JP5966482B2 - インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
具体的には、記録媒体のインク吸収性の違いや、インクに対する濡れ性の違いによって、印字ドットの広がり方、滲み方、隣のドットとのつながり方が変化するため、画像品質が記録媒体の影響を受けやすく、さまざまな記録媒体に安定した画像を形成することは難しい。
例えば、紙などのインク吸収性の記録媒体に対してはインクが紙に着滴して数ミリ秒以内に記録媒体内に浸透し、その際に紙の繊維などに沿って浸透が進むためインクの滲みや、異なる色のインクの混色などが生じ、高画質な画像形成の妨げとなることがある。
例えば、インクが濡れ難い表面を有するフィルムへの印字(ベタ)では先に着弾したインク滴が後に着弾したインク滴に引き寄せられてしまう(ビーディング)現象を起こしやすく、ベタ画像などインクドットを密に形成する場合など、一様な画像を得ることが難しくなる。
記録媒体に表面処理を施すことにより、インクに濡れやすくすることも可能であるが、逆に濡れやすくなるとドットが滲みやすく、画素が拡張して、ベタ画像の形成には適するが、微細で高精細な表現ができなくなるという問題がある。
より具体的には、インク吸収性やインクとの濡れ性の異なる様々な記録媒体を用いた場合にも種々の記録媒体間での画像均一性が高く、インク滲みが効果的に抑制され、液滴間の混合に起因する線幅の不均一や色ムラ等の発生を抑制できるとともに、インク画素密度の高い高濃度表現(ベタ)の部分においても表面凹凸が少なく表面散乱の少ない高光学濃度の表現ができ、同時に微細文字や解像度が高い高精細な部分の表現も可能となる高画質な画像形成を行えるようにしたインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
(1)記録媒体上に形成されたエネルギー線硬化性の液層にエネルギー線硬化性インクを供給した後に、該被記録媒体上に形成されたエネルギー線硬化性の液層とそこに供給された該インクを硬化させて画像形成するインクジェット記録方法であって、前記記録媒体上に形成した2以上の表面張力の異なる分布パターンを有する前記エネルギー線硬化性液層にインクを吐出することを特徴とするインクジェット記録方法。
(2)記録媒体上に形成されたエネルギー線硬化液層がインクより高表面張力の液層領域と、インクと同等かこれより低表面張力の液層領域とからなることを特徴とする前記第(1)項に記載のインクジェット記録方法。
(3)高解像表現画像を要する領域に、表面張力がインクと同等かこれより低いエネルギー線硬化性液層を形成し、そこにインクを吐出することを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載のインクジェット記録方法。
(4)中間調画像形成領域に、表面張力がインクと同等かこれより低いエネルギー線硬化性液層を形成し、そこにインクを吐出することを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
(5)ベタ画像形成領域に、表面張力がインクより高いエネルギー線硬化性液層を形成することを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
(6)ベタ画像を形成する領域の輪郭部に、ベタ印字部より表面張力が低いエネルギー線硬化液層を形成することを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
(7)記録媒体上に、インクより高表面張力のエネルギー線硬化性液を供給する工程と、その結果形成された高表面張力のエネルギー線硬化性液層の領域の一部に、低表面張力のエネルギー線硬化液層を形成する工程と、そこにインクを吐出して印字する工程と、エネルギー線照射する工程を有する前記第(1)項乃至第(6)項のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
(8)記録媒体上に、インクより高表面張力のエネルギー線硬化性液を供給する工程と、その部分に界面活性剤含有液を供給する工程と、そこにインクを吐出して印字する工程と、エネルギー線照射する工程を有する前記第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
(9)記録媒体上に、インクより高粘度で、かつ、インクより高表面張力のエネルギー線硬化性液を供給する工程と、その部分に界面活性剤含有液を供給する工程と、そこにインクを吐出して印字する工程と、エネルギー線照射する工程を有する前記第(1)項乃至第(8)項のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
