノイル基導入パラミロン、以下、「誘導体T13(Dec)」)を得た。
(製造例44)デカノイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
1Lナスフラスコに、製造例43で得た誘導体T13(Dec)(3.0g)と塩化リチウム(2.0g)、及びDMAc(450mL)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で30分撹拌した。撹拌後、均一状態になった溶液の液温を70℃まで冷却させた後、当該溶液にピリジン(50mL)と無水酢酸(72mL)を加えて窒素雰囲気下で5時間、続いて室温で17時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応溶液にメタノール(450mL)及び蒸留水(450mL)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過により白沈を得た。当該白沈を蒸留水(480mL)及びメタノール(480mL)で洗浄し、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(90℃(4時間))させることにより、目的物(デカノイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体T14(Dec−Ac)」)(3.6g)を得た。
誘導体T14(Dec−Ac)のH−NMR、13C−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ4.98−4.73(m),4.44−4.23(m),4.07−3.95(m),3.79−3.55(m),2.34−2.16(m),2.11(s),2.05(s),1.99(s),1.62−1.53(m),1.24(s),0.87(t,J=6.9).
13C−NMR(CDCl):δ 173.4,170.5,169.1,168.5,100.7,78.4,72.6,71.7,68.1,62.0,33.9,31.9, 29.7,29.6,29.5,29.3,29.1,24.6, 22.6, 20.8,20.7,20.4,14.1.
FT−IR(cm−1):2935,2845,1747,1374,1214,1030,889.
(製造例45)デカノイル基導入パラミロンの製造(仕込み比:[デカリン酸クロリド]/[グルコースユニット]=0.5)
1Lの三ツ口フラスコに、パラミロン(3.0g)、塩化リチウム(2.4g)、及びDMAc(150mL)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約30分後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(12.9mL)を加え、続いてデカリン酸クロリド(1.9mL)を溶かしたDMAc(150mL)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液にメタノール(0.3L)及び蒸留水(0.1L)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(270mL)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(90℃、4時間)させることにより、目的物(デカノイル基導入パラミロン、以下、「誘導体T15(Dec)」)を得た。
(製造例46)デカノイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
1Lナスフラスコに、製造例45で得た誘導体T15(Dec)(4.1g)と塩化リチウム(2.0g)、及びDMAc(450mL)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で30分撹拌した。撹拌後、均一状態になった溶液の液温を70℃まで冷却させた後、当該溶液にピリジン(50mL)と無水酢酸(72mL)を加えて窒素雰囲気下で5時間、続いて室温で17時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応溶液にメタノール(450mL)及び蒸留水(400mL)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過により白沈を得た。当該白沈をメタノール(500mL)で洗浄し、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(90℃(4時間))させることにより、目的物(デカノイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体T16(Dec−Ac)」)(5.8g)を得た。
誘導体T16(Dec−Ac)のH−NMR、13C−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ4.97−4.71(m),4.45−4.19(m),4.08−3.93(m),3.82−3.51(m),2.38−2.18(m),2.11(s),2.05(s),1.99(s),1.62−1.54(m),1.25(s),0.87(t,J=6.9).
13C−NMR(CDCl):δ 173.4,170.5,169.1,168.9,100.7,78.3,72.6,71.7,68.1,61.9,33.9,31.8, 29.5,29.4,29.2,29.1,24.6,22.6,20.9, 20.7,20.4,14.1.
FT−IR(cm−1):2937,2859,1732,1372,1214,1030,889.
(製造例47)ウンデカノイル基導入パラミロンの製造(仕込み比:[ウンデカリン酸クロリド]/[グルコースユニット]=0.5)
10Lの三ツ口フラスコに、パラミロン(3.0g)、塩化リチウム(2.4g)、及びDMAc(150mL)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約30分後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(13.0mL)を加え、続いてウンデカリン酸クロリド(2.0mL)を溶かしたDMAc(150mL)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液にメタノール(0.6L)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(270mL)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(90℃、4時間)させることにより、目的物(ウンデカノイル基導入パラミロン、以下、「誘導体T17(Und)」)を得た。
(製造例48)ウンデカノイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
10Lナスフラスコに、製造例47で得た誘導体T17(Und)(3.8g)と塩化リチウム(2.0g)、及びDMAc(450mL)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で30分撹拌した。撹拌後、均一状態になった溶液の液温を70℃まで冷却させた後、当該溶液にピリジン(50mL)と無水酢酸(72mL)を加えて窒素雰囲気下で5時間、続いて室温で17時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応溶液にメタノール(500mL)及び蒸留水(500mL)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過により白沈を得た。当該白沈を水(480mL)及びメタノール(0.1L)で洗浄し、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(90℃(4時間))させることにより、目的物(ウンデカノイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体T18(Und−Ac)」(4.9g)を得た。
誘導体T18(Und−Ac)のH−NMR、13C−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 4.99−4.73(m),4.45−4.23(m),4.07−3.95(m),3.79−3.51(m),2.34−2.19(m),2.11(s),2.05(s),1.99(s),1.62−1.53(m),1.25(s),0.87(t,J=6.9).
13C−NMR(CDCl):δ 173.4,170.5,169.1,168.7,100.7,78.4,72.2,71.8,68.1,62.1,33.9,31.9,29.5,29.4,29.3,29.1,24.6,22.6,20.9,20.7,20.4,14.1.
FT−IR(cm−1):2932,2856,1740,1368,1212,1030,889.
(製造例49)ラウロイル基導入パラミロンの製造(仕込み比:[ラウリン酸クロリド]/[グルコースユニット]=0.25)
2Lの三ツ口フラスコに、パラミロン(11.0g)、塩化リチウム(8.6g)、及びDMAc(0.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約1時間後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(4.7mL)を加え、続いてラウリン酸クロリド(4.0mL)を溶かしたDMAc(0.5L)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液に水(2.0L)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(900mL)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(90℃、4時間)させることにより、目的物(ラウロイル基導入パラミロン、以下、「誘導体T19(Lau)」)を得た。
(製造例50)ラウロイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
2Lナスフラスコに、製造例49で得た誘導体T19(Lau)(9.5g)と塩化リチウム(6.5g)、及びDMAc(1.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で1時間撹拌した。撹拌後、均一状態になった溶液の液温を70℃まで冷却させた後、当該溶液にピリジン(168mL)と無水酢酸(240mL)を加えて窒素雰囲気下で6時間、続いて室温で16時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応溶液に蒸留水(3.0L)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過により白沈を得た。当該白沈を水(1.6L)及びメタノール(0.3L)で洗浄し、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(90℃(4時間))させることにより、目的物(ラウロイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体T20(Lau−Ac)」)(13.6g)を得た。
誘導体T20(Lau−Ac)のH−NMR、13C−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 4.98−4.73(m),4.44−4.23(m),4.07−3.95(m),3.79−3.55(m),2.34−2.16(m),2.11(s), 2.05(s),1.99(s),1.62−1.53(m),1.24(s),0.87(t,J=6.9)
13C−NMR(CDCl):δ 173.4,170.5,169.1,168.5,100.7,78.4,72.6,71.7,68.1,62.0,33.9,31.9,29.7,29.6, 29.5,29.3,29.1,24.6,22.6,20.8,20.7,20.4,14.1.
