JP2021088663A - β−1,3−グルカンエステル誘導体の精製方法 - Google Patents

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さやか 宇津野
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Abstract

【課題】精製物の析出状態を制御可能なβ−1,3−グルカンエステル誘導体の精製方法を提供すること。【解決手段】析出工程に1おいて、再沈殿溶媒を含む溶媒のHSPと、β−1,3−グルカンエステル誘導体のHSPとの関係を利用して再沈殿溶媒を調製する。例えば、距離Raが、β−1,3−グルカンエステル誘導体の溶解球半径R0の1倍〜2倍となるように再沈殿溶媒を調製する。これにより、精製物の細粒化が可能になり、不純物の巻き込みを抑制できる。【選択図】図1

Description

本開示は、β−1,3−グルカンエステル誘導体の精製方法に関する。
近年、環境保全の観点から、微生物や植物を原料とするバイオプラスチックに関する技術が提案されている。例えば、微生物を原料とするバイオプラスチックとして、β−1,3−グルカン中の水酸基の少なくとも一部を酸でエステル化して得られるβ−1,3−グルカンエステル誘導体が知られている。植物を原料とするバイオプラスチックの製造方法としては、セルロースのヒドロキシ基の水素原子の一部がアシル基等で置換されたセルロース誘導体の製造方法に関する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2017/217502号公報
特許文献1には、生成物としてのセルロース誘導体が溶解した反応溶液を減圧ろ過等の方法によって留去して生成物を回収する方法が開示されている。上記に加え、反応溶液に貧溶媒を添加して析出した生成物を回収する方法が開示されている。
上記反応溶液を減圧ろ過等の方法によって留去する方法は、溶媒を減圧除去する際に不純物を巻き込み品質不良となる恐れや、溶媒側に生成物が残存し収率が低下する恐れがある。上記反応溶液に貧溶媒を添加する方法は、選択される貧溶媒の種類や量によって分子量分布の幅が広くなる恐れや、不純物を巻き込み凝集し品質不良となる恐れがある。
本開示は、精製物の析出状態を制御可能なβ−1,3−グルカンエステル誘導体の精製方法を提供することを目的とする。
本開示は、β−1,3−グルカン中の水酸基の少なくとも一部を酸でエステル化して得られるβ−1,3−グルカンエステル誘導体を含む合成反応液と、再沈殿溶媒とを混合させる析出工程を有し、前記再沈殿溶媒は、前記再沈殿溶媒のハンセン溶解度パラメータと、前記β−1,3−グルカンエステル誘導体のハンセン溶解度パラメータにおける溶解球との関係を利用して調製される、β−1,3−グルカンエステル誘導体の精製方法に関する。
HSP空間における溶解球と溶媒のHSPを模式的に示す図である。 本開示の実施例2に係る精製物の光学顕微鏡の写真である。 本開示の実施例2に係る精製物の光学顕微鏡の写真である。 本開示の実施例3に係る精製物の写真である。
本実施形態に係るβ−1,3−グルカンエステル誘導体の精製方法は、β−1,3−グルカンエステル誘導体を含む合成反応液と再沈殿溶媒とを混合させる析出工程と、合成反応液及び再沈殿溶媒のうち少なくともいずれかの温度を低下させる冷却工程と、を有する。上記に加え、析出工程における析出物を洗浄する洗浄工程を有していてもよい。
[析出工程]
本実施形態の析出工程は、β−1,3−グルカン中の水酸基の少なくとも一部を酸でエステル化して得られるβ−1,3−グルカンエステル誘導体を含む合成反応液と、再沈殿溶媒とを混合させる工程である。析出工程により、β−1,3−グルカンエステル誘導体が析出(再沈殿)される。
(β−1,3−グルカンエステル誘導体)
