JP5749727B2 - 純粋相リン酸リチウムアルミニウムチタンおよびその製造方法ならびにその使用 - Google Patents

純粋相リン酸リチウムアルミニウムチタンおよびその製造方法ならびにその使用 Download PDF

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Description

本発明は純粋相リン酸リチウムアルミニウムチタン、その製造方法、その使用、および該純粋相リン酸リチウムアルミニウムチタンを含むリチウムイオン二次電池に関する。
近年、電池駆動自動車は、近い将来に化石原料不足が増加することから、ますます研究開発の中心となりつつある。
特にリチウムイオン蓄電池(リチウムイオン二次電池ともいう)はこのような応用に最も有望な電池モデルであることを示した。
このいわゆる「リチウムイオン電池」は電動工具、コンピュータ、携帯電話などの分野でも広く使用されている。特にカソードおよび電解質、さらにはアノードも、リチウム含有材料で構成される。
例えばLiMnおよびLiCoOはカソード材料としてしばらくの間使用されている。最近、特にGoodenoughら(米国特許第5,910,382号)の研究以降、ドープまたは非ドープのリチウム遷移金属リン酸塩の混合物、特にLiFePOも使用されている。
通常は、例えばグラファイトまたはチタン酸リチウムなどのリチウム化合物も、上述のように、特に大容量電池用のアノード材料として使用される。
本明細書においてチタン酸リチウムとは、空間群がFd3mであり、0≦x≦1/3であるLi1+xTi2−xタイプのドープまたは非ドープのリチウムチタンスピネルおよび一般式:LiTiO(0≦x,y≦1)で表されるチタン酸化物のあらゆる混合物を意味する。
通常、リチウム塩またはその溶液は当該リチウムイオン蓄電池において電解質として使用される。
エボニックデグサ(Evonik Degussa)社から当面の間市販されているSeparion(登録商標)などのセラミックセパレータ(独国特許出願公開第19653484号公報)も提案されている。しかし、Separion(登録商標)は、固体電解質ではなく、ナノスケールのAlおよびSiOのようなセラミック充填材を含有する。
リン酸リチウムチタンはこれまで固体電解質として語られてきた(特開平2−225310号公報)。リン酸リチウムチタンは構造およびドーピングに応じて上昇したリチウムイオン伝導性および低い導電性を有し、この低い導電性、さらにはその硬さがリン酸リチウムチタンをリチウムイオン二次電池の固体電解質として最適なものとする。
Aonoらはドープおよび非ドープのリン酸リチウムチタンのイオン(リチウム)伝導性について記載している(J.Electrochem.Soc.,Vol.137,No.4,1990,pp.1023−1027,J.Electrochem.Soc.,Vol.136,No.2,1989,pp.590−591)。
具体的にはアルミニウム、スカンジウム、イットリウム、およびランタンでドープした系が分析された。ドープ度にもよるがアルミニウムは他のドープ金属と比べて最も高いリチウムイオン伝導性をもたらすため特にアルミニウムでドープすることにより良好な結果が得られること、および、結晶中でのアルミニウムの陽イオン半径(Ti4+よりも小さい)のためにアルミニウムはチタンによって占有される空間を良好に占めることができることが判明した。
KosovaらはChemistry for Sustainable Development 13(2005)253−260において再充電可能なリチウムイオン電池用のカソード、アノード、および電解質として好適なドープリン酸リチウムチタンを提案している。
Li1.3Al0.3Ti1.7(PO)は、欧州特許第1570113号公報において、電気化学部材用の、さらなるリチウムイオン伝導性を有する「活性な」セパレータ膜中のセラミック充填材として提案された。
同様に、さらなるドープリン酸リチウムチタン、特に鉄、アルミニウム、および希土類でドープしたものが米国特許第4,985,317号公報に記載された。
しかし、固体リン酸塩から開始する固相合成による非常に高価な製造は上記で命名したリン酸リチウムチタンの全てに共通しており、当該製造においては得られるリン酸リチウムチタンが通常例えばAlPOまたはTiPのようなさらなる異質相によって汚染されている。純粋相リン酸リチウムチタンまたは純粋相ドープリン酸リチウムチタンはこれまで知られていない。