FT−IR(cm−1):2932,2862,1740,1374,1207,1032,889.
(製造例51)ラウロイル基導入パラミロンの製造(仕込み比:[ラウリン酸クロリド]/[グルコースユニット]=0.5)
2Lの三ツ口フラスコに、パラミロン(10.0g)、塩化リチウム(7.8g)、及びDMAc(0.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約30分後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(8.6mL)を加え、続いてラウリン酸クロリド(7.4mL)を溶かしたDMAc(0.5L)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液にメタノール(2.0L)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(900mL)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(90℃、2時間)させることにより、目的物(ラウロイル基導入パラミロン、以下、「誘導体T21(Lau)」)を得た。
(製造例52)ラウロイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
2Lナスフラスコに、製造例51で得た誘導体T21(Lau)(11.0g)と塩化リチウム(6.5g)、及びDMAc(1.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で1時間撹拌した。撹拌後、均一状態になった溶液の液温を70℃まで冷却させた後、当該溶液にピリジン(168mL)と無水酢酸(240mL)を加えて窒素雰囲気下で6時間、続いて室温で15時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応溶液に蒸留水(3.0L)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過により白沈を得た。当該白沈を水(1.6L)及びメタノール(0.3L)で洗浄し、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(90℃(4時間))させることにより、目的物(ラウロイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体T22(Lau−Ac)」)(15.1g)を得た。
誘導体T22(Lau−Ac)のH−NMR、13C−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 4.98−4.73(m),4.44−4.23(m),4.07−3.95(m),3.79−3.55(m),2.34−2.16(m),2.11(s),2.05(s),1.99(s),1.62−1.53(m),1.24(s),0.87(t,J=6.9).
13C−NMR(CDCl):δ 173.4,170.5,169.1,168.5,100.7,78.4,72.6,71.7,68.1,62.0,33.9,31.9,29.7,29.6,29.5,29.3,29.1,24.6,22.6,20.8,20.7,20.4,14.1.
FT−IR(cm−1):2933,2861,1739,1374,1213,1031,895.
(製造例53)トリデカノイル基導入パラミロンの製造(仕込み比:[トリデカン酸クロリド]/[グルコースユニット]=0.25)
まず、50mLナスフラスコにトリデカン酸(2.0g)、クロロホルム(10.0mL)及び塩化オキサリル(1.3mL)を入れ、窒素雰囲気下で室温にて撹拌を行った。3時間後、窒素を吹き付けて余剰のクロロホルム及び塩化オキサリルを除いた。得られたトリデカン酸クロリドをDMAc(10.0mL)に溶かして、トリデカン酸クロリドのDMAc溶液を調製した。
次いで、2Lの三ツ口フラスコに、パラミロン(3.0g)、塩化リチウム(2.4g)、及びDMAc(150mL)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約30分後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(6.4mL)を加え、続いて上記で調製したトリデカン酸クロリドのDMAc溶液(6.0mL)をDMAc(150mL)で希釈し、これを滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液にメタノール(300mL)及び蒸留水(100mL)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(270mL)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(90℃、2時間)させることにより、目的物(トリデカノイル基導入パラミロン、以下、「誘導体T23(Tri)」)を得た。
(製造例54)トリデカノイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
10Lナスフラスコに、製造例53で得た誘導体T23(Tri)(4.1g)と塩化リチウム(2.0g)、及びDMAc(450mL)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で30分間撹拌した。撹拌後、均一状態になった溶液の液温を70℃まで冷却させた後、当該溶液にピリジン(50mL)と無水酢酸(72mL)を加えて窒素雰囲気下で6時間、続いて室温で17時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応溶液にメタノール(450mL)及び蒸留水(450mL)を加えて白沈を生じさせ、遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。当該白沈をメタノール(500mL)で洗浄し、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(90℃(4時間))させることにより、目的物(トリデカノイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体T24(Tri−Ac)」)(5.5g)を得た。
誘導体T24(Tri−Ac)のH−NMR、13C−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 4.99−4.73(m),4.47−4.21(m),4.07−3.95(m),3.79−3.55(m),2.34−2.16(m),2.11(s),2.06(s),2.00(s),1.68−1.55(m),1.26 (s),0.88(t,J=6.9)
13C−NMR(CDCl):δ 173.4,170.5,169.1,168.9,100.6,78.5,72.6,71.7,68.0,62.0,33.9,31.9, 29.6,29.5,29.4,29.3,29.2,29.1,24.6,22.6,20.8,20.7,20.4,14.1.
FT−IR(cm−1):2922,2853,1748,1366,1210,1030,889.
(製造例55)ステアロイル基導入パラミロンの製造(仕込み比:[ステアリン酸クロリド]/[グルコースユニット]=0.1)
2Lの三ツ口フラスコに、パラミロン(10.0g)、塩化リチウム(7.8g)、及びDMAc(0.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約30分後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(8.6mL)を加え、続いてステアリン酸クロリド(2.1mL)を溶かしたDMAc(0.5L)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液にメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(1.8L)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(900mL)で洗浄し、遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(90℃、2時間)させることにより、目的物(ステアロイル基導入パラミロン、以下、「誘導体T25(Ste)」)を得た。
(製造例56)ステアロイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
2Lナスフラスコに、製造例55で得た誘導体T25(Ste)(11.0g)と塩化リチウム(6.5g)、及びDMAc(1.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で1時間撹拌した。撹拌後、均一状態になった溶液の液温を70℃まで冷却させた後、当該溶液にピリジン(168mL)と無水酢酸(240mL)を加えて窒素雰囲気下で6時間、続いて室温で15時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応溶液に蒸留水(3.0L)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過により白沈を得た。当該白沈を水(1.6L)及びメタノール(0.9L)で洗浄し、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(90℃(4時間))させることにより、目的物(ステアロイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体T26(Ste−Ac)」)(15.7g)を得た。
誘導体T26(Ste−Ac)のH−NMR、13C−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 5.05−4.65(m),4.47−4.1(m), 4.07−3.91(m),3.78−3.47(m),2.25−2.17(m),2.10(s),2.04(s),1.98(s),1.57−1.52(m),1.24(s),0.86(t,J=6.9).
13C−NMR(CDCl):δ 173.3,170.5,169.1,168.9,100.6,78.4,72.6,71.7,68.0,62.0,31.9,29.7,29.6,29.3,24.6,22.6,21.5,20.8,20.7,20.4,14.1.