本実施形態におけるβ−1,3−グルカンエステル誘導体としては、カードランエステル誘導体又はパラミロンエステル誘導体であることが好ましい。カードラン及びパラミロンは、いずれも微生物由来のものであり、これらをエステル化してなるエステル誘導体を用いることにより、微生物由来プラスチックの製造が可能となるためである。カードラン及びパラミロンは、多糖類のβ−1,3−グルカンの1種である。カードランエステル誘導体及びパラミロンエステル誘導体は、微生物由来のものであるにも関わらず、例えばPP(ポリプロピレン)等と同等の強度を有し、成形性に優れる。
カードランは、下記化学式(1)で示される構造を有し、土壌細菌中に含まれる多糖類のβ−1,3−グルカンである。カードランは、分子量が100万程度であり、高強度である一方で流動性が悪いという特性を有する。このカードラン中の水酸基の少なくとも一部を後段で詳述する酸を用いてエステル化することにより、下記化学式(2)で示される構造を有するカードランエステル誘導体が得られる。エステル化の手法としては、従来公知の手法が採用される。
パラミロンは、下記化学式(1)で示される構造を有し、ユーグレナ(ミドリムシ)中に含まれる多糖類のβ−1,3−グルカンである。パラミロンは、分子量が30万程度であり、低強度である一方で流動性が良いという特性を有する。カードランと同様に、このパラミロン中の水酸基の少なくとも一部を後段で詳述する酸を用いてエステル化することにより、下記化学式(2)で示される構造を有するパラミロンエステル誘導体が得られる。エステル化の手法としては、従来公知の手法が採用される。
Figure 2021088663
Figure 2021088663
上記エステル化に用いる酸としては、炭素数が1〜12の酸が好ましい。より好ましい酸の炭素数は、3〜6である。これらの酸は、1種類を単独使用してもよいし、複数種類を併用してもよい。例えば、プロピオン酸及びヘキサン酸が好ましく用いられ、これらプロピオン酸とヘキサン酸の混合物が好ましく用いられる。具体的には、プロピオン酸及びヘキサン酸の混合物(プロピオン酸:ヘキサン酸=1:1〜2:1(体積比))が好ましく用いられる。上記酸は、生成されるβ−1,3−グルカンエステル誘導体の溶媒としても機能する。上記溶媒として用いられる酸として、エステル化に用いられる酸以外の酸を併用してもよい。例えばトリフルオロ酢酸を併用してもよい。酸に溶解されたβ−1,3−グルカンエステル誘導体は、合成反応液として再沈殿溶媒と混合される。
(再沈殿溶媒)
再沈殿溶媒は、β−1,3−グルカンエステル誘導体に対する溶解性が高い良溶媒及びβ−1,3−グルカンエステル誘導体に対する溶解性が低い貧溶媒からなる。析出工程において、合成反応液に対し再沈殿溶媒を混合することで、β−1,3−グルカンエステル誘導体を含む析出物が析出される。再沈殿溶媒を、良溶媒と貧溶媒との組み合わせからなるものとすることで、良溶媒と貧溶媒との混合比を調整し、後述する溶媒のHSPを容易に調整できる。析出工程において、合成反応液に対し再沈殿溶媒を添加して混合することが好ましい。更に、合成反応液に対して良溶媒を添加して溶解させた後、貧溶媒を滴下することが好ましい。これにより、合成反応液と溶媒との界面で析出が発生することを防止でき、析出物の凝集を抑制できる。上記に加え、単一の容器で析出工程を行うことができる。
良溶媒は、上記β−1,3−グルカンエステル誘導体を可溶であればよく、例えばメタノール等のアルコールやアセトン等のケトン類が好ましく用いられる。上記に加え、再沈殿した析出物を洗浄する洗浄工程を設ける場合、析出物中に残留する上記エステル化に用いられる酸に対して洗浄性の高い良溶媒を用いることが好ましい。良溶媒は、1種類を用いてもよいし、複数種類を混合して良溶媒として用いてもよい。
貧溶媒は、上記β−1,3−グルカンエステル誘導体に対する溶解性が低く、少なくとも上記良溶媒よりもβ−1,3−グルカンエステル誘導体に対する溶解性が低い。具体的には、貧溶媒としては、水が好ましく用いられる。貧溶媒は、1種類を用いてもよいし、複数種類を混合して貧溶媒として用いてもよい。
