JP2018154723A - 接着剤および粘着剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】藻類、菌類等によって生産される多糖類を原料とできることから環境負荷が比較的小さく、ホットメルト接着剤として用いることができる接着剤、および藻類、菌類等によって生産される多糖類を原料とできることから環境負荷が比較的小さい粘着剤の提供。【解決手段】β−1,3−グルカンにアシル基を導入したβ−1,3−グルカン誘導体であり、引張試験で測定された最大点引張強さが10N以上であるβ−1,3−グルカン誘導体を含む接着剤;β−1,3−グルカンにアシル基を導入したβ−1,3−グルカン誘導体であり、粘着力試験で測定された最大点応力が5kPa以上であるβ−1,3−グルカン誘導体を含む粘着剤。【選択図】なし

Description

本発明は、接着剤および粘着剤に関する。
従来より、接着剤や粘着剤としては、石油を原料とする合成樹脂を主成分とするものが知られている。しかし、石油を原料とする合成樹脂は、環境負荷が大きいという問題を有する。
近年、環境負荷の小さい樹脂として生物由来の成分を原料とする樹脂が注目されている。植物由来の成分を原料とする樹脂を含む接着剤としては、例えば、下記のものが提案されている。
(1)セルロースにヒドロキシアルキル基(炭素数2〜3)を導入したヒドロキシアルキルセルロースに、さらに炭素数1〜3の炭化水素基を有するアシル基を導入したセルロース誘導体を含む溶剤系接着剤(特許文献1)。
(2)セルロースにアシル基を導入したセルロース誘導体とポリシロキサンとの縮合物を含む溶剤系接着剤(特許文献2)。
特開2011−225787号公報 国際公開第2014/084069号
しかし、溶剤系接着剤は、有機溶剤を含むため、環境への配慮の点から好ましい接着剤とはいえない。有機溶剤を含まない接着剤としては、ホットメルト接着剤が知られているが、特許文献1、2には、(1)のセルロース誘導体や(2)の縮合物をホットメルト接着剤として用いることができることについての記載はない。
セルロース以外の生物由来の多糖類としては、藻類、菌類等によって生産される多糖類(β−1,3−グルカン等)が知られている。しかし、藻類、菌類等によって生産される多糖類を原料とした、接着剤または粘着剤はいまのところ知られていない。
本発明は、藻類、菌類等によって生産される多糖類を原料とできることから環境負荷が比較的小さく、溶剤系接着剤として用いることができることは勿論、ホットメルト接着剤としても用いることができる接着剤、および藻類、菌類等によって生産される多糖類を原料とできることから環境負荷が比較的小さい粘着剤を提供する。
本発明は、下記の態様を有する。
<1>β−1,3−グルカンにアシル基を導入したβ−1,3−グルカン誘導体であり、下記引張試験で測定された最大点引張強さが10N以上であるβ−1,3−グルカン誘導体を含む、接着剤。
引張試験:2枚の短冊状のポリエチレンテレフタレートフィルム(長さ30mm、幅5mm)を、それぞれの端部(長さ10mm×幅5mm)のみが重なるように長手方向に並べ、該端部にβ−1,3−グルカン誘導体の5mgを挟み、該端部を温度100℃、圧力20MPa、時間1分の条件で熱プレスすることによって貼り合わせて短冊状の試験片を作製する。試験片を引張試験機に取り付け、チャック間距離30mm、引張速度3mm/minの条件で試験片の長手方向に引っ張り、最大点引張強さを求める。
<2>ホットメルト接着剤である、前記<1>の接着剤。
<3>β−1,3−グルカンにアシル基を導入したβ−1,3−グルカン誘導体であり、下記粘着力試験で測定された最大点応力が5kPa以上であるβ−1,3−グルカン誘導体を含む、粘着剤。
粘着力試験:2枚のポリテトラフルオロエチレンシートにβ−1,3−グルカン誘導体の50mgを挟み、温度100℃、圧力10MPa、時間1分の条件で熱プレスする。1枚のポリテトラフルオロエチレンシートをはがし、β−1,3−グルカン誘導体の膜を露出させる。β−1,3−グルカン誘導体の膜に、プローブ(ステンレス鋼(JIS規格:SUS304)製、直径5mm)を温度25℃、圧力98kPa、時間10秒の条件で押し付けた後、該プローブを速度0.1mm/secの条件で引き上げ、最大点応力を求める。5箇所について測定を行い、平均値を求める。
本発明の接着剤は、藻類、菌類等によって生産される多糖類を原料とできることから環境負荷が比較的小さく、かつ溶剤系接着剤として用いることができることは勿論、ホットメルト接着剤としても用いることができる。
本発明の粘着剤は、藻類、菌類等によって生産される多糖類を原料とできることから環境負荷が比較的小さい。
例1〜6のパラミロンミリステートの可視光領域の透過率を示すグラフである。 例7〜10のパラミロンパルミテートの可視光領域の透過率を示すグラフである。 例11、12のパラミロンステアレートの可視光領域の透過率を示すグラフである。 例13、14のカードランステアレートの可視光領域の透過率を示すグラフである。 例15、16のセルロースステアレートの可視光領域の透過率を示すグラフである。
<β−1,3−グルカン>
β−1,3−グルカンは、主に藻類、菌類等によって生産される多糖類である。
β−1,3−グルカンは、β−1,3−結合によってグルコースが連結されている点で、β−1,4−結合によってグルコースが連結されているセルロースと、グルコースの結合様式が類似する。また、熱可塑性がないことも共通する。しかし、β−1,3−グルカンは、高分子鎖が三重らせん構造をとることができ、シート状の構造をとるセルロースとは高分子鎖の構造が異なっている。この構造の違いによって、β−1,3−グルカンは、セルロースとは異なる独自の物性と反応特性を有している。