FT−IR(cm−1):2941,2872,1748,1366,1207,1029,888.
(製造例57)ラウロイル基導入パラミロンの製造(仕込み比:[ラウリン酸クロリド]/[グルコースユニット]=1.0)
2Lの三ツ口フラスコに、パラミロン(10.0g)、塩化リチウム(7.8g)、及びDMAc(0.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約30分後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(17.0mL)を加え、続いてラウリン酸クロリド(14.8mL)を溶かしたDMAc(0.5L)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液に蒸留水(2.0L)を加えて白沈を生じさせた。吸引濾過によって濾別し、白沈を得た。この白沈をメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(900mL)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(90℃、2時間)させることにより、目的物(ラウロイル基導入パラミロン、以下、「誘導体T27(Lau)」)を得た。
(製造例58)ラウロイル基/アセチル基導入パラミロンの製造
2Lナスフラスコに、製造例57で得た誘導体T27(Lau)(12.0g)と塩化リチウム(6.5g)、及びDMAc(1.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で1時間撹拌した。撹拌後、均一状態になった溶液の液温を70℃まで冷却させた後、当該溶液にピリジン(168mL)と無水酢酸(240mL)を加えて窒素雰囲気下で8時間、続いて室温で15時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応溶液に蒸留水(3.0L)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過により白沈を得た。当該白沈を水(1.6L)及びメタノール(0.5L)で洗浄し、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(90℃(4時間))させることにより、目的物(ラウロイル基導入パラミロンをアセチル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体T28(Lau−Ac)」)(16.7g)を得た。
誘導体T28(Lau−Ac)のH−NMR、13C−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 5.03−4.62(m),4.48−4.1(m),4.08−3.87(m),3.73−3.47(m),2.36−2.15(m),2.11(s),2.05(s),1.99(s),1.81−1.68(m),1.25(s),0.87(t,J=6.9).
13C−NMR(CDCl):δ 173.4,170.5,169.1,100.7,78.4,72.6,71.7,68.1,62.0,33.9,31.9,29.6,29.5,29.3,29.2,29.1,24.6,22.7,21.5,20.9,20.7,20.4,14.1.
FT−IR(cm−1):2928,2858,1747,1369,1218,1031,888.
各誘導体等の置換度、数平均分子量(MN)、耐熱性(Tg)、耐熱分解性(5%減量温度)、熱可塑性(MFR)、及び耐水性(吸水率)を測定した。数平均分子量(MN)以外は、実施例2と同様の方法で測定した。
(質量平均分子量の測定)
合成した各誘導体について、質量平均分子量(Mw)を、GPC法により、以下の条件で測定した。
GPC装置: 1100 HPLCシステム(Agilent社製)+MINIDAWN+QELS+OptilabreX(Wyatt社製)、
使用カラム:KD−805+K−802(昭和電工社製)、
溶離液:クロロホルム、
流速:1.0mL/分。
測定した結果を表4及び5に示す。表4中の「長鎖炭化水素基の置換度」の欄のうち、「合計」は、高分子全体における長鎖炭化水素基の置換度を、「C2の置換度」はグルコースユニットの第2位の炭素原子の水酸基の置換度を、[C6]はグルコースユニットの第6位の炭素原子の水酸基の置換度を、それぞれ示す。また、「短鎖炭化水素基の置換度」の欄のうち、「合計」は、高分子全体における短鎖炭化水素基の置換度を、「C2+C4の置換度」はグルコースユニットの第2位及び第4位の炭素原子の水酸基の置換度の和を、[C6]はグルコースユニットの第6位の炭素原子の水酸基の置換度を、それぞれ示す。また、表中、「−」は測定していないことを示す。
Figure 0006029155
Figure 0006029155
表6に、置換度が0.15程度の誘導体について、導入した長鎖炭化水素基の炭素数(表中、「炭素数」)ごとに、MFR値をまとめた。同様に、表7に、置換度が0.3程度の誘導体について、導入した長鎖炭化水素基の炭素数ごとに、MFR値をまとめた。この結果、MFR値は、導入した直鎖状の炭化水素基の炭素数が11〜12付近では低くなり、炭素数13以上では高くなる傾向が観察された。この結果は、炭素数11、12付近で、パラミロン誘導体の分子集合様式が劇的に変化することを示唆している。
Figure 0006029155
Figure 0006029155
(溶融紡糸)
誘導体T2(Myr−Ac)、誘導体T4(Myr−Ac)、誘導体T6(Pam−Ac)、誘導体T8(Pam−Ac)」、誘導体T10(Ste−Ac)、誘導体T12(Ste−Ac)、誘導体T14(Dec−Ac)、誘導体T16(Dec−Ac)、誘導体T22(Lau−Ac)、誘導体T24(Tri−Ac)及び誘導体T28(Lau−Ac)について、溶融紡糸を試みた。
具体的には、まず、合成した各誘導体約1.0gを、市販の溶融押出紡糸装置(溶融押出装置、製品名:IMC−1149、(株)井元製作所製)の加熱炉に投入した。続いて、加熱炉及び造糸ダイ温度を200〜250℃に設定し、押出速度0.2mm/秒で押し出しを行い、市販の巻取装置(巻取装置(標準A)、製品名:IMC−1128−A、(株)井元製作所製)により巻き取ることによって紡糸を行った。
この結果、全ての誘導体において、可塑剤なしで溶融紡糸できた。
[実施例4]
Euglena gracilis由来のパラミロンに長鎖炭化水素基とプロピル基又はフェニル基を導入した各種パラミロン誘導体を製造し、熱可塑性を調べた。
(製造例59)ミリストイル基導入パラミロンの製造(仕込み比:[ミリスチン酸クロリド]/[グルコースユニット]=0.5)
2Lの三ツ口フラスコに、パラミロン(10.0g)、塩化リチウム(7.8g)、及びDMAc(0.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約1時間後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(43mL)を加え、続いてミリスチン酸クロリド(8.4mL)を溶かしたDMAc(0.5L)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液にメタノール(2.0L)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール/クロロホルム(2/1)混合溶媒(900mL)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(70℃、2時間)させることにより、目的物(ミリストイル基導入パラミロン、以下、「誘導体U1(Myr)」)(11.7g)を得た。
(製造例60)ミリストイル基/ベンゾイル基導入パラミロンの製造
2Lの三ツ口フラスコに、製造例59で得た誘導体U1(Myr)(11.0g)、塩化リチウム(6.2g)、及びDMAc(0.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約1時間後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、DMAc(1.0L)、ピリジン(160mL)、塩化ベンゾイル(56.7mL)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液にメタノール(1.0L)、蒸留水(1.0L)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール(1.6L)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(90℃、4時間)させることにより、目的物(ミリストイル基導入パラミロンをベンゾイル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体U2(Myr−Bz)」)(18.3g)を得た。
誘導体U2(Myr−Bz)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 8.07−7.67(m),7.58−7.04(m),5.44−3.14(m),2.41−1.96(m),1.66−1.52(m),1.24(s),0.87(s).