析出工程において、上記β−1,3−グルカンエステル誘導体における溶媒は、良溶媒及び貧溶媒からなる再沈殿溶媒と、上記合成反応液に含まれるエステル化に用いられる酸と、からなる。上記β−1,3−グルカンエステル誘導体における溶媒は、β−1,3−グルカンエステル誘導体のハンセン溶解度パラメータ(以下、「HSP」と記載する場合がある)における溶解球と、溶媒のHSPとの関係を利用して調製される。
HSPは、ハンセンらが提唱した溶解性の指標であり、溶解性を多次元のベクトル(分散項(dD)、極性項(dP)、水素結合項(dH))で表した指標である。一般に使用される物質のHSPは、公開されたデータベースを参照することにより入手できる。上記データベースに存在しないある特定の物質のHSPの算出方法としては公知の方法を利用できる。例えば、上記β−1,3−グルカンエステル誘導体を溶解し得る複数の溶媒のHSPを3次元のHSP空間にプロットすると、上記複数の溶媒のプロット座標は近似し、球状に集まる傾向がある。その球(溶解球)の中心を上記特定の物質、例えばβ−1,3−グルカンエステル誘導体のHSPとして定義する。そして、上記溶解球半径(R0)を相互作用半径と呼ぶ。上記算出は、例えばHSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)のようなコンピュータソフトウェアを用いて行うことができる。
図1は、HSP空間におけるβ−1,3−グルカンエステル誘導体のHSPと、上記β−1,3−グルカンエステル誘導体における溶媒のHSPとの関係を模式的に示す図である。図1中、破線で示すDSはβ−1,3−グルカンエステル誘導体の溶解球の外縁を示し、溶解球の中心はβ−1,3−グルカンエステル誘導体のHSPを示し、R0は溶解球の半径を示す。図1中、GSはβ−1,3−グルカンエステル誘導体を溶解し得る溶媒のHSPを示す。図1中、PSはβ−1,3−グルカンエステル誘導体を溶解しない溶媒のHSPを示す。
再沈殿溶媒は、例えばβ−1,3−グルカンエステル誘導体のHSPと、再沈殿溶媒を含む上記β−1,3−グルカンエステル誘導体の溶媒のHSPとの距離(Ra)が、上記溶解球半径(R0)の1倍〜2倍となるように調製される。例えば、再沈殿溶媒を含むβ−1,3−グルカンエステル誘導体の溶媒のHSPを図1におけるPS1とした場合について説明する。この場合、再沈殿溶媒は、PS1とβ−1,3−グルカンエステル誘導体のHSPとの距離RaがR0の1倍〜2倍となるように調製される。図1中、RaがR0の2倍となる箇所が一点鎖線で示される。Raが図1における破線と一点鎖線とで囲われた範囲内である場合、RaはR0の1倍〜2倍となる。上記溶媒が上記条件を満たすことで、析出工程において、β−1,3−グルカンエステル誘導体を含む析出物は急激に析出することなく、徐々に析出する。その結果、析出物が凝集することなく細粒化されるため、不純物の巻き込みを抑制でき、かつ、後工程でのハンドリングを向上できる。
上記β−1,3−グルカンエステル誘導体における溶媒のHSPは、溶媒を構成する各成分である、再沈殿溶媒における良溶媒、貧溶媒及び、合成反応液に含まれる酸のHSPと、各成分の混合比とを元に算出される。上記算出についても、公知のコンピュータソフトウェアを用いて算出できる。上記β−1,3−グルカンエステル誘導体における溶媒のHSPは、例えば、再沈殿溶媒における良溶媒と貧溶媒との混合比を変更することにより調整できる。
[冷却工程]
冷却工程は、合成反応液及び再沈殿溶媒のうち少なくともいずれかの温度を低下させる工程である。例えば、冷却工程は、合成反応液及び再沈殿溶媒の少なくともいずれかを、析出工程における合成反応液と再沈殿溶媒との混合前に冷却するものであってもよい。上記以外に、冷却工程は、析出工程において合成反応液と再沈殿溶媒とを混合した後、混合溶液を冷却するものであってもよい。冷却工程を設けることにより、β−1,3−グルカンエステル誘導体の収率を向上できる。
[洗浄工程]
