JP2011225787A - セルロース誘導体、樹脂組成物、及び溶剤系接着剤 - Google Patents

セルロース誘導体、樹脂組成物、及び溶剤系接着剤 Download PDF

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清隆 深川
Shinichi Hashimoto
真一 橋本
Hiroshi Nozoe
寛 野副
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Abstract

【課題】カーボンニュートラルな材料である新規なセルロース誘導体であり、有機溶剤に対する溶解性に優れ、高い耐水性を有するセルロース誘導体及びそれらの新規な用途である溶剤系接着剤及び該溶剤系接着剤に有用な、セルロース誘導体を含む樹脂組成物を提供する。
【解決手段】セルロースに含まれる水酸基の水素原子が、
下記A)で置換された基を少なくとも1つ、及び
下記B)で置換された基を少なくとも1つ
を有し、かつ、数平均分子量が1000〜80,000であるセルロース誘導体。
A)下記一般式(1)で表される構造を含む基
B)アシル基:−CO−RB(RBは炭素数1〜3の炭化水素基を表す。)
Figure 2011225787

(一般式(1)中、nは2又は3を表し、RAは炭素数1〜3の炭化水素基を表す)
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なセルロース誘導体、樹脂組成物及び溶剤系接着剤に関する。
従来、溶剤系接着剤には石油を原料として得られる各種合成樹脂が使用されている。例えば、ポリエステル、酢酸ビニル、塩化ビニルなどが用いられている。ところで、石油、石炭、天然ガス等の化石資源は、長年月の間、地中に固定されてきた炭素を主成分とするものである。このような化石資源、又は化石資源を原料とする製品を燃焼させて、二酸化炭素が大気中に放出された場合には、本来、大気中に存在せずに地中深くに固定されていた炭素を二酸化炭素として急激に放出することになり、大気中の二酸化炭素が大きく増加し、これが地球温暖化の原因となっている。したがって、化石資源である石油を原料とする前述の樹脂は、接着性としては、優れた特性を有するものであるものの、化石資源である石油を原料とするものであるため、地球温暖化の防止の観点からは、その使用量の低減が望ましい。
一方、植物由来の樹脂は、元々、植物が大気中の二酸化炭素と水とを原料として光合成反応によって生成したものである。そのため、植物由来の樹脂を焼却して二酸化炭素が発生しても、その二酸化炭素は元々、大気中にあった二酸化炭素に相当するものであるから、大気中の二酸化炭素の収支はプラスマイナスゼロとなり、結局、大気中のCOの総量を増加させない、という考え方がある。このような考えから、植物由来の樹脂は、いわゆる「カーボンニュートラル」な材料と称されている。石油由来の樹脂に代わって、カーボンニュートラルな材料を用いることは、近年の地球温暖化を防止する上で急務となっている。
セルロース誘導体について、エーテル結合とエステル結合を含むようなセルロース誘導体が開示されている(特許文献1)。また、導入するアシル基のアルキル鎖長の長いセルロース誘導体も開示されている(特許文献2,3)。
そして、カーボンニュートラルの観点から、植物由来の樹脂として、脂肪族系ポリエステル系樹脂、特にポリ乳酸系樹脂などが盛んに検討されている。この樹脂の用途の一例として、接着剤や粘着剤などが開示されている(例えば、特許文献4)。
しかしながら、ポリ乳酸は、耐加水分解性が低いという大きな欠点がある。ポリ乳酸の加水分解連鎖反応は、分子鎖末端のカルボキシル基が引き金となって起こり、高温・多湿環境下で著しく進行し、それに起因して分子量、強度などの物性が低下する。そのため、そのような高温・多湿環境下で接着性を保ち続けるには限界があり、接着剤として不適である。
また、水性高分子エマルジョンと、疎水化された水溶性ヒドロキシエチルセルロースを含む水性接着剤が開示されている(特許文献5)。
特開2007−99876号公報 特許第3973904号公報 特開平5−255401号公報 特許第4092924号公報 特開平10−36798号公報
本発明者らは、カーボンニュートラルな溶剤系接着剤として、セルロース誘導体を使用することに着目した。
特許文献2及び3に記載のセルロース誘導体は、いずれも界面活性剤として用いており、油だけではなく水への親和性もよいため、耐水性が求められる接着剤用途としては不適であった。
また、特許文献1に記載のセルロース誘導体は、分子量が高いために酢酸エチル等の溶剤に溶けにくく、溶剤接着剤として用いるには好適ではない。
一方、従来のセルロース形接着剤としてはニトロセルロースが挙げられるが、耐水性が悪く、更に可燃性であることや変色しやすいことから、他の合成樹脂系接着剤と比べ、用途が制限される。
そして、セルロースは酸素原子含率が高いため親水性であり、特許文献5に記載の水性接着剤にあっても耐水性が求められる用途への利用には接着性が十分でなかった。
本発明の目的は、カーボンニュートラルな材料である新規なセルロース誘導体であり、有機溶剤に対する溶解性に優れ、高い耐水性を有するセルロース誘導体及びそれらの新規な用途である溶剤系接着剤及び該溶剤系接着剤に有用な、セルロース誘導体を含む樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、セルロースの分子構造に着目し、セルロースの中でも特定構造のセルロース誘導体は有効な耐水性を発揮でき、更に、そのセルロース誘導体は溶剤系接着剤として好適な溶剤溶解性を有していることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題は以下の手段により達成することができる。