FT−IR(cm−1):2918,2847,1723,1449,1369,1264,1213,1174,1078,1058,1024,891,709.
(製造例61)ラウロイル基導入パラミロンの製造(仕込み比:[ラウリン酸クロリド]/[グルコースユニット]=0.5)
2Lの三ツ口フラスコに、パラミロン(10.0g)、塩化リチウム(7.8g)、及びDMAc(0.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約1時間後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(43mL)を加え、続いてラウリン酸クロリド(7.3mL)を溶かしたDMAc(0.5L)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液に蒸留水(2.0L)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール(400mL)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(70℃、2時間)させることにより、目的物(ミリストイル基導入パラミロン、以下、「誘導体U3(Lau)」)(11.7g)を得た。
(製造例62)ラウロイル基/ベンゾイル基導入パラミロンの製造
2Lの三ツ口フラスコに、製造例61で得た誘導体U3(Lau)(1.0g)、塩化リチウム(593mg)、及びDMAc(50mL)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約1時間後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、DMAc(100mL)、ピリジン(15mL)、塩化ベンゾイル(5.4mL)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液にメタノール(300mL)、蒸留水(300mL)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール(160mL)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(90℃、4時間)させることにより、目的物(ラウロイル基導入パラミロンをベンゾイル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体U4(Lau−Bz)」)(1.5g)を得た。
誘導体U4(Lau−Bz)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 8.19−7.72(m),7.67−7.01(m),5.32−3.12(m),2.44−2.11(m),1.67−1.46(m),1.24(s),0.87(s).
FT−IR(cm−1):29123,2855,1719,1451,1372,1267,1175,1090,1067,1025,709.
(製造例63)ミリストイル基導入パラミロンの製造(仕込み比:[ミリスチン酸クロリド]/[グルコースユニット]=0.5)
2Lの三ツ口フラスコに、パラミロン(10.0g)、塩化リチウム(7.8g)、及びDMAc(0.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約1時間後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(8.6mL)を加え、続いてミリスチン酸クロリド(8.4mL)を溶かしたDMAc(0.5L)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液にメタノール(2.0L)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(900mL)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(70℃、2時間)させることにより、目的物(ミリストイル基導入パラミロン、以下、「誘導体U5(Myr)」)(10.0g)を得た。
(製造例64)ミリストイル基/プロパノイル基導入パラミロンの製造
2Lナスフラスコに、製造例63で得た誘導体U5(Myr)(9.8g)と塩化リチウム(6.5g)、及びDMAc(1.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で1時間撹拌した。撹拌後、均一状態になった溶液の液温を70℃まで冷却させた後、当該溶液にピリジン(168mL)と無水プロピオン酸(360mL)を加えて窒素雰囲気下で7時間、続いて室温で15時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応溶液に蒸留水(3.0L)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過により白沈を得た。当該白沈を水(1.6L)及びメタノール(0.3L)で洗浄し、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(90℃(4時間))させることにより、目的物(ミリストイル基導入パラミロンをプロパノイル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体U6(Myr−Pr)」)(10.7g)を得た。
誘導体U6(Myr−Pr)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 5.11−3.16(m),2.62−2.45(m),2.39−2.16(m),1.77−1.47(m),1.24(s),1.18−0.96(br),0.86(t,J=6.8).
FT−IR(cm−1):3484,2976,2923,2853,1739,1461,1419,1363,1271,1160,1055,871,806,563.
(製造例65)ステアロイル基導入パラミロンの製造(仕込み比:[ステアリン酸クロリド]/[グルコースユニット]=0.5)
2Lの三ツ口フラスコに、パラミロン(10.0g)、塩化リチウム(7.8g)、及びDMAc(0.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約1時間後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(43mL)を加え、続いてステアリン酸クロリド(10.4mL)を溶かしたDMAc(0.5L)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液にメタノール/クロロホルム(2/1)混合溶媒(1.8L)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール/クロロホルム(2/1)混合溶媒(900mL)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(70℃、2時間)させることにより、目的物(ステアロイル基導入パラミロン、以下、「誘導体U7(Ste)」)(14.2g)を得た。
(製造例66)ステアロイル基/プロパノイル基導入パラミロンの製造
2Lナスフラスコに、製造例65で得た誘導体U7(Ste)(14.2g)と塩化リチウム(6.5g)、及びDMAc(1.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で1時間撹拌した。撹拌後、均一状態になった溶液の液温を70℃まで冷却させた後、当該溶液にピリジン(168mL)と無水プロピオン酸(360mL)を加えて窒素雰囲気下で7時間、続いて室温で15時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応溶液に蒸留水(3.0L)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過により白沈を得た。当該白沈を水(1.6L)及びメタノール(0.3L)で洗浄し、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(90℃(4時間))させることにより、目的物(ミリストイル基導入パラミロンをプロパノイル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体U8(Ste−Pr)」(15.5g)を得た。
誘導体U8(Ste−Pr)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 5.13−3.08(m),2.61−2.42(m),2.39−2.13(m),1.87−1.64(m),1.23(s),1.20−0.96(br),0.86(t,J=6.9).
FT−IR(cm−1):2977,2915,2848,1739,1461,1418,1361,1270,1160,1057,869,805,561.
(製造例67)ラウロイル基導入パラミロンの製造(仕込み比:[ラウリン酸クロリド]/[グルコースユニット]=0.5)
2Lの三ツ口フラスコに、パラミロン(10.0g)、塩化リチウム(7.9g)、及びDMAc(0.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で撹拌を行った。撹拌開始から約1時間後には、当該三ツ口フラスコ内の溶液は透明になった。この透明になった溶液の温度を室温に戻した後、トリエチルアミン(43mL)を加え、続いてラウリン酸クロリド(7.3mL)を溶かしたDMAc(0.5L)を滴下して加えた後に、当該溶液を120℃に加熱しながら窒素雰囲気下で撹拌し反応させた。3時間後、当該三ツ口フラスコ内の反応溶液に蒸留水(2.0L)を加えて白沈を生じさせた。遠心分離処理によって当該反応溶液から上澄みを除き、白沈を得た。この白沈をメタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(900mL)で洗浄し、吸引濾過で濾別後、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(70℃、2時間)させることにより、目的物(ステアロイル基導入パラミロン、以下、「誘導体U9(Lau)」)(11.6g)を得た。
(製造例68)ラウロイル基/プロパノイル基導入パラミロンの製造
2Lナスフラスコに、製造例67で得た誘導体U9(Lau)(11.6g)と塩化リチウム(6.5g)、及びDMAc(1.5L)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で1時間撹拌した。撹拌後、均一状態になった溶液の液温を70℃まで冷却させた後、当該溶液にピリジン(168mL)と無水プロピオン酸(360mL)を加えて窒素雰囲気下で7時間、続いて室温で15時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応溶液に蒸留水(3.0L)を加えて白沈を生じさせ、吸引濾過により白沈を得た。当該白沈を水(1.6L)及びメタノール(0.3L)で洗浄し、終夜で風乾、さらに減圧下で加熱乾燥(90℃(4時間))させることにより、目的物(ミリストイル基導入パラミロンをプロパノイル化したパラミロン誘導体、以下、「誘導体U10(Lau−Pr)」(12.7g)を得た。
誘導体U10(Lau−Pr)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 5.21−3.05(m),2.66−2.42(m),2.39−2.15(m),1.77−1.61(m),1.24(s),1.20−0.96(br),0.86(t,J=6.6).