洗浄工程は、析出工程において析出するβ−1,3−グルカンエステル誘導体を含む析出物を洗浄する工程である。洗浄工程により、析出物に含まれる不純物である、エステル化に用いられる酸等が析出物から除去される。洗浄工程で用いられる溶液は、β−1,3−グルカンエステル誘導体に対する溶解性が低いものであれば特に制限されないが、エステル化に用いられる酸の溶解性が高いものであることが好ましい。洗浄工程は、特に制限されず公知の方法を用いて行うことができる。
本実施形態の精製方法により精製されるβ−1,3−グルカンエステル誘導体は、その後、種々の成形方法により成形される。成形方法としては、例えば、射出成形法、キャスト法、圧縮法、インフレーション法等の通常用いられる方法が適用可能である。成形品は、例えば、キッチン等の水栓カートリッジのキャップ等に用いられる他、種々の用途に適用可能である。
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良は本開示に含まれる。
以下、実施例に基づいて本開示をより詳細に説明するが、本開示はこれらの実施例によって限定されるものではない。
<実施例1>
β−1,3−グルカンのエステル化に用いる酸として、プロピオン酸と、ヘキサン酸とを用いた。プロピオン酸2.5Lとヘキサン酸2.5Lを容器に入れ室温で撹拌した。次にトリフルオロ酢酸無水物5.0Lを少量ずつ滴下し、30分間撹拌し酸を調製した。次にβ−1,3−グルカンとしてのパラミロン1000g(乾燥済)を上記調製した酸に対し少量ずつ加え、60℃で2時間撹拌することでエステル化を行い、合成反応液を作製した。
上記作製した合成反応液を室温まで冷却した後、上記合成反応液に対し、良溶媒としてのアセトン7.5Lを添加した。その後、貧溶媒としてのアセトンと水の混合溶液(アセトン:水=1:4(体積比))6.25Lを添加し、パラミロンエステルの析出物を得た。その後減圧ろ過を行い、析出物を回収した。上記析出物をアセトンと水の混合溶液(アセトン:水=8:2(体積比))に投入し、撹拌及び減圧ろ過を行うことでパラミロンエステルの析出物を洗浄した。上記洗浄はろ液のPHが7になるまで繰り返した。
上記析出物を100℃で加熱乾燥させた後、メタノール28Lを添加し、60℃で完全に析出物が溶解するまで撹拌した。次に室温まで冷却し、メタノールと水の混合溶液(メタノール:水=7:3(体積比))を添加し、減圧濾過を行う洗浄をろ液のPHが7になるまで繰り返しパラミロンエステルの精製物を得た。次に精製物を100℃で加熱乾燥し、粉末状の精製物1612gを得た。
<実施例2>
エステル化に用いる酸として、プロピオン酸と、ヘキサン酸とをそれぞれ1.5L用い、上記以外の酸としてトリフルオロ酢酸無水物3.0Lを用いた。β−1,3−グルカンとしてのパラミロン(乾燥済)を600g用いた。再沈殿溶媒としてアセトンと水の混合溶液(アセトン:水=3:1(体積比))160mLを用いた。析出物を100℃で加熱乾燥した後、メタノール17Lに溶解させて洗浄を行った。上記以外の条件は実施例1と同様とし、図2及び図3に顕微鏡写真で示す粉末状の精製物943gを得た。
<実施例3>
エステル化に用いる酸として、プロピオン酸と、ヘキサン酸とをそれぞれ4L用い、上記以外の酸としてトリフルオロ酢酸無水物8Lを用いた。β−1,3−グルカンとしてのパラミロン(乾燥済)を200g用いた。エステル化の条件は上記調製した酸にパラミロンを加え50℃で2時間撹拌するものとした。再沈殿溶媒としてメタノールと水の混合溶液(メタノール:水=9:1(体積比))を用いた。上記以外の条件は実施例1と同様とした。得られた析出物は凝集し、図4の写真で示すような塊状の析出物440gを得た。
<実施例4>
エステル化に用いる酸として、プロピオン酸と、ヘキサン酸とをそれぞれ10ml用い、上記以外の酸としてトリフルオロ酢酸無水物20mlを用いた。β−1,3−グルカンとしてのパラミロン(乾燥済)を4g用いた。得られた合成反応液にアセトンと水の混合溶液(アセトン:水=4:1(体積比))80mlを添加したが、析出物は得られなかった。