β−1,3−グルカンは、精製が容易であり、精製工程はセルロースよりも温和な条件で行うことができる。すなわち、植物のセルロースは、リグニンやヘミセルロースと強固に結びついた形で存在しており、セルロースを単離するためには複雑でかつ強酸等を用いる苛烈な精製工程を必要とする。これに対して、藻類や菌類のβ−1,3−グルカンは、多くの場合、それ単独で存在しているため精製は容易であり、強酸等を用いる必要もない。そのため、β−1,3−グルカンは、精製工程を経ても解重合しにくく、天然高分子特有の、分子鎖長の分布が狭い単分散状態をおおよそ保って単離することができる。
β−1,3−グルカンを樹脂の原料として用いる場合、この単分散性が大きな特徴となる。すなわち、この単分散性はアシル化反応を通じて維持されるため、得られるβ−1,3−グルカン誘導体は、融点の差に起因する欠陥が生じにくい。また、β−1,3−グルカンは、セルロースよりも高純度で単離できるため、得られるβ−1,3−グルカン誘導体はセルロース誘導体よりも透過率等が高い傾向にある。
β−1,3−グルカンは、側鎖を有していてもよく側鎖を有していなくてもよい。側鎖を有するβ−1,3−グルカンとしては、シゾフィラン、レンチナン等が挙げられる。側鎖を有さないβ−1,3−グルカンとしては、カードラン、パラミロン等が挙げられる。
β−1,3−グルカンは、生物由来のものであってもよく、合成品であってもよい。環境負荷低減の点から、生物由来のものが好ましく、植物由来のものがより好ましい。中でも、β−1,3−グルカンの単離精製が容易である点から、細胞内でβ−1,3−グルカンを合成する微細藻類から分離したβ−1,3−グルカンが好ましい。微細藻類としては、ユーグレナ(ユーグレナ植物門に属する微細藻類)が好ましい。ユーグレナは、培養が容易であり、成長サイクルも速いことに加えて、光合成産物としてパラミロン粒子を細胞内に大量に蓄積するためである。ユーグレナが合成および蓄積するパラミロンは、通常1500〜2000個のグルコースがβ−1,3−結合してなるβ−1,3−グルカンである。なお、パラミロン等のβ−1,3−グルカンの微細藻類からの分離は、常法により行うことができる。
<β−1,3−グルカン誘導体>
β−1,3−グルカン誘導体は、β−1,3−グルカンの主鎖を構成するグルコース中の一部の水酸基がアシル基でアシル化されている。すなわち、β−1,3−グルカン誘導体は、アシル基を有する。アシル基を有するため、(i)分子鎖の並びが乱れることによって分子鎖間相互作用が弱められるとともに、(ii)水酸基による主鎖間水素結合の形成が少なくなることによって分子鎖間相互作用が弱められる。その結果、熱可塑性に優れるとともに接着性や粘着性が発現すると考えられる。
β−1,3−グルカン誘導体としては、下記式(1)で表されるβ−1,3−グルカン混合エステルが挙げられる。
Figure 2018154723
ただし、Rは、それぞれ独立して、水素原子またはアシル基であり、Rの少なくとも一部はアシル基であり、nは、自然数である。
アシル基は、RC(O)−(ただし、Rは、炭化水素基である。)で表される。
炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、環構造を有していてもよい。脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基(アルキル基)であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基(アルケニル基またはアルキニル基)であってもよい。脂肪族炭化水素基としては、合成のしやすさ、Rの自由度の高さ等の点から、アルキル基が好ましく、直鎖状または分岐状のアルキル基がより好ましく、直鎖状のアルキル基がさらに好ましい。
アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基、リノレオイル基、リノレノイル基等が挙げられる。
β−1,3−グルカン誘導体の質量平均分子量Mwは、2.0×10Da以上1.0×10Da以下が好ましく、5.0×10Da以上5.0×10Da以下がより好ましい。β−1,3−グルカン誘導体の数平均分子量Mnは、2.0×10Da以上1.0×10Da以下が好ましく、5.0×10Da以上5.0×10Da以下がより好ましい。β−1,3−グルカン誘導体の分子量が前記範囲内であれば、適度な接着性や粘着性が発現するとともに、溶剤系接着剤とする際の有機溶剤への溶解性に優れる。
β−1,3−グルカン誘導体の分散度Mw/Mnは、1.0以上1.6以下が好ましい。分散度Mw/Mnが前記範囲内であれば、原料として用いるβ−1,3−グルカンの単分散性がより維持されて、融点の差に起因する欠陥がより生じにくいβ−1,3−グルカン誘導体とすることができる。
β−1,3−グルカン誘導体の製造方法としては、β−1,3−グルカンを構成するグルコース中の水酸基の一部または全部を脂肪酸でアシル化する合成法(特許第6029155号公報)が挙げられる。
具体的には、下記式(2)に示すように、β−1,3−グルカンを溶媒中に溶解させた溶液中で、塩基の存在下、アシル化剤として脂肪酸の塩化物、脂肪酸の無水物、または脂肪酸のビニル化合物を順次反応させる方法が挙げられる。
Figure 2018154723
ただし、Rは、それぞれ独立して、水素原子またはアシル基であり、Rの少なくとも一部はアシル基であり、nは、自然数である。