したがって本発明の目的は、純粋相リン酸リチウムアルミニウムチタンを提供することである。これは高いリチウムイオン伝導性と低い導電性との性能を両立するためである。特に純粋相リン酸リチウムアルミニウムチタンは異質相がないため従来のリン酸リチウムアルミニウムチタンに比べてはるかに高いイオン伝導性を有するであろう。
この目的は、一般式:Li1+xTi2−xAl(PO(式中xは0.4以下である)で表され、元素Fe、Cr、およびNiの磁性金属および磁性金属化合物の含有量が1ppm以下である、純粋相リン酸リチウムアルミニウムチタンの提供によって達成される。
図1は本発明に係る純粋相リン酸リチウムアルミニウムチタンの構造を示す。 図2は本発明に係るリン酸リチウムアルミニウムチタンの粉末X線回折(XRD)を示す。 図3は従来の方法により製造したリン酸リチウムアルミニウムチタンの粉末X線回折(XRD)を示す。 図4は本発明に係るリン酸リチウムアルミニウムチタンの粒子サイズ分布を示す。
本明細書において、「純粋相」との語は異質相の反射を粉末X線回折(XRD)で認識できないことを意味する。本発明に係るリン酸リチウムアルミニウムチタンにおいて異質相の反射がないことは、以下の図2に一例として示しており、異質相(例えばAlPOおよびTiPなど)の最大の比率の1%に相当する。
異質相は固有イオン伝導度を低下させ、その結果、いずれも異質相を含有する従来のものと比較すると、本発明に係る純粋相リン酸リチウムアルミニウムチタンは従来のリン酸リチウムアルミニウムチタンよりも固有伝導度が高い。
驚くべきことに、本発明に係るリン酸リチウムアルミニウムチタン中のFe、Cr、およびNiの磁性金属および磁性金属化合物の総含有量(ΣFe+Cr+Ni)は1ppm以下であることも判明した。(特開平2−225310号公報に従って得られた)従来のリン酸リチウムアルミニウムチタンの場合、この値は通常2〜3ppmである。多少の崩壊性(disruptive)亜鉛も考慮に入れると、本発明に係るリン酸リチウムアルミニウムチタン中の総含有量ΣFe+Cr+Ni+Zn=1.1ppmであるが、上記従来のリン酸リチウムアルミニウムチタンの場合は2.3〜3.3ppmである。
特に本発明に係るリン酸リチウムアルミニウムチタンは金属鉄または磁鉄および磁鉄化合物(例えばFeなど)による汚染がきわめて小さく、0.5ppm未満に過ぎない。磁性金属または磁性金属化合物の濃度測定は後述の実験の項において詳述する。
従来公知のリン酸リチウムアルミニウムチタン中の磁鉄または磁鉄化合物の常用値は約1〜1000ppmである。金属鉄または磁鉄化合物による汚染の結果、電流降下を伴うデンドライト形成に加えて、リン酸リチウムアルミニウムチタンが固体電解質として使用される電気化学セル内の短絡の危険が有意に増大し、このため工業規模のセルを製造するリスクとなる。これらの不都合を本明細書では純粋相リン酸リチウムアルミニウムチタンを用いて回避することができる。
驚くべきことに、本発明に係るリン酸リチウムアルミニウムチタンは4.5m/g未満という比較的高いBET表面積をも有する。標準値は例えば2.0〜3.5m/gである。一方、文献で知られるリン酸リチウムアルミニウムチタンは1.5m/g未満のBET表面積を有する。
本発明に係るリン酸リチウムアルミニウムチタンは好ましくはd90<6μm、d50<2.1μm、および、d10<1μmの粒子サイズ分布を有し、その結果粒子の大部分が非常に小さく、このため非常に高いイオン伝導性が達成される。これは上記未審査の日本特許出願による類似の研究結果を裏付けるものであり、該出願では様々な粉砕処理手段によってより小さな粒子サイズを得ることも試みられた。しかし、リン酸リチウムアルミニウムチタンが極めて硬いため(モース硬度>7、すなわちダイヤモンドに近い)、通常の粉砕処理を用いてこれを得ることは困難である。
本発明のさらに好ましい実施形態において、リン酸リチウムアルミニウムチタンは実験式:Li1.2Ti1.8Al0.2(POを有する。これは293Kで約5×10−4S/cmもの非常に良好な全イオン伝導度を有し、特に純粋相形態Li1.3Ti1.7Al0.3(POでは293Kで7×10−4S/cmもの特に高い全イオン伝導度を有する。
さらに、本発明の目的は、本発明に係る純粋相リン酸リチウムアルミニウムチタンの製造方法を提供することである。この目的は下記工程を含む方法により達成される:
a)濃リン酸を準備する工程、
b)リチウム化合物、二酸化チタン、および酸素含有アルミニウム化合物の混合物を添加する工程、
c)固体の中間生成物を得るために前記混合物を加熱する工程、
d)前記固体の中間生成物を焼成する工程。