FT−IR(cm−1):3484,2975,2923,2852,1739,1458,1418,1363,1268,1162,1053,871,805,561.
各誘導体等の置換度を実施例2と同様の方法で測定した。また、各誘導体の質量平均分子量(Mw)を実施例3と同様の方法で測定した。測定結果を表8に示す。表8の「置換度」欄中、「−」は、未測定を示す。
(ホットプレートによる熱可塑性試験)
各誘導体をホットプレート上に設置し、室温から徐々に温度を上昇させ、熱可塑性を示す温度(熱可塑性発現温度(℃))を調べた。測定結果を、製造時の仕込み比([長鎖脂肪酸クロリド]/[グルコースユニット])と共に表8に示す。この結果、全ての誘導体において、200℃以上で熱可塑性を示した。
Figure 0006029155
[実施例5]
Euglena gracilis由来のパラミロンに長鎖炭化水素基のみを導入した各種パラミロン誘導体を製造し、熱可塑性を調べた。
(製造例69)パラミロン2−エチルヘキサノエートの製造(仕込み比:[2−エチルヘキサン酸クロリド]/[グルコースユニット]=3.0)
50mLナスフラスコに、パラミロン(199.5mg)とピリジン(20.0mL)を入れ、窒素雰囲気下、110℃で1時間撹拌した。続いて2−エチルヘキサン酸クロリド(528μL)を加えて窒素雰囲気下で撹拌した。3時間の撹拌の後、反応溶液にメタノール(200mL)を加えて白沈を生じさせた。白沈を遠心分離で集め、メタノール(35mL×2回)で洗浄した後に風乾することにより、目的物(2−エチルヘキサノイル基導入パラミロン、以下、「誘導体S1(2E−Hex)」)(275mg)を得た。
誘導体S1(2E−Hex)のFT−IRの測定結果を以下に示す。
FT−IR(cm−1):2914,2854,1730,1456,1161,1034,1033.
(製造例70)パラミロン2−エチルヘキサノエートの製造(仕込み比:[2−エチルヘキサン酸クロリド]/[グルコースユニット]=2.5)
50mLナスフラスコに、パラミロン(202mg)とピリジン(20.0mL)を入れ、窒素雰囲気下、110℃で1時間撹拌した。続いて2−エチルヘキサン酸クロリド(635μL)を加えて窒素雰囲気下で撹拌した。3時間の撹拌の後、反応溶液にメタノール(160mL)を加えて白沈を生じさせた。白沈を遠心分離で集め、メタノール(35mL×2回)で洗浄した後に風乾することにより、目的物(2−エチルヘキサノイル基導入パラミロン、以下、「誘導体S2(2E−Hex)」)(309mg)を得た。
誘導体S2(2E−Hex)のFT−IRの測定結果を以下に示す。
FT−IR(cm−1):2920,2857,1731,1455,1361,1162,1047,1031.
(製造例71)パラミロンオクタノエートの製造(仕込み比:[オクタン酸クロリド]/[グルコースユニット]=2.5)
50mLナスフラスコに、パラミロン(101mg)とピリジン(10.0mL)を入れ、窒素雰囲気下、110℃で1時間撹拌した。続いてオクタン酸クロリド(264μL)を加えて窒素雰囲気下で撹拌した。3時間の撹拌の後、反応溶液にメタノール(120mL)を加えて白沈を生じさせた。白沈を遠心分離で集め、メタノール(30mL×2回)で洗浄した後に風乾することにより、目的物(オクタノイル基導入パラミロン、以下、「誘導体S3(Oct)」)(233mg)を得た。
誘導体S3(Oct)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 5.16−3.15(m),2.48−2.15(m),1.77−1.49(m),1.28(s),0.88(s).
FT−IR(cm−1):2919,2852,1739,1455,1361,1150,1041,1040.
(製造例72)パラミロンオクタノエートの製造(仕込み比:[オクタン酸クロリド]/[グルコースユニット]=3.0)
50mLナスフラスコに、パラミロン(99mg)とピリジン(10.0mL)を入れ、窒素雰囲気下、110℃で1時間撹拌した。続いてオクタン酸クロリド(317μL)を加えて窒素雰囲気下で撹拌した。3時間の撹拌の後、反応溶液にメタノール(120mL)を加えて白沈を生じさせた。白沈を遠心分離で集め、メタノール(30mL×2回)で洗浄した後に風乾することにより、目的物(オクタノイル基導入パラミロン、以下、「誘導体S4(Oct)」)(250mg)を得た。
誘導体S4(Oct)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 5.13−3.00(m),2.38−2.14(m),1.65−1.48(m),1.27(s),0.88(s).
FT−IR(cm−1):2923,2854,1743,1149,1047.
(製造例73)パラミロンデカノエートの製造(仕込み比:[デカン酸クロリド]/[グルコースユニット]=2.5)
50mLナスフラスコに、パラミロン(99mg)とピリジン(10.0mL)を入れ、窒素雰囲気下、110℃で1時間撹拌した。続いてデカン酸クロリド(316μL)を加えて窒素雰囲気下で撹拌した。3時間の撹拌の後、反応溶液にメタノール(20mL)を加えて白沈を生じさせた。白沈を遠心分離で集め、メタノール(30mL×2回)で洗浄した後に風乾することにより、目的物(オクタノイル基導入パラミロン、以下、「誘導体S5(Dec)」)(251mg)を得た。
誘導体S5(Dec)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 5.18−3.14(m),2.54−2.12(m),1.75−1.47(m),1.26(s),0.88(t,J=6.3).
FT−IR(cm−1):2920,2851,1739,1455,1360,1147,1042.