〔1〕
セルロースに含まれる水酸基の水素原子が、
下記A)で置換された基を少なくとも1つ、及び
下記B)で置換された基を少なくとも1つ
を有し、かつ、数平均分子量が1000〜80,000であるセルロース誘導体。
A)下記一般式(1)で表される構造を含む基
B)アシル基:−CO−RB(RBは炭素数1〜3の炭化水素基を表す。)
Figure 2011225787
(一般式(1)中、nは2又は3を表し、RAは炭素数1〜3の炭化水素基を表す)
〔2〕
前記一般式(1)のnが2である、〔1〕に記載のセルロース誘導体
〔3〕
前記RA及びRBが、それぞれ独立にメチル基又はエチル基である、〔1〕又は〔2〕に記載のセルロース誘導体。
〔4〕
前記RA及びRBが、ともにメチル基である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一つに記載のセルロース誘導体。
〔5〕
前記セルロース誘導体が、アルコキシ基を実質的に含まない〔1〕〜〔4〕のいずれか一つに記載のセルロース誘導体。
〔6〕
前記セルロース誘導体の数平均分子量が3,000〜50,000である、〔1〕〜〔5〕のいずれか一つに記載のセルロース誘導体。
〔7〕
前記セルロース誘導体の数平均分子量が3,000〜30,000である、〔1〕〜〔6〕のいずれか一つに記載のセルロース誘導体。
〔8〕
前記セルロース誘導体が、ヒドロキシアルキルセルロースをアシル化することにより得られる、〔1〕〜〔7〕のいずれか一つに記載のセルロース誘導体。
〔9〕
〔1〕〜〔8〕のいずれか一つに記載のセルロース誘導体を含有する樹脂組成物。
〔10〕
〔9〕に記載の樹脂組成物を含む溶剤系接着剤。
本発明により、有機溶剤に対する溶解性に優れ、高い耐水性を有するセルロース誘導体及び樹脂組成物が得られる。該樹脂組成物を含む溶剤系接着剤は十分な接着力を有しており、更に、植物由来の接着剤であるため、温暖化防止に貢献できる素材として、従来の石油由来の接着剤に代替できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
〔セルロース誘導体〕
本発明のセルロース誘導体は、
セルロースに含まれる水酸基の水素原子が、
下記A)で置換された基を少なくとも1つ、及び
下記B)で置換された基を少なくとも1つ
を有し、かつ、数平均分子量が1000〜80,000である。
A)下記一般式(1)で表される構造を含む基
B)アシル基:−CO−R(Rは炭素数1〜3の炭化水素基を表す。)
Figure 2011225787
(一般式(1)中、nは2又は3を表し、Rは炭素数1〜3の炭化水素基を表す)
すなわち、本発明におけるセルロース誘導体は、セルロース{(C10}に含まれる水酸基の水素原子の少なくとも一部が、前記A)一般式(1)で表される構造を含む基、及び前記B)アシル基(−CO−R)により置換されている。
より詳細には、本発明におけるセルロース誘導体は、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する。
一般式(2)
Figure 2011225787
上記式において、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、A)一般式(1)で表される構造を含む基、及びB)アシル基(−CO−R)を表す。nは2又は3を示し、R及びRは、炭素数1〜3の炭化水素基を表す。但し、R、R、及びRの少なくとも一部が一般式(1)で表される構造を含む基を表し、R、R、及びRの少なくとも一部がアシル基(−CO−R)を表す。
本発明のセルロース誘導体は、上記のようにβ−グルコース環の水酸基の少なくとも一部がA)一般式(1)で表される構造を含む基、及びB)アシル基(−CO−R)によってエーテル化及びエステル化されていることにより、疎水化することができる。
更には、セルロースは完全な植物由来成分であるため、カーボンニュートラルであり、環境に対する負荷を大幅に低減することができる。
なお、本発明にいう「セルロース」とは、多数のグルコースがβ−1,4−グリコシド結合によって結合した高分子化合物であって、セルロースのグルコース環における2位、3位、6位の炭素原子に結合している水酸基が無置換であるものを意味する。また、「セルロースに含まれる水酸基」とは、セルロースのグルコース環における2位、3位、6位の炭素原子に結合している水酸基を指す。
前記セルロース誘導体は、その全体のいずれかの部分に前記A)一般式(1)で表される構造を含む基、及びB)アシル基(−CO−R)を含んでいればよく、同一の繰り返し単位からなるものであってもよいし、複数の種類の繰り返し単位からなるものであってもよい。また、前記セルロース誘導体は、ひとつの繰り返し単位において前記A)〜B)の置換基をすべて含有する必要はない。
より具体的な態様としては、例えばセルロース誘導体が有する脂肪族オキシ基が2種である場合、以下の態様が挙げられる。
(1)R、R及びRの一部が、A)一般式(1)で表される構造を含む基で置換されている繰り返し単位と、R、R及びRの一部が、B)アシル基(−CO−R)で置換されている繰り返し単位、から構成されるセルロース誘導体。
(2)ひとつの繰り返し単位のR、R及びRのいずれかがA)一般式(1)で表される構造を含む基及びB)アシル基(−CO−R)で置換されている(すなわち、ひとつの繰り返し単位中に前記A)又はB)の置換基をすべて有する)同種の繰り返し単位から構成されるセルロース誘導体。
(3)置換位置や置換基の種類が異なる繰り返し単位が、ランダムに結合しているセルロース誘導体。
