JP2021187977A - β−1,3−グルカンエステル誘導体及びβ−1,4−グルカンエステル誘導体 - Google Patents

β−1,3−グルカンエステル誘導体及びβ−1,4−グルカンエステル誘導体 Download PDF

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Abstract

【課題】好ましい耐水性が得られると共に剛性と柔軟性を両立でき、かつ、成形性に優れ短時間で合成可能なβ−1,3−グルカンエステル誘導体及びβ−1,4−グルカンエステル誘導体を提供すること。【解決手段】β−1,3−グルカン又はβ−1,4−グルカンの水酸基の水素原子のうち少なくとも一部が、炭素数3のアシル基である短鎖成分と、炭素数6〜8のアシル基で置換された長鎖成分と、で置換されたβ−1,3−グルカンエステル誘導体及びβ−1,4−グルカンエステル誘導体。短鎖成分の置換度DSsと長鎖成分の置換度DSlの合計は2.0以上であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本開示は、β−1,3−グルカンエステル誘導体及びβ−1,4−グルカンエステル誘導体に関する。
近年、環境保全の観点から、微生物や植物を原料とするバイオプラスチックに関する技術が提案されている。例えば、微生物を原料とするバイオプラスチックとして、β−1,3−グルカン中の水酸基の少なくとも一部を酸でエステル化して得られるβ−1,3−グルカンエステル誘導体が知られている。
上記β−1,3−グルカンエステル誘導体や、類似する構造を有するβ−1,4−グルカンエステル誘導体を成形加工して、各種用途に用いることが検討されている。従来、β−1,3−グルカンエステル誘導体として、例えば、炭素数14以上の長鎖成分を導入することで、機械特性、熱可塑性が得られる技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
国際公開第2020/013232号
引用文献1に開示された技術は、住宅設備や水回りの用途に用いるには耐水性が十分でなく、剛性と柔軟性の両立の観点からも課題があった。また、成形性に関しても十分ではなく、更に、長鎖成分をβ−1,3−グルカンエステルに導入するために長時間を要する課題があった。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、好ましい耐水性が得られると共に剛性と柔軟性を両立でき、かつ、成形性に優れ短時間で合成可能なβ−1,3−グルカンエステル誘導体及びβ−1,4−グルカンエステル誘導体を提供することを目的とする。
本開示は、β−1,3−グルカン又はβ−1,4−グルカンの水酸基の水素原子のうち少なくとも一部が、炭素数3のアシル基である短鎖成分と、炭素数6〜8のアシル基で置換された長鎖成分と、で置換された、β−1,3−グルカンエステル誘導体及びβ−1,4−グルカンエステル誘導体に関する。
本実施形態に係るβ−1,3−グルカンエステル誘導体及びβ−1,4−グルカンエステル誘導体(以下、「βグルカンエステル誘導体」と記載する場合がある)は、複数のグルコースがグリコシド結合で結合された重合体であり、それぞれβ−1,3グリコシド結合又はβ−1,4グリコシド結合により構成されるβグルカンを主鎖とする。以下、β−1,3−グルカンエステル誘導体を例に挙げて説明する。
(β−1,3−グルカンエステル誘導体)
本実施形態におけるβ−1,3−グルカンエステル誘導体としては、カードランエステル誘導体又はパラミロンエステル誘導体であることが好ましい。カードラン及びパラミロンは、いずれも微生物由来のものであり、これらをエステル化してなるエステル誘導体を用いることにより、微生物由来プラスチックの製造が可能となるためである。カードラン及びパラミロンは、多糖類のβ−1,3−グルカンの1種である。本実施形態に係るカードランエステル誘導体及びパラミロンエステル誘導体は、微生物由来のものであるにも関わらず、例えばPP(ポリプロピレン)等と同等の強度を有し、成形性に優れる。
カードランは、下記化学式(1)で示される構造を有し、土壌細菌中に含まれる多糖類のβ−1,3−グルカンである。カードランは、分子量が100万程度であり、高強度である一方で流動性が悪いという特性を有する。このカードラン中の水酸基の少なくとも一部を後段で詳述する酸を用いてエステル化することにより、下記化学式(2)で示される構造を有するカードランエステル誘導体が得られる。エステル化の手法としては、従来公知の手法が採用される。