この合成法における反応温度、反応時間等の条件は、アシル化剤の種類、置換度等を考慮して適宜設定される。
脂肪酸の塩化物としては、例えば、酢酸クロリド、ブチル酸クロリド、ラウリン酸クロリド、ミリスチン酸クロリド、パルミチン酸クロリド、ステアリン酸クロリド、ヘキサデセン酸クロリド、オレイン酸クロリド、リノール酸クロリド、リノレン酸クロリド等が挙げられる。
脂肪酸の無水物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ブチル酸等が挙げられる。
脂肪酸のビニル化合物としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ヘキサデセン酸ビニル、オレイン酸ビニル、リノール酸ビニル、リノレン酸ビニル等が挙げられる。
溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド−リチウムクロライド系溶媒、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾキジノン−リチウムクロライド系溶媒等が挙げられる。
塩基としては、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン等の公知のものを用いることができる。
<接着剤>
本発明の接着剤は、β−1,3−グルカン誘導体を含む。
本発明の接着剤は、β−1,3−グルカン誘導体のみからなるものであってもよく、必要に応じて他の成分(可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、フィラー、離形剤、着色剤、難燃助剤、難燃剤等の各種添加剤、β−1,3−グルカン誘導体以外の他の樹脂等)をさらに含んでもよい。
本発明の接着剤は、溶剤系接着剤であってもよく、ホットメルト接着剤であってもよく、環境負荷が小さい点から、ホットメルト接着剤であることが好ましい。
本発明の接着剤に用いるβ−1,3−グルカン誘導体は、下記引張試験で測定された最大点引張強さが10N以上のものであり、20N以上のものが好ましい。
引張試験:2枚の短冊状のポリエチレンテレフタレートフィルム(長さ30mm、幅5mm)を、それぞれの端部(長さ10mm×幅5mm)のみが重なるように長手方向に並べ、該端部にβ−1,3−グルカン誘導体の5mgを挟み、該端部を温度100℃、圧力20MPa、時間1分の条件で熱プレスすることによって貼り合わせて短冊状の試験片を作製する。試験片を引張試験機に取り付け、チャック間距離30mm、引張速度3mm/minの条件で試験片の長手方向に引っ張り、最大点引張強さを求める。
本発明の接着剤に用いるβ−1,3−グルカン誘導体の引張試験で測定された最大点引張強さが前記範囲内であれば、接着性に優れる。β−1,3−グルカン誘導体の引張試験で測定された最大点引張強さは、アシル基における炭化水素基の炭素数が特定の範囲にあるときに高くなる傾向にある。アシル基における炭化水素基の炭素数は、嵩高い炭化水素基の方が主鎖間の相互作用を弱める効果が高い点から、8以上が好ましく、11以上がより好ましく、13以上がさらに好ましい。炭化水素基の炭素数は、アシル基をβ−1,3−グルカンの主鎖中に導入しやすい点から、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、17以下がさらに好ましい。
本発明の接着剤に用いるβ−1,3−グルカン誘導体のアシル基の置換度は、1.0以上3.0以下が好ましく、2.0以上3.0以下がより好ましく、2.5以上3.0以下がさらに好ましい。アシル基の置換度が前記範囲内であれば、分子鎖間の相互作用を弱める効果をより高めて、接着性がより優れたβ−1,3−グルカン誘導体とすることができる。
アシル基の置換度は、原料のβ−1,3−グルカンのグルコースユニット1つあたりに結合したアシル基の割合である。例えば、アシル基の置換度が1.0とは、グルコースユニット1個につき1個の置換基が導入されていることを意味している。理論上、アシル基の置換度の上限値は3.0である。アシル基の置換度は、核磁気共鳴分光法(NMR法)等によって測定できる。例えば、H−NMRによって、グルコースユニットの炭素に直接結合している水素(メチレンおよびメチン基の水素)とアシル基の水素の積分値に基づいてアシル基の置換度を求めることができる。また、アシル基の置換度は、元素分析法によって測定できる。
本発明の接着剤に用いるβ−1,3−グルカン誘導体を合成する場合には、アシル化剤である脂肪酸と原料のβ−1,3−グルカン中のグルコースユニットとの仕込み比([脂肪酸(モル)]/[グルコースユニット(モル)])は、2以上12以下が好ましく、3以上12以下がより好ましく、4以上12以下がさらに好ましい。仕込み比を前記範囲内にすることによって、アシル基の置換度が前記範囲のβ−1,3−グルカン誘導体を合成しやすくなる。
本発明の接着剤に用いるβ−1,3−グルカン誘導体の融点は、50℃以上120℃以下が好ましく、50℃以上100℃以下がより好ましい。β−1,3−グルカン誘導体の融点が前記範囲以内であれば、ホットメルト接着剤として好適に用いることができる。融点は、示差走査熱量測定(DSC)の昇温サーモグラムで観測される吸熱ピーク温度である。
本発明の接着剤に用いるβ−1,3−グルカン誘導体は、透明性が高く、光学フィルム等の透明性が要求される部材の接着剤に好適である。β−1,3−グルカン誘導体の下記方法で測定される可視光領域(400nm以上800nm以下)の透過率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。
