JP5733986B2 - 細胞の付着、培養、及び剥離のための方法、表面改質されたプレート、並びに組成物 - Google Patents

細胞の付着、培養、及び剥離のための方法、表面改質されたプレート、並びに組成物 Download PDF

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Description

本願は、2008年2月21日出願の米国特許仮出願第61/030,544号に優先権を主張するものである。
本発明は、哺乳動物細胞の培養の分野に関するものであり、少なくとも約0.5%の窒素を含有し、酸素と窒素の合計量が17.2%以上であり、接触角が少なくとも約13.9°であり、フィーダー細胞層を欠き、吸着層を欠く固体基質表面への細胞の付着、該基質上での細胞の培養、及び該基質からの細胞の剥離のための方法並びに組成物を提供するものである。本発明の一実施形態では、細胞をRhoキナーゼ活性の阻害能を有する化合物で処理する。別の実施形態では、細胞をRho活性の阻害能を有する化合物で処理する。
哺乳動物細胞の培養は、生命及び健康科学における多くの操作の1つである。足場依存性細胞(anchorage-dependent cells)を用いた哺乳動物細胞の培養及び分析用の容器は、容器の表面に細胞を付着させるために更なる表面処理を頻繁に必要とする、ガラス又は例えばポリスチレンのようなポリマーからしばしば形成されている。こうした処理では、例えば、吸着、グラフト、又はプラズマ重合法によって表面に吸着層を与える場合がある。また、こうした表面処理は、容器表面自体の化学改質によって行ってもよく、これは例えば、大気コロナ放電、高周波真空プラズマ、直流グロー放電、及びマイクロ波プラズマ処理によって行うことができる。これらの表面処理は、表面の元素の組成及び化学基を変化させるものである。結果として得られる特定の化学的性質は、表面処理の方法、エネルギー、及び時間、並びに使用されるガスの組成に依存する。
例えば米国特許第5449383号は、バルクポリマー材料と、細胞増力を支持するのに適した薄いポリマー層とを有する基質であって、細胞を付着させるためのアミド基を与えるプラズマ重合されたアミドモノマーを含む再配向耐性ポリマーを含み、前記アミドモノマーが、ジメチルホルムアミド、及び式R1−CO−N(R2)R3(式中、R1は、それぞれ場合により、ハロゲン原子又は水酸基によって置換されてよい脂肪族、脂環族、又は芳香族基であり、R2及びR3は、それぞれ独立して水素又はアルキル基である)を有するアミドからなる群から選択され、前記薄いポリマー層が前記細胞の付着及び増殖を促進するような基質を開示している。
別の例として、欧州特許公開第EP0348969A1号は、窒素を含むガス状物質から生成されたプラズマとポリマー表面を接触させることによって前記ポリマー表面が表面アミノ基を有するように改質する工程と、前記改質された表面に充分な内皮細胞を適用することによって細胞を増殖させる必要なく前記アミノ基含有表面上に細胞のコンフルエントな層を形成する工程と、を含む、ポリマー表面を内皮細胞で被覆するための方法を開示している。
別の例として、欧州特許公開第EP0092302A2号は、基質上の培地中の培養細胞の増殖に影響を与えるための方法であって、炭素、水素、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン、又はこれらの元素のいずれかの化合物から生成されたプラズマに基質の表面を曝露することによって基質の表面の化学的性質を改変することを特徴とする方法を開示している。
別の例として、米国特許第6,617,152B2号は、ポリマー基質表面を処理するための装置であって、(a)ガス吸気口、マイクロ波エネルギー源、及び、ガス吸気口及びマイクロ波エネルギー源の両方と流体連通したプラズマ混合室を備え、(b)外側処理室の内部に収容され、前記外側処理室と流体連通した開口部を有する内側処理室を有する2室処理領域を備え、(c)前記プラズマ混合室は小孔によって前記外側処理室と流体連通しており、(d)前記外側室に取り付けられた真空排気線を備え、(e)前記内側処理室の前記開口部は前記小孔と整列され、前記小孔から所定の距離だけ離間している装置を開示している。
一例として、米国特許出願公開第2003/0180903A1号は、作業表面であって該表面上で細胞を培養することが可能であり、化学分析用電子顕微鏡法によって測定した約50オングストロームの深さにおける該表面の酸素含有量が少なくとも25%であるような作業表面を有するポリマー基質を開示している。
一例として、国際特許出願公開第WO2006114098号は、外科インプラント用の微小構造化生体適合性材料、及び細胞案内組織培養表面を開示している。生体材料表面の微小構造は、未分化のES細胞の増殖を促進するか、ES細胞の神経分化を促進するか、又はES細胞の分化を促進するように選択される。
別の例として、Bigdeliら(J.Biotechnol.133:146〜153,2008)は、ヒトES細胞を、無フィーダー細胞条件下で分化させることなく、かつ細胞外マトリクスタンパク質によって固体基質表面を前処理することなく培養されるように適合及び/又は選択する方法であって、(i)ヒト2倍体胚性肺線維芽細胞で調整した培地から新生児軟骨細胞で調整した培地に培地を変え、(ii)次いでマウス胚性フィーダー細胞層からMatrigel(商標)処理プレートへ、次いでCostar(商標)プレートへ、最終的にPrimaria(商標)プレートへと細胞を酵素的に継代し、(iii)最初に使用した培地に再び変えることを行う方法について述べている。この方法を行ったヒトES細胞では確立された細胞株はほとんど得られず、この方法ではヒトES細胞を培養条件によって選択していることを示唆している。
表面自体の元素の組成及び化学基を変化させるような表面処理によって、多くの種類の哺乳動物細胞を培養するためのポリマー固体基質を調製することが首尾よく行われている。しかしながら、例えば多能性幹細胞及びヒト胚性腎(HEK)293細胞のような特定の種類の哺乳動物細胞を用いた場合に付着性及び/又は培養性が低いという点で大きな制約がある。
Grahamら(J.Gen.Virol.36:59〜72,1977)は、細胞株HEK293の生成について開示している。
HEK293細胞の付着性は、HEK293細胞を培養容器に加えるのに先立って、例えば細胞外マトリクスタンパク質、ポリリシン、ポリオルニチン、又はポリエチレンイミンを用いて固体基質表面上に吸着層を設けることによって高めることができる。しかしながら、こうした吸着層の調製には時間がかかり、通常得られるのは、剥き出しの固体基質よりも保存寿命が短い無滅菌固体基質である。したがって、吸着層を欠いた固体基質に対するHEK293細胞の付着性を高めるための方法及び材料が強く求められている。
現在用いられている多能性幹細胞、特に胚性幹(ES)細胞の培養法は、例えば胚性幹細胞を固体基質表面上でフィーダー細胞層とともに培養する、又は固体基質表面上で細胞外マトリクスタンパク質の吸着層とともに培養するといった複雑な培養条件を必要とする。これらの方法を用いた培養系では、培養される幹細胞の生物種とは異なる種から得られたフィーダー細胞又は細胞外マトリクスタンパク質(異種材料)をしばしば用いる。フィーダー細胞に接触させることで得られる培地、すなわち未分化のES細胞以外の細胞で調整した培地を使用してES細胞を培養することが可能であり、培地に動物血清を添加してもよい。
例えば、Reubinoffら(Nature Biotechnol.18:399〜404,2000)及びThompsonら(Science 282:1145〜1147,1998)は、マウス胚性繊維芽細胞のフィーダー細胞層を用いたヒト胚盤胞からのES細胞株の培養について開示している。
別の例では、Xuら(Nature Biotechnology 19:971〜974,2001)は、ヒトES細胞を分化させることなく無フィーダー細胞培養を行う前に固体基質表面を処理するためのMatrigel(商標)及びラミニンの使用について開示している。
別の例では、Vallierら(J.Cell Sci.118:4495〜4509,2005)は、ヒトES細胞を分化させることなく無フィーダー細胞培養を行う前に固体基質表面を処理するためのウシ胎児血清の使用について開示している。
別の例として、国際特許出願公開第WO2005014799号は、哺乳動物細胞の維持、増殖及び分化のための条件培地を開示している。国際特許出願公開第WO2005014799号は、「本発明に基づいて作製される培地は、マウス細胞、特にMMH(Metマウス肝細胞)と呼ばれる分化かつ不死化したトランスジェニック肝細胞の細胞分泌活性によって調整される。」と述べている。
別の例として、Wanatabeら(Nature Biotechnol.35:681〜686,2007)は、「ROCK阻害剤は、解離したヒト胚性幹細胞を生存させる」と述べており、解離誘導性アポトーシスの低下によりクローニング効率が高くなる(約1%から約27%へと)こと、及び、フィーダー細胞としてマウス胚性線維芽細胞を、細胞外マトリクスタンパク質としてコラーゲン及びMatrigel(商標)を、及びROCK阻害剤としてY−27632すなわちFasudilを使用することにより、遺伝子導入後のサブクローニングが促進されることを示している。更に、Y−27632で処理した解離ヒトES細胞は、無血清懸濁培養中でアポトーシスから保護された。
別の例として、Peeraniら(EMBO Journal 26:4744〜4755,2007)は、「ヒト胚性幹細胞(hESC)培養の空間的構造の複雑さにより、hESCの運命に影響する異成分からなる微小環境(ニッチ)が形成される。この研究により、hESC分化の速度及び道筋を、hESCのニッチの性質を操作することによって制御することが可能であることが示された。ニッチのサイズ及び組成によって、分化誘導因子と分化阻害因子とのバランスが調節される。機構的には、hESCとhESC由来の胚体外内胚葉(ExE)とのアンタゴニスト相互作用によってSmad1によるシグナル伝達のニッチサイズに依存した空間的勾配が生ずる。こうした相互作用は、骨形成タンパク質2(BMP2)のExEによる、及びそのアンタゴニストである増殖分化因子3(GDF3)のhECSによる局所的分泌によって媒介される。GDF3、BMP2及びSmad1に対し低分子干渉(si)RNAによる処理、及びRho関連キナーゼ(ROCK)阻害剤による処理を行ったhESCのマイクロパターニングによって、Smad1活性化の独立した制御により、hESCのコロニーサイズ依存性分化が防御されることが示された。我々の結果は、hESCの自己複製及び分化の空間的情報の集積、及びニッチサイズ依存性制御におけるSmad1の役割を初めて示したものである。」と述べている。
別の例として、Koyanagiら(J Neurosci Res.2007 Sep 7(出版に先立ち電子出版))は、「Rho−GTPアーゼは、神経細胞などの多くのタイプの細胞のアポトーシスにおいて関連が示唆されているが、その作用機序は完全には理解されていない。今回、我々は胚性幹細胞由来の神経前駆細胞を移植した際のアポトーシスにおけるRho及びROCKの役割を調べた。我々は、神経前駆細胞の解離によってRhoが活性化され、アポトーシスが誘導されることを見出した。Rho阻害剤であるC3菌体外酵素、及び/又はROCK阻害剤であるY−27632による処理によって解離誘導性アポトーシス(アノイキス)が20〜30%減少した。アポトーシスの初期の形態的兆候である膜泡形成、カスパーゼ3の開裂、及びミトコンドリアからのシトクロムcの放出もROCKの阻害によってやはり低減した。これらの結果は、神経前駆細胞の解離によって、Rho/ROCK経路を介して少なくとも部分的に媒介される内在的な細胞死の経路が誘導されることを示唆するものである。更に、動物移植モデルにおいて、Rho及び/又はROCKの阻害によって移植細胞の急性アポトーシスが抑制された。移植後、移植片の周辺において腫瘍壊死因子α及びプロ神経成長因子の強い発現が認められた。ROCKの阻害により、これらの炎症性サイトカインによって昂進するアポトーシスが抑制される。以上を総合すると、これらの結果は、Rho/ROCKによるシグナル伝達の阻害によって細胞置換療法における移植細胞の生存率が向上しうることを示している。」と述べている。
別の例として、Yonedaら(J.Cell Biol.170:443〜453,August 3,2005)は、「相同的な哺乳動物のRhoキナーゼ(ROCK1及び2)は、主としてキナーゼコンストラクトの過剰発現に基づき、機能的に重複しているものと考えられる。Rho GTPアーゼの下流のエフェクターであるこれらのRhoキナーゼの主要な基質はミオシン軽鎖及びミオシンホスファターゼである。いずれのキナーゼもマイクロフィラメント束の組織化及び平滑筋の収縮性に関与していることが示されている。これに関して、フィブロネクチンに対する線維芽細胞の接着の分析により、ROCK2の方がより多く存在するもののその活性は常にROCK1よりも低いことが示された。siRNAによるROCK1の特異的抑制により、持続性のROCK2及びグアニン三リン酸結合RhoAの存在にも関わらずストレスファイバー及び接着斑が消失する。これに対し、微小線維細胞骨格はROCK2の発現低下によって増強された。フィブロネクチンコーティングしたビーズの食細胞による取り込みは、ROCK2欠損細胞では顕著に低下したがROCK1の欠損細胞では低下しなかった。これらの効果は、ROCKのプレクストリン相同ドメインの顕著な脂質結合選択性に一部起因するものである。ROCK2はホスファチジルイノシトール−3,4,5−P3に結合し、その濃度に感受性を示した。これはROCK1には見られない性質である。したがって、内因性のROCKは、それぞれ調節のされ方が異なり、異なるミオシン部分に関与している。」と述べている。
