本発明は、アクリル酸及びその共役塩基の総量をアクリル酸として計算して、水溶液の質量に対して少なくとも10質量%、並びにアクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して≧50質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して≧200質量ppm、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して≧3000質量ppm、
安息香酸及びその共役塩基の総量を安息香酸として計算して≦10質量ppm、
無水マレイン酸(MSA)、マレイン酸(MAS)及びその共役塩基の総量をマレイン酸として計算して≦10質量ppm、
無水フタル酸(PSA)、フタル酸(PAS)及びその共役塩基の総量をフタル酸として計算して≦10質量ppm、
アクロレインを≦50質量ppm、
ベンズアルデヒドを≦50質量ppm、
2−フルアルデヒドを≦50質量ppm、
及び少なくとも1つのアルカリ金属カチオンを少なくとも20モル%、含有している水溶液に関する。
さらに本発明は、前述の水溶液の製造方法、並びに(例えば高吸水性の)ポリマーを製造するためのそのような水溶液の使用に関する。
カルボン酸は、本明細書では少なくとも1つのカルボキシル基(−COOH)を有する化合物である。
この化合物がカルボキシル基を1つのみ有する場合、モノカルボン酸と呼ばれる。この化合物が2つ以上のカルボキシル基を有する場合、ジカルボン酸又はポリカルボン酸と呼ばれる。
モノカルボン酸は例えばアクリル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸及び安息香酸などである。ジカルボン酸は例えばマレイン酸及びフタル酸などである。
カルボン酸はブレンステッド酸に分類される。モノカルボン酸がブレンステッド塩基と反応すると、カルボキシル基はプロトン(H+)をブレンステッド塩基に供与する。その際カルボキシル基からカルボキシレート基(−COO-)が生じ、及びカルボン酸からその(それに対して)共役されたブレンステッド塩基(対応するアニオン)が生じ、これは本明細書では短縮して共役塩基と呼ばれる。
ジカルボン酸又はポリカルボン酸では、1つだけ又は2つ以上のカルボキシル基がそのプロトンをブレンステッド塩基に供与することができる。その際に生じる、互いに異なったアニオンは、本明細書では(ブレンステッドの定義において)すべてがジカルボン酸又はポリカルボン酸の共役塩基と見なされる。
アクリル酸は重要なエチレン性不飽和化合物であり、その共役塩基の形で又はアルコールとエステル化して、顕著なラジカル重合傾向を備え、及びこのようにして異なった種類のポリマーをラジカル重合によって生成することに適している。
特にアクリル酸は、少なくとも1つのアクリル酸のC3前駆体化合物と、物理的固体状で存在する触媒上で分子状酸素を用いて、高温での不均一系触媒による気相部分酸化により得られる(例えばWO2009/133042参照)用語「アクリル酸のC3前駆体化合物」は、ここでは特に形式的にはアクリル酸の還元によって得られる化合物を包含するものとする。既知のアクリル酸C3前駆体は、例えばプロパン、プロペン、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、プロパノール及びプロピオン酸である。ただしこの用語には前述の化合物の前駆体化合物、例えばグリセロールも含むものとする(グリセロールから出発して、例えば気相における不均一系触媒による酸化的脱水によって、アクリル酸が得られる)。例えばEP−A1710227、WO06/114506及びWO06/092272を参照))。
C3前駆体化合物の触媒による気相部分酸化の過程で進行する数々の並発反応及び後続反応により、(例えば狭い範囲で、目標反応と平行して、常に出口生成物、中間生成物及び/又は最終生成物から完全燃焼によりCO2及びH2Oも生じる)、また部分酸化の過程で使用しなければならない不活性希釈ガスにより、触媒による気相部分酸化では、純粋なアクリル酸ではなく、本質的にアクリル酸と、不活性希釈ガスと、副生成物とを含む反応ガス混合物(生成物ガス混合物)が得られる。
アクリル酸とは異なる、特に特徴的な生成ガス混合物成分には、アクロレイン、2−フルアルデヒド及びベンズアルデヒド等の低分子アルデヒド、ギ酸、酢酸及びプロピオン酸等の低分子脂肪族カルボン酸(=低分子アルカンカルボン酸)、安息香酸、フタル酸及び無水フタル酸等の芳香族カルボン酸ないしカルボン酸無水物、並びにマレイン酸及び無水マレイン酸等のオレフィン性不飽和カルボン酸ないしカルボン酸無水物が属している。さらに、典型的な生成ガス混合物成分としてCO2のほかに特に水がある。水は一方で普通の部分酸化副生成物であり、及び他方では、例えばCO、希ガス及び/又はN2とのような不活性希釈ガスと並んでしばしば共に使用される不活性希釈ガスであり、これは例えば反応混合気の発火性を低減し、反応熱の一部を吸収することができる。同様にCO2はしばしば部分酸化副生成物であるだけでなく、追加的に一緒に使用される不活性希釈ガスでもある。
記述したように部分酸化で製造されたアクリル酸の、企図している使用に応じて、上に引用した代表的な及びアクリル酸とは異なる生成ガス混合物の成分は、さまざまな具合に及びさまざまな規模で不利に作用する(WO03/095411参照)。
アクリル酸エステルの製造時に特にアクリル酸とは異なったカルボン酸(例えば低分子の脂肪族カルボン酸)及び/又はその無水物の存在は、不利に作用する。なぜならこれがやはりエステル化アルコールと反応して目標エステルの収量を減少させるからである。さらに、低分子脂肪族カルボン酸は匂い物質を形成し、これは低濃度で既に著しく不都合になり得る(例えばこれはポリマー製造時に共重合されない)。低分子アルデヒドは通常アクリル酸のラジカル重合挙動、その共役塩基並びにそのエステルを損なうが、それは重合を遅くする又はまったく抑制してしまうこと、重合時に生じる分子量又は重合鎖長を減少させることによる。しかし低分子アルデヒドはここでは通常ポリマー中に組み込まれる。
芳香族カルボン酸又はその無水物は毒物学的にまったく懸念がないとはいえない。また、低分子アルデヒドはラジカル重合によって生成されたポリマーに共重合されないことも不利である。その反面、低分子アルデヒドはアクリル酸及びその共役塩基と(モノマー及びラジカル重合された形で)水素架橋結合できるため、低分子アルデヒドをポリマーから除去することが難しい一方で、長期間にわたってポリマーから低分子アルデヒドが持続的にその周囲に供与され得る。低分子アルデヒドがポリマー中に留まる限り、それは変色の原因ともなり得る。
同様に、前述の説明は、アクリル酸とは異なるオレフィン性不飽和カルボン酸にも当てはまる。そのラジカル重合傾向は、通常アクリル酸よりも小さく、そのために低分子アルデヒドは対応するラジカル重合において、より高い確率で、重合されずに残った残留モノマーを形成する。残留モノマーは、そのエチレン性不飽和二重結合が原因で、やはり毒物学上完全に懸念がないとは言えない。
水素架橋結合された低分子アルデヒドは、生成されたポリマーから長い期間にわたって除去することはやはり難しいが、ゆっくりとその周囲に供与される。
アクリル酸の付随物としての水は、アクリル酸中の水として、アクリル酸のマイケル付加によって望ましくないジアクリル酸形成を加速し、その結果、水を含有するアクリル酸を貯蔵する際に、比較的短期の貯蔵期間であっても、少なからぬジアクリル酸が形成され得るという点において不都合である。ジアクリル酸のラジカル重合傾向は、やはりアクリル酸よりも小さい。さらに、共重合されたジアクリル酸も共重合されないジアクリル酸も、熱負荷により再びアクリル酸モノマーに切断され得る。
したがって略説された背景において従来の方法は、部分酸化の生成ガス混合物から通常アクリル酸が分離され、そのアクリル酸濃度は通常少なくとも96質量%になり、及び実質的にすべての、部分酸化生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸付随物は、比較的均一に低減された分量だけが含有されるように実施される。
その際アクリル酸は、通常まず生成ガス混合物から比較的選択的に吸収剤に入れられ、及びそれに続いてその際に結果として生じた被吸収物から、例えば精留法で又は抽出及び精留による分離法で分離される(例えばDE−A102009027401参照)。
このようにしてアクリル酸が得られるが、これは特定の使用目的のために適合されたものではなく、特別に際立った不都合を甘受する必要なく、さまざまに使用可能である。そのほかに、このアクリル酸は追加の結晶化処置(例えばEP−A616998参照)及び/又は精留法処置(例えばDE−A4335172参照)によって精製可能であり、及び続いて、アクリル酸の純度に特に高い要求が出される使用に適用可能である。
しかし前述のようにして得られるアクリル酸の多様な適用性の対価は、比較的分離の手間がかかり、アクリル酸の後続の使用の多くが水性媒体中で行われるにもかかわらず、例えば部分酸化の生成ガス混合物中に含まれる水が大量に分離する。
この後続の使用にはポリマーの製造も含まれ、共重合されたアクリル酸の少なくとも一部が、例えばNaOH等のアルカリ塩基と中和された形で存在する(例えばDE−A102004004496参照)。
このようなポリマーは、通常水性液体の際立った吸収性を備えており、「スーパーアブソーバー」という名称で知られている(例えばUS2010/0041549並びに"Modern Superabsorbent Polymer Technology",Buchholz/Graham,Wiley−VCH,New York,1998参照)。
スーパーアブソーバーの製造は、通常アクリル酸及びその共役塩基を総量でアクリル酸として計算し、水溶液の質量に対して少なくとも10質量%含有する水溶液からのラジカル重合を含んでいる。さらにこの水溶液は、その中に含んでいるアクリル酸及びその共役塩基(アクリレートアニオン)のモル総量に対して通常少なくとも1つのアルカリ金属カチオンを少なくとも20モル%含有する。後者は通常例えばNaOH等の少なくとも1つのアルカリ塩基に戻り、これは水溶液に含まれるアクリル酸の少なくとも一部を中和し、及び正電荷を持つ対イオン(アルカリ金属カチオン)がここで共役された(ブレンステッド)塩基として生じたアクリレートアニオンに提供される。
元々スーパーアブソーバーは実質的にもっぱら幼児用おむつ及び失禁用製品等の衛生用品に使用されてきた。このような背景から、その製造に使用されるアクリル酸には特に高い純度が要求される。最終的に、高吸収性ポリマー水溶液を含む衛生用品は毒物学的に懸念がないだけでなく、望ましくない変色を示すことなく無臭でなければならず、及び特に高い水溶液吸収能力と吸収した水溶液の際立った保水能力を備えていなければならない(後者の性質は重合鎖が長いと有利である)。これに対応した純度を持つアクリル酸は、不均一系触媒による、生成ガス混合物からの部分的気相酸化により、例えばDE−A102007055086に開示された方法によって生成され得、この方法は分別凝縮と結晶化を組み合わせたものである(DE−A10221202及びWO2010/003884又はWO2004/035514並びにUS2008/0119626、US2008/0161512及びWO2006/008083も参照)。WO2008/116840ではこれに匹敵する方法が推奨されている。
これまでに、衛生用品分野以外の多数の新適用範囲がスーパーアブソーバーのために開拓されてきている。
中でも特に建設化学分野に多数スーパーアブソーバーが使用されている。例えばモルタルに増量材及び/又は保水剤として使用される。さらに、スーパーアブソーバーは今日、消火活動にも使用されている。こうしてスーパーアブソーバーと水がいわゆるゲル水溶液として入れられた消火器は、火元にのみ作用を及ぼし、電気ケーブルなどを損傷しないため有利である。造園においては、スーパーアブソーバーが植物のための保水剤として使用されている。その場合スーパーアブソーバーがその中に吸収した水を長期間にわたって均等に植物に与えるため、その期間は水やりが不要となる。ケーブル被覆内には有利にはスーパーアブソーバーから成る層があり、これがケーブルを湿気から保護している。外側の覆いを通って水が浸入すると、スーパーアブソーバーが水を吸収して膨らみ、水の浸入箇所を塞ぐ。またスーパーアブソーバーは河川等の氾濫防止にも使用されている。その場合は、単なる土嚢を使用するのではなく、砂とスーパーアブソーバーの混合物が入れられた土嚢が使用される。
衛生分野に使用されるスーパーアブソーバーにとって前述の高い品質要求が実質的にすべての尺度である一方で、衛生分野以外で使用されるスーパーアブソーバーにとって十分な品質と並んで特に経済性の観点が何よりも重要である。
しかし衛生分野以外の使用目的のために十分なスーパーアブソーバーの品質は、その中に含まれる不純物として以下の代表的なフィンガープリントを含んだアクリル酸から出発しても達成できる(分量表示はアクリル酸中に含まれるアクリル酸量に基づく):
プロピオン酸を≧50質量ppm
ギ酸を≧200質量ppm、
酢酸を≧3000質量ppm、
安息香酸を≦10質量ppm、
無水マレイン酸及びマレイン酸の総量をマレイン酸として計算して≦10質量ppm、
無水フタル酸及びフタル酸の総量をフタル酸として計算して≦10質量ppm、
アクロレインを≦50質量ppm、
ベンズアルデヒドを≦50質量ppm、
2−フルアルデヒドを≦50質量ppm、
水を≧50質量ppm。
このことから、特に、低分子の脂肪族カルボン酸は毒物学的に懸念がなく、ほとんど無臭であるために提示された使用には十分である。
さらに、スーパーアブソーバーが申し分ない吸収特性/保水特性を備えるために、関連するポリマーの鎖長は問題なく十分であるため、衛生分野以外への使用においてはアルデヒド含有量がわずかに高くとも目標とする使用分野で負荷とならない。
しかしアクリル酸を得る際には、安息香酸、フタル酸及びマレイン酸(又はその無水物)の低減は依然として比較的徹底して実施されなければならない。なぜなら衛生分野とは異なる、想定される使用において、時間の経過に伴い場合によってこれらがポリマーから出て環境中に放出される可能性があるからである。
含水率の上昇の意義については既に検討済みである。
前述の内容から発展した対応するスーパーアブソーバーの製造には、したがって水溶液からのラジカル重合が含まれ、この水溶液はアクリル酸及びその共役塩基を総量でアクリル酸として計算して水溶液の質量に対して少なくとも10質量%、並びに水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基をアクリル酸として計算した総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して≧50質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して≧200質量ppm、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して≧3000質量ppm、
安息香酸及びその共役塩基の総量を安息香酸として計算して≦10質量ppm、
無水マレイン酸、マレイン酸及びその共役塩基の総量をマレイン酸として計算して≦10質量ppm、
無水フタル酸、フタル酸及びその共役塩基の総量をフタル酸として計算して≦10質量ppm、
アクロレインを≦50質量ppm、
ベンズアルデヒドを≦50質量ppm、
2−フルアルデヒドを≦50質量ppm、
1つのアルカリ金属カチオンを少なくとも20モル%を含有する(当然このような水溶液は特に、凝集剤(EP−A372706参照)又は分散剤として使用可能な低分子ポリアクリレートの製造にも適している)。
本発明により、このような水溶液を、目的に合わせた、それによって特に経済的な方法で得られる。この製造方法の重要な特徴は、公知の従来技術の方法と比較して、分離の手間が格別に少ないことである。なぜなら、例えば部分酸化の生成ガス混合物中に含まれている水を十分に分離する必要がないからである。さらに、本発明の方法は、選択肢としてすぐに使える水溶液(すなわち、いわゆる「レディミックス」)を製造する。
これに対して、DE−A10221203で推奨されている手順は十分可能とは言えない。その原因は、そこで推奨されている、部分的に中和したアクリル酸を含有する、該当するラジカル重合が行われる水溶液の製造手順では、アクリル酸及び望ましくない副成分である安息香酸、フタル酸及びマレイン酸並びにその無水物を十分に分離できないことにある。
このことは、アクリル酸を直接部分酸化の生成ガス混合物から取り出して水性のアルカリ塩基に入れる手順にも、まず生成ガス混合物からアクリル酸を凝縮により液相へ移行し、次に少なくとも1つのアルカリ塩基を添加して、アクリル酸を含む液相に移行する手順にも該当する。
本発明の水溶液は通常、アクリル酸及びその共役塩基を含む目標水溶液の製造方法によって得られ、これは以下の方法処置を含んでいる:
− アクリル酸の少なくとも1つのC3前駆体化合物が、アクリル酸の少なくとも1つのC3前駆体化合物の成分として、分子状酸素及び少なくとも1つの、CO2及び水とは異なった不活性希釈ガスを含有する反応ガス出発混合物を(物理的に固体状の触媒を備えた)部分酸化ゾーンに通し、及びその中で不均一系触媒による気相部分酸化により、物理的に固体状の触媒上で分子状酸素を用いて、CO2、水、目標物質アクリル酸、副成分のギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、アクロレイン、ベンズアルデヒド、2−フルアルデヒド、無水フタル酸及び/又はフタル酸、無水マレイン酸及び/又はマレイン酸並びに少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性希釈ガスを含む生成ガス混合物を得ながら、アクリル酸に部分酸化し、
− 部分酸化ゾーンから取り出された生成ガス混合物が、選択的にその温度が冷却ゾーンで直接冷却及び/又は間接冷却によって低下した後で吸収ゾーンIを通り、その中で生成ガス混合物に対して並流又は向流で吸収剤Iが入れられ、この吸収剤が生成ガス混合物の経路で吸収ゾーンIを通り、被吸収物Iを形成しながら、副成分の安息香酸、フタル酸及び/又はその無水物並びにマレイン酸及び/又はその無水物を、生成ガス混合物から吸収によって洗い出し、
− 被吸収物Iが吸収ゾーンIから除かれ、及び吸収ゾーンIから取り出され洗浄された生成ガス混合物が、凝縮ゾーンIを通り、及び洗浄された生成ガス混合物の経路で凝縮ゾーンIを通って洗浄された生成ガス混合物から、その直接冷却及び/又は間接冷却によって、副成分のギ酸、酢酸、プロピオン酸、アクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドも溶解して含有するアクリル酸水溶液が、CO2及び水を含有する残留ガス混合物Iが残るという条件下で凝縮液Iとして凝縮され、この残留ガス混合物が少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性の希釈ガス並びに酢酸、プロピオン酸、アクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドの他に副成分としてさらに生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸量の少なくとも10%を含有し、
− 凝縮液Iの少なくとも一部が吸収剤Iとして吸収ゾーンIに誘導され、及びその際に選択的に残った凝縮液Iの残留量が水性中間生成物Iとして凝縮ゾーンIから取り出され、
− 凝縮ゾーンIから取り出された残留ガス混合物Iが吸収ゾーンIIを通り、その中で残留ガス混合物Iに対して並流又は向流で吸収剤IIとして水性のアルカリ塩基が誘導され、これが残留ガス混合物Iの経路で吸収ゾーンIIを通って、アルカリアクリレート水溶液を形成しながら被吸収物IIとして、アクリル酸と並んでCO2も、並びに副成分のギ酸、酢酸、プロピオン酸、アクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドも、残留ガス混合物Iから吸収によって洗い出され、その際に残留ガス混合物IIが残り、これが少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性の希釈ガス及びアクリル酸残留量の他に、水も含有し、
− 残留ガス混合物IIが吸収ゾーンIIから取り出され及び被吸収物IIが吸収ゾーンIIで水性中間生成物IIとして取り出され、
− 凝縮ゾーンIから水性中間生成物Iが取り出されない場合は、水性中間生成物IIからその中に含まれている副成分のアクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドが抽出によって有機抽出剤を使用してその中に取り出され、及びその際に残った水性ラフィネートIIがアクリル酸及びその共役塩基を含む目標生成物水溶液として、形成された有機抽出物IIから分離され、
− 凝縮ゾーンIから水性中間生成物Iが取り出される場合は、水性中間生成物IIから、その中に含まれる副成分のアクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドが有機抽出剤を使用した抽出によってその中に取り出され、及びその際に残った水性ラフィネートIIが、形成された有機抽出物IIから分離され、並びに水性中間生成物Iから、その中に含まれる副成分のアクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドが有機抽出剤を使用した抽出によってその中に取り出され、及びその際に残った水性ラフィネートIが形成された有機抽出物Iから分離され、及び水性ラフィネートIIと水性ラフィネートIがアクリル酸及びその共役塩基を含む目標生成物水溶液へと統合され(合流され)、ここから選択的にCO2がガス抜きされ、
又は
− 水性中間生成物IIと水性中間生成物Iが水性中間生成物IIIへと統合され(合流され)及び前もって選択的にCO2がガス抜きされた水性中間生成物IIIから、その中に含まれる副成分のアクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドが有機抽出剤を使用した抽出によってその中に取り出され、及びその際に残った水性ラフィネートIIIがアクリル酸及びその共役塩基を含む目標生成物水溶液として、形成された有機抽出物IIIから分離される。
このような製造方法が、本出願の発明による方法を形成している。
本発明により有利には、目標生成物としてアクリル酸を含んでいる、部分酸化から来る生成ガス混合物の温度が、吸収ゾーンIへ流入する前に冷却ゾーンで直接冷却及び/又は間接冷却によって、冷却ゾーン貫流中に低下される。
なぜなら、気相部分酸化から出た生成ガス混合物の温度は、適用された気相部分酸化の実施形態に応じて広い範囲でさまざまに変化し得るからである。気相部分酸化を出た生成ガス混合物の温度はしばしば150〜350℃であり、たびたび200〜320℃ないし〜300℃に、又は220〜300℃に、時には最大500℃になる。
本発明による、目標生成物としてアクリル酸を含む生成ガス混合物の好都合な温度は、その吸収ゾーンIへの入り口で90〜180℃、好ましくは95〜170℃又は100〜160℃及び特に好ましくは100〜150℃又は100〜130℃である。
生成ガス混合物の温度が間接冷却によって冷却ゾーンで低下される場合、この目的を達するために通常間接熱交換器が使用され、これは少なくとも1つの第1の空間と、少なくとも1つの第1の空間から物理的な隔壁で隔てられた少なくとも1つの第2の空間とを有している。少なくとも1つの第1の空間には液体冷媒が貫流し、被冷却生成ガス混合物は同時に少なくとも1つの第2の空間を貫流する。物理的な隔壁は、少なくとも1つの第2の空間から少なくとも1つの第1の空間へと熱を伝送する面として機能する。間接熱交換器として、本発明の目的のために例えば多管式熱交換器又は平板熱交換器が考えられ、これは例えばDE−A10313208、US6382313B2、DE−A102007025869、DE−A102007019597及びDE−A102004061770のように、アフタークーラー又はインタークーラーとして公知である。液体冷媒として例えば水、融解塩、イオン性液体及び油、並びにその他すべての、上記明細書に挙げられた液体が考えられる。
しかし本発明により、部分酸化の生成ガス混合物の温度低下が本発明により好適な、好ましくは微細に噴霧された冷却液を使用して直接冷却によって行われ、この冷却液が部分的に気化されることが好ましい。このような冷却液として、例えば事前に冷却された比較的純粋なアクリル酸又はその水溶液が考えられる。特に有利には、本発明の方法では生成ガス混合物を冷却するために、吸収ゾーンIから放出された被吸収物Iが使用される。
そのような冷却液として使用される被吸収物Iは、自身を間接的に冷却する目的で間接熱交換器を通って(通り抜けて)誘導される。これに関して、流通しているすべての間接熱交換器が適している。好ましい熱交換器として、多管式熱交換器、平板熱交換器及び空気冷却器が挙げられる。適切な冷却媒体として、例えば対応する空気冷却器では空気が、及び他の熱交換器では冷却液、特に水が挙げられる。しかし、冷却液として使用される被吸収物Iのこのような間接冷却は本発明の方法では不可欠というわけではない。
生成ガス混合物を直接冷却する場合、これは冷却ゾーンでは直接クーラーである(専門文献ではクエンチ装置と呼ばれる)。その際基本的に直接クーラーとして、これに関する従来技術で公知のすべての装置(例えばスプレー洗浄装置、ベンチュリ洗浄装置、気泡塔又は散布表面を備えたその他の機器)が考えられる。本発明により好ましくは、このような直接クーラーとしてベンチュリ洗浄装置又はスプレークーラーが使用される。好ましくは噴霧された冷却液(例えば被吸収物I)及び被冷却生成ガス混合物が並流でスプレークーラー中を流れる。特に後者の場合、及び特に(好ましくは噴霧された)冷却液として被吸収物Iが使用される場合、冷却された生成ガス混合物は冷却液と混合されて冷却ゾーンから出され、吸収ゾーンIに入れられる。生成ガス混合物を直接冷却する場合の冷却効果は、特に冷却液として被吸収物Iが使用される場合、特に冷却工程中の冷却液の部分気化の結果として生じる。冷却液の温度は、それが特に被吸収物Iである場合、冷却ゾーン(直接クーラー)に入る際に本発明の目的に合わせて90℃〜120℃である。
特に並流中で駆動されるスプレークーラーの場合(DE−A10063161及びEP−A1345881も参照)直接クーラーは微細に噴霧された冷却液の水滴と被冷却生成ガス混合物との接触表面積を大きくするために内部構造物を必要としない。しかし当然のことながら直接クーラーがこのような内部構造物(例えば規則充填物、不規則充填物及び/又はあらゆる種類の物質移動トレイ)を含んでいてよい。直接クーラーが前述の内部構造物を有している場合、冷却液(例えば被吸収物I)及び生成ガス混合物は、向流で直接クーラーを通って(冷却ゾーンを通って)導かれると応用技術的に目的に合っている。応用技術的に有利には、周囲環境に対して(例えば鉱滓綿を使用して)断熱された直接クーラーが用いられる。
当然のことながら本発明の方法では、生成ガス混合物を冷却液として被吸収物Iを使って直接冷却する場合吸収ゾーンIから取り出された(放出された)被吸収物Iの総量が直接クーラー(冷却ゾーン)に給送されるわけではなく、吸収ゾーンIから取り出された被吸収物Iの一部だけが送り込まれる。この場合被吸収物Iの搬送は応用技術的に有利には、DE−A10228859に従ったラジアル遠心ポンプを使用する。他の、直接冷却のために冷却ゾーンで使用されない、はるかに少ない一部の被吸収物Iは、被吸収物I中に含まれる、望ましくない被吸収要素、例えば安息香酸、フタル酸及び無水フタル酸並びにマレイン酸及び無水マレイン酸の出口となる。
本発明の方法により、冷却ゾーン内で、少なくとも1つのC3前駆体化合物の不均一系触媒による気相部分酸化から出たアクリル酸を含む生成ガス混合物の温度を下げるために、間接冷却と直接冷却の組合せを使用することもできる。
本発明の方法では、吸収剤Iは吸収ゾーンI内で、吸収ゾーンIを貫流する(吸収ゾーンIを通って(通り抜けて)誘導される)生成ガス混合物に対して、基本的に並流にも向流にも誘導され得る。なぜなら、本発明による手順の吸収ゾーンI内では通常、吸収ゾーンI内で生成ガス混合物から吸収剤Iによって吸収される物質(被吸収要素)を所望の範囲で吸収剤Iに取り入れるためには、理論段で十分だからである。
DE10347664及びDE1020070550086におけるように、用語「理論段」はこの場合(本明細書で常にそうであるように)、熱力学的平衡に応じて濃縮に作用する、当該ゾーン内の空間単位である。
並流の場合、吸収ゾーンIは通常、分離効果のある内部構造物にある空の空間であり、この中には吸収剤が微細化した水滴に噴霧して送られる。その形態は、冷却ゾーン用に推奨される直接クーラーのように仕上げられてよい。
本発明により有利には、本発明の方法では、吸収ゾーンI内で、吸収剤Iが吸収ゾーンIを通って(通り抜けて)送られる生成物ガス流に対して向流で誘導され、応用技術的に目的に合わせて吸収ゾーンIに設置された分離効果のある内部構造物により、理論段数が数値≧1に調節される。
経済的に有利には、吸収ゾーンI内の理論段数は、通常5理論段を超えることはない。通常、この数は≧1〜≦3の範囲にある。さらに、吸収ゾーンIは目的に合わせた方法で「断熱」される。つまり周囲環境に対して熱的に遮断されて稼働される。
少なくとも2つの物質相が互いに向流して誘導される熱分離法で常にそうであるように、分離効果のある内部構造物は吸収ゾーンI内で互いに向流して誘導される物質相間で使用可能な交換表面を拡大するという目的を実現し、この交換表面上では、目標とする分離効果に条件付けされた物質とエネルギーの交換が物質相間で行われる。このような内部構造物として、吸収ゾーンIのためには基本的に従来技術で公知の分離効果のあるすべての内部構造物が考えられる。これには、特に物質移動トレイ、規則充填物及び/又は不規則充填物が数えられる。物質移動トレイには、バブルキャップトレイ、バルブトレイ(例えば強制バルブトレイ又は滴下バルブトレイ(デュアルフロートレイ))、シーブトレイ(例えば固定式バルブ付き又はバルブディスクトレイとして)及び/又はThormann(登録商標)トレイが挙げられる。考えられる不規則充填物は、リング、らせん、サドル充填物、ラシヒリング、Intos−リング又はPall−リング、Berl−サドル又はIntalox−サドル、Top−Pak等又は網状充填物などがある。吸収ゾーンIに適した規則充填物は、例えばJulius Montz GmbH(D−40705 Hilden)の規則充填物、例えば規則充填物Montz−Pak B1−350、又はSulzer Chemtech社(CH−4123 Allschwill、以前のKuehni社)の規則充填物、例えば規則充填物Rombopak 9Mなどである。
本発明の方法では吸収剤I(=吸収液I)としてアクリル酸水溶液が使用され、これは本発明の方法では凝縮ゾーンI内で、吸収ゾーンI内で洗浄された生成ガス混合物から凝縮液Iとして生成される。これは、凝縮ゾーンIから出て吸収ゾーンIへ入る経路において追加的に冷却され得る(例えば間接的熱交換により)。
本発明による吸収ゾーンIの方法においては、吸収剤Iは40〜70℃、好ましくは45〜65℃の温度範囲で給送されると、応用技術的に目的に合っている。
通常凝縮水Iは(自身の質量の)少なくとも20質量%のアクリル酸を含有する。好ましくは、凝縮水Iは少なくとも30又は少なくとも40質量%のアクリル酸を含有する。本発明により特に好ましくは、凝縮水Iは少なくとも50質量%のアクリル酸を含有する。しかし、通常凝縮水Iは本発明の方法では(自身の質量の)95質量%以下、たいていの場合90質量%以下のアクリル酸を含有する。特別に有利には、凝縮水Iのアクリル酸含有率は、凝縮液Iの質量に対してそれぞれ50〜80質量%ないし50〜70質量%である。
本発明による凝縮ゾーンIの方法において、水性中間生成物Iとして凝縮液Iをまったく取り出せない又は一部のわずかな凝縮液Iしか取り出せない場合は、本発明の方法ではこの処置に伴って通常凝縮水Iのアクリル酸含有率が高まる。
吸収ゾーンIで洗浄された生成ガス混合物の冷却は、凝縮液Iとしてアクリル酸水溶液を生成する目的で、原則として間接冷却によっても、直接冷却によっても行うことができる。当然のことながら、前述の目的のために間接冷却と直接冷却を組み合わせても使用できる。間接冷却は、冷却ゾーン内と同様、対応する間接熱交換器(凝縮器、例えば表面凝縮器)を使用して実施され、この凝縮器内では被冷却ガス混合物は冷却剤として使用される冷媒と接触しない(例えばこの熱交換器は冷却ゾーンのために推奨される間接熱交換器である)。
しかし、本発明により好ましくは、吸収ゾーンI内で洗浄された生成ガス混合物の冷却は凝縮ゾーンI内で直接冷却される(例えば純粋なアクリル酸又はその水溶液を冷却液として使用して)。
この目的のために、本発明により有利には、凝縮ゾーンI内に形成された凝縮液Iの一部が凝縮ゾーンIから取り出される。これは冷却を目的として間接熱交換器を通って誘導され、冷却が完了すると液体の冷却剤として凝縮ゾーンIに戻され、及びその中で冷却される、吸収ゾーンI内で洗浄された生成ガス混合物と直接に接触される。
冷却液として使用される凝縮ゾーンIの凝縮液Iの一部が取り出される温度と、それが間接熱交換器を貫流後に冷却されて凝縮ゾーンIに戻される温度との差は、10〜30℃、しばしば15〜25℃であると、応用技術的に目的に合っている。
直接冷却を目的として、冷却液は凝縮ゾーンI内で例えば微細化した水滴にして噴霧され、被冷却ガス混合物に対して並流でも向流でも誘導され得る。通常、この場合凝縮ゾーンIは冷却液と被冷却ガス混合物との交換表面積を拡大するための内部構造物を備えていない(この場合簡単な方法として凝縮ゾーンIを例えば空の円筒形カラムとして(又はそのようなカラム断面として)形成することができ、その長さはその断面よりはるかに大きい。
しかし、本発明により好ましくは凝縮ゾーンIに内部構造物が備えられており、この内部構造物は通常分離効果のある内部構造物として熱分離法での分離効果を高めるために使用される。このような内部構造物として、特に本明細書に吸収ゾーンIにも適していると推奨されているすべての内部構造物が考えられる。冷却液(通常噴霧されない)及び被冷却ガス混合物は、ここでは応用技術的に目的に合わせて互いに向流して内部構造物を通って誘導され(好ましくは(常に本発明の方法でそうであるように)、冷却液はその際DE−A10228859に従ったラジアル遠心ポンプを使用して給送される)。ここで凝縮ゾーンIで冷却液として使用される凝縮液Iの一部は、凝縮ゾーンI及び冷却している熱交換器を通って循環しているため、この稼働方法では凝縮ゾーンIで結果として生じる分離効果が値≦1の理論段に自然に限定される。そのため、通常本発明の方法では凝縮ゾーンI内で例えば物質移動トレイは6つ以下で、大抵1〜3つの物質移動トレイ(又は対応する量の規則充填物及び/又は不規則充填物)が「分離効果のある」内部構造物として使用される。このような物質移動トレイとして、この目的のために特にバブルキャップトレイ、バルブトレイ(例えば強制バルブトレイ又は滴下バルブトレイ(デュアルフロートレイ))、シーブトレイ(例えば固定式バルブ付き又はバルブディスクトレイとして)及び/又はThormann(登録商標)トレイが考えられる。
凝縮ゾーンIでは、(凝縮液の、吸収剤Iの)アクリル酸水溶液の生成の際に、ガス状で残った残留ガス混合物Iが、本発明の方法では部分酸化の結果として形成された生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸量の少なくとも10%(ここで比較の基本は生成ガス混合物流中に含まれるアクリル酸流の強度(kg/h)並びに残留ガス混合物Iの流れ中に含まれるアクリル酸流の強度(kg/h))含んでいる。好ましくは残留ガス混合物Iは、本発明の方法では、部分酸化の生成ガス混合物中に含まれているアクリル酸量の少なくとも15%、又は少なくとも20%、及び特に好ましくは少なくとも25%、又は少なくとも30%含まれている。本発明による手順の境界例では、残留ガス混合物I中に含まれているアクリル酸の量は部分酸化の生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸量の最大で99.8%又は最大で99.5%である。残留ガス混合物I中に結果として生じるアクリル酸含有量は、本発明の方法では通常、凝縮ゾーンIからわずかしか又はまったく水性中間生成物Iが取り出されなかった場合に高くなる。
本発明の方法では、部分酸化の生成ガス混合物に含まれるアクリル酸量に関して、残留ガス混合物I中に目標とするアクリル酸量が比較的少ない場合、本発明により吸収ゾーンI中で洗浄された生成ガス混合物流の凝縮ゾーンI中で適切な冷却を引き起こすアクリル酸水溶液の凝縮が、追加的に吸収ゾーンI中で洗浄された生成ガス混合物流に含まれるアクリル酸が吸収剤としての水へ吸収されることと重複すると、本発明による目的に合っている。この場合、凝縮ゾーンI内では「凝縮液I」中に生成されたアクリル酸水溶液は、「凝縮液」と「水中の被吸収物」の混合である。言うまでもなく前述のアクリル酸の水への追加的吸収は、求められる凝縮ゾーンI内での凝縮のために使用される間接冷却及び/又は直接冷却と重複される。本発明により好ましくは、凝縮ゾーンIへ給送された吸収剤である水が、凝縮ゾーンI内で吸収ゾーンI中で洗浄された生成ガス混合物に対して向流に誘導される。しかし同じく並流誘導も可能である(目的に合わせて、微細化した水滴に噴霧された水を使用して)。応用技術的に有利には、本発明の方法では、吸収ゾーンI内で洗浄された生成ガス混合物の冷却が凝縮ゾーンI内で直接冷却として実施される場合に、凝縮ゾーンI内でアクリル酸の水への追加吸収が重複される。これは特に、冷却液として間接熱交換器及び凝縮ゾーンIを循環される一部の凝縮液Iが使用されると、行われる。目的に合わせた方法で、冷却液及び吸収剤である水は、上記の例において並流に凝縮ゾーンIを通って誘導される。本発明により有利には、凝縮ゾーンIを通って(通り抜けて)誘導される流れに対して向流の流れは、吸収ゾーンI内で洗浄された生成ガス混合物へと移動する。
アクリル酸及び水の他に、凝縮水Iは通常副成分のギ酸、酢酸、プロピオン酸、アクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドも溶解して含有している。凝縮ゾーンI内でCO2及び水を含んで(ガス状に)残った残留ガス混合物Iは、生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸量の少なくとも10%、及び少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性の希釈ガスの他に、通常さらに酢酸、プロピオン酸、アクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドを含有する。
凝縮ゾーンI内に生じた凝縮液Iの一部は、吸収剤Iとして吸収ゾーンIに給送されず、冷却液として直接冷却のために凝縮ゾーンIで使用されず、水性中間生成物Iとして凝縮ゾーンIから取り出される。その温度はしばしば50〜70℃である。
本発明による手順の範囲では、吸収ゾーンIで実行された吸収が実質的に物理的吸収であるため(すなわち沸点が高い被吸収要素、例えば無水フタル酸、無水マレイン酸及び安息香酸等の被吸収要素が通常優先して吸収される)、吸収剤Iのアクリル酸含有量は、吸収ゾーンI内で本発明により求められている洗浄に有利に作用する。吸収剤Iのアクリル酸含有量が増大すると、本発明の方法では吸収ゾーンI内で通常分離効果が高くなるのに伴い、目標生成物であるアクリル酸から無水フタル酸、フタル酸、無水マレイン酸、マレイン酸及び安息香酸の必要な分離が行われる。
本発明の方法において、水性中間生成物IIが凝縮ゾーンIから強制的に製造される他に、選択的に水性中間生成物Iも取り出されるという選択肢は、本発明による手順の特に有利な特徴である。これは特に、部分酸化の生成ガス混合物流中に含まれるアクリル酸流の配分(部分酸化の生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸量の配分)が、水性中間生成物IIと水性中間生成物Iの2つの流れへ(水性中間生成物II及び水性中間生成物Iへ)本発明の方法では比較的変化させて形成することができるからである。
これは、後で水性中間生成物Iと水性中間生成物IIが合流することにより(有機抽出剤を使用して本発明による抽出を行う前又は行った後に)本発明による手順を実質的に変更することなしに、及び同じ1つの器具的装置を使用していわゆる「レディミックス」として(意図した(後続の)使用に直接供給可能な水性混合物として)少なくとも部分的に中和したアクリル酸及びその共役塩基を含んでいる目標生成物水溶液を製造し、その中和度が場合によっては直後の使用にそれぞれ目的に合わせて適合され、幅広い範囲に変化可能であるという可能性が開ける、という点で有利である。目標生成物水溶液の水分含有量も、これによって簡単な方法で、使用に合わせて調整することができる。
当然のことながら、水性中間生成物I、II及びIIIは、各抽出の後で分離されたラフィネートの水分含有量及び/又は中和度を追加的に調整するために、前もって本発明による有機抽出剤を使用した抽出水及び/又はアルカリ水溶液(水性アルカリ塩基)を加えることができる。
しばしば、水性中間生成物I中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基のモル総量GIと、水性中間生成物IIに含まれるアクリル酸及びその共役塩基のモル総量GMとのモル比M(=GI/GII)は(ここで比較の基本は各水性中間生成物流中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基のモル総量の強度(モル/h))、本発明による方法では≧0〜6:1ないし1:6〜6:1、又は≧0〜5:1ないし1:5〜5:1、有利には≧0〜4:1ないし1:4〜4:1、又は≧0〜3:1ないし1:3〜3:1である。本発明により特に好都合な比率Mは、比率2:1〜5:1又は2:1〜4:1でもある。選択的に量比Mはしかし、≧0〜2:1ないし1:2から2:1又は1:1であってもよい。
本発明による方法により凝縮ゾーンI内で凝縮が水による吸収と重複されると、凝縮の際に冷却液(例えば冷却された凝縮液I)を用いた直接冷却によって凝縮ゾーンIに供給される吸収剤である水の温度及び凝縮ゾーンIに供給される冷却液の温度がそれほど大きく相違していない場合、本発明により有利である。しばしば、吸収剤である水は凝縮ゾーン1に、1〜40℃又は5〜35℃、又は10〜30℃、好ましくは15〜25℃の温度範囲で供給される。
基本的に、本明細書で常にそうであるように、ある方法ゾーンで直接冷却及び吸収の適用が互いに重なり合う場合、対応する方法ゾーンの対応する冷却液及び吸収剤は、事前に混一された液体混合物として給送されてもよい。
混一はこの場合、事前に間接熱交換器で行うことが可能であり、この中で冷却液が冷却される。この場合は、冷却液は吸収剤との混合物として熱交換器を貫流する。
ちなみに、凝縮ゾーンIに吸収剤として送られる水流の強度(kg/h)は、本発明による方法では通常凝縮ゾーンIを直接冷却を目的として同時に通す冷却液(例えば冷却された凝縮液I)の流量(kg/h)よりも小さい。通常流量は、給送された冷却液流の(例えば冷却された凝縮液Iでの流れの)流量の50%未満、しばしば40%未満、大抵は30%未満又は20%未満である。しかし通常前述のパーセンテージは、値が≧1%、しばしば値が≧5%である。
当然のことながら、本発明による方法では凝縮ゾーンI内で水への吸収の重複も省略することができる。
本発明による、アクリル酸及びその共役塩基を含む水溶液(目標生成物水溶液)の水分含有量は、各水溶液の質量に対して、例えば15〜85質量%、又は30〜80質量%、又は40〜70質量%、又は好ましくは50〜65質量%ないし55〜60質量%であってよい。本発明により好ましくは、前述の水分含有量は≦65質量%、特に好ましくは≦60質量%である。
吸収剤IIとして、本発明による方法では水性アルカリ塩基が使用される。用語「水性アルカリ塩基」は、本明細書ではアルカリ酸化物、水酸化アルカリ、アルカリ炭酸塩、アルカリ炭酸水素塩、並びに上記塩の水化物から成る群のうち少なくとも1つのアルカリ塩を溶解して含有している水溶液に包含される。しかし用語「水性アルカリ塩基」は本明細書ではさらに、前述のアルカリ塩の水性懸濁液も含まれ、この中には前述の塩の少なくとも1つが微細化した固体物質として存在する。水性アルカリ塩基の製造は、例えば簡単な方法で、少なくとも1つのアルカリ塩を水に、又は水と凝縮水IIの混合物中に、又は凝縮水IIのみの中に溶解させることによって行われ得る。すなわち、本発明により有利には、水性アルカリ塩基は凝縮水IIも含有する。
本発明により好ましくは、少なくとも1つのアルカリ塩は、リチウムの塩(例えばLi2O、LiOH、LiHCO3、Li2CO3)であり、ナトリウムの塩(例えばNa2O、NaOH、NaHCO3、Na2CO3)であり及び/又はカリウムの塩(例えばK2O、KOH、KHCO3、K2CO3)であり及び/又はこれらの塩の水化物である。本発明により特に好ましくは、少なくとも1つのアルカリ塩は、カリウムの塩及び/又はナトリウムの塩である。格別に好ましくは、少なくとも1つのアルカリ塩はナトリウムの塩である。カリウム塩の中ではKOHが、ナトリウム塩ではNaOHが好ましい。すなわち、特に有利には、本発明による方法ではKOHの水溶液及び/又はNaOHの水溶液が吸収剤IIとして使用される(K+は本発明による有利な方法では植物栄養素であり、NaOHは特に廉価である)。
水性吸収剤IIにおける少なくとも1つのアルカリ塩の含有量は、本発明による手順では、特に求められる目標生成物水溶液の水分含有量に合わせられる。
これは水性吸収剤IIの質量に対して(特にNaOH及び/又はKOHの水溶液の場合)、例えば≧10質量%、又は≧20質量%、又は≧30質量%又は≧40質量%である。通常前述のアルカリ塩含有量は60質量%(しばしば50質量%)を超えない。吸収剤IIとしてNaOH及び/又はKOHの水溶液を使用する場合は、そのNaOH及び/又はKOHの含有量は本発明による方法ではしばしば20〜40質量%又は20〜30質量%である。
水性アルカリ塩基中に溶解した少なくとも1つのアルカリ塩は、本発明による方法では純度が≧99.9質量%、又は≧99.99質量%を示し得る。しかし、純度が低い場合でも、本発明による方法に使用可能である。例えば、吸収剤IIとして使用されるNaOH水溶液を用意するために、その質量に対して最大5質量%のNaClを含有する水に水酸化ナトリウムを溶かしてよい。水性アルカリ塩基も(選択的に、場合によって含まれているNaClに追加して)、US2008/0119626で推奨されているように、わずかな含有量の鉄塩を有していてよい。さらに、水性アルカリ塩基は(選択的に、場合によって含まれているNaCl及び/又は鉄塩に追加して)わずかな含有量の、多価カチオンの塩(例えば二価の、三価の及び/又は四価のカチオン)を含有してよく、これはWO2008/009599並びUS−A5115011の説に従い、高吸水性ポリマーの水溶液の製造の際に内部架橋剤として作用し得る。このような多価カチオンとして、特にMn2+、Zn2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Al3+、Fe3+、Cr3+、Ti4+及びZr4+が考えられる。考えられる対イオン及び使用量については、WO2008/009599に示されている。
水性アルカリ塩基が本発明による方法により吸収ゾーンIIに吸収剤IIとして給送される温度は、例えば0〜60℃、又は5〜60℃、又は10〜50℃、又は15〜40℃、又は15〜30℃であってよい。より低温の範囲は本発明に従って好ましい。すなわち、しばしば水性アルカリ塩基は吸収ゾーンIIに、温度範囲0〜45℃、又は5〜40℃、10〜35℃ないし15〜30℃で給送される。
吸収剤II及び凝縮ゾーンIから出て吸収ゾーンIIを通って(通り抜けて)誘導された残留ガス混合物Iは、吸収ゾーンII内で互いに並流又は向流して誘導され得る。吸収ゾーンIIの形態は、簡単な場合、冷却ゾーンのために推奨される直接クーラーであってよい(DE−A10220494も、特に第4段参照)。
並流誘導の場合、吸収ゾーンII通常は分離効果のある内部構造物を有していない。さらに、吸収剤II(水性アルカリ塩基)は、吸収ゾーンIIの並流誘導の場合、有利には微細化した水滴の形で(例えば微細化した水滴に噴霧される)給送される。
本発明により好ましくは、本発明による方法により、吸収ゾーンII内で吸収剤IIが吸収ゾーンIIを貫流する残留ガス混合物Iに対して向流で誘導される。吸収ゾーンIIがこのような向流誘導の場合に分離効果のある内部構造物を有していると、応用技術的に目的に合っている。このような分離効果のある内部構造物として、吸収ゾーンIIに、本明細書で吸収ゾーンIのために適していると挙げられているすべての内部構造物が考えられる。さらに、向流稼働では吸収ゾーンIIの吸収剤IIが通常連続相として給送される(噴霧されない)。
(吸収剤IIの)水性アルカリ塩基のpH値は、本発明による方法では(25℃及び1atm(1.01bar)で、単一棒測定シーケンスとして仕上げられたガラス電極の測定に基づいて)通常少なくとも8、好ましくは少なくとも10、特に好ましくは少なくとも12及び格別に好ましくは少なくとも14である(50gの炭酸ナトリウムを1リッターの水に溶かすとpH値は約11.5を示し、苛性ソーダの1モル水溶液のpH値は約14である)。
通常吸収剤II中(水性アルカリ塩基中)に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量GMIのモル比MV(=GMI/GMII)は、(吸収ゾーンIから凝縮ゾーンI案内された)洗浄された生成ガス混合物中に含まれるモル総量GMIIのアクリル酸(ここで比較の基本は吸収剤IIに含まれる全体流のアルカリ金属カチオン及び洗浄された生成ガス混合物の流れの中に含まれるアクリル酸流の流量(モル/h))に対して本発明による方法では少なくとも20:100、又は少なくとも30:100、好ましくは少なくとも40:100又は少なくとも50:100、特に好ましくは少なくとも60:100又は少なくとも70:100である。しかし少なくとも80:100、又は少なくとも90:100、又は少なくとも100:100であってもよい。通常MVは本発明による方法では200:100を上回らず、又は150:100を上回らず、しばしば140:100を上回らず、又は130:100を上回らず、又は110:100を上回らない。すなわち、100〜110:100の範囲、又は105〜110:100の範囲の量比MVは、本発明による方法では普通ではない。本発明により好ましくは量比MVは50〜95:100、特に有利には60〜90:100、格別に有利には60〜80:100、又は60〜85:100又は60〜75:100、又は65〜75:100である。
吸収ゾーンII内で、本発明による方法選択された比率Mに応じて残留ガス混合物I中に含まれるアクリル酸を残留ガス混合物Iから実質的に完全に洗浄して取り出すために、吸収剤II中(水性アルカリ塩基中)に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量GMIの、残留ガス混合物I中に含まれるアクリル酸のモル総量GMII*(ここで比較の基本は吸収剤IIの流れの中に含まれているアルカリ金属カチオンの全体流及び残留ガス混合物Iの流れの中に含まれているアクリル酸流の強度(モル/h))に対するモル比MV*(=GMI/GMII*)が、本発明による方法では少なくとも50:100又は少なくとも60:100、好ましくは少なくとも70:100又は少なくとも80:100及び特に好ましくは少なくとも90:100又は少なくとも100:100であると、応用技術的に目的に合っている。
これは特に、吸収ゾーンII内での被吸収物IIの形成が、量比MV*が少なくとも100:100の場合に、本発明による方法では、比率MV*が増大するにつれて残留ガス混合物Iからアクリル酸が化学吸着により取り出されるよりも(実質的に)多くなることに起因する。化学吸着は一般に特に大きな吸収係数が特徴である。その結果、量比MV*が≧100:100である場合、吸収ゾーンII内で吸収剤IIにより残留ガス混合物Iから取り出されるアクリル酸を実質的に量的に吸収するためには、吸収ゾーンII内では通常理論段で十分である。
量比MV*が≦100:100である場合、アクリル酸を残留ガス混合物Iから取り出し吸収剤IIに吸収する処理は、化学吸着(化学的吸収)と物理吸着(物理的吸収)の重複で行われ、その際、後者の質量はMV*が低下するにつれて増大する。
したがって、MV*が低くなった場合に吸収ゾーンIIが2つ以上の理論段を備えていると、応用技術的に目的に合っている。通常吸収ゾーンII内での理論段数は5つを超えず、及びしばしば値が≦3である。すなわち、本発明により目標に設定された分離効果を生じさせるために、通常吸収ゾーンII内では1〜6個、しばしば1〜3個の物質移動トレイの使用(又はそれに対応する規則充填物ないし充填物の投入)で十分である。