(10)記録媒体上での粘度が吐出時より大きくなる高表面張力のエネルギー線硬化性液をインクジェットヘッドを利用して塗布する工程と、その一部に界面活性剤含有液を滴下する工程と、そこにインクを吐出して印字する工程と、エネルギー線照射する工程を有する前記第(1)項乃至第(9)項のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
(11)記録媒体上での粘度が吐出時より大きくなる高表面張力のエネルギー線硬化性液をインクジェットヘッドを利用して塗布する工程と、それ以外の部分に界面活性剤含有液を滴下する工程と、そこにインクを吐出して印字する工程と、エネルギー線照射する工程を有する前記第(1)項乃至第(9)項のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
(12)記録媒体上に、少なくとも2種の表面張力の異なるエネルギー線硬化性液を付与して表面張力の異なる分布パターンを有するエネルギー線硬化性液層を形成するエネルギー線硬化性液層形成手段と、前記記録媒体上に形成されたエネルギー線硬化性液層上に、エネルギー線硬化性インクを吐出するインク吐出手段と、前記エネルギー線硬化性液層及び前記エネルギー線硬化性インクに、エネルギー線を照射し硬化させて、画像を形成する硬化手段と、を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
(13)インク吐出手段が、ノズルヘッドを含む前記第(12)項に記載のインクジェット記録装置。
(14)記録媒体上に、少なくとも2種の表面張力の異なるエネルギー線硬化性液を付与して表面張力の異なる分布パターンを有するエネルギー線硬化性液層を形成するエネルギー線硬化性液層形成工程と、前記記録媒体上に形成されたエネルギー線硬化性液層上に、エネルギー線硬化性インクを吐出するインク吐出工程と、前記エネルギー線硬化性液層及び前記エネルギー線硬化性インクに、エネルギー線を照射し硬化させて、画像を形成する硬化工程とを含むインクジェット記録方法により形成されることを特徴とするインクジェット記録物。
はじめに、理解を容易にするため、本発明の要諦思想について説明すると、本発明では、画像のドット密度や求められる精細さに応じて、記録媒体上に表面張力をパターン化したエネルギー硬化性液層を形成することによって、そこに打ち込んだインクドットの精細性や広がりをコントロールして、豊かな画像表現を可能にすることができる。
これは、以下の2つの現象を利用することがポイントである。
インクがぬれ易い記録媒体に直接、複数のインクジェットヘッドから多色印字すると印字から硬化のタイミングの差でドットの広がり方が異なり、ドットの大きさが変化してしまうが、低表面張力のエネルギー線硬化性液層中に入ったインクドットは直接印字より広がり方が緩やかになるので、各色のヘッド位置によって硬化のタイミングがずれた場合にも、直径のそろったドットを形成することができる。
本発明は(I)及び(II)の現象を利用するものであり、画像の精細さやベタ部分などに応じて、メディア上に表面張力の異なるパターンを形成することによって、そこに吐出したインク滴の広がりを制御して、同じドットの滴量で高解像とベタの豊かな表現を実現できる点が優れている。
ところで本発明において、硬化前のエネルギー線硬化性液層(液層領域)の静的表面張力は、エネルギー線硬化性液の静的表面張力と異なるところがない。換言すれば、各液層領域の表面張力がそれぞれのエネルギー硬化性液の静的表面張力値とほぼ等しい間に、エネルギー硬化性インクを吐出することが望ましい。後ほど詳述する実施例では、例えば、3つのエネルギー線硬化性の液層(液層領域)の表面張力の測定値でなく、3種類のエネルギー硬化性液の表面張力の測定値が示されているのは、このような理由による。
また、低表面張力のエネルギー線硬化性液領域の形成をどのような手段により行なうかも、本発明の本質的な問題ではないが、塗布、ノズルヘッドによる供給等に加えて、前記高表面張力のエネルギー線硬化性液層の領域の一部に界面活性剤を供給することにより、その部分を低表面張力化することができる等の理由、及び、仮に低表面張力のエネルギー線硬化性液層の領域(の一部)に高表面張力のエネルギー線硬化性液を後から供給すると両者の混合がより顕著になる等の理由により、高表面張力のエネルギー線硬化性液の領域形成を先に行うことが好ましい。