別の例として、Harbら(PloS ONE 3(8):e3001.oi:10.1371/journal.pone.0003001,August 2008)は、マウス及びヒトES細胞の両方における基本的な細胞間情報伝達の調節におけるRho−ROCK−ミオシン信号伝達軸の基本的な役割について開示しており、ヒト多能性幹細胞の医学的に適合した異種成分不含(xeno−free)環境での[sic]([sic])を進歩させるうえで寄与するものである。
異種成分含有材料の使用は、多能性幹細胞を用いる特定の用途では不適当な場合がある。代替的な材料を使用することが可能である。例えば、Stojkovicら(Stem Cells 23:895〜902,2005)は、ヒトES細胞を分化させることなく無フィーダー細胞培養を行う前に固体基質表面を処理するためのヒト血清の使用について開示している。
代替的な培養システムでは、ES細胞の増殖を促進することが可能な増殖因子を添加した無血清培地を使用する。
例えばCheonら(BioReprod DOI:10.1095/biolreprod.105.046870;19 Oct 2005)は、ES細胞の自己複製を誘発することが可能な異なる増殖因子を添加した非条件血清置換培地中でES細胞を維持する無フィーダー細胞、無血清培地システムを開示している。
別の例として、Levensteinら(Stem Cells 24:568〜574,2006)は、繊維芽細胞又は条件培地の非存在下で、塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF)を添加した培地を使用してヒトES細胞を長期間培養する方法を開示している。
別の例として、米国特許出願公開第20050148070号は、アルブミン、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、少なくとも1種類のトランスフェリン又はトランスフェリン代用物質、少なくとも1種類のインスリン又はインスリン代用物質を含有する培地中で幹細胞を培養することを含む、無血清、無フィーダー線維芽細胞の合成培地中でヒトES細胞を培養するための方法であって、その培地は、哺乳動物胎児血清を基本的に含有せず、FGFシグナル伝達受容体を活性化することが可能な少なくとも約100ng/mLのFGFを含有し、増殖因子は線維芽細胞フィーダー層以外の供給源からも供給され、培地はフィーダー細胞又は条件培地なしで未分化状態の幹細胞の増殖を支持するようなものである方法を開示している。
別の例として、米国特許出願公開第20050233446号は、未分化の霊長類始原幹細胞を含む幹細胞の培養に有用な合成培地を開示している。溶液中、培地は、培養されている幹細胞と比較して実質的に等張である。与えられた培養中、この特定の培地は、基本培地、並びに実質的に未分化の始原幹細胞の増殖を支持するうえで必要とされる塩基性FGF、インスリン及びアスコルビン酸のそれぞれの所定量を含有する。
別の例として、米国特許第6800480号は、「一実施形態において、霊長類由来の始原幹細胞の増殖を支持するうえで有効な低浸透圧、低内毒素の基本培地を含む、実質的に未分化状態の霊長類由来の始原幹細胞を増殖させるための細胞培地が提供される。この基本培地は、霊長類由来の始原幹細胞の増殖を支持するうえで有効な栄養血清、並びにフィーダー細胞及びフィーダー細胞由来の細胞外マトリクス成分からなる群より選択される基質と組み合わされる。この培地は、非必須アミノ酸、抗酸化剤、並びにヌクレオシド及びピルビン酸塩からなる群から選択される第1の増殖因子を更に含む。」と述べている。
別の例として、米国特許出願公開第20050244962号は、「一態様において、本発明は霊長類胚性幹細胞の培養方法を提供する。基本的に哺乳動物胎児血清を含まない(基本的にいかなる動物血清も含まないことが好ましい)培養液中で、線維芽細胞フィーダー層以外の供給源から供給された線維芽細胞増殖因子の存在下で幹細胞を培養する。好ましい形態において、以前に幹細胞培養液の支持に必要であった繊維芽細胞フィーダー層は、十分な繊維芽細胞増殖因子を加えることにより不必要となっている。」と述べている。
別の例として、国際特許出願公開WO2005065354号は、a.基本培地、b.実質的に未分化の哺乳動物幹細胞の増殖を支持するうえで充分な所定量の塩基性線維芽細胞増殖因子、c.実質的に未分化の哺乳動物幹細胞の増殖を支持するうえで充分な所定量のインスリン、及び、d.実質的に未分化の哺乳動物幹細胞の増殖を支持するうえで充分な所定量のアスコルビン酸を含む、基本的に無フィーダーかつ無血清の合成等張培地を開示している。
別の例として、国際特許出願公開WO2005086845は、未分化の幹細胞を維持するための方法であって、幹細胞を、細胞を未分化の状態に維持するうえで充分な量のトランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)ファミリータンパク質の1つ、線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリータンパク質の1つ、又はニコチンアミド(NIC)に、所望の結果を得るうえで充分な時間暴露することを含む方法を開示している。
多能性幹細胞は、研究及び薬剤スクリーニングの潜在的供給源を与えるものである。現在のところ、ヒトES細胞株の大規模培養には問題が多く、大きな課題を与えるものである。これらの課題に対する可能な解決策の1つは、ヒトES細胞を単一細胞として継代及び培養することである。単一細胞は、例えば細胞数測定、トランスフェクションなどの標準的な組織培養法により適合している。
例えばNicolasらは、レンチウイルスベクターによる遺伝子改変の後、蛍光活性化細胞選別法(fluorescence-activated cell sorting)によって単離された単一細胞からヒトES細胞株を生成及び増殖させるための方法を提供している(Stem Cells Dev.16:109〜118,2007)。
別の例として、米国特許出願第2005158852号は、「単一のヒト胚性幹細胞の増殖及び生存を向上させるための方法を開示している。この方法は、単一の未分化hES細胞を得る工程と、単一の未分化細胞を細胞外マトリクスと混合して細胞を包囲する工程と、混合物を増殖環境中で栄養培地とともにフィーダー細胞上に接種する工程とを含む。」
別の例として、Sidhuら(Stem Cells Dev.15:61〜69,2006)は、フローサイトメトリーによる単一細胞調製物の選別によって親細胞株hES3から誘導された3つのヒトES細胞クローンhES3.1、3.2、及び3.3について最初に報告している。
しかしながら、ヒトES細胞の単一細胞としての継代及び培養は、遺伝子的異常及び多能性の喪失につながる。培養条件は多能性及び遺伝子の安定性の維持に重要である。一般に、ヒトES細胞株の継代は人の手で行うか、あるいはコラゲナーゼ、リベラーゼ、又はジスパーゼなどの酵素剤を使用して行われる。
例えば、Draperらは、「3系統の独立したヒト胚性幹細胞株において5回の独立した場合に17q染色体が獲得される核型の変化」の存在について述べている(Nature Biotechnol.22:53〜54,2004)。
別の例として、Buzzardらは、「我々はこれまでに1つの核型変化の事象を検出したに過ぎない...我々の方法が他の多くのグループが使用した方法とは明らかに異なっていることを考えると、使用した培養方法が我々の結果になんらかの影響を与えた可能性がある。通常、我々は7日後のヒトES細胞を、折れたピペットの角で最初にコロニーを壊すことによって継代する...この方法では細胞を解離させるために酵素的又は化学的な方法を一切用いない。我々は、このことが我々のhES(ヒトES)細胞が比較的細胞遺伝学的な回復力が高かったことを説明するのではないかと考えている。」と述べている(Nature Biotechnol.22:381〜382,2004)。
別の例として、Mitalipovaらは、「大量継代法は...培養中で長期の継代の後、異数体の細胞集団を永続させうるものであるが、核型に支障をきたすことなくより短期間(少なくとも継代数15まで)で使用することも可能である...人の手による継代法のみによって得られるよりも大量のhES細胞を必要とする実験では、人の手による継代条件下で長期の継代の後、限られた大量継代を行ってhES細胞の正常な核型を維持することが可能かもしれない。」と述べている(Nature Biotechnol.23:19〜20,2005)。
別の例として、Hengらは、「これらの結果により、第2のプロトコール(トリプシン処理をして静かにピペット攪拌)は、第1のプロトコール(コラゲナーゼ処理をして掻き落とす)よりも細胞の生存率に対する悪影響は大幅に低いことが示された。これは、ひいてはより高い凍結解凍後の生存率に結びついた。」と述べている(Biotechnology and Applied Biochemistry 47:33〜37,2007)。
別の例として、Hasegawaらは、「我々は完全な解離に耐えうるhESC亜系統を確立した。これらの細胞は、高い再プレーティング効率、更に高いクローニング効率を示し、三胚葉への分化能を維持している。」と述べている(Stem Cells 24:2649〜2660,2006)。
したがって、細胞の多能性を維持しつつフィーダー細胞及び吸着層の非存在下で多能性幹細胞の培養を行う、哺乳動物細胞の培養のための方法及び組成物が強く求められている。
一実施形態では、本発明は、少なくとも約0.5%の窒素を含有し、酸素と窒素の合計量が17.2%以上であり、接触角が少なくとも約13.9°であり、フィーダー細胞層を欠き、かつ吸着層を欠く固体基質表面への細胞の付着、該基質上での細胞の培養、及び該基質からの細胞の剥離のための方法並びに組成物を提供する。
一実施形態では、本発明は、少なくとも約0.5%の窒素を含有し、酸素と窒素の合計量が17.2%以上であり、接触角が少なくとも約13.9°であり、フィーダー細胞層を欠き、かつ吸着層を欠く表面への細胞の付着を促進するための方法であって、
a.細胞の懸濁液を得る工程と、
b.細胞の懸濁液を、Rhoキナーゼ活性の阻害能を有する化合物、及びRho活性の阻害能を有する化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物で処理する工程と、
c.細胞の懸濁液を表面に加えて細胞を付着させる工程と、を含む方法を提供する。
一実施形態では、表面に細胞が付着した後に細胞が培養中で維持される。別の実施形態では、少なくとも1つの化合物は除去される。
一実施形態では、細胞は、少なくとも1つの化合物を除去することにより表面から剥離される。
一実施形態では、細胞の懸濁液は細胞塊の懸濁液である。別の実施形態では、細胞の懸濁液は単一細胞の懸濁液である。
一実施形態では、細胞は多能性幹細胞である。別の実施形態では、細胞は幹細胞である。
一実施形態では、本発明は、少なくとも約0.9%の窒素を含有し、酸素と窒素の合計量が22.3%以上であり、接触角が少なくとも約13.9°であり、フィーダー細胞層を欠き、かつ吸着層を欠く表面への細胞の付着を促進するための方法であって、
a.細胞の懸濁液を得る工程と、
b.細胞の懸濁液を表面に加えて細胞を付着させる工程と、を含む方法を提供する。
表面改質されたプレート2、3又は4上でリベラーゼにより細胞塊として2回継代したヒトES細胞株H1の細胞の位相差顕微鏡写真(4x)。希釈率1:30のMatrigel(商標)で処理したプレート、Nunclon Delta(商標)プレート上で培養したヒトES細胞株H1の細胞の画像も示す。 ヒトES細胞の表面改質プレートへの付着に対する10μMのY−27632の影響を示す図。図は、表面改質プレート3及び4上で細胞塊として2回継代したヒトES細胞株H1の細胞の位相差顕微鏡写真(4x)を示す。次いで細胞を10μMのY−27632を含むMEF条件培地中、表面改質プレート2、3又は4上に継代した。細胞は写真の撮影前に4日間培養した。Y−27632の非存在下で培養した細胞をコントロールとした。 本発明の表面改質プレート上で培養したヒトES細胞に対する化合物処理の時間的経過を示す概略図。ヒトES細胞株H1の細胞を、表面改質したプレート3又は4上でリベラーゼ処理により細胞塊として4回継代し、MEF条件培地中で培養した。細胞は、継代後の最初の2日間10μMのRhoキナーゼ阻害剤Y−27632、又は0.5ng/mLのRho阻害剤である菌体外酵素C3トランスフェラーゼの細胞透過性の形態のいずれかで処理した。Rhoキナーゼ阻害剤Y−27632で処理した後、各継代後の最初の2日間表面改質プレート3上でY−27632により処理した細胞を「7s」と呼ぶものとする。Rhoキナーゼ阻害剤Y−27632で処理した後、各継代後の最初の2日間表面改質プレート4上でY−27632により処理した細胞を「3s」と呼ぶものとする。Rho阻害剤で2日間処理した後、各継代後の2日間Rhoキナーゼ阻害剤Y−27632で処理し、その後、継代後の最初の2日間表面改質プレート3上でY−27632により処理した細胞を「5s」と呼ぶものとする。Rho阻害剤で2日間処理した後、各継代後の2日間Rhoキナーゼ阻害剤Y−27632で処理し、その後、継代後の最初の2日間表面改質プレート4上でY−27632により処理した細胞を「1s」と呼ぶものとする。 