(製造例74)パラミロンデカノエートの製造(仕込み比:[デカン酸クロリド]/[グルコースユニット]=3.0)
50mLナスフラスコに、パラミロン(103mg)とピリジン(10.0mL)を入れ、窒素雰囲気下、110℃で1時間撹拌した。続いてデカン酸クロリド(380μL)を加えて窒素雰囲気下で撹拌した。3時間の撹拌の後、反応溶液にメタノール(20mL)を加えて白沈を生じさせた。白沈を遠心分離で集め、メタノール(30mL×2回)で洗浄した後に風乾することにより、目的物(オクタノイル基導入パラミロン、以下、「誘導体S6(Dec)」)(260mg)を得た。
誘導体S6(Dec)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 5.14−3.15(m),2.43−2.1(m),1.72−1.48(m),1.26(s),0.88(t,J=6.1).
FT−IR(cm−1):2918,2850,1739,1146,1040.
(製造例75)パラミロンラウレートの製造(仕込み比:[ラウリン酸クロリド]/[グルコースユニット]=2.5)
50mLナスフラスコに、パラミロン(101mg)とピリジン(10.0mL)を入れ、窒素雰囲気下、110℃で1時間撹拌した。続いてラウリン酸クロリド(367μL)を加えて窒素雰囲気下で撹拌した。3時間の撹拌の後、反応溶液にメタノール(20mL)を加えて白沈を生じさせた。白沈を遠心分離で集め、メタノール(30mL×2回)で洗浄した後に風乾することにより、目的物(ラウリン基導入パラミロン、以下、「誘導体S7(Lau)」)(306mg)を得た。
誘導体S7(Lau)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 5.21−3.12(m),2.59−2.12(m),1.81−1.46(m),1.26(s),0.88(t,J=6.3).
FT−IR(cm−1):2918,2849,1740,1455,1360,1145,1045.
(製造例76)パラミロンラウレートの製造(仕込み比:[ラウリン酸クロリド]/[グルコースユニット]=3.0)
50mLナスフラスコに、パラミロン(102mg)とピリジン(10.0mL)を入れ、窒素雰囲気下、110℃で1時間撹拌した。続いてラウリン酸クロリド(440μL)を加えて窒素雰囲気下で撹拌した。3時間の撹拌の後、反応溶液にメタノール(20mL)を加えて白沈を生じさせた。白沈を遠心分離で集め、メタノール(30mL×2回)で洗浄した後に風乾することにより、目的物(ラウリン基導入パラミロン、以下、「誘導体S8(Lau)」)(336mg)を得た。
誘導体S8(Lau)のFT−IRの測定結果を以下に示す。
FT−IR(cm−1):2918,2850,1742,1455,1142,1042.
(製造例77)パラミロンミリステートの製造(仕込み比:[ミリスチン酸クロリド]/[グルコースユニット]=2.0)
50mLナスフラスコに、パラミロン(103mg)とDMAc(5.0mL)、LiCl(88mg)を入れ、窒素雰囲気下、110℃で1時間撹拌した。反応溶液を40℃に冷却後、トリエチルアミン(258μL)とDMAc/ミリスチン酸クロリド(2.5mL/335μL)を加えて再び加熱し(110℃)、窒素雰囲気下で撹拌した。3時間の撹拌の後、反応溶液にメタノール(20mL)を加えて白沈を生じさせた。白沈を遠心分離で集め、メタノール(30mL×4回)で洗浄した後に風乾することにより、目的物(ミリストイル基導入パラミロン、以下、「誘導体S9(Myr)」)(232mg)を得た。
誘導体S9(Myr)のFT−IRの測定結果を以下に示す。
FT−IR(cm−1):3362,2915,2848,1717,1435,1357,1107,1069,1028.
(製造例78)パラミロンミリステートの製造(仕込み比:[ミリスチン酸クロリド]/[グルコースユニット]=2.4)
50mLナスフラスコに、パラミロン(50mg)とピリジン(5.0mL)を入れ、窒素雰囲気下、110℃で1時間撹拌した。続いてミリスチン酸クロリド(200μL)を加えて窒素雰囲気下で撹拌した。3時間の撹拌の後、反応溶液にメタノール(20mL)を加えて白沈を生じさせた。白沈を遠心分離で集め、メタノール(30mL×2回)で洗浄した後に風乾することにより、目的物(ミリストイル基導入パラミロン、以下、「誘導体S10(Myr)」)(174mg)を得た。
誘導体S10(Myr)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 5.23−3.09(m),2.42−2.16(m),1.55−1.51(m),1.25(s),0.88(t,J=6.6).
FT−IR(cm−1):3335,2918,2850,1739,1626,1455,1355,1151,1076.
(製造例79)パラミロンミリステートの製造(仕込み比:[ミリスチン酸クロリド]/[グルコースユニット]=2.6)
50mLナスフラスコに、パラミロン(50mg)とピリジン(5.0mL)を入れ、窒素雰囲気下、110℃で1時間撹拌した。続いてミリスチン酸クロリド(220μL)を加えて窒素雰囲気下で撹拌した。3時間の撹拌の後、反応溶液にメタノール(20mL)を加えて白沈を生じさせた。白沈を遠心分離で集め、メタノール(30mL×2回)で洗浄した後に風乾することにより、目的物(ミリストイル基導入パラミロン、以下、「誘導体S11(Myr)」)(122mg)を得た。
誘導体S11(Myr)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 5.13−3.11(m),2.45−2.17(m),1.73−1.48(m),1.26(s),0.88(t,J=6.5).
FT−IR(cm−1):2920,2851,1743,1459,1377,1162,1082.
(製造例80)パラミロンミリステートの製造(仕込み比:[ミリスチン酸クロリド]/[グルコースユニット]=3.0)
50mLナスフラスコに、パラミロン(101mg)とDMAc(5.0mL)、LiCl(85mg)を入れ、窒素雰囲気下、110℃で1時間撹拌した。反応溶液を40℃に冷却後、トリエチルアミン(388μL)とDMAc/ミリスチン酸クロリド(2.5mL/503μL)を加えて再び加熱し(110℃)、窒素雰囲気下で撹拌した。3時間の撹拌の後、反応溶液にメタノール(20mL)を加えて白沈を生じさせた。白沈を遠心分離で集め、メタノール(35mL×3回)で洗浄した後に風乾することにより、目的物(ミリストイル基導入パラミロン、以下、「誘導体S12(Myr)」)(82mg)を得た。
誘導体S12(Myr)のFT−IRの測定結果を以下に示す。
FT−IR(cm−1):2919,2851,1743,1465,1371,1159,1075.
(製造例81)パラミロンパルミテートの製造(仕込み比:[パルミチン酸クロリド]/[グルコースユニット]=2.6)
50mLナスフラスコに、パラミロン(50mg)とピリジン(5.0mL)を入れ、窒素雰囲気下、110℃で1時間撹拌した。続いてパルミチン酸クロリド(242μL)を加えて窒素雰囲気下で撹拌した。3時間の撹拌の後、反応溶液にメタノール(20mL)を加えて白沈を生じさせた。白沈を遠心分離で集め、メタノール(35mL×2回)で洗浄した後に風乾することにより目的物(パルミチン基導入パラミロン、以下、「誘導体S14(Pal)」)(190mg)を得た。
誘導体S14(Pal)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 5.13−3.09(m),2.47−2.18(m),1.67−1.49(m),1.26(s),0.88(t,J=6.7).