また、セルロース誘導体の一部には、無置換の繰り返し単位(すなわち、前記一般式(1)において、R、R及びRすべてが水素原子である繰り返し単位)を含んでいてもよい。
前記A)一般式(1)で表される構造を含む基において、Rは炭素数1〜3の炭化水素基を表す。Rは、直鎖、分岐のいずれでもよく、不飽和結合を持っていてもよい。
としては、例えばアルキル基である。アルキル基としては、具体的には炭素数1〜3のアルキル基であり、好ましくはメチル基又はエチル基であり、より好ましくはメチル基である。
nは2であることが好ましい。
前記A)一般式(1)で表される構造を含む基は、アルキレンオキシ基を複数含んでいてもよいし、1つだけ含むものであってもよい。より具体的には前記A)の基は、下記一般式(1’)で表すことができる。
一般式(1’)
Figure 2011225787
(一般式(1’)中、R及びnは一般式(1)におけるR及びnと同義であり、好ましい範囲も同様である。n’は1以上の整数である。)
n’の上限は特に限定されず、アルキレンオキシ基の導入量等により変わるが、例えば10程度である。
本発明のセルロース誘導体において、A)一般式(1)で表される構造を含む基としては、アルキレンオキシ基を1つだけ含む基(上記式一般式(1’)においてn’が1である基)と、アルキレンオキシ基を2以上含む基(上記一般式(1’)においてn’が2以上である基)とが混合して含まれていてもよい。
B)アシル基(−CO−R)において、Rは炭素数1〜3の炭化水素基を表す。Rが表す炭化水素基としては、前記Rで挙げたものと同様のものを適用することができる。Rの好ましい範囲も前記Rと同様である。
A及びRBが、それぞれ独立にメチル基又はエチル基であることが好ましく、RA及びRBが、ともにメチル基であることがより好ましい。
また、セルロース誘導体は、アルコキシ基を実質的に含まないことが好ましい。セルロース誘導体がアルコキシ基を実質的に含まないことにより、本発明のセルロース誘導体の水不溶性を更に向上させることができる。
これは、例えばアルコキシ基を含んだ場合には、アルコキシ基を有するセルロースエーテルが一般的に高い吸湿性を示すためである。例えば、メチルセルロースは水に溶解する。また、アルコキシ基が、疎水基であるアシル基を容易に導入できる水酸基を有していないためである。これらのことから、本発明の溶剤系接着剤用途として用いるには、アルコキシ基を実質的に含まないセルロース誘導体が耐水性に優れるため好ましい。
なお、「アルコキシ基を実質的に含まない」とは、本発明におけるセルロース誘導体が全くアルコキシ基を含まない場合のみならず、本発明におけるセルロース誘導体が微量のアルコキシ基を有する場合を包含するものとする。例えば、原料であるセルロースにアルコキシ基が含まれる場合があり、これを用いて前記A)〜C)の置換基を導入したセルロース誘導体はアルコキシ基が含まれる場合があるが、これは「アルコキシ基を実質的に含まない」に含まれるものとする。
この場合、アルコキシ基の好ましい含有量としては、アルコキシ基の置換度で0.1以下、より好ましくは0.05以下である。なお、アルコキシ基の置換度は後述の方法に従って、H−NMRにより定量することができる。
本発明のセルロース誘導体は溶剤系接着剤に有用である。
本発明のセルロース誘導体は溶剤溶解性に優れるため、溶剤系接着剤に用いることができる。更に、本発明のセルロース誘導体は耐水性に優れ、溶剤系接着剤として用いる場合は、セルロース誘導体が水に溶解してしまい、接着効果が失われることを防ぐことができる。
セルロース誘導体中のA)一般式(1)で表される構造を含む基及びB)アシル基(−CO−R)の置換位置、並びにβ−グルコース環単位当たりの各置換基の数(置換度)は特に限定されない。
例えば、A)一般式(1)で表される構造を含む基の置換度DSa(繰り返し単位中、β−グルコース環のセルロース構造の2位、3位及び6位の水酸基に対するA)アシル基とアルキレンオキシ基を含む基の数)は、0<DSaであることが好ましい。0<DSaであることにより、耐水性を付与することができる。
B)アシル基(−CO−R)の置換度DSb(繰り返し単位中、β−グルコース環のセルロース構造の2位、3位及び6位の水酸基に対するB)アシル基の数)は、0.1<DSbであることが好ましく、0.1<DSb<2.0であることがより好ましい。
また、セルロース誘導体中に存在する無置換の水酸基の数も特に限定されない。水素原子の置換度DSh(重合単位中、2位、3位及び6位の水酸基が無置換である割合)は0〜1.5の範囲とすることができ、好ましくは0〜0.6とすることができる。DShを0.6以下とすることにより、溶剤系接着剤の吸水による剥離の発生を抑制することができる。
また、本発明におけるセルロース誘導体は、前記A)一般式(1)で表される構造を含む基、及びB)アシル基(−CO−R)以外の置換基を有しても良い。有してもよい置換基の例としては、例えばヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシエトキシエチル基、ヒドロキシエトキシエトキシエチル基、が挙げられる。よって、セルロース誘導体が有するすべての置換基の各置換度の総和は3であるが、(DSa+DSb+DSh)は3以下である。また、耐水性と有機溶剤溶解性の観点から、DSa+DSbは2.0〜3.0であることが好ましく、2.5〜3.0であることがより好ましい。
本発明におけるセルロース誘導体は、前記A)一般式(1)で表される構造を含む基、及びB)アシル基(−CO−R)以外の置換基として、炭化水素基を含まないことが好ましい。これは炭化水素基を含む構造では、耐水性が著しく低下してしまうことによる。