qRT−PCRによって調べた、図6に概要を示すプロトコールにしたがって処理したヒトES細胞における多能性及び分化に関連したマーカーの発現を示す図。 継代数4(p4)、継代数9(p9)、及び再び継代数10、11、又は12(p12、p11又はp12)においてフローサイトメトリーによって調べた、ヒトES細胞株H1の細胞の多能性マーカーの発現を示す図。 表面改質プレート4上でリベラーゼ処理により細胞塊として連続的に継代し、MEF条件培地中で培養したヒトES細胞株H1の細胞の免疫蛍光画像。多能性のマーカーに関連したタンパク質の発現が、表面改質プレート4で11回継代培養した細胞において検出された。細胞は各継代後2日間、10μMのY−27632で処理した。 表面改質プレート上で培養後のヒトES細胞の胚体内胚葉を形成する能力を示す図。ヒトES細胞株H1の細胞を、表面改質プレート3又は4上でリベラーゼ処理によって細胞塊として11回継代し、MEF条件培地中で培養した。継代数8(p8)及び再度継代数10又は11(p10〜11)において、0.5%FBS、100ng/mLのアクチビンA、及び20ng/mLのWnt3aを含むDMEM:F12培地で細胞を2日間処理した後、2%FBS及び100ng/mLのアクチビンAを含むDMEM:F12培地で更に3日間処理した。グラフのY軸は、フローサイトメトリーによって得られたCXCR4陽性細胞の比率を示す。表5も参照されたい。 表面改質プレート上で培養後のヒトES細胞の膵臓内胚葉を形成する能力を示す図。ヒトES細胞株H1の細胞を、表面改質したプレート3又は4上でリベラーゼ処理により細胞塊として8回継代し、MEF条件培地中で培養した。継代数8(p8)において、細胞を0.5%FBS、100ng/mLのアクチビンA、及び20ng/mLのWnt3aを含むDMEM:F12培地で2日間処理した後、2%FBS及び100ng/mLのアクチビンAを含むDMEM:F12培地で更に3日間処理することにより、胚体内胚葉へと分化させた。次いで細胞を2%FBS、100ng/mLのFGF−10、及び1μMのシクロパミン−KAADを含むDMEM:F12培地で4日間処理することにより胚前腸へと更に分化させた。次いで細胞を1%B−27、100ng/mLのFGF−10,1μMのシクロパミン−KAAD及び2μMのレチノイン酸を含むDMEM:F12培地で4日間処理することにより膵臓内胚葉へと分化させた。細胞を免疫蛍光法によりPDX−1(緑)及びE−カドヘリン(赤)について染色し、全細胞数をHoechst色素(青)により調べた。 表面改質プレート上で培養したヒトES細胞の胚様体形成能を示す図。 表面改質プレート4上で培養したヒトES細胞の核型を示す図。 ヒトES細胞の表面改質プレートへの付着に対するRhoキナーゼ阻害剤(EMD biosciencesより販売されるY−27632、Sigmaより販売されるY−27632、ファスジル、及びヒドロキシファスジル)による処理の影響を示す図。細胞は、図に示す化合物を図に示す濃度で含む培地で3日間培養した。細胞をクリスタルバイオレットで染色し、画像を撮影した。 ヒトES細胞の表面改質プレートへの付着に対するY−27632の用量反応を示す図。異なる濃度のRhoキナーゼ阻害剤Y−27632を初日に図に示す濃度(0、1、2、4又は10μMのY−27632)で各培養に加えた。次いで細胞を2日目以降、10μMのY−27632を含む培地中で培地を毎日交換しながら5日間維持した。5日目にプレートから培地を除去し、細胞を0.5%クリスタルバイオレットで染色して画像を撮影した。 10μMのY−27632を添加した場合と添加しない場合における、表面改質プレート2、3、又は4上への継代4日後のヒトES細胞のコロニーの形成を示す図。 10μMのY−27632を添加した場合と添加しない場合における、Matrigel(商標)処理プレート上への継代4日後のヒトES細胞のコロニーの形成を示す図。 ヒトES細胞をY−27632で継続的に処理した場合と断続的に処理した場合とにおける、表面改質プレートへの細胞の付着の差異を示す図。 単一細胞として継代され、10μMのY−27632を含む(B)又は含まない(A)MEF条件培地中、表面改質プレート3上に播種したヒトES細胞株H9からの細胞の画像。画像は播種の24時間後に撮影したものである。 TrypLE(商標)Expressを用いて単一細胞として5回継代し、10μMのY−27632(Y)を加えるか又は加えない表面改質プレート3及び4上に播種したヒトES細胞株H9からの細胞の多能性に関連したマーカーの発現を示す図。各多能性マーカーをX軸上に示し、陽性細胞の比率をY軸上に示す。 単一細胞として継代し、表面改質プレート3及び4上に播種したヒトES細胞株H9からの細胞の全細胞数を示す図。細胞数に対する10μMのY−27632(Y)の影響をMatrigel(商標)上で継代した細胞で調べ(ナイーブ=N)、細胞を表面改質プレート上で10回継代した(馴化=A)。異なる細胞条件をX軸上に示し、細胞数を104で割った値をY軸に示す。 実験に先立ってMatrigel(商標)処理したプレート上で単一細胞として継代したヒトES細胞株H9からの細胞の増殖速度を示す図。細胞は、104/cm2で播種し、表面改質プレート3及び4上で10μMのY−27632を加えるか又は加えないMEF条件培地中で培養した。Y軸は、播種の2、3、又は4日後に回収された細胞数(104で割った値)を示す。 実験に先立って表面改質プレート上で単一細胞として10回継代したヒトES細胞株H9からの細胞の増殖速度を示す図。細胞は、104/cm2で播種し、表面改質プレート3及び4上で10μMのY−27632を加えるか又は加えないMEF条件培地中で培養した。Y軸は、播種の2、3、又は4日後に回収された細胞数(104で割った値)を示す。 単一細胞として継代し、96ウェル形式の表面改質プレート2〜4及び13上に播種したヒトES細胞株H9からの細胞の画像。MEF条件培地は10μMのY−27632を含有するものを用いた。画像は播種の48時間後に撮影したものである。 単一細胞として継代し、表面改質プレート3及び4上に播種したヒトES細胞株H9からの細胞の胚体内胚葉への分化能を示す図。胚体内胚葉の形成の程度をフローサイトメトリーによってCXCRの発現を測定することによって求めた。胚体内胚葉の形成に対する10μMのY−27632の影響を調べた。細胞を増殖に際してY−27632で処理した。Matrigel(商標)上で増殖及び分化させた細胞をコントロールとした。Y軸は、フローサイトメトリーによって得られたCXCR4陽性細胞の比率を示す。 単一細胞として継代し、表面改質プレート3及び4上に播種したヒトES細胞株H9からの細胞の膵臓内胚葉への分化能を示す図。細胞は表面改質プレート上に播種し、10μMのY−27632を含むMEF条件培地中で培養し、分化に先立って表面改質プレート上で8回継代した。Y軸は、後部前腸ステージ(PF)及びホルモン発現内分泌細胞ステージ(EN)におけるq−PCRによる膵臓分化マーカーの発現(Ngn3、Pdx1、インスリン)の増加倍率を示す。 表面改質プレートへのヒトES細胞の付着を示す図。継代数50のヒトES細胞H9を表面3及び4、CellBIND(商標)及びPrimaria(商標)上に希釈率1:2で播種した。播種24時間後にプレートから培地を除去し、細胞を0.5%クリスタルバイオレットで染色して画像を撮影した。矢印はコロニーを示している。 表面改質プレートへのヒトES細胞の付着を示す図。継代数50のヒトES細胞H9を、異なる濃度のY−27632の存在下(0、1、2、4、10及び20μM)で、表面3及び4、CellBIND(商標)及びPrimaria(商標)上に希釈率1:2で播種した。播種24時間後にプレートから培地を除去し、細胞を0.5%クリスタルバイオレットで染色して画像を撮影した。コロニーはウェル上の暗色のスポットである。矢印を用いて非処理ウェル上のコロニーを示している。 ヒトES細胞の表面改質プレートへの付着を示す図。継代数53のヒトES細胞H9を、Y−27632の非存在下又は存在下(0又は20μM)で、表面2〜4及び13、CellBIND(商標)及びPrimaria(商標)上に希釈率1:3で播種した。播種48時間後にプレートから培地を除去し、細胞を0.5%クリスタルバイオレットで染色して画像を撮影した。コロニーはウェル上の暗色のスポットである。矢印を用いて非処理ウェル上のコロニーを示している。 表面改質プレート14及び15にヒトH9ES細胞を付着させる第1の試み(10月)及び第2の試み(12月)、並びに表面改質プレート14及び15にヒトH1ES細胞を付着させる1つの試みを示す図。継代数42及び継代数53のH9ヒトES細胞並びに継代数57のH1ヒトES細胞を、20μMのY−27632の存在下で改質された表面に希釈率1:2又は1:3で播種した。播種24〜48時間後にプレートから培地を除去し、細胞を0.5%クリスタルバイオレットで染色して画像を撮影した。コロニーはウェル上の暗色のスポットである。矢印を用いてプレート上のコロニーを示している。 合成培地mTeSR(商標)中でのヒトES細胞の表面改質プレート4への付着を示す図。継代数50のH9ヒトES細胞を、非処理の、又はタンパク質(0.1%ゼラチン、2%BSA、0.34mg/mLラットコラーゲンI、1:1000に希釈したMatrigel(商標)又は1:5000に希釈したMatrigel(商標))で処理したウェル中で、Y−27632の非存在下又は存在下(0又は20μM)で改質された表面に希釈率1:2で播種した。播種48時間後にプレートから培地を除去し、細胞を0.5%クリスタルバイオレットで染色して画像を撮影した。コロニーはウェル上の暗色のスポットである。 静的固着液滴法(static sessile drop method)を用いて11週間にわたって測定した表面改質プレートの水接触角を示す図。最初の測定は、表面処理及び滅菌の1週間後に行った。各データ点は、平均接触角(7個の液滴のそれぞれについて1回測定したもの)を表わす。Nuclon Delta(商標)及びCellBIND(商標)プレート上での接触角を、表面1〜4及び13と同じ実験条件下で測定したが、表面処理及び滅菌は最初の測定の12週間よりも前に行った(Nuclon Delta(商標)*は最初の測定の1週間前に滅菌した)。 正に帯電したクリスタルバイオレットと各表面の反応性として測定した表面改質プレート上の負電荷の密度を示す図。各表面の3つの試料を試験し、各試料から脱着されたクリスタルバイオレット上で吸光度の測定を3重に行った。9個の測定値の平均及び標準偏差を示す。 化学合成無血清Pro293a−CDM(商標)培地(A)、又は10%ウシ胎児血清を添加したEMEM培地(B)中でHEK293細胞の付着及び増殖に対する固体基質表面及びY−27632の影響を示す図。HEK293細胞は、CellBIND(商標)表面、Nunclon Delta(商標)表面、又は表面4を有する96ウェルプレートに播種した。これらの表面に付着したHEK293細胞の数を、培養条件及びY−27632の濃度の関数として示す。細胞には、(i)Y−27632を加えた培養中で96時間の一定の処理(Y−27632 96時間オン)、又は(ii)Y−27632を加えた培養中で48時間の一定の処理の後、培地を交換し、Y−27632を加えない培養中で48時間の処理(Y−27632 48時間オン/48時間オフ)のいずれかを行った。培地にY−27632を加えずに培養したHEK293細胞(Y−27632なし)は、Y−27632を加えて培養した細胞と同様にして扱った(培地を交換せずに96時間、又は48時間後に培地を交換)。Y−27632は、2.0及び5.0μMの濃度で加えられた場合に表面4及びCellBIND(商標)表面上へのHEK293細胞の付着を促進した。48時間のインキュベーションの後にY−27632を除去すると、表面4及びCellBIND(商標)表面から相当数の細胞が剥離した。3つの測定値の平均及び標準偏差を示す。 10%ウシ胎児血清を添加したEMEM培地中でのHEK293細胞の増殖に対する各固体基質表面並びにRhoキナーゼ阻害剤Y−27632及びH−1152の影響を示す図。HEK293細胞は、表面4(A)又は非処理(ただしγ線(25kGy)照射した)ポリスチレン表面(B)のいずれかを有するマルチディッシュ24ウェルプレートに播種した。 HEK293細胞の付着及び形態に対するH−1152及び表面4の影響を示す図。HEK293細胞は、10%ウシ胎児血清及びH−1152を添加したEMEM培地中、マルチディッシュ12ウェルプレートに播種し、自動インキュベーター内顕微鏡(automated, in-incubator microscope)内で67時間インキュベートした。Aの増殖曲線及びBの顕微鏡写真は、表面4上へのHEK293細胞の付着及び増殖に対するH−1152の一般的影響、並びにH−1152の存在下又は非存在下における表面4上へのHEK293細胞の付着及び形態に対する培地の交換の影響を示す。 2.5μMのY−27632の非存在下又は存在下で表面4及びNunclon Delta(商標)表面上で増殖させたHEK293細胞の継代数3にわたる増殖曲線を示す図。10%ウシ胎児血清を添加したEMEM培地中のHEK293細胞をトリプシン処理によって3回継代した。 表面改質プレート4、18及び19、並びにPrimaria(商標)へのヒト胚性幹細胞株H1の細胞の付着に対するRhoキナーゼ阻害の影響を示す図。ウェルA及びBはすべての表面上でコントロールウェルである。ウェルC及びDは10μMのY−27632を含有している。ウェルE及びFは3μMのH1152−グリシルを含有している。ウェルG及びHは10μMのH1152−グリシルを含有している。 