その後各液を硬化させる波長領域のエネルギー線を照射する硬化手段により、記録媒体上の液層およびインク記録パターンが硬化させられる。
エネルギー線硬化性液Bの静的表面張力 > エネルギー線硬化性インクAの静的表面張力
エネルギー線硬化性インクA、B、Cの静的表面張力についてさらに詳細に説明すると、エネルギー線硬化性液B層の表面張力は30mN/mより大きいことが望ましく、35〜45mN/mであることがより好ましい。低表面張力液Cの表面張力は30mN/m以下であることが望ましく、20〜25mN/mであることがより好ましい。エネルギー線硬化性インクAの表面張力はインクB、Cの静的表面張力の間にあることが好ましく、25〜35mN/mであることがより好ましい。
また、これら3種のエネルギー線硬化性液の粘度(25℃)についても説明すると、硬化性インクAは10〜10000mPa・sの粘度のものであることが好ましく、硬化性インクBは10〜100mPa・sの粘度のものであることが好ましく、硬化性インクCは10〜60mPa・sの粘度のものであることが好ましい。
さらに、記録媒体について、具体的に例を挙げて具体的に説明すると、インク吸収性及びインクとの濡れ性の異なる様々な記録媒体を用いることができ、具体的には例えば、
易浸透性の各種普通紙として、リコー社製 リコーマイペーパ、など一般の各種普通紙を難浸透性の各種コート紙として、王子製紙製 PODグロスコート100、 ミラーコート、 OKトップコート、ルミアートグロスなど、一般の各種コート紙を用いることができ、非浸透性の各種フィルムとして、東レ製 ルミラーE20(マット)、 ルミラーX20(グロス)など、一般の各種フィルムを、用いることができる。
このような方法で画像を形成することで、高濃度のベタ画像と微細で高精細な画像表現を両立することが可能となる。本発明の記録方法による画像は、上記説明から理解できるように、画像ベタ部部分と高精細部分とで画素ドットサイズとドットの3次元形状が異なる。
前記エネルギー線硬化性インクとしては、エネルギー線を吸収することにより硬化するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ビヒクル、及び着色剤を含有し、更に必要に応じて、レベリング剤、反応促進剤、反応禁止剤、増感剤等のその他の成分を含有してなる。
なお、前記エネルギー線硬化性インクとしては、着色剤を含まないクリアインク、黒、シアン、マゼンタ、イエロー等の色材を含んだ有色インクを主に使用するが、ホワイト等の他、諧調表現を豊かにする薄色インクを併用することも可能である。例えば、B液として、白色液を用い、C液として透明液を用いることで、メディアの反射率によらず、高コントラストの画像を得ることが可能になる。
また、前記(8)項〜(11)項記載のように、本発明は、「界面活性剤含有液を使用するインクジェット記録方法」を包含するが、この界面活性剤含有液の組成(構成成分)、各構成成分の含有量について、例を挙げて具体的に説明すると、例えば、重合性化合物(ジオキソランアクリレート)(85質量%)、反応開始剤(イルガキュア379)(5質量%)、界面活性剤(BYK3510)(10質量%)を好適に用いることができる。
前記ビヒクルは、重合性化合物、及び光開始剤を含む。
前記重合性化合物としては、例えば、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光硬化性樹脂モノマーなどが挙げられる。これらは少なくとも1種を混合して用いることができる。これらはいずれも記録媒体への濡れ性が良好で広範囲の各種被着体物質に対し密着性に優れる。
このほか、レベリング剤や反応促進剤、反応禁止剤、増感剤などの添加剤を含んでもよい。エネルギー線硬化型インクは、重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インクとカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクとに大別されるが、その両系のインクがそれぞれ適用可能であり、その混合系を用いても良い。
本発明の装置では、前処理剤として色材を含まないクリアインクを使用し、有色インクとして黒、シアン、マゼンタ、イエローなどの色材を含んだものを主に使用するが、ホワイトなどの他、諧調表現を豊かにする薄色インクを併用することも適用可能である。
光開始助剤としては、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、重合性3級アミン等が挙げられる。