また、前記A)一般式(1)で表される構造を含む基におけるアルキレンオキシ基の導入量はモル置換度(MS:グルコース残基あたりの置換基の導入モル数)で表される(セルロース学会編集、セルロース辞典P142)。アルキレンオキシ基のモル置換度MSは、0<MSであることが好ましく、1.5≦MSであることがより好ましい。MSが1.5以上(1.5≦MS)であることにより、各種有機溶剤に対する溶解性を向上させることができ、溶剤系接着剤に好適なセルロース誘導体が得られる。MSの上限値としては6であることが好ましい。有機溶剤溶解性の観点で、MSが1〜6であることが好ましく、1.5〜3であることがより好ましい。
本発明のセルロース誘導体の分子量は、数平均分子量(Mn)が1,000〜80,000の範囲であり、3000〜50,000の範囲が好ましく、3000〜30,000の範囲が最も好ましい。また、質量平均分子量(Mw)は、2,000〜800,000の範囲でが好ましく、5,000〜300,000の範囲がより好ましく、5,000〜150,000が最も好ましい。この範囲の平均分子量とすることにより、各種有機溶剤に対する溶解性を向上させることができる。
分子量分布(MWD)は1.1〜10の範囲が好ましく、1.5〜6の範囲が更に好ましく、1.5〜5の範囲が最も好ましい。この範囲の分子量分布とすることにより、各種有機溶剤に対する溶解性を向上させることができる。
本発明における、数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)及び分子量分布(MWD)の測定は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて行うことができる。具体的には、N−メチルピロリドンを溶媒とし、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から予め求められた換算分子量較正曲線を用いて求めることができる。
セルロース誘導体の重合度は、3〜200の範囲が好ましい。この範囲の重合度とすることにより、各種有機溶剤に対する溶解性を向上させることができる。
〔セルロース誘導体の製造方法〕
本発明におけるセルロース誘導体の製造方法は特に限定されず、セルロースを原料とし、セルロースに対しエーテル化及びエステル化することにより本発明のセルロース誘導体を製造することができる。セルロースの原料としては限定的でなく、例えば、綿、リンター、パルプ等が挙げられる。
好ましい製造方法の態様は、例えば、ヒドロキシアルキル基:−C2n−OHを有するセルロースエーテルに例えば酸クロライド又は酸無水物等を反応させることにより、エステル化(アシル化)する工程を含む方法によって行うものである。
また、別の態様として、セルロースにアルキレンオキサイドを作用させた後、更に酸クロライド又は酸無水物等を反応させることにより、エステル化する工程を含む方法も挙げられる。
酸クロライドを反応させる方法としては、例えばCellulose 10;283−296,2003に記載の方法を用いることができる。
本発明におけるセルロース誘導体はヒドロキシアルキルセルロースをアシル化することにより得ることが好ましく、ヒドロキシアルキル基を有するセルロースエーテルとしては、具体的には、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。好ましくは、ヒドロキシエチルセルロースである。
酸クロリドとしては、前記A)に含まれるアシル基及びB)アシル基に対応したカルボン酸クロライドを使用することができる。カルボン酸クロリドとしては、例えば、アセチルクロライド、プロピオニルクロライド、ブチリルクロリド、イソブチリルクロリド等が挙げられる。
酸無水物としては、例えば前記A)に含まれるアシル基及びB)アシル基に対応したカルボン酸無水物を使用することができる。このようなカルボン酸無水物としては、例えば、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、酪酸無水物等が挙げられる。
そのほかの具体的な製造条件等は、常法に従うことができる。例えば、「セルロースの事典」131頁〜164頁(朝倉書店、2000年)等に記載の方法を参考にすることができる。
〔樹脂組成物〕
本発明の樹脂組成物は本発明のセルロース誘導体を含有する。本発明のセルロース誘導体を1種のみ含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。
本発明の樹脂組成物は、溶剤系接着剤に用いられることが好ましい。樹脂組成物は上記で説明したセルロース誘導体を含有しており、溶剤系接着剤に用いる場合、耐水性や溶解性、接着面の機械的強度をより一層改善する目的で他の成分を含んでいてもよい。
樹脂組成物に含まれる一般式(1)で表されるセルロース誘導体の割合は、好ましくはセルロース誘導体を50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80〜100質量%である。
樹脂組成物に含まれる他の成分の割合は、特に限定されない。
他の成分としては例えば、樹脂組成物の用途に応じて、前記セルロース誘導体以外のポリマー、可塑剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、離型剤(脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族部分鹸化エステル、パラフィン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、変成シリコーン)、難燃助剤、加工助剤、抗菌剤、防カビ剤等が挙げられる。更に、染料や顔料を含む着色剤などを添加することもできる。