しばしば適用される量比MV*は、本発明による方法では90:100〜110:100である。可能な限り広範囲にアクリル酸を残留ガス混合物Iから分離するという理由から、110:100を上回る量比MVは本来不要である。特に、本発明による方法で≧1:1、又は≧2:1、又は≧3:1である量比Mが使用される場合、量比MV*は最大110:100であり、これには目標生成物水溶液中(水性中間生成物III中ないし水性ラフィネートI及び水性ラフィネートIIの混合物中)で所望される中和度はもはや十分ではない可能性がある。言うまでもなくこの場合、本発明による方法では、量比MV*も適用され、これは≧120:100、又は≧130:100、又は≧140:100、又は≧150:100、又は≧200:100、又は≧250:100、又は≧300:100、又は≧400:100であってよい。通常、本発明による方法において量比MV*は比率1000:100、又は800:100、又は600:100を超えない。残留ガス混合物Iがアクリル酸のほかに少なからぬモル量のCO2を含有している場合、後者は(H2CO3はアクリル酸よりも大幅に重い酸であるため、アクリル酸は最初は格段に優先的に吸収される)MV*が増大するにつれていっそう顕著に水性被吸収物IIに吸収され、及び少なくとも部分的に、アルカリ炭酸塩及び/又はアルカリ炭酸水素塩の形で水性被吸収物II中で結合している。この場合、水性中間生成物Iと水性中間生成物IIの、ないし水性ラフィネートIと水性ラフィネートIIの合流により、通常CO2のガス放出が顕著になり、これは本発明により有利には追加的に促進される。別法として、吸収ゾーンII内には、このような場合吸収ゾーンII内にも、より小さい比率MV*が適用され、及び目標生成物水溶液中の所望の中和度のために追加して必要な(水性)アルカリ塩基の量が後から(例えば直接水性中間生成物II中に、水性中間生成物I中に、水性中間生成物III及び/又は水性ラフィネートIII中に入れられる、又は直接水性ラフィネートI中に、水性ラフィネートII及び/又は水性ラフィネートIと水性ラフィネートIIの混合物中に、入れられる。本発明により好ましくは、添加は本発明により実施されるアルデヒド抽出に先立って行われる。なぜなら、これはアクリル酸から抽出剤への移行を妨害するからである)、目標生成物水溶液の本発明による別の製造経路に給送され得る。後者の手順は、通常強制的なCO2ガス放出が伴わないという点で有利である。第1の手順(高い量比MV*の適用)は、測定及び制御の技術の観点からより簡単に形成可能である。
本発明による方法では、量比Mが高められるとしばしば量比MV*が高くなる。
前述の文脈では、部分酸化の生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸のモル量の、同じ生成ガス混合物中に含まれるCO2のモル量に対する比率VACは、有利には2以上及び好ましくは3以上である。
一般にこの状況では本発明による方法は、部分酸化の生成ガス混合物がその総容積に対して20容積%以下又は15容積%以下、又は10容積%以下、好ましくは7容積%以下及び特に好ましくは5容積%以下又は4容積%以下のCO2を含有する場合有利である。しかし、通常部分酸化の生成ガス混合物はその総容積に対して少なくとも0.05容積%、しばしば少なくとも0.1容積%及びさらに頻繁に少なくとも0.2容積%又は少なくとも0.3容積%のCO2を含んでいる。
応用技術的に有利には、部分酸化の生成ガス混合物が、その総容積に対して、50容積%以下、好ましくは40容積%以下及び特に好ましくは25容積%以下のH2Oを含んでいる。しかし通常前述の生成ガス混合物の水蒸気量は少なくとも1容積%又は少なくとも3容積%ないし少なくとも5容積%である。
部分酸化ゾーンからの生成ガス混合物のアクリル酸含有量は、その総容積に対して少なくとも0.5容積%、しばしば少なくとも2容積%、又は少なくとも3容積%であると本発明による目的に合っている。これは通常容積%20以下ないし15容積%以下及びさらに頻繁に10容積%以下である。
本発明による方法の吸収ゾーンII内での化学吸着は発熱を伴って進むため、吸収ゾーンII内の吸収が吸収ゾーンIIを通過する残留ガス混合物Iによる直接冷却及び/又は間接冷却と重なり合うと、本発明による目的に合っている。本発明により有利には冷却が直接冷却として行われ、その際冷却液として特に有利には、被吸収物IIの一部が使用される。
そのために、応用技術的に目的に合わせて、対応する被吸収物IIの一部の流れが吸収ゾーンIIから出て、及びその冷却を目的として間接熱交換器(WO2010/003884を参照)を通り、冷却が完了すると液体の冷却剤として吸収ゾーンII戻され、及びその中で残留ガス混合物Iの流れと直接に接触される。このようにして冷却液として使用される被吸収物IIの一部の流れは、間接熱交換器を経由して及び吸収ゾーンIIを循環して誘導され(被吸収物IIの一部の流れの移送は、DE−A10228859に従い、応用技術的に目的に合わせてラジアル遠心ポンプを使用して行われる)。吸収ゾーンIIの被吸収物IIの一部の流れが取り出される温度と、それが間接熱交換器を貫流後に冷却されて吸収ゾーンIIに戻される温度との差が5〜30℃、しばしば5〜15℃であると、応用技術的に目的に合っている。吸収剤II及び冷却液として間接熱交換器を経由して及び吸収ゾーンIIを循環して誘導される被吸収物IIの一部は、有意義には並流で(及びこれは好ましくは残留ガス混合物Iに対して向流で)吸収ゾーンIIを通って誘導される。原則的に両方とも吸収ゾーンIIに入る前に、混合物にするために合流されてもよい。基本的にこの混合物形成は、吸収ゾーンIIから取り出される、冷却液を形成している被吸収物IIの部分流が、その冷却を目的として間接熱交換器に入る前に行われ、その結果混合物全体が熱交換器を通って誘導される。この場合、「吸収剤II」及び吸収ゾーンIIの「冷却液」は同じ温度で給送される。しかし言うまでもなく、吸収剤II及び冷却液は互いに異なった温度で吸収ゾーンIIに誘導されてもよい。応用技術的に目的に合わせてこのような温度相違はむしろ小さい(通常25℃以下である。普通、冷却液の温度の方が低い)。間接熱交換器を経由して冷却液として誘導される被吸収物IIの流量(kg/h)は、本発明による方法では吸収ゾーンIIに給送される吸収剤IIの流量(kg/h)の何倍であってもよい。しかし通常その際の値は5倍を超えない。基本的に本発明による方法では、吸収ゾーンIIは有利には、吸収ゾーンIIから取り出された残留ガス混合物IIが、部分酸化の結果として形成された生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸量の5%以下、好ましくは3%以下及び特に好ましくは1%以下を示すように稼働される(ここで比較の基本は生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸流の流量(kg/h)並びに残留ガス混合物IIの流れの中に含まれるアクリル酸流の流量(kg/h))。しかし残留ガス混合物IIは、少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性の希釈ガス及びアクリル酸の残留量の他に特にさらに水を含んでいる。
アクリル酸の他に、吸収ゾーンII内では特に、アクリル酸と化学的に類似しているカルボン酸、ギ酸、酢酸及びプロピオン酸が、残留ガス混合物Iから被吸収物II中に吸収される。しかしもちろん被吸収物IIは通常副成分であるアクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドも含んでいる。吸収ゾーンII内で通常少なくとも一部が残留ガス混合物Iから洗い出されるCO2は、水性被吸収物II内で少なくとも一部がアルカリ炭酸塩及び/又はアルカリ炭酸水素塩として溶解して存在する。
吸収ゾーンII内で冷却液として直接冷却との重複用には使用されない、吸収ゾーンII内に生成された被吸収物IIの一部は、吸収ゾーンIIから水性中間生成物IIとして取り出される。その温度はしばしば40〜60℃である。
本明細書で直接冷却を目的として使用される冷却液を間接熱交換器内で冷却するために、本発明による方法では通常空気又は水(冷却温度が最大で50℃の場合)、河水(冷却温度が最大で30℃の場合)及び冷海水(冷却温度が<30℃の場合)を使用してよい。
吸収ゾーンIIから取り出された残留ガス混合物IIは、既に言及したように、残ったアクリル酸残留量及び少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性の希釈ガスの他に、特に水を含有する。残留ガス混合物IIは通常、部分酸化ゾーン内に形成された生成ガス混合物中に含まれるアクロレインの大部分を含有し、及び本発明による方法ではアクロレインのための主要出口を形成し(それぞれ含まれているアクロレイン体積流量(kg/h)に対して、残留ガス混合物II(の流れ)は、生成ガス混合物(流)中に含まれているアクロレイン(流)の通常≧60%、好ましくは≧70%又は≧80%、及び特に好ましくは≧90%を含有する)。
吸収剤として使用される水性アルカリ塩基が少なくとも1つのアルカリ炭酸水素塩及び/又はアルカリ炭酸塩を溶解して含有している場合、吸収ゾーンIIの中で、例えば吸収性アクリル酸との対応する化学反応によってCO2を発生させることができ、これは残留ガス混合物IIの成分として吸収ゾーンIIから取り出される。これに伴う液相からの熱除去は、その有利な冷却をもたらす。ちなみに、残留ガス混合物IIは特に、吸収ゾーンII内で量比MV*が≦100:100で適用された場合、まだCO2を含んでいる。
特に、残留ガス混合物IIのアクリル酸含有量が比較的わずかである場合、残留ガス混合物IIの一部がサイクルガスとして循環して誘導され(すなわち部分酸化ゾーンに戻される)、及び特に経済的な不活性希釈ガスの供給源として、アクリル酸の少なくとも1つのC3前駆体化合物及び分子状酸素を含んでいる反応ガス出発混合物を生成するために共に使用することが可能であり、これはその後アクリル酸のC3前駆体化合物の不均一系触媒による気相部分酸化にも供給される(これはその後反応ガス出発混合物中に含まれているアクリル酸のC3前駆体化合物の不均一系触媒による部分的気相酸化のために、部分酸化ゾーン内で固形の物理的状態にある触媒に入れられる)。
このようなサイクルガス運転の基本原理は従来技術の方法で公知である(例えばDE−A102007055086、WO2004/085362、WO2004/007450、DE−A10360396、DE−A10336386、DE−A10353014、DE−A102010001228及び本明細書で引用された従来技術)。
循環して誘導されない部分の残留ガス混合物IIは、通常焼却に給送される(WO2006/08224及びDE−A19624674を参照)。
応用技術的に目的に合わせて、吸収ゾーンIIから取り出された残留ガス混合物IIは凝縮ゾーンIIを通過し、及び、残留ガス混合物IIの経路で、凝縮ゾーンIIを通り、直接冷却及び/又は間接冷却により同様に凝縮水IIに液化され、その際残留ガス混合物IIIが残り、これは特に少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性の希釈ガスから成り、ほとんどアクリル酸が存在しない。凝縮水IIの形成は、応用技術的に有利には、残った残留ガス混合物IIIが部分酸化ゾーン内に含まれているアクロレインの大部分を含み、その主要出口として機能するように行われる(それぞれ含有するアクロレイン体積流量(kg/h)に関して、残留ガス混合物IIIは通常生成ガス混合物中に含まれるアクロレインの≧60%、好ましくは≧70%又は≧80%、及び特に好ましくは≧90%を含有する)。
続いて、凝縮ゾーンIIから取り出された残留ガス混合物IIIを使用して、凝縮ゾーンIIを通らずに誘導された残留ガス混合物IIのために上述で推奨したように処理することができる。すなわち残留ガス混合物IIIの一部は、サイクルガスとして循環して誘導され及び不活性希釈ガスの供給源として、少なくとも1つのアクリル酸のC3前駆体化合物及び分子状酸素を含む反応ガス出発混合物を生成するために再度使用され、これはアクリル酸のC3前駆体化合物の不均一系触媒による気相部分酸化のために給送される。循環して誘導されない部分の残留ガス混合物IIIは、再度焼却に給送され得る。当然のことながら、残留ガス混合物III全体を焼却に給送することも可能である。
通常実質的に残留ガス混合物IIIを形成する、少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性の希釈ガスは、通常少なくとも1つのガスが、N2、CO、例えばHe、Ne及びAr等の希ガス、並びにメタン、エタン、及びプロパンから成る群のガスである。少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性希釈ガスは、一方でアクリル酸のC3前駆体化合物の部分酸化の際に放出された反応熱を吸収する際に助けとなり、他方で、反応混合気を部分酸化ゾーン内で、爆発範囲の外に、又は爆発範囲のさらに安全に管理可能なエリア内に保持することにより、通常同時にC3前駆体の不均一系触媒による気相部分酸化が安全に行われることを保証する(例えばDE−A19740253、DE−A19740252、DE−A10232482、DE−A10243625、DE−A10332758及びWO2004/035514を参照)。
典型的には、少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性希釈ガスは、95モル%未満、好ましくは97モル%未満及び好ましくは99モル%未満で、アクリル酸のC3前駆体化合物の不均一系触媒部分気相酸化の際に使用される(不活性希釈ガス混合物の場合、他の混合成分に対する自身の比率であり、及び反応混合気の部分酸化ゾーン通過1回につき)。
典型的には、少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性希釈ガスは、標準圧力(1.01bar)において沸点が≦0℃、好ましくは沸点が≦−10℃ないし特に好ましくは沸点が≦−20℃である。
通常少なくとも1つのC3前駆体化合物を不均一系触媒により気相部分酸化した生成ガス混合物に対する、少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性の希釈ガスの比率は、30〜90容積%、又は40〜90容積%、好ましくは50〜85容積%、又は60〜85容積%、並びに特に好ましくは70〜85容積%又は75〜85容積%である。
これに対応して、少なくとも1つのアクリル酸C3前駆体化合物を不均一系触媒による気相部分酸化するための、少なくとも1つのC3前駆体化合物を含む反応ガス出発混合物に対する、少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性の希釈ガスの比率は、30〜90容積%、又は40〜90容積%、好ましくは50〜85容積%、又は60〜85容積%、並びに特に好ましくは70〜85容積%又は75〜85容積%である。
好ましくはCO2及び水とは異なる不活性の希釈ガスは本発明による方法では分子状窒素である。
したがって通常少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性希釈ガスは(少なくとも1つのC3前駆体化合物を不均一系触媒により気相部分酸化した生成ガス混合物中でも、気相部分酸化のために使用する少なくとも1つのC3前駆体化合物を含む反応ガス出発混合物中でも)、少なくとも40容積%の、好ましくは少なくとも50容積%の、又は少なくとも60容積%の、特に好ましくは少なくとも70容積%の、又は少なくとも80容積%の、及び格別に好ましくは少なくとも90容積%の又は少なくとも95容積%の、分子状窒素から構成される(それぞれその総容積に対して)。
しかし、少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性希釈ガスは(生成ガス混合物中も反応ガス出発混合物中も)、例えば最大50容積%以上のプロパンから構成されていてもよい。これは例えば、少なくとも1つのC3前駆体化合物が、部分不均一系触媒脱水素化によってプロパンから生成されたプロペンである場合である(例えばDE−A102005009891参照)。
本発明により有利には、前述の、少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性の希釈ガスの沸騰特性は、少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性希釈ガスがその経路で本発明による方法の異なった吸収及び凝縮ゾーンを通って実質的にガス状にとどまるよう作用し、及びこのようにして、本発明による方法の各吸収ないし凝縮ゾーンの各気相でアクリル酸分圧の低減に作用する(部分酸化のための反応ガス出発混合物に既にCO2が成分として含有されている場合同様に作用する(例えばCO2が吸収ゾーンII内で吸収剤IIとして使用されている水性アルカリ塩基中に吸収され得ることが予測される))。同様のことは、部分酸化の進行に伴い副生成物として形成されるCO2にも、並びに生成ガス混合物中に残った、部分酸化時に未反応のO2にも当てはまる。
このことは、本発明による方法では、望まれない(「予定よりも早い」)アクリル酸の凝縮を引き起こすことなく、各処理条件が異なった吸収及び凝縮ゾーン内でそれぞれ1つの比較的大きな範囲で可変に形成される可能性が開ける点で有利である。例えば使用圧力(絶対圧力)は、本発明による方法の異なった吸収及び凝縮ゾーン内で、0.5〜5barであってよい。これはしばしば1.05〜4bar、又は1.1〜3bar又は1.5〜3barになる。
前述の圧力範囲は、前述に従い、部分酸化ゾーンのための可能な圧力範囲でもある。
当然のことながら、部分酸化ゾーンのための反応ガス出発混合物中に既に含まれるCO2及び/又は水は、部分酸化に関して、実質的にさまざまな、考え得る、これらとは異なった不活性の希釈ガスのように作用する。本発明により好ましくは、反応ガス出発混合物は(その総容積に対して)部分酸化のために、20容積%以下、又は15容積%以下、又は10容積%以下、好ましくは7容積%以下及び特に好ましくは5容積%以下又は4容積%以下のCO2を含有する。
ちなみに、凝縮ゾーンIIは本発明による方法では基本的に凝縮ゾーンIと同様に形成されてよい。
すなわち、吸収ゾーンIIから凝縮ゾーンIIに誘導された残留ガス混合物IIの冷却は、残留ガス混合物II中に含まれる水を凝縮ゾーンII内で凝縮するという目的のために、原則として間接冷却によっても直接冷却によっても実行され得る。当然のことながら、凝縮ゾーンII内では間接冷却及び直接冷却が前述の目的のために組み合わせても使用できる。
間接冷却は、適切な間接熱交換器(凝縮器、例えば表面凝縮器)を使用して実施され、この凝縮器内では被冷却残留ガス混合物IIが熱交換器によって冷却剤として誘導される液体冷媒とは接触しない。本発明により好ましくは、凝縮ゾーンII内での残留ガス混合物IIの冷却はしかし、直接冷却によって行われる(すなわち凝縮ゾーンIIの形態は、最も簡単な場合、冷却ゾーンのために推奨された直接クーラーと同じに仕上げられてよい)。このために、本発明により有利には、凝縮ゾーンII内に形成された凝縮水IIにより、凝縮液IIの一部が凝縮ゾーンIIから取り出される。同様のことが、その冷却を目的として、少なくとも1つの間接熱交換器によって行われ、その移送は目的に合わせた方法で、ポンプを使用して行われる。本明細書でそうであるように、本発明により有利には、DE−A10228859に従いラジアル遠心ポンプをこの目的のために使用する。及びこの中で実施された冷却の後で、液体の冷却剤として凝縮ゾーンII中に戻され、及びその中で、被冷却残留ガス混合物IIと直接接触される。凝縮ゾーンIIから取り出された一部の凝縮液IIのための冷却剤として、例えば冷却水の他にC3前駆体化合物(例えばプロペン又はプロパン)を間接熱交換器の少なくとも1つに誘導することができる。ここでこれが蒸発し、続いて気相部分酸化のための反応混合気を形成するために使用することができる。
冷却液として使用される凝縮ゾーンIの凝縮液Iの一部が取り出される温度と、それが間接熱交換器を貫流後に冷却されて凝縮ゾーンIに戻される温度との差は、5〜30℃、しばしば5〜15℃であると応用技術的に目的に合っている。
直接冷却を目的として、冷却液は凝縮ゾーンIIで例えば微細化した水滴にして噴霧され、被冷却残留ガス混合物IIに対して並流でも向流でも誘導され得る。通常、この場合凝縮ゾーンIは冷却液と被冷却残留ガス混合物IIとの交換表面積を追加的に拡大するための内部構造物を備えていない(この場合簡単な方法として凝縮ゾーンIIを例えば空の円筒形カラムとして(又はそのようなカラム断面として)形成することができ、その長さはその断面よりはるかに大きい)。これに応じた形態が、凝縮ゾーンIに可能である。
しかし、本発明により好ましくは凝縮ゾーンIIに内部構造物が備えられており、この内部構造物は通常分離効果のある内部構造物として熱分離法での分離効果を高めるために使用される。このようなものとして、特に本明細書に吸収ゾーンIに適していると推奨されるすべての分離効果のある内部構造物が考えられる。冷却液(好ましくは噴霧されない)及び被冷却残留ガス混合物IIは、ここでは応用技術的に目的に合わせて互いに向流して凝縮ゾーンII及びその中に存在する内部構造物を通って誘導される。ここで凝縮ゾーンIで冷却液として使用される凝縮液Iの一部は、凝縮ゾーンII及び冷却している熱交換器を通って循環しているため、この稼働方法では凝縮ゾーンIIで結果として生じる分離効果は、手を加えなければ値≦1の理論段に限定される。しばしば、凝縮ゾーンIIの(対応する凝縮液IIの部分の)冷却液の温度は、20〜40℃の温度で間接熱交換器から送り出される。
通常前述の理由から本発明による方法では、凝縮ゾーンII内で例えば1〜3つを超えない物質移動トレイ(又は対応する量の規則充填物及び/又は不規則充填物)が「分離効果のある」内部構造物として使用される。このような物質移動トレイとして、この目的のために特にバブルキャップトレイ、バルブトレイ(例えば強制バルブトレイ又は滴下バルブトレイ(デュアルフロートレイ))、シーブトレイ(例えば固定式バルブ付き又はバルブディスクトレイとして)及び/又はThormann(登録商標)トレイが考えられる。
凝縮ゾーンII内で凝縮液IIとして生じた水溶液の一部は、直接冷却以外の目的で凝縮ゾーンIIで冷却液として使用され、凝縮ゾーンIIから取り出される。本発明の目的に合わせて、これは吸収剤IIとして使用される水性のアルカリ塩基を生成するために一緒に使用され及び/又は吸収剤IIに追加して吸収ゾーンIIに案内される。しかし、基本的に凝縮ゾーンIIから取り出された凝縮液IIは(これはしばしば30〜50℃の温度範囲にある)例えば廃棄するか又は別途利用することも可能である。
凝縮の際に凝縮ゾーンII内でガス状で残った残留ガス混合物IIIは、本発明の方法ではしばしば30〜50℃の温度範囲で凝縮ゾーンIIから取り出される。
部分酸化ゾーンから吸収ゾーンI、凝縮ゾーンI、吸収ゾーンII、選択的に凝縮ゾーンII及び選択的に冷却ゾーンを通って行われる生成ガス混合物の移送は、本発明による方法では圧縮機システムを使用して行われてよく、この圧縮機システムは少なくとも1つのC3前駆体化合物を含む反応ガス出発混合物の成分の少なくとも一部(例えば分子状酸素の供給源として使用される空気)を、低い開始圧から高い最終圧にする(例えばDE−A10353014参照)。
通常圧縮機システムは、DE−A10353014で推奨されているように、少なくとも1つの遠心圧縮機を含んでいる。少なくとも1つのC3前駆体化合物を含む反応ガス出発混合物の高められた圧力レベルが、これに続く、部分酸化ゾーンを通る反応ガス出発混合物の移送も、されにそれに続く、結果として生じた生成ガス混合物の移送も、本発明による方法の異なった冷却、吸収及び凝縮ゾーンを通るよう支える(作用する)。
移送に伴う圧力損失が原因で、残留ガス混合物IIも残留ガス混合物IIIも、本発明による手順では通常、少なくとも1つのC3前駆体化合物を含んでいる、不均一系触媒部分気相酸化のための反応ガス出発混合物よりも低い圧力レベルにある。
残留ガス混合物II又は残留ガス混合物IIIのサイクルガス誘導は、それゆえに応用技術的に目的に合わせて、前述の圧縮機システムの少なくとも1つの圧縮機を使用して(DE−A10353014参照)実施され(例えば遠心圧縮機又はラジアルファン)、この圧縮機は対応する残留ガス混合物を吸引して圧縮し、部分酸化ゾーンに必要な圧力レベルに戻す。この圧縮機は、独立したサイクルガス圧縮機であってよい。当然のことながら前述の圧縮作業は一緒に使用される空気圧縮機が追加的に受け持ってもよい。
サイクルガス圧縮への経路で、対応する残留ガス混合物を応用技術的に好ましくはさらに間接熱交換器に通し、この間接熱交換器内では残留ガス混合物の温度が例えば5〜20℃ないし10〜20℃に高められ、それによって圧縮機への搬送時にも圧縮の進行時にも、起こり得る残留ガス混合物成分の凝縮を防止する。
前述の圧縮機システムを使用した移送は、特に部分酸化ゾーンに積み重ねられた成形体から成る触媒固定床が入れられ、これを通って反応ガス出発混合物が貫流しなければならない場合、及び異なった吸収及び凝縮ゾーンが分離効果のある内部構造物を備え、この内部構造物を生成ガス混合物及びその成分が通過しなければならない場合に使用される、なぜならこの場合流路に沿って生じる圧力損失が比較的大きいからである。
中でも特に、部分酸化ゾーンが例えば反応塔の形に形成されている場合、比較的高い流動抵抗を備える、成形体の積重ねから成る触媒固定床を充填された反応管ではなく、反応管内壁が触媒活性物質でコーティングされており、反応管内部空間が充填に関して空であり(例えばDE−A19839782で推奨されているように)、当該する移送を他の方法でも実施可能である反応管を有している。なぜならそのような反応管の流動抵抗は比較的小さいからである。
例えば本発明による方法の冷却、吸収及び凝縮ゾーンは、このような部分酸化ゾーンの流動抵抗が比較的わずかである場合は、噴射ポンプ(イジェクター)として仕上げられ得ると応用技術的に有利である(例えばDE−A102006045088の図7参照)。
噴射ポンプの基本原理では、ノズルから液体の駆動ジェットが高速で噴射され、その周囲のガスが吸引され一緒に引き込まれ及び圧縮されて運ばれる。各ゾーンで使用される冷却液及び/又は吸収液は、それゆえに目的に合わせてそれぞれ噴射ポンプのそのような駆動ジェットとして投入され、この噴射ポンプは被移送反応ガス出発混合物ないし被移送生成ガス混合物を吸引及び圧縮して移送する。この場合、残留ガス混合物IIないし残留ガス混合物IIIは通常少なくとも1つのC3前駆体化合物を含む反応ガス出発混合物よりも高い使用圧力を示すため、その循環に追加の圧縮機は不要である。各冷却液及び/又は吸収液を運ぶポンプは、この場合通常使用される圧縮機システムの仕事を引き受け及びガス混合物を移送するために必要なエネルギーをもたらす。それ以上の圧縮機システムはこの場合不要である。
冷却ゾーンは、本発明による方法では目的に合わせた方法で、明細書DE−A102007055086、DE−A102010001228、DE−A10243625、WO2004/035514、WO2005/007609及びDE−A10336386に記述されているように、部分酸化生成ガス混合物の直接冷却のために、開示されている直接クーラー(急冷システム)を独立した装置として使用することができる。
吸収ゾーンI、凝縮ゾーンI、吸収ゾーンII並びに選択的に追加で使用される凝縮ゾーンIIは、本発明による方法では、特に簡単な方法で、1つの及び同じ分離塔内にあり、前述の順番に重なり合って配置されている、分離セクション(チャンバ範囲、カラムセクション)として仕上げられ、その際、事前に選択的に冷却された、分離塔の生成ガス混合物が、分離塔内で下部が遮断されている塔底チャンバの中に送られ、及び分離塔の下から上へ貫流される。応用技術的に有利には塔底チャンバは、さらに上につなげられたカラムセクションと比較して、EP−A1095685で推奨されているように、断面積が小さい。凝縮ゾーン内で対応するカラムセクションに必要な冷却は、有利には直接冷却として実施される。
冷却液として、好ましくは各セクション内に形成された凝縮液が、冷却している熱交換器及び対応するカラムセクションを通って循環して誘導される(このことは吸収ゾーンII内で(好ましくは)直接冷却が重複している場合に同様に適用される。したがって間接熱交換器を通って循環して誘導される液体は、被吸収物IIである)。
それぞれ、吸収ゾーン又は凝縮ゾーンとして描写された(図示された)カラムセクション内では、使用される吸収液及び/又は冷却液は上昇するガス混合物に対して、目的に合わせて向流で誘導される。
各カラムセクションは、分離効果のある/内側表面を拡大する内部構造物として、好ましくは物質移動トレイを備えている(通常それぞれ6つ以下)。バブルキャップトレイ、バルブトレイ(例えばデュアルフロートレイ)、シーブトレイ(例えば固定式バルブ付き又はバルブディスクトレイとして)及び/又はThormann(登録商標)トレイがこれに特に適している。規則充填物又は不規則充填物も使用可能である。
塔底チャンバは、吸収ゾーンIを描写したカラムセクションの、最下段の分離効果のある/内部表面を拡大する内部構造物の下側の空間である。塔底チャンバ内には被吸収物Iが溜まり、そこから取り出される。
部分酸化からの生成ガス混合物の直接冷却は、分離塔の1つに上流側で接続されている直接クーラーによって行われ、有利には塔底チャンバから取り出された被吸収物Iが冷却液として使用される。その際生じる、生成ガス混合物と冷却液との混合物の、分離塔の塔底チャンバへの給送は、有利には被吸収物Iの液レベルより上で行われる。
吸収又は凝縮ゾーンを図示したカラムセクションは、下から上へそれとつながっているカラムセクションに対して、(少なくとも)1つのチムニートレイを使用して区切られていると、応用技術的に目的に合っている。チムニートレイの原理は従来技術で公知である。本発明による適切なチムニートレイは例えば明細書DE−A10159825、DE−A102010001228、DE−A10200705508及びDE−A102005009469に記述されている。
各チムニートレイは同時にトレイに溜まった液体、例えば溜まった被吸収物又は凝縮液のためのコレクタートレイとして機能する。
吸収ゾーンIと凝縮ゾーンIとの間に及び吸収ゾーンIIと選択的に使用される凝縮ゾーンIIとの間にあるチムニートレイは、分離塔内を下から上へ流れるガスの透過性が不可欠であるが、それと並んで、溜まった液体(例えば凝縮液I又は凝縮液II)が下方へそれぞれ区切られた吸収ゾーンI又は吸収ゾーンIIへ限定的に透過する性質を備えていてよい。
当然のことながら、このようなチムニートレイの上に溜まった凝縮液(例えば凝縮液I)は、まずこのチムニートレイから出て、分離塔から出て、及び続いて対応する吸収ゾーンに再度送られ(対応するカラムセクション内を再度通り)得る(例えば吸収剤Iとして吸収ゾーンI(吸収セクションI内)に)。すなわち、基本的に前述のチムニートレイは、自身に溜まる液体(例えば凝縮液)を完全に透過させないことも可能である。
凝縮ゾーンI(凝縮セクションI)と吸収ゾーンII(吸収セクション)との間にあるチムニートレイは、本発明による方法では、自身に溜まる被吸収物IIが不透過に仕上げられると、応用技術的に目的に合っている。
例えば明細書DE−A102010001228及びEP−A316682に類似して使用されている従来技術のように、分離塔の頭部には本発明により有利にはデミスター(Demister)が設置されている。デミスターは、残留ガス混合物II又は残留ガス混合物IIIの液滴同伴を阻止する。
直前に記述した分離塔の、それぞれ個々の吸収又は凝縮ゾーンを代表するセクションは、当然まったく全般的に及び完全に同等の方法で、本発明による手順を実施することを目的として、独立した、より小さい分離塔としても仕上げられ得る。1つの(それぞれ)「重なり合った」、直前に記述した分離塔内の吸収/凝縮ゾーンは、それに対応して、「連続した」、前後接続に対応したより小さな分離塔としても仕上げられ得る。
本発明による方法を実行し、凝縮ゾーンIから水性中間生成物Iが取り出されない場合、本方法では水性中間生成物IIだけが生成されるが、これには水性アルカリ塩基によって部分的に中和されたアクリル酸の他に通常望ましくない副成分としてアクロレイン(通常残留量は比較的わずかしかない)、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドも含有される。水性中間生成物II中のこれら副成分の含有量は(特に最後の2つは)、本発明に関して目標とされる水性中間生成物IIからのラジカル重合には通常高すぎる。
有機抽出剤を使用した抽出により(これは有機溶剤であり、抽出条件下で水(又は被抽出水性中間生成物と共に)非混和領域を備え、その結果抽出の際に有機抽出物と水性ラフィネートとの間に相分離を形成し得る)水性中間生成物II中に(抽出産物IIとして)高すぎる量で含まれているアクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドが比較的選択的に有機抽出剤に吸収され得る。
その際残った水相はアクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドを比較的選択的に減少した分量で含有し、及び(水性)ラフィネートIIと呼ばれる。これは、抽出条件下で、有機抽出物IIとして生じたアクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドの溶液と共に、有機抽出剤中に均質には混合できない。水性ラフィネートIIを有機抽出物IIから分離することで、アクリル酸及びその共役塩基を含む目標生成物水溶液が得られ、この目標生成物水溶液から本発明に関して求められるラジカル重合を実施することができる。
当然のことながら、抽出の際に形成される水性ラフィネートIIの水分含有量及び/又はpH値に追加的に影響を与えるために、水性中間生成物IIには機抽出剤を使用した抽出の前に水及び/又は水性アルカリ塩基を加えてもよい。抽出によって形成された水性ラフィネートIIが次に意図している使用のために添加量が算定されると、本発明による目的に合っている。
記述のように実施する抽出の結果は特に、水に対するアクリル酸の親和力だけでなくアルカリアクリレートの親和力も、有機溶剤に対する親和力に比べてはるかに強いが、関連する有機アルデヒドは、周囲環境よりも有機溶剤の方を優先するという事実に特に基づいている。
特に本発明による方法がそれぞれ実施され、基本条件に基づいて生成された水性ラフィネートIIがその後続の使用に直接送ることができないことが個々の事例で予見できる場合、水性ラフィネートIIは保管タンク内に中間保存することができる。その場合ラフィネートIIの中和度が高いと有利である。なぜなら望ましくないマイケル付加も望ましくないラジカル重合も抑制するからである。例えばWO2005/049453、WO2008/034778及びWO2008/034783に開示されている保管タンク及び保管条件が考えられる。
水性ラフィネートIIを保管する代わりに、別法として水性中間生成物IIを同様に保管することができる。その場合は、水性ラフィネートIIが対応する後続の使用に必要になって初めて、有機抽出剤を使用した抽出を実施する。
本発明による方法を実施する際に、吸収ゾーンIIから水性中間生成物IIを取り出すことに加えて凝縮ゾーンIから水性中間生成物Iが取り出される場合は(多くの場合で有利であるように)、通常両方の水性中間生成物中に、本発明の目的のためには高すぎる量が含まれている有機アルデヒドアクロレイン(残留量は比較的わずかしかない)、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドの分離に、2つの互いに基本的に異なる方法変形例を使用することができる。
1つの手順では、水性中間生成物II及び水性中間生成物Iは、まず水性中間生成物IIIに統合される(合流、混合される)。
言うまでもなく、水性中間生成物IIIへの混一の前、混一中及び混一後に、抽出時に形成される水性ラフィネートIIIの水分含有量及び/又はpH値(中和度)に追加的な影響を与えるために、混一に関与している水性中間生成物I、II、IIIへ(すなわち、水性中間生成物IIIの抽出の前に)さらに水及び/又は水性アルカリ塩基を添加することができる。抽出によって形成された水性ラフィネートIIIが次に意図する使用のために添加量が算定されると、本発明による目的に合っている(その添加は、ラフィネートIIIだけに、又はラフィネートIIIに追加的に行うこともできる)。
最終的に得られた水性中間生成物IIIは、単独の水性中間生成物IIについて記述されたように、続いてさらに処理され得る。すなわち(その製造の直後又は水性中間生成物IIIの対応する中間保存直後に)、有機抽出剤を使用した抽出により水性中間生成物III中に(抽出産物IIIとして)を多く含んでいるアクロレイン(残留量は比較的わずかしかない)、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドを選択的に有機抽出剤に吸収することができる。
その際残った水相はアクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドを比較的選択的に減少した分量で含有し、及び(水性)ラフィネートIIIと呼ばれる。これは、抽出条件下で、有機抽出物IIIとして生じたアクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドの溶液と共に、有機抽出剤中に均質には混合できない。水性ラフィネートIIIを有機抽出物IIIから分離することで、アクリル酸及びその共役塩基を含む目標生成物水溶液が得られ、この目標生成物水溶液から本発明に関して求められるラジカル重合を実施することができる。上述の手順は通常、水性ラフィネートIIIが対応する後続の使用にすぐに必要な場合、使用される(しかし言うまでもなく、水性ラフィネートIIIをその製造後に、後続使用のタイミングまで中間保存することもできる)。
しかし説明された手順の別法として、以下のように処理してよい。凝縮ゾーンIから水性中間生成物Iが取り出される場合は、水性中間生成物IIから、その中に含まれる副成分のアクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドが(水性中間生成物IIの製造直後又は対応する中間保存の後に)有機抽出剤を使用した抽出によってその中に取り出され、及びその際に残った水性ラフィネートIIが、形成された有機抽出物IIから分離され、並びに水性中間生成物Iから(その製造直後に、又は対応する(対応する水性中間生成物IIの中間保存から空間的に分離されて行われる)水性中間生成物Iの中間保存の後で)その中に含まれる副成分のアクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドが有機抽出剤を使用した抽出によって同様に取り出され、及びその際に残った水性ラフィネートIが(場合によりその前に行われた空間的に分離された2つの水性ラフィネートI、IIの中間保存の後に)アクリル酸及びその共役塩基を含む目標生成物水溶液へと統合される(合流される、混合される)。言うまでもなく水性ラフィネートI、IIへの混一の前、混一中及び混一後にさらに水及び/又は水性アルカリ塩基を添加することができる。(このような流入はもっぱら及び/又は追加的にも抽出の前に1つ又は両方の水性中間生成物に入れてよい)。水性中間生成物I及び水性中間生成物IIの別々の抽出について記述された手順は、対応する後続の使用のために目標生成物水溶液がすぐに必要ではない場合特に推奨に値する。その場合は、水性中間生成物I及び水性中間生成物IIが空間的に分離されて中間貯蔵され及び両方の水性中間生成物I、IIがその後でやはり空間的に分離されて本発明の有機抽出剤を使用した抽出を行われると、応用技術的に目的に合っている。
本発明による手順の別の実施形態では、水性中間生成物IIだけに、その中に含まれている有機アルデヒドを分離するために本発明による抽出を行う処理も可能である。反対に凝縮ゾーンIから取り出された水性中間生成物Iにはその中に含まれているアクリル酸の結晶化分離が実施される(この手順は特に水性中間生成物Iに中間保存が必要な場合に推奨される)。このような結晶化分離のために、基本的にすべての(例えばDE−A19838845及びDE−A102005015637で挙げられている)公知の結晶化法を使用することができる(例えばEP−A616998、WO2006/092415及びWO2006/092405参照)。これには、(動的(例えば流下薄膜結晶化又は冷却管を貫流する)及び/又は静的)層結晶化法と並んで特に懸濁液結晶化が含まれる。後者は本発明に従い好ましい。
形成されたアクリル酸懸濁液結晶と残った母液は、例えば遠心分離によって分離可能である。これに続いて遠心分離時に残った結晶ケーキを前もって分離したアクリル酸溶解物と共に洗浄することにより、は母液と結晶の分離が改善される。本発明により好ましくは残った母液と形成されたアクリル酸懸濁液結晶の分離は、例えば明細書WO01/77056、WO03/078378及びWO02/055469で推奨されている洗浄塔(好ましくは動的洗浄塔及び特に好ましくは油圧式洗浄塔)で実施される。ちなみに、これに関してはWO0209839、DE−A10036881、WO2004/035514、DE−A10122787、DE−A10122788、DE−A10223058、DE−A102007055086、DE−A102005018702、DE−A10242746、DE−A102008040340、DE−A102008042009、DE−A102008042010、DE−A102009000987及びDE−A−A102010030279における教示も使用可能である。分離された母液は、引き続いて本発明による手順1つ以上の異なった分離ゾーン(例えば吸収ゾーンI、凝縮ゾーンI、選択的に一緒に使用される凝縮ゾーンII、選択的に冷却ゾーン及び/又は吸収ゾーンII)に戻され得る。本発明により好ましくは、残った母液は吸収ゾーンIに戻され、及び例えば水性吸収剤Iにその成分として給送される。分離された純水アクリル酸結晶は、続いて水性中間生成物IIから得られた水性ラフィネートIIと共に本発明による目標生成物水溶液に合流される。
中間生成物水溶液Iからアクリル酸を結晶化分離するかわりに、精留法による分離も適用でき、この方法では、例えばDE−A10138101及びDE−A10220494(第15段)に推奨されているように、含まれているアルデヒドは事前の精留によっていわゆるアルデヒド捕捉剤と結合される。
水性中間生成物I、水性中間生成物II、水性ラフィネートI、水性ラフィネートII、水性ラフィネートIII及び/又は目標生成物水溶液の中間保存は、本発明による方法では基本的に可能な限り低温で、しかし好ましくはそれぞれの融点よりも高い温度で行われる(好ましくは中間保存は希薄空気で実施される)。
通常本発明による方法により部分酸化ゾーンで実施された、少なくとも1つのC3前駆体化合物の不均一触部分気相酸化の結果として生成された生成ガス混合物は、副生成物として形成されたCO2(二酸化炭素)を含有する。なぜなら、部分酸化ゾーンでは通常、わずかな量ながら、中間生成物、副生成物及び/又は少なくとも1つのC3前駆体化合物が完全燃焼するからである。
追加的に、本発明による方法では、前もって少なくとも1つのC3前駆体化合物を含む反応ガス出発混合物に、部分酸化ゾーンで希釈するよう作用する不活性ガスとしてCO2を給送しておくことも可能である(これは例えば循環して誘導される残留ガス混合物II又は残留ガス混合物IIIの成分としても)。
この二酸化炭素は、既述したように、本発明による方法では吸収ゾーンIIで、これを貫流する残留ガス混合物Iから出て、ほとんど又は完全に、そこで吸収剤IIとして使用される水性アルカリ塩基に吸収され及び吸収ゾーンII内に形成された水性被吸収物II中で、少なからぬ量が、その中にほとんど溶解して存在するアルカリ炭酸塩及び/又はアルカリ炭酸水素塩として結合される(特に吸収ゾーンIIで量比MV*が高められた場合)。追加的に、吸収剤IIとして使用されている水性アルカリ塩基アルカリ炭酸塩及び/又はアルカリ炭酸水素塩を含んでいてもよい。
従って水性中間生成物Iと水性中間生成物IIの合流又は水性ラフィネートIと水性ラフィネートIIの合流時、本発明による方法では、化学反応によって、水性中間生成物I中ないし水性ラフィネートI中に含まれる酸(例えばアクリル酸)は水性中間生成物II中ないし水性ラフィネートII中に含まれるアルカリ炭酸塩及び/又はアルカリ炭酸水素塩と反応し、ガス状のCO2に顕著に戻り得る、この二酸化炭素により合流時に生じた混合物を大幅にガス抜きすることができる。本発明により有利には、このような水性中間生成物IIIからの又は水性ラフィネートI及び水性ラフィネートIIから成るこのような水性混合物からのこのようなCO2ガス放出が実施される(有利には付随現象として、このようなCO2ガス放出により(特にCO2ガス放出が水性中間生成物IIIから行われた場合に)追加的に液相でまだ含まれているアクロレインのストリッピング除去が伴う)。
応用技術的に簡単な方法ではCO2ガス放出が1つの容器内で行われ、この容器内にガス抜きされる液体が誘導される。使用圧力の低減及び/又は温度の上昇によりCO2ガス放出が促進され得る。本発明により好ましくは、CO2ガス放出に実質的に対応する温度上昇のみが有利に働き、そのためにこの箇所に加熱式の混合容器が使用されることが好ましい。典型的には既述したようにガス抜きされた液体の温度は95〜115℃の範囲に、好ましくは100〜110℃の範囲に保たれる。
基本的にCO2ガス放出は、不活性のストリッピングガスをガス抜きされる液内に通すことによっても促進され得る。このようなガスとして、例えば分子状窒素、空気又は希薄空気(分子状窒素を添加した空気)を使用することができる。この箇所では分子状酸素を含むストリッピングガスが本発明により好ましい。なぜなら、分子状酸素はアクリル酸にも水性媒体に溶解したアルカリアクリレートにも、重合を抑制するよう働くからである。全体としてストリッピングガスを使用して促進されるCO2ガス放出は本発明ではあまり好ましくない。
CO2ガス放出時に付随的に発生するCO2含有排出ガスは基本的に、残留ガス混合物IIないし残留ガス混合物IIIのように処理される。すなわち一方で例えば焼却によって廃棄することができる。他方で、CO2含有ガスはサイクルガスとして、反応ガス出発混合物を不活性に希釈するために再利用されることも可能である。通常、CO2含有排出ガスはまだ水とアクリル酸も含んでいる。従って残留ガス混合物IIと同様にその焼却の前に及び/又はサイクルガスに戻す前にさらに凝縮を実施して、その中に含まれている水とアクリル酸をアクリル酸水溶液として液化することができる。その際に含まれている、アクリル酸含有凝縮水は、続いて、ガス抜きされる及び/又は既にガス抜きされた液体に戻してよい。しかし、アクリル酸の損失を防止するため、まだ水とアクリル酸を含んでいる「CO2排出ガス」を、生成ガス混合物に追加して、部分酸化ゾーンから吸収ゾーンIに誘導してもよい。
このような水性中間生成物IIIから可能な限り多くのCO2ガスを放出させることは、本発明による方法では、それによって後続の水性中間生成物IIIの抽出過程でのガス放出を回避できるという点で有利である。なぜならこれによってラフィネートIIIと抽出物IIIへの相分離がスムーズに進むからである。CO2ガス放出が完了すると、通常重合抑制のために水性中間生成物IIIに例えば空気又は分子状酸素の希薄空気を通して(好ましくは飽和するまで)溶かすと目的にかなっている。溶解した分子状酸素がこのような量で含有されることは、本発明による方法ではアクリル酸及び/又はアルカリアクリレートを含むすべての水相にとって安定化の点で有利である。
特に、吸収ゾーンIIの量比MV*が高められなかった場合、生成された水性中間生成物IIないしIIIのCO2ガス放出はしばしば省略され得る。なぜなら、通常アクリル酸の吸収と平行して、CO2の吸収は比較的限定的であるからである。ちなみに、高吸水性ポリマーの製造の進行中にも(例えばゲル乾燥及び/又は後架橋の範囲で)さらにCO2をガス抜きすることができる。
基本的に水性中間生成物I、水性中間生成物II又は水性中間生成物IIIの本発明による抽出は、同様の方法で実施することができる。
抽出の実施のために、すべての液液抽出に公知の抽出装置が考えられる(DE−A10220494の第12/13段も参照)。この装置内には、抽出産物としての各水性中間生成物と、抽出条件下でそれとは均質に混合できない有機抽出剤との間に、可能な限り大きい接触面積(界面面積)が作り出される。そのために通常2つの液相のうちの(分散相になる)1つが、別の液相(これは連続相を形成する)内に分割される(例えば撹拌器又はスタティックミキサーを使用して)。分割形状はしばしば小さい水滴である。抽出産物が抽出剤中に物質移動した後(例えば縦方向伸びが有利には1〜10mmの範囲に、好ましくは2〜5mmの範囲にある液滴)分割された液相は再び均質相にまとめられる。残った水性ラフィネート及び形成された有機抽出物の質量密度(g/cm3又はkg/m3)の差が十分である場合、これは重力によって混一される(塔内にある分散相の総容積は、通常塔内にある連続相の総容積よりも少ない)。この手順は本発明に従い好ましい。
質量密度の差がわずかである場合、遠心分離によって作用する遠心力によって混一が行われる。既述された混一のために、電界の重ね合わせも目的に合っている。
最も簡単な方法では、本発明による方法では抽出装置としてミキサーと分離器の組合せが使用される。ミキサーとして、スタティックミキサーも撹拌槽も考えられる。同様に撹拌はすべての流通している撹拌器が使用され得る。例としてディスク型撹拌器、インペラ型撹拌器、クロスビーム型撹拌器、グリッド型撹拌器、パネル型撹拌器、アンカー型撹拌器、ショベル型撹拌器、プロペラ型撹拌器、らせん型撹拌器及び多段式パルス向流撹拌器等が挙げられる。多段式撹拌器では、2つ以上の撹拌器が1つの共通軸に重ね合わせて又は相前後して取り付けられている。好ましくは2段式インペラ型撹拌器を使用する。
分離器として、あらゆる種類の沈殿槽が考えられる。好ましくは沈殿槽として置かれている容器を使用する。断続的に稼働する場合、ミキサーと分離器は合体していてもよい。すなわち、混合と分離は同じ容器で行われる。
しかし抽出は連続的に行われることが好ましい。この場合、被抽出物質(アルデヒド)を放出相から(水性中間生成物から)受容相中へ(有機抽出剤中へ(有機溶剤中へ))ミキサー内で移行が行われ、このミキサーには両方の液相が連続的に給送される。2つの、通常異なった質量密度を示す相の分離は(例えば重力によって)ミキサーから空間的に離れている分離器内で行われ、この分離器にミキサー内で連続的に生成される2つの相の混合物が連続的に給送される。質量密度の差が十分ある場合は、これは目的に合った方法で沈殿槽内で行われる。沈殿槽内で流れ方向に対して横向きに取り付けられた内部構造物により、ミキサーからの給送物が、重比重相と軽比重相へと、沈殿槽中で分離が促進される。ここでは内部構造物として、基本的にすべての流通している内部構造物が考えられる。これは例えば多孔板、プレート、規則充填物及び/又は不規則充填物であってよい。不規則充填物として、リング、らせん、サドル充填物、ラシヒリング、Intos−リング又はPall−リング、Berl−サドル又はIntalox−サドル、Top−Pak等又は網状充填物などが好ましい。多孔板と不規則充填物の組み合わせが特に好ましい。沈殿槽内の滞留時間は、0.05〜2時間である。水性ラフィネート及び有機抽出物は、分離器から連続的に取り出される。
通常ミキサー及び分離器から構成される装置は1つの理論段を成す。この理論段が本発明による目標設定を達成するために不十分な場合は、断続的な稼働において、残った水性ラフィネートが再度新しい抽出剤によって抽出される等々が行われる。
連続的な稼働では、分離効果を改善するために複数のミキサー(分離器装置)を相前後してカスケードに接続することができる。抽出産物及び抽出剤がポンプを使用して向流でカスケードを通って誘導されると、応用技術的に目的に合っている。しかし基本的に、ミキサー(分離器ユニット)は、このようなカスケード(しばしばバッテリーとも呼ばれる)を並流ないし直交流につなぐこともできる。
通常本発明による目的のために、5つ以下のミキサー(分離器ユニット)を備えた向流稼働のカスケードで十分である。しばしばこのように稼働するカスケードは4つ又は3つのミキサー(分離器ユニット)で足りる。
ミキサー(分離器ユニット)では、本発明による抽出の範囲で、分離器として遠心分離機を使用することも可能である。このようなユニットは遠心抽出機と呼ばれる。本発明に適した遠心抽出機は、例えばポドビルニアク抽出機及びルルギ−ウェストファリア抽出機である。
しかし好ましくは本発明により実施される水性中間生成物の抽出は、連続的に稼働する抽出塔内で実施され、この抽出塔内には通常分離効果のある内部構造物が備えられ及び2つの相がポンプを使って給送される。基本的に分離効果を改善するために、2つ以上の抽出塔を相前後して接続し、稼働することができる。
重比重相(本発明による方法ではしばしば被抽出水性中間生成物)は、抽出塔の上端に、及び軽比重相(本発明による方法ではしばしば有機抽出剤)は抽出塔の下端に連続的に給送される(通常対応するディストリビューターシステムを使用して、それぞれ塔の断面全体に均一に分配される)。塔内では、2つの相が重力の影響を受けながら互いに向流に運動する。軽比重相は抽出塔内を上昇し、重比重相は抽出塔内を下降する。
基本的に重比重液相も軽比重液相も分散相であってよく、及びそれぞれ他の相が連続相であってよい。本発明により好ましくは水性中間生成物は分散相として及び有機抽出剤は連続相として実施される。これは本発明により、(特に工業用の稼働において)水性中間生成物中に溶解したアクリル酸及び/又は溶解したアルカリアクリレートに望ましくないラジカル重合が生じる場合、通常該当する水滴中でそれが局部的に限定的に行われると有利である。
2つうち軽比重相が分散されると(つまりこれは液滴形状である)、相分離は抽出塔の頭部にある分離範囲で行われる。この範囲はその他の塔断面積に対して拡大された断面積を備え、及び凝集を促進する内部構造物を持っている。内部構造内に析出した軽比重相は(塔頂留出物として)連続的に塔から取り出される。
重比重相が分散される逆の場合は、相分離は抽出塔の塔低で行われる。この範囲はその他の塔断面積に対して拡大された断面積を備え、及び凝集を促進する内部構造物を持っている。内部構造内に析出した重比重相は(塔底留出物として)連続的に塔から取り出される。調整器又はサイホンが流出を制御し、その際それぞれ、流出箇所の前で軽比重相と重比重相の間に分離層が保たれ、液位が抽出塔内で実質的に一定に保たれる。分散相が重比重相である場合、その供給は有利には塔内の分離層の下側で行われる。分散相が軽比重相である場合、その供給は有利には塔内の分離層の上側で行われる。しかし基本的に相分離はそれぞれ分離塔の外側に設置されたポストセパレーターで行われてもよい。