透過率の測定:2枚の顕微鏡用カバーガラスにβ−1,3−グルカン誘導体の10mgを挟み、これらをさらに2枚のポリテトラフルオロエチレンシートに挟み、温度100℃、圧力1MPa、時間1分の条件で熱プレスする。2枚のポリテトラフルオロエチレンシートを取り外し、サンプルを得る。サンプルについて可視光領域の透過率を分光光度計によって測定する。
以上説明した本発明の接着剤にあっては、引張試験で測定された最大点引張強さが10N以上であるβ−1,3−グルカン誘導体を含むため、接着性に優れる。
また、本発明の接着剤にあっては、藻類、菌類等によって生産される多糖類であるβ−1,3−グルカンを原料とできるため、環境負荷が小さい。
また、β−1,3−グルカンにアシル基を導入したβ−1,3−グルカン誘導体は、(i)分子鎖の並びが乱れることによって分子鎖間相互作用が弱められるとともに、(ii)水酸基による主鎖間水素結合の形成が少なくなることによって分子鎖間相互作用が弱められるため、熱可塑性に優れるとともに接着性が発現すると考えられる。そのため、β−1,3−グルカン誘導体を含む本発明の接着剤は、溶剤系接着剤として用いることができることは勿論、ホットメルト接着剤としても用いることができる。
このような接着剤は、さまざまな部材を接着可能である。また、β−1,3−グルカン誘導体の透明性が高いことから、光学フィルム等の透明性が要求される部材の接着剤に好適である。
<粘着剤>
本発明の粘着剤は、β−1,3−グルカン誘導体を含む。
本発明の粘着剤は、β−1,3−グルカン誘導体のみからなるものであってもよく、必要に応じて他の成分(可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、フィラー、離形剤、着色剤、難燃助剤、難燃剤等の各種添加剤、β−1,3−グルカン誘導体以外の他の樹脂等)をさらに含んでもよい。
本発明の粘着剤は、環境負荷が小さい点から、溶剤を含まないことが好ましい。
本発明の粘着剤に用いるβ−1,3−グルカン誘導体は、下記粘着力試験で測定された最大点応力が5kPa以上のものであり、10kPa以上のものが好ましい。
粘着力試験:2枚のポリテトラフルオロエチレンシートにβ−1,3−グルカン誘導体の50mgを挟み、温度100℃、圧力10MPa、時間1分の条件で熱プレスする。1枚のポリテトラフルオロエチレンシートをはがし、β−1,3−グルカン誘導体の膜を露出させる。β−1,3−グルカン誘導体の膜に、プローブ(ステンレス鋼(JIS規格:SUS304)製、直径5mm)を温度25℃、圧力98kPa、時間10秒の条件で押し付けた後、該プローブを速度0.1mm/secの条件で引き上げ、最大点応力を求める。5箇所について測定を行い、平均値を求める。
本発明の粘着剤に用いるβ−1,3−グルカン誘導体の粘着力試験で測定された最大点応力が前記範囲内であれば、粘着剤に優れる。β−1,3−グルカン誘導体の粘着力試験で測定された最大点応力は、アシル基における炭化水素基の炭素数が特定の範囲にあり、また、脂肪酸とグルコースユニットとの仕込み比([脂肪酸(モル)]/[グルコースユニット(モル)])が特定の範囲にあるときに高くなる傾向にある。例えば、β−1,3−グルカンに導入されるアシル基がミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基の場合、同一仕込み比ではミリストイル基の方が粘着性が高くなる傾向がある。また、アシル基がミリストイル基の場合、仕込み比([脂肪酸(モル)]/[グルコースユニット(モル)])が5以上8以下のときに粘着性が高くなる傾向がある。
アシル基における炭化水素基の炭素数は、嵩高い炭化水素基の方が主鎖間の相互作用を弱める効果が高い点から、8以上が好ましく、11以上がより好ましく、13以上がさらに好ましい。炭化水素基の炭素数は、アシル基をβ−1,3−グルカンの主鎖中に導入しやすい点から、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、17以下がさらに好ましい。
本発明の粘着剤に用いるβ−1,3−グルカン誘導体のアシル基の置換度は、1.0以上3.0以下が好ましく、1.5以上3.0以下がより好ましく、2.0以上3.0以下がさらに好ましい。アシル基の置換度が前記範囲内であれば、分子鎖間の相互作用を弱める効果をより高めて、粘着性がより優れたβ−1,3−グルカン誘導体とすることができる。
本発明の粘着剤に用いるβ−1,3−グルカン誘導体を合成する場合には、アシル化剤である脂肪酸と原料のβ−1,3−グルカン中のグルコースユニットとの仕込み比([脂肪酸(モル)]/[グルコースユニット(モル)])は、2以上12以下が好ましく、4以上12以下がより好ましく、5以上8以下がさらに好ましい。仕込み比を前記範囲内にすることによって、アシル基の置換度が前記範囲のβ−1,3−グルカン誘導体を合成しやすくなる。
本発明の粘着剤に用いるβ−1,3−グルカン誘導体のガラス転移温度は、観測されないことが好ましい。β−1,3−グルカン誘導体のガラス転移温度が観測されなければ、常温において粘着剤として好適に用いることができる。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)で測定される中間点ガラス転移温度である。
本発明の粘着剤に用いるβ−1,3−グルカン誘導体は、透明性が高く、光学フィルム等の透明性が要求される部材の粘着剤に好適である。β−1,3−グルカン誘導体の上述した方法で測定される可視光領域(400nm以上800nm以下)の透過率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。