FT−IR(cm−1):2921,2853,1744,1465,1372,1161,1084.
(製造例82)パラミロンパルミテートの製造(仕込み比:[パルミチン酸クロリド]/[グルコースユニット]=2.6)
1Lナスフラスコにパラミロン(3.02g)とピリジン(300mL)を入れ、窒素雰囲気下、110℃で1時間撹拌した。続いてパルミチン酸クロリド(14.5mL)を加えて窒素雰囲気下で撹拌した。3時間の撹拌の後、反応溶液にメタノール(1200mL)を加えて白沈を生じさせた。白沈を遠心分離で集め、クロロホルム/メタノール(2/1,300mL)で洗浄した後に風乾することで目的物(パルミチン基導入パラミロン、以下、「誘導体S15(Pal)」)(10.66g)を得た。
誘導体S15(Pal)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 5.16−3.17(m),2.50−2.16(m),1.77−1.50(m),1.26(s),0.88(t,J=6.6).
FT−IR(cm−1):2929,2854,1748,1540,1507,1456,1372,1210,1033.
(製造例83)パラミロンパルミテートの製造(仕込み比:[パルミチン酸クロリド]/[グルコースユニット]=3.0)
50mLナスフラスコに、パラミロン(98mg)とDMAc(5.0mL)、LiCl(98mg)を入れ、窒素雰囲気下、110℃で1時間撹拌した。反応溶液を40℃に冷却後、トリエチルアミン(388μL)とDMAc/パルミチン酸クロリド(2.5mL/561μL)を加えて再び加熱し(110℃)、窒素雰囲気下で撹拌した。3時間の撹拌の後、反応溶液にメタノール(20mL)を加えて白沈を生じさせた。白沈を遠心分離で集め、メタノール(30mL×3回)で洗浄した後に風乾することにより目的物(パルミトイル基導入パラミロン、以下、「誘導体S16(Pal)」)(381mg)を得た。
誘導体S16(Pal)のFT−IRの測定結果を以下に示す。
FT−IR(cm−1):2917,2850,1742,1577,1464,1371,1161,1077.
(製造例84)パラミロンステアレートの製造(仕込み比:[ステアリン酸クロリド]/[グルコースユニット]=2.5)
50mLナスフラスコに、パラミロン(50mg)とピリジン(5.0mL)を入れ、窒素雰囲気下、110℃で1時間撹拌した。続いてステアリン酸クロリド(260μL)を加えて窒素雰囲気下で撹拌した。3時間の撹拌の後、反応溶液にメタノール(20mL)を加えて白沈を生じさせた。白沈を遠心分離で集め、メタノール、メタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(30mL×2回)で洗浄した後に風乾することにより目的物(ステアロイル基導入パラミロン、以下、「誘導体S17(Ste)」)(150mg)を得た。
誘導体S17(Ste)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 5.12−3.08(m),2.42−2.12(m),1.67−1.51(m),1.26(s),0.88(t,J=6.9)
FT−IR(cm−1):2918,2851,1745,1458,1163,1082.
(製造例85)パラミロンステアレートの製造(仕込み比:[ステアリン酸クロリド]/[グルコースユニット]=3.0)
50mLナスフラスコに、パラミロン(49mg)とピリジン(5.0mL)を入れ、窒素雰囲気下、110℃で1時間撹拌した。続いてステアリン酸クロリド(312μL)を加えて窒素雰囲気下で撹拌した。3時間の撹拌の後、反応溶液にメタノール(20mL)を加えて白沈を生じさせた。白沈を遠心分離で集め、メタノール(30mL)、メタノール・クロロホルム(2/1)混合溶媒(30mL×2回)で洗浄した後に風乾することにより、目的物(ステアロイル基導入パラミロン、以下、「誘導体S18(Ste)」)(190mg)を得た。
誘導体S18(Ste)のH−NMR及びFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl):δ 5.18−3.11(m),2.44−2.05(m),1.67−1.49(m),1.26(s),0.88(t,J=6.9).
FT−IR(cm−1):2918,2850,1748,1465,1373,1161,1056.
(製造例86)パラミロンラウレートの製造(仕込み比:[ラウリン酸クロリド]/[グルコースユニット]=4.0)
50mLナスフラスコに、パラミロン(51mg)とピリジン(5.0mL)を入れ、窒素雰囲気下、110℃で1時間撹拌した。続いてラウリン酸クロリド(293μL)を加えて窒素雰囲気下で撹拌した。3時間の撹拌の後、反応溶液にメタノール(20mL)を加えて白沈を生じさせた。白沈を遠心分離で集め、メタノール(30mL×3回)で洗浄した後に風乾することにより、目的物(ラウロイル基導入パラミロン、以下、「誘導体S19(Lau)」)(108mg)を得た。
誘導体S19(Lau)のFT−IRの測定結果を以下に示す。
FT−IR(cm−1):3467,2920,2850,1748,1468,1363,1310,1161,1080.
(製造例87)パラミロンパルミテートの製造(仕込み比:[パルミチン酸クロリド]/[グルコースユニット]=2.0)
50mLナスフラスコに、パラミロン(102mg)とDMAc(5.0mL)、LiCl(87mg)を入れ、窒素雰囲気下、110℃で1時間撹拌した。反応溶液を40℃に冷却後、トリエチルアミン(258μL)とDMAc/ミリスチン酸クロリド(2.5mL/374μL)を加えて再び加熱し(110℃)、窒素雰囲気下で撹拌した。3時間の撹拌の後、反応溶液にメタノール(20mL)を加えて白沈を生じさせた。白沈を遠心分離で集め、メタノール(30mL×3回)で洗浄した後に風乾することにより目的物(パルミトイル基導入パラミロン、以下、「誘導体S20(Pal)」)(173mg)を得た。
誘導体S20(Pal)のFT−IRの測定結果を以下に示す。
FT−IR(cm−1):3420,2920,2852,1731,1651,1456,1371,1161,1073,1038.
(製造例88)パラミロンパルミテートの製造(仕込み比:[パルミチン酸クロリド]/[グルコースユニット]=4.0)
50mLナスフラスコに、パラミロン(103mg)とDMAc(5.0mL)、LiCl(98mg)を入れ、窒素雰囲気下、110℃で1時間撹拌した。反応溶液を40℃に冷却後、トリエチルアミン(516μL)とDMAc/ミリスチン酸クロリド(2.5mL/748μL)を加えて再び加熱し(110℃)、窒素雰囲気下で撹拌した。3時間の撹拌の後、反応溶液にメタノール(20mL)を加えて白沈を生じさせた。白沈を遠心分離で集め、メタノール(35mL×3回)で洗浄した後に風乾することにより目的物(パルミトイル基導入パラミロン、以下、「誘導体S21(Pal)」)(510mg)を得た。
誘導体S21(Pal)のFT−IRの測定結果を以下に示す。
FT−IR(cm−1):3476,2916,2850,1743,1714,1578,1446,1152,1082.