着色剤としては上記ビヒクルに良分散して耐候性に優れた顔料が望ましい。特に限定されるわけではないが、本発明には例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
顔料の添加量は1〜20重量部が適量である。0.1重量部未満では画像品質が低下し、20重量部より多いとインク粘度特性に悪影響を与える。また、色の調整等で2種類以上の着色剤を適時混合して使用できる。
本発明の効果を確認するために下記の条件でインクドット画像を形成し、そのドット径を測定して評価した。
測定器として協和界面科学製, AUTOMATIC SUPERFACE TENSIONMETER CBVP−Z を用い、Wilhelmy法にて測定した。Wilhelmy法とは、測定子(白金プレート)が液体の表面に触れた際に発生する測定子を液中に引き込もうとする力を読み取ることによって、表面張力を測定する方法である。温度25℃にて測定した。
測定器として東機産業製 回転式粘度計 RE−80Lを用い、測定条件としては、ロータ:標準 1o34’ x R24、サンプル量:1.2ml、測定時間:3min
温度:25℃ 回転数:50rpm にて測定した。
光硬化性樹脂モノマー(カプロラクタン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬株式会社製、KAYARAD DPCA60)27質量%に反応開始剤(イルガキュア379、BASF社製)を3質量%添加して、高表面張力のエネルギー線硬化性液Bを調製した。高表面張力のエネルギー線硬化性液Bの静的表面張力は38mN/m、粘度(25℃)は1222mPa・sであった。
つぎに、高表面張力のエネルギー線硬化性液Bの組成(構成成分)、各構成成分の含有量について、例を挙げて具体的に説明すると、例えば、光硬化性樹脂モノマー(カプロラクタン変性ジペンタエリスルトールヘキサアクリレート)(97質量%)、反応開始剤(イルガキュア379)(3質量%)を好適に用いることができる。
また、低表面張力のエネルギー線硬化性液Cの組成(構成成分)、各構成成分の含有量について、例を挙げて具体的に説明すると、例えば、重合性化合物(東レ社製、ビスコート#1000)(27質量%)、重合性化合物(ジオキソランアクリレート)(63質量%)、反応開始剤(イルガキュア379)(9質量%)、界面活性剤(ビックケミー社製 BYK3510)(1質量%)を公的に用いることができる。
重合性化合物(大阪有機化学工業株式会社製、ビスコートV#1000)の27質量%、及びジオキソランアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、MEDOL10)の63質量%(≒3:7の質量比)混合液に、反応開始剤(イルガキュア379、BASF社製)を10質量%と、界面活性剤(ビックケミー社製、BYK3510)を1質量%加えて、低表面張力のエネルギー線硬化性液Cを調製した。低表面張力のエネルギー線硬化性液Cの静的表面張力は22mN/m、粘度(25℃)は21.8mPa・sであった。
色素含有インクAとしては、前記低表面張力のエネルギー線硬化性液Cにカーボンブラック(#5B 三菱化学製)を3質量%分散した静的表面張力22mN/mの液を用いた。色素含有インクAの粘度(25℃)は39.6mPa・sであった。
高表面張力のエネルギー線硬化性液Bを、厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製、ルミラーE20)に、セレクトローラ(松尾産業株式会社製、OSP−02)で、厚み2μm相当の薄層を形成できるように塗布した。
高表面張力のエネルギー線硬化性液B層上に、リコープリンティングシステム株式会社製Gen4ヘッド2個を使用した印字装置にて30m/s、8pLのインク滴を吐出できるように温度及び波形を調整し、印字装置の第1ヘッドから、低表面張力のエネルギー線硬化性液Cを印字領域の左半分に300dpiで吐出した。その後、印字装置の第2ヘッドから色素含有インクAを印字領域全域に300dpiで吐出し、UV照射システム(Integration Technology社製、Sub Zero 085 Aバルブ)を用いて、波長 365nmにおける平均照度 約560mW/cm2の照射条件で、0.18秒間、高表面張力のエネルギー線硬化性液B層、低表面張力のエネルギー線硬化性液C層、及び色素含有インクAを硬化させて、画像を形成した。
得られた画像を、顕微鏡で観察し、評価した。結果を図1に示す。図1の結果から、エネルギー硬化性インクAは、高表面張力のエネルギー線硬化液B層に吐出すると、高表面張力のエネルギー線硬化液B層上に瞬時に薄く広がるので、より少ないインク量で効果的にベタ画像を形成することができることが分かった。