驚くべきことに、従来公知の全ての合成と違って固体リン酸塩に代えて液体リン酸を用いることもできることが判明した。したがって本発明に係る方法は前駆体水性懸濁液の所定の沈殿物として進行する。リン酸を使用することにより、方法のより簡単な実施、ひいては溶液または懸濁液中に既に存在する不純物を除去するという選択、ひいてはより相純度の高い生成物を得ることが可能となる。
本発明のさらなる実施形態において他の濃リン酸(例えばメタリン酸など)を使用することもできるが、濃リン酸、すなわち、例えば85%のオルトリン酸がリン酸として好ましく使用される。全てのオルトリン酸の濃縮生成物を本発明において使用することもできる:例えば、カテナリ(catenary)ポリリン酸(二リン酸、三リン酸、オリゴリン酸など)、環状メタリン酸(トリメタリン酸、テトラメタリン酸)からリン酸Pの無水物(水中)に至るまで。
本発明によれば、任意の適切なリチウム化合物をリチウム化合物(例えばLiCO、 LiOH、LiO、LiNO)として用いることができ、この際、炭酸リチウムが最もコスト面で有利な原料源であるため特に好ましい。
実際にはアルミニウムの任意の酸化物もしくは水酸化物または酸化物/水酸化物の混合物を酸素含有アルミニウム化合物として用いることができる。アルミニウム酸化物Alは入手しやすいために従来から好ましく使用されている。しかし、本願の場合には、Al(OH)を用いた場合に最高の結果が達成されることが判明した。Al(OH)はAlと比べるとはるかにコスト面で有利であり、特に焼成工程において、Alよりも反応性も高い。ただし、もちろんAlを本発明に係る方法に用いることもできる。しかし、その場合、特に焼成は、Al(OH)を用いた場合と比較するとより長持間続く。
混合物の加熱工程は200〜300℃、好ましくは200〜260℃、特に好ましくは200〜240℃の温度で実施する。温和な反応をさらに制御することもでき、これにより温和な反応が保証される。
焼成は、830℃未満では異質相が発生する危険性が特に高いため、好ましくは830〜1000℃、特に好ましくは880〜900℃の温度で実施する。
通常、化合物Li1+xTi2−xAl(PO中のリチウムの蒸気圧は950℃を超える温度で増加する。すなわち、950℃を超える温度では、形成した化合物Li1+xTi2−xAl(POがますます多くのリチウムを失い、当該リチウムは空気雰囲気中の炉壁上にLiOおよびLiCOとして沈降する。これは例えば後述する過剰なリチウムによって補うことができるが、化学量論の厳密な設定はより困難となる。したがって、温度が低いほど好ましく、驚くべきことに従来の方法と比較して、本方法を予め実施することによっても可能である。この結果は従来技術での固体リン酸塩に対して水性濃リン酸を使用することに起因すると考えることができる。
さらに、1000℃を超える温度は炉およびるつぼ材料への要求が大きくなる。
焼成を5〜10時間にわたって行う。本発明のより一層好ましいさらなる実施形態においては、第2の焼成工程を同一温度かつ好ましくは同一時間にわたって実施し、これにより特に純粋な相の生成物を得る。
本発明の他の好ましい展開では化学量論的に過剰なリチウム化合物を工程b)において使用する。リチウム化合物は上述のように使用する反応温度で揮発することが多く、その結果、リチウム化合物にもよるが、ここでは、過剰量を用いて作業を行う必要があることが多い。ここで、好ましくは化学量論的に約8%過剰な量が使用され、これは従来の固相法と比べて約50%の高価なリチウム化合物の量の削減を意味する。さらに、本方法は水性沈殿処理を通して実施されるため、固相法に比べて化学量論の監視が特に容易となる。
本発明の主題は、一般式:Li1−xTi2−xAl(PO(式中xは0.4以下である)で表される純粋相リン酸リチウムアルミニウムチタンでもあり、これは本発明に係る方法によって得ることができ、本方法の実施によって上記定義の意味の範囲内において特に純粋相を得ることができ、上述したように、1ppm以下の少量の磁性不純物を含有する。また、固相合成法によって得られうる既知の生成物はすべて、上述のように、より高い量の崩壊性(disruptive)磁性化合物に加えて、さらなる異質相、すなわち、本発明に係る方法を実施することによって、特に固体リン酸塩に代えて濃リン酸を使用することによって本発明においては回避できるもの、を有していた。
本発明の主題は、リチウムイオン二次電池における固体電解質としての本発明に係る純粋相リン酸リチウムアルミニウムチタンの使用でもある。