(製造例89)パラミロンステアレートの製造(仕込み比:[ステアリン酸クロリド]/[グルコースユニット]=2.0)
50mLナスフラスコに、パラミロン(50mg)とピリジン(5.0mL)を入れ、窒素雰囲気下、110℃で1時間撹拌した。続いてステアリン酸クロリド(208μL)を加えて窒素雰囲気下で撹拌した。3時間の撹拌の後、反応溶液にメタノール(20mL)を加えて白沈を生じさせた。白沈を遠心分離で集め、メタノール(30mL×3回)で洗浄した後に風乾することにより目的物(ステアロイル基導入パラミロン、以下、「誘導体S22(Ste)」)(144mg)を得た。
誘導体S22(Ste)のFT−IRの測定結果を以下に示す。
FT−IR(cm−1):3467,2918,2849,1746,1580,1459,1374,1145,1057,898.
各誘導体の置換度を実施例2と同様の方法で測定した。また、各誘導体の熱可塑性発現温度(℃)を実施例4と同様の方法で測定した。測定結果を、製造時の仕込み比([長鎖脂肪酸クロリド]/[グルコースユニット])と共に表9に示す。表9の「置換度」欄中、「−」は、未測定を示す。表9の「熱可塑性発現温度」欄中、「−」は、300℃までの加熱によっては熱可塑性が発現しなかったことを示す。
Figure 0006029155
この結果、仕込み比が2.5〜3.0の範囲内となるように製造された誘導体は、200℃以上で熱可塑性を示した。一方で、仕込み比が小さすぎても大きすぎても、製造された誘導体は、熱可塑性を示さなくなくなる傾向が観察された。
(矩形試験片製造試験)
200℃以上で熱可塑性を示した誘導体について、矩形試験片の製造を試みた。
具体的には、各誘導体約4.5gを簡易射出成形機(IMC−18D1型、井元製作所製)と専用の金型を用いて、加熱温度200〜260℃で射出成形することにより、長さ78mm×幅12.4mm×厚さ2.4mmの矩形試験片を製造した。
この結果、熱可塑性を示した全ての誘導体において、射出成形機による矩形試験片調製が可能であった。
本発明に係るβ−1,3−グルカン誘導体は、強度と熱可塑性に優れているため、プラスチックとして好適である。特に、パラミロン等の植物由来のβ−1,3−グルカンから合成されたβ−1,3−グルカン誘導体は、環境負荷の低い植物性プラスチックであり、これを成形することによって生分解性に優れた成形体を製造することができる。

Claims (14)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0006029155
    (式(1)中、複数存在するRはそれぞれ独立して、水素原子、又は−CORを表し、nは、1以上の整数を表す。前記Rは、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。ただし、Rの少なくとも一部は、−CORである。)で表される構造を主鎖として有し、
    前記β−1,3−グルカン誘導体中の少なくとも一部のR が、炭素数13以上の長鎖脂肪族炭化水素基であり、
    前記β−1,3−グルカン誘導体中の少なくとも一部のR が、炭素数1〜5の短鎖脂肪族炭化水素基又はフェニル基であることを特徴とするβ−1,3−グルカン誘導体。
  2. 下記一般式(1a)
    Figure 0006029155
    (式(1a)中、複数存在するRはそれぞれ独立して、水素原子、又は−CORを表し、nは、1以上の整数を表す。前記Rは、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。ただし、Rの少なくとも一部は、−CORである。)で表される高分子である、請求項1に記載のβ−1,3−グルカン誘導体。
  3. 前記β−1,3−グルカン誘導体中のグルコース単位当たりの−CORの数が0.1以上である、請求項1又は2に記載のβ−1,3−グルカン誘導体。
  4. 前記一般式(1)又は一般式(1a)中の全てのRが、前記−CORである、請求項1又は2に記載のβ−1,3−グルカン誘導体。
  5. 前記β−1,3−グルカン誘導体中のグルコース単位当たりの−COR21(前記R21は、炭素数13以上の長鎖脂肪族炭化水素基を表す。)の数が0.1以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のβ−1,3−グルカン誘導体。
  6. 前記一般式(1)又は一般式(1a)中のグルコース単位当たりの−CHOCOR21(前記R21は、炭素数13以上の脂肪族炭化水素基を表す。)の数が0.1以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のβ−1,3−グルカン誘導体。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載のβ−1,3−グルカン誘導体を成形してなることを特徴とする成形体。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載のβ−1,3−グルカン誘導体を成形して成形体を製造することを特徴とする成形体の製造方法。
  9. β−1,3−グルコシド結合により構成されるグルカンを主鎖とする高分子中の水酸基の少なくとも一部を、下記一般式(2)
    Figure 0006029155
    (式(2)中、R は、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。)で表されるカルボン酸のうち、前記R が炭素数13以上の長鎖脂肪族炭化水素基であるカルボン酸と、前記R が炭素数1〜5の短鎖脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であるカルボン酸と、の2種類でアシル化することを特徴とする、β−1,3−グルカン誘導体の製造方法。
  10. 前記高分子中の水酸基の少なくとも一部を、前記一般式(2)で表されるカルボン酸のうち、前記R が炭素数13以上の長鎖脂肪族炭化水素基である長鎖脂肪酸でアシル化した後、得られたβ−1,3−グルカン誘導体中に残存している水酸基の少なくとも一部を、前記一般式(2)で表されるカルボン酸のうち、前記R が炭素数1〜5の短鎖脂肪族炭化水素基である短鎖脂肪酸又は安息香酸でアシル化する、請求項に記載のβ−1,3−グルカン誘導体の製造方法。
  11. 前記カルボン酸の塩化物と前記高分子中のグルコースユニットの仕込み比([カルボン酸の塩化物(モル)]/[高分子中のグルコースユニット(モル)])を1.5〜4.0とする、請求項に記載のβ−1,3−グルカン誘導体の製造方法。
  12. 前記高分子が、細胞内でβ−1,3−グルカンを合成する微細藻類から分離したパラミロンである、請求項11のいずれか一項に記載のβ−1,3−グルカン誘導体の製造方法。
  13. 前記微細藻類が、ユーグレナ植物門に属する微細藻類である、請求項12に記載のβ−1,3−グルカン誘導体の製造方法。
  14. 前記カルボン酸が、植物由来のワックスエステルの加水分解により得られた、請求項13のいずれか一項に記載のβ−1,3−グルカン誘導体の製造方法。
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