前記セルロース誘導体以外のポリマーとしては、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマーのいずれも用い得るが、接着性の点から熱可塑性ポリマーが好ましい。セルロース誘導体以外のポリマーの具体例としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンコポリマー(エチレン−プロピレンブロックコポリマーなど)、ポリブテン−1及びポリ−4−メチルペンテン−1等のポリオレフィン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート及びその他の芳香族ポリエステル等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン12等のポリアミド、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ポリアセタール(ホモポリマー及び共重合体を含む)、ポリウレタン、芳香族及び脂肪族ポリケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性澱粉樹脂、ポリメタクリル酸メチルやメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル樹脂、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、ABS樹脂、AES樹脂(エチレン系ゴム強化AS樹脂)、ACS樹脂(塩素化ポリエチレン強化AS樹脂)、ASA樹脂(アクリル系ゴム強化AS樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ビニルエステル系樹脂、無水マレイン酸−スチレン共重合体、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド等の熱可塑性ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などのフッ素系ポリマー、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリイミドなどを挙げることができる。
また、各種アクリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体及びそのアルカリ金属塩(いわゆるアイオノマー)、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体(例えば、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体)、ジエン系ゴム(例えば、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン)、ジエンとビニル単量体との共重合体(例えば、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリブタジエンにスチレンをグラフト共重合させたもの、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体)、ポリイソブチレン、イソブチレンとブタジエン又はイソプレンとの共重合体、ブチルゴム、天然ゴム、チオコールゴム、多硫化ゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、ポリエーテルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、その他ポリウレタン系やポリエステル系、ポリアミド系などの熱可塑性エラストマー等も挙げられ、常温(10〜50℃)で軟化しない範囲で含有することができる。
更に、各種の架橋度を有するものや、各種のミクロ構造、例えばシス構造、トランス構造等を有するもの、ビニル基などを有するもの、あるいは各種の平均粒径を有するものや、コア層とそれを覆う1以上のシェル層から構成され、また隣接し合った層が異種の重合体から構成されるいわゆるコアシェルゴムと呼ばれる多層構造重合体なども使用することができ、更にシリコーン化合物を含有したコアシェルゴムも使用することができる。
これらのポリマーは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
〔溶剤系接着剤〕
本発明の溶剤系接着剤は、前記一般式(1)で表されるセルロース誘導体を含有する。本発明の樹脂組成物を含むものであってもよい。また、耐水性や溶解性、接着面の機械的強度をより一層改善する目的で他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、前記樹脂組成物が含んでいてもよいものを挙げることができる。
溶剤系接着剤に含まれる一般式(1)で表されるセルロース誘導体の割合は、溶剤系接着剤全量に対し、好ましくはセルロース誘導体を1〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%である。
溶剤系接着剤に含まれる他の成分の割合は、特に限定されない。溶剤系接着剤中の固形分中のセルロース誘導体の割合は、溶剤系接着剤全量に対し、好ましくはセルロース誘導体を50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80〜100質量%である。
本発明の溶剤系接着剤は、溶剤を含むことが好ましく、溶剤としては酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロヘキサン等の有機溶剤を挙げることができ、アセトン、酢酸エチルが好ましい。これらの溶剤は2種以上を混合して用いてもよい。