本発明の目的はさらに、本発明に係る純粋相リン酸リチウムアルミニウムチタンを特に固体電解質として含む、改良されたリチウムイオン二次電池を提供することによって達成される。リチウムイオン伝導性が高いため、固体電解質は特に好適かつ特に安定であり、その相の純度および低い鉄含有量のために短絡に対して耐性もある。
本発明の好ましい展開において、本発明に係るリチウムイオン二次電池のカソードはドープまたは非ドープのリチウム遷移金属リン酸塩をカソードとして含み、この際、リチウム遷移金属リン酸塩の遷移金属はFe、Co、Ni、Mn、CrおよびCuからなる群より選択される。ドープまたは非ドープのリン酸リチウム鉄(LiFePO)が特に好ましい。
本発明のさらに好ましい展開において、カソード材料は使用されるリチウム遷移金属リン酸塩とは異なるドープまたは非ドープのリチウム遷移金属オキソ化合物をさらに含む。本発明に係る好ましいリチウム遷移金属オキソ化合物は、例えば、LiMn、LiNiO、LiCoO、NCA(LiNi1−x−yCoAl、例えばLiNi0.8Co0.15Al0.05)またはNCM(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)である。このような組み合わせ中でのリチウム遷移金属リン酸塩の割合は1〜60重量%の範囲である。好ましい割合は例えば6〜25重量%であり、より好ましくは、LiCoO/LiFePO混合物中に8〜12重量%であり、LiNiO/LiFePO混合物中に25〜60重量%である。
本発明のさらに好ましい展開において、本発明に係るリチウムイオン二次電池のアノード材料はドープまたは非ドープのチタン酸リチウムを含む。ただし、他の展開において、アノード材料はカーボン(例えばグラファイトなど)のみを含んでもよい。上記好ましい展開におけるチタン酸リチウムは通常ドープまたは非ドープのLiTi12であり、その結果、例えばドープまたは非ドープのリチウム遷移金属リン酸塩の好ましいカソードに対して2Vの電位を達成することができる。
上述したように、好ましい展開におけるカソード材料であるリチウム遷移金属リン酸塩およびアノード材料であるチタン酸リチウムは両方ともドープされていてもよいし非ドープであってもよい。ドープは少なくとも1つの追加の金属を用いてまたは数種類の金属を用いて実施され、これにより特にカソードまたはアノードとして使用した場合のドープ材料の安定性およびサイクル安定性が向上する。Al、B、Mg、Ga、Fe、Co、Sc、Y、Mn、Ni、Cr、V、Sb、Bi、Nbなどの金属イオンまたはこれらのイオンのいくつかがドープ材料として好ましく、これらはカソードまたはアノード材料の格子構造に組み込むことができる。Mg、Nb、およびAlは特に好ましい。チタン酸リチウムは通常好ましくはルチル型を含まず、そのため同様に純粋相である。
ドープ金属陽イオンは上記で命名したリチウム遷移金属リン酸塩またはチタン酸リチウム中にリチウム遷移金属リン酸塩またはチタン酸リチウムの総量に対して0.05〜3重量%、好ましくは1〜3重量%の量で存在する。遷移金属(原子%の値)に対してまたはチタン酸リチウムの場合にはリチウムおよび/またはチタンに対して、ドープ金属陽イオンの量は20原子%、好ましくは5〜10原子%である。
ドープ金属陽イオンは金属またはリチウムの格子位置のどちらかを占有する。これに対する例外はFe、Co、Mn、Ni、Cr、Cuが混合されたリチウム遷移金属リン酸塩(上記元素の少なくとも2つを含む)であり、この場合にはより多くのドープ金属陽イオンが存在し、極端な場合には最大で50重量%までである。
活性材料、すなわちリチウム遷移金属リン酸塩またはチタン酸リチウムに加えて、本発明に係るリチウムイオン二次電池の電極の標準的な追加の構成要素は、カーボンブラックおよびバインダーである。
当業者にそれ自体が公知であるバインダーを本発明においてバインダーとして使用してもよく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、ポリビニリデンジフルオリドヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリルメタクリレート(PMMA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、およびこれらの誘導体、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