連続相はそれぞれ抽出塔の反対側の端部から同様に取り出される。
抽出塔の分離効果のある内部構造物として、本発明による抽出のために、精留塔内に取り付けられるような、規則充填物、不規則充填物及び/又はバルブトレイが考えられる。その役割は、分散され分割された相の早期の合流を防止すること及び/又は抽出塔の縦軸に沿って分散相を何度も反復して分割及び合流させ得ることである。本発明による抽出のために特に好ましくは抽出塔へのエネルギー流入であり、これによって混合回数が増大し及び抽出塔の縦軸に沿った析出が促進される。
規則充填物(特に構造化された、又は整列された)及び/又は不規則充填物が入れられた、本発明に適した抽出塔は、エネルギー流入があってもなくても稼働可能である。不規則充填物として、リング、らせん、サドル充填物、ラシヒリング、Intos−リング又はPall−リング、Barrel−サドル又はIntalox−サドル、Top−Pak等が好ましい。本発明に従って使用可能な抽出塔には、例えばJulius Montz GmbH(D−40705Hilden)の規則充填物、例えば規則充填物Montz−PakB1−350等の規則充填物が特に適している。穴の空けられた構造化された規則充填物の使用が好ましい。整列された規則充填物を充填した充填塔は、当業者にはそれ自体周知であり、例えばChem.−Ing. Tech. 58(1986)Nr.1,S.19‐31、及びTechnischen Rundschau Sulzer2/1979,S.49ff,der Gebruder Sulzer Aktiengesellschaft in CH−Winterthurに既述されている。
規則充填物及び/又は不規則充填物が充填された、エネルギー流入なしの抽出塔では、抽出塔の運転開始時に連続相が充填され及び分散相がディストリビューターで給送される。このような充填塔では、例えばリング型ディストリビューター、コーム型ディストリビューター又は星形ディストリビューターが使用され得る。これは例えば星形に広がった実質的なパイプであり、及びそこから分散相が流出し及び滴下される。これらは特に重比重液相の分割給送に適している。通常ディストリビューターパイプは、通常円筒形の抽出塔のそれぞれ断面長さにわたって伸び、パイプ断面積は均一である。パイプはその長さにわたって(通常円形の)出口開口部(穴)を備えており、これは通常同じ断面積を持っている。分散相が塔頂に給送される場合、出口開口部は目的に合わせて下を向いている。分散相が塔底に給送される場合、出口開口部は目的に合わせて上を向いている。前述の貫通穴の直径(縦方向の伸び)は通常1〜10mm、好ましくは3〜6mm及びしばしば2〜5mmである。それに応じて結果として生じる縦方向の伸びを備えた液滴サイズは同様の範囲にあり、及び本発明による抽出に好都合である(縦方向の伸び=表面にある2つの点を結ぶ最長の直線)。
別法として分散相の分割にシーブトレイを使用してもよく、このシーブトレイを通って分散相が塔内に給送され、滴下される。その後の経路に給送される/排出される連続液相及び分散液相の流量が、抽出塔内にある連続相の総容積VKの、抽出塔内にある分散相の総容積VDに対する比率が、目的に合わせてVK:VD=10:1〜1.1:1、好ましくは5:1〜1.5:1の範囲にある安定した稼働状態に調整されるように選択される(この比率は、一般に本発明による抽出塔の本発明による稼働において有利である)。
規則充填物及び/又は不規則充填物(ごく一般に、抽出塔内で分離効果のある内部構造物)の材料は、これらが連続液相によって良好に湿潤され及び分散液相によって不十分にしか湿潤されないか又はまったく湿潤されないように選択される。なぜならさもなければ分散相の水滴が規則充填物及び/又は充填物に早期に集まる可能性があり及び両方の液相がそれによって抽出効果が低下した状況で互いに向流で通過するからである。本発明による抽出の際に、被抽出水性中間生成物が分散相を形成する場合(これは工業用の実施において好ましい)、分離効果のある内部構造物は、Teflon(登録商標)ないしTeflonでコーティングを施した、分離効果のある内部構造物が発明に好ましい。同様のことは、この分散相の分割用に使用されるディストリビューターにも当てはまる。
Teflonの代わりに他の合成樹脂を使用することもできる。
本発明による抽出で有機抽出剤が分散相を、及び水性中間生成物が連続相を形成する場合、分離効果のある内部構造物及びディストリビューター用のセラミックも適している。
金属製の内部構造物及びディストリビューターは、不都合な効果として、水性中間生成物によっても有機抽出剤によっても湿潤されてしまう可能性がある。しかし通常水性中間生成物はステンレス鋼をよりよく湿潤する。分離効果のある内部構造物は除いて、本発明による水性中間生成物の抽出のための抽出ユニットは(本発明によるその他の残りの装置ユニットはもとより)DIN原材料1.4571(DIN EN10020に準拠)から製造される。別法としてUS6966973B2及びUS6441228B2で推奨されている原材料も使用してよい。これは特に、本発明により関係する液相が、アクリル酸の他にグリオキサールを含んでいる場合に該当する。好ましくはこの場合、同時にDE−A102010042216の教示に従い重合が阻害される。
規則充填物及び/又は不規則充填物を装填された、エネルギー流入のある抽出塔として、本発明により実施される抽出は特に撹拌塔が考えられ、これは"Grundoperationen chemischer Verfahrenstechnik,W.R.A. Vauck und H.A. Muller、Verlag Theodor Steinkopf,4 Auflage,Dresden 1974"の図369aに模式的に示されている(この文書では「出典I」と示されている)。この塔では撹拌され、分離効果のある内部構造物において、実質的に空のカラムセクション(混合ゾーン)が、撹拌されない、規則充填物及び/又は不規則充填物が装填されたカラムセクション(静置ゾーン)と、流れ方向に交互になっている。エネルギー流入は撹拌によって行われる。これにより、物質移動のための新しい界面が繰り返し作り出される。すべての撹拌器は、上から下へ抽出塔を通って案内されている共通軸に取り付けられると、応用技術的に目的に合っている。
撹拌塔の別法として、本発明による水性中間生成物I、II又はIIIのための抽出はエネルギー流入によって稼働される抽出塔として、出典Iの図369bに模式的に示されている回転円板抽出塔も使用できる。この抽出塔には、互いに明確に区切られた(顕著な)混合ゾーンと静置ゾーンを備えていない。すなわち、部分工程「混合」と「分離」の進行は空間的に離れていない。通常この抽出塔の円筒形充填端部は、その内壁にステータリングが装備されている。塔断面の中央では、上から下に案内される軸が、2つのステータリングの間で回転翼円板が回転するように、回転翼円板を支えている。回転する回転翼円板には穴が空けられていてもよく、混合効果を発揮する。
本発明による目的に適した撹拌塔又は回転円板抽出塔は、例えばRDC(rotating disc contactor、回転円板接触器)塔、ARD(asymmetrical rotating disc、非対称回転板)塔、クーニ式抽出塔(クーニ式の撹拌塔)及びQVF撹拌セル抽出機である。
さらに、本発明による水性中間生成物の抽出には、シーブトレイ塔が特に好適である。この塔は、クロスフローシーブトレイ塔とパルス式シーブトレイ塔とに区別される。後者は、本発明による中間生成物抽出に特に好ましい。
クロスフローシーブトレイ塔の模式図は、出典Iの図369cに示されている。連続相はこの塔内で、縦穴内の1つのシーブトレイから次のシーブトレイへと誘導され、及び分散相だけが、2つの液層の質量密度が異なることにより、バルブトレイの貫通穴(通常は孔、すなわち円形の貫通穴)へ押され、そこで繰り返し新しい分散が行われる。
パルス式シーブトレイ塔はエネルギー流入のある抽出塔である。この塔内では、2つの相が貫通穴(通常は孔、すなわち円形の貫通穴)を通って、シーブトレイ中へ誘導される。すなわち、ここではバルブトレイは縦穴を持っていない。これにより、パルスの上向ストロークで軽比重相が上方へシーブトレイの穴を通って押され、下向ストロークではこれに対応して重比重相が下方へ押される。2つの相のうち、塔内で全体としてまとまっている容積が小さい方の相が通常分散相を形成する。パルセーターとして、ほとんどの場合ピストンポンプが使用される。これは通常パルス式シーブトレイ塔の底部に設置され及び塔内室と流体を導通して接続している。ピストンポンプの押込器(ピストン)の周期的往復運動により液柱全体が振動(脈動)し、パルス式シーブトレイ塔内で上下に運動し、その際ストローク(振幅)はバルブトレイの厚みより小さくてはならないが、通常2つの連続するバルブトレイの間隔の75%未満である。このようにして、2つの液相はシーブトレイの穴を貫流するよう周期的に強制される。軽比重液相は上向ストロークにより、及び重比重液相は下向ストロークによる。これにより、分散的分割が周期的に新たに行われる。
液柱全体が上向運動及び下向運動に振動するための別法として、例えばKarr式抽出塔のように塔内のバルブトレイ自身が上下に運動してもよい。
最後に、本発明による水性中間生成物の抽出はせき止め型規則充填物を分離効果のある内部構造物として装填した抽出塔も使用し得る(例えばAlphaPACK(登録商標)DSPを装填)ことも確認されよう。これは規則充填物であり、上端又は下端に「分散プレート」(シーブトレイ)が設置されている。重比重相が分散相を形成する場合、これは規則充填物の上端に取り付けられ、軽比重相が分散相である場合、これは規則充填物の下端に取り付けられる。2つの互いに重なり合って取り付けられた規則充填物の間に、それぞれ1つの、内部構造物のない空の分離室が配設される。この種類の抽出塔は同様に脈動して稼働されると、応用技術的に目的に合っている。
言うまでもなく純粋な不規則充填物充填塔と純粋な規則充填物充填塔も、脈動して稼働することができる。ダウンカマーを備えていないシーブトレイ塔の場合は、パルス式の稼働は避けられない。
本発明による水性中間生成物のI、II又はIIIの抽出は、その中に溶解して含まれているアクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドを有機抽出剤中に吸収することが目的であり、通常際立った反応熱は伴わない。このような背景から、抽出塔の温度調節は不要である。通常抽出塔は外部に対して断熱されていると、応用技術的に目的に合っている。工業的に、抽出塔は有利には壁厚が5〜20mmのステンレス鋼から製造される。
水性抽出産物と有機抽出剤が抽出のために給送される温度は、1〜80℃の範囲にあってよい。本発明により好ましくは、この温度は20〜50℃及び特に好ましくは25〜35℃である。本発明により好ましくは、本発明による水性中間生成物の抽出の抽出産物と抽出剤は同じ温度で給送される。両方の温度の差は20℃以下であると、応用技術的に目的に合っている。しばしば、前述の温度差は≧0℃及び≦15℃又は≧0℃及び≦10℃である。
被抽出水性中間生成物が、前もって熱によって促進されたCO2ガス放出が行われた水性中間生成物IIIである場合、同様にその抽出の前に間接熱交換器内で冷却すると本発明による目的に合っている。分離された有機抽出物からなる有機抽出剤として、後続の例えば精留法で分離された抽出剤が水性中間生成物の抽出に戻される場合も同様である。
抽出塔に給送された有機抽出剤のマスフローMO[kg/h]の、抽出塔に給送された水性中間生成物(水性抽出産物)のマスフローMZ[kg/h]に対する、MO:MZの比率は、本発明による方法では0.1〜10、有利には0.1〜5、好ましくは0.1〜2及び特に好ましくは0.1〜1であってよい。
本発明による水性中間生成物の抽出のために適した抽出塔の理論段数は、1〜15段であってよい。本発明により好ましくは3〜10段及び特に好ましくは4〜8段である。
通常抽出塔内の蒸気圧は、実質的に大気圧(約1.01bar)である。
比較的揮発性の高い有機抽出剤を使用する場合、抽出塔内の蒸気圧は大気圧よりかなり高くなる。しかしこの手順は本発明によりあまり好ましくない。液相では通常実質的に送出圧力が存在し、これは最大6barであり得る。
ちなみに本発明による水性中間生成物の抽出には、出典Iの718〜738ページの実施形態が対応する方法で適用される。
水性中間生成物I、II又はIIIからアルデヒド抽出することを目的とした有機抽出剤として、抽出条件下で(通常温度範囲1〜80℃で)水性中間生成物と非混和領域を有している、実質的にすべての有機溶剤が考えられる、したがって、有機抽出剤として特に、20℃及び標準圧力で、水への可溶性が10質量%未満、好ましくは7質量%未満、特に好ましくは5質量%未満及び格別に好ましくは1質量%未満である有機溶剤が適している(分量表示はそれぞれ結果として生じた溶液に基づいている)。
好ましくは、その中で、その質量密度(単位kg/m3)が、(水性中間生成物の)抽出される抽出産物の質量密度(同様に単位kg/m3)と、≧10kg/m3、好ましくは≧15又は≧25kg/m3、特に好ましくは≧30又は≧40kg/m3及び格別に好ましくは≧50kg/m3異なっている(抽出時に適用された圧力及び抽出時に適用された温度(抽出条件)に基づいて)。しかし、通常前述の質量密度差は300kg/m3を上回らない。ほとんどの場合質量密度差は≦250kg/m3、それどころか部分的に≦200kg/m3又は≦150kg/m3である。
さらに、有機抽出剤の動的粘度が抽出条件下で、抽出する水性中間生成物の動的粘度より小さい場合、本発明による方法に好都合である。
これにより、水性中間生成物が分散相であり及び有機抽出剤が連続相である場合、2つの相間で物質移動が加速し及び同等の分離結果が最終的により短い塔で可能になる。
有機抽出剤の動的粘度が抽出条件下で≦1mPa・s、より適切には≦0.9mPa・sであると本発明に従い好ましい。通常有機抽出剤の動的粘度は、抽出条件下で0.3mPa・s以上である。基本的に水性中間生成物I、II又はIIIのための有機抽出剤の動的粘度は、抽出条件下で最大100mPa・sであってよい。すなわち、その動的粘度が抽出条件下で≧1mPa・s〜50mPa・s、又は2〜10mPa・sである抽出剤も考えられる。
さらに、抽出条件下で2つの液相間の表面張力が比較的高い場合、水性中間生成物からのアルデヒド抽出のために好都合である。
加えて、有機抽出剤がアミン基−NH2、スルホン酸基−SO3、カルボキシル基−COOH及び無水物基−COOCO−を備えていない場合有利である。さらに、有機抽出剤は抽出条件下で水と可能な限り化学的に反応せず(すなわち、加水分解されない)及び水中又は水性中間生成物I、II又はIII中への可能な限り低い可溶性を示す。
既述の内容を背景に、水性中間生成物からのアルデヒド抽出のために本発明により適した抽出剤は特に以下が考えられる:
− 芳香族炭化水素、例えばベンゼン及びジフェニル、
− アルキル基で置換した芳香族炭化水素、例えばトルエン、エチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン及びクメン、
− ハロゲン化した芳香族炭化水素、例えばモノクロロベンゼン、モノブロモベンゼン及びモノフルオロベンゼン、
− パラフィン系炭化水素(線状、分枝又は環状)、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン及びシクロヘキサン等のC6〜C16のアルカン、又はテトラデカン等のC10−C14のアルカン、
− 石油エーテル及びガソリン留分等の工業用炭化水素、
− ハロゲン化したパラフィン系炭化水素、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、クロロエタン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、例えば1,3−ジクロロプロパン及び1,2−ジクロロプロパン等のジクロロプロパン、並びにトリクロロエタン、
− アルキルエーテル及びアリールエーテル芳香族炭化水素、例えば2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、アニソール及びジフェニルエーテル、
− 4つの炭素原子を持つ脂肪族及び脂環式エーテル、例えばジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル及びエチル−tert−ブチルエーテル、
− 芳香族カルボニル化合物、例えばベンゾフェノン、
− 少なくとも5つの炭素原子を持つ脂肪族及び脂環式ケトン、例えばメチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソアミルケトン、ジエチルケトン、エチルプロピルケトン、エチルブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びトリメチルシクロヘキサノン、
− 好ましくは合計4〜10個、特に好ましくは5〜8個の炭素原子を持つ、脂肪族C1−C4−モノカルボン酸及びC1−C6−アルカノール又はシクロアルカノールのエステルで、例えばギ酸イソブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸シクロヘキシル、酢酸n−ヘキシル、プロピオン酸イソブチル、酪酸イソブチル及びイソ酪酸イソブチル
− ハロゲン化した及び/又はアリール基で置換したアルカノール、例えばヘキサフルオロ−2−フェニル−2−プロパノール及び、
− 脂肪族ジカルボン酸、オレフィンジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のジアルキル、例えばマレイン酸ジエチルエステル、フタル酸ジメチルエステル及びフタル酸ジエチルエステル。
当然のことながら有機抽出剤として、本発明に関する目的のために、前述の抽出剤からなる混合物を使用してもよい。2,4−ジ−tert−ブチルフェノール(40質量%)と2,6−ジ−tert−ブチルフェノール(60質量%)の共融混合物、70〜75質量%のジフェニルエーテルと25〜30質量%のジフェニルの混合物、並びに70〜75質量%のジフェニルエーテルと25〜30質量%のジフェニルから成る混合物(このような混合物は市販品では例えばDiphyl(登録商標)が購入可能)と、この混合物に対して0.1〜25質量%のo−フタル酸ジメチルとの混合物が例として挙げられる。しかし、長鎖のモノアルカンカルボン酸、例えば2−エチルヘキサン酸、オクタン酸、ノナン酸及び/又はデカン酸も、本発明の目的に適した抽出剤として使用することができる。
前述の抽出剤では、本発明に関する目的のために、1,3−ジクロロプロパン、1,2−ジクロロプロパン、1,1−ジクロロエタン及び2,4−ジ−tert−ブチルフェノールと2,6−ジ−tert−ブチルフェノールから成る共融混合物が好ましい抽出剤である。本発明に従い特に好ましい抽出剤として、抽出試験により、Diphyl、トルエン、クロロベンゼン、フルオロベンゼン及びベンゼンが明らかである。
抽出剤は、抽出時に水性中間生成物中に含まれているアルデヒドアクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルフラール(特に最後に挙げた2つ)を可能な限り吸収するが、アクリル酸及びその共役塩基は可能な限り吸収しない又はまったく吸収しないように選択されているため、アクリル酸との化学的類似性のために、水性中間生成物中にも通常含まれている成分であるプロピオン酸及びその共役塩基、ギ酸及びその共役塩基並びに酢酸及びその共役塩基は、本発明によるアルデヒド抽出の範囲において、アクリル酸及びその共役塩基と共に水性ラフィネート中に残る。
記述されたように実施された、水性ラフィネートI、又は水性ラフィネートIII、又は水性ラフィネートIと水性ラフィネートIIの混合物(この混合物はラジカル重合前にCO2ガス放出を選択的に実施しておくことができる)の製造方法では、直後にラジカル重合処理を行って各水性ラフィネートに含まれるアクリル酸及びその共役塩基をポリマー内に組み込むことができる(別法として各水性ラフィネートを同様に明細書WO2005/049543、DE−A2006045089及びDE−A102006045088の既述と同様に貯蔵タンク(保管タンク)内で、温度が例えば25℃で、希薄空気で覆った状態で貯蔵することができる)。すなわち、本発明により製造された水性ラフィネートは、直接ラジカル重合体(ラジカル開始によって生じたポリマー)の製造のために使用することができる。その際重合の前、重合の最中及び/又は重合の後に、さらなるアルカリ塩基、その水溶液(水性アルカリ塩基)及び/又は水を添加することができる。
ラジカル重合が行われた反応混合物は、ここではそれぞれ多くの水性ラフィネート並びに各重合に必要な添加物を含んでいる。
選択的に、この添加物は(添加物として、純水アクリル酸(glacialacrylicacid(GAA)も考えられる)コモノマーを含んでいてよい。これは、アクリル酸及びその共役塩基とは異なる、同じく通常好ましくは優れた水溶性を備えたエチレン単不飽和化合物、例えばメタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン−スルホン酸、上記酸のアミド、上記酸のアルカリ金属塩、上記酸のアンモニウム塩、アクリル酸のモノヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸のモノヒドロキシアルキルエステル、N−ビニルホルムアミド等である。
しかしコモノマーは、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、一価アルコール、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の水溶性の低いエチレン系一価不飽和化合物並びに酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のビニルエステルであってもよい。水溶性の低いモノマーの比率が、反応混合物中の含まれるモノマー全体(ラジカル重合可能な、少なくとも一価のエチレン系不飽和化合物)に対して大きい場合は、ラジカル重合の範囲で例えば水性ポリマー分散が得られ、比率が小さい場合は、通常水性ポリマー溶液が得られる。
しばしば、重合反応混合物中のアクリル酸及びその共役塩基とは異なるモノマーの総量は、含まれるモノマーの総量に対して≦40モル%、又は≦30モル%、又は≦20モル%ないし≦10モル%、又は≦5モル%である。
前述の内容は、コモノマー比率がわずかであるか又は消滅した状態が好ましい、高吸水性ポリマー水溶液の製造を目的とするラジカル重合の場合にも該当する。これは架橋した、及びそれゆえに実質的に水溶性のポリマーである。
このようなポリマーは、水性反応混合物がラジカル重合のために、アクリル酸及びその共役塩基並びに選択的に上記のコモノマー(その分量比率は好ましくはわずかであり及び特に好ましくは消滅している)の他に、わずかな量の少なくとも1つのいわゆるコア架橋剤が添加されて含まれていることによって得られる。ここでは少なくとも二価のエチレン系不飽和結合を持つ化合物である。適切なコア架橋剤(内部架橋剤とも呼ばれる)の例として、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ジアクリレート、又はジメタクリレート、相対的な(1Hに関して)分子量が100〜1500のポリアルキレングリコール、トリメチロールプロパントリメタクリレート、少なくとも2回アクリル酸又はメタクリル酸とエステル化したトリメチロールプロパンとOH基当たり1〜8モルのエチレンオキシドとの反応生成物、特に完全にアクリル酸又はメタクリル酸とエステル化した、トリメチロールプロパンとOH基当たり2〜6モルのエチレンオキシドとの反応生成物、トリアリルアミン及びテトラアリルアンモニウム塩化物が挙げられる。適切な内部架橋剤のその他の例は、従来技術(例えばWO2006/05373の9及び10ページ、並びにWO03/002623及びDE−A10220494)に記載されている。
通常水性反応混合物はラジカル重合のために、その質量に対して0.001〜5質量%、好ましくは0.01〜2質量%の、少なくとも1つのコア架橋剤を含む。重合反応混合物中に含まれる、アクリル酸、その共役塩基及びコモノマーが含有する反応混合物のモル総量に対してしばしば0.001〜5モル%、又は0.005〜2モル%、好ましくは0.05〜0.2モル%の、少なくとも1つの内部架橋剤(コア架橋剤)を含む。
加えてさらに水性反応混合物は通常少なくとも1つの重合開始剤を添加されて含んでおり、この重合開始剤によってラジカル重合が開始される(基本的にラジカル重合は例えば電子線を水性反応混合物に作用させることでも引き起こすことができる)。重合開始剤として、重合条件下で遊離基に分解する化合物全体、例えば過酸化物、ヒドロ過酸化物、過酸化水素、過硫酸塩、アゾ化合物及びレドックス開始剤が使用できる。多くの場合、有利には異なった重合開始剤の混合物を使用してよく、これは例えば過酸化水素並びに過硫酸ナトリウム及び/又は過硫酸カリウムの混合物である。適切な有機過酸化物は例えばアセチルアセトン過酸化物、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ジベンゾイル及びクメンヒドロペルオキシドである。その他の適切なラジカル重合開始剤は、従来技術(例えばWO03/002623の17及び18ページ、並びにDE−A10220494第10段)に記載されている。しかし重合開始剤として、光重合開始剤も考えられ、これは電磁放射線の作用により遊離基形成を活発にする。光重合開始剤はα−再分解剤、H−引抜き系であり又はアジドであってもよい。例として、ベンゾフェノン誘導体が挙げられる。
一般に、ラジカル重合の反応混合物は、その中に含まれているアクリル酸、その共役塩基、これら2つの異なったコモノマー及びその共役塩基並びにコア架橋剤の総量に対して(すなわち、含まれているモノマー総量に対して)、0.001〜5質量%、好ましくは0.01〜5質量%及び特に好ましくは0.05〜2質量%、少なくとも1つの重合開始剤が添加されて含まれている。個別には、既述のように構成された水性反応混合物のラジカル重合は、例えば明細書WO2008/009599、EP−A1237937、DE60012108T2、EP−A0372706、WO99/42494、WO01/38402、WO03/002623、US2010/0041549A1及びWO2006/053731並びに本明細書中及び本出願中で引用された従来技術中に詳述されているように、実施される。ラジカル重合の結果として、一般にゲルが得られ、これはまだ、重合の周囲にある水性媒体と結合されている。
典型的には80〜250℃、又は120℃〜200℃の温度でゲルを乾燥させてから粉砕することにより微細化したポリマー粉が得られ、これは水溶液を非常に良く吸収することができる。
スーパーアブソーバーの吸収及び保持特性は、通常前述のポリマー粉粒子の表面後架橋によって追加的に改善される(DE−A10220494参照)。表面後架橋剤として、ここでは粉中にあるポリマーの官能基と(例えばカルボニル基及び/又はカルボキシレート基と)反応可能な化合物が考えられる。通常ポリマー粒子は、少なくとも1つの後架橋剤の少なくとも1つの溶液と共に1つの不活性の溶剤、例えば水、一価アルコール、多価アルコール又は前述の物質のうち少なくとも2つの混合物に入れて噴霧する。(例えばこれらを引き起こす縮合反応の)表面後架橋を開始又は加速するために、既述のようにその表面に噴霧されたポリマー粒子が50〜250℃、好ましくは115〜190℃の温度範囲で保持されている。後架橋剤の例として、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及びグリセロール等のポリオール、並びにメチレンビス(N−メチロール−メタクリルアミド)等のジ及びポリ−N−メチロール化合物が挙げられる。その他の適切な後架橋剤は、従来技術(例えばWO03/002623、WO2006/053731、US2010/0041549、US2008/0119626及びWO2008/009599、並びに本明細書及び本出願中のその他の引用された従来技術を参照)に記載されている。
WO2008/009599に例として記述されているように水性反応混合物のラジカル重合は、液滴重合によって行うこともできる。重合及び乾燥は、ここでは重なり合って行われる。
ゲル乾燥及び後架橋で適用される温度が比較的高いために(ゲル乾燥はその上に通常ガスが貫流される)、本発明により製造された、それぞれラジカル重合のための反応混合物のベースとなる水性ラフィネートII、又はラフィネートIII、又は水性ラフィネートIと水性ラフィネートIIの混合物中に少量含まれている有機抽出剤は、通常乾燥及び/又は後架橋において、形成されたポリマーから除去され、それ故にそのような水性ラフィネートの抽出剤含有量の除去をラジカル重合前に行うことは必ずしも必要ではない。
しかし当然のことながら、このような事前分離は比較的簡単に行うこともできる。本発明により生成された水性ラフィネート中に含まれている比較的わずかな量の有機抽出剤を、吸着により(例えば吸着剤として活性炭を使用して)分離する方法がある。別法として、本発明により生成された水性ラフィネート中に溶解して残っている(第1の)有機抽出剤を水性ラフィネートから抽出的に分離する方法もある。(第2の)有機抽出剤として、水性ラフィネートへの可溶性が水性ラフィネートに溶解して含まれている(第1の)有機抽出剤の水溶性に比べて格段に小さい有機溶剤を使用すると、応用技術的に目的に合っている。この第2の有機抽出剤中に、水性ラフィネートから、その中に溶解して残っている第1の有機抽出剤を吸収する。このようにして水性ラフィネートII、又は水性ラフィネートIII、又は水性ラフィネートIと水性ラフィネートIIの混合物の有機抽出剤含有量は容易に、US−A2008/0119626及びUS−A2008/0161512に推奨されている範囲である、ラフィネートの質量に対して1〜1000質量ppmに調整され得る。しかし言うまでもなく1質量ppmという下限は、簡単に下回ることが可能である。通常この分離処理は1〜3段の理論段で十分である(ほとんどの場合理論段1段)。考えられる第2の有機抽出剤の例として、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、シクロヘキサン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ドコサン、トリコサン及びテトラコサンが挙げられる。
しかし別法として、多くの本発明に適した(第1の)有機抽出剤が標準圧力において比較的低い沸点を備えていること及び/又は少量の、水と共に比較的低沸点の共沸混合物を形成する(水蒸気とストリッピングできる)という状況を有効に利用することもできる。
どちらの場合も、第1の有機抽出剤はそれを溶解して含んでいる水性ラフィネートから精留法で分離でき(例えばトルエンはこのようにして比較的簡単に(すなわち、比較的わずかなエネルギー消費で)分離可能であり)、これによりトルエンは本発明により特に好ましい第1の有機抽出剤となっている。
ストリップ部を1つしか持たない、分離効果のある内部構造物を備える精留塔内で精留法による分離が実施可能であると、応用技術的に目的に合っている。分離効果のある内部構造物として、この目的のために基本的にすべての、精留塔のために従来技術で公知の及び本明細書で既に何度も挙げた分離効果のある内部構造物を使用することができる。本発明により好ましくは、滴下バルブトレイ(デュアルフロートレイ)が分離効果のある内部構造物として使用される。
理論段数は1〜50の範囲で可動である。5〜20であると、応用技術的に目的に合っている。穴径(滴下バルブトレイの貫通穴の直径)は、通常8〜50mm、好ましくは10〜35mmである。通常、トレイは等距離配置されている。しばしば、トレイ間隔は300〜800mm、たびたび400〜600mm及びしばしば500mmである。例えば液封ポンプを使用して、ストリップ塔内の頭部圧力を0.1〜1barに調整すると(基本的に液封ポンプの代わりに(の別法として)負圧を生成するために本明細書では常に蒸気噴射器(ウォーターポンプで駆動される噴射ポンプ)水噴射器(液体の水噴射で駆動される噴射ポンプ)が使用可能)応用技術的に目的に合っている。塔の底部圧力はこれに応じて0.1〜5barであってよい。塔への水性ラフィネートの供給は、好ましくは(理論的に)最上のトレイの上で行われる。内側及び/又は外側にある間接熱交換器は、従来式の構造であり(例えばロバート蒸発器、強制循環管蒸発器、強制循環管フラッシュ蒸発器、板状熱交換器。例えばEP−A854129を参照)及び/又は二重壁ヒーター(熱媒体として有利には部分酸化で得られた水蒸気の廃熱を使用)を介して、分離塔の底部に分離に必要な熱エネルギーを給送する。この給送は好ましくは外部にある、自然循環式又は強制循環式の循環蒸発器を介して行われる。特に好ましくは外部にある、強制循環式(選択的にフラッシュ循環式)の循環蒸発器を使用する。
ごく一般的に、本発明による方法では、蒸発器が必要な場合はどんな場合でも、有利には(アクリル酸及び/又はその共役塩基には望ましくない重合の傾向があるために、被膜を形成可能な物質である)薄膜蒸発器を使用してもよい(例えば、タイプLuwa(登録商標)、又はSambay(登録商標)、又はSako(登録商標)KVないしSakoKHの薄膜蒸発器)。特にSambay蒸発器は、本発明による目的に好適であり、応用技術的に目的に合っている。
本発明により好適な熱交換器は、特にWO2009/133042及びDE−A19539295に記述されている。
可能な底部温度は50〜100℃であってよい。水性ラフィネートは、実質的に、水性中間生成物のアルデヒド抽出から取り出される温度で給送される。
ストリップ塔の底部から、残っている第1の有機抽出剤を除かれた水性ラフィネートが連続的に取り出され、及び第1の有機抽出剤をまだ含んでいる水性ラフィネートについて既述されているように、その保管及び/又はそれに続くラジカル重合の処理に送られる。
気相は(理論的に)最上にあるトレイの上で凝縮される。好ましくは凝縮は間接冷却によって行われる。これに関して、必要な間接熱交換器はストリップ塔の外部にあってもよい。形成された凝縮液は、その温度が例えば20〜40℃であってよく、相分離器に給送され、そこから分離する相に別れて取り出すことができると、応用技術的に目的に合っている。水相はストリップ塔への環流として戻される(好ましくはその(理論的に)最上のトレイ(最上の理論段)に)。ストリッピングされた有機相は「新しい」第1の有機抽出剤としてアルデヒド抽出(塔)に戻され及び/又は焼却される。塔頂凝縮によりガス状で残ったものは、液封ポンプを介して通常排ガス除去装置に送られる。作動液として液封ポンプは水相及び/又は有機相からの凝縮生成物を含んでいる(作動液の蒸気圧が小さいほど液封ポンプで生成される圧力は小さくなる)と応用技術的に目的に合っている。本発明により有利には、本発明による方法で使用される液封ポンプは、DE−A10143565で推奨されているように駆動される。
必要な分離エネルギーを間接熱交換によって塔底に送る代わりに、分離エネルギーを高温蒸気を底液中に通して、直接的な経路で給送することもできる。その場合は間接蒸発器の必要性がなくなり得る。この目的のために、水蒸気は初期圧力1.5〜100barで使用される(例えばインレットバルブを通ってストリップ塔内に入る際に水蒸気は塔内圧力にゆるめられる)。その温度は120℃〜311℃であってよい。
それ以上の支援として、水性ラフィネートから溶解して含まれている第1の有機抽出剤をストリッピングするために凝縮が困難なガス(例えば空気、希薄空気、分子状窒素)を精留塔の塔底から塔頂へ追加的に貫流させることは通常不要である。ちなみにストリップ塔は外部に対して断熱されて稼働される。
本発明に従った、アルデヒドアクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドの水性中間生成物II、又はIII、又はI及びII、からの分離の際に付随的に発生する有機抽出物II、ないしIII、ないしI及びIIは、その中に含まれている抽出剤をここから再び分離して本発明による抽出に戻すことは、経済的に目的に合っている。本発明により有利には、この分離は精留法で、少なくとも1つの強化部分及び少なくとも1つのストリッピング部分を含む精留ユニット内で実行され得る。精留ユニットは、それ自体周知の構造であってよい。通常この精留ユニットは、従来技術で公知のように、分離効果のある内部構造物として備えている精留塔として仕上げられている(例えばDE−A10336386及びDE−A102010001228を参照)。このような分離効果のある内部構造物として、基本的に精留のために流通しているすべての分離効果のある内部構造物が考えられる。それには、特にトレイ、規則充填物及び/又は不規則充填物がある。物質移動トレイとして、バブルキャップトレイ、バルブトレイ(例えば強制バルブトレイ又は滴下バルブトレイ(デュアルフロートレイ))、シーブトレイ(例えば固定式バルブ付き又はバルブディスクトレイとして)及び/又はThormannトレイが好ましい。不規則充填物として、リング、らせん、サドル充填物、ラシヒリング、Intos−リング又はPall−リング、Berl−サドル又はIntalox−サドル、Top−Pak等又は網状充填物などが特に適している。格別に好ましくは、精留法による抽出物分離のために規則充填物が分離効果のある内部構造物として精留塔に設置される。これは整列された及び/又は整列されていない規則充填物であってよい。整列されていない規則充填物とは、ガス透過性の容器内にある、定義されて成形された充填物からなる不規則充填物である。これはリング、円筒形、サドル充填物又はそれに類似したものであってよい。表面を拡大して圧力損失を低減すると同時に気相液相接触を増大させるため、充填物の側面が幾重にも割られている。このようにして例えばHiflowリング又はHiflowサドル等の非常に複雑な構造物が生じる。
整列された規則充填物は、通常圧力損失は小さく、同時に分離能力はより高い。このような規則充填物では、メタルファブリック又は薄鋼板が折られ及び/又は巻き付けられ、これにより蒸気及び液体が集中的に誘導され、それによって蒸気と液体が集中的に接触する。表面をさらに構造化することで、及び穴を配設することで、規則充填物表面の湿潤性だけでなく追加的に物質移動も高められる。本発明により、該当する精留分離には、特にMontz社の規則充填物、例えばMontz−構造規則充填物タイプB1、タイプA3、タイプBSH、タイプM及びタイプMNが適している。
精留分離に必要な熱エネルギーは、内側及び/又は外側にある、従来式の構造の間接熱交換器(例えば薄膜蒸発器、ロバート蒸発器、強制循環管蒸発器、強制循環管フラッシュ蒸発器、板状熱交換器など。例えばEP−A854129を参照)を介して及び/又は二重壁ヒーター(熱媒体として有利には部分酸化で得られた水蒸気の廃熱を使用)を介して、精留塔の底部に給送され得る。塔断面積が比較的大きい精留塔を使用する場合、直列又は並列に接続された複数の蒸発器(間接的熱交換器)の使用が推奨される。この場合、好ましくは2〜4つの間接熱交換器(蒸発器)を並列に稼働させる。ここでは強制循環管フラッシュ蒸発器が本発明により好ましい。
方法技術的に、本発明により好ましい2つの境界例を対比して示す。第1の例では、水性中間生成物のアルデヒド抽出のために入れられた有機抽出剤(例えばDiphyl(登録商標))は、標準圧力(1.01bar)で、同じく標準圧力でのベンズアルデヒドの沸点よりも高い沸点を示す。
その場合アルデヒド抽出から連続的に取り出された精留塔の有機抽出物は、精留塔内でその中間部分又はその下に(しかし少なくとも2段(通常5段まで)の理論段が塔底(精留塔内の最下段の内部構造物の下側の空間)の上にある)連続的に給送される。既に詳述したようにアルデヒド抽出は、比較的中温で実施されるため、アルデヒドを溶解して含んでいる有機抽出物が抽出から精留塔への経路でその温度を上昇させるために間接熱交換器に誘導されると、応用技術的に目的に合っている。有利には温度上昇は、実質的に精留塔への流入部の温度と同じ値まで行われる。例えばこの温度は160〜190℃、又は170〜180℃にあってよい。間接熱交換器を同時に貫流する液体の熱媒体として、本発明により好ましくは精留塔から取り出された塔低液が使用される。この塔低液は、望ましくないアルデヒドが精留塔内で実質的に取り除かれた有機抽出剤である。本発明による精留では、170〜200℃の温度で精留塔の底部から取り出されてよい。続いて前述の間接熱交換器を出る際には温度が120〜130℃であってよい。失った抽出剤を補充するため、間接熱交換器から出た抽出剤の流れで新しい有機抽出剤を補い、それに続いて水性中間生成物のアルデヒド抽出に戻すことができる。その際さらなる間接熱交換を例えば水等の冷媒に対して行ってよく、抽出剤の流れの温度は、戻される経路でさらに低減される。当然のことながら、精留塔に送り込まれた有機抽出物の加熱及び抽出塔底部から取り出された、洗浄された有機抽出剤の冷却は互いに空間的に分離された間接熱交換器により、代替の熱媒体又は冷媒(例えば水蒸気ないし水)を使用して実施することができる。
アルデヒドの精留分離は、記述された例では、液封ポンプによって低減された塔頂圧力で実施されると、応用技術的に目的に合っている。この圧力は、例えば50〜150mbarないし70〜140mbarであってよい。液封ポンプ用作動液として、例えば凝縮生成物又は水で薄められた凝縮生成物が考えられる。底部圧力は、塔頂圧力、分離効果のある塔内部構造物の数と種類、並びに精留に関する流体力学的必要条件によって決まり、150〜250mbar、又は160〜200mbarである。通常精留ユニット内(精留塔内)の理論段は5〜10段で十分である。
塔頂に達した低沸点物質の流れの凝縮は、例えば間接的に、当業者にそれ自体周知の及び特段の制限を受けない間接熱交換器内で(冷却剤として例えば表面水が使用可能)、及び/又は直接的に、例えばスプレークーラーとして仕上げられたクエンチ内で、実施される。この凝縮は好ましくは直接冷却によって実施される。そのために、既に凝縮された低沸点留分が間接熱交換器を使用して(典型的には20℃〜50℃の温度に)冷却され及び冷却された凝縮液はその取出し部で蒸気中に噴霧される。
この噴霧は別の装置内で又は精留ユニット内(精留塔内)で行われてよい。精留ユニットへの噴霧時、取出し部は有利には収集トレイとして形成されている。低沸点物質の流れの直接凝縮は、上方へ及び好ましくは下降する温度で、多段階で行われてもよい。冷却された凝縮液と蒸気との混合を改善する内部構造物により、直接冷却の効果が向上され得る。これには、本明細書中に既に挙げられたすべての分離効果のある内部構造物が考えられる。
形成された低沸点凝縮液の一部(望ましくないアルデヒド含有する)は、精留分離からその廃棄処理へと送られる。他の一部は、精留ユニット内(精留塔内)で環流として使用される。環流液の温度は典型的には20℃〜50℃である。塔頂凝縮の際にガス状で残った成分は、液封ポンプを介して通常排ガス除去装置に送られる。
本発明により好ましい第1の境界例の、方法技術的に改善された実施形態では、精留ユニットの強化部分が側留塔として形成される。すなわち、アルデヒドが入れられた有機抽出物の流入部と塔頂との間から、精留塔に設置された収集トレイ内へ、このトレイに到達した(環流)液体の一部がアルデヒド出口として精留塔から取り出される。
ここからさらに塔頂に到達している低沸点物質の流れは、一実施形態では、低沸点物質の流れに含まれている、比較的わずかな、標準圧力(1.01bar)で沸点≧0℃を示す、環流液として必要な一部の成分だけが、前述の直接及び/又は間接冷却によって恐縮される。その際残った、アクリル酸を含む残留ガス流は、この場合、例えば圧縮されて液封ポンプにより運ばれ、吸収ゾーンI、凝縮ゾーンI、吸収ゾーンII、オプションの冷却ゾーン及びオプションの凝縮ゾーンIIから成る群の少なくとも1つのゾーンに戻される。返送がほぼ吸収ゾーンIIに又は吸収ゾーンIIにだけ行われると、応用技術的に目的に合っている。望ましくない凝縮を回避するため、ガス流は液封ポンプの前で間接熱交換により加熱することができる。
別の一実施形態では、さらに塔頂に到達している低沸点物質の流れの中に含まれている成分は、標準圧力で沸点≧0℃を示し、直接及び/又は間接冷却によって比較的量的に凝縮される。その際に生成される凝縮液の一部だけが、環流液として精留塔で使用される(凝縮されずに残った残留流は、液封ポンプを介して排ガス除去装置へ送られる)。アクリル酸を含有している、形成された凝縮液の別の一部は、本発明により有利には少なくとも1つのゾーン吸収ゾーンI、凝縮ゾーンI、吸収ゾーンII、オプションの冷却ゾーン及びオプションの凝縮ゾーンIIから成る群の少なくとも1つのゾーン送られてよい。給送がほぼ吸収ゾーンIに又は吸収ゾーンIにだけ行われると、応用技術的に目的に合っている。有利には、返送は吸収ゾーンIへ吸収剤I中に、又は別の吸収剤流中に行われる。示された返送方法により、アクリル酸損失は最小限に抑制できる。記述されたすべての事例では、塔壁に望ましくないアクリル酸凝縮が生じないよう、精留塔のストリップ部は外部から付加的に加熱されながら稼働され得る。
本発明により好ましい第2の境界例では、水性中間生成物のアルデヒド抽出のために入れられた有機抽出剤(例えばトルエン)は、標準圧力(1.01bar)で同じく標準圧力でのアクリル酸の沸点よりも高い沸点を示す。
その場合はアルデヒド抽出から連続的に取り出された精留塔の有機抽出物は、精留塔内でその中間部分又はその上に(しかし少なくとも2段(通常5段まで)の理論段が塔頂の下にある)連続的に給送される。流入は、有利には同様に、実質的に精留塔の流入部の温度まで高められた温度で行われる。塔頂では、好ましくは同様に使用圧力が標準圧力を下回るように調整される(これは通常(目的に合わせて同じく液封ポンプを使用して調整され)70〜250mbarの範囲にあってよい)。底部圧力は、塔頂圧力、分離効果のある塔内部構造物の数と種類、並びに精留に関する流体力学的必要条件からもたらされ、200〜350mbarである。通常精留ユニット内(精留塔内)の理論段は5〜10段で十分である。同様に精留塔の頭部では既述された別の境界例のように、到達した低沸点物質の流れが、その中に含まれる、標準圧力(1.01bar)で温度≧0℃の沸点を持つ成分が大幅に凝縮される。
凝縮されない成分は、液封ポンプを介して排ガス流として(別のアクロレイン出口を形成)排ガス除去装置(例えば焼却による)に送られる。形成された(アルデヒドが実質的に含まれていない)凝縮液の一部は、環流液として精留塔のために使用される。形成された凝縮液の他の一部は、実質的に有機抽出剤から成り、「新しい」抽出剤として直接水性中間生成物のアルデヒド抽出に戻される。その中に含まれるアクリル酸部分は支障にはならない。
塔底から連続的に取り出される塔底液は望ましくないアルデヒドを濃縮して含んでおり、即座に廃棄することができる(例えば焼却により)。基本的に、アクリル酸より沸点の高いアルデヒドだけでなくアクリル酸もまだ含んでいる塔底液は、別法として以下に記述する、吸収ゾーンIから取り出され及び部分酸化ゾーンからの生成ガス混合物の冷却のためには使用されない被吸収物Iからのアクリル酸回収へ少なくとも部分的に給送可能である。ここで記述されたすべての精留変形例では、重合抑制のために空気又は希薄空気が精留塔を下から上へ通って誘導され得ることも確認される。さらに、記述された第2の境界例の場合、アルデヒドと有機抽出剤の精留分離は、アルデヒドを溶解して含んでいる有機抽出物がその精留処理の前にDE−A10138101に示された手順に類似して、少なくとも1つのアルデヒド捕捉剤を添加することによって容易に実施可能なことが指摘される。アルデヒド捕捉剤は、アルデヒドとの化学反応により、より高温の沸点を持つ化合物に変化する。このようなアルデヒド捕捉剤として、とりわけ少なくとも1つの第一級アミノ基を持つ窒素化合物が考えられる(特に好ましいアルデヒド捕捉剤の例として炭酸水素アミノグアニジン挙げられる)。
明細書DE−A102007055086、DE−A10336386、WO2009/133042、WO2004/035514及びWO00/53560に開示された返送分割方法に従い、吸収ゾーンIから取り出された、高沸点溶剤の安息香酸、マレイン酸、フタル酸及び無水物の他に同様にアクリル酸も含んでいる被吸収物I(これは部分酸化ゾーン内に形成された生成ガス混合物を直接冷却するための冷却液としては使用されない)の質量流が、その排気装置に直接には給送されないと、本発明による手順により目的に合っている。その代わりに、吸収ゾーンIから取り出したこの被吸収物Iの部分を本発明により有利にはその中にモノマーとして又はマイケル付加体として含まれているアクリル酸を回収するために、回収ユニットに給送する。
回収ユニットとして、それぞれ分離効果のある内部構造物を備えている、又は分離効果のある内部構造物を備えていない、分離効果のある空間を使用することができる。単純な一実施形態では、それ自体周知の分離効果のある内部構造物を装填可能な回収塔が使用される。通常ここでは1〜2段の理論段十分である。比較的簡単な分離作業であるため、内部構造物及び環流液を省略できる。
被吸収物Iの供給は、回収塔の下部範囲で、好ましくは直接塔底内へポンプを使用して行われる。塔底温度は目的に合わせて140〜230℃の範囲の値、好ましくは160℃〜210℃の範囲の値に調整される。熱の供給は、内部及び/又は外部にある、従来型の構造の間接熱交換器によって(WO2009/133042参照)及び/又は二重壁ヒーターによって行うことができる外部にある自然循環式又は強制循環式の循環蒸発器が好ましい。外部にある強制循環式の循環蒸発器、例えば強制循環管フラッシュ蒸発器(強制循環管フラッシュ熱交換器)が特に好ましい。この目的のために、薄膜蒸発器も考えられる。
回収塔頂の圧力は、標準圧力(1.01bar)を下回る値にも、標準圧力を上回る値にも調整可能である(通常2bar以下及び200mbar以上)。回収ユニット内の滞留時間は、0.5〜3時間となるはずである。回収塔内で気相に移行する、アクリル酸を含んだ低沸点留分は、直接(すなわち、環流液を形成することなく)吸収ゾーンIに誘導してよい。塔頂の圧力が標準圧力を上回る値に調整されると、低沸点留分の給送は通常固有圧で行われる。部分酸化ゾーンから取り出された生成ガス混合物が、本発明による方法により、吸収ゾーンIへの流入の前に冷却ゾーンで冷却される場合、前述の低沸点留分は好ましくは生成ガス混合物と共に冷却ゾーンに誘導される。塔底に残った高沸点留分は排出され及び焼却に給送される。塔底の滞留時間は、好ましくは塔底残滓の粘度が取り出された塔底液をポンプで給送可能であるよう調整される(好ましくは塔底には断面を縮小した入口が備えられている(EP−A1095685参照))。特に好ましくは塔底液が固定サイクルで排出され、及びその廃棄は例えば焼却に給送される。給送を容易にするため、取り出された塔底液は有機酸等の親水性の液体(例えばエチルヘキサン酸、プロピオン酸)によって、又はエタノール又はメタノール等のアルカノールによって、又はジメチルホルムアミド等の液体によって希釈される。
WO2004/035514、DE−C2407236、WO2010/066601、WO2009/133042、WO2008/077767及びWO00/53560に記述されているように、アクリル酸回収は、ジアクリル酸(マイケル付加体)からモノマーアクリル酸への戻りを容易にする活性化合物(分解触媒)を添加して実施すると本発明により目的に合っている。これは直接回収塔底部に入れることができる。別法として、これをアクリル酸回収に入れられた被吸収物の一部に添加することも可能である。本発明により適切な再分解触媒は、例えばKOH、K2CO3、KHCO3、NaOH、Na2CO3、NaH−CO3、LiOH、Li2CO3及びCaCO3である。本発明により適切なその他の再分解触媒は、特に例えばリン酸、ホウ酸、ギ酸又は酢酸等の弱有機又は無機ブレンステッド酸のアルカリ塩及び/又はアルカリ土類塩である。すなわち、再分解触媒として特にアルカリ及び/又はアルカリ土類リン酸塩、アルカリ及び/又はアルカリ土類ホウ酸塩、アルカリ及び/又はアルカリ土類ギ酸塩及びアルカリ及び/又はアルカリ土類酢酸塩が適している。これはしかし、そのような再分解触媒として第四級アンモニウム塩、第三級アミン又はそのような第三級アミンの塩をブレンステッド酸と使用してもよい。その中で好ましいものがWO2008/077767で推奨されている。好ましくは選択した回収条件下で、回収塔の底部から排出された塔底液に可溶である再分解触媒を選択する。US−A4293347に従い、フタル酸ジアルキルの存在下でも、有利には当該再分解に作用する。
US−A5733075並びにDE−A4101879に記述されているように、アクリル酸−オリゴマーの再分解は、基本的に分解触媒の添加なしで、すなわち、実質的に純粋に熱的に実施される。この手順は本発明に従い好ましい。しかし、酸性の分解触媒を一緒に使用してもよい。このようなものとして、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、硫酸又はJP−A178949の固体酸性触媒が考えられる。回収ユニットを分子状酸素を含むガス、例えば空気又は希薄空気が貫流可能であると、応用技術的に目的に合っている。特に単純な実施形態の回収ユニットは(加熱可能であるという理由で)ダブルジャケットを備えた、飛沫よけが載せられている撹拌反応器であってもよく(例えば短い、ラシヒリングを充填した塔)、これを通ってアクリル酸を含む低沸点物質の流れがガス状で及び環流なしで分離され及び部分酸化の生成ガス混合物の吸収ゾーンI及び/又は冷却ゾーンに直接戻され得る。
基本的にアクリル酸回収塔内で生じた低沸点留分に、WO2004/035514の方法に不可欠であるように、向流で精留を行うことが可能である。しかし本発明による手順の利点は、まさにこのような向流の精留を行わないで済む点にある。