パラミロンは、下記化学式(1)で示される構造を有し、ユーグレナ(ミドリムシ)中に含まれる多糖類のβ−1,3−グルカンである。パラミロンは、分子量が30万程度であり、低強度である一方で流動性が良いという特性を有する。カードランと同様に、このパラミロン中の水酸基の少なくとも一部を後段で詳述する酸を用いてエステル化することにより、下記化学式(2)で示される構造を有するパラミロンエステル誘導体が得られる。エステル化の手法としては、従来公知の手法が採用される。
Figure 2021187977
化学式(1)
Figure 2021187977
化学式(2)
上記化学式(2)における置換基Rは、炭素数3のアシル基である短鎖成分と、炭素数6〜8のうちいずれかのアシル基である長鎖成分と、を含む。これにより、長鎖成分のみを置換基として導入するよりも短時間での合成が可能となる。具体的には、長鎖成分として炭素数が8を超える成分を置換基として導入するよりも、短時間での合成が可能となる。また、β−1,3−グルカンエステル誘導体が、異なる種類の置換基である短鎖成分及び長鎖成分を有するヘテロエステルであることで、成形体の結晶性や熱特性(ガラス転移温度や溶融粘度等)を容易に制御することができるため、射出成形性や剛性及び柔軟性を好ましい範囲に調整することができる。なお、本実施形態に係るβ−1,3−グルカンエステル誘導体は、炭素数4及び5の置換基Rを含まないことが好ましい。これにより、成形体の特異臭等の臭いを抑制でき、成形体を水回りや住宅設備等へ適用できる。
上記化学式(2)における置換基Rによる置換度は、上記短鎖成分の置換度DSsと、上記長鎖成分の置換度DSlとの合計である全体置換度DSs+DSlが2.0以上である。置換度DSs及び置換度DSlは、本明細書において、それぞれグルコース単位あたりの短鎖成分及び長鎖成分で置換された水素原子の平均個数を意味する。DSs+DSlが2.0以上であることで、水回りや住宅設備に求められる耐水性(耐加水分解性)及び長期耐久性が得られる。DSs+DSlが2.0未満であると、分子中に残存する水酸基の割合が高くなるため、好ましい耐水性及び長期耐久性が得られず、水と接触する用途に好ましく用いることができない。DSs+DSlは2.5以上であることが好ましく、3.0であることが最も好ましい。
上記短鎖成分の置換度DSsと、上記長鎖成分の置換度DSlとの比であるDSs:DSlは、1.2:1.8〜2.1:0.9であることが好ましい。これにより、射出成型により樹脂を成形する際の流動不良を抑制できる。また、得られる成形体の剛性と柔軟性とを両立できる。上記の観点から、DSs:DSlは、1.5:1.5〜2.1:0.9であることがより好ましい。上記短鎖成分の置換度DSs及び長鎖成分の置換度DSlは、例えばHNMRにより測定できる。
炭素数3のアシル基である短鎖成分、及び炭素数6〜8のアシル基である長鎖成分は、それぞれの炭素数の条件を満たすものであれば、構造は特に限定されない。炭素間の結合は、飽和結合であってもよいし、不飽和結合を含んでいてもよい。上記に加えて、直鎖構造、分岐鎖構造、環構造を有するいずれであってもよい。例えば、直鎖構造を有する炭素数3の飽和脂肪族アシル基であるプロパノイル基、分岐鎖構造を有するイソプロパノイル基、環構造を有するシクロプロパノイル基や、直鎖構造を有する炭素数6〜8の飽和脂肪族アシル基である、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、分岐鎖構造を有するイソヘキサノイル基、イソヘプタノイル基、イソオクタノイル基、環構造を有するシクロヘキサノイル基、シクロヘプタノイル基、シクロオクタノイル基、不飽和結合を有するヘキセノイル基、ヘプテノイル基、オクテノイル基、芳香環を有するアセチルフェニル基等が例示できる。