また、図1の結果から、エネルギー硬化性インクAは、低表面張力のエネルギー線硬化性液C層に吐出すると、インク滴はエネルギー線硬化性液C層中にその液滴の一部又は全体が入り込み、その状態でエネルギー照射して硬化させると高精細画像に適した輪郭が滑らかでかつ直径が小さなインクドットが得られることが分かった。
また、3種類の液の静的表面張力の関係が、低表面張力のエネルギー線硬化性液C≦色素含有インクA<高表面張力のエネルギー線硬化性液Bであり、高表面張力のエネルギー線硬化性液Bの静的表面張力が30mN/m以上であることが好ましいことが分かった。
薄い色調表現を要する画像部分には、中間調画像形成領域に表面張力がインクと同等かこれより低いエネルギー線硬化性液層を形成し、そこにインクを吐出すると良い。
図1の結果から、エネルギー硬化性インクAは、低表面張力のエネルギー線硬化性液C層に吐出すると、インク滴はエネルギー線硬化性液C層中にその液滴の一部又は全体が入り込み、その状態でエネルギー照射して硬化させると輪郭が滑らかでかつ直径が小さなインクドットが得られることが分かっているので、ドット密度が密でない中間調画像を美しく表現するのに適している。
濃い色調表現を要するベタ画像を形成する領域の輪郭部にベタ印字部より表面張力が低いエネルギー線硬化液層を形成することによって、均質で埋まり具合の良好なベタ部と同時に滑らかでくっきりとした輪郭とを得ることができ、高画質の応用幅をひろげることができる。
図1の結果からエネルギー硬化性インクAは、高表面張力のエネルギー線硬化液B層に吐出すると、高表面張力のエネルギー線硬化液B層上に瞬時に薄く広がるので、より少ないインク量で効果的にベタ画像を形成することができ、抜けの少ないベタ画像を形成するのに適している。しかし、各インク滴が広く広がるため、ベタ領域の輪郭が変形したり、ぼやけたりしやすくなり精彩な表現が難しい。
図3にその1例が示されるように、記録媒体上にインクより高粘度で、かつ、インクより高表面張力のエネルギー線硬化性液Bを塗布する工程と、その部分に界面活性剤含有液を滴下する工程と、そこにインクを吐出して印字する工程と、エネルギー線照射する工程を施すことにより、前記(8)項に記載の本発明のインクジェット記録法を遂行することができる。
また、前記(9)項に記載の本発明のインクジェット記録方法は、図4にその1例が示されるように、記録媒体上での粘度が吐出時より大きくなる高表面張力のエネルギー線硬化性液をインクジェットヘッドを利用して塗布する工程と、その一部に界面活性剤含有液を滴下する工程と、そこにインクを吐出して印字する工程と、エネルギー線照射する工程により、遂行することができる。
さらに、前記(10)項に記載の本発明のインクジェット記録方法は、図4に示すように、記録媒体上での粘度が吐出時より大きくなる高表面張力のエネルギー線硬化性液をインクジェットヘッドを利用して塗布する工程と、それ以外の部分に界面活性剤含有液滴下する工程と、そこにインクを吐出して印字する工程と、エネルギー線照射する工程を有する。高表面張力のエネルギー線硬化性液としては、室温で固化し、加熱時に粘度低下してインクジェットヘッドから吐出可能となるインク、例えば、ワックス成分含有のエネルギー硬化性液などが有用である。また、水性の高表面張力エネルギー線硬化性液として、室温でゲル化するゼラチン等のゲル化剤を含有する液を用いることも有効である。
また、前記(10)項に記載の本発明のインクジェット記録方法は、図4に示すように、記録媒体上での粘度が吐出時より大きくなる高表面張力のエネルギー線硬化性液をインクジェットヘッドを利用して塗布する工程と、それ以外の部分に界面活性剤含有液滴下する工程と、そこにインクを吐出して印字する工程と、エネルギー線照射する工程を有するインクジェット記録方法であり、高表面張力のエネルギー線硬化性液としては、室温で固化し、加熱時に粘度低下してインクジェットヘッドから吐出可能となるインク、例えば、ワックス成分含有のエネルギー硬化性液などが有用である。また、水性の高表面張力エネルギー線硬化性液として、室温でゲル化するゼラチン等のゲル化剤を含有する液を用いることも有効である。
また、前記(11)項に記載の本発明のインクジェット記録方法を実行するための、高表面張力液を塗布する手段と、狙った位置に低表面張力液を着弾させ、これと同位置にインクドットを着弾させることができるノズルヘッドを備えたインクジェット記録装置構成の略図を図3と図4に示した。また、図2に着弾液滴位置の例を示しており、これら装置により、当該インクジェット記録方法が好適裡に実行できることは、当業者が容易に理解されよう。