(作用効果)
以上説明した本発明の粘着剤にあっては、粘着力試験で測定された最大点応力が5kPa以上であるβ−1,3−グルカン誘導体を含むため、粘着性に優れる。
また、本発明の粘着剤にあっては、藻類、菌類等によって生産される多糖類であるβ−1,3−グルカンを原料とできるため、環境負荷が小さい。
また、β−1,3−グルカンにアシル基を導入したβ−1,3−グルカン誘導体は、(i)分子鎖の並びが乱れることによって分子鎖間相互作用が弱められるとともに、(ii)水酸基による主鎖間水素結合の形成が少なくなることによって分子鎖間相互作用が弱められるため、熱可塑性に優れるとともに常温において粘着性が発現すると考えられる。
このような粘着剤は、さまざまな部材に粘着可能である。また、β−1,3−グルカン誘導体の透明性が高いことから、光学フィルム等の透明性が要求される部材の粘着剤に好適である。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<測定・評価>
H−NMR)
β−1,3−グルカン誘導体のH−NMRスペクトルは、核磁気共鳴装置(BRUKER社製、AVANCE500spectrometer)を用いて測定した。
(FT−IR)
β−1,3−グルカン誘導体のFT−IRスペクトルは、ZnSeプリズム(日本分光社製、ATR Pro400−S)を備えたフーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社製、FT/IR−480ST)を用いて測定した。
(ガラス転移温度および融点)
β−1,3−グルカン誘導体について、示差走査熱量計(DSC)(リガク社製、Thermo plus EVO II DSC8230)を用いて熱分析を行った。サンプルを走査速度10.0℃/分で25℃から230℃まで加熱した後、230℃で3分間保持した。230℃から25℃まで冷却し、5分間その温度で保持した後、同じ走査速度で250℃まで加熱した。2回目の加熱時に得られたサーモグラムを、ガラス転移温度Tgおよび融点mpの測定に用いた。
表中、mpにおける「−」は融点に相当する明瞭なピークが観測されなかったことを示す。Tgにおける「−」はガラス転移温度が観測されなかったことを示す。
(引張試験)
2枚の短冊状のポリエチレンテレフタレートフィルム(ミノルタ社製、CF−200(D)、長さ30mm、幅5mm)を、それぞれの端部(長さ10mm×幅5mm)のみが重なるように長手方向に並べ、該端部にβ−1,3−グルカン誘導体の5mgを挟み、該端部を温度100℃、圧力20MPa、時間1分の条件で熱プレスすることによって貼り合わせて短冊状の試験片を作製した。試験片を引張試験機(エー・アンド・デイ社製、万能材料試験機テンシロンRTG−1225)に取り付け、チャック間距離30mm、引張速度3mm/minの条件で試験片の長手方向に引っ張り、最大点引張強さを求めた。
(粘着力試験)
2枚のポリテトラフルオロエチレンシート(ニチアス社製、ナフロン(登録商標)PTFEシート TOMBO No.9000−S、50mm×50mm×1mm)にβ−1,3−グルカン誘導体の50mgを挟み、温度100℃、圧力10MPa、時間1分の条件で熱プレスした。1枚のポリテトラフルオロエチレンシートをはがし、β−1,3−グルカン誘導体の膜を露出させた。タックテスター(ユービーエム社製、TA−500)を用い、β−1,3−グルカン誘導体の膜に、プローブ(ステンレス鋼(JIS規格:SUS304)製、直径5mm)を温度25℃、圧力98kPa、時間10秒の条件で押し付けた後、該プローブを速度0.1mm/secの条件で引き上げ、最大点応力を求めた。5箇所について測定を行い、平均値を求めた。
(可視光領域の透過率)
2枚の顕微鏡用カバーガラス(松浪硝子工業社製、No.1S、ホウ珪酸ガラス)にβ−1,3−グルカン誘導体の10mgを挟み、これらをさらに2枚のポリテトラフルオロエチレンシート(ニチアス社製、ナフロン(登録商標)PTFEシート TOMBO No.9000−S、50mm×50mm×1mm)に挟み、温度100℃、圧力1MPa、時間1分の条件で熱プレスした。2枚のポリテトラフルオロエチレンシートを取り外し、サンプルを得た。サンプルについて可視光領域の透過率を紫外可視分光光度計(島津製作所社製、UV−2500)によって測定した。
(例1)
パラミロンミリステートの合成:
パラミロン(311mg,1.918mmol)、ミリスチン酸クロリド(1853mg,7.507mmol,パラミロンのグルコースユニットに対して4当量)、およびピリジン(30mL)からなる不均一混合溶液を窒素雰囲気下、100℃で2時間加熱撹拌した。得られた薄黄色の均一溶液を放冷することによって溶液中にゲルを生じさせた。デカンテーションでゲルを取り出し、これをメタノール(100mL)に投入して撹拌洗浄した(30分、2回)。風乾(オーバーナイト)つづいて減圧加熱乾燥(100℃、6.5時間)によって薄黄色固体のパラミロンミリステートを得た(1.334g)。
H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。Tg、mp、引張試験の最大点引張強さ、粘着力試験の最大点応力を表1に示す。可視光領域の透過率を図1に示す。
H−NMRスペクトル(CDCl):δ 4.91−3.70(m),2.35−2.21(m),1.57(brs),1.25(brs),0.88(t,J=6.9).