表面改質プレート30へのヒト胚性幹細胞株H1の細胞の付着に対するRhoキナーゼ阻害の影響を示す図。(−−)=非処理。(RI)=3μMのH1152−グリシル。(MG)=希釈率1:30のMATRIGELの吸着層。(MG+RI)=希釈率1:30のMatrigel+3μMのH1152−グリシルの吸着層。 表面改質プレート31へのヒト胚性幹細胞株H1の細胞の付着に対するRhoキナーゼ阻害の影響を示す図。(−−)=非処理。(RI)=3μMのH1152−グリシル。(MG)=希釈率1:30のMATRIGELの吸着層。(MG+RI)=希釈率1:30のMATRIGEL+3μMのH1152−グリシルの吸着層。 表面改質プレート32へのヒト胚性幹細胞株H1の細胞の付着に対するRhoキナーゼ阻害の影響を示す図。(−−)=非処理。(RI)=3μMのH1152−グリシル。(MG)=希釈率1:30のMATRIGELの吸着層。(MG+RI)=希釈率1:30のMATRIGEL+3μMのH1152−グリシルの吸着層。 表面改質プレート33へのヒト胚性幹細胞株H1の細胞の付着に対するRhoキナーゼ阻害の影響を示す図。(−−)=非処理。(RI)=3μMのH1152−グリシル。(MG)=希釈率1:30のMATRIGELの吸着層。(MG+RI)=希釈率1:30のMATRIGEL+3μMのH1152−グリシルの吸着層。 表面改質プレート34へのヒト胚性幹細胞株H1の細胞の付着に対するRhoキナーゼ阻害の影響を示す図。(−−)=非処理。(RI)=3μMのH1152−グリシル。(MG)=希釈率1:30のMATRIGELの吸着層。(MG+RI)=希釈率1:30のMATRIGEL+3μMのH1152−グリシルの吸着層。 静的固着液滴法を用いて40週間にわたって測定した表面改質プレートの水接触角を示す図。 静的固着液滴法を用いた表面改質プレートの水接触角を示す図。 正に帯電したクリスタルバイオレットと各表面の反応性として測定した表面改質プレート上の負電荷の密度を示す図。 正に帯電したクリスタルバイオレットとの各表面の反応性として測定した表面改質プレート4、22〜24及び29上の負電荷の密度を示す図。各表面の3つの試料を試験し、各試料から脱着されたクリスタルバイオレット上で吸光度の測定を3重に行った。表面4、22〜24及び29の負電荷の密度はNunclon Delta(商標)表面の負電荷の密度に対して標準化した。9個の測定値の平均及び標準偏差を示す。
開示を分かりやすくするため、限定を目的とすることなく、発明の詳細な説明を本発明の特定の特徴、実施形態、又は用途を説明又は図示する下記の小項目に分ける。
用語の定義
本明細書で言うところの「吸着層」とは、共有結合(グラフトとしても知られる)又は非共有結合(吸着としても知られる)によって固体基質の表面上に分子を付着させることによって表面上に形成された層を指して言う。吸着層の形成に用いられる分子は、例えば細胞外マトリクスタンパク質、アミノ酸などを含むタンパク性分子、及び例えばポリエチレンイミンなどの非生体分子であってよい。
「β細胞系統」とは、転写因子PDX−1、並びに以下の転写因子、すなわちNGN−3、Nkx2.2、Nkx6.1、NeuroD、Isl−1、HNF−3β、MAFA、Pax4、及びPax6の内の少なくとも1つの遺伝子発現が陽性の細胞を指して言う。β細胞系統に特徴的なマーカーを発現する細胞としては、β細胞が挙げられる。
本明細書で言うところの「胚体内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞」とは、以下のマーカー、すなわちSOX−17、GATA−4、HNF−3β、GSC、Cer1、Nodal、FGF8、Brachyury、Mix様ホメオボックスタンパク質、FGF−4 CD48、エオメソダーミン(eomesodermin)(EOMES)、DKK4、FGF17、GATA−6、CXCR4、C−Kit、CD99又はOTX2の内の少なくとも1つを発現する細胞を指して言う。内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞としては、原始線条前駆体細胞、原始線条細胞、中内胚葉細胞及び胚体内胚葉細胞が挙げられる。
本明細書で言うところの「膵臓内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞」とは、以下のマーカー、すなわちPDX−1、HNF−1β、PTF−1α、HNF−6、又はHB9の内の少なくとも1つを発現する細胞を指して言う。膵臓内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞としては、膵臓内胚葉細胞が挙げられる。
本明細書で言うところの「膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーを発現する細胞」とは、以下のマーカー、すなわちNGN−3、NeuroD、Islet−1、PDX−1、NKX6.1、Pax−4、Ngn−3、又はPTF−1αの内の少なくとも1つを発現する細胞を指して言う。膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーを発現する細胞としては、膵臓内分泌細胞、膵臓ホルモン発現細胞及び膵臓ホルモン分泌細胞、並びにβ細胞系統の細胞が挙げられる。
本明細書で言うところの「胚体内胚葉」とは、原腸胚形成時に胚盤葉上層から生ずる細胞の特徴を有し、消化管及びその派生器官を形成する細胞を指して言う。胚体内胚葉細胞は、以下のマーカー、すなわちCXCR4、HNF−3β、GATA−4、SOX−17、ケルベロス(Cerberus)、OTX2、グースコイド(goosecoid)、c−Kit、CD99、及びMixl1を発現する。
「細胞外マトリクスタンパク質」とは、身体又は胎盤の細胞間に通常見られるタンパク性分子を指して言う。細胞外マトリクスタンパク質は、組織、例えば血液などの体液、又は非組み換え細胞若しくは組み換え細胞若しくは細菌によって調整した培地に由来するものを用いることができる。
本明細書で言うところの「胚体外内胚葉」とは、以下のマーカー、すなわちSOX−7、AFP、及びSPARCの内の少なくとも1つを発現する細胞の集団を指して言う。
「HEK293細胞」とは、Grahamら(J.Gen.Virol.36:59〜72,1977)によって述べられるような正常なヒト胚性腎細胞の培養の形質転換によって生ずる細胞株、及びこの親細胞株から誘導されるすべての細胞を指して言う。
本明細書で言うところの「マーカー」とは、対象とする細胞で発現の仕方が異なる核酸又はポリペプチド分子である。ここで言う異なる発現の仕方とは、陽性のマーカーでは発現レベルの上昇を、陰性のマーカーでは発現レベルの低下を意味する。マーカー核酸又はポリペプチドの検出可能なレベルは、他の細胞と比較して対象とする細胞において充分に高いか又は低いことから、当該技術分野において知られる各種の方法のいずれを用いても対象とする細胞を他の細胞から識別及び区別することが可能である。
本明細書で言うところの「マトリクス」とは、細胞が付着することができる3次元的な支持構造を指して言う。
本明細書で言うところの「中内胚葉細胞」とは、以下のマーカー、すなわちCD48、エオメソダーミン(EOMES)、SOX−17、DKK4、HNF−3β、GSC、FGF−17、GATA−6の内の少なくとも1つを発現する細胞を指して言う。
本明細書で言うところの「膵臓内分泌細胞」又は「膵臓ホルモン発現細胞」とは、以下のホルモン、すなわちインスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、及び膵臓ポリペプチドの内の少なくとも1つを発現することが可能な細胞を指して言う。
本明細書で言うところの「膵臓ホルモン分泌細胞」とは、以下のホルモン、すなわちインスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、及び膵臓ポリペプチドの内の少なくとも1つを分泌することが可能な細胞を指して言う。
本明細書で言うところの「前原始線条細胞」とは、以下のマーカー、すなわちNodal、又はFGF−8の内の少なくとも1つを発現する細胞を指して言う。
本明細書で言うところの「原始線条細胞」とは、以下のマーカー、すなわちブラキュリ(Brachiury)、Mix様ホメオボックスタンパク質、又はFGF−4の内の少なくとも1つを発現する細胞を指して言う。
本明細書で言うところの「表面」とは、細胞の培養又は分析に使用することを目的とした固体基質容器又はマトリクスの分子の最外層を指して言う。表面の元素組成、粗さ、及び濡れ性は、それぞれ、X線光電子分光法(XPS)、原子間力顕微鏡(AFM)、及び接触角測定によって分析することができる。
「表面改質プレート」とは、実施例16、17及び26に述べられる表面1〜34のいずれか1つを有する容器、又はNunclon Delta(商標)、Costar(商標)、Falcon(商標)、CellBIND(商標)、及びPrimaria(商標)の商品名で販売されている表面を有するプレートを指して言う。容器は、例えば、ポリスチレン(PS)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、又はスチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN)などのポリマーで形成することができる。
幹細胞とは、単一の細胞レベルで自己複製し、かつ、自己複製性の前駆細胞、非自己複製性の前駆細胞、及び最終分化細胞のような前駆細胞を生ずるように分化する能力によって定義される未分化細胞のことである。幹細胞はまた、複数の胚葉(内胚葉、中胚葉及び外胚葉)から異なる細胞系統の機能性細胞へとインビトロで分化する能力、並びに、移植後に複数の胚葉の組織を生ずる能力、及び胚盤胞への注入後にすべての組織とまではいかないにしてもほぼ大部分の組織に分化する能力によっても特徴付けられる。
幹細胞は、発生上の能力によって、(i)すべての胚性又は胚体外細胞のタイプを生ずる能力を有することを意味する分化全能性、(ii)すべての胚性細胞のタイプを生ずる能力を有することを意味する分化万能性、(iii)細胞系統のサブセットを生ずる能力を有するが、それらがすべて特定の組織、臓器、又は生理学的システムのものであるような分化多能性(例えば、造血幹細胞(HSC)は、HSC(自己複製性)、血球限定的寡能性前駆細胞、及び、血液の通常の成分であるすべての細胞型及び要素(例、血小板)を含む子孫細胞を生じうる)、(iv)多能性幹細胞よりも限定された細胞系統のサブセットを生ずる能力を有することを意味する分化寡能性、及び(v)単一の細胞系統(例、精原幹細胞)を生ずる能力を有することを意味する分化単一性に分類される。
分化とは、特化していない(「分化決定していない」)か又は完全には特化していない細胞が、例えば神経細胞や筋細胞のような特化した細胞の特徴を獲得するプロセスである。分化した細胞、又は分化誘導された細胞とは、細胞のその系統内においてより特化した(「分化決定した」)位置を占めるものである。分化のプロセスについて用いられる場合、「分化決定した」なる用語は、通常の条件下で特定の細胞型又は細胞型のサブセットにまで分化し続けるが、通常の条件下では異なる細胞型には分化できず、分化のより未熟な細胞型にも戻ることができない点にまで分化経路を進んだ細胞のことを指して言う。脱分化とは、細胞が、細胞の系統においてより特化(又は分化決定)していない位置にまで戻るプロセスのことを指して言う。本明細書で言うところの細胞の系統とは、その細胞の遺伝、すなわちその細胞がどの細胞から生じたものであり、どのような細胞を生じうるか、ということを定義するものである。ある細胞の系統とは、発生及び分化の遺伝スキーム内にその細胞を位置付けるものである。系統特異的マーカーとは、対象とする系統の細胞の表現型と特異的に関連した特徴を指し、分化決定していない細胞の、対象とする系統への分化を評価するために使用することができる。
培養中の細胞を述べるために様々な用語が用いられる。「維持」とは、細胞の増殖及び/又は分裂を促進する条件下で増殖培地中に入れられた細胞のことを一般に指して言うものであり、より大きな細胞集団が形成される場合もそうでない場合もある。「継代」とは、1つの培養容器から細胞を取り出して、細胞の増殖及び/又は分裂を促進する条件下でこれらの細胞を第2の培養容器に入れるプロセスのことを指して言う。
特定の細胞集団又は細胞株は、しばしば継代された回数によって呼称されるか特徴付けられる。例えば、10回継代された培養細胞集団はP10培養と呼ばれる場合がある。初代培養、すなわち組織から細胞を単離した後の最初の培養はP0と称される。最初の継代培養の後、細胞は2次培養(P1又は継代数1)と称される。2回目の継代培養の後では細胞は3次培養(P2又は継代数2)となる、といった具合である。当業者であれば、継代期間中に集団は何度も倍加しうるものであり、したがってある培養の集団倍加の回数は継代数よりも大きいことは理解されるであろう。各継代間の期間における細胞の増殖(すなわち集団倍加数)は、播種密度、基質、培地、培養条件、及び継代間の時間等を含むがこれらに限定されない多くの因子に依存する。
一実施形態では、本発明は、少なくとも約0.9%の窒素を含有し、酸素と窒素の合計量が22.3%以上であり、接触角が少なくとも約13.9°であり、フィーダー細胞層を欠き、かつ吸着層を欠く表面への細胞の付着を促進するための方法であって、
a.細胞の懸濁液を得る工程と、
b.細胞の懸濁液を表面に加えて細胞を付着させる工程と、を含む方法を提供する。