通常回収ユニットもオーステナイト鋼製であり、好ましくは原材料1.4571(DINEN10020に準拠)から作られている。
当然のことながら、本発明による方法では、すべての手順工程が、特にこのアクリル酸及び/又はその共役塩基を含有する液相がこれら工程に含まれる場合、アクリル酸及び/又はその共役塩基が望ましくない(早期の)ラジカル重合を阻止する重合抑制剤を添加した状態で実施される。このような重合抑制剤として、本出願に従来技術として引用されている明細書中にアクリル酸の重合抑制剤として推奨されているすべての阻害システムが考えられる。これには特にo−、m−及びp−クレゾール(メチルフェノール)、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、6−tert−ブチル−2,4−ジメチル−フェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−メチル−4−tertブチルフェノール、4−tert−ブチル−2,6−ジメチルフェノール及び2,2’−メチレン−ビス−(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)等のアルキルフェノール、ヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、ピロカテキン(1,2−ジヒドロキシフェノール)及びベンゾキノン等のヒドロキシフェノール、例えばパラ−アミノフェノール等のアミノフェノール、例えばパラ−ニトロソフェノール等のニトロソフェノール、例えば2−メトキシフェノール、2−エトキシフェノール、2−イソプロポキシフェノール、4−メトキシフェノール(MEHQ=ヒドロキノンモノメチルエーテル)、モノ又はジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール等のアルコキシフェノール、例えばo−トコフェロール等のトコフェロール、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチレン−ピペリジン−N−オキシル(4−OH−TEMPO)及び4−アセトキシー2,2,6,6−テトラメチレン−ピペリジン−N−オキシル等のN−オキシル、例えばN,N−ジフェニルアミン及びN−ニトロソ−ジ−フェニルアミン等の芳香族アミン又はフェニレンジアミン、例えばN,N−ジエチルヒドロキシルアミン等のヒドロキシルアミン、例えばトリフェニルホスフィン、トリフェニルホスファイト、次亜リン酸及び亜リン酸トリエチル等のケイ素を含んだ化合物、例えばジフェニルスルフィド、メチレンブルー及びフェノチアジン(PTZ)等の含硫化合物であり、場合によってそれぞれ1つ以上の金属塩(例えば、銅、マンガン、セリウム、ニッケル及びクロムの塩化物、ジチオカルバマート、硫酸塩、サリチル酸塩及び酢酸塩)と組み合わせである。当然のことながら上記重合抑制剤の混合物を使用してもよい。DE−A102010042216で推奨されている方法をアクリル酸の重合を抑制するために使用してもよい。本発明により有利には通常分子状酸素が共同抑制剤として一緒に使用される(特にMEHQの使用時。なぜなら同じものが連続的に稼働する方法で、より長い稼働期間使用される場合連続的に補充する必要があるからである)。有利には本発明の方法の重要な工程が比較的温度が低い状態で実施することができる(例えば吸収ゾーンI及びII、凝縮ゾーンI、アルデヒド抽出、冷却ゾーン、水性ラフィネートからの抽出剤の精留分離)。これは、これらの手順工程でMEHQをプロセス抑制剤として使用すれば十分な場合に有利である(本発明に従い選択的に一緒に稼働される凝縮ゾーンII内で有効な抑制を普通は完全に省略することができる。なぜなら稼働温度もアクリル酸含有量も通常十分低いからである)。その上、重合抑制剤の適用量は(DE−A10336386並びにDE−A10220494の推奨に合わせることができる)、比較的わずかで済む。このことは、本発明により製造された「レディミックス」(例えば水性ラフィネートIII)中に含まれる重合抑制剤がわずかな量であり、それに続く「レディミックス」の使用時に有効に開始されたラジカル重合の抑制がもはや感じ取れないほどである場合有利である。「レディミックス」中にまだ溶解して含まれている分子状酸素は、そのような有効なラジカル重合抑制の前に分子状窒素を使用して排除することができる。高温を適用しなければならない手順工程では、本発明により有利にはPTZを一緒に又は単独で使用して安定化する(例えばアクリル酸回収ユニット内又は(標準圧力で)ベンズアルデヒドより沸点の低い抽出剤を有機抽出物から分離する場合)。その場合通常PTZの沸点が高いために、使用したフェノチアジンが目標生成物水溶液内に引き止められる危険がない。例えば凝縮ゾーンI内でPTZによって共同抑制されると、これは基本的に同じく水性目標生成物までは残らない。なぜならアルデヒド抽出の際に実質的に量的に有機抽出剤中に取り出されるからである。共同抑制には、水溶液の場合だけでなく有機溶液の場合にも、有利には4−OH−TEMPOも適している。これはMEHQよりも揮発性が高いため、水性ラフィネートII、III又はI及びII中に残っている、後続の使用で同様に妨げとなる有機抽出剤を水蒸気ストリッピングする際に一緒にストリッピングされ、及び抽出剤返送時に再度使用できる。
部分酸化ゾーンにおける反応ガス出発混合物のための少なくとも1つのC3前駆体化合物として、本発明による方法では特にプロパン、プロペン、アクロレイン、プロピオン酸、プロパノール、プロピオンアルデヒド及び/又はグリセロールが考えられる。本発明により特に好ましいC3前駆体化合物はプロペンである。
反応ガス出発混合物での少なくとも1つのC3前駆体化合物の比率は、本発明による方法では例えば4〜20容積%、又は5〜15容積%、又は6〜12容積%の範囲にあってよい。
通常部分酸化ゾーンのための反応ガス出発混合物は、原則として酸化物触媒を再酸化するために、アクリル酸に対する、少なくとも1つのC3前駆体化合物の部分酸化反応の化学量論比に基づいて、分子状酸素を過剰に含有する。全体として部分酸化ゾーンのための反応ガス出発混合物の組成は、好ましくは一般に反応条件下で引火性の混合物がないように調整される(例えばDE−A10232482を参照)。
ちなみにアクリル酸を製造するための部分酸化ゾーン内における不均一触媒による部分気相酸化法は、従来技術に記述されているように実施することができる(例えばDE−A10220494、第14段参照)。通常部分酸化ゾーンのための反応ガス出発混合物は、その容積に対して少なくとも1容積%の水を含んでいる。しばしば反応ガス出発混合物の水分含有量は、同様に計算して2〜30容積%である。
C3前駆体化合物が例えばアクロレインである場合、アクリル酸を製造するための不均一触媒による部分気相酸化は、例えば明細書EP−A609750、EP−A700893、WO00/53559、DE−A4442346、WO2004/108267、DE−A10325488、DE−A102004021763、DE−A102004021763及びWO2008/104577に記述されているように実施することができる。
C3前駆体化合物が例えばグリセロールである場合、アクリル酸を製造するための不均一触媒による部分気相酸化は例えば明細書WO2007/090991、WO2006/114506、WO2006/073160、WO2006/114506、WO2006/092272並びにWO2005/073160に記述されているように実施することができる。
C3前駆体化合物が例えばプロパンである場合、アクリル酸を製造するための不均一触媒による部分気相酸化は例えば明細書EP−A608838、DE−A19835247、DE−A10245585、DE−A10246119、DE−A102007029053及びDE60124481T2並びに本明細書に引用された従来技術に記述されているように実施することができる。
本発明により好ましいC3前駆体化合物はプロペンである。プロペンをC3前駆体化合物として、部分気相酸化の上流に配置された脱水素化及び/又は酸化脱水素化によってプロパンから生成すること、及びその際形成されたプロペンを後続で脱水素化によって変換されなかったプロパンを同伴しながらアクリル酸を製造するための不均一触媒部分酸化へ給送することも、既に提示されている。プロパンはこの場合不均一触媒によるプロペン−部分酸化において不活性希釈ガスを形成し、これは部分酸化ゾーン内で結果として生じる生成ガス混合物の成分でもある。
本発明による手順が、アクリル酸の他に特にプロパンも含む生成ガス混合物を使用している場合、ここでは残留ガス混合物IIないしIIIが生じるが、これはまだこのプロパンを含んでいる。
本発明により、このようなプロパンを含んだ残留ガス混合物IIないしIIIが少なくとも部分的に部分酸化ゾーンのための反応ガス出発混合物中ではなくこの上流に配置された不均一触媒部分脱水素化のための及び/又はプロパンのプロペンへの酸化脱水素化のための反応ガス出発混合物中に戻されると有利であるだろう。その際、残留ガス混合物IIないしIIIは本発明による吸収ゾーンII内で、CO2を実質的にない状態に洗浄することができると特に有利であることが明らかになった(特に、高められた量比MV*を使用した水性中間生成物IIIの本発明による製造の場合)。
本発明による方法はそれゆえ、C3前駆体化合物が「プロペン」である場合に、プロパンからプロペンへの不均一触媒による部分脱水素化が部分酸化ゾーンの上流に設置されており、この中で部分酸化ゾーン内で必要なプロペンが生成され、及びこのように生成されたプロペンがここから、これに伴う残留プロパンの分離なしに部分酸化ゾーンへと誘導されると特に有利である。
したがって好ましい手順は特に、DE−A10245585、DE−A10246119、WO01/96270、WO01/96271、WO2006/2703、DE−A102004032129、DE−A102005013039、DE−A102005056377、DE−A102005057197、DE−A102006024901及びDE−A102005022798の方法において、この方法に統合された、アクリル酸をプロペン部分酸化の生成ガス混合物から分離する方法が、本発明による分離方法(特に残留ガス混合物IIないしIIIが本発明による吸収ゾーンII内でCO2が実質的にない状態に洗浄される方法)と置き換えられる場合にもたらされる。
本発明による方法が、プロペンからアクリル酸への不均一触媒による部分酸化である場合、プロペン供給源として特にDE−A102004021764で使用されているポリマー用プロペン又は化学用プロペンが使用できる。
明細書EP−A257565及びEP−A253409に従い、プロペンからアクリル酸への不均一触媒による部分気相酸化における酢酸の副生成物形成は、反応ガス出発混合物が不活性希釈ガスとして水蒸気を含有する場合、特に顕著である(逆に、水蒸気が含まれていない反応ガス出発混合物では酢酸副生成物の形成をわずかにすることができる)。
本発明による手順は、部分酸化ゾーンのための反応ガス出発混合物が、4〜20容積%のプロペン、又は5〜15容積%のプロペン、又は6〜12容積%のプロペンの他に、少なくとも(≧)1容積%のH2O、又は≧2容積%のH2O、又は≧3容積%のH2O、又は≧4容積%のH2O、又は≧5容積%のH2O、又は≧7容積%のH2O、又は≧9容積%、又は≧15容積%のH2O、又は≧20容積%の水蒸気を含有する場合、特に有利である。一般に、プロペン部分酸化のための反応ガス出発混合物の水蒸気量は(≦)40容積%以下、しばしば(≦)30容積%以下である。
明細書WO2007/074045及びWO2007/074044からさらに、アクリル酸のためのプロペン部分酸化用に使用されるプロペン供給源が、さらにわずかの量のシクロプロパンを含有している場合に、プロペンからアクリル酸への不均一触媒による部分酸化によってプロピオン酸副生成物形成が顕著であることが公知である。(逆に、シクロプロパンが含有されていないと酸副生成物を低減することが可能になる)。
したがって本発明による手順は、部分酸化ゾーンのための反応ガス出発混合物が、その中に含まれているプロペンのモル量に対して、≧0〜3モル%のシクロプロパンを含有している場合、特に有利である。
すなわち、本発明による方法は、例えば反応ガス出発混合物が、その中に含まれているプロペンのモル量に対して、10モルppb〜3モル%、又は50モルppb〜2モル%、又は100モルppb〜1モル%、又は1モルppm〜8000モルppm、又は10モルppm〜5000モルppm、又は100モルppm〜3000モルppm、又は200モルppm〜2500モルppm、又は300モルppm〜2000モルppm、又は400モルppm〜1500モルppm、又は700モルppm〜1300モルppmのシクロプロパンを含有する場合、特に適している。
プロペンの不均一触媒気相部分酸化の際のプロピオン酸副生成物形成へ与えるその他の作用については、JP−A11−35519及びWO01/96270に教示されている。
プロペンからアクリル酸への不均一触媒による気相部分酸化における副生成物形成の低減は、DE−A102004021764に開示されている後反応器稼働方法でも可能である。
ちなみに、本発明による方法では、部分酸化ゾーン内で実施されたプロペンからアクリル酸への不均一触媒による部分気相酸化は、従来技術(例えば明細書DE−A10353014、WO2004/007450、DE−A10360396、DE−A10336386、DE−A10313208、DE−A10313209、DE−A10351269、DE−A102004021764、EP−A990636、EP−A1106598、DE−A102004025445、DE−A102005009891、WO2007/082827、WO2004/085369、WO00/53557、WO00/53558、DE−A19927624、DE−A19948248、DE−A1995516、DE−A19955176、WO2007/074045及びWO2007/074044)に記述されているように実施することができる。
すなわち、通常本発明による方法の部分酸化ゾーンは、プロペンからアクリル酸への不均一触媒による部分気相酸化においては、2つの反応段階1及び2を含んでいる(「第1」反応段階及び「第2」反応段階)。第1の反応段階では、実質的にプロペンからアクロレインに部分酸化され、第2の反応段階では実質的に第1反応段階で形成されたアクロレイン(通常事前に第1反応段階の生成ガス混合物から分離せずに)からアクリル酸へ部分酸化される。両方の反応段階は、1つの反応器内で(例えばいわゆる2ゾーン反応塔(又は「シングルリアクター」)内で、例えばUS−A4256783で実施されているように)又は2つの空間的に相前後して接続されている(配置されている)反応器(例えば明細書DE−A4431957及びDE−A4431949に記述されている反応塔)で実施することができ、この反応器には不均一触媒気相部分酸化に必要な触媒が装填されている。第1反応段階は、通常第1の触媒床(例えば触媒固定床)を備え、その触媒は固形活物質として少なくとも1つのMo、Fe及びBiを含む多金属酸化物を備えている。第2反応段階は通常第2の触媒床(例えば触媒固定床)を備え、その触媒は固形活物質としてMo及びVを含む多金属酸化物を備えている。
部分酸化の実施は通常、プロペン、分子状酸素(好ましくはモル比O2:C3H6≧1)及び少なくとも1つの、CO2及び水蒸気とは異なる不活性希釈ガスを含む反応ガス出発混合物1(これは部分酸化ゾーンに誘導される反応ガス出発混合物)がまず高められた温度(これは通常250〜490℃の範囲に、好ましくは270〜450℃の範囲ないし280〜420℃の範囲及び特に好ましくは300〜380℃の範囲にある)で、第1触媒床を通って第1反応段階に送られ、その結果反応ガス出発混合物1が第1触媒床を一回だけ通過する際のプロペン反応率が≧80ないし≧90モル%に調整される。これに続いて、第1反応段階を出た生成ガス混合物1の温度は選択的に低下され得(これは直接冷却によって、間接冷却によって、又は直接及び間接冷却によって実施され得る)及び生成ガス混合物1に選択的に二次ガスが分子状酸素の形で又は不活性ガスの形で(これはCO2及び/又は水蒸気を含んでよく及び/又はそれとは異なってよい)、又は不活性ガス及び分子状酸素の形で添加され得る。続いて、生成ガス混合物1はアクロレイン、分子状酸素(好ましくはモル比O2:C3H4O≧0.5で)、水蒸気及び少なくとも1つの、CO2及び水蒸気とは異なる不活性希釈ガスとして含まれる反応ガス出発混合物2が、高められた温度で(この温度は通常180〜390℃の範囲、好ましくは200〜370℃の範囲ないし200〜320℃の範囲及び特に好ましくは220〜300℃の範囲にある)第2触媒床を通って第2反応段階に送られ、その結果反応ガス出発混合物2が第2触媒床を一回だけ通過する際のプロペン反応率が≧80ないし≧90モル%に調整される。通常前述のプロペン反応率は≦99.9モル%又は≦99.8モル%、前述のアクロレイン反応率は≦99.99モル%又は≦99.98モル%になる。
第2反応段階を出た、形成されたアクリル酸(目標生成物)を含む生成ガス混合物2は、本発明による方法では部分酸化ゾーンに形成された生成ガス混合物を形成する。
通常反応ガス出発混合物1中に含まれる分子状酸素の、この混合物に含まれているプロペンに対するモル比は≧1及び≦3である。たいていの場合、この比率は≧1.3及び≦2.5、しばしば≧1.5〜≦2.3の範囲にある。
反応ガス出発混合物2中の分子状酸素の量は通常、反応ガス出発混合物2中に含まれる分子状酸素の、この混合物中に含まれるアクロレインに対するモル比が≧0.5〜≦2、しばしば≧0.75〜≦1.5になるように計算される。
生成ガス混合物2が最大で5、ないし最大で3容積%の分子状酸素を含有すると好都合である。
場合によって(選択的に)サイクルガス運転時に部分酸化ゾーンに戻される、残留ガス混合物IIないし残留ガス混合物III中にまだ含まれている分子状酸素を除いて(部分酸化の範囲で反応しなかったプロペンは、残留ガス混合物IIないしIIIの成分として戻されることになる)、反応ガス出発混合物1中ないし反応ガス出発混合物2中に含まれる分子状酸素の供給源として通常空気が使用される。これにはしかし、分子状窒素を減らした空気又は純粋分子状酸素を酸素供給源として使用することもできる。
通常反応ガス出発混合物1は、本発明による方法では3〜25容積%、しばしば5〜20容積%、及びたいてい6〜13容積%のプロペンを含有する。
反応ガス出発混合物1の水蒸気量は、≧0〜40容積%しばしば1〜25容積%、又は3〜15容積%、又は5〜10容積%であってよい。
その上、反応ガス出発混合物1は通常、CO2及び水蒸気とは異なる不活性希釈ガスをN2、CO、メタン、エタン、プロパン及び希ガスからなる群から少なくとも1つ、反応ガス出発混合物1の体積に対する分量比率は、30〜90容積%、しばしば40〜90容積%、好ましくは50〜85容積%又は60〜85容積%、及び特に好ましくは70〜85容積%又は75〜85容積%含んでいる。
当然のことながら反応ガス出発混合物1は不活性希釈ガスとして既にCO2を含んでいてよい。しかし反応ガス出発混合物1の総容積に対するその比率は、本発明により有利には20容積%以下、又は15容積%以下、又は10容積%以下、好ましくは以下7容積%以下及び特に好ましくは5容積%以下又は4容積%以下である。当然のことながら反応ガス出発混合物1中のCO2比率は前述の値を上回ってもよい。
反応ガス出発混合物1が含むCO2の体積分率が高くなると、反応ガス出発混合物1に含まれる少なくとも1つの、CO2及びH2Oとは異なる不活性の希釈ガスの体積分率は比較的小さくてよい。極端な場合では、これは1容積%未満、又はそれどころか0.1容積%未満であってよい。しかし、本発明により、これが消滅してはならない。すなわち、CO2はH2Oとは異なる不活性ガスがはるかに優勢であっても反応ガス出発混合物1に存在してよい。しかし、このような方法は本発明によりあまり好ましくない。
例えば明細書WO2007/074045及びWO2007/074044中に記載された、反応ガス出発混合物1のためのすべての成分も、本発明の方法に考えられる。
その固形活物質が少なくとも1つのMo、Fe及びBiを含む多金属酸化物である、第1反応段階のために適した触媒は、引用された従来技術(例えばWO02/24620及びDE−A19855913)から分かる。
Mo、Fe及びBiを含んでいる多金属酸化物固形活物質の多くは、一般式(I)
Mo12BiaFebX1 cX2 dX3 eX4 fOn(I)、
[式中、
X1=ニッケル及び/又はコバルト、
X2=タリウム、1つのアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、
X3=亜鉛、リン、砒素、ホウ素、アンチモン、スズ、セリウム、鉛及び/又はウォルフラム、
X4=ケイ素、アルミニウム、チタン及び/又はジルコニウム、
a=0.5〜5、
b=0.01〜5、好ましくは2〜4、
c=0〜10、好ましくは3〜10、
d=0〜2、好ましくは0.02〜2、
e=0〜8、好ましくは0〜5、
f=0〜10、及び
n=式I中の酸素とは異なる元素の電子価及び頻度によって決められる数を表す]
に包含される。
前述の内容は、それ自体周知の方法でこれが得られると(例えばDE−A4023239を参照)及び例えば球、リング又は円筒の塊に成形、又はシェル触媒の形状で、固形活物質によってコーティングを施されて事前成形された、不活性の担体が、本発明に従い使用される場合に特に適用される。当然のことながらこのことは、粉末で触媒として第1反応段階に使用される場合にも適用される(例えば流動層式反応器中に)。
基本的に、一般式Iの固形活物質は、その元素構成の好適な供給源から可能な限り稠密な、好ましくは微細化した、その化学量論に応じて構成されている、乾燥混合物から作られ、及びこれが350〜650℃の温度範囲でか焼されることにより、簡単な方法で通常によって製造される。か焼は不活性ガス中でも、例えば空気等の酸化雰囲気中でも(不活性ガスと酸素の混合物)並びに還元性雰囲気(例えば不活性ガス、NH3、CO及び/又はH2の混合物)中でも実施され得る。か焼時間は、数分から数時間であり、温度と共に通常減少する。多金属酸化物固形活物質Iの元素構成の供給源として、既に酸化物である化合物が考えられ及び/又は加熱によって、少なくとも酸素の存在下で酸化物に移行可能な化合物が考えられる。
酸化物のほかに、このような出発化合物として特にハロゲン化物、硝酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、アミン錯体、アンモニウム塩及び/又は水酸化物が考えられる(NH4OH、(NH4)2CO3、NH4NO3、NH4CHO2、CH3COOH、NH4CH3CO2及び/又はシュウ酸アンモニウム等の化合物は、遅くとも後のか焼においてガス状になって消える化合物に崩壊及び/又は分解され得、稠密な乾燥混合物へ追加的に組み込まれ得る)。
多金属酸化物固形活物質Iを製造するために出発化合物を稠密に混合することは、乾燥した又は湿った形で行われ得る。乾燥した形で行われると、出発化合物は目的に合わせて、微細化した粉末として適用され及び混合後及び必要に応じて圧縮後にか焼が行われる。しかし稠密な混合は好ましくは湿った状態で行う。通常ここで出発化合物は水溶液及び/又は懸濁液の形で一緒に混合される。記述された混合方法においては、溶解した形で存在する元素構成供給源だけを使用して、特に稠密な乾燥混合物を得る。溶剤には好ましくは水が使用される。続いて、得られた水性の固形物を乾燥させ、その際乾燥プロセスは好ましくは高温のガス流(例えば空気又は窒素)中での水性混合物の噴霧乾燥であり、ガス出口温度は100〜160℃で行われる。ここで典型的にはガス入り口温度は250〜450℃、好ましくは270〜370℃の範囲である。
一般式Iの多金属酸化物固形活物質は、本発明による方法の第1反応段階内で粉体でも特定の触媒形状に成形されて適用されてもよく、その際か焼が完了する前又は後に型付けを行ってよい。例えば固形活物質の粉体から又はか焼していない及び/又は部分的にか焼した前段階物質から、圧縮によって所望の触媒形状に(例えば打錠、押出、又は押出プレスによって)非担持触媒に作られ、その際場合に応じて補助手段、例えばグラファイト又はステアリン酸が潤滑剤及び/又は成形剤として、及び補強剤としてガラスマイクロファイバー、アスベスト、炭化ケイ素又はチタン酸カリウムなどが添加され得る。しかし、DE−A102005037678で推奨されているように、グラファイトの代わりに六方晶窒化ホウ素も補助剤として、型付け時に使用してよい。適切な非担持触媒形状は例えば外径及び長さが2〜10mmの中実円筒又は中空円筒である。中空円筒の場合、壁厚は1〜3mmである場合目的に合っている。当然のことながら、非担持触媒は球状であってもよく、その際球径は2〜10mmであってよい。
本発明に特に該当する中実円筒形状は、特に非担持触媒の場合、5mm×3mm×2mm(外径×長さ×内径)である。
当然のことながら本発明に該当する造形は、粉末状の固形活物質、又はそのまだか焼されていない及び/又は部分的にか焼されている粉末状の前段階物質を事前成形された不活性触媒担体上に配設することでも行い得る。シェル触媒を製造するための担体コーティングは通常、例えばDE−A2909671、EP−A293859、又はEP−A714700で公知のように、適切な回転可能な容器内で実施される。担体コーティングのために配設する粉末混合物を湿らせ及び配設後に例えば熱風を使用して再度乾燥させると目的に合っている。担体に配設された粉末混合物の層厚は、しばしば10〜1000μmの範囲に、好ましくは50〜500μmの範囲に、及び特に好ましくは150〜250μmの範囲にあるよう選択される。
基材として、一般的な多孔性又は非多孔性の酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化トリウム、二酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、又はケイ酸マグネシウム又はケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩が使用し得る。本発明による方法の影響下にある目標反応に関して、これら基材の挙動は通常実質的に不活性である。担体は規則的又は非規則的に成形されていてよく、その際規則的に成形された担体は表面粗さが例えば球又は中空円筒にはっきり形成されていると好ましい。本発明により、実質的に非多孔性の、表面の粗い、球形の、ステアタイト製基材の使用もまた適しており、その直径は1〜10mmないし〜8mm、好ましくは4〜5mmである。しかしまた、本発明により、円筒を担体として使用することも適しており、その長さは2〜10mm及びその外径は4〜10mmである。担体がリングである場合は、さらに壁厚は通常1〜4mmである。本発明により使用されるリング状担体の長さは2〜6mm、外径が4〜8mm及び壁厚が1〜2mmである。本発明により7mm×3mm×4mm(外径×長さ×内径)の寸法のリングも、担体として適している。担体の表面に配設する触媒活性酸化物混合物の細かさは、言うまでもなく所望のシェル厚みに適合される(EP−A714700を参照)。
その固形活物質が少なくとも1つのMo及びVを含んだ多金属酸化物である、第2反応段階のために適した触媒は、引用された従来技術から知ることができる。
Mo及びVを含んでいる多金属酸化物固形活物質の多くは、一般式(II)
MO12VaX1 bX2 cX3 dX4 eX5 fX6 gOn(II)、
[式中、
X1=W、Nb、Ta、Cr及び/又はCe、
X2=Cu、Ni、Co、Fe、Mn及び/又はZn、
X3=Sb及び/又はBi、
X4=1つ以上のアルカリ金属、
X5=1つ以上のアルカリ土類金属、
X6=Si、AI、Ti及び/又はZr、
a=1〜6、
b=0.2〜4、
c=0.5〜18、
d=0〜40、
e=0〜2、
f=0〜4、
g=0〜40、及び
n=式I中の酸素とは異なる元素の電子価及び頻度によって決められる数を表す]
に包含される。
本発明により活性多金属酸化物IIの中で特に適した実施形態では、一般式IIの変数について以下の意味を持っている:
X1=W、Nb、及び/又はCr、
X2=Cu、Ni、Co、及び/又はFe、
X3=Sb、
X4=Na及び/又はK
X5=Ca、Sr及び/又はBa、
X6=Si、AI、及び/又はTi、
a=1.5〜5、
b=0.5〜2、
c=0.5〜3、
d=0〜2、
e=0〜0.2、
f=0〜1、及び
n=式I中の酸素とは異なる元素の電子価及び頻度によって決められる数を表す。
本発明により適切な多金属酸化物固形活物質IIは、それ自体周知の、例えばDE−A4335973又はEP−A714700に開示された方法で得られる。
一般に、一般式IIの多金属酸化物固形活物質は、その元素構成の好適な供給源から可能な限り稠密な、好ましくは微細化した、その化学量論に応じて構成されている、乾燥混合物から作られ、及びこれが350〜600℃の温度でか焼されることにより、簡単な方法で製造される。か焼は不活性ガス中でも、例えば空気等の酸化雰囲気中でも(又は不活性ガスと酸素の混合物)並びに還元性雰囲気(例えば不活性ガス、H2、NH3、CO、メタン等の還元性ガス及び/又はアクロレインの混合物又は挙げられた還元性ガスそのもの)中でも実施され得る。か焼時間は、数分から数時間であり、温度と共に通常減少する。多金属酸化物固形活物質IIの元素構成の供給源として、既に酸化物である化合物が考えられ及び/又は加熱によって少なくとも酸素の存在下で酸化物に移行可能な化合物が考えられる。
多金属酸化物固形活物IIを製造するために出発化合物を稠密に混合することは、乾燥した又は湿った形で行われ得る。乾燥した形で行われると、出発化合物は目的に合わせて、微細化した粉末として適用され及び混合後及び必要に応じて圧縮後にか焼が行われる。しかし稠密な混合は好ましくは湿った状態で行う。
通常ここで出発化合物は水溶液及び/又は懸濁液の形で一緒に混合される。記述された混合方法においては、溶解した形で存在する元素構成供給源だけが使用されると、特に稠密な乾燥混合物が得られる。溶剤は好ましくは水が使用される。続いて、得られた水性の固形物を乾燥させ、その際乾燥プロセスは好ましくは高温のガス流(多金属酸化物固形活物質Iの製造時のように)中での水性混合物の噴霧乾燥であり、ガス出口温度は100〜160℃で行われる。
結果として得られた、一般IIの多金属酸化物固形活物質は、本発明による方法の第2反応段階内で粉体でも(例えば流動層式反応器中で)特定の触媒形状に成形され適用されてもよく、その際か焼が完了する前又は後に型付けを行ってよい。例えば固形活物質の粉体から又はか焼していない前段階物質から、圧縮によって所望の触媒形状に(例えば打錠、押出、又は押出プレスによって)非担持触媒に作られ、その際場合に応じて補助手段、例えばグラファイト又はステアリン酸を潤滑剤及び/又は成形剤として、及び補強剤としてガラスマイクロファイバー、アスベスト、炭化ケイ素又はチタン酸カリウムなどが添加され得る。適切な非担持触媒形状は例えば外径及び長さが2〜10mmの中実円筒又は中空円筒である。中空円筒の場合、壁厚は1〜3mmである場合目的に合っている。当然のことながら、非担持触媒は球状であってもよく、その際球径は2〜10mm(例えば8.2mm、5.1mm)であってよい。
当然のことながら本発明に該当する造形は、粉末状の固形活物質、又はそのまだか焼されていない粉末状の前段階物質を事前成形された不活性触媒担体上に配設することでも行い得る。シェル触媒を製造するための担体コーティングは通常、例えばDE−A2909671、EP−A293859、又はEP−A714700で公知のように、適切な回転可能な容器内で実施される。
担体コーティングのために配設する粉末混合物が湿らされ、配設後に例えば熱風を使用して再度乾燥させると目的に合っている。担体に配設された粉末混合物の層厚は、本発明による好適な方法で、しばしば10〜1000μmの範囲に、好ましくは50〜500μmの範囲に、及び特に好ましくは150〜250μmの範囲にあるよう選択される。
基材として、一般的な多孔性又は非多孔性の酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化トリウム、二酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、又はケイ酸マグネシウム又はケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩を使用することができる。担体は規則的又は非規則的に成形されていてよく、その際規則的に成形された担体は表面粗さが例えば球又は中空円筒に明確に形成されていると好ましい。本発明により、実質的に非多孔性の、表面の粗い、球形の、ステアタイト製基材の使用が適しており、その直径は1〜10mmないし〜8mm、好ましくは4〜5mmである。すなわち、適切な球形状は直径8.2mm又は5.1mmである。しかしまた、円筒を担体として使用することも適しており、その長さは2〜10mm及びその外径は4〜10mmである。担体がリングである場合は、さらに壁厚は通常1〜4mmである。好ましくは、使用されるリング状担体の長さは2〜6mm、外径が4〜8mm及び壁厚が1〜2mmである。特に7mm×3mm×4mm(外径×長さ×内径)の寸法のリングも、担体として適している。担体の表面に配設する触媒活性酸化物混合物の細かさは、言うまでもなく所望のシェル厚みに適合される(EP−A714700を参照)。
既に言及したように、第1の及び第2の触媒床は、好ましくは触媒固定床である(しかし基本的に両方又は片方が例えば流動床ないし移動床であってよい)。これは第1又は第2反応段階に適した触媒からのみ構成されていなければならないが、しかし不活性の成形体を備えたこれらの混合を含んでいてよい。容積に関する活性に関しては、第1の触媒床も第2の触媒床も、反応混合気の流れ方向に増大すると有利である。
好ましくは第1の触媒床も第2の触媒床も固定床として反応塔の管内にある。外部から、この反応管は少なくとも1つの液体熱媒体(好ましくは溶融塩)がその温度調節のために循環される(例えばDE−A4431957、DE−A4431949、DE−A19910508、DE−A19948523、DE−A19910506、DE−A19948241DE−C2830765、DE−C2513405、US−A3147084、DE−A2201528、EP−A383224、DE−A2903218を参照)。
別法として、第1及び/又は第2の触媒床は、例えばDE−A10361456、DE−A10361515、DE−A102004017150及びDE−A102004017151に推奨されているように、隙間にいわゆるサーモプレート反応器があってよい。
使用圧力は、部分酸化ゾーンでは(すなわち、第1反応段階中でも第2反応段階中でも)まったく全般的に、標準圧力の下にあっても(例えば最大で0.5barで、反応混合気が吸引される)、標準圧力の上にあってもよい。しばしば使用圧力は部分酸化ゾーン内で(第1反応段階中でも第2反応段階中でも)、値が1〜5bar、しばしば1.5〜3.5barにある。
第2反応段階で必要な分子状酸素は、既に第1反応段階用の反応ガス出発混合物中に含まれていてよい。
2つの反応段階の間で生成ガス混合物1に分子状酸素(例えば空気又は分子状窒素を減らした空気(例えば≧90容積%のO2、≦10容積%のN2)給送してもよい。
不活性の成形体だけで構成されている第1触媒床ないし第2触媒床の前にある及び/又は後ろにある不規則充填物には、反応器装填を補足することが可能である。不活性成形体用の材料として、例えば多孔性の又は非多孔性の酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化トリウム、二酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、ケイ酸マグネシウム又はケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩、又はステアタイトが考えられる。
第1触媒床のプロペン負荷は(この状況では、不活性の成形体から構成されたセクションだけが第1触媒床に分類される)例えば≧80Nl/l・h〜≦250Nl/l・h又は〜≦300Nl/l・hであってよい。同様に定義されたアクロレイン負荷は≧60Nl/l・h〜≦250Nl/l・h又は〜≦300Nl/l・hの範囲で、同様に第2触媒床に適用することができる(WO2007/074045及びWO2007/074044を参照)。
典型的には、不均一触媒による気相部分酸化の生成ガス混合物は、アクリル酸の少なくとも1つのC3前駆体を(特にC3前駆体がプロペンであり、かつプロペン供給源としてポリマー用プロペン及び/又は化学用プロペンが使用された場合に)本発明による方法の部分酸化ゾーンで以下の含有量で備えている。
それぞれ生成ガス混合物質量に対して、0.4〜40質量%、好ましくは1〜25質量%及び特に好ましくは3〜15質量%の水、
それぞれ生成ガス混合物の質量に対して、0.05〜15質量%、好ましくは0.1〜10質量%ないし0.3〜5質量%のCO2、
それぞれ生成ガス混合物の質量に対して1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%アクリル酸、
並びに、生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸の総質量に対して、
プロピオン酸を≧50質量ppm〜≦0.25質量%、
ギ酸を≧200質量ppm〜≦2.5質量%
酢酸を≧3000質量ppm〜≦12質量%、
安息香酸を≧15質量ppm〜≦1質量%、
無水マレイン酸、マレイン酸及びその共役塩基の総量を無水マレイン酸として計算して≧15質量ppm〜≦5質量%、
無水フタル酸及びフタル酸の総量を無水フタル酸として計算して≧15質量ppm〜≦1質量%、
アクロレインを≧55質量ppm〜≦5質量%、
ベンズアルデヒドを≧55質量ppm〜≦1質量%、
2−フルアルデヒドを≧55質量ppm〜≦0.5質量%及び、
最大100質量%の生成ガス混合物で残った残留量に対して、少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも85質量%、特に好ましくは少なくとも90質量%及び格別に好ましくは少なくとも95質量%の、N2、CO、メタン、エタン、プロパン及び希ガスから成る群の少なくとも1つの成分、
条件として、生成ガス混合物中に含まれるN2、CO、CO2、メタン、エタン、プロパン及び希ガスの総量が、生成ガス混合物の総容積に対して、少なくとも30容積%である。
ここで、「プロパン」が本明細書では「n−プロパン」を意味することを確認しておく。本発明による方法の部分酸化ゾーン内で形成された生成ガス混合物がグリオキサール及び/又はホルムアルデヒドも含有している場合、本発明による手順では、両方の水性媒体中で妨害的影響のより少ない化合物(例えばメチレングリコール、グリコール酸(ヒドロキシ−酢酸)並びにポリグリオキサール及びグリオキサールの水化物(例えばWO2010/12586を参照))に変化する場合に有利であることが明らかである。このことは特にpH値≧7である水性媒体に有効である。また、残ったホルムアルデヒドはゲル乾燥及び後架橋が進行するにつれて、高吸水性ポリマー水溶液の製造時に使用するために高めた温度により、ポリマー形成物から通常ガス状で揮発すると考えられる。
まったく一般的に、本発明による方法では、アクリル酸の少なくとも1つのC3前駆体化合物の不均一触媒による部分気相酸化が、比較的低い反応温度及び/又は少なくとも1つのC3前駆体化合物で比較的小さい反応率(反応ガス出発混合物の部分酸化ゾーン一回通過当たり)で行われる場合、部分酸化ゾーン中に形成された生成ガス混合物が含有するさまざまな副生成物及び/又は中間生成物のアクリル酸に対する比率はわずかになる。使用圧力が比較的小さい場合も、目標生成物形成の選択性を高めるために同様に有利である。
さらに、副生成物形成を少なくするという観点から、少なくとも1つのC3前駆体化合物のための供給源として、C3前駆体化合物を可能な限り高純度で含有する原材料が(例えば化学用プロペンの代わりにポリマー用プロペンが)使用されると有利であることが明らかになっている。
比較的選択的に作用する触媒を部分酸化ゾーン内で使用すると、本発明による方法では副成分形成(特にCO2副生成物形成)が同様に制限される。
この意味で、プロペン部分酸化の第1反応段階のために好都合な、Mo、Fe及びBiを含む、多金属酸化物固形活物質は、DE−A19955176の一般式Iの多金属酸化物固形活物質、DE−A19948523の一般式Iの多金属酸化物固形活物質、DE−A10101695の一般式I、II及びIIIの多金属酸化物固形活物質、DE−A19948248の一般式I、II及びIIIの多金属酸化物固形活物質、及びDE−A19955168の一般式I、II及びIIIの多金属酸化物固形活物質、並びにEP−A700714に挙げられた多金属酸化物固形活物質である。
さらに、この観点から、プロペン部分酸化の第1反応段階のために、文書Research Disclosure No.497012、2005年8月29日、明細書DE−A10046957、DE−A10063162、DE−C3338380、DE−A19902562、EP−A15565、DE−C2380765、EP−A807465、EP−A279374、DE−A3300044、EP−A575897、US−A4438217、DE−A19855913、WO98/24746、DE−A19746210(の一般式II)、JP−A91/294239、EP−A293224及びEP−A700714に開示されている、Mo、Bi及びFeを含む多金属酸化物触媒が適している。このことは、特に例としてこれら明細書の実施形態、特にEP−A15565、EP−A575897、DE−A19746210及び特に好ましくはDE−A19855913の実施形態に有効である。この状況に置いて特に強調されるのは、EP−A15565の実施例1cに従った触媒、並びにこれに従い製造された触媒ではしかしその固形活物質が組成Mo12Ni6.5Zn2Fe2Bi1P0.0065K0.06Ox・10SiO2を示すことである。さらに、DE−A19855913の連続番号3を付けられた例(化学量論:Mo12Co7Fe3Bi0.6K0.08Si1.6Ox)は寸法が5mm×3mm×2mm(外径×高さ×内径)の中空円筒型非担持触媒であり、並びにDE−A19746210の実施例1に従い多金属酸化物II−非担持触媒であることが強調される。さらに、US−A4,438,217の多金属酸化物−触媒が挙げられる。後者は特にこの中空円筒が寸法5.5mm×3mm×3.5mm、又は5mm×2mm×2mm、又は5mm×3mm×2mm、又は6mm×3mm×3mm、又は7mm×3mm×4mm(それぞれ外径×高さ×内径)を備えていると有効である。その他に可能な触媒形状は、この文脈ではストランド(例えば長さ7.7mm、直径7mm、又は長さ6.4mm、直径5.7mm)。同様に、この文脈においてDE−A10046957の実施例1に従った非担持触媒が推奨できる。
プロペン部分酸化の第2反応段階のために好都合なMo及びVを含む多金属酸化物固形活物質は例えばDE−A10046928、DE−A19815281、DE−A4335973、EP−A714700、EP−A668104、DE−A19736105、DE−A10046928、DE−A19740493及びDE−A19528646に記載されている多金属酸化物固形活物質である。特に、DE−A10046928(例えば製造例5)及びDE−A10360057、DE−A10325488、DE−A102010028328及びDE−A102010023312のシェル触媒が好都合である。
本発明による手順に従い、水性ラフィネートIIとして、水性ラフィネートIIIとして、又は水性ラフィネートI及び水性ラフィネートIIの混合物として、(目標生成物)水溶液が得られ、この水溶液はアクリル酸及びその共役塩基を総量でアクリル酸として計算して、水溶液の質量に対して少なくとも10質量%、並びにアクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して≧50質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して≧200質量ppm、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して≧3000質量ppm、
安息香酸及びその共役塩基の総量を安息香酸として計算して≦10質量ppm、
無水マレイン酸、マレイン酸及びその共役塩基の総量をマレイン酸として計算して≦10質量ppm、
無水フタル酸、フタル酸及びその共役塩基の総量をフタル酸として計算して≦10質量ppm、
アクロレインを≦50質量ppm、
ベンズアルデヒドを≦50質量ppm、
2−フルアルデヒドを≦50質量ppm、及び
少なくとも1つのアルカリ金属カチオンを少なくとも20モル%含有している。
この水溶液は、本明細書では水溶液LAと表すものとする。
文言「カルボン酸及びその共役塩基の総量をカルボン酸として計算する」は、ここでは総量を計算するために、水溶液中にある共役塩基のモル量を、カルボン酸の共役塩基が水溶液中で同様にカルボン酸として存在するかのように扱うという意味である。
文言「酸無水物、酸及びその共役塩基の総量を酸として計算する」は、ここでは総量計算するために、水溶液中にある酸無水物のモル量及び水溶液中にある共役塩基のモル量を、酸無水物と共役塩基が水溶液中で同様に酸として存在するかのように扱うという意味である。
同様に文言「酸及び酸無水物の総量を酸無水物として計算する」は、生成ガス混合物の組成又は液相に関して、総量を計算するために、生成ガス混合物中ないし液相中に存在する酸のモル量を、生成ガス混合物中ないし液相中に酸が同様に酸無水物として存在するかのように扱うという意味である。
反対に、文言「酸及び酸無水物の総量を酸として計算する」は、総量を計算するために、酸無水物のモル量を、同様にそれが酸として存在するかのように扱うという意味である。
水溶液LAでは、本発明により好ましくは、アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
安息香酸及びその共役塩基の総量を安息香酸として計算して≦5質量ppm、
無水マレイン酸、マレイン酸及びその共役塩基の総量をマレイン酸として計算して≦5質量ppm、
無水フタル酸、フタル酸及びその共役塩基の総量をフタル酸として計算して≦5質量ppm、
を含んでいる。
この水溶液は、本明細書では水溶液LBと表すものとする。
水溶液LAでは、本発明により特に好ましくは、アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
安息香酸及びその共役塩基の総量を安息香酸として計算して≦1質量ppm、
無水マレイン酸、マレイン酸及びその共役塩基の総量をマレイン酸として計算して≦1質量ppm、
無水フタル酸、フタル酸及びその共役塩基の総量をフタル酸として計算して≦1質量ppm、
を含んでいる。
この水溶液は、本明細書では水溶液LCと表すものとする。
水溶液LA、LB及びLCでは、それぞれ好ましくは、アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
アクロレインを≦40質量ppm、
ベンズアルデヒドを≦40質量ppm、及び
2−フルアルデヒドを≦40質量ppm、
を含んでいる。
この水溶液は、本明細書では水溶液LDと表すものとする。
水溶液LA、LB及びLCでは、それぞれ好ましくは、アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
アクロレインを≦30質量ppm、
ベンズアルデヒドを≦30質量ppm、及び
2−フルアルデヒドを≦30質量ppm、
を含んでいる。
この水溶液は、本明細書では水溶液LEと表すものとする。
水溶液LA、LB及びLCでは、それぞれ好ましくは、アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
アクロレインを≦20質量ppm、
ベンズアルデヒドを≦20質量ppm、及び
2−フルアルデヒドを≦20質量ppm、
を含んでいる。
この水溶液は、本明細書では水溶液LFと表すものとする。
水溶液LA、LB及びLCでは、それぞれ好ましくは、アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基のモル総量に対して、
アクロレインを≦10質量ppm、
ベンズアルデヒドを≦10質量ppm、及び
2−フルアルデヒドを≦10質量ppm、
を含んでいる。
この水溶液は、本明細書では水溶液LGと表すものとする。
水溶液LGでは、本発明により好ましくは、アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
アクロレインを≦5質量ppm、
ベンズアルデヒドを≦5質量ppm、及び
2−フルアルデヒドを≦5質量ppm、
を含んでいる。
この水溶液は、本明細書では水溶液LHと表すものとする。
水溶液LGでは、本発明により特に好ましくは、アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
アクロレインを≦1質量ppm、
ベンズアルデヒドを≦1質量ppm、及び
2−フルアルデヒドを≦1質量ppm、
を含んでいる。
この水溶液は、本明細書では水溶液LIと表すものとする。このような溶液(又は水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH)がまだホルムアルデヒドを、又はそれと平衡状態にあるメチレングリコールを溶解して含んでいる場合、これらが、必要に応じて化学吸着によってアミノ機能化された吸着剤、例えばベンジルアミン機能化されたポリスチレン樹脂又はプロイルジエチレントリアミン機能化されたシリカに吸着され、この水溶液から分離される。これに加えて、最も単純な実施形態では、各水溶液が各吸着物質と混合され、その後で吸着物から濾過される。このような吸着物質として、例えばEnvisorbB+、Perlcat97−0及び46−10、KC−Trockenperlen、Benzylamin@PS、ScavengerPore(登録商標)BASF SE社のSC11102及びDETA−PKS、Rapp Polymere及びSigma−Aldrich等の市販の工業用物質を使用することができる。その際に残った濾過液は、同様に「水溶液LI」(又はLA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH)に包含される。
通常水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH及びLIでは、それぞれ好ましくは、アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して≦0.25質量%、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して≦2.5質量%及び、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して≦12質量%、
を含んでいる。
この水溶液は、本明細書では水溶液LJと表すものとする。
すなわち、本発明による水溶液は、このような水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI及びLJでも、それぞれ好ましくは、アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して≧100質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して≧500質量ppm及び、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して≧5000質量ppm、
を含んでいる。
この水溶液は、本明細書では水溶液LKと表すものとする。
本発明による水溶液は、このような水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ及びLKでも、それぞれ好ましくは、アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して≦0.20質量%、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して≦2.0質量%及び、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して≦10質量%、
を含んでいる。
この水溶液は、本明細書では水溶液LLと表すものとする。
本発明による水溶液は、このような水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK及びLL、でも、それぞれ好ましくは、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して≧150質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して≧750質量ppm及び、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して≧7500質量ppm、
を含んでいる。
この水溶液は、本明細書では水溶液LMと表すものとする。
本発明による(本発明により得られる)水溶液には、水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK、LL及びLMも含まれており、これら水溶液は、アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、それぞれ
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して≦0.15質量%、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して≦1.5質量%及び、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して≦8質量%、