溶剤系接着剤における固形分濃度は、初期接着性を損わない範囲で選択でき、例えば、固形分濃度1〜75質量%、好ましくは3〜50質量%、更に好ましくは5〜40質量%程度である。
本発明の溶剤系接着剤は、可塑剤を含有してもよい。これにより、接着性や粘度を任意に調整することができる。可塑剤としては、例えば、ポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤及びエポキシ系可塑剤等が挙げられる。
ポリエステル系可塑剤の具体例としては、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ロジンなどの酸成分と、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのジオール成分からなるポリエステルや、ポリカプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル等が挙げられる。これらのポリエステルは単官能カルボン酸若しくは単官能アルコールで末端封鎖されていてもよく、またエポキシ化合物などで末端封鎖されていてもよい。
グリセリン系可塑剤の具体例としては、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレート及びグリセリンモノアセトモノモンタネート等が挙げられる。
多価カルボン酸系可塑剤の具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸エステル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリヘキシルなどのトリメリット酸エステル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸n−オクチル−n−デシル、アジピン酸メチルジグリコールブチルジグリコール、アジピン酸ベンジルメチルジグリコール、アジピン酸ベンジルブチルジグリコールなどのアジピン酸エステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、及びセバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等が挙げられる。
ポリアルキレングリコール系可塑剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロック及び/又はランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体などのポリアルキレングリコールあるいはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物、及び末端エーテル変性化合物等が挙げられる。
エポキシ系可塑剤とは、一般にはエポキシステアリン酸アルキルと大豆油とからなるエポキシトリグリセリドなどを指すが、その他にも、主にビスフェノールAとエピクロロヒドリンを原料とするような、いわゆるエポキシ樹脂も使用することができる。
その他の可塑剤の具体例としては、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレートなどの脂肪族ポリオールの安息香酸エステル、ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチルなどのオキシ酸エステル、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール等が挙げられる。
前記可塑剤の使用量は、溶剤系接着剤の固形分に対して好ましくは1〜50質量部、より好ましくは5〜30質量部程度である。
本発明の溶剤系接着剤は、フィラー(強化材)を含有してもよい。フィラーを含有することにより、形成される接着層や接着面の機械的特性を強化することができる。
フィラーとしては、公知のものを使用できる。フィラーの形状は、繊維状、板状、粒状、粉末状等いずれでもよい。また、無機物でも有機物でもよい。
具体的には、無機フィラーとしては、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラステナイト、セピオライト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維及び硼素繊維等の繊維状の無機フィラーや;ガラスフレーク、非膨潤性雲母、カーボンブラック、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、タルク、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、石膏、ノバキュライト、ドーソナイト、白土等の板状や粒状の無機フィラーが挙げられる。
有機フィラーとしては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、再生セルロース繊維、アセテート繊維等の合成繊維、ケナフ、ラミー、木綿、ジュート、麻、サイザル、マニラ麻、亜麻、リネン、絹、ウール等の天然繊維、微結晶セルロース、さとうきび、木材パルプ、紙屑、古紙等から得られる繊維状の有機フィラーや、有機顔料等の粒状の有機フィラーが挙げられる。
前記フィラーの使用量は、溶剤系接着剤の固形分に対して好ましくは1〜50質量部、より好ましくは5〜30質量部程度である。
本発明の溶剤系接着剤の用途は、とくに限定されるものではないが、例えば、各種接着剤、コーティング剤、塗料等が挙げられる。
<実施例1:アセトキシエチルアセチルセルロース(C−1)の合成>