一実施形態では、本発明は、少なくとも約0.5%の窒素を含有し、酸素と窒素の合計量が17.2%以上であり、接触角が少なくとも約13.9°であり、フィーダー細胞層を欠き、かつ吸着層を欠く表面への細胞の付着を促進するための方法であって、
a.細胞の懸濁液を得る工程と、
b.細胞の懸濁液を、Rhoキナーゼ活性の阻害能を有する化合物、及びRho活性の阻害能を有する化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物で処理する工程と、
c.細胞の懸濁液を表面に加えて細胞を付着させる工程と、を含む方法を提供する。
一実施形態では、細胞の懸濁液は細胞塊の懸濁液である。別の実施形態では、細胞の懸濁液は単一細胞の懸濁液である。
一実施形態では、細胞は多能性幹細胞である。別の実施形態では、細胞は幹細胞である。
一実施形態では、表面は吸着層を有する。一実施形態では、吸着層は、例えば基底膜由来のもの、又は接着分子受容体−リガンド結合の一部を形成しうるものなどの細胞外マトリクス成分である。一実施形態では、吸着層はMATRIGEL(Becton Dickenson)で形成される。MATRIGELは、室温でゲル化して再構成された基底膜を形成するEngelbreth−Holm−Swarm腫瘍細胞から調製される可溶性製剤である。このタンパク性吸着層は、ラミニン、フィブロネクチン、プロテオグリカン、エンタクチン、ヘパラン硫酸などを単独で又は異なる組み合わせとして用いて形成することもできる。
一実施形態では、表面に細胞が付着した後に細胞が培養中で維持される。別の実施形態では、少なくとも1つの化合物は表面に細胞が付着した後に除去される。一実施形態では、細胞は、少なくとも1つの化合物を除去することにより表面から剥離される。
一実施形態では、細胞の懸濁液は、Rhoキナーゼ活性の阻害能を有する少なくとも1つの化合物で処理される。別の実施形態では、細胞の懸濁液は、Rho活性の阻害能を有する少なくとも1つの化合物で処理される。別の実施形態では、細胞の懸濁液は、Rhoキナーゼ活性の阻害能を有する少なくとも1つの化合物、及びRho活性の阻害能を有する少なくとも1つの化合物で処理される。
Rhoキナーゼ活性の阻害能を有する少なくとも1つの化合物は、Y−27632、ファスジル、及びヒドロキシファスジルからなる群から選択される。
一実施形態では、Rhoキナーゼ活性の阻害能を有する少なくとも1つの化合物は、Y−27632である。
Rhoキナーゼ活性の阻害能を有する少なくとも1つの化合物は、約0.1μM〜約100μMの濃度で使用することができる。一実施形態では、Rhoキナーゼ活性の阻害能を有する少なくとも1つの化合物は、約10μMの濃度で使用される。
一実施形態では、Rho活性の阻害能を有する少なくとも1つの化合物は、Rho GTPアーゼ阻害剤である。
一実施形態では、Rho活性の阻害能を有する少なくとも1つの化合物は、菌体外酵素C3トランスフェラーゼである。
Rho活性の阻害能を有する少なくとも1つの化合物は、約0.01μg/mL〜約5μg/mLの濃度で使用することができる。一実施形態では、Rho活性の阻害能を有する少なくとも1つの化合物は、約0.5μg/mLの濃度で使用される。
表面改質プレート
本発明における使用に適した表面改質プレートは、その表面が少なくとも約0.5%の窒素を含有し、酸素と窒素の合計量が17.2%以上であり、接触角が少なくとも約13.9°であるように改質された容器であってよい。また、例えばこの表面は細胞が付着できる多孔質の足場のような3次元のマトリクスであってもよい。
一実施形態では、表面改質プレートは、その表面が少なくとも約0.5%の窒素を含有し、酸素と窒素の合計量が17.2%以上であり、接触角が少なくとも約13.9°であるプレートを含む。別の実施形態では、表面改質プレートは、その表面が少なくとも約0.5%の窒素を含有し、酸素と窒素の合計量が19.5%以上であり、接触角が少なくとも約13.9°であるプレートを含む。
一実施形態では、表面改質プレートは、本明細書で表面改質プレート1と呼ぶ、その表面が少なくとも約1.3%の窒素を含有し、酸素と窒素の合計量が少なくとも約24.9%であり、接触角が少なくとも約20.7°であるプレートを含む。
一実施形態では、表面改質プレートは、本明細書で表面改質プレート2と呼ぶ、その表面が少なくとも約1.7%の窒素を含有し、酸素と窒素の合計量が少なくとも約29.6%であり、接触角が少なくとも約14.3°であるプレートを含む。
一実施形態では、表面改質プレートは、本明細書で表面改質プレート3と呼ぶ、その表面が少なくとも約2.0%の窒素を含有し、酸素と窒素の合計量が少なくとも約30.7%であり、接触角が少なくとも約18.4°であるプレートを含む。
一実施形態では、表面改質プレートは、本明細書で表面改質プレート4と呼ぶ、その表面が少なくとも約2.1%の窒素を含有し、酸素と窒素の合計量が少なくとも約30.2%であり、接触角が少なくとも約17.4°であるプレートを含む。
一実施形態では、表面改質プレートは、本明細書で表面改質プレート13と呼ぶ、その表面が少なくとも約1.8%の窒素を含有し、酸素と窒素の合計量が少なくとも約28.2%であり、接触角が少なくとも約18.8°であるプレートを含む。
一実施形態では、表面改質プレートは、CELLBINDの商品名で販売される、その表面が少なくとも約1.0%の窒素を含有し、酸素と窒素の合計量が少なくとも約27.8%であり、接触角が少なくとも約44.3°であるプレートを含む。
一実施形態では、表面改質プレートは、PRIMARIAの商品名で販売される、その表面が少なくとも約10.2%の窒素を含有し、酸素と窒素の合計量が少なくとも約23.0%であり、接触角が少なくとも約39.5°であるプレートを含む。
表面改質プレートの特性評価
一実施形態では、表面改質プレートの表面の元素組成は、X線光電子分光法(XPS)によって分析することができる。XPSは、化学分析用電子分光法(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis(ESCA))としても知られ、固体基質の表面にどのような元素又は原子が存在するかを調べ(水素及びヘリウムを除き、0.1原子%未満の濃度のすべての元素を検出可能)、こうした元素又は原子の結合環境を調べるための方法として用いられる。一例として、ポリスチレン(炭素と水素のみを含む)固体試料のXPS分析により、通常、97%よりも多い炭素、3%未満の酸素、及び0%の窒素という結果が得られる(水素は検出されない。例えば放射線照射による滅菌の結果として表面のポリスチレン鎖の酸化のために異なる濃度の酸素が検出されうる。)(Brevig et al.,Biomaterials 26:3039〜3053,2005;Shen and Horbett,J.Biomed.Mater.Res.57:336〜345,2001)。
一実施形態では、表面改質プレートの表面の粗さを原子間力顕微鏡(AFM)によって分析することができる。AFMによって表面の原子又は分子を横方向の解像度1オングストローム、縦方向の解像度0.1オングストロームにまで画像化することが可能である。
一実施形態では、表面改質プレートの表面の濡れ性を接触角を測定することによって分析することができる。例えば、静的固着液滴法による接触角測定により、固体基質の表面と液体との間の相互作用についての情報が与えられる。接触角は、固体基質の表面上に静止している液滴の形状を定義するものであり、液体、固体及び気体が出会う接触線において液体内部で測定される、固体基質の表面上の液体の接触角である。水接触角が90°よりも大きい表面は疎水性であるとされ、水接触角が90°よりも小さい表面は親水性であるとされる。親水性が極めて高い表面、すなわち水に親和性が高い表面上では、水滴は完全に拡がる(有効接触角=0°)。
一実施形態では、表面改質プレートの負電荷密度を、表面とクリスタルバイオレットとの反応性を測定することによって分析することができる。クリスタルバイオレットは正電荷を有し、これにより負に帯電した分子及び分子の部分、例えばポリマー表面上に存在する負に帯電した官能基に結合することができる。クリスタルバイオレット反応性が高い表面は、クリスタルバイオレット反応性が低い表面と比較した場合、これらの表面が同じ粗さ、したがって面積を有するものと仮定すると、負電荷の密度が高い。
多能性幹細胞
多能性幹細胞の特性評価
多能性幹細胞は、発生段階特異的胚性抗原(SSEA)3及び4の1つ以上、及びTra−1−60及びTra−1−81と呼ばれる抗体を用いて検出可能なマーカーを発現しうる(Thomson et al.,Science 282:1145,1998)。インビトロで多能性幹細胞を分化させると、SSEA−4、Tra−1−60、及びTra−1−81の発現が消失し(存在する場合)、SSEA−1の発現が増大する。未分化の多能性幹細胞は通常アルカリホスファターゼ活性を有し、これは、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、次いで製造業者(Vector Laboratories,Burlingame Calif.)によって述べられるようにVectorRedを基質として現像することによって検出することができる。未分化の多能性幹細胞は、RT−PCRによって検出されるOct−4及びTERTを通常更に発現している。
増殖させた多能性幹細胞の別の望ましい表現型は、内胚葉、中胚葉、及び外胚葉組織の3胚葉のすべての細胞に分化する能力である。幹細胞の多能性は、例えば、細胞を重症複合免疫不全症(SCID)マウスに注入し、形成される奇形腫を4%パラホルムアルデヒドで固定し、次いでこれを3胚葉からの細胞型の証拠について組織学的に調べることによって確認することができる。また、多能性は、胚様体を形成し、この胚様体を3胚葉に関連したマーカーの存在について評価することによって調べることもできる。
増殖させた多能性幹細胞系は、標準的なGバンド法を用いて核型を決定し、対応する霊長類種の公表されている核型と比較することができる。細胞は「正常な核型」を有することが望ましい。これは、細胞が、ヒトの染色体がすべて揃っていてかつ目立った変化のない正倍数体であることを意味する。
多能性幹細胞の供給源
使用が可能な多能性幹細胞の種類としては、妊娠期間中の任意の時期(必ずしもではないが、通常は妊娠約10〜12週よりも前)に採取した前胚性組織(例えば胚盤胞等)、胚性組織、胎児組織等の、妊娠後に形成される組織に由来する多能性細胞の株化細胞系が含まれる。非限定的な例としては、例えばヒトES細胞株H1、H7及びH9(WiCell)等のヒトES細胞又はヒト胚性生殖細胞の株化細胞系がある。更に、こうした細胞の初期の株化又は安定化の際に本開示の組成物を使用することも考えられるが、その場合は、供給源となる細胞は供給源組織から直接採取される1次多能性細胞である。フィーダー細胞の非存在下で既に培養された多能性幹細胞集団から得られる細胞も、フィーダー細胞の存在下で既に培養された多能性幹細胞集団と同様、好適である。例えば、BG01v(BresaGen,Athens,GA)等の変異型ヒトES細胞株も好適である。例えば、Takahashiら(Cell 131:1〜12(2007))によって開示される細胞のような成人ヒト体細胞から誘導される細胞も好適である。
一実施形態では、ヒトES細胞をThomsonらによって述べられるように調製する(米国特許第5,843,780号、Science 282:1145,1998;Curr.Top.Dev.Biol.38:133ff.,1998;Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.92:7844,1995)。
多能性幹細胞の培養
一実施形態では、多能性幹細胞を、本発明の方法にしたがって培養するのに先立って、様々な点で多能性幹細胞を支持するフィーダー細胞又は細胞外マトリクスタンパク質の層上で培養する。例えば、多能性幹細胞を、細胞を大きく分化させることなく多能性幹細胞の増殖を支持するフィーダー細胞層上で培養する。フィーダー細胞層上での分化をともなわない多能性幹細胞の増殖は、(i)フィーダー細胞層を含んだ培養容器を得て、(ii)別の細胞型と予め培養することによって調整した培地、又は、例えば無血清又は更には化学合成培地などの非条件培地を用いることで支持される。
別の例では、多能性幹細胞を、基本的にフィーダー細胞を含まないにも関わらず、多能性幹細胞を大きく分化させることなくその増殖を支持する培養システム中で培養する。無フィーダー細胞培養中での分化をともなわない多能性幹細胞の増殖は、(i)1以上の細胞外マトリクスタンパク質を有する固体基質表面上の吸着層、及び(ii)別の細胞型と予め培養することによって調整した培地、又は、例えば無血清又は更には化学合成培地などの非条件培地を用いることで支持される。
別の実施形態では、多能性幹細胞を、別の細胞型と予め培養することによって調整した培地、又は、例えば無血清又は更には化学合成培地などの非条件培地中、少なくとも約0.5%の窒素を含有し、酸素と窒素の合計量が17.2%以上であり、接触角が少なくとも約13.9°である表面改質プレート上で培養する。