を含んでいる。
この水溶液は、本明細書では水溶液LNと表すものとする。
本発明による水溶液にはさらに、水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK、LL、LM及びLNも含まれており、これら水溶液は、アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、それぞれ
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して≧180質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して≧1000質量ppm及び、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して≧1質量%、
を含んでいる。
この水溶液は、本明細書では水溶液LOと表すものとする。
本発明による水溶液にはこれにより、水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK、LL、LM、LN及びLOも含まれており、これら水溶液は、アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、それぞれ
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して≦0.1質量%、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して≦1質量%及び、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して≦5質量%、
を含んでいる。
この水溶液は、本明細書では水溶液LPと表すものとする。
本発明による水溶液にはしたがって、水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK、LL、LM、LN、LO及びLPも含まれており、これら水溶液は、アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、それぞれ
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して≧200質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して≧1500質量ppm及び、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して≧1.3質量%、
を含んでいる。
この水溶液は、本明細書では水溶液LQと表すものとする。
この中に含まれているアクリル酸及びその共役塩基の(モル)総量に対して、本発明による水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK、LL、LM、LN、LO、LP及びLQはそれぞれ20〜200モル%、又は20〜150モル%、又は30〜140モル%、又は40〜120モル%、又は50〜110モル%、又は50〜100モル%、又は50〜95モル%、好ましくは60〜90モル%、特に好ましくは60〜80モル%及び特に好ましくは60〜75モル%、又は65〜75モル%の少なくとも1つのアルカリ金属カチオンを含んでいてよい。好ましくは少なくとも1つのアルカリ金属カチオンはLi+、K+及び/又はNa+である。
本発明により有利には、すべての、本発明による(本発明により得られる)水溶液、特に本発明による水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK、LL、LM、LN、LO、LP及びLQは、水溶液中のその他の組成に無関係に、その中に含まれているアルカリ金属カチオンのモル総量に対して、少なくとも50モル%のNa+、好ましくは少なくとも75モル%のNa+、特に好ましくは少なくとも90モル%のNa+、格別に好ましくは少なくとも95モル%のNa+及び特に有利には少なくとも98モル%、又は少なくとも99モル%、又は100モル%のNa+を含んでいる。
基本的にすべての、本発明による水溶液、特に本発明による水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK、LL、LM、LN、LO、LP及びLQは、水溶液中のその他の組成に無関係に、その中に含まれているアルカリ金属カチオンのモル総量に対して、少なくとも50モル%のK+及び/又はNa+、有利には少なくとも75モル%のK+及び/又はNa+、より適切には少なくとも90モル%のK+及び/又はNa+、さらに適切には少なくとも95モル%、又は少なくとも98モル%、好ましくは少なくとも99モル%又は100モル%のK+及び/又はNa+が含まれていてよい。
水性中間生成物IIは、本発明により有利には、この中に含まれているアクリル酸及びその共役塩基のモル総量に対して、少なくとも80モル%、又は少なくとも90モル%、又は少なくとも100モル%、好ましくは少なくとも100.1又は少なくとも102モル%、特に好ましくは少なくとも104モル%又は少なくとも106モル%、少なくとも1つのアルカリ金属カチオンを含有する。有利にはこれは少なくとも1つのアルカリ金属カチオン、一般にLi+、K+及び/又はNa+、特に有利にはK+及び/又はNa+、及び格別に有利にはNa+である。
基本的に水性中間生成物IIは、この中に含まれているアクリル酸及びその共役塩基のモル総量に対して、20〜400ないし〜300モル%、又は20〜250モル%、又は20〜200モル%、又は20〜150モル%、又は30〜140モル%、又は40〜120モル%、又は50〜110モル%、又は50〜100モル%、又は50〜95モル%、又は60〜90モル%、又は60〜80モル%、又は60〜75モル%、又は65〜75モル%の少なくとも1つのアルカリ金属カチオンを含んでいてよい。好ましくは少なくとも1つのアルカリ金属カチオンはLi+、K+及び/又はNa+である。
本発明により有利には、含まれているすべての水性中間生成物IIは、その他の組成に無関係に、その中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量に対して、少なくとも50モル%のK+及び/又はNa+、好ましくは少なくとも75モル%のK+及び/又はNa+、特に好ましくは少なくとも90モル%のK+及び/又はNa+、格別に好ましくは少なくとも95モル%のK+及び/又はNa+及び特に有利には少なくとも98モル%、又は少なくとも99モル%、又は100モル%のK+及び/又はNa+を含んでおり、その際すべての場合にNa+が単独のアルカリ金属カチオンとして好ましい。
アルカリ金属カチオンの含有量及びその種類に無関係に、本発明によるすべての水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK、LL、LM、LN、LO、LP及びLQの水分含有量は、水溶液の質量に対して15〜85質量%、又は30〜80質量%、又は40〜70質量%、又は好ましくは50〜65質量%ないし55〜60質量%であってよい。本発明により好ましくは前述の水分含有量は≦65質量%、特に好ましくは≦60質量%である。
前述の含水率は、ここではしかし各水性中間生成物質量に対して、同様に水性中間生成物I、II及びIIIに適用される。
さらに、本発明により有利には、本発明による水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK、LL、LM、LN、LO、LP及びLQは、アルカリ金属カチオンの含有量及びその種類に無関係に、アクリル酸及びその共役塩基を、総量でアクリル酸として計算して及び水溶液の質量に対して、少なくとも15質量%、好ましくは少なくとも20質量%及び特に好ましくは少なくとも25質量%備えている。
通常、本発明による水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK、LL、LM、LN、LO、LP及びLQは、アクリル酸及びその共役塩基を、それぞれ総量でアクリル酸として計算して及び水溶液の質量に対して、70質量%以下、しばした60質量%以下及びたいてい50質量%以下を備えている。本発明により特に好ましくは水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK、LL、LM、LN、LO、LP及びLQは、アクリル酸及びその共役塩基を、それぞれ総量でアクリル酸として計算して及び水溶液の質量に対して、25〜40質量%、及び格別に好ましくは25〜35質量%を含んでいる。
本発明により、格別に好ましい水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK、LL、LM、LN、LO、LP及びLQは、アクリル酸及びその共役塩基を、それぞれ総量でアクリル酸として計算して及び水溶液の質量に対して20〜40質量%、並びに水溶液中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基のモル総量に対して60〜80モル%の少なくとも1つのアルカリ金属カチオン、及び、水溶液の質量に対して50〜65質量%の水を含んでおり、その際に少なくとも1つのアルカリ金属カチオンがLi+、Na+及び/又はK+であり(有利には少なくとも1つのアルカリ金属カチオンは少なくとも90モル%のNa+、より適切には少なくとも95モル%のNa+及び最良には少なくとも99モル%又は100モル%のNa+を含んでいる(それぞれそのモル総量))。
この水溶液は、本明細書では水溶液LRと表すものとする。
水性中間生成物IIが本発明により好ましくはpH値≧7を示すのに対し、好ましい本発明による水溶液(例えば好ましい水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK、LL、LM、LN、LO、LP、LQ及びLR)のpH値は、本発明により有利には5〜6.5の範囲に、特に有利には5.2〜6の範囲にある。
本発明により得られる水溶液(特に水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK、LL、LM、LN、LO、LP、LQ及びLR)は、pH値4〜5.7、又は4.4〜5.1を示し、WO03/002623の教示により、同じく特に有利である。
しかし当然のことながら本発明により得られる水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK、LL、LM、LN、LO、LP、LQ及びLRも、そのpH値は≧6.5、又は≧7であり、多数の後続の使用に重要である。
通常本発明により得られるすべての水溶液(例えば溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK、LL、LM、LN、LO、LP、LQ及びLR)は、それに含まれているアルカリ金属カチオンのモル総量に対して、≦5モル%の、好ましくは≦4モル%の、特に好ましくは≦3モル%の、格別に好ましくは≦2モル%又は≦1モル%の、アルカリ金属カチオン及びH+(及び水を伴ったその反応生成物)とは異なるカチオンを含んでいる。この水溶液は、本明細書では水溶液LSと表すものとする。
通常本発明により得られるすべての水溶液(例えば溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK、LL、LM、LN、LQ、LP、LQ、LR及びLS)は、それに含まれているアルカリ金属カチオンのモル総量に対して、≦5モル%の、好ましくは≦4モル%の、特に好ましくは≦3モル%の、格別に好ましくは≦2モル%又は≦1モル%の、以下CO3 2-、HCO3 -、-OH(及び水を伴ったその反応生成物)、部分酸化の生成ガス混合物に含まれるカルボン酸及びカルボン酸無水物の共役塩基、アクリル酸のマイケル付加体の共役塩基並びにラジカル重合されたアクリル酸の共役塩基を含むオリゴマーとは異なるアニオンを含んでいる。この水溶液は、本明細書では水溶液LTと表すものとする。すなわち、一般に本発明により得られる水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK、LL、LM、LN、LO、LP、LQ、LR、LS及びLT中に含まれている少なくとも1つのアルカリ金属カチオンの(これらの中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対する)モル%量は、これら水溶液中に全体としてアクリル酸として数えられて存在するアクリル酸及びその共役塩基のモル総量の中和度と実質的に一致する。
本明細書の本発明による実施形態にはまた、(本発明により得られる)水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK、LL、LM、LN、LO、LP、LQ、LR、LS及びLTも含まれ、これらは、その中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基モル量に対して0.001〜5モル%の、少なくとも2つのエチレン不飽和二重結合(これはやはり互いに共役していてよい)の少なくとも1つを持つ化合物を含んでいる。
本発明による方法の部分酸化ゾーン内で形成された生成ガス混合物が副生成物として3−フルアルデヒドも含有している場合、これは本発明による方法では本明細書で2−フルアルデヒドについて示されたように挙動する。生成ガス混合物にプロトアネモニンが副生成物として含有されている場合、同じことがプロトアネモニンにも該当する。生成ガス混合物に含まれている2−フルアルデヒドのモル量に対して、生成ガス混合物は3−フルアルデヒドもプロトアネモニンも通常それぞれ≦10モル%しか含有していない(このことは特に、アクリル酸のC3前駆体化合物がプロペンである場合に当てはまる)。
本発明による方法の部分酸化ゾーン内で形成された生成ガス混合物が副生成物としてアリルアクリレート及び/又はギ酸アリルも含有している場合、これは本発明による方法では本明細書でアクロレインについて示されたように挙動する。生成ガス混合物にプロピオンアルデヒドが副生成物として含有されている場合、同じことがプロピオンアルデヒドにも該当する。プロペンが少なくとも1つのC3前駆体化合物である場合、生成ガス混合物はアリルアクリレートもギ酸アリル及びプロピオンアルデヒドも、生成ガス混合物中に含まれるアクロレインのモル量に対して通常それぞれ≦2モル%の量を含有する。
基本的に、本発明により製造された水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK、LL、LM、LN、LO、LP、LQ、LR、LS及び/又はLTの使用下で生成された、高吸収性ポリマーの水溶液は、衛生分野にも使用可能である。
本発明により有利には、本発明による手順に従い得られる水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK、LL、LM、LN、LO、LP、LQ、LR、LS及びLTは、MEHQの含有量が、通常、水溶液の質量に対して、200質量ppm以下、有利には100質量ppm以下、特に有利には50質量ppm以下及び特に有利には20質量ppm以下である。しかし、通常、同じように水溶液の質量に対して、この水溶液中のMEHQの含有量は≧5質量ppmである。共同抑制剤として、水溶液はここでは分子状酸素を溶解していると、応用技術的に目的に合っている。前述の水溶液はこれ以外の重合抑制剤は通常含んでいない。特にその溶液中のメチレンブルー、フェノチアジン及びCu2+/Cu+の含有量は、どの成分が含まれていても、及び水溶液の質量に対して、通常10質量ppm、好ましくは5質量ppm、特に好ましくは1質量ppm及び特に好ましくは0.1質量ppmを上回らない。特に有利には、前述の重合抑制剤(遅延剤)は、本発明により得られる水溶液は、分析的に検出できない。
本発明により得られる水溶液LA、LB、LC、LD、LE、LF、LG、LH、LI、LJ、LK、LL、LM、LN、LO、LP、LQ、LR、LS及びLTは、その質量に対して、1〜1000質量ppmの(有機抽出剤の)有機溶剤も含んでいてよく(例えばUS2008/0119626A1で推奨されているように)、この有機溶剤は、部分酸化ゾーン内で形成された生成ガス混合物の成分でも、本発明による製造が進行するにつれて生じる、この混合物の成分化学反応によるものでもない。
本発明による製造が進行するにつれて生じる混合物の組成は、以下、ガスクロマトグラフィー(GC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(アルデヒドの特定、好ましくはヒドラジンとして、2,4−ジニトロフェニルヒドラジンと反応後;カルボン酸の特定、イオン排除クロマトグラフィーにより)並びに光学発光分光法(アルカリカチオンの特定;特にICP(誘導結合プラズマ)−OES)の方法を使用して得られる。(特に値域4〜10の)pH値は、単一棒測定シーケンスとして仕上げられたガラス電極を使用した、25℃及び1atm(1.01bar)での測定と一致する。その較正は、そのpH値が判明していてかつ求めている測定値に近いpH値の試験溶液を使用して行う。凝縮相中の水の特定は、カールフィッシャー法で行う。以下の例で実施された材料組成及び流量は、分析的特定の他に成分、測定及びエネルギー(熱)の各バランスの計算的要素にも基づいている。
ホルムアルデヒドと2−メチレングリコールは通常分析的には(例えばガスクロマトグラフィーにより)通常区別できないため、実施例においては検出した量を、水を含む液相の場合にはその全体をメチレングリコールとして及び気相の場合にはその全体をホルムアルデヒドとして評価している。液相中の「ホルムアルデヒド総含有量」を測定するため、分析する試料量100〜200mgに対してまず10質量%の水性の、加水分解活性の硫酸を10mL添加した。続いて蒸留を標準圧力(Eppendorf社MicroDistiller、112〜120℃、約2時間)で行い、及び置いておいた水に吸収させることで、ホルムアルデヒドを分離した。次に酢酸アンモニウム/酢酸で緩衝した水性溶媒中のホルムアルデヒドをアセチルアセトンと反応させた(ハンチ反応)。その際黄色いジヒドロルチジン誘導体が形成され、これをその紫外可視吸光光度計を使用して検出波長412nmで、事前に設定した較正曲線を使用して数量化した(B. Kakac, Z.J. Vejdelek、Handbuch der photometrischen Analyse organischer Verbindungen,Band 1,Verlag Chemie,1974)。
これにより、本出願は特に以下の本発明による実施形態を含んでいる:
1.アクリル酸及びその共役塩基の総量をアクリル酸として計算して、水溶液の質量に対して少なくとも10質量%、並びにアクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して≧50質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して≧200質量ppm、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して≧3000質量ppm、
安息香酸及びその共役塩基の総量を安息香酸として計算して≦10質量ppm、
無水マレイン酸、マレイン酸及びその共役塩基の総量をマレイン酸として計算して≦10質量ppm、
無水フタル酸、フタル酸及びその共役塩基の総量をフタル酸として計算して≦10質量ppm、
アクロレインを≦50質量ppm、
ベンズアルデヒドを≦50質量ppm、
2−フルアルデヒドを≦50質量ppm、及び
少なくとも1つのアルカリ金属カチオンを少なくとも20モル%含む水溶液。
2.アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
安息香酸及びその共役塩基の総量を安息香酸として計算して≦5質量ppm、
無水マレイン酸、マレイン酸及びその共役塩基の総量をマレイン酸として計算して≦5質量ppm、
無水フタル酸、フタル酸及びその共役塩基の総量をフタル酸として計算して≦5質量ppm、
を含有する、実施形態1に従った水溶液。
3.アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
安息香酸及びその共役塩基の総量を安息香酸として計算して≦1質量ppm、
無水マレイン酸、マレイン酸及びその共役塩基の総量をマレイン酸として計算して≦1質量ppm、
無水フタル酸、フタル酸及びその共役塩基の総量をフタル酸として計算して≦1質量ppm、
を含有する、実施形態1に従った水溶液。
4.アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
アクロレインを≦40質量ppm、
ベンズアルデヒドを≦40質量ppm、及び
2−フルアルデヒドを≦40質量ppm、
を含有する、実施形態1〜3のいずれか1つに従った水溶液。
5.アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
アクロレインを≦30質量ppm、
ベンズアルデヒドを≦30質量ppm、及び
2−フルアルデヒドを≦30質量ppm、
を含有する、実施形態1〜3のいずれか1つに従った水溶液。
6.アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
アクロレインを≦20質量ppm、
ベンズアルデヒドを≦20質量ppm、及び
2−フルアルデヒドを≦20質量ppm、
を含有する、実施形態1〜3のいずれか1つに従った水溶液。
7.アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
アクロレインを≦10質量ppm、
ベンズアルデヒドを≦10質量ppm、及び
2−フルアルデヒドを≦10質量ppm、
を含有する、実施形態1〜3のいずれか1つに従った水溶液。
8.アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
アクロレインを≦5質量ppm、
ベンズアルデヒドを≦5質量ppm、及び
2−フルアルデヒドを≦5質量ppm、
を含有する、実施形態1〜3のいずれか1つに従った水溶液。
9.アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
アクロレインを≦1質量ppm、
ベンズアルデヒドを≦1質量ppm、及び
2−フルアルデヒドを≦1質量ppm、
を含有する、実施形態1〜3のいずれか1つに従った水溶液。
10.アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して≦0.25質量%、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して≦2.5質量%及び、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して≦12質量%、
を含有する、実施形態1〜9のいずれか1つに従った水溶液。
11.アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して≦0.20質量%、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して≦2.0質量%及び、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して≦10質量%、
を含有する、実施形態1〜9のいずれか1つに従った水溶液。
12.アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して≦0.15質量%、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して≦1.5質量%及び、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して≦8質量%、
を含有する、実施形態1〜9のいずれか1つに従った水溶液。
13.アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して≦0.1質量%、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して≦1質量%及び、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して≦5質量%、
を含有する、実施形態1〜9のいずれか1つに従った水溶液。
14.アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して≧100質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して≧500質量ppm及び、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して≧5000質量ppm、
を含有する、実施形態1〜13のいずれか1つに従った水溶液。
15.アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して≧150質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して≧750質量ppm及び、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して≧7500質量ppm、
を含有する、実施形態1〜13のいずれか1つに従った水溶液。
16.アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して≧180質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して≧1000質量ppm及び、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して≧1質量%、
を含有する、実施形態1〜13のいずれか1つに従った水溶液。
17.アクリル酸として計算した、水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して≧200質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して≧1500質量ppm及び、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して≧1.3質量%、
を含有する、実施形態1〜13のいずれか1つに従った水溶液。
18.水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、少なくとも1つのアルカリ金属カチオンを20〜150モル%含有する、実施形態1〜17のいずれか1つに従った水溶液。
19.水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、少なくとも1つのアルカリ金属カチオンを30〜140モル%含有する、実施形態1〜18のいずれか1つに従った水溶液。
20.水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、少なくとも1つのアルカリ金属カチオンを40〜120モル%含有する、実施形態1〜19のいずれか1つに従った水溶液。
21.水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、少なくとも1つのアルカリ金属カチオンを50〜110モル%含有する、実施形態1〜20のいずれか1つに従った水溶液。
22.水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、少なくとも1つのアルカリ金属カチオンを50〜100モル%含有する、実施形態1〜21のいずれか1つに従った水溶液。
23.水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、少なくとも1つのアルカリ金属カチオンを50〜95モル%含有する、実施形態1〜22のいずれか1つに従った水溶液。
24.水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、少なくとも1つのアルカリ金属カチオンを60〜90モル%含有する、実施形態1〜23のいずれか1つに従った水溶液。
25.水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、少なくとも1つのアルカリ金属カチオンを60〜80モル%含有する、実施形態1〜24のいずれか1つに従った水溶液。
26.水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、少なくとも1つのアルカリ金属カチオンを60〜75モル%含有する、実施形態1〜25のいずれか1つに従った水溶液。
27.水溶液に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、少なくとも1つのアルカリ金属カチオンを65〜75モル%含有する、実施形態1〜26のいずれか1つに従った水溶液。
28.その際少なくとも1つのアルカリ金属カチオンがLi+、K+及び/又はNa+である、実施形態1〜27のいずれか1つに従った水溶液。
29.少なくとも1つのアルカリ金属カチオンが、そのモル総量に対して少なくとも50モル%がK+及び/又はNa+である、実施形態1〜28のいずれか1つに従った水溶液。
30.少なくとも1つのアルカリ金属カチオンが、そのモル総量に対して少なくとも75モル%がK+及び/又はNa+である、実施形態1〜28のいずれか1つに従った水溶液。
31.少なくとも1つのアルカリ金属カチオンが、そのモル総量に対して少なくとも90モル%がK+及び/又はNa+である、実施形態1〜28のいずれか1つに従った水溶液。
32.少なくとも1つのアルカリ金属カチオンが、そのモル総量に対して少なくとも95モル%がK+及び/又はNa+である、実施形態1〜28のいずれか1つに従った水溶液。
33.少なくとも1つのアルカリ金属カチオンが、そのモル総量に対して少なくとも98モル%がK+及び/又はNa+である、実施形態1〜28のいずれか1つに従った水溶液。
34.少なくとも1つのアルカリ金属カチオンが、そのモル総量に対して少なくとも99モル%がK+及び/又はNa+である、実施形態1〜28のいずれか1つに従った水溶液。
35.少なくとも1つのアルカリ金属カチオンが、そのモル総量に対して最大100モル%がK+及び/又はNa+である、実施形態1〜28のいずれか1つに従った水溶液。
36.少なくとも1つのアルカリ金属カチオンが、そのモル総量に対して少なくとも50モル%がNa+である、実施形態1〜35のいずれか1つに従った水溶液。
37.少なくとも1つのアルカリ金属カチオンが、そのモル総量に対して少なくとも75モル%がNa+である、実施形態1〜35のいずれか1つに従った水溶液。
38.少なくとも1つのアルカリ金属カチオンが、そのモル総量に対して少なくとも90モル%がNa+である、実施形態1〜35のいずれか1つに従った水溶液。
39.少なくとも1つのアルカリ金属カチオンが、そのモル総量に対して少なくとも95モル%がNa+である、実施形態1〜35のいずれか1つに従った水溶液。
40.少なくとも1つのアルカリ金属カチオンが、そのモル総量に対して少なくとも98モル%がNa+である、実施形態1〜35のいずれか1つに従った水溶液。
41.少なくとも1つのアルカリ金属カチオンが、そのモル総量に対して少なくとも99モル%がNa+である、実施形態1〜35のいずれか1つに従った水溶液。
42.少なくとも1つのアルカリ金属カチオンが、そのモル総量に対して最大100モル%がNa+である、実施形態1〜35のいずれか1つに従った水溶液。
43.水溶液の質量に対して15〜85質量%の水を含有する、実施形態1〜42のいずれか1つに従った水溶液。
44.水溶液の質量に対して30〜80質量%の水を含有する、実施形態1〜43のいずれか1つに従った水溶液。
45.水溶液の質量に対して40〜70質量%の水を含有する、実施形態1〜44のいずれか1つに従った水溶液。
46.水溶液の質量に対して50〜65質量%の水を含有する、実施形態1〜45のいずれか1つに従った水溶液。
47.水溶液の質量に対して55〜60質量%の水を含有する、実施形態1〜46のいずれか1つに従った水溶液。
48.水溶液の質量に対して≦65質量%の水を含有する、実施形態1〜45のいずれか1つに従った水溶液。
49.水溶液の質量に対して≦60質量%の水を含有する、実施形態1〜46のいずれか1つに従った水溶液。
50.アクリル酸及びその共役塩基を総量でアクリル酸として計算して及び水溶液の質量に対して少なくとも15質量%含んでいる、実施形態1〜49のいずれか1つに従った水溶液。
51.アクリル酸及びその共役塩基を総量でアクリル酸として計算して及び水溶液の質量に対して少なくとも20質量%含んでいる、実施形態1〜49のいずれか1つに従った水溶液。
52.アクリル酸及びその共役塩基を総量でアクリル酸として計算して及び水溶液の質量に対して少なくとも25質量%含んでいる、実施形態1〜49のいずれか1つに従った水溶液。
53.アクリル酸及びその共役塩基を総量でアクリル酸として計算して及び水溶液の質量に対して70質量%含んでいる、実施形態1〜52のいずれか1つに従った水溶液。
54.アクリル酸及びその共役塩基を総量でアクリル酸として計算して及び水溶液の質量に対して60質量%含んでいる、実施形態1〜52のいずれか1つに従った水溶液。
55.アクリル酸及びその共役塩基を総量でアクリル酸として計算して及び水溶液の質量に対して50質量%含んでいる、実施形態1〜52のいずれか1つに従った水溶液。
56.アクリル酸及びその共役塩基を総量でアクリル酸として計算して及び水溶液の質量に対して25〜40質量%含んでいる、実施形態1〜52のいずれか1つに従った水溶液。
57.アクリル酸及びその共役塩基を総量でアクリル酸として計算して及び水溶液の質量に対して25〜35質量%含んでいる、実施形態1〜52のいずれか1つに従った水溶液。
58.アクリル酸及びその共役塩基を総量でアクリル酸として計算して及び水溶液の質量に対して20〜40質量%、並びに水溶液中に含まれているアクリル酸及びその共役塩基のモル総量に対して60〜80モル%の少なくとも1つのアルカリ金属カチオン、及び水溶液の質量に対して50〜65質量%の水を含んでおり、その際に少なくとも1つのアルカリ金属カチオンがLi+、Na+及び/又はK+である、実施形態1〜17のいずれか1つに従った水溶液。
59.少なくとも1つのアルカリ金属カチオンが、そのモル総量に対して少なくとも90モル%がNa+である、実施形態58に従った水溶液。
60.少なくとも1つのアルカリ金属カチオンが、そのモル総量に対して少なくとも95モル%がNa+である、実施形態58に従った水溶液。
61.少なくとも1つのアルカリ金属カチオンが、そのモル総量に対して少なくとも99モル%がNa+である、実施形態58に従った水溶液。
62.少なくとも1つのアルカリ金属カチオンが、そのモル総量に対して少なくとも100モル%がNa+である、実施形態58に従った水溶液。
63.そのpH値が5〜6.5である、実施形態1〜62のいずれか1つに従った水溶液。
64.そのpH値が5.2〜6である、実施形態1〜62のいずれか1つに従った水溶液。
65.そのpH値が4〜5.7である、実施形態1〜62のいずれか1つに従った水溶液。
66.そのpH値が4.4〜5.1である、実施形態1〜62のいずれか1つに従った水溶液。
67.そのpH値が>6.5である、実施形態1〜62のいずれか1つに従った水溶液。
68.そのpH値が>7である、実施形態1〜62のいずれか1つに従った水溶液。
69.水溶液中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量に対して≦5モル%の、以下アルカリ金属カチオン及びH+並びに水を伴ったその反応生成物とは異なるカチオンを含む、実施形態1〜68のいずれか1つに従った水溶液。
70.水溶液中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量に対して≦4モル%の、以下アルカリ金属カチオン及びH+並びに水を伴ったその反応生成物とは異なるカチオンを含む、実施形態1〜68のいずれか1つに従った水溶液。
71.水溶液中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量に対して≦3モル%の、以下アルカリ金属カチオン及びH+並びに水を伴ったその反応生成物とは異なるカチオンを含む、実施形態1〜68のいずれか1つに従った水溶液。
72.水溶液中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量に対して≦2モル%の、以下アルカリ金属カチオン及びH+並びに水を伴ったその反応生成物とは異なるカチオンを含む、実施形態1〜68のいずれか1つに従った水溶液。
73.水溶液中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量に対して≦1モル%の、以下アルカリ金属カチオン及びH+並びに水を伴ったその反応生成物とは異なるカチオンを含む、実施形態1〜68のいずれか1つに従った水溶液。
74.水溶液中に含まれているアルカリ金属カチオンのモル総量に対して≦5モル%の、以下CO3 2-、HCO3 -、-OH及び水を伴ったその反応生成物、部分酸化の生成ガス混合物に含まれるカルボン酸及びカルボン酸無水物の共役塩基、アクリル酸のマイケル付加体の共役塩基並びにラジカル重合されたアクリル酸の共役塩基を含むオリゴマーとは異なるアニオンを含んでいる、実施形態1〜73のいずれか1つに従った水溶液。
75.水溶液中に含まれているアルカリ金属カチオンのモル総量に対して≦4モル%の、以下CO3 2-、HCO3 -、-OH及び水を伴ったその反応生成物、部分酸化の生成ガス混合物に含まれるカルボン酸及びカルボン酸無水物の共役塩基、アクリル酸のマイケル付加体の共役塩基並びにラジカル重合されたアクリル酸の共役塩基を含むオリゴマーとは異なるアニオンを含んでいる、実施形態1〜73のいずれか1つに従った水溶液。
76.水溶液中に含まれているアルカリ金属カチオンのモル総量に対して≦2モル%の、以下CO3 2-、HCO3 -、-OH及び水を伴ったその反応生成物、部分酸化の生成ガス混合物に含まれるカルボン酸及びカルボン酸無水物の共役塩基、アクリル酸のマイケル付加体の共役塩基並びにラジカル重合されたアクリル酸の共役塩基を含むオリゴマーとは異なるアニオンを含んでいる、実施形態1〜73のいずれか1つに従った水溶液。
77.水溶液中に含まれているアルカリ金属カチオンのモル総量に対して≦1モル%の、以下CO3 2-、HCO3 -、-OH及び水を伴ったその反応生成物、部分酸化の生成ガス混合物に含まれるカルボン酸及びカルボン酸無水物の共役塩基、アクリル酸のマイケル付加体の共役塩基並びにラジカル重合されたアクリル酸の共役塩基を含むオリゴマーとは異なるアニオンを含んでいる、実施形態1〜73のいずれか1つに従った水溶液。
78.水溶液中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基のモル量に対して、0.001〜5モル%の少なくとも2つの、互いに共役していてよいエチレン不飽和二重結合のうちの少なくとも1つを持つ化合物含んでいる、実施形態1〜77のいずれか1つに従った水溶液。
79.水溶液の質量に対して≦200質量ppmの4−メトキシフェノールを含んでいる、実施形態1〜78のいずれか1つに従った水溶液。
80.水溶液の質量に対して≦100質量ppmの4−メトキシフェノールを含んでいる、実施形態1〜78のいずれか1つに従った水溶液。
81.水溶液の質量に対して≦50質量ppm及び≧5質量ppmの4−メトキシフェノールを含んでいる、実施形態1〜78のいずれか1つに従った水溶液。
82.水溶液の質量に対して≦20質量ppmの4−メトキシフェノールを含んでいる、実施形態1〜78のいずれか1つに従った水溶液。
83.メチレンブルー、フェノチアジン、Cu2+及びCu+を含み、どの成分が含まれていても、及び水溶液の質量に対して、≦10質量ppmを含んでいる、実施形態1〜82のいずれか1つに従った水溶液。
84.メチレンブルー、フェノチアジン、Cu2+及びCu+を含み、どの成分が含まれていても、及び水溶液の質量に対して、≦5質量ppmを含んでいる、実施形態1〜82のいずれか1つに従った水溶液。
85.メチレンブルー、フェノチアジン、Cu2+及びCu+を含み、どの成分が含まれていても、及び水溶液の質量に対して、≦1質量ppmを含んでいる、実施形態1〜82のいずれか1つに従った水溶液。
86.メチレンブルー、フェノチアジン、Cu2+及びCu+を含み、どの成分が含まれていても、及び水溶液の質量に対して、≦0.1質量ppmを含んでいる、実施形態1〜82のいずれか1つに従った水溶液。
87.メチレンブルー、フェノチアジン、Cu2+及びCu+を含み、どの成分が含まれていても、及び水溶液の質量に対して、分析的に検出できない量を含んでいる、実施形態1〜82のいずれか1つに従った水溶液。
88.実施形態1〜87に従った水溶液に、水溶液中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基のモル総量に対して、最大40モル%の少なくとも1つの、アクリル酸及びその共役塩基とは異なる、エチレン系一価不飽和化合物を添加することによって得られる水性混合物。
89.実施形態1〜87に従った水溶液に、水溶液中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基のモル総量に対して、最大30モル%の少なくとも1つの、アクリル酸及びその共役塩基とは異なる、エチレン系一価不飽和化合物を添加することによって得られる水性混合物。
90.実施形態1〜87に従った水溶液に、水溶液中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基のモル総量に対して、最大20モル%の少なくとも1つの、アクリル酸及びその共役塩基とは異なる、エチレン系一価不飽和化合物を添加することによって得られる水性混合物。
91.実施形態1〜87に従った水溶液に、水溶液中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基のモル総量に対して、最大10モル%の少なくとも1つの、アクリル酸及びその共役塩基とは異なる、エチレン系一価不飽和化合物を添加することによって得られる水性混合物。
92.実施形態1〜87に従った水溶液に、水溶液中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基のモル総量に対して、最大5モル%の少なくとも1つの、アクリル酸及びその共役塩基とは異なる、エチレン系一価不飽和化合物を添加することによって得られる水性混合物。
93.少なくとも1つの、アクリル酸及びその共役塩基とは異なるエチレン系一価不飽和化合物が、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン−スルホン酸、上記酸のアミド、上記酸のアルカリ金属塩、上記酸のアンモニウム塩、アクリル酸のモノヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸のモノヒドロキシアルキルエステル、N−ビニルホルムアミド、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル一価アルコール、アクリロニトリル、メタクリロニトリル並びに酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のビニルエステルから成る群から選択されている、実施形態88〜92のいずれか1つに従った水性混合物。
94.以下の方法手順を含む、アクリル酸及びその共役塩基を含む目標生成物水溶液の製造方法:
− アクリル酸の少なくとも1つのC3前駆体化合物が、アクリル酸の少なくとも1つのC3前駆体化合物の成分として、分子状酸素及び少なくとも1つの、CO2及び水とは異なった不活性希釈ガスを含有する反応ガス出発混合物を(物理的に固体状の触媒を備えた)部分酸化ゾーンに通し、及びその中で不均一系触媒による気相部分酸化により、物理的に固体状の触媒上で分子状酸素を用いて、CO2、水、目標物質アクリル酸、副成分のギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、アクロレイン、ベンズアルデヒド、2−フルアルデヒド、無水フタル酸及び/又はフタル酸、無水マレイン酸及び/又はマレイン酸並びに少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性希釈ガスを含む生成ガス混合物を得ながら、アクリル酸に部分酸化し、
− 部分酸化ゾーンから取り出された生成ガス混合物が、選択的にその温度が冷却ゾーンで直接冷却及び/又は間接冷却によって低下した後で吸収ゾーンIを通り、その中で生成ガス混合物に対して並流又は向流で吸収剤Iが入れられ、この吸収剤が生成ガス混合物の経路で吸収ゾーンIを通り、被吸収物Iを形成しながら、副成分の安息香酸、フタル酸及び/又はその無水物並びにマレイン酸及び/又はその無水物を、生成ガス混合物から吸収によって洗い出し、
− 被吸収物Iが吸収ゾーンIから除かれ、及び吸収ゾーンIから取り出され洗浄された生成ガス混合物が、凝縮ゾーンIを通り、及び洗浄された生成ガス混合物の経路で凝縮ゾーンIを通って洗浄された生成ガス混合物から、その直接冷却及び/又は間接冷却によって、副成分のギ酸、酢酸、プロピオン酸、アクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドも溶解して含有するアクリル酸水溶液が、CO2及び水を含有する残留ガス混合物Iが残るという条件下で凝縮液Iとして凝縮され、この残留ガス混合物が少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性の希釈ガス並びに酢酸、プロピオン酸、アクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドの他に副成分としてさらに生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸量の少なくとも10%を含有し、
− 凝縮液Iの少なくとも一部が吸収剤Iとして吸収ゾーンIに誘導され、及びその際に選択的に残った凝縮液Iの残留量が水性中間生成物Iとして凝縮ゾーンIから取り出され、
− 凝縮ゾーンIから取り出された残留ガス混合物Iが吸収ゾーンIIを通り、その中で残留ガス混合物Iに対して並流又は向流で吸収剤IIとして水性のアルカリ塩基が誘導され、これが残留ガス混合物Iの経路で吸収ゾーンIIを通って、アルカリアクリレート水溶液を形成しながら被吸収物IIとして、アクリル酸と並んでCO2も、並びに副成分のギ酸、酢酸、プロピオン酸、アクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドも、残留ガス混合物Iから吸収によって洗い出され、その際に残留ガス混合物IIが残り、これが少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性の希釈ガス及びアクリル酸残留量の他に、水も含有し、
− 残留ガス混合物IIが吸収ゾーンIIから取り出され及び被吸収物IIが吸収ゾーンIIで水性中間生成物IIとして取り出され、
− 凝縮ゾーンIから水性中間生成物Iが取り出されない場合は、水性中間生成物IIからその中に含まれている副成分のアクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドが抽出によって有機抽出剤を使用してその中に取り出され、及びその際に残った水性ラフィネートIIがアクリル酸及びその共役塩基を含む目標生成物水溶液として、形成された有機抽出物IIから分離され、
− 凝縮ゾーンIから水性中間生成物Iが取り出される場合は、水性中間生成物IIから、その中に含まれる副成分のアクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドが有機抽出剤を使用した抽出によってその中に取り出され、及びその際に残った水性ラフィネートIIが、形成された有機抽出物IIから分離され、並びに水性中間生成物Iから、その中に含まれる副成分のアクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドが有機抽出剤を使用した抽出によってその中に取り出され、及びその際に残った水性ラフィネートIが形成された有機抽出物Iから分離され、及び水性ラフィネートIIと水性ラフィネートIがアクリル酸及びその共役塩基を含む目標生成物水溶液へと統合され(合流され)、ここから選択的にCO2がガス抜きされ、
又は
− 水性中間生成物IIと水性中間生成物Iが水性中間生成物IIIへと統合され(合流され)及び前もって選択的にCO2がガス抜きされた水性中間生成物IIIから、その中に含まれる副成分のアクロレイン、ベンズアルデヒド及び2−フルアルデヒドが有機抽出剤を使用した抽出によってその中に取り出され、及びその際に残った水性ラフィネートIIIがアクリル酸及びその共役塩基を含む目標生成物水溶液として、形成された有機抽出物IIIから分離される。
95.生成ガス混合物が、冷却ゾーン内で冷却液を使用した直接冷却によってその温度が下げられた後で吸収ゾーンIを通って誘導されることを特徴とする、実施形態94に従った方法。
96.冷却液及び生成ガス混合物が冷却ゾーン内で並流に誘導されることを特徴とする、実施形態95に従った方法。
97.冷却液として吸収ゾーンI内に形成され及びそこから放出された被吸収物Iが使用され、及び冷却された生成ガス混合物がその冷却に使用された被吸収物Iと混合されて、冷却ゾーンから吸収ゾーンIへと誘導されることを特徴とする、実施形態95又は96に従った方法。
98.冷却液として使用された被吸収物Iの温度が90〜120℃であることを特徴とする、実施形態97に従った方法。
99.目標生成物としてのアクリル酸を含む生成ガス混合物の温度が、その吸収ゾーンIへの入り口で90〜180℃であることを特徴とする、実施形態94〜98のいずれか1つに従った方法。
100.目標生成物としてのアクリル酸を含む生成ガス混合物の温度が、その吸収ゾーンIへの入り口で95〜170℃であることを特徴とする、実施形態94〜99のいずれか1つに従った方法。
101.目標生成物としてのアクリル酸を含む生成ガス混合物の温度が、その吸収ゾーンIへの入り口で100〜150℃であることを特徴とする、実施形態94〜100のいずれか1つに従った方法。
102.目標生成物としてのアクリル酸を含む生成ガス混合物の温度が、その吸収ゾーンIへの出口で150〜350℃であることを特徴とする、実施形態94〜101のいずれか1つに従った方法。
103.目標生成物としてのアクリル酸を含む生成ガス混合物の温度が、その吸収ゾーンIへの出口で200〜300℃であることを特徴とする、実施形態94〜102のいずれか1つに従った方法。
104.吸収剤Iが吸収ゾーンI内で、吸収ゾーンIを通り抜ける生成ガス混合物に対して向流で誘導され及び吸収ゾーンIが分離効果のある内部構造物を備えていることを特徴とする、実施形態94〜103のいずれか1つに従った方法。
105.吸収ゾーンIが1〜5段の理論段を備えていることを特徴とする、実施形態104に従った方法。
106.吸収ゾーンIが1〜3段の理論段を備えていることを特徴とする、実施形態104又は105に従った方法。
107.吸収ゾーンIが周囲環境に対して熱的に遮断されて稼働されることを特徴とする、実施形態94〜106のいずれか1つに従った方法。
108.吸収剤Iとして凝縮ゾーンI内に形成され及びここから取り出された凝縮液Iが使用されることを特徴とする、実施形態94〜107のいずれか1つに従った方法。
109.凝縮液Iが、その質量に対して少なくとも20質量%のアクリル酸を含有することを特徴とする、実施形態108に従った方法。
110.凝縮液Iが、その質量に対して少なくとも30質量%のアクリル酸を含有することを特徴とする、実施形態108に従った方法。
111.凝縮液Iが、その質量に対して少なくとも40質量%のアクリル酸を含有することを特徴とする、実施形態108に従った方法。
112.凝縮液Iが、その質量に対して少なくとも50質量%のアクリル酸を含有することを特徴とする、実施形態108に従った方法。
113.凝縮液Iが、その質量に対して≦95質量%のアクリル酸を含有することを特徴とする、実施形態108〜112のいずれか1つに従った方法。
114.凝縮液Iが、その質量に対して≦90質量%のアクリル酸を含有することを特徴とする、実施形態108〜113のいずれか1つに従った方法。
115.凝縮液Iが、その質量に対して50〜80質量%のアクリル酸を含有することを特徴とする、実施形態108〜114のいずれか1つに従った方法。
116.凝縮液Iが、その質量に対して50〜70質量%のアクリル酸を含有することを特徴とする、実施形態108〜115のいずれか1つに従った方法。
117.吸収剤Iが吸収ゾーンIに40〜70℃の温度で給送されることを特徴とする、実施形態94〜116のいずれか1つに従った方法。
118.吸収剤Iが吸収ゾーンIに45〜65℃の温度で給送されることを特徴とする、実施形態94〜117のいずれか1つに従った方法。
119.凝縮ゾーンIから水性中間生成物Iとして凝縮液Iが取り出されないことを特徴とする、実施形態94〜118のいずれか1つに従った方法。
120.吸収ゾーンI内で洗浄された生成ガス混合物の冷却が凝縮ゾーンI内で冷却液を使用した直接冷却によって行われることを特徴とする、実施形態94〜119のいずれか1つに従った方法。
121.冷却液として凝縮ゾーンIから凝縮液Iが取り出され、間接熱交換器内で冷却され及び続いて凝縮ゾーンI内へ戻されることを特徴とする、実施形態120に従った方法。