FT−IR(cm−1):3440,2921,2852,1747,1465,1377,1147,1052,902.
(例2)
パラミロンミリステートの合成:
ミリスチン酸クロリドの仕込量を4当量から5当量に変更した以外は、例1と同様の方法でパラミロンミリステートを得た。
H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。Tg、mp、引張試験の最大点引張強さ、粘着力試験の最大点応力を表1に示す。可視光領域の透過率を図1に示す。
H−NMRスペクトル(CDCl):δ 4.85−3.52(m),2.30−2.24(m),1.55(brs),1.26(brs),0.88(t,J=6.9).
FT−IR(cm−1):2921,2852,1748,1465,1376,1145,1056,912.
(例3)
パラミロンミリステートの合成:
ミリスチン酸クロリドの仕込量を4当量から6当量に変更した以外は、例1と同様の方法でパラミロンミリステートを得た。
H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。Tg、mp、引張試験の最大点引張強さ、粘着力試験の最大点応力を表1に示す。可視光領域の透過率を図1に示す。
H−NMRスペクトル(CDCl):δ 4.87−3.55(m),2.25(m),1.57(brs),1.26(brs),0.88(t,J=6.9).
FT−IR(cm−1):3260,2918,2849,1749,1651,1648,1474,1463,1388,1379,1146,1054,889.
(例4)
パラミロンミリステートの合成:
ミリスチン酸クロリドの仕込量を4当量から7当量に変更した以外は、例1と同様の方法でパラミロンミリステートを得た。
H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。Tg、mp、引張試験の最大点引張強さ、粘着力試験の最大点応力を表1に示す。可視光領域の透過率を図1に示す。
H−NMRスペクトル(CDCl):δ 4.87−3.50(m),2.37−2.00(m),1.57(brs),1.25(brs),0.88(t,J=6.9).
FT−IR(cm−1):2915,2848,1748,1703,1463,1380,1146,1061,719.
(例5)
パラミロンミリステートの合成:
ミリスチン酸クロリドの仕込量を4当量から8当量に変更した以外は、例1と同様の方法でパラミロンミリステートを得た。
H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。Tg、mp、引張試験の最大点引張強さ、粘着力試験の最大点応力を表1に示す。可視光領域の透過率を図1に示す。
H−NMRスペクトル(CDCl):δ 4.87−3.52(m),2.37−2.11(m),1.81(brs),1.57(brs),1.25(brs),0.88(t,J=6.9).
FT−IR(cm−1):3285,2919,2849,1748,1650,1474,1464,1377,1145,1056,904.
(例6)
パラミロンミリステートの合成:
ミリスチン酸クロリドの仕込量を4当量から12当量に変更した以外は、例1と同様の方法でパラミロンミリステートを得た。
H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。Tg、mp、引張試験の最大点引張強さ、粘着力試験の最大点応力を表1に示す。可視光領域の透過率を図1に示す。
H−NMRスペクトル(CDCl):δ 4.76−3.52(m),2.35(m),1.57(brs),1.25(brs),0.88(t,J=6.9).
FT−IR(cm−1):2915,2848,1712,1704,1463,1380,1073,1070,719.
Figure 2018154723
例1〜6のパラミロンミリステートは、引張試験の最大点引張強さが高く、ホットメルト接着剤として用いることができることが確認された。また、例1〜6のパラミロンミリステートは、粘着力試験の最大点応力が高く、粘着剤として用いることができることが確認された。
(例7)
パラミロンパルミテートの合成:
パラミロン(311mg,1.918mmol)、パルミチン酸クロリド(2020mg,7.349mmol,パラミロンのグルコースユニットに対して4当量)、およびピリジン(30mL)からなる不均一混合溶液を窒素雰囲気下、100℃で2時間加熱撹拌した。得られた薄黄色の均一溶液を放冷することによって溶液中にゲルを生じさせた。デカンテーションでゲルを取り出し、これをメタノール(100mL)に投入して撹拌洗浄した(30分、2回)。風乾(オーバーナイト)つづいて減圧加熱乾燥(100℃、6.5時間)によって薄黄色固体のパラミロンパルミテートを得た(1.392g)。
H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。Tg、mp、引張試験の最大点引張強さ、粘着力試験の最大点応力を表2に示す。可視光領域の透過率を図2に示す。
H−NMRスペクトル(CDCl):δ 4.88−3.52(m),2.30(m),1.58(brs),1.26(brs),0.88(t,J=6.9).