培地:本発明における使用に適した細胞培地の一例を、米国特許出願公開第20020072117号に見出すことができる。本発明における使用に適した細胞培地の別の例を、米国特許第6642048号に見出すことができる。本発明における使用に適した細胞培地の別の例を、国際特許出願公開第WO2005014799号に見出すことができる。本発明における使用に適した細胞培地の別の例を、Xuら(Stem Cells 22:972〜980,2004)に見出すことができる。本発明における使用に適した細胞培地の別の例を、米国特許出願公開第20070010011号に見出すことができる。本発明における使用に適した細胞培地の別の例を、Cheonら(BioReprod DOI:10.1095/biolreprod.105.046870;19 Oct 2005)に見出すことができる。本発明における使用に適した細胞培地の別の例を、Levensteinら(Stem Cells 24:568〜574,2006)に見出すことができる。本発明における使用に適した細胞培地の別の例を、米国特許出願公開第20050148070号に見出すことができる。本発明における使用に適した細胞培地の別の例を、米国特許出願公開第20050233446号に見出すことができる。本発明における使用に適した細胞培地の別の例を、米国特許第6800480号に見出すことができる。本発明における使用に適した細胞培地の別の例を、米国特許出願公開第20050244962号に見出すことができる。本発明における使用に適した細胞培地の別の例を、国際特許出願公開第WO2005065354号に見出すことができる。本発明における使用に適した細胞培地の別の例を、国際特許出願公開第WO2005086845号に見出すことができる。
好適な培地は、以下の成分、すなわち例えばダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、Gibco No.11965−092;ノックアウトダルベッコ改変イーグル培地(KO DMEM)、Gibco No.10829−018;ハムF12/50%DMEM基礎培地;200mL L−グルタミン、Gibco No.15039−027;非必須アミノ酸溶液、Gibco No.11140−050;β−メルカプトエタノール、Sigma No.7522;ヒト組み換え塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)、Gibco No.13256−029等から調製することもできる。
多能性幹細胞の分化
本発明の一実施形態では、多能性幹細胞をその多能性を維持しつつ培養中で増殖させる。細胞の多能性の時間による変化を、多能性に関連したマーカーの発現レベルの変化を検出することによって調べることができる。また、多能性の変化を、分化に関連したマーカー又は別の細胞型に関連したマーカーの発現レベルの変化を検出することによって監視することもできる。
別の実施形態では、多能性幹細胞を培養中で増殖させた後、別の細胞型への分化を促進するように処理する。他の細胞型は、胚体内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞であってよい。また、細胞型は、膵臓内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞であってもよい。また、細胞型は、膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーを発現する細胞であってもよい。また、細胞型は、β細胞系統に特徴的なマーカーを発現する細胞であってもよい。
本発明の方法にしたがって処理された多能性幹細胞は、当該術分野における任意の適当な方法によって他の様々な細胞型に分化させることができる。
例えば、本発明の方法にしたがって処理された多能性幹細胞は、神経細胞、心臓細胞、肝細胞などに分化させることができる。
例えば、本発明の方法にしたがって処理された多能性幹細胞は、国際特許出願公開第WO2007030870号に開示される方法にしたがって神経前駆細胞及び心筋細胞に分化させることができる。
別の例では、本発明の方法にしたがって処理された多能性幹細胞は、米国特許第6,458,589号に開示される方法にしたがって肝細胞に分化させることができる。
例えば、多能性幹細胞は、D’Amour et al,Nature Biotechnology 23,1534〜1541,2005に開示される方法にしたがって胚体内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞に分化させることができる。
例えば、多能性幹細胞は、Shinozaki et al,Development 131,1651〜1662,2004に開示される方法にしたがって胚体内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞に分化させることができる。
例えば、多能性幹細胞は、McLean et al,Stem Cells 25,29〜38,2007に開示される方法にしたがって胚体内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞に分化させることができる。
例えば、多能性幹細胞は、D’Amour et al,Nature Biotechnology 24,1392〜1401,2006に開示される方法にしたがって胚体内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞に分化させることができる。
胚体内胚葉系統に特徴的なマーカーは、SOX17、GATA4、Hnf−3β、GSC、Cer1、Nodal、FGF−8、Brachyury、Mix様ホメオボックスタンパク質、FGF−4 CD48、エオメソダーミン(EOMES)、DKK4、FGF−17、GATA6、CXCR4、C−Kit、CD99、及びOTX2からなる群から選択される。胚体内胚葉系統に特徴的なこれらのマーカーの内の少なくとも1つを発現する細胞が本発明における使用に適している。本発明の一態様では、胚体内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞は、原始線条前駆細胞である。別の態様では、胚体内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞は、中内胚葉細胞である。別の態様では、胚体内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞は、胚体内胚葉細胞である。
例えば、多能性幹細胞は、D’Amour et al,Nature Biotechnology 24,1392〜1401,2006に開示される方法にしたがって膵臓内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞に分化させることができる。
膵臓内胚葉系統に特徴的なマーカーは、Pdx1、HNF−1β、PTF1a、HNF−6、HB9及びPROX1からなる群から選択される。膵臓内胚葉系統に特徴的なこれらのマーカーの内の少なくとも1つを発現する細胞が本発明における使用に適している。本発明の一態様では、膵臓内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞は、膵臓内胚葉細胞である。
多能性幹細胞は、当該技術分野における任意の方法によって膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーを発現する細胞に分化させることができる。
例えば、多能性幹細胞は、D’Amour et al,Nature Biotechnol.24,1392〜1401,2006に開示される方法にしたがって膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーを発現する細胞に分化させることができる。
例えば、多能性幹細胞は、D’Amour et al,Nature Biotechnol.24,1392〜1401,2006に開示される方法により膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーを発現する細胞に分化させることができる。
膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーは、NGN−3、NeuroD、Islet−1、Pdx−1、NKX6.1、Pax−4、Ngn−3、及びPTF−1αからなる群から選択される。一実施形態では、膵臓内分泌細胞は、以下のホルモン、すなわちインスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、及び膵臓ポリペプチドの内の少なくとも1つを発現することが可能である。膵臓内分泌系統に特徴的なこれらのマーカーの内の少なくとも1つを発現する細胞が本発明における使用に適している。本発明の一態様では、膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーを発現する細胞は、膵臓内分泌細胞である。膵臓内分泌細胞は、膵臓ホルモン発現細胞であってよい。また、膵臓内分泌細胞は膵臓ホルモン分泌細胞であってもよい。
本発明の一態様では、膵臓内分泌細胞は、β細胞系統に特徴的なマーカーを発現する細胞である。β細胞系統に特徴的なマーカーを発現する細胞は、Pdx1、並びに以下の転写因子、すなわちNGN−3、Nkx2.2、Nkx6.1、NeuroD、Isl−1、HNF−3β、MAFA、Pax4及びPax6の内の少なくとも1つを発現する。本発明の一態様では、β細胞系統に特徴的なマーカーを発現する細胞は、β細胞である。
本発明を以下の実施例により更に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
ヒト胚性幹細胞の細胞塊としての継代及び維持
ヒトES細胞株H1及びH9をマイトマイシンCで不活化した初代マウス胚線維芽細胞(MEF)上で最初に維持した。このヒトES細胞をMEFフィーダーからMatrigel(商標)(Becton−Dickinson,Bedford,MA)に切り換えて繰り返し継代を行った。
Matrigel(商標)による表面の処理:増殖因子低減Matrigel(商標)を4℃で解凍した後、冷たいDMEM/F12(Invitrogen,Carlsbad,CA)中に1:30に希釈した。表面を覆うだけの充分な量を6cm径の培養皿(2mL)のそれぞれ、又は6ウェルプレートのウェルのそれぞれ(1mL)に加え、室温で1時間培養した。処理表面は数時間以内に使用するか、最大で2週間4℃で保存した。
ヒトES細胞の培養:未分化のヒトES細胞のコロニー(H9又はH1株からのもの)を、DMEF/F12中、1mg/mLのコラゲナーゼIV(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)中で10分間インキュベートした後、ピペットで掻き落とすことによってフィーダー層から採取した。細胞の凝集塊を600×gで4分間遠心することでペレット化し、得られたペレットを2mLのピペットで静かに分散させてコロニーを細胞の小さな塊に壊した。これらの細胞塊を、Matrigel(商標)処理した培養皿上に、マウス胚線維芽細胞(MEF−CM)で調整し更にbFGF(8ng/mL;R&D Systems,Minneapolis,MN)を添加した培地中に、6cm径の培養皿1個当たり5mLの増殖培地中50〜150個のコロニーとなるように播種した。培地は毎日交換した。MEF−CM中のMatrigel(商標)上のコロニーは大きくなり、約3〜4日毎にコロニーが表面積の70〜80%を占めた時点で継代した。コロニー中のヒトES細胞は、細胞質に対する核の比が大きく、フィーダー上で維持したヒトES細胞と同様、著明な核小体を有していた(図1)。分化した細胞は培養中の全細胞の5%未満であった。
MEF−CM中の細胞のMatrigel(商標)上での通常の継代には、DMEM/F12に加えた1mg/mLのコラゲナーゼIV中で細胞を最大で60分間インキュベートし、掻き落としながらDMEM/F12の強制的な流れによって培養皿から剥離した。細胞をペレット化し、分散して1:3又は1:4の比で播種した。
(実施例2)
ヒト胚性幹細胞の単一細胞としての継代
細胞株H9のヒトES細胞をLifeScan Inc.に譲渡された米国特許出願LFS5163USPSPに開示される方法にしたがって単一細胞として増殖させた。細胞をTrypLE(商標)Expressで37℃で5分間処理することによって継代し、基質表面1cm2当たり10,000個の細胞となるように播種した。
(実施例3)
細胞外マトリクスタンパク質/成分及びフィーダー細胞を欠いた表面改質プレートを用いたヒト胚性幹細胞の付着、培養及び多能性の維持
継代数49の細胞株H1のヒトES細胞を、実験前に希釈率1:30の増殖因子低減Matrigel(商標)で処理したNunclon Delta(商標)プレート上でMEF調整培地中に維持した。細胞を1mg/mLのコラゲナーゼ解離処理、又は手による掻き落としによって継代のために表面から解離させた。
次いでこれらの細胞を表面改質プレート(6ウェル形式)の2個の非処理ウェル上に播種した。更に、各プレートの1個のウェルをコントロールとして0.1%の異種成分不含ヒトゼラチンで処理した。更に細胞を、ネガティブコントロールとしてCostar(商標)(カタログ番号3516、Corning,Corning,NY)、Falcon(商標)(カタログ番号351146、Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ)、及びNunclon Delta(商標)(カタログ番号140675、Thermo Fisher Scientific,Roskilde,Denmark)6ウェルプレートの非処理及びゼラチン処理ウェル上に直接播種し、更にポジティブコントロールとして、希釈率1:30の増殖因子低減Matrigel(商標)で処理したウェル上に播種した。すべての処理について、細胞はMEF調整培地中に維持した。