122.凝縮液Iが凝縮ゾーンIから取り出される温度と凝縮ゾーンIへ戻される温度との差が、10〜30℃であることを特徴とする、実施形態121に従った方法。
123.凝縮液Iが凝縮ゾーンIから取り出される温度と凝縮ゾーンIへ戻される温度との差が、15〜25℃であることを特徴とする、実施形態121に従った方法。
124.凝縮ゾーンIが分離効果のある内部構造物を備え、及び冷却液が凝縮ゾーンI内で、凝縮ゾーンIを通って誘導され吸収ゾーンI内で洗浄された生成ガス混合物に対して、向流で誘導されることを特徴とする、実施形態120〜123のいずれか1つに従った方法。
125.凝縮ゾーンIから取り出された残留ガス混合物Iが、部分酸化ゾーンから取り出された生成ガス混合物中に含まれているアクリル酸の少なくとも10%を含有することを特徴とする、実施形態94〜124のいずれか1つに従った方法。
126.凝縮ゾーンIから取り出された残留ガス混合物Iが、部分酸化ゾーンから取り出された生成ガス混合物中に含まれているアクリル酸の少なくとも15%を含有することを特徴とする、実施形態94〜124のいずれか1つに従った方法。
127.凝縮ゾーンIから取り出された残留ガス混合物Iが、部分酸化ゾーンから取り出された生成ガス混合物中に含まれているアクリル酸の少なくとも20%を含有することを特徴とする、実施形態94〜124のいずれか1つに従った方法。
128.凝縮ゾーンIから取り出された残留ガス混合物Iが、部分酸化ゾーンから取り出された生成ガス混合物中に含まれているアクリル酸の少なくとも25%を含有することを特徴とする、実施形態94〜124のいずれか1つに従った方法。
129.凝縮ゾーンIから取り出された残留ガス混合物Iが、部分酸化ゾーンから取り出された生成ガス混合物中に含まれているアクリル酸の少なくとも30%を含有することを特徴とする、実施形態94〜124のいずれか1つに従った方法。
130.凝縮ゾーンIから取り出された残留ガス混合物Iが、部分酸化ゾーンから取り出された生成ガス混合物に含まれているアクリル酸の≦99.8%を含有することを特徴とする、実施形態94〜129のいずれか1つに従った方法。
131.凝縮ゾーンIから取り出された残留ガス混合物Iが、部分酸化ゾーンから取り出された生成ガス混合物中に含まれているアクリル酸の≦99.5%を含有することを特徴とする、実施形態94〜129のいずれか1つに従った方法。
132.凝縮ゾーンI内で、事前に凝縮ゾーンIから取り出された、凝縮液Iを生じさせるアクリル酸水溶液の凝縮による直接冷却によって吸収ゾーンI内で洗浄された生成ガス混合物が冷却されることに追加的に、吸収ゾーンI内で洗浄された生成ガス混合物流に含まれているアクリル酸が水へ吸収されることが重なり合うことを特徴とする、実施形態121〜131のいずれか1つに従った方法。
133.凝縮ゾーンIに吸収剤として給送された水流の流量(kg/h)が、凝縮ゾーンIに冷却液として同時に給送される冷却された凝縮液Iの流量(kg/h)よりも小さいことを特徴とする、実施形態132に従った方法。
134.水流の流量が、冷却された凝縮液Iの給送された流量の50%未満であることを特徴とする、実施形態133に従った方法。
135.水流の流量が、冷却された凝縮液Iの給送された流量の40%未満であることを特徴とする、実施形態133に従った方法。
136.水流の流量が、冷却された凝縮液Iの給送された流量の30%未満であることを特徴とする、実施形態133に従った方法。
137.水流の流量が、冷却された凝縮液Iの給送された流量の20%未満であることを特徴とする、実施形態133に従った方法。
138.水流の流量が、冷却された凝縮液Iの給送された流量の1%以上であることを特徴とする、実施形態133〜137のいずれか1つに従った方法。
139.水流の流量が、冷却された凝縮液Iの給送された流量の5%以上であることを特徴とする、実施形態133〜137のいずれか1つに従った方法。
140.凝縮ゾーンIから水性中間生成物Iが取り出されることを特徴とする、実施形態94〜118又は実施形態120〜139のいずれか1つに従った方法。
141.水性中間生成物I中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基のモル総量GIの、水性中間生成物II中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基のモル総量GMに対するモル比M=GI/GMが、>0〜6:1であることを特徴とする、実施形態140に従った方法。
142.Mが1:6〜6:1であることを特徴とする、実施形態141に従った方法。
143.Mが>0〜5:1であることを特徴とする、実施形態141に従った方法。
144.Mが1:5〜5:1であることを特徴とする、実施形態141に従った方法。
145.Mが>0〜4:1であることを特徴とする、実施形態141に従った方法。
146.Mが1:4〜4:1であることを特徴とする、実施形態141に従った方法。
147.Mが2:1〜5:1であることを特徴とする、実施形態141に従った方法。
148.Mが2:1〜4:1であることを特徴とする、実施形態141に従った方法。
149.アクリル酸及びその共役塩基を含んでいる目標生成物水溶液が、水溶液の質量に対して15〜85質量%の水を含有していることを特徴とする、実施形態94〜148のいずれか1つに従った方法。
150.アクリル酸及びその共役塩基を含んでいる目標生成物水溶液が、水溶液の質量に対して30〜80質量%の水を含有していることを特徴とする、実施形態94〜149のいずれか1つに従った方法。
151.アクリル酸及びその共役塩基を含んでいる目標生成物水溶液が、水溶液の質量に対して40〜70質量%の水を含有していることを特徴とする、実施形態94〜150のいずれか1つに従った方法。
152.アクリル酸及びその共役塩基を含んでいる目標生成物水溶液が、水溶液の質量に対して50〜65質量%の水を含有していることを特徴とする、実施形態94〜151のいずれか1つに従った方法。
153.アクリル酸及びその共役塩基を含んでいる目標生成物水溶液が、水溶液の質量に対して65質量%以下の水を含有していることを特徴とする、実施形態149〜152のいずれか1つに従った方法。
154.アクリル酸及びその共役塩基を含んでいる目標生成物水溶液が、水溶液の質量に対して60質量%以下の水を含有していることを特徴とする、実施形態149〜152のいずれか1つに従った方法。
155.水性アルカリ塩基が、アルカリ酸化物、水酸化アルカリ、アルカリ炭酸塩、アルカリ炭酸水素塩、並びに上記塩の水化物から成る群のうち少なくとも1つのアルカリ塩を溶解して又は溶解及び懸濁して含有している水溶液であることを特徴とする、実施形態94〜154のいずれか1つに従った方法。
156.少なくとも1つのアルカリ塩が、Li2O、LiOH、LiHCO3、Li2CO3、Na2O、NaOH、NaHCO3、Na2CO3、K2O、KOH、KHCO3、K2CO3及び上記塩の水化物から成る群のうち少なくとも1つの塩であることを特徴とする、実施形態155に従った方法。
157.少なくとも1つのアルカリ塩が、カリウム及び/又はナトリウムの塩であることを特徴とする実施形155又は156に従った方法。
158.少なくとも1つのアルカリ塩が、ナトリウムの塩であることを特徴とする実施形155又は156に従った方法。
159.少なくとも1つのアルカリ塩が、KOH及び/又はNaOHであることを特徴とする実施形155又は156に従った方法。
160.少なくとも1つのアルカリ塩が、NaOHであることを特徴とする実施形155又は156に従った方法。
161.水性アルカリ塩基が、その質量に対して、少なくとも10質量%の少なくとも1つのアルカリ塩を含有することを特徴とする、実施形態155〜160のいずれか1つに従った方法。
162.水性アルカリ塩基が、その質量に対して、少なくとも20質量%の少なくとも1つのアルカリ塩を含有することを特徴とする、実施形態155〜160のいずれか1つに従った方法。
163.水性アルカリ塩基が、その質量に対して、少なくとも30質量%の少なくとも1つのアルカリ塩を含有することを特徴とする、実施形態155〜160のいずれか1つに従った方法。
164.水性アルカリ塩基が、その質量に対して、少なくとも40質量%の少なくとも1つのアルカリ塩を含有することを特徴とする、実施形態155〜160のいずれか1つに従った方法。
165.水性アルカリ塩基が、その質量に対して、60質量%以下の少なくとも1つのアルカリ塩を含有することを特徴とする、実施形態155〜164のいずれか1つに従った方法。
166.水性アルカリ塩基が、その質量に対して、50質量%以下の少なくとも1つのアルカリ塩を含有することを特徴とする、実施形態155〜164のいずれか1つに従った方法。
167.水性アルカリ塩基がその質量に対して、20〜40質量%のNaOH及び/又はKOHを含有することを特徴とする、実施形態155に従った方法。
168.水性アルカリ塩基がその質量に対して、20〜30質量%のNaOH及び/又はKOHを含有することを特徴とする、実施形態155に従った方法。
169.吸収剤IIが吸収ゾーンIIに0〜60℃の温度で給送されることを特徴とする、実施形態94〜168のいずれか1つに従った方法。
170.吸収剤IIが吸収ゾーンIIに5〜60℃の温度で給送されることを特徴とする、実施形態94〜169のいずれか1つに従った方法。
171.吸収剤IIが吸収ゾーンIIに10〜50℃の温度で給送されることを特徴とする、実施形態94〜170のいずれか1つに従った方法。
172.吸収剤IIが吸収ゾーンIIに15〜40℃の温度で給送されることを特徴とする、実施形態94〜171のいずれか1つに従った方法。
173.吸収剤IIが吸収ゾーンIIに15〜30℃の温度で給送されることを特徴とする、実施形態94〜172のいずれか1つに従った方法。
174.吸収剤IIのpH値が少なくとも8であることを特徴とする、実施形態94〜173のいずれか1つに従った方法。
175.吸収剤IIのpH値が少なくとも10であることを特徴とする、実施形態94〜173のいずれか1つに従った方法。
176.吸収剤IIのpH値が少なくとも12であることを特徴とする、実施形態94〜173のいずれか1つに従った方法。
177.吸収剤IIのpH値が少なくとも14であることを特徴とする、実施形態94〜173のいずれか1つに従った方法。
178.吸収剤II及び凝縮ゾーンIから出て吸収ゾーンIIを通って誘導された残留ガス混合物Iが、吸収ゾーンII内で互いに向流して誘導されることを特徴とする、実施形態94〜177のいずれか1つに従った方法。
179.吸収ゾーンIIが分離効果のある内部構造物を備えていることを特徴とする、実施形態178に従った方法。
180.吸収剤II中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量GMIの、吸収ゾーンI内で洗浄された生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸モル総量GMIIに対するモル比MV=GMI/GMIIが、少なくとも20:100であることを特徴とする、実施形態94〜179のいずれか1つに従った方法。
181.吸収剤II中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量GMIの、吸収ゾーンI内で洗浄された生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸モル総量GMIIに対するモル比MV=GMI/GMIIが、少なくとも40:100であることを特徴とする、実施形態94〜180のいずれか1つに従った方法。
182.吸収剤II中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量GMIの、吸収ゾーンI内で洗浄された生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸モル総量GMIIに対するモル比MV=GMI/GMIIが、少なくとも60:100であることを特徴とする、実施形態94〜181のいずれか1つに従った方法。
183.吸収剤II中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量GMIの、吸収ゾーンI内で洗浄された生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸モル総量GMIIに対するモル比MV=GMI/GMIIが、≦200:100であることを特徴とする、実施形態94〜182のいずれか1つに従った方法。
184.吸収剤II中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量GMIの、吸収ゾーンI内で洗浄された生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸モル総量GMIIに対するモル比MV=GMI/GMIIが、≦150:100であることを特徴とする、実施形態94〜183のいずれか1つに従った方法。
185.吸収剤II中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量GMIの、吸収ゾーンI内で洗浄された生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸モル総量GMIIに対するモル比MV=GMI/GMIIが、≦110:100であることを特徴とする、実施形態94〜184のいずれか1つに従った方法。
186.吸収剤II中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量GMIの、吸収ゾーンI内で洗浄された生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸モル総量GMIIに対するモル比MV=GMI/GMIIが、50〜95:100であることを特徴とする、実施形態94〜181のいずれか1つに従った方法。
187.吸収剤II中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量GMIの、吸収ゾーンI内で洗浄された生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸モル総量GMIIに対するモル比MV=GMI/GMIIが、60〜85:100であることを特徴とする、実施形態94〜181のいずれか1つに従った方法。
188.吸収剤II中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量GMIの、吸収ゾーンI内で洗浄された生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸モル総量GMIIに対するモル比MV=GMI/GMIIが、65〜75:100であることを特徴とする、実施形態94〜181のいずれか1つに従った方法。
189.吸収剤II中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量GMIの、残留ガス混合物I中に含まれるアクリル酸モル総量GMII*に対するモル比MV*=GMI/GMII*が≧50:100であることを特徴とする、実施形態94〜188のいずれか1つに従った方法。
190.吸収剤II中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量GMIの、残留ガス混合物I中に含まれるアクリル酸モル総量GMII*に対するモル比MV*=GMI/GMII*が≧70:100であることを特徴とする、実施形態94〜188のいずれか1つに従った方法。
191.吸収剤II中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量GMIの、残留ガス混合物I中に含まれるアクリル酸モル総量GMII*に対するモル比MV*=GMI/GMII*が≧90:100であることを特徴とする、実施形態94〜188のいずれか1つに従った方法。
192.吸収剤II中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量GMIの、残留ガス混合物I中に含まれるアクリル酸モル総量GMII*に対するモル比MV*=GMI/GMII*が≧100:100であることを特徴とする、実施形態94〜188のいずれか1つに従った方法。
193.吸収剤II中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量GMIの、残留ガス混合物I中に含まれるアクリル酸モル総量GMII*に対するモル比MV*=GMI/GMII*が≧150:100であることを特徴とする、実施形態94〜188のいずれか1つに従った方法。
194.吸収剤II中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量GMIの、残留ガス混合物I中に含まれるアクリル酸モル総量GMII*に対するモル比MV*=GMI/GMII*が≧200:100であることを特徴とする、実施形態94〜188のいずれか1つに従った方法。
195.吸収剤II中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量GMIの、残留ガス混合物I中に含まれるアクリル酸モル総量GMII*に対するモル比MV*=GMI/GMII*が≧250:100であることを特徴とする、実施形態94〜188のいずれか1つに従った方法。
196.吸収剤II中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量GMIの、残留ガス混合物I中に含まれるアクリル酸モル総量GMII*に対するモル比MV*=GMI/GMII*が≧300:100であることを特徴とする、実施形態94〜188のいずれか1つに従った方法。
197.吸収剤II中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量GMIの、残留ガス混合物I中に含まれるアクリル酸モル総量GMII*に対するモル比MV*=GMI/GMII*が≦1000:100であることを特徴とする、実施形態94〜188のいずれか1つに従った方法。
198.吸収剤II中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量GMIの、残留ガス混合物I中に含まれるアクリル酸モル総量GMII*に対するモル比MV*=GMI/GMII*が≦800:100であることを特徴とする、実施形態94〜188のいずれか1つに従った方法。
199.吸収剤II中に含まれるアルカリ金属カチオンのモル総量GMIの、残留ガス混合物I中に含まれるアクリル酸モル総量GMII*に対するモル比MV*=GMI/GMII*が≦600:100であることを特徴とする、実施形態94〜188のいずれか1つに従った方法。
200.吸収ゾーンII内の理論段数が5段以下であることを特徴とする、実施形態94〜199のいずれか1つに従った方法。
201.吸収ゾーンII内の理論段数が少なくとも1段であることを特徴とする、実施形態200に従った方法。
202.吸収ゾーンII内での吸収が、吸収ゾーンIIを通って誘導される残留ガス混合物Iの直接冷却及び/又は間接冷却による冷却と重なり合うことを特徴とする、実施形態94〜201のいずれか1つに従った方法。
203.冷却液を使用した直接冷却による冷却が生じることを特徴とする、実施形態202に従った方法。
204.冷却液として吸収ゾーンIIから被吸収物IIが取り出され、間接熱交換器で冷却され及び続いて吸収ゾーンII内へ戻されることを特徴とする、実施形態203に従った方法。
205.被吸収物IIが吸収ゾーンIIから取り出される温度と、間接熱交換器を通過することで冷却されて吸収ゾーンIIに戻される温度との差が5〜30℃であることを特徴とする、実施形態204に従った方法。
206.被吸収物IIが吸収ゾーンIIから取り出される温度と、間接熱交換器を通過した後で冷却されて吸収ゾーンIIに戻される温度との差が5〜15℃であることを特徴とする、実施形態204に従った方法。
207.吸収ゾーンIIから取り出された水性中間生成物IIが40〜60℃の温度を示すことを特徴とする、実施形態94〜206のいずれか1つに従った方法。
208.吸収ゾーンIIから取り出された残留ガス混合物IIが、部分酸化ゾーンから取り出された生成ガス混合物中に含まれているアクロレインの少なくとも60%を含有することを特徴とする、実施形態94〜207のいずれか1つに従った方法。
209.吸収ゾーンIIから取り出された残留ガス混合物IIが、部分酸化ゾーンから取り出された生成ガス混合物中に含まれているアクロレインの少なくとも70%を含有することを特徴とする、実施形態94〜207のいずれか1つに従った方法。
210.吸収ゾーンIIから取り出された残留ガス混合物IIが、部分酸化ゾーンから取り出された生成ガス混合物中に含まれているアクロレインの少なくとも80%を含有することを特徴とする、実施形態94〜207のいずれか1つに従った方法。
211.吸収ゾーンIIから取り出された残留ガス混合物IIが、部分酸化ゾーンから取り出された生成ガス混合物中に含まれているアクロレインの少なくとも90%を含有することを特徴とする、実施形態94〜207のいずれか1つに従った方法。
212.残留ガス混合物IIの一部がサイクルガスとして部分酸化ゾーン内の反応ガス出発混合物中に戻されることを特徴とする、実施形態94〜211のいずれか1つに従った方法。
213.吸収ゾーンIIから取り出された残留ガス混合物IIが、凝縮ゾーンIIを通り抜け、及び残留ガス混合物IIの経路上で凝縮ゾーンIIを通り抜けて、残留ガス混合物IIの直接冷却及び/又は間接冷却によって、そこから凝縮水IIを凝縮し及び形成された凝縮液II並びに凝縮時にガス状で残った残留ガス混合物が残留ガス混合物IIIとして凝縮ゾーンIIから取り出されることを特徴とする、実施形態94〜211のいずれか1つに従った方法。
214.凝縮ゾーンIIから取り出された凝縮液IIが30〜50℃の温度を示すことを特徴とする、実施形態213に従った方法。
215.残留ガス混合物IIの冷却が、冷却液を使用した直接冷却によって行われることを特徴とする、実施形態213又は214に従った方法。
216.冷却液として凝縮ゾーンIIから凝縮液IIが取り出され、間接熱交換器内で冷却され及び続いて凝縮ゾーンII内へ戻されることを特徴とする、実施形態215に従った方法。
217.凝縮液IIが凝縮ゾーンIIから取り出される温度と、間接熱交換器を通過した後で冷却されて凝縮ゾーンIIに戻される温度との差が5〜30℃であることを特徴とする、実施形態216に従った方法。
218.凝縮液IIが凝縮ゾーンIIから取り出される温度と、間接熱交換器を通過した後で冷却されて凝縮ゾーンIIに戻される温度との差が5〜15℃であることを特徴とする、実施形態216に従った方法。
219.凝縮液IIが間接熱交換器を通過した後20〜40℃の温度を示すことを特徴とする、実施形態216〜218のいずれか1つに従った方法。
220.冷却液が凝縮ゾーンII内で凝縮ゾーンIIを通って誘導される残留ガス混合物IIに対して向流に誘導されることを特徴とする、実施形態215〜219のいずれか1つに従った方法。
221.凝縮ゾーンIIから凝縮液IIが取り出され及び吸収剤IIとして投入された水性アルカリ塩基の製造に給送され及び/又は追加的に吸収ゾーンIIの吸収剤IIに給送されることを特徴とする、実施形態213〜220のいずれか1つに従った方法。
222.凝縮ゾーンIIが分離効果のある内部構造物を備えていることを特徴とする、実施形態213〜221のいずれか1つに従った方法。
223.残留ガス混合物IIIが、部分酸化ゾーンから取り出された生成ガス混合物中に含まれているアクロレインの少なくとも60%を含有することを特徴とする、実施形態213〜222のいずれか1つに従った方法。
224.残留ガス混合物IIIが、部分酸化ゾーンから取り出された生成ガス混合物中に含まれているアクロレインの少なくとも70%を含有することを特徴とする、実施形態213〜222のいずれか1つに従った方法。
225.残留ガス混合物IIIが、部分酸化ゾーンから取り出された生成ガス混合物中に含まれているアクロレインの少なくとも80%を含有することを特徴とする、実施形態213〜222のいずれか1つに従った方法。
226.残留ガス混合物IIIが、部分酸化ゾーンから取り出された生成ガス混合物中に含まれているアクロレインの少なくとも90%を含有することを特徴とする、実施形態213〜222のいずれか1つに従った方法。
227.残留ガス混合物IIIの一部がサイクルガスとし部分酸化ゾーン内の反応ガス出発混合物中に戻されることを特徴とする、実施形態213〜226のいずれか1つに従った方法。
228.少なくとも1つの、反応ガス出発混合物中に含まれている、CO2及び水とは異なる不活性希釈ガスが、標準圧力において沸点が≦−10℃を示すことを特徴とする、実施形態94〜227のいずれか1つに従った方法。
229.反応ガス出発混合物が、その容積に対して、少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性の希釈ガスを30〜90容積%含有することを特徴とする、実施形態94〜228のいずれか1つに従った方法。
230.反応ガス出発混合物が、その容積に対して、少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性の希釈ガスを40〜90容積%含有することを特徴とする、実施形態229に従った方法。
231.反応ガス出発混合物が、その容積に対して、少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性の希釈ガスを60〜85容積%含有することを特徴とする、実施形態94〜230のいずれか1つに従った方法。
232.反応ガス出発混合物が、その容積に対して、少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性の希釈ガスを70〜85容積%含有することを特徴とする、実施形態94〜231のいずれか1つに従った方法。
233.部分酸化ゾーン生成ガス混合物が、その容積に対して、少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性の希釈ガスを30〜90容積%含有することを特徴とする、実施形態94〜229のいずれか1つに従った方法。
234.部分酸化ゾーン生成ガス混合物が、その容積に対して、少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性の希釈ガスを40〜90容積%含有することを特徴とする、実施形態94〜230のいずれか1つに従った方法。
235.部分酸化ゾーン生成ガス混合物が、その容積に対して、少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性の希釈ガスを60〜85容積%含有することを特徴とする、実施形態94〜231のいずれか1つに従った方法。
236.部分酸化ゾーン生成ガス混合物が、その容積に対して、少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性の希釈ガスを70〜85容積%含有することを特徴とする、実施形態94〜232のいずれか1つに従った方法。
237.部分酸化ゾーンの生成ガス混合物が、その容積に対して、少なくとも0.05容積%のCO2含有することを特徴とする、実施形態94〜236のいずれか1つに従った方法。
238.部分酸化ゾーンの生成ガス混合物が、その容積に対して、0.1〜20容積%のCO2含有することを特徴とする、実施形態94〜237のいずれか1つに従った方法。
239.部分酸化ゾーンの生成ガス混合物が、その容積に対して、0.2〜10容積%のCO2含有することを特徴とする、実施形態94〜238のいずれか1つに従った方法。
240.少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性希釈ガスが、その総量の少なくとも60容積%が分子状窒素から成ることを特徴とする、実施形態94〜239のいずれか1つに従った方法。
241.少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性希釈ガスが、その総量の少なくとも80容積%が分子状窒素から成ることを特徴とする、実施形態94〜239のいずれか1つに従った方法。
242.少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性希釈ガスが、その総量の少なくとも90容積%が分子状窒素から成ることを特徴とする、実施形態94〜239のいずれか1つに従った方法。
243.少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性希釈ガスが、その総量の少なくとも95容積%が分子状窒素から成ることを特徴とする、実施形態94〜239のいずれか1つに従った方法。
244.少なくとも1つの、CO2及び水とは異なる不活性希釈ガスが、その総量の最大50容積%がプロパンから成ることを特徴とする、実施形態94〜239のいずれか1つに従った方法。
245.部分酸化ゾーンの生成ガス混合物が、その容積に対して、1〜50容積%のH2O含有することを特徴とする、実施形態94〜244のいずれか1つに従った方法。
246.部分酸化ゾーンの生成ガス混合物が、その容積に対して、3〜25容積%のH2O含有することを特徴とする、実施形態94〜245のいずれか1つに従った方法。
247.部分酸化ゾーンの生成ガス混合物が、その容積に対して、0.5〜20容積%のH2O含有することを特徴とする、実施形態94〜246のいずれか1つに従った方法。
248.部分酸化ゾーンの生成ガス混合物が、その容積に対して、2〜15容積%のH2O含有することを特徴とする、実施形態94〜247のいずれか1つに従った方法。
249.本方法のさまざまなゾーン内の使用圧力が0.5〜5barの範囲にあることを特徴とする、実施形態94〜248のいずれか1つに従った方法。
250.本方法のさまざまなゾーン内の使用圧力が1.05〜4barの範囲にあることを特徴とする、実施形態94〜249のいずれか1つに従った方法。
251.本方法のさまざまなゾーン内の使用圧力が1.1〜3barの範囲にあることを特徴とする、実施形態94〜250のいずれか1つに従った方法。
252.本方法のさまざまなゾーン内の使用圧力が1.5〜3barの範囲にあることを特徴とする、実施形態94〜251のいずれか1つに従った方法。
253.吸収ゾーンI、凝縮ゾーンI、吸収ゾーンII並びに選択的に追加の凝縮ゾーンIIが、1つの及び同じ分離塔内にあり前述の順番に重なり合って配置されているカラムセクションとして仕上げられ、及び生成ガス混合物が分離塔の下から上へ貫流されることを特徴とする、実施形態94〜252のいずれか1つに従った方法。
254.吸収ゾーン又は凝縮ゾーン内に形成されたカラムセクションが、それと下から上へつながっているカラムセクションに対して、少なくとも1つのチムニートレイを使用して区切られていることを特徴とする、実施形態253に従った方法。
255.凝縮ゾーンIを形成するカラムセクションを吸収ゾーンIIを形成するカラムセクションに対して区切っているチムニートレイが、吸収ゾーンIIを形成するカラムセクション内で生成された被吸収物IIを通さないことを特徴とする、実施形態254に従った方法。
256.吸収ゾーンIを形成するカラムセクションを凝縮ゾーンIを形成するカラムセクションに対して区切っているチムニートレイが、凝縮ゾーンIを形成するカラムセクション内で生成された凝縮液Iを通すことを特徴とする、実施形態254又は255に従った方法。
257.吸収ゾーンIIを形成するカラムセクションを凝縮ゾーンIIを形成するカラムセクションに対して区切っているチムニートレイが、凝縮ゾーンIIを形成するカラムセクション内で生成された凝縮液IIを通すことを特徴とする、実施形態254〜256のいずれか1つに従った方法。
258.凝縮ゾーンIから取り出された水性中間生成物I及び吸収ゾーンIIから取り出された水性中間生成物IIが、水性中間生成物IIIに統合され、及び水性中間生成物IIIのCO2ガス放出が実施されることを特徴とする、実施形態94〜118又は120〜257のいずれか1つに従った方法。
259.水性中間生成物IIIのCO2ガス放出が、95〜115℃の温度で実施されることを特徴とする、実施形態258に従った方法。
260.水性中間生成物IIIのCO2ガス放出が、100〜110℃の温度で実施されることを特徴とする、実施形態259に従った方法。
261.水性中間生成物IIIのCO2ガス放出が完了後、水性中間生成物III中に分子状酸素が溶解されることを特徴とする、実施形態258〜260のいずれか1つに従った方法。
262.事前に必要に応じてCO2をガス抜きした水性中間生成物IIIからの、又は水性中間生成物IIからの、又は水性中間生成物I及び水性中間生成物IIからの抽出が、抽出塔内で実施されることを特徴とする、実施形態94〜261のいずれか1つに従った方法。
263.抽出塔がパルス式シーブトレイ塔であることを特徴とする、実施形態262に従った方法。
264.抽出塔内にある連続相の総容積VKの、抽出塔内にある分散相の総容積VDに対する比率VK:VDが10:1〜1.1:1であることを特徴とする、実施形態262又は263に従った方法。
265.比率VK:VDが5:1〜1.5:1であることを特徴とする、実施形態264に従った方法。
266.各水性中間生成物及び有機抽出剤が、1〜80℃の範囲にある温度で抽出塔に給送されることを特徴とする、実施形態262〜265のいずれか1つに従った方法。
267.各水性中間生成物が抽出塔に給送される温度と、有機抽出剤が抽出塔に給送される温度との間の温度差が、20℃以下であることを特徴とする、実施形態266に従った方法。
268.温度差が0〜15℃であることを特徴とする、実施形態267に従った方法。
269.温度差が0〜10℃であることを特徴とする、実施形態267に従った方法。
270.抽出塔が1〜15段の理論段を備えていることを特徴とする、実施形態262〜269のいずれか1つに従った方法。
271.抽出塔が3〜10段の理論段を備えていることを特徴とする、実施形態270に従った方法。
272.抽出塔が4〜8段の理論段を備えていることを特徴とする、実施形態270又は271に従った方法。
273.有機抽出剤が抽出塔にマスフローMO[kg/h]で、及び各水性中間生成物が抽出塔にマスフローMZ[kg/h]で給送され、及び比率MO:MZが0.1〜10であることを特徴とする、実施形態262〜272のいずれか1つに従った方法。
274.比率MO:MZが0.1〜5であることを特徴とする、実施形態273に従った方法。
275.比率MO:MZが0.1〜2であることを特徴とする、実施形態273又は274に従った方法。
276.比率MO:MZが0.1〜1であることを特徴とする、実施形態273〜275のいずれか1つに従った方法。
277.各水性中間生成物が抽出塔に分散相として、及び有機抽出剤が抽出塔に連続相として給送されることを特徴とする、実施形態262〜276のいずれか1つに従った方法。
278.有機抽出剤が20℃で及び標準圧力で、水中への可溶性が溶液の質量に対して7質量%未満であることを特徴とする、実施形態94〜277のいずれか1つに従った方法。
279.有機抽出剤が20℃で及び標準圧力で、水中への可溶性が溶液の質量に対して5質量%未満であることを特徴とする、実施形態94〜277のいずれか1つに従った方法。
280.有機抽出剤が20℃で及び標準圧力で、水中への可溶性が溶液の質量に対して1質量%未満であることを特徴とする、実施形態94〜277のいずれか1つに従った方法。
281.有機抽出剤がアミン基−NH2、スルホン酸基−SO3、カルボキシル基−COOH及び無水物基−COOCO−を備えていないことを特徴とする、実施形態94〜280のいずれか1つに従った方法。
282.有機抽出剤が、以下の群:
芳香族炭化水素、アルキル基で置換した芳香族炭化水素、ハロゲン化した芳香族炭化水素、線状、分枝及び環状のパラフィン系炭化水素、ハロゲン化したパラフィン系炭化水素、芳香族炭化水素のアルキルエーテル、芳香族炭化水素のアリールエーテル、少なくとも4個のC原子を有する脂肪族及び脂環式エーテル、芳香族カルボニル化合物、少なくとも5個のC原子を有する脂肪族及び脂環式ケトン、脂肪族C1〜C4−モノカルボン酸エステル及びC1〜C6−アルカノール又はシクロアルカノールのエステル、ハロゲン化したアルカノール、脂肪族、オレフィン及び芳香族ジカルボン酸のハロゲン化しアリール基で置換したアルカノール及びジ−アルキルエステル、から成る少なくとも1つの有機溶剤であることを特徴とする、実施形態94〜281のいずれか1つに従った方法。
283.有機抽出剤が以下の群:
ベンゼン、ジフェニル、トルエン、エチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クメン、モノクロロベンゼン、モノブロモベンゼン、モノフルオロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、テトラデカン、石油エーテルガソリン留分、クロロホルム、ジクロルメタン、クロロエタン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、ジクロロプロパン、1,3−ジクロロプロパン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエタン、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、アニソール、ジフェニルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、エチル−tert−ブチルエーテル、ベンゾフェノン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソアミルケトン、ジエチルケトン、エチルプロピルケトン、エチルブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トリメチルシクロヘキサノン、ギ酸イソブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸シクロヘキシル、酢酸n−ヘキシル、プロピオン酸イソブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸イソブチル、ヘキサフルオロ−2−フェニル−2−プロパノール、マレイン酸ジエチルエステル、フタル酸ジメチルエステル及びフタル酸ジエチルエステル、から成る少なくとも1つの有機溶剤であることを特徴とする、実施形態94〜282のいずれか1つに従った方法。
284.有機抽出剤が、1,3−ジクロロプロパン、1,2−ジクロロプロパン、1,1−ジクロロエタン、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール及び2,6−ジ−tert−ブチルフェノールから成る共晶混合物、Diphyl、トルエン、クロロベンゼン、フルオロベンゼン及びベンゼン、の群から成る少なくとも1つの有機溶剤であることを特徴とする、実施形態94〜282のいずれか1つに従った方法。
285.有機抽出剤の動的粘度が、抽出条件下で0.3mPa・s〜50mPa・sの範囲にあることを特徴とする、実施形態94〜284のいずれか1つに従った方法。
286.有機抽出剤の動的粘度が、抽出条件下で0.3mPa・s〜1mPa・sの範囲にあることを特徴とする、実施形態94〜285のいずれか1つに従った方法。
287.有機抽出剤の質量密度と各水性中間生成物の質量密度の差が抽出条件下で≧10kg/m3及び≦300kg/m3であることを特徴とする、実施形態94〜286のいずれか1つに従った方法。
288.有機抽出剤の質量密度と各水性中間生成物の質量密度の差が抽出条件下で≧15kg/m3及び≦250kg/m3であることを特徴とする、実施形態94〜287のいずれか1つに従った方法。
289.有機抽出剤の質量密度と各水性中間生成物の質量密度の差が抽出条件下で≧25kg/m3及び≦200kg/m3であることを特徴とする、実施形態94〜288のいずれか1つに従った方法。
290.有機抽出剤の質量密度と各水性中間生成物の質量密度の差が抽出条件下で≧30kg/m3及び≦150kg/m3であることを特徴とする、実施形態94〜289のいずれか1つに従った方法。
291.有機抽出剤の質量密度と各水性中間生成物の質量密度の差が抽出条件下で≧40kg/m3及び≦150kg/m3であることを特徴とする、実施形態94〜290のいずれか1つに従った方法。
292.有機抽出剤の質量密度と各水性中間生成物の質量密度の差が抽出条件下で≧50kg/m3及び≦150kg/m3であることを特徴とする、実施形態94〜291のいずれか1つに従った方法。
293.各有機抽出物から分離された水性ラフィネートが有機抽出剤を溶解して含んでおり、及び溶解して含まれている有機抽出剤が水性ラフィネートから抽出法、吸着法及び/又は精留法で分離されることを特徴とする、実施形態94〜292のいずれか1つに従った方法。
294.分離された有機抽出剤が各水性中間生成物の抽出に戻されることを特徴とする、実施形態293に従った方法。
295.有機抽出剤が水性ラフィネートから精留法で分離され及び実施形態262〜277に従った方法の抽出塔に戻されることを特徴とする、実施形態293に従った方法。
296.有機抽出剤が水性ラフィネートから精留法で分離され及び精留分離が分離効果のある内部構造物を備えた精留塔内で実施され、この精留塔がストリップ部を備えていることを特徴とする、実施形態293〜295のいずれか1つに従った方法。
297.精留塔の水性ラフィネートが精留塔の最上段の理論段に給送されることを特徴とする、実施形態296に従った方法。
298.各有機抽出物中に含まれる抽出剤が有機抽出物から分離され及び各水性中間生成物の抽出に戻されることを特徴とする、実施形態94〜297のいずれか1つに従った方法。
299.抽出剤の有機抽出物からの分離が、精留法により精留塔内で実施され、この精留塔がストリップ部及び強化部分を備えていることを特徴とする、実施形態298に従った方法。
300.標準圧力で有機抽出剤が当該圧力でベンズアルデヒドの沸点より高い沸点を示し、及び有機抽出物が精留塔の中間部分又はその下に、しかし塔底より少なくとも理論段2段上に給送され、及び分離された有機抽出剤が精留塔の底部から取り出されることを特徴とする、実施形態299に従った方法。
301.精留塔のストリップ部が側留塔として形成されており、その中で塔頂と、精留塔の有機抽出物が給送される箇所との間に収集トレイがあり、及びこのトレイに到達した液体の一部がアルデヒド出口として精留塔から取り出されることを特徴とする、実施形態300に従った方法。
302.標準圧力で有機抽出剤が当該圧力でアクリル酸の沸点より低い沸点を示し、及び有機抽出物が精留塔の中間部分又はその上に、しかし塔頂より少なくとも理論段2段下に給送され、及び分離された有機抽出剤が抽出塔の塔頂から取り出されることを特徴とする、実施形態299に従った方法。
303.吸収ゾーンIから放出された被吸収物Iがその中にアクリル酸をモノマーとして及びマイケル付加体として含有し、及び吸収ゾーンIから放出された被吸収物Iの一部が被吸収物I中にモノマーとして及びマイケル付加体として自身の中に含んでいるアクリル酸の回収ユニットに給送されることを特徴とする、実施形態94〜302のいずれか1つに従った方法。
304.回収ユニットが回収塔であり、及び被吸収物Iが回収塔の底部に給送されることを特徴とする、実施形態303に従った方法。
305.回収塔の底部の温度が140〜230℃であることを特徴とする、実施形態304に従った方法。
306.回収塔の底部の温度が160〜210℃であることを特徴とする、実施形態304又は305に従った方法。
307.回収塔が分離効果のある内部構造物を備えているか又は分離効果のある内部構造物を備えていないことを特徴とする、実施形態304〜306のいずれか1つに従った方法。
308.回収塔内でアクリル酸を含む低沸点留分が気相に移行し及びこの気相が吸収ゾーンIに誘導されることを特徴とする、実施形態304〜307のいずれか1つに従った方法。
309.部分酸化ゾーンから取り出された生成ガス混合物が、吸収ゾーンIを通過する前に、冷却ゾーンで冷却され及び回収塔内でアクリル酸を含む低沸点留分が気相に移行し並びにこの気相が生成ガス混合物と共に冷却ゾーンに誘導されることを特徴とする、実施形態304〜307のいずれか1つに従った方法。
310.少なくとも1つのC3前駆体化合物が、プロパン、プロペン、アクロレイン、プロピオン酸、プロパノール、プロピオンアルデヒド及び/又はグリセロールであることを特徴とする、実施形態94〜309のいずれか1つに従った方法。
311.反応ガス出発混合物での少なくとも1つのC3前駆体化合物の比率が4〜20容積%であることを特徴とする、実施形態94〜310のいずれか1つに従った方法。
312.反応ガス出発混合物での少なくとも1つのC3前駆体化合物の比率が5〜15容積%であることを特徴とする、実施形態94〜311のいずれか1つに従った方法。
313.反応ガス出発混合物での少なくとも1つのC3前駆体化合物の比率が6〜12容積%であることを特徴とする、実施形態94〜312のいずれか1つに従った方法。
314.反応ガス出発混合物が、部分酸化反応の化学量論比に基づいて、分子状酸素を過剰に含有することを特徴とする、実施形態94〜313のいずれか1つに従った方法。
315.反応ガス出発混合物が、その容積に対して、少なくとも1容積%の水を備えていることを特徴とする、実施形態94〜314のいずれか1つに従った方法。
316.少なくとも1つのC3前駆体化合物がプロペン及び/又はアクロレインであることを特徴とする、実施形態94〜315のいずれか1つに従った方法。
317.少なくとも1つのC3前駆体化合物がプロペンであることを特徴とする、実施形態94〜316のいずれか1つに従った方法。
318.プロペンが、不均一触媒による部分脱水素化及び/又は酸化脱水素化の手順によってプロパンからプロペンが生成され、及びその際反応しなかったプロパンと共に部分酸化ゾーンのための反応ガス出発混合物中に含まれることを特徴とする、実施形態316又は317に従った方法。
319.少なくとも一部の残留ガス混合物II又は残留ガス混合物IIIが、不均一触媒による部分脱水素化及び/又は酸化脱水素化の手順に戻されることを特徴とする、実施形態318に従った方法。
320.反応ガス出発混合物中に含まれるプロペンのための供給源としてポリマー用プロペン又は化学用プロペンが使用されることを特徴とする、実施形態317に従った方法。
321.反応ガス出発混合物が4〜20容積%のプロペン含有することを特徴とする、実施形態317〜320のいずれか1つに従った方法。
322.反応ガス出発混合物が5〜15容積%のプロペン含有することを特徴とする、実施形態317〜321のいずれか1つに従った方法。
323.反応ガス出発混合物が6〜12容積%のプロペン含有することを特徴とする、実施形態317〜322のいずれか1つに従った方法。
324.反応ガス出発混合物が、その中に含んでいるプロペンのモル量に対して、>0〜3モル%のシクロプロパンを含有することを特徴とする、実施形態317〜323のいずれか1つに従った方法。
325.反応ガス出発混合物が、その中に含んでいるプロペンのモル量に対して≧10モルppb〜3モル%のシクロプロパンを含有することを特徴とする、実施形態317〜324のいずれか1つに従った方法。
326.反応ガス出発混合物が、その中に含んでいるプロペンのモル量に対して≧50モルppb〜2モル%のシクロプロパンを含有することを特徴とする、実施形態317〜325のいずれか1つに従った方法。
327.反応ガス出発混合物が、その中に含んでいるプロペンのモル量に対して≧100モルppb〜1モル%のシクロプロパンを含有することを特徴とする、実施形態317〜326のいずれか1つに従った方法。
328.反応ガス出発混合物が、その中に含んでいるプロペンのモル量に対して≧1モルppm〜0.8モル%のシクロプロパンを含有することを特徴とする、実施形態317〜327のいずれか1つに従った方法。
329.反応ガス出発混合物が、その中に含んでいるプロペンのモル量に対して≧10モルppm〜0.5モル%のシクロプロパンを含有することを特徴とする、実施形態317〜328のいずれか1つに従った方法。
330.反応ガス出発混合物が、その容積に対して、少なくとも1容積%の水を含有することを特徴とする、実施形態317〜329のいずれか1つに従った方法。
331.反応ガス出発混合物が、その容積に対して、少なくとも2容積%の水を含有することを特徴とする、実施形態317〜330のいずれか1つに従った方法。
332.反応ガス出発混合物が、その容積に対して、少なくとも3容積%の水を含有することを特徴とする、実施形態317〜331のいずれか1つに従った方法。
333.反応ガス出発混合物が、その容積に対して、少なくとも4容積%の水を含有することを特徴とする、実施形態317〜332のいずれか1つに従った方法。
334.反応ガス出発混合物が、その容積に対して、少なくとも5容積%の水を含有することを特徴とする、実施形態317〜333のいずれか1つに従った方法。
335.反応ガス出発混合物が、その容積に対して、少なくとも7容積%の水を含有することを特徴とする、実施形態317〜334のいずれか1つに従った方法。
336.反応ガス出発混合物が、その容積に対して、少なくとも9容積%の水を含有することを特徴とする、実施形態317〜335のいずれか1つに従った方法。
337.反応ガス出発混合物が、その容積に対して、少なくとも15容積%の水を含有することを特徴とする、実施形態317〜336のいずれか1つに従った方法。
338.反応ガス出発混合物が、その容積に対して、30容積%以下の水を含有することを特徴とする、実施形態317〜337のいずれか1つに従った方法。
339.部分酸化ゾーンが第1反応段階1及び第2反応段階2を含み、その際に反応段階1で、実質的に反応ガス出発混合物中に含まれるプロペンがアクロレインに、及び反応段階2で、実質的に反応段階1で形成されたアクロレインがアクリル酸へ部分酸化されることを特徴とする、実施形態317〜338のいずれか1つに従った方法。
340.反応段階1で形成されたアクロレインが、事前に反応段階1の生成ガス混合物から分離されることなく、反応段階2でアクリル酸へ部分酸化されることを特徴とする、実施形態339に従った方法。
341.反応段階1が、触媒固定床1を備え、その触媒が固形活物質として少なくとも1つのMo、Fe及びBiを含んだ多金属酸化物を備えることを特徴とする、実施形態317〜340のいずれか1つに従った方法。
342.反応段階2が、触媒固定床2を備え、その触媒が固形活物質として少なくとも1つのMo及びVを含んだ多金属酸化物を備えることを特徴とする、実施形態317〜341のいずれか1つに従った方法。
343.反応段階1のプロペンが、反応ガス出発混合物の成分として給送され、この反応ガス出発混合物が分子状酸素及びプロペンをモル比O2:C3H6≧1で含有し、反応ガス出発混合物が250〜490℃の温度範囲で触媒固定床1を通って誘導されることを特徴とする、実施形態341又は342に従った方法。
344.反応段階1のプロペンが、反応ガス出発混合物の成分として給送され、この反応ガス出発混合物が分子状酸素及びプロペンをモル比O2:C3H6≧1で含有し、反応ガス出発混合物が270〜450℃の温度範囲で触媒固定床1を通って誘導されることを特徴とする、実施形態341〜343のいずれか1つに従った方法。
345.反応段階1のプロペンが、反応ガス出発混合物の成分として給送され、この反応ガス出発混合物が分子状酸素及びプロペンをモル比O2:C3H6≧1で含有し、反応ガス出発混合物が280〜420℃の温度範囲で触媒固定床1を通って誘導されることを特徴とする、実施形態341〜344のいずれか1つに従った方法。
346.反応段階1のプロペンが、反応ガス出発混合物の成分として給送され、この反応ガス出発混合物が分子状酸素及びプロペンをモル比O2:C3H6≧1で含有し、反応ガス出発混合物が300〜380℃の温度範囲で触媒固定床1を通って誘導されることを特徴とする、実施形態341〜345のいずれか1つに従った方法。
347.反応段階2のアクロレインが、反応ガス出発混合物2の成分として給送され、この反応ガス出発混合物が分子状酸素及びアクロレインをモル比O2:C3H4O≧0.5で含有し、及び反応ガス出発混合物2が180〜390℃の温度範囲で触媒固定床2を通って誘導されることを特徴とする、実施形態341〜346のいずれか1つに従った方法。
348.反応段階2のアクロレインが、反応ガス出発混合物2の成分として給送され、この反応ガス出発混合物が分子状酸素及びアクロレインをモル比O2:C3H4O≧0.5で含有し、及び反応ガス出発混合物2が200〜370℃の温度範囲で触媒固定床2を通って誘導されることを特徴とする、実施形態341〜347のいずれか1つに従った方法。
349.反応段階2のアクロレインが、反応ガス出発混合物2の成分として給送され、この反応ガス出発混合物が分子状酸素及びアクロレインをモル比O2:C3H4O≧0.5で含有し、及び反応ガス出発混合物2が200〜320℃の温度範囲で触媒固定床2を通って誘導されることを特徴とする、実施形態341〜348のいずれか1つに従った方法。
350.反応段階2のアクロレインが、反応ガス出発混合物2の成分として給送され、この反応ガス出発混合物が分子状酸素及びアクロレインをモル比O2:C3H4O≧0.5で含有し、及び反応ガス出発混合物2が220〜300℃の温度範囲で触媒固定床2を通って誘導されることを特徴とする、実施形態341〜349のいずれか1つに従った方法。
351.第1反応段階でのプロペン反応率が、プロペンを含む反応ガス出発混合物が第1反応段階を通過1回につき、≧80モル%であることを特徴とする、実施形態341〜350のいずれか1つに従った方法。