β−1,3−グルカンの水酸基における水素原子は、上述の通り酸とのエステル化により上記短鎖成分及び長鎖成分と置換される。エステル化に用いる酸としては、上記短鎖成分及び長鎖成分に対応する炭素数及び構造を有するカルボン酸が挙げられる。例えば、炭素数が3の飽和脂肪族アシル基である短鎖成分の導入に用いるカルボン酸としてはプロピオン酸が挙げられる。炭素数が6〜8の飽和脂肪族アシル基であり、例えば直鎖構造を有する長鎖成分の導入に用いるカルボン酸としてはn−ヘキサン酸、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、同様に、分岐鎖構造を有するイソヘキサン酸、イソヘプタン酸、イソオクタン酸、環構造を有するシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘプタンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、不飽和結合を有するヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸、芳香環を有する安息香酸等が挙げられる。上記酸は、生成されるβ−1,3−グルカンエステル誘導体の溶媒としても機能する。上記溶媒として用いられる酸として、エステル化に用いられる酸以外の酸を併用してもよい。例えばトリフルオロ酢酸無水物を併用してもよい。
(β−1,4−グルカンエステル誘導体)
以上、βグルカンエステル誘導体としてβ−1,3−グルカンエステル誘導体を例に挙げて説明したが、本実施形態に係るβ−1,4−グルカンエステル誘導体についても同様の構成及び効果を有する。即ち、β−1,4−グルカンは、β−1,3−グルカンと同様、複数のグルコースがβ−1,4−グリコシド結合によって結合された高分子であり、例えば植物由来のセルロースが挙げられる。β−1,4−グルカンエステル誘導体は、β−1,4−グルカンの水酸基の水素原子のうち少なくとも一部が、上記短鎖成分及び長鎖成分により置換された構造を有する。β−1,4−グルカンエステル誘導体は、β−1,3−グルカンエステル誘導体と同様のエステル化により合成できる。
(βグルカンエステル誘導体の精製方法)
本実施形態に係るβグルカンエステル誘導体の精製方法は、例えば、βグルカンエステル誘導体を含む合成反応液と再沈殿溶媒とを混合させる析出工程と、合成反応液及び再沈殿溶媒のうち少なくともいずれかの温度を低下させる冷却工程と、を有する。上記に加え、析出工程における析出物を洗浄する洗浄工程を有していてもよい。
[析出工程]
析出工程は、βグルカンエステル誘導体中の水酸基の少なくとも一部を酸でエステル化して得られるβグルカンエステル誘導体を含む合成反応液と、再沈殿溶媒とを混合させる工程である。析出工程により、βグルカンエステル誘導体が析出(再沈殿)される。
再沈殿溶媒は、例えば、βグルカンエステル誘導体に対する溶解性が高い良溶媒及びβグルカンエステル誘導体に対する溶解性が低い貧溶媒からなる。析出工程において、合成反応液に対し再沈殿溶媒を混合することで、βグルカンエステル誘導体を含む析出物が析出される。析出工程において、合成反応液に対し再沈殿溶媒を添加して混合することが好ましい。更に、合成反応液に対して良溶媒を添加して溶解させた後、貧溶媒を滴下することが好ましい。これにより、合成反応液と溶媒との界面で析出が発生することを防止でき、析出物の凝集を抑制できる。上記に加え、単一の容器で析出工程を行うことができる。
上記良溶媒は、上記βグルカンエステル誘導体を可溶であればよく、例えばメタノール等のアルコールやアセトン等のケトン類が好ましく用いられる。上記に加え、再沈殿した析出物を洗浄する洗浄工程を設ける場合、析出物中に残留する上記エステル化に用いられる酸に対して洗浄性の高い良溶媒を用いることが好ましい。良溶媒は、1種類を用いてもよいし、複数種類を混合して良溶媒として用いてもよい。
上記貧溶媒は、上記βグルカンエステル誘導体に対する溶解性が低く、少なくとも上記良溶媒よりもβグルカンエステル誘導体に対する溶解性が低い。具体的には、貧溶媒としては、水が好ましく用いられる。貧溶媒は、1種類を用いてもよいし、複数種類を混合して貧溶媒として用いてもよい。
[冷却工程]
冷却工程は、合成反応液及び再沈殿溶媒のうち少なくともいずれかの温度を低下させる工程である。例えば、冷却工程は、合成反応液及び再沈殿溶媒の少なくともいずれかを、析出工程における合成反応液と再沈殿溶媒との混合前に冷却するものであってもよい。上記以外に、冷却工程は、析出工程において合成反応液と再沈殿溶媒とを混合した後、混合溶液を冷却するものであってもよい。冷却工程を設けることにより、βグルカンエステル誘導体の収率を向上できる。
[洗浄工程]