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた3Lの三ツ口フラスコにヒドロキシエチルセルロース(商品名SP−600;ダイセル化学工業製)70g、酢酸700mL、無水酢酸175mL、アセトニトリル700mLを計りとり、室温で攪拌した。反応系が均一に分散したことを確認した後、メタンスルホン酸8.4mLをゆっくりと滴下し、系の温度を50℃〜60℃に昇温した。このまま12時間攪拌した後、反応系の温度を室温まで冷却した。反応溶液を水10Lへ激しく攪拌しながら投入すると、白色固体が析出した。白色固体を吸引ろ過によりろ別し、大量の水で3回洗浄を行った。得られた白色固体を70℃で6時間真空乾燥することにより目的のセルロース誘導体(C−1)(アセトキシエチルアセチルセルロース、置換度は表1に記載)を白色粉体として得た(79.5g)。
<実施例2:アセトキシエチルアセチルセルロース(C−2)の合成>
実施例1の反応時間を9時間に変えた以外は、実施例1と同様にして、目的のセルロース誘導体(アセトキシエチルアセチルセルロース)を白色粉体として得た(80.8g)。
<実施例3:アセトキシエチルアセチルセルロース(C−3)の合成>
実施例1の反応時間を6時間に変えた以外は、実施例1と同様にして、目的のセルロース誘導体(アセトキシエチルアセチルセルロース)を白色粉体として得た(83.1g)。
<実施例4:アセトキシエチルアセチルセルロース(C−4)の合成>
実施例1の反応時間を3時間に変えた以外は、実施例1と同様にして、目的のセルロース誘導体(アセトキシエチルアセチルセルロース)を白色粉体として得た(85.1g)。
<実施例5:アセトキシエチルアセチルセルロース(C−5)の合成>
実施例1のヒドロキシエチルセルロースを商品名AL−15(住友精化製)に変えた以外は、実施例1と同様にして、目的のセルロース誘導体(アセトキシエチルアセチルセルロース)を白色粉体として得た(79.1g)。
<実施例6:アセトキシエチルアセチルセルロース(C−6)の合成>
実施例1のヒドロキシエチルセルロースを商品名AL−15(住友精化製)に変え、反応時間を6時間に変えた以外は実施例1と、同様にして、目的のセルロース誘導体(アセトキシエチルアセチルセルロース)を白色粉体として得た(82.4g)。
<実施例7:アセトキシプロピルアセチルセルロース(C−7)の合成>
実施例1のヒドロキシエチルセルロースをヒドロキシプロピルセルロース(Aldrich製)に変えた以外は、実施例1と同様にして、目的のセルロース誘導体(アセトキシプロピルアセチルセルロース)を白色粉体として得た(81.5g)。
<実施例8:プロピオニルエチルプロピオニルセルロース(C−8)の合成>
実施例1の無水酢酸を無水プロピオン酸に変えた以外は、実施例1と同様にして、目的のセルロース誘導体(プロピオニルエチルプロピオニルセルロース)を白色粉体として得た(83.8g)。
<実施例9:ブチリルオキシエチルブチリルセルロース(C−9)の合成>
実施例1の無水酢酸を無水酪酸に変えた以外は、実施例1と同様にして、目的のセルロース誘導体(ブチリルオキシエチルブチリルセルロース)を白色粉体として得た(85.9g)。
なお、以上で得られた化合物について、セルロースに含まれる水酸基(R、R及びR)に置換された官能基の種類、並びにDSa+DSb、MSは、Cellulose Communication 6,73−79(1999)に記載の方法を利用して、H−NMRにより観測及び決定した。
<セルロース誘導体の分子量測定>
得られたセルロース誘導体について、数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、を測定した。これらの測定方法は以下の通りである。
[分子量及び分子量分布]
数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)の測定は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いた。具体的には、N−メチルピロリドンを溶媒とし、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から予め求められた換算分子量較正曲線を用いて求めた。GPC装置は、HLC−8220GPC(東ソー社製)を使用した。
数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)及び置換度をまとめて表1に示す。
Figure 2011225787
上記表中、セルロース誘導体(C−1)〜(C−6)における“A)アシル基とアルキレンオキシ基とを含む基”はいずれも下記式(1−1)の構造を含む基であり、セルロース誘導体(C−7)における“A)アシル基とアルキレンオキシ基とを含む基”は下記式(1−2)であり、セルロース誘導体(C−8)における“A)アシル基とアルキレンオキシ基とを含む基”はいずれも下記式(1−3)の構造を含む基であり、セルロース誘導体(C−9)における“A)アシル基とアルキレンオキシ基とを含む基”はいずれも下記式(1−4)の構造を含む基である。
Figure 2011225787
上記表中、セルロース誘導体(C−1)〜(C−9)は、H−NMRにより観測した結果、A)アシル基とアルキレンオキシ基とを含む基及びB)アシル基のみにより置換されており、アルコキシ基を実質的に含まない構造であることを確認した。
[溶解性測定]
25℃において、酢酸エチル及びアセトンに対し、5質量%の濃度で試料を加え、溶解するかどうかを目視で確認した。なお、混合物が15分以内に透明になった場合を◎、混合物が24時間経過後に透明になった場合を○、混合物が24時間経過後にけん濁した場合を△、混合物が24時間経過後にほとんど溶解せず、試料が沈殿した場合を×とした。それぞれの溶解性の結果を表2に示す。