352.第1反応段階でのプロペン反応率が、プロペンを含む反応ガス出発混合物が第1反応段階を通過1回につき、≧90モル%であることを特徴とする、実施形態341〜351のいずれか1つに従った方法。
353.第1反応段階でのプロペン反応率が、プロペンを含む反応ガス出発混合物が第1反応段階を通過1回につき、≦99.9モル%であることを特徴とする、実施形態341〜352のいずれか1つに従った方法。
354.第2反応段階でのアクロレイン反応率が、アクロレインが第2反応段階を通過1回につき、≧80モル%であることを特徴とする、実施形態341〜353のいずれか1つに従った方法。
355.第2反応段階でのアクロレイン反応率が、アクロレインが第2反応段階を通過1回につき、≧90モル%であることを特徴とする、実施形態341〜353のいずれか1つに従った方法。
356.第2反応段階でのアクロレイン反応率が、アクロレインが第2反応段階を通過1回につき、≦99.99モル%であることを特徴とする、実施形態341〜355のいずれか1つに従った方法。
357.反応段階1のプロペンが、反応ガス出発混合物の成分として給送され、この反応ガス出発混合物が分子状酸素及びプロペンをモル比O2:C3H6≧1及び≦3で含有することを特徴とする、実施形態343〜357のいずれか1つに従った方法。
358.反応段階2のアクロレインが、反応ガス出発混合物2の成分として給送され、この反応ガス出発混合物が分子状酸素及びアクロレインをモル比O2:C3H4O≧0.5及び≦2で含有することを特徴とする、実施形態343〜357のいずれか1つに従った方法。
359.反応段階1が触媒固定床1を備え、その触媒が固形活物質として少なくとも1つのMo、Fe及びBiを含んだ、一般式Iの多金属酸化物、
Mo12BiaFebX1 cX2 dX3 eX4 fOn(I)、
[式中、
X1=ニッケル及び/又はコバルト、
X2=タリウム、1つのアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、
X3=亜鉛、リン、砒素、ホウ素、アンチモン、スズ、セリウム、鉛及び/又はウォルフラム、
X4=ケイ素、アルミニウム、チタン及び/又はジルコニウム、
a=0.5〜5、
b=0.01〜5、好ましくは2〜4、
c=0〜10、好ましくは3〜10、
d=0〜2、好ましくは0.02〜2、
e=0〜8、好ましくは0〜5、
f=0〜10、及び
n=式I中の酸素とは異なる元素の電子価及び元素組成によって決められる数を表す]
を備えることを特徴とする、実施形態341〜358のいずれか1つに従った方法。
360.反応段階2が触媒固定床2を備え、その触媒が固形活物質として少なくとも1つのMo及びVを含んだ、一般式IIの多金属酸化物、
Mo12VaXbX2 cX3 dX4 eX5 fX6 gOn(II)、
[式中、
X1=W、Nb、Ta、Cr及び/又はCe、
X2=Cu、Ni、Co、Fe、Mn及び/又はZn、
X3=Sb及び/又はBi、
X4=1つ以上のアルカリ金属、
X5=1つ以上のアルカリ土類金属、
X6=Si、Al、Ti及び/又はZr、
a=1〜6、
b=0.2〜4、
c=0.5〜18、
d=0〜40、
e=0〜2、
f=0〜4、
g=0〜40、及び
n=式I中の酸素とは異なる元素の電子価及び元素組成によって決められる数を表す]
を備えることを特徴とする、実施形態341〜349のいずれか1つに従った方法。
361.触媒固定床1のプロペンによる負荷が≧80Nl/l・h〜≦250Nl/l・hであることを特徴とする、実施形態341〜360のいずれか1つに従った方法。
362.触媒固定床2のアクロレインによる負荷が≧60Nl/l・h〜≦250Nl/l・hであることを特徴とする、実施形態341〜360のいずれか1つに従った方法。
363.反応段階1及び反応段階2での使用圧力が0.5〜5barであることを特徴とする、実施形態339〜362のいずれか1つに従った方法。
364.部分酸化ゾーン内で得られる生成ガス混合物が以下:
生成ガス混合物の質量に対して、0.4〜40質量%の水、
生成ガス混合物の質量に対して、0.05〜15質量%のCO2、
生成ガス混合物の質量に対して、1〜30質量%のアクリル酸、
並びに生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸の総質量に対して、
プロピオン酸を≧50質量ppm〜≦0.25質量%、
ギ酸を≧200質量ppm〜≦2.5質量%、
酢酸を≧3000質量ppm〜≦12質量%、
安息香酸を≧15質量ppm〜≦1質量%、
無水マレイン酸及びマレイン酸の総量を無水マレイン酸として計算して≧15質量ppm〜≦5質量%、
無水フタル酸及びフタル酸の総量を無水フタル酸として計算して≧15質量ppm〜≦1質量%、
アクロレインを≧55質量ppm〜≦5質量%、
ベンズアルデヒドを≧55質量ppm〜≦1質量%、
2−フルアルデヒドを≧55質量ppm〜≦0.5質量%
を含有し、及び
生成ガス混合物に残っている残留量の最大100質量%に対して少なくとも80質量%がN2、CO、メタン、エタン、プロパン及び希ガスから成る群の少なくとも1つの成分であり、
条件として、生成ガス混合物中に含まれるN2、CO、CO2、メタン、エタン、プロパン及び希ガスの総量が、生成ガス混合物の総容積に対して、少なくとも30容積%であることを特徴とする、実施形態94〜363のいずれか1つに従った方法。
365.最生成ガス混合物に残っている残留量の最大100質量%に対して少なくと85質量%が、生成ガス混合物中のN2、CO、メタン、エタン、プロパン及び希ガスから成る群の少なくとも1つの成分であることを特徴とする、実施形態364に従った方法。
366.生成ガス混合物に残っている残留量の最大100質量%に対して少なくと90質量%が、生成ガス混合物中のN2、CO、メタン、エタン、プロパン及び希ガスから成る群の少なくとも1つの成分であることを特徴とする、実施形態364に従った方法。
367.生成ガス混合物に残っている残留量の最大100質量%に対して少なくと95質量%が、生成ガス混合物中のN2、CO、メタン、エタン、プロパン及び希ガスから成る群の少なくとも1つの成分であることを特徴とする、実施形態364に従った方法。
368.生成ガス混合物が、その質量に対して、5〜20質量%のアクリル酸を含有することを特徴とする、実施形態364〜367のいずれか1つに従った方法。
369.生成ガス混合物が、その質量に対して、0.1〜10質量%のCO2を含有することを特徴とする、実施形態364〜368のいずれか1つに従った方法。
370.生成ガス混合物が、その質量に対して、0.3〜5質量%のCO2を含有することを特徴とする、実施形態364〜369のいずれか1つに従った方法。
371.生成ガス混合物が、その質量に対して、1〜25質量%のH2Oを含有することを特徴とする、実施形態364〜370のいずれか1つに従った方法。
372.生成ガス混合物が、その質量に対して、3〜15質量%のH2Oを含有することを特徴とする、実施形態364〜371のいずれか1つに従った方法。
373.実施形態94〜372に従った方法により得られることを特徴とする、実施形態1〜77又は79〜93のいずれか1つに従った水溶液。
374.その質量に対して、有機抽出剤を1〜1000質量ppm含有することを特徴とする、実施形態373に従った水溶液。
375.実施形態373又は374に従った水溶液に、水溶液中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基のモル総量に対して最大40モル%の、少なくとも1つの、アクリル酸及びその共役塩基とは異なるエチレン系一価不飽和化合物を添加することによって得られる水性混合物。
376.実施形態373又は374に従った水溶液に、水溶液中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基のモル総量に対して最大30モル%の、少なくとも1つの、アクリル酸及びその共役塩基とは異なるエチレン系一価不飽和化合物を添加することによって得られる水性混合物。
377.実施形態373又は374に従った水溶液に、水溶液中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基のモル総量に対して最大20モル%の、少なくとも1つの、アクリル酸及びその共役塩基とは異なるエチレン系一価不飽和化合物を添加することによって得られる水性混合物。
378.実施形態373又は374に従った水溶液に、水溶液中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基のモル総量に対して最大10モル%の、少なくとも1つの、アクリル酸及びその共役塩基とは異なるエチレン系一価不飽和化合物を添加することによって得られる水性混合物。
379.実施形態373又は374に従った水溶液に、水溶液中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基のモル総量に対して最大5モル%の、少なくとも1つの、アクリル酸及びその共役塩基とは異なるエチレン系一価不飽和化合物を添加することによって得られる水性混合物。
380.少なくとも1つの、アクリル酸及びその共役塩基とは異なるエチレン系一価不飽和化合物が、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン−スルホン酸、上記酸のアミド、上記酸のアルカリ金属塩、上記酸のアンモニウム塩、アクリル酸のモノヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸のモノヒドロキシアルキルエステル、N−ビニルホルムアミド、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル一価アルコール、アクリロニトリル、メタクリロニトリル並びに酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のビニルエステルから成る群から選択されている、実施形態375〜379のいずれか1つに従った水性混合物。
381.水性混合物中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基のモル総量に対して、アクリル酸及びその共役塩基とは異なるエチレン系一価不飽和化合物が0.001〜5モル%の、少なくとも2つの、互いに共役していてよいエチレン不飽和二重結合のうちの少なくとも1つを持つ化合物を添加されて含んでいる、実施形態375〜380のいずれか1つに従った水性混合物。
382.それが水溶液であることを特徴とする、実施形態381に従った水性混合物。
383.水溶液中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基のモル量に対して、0.001〜5モル%の、少なくとも2つの、互いに共役していてよいエチレン不飽和二重結合のうちの少なくとも1つを持つ化合物を含んでいる、実施形態373又は374に従った水溶液。
384.実施形態1〜87、又は373、又は374、又は383に従った水溶液から行われることを特徴とする、ラジカル重合の方法。
385.実施形態88〜93、又は375〜382に従った水溶液から行われることを特徴とする、ラジカル重合の方法。
386.選択的に事前にその中にまだ含まれている有機抽出剤が分離された後で、製造された目標生成物水溶液から行われるラジカル重合の手順に続くことを特徴とする、実施形態94〜372のいずれか1つに従った方法。
387.選択的に事前にまだその中に含まれている有機抽出剤が分離された後で、製造された目標生成物水溶液から行われるラジカル重合の手順に続き、目標生成物水溶液中に含まれているアクリル酸及びその共役塩基、並びに選択的にアクリル酸及びその共役塩基とは異なる、少なくともエチレン系一価不飽和の化合物が、ポリマー中に重合導入されることを特徴とする、実施形態94〜372のいずれか1つに従った方法。
388.ラジカル開始によって生じたポリマーを製造するための、実施形態1〜87、又は373、又は374、又は383に従った水溶液の使用。
389.ラジカル開始によって生じたポリマーを製造するための、実施形態88〜93、又は375〜382に従った水性混合物の使用。
図1は、分離塔Kの模式図を示している。
図2は、カラムアダプターを模式的に示している。
実施例(安定した稼働状態が記述される)
実施例1
その総容積に対して≧3.85容積%のプロパン及び≧96容積%のプロペンを含む0.23kg/hの化学用純度のプロペン、1.15kg/hの空気及び1.17kg/hのサイクルガスから、2.55kg/hの反応ガス出発混合物(反応ガス出発混合物1)を生成し、これが以下を含有していた:
78.83容積%のN2、
10.52容積%のO2、
3.74容積%のH2O、
0.03容積%のCO2、
0.015容積%のアクロレイン、
0.48容積%のプロパン、
0.40容積%のCO、及び
5.88容積%のプロペン。
部分酸化ゾーンは2つの管型反応器を備え、これらをWO2007/074045の実施例のように相前後して接続した。反応管の内部空間にはそれぞれ触媒固定床を充填したが、これはWO2007/074045の実施例中の反応管充填物反応管充填物に相当した。すなわち、第1反応段階の触媒固定床のために、DE−A10046957の実施例1に従った、Mo、Bi及びFeを含む固形活物質を備えた非担持触媒を、及び第2の反応段階の触媒固定床ために、DE−A10046928の製造例5に従った、Mo及びVを含む固形活物質を備えたシェル触媒を使用した。触媒固定床を活性構造化するために、ステアタイト製リングを一緒に使用した。その形状は各触媒形状にそれぞれ合致させた。
WO2007/074045の実施例とは異なり、酸素中間供給には実質的に純粋な分子状酸素ではなく、空気を使用した(0.17kg/h)。第1反応段階への入口圧力は2.135barであった。第2反応段階への入口圧力は1.83barであった。反応管の温度調節は、WO2007/074045の実施例に記載された溶融塩を用いて行った。その温度は第1反応段階で反応ガス出発混合物が第1反応段階を1回通過する際にプロペン反応率が96.8±0.1モル%になるよう設定した。第2反応段階の溶融塩温度は、反応ガス出発混合物2が第2反応段階を1回通過する際にアクロレイン反応率が99.2±0.1モル%になるよう設定した。第1反応段階の触媒固定床のプロペン負荷は、145Nl/l・hに設定した(用語「プロペン負荷」は、WO2007/074045の定義を使用)。第2反応段階の触媒固定床のアクロレイン負荷は、127Nl/l・hであった(用語「アクロレイン負荷」はWO2007/074045の定義を使用)。ちなみに、WO2007/074045の実施例のように実施した。
第2反応段階から出た生成ガス混合物の流れは2.72kg/hであった。その温度は260℃、出口圧力は1.5barであった。生成ガス混合物は、その総質量に対して以下を含有していた:
76.13質量%のN2、
2.41質量%のO2、
6.01質量%のH2O、
1.03質量%のCO2、
589質量ppmのアクロレイン、
12.08質量%のアクリル酸、
2246質量ppmの酢酸、
30質量ppmの2−フルアルデヒド、
0.132質量%の無水マレイン酸、
50質量ppmのベンズアルデヒド、
0.69質量%のプロパン、
0.69質量%のCO、
0.143質量%のホルムアルデヒド、
309質量ppmのギ酸、
30質量ppmのプロピオン酸、
110質量ppmの安息香酸、
150質量ppmの無水フタル酸、及び
0.171質量%のプロペン。
これに対応して、生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸の総質量に対して、以下を含有していた:
248質量ppmのプロピオン酸、
2557質量ppmのギ酸、
1.86質量%の酢酸、
911質量ppmの安息香酸、
1.09質量%の無水マレイン酸、
1241質量ppmの無水フタル酸、
4875質量ppmのアクロレイン、
413質量ppmのベンズアルデヒド、及び
248質量ppmの2−フルアルデヒド、
生成ガス混合物の総容積に対して、以下を含有していた:
80.42容積%のN2、
2.23容積%のO2、
0.69容積%のCO2、
0.46容積%のプロパン、及び
0.73容積%のCO。
生成ガス混合物流は、以下でこれから記述する回収ユニットRから取り出した低沸点物質の流れの0.02kg/hと共に(低沸点物質の流れは温度181.5℃、及び圧力1.5barであった)並流に駆動するスプレークーラー(=冷却ゾーン)に給送した。その中に、冷却液として7.60kg/hで温度100.3℃を示す塔底液を噴霧したが、この塔底液は温度が100.2℃で、以下でこれから記述する吸収ゾーンI、凝縮ゾーンI、吸収ゾーンII及び凝縮ゾーンIIを備えた分離塔Kの底部から取り出し、ポンプを使用してスプレークーラーへ送った。
塔底液は以下を含有していた:
2.09質量%の水、
70.11質量%のアクリル酸(モノマー及びマイケル付加体として)、
0.44質量%の酢酸、
320質量ppmの2−フルアルデヒド、
21.0質量%のMSA及びMAS、MASとして計算、
888質量ppmのベンズアルデヒド、
1.53質量%のPSA及びPAS、PSAとして計算、
0.19質量%のギ酸、
210質量ppmのプロピオン酸、
1.28質量%の安息香酸、
2.43質量%のメチレングリコール、及び
0.45質量%のMEHQ。
生成ガス混合物流、低沸点物質の流れ及び冷却液から成る二相混合物(合計10.34kg/h)を、温度102.6℃で最下部の分離効果のある内部構造物より下で塔低レベルより上の、分離塔Kの塔底チャンバに誘導した。分離塔Kの塔底チャンバ内の圧力は1.34barであった(塔低レベルのすぐ上)。
分離塔Kの模式図は図1に示している。分離塔Kの長さ(高さ)は4400mmであった。分離塔Kの円筒形の塔底チャンバの高さは500mm、内径は100mmであった。残りの長さ部分の分離塔Kの円筒形の断面の内径は均一で50mmであった。これは圧力検査済みのガラス製であった。
分離塔Kの塔底チャンバは二重壁仕様であった。壁間に熱媒体油を通し、(被吸収物Iの)塔底液の温度が100.2℃になるよう保証した。
塔底上では下から上へ連続した4つのカラムセクションが重ねられた。上から下へ第1番目及び第2番目のセクションの長さは、それぞれ650mmであった。下から第3番目のセクションは1000mm、下から第4番目のセクションは長さ500mmであった。各4つのセクションにはそれぞれの部分長に、構造化した規則充填物、タイプRombopack9Mを分離効果のある内部構造物として充填した。
(下から)第1番目のセクションの充填した部分長は500mmであった。(下から)第2番目のセクションの充填した部分長は620mmであった。(下から)第3番目のセクションの充填した部分長は900mmであった。(下から)第4番目のセクションの充填した部分長は450mmであった。規則充填物の外径は、これが支持部が不要で、その外表面が各カラムセクションの内壁に押しつけられて固定されるように寸法決めした。セクションの充填した部分長の上端とセクションの上端との間隔及びセクションの充填した部分長の下端とセクションの下端との間隔は同一セクション内では同じであった。
2つの連続するカラムセクションの間にはそれぞれ1つのやはりガラス製のカラムアダプターがあり、これは長さが300mmであった。
このようなカラムアダプターは、模式的に図2に示している。それぞれ同じくガラス製の、中央に円筒形のチムニーを持つチムニートレイを装備していた。チムニーの直径は17mmであった。チムニーの高さは30mmであった(中心の縦軸に基づいて決定)。チムニーの上端にはスリットを入れたカバーフードを終端部として取り付けた。チムニートレイ自身は水平ではなく傾斜して伸びていた(チムニートレイと塔壁とがなす角度は75°であった)。チムニートレイは下から上へ、下から上へ流れるガス流を透過させた。その上にあるセクションからチムニートレイへ到達した液体を、チムニートレイは透過させなかった。同じく図2に示した流出口を経由して、各チムニートレイから流出口へと到達した液体を排出した。
さらには、図2に示したようにカラムアダプターはそれぞれ下方を向いた流入口を備えていた。この流入口を経由して、外から分離塔K内に、カラムアダプターの下にあるセクションの規則充填物の頭部に液体を誘導した。チムニートレイの中央には長さ(高さ)300mmのアダプターがあり、これはその下端から上を見てそれぞれ高さ215mmのところにあった。チムニートレイの中央120mm下側には下方を向いた流入口の流出口があった。流出口の内径は8mmであった。
4つのセクション及び各カラムアダプターは二重壁仕様であった。壁間を通ってそれぞれ液状の熱媒体を誘導し、塔内部から周囲への熱損失を防止した(分離塔Kの断熱稼働)。分離塔Kの3つの上部セクション及びカラムアダプターのために、それぞれ加温した水を熱媒体として使用した。最下部のセクションでは同じく熱媒体油をトレース加熱のために使用した。各液状熱媒体の壁間への流入は、下から上へ流して行った。液状熱媒体をそれぞれ給送した温度は、それぞれ液体が各セクションの規則充填物の下端から流出する温度に合わせて、ないしチムニートレイから流出する液体の温度に合わせて調整した。
全体として分離塔Kの底部から7.63kg/hの塔底液(被吸収物I)を分離塔から取り出した。そのうちの0.03kg/hを回収ユニットRに給送する一方、残りの7.60kg/hを、記述したように冷却ゾーンで冷却液として噴霧した。
分離塔Kの最下部のセクションは、塔底チャンバと共に吸収ゾーンIを形成した。
分離塔Kの下から第2番目のセクションは凝縮ゾーンIを形成した。この中を、下から上へチムニートレイのチムニーを通って、吸収ゾーンI内で洗浄されたガス流が流れた。この流量は3.31kg/hであった。その温度は85.1℃、圧力は1.34barであった。
このガス流は、その総質量に対して以下、
62.7質量%のN2、
1.99質量%のO2、
10.5質量%のH2O、
0.85質量%のCO2、
517質量ppmのアクロレイン、
21.56質量%のアクリル酸、
3804質量ppmの酢酸、
41質量ppmの2−フルアルデヒド、
<1質量ppmのMSA及びMAS、MSAとして計算、
76質量ppmのベンズアルデヒド、
0.57質量%のプロパン、
0.57質量%のCO、
2824質量ppmのホルムアルデヒド、
541質量ppmのギ酸、
60質量ppmのプロピオン酸、
<1質量ppmのMEHQ、
<1質量ppmの安息香酸、
<1質量ppmのPSA及びPAS、PSAとして計算、及び
0.144質量%のプロペン
を含有していた。
下から第1番目のチムニートレイの流出口を経由して、16.78kg/hの、温度55℃の凝縮液Iを凝縮ゾーンIから取り出した。
その総質量に対して凝縮液Iは以下を含有していた:
31.17質量%の水、
179質量ppmのアクロレイン、
65.72質量%のアクリル酸、
1.10質量%の酢酸、
120質量ppmの2−フルアルデヒド、
220質量ppmのベンズアルデヒド、
− MSA及びMAS、
220質量ppmのベンズアルデヒド、
1.51質量%のメチレングリコール、
0.17質量%のギ酸、
179質量ppmのプロピオン酸、
− 安息香酸、
− PSA及びPAS、及び
160質量ppmのMEHQ。
分離塔Kから取り出された凝縮液Iのこの流れに、温度25℃の、MEHQ水溶液の0.12kg/hの流れを加えた。MEHQ水溶液の含有量は、結果として生じる重合を阻害した凝縮液Iの全流が169質量ppmのMEHQを含んでいるように決定した(その総質量に対して)。
重合を阻害した凝縮液Iの全流を、二重壁を備えた撹拌槽に給送した。壁間には冷却液として水を誘導した。撹拌槽は間接的な熱交換器として機能した(間接熱交換器)。この槽の滞留時間は3分であった。
この槽から取り出した、重合を阻害した凝縮液Iの冷却した全流の温度は35℃であった。全流の0.59kg/hは、下から第1番目のカラムアダプターの下方を向いた流入口を経由して、吸収剤Iとして最上部の構造化した規則充填物の頭部へ、吸収ゾーンIに給送した。全流の15.93kg/hは、下から第2番目のカラムアダプターの下方を向いた流入口を経由して冷却液として最上部の構造化した規則充填物の頭部へ、凝縮ゾーンIに戻した。全流の0.38kg/hは、水性中間生成物Iとして分離塔Kから運び去った。
凝縮ゾーンIにガス状で残った残留ガス混合物Iは、その総質量に対して以下を含有していた:
84.54質量%のN2、
2.68質量%のO2、
6.36質量%のH2O、
1.14質量%のCO2、
628質量ppmのアクロレイン、
3.18質量%のアクリル酸、
788質量ppmの酢酸、
10質量ppmの2−フルアルデヒド、
− MSA及びMAS、
10質量ppmのベンズアルデヒド、
0.76質量%のプロパン、
0.76質量%のCO、
118質量ppmのホルムアルデヒド、
80質量ppmのギ酸、
10質量ppmのプロピオン酸、
− 安息香酸、
− PSA及びPAS、及び
0.19質量%のプロペン。
凝縮ゾーンIから下から第3番目のセクションに(吸収ゾーンIIに)流れる残留ガス混合物Iの流れは温度が55℃、流量が2.45kg/h、圧力が1.325barであった。
下から第2番目のチムニートレイの流出口を経由して温度50℃の、3.37kg/hの被吸収物IIを吸収ゾーンIIから取り出した。
その総質量に対して被吸収物IIは以下を含有していた:
68.42質量%の水、
119質量ppmのアクロレイン、
30質量ppmの2−フルアルデヒド、
40質量ppmのベンズアルデヒド、
800質量ppmのメチレングリコール、
60質量ppmのMEHQ、及び
アクリル酸及びその共役塩基の総量をアクリル酸として計算して13.28質量%、
並びに、アクリル酸として計算した、水性被吸収物II中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して305質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して0.23質量%、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して2.49質量%、
− 安息香酸、
− MSA及びMAS、
− PSA及びPAS、及び
245モル%のNa+。
吸収ゾーンIIから取り出した被吸収物IIの流れ(0.26kg/h;温度=20℃)に、50質量%のNaOH水溶液(NaOH純度≧99.9質量%)の流れ及びMEHQの阻害剤水溶液の流れ(0.23kg/h;温度=20℃)を給送した。阻害剤水溶液のMEHQ含有量は、吸収ゾーンIIから取り出した被吸収物IIのMEHQ含有量が、その総質量に対して、60質量ppmになるように決定した。
この重合を阻害した全流を、二重壁(ダブルジャケット)を備えた撹拌槽に給送した(本実施例1で常にそうであるように、別段の指示がない限り、このような撹拌槽は圧力検査済みのガラス製であった)。壁間には冷却液として水を誘導した。撹拌槽は間接的な熱交換器として機能した(間接熱交換器)。この槽中での滞留時間は15分であった。ここから取り出した、冷却した全流の温度は40℃であった。この冷却した、重合を阻害した全流の0.67kg/hは、水性中間生成物IIとして分離塔Kから運び去った。
冷却した、重合を阻害した全流の別の3.19kg/hは、0.03kg/hの凝縮水IIと合流した。これは下から第3番目のチムニートレイの流出口を経由して凝縮ゾーンIIから取り出し及び間接熱交換器内で30℃に冷却したものであった。
その際結果として生じた全流を、下から第3番目のカラムアダプターの下方を向いた流入口を経由して、吸収剤IIと冷却液として循環して誘導された凝縮液IIとの混合物として、最上部の構造化した規則充填物の頭部で、吸収ゾーンIIに給送した。
凝縮液IIは、その総質量に対して以下を含有していた:
99.87質量%の水、
110質量ppmのアクロレイン、
10質量ppmの2−フルアルデヒド、
0.027質量%のメチレングリコール、
吸収ゾーンIIから下から第4番目のセクションに(凝縮ゾーンIIに)流れる残留ガス混合物IIの流れは温度が50℃、及び流量が2.30kg/h及び圧力が1.315barであった。その総質量に対して残留ガス混合物IIは以下を含有していた(CO2はこの中にはもはや含まれていなかった):
90.13質量%のN2、
2.85質量%のO2、
5.07質量%のH2O、
640質量ppmのアクロレイン、
10質量ppmのベンズアルデヒド、
0.815質量%のプロパン、
0.817質量%のCO、及び
0.197質量%のプロペン。
水性中間生成物IIは、以下を含有していた(その総質量に対して):
69.16質量%の水、
110質量ppmのアクロレイン、
20質量ppmの2−フルアルデヒド、
30質量ppmのベンズアルデヒド、
710質量ppmのメチレングリコール、
60質量ppmのMEHQ、
アクリル酸及びその共役塩基の総量をアクリル酸として計算して11.6質量%、
並びに、アクリル酸として計算した、水性中間生成物II中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して305質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して0.23質量%、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して2.49質量%、
− 安息香酸及びその共役塩基、
− MSA及びMAS並びにその共役塩基、
− PSA及びPAS並びにその共役塩基、及び
299モル%のNa+。
下から第3番目のチムニートレイの流出口を経由して、温度40℃の、2.56kg/hの凝縮液IIを凝縮ゾーンIIから取り出した。この凝縮液IIの流れを、二重壁を備えた撹拌槽に給送した。壁間(ジャケット間)には冷却液として水を誘導した。撹拌槽は間接的な熱交換器として(間接熱交換器として)機能した。この槽中での滞留時間は25分であった。ここから取り出した、冷却した凝縮液IIの2.56kg/hの流れの温度は30℃であった。この流れの0.03kg/hは、水性吸収剤IIの調整へと給送した。残りの2.53kg/hは、下から第3番目のカラムアダプターの下方を向いた流入口を経由して冷却液として最上部の構造化した規則充填物の頭部で、凝縮ゾーンIIに戻した。
凝縮ゾーンIIにガス状で残った残留ガス混合物IIIは、その総質量に対して以下を含有していた(そのCO2含有量は消滅した):
91.45質量%のN2、
2.90質量%のO2、
3.67質量%のH2O、
640質量ppmのアクロレイン、
− アクリル酸、
10質量ppmのベンズアルデヒド、
0.827質量%のプロパン、
0.829質量%のCO、及び
0.2質量%のプロペン。
その温度は40℃、圧力は1.305bar、流量は2.26kg/hであった。
分離塔Kの第4のセクションが長さ500mm、内径50mmのエンドピースを取り付けた。エンドピース内にはワイヤーメッシュ(Demister;デミスター)があり、望ましくない液滴同伴を阻止した。エンドピースは同じく二重壁仕様で、及び残留ガス混合物IIIの離反温度まで温水でトレース加熱した。
残留ガス混合物IIIの流れを、間接熱交換器を通して誘導し、及びその中を貫流中に55℃の温度に加温した。加温した残留ガス混合物IIIの1.09kg/hは、焼却(トーチ中)に給送した。残留ガス混合物IIIの1.17kg/hは、サイクルガスとして圧力2.135barに圧縮し、反応ガス出発混合物の調整に戻した。
水性中間生成物Iの流れ(0.38kg/h)及び水性中間生成物IIの流れ(0.67kg/h)は加熱及び撹拌槽に合流した。両方の水性中間生成物流の合流時にCO2ガス放出を行った。これは、加熱した撹拌槽中の温度を103.1℃に保つことで促進した。撹拌槽から連続的に排出するガス流(0.25kg/h)は、以下を含有していた(その総質量に対して):
79.77質量%の水、
13.89質量%のCO2、
0.137質量%のアクロレイン、
5.54質量%のアクリル酸、
0.347質量%の酢酸、
70質量ppmの2−フルアルデヒド、
240質量ppmのベンズアルデヒド、
50質量ppmのプロパン、
50質量ppmのCO、
0.08質量%のホルムアルデヒド、
100質量ppmのギ酸、
40質量ppmのプロピオン酸、及び
0.12質量%のプロペン。
その圧力は1.013bar、温度は103.1℃であった。
このガス流を、二重壁の、全長4mの水冷式冷却コイルとして作られた間接熱交換器に通した。冷却コイル貫流時にガス流の比較的容易に凝縮可能な成分を液化し及びその際形成された凝縮液流(0.22kg/h)は温度30℃で撹拌槽に戻した。このようにしてCO2ガス放出に伴うアクリル酸損失を大幅に防止することができた。
冷却コイルを温度30℃及び圧力1.013barで出たガス流(0.03kg/h)は以下を含有していた(その総質量に対して):
1.70質量%の水、
97.35質量%のCO2、
0.338質量%のアクロレイン、
0.065質量%のアクリル酸、
40質量ppmの酢酸、
10質量ppmの2−フルアルデヒド、
70質量ppmのベンズアルデヒド、
0.043質量%のプロパン、
0.045質量%のCO、及び
0.43質量%のプロペン。
これを廃棄するためにトーチシステムに誘導し及び焼却した。
ガス放出撹拌槽から103.1℃の温度で連続的に取り出した水性中間生成物III流量は1.02kg/hであった。これは以下を含有していた(その総質量に対して):
59.65質量%の水、
50質量ppmのアクロレイン、
60質量ppmの2−フルアルデヒド、
100質量ppmのベンズアルデヒド、
0.61質量%のメチレングリコール、
70質量ppmのMEHQ、
アクリル酸及びその共役塩基の総量をアクリル酸として計算して31.92質量%、
並びに、アクリル酸として計算した、水性中間生成物III中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して281質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して0.25質量%、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して1.87質量%、
− 安息香酸及びその共役塩基、
− MSA及びMAS並びにその共役塩基、
− PSA及びPAS並びにその共役塩基、
及び71.29モル%のNa+。
水性中間生成物IIIの成分のガス放出槽中の平均滞留時間は15分であった。
水性中間生成物IIIは、二重壁を備えた撹拌槽に給送した。二重壁壁間には冷却液として水を誘導した。円筒形撹拌槽は、一方で水性中間生成物IIIを後続のアルデヒド抽出の準備として50℃に冷却するための間接熱交換器として機能した。同時に円筒形撹拌槽内には底部付近にガス供給リングを取り付け、そのノズルから希薄空気(N2で希釈した空気;O2含有量=5質量%)を水性中間生成物III中に噴射することができた(0.01kg/h、温度は30℃)。この処置は、重合抑制のために行った(好ましくは中間生成物IIIが希薄空気で飽和するまで)。水性中間生成物IIIの冷却兼O2噴射槽中の平均滞留時間は15分であった。
水性中間生成物IIIが吸収しなかった分の希薄空気は、無視できる量をストリッピング作用しながらその廃棄へ給送した。
冷却し、重合阻害した中間生成物IIIは抽出塔へ給送した。抽出塔はガラス製のパルス式シーブトレイ塔であった。円筒形シーブトレイ塔の内径は25mmであった。実質的に抽出塔は3つの、下から上へ連続したセクションを備えていた。最下部のセクションはほとんど空の塔底チャンバであり、その高さ(長さ)は315mmであった。3つのうち最上部のセクションは、ほとんど空の塔頂チャンバであり、その高さ(長さ)は同じく315mmであった。この2つのセクションの間に、本来の活性セクションがあった。これは、等距離で(2つの相前後して続くバルブトレイ間の内法間隔は10mm)重なり合って配置した40個のバルブトレイを備えていた。バルブトレイは同じ形状であり、それぞれ16個の円形開口部(穴)を備えており、穴の内径はそれぞれ3mmであり、個々のトレイ上に(穴中心から穴中心へ)等間隔で配置されていた。抽出塔の縦軸に、その2つのセクションの長さにわたってステンレス鋼(DIN原材料1.4571)製のロッドを挿入してあった。ロッドの外径は3mmであった。ロッドには、直径が同じく25mmの複数のカラムトレイを通してあった(各カラムトレイはその中央に対応する穴があり、この穴をロッドが通り抜けていた)。抽出塔はダブルジャケットを備えており、その中に温水を通し、抽出塔の全長にわたって50℃に温度を安定化させた。カラムトレイはステンレス鋼(DIN原材料1.4571)製で、厚さは2mmであった。最上部のカラムトレイの上20cmに(図2に模式的に示されているのと同様に)下に突き出した流出口を備えた第1の流入口管を備えていた。流入口管及び流出口の直径はそれぞれ3mmであった。最下部のカラムトレイの下20cmに、上に突き出した流出口を備えた対応する第2の流入口管を備えていた。2つの流入口管は塔断面の中央まで突き出ていた。第1の流入口管から水性中間生成物IIIを抽出塔に誘導した。有機抽出剤の流入は第2の流入口管から行った。塔頂チャンバに続いて(上に向けて)相分離セクションがあり、その長さは50cmであった。相分離セクションの内径は50mmに拡大した。水性中間生成物IIIの質量密度は、50℃で1142kg/m3であった。有機抽出剤の質量密度は、50℃で1053kg/m3であった。大気に向けて開いた抽出塔頂の気相中の圧力は1.01barであった。水性中間生成物IIIの抽出塔への流入は流量1.02kg/hで行った。有機抽出剤の抽出塔への流入は流量0.66kg/h、流入口温度は同じく50℃で行った。抽出の開始時、抽出塔を完全に水性中間生成物IIIで満たした。続いて被抽出物質及び抽出剤を記述したように連続的に給送した。有機抽出剤は分散相を形成し、水性中間生成物IIIは連続相を形成した。
パルセーターとして、ピストンポンプを使用した。これはパルス式シーブトレイ塔の底部にあり、塔内室と流体を導通して接続していた。ピストンポンプの押込器(ピストン)の周期的往復運動により、抽出塔内にある各液柱全体が振動(脈動)し、パルス式シーブトレイ塔内で上下に運動し、その際ストロークは5mmであった。ストローク(振幅A)と振動数Fの積は600mm/分であった。振動は分散的分割を生じさせた。有機抽出剤として、その総質量に対して、70質量ppmのMEHQを溶解して含むDiphylを使用した。
相分離セクション内で軽比重の有機抽出物IIIが浮揚し、流量0.655kg/hで連続的に抽出塔から取り出した。抽出塔の塔底チャンバから連続的に1.025kg/hの水性ラフィネートIIIを目標生成物水溶液として取り出した。水性ラフィネートIIIと有機抽出物IIIの温度は50℃であった。
水性ラフィネートIIIは、その総質量に対して以下を含有していた:
59.93質量%の水、
− アクロレイン、
10質量ppmの2−フルアルデヒド、
− ベンズアルデヒド、
0.080質量%のDiphyl、
0.61質量%のメチレングリコール、
70質量ppmのMEHQ、
アクリル酸及びその共役塩基の総量をアクリル酸として計算して31.57質量%、
並びに、アクリル酸として計算した、水性ラフィネートIII中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して286質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して0.24質量%、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して1.88質量%、
− 安息香酸及びその共役塩基、
− MSA及びMAS並びにその共役塩基、
− PSA及びPAS並びにその共役塩基、
及び
72.42モル%のNa+。
水性ラフィネートIII中の炭酸塩及び炭酸水素塩アニオンの含有量は消滅していた。
有機抽出物IIIは、その総質量に対して以下を含有していた:
0.105質量%の水、
70質量ppmのアクロレイン、
0.840質量%のアクリル酸、
0.011質量%の酢酸、
80質量ppmの2−フルアルデヒド、
0.016質量%のベンズアルデヒド、
98.90質量%のDiphyl、
20質量ppmのメチレングリコール、
50質量ppmのギ酸、
− プロピオン酸、
− 安息香酸、
− MSA及びMAS、
− PSA及びPAS、及び
70質量ppmのMEHQ。
水性ラフィネートIIIから、原則としてその中にまだ溶解している分子状酸素を分子状窒素によって排除した後、コモノマー(選択的に純粋アクリル酸(glacial acrylic acid(GAA))、内部架橋剤及び重合開始剤のような物質を選択的に加えた後、すぐに目標に設定したラジカル後続重合を実施した。個別には、ここでは引用した明細書の従来技術のように行った。
有機抽出物III中に含まれる有機抽出剤を回収するために、これを強化セクション及び分離セクションを備えた精留塔に給送した。精留塔はガラス製で二重壁を備えていた。二重壁壁間は真空引きし(壁間内圧は≦10−6barであった)、内部を鏡面仕上げにした。抽出物IIIを精留塔に流入させる前に、これを間接熱交換器に通し、その温度を流入温度179.2℃に高めた。
内部構造物が実質的にない精留塔底チャンバは、高さが30cm、内径100mmであった。塔底チャンバの上端と加温された有機抽出物IIIの流入部の間の精留塔内径は50mmであった。精留塔のこの分離セクション内には24個のバブルキャップトレイを装填した。バブルキャップトレイは等間隔で重なり合うよう配置した。2つの連続したバブルキャップトレイの間の内法の間隔は、共通して52mmであった。各バブルキャップトレイは1つのバブルキャップを備えていた。バブルキャップ高さは35mmであった。バブルキャップの外径は30.2mmであった。各バブルキャップはその周囲にわたって均等に配置された12本のスリットを備え、このスリットは幅が2.5mm、高さが5mmであった。各バブルキャップトレイ上の環流液流入及び各バブルキャップトレイの液体排出は、内径が8mmの流入口管ないし流出口管から行った。流入口及び流出口それぞれ隣り合わせに配置し、その際に板で互いを分離した。板の高さはバブルキャップ高さに相当した。バブルキャップトレイの中央には開いた、上方へ各バブルキャップの方を向いた短パイプを備えていた。これは短パイプ上部とバブルキャップとの間に隙間ができるように、短パイプをバブルキャップにかぶせた。短パイプ長は20mm、短パイプ内径は14.5mmであった。バブルキャップの縁はバブルキャップトレイまで達していた。
精留塔の強化セクション(これは有機抽出物IIIの精留塔への流入部の上側にあるセクション)内では、精留塔内径はわずか32mmであった。この中にあるバブルキャップトレイは12個だけで、等間隔で(38mm)配置した。これらバブルキャップトレイの構成は分離セクションと同じである。しかしバブルキャップは分離セクションのそれより小さい。その高さは24mm、外径は22.2mmであった。個々のバブルキャップはその周囲にわたって均等に配置されたスリットを9本だけ備え、このスリットは幅が2.5mm、高さが3.0mmであった。内部短パイプの長さは16mmで、短パイプ内径は12mmであった。すべてのバブルキャップ/バブルキャップトレイは同様にガラス製であった。
精留塔は外部から電気により保護加熱した。その際各セクションでは外壁温度を内部温度に調節した。精留塔の頭部圧力は100mbarに調節した。塔底の蒸気圧は155mbarであった。
塔底チャンバからフィードポンプを使用して連続的に17.11kg/hの、純度≧99.99質量%のDiphylを取り出した。これは70質量ppmのMEHQを溶解して含んでいた。塔底液の温度は185.5℃であった。
この取出し流の0.66kg/hは二重壁仕様の撹拌槽に給送した。二重壁壁間には温度を適温にした水を誘導した。追加的にこの撹拌槽中にDiphylの損失分を新しいDiphylを供給することで補うことができた。撹拌槽中の温度は50℃に保った。撹拌槽の内部容積は5リットルであった。この撹拌槽から有機抽出剤を取り出し、パルス式シーブトレイ塔へ給送した。
残った取出し流16.45kg/hは、同じフィードポンプを使用して、ステンレス鋼製のSambay蒸発器(薄膜蒸発器)を通して循環するよう送り、精留に必要なエネルギー流入を確保した。熱媒体は熱媒体油であった。
Sambay蒸発器から流出した、気相及び液相から成る混合物(T=185.5℃)は、精留塔の塔底チャンバの液レベルの上方に戻した。
塔頂の温度は69.9℃であった。精留塔をこの温度で出た蒸気流を、間接熱交換器として作られた凝縮器に誘導した。冷却要素として、この凝縮器は冷水が流れる冷却コイルを備えていた。凝縮器内で凝縮していない成分は温度30℃のガス流として、真空ポンプ(ダイアフラム型真空ポンプ)により除去した。残った凝縮液流は2つの部分流に分割した。0.70kg/hは温度30℃で環流液として精留塔の最上部のバブルキャップトレイに戻した。0.01kg/hの凝縮液はアルデヒド出口として廃棄した(このために、凝縮液流全体をバッファ槽に誘導した。このバッファ槽は内部容積が1リットルで、二重壁に作られ、その壁間に30℃の温度調節した水を誘導した;12時間ごとにバッファ槽から120gの凝縮液を廃棄のために放出した)。
その総質量に対して凝縮液は以下を含有していた:
10.08質量%のH2O、
0.399質量%のアクロレイン、
85.07質量%のアクリル酸、
1.11質量%の酢酸、
0.83質量%の2−フルアルデヒド、
1.60質量%のベンズアルデヒド、
0.25質量%のメチレングリコール、
0.51質量%のギ酸、及び
0.01質量%のプロピオン酸。
目標生成物水溶液を後続で使用する際に目標生成物水溶液のDiphyl含有量が高すぎる場合は、以下のような方法をとった。
温度が50℃の水性ラフィネートIIIは、その中にまだ含まれているDiphylを精留法で分離するために、ストリップ部1つのみを備えた精留塔に給送した。精留塔はガラス製であった。この塔の、内部構造物が実質的にない塔底チャンバは、高さ30cm、内径100mmであった。塔底チャンバは一重壁で、電気式ヒーターベルトをトレース加熱用に巻き付けてあった。追加的に電気式ヒーターベルトの上にさらにもう一層、鉱物性の絶縁材を取り付けてあった。塔底チャンバ外壁の温度は63.5℃に保った。
塔底チャンバの上には、精留塔の本来のストリップ部が設置された。ストリップ部の内径は、その長さ全体にわたって50mmであった。ストリップ部は4つのセクションから成り、4つすべてが二重壁を備えていた。二重壁壁間はそれぞれ真空引きし(壁間内圧は<10−6barであった)、内部を鏡面仕上げにした。4つのセクションはそれぞれ外部から電気により保護加熱した。その際各セクションにわたって外壁温度を内部温度に調節した。最下部のセクションでは調節された温度は61.55℃であった;下から第2番目のセクションでは調節された温度は57.2℃であった;下から第3番目のセクションでは調節された温度は52.85℃であり、及び最上部のセクションの調節された温度は48.5℃であった。
分離効果のある内部構造物として、4つの各セクションは12個の等間隔で重なり合って配置したバブルキャップトレイを含んでいた。2つの連続したバブルキャップトレイの間の内法の間隔は10cmであった。バブルキャップトレイは、同じくガラス製であった。
各バブルキャップトレイは1つのバブルキャップを備えていた。バブルキャップの外径は30.2mmであった。バブルキャップ高さは35mmであった。各バブルキャップはその周囲にわたって均等に配置された12本のスリットを備え、このスリットは幅が2.5mm、高さが5mmであった。各バブルキャップトレイ上の環流液流入及び各バブルキャップトレイの液体排出は、内径が8mmの流入口管ないし流出口管から行った。流入口及び流出口それぞれ隣り合わせに配置し、その際に溢出板により(溢れ堰により)互いを分離した。その高さはバブルキャップ高さに相当した。バブルキャップトレイの中央には開いた、上方へ各バブルキャップの方を向いた短パイプを備えていた。これは短パイプ上部とバブルキャップとの間に隙間ができるように、短パイプをバブルキャップにかぶせた。短パイプ長は20mm、短パイプ内径は14.5mmであった。バブルキャップの縁はバブルキャップトレイまで達していた。すべてのバブルキャップ/バブルキャップトレイは、同じくガラス製であった。ストリップ塔の頭部圧力は真空ポンプ(ダイアフラム型真空ポンプ)を使用して100mbarに調整した。塔底の蒸気圧は195mbarであった。水性ラフィネートIIIの流入(1.025kg/h)は、その温度が50℃で最上部のバブルキャップトレイに行った。ストリップ塔を温度47.4℃で出た蒸気流を、間接熱交換器として作られた凝縮器に誘導した。冷却要素として、この凝縮器は冷水が流れる冷却コイルを備えていた。凝縮器内で凝縮していない成分は温度25℃のガス流として、真空ポンプにより除去した。
残った凝縮液流は温度25℃で相分離器に給送した。相分離器はダブルジャケットを備えた円筒形のガラス容器で、内径が80mmであった。その長さは250mmで、横向きに支持されていた。ダブルジャケットの壁間には温度25℃の水を通した。凝縮液流は、相分離器内を左から右へ流れ、その際に有機相と水相とに別れた。水相(0.77kg/h;T=25℃;質量密度=998.8kg/m3)はストリップ塔の最上のトレイに戻した。有機相は集めて廃棄した(焼却)。
塔底チャンバから、フィードポンプを使用して連続的に9.44kg/h、温度63.5℃の塔底液を取り出した。この流れの8.42kg/hは、ステンレス鋼製のSambay蒸発器によって循環するよう送り、精留に必要なエネルギー流入を確保した。熱媒体として熱媒体油を使用した。Sambay蒸発器から流出した、気相及び液相から成る混合物(T=64.1℃)は、精留塔の塔底チャンバの液レベルの上方に戻した。重合抑制のために、ストリップ塔の底部に連続的に0.01kg/hの希薄空気(O2含有量=5質量%)を誘導した(その温度は30℃であった)。
塔底チャンバから連続的に取り出した塔底液の流れの残りの1.02kg/hは、実質的にDiphylを含まない「レディミックス」を形成し、原則としてその中にまだ溶解している分子状酸素を分子状窒素によって排除した後、コモノマー(選択的に純粋アクリル酸(glacial acrylic acid(GAA)も)、内部架橋剤及び重合開始剤のような物質を選択的に加えてから、すぐに目標に設定したラジカル後続重合を実施した。
別法として「レディミックス」を間接熱交換器を通して25℃に冷却し、この温度に調節した貯蔵タンクに給送し、その中で希薄空気で覆って貯蔵した(常に分子状酸素が必要であるためにこの覆いは常に流れる希薄空気流(0.01kg/h;O2含有量=5質量%))であると、応用技術的に目的に合っている。
その総質量に対して「レディミックス」は以下を含有していた:
59.94質量%の水、
− アクロレイン、
− 2−フルアルデヒド、
− ベンズアルデヒド、
10質量ppmのDiphyl、
0.61質量%のメチレングリコール、
70質量ppmのMEHQ、
アクリル酸及びその共役塩基の総量をアクリル酸として計算して31.6質量%、
並びに、アクリル酸として計算した、「レディミックス」中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して286質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して0.24質量%、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して1.88質量%、
− 安息香酸及びその共役塩基、
− MSA及びMAS並びにその共役塩基、
− PSA及びPAS並びにその共役塩基、及び
− 72.60モル%のNa+。
ストリップ塔の底部で生成された水蒸気により、水性ラフィネートIIIから使用した抽出剤だけでなくまだ含まれている2−フルアルデヒドもストリッピング除去した。
分離塔Kの底部からフィードポンプを使用して連続的に7.63kg/hの塔底液を運び出した。塔底液温度は100.2℃であった。そのうちの7.60kg/hはポンプにより冷却液として、並流で稼働するスプレークーラー内に送り、部分酸化ゾーンからの生成ガス混合物を直接冷却するために噴霧した。
残った0.03kg/hは、その中にモノマーとして及びマイケル付加体として含まれるアクリル酸を回収するために回収ユニットRに給送した。
回収ユニットRは、内部構造物のない、耐圧ガラス製の円筒形の容器であり、その内径は60.3mm、高さは350mmであった。外部から容器に電気式ヒーターベルトを巻き付けて加熱した。液状の内容物の温度は181.5℃に保った。気相の内圧は1.5barであった。環状ピストンポンプBlackmereC8を使用して、回収容器Rから連続的に0.25kg/hの液状内容物を断熱した管を通して取り出し、取出し部の上部で、回収容器R内にある液相に入れ、再び回収容器Rに戻した(このようにして回収容器Rの内容物を動かし続け、それによって十分な混合並びに申し分のない物質移動を保証した)。円筒形容器の上端に、飛沫よけとしてラシヒリングを充填した短いカラムを設置した。12時間ごとにAmaturen社のタイプContiflow−TRF−HMのバルブから120gの、回収時に残った高沸点の残留物を排出した。この残留物は望ましくない成分であるMSA及びMAS、PSA及びPAS並びに安息香酸の出口を形成した回収容器R内に生じた気相は、環流液を形成することなく低沸点物質の流れとして、流量0.02kg/h、温度181.5℃で、生成ガス混合物と共に部分酸化ゾーンから記述した冷却ゾーン(記述した、生成ガス混合物のためのスプレークーラー内)へ誘導した。
回収容器Rから排出した低沸点物質の流れは以下を含有していた(その総質量に対して):
5.46質量%の水、
30質量ppmのCO2、
60質量ppmのアクロレイン、
82.20質量%のアクリル酸、
0.54質量%の酢酸、
0.036質量%の2−フルアルデヒド、
8.40質量%のMSA及びMAS、MSAとして計算、
0.094質量%のベンズアルデヒド、
80質量ppmのプロパン、
1.90質量%のホルムアルデヒド、
0.092質量%のギ酸、
0.024質量%のプロピオン酸、
0.447質量%の安息香酸、