洗浄工程は、析出工程において析出するβグルカンエステル誘導体を含む析出物を洗浄する工程である。洗浄工程により、析出物に含まれる不純物である、エステル化に用いられる酸等が析出物から除去される。洗浄工程で用いられる溶液は、βグルカンエステル誘導体に対する溶解性が低いものであれば特に制限されないが、エステル化に用いられる酸の溶解性が高いものであることが好ましい。洗浄工程は、特に制限されず公知の方法を用いて行うことができる。
本実施形態の精製方法により精製されるβグルカンエステル誘導体は、その後、種々の成形方法により成形される。成形方法としては、例えば、射出成形法、キャスト法、圧縮法、インフレーション法等の通常用いられる方法が適用可能である。本実施形態に係るβグルカンエステル誘導体は、好ましい溶融粘度を有するため、特に射出成形法により好ましく成形される。成形品は、例えば、住宅の浴槽やキッチンの水回りに用いられる水回り用品や、住宅設備、住宅の外装材等、種々の用途に適用可能である。
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良は本開示に含まれる。
以下、実施例に基づいて本開示をより詳細に説明するが、本開示はこれらの実施例によって限定されるものではない。
<実施例1>
室温下でプロピオン酸400mlとn−ヘキサン酸200mlを反応容器に入れ撹拌した。その後、反応容器にトリフルオロ酢酸無水物600mlを滴下した。滴下終了後、50℃に昇温し、100℃で3時間真空乾燥したカードラン15gを加え、カードランが溶解するまで(反応時間:77分)撹拌した。その後、20℃まで反応液を冷却し、メタノールを加えた後、水を固体の析出がみられるまで添加して反応を停止させた。得られた固体をろ液がpH=7になるまで数回、メタノール及び水の混合溶液で洗浄を繰り返し、100℃で17時間乾燥し、25.9gの白色固体状のβグルカンエステル誘導体を得た。
実施例2〜10及び比較例1〜16についても、表1に示す原料を用い、表1に示す反応時間としたこと以外は実施例1と同様として、βグルカンエステル誘導体を得た。
Figure 2021187977
(分子量、分散度測定)
上記実施例及び比較例のβグルカンエステル誘導体について、重量平均分子量(Mw)、及び数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比である分散度(Mw/Mn)を測定した。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)はGPC(10/20A series Shimadzu社)を用い、以下の条件にて行った。結果を表2に示す。
溶媒:HPLC用クロロホルム、カラム:二重カラム(K−806M、K−802、昭和電工)、流速:0.8mL/分、カラムオーブン:40℃
(置換度測定)
上記実施例及び比較例のβグルカンエステル誘導体について、短鎖成分及び長鎖成分の置換度をHNMR(JNM−ECA(500MHz)、JEOL社)により測定した。測定溶媒は和光純薬社製、クロロホルム−d(99.8ATOM%)を用いた。短鎖成分及び長鎖成分の置換度は、HNMRスペクトルの短鎖成分及び長鎖成分に相当する置換基のピーク面積、並びに、グルコース単位中の環プロトンのピーク面積の比により計算した。グルコース単位換算で最大置換度を3とした場合における、短鎖成分の置換度(DSs)及び長鎖成分の置換度(DSl)の合計を全体置換度とした。結果を表2に示す。
(Tm、Tg測定)
上記実施例及び比較例のβグルカンエステル誘導体について、融点(Tm、℃)及びガラス転移温度(Tg、℃)をDSC(DSC8500、パーキンエルマー社製)を用いて測定した。アルミニウム製のパンにサンプルを充填し、30℃から250℃まで20℃/minの昇温速度で昇温し、250℃に到達した後、1分間保持した。その後、降温速度200℃/minで−60℃まで降温し、−60℃に到達した後、1分間保持した。その後、20℃/minの昇温速度で250℃まで昇温させ、融点(Tm、℃)及びガラス転移温度(Tg、℃)を算出した。結果を表2に示す。
(臭気評価)
上記比較例1〜4、6、8〜16の、単一のカルボン酸を用いて合成したβグルカンエステル誘導体について、以下の基準で臭気評価を行った。2以上を合格とした。結果を表2に示す。
4 臭いなし
3 ごく弱い酸臭又は特異臭を感じる
2 弱い酸臭を感じる
1 特異臭を感じる
Figure 2021187977