Claims (13)
- 記録媒体上に形成されたエネルギー線硬化性の液層にエネルギー線硬化性インクを供給した後に、該被記録媒体上に形成されたエネルギー線硬化性の液層とそこに供給された該インクを硬化させて画像形成するインクジェット記録方法であって、前記記録媒体上に形成した2以上の表面張力の異なる分布パターンを有する前記エネルギー線硬化性液層にインクを吐出することを特徴とするインクジェット記録方法。
- 記録媒体上に形成されたエネルギー線硬化液層がインクより高表面張力の液層領域と、インクと同等かこれより低表面張力の液層領域とからなることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 高解像表現画像を要する領域に、表面張力がインクと同等かこれより低いエネルギー線硬化性液層を形成し、そこにインクを吐出することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
- 中間調画像形成領域に、表面張力がインクと同等かこれより低いエネルギー線硬化性液層を形成し、そこにインクを吐出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- ベタ画像形成領域に、表面張力がインクより高いエネルギー線硬化性液層を形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- ベタ画像形成領域の輪郭部に、前記ベタ画像形成領域より表面張力が低いエネルギー線硬化液層を形成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 記録媒体上に、インクより高表面張力のエネルギー線硬化性液を供給する工程と、その結果形成された高表面張力のエネルギー線硬化性液層の領域の一部に、低表面張力のエネルギー線硬化液層を形成する工程と、そこにインクを吐出して印字する工程と、エネルギー線照射する工程を有する請求項1乃至6のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 記録媒体上に、インクより高表面張力のエネルギー線硬化性液を供給する工程と、その部分に界面活性剤含有液を供給する工程と、そこにインクを吐出して印字する工程と、エネルギー線照射する工程を有する請求項1乃至6のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 記録媒体上に、インクより高粘度で、かつ、インクより高表面張力のエネルギー線硬化性液を供給する工程と、その部分に界面活性剤含有液を供給する工程と、そこにインクを吐出して印字する工程と、エネルギー線照射する工程を有する請求項1乃至6のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 記録媒体上での粘度が吐出時より大きくなる高表面張力のエネルギー線硬化性液をインクジェットヘッドを利用して塗布する工程と、その一部に界面活性剤含有液を滴下する工程と、そこにインクを吐出して印字する工程と、エネルギー線照射する工程を有する請求項1乃至6のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 記録媒体上での粘度が吐出時より大きくなる高表面張力のエネルギー線硬化性液をインクジェットヘッドを利用して塗布する工程と、それ以外の部分に界面活性剤含有液を滴下する工程と、そこにインクを吐出して印字する工程と、エネルギー線照射する工程を有する請求項1乃至6のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 記録媒体上に、少なくとも2種の表面張力の異なるエネルギー線硬化性液を付与して表面張力の異なる分布パターンを有するエネルギー線硬化性液層を形成するエネルギー線硬化性液層形成手段と、前記記録媒体上に形成されたエネルギー線硬化性液層上に、エネルギー線硬化性インクを吐出するインク吐出手段と、前記エネルギー線硬化性液層及び前記エネルギー線硬化性インクに、エネルギー線を照射し硬化させて、画像を形成する硬化手段と、を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
- インク吐出手段が、ノズルヘッドを含む請求項12に記載のインクジェット記録装置。
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