[耐水性測定]
セルロース誘導体(C−1)〜(C−9)及び比較化合物(H−1)〜(H−4)について、25℃の水100gに対して各試料を加えて攪拌し、耐水性の有無を水に溶解するポリマーの質量を試験前後で測定することにより溶解量を求め、確認した。結果を表2に示す。なお、以下の表において、溶解量が5g以下のものを○とし、5gより多い量であったものを×とした。それぞれの耐水性の結果を表2に示す。
<比較例1〜4 比較化合物>
セルロース誘導体(C−1)〜(C−9)の比較化合物として、(H−1)(ダイセル化学工業製:セルロースジアセテート(DAC)、製品名L−70)、(H−2)(和光純薬性:メチルセルロース(MC))、(H−3)(ダイセル化学工業製:ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、製品名SP−200)、アセトキシエチルアセチルセルロース(H−4、実施例1の反応時間を3時間に、メタンスルホン酸量を4.2mLに変えた以外は同様にして合成したセルロース誘導体、Mn82000、Mw603000)について、同様に溶解性と耐水性を測定した。それぞれの結果を表2に示す。
Figure 2011225787
上記表2の結果から明らかなように、比較化合物である市販のセルロースエステル(H−1)やセルロースエーテル(H−2)、(H−3)ではアセトンや酢酸エチルに対する溶解性が悪いのに対し、本実施例1〜9のセルロース誘導体(C−1)〜(C−9)は、全てのサンプルで優れた溶解性を示すことが分かる。また、分子量の高いセルロース誘導体(H−4)では、酢酸エチルに対して不溶部分が出ることから、セルロース誘導体の中でもとくに数平均分子量Mn80000以下と低い場合に有機溶剤に対する高い溶解性を示すことが分かる。また、比較例2、3のエチルセルロースやヒドロキシエチルセルロースでは、耐水性が悪く、水中で使用される部位への接着に用いることは難しいが、本実施例1〜9のセルロース誘導体(C−1)〜(C−9)においては、耐水性が付与されていることが分かり、水中で使用される部位への接着用途として十分な適用性を有していると判断された。
<実施例10:溶剤系接着剤への応用>
本発明のセルロース誘導体(C−1)の酢酸エチル溶液(30質量%)を調製し、PET板上に塗布した。その後、直ちにPVC板を重ね、10秒間、押圧した。十分に冷却した後、引張りせん断強度をJIS規格に準じて測定した。同様に、市販の接着剤(セメダイン3000一般用、セメダイン社製)接着剤を用いてPET板とPVC板を接着させ、引張りせん断強度を測定した。
その結果、引張りせん断強度は両者ともほぼ同一であった。また、PET板とPVC板の代わりに、PC板やABS板を用いても本発明と市販の接着剤の間に差はなく、共に実用レベルと判断された。

Claims (10)

  1. セルロースに含まれる水酸基の水素原子が、
    下記A)で置換された基を少なくとも1つ、及び
    下記B)で置換された基を少なくとも1つ
    を有し、かつ、数平均分子量が1000〜80,000であるセルロース誘導体。
    A)下記一般式(1)で表される構造を含む基
    B)アシル基:−CO−RB(RBは炭素数1〜3の炭化水素基を表す。)
    Figure 2011225787
    (一般式(1)中、nは2又は3を表し、RAは炭素数1〜3の炭化水素基を表す)
  2. 前記一般式(1)のnが2である、請求項1に記載のセルロース誘導体
  3. 前記RA及びRBが、それぞれ独立にメチル基又はエチル基である、請求項1又は2に記載のセルロース誘導体。
  4. 前記RA及びRBが、ともにメチル基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のセルロース誘導体。
  5. 前記セルロース誘導体が、アルコキシ基を実質的に含まない請求項1〜4のいずれか一項に記載のセルロース誘導体。
  6. 前記セルロース誘導体の数平均分子量が3,000〜50,000である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のセルロース誘導体。
  7. 前記セルロース誘導体の数平均分子量が3,000〜30,000である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のセルロース誘導体。
  8. 前記セルロース誘導体が、ヒドロキシアルキルセルロースをアシル化することにより得られる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のセルロース誘導体。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のセルロース誘導体を含有する樹脂組成物。
  10. 請求項9に記載の樹脂組成物を含む溶剤系接着剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015510004A (ja) * 2012-01-27 2015-04-02 セラニーズ アセテート,エルエルシー 置換された酢酸セルロースおよびその使用方法
JP2017128630A (ja) * 2016-01-18 2017-07-27 旭化成株式会社 セルロース製剤
JP2018154723A (ja) * 2017-03-17 2018-10-04 国立研究開発法人産業技術総合研究所 接着剤および粘着剤

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