我々は、2回の継代の後、表面改質プレート2、3及び4にはES細胞のコロニーが付着し、これらは酵素による解離後に各プレートに再付着して増殖することを観察した。ゼラチン処理又は非処理のウェルでは表面改質プレート2、3、又は4と比較して付着又は増殖の速度に明らかな差は認められなかった。
希釈率1:30の増殖因子低減Matrigel(商標)で処理したプレートから機械的に解離させた細胞は表面改質プレート2、3、及び4に対する付着性が低かったのに対して、1mg/mLのコラゲナーゼにより酵素的に解離させた細胞は表面改質プレート2、3、又は4のゼラチン又は非処理ウェルに対する付着性は高かった。
表面改質プレート1及び5〜12、並びに非処理又はゼラチン処理したNunclon Delta(商標)プレート、Falcon(商標)プレート、及びCostar(商標)プレートに加えたH1p49ES細胞は付着しなかった。同じ細胞が、希釈率1:30の増殖因子低減Matrigel(商標)で処理したプレートには付着し、これらの細胞が基質表面に付着する能力を有していることが示された。
希釈率1:30の増殖因子低減Matrigel(商標)上に播種されたH1株のES細胞の通常の継代時間は3〜4日間であったが、表面改質プレート2、3及び4に播種した細胞は、継代が可能となるまでに7日間の培養を要した。これは、表面2、3及び4と比較してより多くの開始コロニーが播種直後にMatrigel(商標)処理表面上に見られたことから、処理表面上への付着速度が低いことによるものと恐らく考えられる。
継代数(p)50の細胞を1:2の比に分割し、試料の半分をRNA精製用に回収し、多能性マーカーの発現にして試験した(表1)。各試料の残りの半分を表面改質プレート上に再播種した。この継代数(p51)で形成されたコロニーは、継代が可能となるまでにやはり7日間の培養を要した。4日間のみの培養後に形成された小さなコロニーを図1に示す。これらのコロニーは典型的なES細胞のコロニーの形態を維持していた。
表面改質プレート2、3及び4上での培養を継代数4で停止し、試料をqRT−PCRにより多能性マーカーについてアッセイし(表2)、胚体内胚葉(DE)運命に分化させた。継代数4の細胞は典型的な多能性マーカーであるOct4、Nanog、Sox2、及びTERTの発現を維持していた。更に、これらの細胞は、DMEM/F12、100ng/mLのアクチビンA、20ng/mLのWnt3a、及び0.5〜2.0%FBSを含む培地に曝露すると胚体内胚葉運命に分化し(表3)、4回の継代を通じて細胞に多能性が維持されたことが示された。
(実施例4)
細胞外マトリクスタンパク質/成分及びフィーダー細胞を欠いた表面改質プレート上でのヒト胚性幹細胞の付着、培養及び多能性の維持:Rho阻害及びRhoキナーゼ阻害の影響
継代数49の細胞株H1のヒトES細胞を、実験前に希釈率1:30の増殖因子低減Matrigel(商標)で処理したNunclon Delta(商標)プレート上でMEF調整培地中に維持した。細胞を1mg/mLのコラゲナーゼ解離処理によって継代のために表面から解離させた。
次いでこれらの細胞を表面改質プレート(6ウェル形式)の非処理ウェル上に播種した。更に細胞を、ネガティブコントロールとしてCostar(商標)、Falcon(商標)、及びNunclon Delta(商標)6ウェルプレートの非処理及びゼラチン処理ウェル上に直接播種し、更にポジティブコントロールとして、希釈率1:30の増殖因子低減Matrigel(商標)で処理したウェル上に播種した。すべての処理について、細胞はMEF調整培地中に維持した。
表面改質プレート1及び5〜12、並びに非処理又はゼラチン処理したNunclon Delta(商標)プレート及びCostar(商標)プレートに加えた継代数49のH1株のヒトES細胞は付着しなかったが、これらの細胞は表面改質プレート2、3及び4には付着した。同じ細胞が、希釈率1:30の増殖因子低減Matrigel(商標)で処理したプレートには付着し、これらの細胞が基質表面に付着する能力を有していることが示された。
希釈率1:30の増殖因子低減Matrigel(商標)上に播種されたH1ES細胞の通常の継代時間は3〜4日間であったが、表面改質プレート2、3及び4に播種した細胞は、継代が可能となるまでに7日間の培養を要した。これは、表面改質プレート2、3及び4と比較してより多くの開始コロニーが播種直後にMatrigel(商標)処理表面上に見られたことから、表面改質プレート上への付着速度が低いことによるものと恐らく考えられる。
継代数(p)50の細胞を1:2の比に分割し、試料の半分をRNA精製用に回収し、多能性マーカーの発現にして試験した(表1)。各試料の残りの半分を表面改質プレート上に再播種した。この継代数(p51)で形成されたコロニーは、継代が可能となるまでにやはり7日間の培養を要した。4日間のみの培養後に形成された小さなコロニーを図1に示す。これらのコロニーは典型的なES細胞のコロニーの形態を維持していた。
継代のこうした遅れのため、細胞は1:2の比で分割し、継代数4の試料の半分をMEF調整培地、又は細胞の増殖動態を向上させる目的で10μMの濃度のRhoキナーゼ(ROCK)阻害剤であるY−27632を添加したMEF調整培地に播種した。細胞を継代後48時間播種した培地に維持し、新鮮な無添加のMEF調整培地に培地を変えた。
10μM濃度のY−27632を添加することにより、細胞(p52)の播種効率が大幅に高まり、コロニーの増殖率の向上が播種4日後に明らかとなった(図2)。また、コラーゲンによる解離処理に先立ってH1株のヒトES細胞を0.5ng/mLのRho阻害剤の細胞透過形態であるC3エキソトランスフェラーゼで更に処理した場合にも、細胞の播種効率が向上した。
10μMのY−27632中で播種した細胞が播種4日後に継代可能となったのに対して、ROCK阻害剤なしで播種した細胞は播種4日後にも分割可能とはならなかった。Rho阻害剤であるC3エキソトランスフェラーゼで処理した細胞も播種4日後に継代可能とならず、細胞は線維芽細胞状の形態へとより多く分化した。したがって、継代数4でRho阻害剤で処理した細胞をその後のすべての継代においてY−27632で処理した(図3)。
細胞を表面改質プレート3及び4上で少なくとも10回更に継代し、多能性に関連した以下のマーカーの存在について試験した。すなわち、遺伝子はqRT−PCRにより、細胞表面のマーカーの発現はフローサイトメトリーにより、細胞表面及び核タンパク質は免疫蛍光法により試験した(図4〜6)。細胞の多能性を、胚体内胚葉、膵臓内胚葉への分化能、及び3胚葉からなる胚葉体の形成能を試験することによって更に確認した(図7〜9)。細胞を核型の安定性について更に試験したところ、細胞が正常な核型を維持することを観察した(図10)。
(実施例5)
Rhoキナーゼ阻害を介したヒト胚性幹細胞の付着及び剥離
継代数40のH9株のヒトES細胞を、実験前に希釈率1:30の増殖因子低減Matrigel(商標)で処理したNunclon Delta(商標)プレート上でMEF調整培地中に維持した。細胞を1mg/mLのコラゲナーゼ解離処理、又は手による掻き落としによって継代のために表面から解離させた。
次いでこれらの細胞を、増大する量の以下のRhoキナーゼ阻害剤、すなわち、Y−27632(Sigma,St.Louis,MO、又はEMD,San Diego,CA)、ファスジル(Sigma)、又はヒドロキシファスジル(Sigma)の内の1つの存在下、表面改質プレート2、3、4及び13(12ウェル形式)上に播種し、3日間維持して毎日培地と化合物を交換した。3日目の最後に培地を除去し、プレートをクリスタルバイオレット(0.5%水溶液)で染色してコロニーを可視化した。
3日目までに、増大する量のRhoキナーゼ阻害剤の存在下で表面改質プレート2、3、4及び13にES細胞コロニーが付着したことを観察した。Y−27632(10μM)の使用により最良の結果が得られたが、一部のコロニーはRhoキナーゼ阻害剤であるファスジル及びヒドロキシファスジルを用いた場合に付着及び増殖が認められた(図11)。
我々は、培養の初日に細胞を広範囲のプレーティング濃度のY−27632で処理することによって細胞の結合を促進するY−27632の最適用量の決定を試みた。初日の培養の後、細胞を10μM濃度のY−27632でその後の日に処理した。我々は、ES細胞の付着及び増殖を刺激する最大濃度は10μMであることを観察し(図12)、これが表面改質プレート2、3、4、13及びCellBIND(商標)(Corning,Corning,NY)上で起こることを観察した。
細胞をY−27632の単回投与により連続的に処理した場合の付着及び増殖に対する影響についても試験を行った。細胞に0、1、4、又は10μMのY−27632を4日間にわたって与えた。非処理(0μM)の表面改質プレート上でもある程度の結合が認められたがES細胞の付着及び増殖を刺激する最適濃度は表面改質プレート2、3、4、13上で10μMのY−27632であった(表4)。
ROCK阻害剤の添加により、非処理細胞に対して表面改質プレート2、3及び4上における播種及び増殖動態が大幅に促進された(図13)ことから、これが適正な細胞付着の維持によるものか、あるいは細胞増殖の増大によるものかを調べることにした。我々は、Y−27632で処理した細胞が非処理細胞と同様の密度で増殖したことから、Rhoキナーゼ阻害により細胞増殖が増大しないことを観察した(図14)。代わりに、Y−27632処理は表面に対する細胞の付着を維持し、通常の増殖動態で細胞を増殖させた(図15)。Rhoキナーゼ阻害剤の存在下で播種したES細胞の増殖培地からRhoキナーゼ阻害剤を除去することにより、表面から細胞が剥離した。3胚葉系統への分化をともなう胚葉体の形成は、懸濁液中でES細胞を培養することによって行われる。したがって、Rhoキナーゼ阻害剤を後に再添加することにより細胞の付着性が予想されたように回復した(図15)が、Rhoキナーゼ阻害剤を24時間培養から除去し、細胞を懸濁液中で24時間剥離、増殖させ、Rhoキナーゼ阻害剤を再添加した試料では培養ES細胞の顕著な分化が認められた。
(実施例6)
表面改質プレート上でTrypLE(商標)Expressにより継代したH9ヒトES細胞は、Y−27632による接着性が向上する。
H9ヒトES細胞を表面改質プレート上に最初に継代した。連続的に10μMのY−27632を加えることにより接着性が向上した。これは試験を行った4つの表面改質プレート(2、3,4、及び13)で同様であった。表面3上に播種後24時間のH9細胞の画像を図16に示す。
(実施例7)
表面改質プレート上でTrypLE(商標)Expressとともに継代したH9単一ヒト胚性幹細胞は多能性を維持する。
ヒトES細胞は多能性細胞であり、すべての細胞系統に分化する能力を有している。細胞の多能性状態は細胞が増殖する表面によって維持されなければならない。表面改質プレートがヒトES細胞の多能性を維持できるか否かを調べるため、ヒトES細胞を コラゲナーゼにより38回継代し、TrypLE(商標)Experssにより38回継代した後、表面改質プレート3(表面3)、表面改質プレート4(表面4)、又は希釈率1:30のMatrigel(商標)上で5回継代した。10μMのY−27632を、示した試料の培地に加えた。多能性マーカーであるTra−1−60、Tra−1−81、SSEA−3及びSSEA−4の発現をフローサイトメトリーによって評価した。結果を図17に示す。陽性細胞の比率をY軸上に示す。表面改質プレート3及び4上で増殖させた単一のヒトES細胞はその多能性を維持した。
(実施例8)
Rhoキナーゼ阻害は、表面改質プレート上で単一細胞として増殖させたヒト胚性幹細胞株H9からの細胞のMatrigel(商標)からの移行時の接着及び増殖を促進する。
ヒトES細胞の接着及び細胞増殖におけるY−27632の役割を表面改質プレートとの関連において調べた。H9ヒトES細胞をコラゲナーゼにより38回継代し、TrypLE(商標)Experssにより50回継代した後、表面改質プレート3又は4上に播種した(ナイーブ細胞)。また、H9ヒトES細胞をコラゲナーゼにより38回、TrypLE(商標)Experssにより38回継代した後、表面改質プレート3(表面3、馴化細胞)又は表面改質プレート4(表面4、馴化細胞)上で9回継代した。細胞をMEF調整培地中に104/cm2の密度で播種し、10μMのY−27632の存在下又は非存在下で2日間増殖させた。結果を図18に示す。Y−27632は、表面改質プレート3及び4に対するナイーブ細胞の付着性を高めた。Y−27632は表面改質プレート3又は4に対する馴化細胞の付着性は高めなかった。表面改質プレート3はナイーブ細胞の付着性及び/又は増殖性を高めた。表面改質プレート4は馴化されたヒトES細胞の付着性及び/又は増殖性を高めた。細胞は全体で4日間追跡した(図19及び20)。ナイーブな単一細胞は、表面改質プレート3を用いて10μMのY−27632の存在下で培養した場合に高い増殖速度を示し、若干の利点を示した(図19)。馴化された単一細胞は10μMのY−27632の非存在下で高い増殖速度を示した(図20)。
(実施例9)
表面改質プレートを使用して化合物をスクリーニングすることができる。
96ウェル型及びSBS(生体分子スクリーニング協会(Society for Biomolecular Screening))標準形式の表面改質プレートを使用して10μMのY−27632の存在下で単一のヒトES細胞を増殖させることができる。96ウェルプレートのウェルに播種されたH9単一細胞の画像を図21に示す。これにより、それぞれマウス胚線維芽細胞やMatrigel(商標)のような中間細胞又は吸着層を用いることなく96ウェルプレート中で化合物を直接スクリーニングすることが可能である。