0.325質量%のPSA及びPAS、PSAとして計算、
20質量ppmのプロペン、及び
0.18質量%のMEHQ。
実施例2
実施例2は、実施例1と同じ酸化反応器及びその他器具装置を使用して実施した。部分酸化条件は、実施例1に相当した(酸化反応器内への触媒固定床の装填及び2つの反応段階の間に行われる中間空気供給も含む)。水性中間生成物Iは取り出さなかった。水性中間生成物IIのCO2ガス放出は不要であったため、その要素は器具装置に統合しなかった。
反応ガス出発混合物1は、その総容積に対して≧3.85容積%のプロパンと≧96容積%のプロペンを含む化学用純度のプロペン0.23kg/h、1.15kg/hの空気及び1.19kg/hのサイクルガスから作った。その全流流量は2.57kg/hで、以下を含有していた:
78.11容積%のN2、
10.50容積%のO2、
3.73容積%のH2O、
0.79容積%のCO2、
0.015容積%のアクロレイン、
0.48容積%のプロパン、
0.39容積%のCO、及び
5.89容積%のプロペン。
第2反応段階から出た生成ガス混合物の流れは2.74kg/hであった。その温度は260℃、出口圧力は1.50barであった。その総質量に対して以下を含有していた:
75.17質量%のN2、
2.39質量%のO2、
5.97質量%のH2O、
2.11質量%のCO2、
589質量ppmのアクロレイン、
12.05質量%のアクリル酸、
2256質量ppmの酢酸、
30質量ppmの2−フルアルデヒド、
0.133質量%の無水マレイン酸、
50質量ppmのベンズアルデヒド、
0.68質量%のプロパン、
0.68質量%のCO、
0.14質量%のホルムアルデヒド、
309質量ppmのギ酸、
30質量ppmのプロピオン酸、
109質量ppmの安息香酸、
150質量ppmの無水フタル酸、及び
0.169質量%のプロペン。
これに対応して、生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸の総質量に対して、以下を含有していた:
249質量ppmのプロピオン酸、
2564質量ppmのギ酸、
1.87質量%の酢酸、
905質量ppmの安息香酸、
1.10質量%の無水マレイン酸、
1244質量ppmの無水フタル酸、
4887質量ppmのアクロレイン、
414質量ppmのベンズアルデヒド、及び
249質量ppmの2−フルアルデヒド。
生成ガス混合物の総容積に対して、以下を含有していた:
79.86容積%のN2、
2.22容積%のO2、
1.42容積%のCO2、
0.46容積%のプロパン、及び
0.72容積%のCO。
生成ガス混合物流は、回収ユニットRから取り出した低沸点物質の流れの0.02kg/hと共に(低沸点物質の流れは温度181.8℃、及び圧力1.5barであった)並流に駆動するスプレークーラー(=冷却ゾーン)に給送した。その中に冷却液として7.85kg/h、温度103.8℃の塔底液を噴霧した。この塔底液は温度103.7℃で分離塔Kの底部から取り出し、ポンプを使用してスプレークーラーに給送した。
塔底液は以下を含有していた:
1.70質量%の水、
70.13質量%のアクリル酸(モノマー及びマイケル付加体として)、
0.34質量%の酢酸、
539質量ppmの2−フルアルデヒド、
21.64質量%のMSA及びMAS、MASとして計算、
0.18質量%のベンズアルデヒド、
1.52質量%のPSA及びPAS、PSAとして計算、
0.12質量%のギ酸、
220質量ppmのプロピオン酸、
1.27質量%の安息香酸、
2.02質量%のメチレングリコール、及び
0.77質量%のMEHQ。
生成ガス混合物流、低沸点物質の流れ及び冷却液から成る二相の混合物(合計10.62kg/h)は、温度105.2℃で分離塔Kの塔底チャンバの、分離効果のある内部構造物の最下部及び塔低レベルの上部に誘導した。分離塔Kの塔底チャンバの圧力は1.34barであった(塔低レベルのすぐ上)。
二重壁仕様の分離塔Kの塔底チャンバの壁間を通って熱媒体油を誘導し、(被吸収物I)の塔底液の温度が103.7℃になるよう保証した。
分離塔Kの底部から合わせて7.88kg/hの塔底液(被吸収物I)を分離塔から取り出した。そのうち0.03kg/hを回収ユニットRに給送し、残りの7.85kg/hを記述したように冷却ゾーンに冷却液として噴霧した。
吸収ゾーンI内で洗浄し、凝縮ゾーンI(分離塔Kの下から第2番目のセクション)へ流れるガス流の流量は3.74kg/hであった。その温度は93.9℃、圧力は1.34barであった。
このガス流は、その総質量に対して以下、
55.0質量%のN2、
1.75質量%のO2、
6.23質量%のH2O、
1.55質量%のCO2、
457質量ppmのアクロレイン、
32.85質量%のアクリル酸、
3944質量ppmの酢酸、
94質量ppmの2−フルアルデヒド、
<1質量ppmのMSA及びMAS、MSAとして計算、
202質量ppmのベンズアルデヒド、
0.50質量%のプロパン、
0.50質量%のCO、
0.62質量%のホルムアルデヒド、
541質量ppmのギ酸、
96質量ppmのプロピオン酸、
<1質量ppmのMEHQ、
<1質量ppmの安息香酸、
<1質量ppmのPSA及びPAS、PSAとして計算、及び
0.125質量%のプロペン
を含有していた。
下から第1番目のチムニートレイの流出口を経由して、16.21kg/hの、温度70.3℃の凝縮液Iを凝縮ゾーンIから取り出した。
その総質量に対して凝縮液Iは以下を含有していた:
6.68質量%の水、
110質量ppmのアクロレイン、
89.0質量%のアクリル酸、
0.85質量%の酢酸、
279質量ppmの2−フルアルデヒド、
− MSA及びMAS、
630質量ppmのベンズアルデヒド、
3.10質量%のメチレングリコール、
0.12質量%のギ酸、
259質量ppmのプロピオン酸、
− 安息香酸、
− PSA及びPAS、及び
160質量ppmのMEHQ。
分離塔Kから取り出した凝縮液Iの全流を、二重壁を備えた撹拌槽に給送した。壁間には冷却液として水を誘導した。撹拌槽は間接的な熱交換器として(間接熱交換器として)機能した。この槽の滞留時間は3分であった。この槽にMEHQを添加した際添加量は、撹拌槽から取り出した流れが(その総質量に対して)170質量ppmのMEHQを含んでいるように決定した。
撹拌槽から取り出して冷却した、重合を阻害した凝縮液I全流の温度は35℃であった。全流の1.01kg/hは、下から第1番目のカラムアダプターの下方を向いた流入口を経由して、吸収剤Iとして最上部の構造化した規則充填物の頭部で、吸収ゾーンIに給送した。全流の15.92kg/hは、下から第2番目のカラムアダプターの下方を向いた流入口を経由して冷却液として最上部の構造化した規則充填物の頭部で、凝縮ゾーンIに戻した。重合を阻害した凝縮液Iの全流の一部を水性中間生成物Iとして分離塔Kから取り除かなかった。
凝縮ゾーンIにガス状で残った残留ガス混合物Iは、その総質量に対して以下を含有していた:
75.39質量%のN2、
2.39質量%のO2、
5.91質量%のH2O、
2.11質量%のCO2、
589質量ppmのアクロレイン、
12.0質量%のアクリル酸、
2265質量ppmの酢酸、
30質量ppmの2−フルアルデヒド、
− MSA及びMAS、
40質量ppmのベンズアルデヒド、
0.68質量%のプロパン、
0.68質量%のCO、
0.14質量%のホルムアルデヒド、
300質量ppmのギ酸、
30質量ppmのプロピオン酸、
− 安息香酸、
− PSA及びPAS、及び
0.17質量%のプロペン。
凝縮ゾーンIから下から第3番目のセクションに(吸収ゾーンIIに)流れる残留ガス混合物Iの流れは温度が70.3℃、流量が2.45kg/h、圧力が1.325barであった。
下から第2番目のチムニートレイの流出口を経由して温度50℃の、7.52kg/hの被吸収物IIを吸収ゾーンIIから取り出した。
その総質量に対して被吸収物IIは以下を含有していた:
57.84質量%の水、
120質量ppmのアクロレイン、
50質量ppmの2−フルアルデヒド、
90質量ppmのベンズアルデヒド、
0.60質量%のメチレングリコール、
60質量ppmのMEHQ、及び
アクリル酸及びその共役塩基の総量をアクリル酸として計算して31.76質量%、
並びに、アクリル酸として計算した、水性被吸収物II中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して252質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して0.25質量%、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して1.86質量%、
− 安息香酸、
− MSA及びMAS、
− PSA及びPAS、及び
91.11モル%のNa+。
吸収ゾーンIIから取り出した被吸収物IIの流れ(0.38kg/h;温度=20℃)に、50質量%のNaOH水溶液(NaOH純度>99.9質量%)の流れ及びMEHQの阻害剤水溶液の流れ(0.32kg/h;温度=20℃)を給送した。阻害剤水溶液のMEHQ含有量は、吸収ゾーンIIから取り出した被吸収物IIのMEHQ含有量が、その総質量に対して、60質量ppmになるように決定した。
この重合を阻害した全流を、実施例1のように二重壁を備えた撹拌槽に給送した。壁間には冷却液として水を誘導した。撹拌槽は間接的な熱交換器として(間接熱交換器として)機能した。この槽中での滞留時間は10分であった。ここから取り出した、冷却した全流の温度は40℃であった。この冷却した、重合を阻害した全流の1.12kg/hは、水性中間生成物IIとして分離塔Kから運び去った。
冷却した、重合を阻害した全流の別の7.10kg/hは、0.03kg/hの凝縮水IIと合流した。これは下から第3番目のチムニートレイの流出口を経由して凝縮ゾーンIIから取り出し及び間接熱交換器内で30℃に冷却したものであった。
その際結果として生じた全流を、下から第3番目のカラムアダプターの下方を向いた流入口を経由して、吸収剤IIと冷却液として循環して誘導された凝縮液IIとの混合物として、最上部の構造化した規則充填物の頭部で、吸収ゾーンIIに給送した。
凝縮液IIは、その総質量に対して以下を含有していた:
97.02質量%の水、
110質量ppmのアクロレイン、
2.25質量%のアクリル酸、
0.27質量%の酢酸、
30質量ppmの2−フルアルデヒド、
10質量ppmのベンズアルデヒド、
0.25質量%のメチレングリコール、
90質量ppmのギ酸、及び
20質量ppmのプロピオン酸。
吸収ゾーンIIから下から第4番目のセクションに(凝縮ゾーンIIに)流れる残留ガス混合物IIの流れは温度が50℃、流量が2.34kg/h、圧力が1.315barであった。その総質量に対して、残留ガス混合物IIは以下を含有していた:
87.90質量%のN2、
2.79質量%のO2、
4.82質量%のH2O、
2.44質量%のCO2、
629質量ppmのアクロレイン、
749質量ppmのアクリル酸、
90質量ppmの酢酸、
10質量ppmのフルフラール、
10質量ppmのベンズアルデヒド、
0.79質量%のプロパン、
0.79質量%のCO、
25質量ppmのホルムアルデヒド、及び
0.192質量%のプロペン。
水性中間生成物IIは、以下を含有していた(その総質量に対して):
59.18質量%の水、
120質量ppmのアクロレイン、
50質量ppmの2−フルアルデヒド、
90質量ppmのベンズアルデヒド、
0.55質量%のメチレングリコール、
60質量ppmのMEHQ、
アクリル酸及びその共役塩基の総量をアクリル酸として計算して29.06質量%、
並びに、アクリル酸として計算した、水性中間生成物II中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して252質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して0.25質量%、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して1.86質量%、
− 安息香酸及びその共役塩基、
− MSA及びMAS並びにその共役塩基、
− PSA及びPAS並びにその共役塩基、及び
105.5モル%のNa+。
下から第3番目のチムニートレイの流出口を経由して、温度40℃の、2.38kg/hの凝縮液IIを凝縮ゾーンIIから取り出した。この凝縮液IIの流れを、二重壁を備えた撹拌槽に給送した。壁間には冷却液として水を誘導した。撹拌槽は間接的な熱交換器として(間接熱交換器として)機能した。この槽中での滞留時間は25分であった。ここから取り出した、冷却した凝縮液IIの2.38kg/hの流れの温度は30℃であった。この流れの0.03kg/hは、水性吸収剤IIの調整へと給送した。残りの2.35kg/hは、下から第3番目のカラムアダプターの下方を向いた流入口を経由して冷却液として最上部の構造化した規則充填物の頭部で、凝縮ゾーンIIに戻した。
凝縮ゾーンIIにガス状で残った残留ガス混合物IIIは、その総質量に対して以下を含有していた:
89.11質量%のN2、
2.82質量%のO2、
3.61質量%のH2O、
2.48質量%のCO2、
639質量ppmのアクロレイン、
459質量ppmのアクリル酸、
50質量ppmの酢酸、
10質量ppmの2−フルアルデヒド、
10質量ppmのベンズアルデヒド、
0.80質量%のプロパン、
0.81質量%のCO、
10質量ppmのホルムアルデヒド、及び
0.19質量%のプロペン。
その温度は40℃、圧力は1.305bar、流量は2.31kg/hであった。
残留ガス混合物IIIの流れを、間接熱交換器を通して誘導し、及びその中を貫流中に55℃の温度に加温した。加温した残留ガス混合物IIIの1.12kg/hは、焼却に給送した。残留ガス混合物IIIの1.19kg/hは、サイクルガスとして圧力2.135barに圧縮し、反応ガス出発混合物の調整に戻した。
水性中間生成物IIの流れ(1.12kg/h)は、事前にCO2ガス放出を行うことなく、熱交換及びO2を噴射する(希薄空気の形で)ために使用する、二重壁に作られた撹拌槽に給送した。二重壁壁間には熱媒体として水を誘導した。円筒形撹拌槽は、一方で水性中間生成物IIを後続のアルデヒド抽出の準備として50℃に加熱するための間接熱交換器として機能した。同時に円筒形撹拌槽内には底部付近にガス供給リングを取り付け、そのノズルから希薄空気(N2で希釈した空気;O2含有量=5質量%)を水性中間生成物II中に噴射した(0.01kg/h、温度は30℃)。この処置は、重合抑制のために行った(好ましくは中間生成物IIが希薄空気で飽和するまで)。水性中間生成物IIの加熱兼O2噴射槽中の平均滞留時間は15分であった。
水性中間生成物IIIが吸収しなかった分の希薄空気は、無視できる量をストリッピング作用しながらその廃棄へ給送した。
50℃に加熱し、重合阻害した中間生成物IIは、第1の流入口管からパルス式抽出塔に給送した。有機抽出剤の流入は第2の流入口管から行った。水性中間生成物IIの質量密度は、50℃で1140kg/m3であった。有機抽出剤の質量密度は、50℃で1053kg/m3であった。大気に向けて開いた抽出塔頂の気相中の圧力は1.01barであった。水性中間生成物IIの抽出塔への流入は流量1.12kg/hで行った。有機抽出剤の抽出塔への流入は流量0.73kg/h、流入口温度は同じく50℃で行った。抽出の開始時、抽出塔を完全に水性中間生成物IIで満たした。続いて被抽出物質及び抽出剤を記述したように連続的に給送した。有機抽出剤は分散相を形成し、水性中間生成物IIは連続相を形成した。有機抽出剤として、その総質量に対して、70質量ppmのMEHQを溶解して含むDiphylを使用した。
相分離セクション内で軽比重の有機抽出物IIが浮揚し、流量0.73kg/hで連続的に抽出塔から取り出した。抽出塔の塔底チャンバから連続的に1.12kg/hの水性ラフィネートIIを目標生成物水溶液として取り出した。水性ラフィネートIIと有機抽出物IIの温度は50℃であった。
水性ラフィネートIIは、その総質量に対して以下を含有していた:
59.93質量%の水、
− アクロレイン、
− 2−フルアルデヒド、
− ベンズアルデヒド、
0.080質量%のDiphyl、
0.55質量%のメチレングリコール、
70質量ppmのMEHQ、
アクリル酸及びその共役塩基の総量をアクリル酸として計算して29.07質量%、
並びに、アクリル酸として計算した、水性ラフィネートII中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して279質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して0.25質量%、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して1.86質量%、
− 安息香酸及びその共役塩基、
− MSA及びMAS並びにその共役塩基、
− PSA及びPAS並びにその共役塩基、
105.6モル%のNa+、及び
炭酸塩及び炭酸水素塩アニオンの総量を<0.2モル%。
有機抽出物IIは、その総質量に対して以下を含有していた:
0.105質量%の水、
0.018質量%のアクロレイン、
70質量ppmの2−フルアルデヒド、
0.013質量%のベンズアルデヒド、
99.83質量%のDiphyl、
20質量ppmのメチレングリコール、
− アクリル酸、
− ギ酸、
− 酢酸、
− プロピオン酸、
− 安息香酸、
− MSA及びMAS、
− PSA及びPAS、及び
70質量ppmのMEHQ。
水性ラフィネートIIから、原則としてその中にまだ溶解している分子状酸素を分子状窒素によって排除した後、コモノマー(選択的に純粋アクリル酸(glacial acrylic acid(GAA))、内部架橋剤及び重合開始剤のような物質を選択的に加えた後、すぐに目標に設定したラジカル後続重合を実施した。個別には、ここでは引用した明細書の従来技術のように行った。
有機抽出物II中に含まれる有機抽出剤を回収するために、これを強化セクション及び分離セクションを備えた精留塔に給送した。抽出物IIを精留塔に流入させる前に、間接熱交換器に通し、その温度を流入温度171.7℃に高めた。
精留塔の頭部圧力は100mbarに調節した。塔底の蒸気圧は155mbarであった。
塔底チャンバからフィードポンプを使用して連続的に51.08kg/hの、純度≧99.99質量%のDiphylを取り出した。これは70質量ppmのMEHQを溶解して含んでいた。塔底液の温度は185.5℃であった。
この取出し流の0.73kg/hは二重壁仕様の撹拌槽に給送した。二重壁壁間には温度を適温にした水を誘導した。追加的にこの撹拌槽中にDiphylの損失分を新しいDiphylを供給することで補うことができた。撹拌槽中の温度は50℃に保った。撹拌槽の内部容積は5リットルであった。この撹拌槽から有機抽出剤を取り出し、パルス式抽出塔へ給送した。
残った取出し流50.35kg/hは、同じフィードポンプを使用して、ステンレス鋼製のSambay蒸発器を通して循環するよう送り、精留に必要なエネルギー流入を確保した。熱媒体は熱媒体油であった。
Sambay蒸発器から流出した、気相及び液相から成る混合物(T=185.5℃)は、精留塔の塔底チャンバの液レベルの上方に戻した。
塔頂の温度は47.1℃であった。精留塔をこの温度で出た蒸気流を、間接熱交換器として作られた凝縮器に誘導した。冷却要素として、この凝縮器は冷水が流れる冷却コイルを備えていた。凝縮器内で凝縮していない成分は温度30℃のガス流として、真空ポンプ(水流ポンプ)により除去した。残った凝縮液流は2つの部分流に分割した。0.70kg/hは温度30℃で環流液として精留塔の最上部のバブルキャップトレイに戻した。凝縮液の残留流は実施例1のようにアルデヒド出口としてバッファ槽を経由して固定サイクルで排出した。
その総質量に対して凝縮液は以下を含有していた:
81.24質量%のH2O、
1.22質量%のアクロレイン、
− アクリル酸、
− 酢酸、
5.08質量%の2−フルアルデヒド、
9.95質量%のベンズアルデヒド、
1.87質量%のメチレングリコール、
− ギ酸、及び
− プロピオン酸。
目標生成物水溶液を後続で使用する際、目標生成物水溶液のDiphyl含有量が高すぎる場合は、以下のような方法をとった。
温度が50℃の水性ラフィネートIIは、その中にまだ含まれているDiphylを精留法で分離するために、ストリップ部1つのみを備えた精留塔に給送した。塔底チャンバ外壁の温度は64.6℃に保った。
塔底チャンバの上に載せた4つのセクションは、外部から再び各内部温度に保護加熱した。
ストリップ塔の頭部圧力は真空ポンプ(ダイアフラム型真空ポンプ)を使用して100mbarに調整した。塔底の蒸気圧は195mbarであった。水性ラフィネートIIの流入(1.12kg/h)は、その温度が50℃で最上部のバブルキャップトレイに行った。ストリップ塔を温度47.8℃で出た蒸気流を、間接熱交換器として作られた凝縮器に誘導した。冷却要素として、この凝縮器は冷水が流れる冷却コイルを備えていた。凝縮器内で凝縮していない成分は温度25℃のガス流として、真空ポンプにより除去した。
残った凝縮液流は温度25℃で、25℃に温度調節した相分離器に給送した。凝縮液流は、相分離器内を左から右へ流れ、その際に有機相と水相とに別れた。水相(0.88kg/h;T=25℃;質量密度=998kg/m3)はストリップ塔の最上のトレイに戻した。有機相は集めて焼却した。
塔底チャンバから、フィードポンプを使用して連続的に10.58kg/h、温度64.7℃の塔底液を取り出した。この流れの9.46kg/hは、ステンレス鋼製のSambay蒸発器によって循環するよう送り、精留に必要なエネルギー流入を確保した。熱媒体として熱媒体油を使用した。Sambay蒸発器から流出した、気相及び液相から成る混合物(T=65.5℃)は、精留塔の塔底チャンバの液レベルの上方に戻した。重合抑制のために、ストリップ塔の底部に連続的に0.01kg/hの希薄空気(O2含有量=5質量%)を誘導した(その温度は30℃であった)。
塔底チャンバから連続的に取り出した塔底液の流れの残りの1.12kg/hは、実質的にDiphylを含まない目標生成物水溶液を形成し、原則としてその中にまだ溶解している分子状酸素を分子状窒素によって排除した後、コモノマー(選択的に純粋アクリル酸(glacial acrylic acid(GAA)も)、内部架橋剤及び重合開始剤等の物質を選択的に加えてから、すぐに目標に設定したラジカル後続重合を実施した。
別法として目標生成物水溶液を間接熱交換器を通して25℃に冷却し、この温度に調節した貯蔵タンクに給送し、その中で希薄空気で覆って貯蔵した(常に分子状酸素が必要であるためにこの覆いは常に流れる希薄空気流(0.01kg/h;O2含有量=5質量%))であると、応用技術的に目的に合っている。
その総質量に対して目標生成物水溶液は以下を含有していた:
59.94質量%の水、
− アクロレイン、
− 2−フルアルデヒド、
− ベンズアルデヒド、
10質量ppmのDiphyl、
0.55質量%のメチレングリコール、
70質量ppmのMEHQ、
アクリル酸及びその共役塩基の総量をアクリル酸として計算して29.23質量%、
並びに、アクリル酸として計算した、目標生成物水溶液中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して278質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して0.25質量%、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して1.86質量%、
− 安息香酸及びその共役塩基、
− MSA及びMAS並びにその共役塩基、
− PSA及びPAS並びにその共役塩基、及び
105.6モル%のNa+。
ストリップ塔の底部で生成された水蒸気により、水性ラフィネートIIから使用した抽出剤を実質的にストリッピング除去した。
分離塔Kの底部からフィードポンプを使用して連続的に7.88kg/hの塔底液を運び出した。塔底液温度は100.7℃であった。そのうちの7.85kg/hはポンプにより冷却液として、並流で稼働するスプレークーラー内に送り、部分酸化ゾーンからの生成ガス混合物を直接冷却するために噴霧した。
残った0.03kg/hは、その中にモノマーとして及びマイケル付加体として含まれるアクリル酸を回収するために回収ユニットRに給送した。
回収ユニットRは、内部構造物のない、耐圧ガラス製の円筒形の容器であり、その内径は60.3mm、高さは350mmであった。外部から容器に電気式ヒーターベルトを巻き付けて加熱した。液状の内容物の温度は181.8℃に保った。気相の内圧は1.5barであった。環状ピストンポンプBlackmereC8を使用して、回収容器Rから連続的に0.25kg/hの液状内容物を断熱した管を通して取り出し、取出し部の上部で、回収容器R内にある液相に入れ、再び回収容器Rに戻した(このように回収容器Rの内容物を動かし続け、十分な混合並びに申し分のない物質移動を保証した)。円筒形容器の上端に、飛沫よけとしてラシヒリングを充填した短いカラムを設置した。12時間ごとにAmaturen社のタイプContiflow−TRF−HMのバルブから、回収時に残った高沸点の残留物120gを排出した。この残留物は望ましくない成分であるMSA及びMAS、PSA及びPAS並びに安息香酸の出口を形成した。回収容器R内に生じた気相は、環流液を形成することなく低沸点物質の流れとして、流量0.02kg/h、温度181.8℃で、生成ガス混合物と共に部分酸化ゾーンから記述した冷却ゾーン(記述した、生成ガス混合物のためのスプレークーラー内)へ誘導した。
回収容器Rから排出した低沸点物質の流れは以下を含有していた(その総質量に対して):
4.68質量%の水、
50質量ppmのCO2、
50質量ppmのアクロレイン、
82.11質量%のアクリル酸、
0.41質量%の酢酸、
0.059質量%の2−フルアルデヒド、
9.06質量%のMSA及びMAS、MSAとして計算、
0.19質量%のベンズアルデヒド、
70質量ppmのプロパン、
2.00質量%のホルムアルデヒド、
0.055質量%のギ酸、
0.025質量%のプロピオン酸、
0.437質量%の安息香酸、
0.317質量%のPSA及びPAS、PSAとして計算、
20質量ppmのプロペン、及び
0.31質量%のMEHQ。
実施例3
実施例3は、実施例1と同じ酸化反応器及びその他器具装置を使用して実施した。部分酸化条件は、実施例1に相当した(酸化反応器内への触媒固定床の装填及び2つの反応段階の間に行われる中間空気供給も含む)。水性中間生成物IIのCO2ガス放出は不要であったため、その要素は器具装置に統合しなかった。
反応ガス出発混合物1は、その総容積に対して>3.85容積%のプロパンと>96容積%のプロペンを含む化学用純度のプロペン0.23kg/h、1.15kg/hの空気及び1.19kg/hのサイクルガスから作った。その全流流量は2.57kg/hで、以下を含有していた:
78.10容積%のN2、
10.50容積%のO2、
3.74容積%のH2O、
0.79容積%のCO2、
0.016容積%のアクロレイン、
0.47容積%のプロパン、
0.39容積%のCO、及び
5.89容積%のプロペン。
第2反応段階から出た生成ガス混合物の流れは2.73kg/hであった。その温度は260℃、出口圧力は1.50barであった。その総質量に対して以下を含有していた:
75.18質量%のN2、
2.39質量%のO2、
5.99質量%のH2O、
2.10質量%のCO2、
589質量ppmのアクロレイン、
12.03質量%のアクリル酸、
2236質量ppmの酢酸、
29質量ppmの2−フルアルデヒド、
0.132質量%の無水マレイン酸、
52質量ppmのベンズアルデヒド、
0.67質量%のプロパン、
0.69質量%のCO、
0.14質量%のホルムアルデヒド、
310質量ppmのギ酸、
31質量ppmのプロピオン酸、
110質量ppmの安息香酸、
151質量ppmの無水フタル酸、及び
0.17質量%のプロペン。
これに対応して、生成ガス混合物中に含まれるアクリル酸の総質量に対して、以下を含有していた:
258質量ppmのプロピオン酸、
2577質量ppmのギ酸、
1.86質量%の酢酸、
914質量ppmの安息香酸、
1.10質量%の無水マレイン酸、
1255質量ppmの無水フタル酸、
4896質量ppmのアクロレイン、
432質量ppmのベンズアルデヒド、及び
241質量ppmの2−フルアルデヒド、
生成ガス混合物の総容積に対して、以下を含有していた:
79.73容積%のN2、
2.22容積%のO2、
1.42容積%のCO2、
0.46容積%のプロパン、及び
0.72容積%のCO。
生成ガス混合物流は、回収ユニットRから取り出した低沸点物質の流れの0.02kg/hと共に(低沸点物質の流れは温度181.5℃、及び圧力5barであった)並流に駆動するスプレークーラー(=冷却ゾーン)に給送した。その中に冷却液として7.63kg/h、温度100.4℃の塔底液を噴霧した。この塔底液は温度100.2℃で分離塔Kの底部から取り出し、ポンプを使用してスプレークーラーに給送した。
塔底液は以下を含有していた:
2.15質量%の水、
70質量%のアクリル酸(モノマー及びマイケル付加体として)、
0.44質量%の酢酸、
329質量ppmの2−フルアルデヒド、
21質量%のMSA及びMAS、MASとして計算、
918質量ppmのベンズアルデヒド、
1.53質量%のPSA及びPAS、PSAとして計算、
0.19質量%のギ酸、
210質量ppmのプロピオン酸、
1.28質量%の安息香酸、
2.40質量%のメチレングリコール、及び
0.45質量%のMEHQ。
生成ガス混合物流、低沸点物質の流れ及び冷却液から成る二相の混合物(合計10.38kg/h)は、温度102.7℃で分離塔Kの塔底チャンバの、分離効果のある内部構造物の最下部及び塔低レベルの上部に誘導した。分離塔Kの塔底チャンバの圧力は1.34barであった(塔低レベルのすぐ上)。
二重壁仕様の分離塔Kの塔底チャンバの壁間を通って熱媒体油を誘導し、(被吸収物I)の塔底液の温度が100.2℃になるよう保証した。
分離塔Kの底部から合わせて7.66kg/hの塔底液(被吸収物I)を分離塔から取り出した。そのうちの0.03kg/hを回収ユニットRに給送し、残りの7.63kg/hを、記述したように冷却ゾーンで冷却液として噴霧した。
吸収ゾーンI内で洗浄し、凝縮ゾーンI(分離塔Kの下から第2番目のセクション)へ流れるガス流の流量は3.32kg/hであった。その温度は85.1℃、圧力は1.34barであった。
このガス流は、その総質量に対して以下、
62.01質量%のN2、
1.97質量%のO2、
10.48質量%のH2O、
1.74質量%のCO2、
515質量ppmのアクロレイン、
21.47質量%のアクリル酸、
0.38質量%の酢酸、
42質量ppmの2−フルアルデヒド、
<1質量ppmのMSA及びMAS、MSAとして計算、
79質量ppmのベンズアルデヒド、
0.56質量%のプロパン、
0.56質量%のCO、
0.28質量%のホルムアルデヒド、
540質量ppmのギ酸、
60質量ppmのプロピオン酸、
<1質量ppmのMEHQ、
<1質量ppmの安息香酸、
<1質量ppmのPSA及びPAS、PSAとして計算、及び
0.143質量%のプロペン
を含有していた。
下から第1番目のチムニートレイの流出口を経由して、16.81kg/hの、温度55℃の凝縮液Iを凝縮ゾーンIから取り出した。
その総質量に対して凝縮液Iは以下を含有していた:
31.16質量%の水、
180質量ppmのアクロレイン、
65.75質量%のアクリル酸、
1.10質量%の酢酸、
120質量ppmの2−フルアルデヒド、
230質量ppmのベンズアルデヒド、
− MSA及びMAS、
1.51質量%のメチレングリコール、
0.17質量%のギ酸、
179質量ppmのプロピオン酸、
− 安息香酸、
− PSA及びPAS、及び
160質量ppmのMEHQ。
分離塔Kから取り出された凝縮液Iのこの流れに、温度25℃の、MEHQの溶液の0.12kg/hの流れを加えた。MEHQ水溶液の含有量は、結果として生じる重合を阻害した凝縮液Iの全流が169質量ppmのMEHQを含むように決定した(その総質量に対して)。
重合を阻害した凝縮液Iの全流を、実施例1のように二重壁を備えた撹拌槽に給送した。壁間には冷却液として水を誘導した。撹拌槽は間接的な熱交換器として(間接熱交換器として)機能した。この槽中での滞留時間は3分であった。ここから取り出した、冷却した、重合を阻害した凝縮液Iの全流の温度は35℃であった。全流の0.59kg/hは、下から第1番目のカラムアダプターの下方を向いた流入口を経由して、吸収剤Iとして最上部の構造化した規則充填物の頭部へ、吸収ゾーンIに給送した。全流の15.96kg/hは、下から第2番目のカラムアダプターの下方を向いた流入口を経由して冷却液として最上部の構造化した規則充填物の頭部で、凝縮ゾーンIに戻した。全流の0.38kg/hは、水性中間生成物Iとして分離塔Kから運び去った。
凝縮ゾーンIにガス状で残った残留ガス混合物Iは、その総質量に対して以下を含有していた:
83.45質量%のN2、
2.65質量%のO2、
6.34質量%のH2O、
2.33質量%のCO2、
619質量ppmのアクロレイン、
3.17質量%のアクリル酸、
788質量ppmの酢酸、
10質量ppmの2−フルアルデヒド、
− MSA及びMAS、
10質量ppmのベンズアルデヒド、
0.75質量%のプロパン、
0.76質量%のCO、
129質量ppmのホルムアルデヒド、
70質量ppmのギ酸、
10質量ppmのプロピオン酸、
− 安息香酸、
− PSA及びPAS、及び
0.19質量%のプロペン。
凝縮ゾーンIから下から第3番目のセクションに(吸収ゾーンIIに)流れる残留ガス混合物Iの流れは温度が55℃、流量が2.46kg/h、圧力が1.325barであった。
下から第2番目のチムニートレイの流出口を経由して温度50℃の、2.69kg/hの被吸収物IIを吸収ゾーンIIから取り出した。
その総質量に対して被吸収物IIは以下を含有していた:
75.57質量%の水、
100質量ppmのアクロレイン、
20質量ppmの2−フルアルデヒド、
30質量ppmのベンズアルデヒド、
0.11質量%のメチレングリコール、
60質量ppmのMEHQ、及び
アクリル酸及びその共役塩基の総量をアクリル酸として計算して17.85質量%、並びに、アクリル酸として計算した、水性被吸収物II中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して283質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して0.23質量%、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して2.45質量%、
− 安息香酸、
− MSA及びMAS、
− PSA及びPAS、及び
103.7モル%のNa+。
吸収ゾーンIIから取り出した被吸収物IIの流れ(0.11kg/h;温度=20℃)に、50質量%のNaOH水溶液(NaOH純度>99.9質量%)の流れ及びMEHQの阻害剤水溶液の流れ(0.23kg/h;温度=20℃)を給送した。阻害剤水溶液のMEHQ含有量は、吸収ゾーンIIから取り出した被吸収物IIのMEHQ含有量が、その総質量に対して、60質量ppmになるように決定した。
この重合を阻害した全流を、実施例1のように二重壁を備えた撹拌槽に給送した。壁間には冷却液として水を誘導した。撹拌槽は間接的な熱交換器として(間接熱交換器として)機能した。この槽中での滞留時間は10分であった。ここから取り出した、冷却した全流の温度は40℃であった。この冷却した、重合を阻害した全流の0.49kg/hは、水性中間生成物IIとして分離塔Kから運び去った。
冷却した、重合を阻害した全流の別の2.54kg/hは、0.04kg/hの凝縮水IIと合流した。これは下から第3番目のチムニートレイの流出口を経由して凝縮ゾーンIIから取り出し及び間接熱交換器内で30℃に冷却したものであった。
その際結果として生じた全流を、下から第3番目のカラムアダプターの下方を向いた流入口を経由して、吸収剤IIと冷却液として循環して誘導された凝縮液IIとの混合物として、最上部の構造化した規則充填物の頭部で、吸収ゾーンIIに給送した。
凝縮液IIは、その総質量に対して以下を含有していた:
99.75質量%の水、
110質量ppmのアクロレイン、
0.015質量%のアクリル酸、
50質量ppmの酢酸、
20質量ppmの2−フルアルデヒド、
10質量ppmのベンズアルデヒド、及び
0.032質量%のメチレングリコール。
吸収ゾーンIIから下から第4番目のセクションに(凝縮ゾーンIIに)流れる残留ガス混合物IIの流れは温度が50℃、流量が2.35kg/h、圧力が1.315barであった。その総質量に対して、残留ガス混合物IIは以下を含有していた:
87.42質量%のN2、
2.77質量%のO2、
5.44質量%のH2O、
2.42質量%のCO2、
639質量ppmのアクロレイン、
10質量ppmのアクリル酸、
10質量ppmのベンズアルデヒド、
0.79質量%のプロパン、
0.79質量%のCO、
6質量ppmのホルムアルデヒド、及び
0.194質量%のプロペン。
水性中間生成物IIは、以下を含有していた(その総質量に対して):
76.58質量%の水、
90質量ppmのアクロレイン、
20質量ppmの2−フルアルデヒド、
30質量ppmのベンズアルデヒド、
995質量ppmのメチレングリコール、
60質量ppmのMEHQ、
アクリル酸及びその共役塩基の総量をアクリル酸として計算して15.87質量%、
並びに、アクリル酸として計算した、水性中間生成物II中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して283質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して0.23質量%及び、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して2.45質量%、
安息香酸及びその共役塩基、
MSA及びMAS並びにその共役塩基、
PSA及びPAS並びにその共役塩基、及び
123.9モル%のNa+。
下から第3番目のチムニートレイの流出口を経由して、温度40℃の、3.18kg/hの凝縮液IIを凝縮ゾーンIIから取り出した。この凝縮液IIの流れを、実施例1のように二重壁を備えた撹拌槽に給送した。壁間には冷却液として水を誘導した。撹拌槽は間接的な熱交換器として(間接熱交換器として)機能した。この槽中での滞留時間は20分であった。ここから取り出した、冷却した凝縮液IIの3.18kg/hの流れの温度は30℃であった。この流れの0.04kg/hは、水性吸収剤IIの調整へと給送した。残りの3.14kg/hは、下から第3番目のカラムアダプターの下方を向いた流入口を経由して冷却液として最上部の構造化した規則充填物の頭部で、凝縮ゾーンIIに戻した。
凝縮ゾーンIIにガス状で残った残留ガス混合物IIIは、その総質量に対して以下を含有していた:
89.09質量%のN2、
2.83質量%のO2、
3.64質量%のH2O、
2.47質量%のCO2、
649質量ppmのアクロレイン、
− アクリル酸、
10質量ppmのベンズアルデヒド、
0.806質量%のプロパン、
0.806質量%のCO、及び
0.2質量%のプロペン。
その温度は40℃、圧力は1.305bar、流量は2.31kg/hであった。
残留ガス混合物IIIの流れを、間接熱交換器を通して誘導し、及びその中を貫流中に55℃の温度に加温した。加温した残留ガス混合物IIIの1.12kg/hは、焼却に給送した。残留ガス混合物IIIの1.19kg/hは、サイクルガスとして圧力2.135barに圧縮し、反応ガス出発混合物の調整に戻した。
水性中間生成物Iの流れ(0.38kg/h)、水性中間生成物IIの流れ(0.49kg/h)及び水性吸収剤IIの準備のために一緒に使用した50質量%のNaOH水溶液(T=20℃)の流れ0.15kg/hも、スタティックミキサーに誘導子、その中で混合して水性中間生成物IIIにした。
スタティックミキサーから31.5℃の温度で連続的に取り出した水性中間生成物III流量は1.02kg/hであった。これは以下を含有していた(その総質量に対して):
59.67質量%の水、
110質量ppmのアクロレイン、
60質量ppmの2−フルアルデヒド、
100質量ppmのベンズアルデヒド、
0.61質量%のメチレングリコール、
70質量ppmのMEHQ、
アクリル酸及びその共役塩基の総量をアクリル酸として計算して31.89質量%、
並びに、アクリル酸として計算した、水性中間生成物III中に含まれる酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して284質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して0.25質量%、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して1.87質量%、
− 安息香酸及びその共役塩基、
− MSA及びMAS並びにその共役塩基、
− PSA及びPAS並びにその共役塩基、及び
71.57モル%のNa+。
水性中間生成物IIIの流れ(1.02kg/h)は、事前にCO2ガス放出を行うことなく、熱交換及びO2を噴射する(希薄空気の形で)ために使用する、二重壁に作られた撹拌槽に給送した。二重壁壁間には熱媒体として水を誘導した。円筒形撹拌槽は、一方で水性中間生成物IIを後続のアルデヒド抽出の準備として50℃に加熱するための間接熱交換器として機能した。同時に円筒形撹拌槽内には底部付近にガス供給リングを取り付け、そのノズルから希薄空気(N2で希釈した空気;O2含有量=5質量%)を水性中間生成物III中に噴射した(0.01kg/h、温度は30℃)。この処置は、重合抑制のために行った(好ましくは中間生成物IIIが希薄空気で飽和するまで)。水性中間生成物IIIの加熱兼O2噴射槽中の平均滞留時間は15分であった。
水性中間生成物IIIが吸収しなかった分の希薄空気は、無視できる量をストリッピング作用しながらその廃棄へ給送した。
50℃に加熱し、重合阻害した中間生成物IIIは、第1の流入口管からパルス式抽出塔に給送した。有機抽出剤の抽出塔への流入は第2の流入口管から行った。水性中間生成物IIIの質量密度は、50℃で1141kg/m3であった。有機抽出剤の質量密度は、50℃で1053kg/m3であった。大気に向けて開いた抽出塔頂の気相中の圧力は1.01barであった。水性中間生成物IIIの抽出塔への流入は流量1.02kg/hで行った。有機抽出剤の抽出塔への流入は流量0.66kg/h、流入口温度は同じく50℃で行った。抽出の開始時、抽出塔を完全に水性中間生成物IIIで満たした。続いて被抽出物質及び抽出剤を記述したように連続的に給送した。有機抽出剤は分散相を形成し、水性中間生成物IIIは連続相を形成した。有機抽出剤として、その総質量に対して、70質量ppmのMEHQを溶解して含むDiphylを使用した。
相分離セクション内で軽比重の有機抽出物IIIが浮揚し、流量0.665kg/hで連続的に抽出塔から取り出した。抽出塔の塔底チャンバから連続的に1.015kg/hの水性ラフィネートIIを目標生成物水溶液として取り出した。水性ラフィネートIIIと有機抽出物IIIの温度は50℃であった。
水性ラフィネートIIIは、その総質量に対して以下を含有していた:
59.93質量%の水、
− アクロレイン、
− 2−フルアルデヒド、
− ベンズアルデヒド、
0.080質量%のDiphyl、
0.61質量%のメチレングリコール、
70質量ppmのMEHQ、
アクリル酸及びその共役塩基の総量をアクリル酸として計算して31.54質量%、
並びに、アクリル酸として計算した、水性ラフィネートIII中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して286質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して0.24質量%、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して1.88質量%、
− 安息香酸及びその共役塩基、
− MSA及びMAS並びにその共役塩基、
− PSA及びPAS並びにその共役塩基、
72.8モル%のNa+、及び
炭酸塩及び炭酸水素塩アニオンの総量を<0.02モル%。
有機抽出物IIIは、その総質量に対して以下を含有していた:
0.105質量%の水、
0.016質量%のアクロレイン、
0.84質量%のアクリル酸、
90質量ppmの酢酸、
80質量ppmの2−フルアルデヒド、
0.015質量%のベンズアルデヒド、
98.84質量%のDiphyl、
20質量ppmのメチレングリコール、
60質量ppmのギ酸、
− プロピオン酸、
− 安息香酸、
− MSA及びMAS、
− PSA及びPAS、及び
70質量ppmのMEHQ。
水性ラフィネートIIから、原則としてその中にまだ溶解している分子状酸素を分子状窒素によって排除した後、コモノマー(選択的に純粋アクリル酸(glacial acrylic acid(GAA))、内部架橋剤及び重合開始剤のような物質を選択的に加えた後、すぐに目標に設定したラジカル後続重合を実施した。個別には、ここでは引用した明細書の従来技術のように行った。
有機抽出物III中に含まれる有機抽出剤を回収するために、これを強化セクション及び分離セクションを備えた精留塔に給送した。抽出物IIIを精留塔に流入させる前に、これを間接熱交換器に通し、その温度を流入温度179.2℃に高めた。
精留塔の頭部圧力は100mbarに調節した。塔底の蒸気圧は155mbarであった。
塔底チャンバからフィードポンプを使用して連続的に17.02kg/hの、純度≧99.99質量%のDiphylを取り出した。これは70質量ppmのMEHQを溶解して含んでいた。塔底液の温度は185.5℃であった。
この取出し流の0.66kg/hは二重壁仕様の撹拌槽に給送した。二重壁壁間には温度を適温にした水を誘導した。追加的にこの撹拌槽中にDiphylの損失分を新しいDiphylを供給することで補うことができた。撹拌槽中の温度は50℃に保った。撹拌槽の内部容積は5リットルであった。この撹拌槽から有機抽出剤を取り出し、パルス式抽出塔へ給送した。
残った取出し流16.36kg/hは、同じフィードポンプを使用して、ステンレス鋼製のSambay蒸発器を通して循環するよう送り、精留に必要なエネルギー流入を確保した。熱媒体は熱媒体油であった。
Sambay蒸発器から流出した、気相及び液相から成る混合物(T=185.5℃)は、精留塔の塔底チャンバの液レベルの上方に戻した。
塔頂の温度は69.9℃であった。精留塔をこの温度で出た蒸気流を、間接熱交換器として作られた凝縮器に誘導した。冷却要素として、この凝縮器は冷水が流れる冷却コイルを備えていた。凝縮器内で凝縮していない成分は温度30℃のガス流として、真空ポンプ(ダイアフラム型真空ポンプ)により除去した。残った凝縮液流は2つの部分流に分割した。0.70kg/hは温度30℃で環流液として精留塔の最上部のバブルキャップトレイに戻した。凝縮液の残留流は実施例1のようにアルデヒド出口としてバッファ槽を経由して固定サイクルで排出した。
その総質量に対して凝縮液は以下を含有していた:
9.97質量%のH2O、
0.83質量%のアクロレイン、
84.98質量%のアクリル酸、
0.90質量%の酢酸、
0.80質量%の2−フルアルデヒド、
1.55質量%のベンズアルデヒド、
0.25質量%のメチレングリコール、
0.54質量%のギ酸、及び
0.01質量%のプロピオン酸。
目標生成物水溶液を後続で使用する際に目標生成物水溶液のDiphyl含有量が高すぎる場合は、以下のような方法をとった。
温度が50℃の水性ラフィネートIIIは、その中にまだ含まれているDiphylを精留法で分離するために、ストリップ部1つのみを備えた精留塔に給送した。塔底チャンバ外壁の温度は63.5℃に保った。
塔底チャンバの上に載せた4つのセクションは、外部から再び各内部温度に保護加熱した。
ストリップ塔の頭部圧力は真空ポンプ(ダイアフラム型真空ポンプ)を使用して100mbarに調整した。塔底の蒸気圧は195mbarであった。水性ラフィネートIIIの流入(1.015kg/h)は、その温度が50℃で最上部のバブルキャップトレイに行った。ストリップ塔を温度47.5℃で出た蒸気流を、間接熱交換器として作られた凝縮器に誘導した。冷却要素として、この凝縮器は冷水が流れる冷却コイルを備えていた。凝縮器内で凝縮していない成分は温度25℃のガス流として、真空ポンプにより除去した。
残った凝縮液流は温度25℃で、25℃に温度調節した相分離器に給送した。凝縮液流は、相分離器内を左から右へ流れ、その際に有機相と水相別れた。水相(0.77kg/h;T=25℃;質量密度=998.7kg/m3)はストリップ塔の最上のトレイに戻した。有機相は集めて焼却した。
塔底チャンバから、フィードポンプを使用して連続的に9.46kg/h、温度63.5℃の塔底液を取り出した。この流れの8.44kg/hは、ステンレス鋼製のSambay蒸発器によって循環するよう送り、精留に必要なエネルギー流入を確保した。熱媒体として熱媒体油を使用した。Sambay蒸発器から流出した、気相及び液相から成る混合物(T=64.2℃)は、精留塔の塔底チャンバの液レベルの上方に戻した。重合抑制のために、ストリップ塔の底部に連続的に0.01kg/hの希薄空気(O2含有量=5質量%)を誘導した(その温度は30℃であった)。
塔底チャンバから連続的に取り出した塔底液の流れの残りの1.02kg/hは、実質的にDiphylを含まない「レディミックス」を形成し、原則としてその中にまだ溶解している分子状酸素を分子状窒素によって排除した後、コモノマー(選択的に純粋アクリル酸(glacial acrylic acid(GAA)も)、内部架橋剤及び重合開始剤のような物質を選択的に加えてから、すぐに目標に設定したラジカル後続重合を実施した。
別法として「レディミックス」を間接熱交換器を通して25℃に冷却し、この温度に調節した貯蔵タンクに給送し、その中で希薄空気で覆って貯蔵した(常に分子状酸素が必要であるためにこの覆いは常に流れる希薄空気流(0.01kg/h;O2含有量=5質量%))であると、応用技術的に目的に合っている。
その総質量に対して「レディミックス」は以下を含有していた:
59.88質量%の水、
− アクロレイン、
− 2−フルアルデヒド、
− ベンズアルデヒド、
10質量ppmのDiphyl、
0.61質量%のメチレングリコール、
70質量ppmのMEHQ、
アクリル酸及びその共役塩基の総量をアクリル酸として計算して31.68質量%、
並びに、アクリル酸として計算した、目標生成物水溶液中に含まれるアクリル酸及びその共役塩基の総量に対して、
プロピオン酸及びその共役塩基の総量をプロピオン酸として計算して285質量ppm、
ギ酸及びその共役塩基の総量をギ酸として計算して0.24質量%、
酢酸及びその共役塩基の総量を酢酸として計算して1.88質量%、
− 安息香酸及びその共役塩基、
− MSA及びMAS並びにその共役塩基、
− PSA及びPAS並びにその共役塩基、及び
72.90モル%のNa+。
ストリップ塔の底部で生成された水蒸気により、水性ラフィネートIIIから使用した抽出剤を実質的にストリッピング除去した。
分離塔Kの底部からフィードポンプを使用して連続的に7.66kg/hの塔底液を運び出した。塔底液温度は100.2℃であった。そのうちの7.63kg/hはポンプにより冷却液として、並流で稼働するスプレークーラー内に送り、部分酸化ゾーンからの生成ガス混合物を直接冷却するために噴霧した。
残った0.03kg/hは、その中にモノマーとして及びマイケル付加体として含まれるアクリル酸を回収するために回収ユニットRに給送した。
回収ユニットRは、内部構造物のない、耐圧ガラス製の円筒形の容器であり、その内径は60.3mm、高さは350mmであった。外部から容器に電気式ヒーターベルトを巻き付けて加熱した。液状の内容物の温度は181.5℃に保った。気相の内圧は1.5barであった。環状ピストンポンプBlackmereC8を使用して、回収容器Rから連続的に0.25kg/hの液状内容物を断熱した管を通して取り出し、取出し部の上部で、回収容器R内の液相に入れ、再び回収容器Rに戻した(このように回収容器Rの内容物を動かし続け、十分な混合並びに申し分のない物質移動を保証した)。円筒形容器の上端に、飛沫よけとしてラシヒリングを充填した短いカラムを設置した。12時間ごとにAmaturen社のタイプContiflow−TRF−HMのバルブから、回収時に残った高沸点の残留物120gを排出した。この残留物は望ましくない成分であるMSA及びMAS、PSA及びPAS並びに安息香酸の出口を形成した。回収容器R内に生じた気相は、環流液を形成することなく低沸点物質の流れとして、流量0.02kg/h、温度181.5℃で、生成ガス混合物と共に部分酸化ゾーンから記述した冷却ゾーン(記述した、生成ガス混合物のためのスプレークーラー内)へ誘導した。
回収容器Rから排出した低沸点物質の流れは以下を含有していた(その総質量に対して):
5.44質量%の水、
60質量ppmのCO2、
60質量ppmのアクロレイン、
82.25質量%のアクリル酸、
0.54質量%の酢酸、
0.037質量%の2−フルアルデヒド、
8.43質量%のMSA及びMAS、MSAとして計算、
979質量ppmのベンズアルデヒド、
70質量ppmのプロパン、
1.87質量%のホルムアルデヒド、
0.091質量%のギ酸、
0.024質量%のプロピオン酸、
0.44質量%の安息香酸、
0.32質量%のPSA及びPAS、PSAとして計算、
20質量ppmのプロペン、及び
0.19質量%のMEHQ。
2011年6月3に出願された米国仮特許出願番号61/492822は、参考として本出願で援用される。
上述の教示に関して、本発明から多くの変更及び逸脱が可能である。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲内で、本明細書に具体的に詳述した方法と異なる方法で実施可能であると推測することができる。