FT−IR(cm−1):3475,2920,2850,1746,1465,1375,1148,1057,880,721.
(例8)
パラミロンパルミテートの合成:
パルミチン酸クロリドの仕込量を4当量から5当量に変更した以外は、例7と同様の方法でパラミロンパルミテートを得た。
H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。Tg、mp、引張試験の最大点引張強さ、粘着力試験の最大点応力を表2に示す。可視光領域の透過率を図2に示す。
H−NMRスペクトル(CDCl):δ 4.76−3.52(m),2.25(m),1.57(m),1.26(brs),0.88(t,J=6.9).
FT−IR(cm−1):2920,2851,1748,1467,1365,1145,1055,889,722.
(例9)
パラミロンパルミテートの合成:
パルミチン酸クロリドの仕込量を4当量から6当量に変更した以外は、例7と同様の方法でパラミロンパルミテートを得た。
H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。Tg、mp、引張試験の最大点引張強さ、粘着力試験の最大点応力を表2に示す。可視光領域の透過率を図2に示す。
H−NMRスペクトル(CDCl):δ 4.76−3.52(m),2.29−2.25(m),1.66−1.57(m),1.26(brs),0.88(t,J=6.9).
FT−IR(cm−1):2919,2850,1747,1466,1366,1146,1059,894,721.
(例10)
パラミロンパルミテートの合成:
パルミチン酸クロリドの仕込量を4当量から12当量に変更した以外は、例7と同様の方法でパラミロンパルミテートを得た。
H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。Tg、mp、引張試験の最大点引張強さ、粘着力試験の最大点応力を表2に示す。可視光領域の透過率を図2に示す。
H−NMRスペクトル(CDCl):δ 4.92−3.52(m),2.35−2.30(m),1.57−1.49(m),1.28(brs),0.88(t,J=6.9).
FT−IR(cm−1):2918,2849,1747,1706,1465,1377,1145,1060,889,720.
Figure 2018154723
例7〜10のパラミロンパルミテートは、引張試験の最大点引張強さが高く、ホットメルト接着剤として用いることができることが確認された。また、例7〜9のパラミロンパルミテートは、粘着力試験の最大点応力が高く、粘着剤として用いることができることが確認された。
(例11)
パラミロン(303mg,1.869mmol)、ステアリン酸クロリド(2826mg,9.329mmol,パラミロンのグルコースユニットに対して5当量)、およびピリジン(30mL)からなる不均一混合溶液を窒素雰囲気下、100℃で2時間加熱撹拌した。得られた薄黄色の均一溶液を放冷することによって溶液中にゲルを生じさせた。デカンテーションでゲルを取り出し、これをエタノール(100mL)に投入して撹拌洗浄した(30分、2回)。得られた固体をクロロホルム50mLに溶解し、得られた均一溶液をメタノール200mLに投入して白沈を得た。風乾(オーバーナイト)つづいて減圧加熱乾燥(100℃、5時間)によって白色固体のパラミロンステアレートを得た(1.652g)。
H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。Tg、mp、引張試験の最大点引張強さ、粘着力試験の最大点応力を表3に示す。可視光領域の透過率を図3に示す。
H−NMRスペクトル(CDCl):δ 4.75−3.52(m),2.25(m),1.58(m),1.26(brs),0.88(t,J=6.9).
FT−IR(cm−1):3451,2919,2851,1746,1466,1370,1152,1053,912,719.
(例12)
パラミロンステアレートの合成:
ステアリン酸クロリドの仕込量を5当量から12当量に変更した以外は、例11と同様の方法でパラミロンステアレートを得た。
H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。Tg、mp、引張試験の最大点引張強さ、粘着力試験の最大点応力を表3に示す。可視光領域の透過率を図3に示す。
H−NMRスペクトル(CDCl):δ 4.86−3.52(m),2.36−2.25(m),1.57(m),1.26(brs),0.88(t,J=6.9).
FT−IR(cm−1):2917,2849,1748,1705,1465,1378,1146,1061,875,720.
Figure 2018154723
例11、12のパラミロンステアレートは、引張試験の最大点引張強さが高く、ホットメルト接着剤として用いることができることが確認された。
(例13)
パラミロン(303mg,1.869mmol)、ステアリン酸クロリド(2803mg,9.253mmol,カードランのグルコースユニットに対して5当量)、およびピリジン(30mL)からなる不均一混合溶液を窒素雰囲気下、100℃で2時間加熱撹拌した。得られた薄黄色の均一溶液を放冷することによって溶液中にゲルを生じさせた。デカンテーションでゲルを取り出し、これをエタノール(100mL)に投入して撹拌洗浄した(30分、2回)。得られた固体をクロロホルム50mLに溶解し、得られた均一溶液をメタノール200mLに投入して白沈を得た。風乾(オーバーナイト)つづいて減圧加熱乾燥(100℃、5時間)によって白色固体のカードランステアレートを得た(1.194g)。
H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。Tg、mp、引張試験の最大点引張強さ、粘着力試験の最大点応力を表4に示す。可視光領域の透過率を図4に示す。
H−NMRスペクトル(CDCl):δ 5.06−3.52(m),2.29(m),1.55(m),1.26(brs),0.88(t,J=6.9).