本発明の構成において、電極材料の各構成要素の代表的な割合は、好ましくは80〜98重量部の活性材料、10〜1重量部の導電性カーボン、および10〜1重量部のバインダーである。
本発明の構成において、好ましいカソード/固体電解質/アノードの組み合わせは例えば、単セル電圧が約2Vであり鉛酸電池の代用として適切なLiFePO/Li1.3Ti1.7Al0.3(PO/LiTiO(式中x、yおよびzは上記の通りである)、または、セル電圧が増加し、エネルギー密度が改善したLiCoMnFePO/Li1.3Ti1.7Al0.3(PO/LiTiO(式中x、yおよびzは上記の通りである)である。
以下、本発明を図面および実施例を用いてより詳細に説明するが、図面および実施例は本発明の範囲を限定するものと理解すべきではない。
[図1]図1は本発明に係る純粋相リン酸リチウムアルミニウムチタンの構造を示す。
[図2]図2は本発明に係るリン酸リチウムアルミニウムチタンの粉末X線回折(XRD)を示す。
[図3]図3は従来の方法により製造したリン酸リチウムアルミニウムチタンの粉末X線回折(XRD)を示す。
[図4]図4は本発明に係るリン酸リチウムアルミニウムチタンの粒子サイズ分布を示す。
1.測定方法
BET表面積はDIN66131(DIN−ISO9277)に従って測定した。
粒子サイズ分布はDIN66133に準拠し、Malvern Mastersizer2000を用いたレーザー粒度分析によって測定した。
粉末X線回折(XRD)はX’Pert PRO回折装置、PANalytical(ゴニオメータ:Theta/Theta、Cuアノード:PW3376(最大出力2.2kW)、検出器:X’Celerator,X’Pertソフトウェア)を用いて測定した。
本発明に係るリン酸リチウムアルミニウムチタン中の磁性成分含有量は磁石を用いた分離後に酸により分解し、続いて生成した溶液をICP分析することによって測定される。
分析するリン酸リチウムアルミニウムチタン粉末を特定サイズ(直径1.7cm、長さ5.5cm <6000ガウス)の磁石を用いてエタノール中に懸濁させる。エタノール懸濁液を振動数が135kHzである超音波浴中で30分間磁石にさらす。磁石は粉末の懸濁液から磁性粒子を引き付ける。次いで磁性粒子を有する磁石を懸濁液から取り除く。磁性不純物を酸による分解を用いて溶解させ、これを磁性不純物の正確な量および組成を測定するために、ICP(イオンクロマトグラフィー)分析を用いて分析する。ICP分析装置はICP−EOS、Varian Vista Pro 720−ESであった。
[実施例1:Li1.3Al0.3Ti1.7(POの製造]
1037.7gのオルトリン酸(85%)を反応器に投入した。144.3gのLiCO、431.5gのTiO(アナターゼ形態)、および46.8gのAl(OH)(ギブサイト)の混合物をテフロンコートされたアンカー型攪拌機を用いて激しく撹拌しながら流路を介してゆっくりと添加した。LiCOとリン酸とをCO形成に起因する懸濁液の激しい発泡を伴って最後まで反応させながら、該混合物を1〜1.5時間をかけて非常にゆっくり添加した。添加の最後までに白色の懸濁液はより粘性が高くなったが、依然として液滴を形成する能力を有していた。
続いて混合物を炉内で225℃まで加熱し、この温度で2時間放置した。苦労しても反応器から部分的にしか取り除くことができない、硬く、砕けやすい粗生成物が形成した。液体状態からゴム状稠度を介した懸濁液の完全固化が比較的すぐに生じた。ただし、例えば砂浴または湯浴を炉の代わりに用いることもできる。
その後粗生成物を50μm未満の粒子サイズを得るために6時間かけて微粉砕した。
微粉砕した予混合物を200℃から900℃へと6時間以内で加熱速度2℃/分で加熱した。そうしないと結晶の異質相が粉末X線回折(XRD)で検出されうるためである。次いで生成物を900℃で24時間焼結させた後、磁器製の球体を有するボールミルで微粉砕した。磁性Fe、Cr、およびNiまたはこれらの磁性化合物の総量は0.75ppmであった。Feおよびその磁性化合物の総量は0.25ppmであった。
[実施例2]
Li1.3Al0.3Ti1.7(POを実施例1のように合成したが、炭酸リチウム、TiOおよび Al(OH)の混合物の添加後に、白色懸濁液を抗接着コーティングを有する反応器、例えばテフロン壁を有する反応器へと移動させた。これにより硬化した中間生成物の除去が実施例1に比べて非常に簡単となった。分析データは実施例1と一致した。
[実施例3]
粉砕した中間生成物を焼結前に加圧してペレットとしたこと以外は実施例2のようにLi1.3Al0.3Ti1.7(POを合成した。分析データは実施例1と一致した。