上記実施例及び比較例のβグルカンエステル誘導体を以下の表3に示す条件で射出成形し、物性測定用のサンプルを作製した。射出成形機はMiniJet Pro(scientific thermofisher社製)を用いた。射出圧は900bar、10secとし、保圧は250bar、10secとした。以下に示す曲げ試験・シャルピー試験用のサンプル金型は、長さ80mm、幅12.5mm、厚み2.5mm(短冊片)を用いた。以下に示す引張試験用のサンプル金型は、長さ75mm、幅12.5mm、厚み2.0mm(引張試験片:ISO−527−2−5A)を用いた。なお、表3に示す成形温度及び金型温度は、Tg及びTm、並びに成形時の流動性に応じて調整した。
(成形品の割れ評価)
実施例及び比較例のβグルカンエステル誘導体により作製した成形品の割れについて、以下の条件で評価を行った。結果を表3に示す。
2 成形品に割れが生じない
1 成形品に割れが生じる
(射出成形性評価)
比較例のβグルカンエステル誘導体により作製した成形品の射出成形性について、以下の条件で評価を行った。結果を表3に示す。
2 完全充填される
1 粘着性が高く成形不可能
Figure 2021187977
(引張強度、引張弾性率測定)
上記成形した実施例1〜10及び比較例1〜8のサンプルを用い、引張強度及び引張弾性率を測定した。測定はJIS K 7161に準じて行った。測定はn=3とし、平均値を算出した。引張強度10MPa以上、かつ引張弾性率300MPa以上を合格とした。結果を表4に示す。なお、表4中「DL」は検出限界を意味する。
(曲げ強度、曲げ弾性率測定)
上記成形した実施例1〜10及び比較例1〜8のサンプルを用い、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。測定は、試験片寸法の厚みを2.6±0.2mmとしたこと以外は、IS K 7171に準じて行った。測定はn=3とし、平均値を算出した。曲げ強度5MPa以上、かつ曲げ弾性率150MPa以上を合格とした。結果を表4に示す。
(シャルピー衝撃試験)
上記成形した実施例1〜10及び比較例1〜8のサンプルを用い、シャルピー衝撃値を測定した。測定は、JIS K 7111に準じて行った。試験片はエッジワイズ衝撃試験片を作成し、ノッチ付きシャルピー衝撃強さを測定した。測定はn=5とし、平均値を算出した。シャルピー衝撃値9kJ/m以上を合格とした。結果を表4に示す。
Figure 2021187977
実施例及び比較例の結果から、実施例に係るβグルカンエステル誘導体は、比較例に係るβグルカンエステル誘導体と比較して、反応に要する時間が短い結果が確認された。また、実施例に係るβグルカンエステル誘導体は、成形品に割れが発生せず、剛性と柔軟性を両立できる結果が確認された。

Claims (4)

  1. β−1,3−グルカン又はβ−1,4−グルカンの水酸基の水素原子のうち少なくとも一部が、炭素数3のアシル基である短鎖成分と、炭素数6〜8のアシル基で置換された長鎖成分と、で置換された、β−1,3−グルカンエステル誘導体及びβ−1,4−グルカンエステル誘導体。
  2. 前記短鎖成分の置換度DSsと前記長鎖成分の置換度DSlの合計は2.0以上である、請求項1に記載のβ−1,3−グルカンエステル誘導体及びβ−1,4−グルカンエステル誘導体。
  3. 前記短鎖成分の置換度DSsと前記長鎖成分の置換度DSlとの比は、DSs:DSl=1.2:1.8〜2.1:0.9である、請求項1又は2に記載のβ−1,3−グルカンエステル誘導体及びβ−1,4−グルカンエステル誘導体。
  4. 射出成型用材料として用いられる、請求項1〜3のいずれかに記載のβ−1,3−グルカンエステル誘導体及びβ−1,4−グルカンエステル誘導体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023248911A1 (ja) * 2022-06-22 2023-12-28 日東電工株式会社 粘着剤組成物、粘着シート、積層体、及びβ-1,3-グルカン誘導体の製造方法
WO2023248726A1 (ja) * 2022-06-22 2023-12-28 日東電工株式会社 粘着剤組成物、粘着シート、積層体、及びβ-1,3-グルカン誘導体の製造方法

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