FT−IR(cm−1):3471,2920,2851,1745,1457,1375,1093,1077,899,720.
(例14)
カードランステアレートの合成:
ステアリン酸クロリドの仕込量を5当量から12当量に変更した以外は、例13と同様の方法でカードランステアレートを得た。
H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。Tg、mp、引張試験の最大点引張強さ、粘着力試験の最大点応力を表4に示す。可視光領域の透過率を図4に示す。
H−NMRスペクトル(CDCl):δ 4.86−3.52(m),2.39−2.22(m),1.56(m),1.26(brs),0.88(t,J=6.9).
FT−IR(cm−1):2916,2849,1748,1699,1466,1375,1151,1059, 720.
Figure 2018154723
例13、14のカードランステアレートは、引張試験の最大点引張強さが高く、ホットメルト接着剤として用いることができることが確認された。
(例15)
溶解パルプ(307mg,1.893mmol)、ステアリン酸クロリド(2817mg,9.299mmol,セルロースのグルコースユニットに対して5当量)、およびピリジン(30mL)からなる不均一混合溶液を窒素雰囲気下、100℃で3時間加熱撹拌した。得られた薄黄色の均一溶液を放冷後にエタノール(100mL)に投入して沈殿を得た。得られた沈殿をエタノール200mLに分散して撹拌洗浄した(30分、1回)。デカンテーションで上澄液を分離後、沈殿をクロロホルム50mLに分散して室温で撹拌した。得られた均一溶液をメタノール200mLに投入して白沈を得た。風乾(オーバーナイト)つづいて減圧加熱乾燥(100℃、5時間)によって白色粉末状のセルロースステアレートを得た(1.357g)。
H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。Tg、mp、引張試験の最大点引張強さ、粘着力試験の最大点応力を表5に示す。可視光領域の透過率を図5に示す。
H−NMRスペクトル(CDCl):δ 5.10−3.52(m),2.35−2.28(m),1.56(m),1.26(brs),0.88(t,J=6.9).
FT−IR(cm−1):3567,2917,2849,1746,1467,1382,1376,1158,1079,1065,981,720.
(例16)
セルロースステアレートの合成:
ステアリン酸クロリドの仕込量を5当量から12当量に変更した以外は、例15と同様の方法でセルロースステアレートを得た。
H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルによって、反応生成物を同定した。Tg、mp、引張試験の最大点引張強さ、粘着力試験の最大点応力を表5に示す。可視光領域の透過率を図5に示す。
H−NMRスペクトル(CDCl):δ 5.06−3.52(m),2.34(m),1.62(m),1.26(brs),0.88(t,J=6.9).
FT−IR(cm−1):2916,2848,1704,1699,1464,1385,1379,1156,1064,890,720.
Figure 2018154723
例15、16のセルロースステアレートは、引張試験の最大点引張強さが高く、ホットメルト接着剤として用いることができることが確認された。
本発明の接着剤および粘着剤は、環境負荷の小さい接着剤および粘着剤として有用であり、特に、光学フィルム等の透明性が要求される部材の接着剤および粘着剤として有用である。

Claims (3)

  1. β−1,3−グルカンにアシル基を導入したβ−1,3−グルカン誘導体であり、下記引張試験で測定された最大点引張強さが10N以上であるβ−1,3−グルカン誘導体を含む、接着剤。
    引張試験:2枚の短冊状のポリエチレンテレフタレートフィルム(長さ30mm、幅5mm)を、それぞれの端部(長さ10mm×幅5mm)のみが重なるように長手方向に並べ、該端部にβ−1,3−グルカン誘導体の5mgを挟み、該端部を温度100℃、圧力20MPa、時間1分の条件で熱プレスすることによって貼り合わせて短冊状の試験片を作製する。試験片を引張試験機に取り付け、チャック間距離30mm、引張速度3mm/minの条件で試験片の長手方向に引っ張り、最大点引張強さを求める。
  2. ホットメルト接着剤である、請求項1に記載の接着剤。
  3. β−1,3−グルカンにアシル基を導入したβ−1,3−グルカン誘導体であり、下記粘着力試験で測定された最大点応力が5kPa以上であるβ−1,3−グルカン誘導体を含む、粘着剤。
    粘着力試験:2枚のポリテトラフルオロエチレンシートにβ−1,3−グルカン誘導体の50mgを挟み、温度100℃、圧力10MPa、時間1分の条件で熱プレスする。1枚のポリテトラフルオロエチレンシートをはがし、β−1,3−グルカン誘導体の膜を露出させる。β−1,3−グルカン誘導体の膜に、プローブ(ステンレス鋼(JIS規格:SUS304)製、直径5mm)を温度25℃、圧力98kPa、時間10秒の条件で押し付けた後、該プローブを速度0.1mm/secの条件で引き上げ、最大点応力を求める。5箇所について測定を行い、平均値を求める。
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