[実施例4]
ペレットを用いる場合および微粉砕した中間生成物を用いる場合の両方について室温へと冷却した後に第一焼成を12時間かけて行った後さらに第二焼成を12時間かけて900℃で行ったこと以外は、実施例2または実施例3のようにLi1.3Al0.3Ti1.7(POを合成した。後者の場合には異質相の兆候は生成物において全く確認されなかった。磁性Fe、CrおよびNiまたはこれらの磁性化合物の総量は0.76ppmであった。Feおよびその磁性化合物の量は0.24ppmであった。一方、特開平2−225310号に従って製造した比較例は、ΣFe+Cr+Niの量が2.79ppmであり、磁性鉄または鉄化合物の量が1.52ppmであることが確認された。
本発明に従って得られた生成物Li1.3Al0.3Ti1.7(POの構造を図1に示す。これはいわゆるNASiCON(Na超イオン伝導体)構造(Nuspl et al.,J.Appl.Phys.Vol. 06,No.10,p.5484(1999)参照)と類似する。
結晶構造のLiチャンネルが3次元であり、かつ、これと同時に、このチャンネル中のLiの移動のための活性化エネルギーが非常に低い0.3eVであることから、高い固有のLiイオン伝導性がもたらされる。Alドープは固有Li伝導性にほとんど影響を与えないが、粒子境界でのLiイオン伝導性は低下する。
Li3xLa2/3−xTiO化合物に加えて、Li1.3Al0.3Ti1.7(POは文献において既知の最高のLiイオン伝導性を有する固体電解質である。
図2における実施例4から得られた生成物の粉末X線回折(XRD)から確認することができるように、極めて純粋な相の生成物が本発明に係る反応工程から生じる。
これとは対照的に、図3から、特開平2−225310号に従って製造した従来のリン酸リチウムアルミニウムチタンの粉末X線回折は、TiPおよびAlPOのような異質相を有することが確認される。Kosovaらが記載した材料(上記参照)においても同一の異質相が確認される。
実施例4から得られた生成物の粒子サイズ分布を図4に示す。図4は、d90の値が6μm未満であり、d50の値が2.1μm未満であり、d10の値が1μm未満である、純粋に単一モードの粒子サイズ分布を有する。

Claims (8)

  1. a)濃リン酸を準備する工程、
    b)リチウム化合物、二酸化チタン、および酸素含有アルミニウム化合物の混合物を添加する工程、
    c)固体の中間生成物を得るために前記混合物を加熱する工程、
    d)前記固体の中間生成物を焼成する工程
    を含み、元素Fe、Cr、およびNiの磁性金属および磁性金属化合物の含有量が1ppm以下である、Li1+xTi2−xAl(PO(式中xは0.4以下である)の製造方法。
  2. 液体濃リン酸もしくは水性濃リン酸をリン酸として用いる;かつ/または濃オルトリン酸もしくは85%オルトリン酸をリン酸として用いる;請求項に記載のLi 1+x Ti 2−x Al (PO (式中xは0.4以下である)の製造方法。
  3. 炭酸リチウムを前記リチウム化合物として用いる、請求項1または2に記載のLi 1+x Ti 2−x Al (PO (式中xは0.4以下である)の製造方法。
  4. Al(OH)を前記酸素含有アルミニウム化合物として用いる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のLi 1+x Ti 2−x Al (PO (式中xは0.4以下である)の製造方法。
  5. 前記加熱する工程を200〜300℃の温度で実施する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のLi 1+x Ti 2−x Al (PO (式中xは0.4以下である)の製造方法。
  6. 前記焼成を850〜1000℃で実施する、請求項に記載のLi 1+x Ti 2−x Al (PO (式中xは0.4以下である)の製造方法。
  7. 前記焼成を5〜24時間かけて実施する、請求項に記載のLi 1+x Ti 2−x Al (PO (式中xは0.4以下である)の製造方法。
  8. 化学量論的に過剰なリチウム化合物を前記工程b)において使用する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のLi 1+x Ti 2−x Al (PO (式中xは0.4以下である)の製造方法。
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