[HNMR測定]
実施例1、2及び3で得られた精製物のHNMR測定を測定し、β−1,3−グルカンの置換度を算出した。β−1,3−グルカンを構成する1つの六員環あたり、エステル化可能な水酸基は3つ存在する。上記水酸基のうちプロピオン酸で置換されている置換基の数の平均値をプロピオン酸置換度(DsPr)とした。同様に、ヘキサン酸で置換されている置換基の数の平均値をヘキサン酸置換度(DsHe)とした。結果を表1に示す。
[分子量測定]
実施例1、2及び3で得られた精製物の重量平均分子量(Mw)を測定し、分子量分散度(Mw/Mn)を算出した。結果を表1に示す。
[R0、Raの算出]
実施例1、2及び3で得られたパラミロンエステルの溶解球半径R0は9.2であった。実施例1、2、3及び4に用いた溶媒のHSP(プロピオン酸・ヘキサン酸・トリフルオロ酢酸・メタノール・アセトン・水の各HSP値(既知の値)の加重平均の和)の、パラミロンエステルのHSPとの距離Raをそれぞれ算出した。更に、Raが溶解球半径R0の何倍であるかを示す、Ra/R0を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2021088663
表1に示すように、Raが溶解球半径R0の1倍〜2倍である実施例1、2の精製方法では、図2及び図3に示すような細粒化された精製物が得られることが確認された。Raが溶解球半径R0の2倍を超える実施例3の精製方法では、図4に示すような凝集した精製物が得られることが確認された。Raが溶解球半径R0の1倍未満である実施例4の精製方法では、析出物が得られないことが確認された。従って、溶媒のHSPの、β−1,3−グルカンエステル誘導体のHSPに対する関係を利用して再沈殿溶媒を調製することで、精製物の析出状態を制御可能であることが確認された。

Claims (7)

  1. β−1,3−グルカン中の水酸基の少なくとも一部を酸でエステル化して得られるβ−1,3−グルカンエステル誘導体を含む合成反応液と、再沈殿溶媒とを混合させる析出工程を有し、
    前記再沈殿溶媒は、前記再沈殿溶媒のハンセン溶解度パラメータと、前記β−1,3−グルカンエステル誘導体のハンセン溶解度パラメータにおける溶解球との関係を利用して調製される、β−1,3−グルカンエステル誘導体の精製方法。
  2. 前記再沈殿溶媒は、前記再沈殿溶媒を含む前記β−1,3−グルカンエステル誘導体の溶媒のハンセン溶解度パラメータと、前記β−1,3−グルカンエステル誘導体のハンセン溶解度パラメータとの距離Raが、前記β−1,3−グルカンエステル誘導体のハンセン溶解度パラメータにおける溶解球半径R0の1倍〜2倍となるように調製される、請求項1に記載のβ−1,3−グルカンエステル誘導体の精製方法。
  3. 前記析出工程において、前記合成反応液に対して前記再沈殿溶媒を添加する、請求項1又は2に記載のβ−1,3−グルカンエステル誘導体の精製方法。
  4. 前記再沈殿溶媒は、前記β−1,3−グルカンエステル誘導体に対する溶解性が高い良溶媒及び前記β−1,3−グルカンエステル誘導体に対する溶解性が低い貧溶媒からなり、前記析出工程において、前記良溶媒を合成反応液に添加した後に、前記貧溶媒の添加を行う請求項3に記載のβ−1,3−グルカンエステル誘導体の精製方法。
  5. 前記合成反応液及び前記再沈殿溶媒のうち、少なくともいずれかの温度を低下させる冷却工程を含む、請求項1から4いずれかに記載のβ−1,3−グルカンエステル誘導体の精製方法。
  6. 前記β−1,3−グルカンエステル誘導体は、カードランエステル誘導体又はパラミロンエステル誘導体である請求項1から5いずれかに記載のβ−1,3−グルカンエステル誘導体の精製方法。
  7. 請求項1から6いずれかに記載のβ−1,3−グルカンエステル誘導体の精製方法によって精製された、β−1,3−グルカンエステル誘導体。
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