(実施例10)
表面改質プレート上で培養した単一胚性幹細胞は胚体内胚葉への分化能を有する。
目標の1つは、ヒトES細胞を異なる細胞系統に分化させることである。表面改質プレートが分化を支持できるか否かを調べるため、ヒトES細胞をコラゲナーゼにより38回継代し、更にTrypLE(商標)Experssにより38回継代した後、表面改質プレート3(表面3)又は表面改質プレート4(表面4)上で9回継代した。ポジティブコントロールとして、ヒトES細胞を希釈率1:30のMatrigel(商標)上で増殖させた。10μMのY−27632を、示した細胞試料を増殖させる際に培地に加えた。細胞の増殖後、培養細胞の胚体内胚葉の形成能を評価した。簡単に述べると、70%コンフルエンスの培養をDMEM−F12培地に加えた100ng/mLのアクチビンA、10ng/mLのWnt3a、及び0.5%のFBSによって2日間処理した。この処理の後、DMEM/F12に加えた100ng/mLのアクチビンA及び2%FBSによって3日間処理した。胚体内胚葉に分化した細胞をフローサイトメトリーによりCXCR4タンパク質の発現によって識別した(図22)。陽性細胞の比率をY軸上に示す。単一細胞として培養したヒトES細胞は、表面改質プレート3及び4上でY−27632の存在下又は非存在下で胚体内胚葉へと分化した。
(実施例11)
表面改質プレート上で培養した単一胚性幹細胞は膵臓内胚葉への分化能を有する。
胚体内胚葉プロトコールの終了後、細胞を3日間、DMEM−F12培地に加えたFGF−7(50ng/mL、R&D Systems)、ソニックヘッジホッグ阻害剤、KAADシクロパミン(2.5μM、Sigma−Aldrich)、及び2%FBSでインキュベートした。この時点で、増殖に際してY−27632で処理しなかった細胞は表面改質プレート3及び4から剥離した。増殖に際してY−27632で処理した細胞をDMEM−F12に加えたFGF−7(50ng/mL)、KAADシクロパミン(2.5μM)、レチノイン酸(1μM、Sigma−Aldrich)及び1%B27(Invitrogen)で更に4日間インキュベートした(後部前腸ステージ、PF)。この時間の後、細胞をDMEM−F12に加えたエキセンジン4(50ng/mL、Sigma−Aldrich)、DAPT(1μM、Calbiochem)、及び1%B27中で更に4日間インキュベートした。分化を膵臓内胚葉ステージ(EN)にまで継続させた。これには、50ng/mLのHGF、IGF(R&D Systems)及びエキセンジン4(50ng/mL)、及び1%B27を含むCMRL培地(Invitrogen)による3日間の処理を要した。RNA試料をステージPF及びENにおいて表面改質プレート3及び4の1個のウェルから採取した。次いでこれらの試料をこの段階で膵臓マーカーであるPdx1、Nkx6.1、Nkx2.2、Pax4、NeuroD、HNF3b、Ptf1a、インスリン及びAFPについてリアルタイムPCRによって分析した。同じ膵臓内胚葉マーカーの評価をこのステージで繰り返し行った。同じ細胞株の非処理のヒトES細胞から得たRNA試料に、処理を行った試料と並行してリアルタイムPCRを行った。処理試料は、倍率変化=1に設定した非処理のコントロールに対して標準化した。Pdx1及びインスリンの発現を観測し、各表面改質プレート間で比較した。
表面改質プレート3及び4上で処理した細胞において膵臓内胚葉マーカーの誘導が認められたが、発現量は表面改質プレート3上で処理した細胞においてより高かった(図23)。増殖に際してY−27632の存在下ではいずれの表面改質プレートも単一のヒトES細胞の後方前腸及び膵臓内胚葉への分化を支持したのに対して、増殖に際してY−27632で処理しなかった単一細胞は後方前腸へ分化する前に剥離してしまった。
(実施例12)
H1及びH9ヒトES細胞は表面改質プレートに接着し、接着性は細胞をY−27632で処理することによって向上する。
予め1:30のMatrigel(商標)で処理したプラスチック容器に播種し、8ng/mLのbFGFを添加したMEF調整培地中で増殖させた継代数49のH9ヒトES細胞をリベラーゼ処理し、8ng/mLのbFGFを添加したか、あるいは(not otherwise)増大する濃度のY−27632による処理又は添加をしたMEF調整培地中、表面改質プレートに播種した。我々は、表面改質プレートにH9ヒトES細胞を播種した24及び48時間後に、クリスタルバイオレットで染色した表面2〜4及び13、並びにCellBIND(商標)、並びにPrimaria(商標)(カタログ番号353846、Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ)上に小さいコロニーが認められることを観察した(図24〜26)。更に、H9ヒトES細胞コロニーの接着性がY−27632を加えることによって向上し、その効果は用量反応関係を示した(図25)。低濃度のY−27632(1〜2μM)では、非処理のヒトES細胞に対するヒトES細胞の付着性の向上は最小に留まった(図25)のに対し、高濃度のY−27632(4〜20μM)では、クリスタルバイオレット染色によって測定される表面改質プレートへのヒトES細胞の接着性は促進された(図25及び26)。
細胞の培地にY−27632を加えることによるヒトES細胞の付着性の動的な調節以外に、我々はY−27632の存在下では異なる表面改質プレートに対するヒトES細胞の接着速度が異なることを観察した。例えば、持続的なY−27632処理の存在下であっても細胞はCellBIND(商標)プレートに対する接着性は低く、時間とともにCellBIND(商標)プレートから剥離する傾向が見られたが、Rhoキナーゼ阻害剤であるY−27632で処理した場合に細胞は表面改質プレート3、4、又は13又はPrimaria(商標)に対して高い接着性を示し、より剥離しにくかった(図25及び26)。
(実施例13)
ヒト胚性幹細胞株H1及びH9からの細胞はY−27632の存在下で表面改質プレート上に異なる速度で付着し、コロニーを形成する。
予め1:30のMatrigel(商標)で処理したプラスチック容器に播種し、8ng/mLのbFGFを添加したMEF調整培地中で増殖させたH1及びH9ヒトES細胞をリベラーゼ処理し、8ng/mLのbFGFを添加したか、あるいは(not otherwise)20μMのY−27632による処理又は添加をしたMEF調整培地中、表面改質プレートに播種した。表面改質プレート14及び15にH9ヒトES細胞を播種した48時間後では、20μMのY−27632を培地に添加した場合に小さなコロニーが観察された(付着性及びコロニー形成は実験によって変動した)(図27)。H1ヒトES細胞もまた、20μMのY−27632を添加した培地では表面14及び15の両方に付着してコロニーを形成し、これはH9ヒトES細胞で見られた結合よりも顕著であった。これらのデータは、固体基質表面上への付着性及び表面上でのコロニー形成にはヒトES細胞の株によって変動が見られることを示すものである。
(実施例14)
合成培地を用いた表面改質プレートへのヒトES細胞の付着
継代数49のH9ヒトES細胞を、Matrigel(商標)処理したプラスチック容器上で合成培地であるmTeSR(商標)中で2回継代した。次いで細胞をリベラーゼ処理し、mTeSR(商標)培地中、表面改質プレートであるNunc4上に播種した。細胞は20μMのY−27632の存在下又は非存在下で培地に播種した。細胞を播種する30分前に各ウェルを異なるタンパク質(非処理、0.1%ゼラチン、2%BSA、0.34mg/mLのラットコラーゲンI、1:1000のMatrigel(商標)、又は1:5000のMatrigel(商標))で更に処理することによってこれらのタンパク質がY−27632の存在下又は非存在下で合成培地中でヒトES細胞の接着性を促進するか否かを調べた(図28)。我々は、Y−27632の非存在下では、合成培地中で表面改質プレート上に播種されたヒトES細胞は、コラーゲンI又は1:1000のMatrigel(商標)などの細胞外マトリクスタンパク質の存在下であっても付着しないことを観察した。しかしながら、20μMのY−27632を合成培地であるmTeSR(商標)培地に加えた場合には、ヒトES細胞は表面Nunc4に接着した。更に、この接着性は非処理のウェルと、0.1%ゼラチン、2%BSA、及び0.34mg/mLのラットコラーゲンIで処理したウェルとで同等であった。低濃度のMatrigel(商標)(希釈率1:1000及び1:5000)を用いたウェルではヒトES細胞の付着性にある程度の増大が認められたが、これらの濃度のMatrigel(商標)はY−27632の非存在下で接着性を促進するには不充分であった。これらの結果は、ROCK阻害剤であるY−27632の存在下では、ヒトES細胞を合成培地中で改質されたプラスチック基質上で培養することが可能であり、約1:1000又は1:5000の低濃度のMatrigel(商標)がこの接着性を高めうることを示すものである。
(実施例15)
フラスコ形式の表面改質プレートはヒトES細胞の付着並びに胚体内胚葉及び膵臓内胚葉への分化を促進しうる。
予め1:30のMatrigel(商標)で処理したプラスチック容器に播種し、8ng/mLのbFGFを添加したMEF調整培地中で増殖させたH1及びH9ヒトES細胞をリベラーゼ処理し、改質された表面を有する異なるサイズのフラスコに1:2又は1:3の播種密度でT25、T75、T150、及びT175フラスコに播種した。この細胞を8ng/mLのbFGF及び20μMのY−27632を添加したMEF調整培地に播種した。この後、ヒトES細胞のコロニーを、8ng/mLのbFGF及び20μMのY−27632を添加したMEF調整培地を毎日交換しながら各プレートが約50%コンフルエンスに達するまで増殖させた。この時点で、2%BSA、100ng/mLのアクチビンA、20ng/mLのWnt3a、及び20μMのY−27632を含むDMEM/F12培地に培地を変え、細胞をこの培地中に2日間、毎日培地を交換しながら維持した。3日目及び4日目に、2%BSA、100ng/mLのアクチビンA、及び20μMのY−27632を含むDMEM/F12培地に培地を変えた。次いで細胞をTrypLEで表面から剥離し、胚体内胚葉(DE)表面マーカーであるCXCR4の発現についてフローサイトメトリーでアッセイした。我々は、これらの条件下でヒトES細胞がCXCR4の陽性率が高い細胞集団(約90%がCXCR4+)に分化することを観察したが、このことは細胞の大部分が胚体内胚葉に分化したことを示すものである(表5)。更に、培地からY−27632を取り除くとプラスチックから細胞が剥離したことから、増殖時又は分化時の培養表面への細胞の付着性はROCK阻害の維持に依存していた。
我々は、フラスコ形式の表面改質プレート上で誘導された胚体内胚葉から膵臓内胚葉が形成されるかどうかを調べることにした。そのため、我々は、細胞をY−27632(20μM)、FGF−7(50ng/mL)、KAADシクロパミン(2.5μM)、及び1%B27(Invitrogen)を加えたDMEM−F12中で更に4日間培養した後、レチノイン酸(1μM、Sigma−Aldrich)を添加したこの培地中で更に4日間培養することによって細胞を膵臓内胚葉ステージにまで分化させた。次いでRNA試料を採取し、膵臓マーカーであるPdx1についてリアルタイムPCRにより分析した。処理試料は、倍率変化=1に設定した非処理のコントロールに対して標準化した。我々は、これらの試料は未分化のヒトES細胞に対してPdx1のレベルが高く、分化した細胞では未分化のヒトES細胞と比較してmRNAレベルが少なくとも256倍高いことを観察した。
(実施例16)
表面処理及び表面改質プレート
コロナプラズマ処理又はマイクロ波プラズマ処理を用いて射出成形された成形物を処理することによって表面改質プレートを作製した(表6)。射出成形に用いたポリマー材料は、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリカーボネートとポリスチレンとの配合物、及び環状オレフィンコポリマーであった。これらの表面改質プレートを個別にプラスチックバッグに入れ、γ線照射(25kGy)によって滅菌し、最後に細胞培養又は表面の特性評価を行う実験で使用するまで室温で保存した。表面改質プレート18、30及び31〜32は、それぞれ表面改質プレート19、33及び34と同じポリマー材料を用いて成形したがプラズマ処理は行わなかった。表面14及び31はγ線照射を行わなかった。
コロナプラズマ処理は、1個の電極のみがチャンバ内に配置されてチャンバの内部から電気的に絶縁された金属製の真空チャンバ内で行った(C−Lab Plasma、Vetaphone A/S,Denmark)。金属壁が対電極(接地)として機能する。自動調整式コロナ発生装置によって、チャンバ全体にプラズマを発生させるのに充分なエネルギーを与える電場を発生させた。処理すべき成形物はチャンバの底部に置いた。チャンバを閉鎖し、1Pa(10-2mbar)の圧力にまで脱気した。この圧力で真空ポンプに通じる弁を閉鎖し、コロナ発生装置を起動した。発生装置は2000Wの出力を発生するように設定した。プラズマは5〜60秒間励起した。次いでガス吸気口(空気)を開放し、チャンバ内の圧力を大気レベルに戻した。
マイクロ波プラズマ処理は、石英真空チャンバ(表面改質プレート5〜12に対してはモデル300E、表面改質プレート14及び15に対してはモデル440。いずれもTechnics Plasma GmbH,Germany)内で行った。プラズマを発生させるためのエネルギーは、チャンバ外部の2.43GHzのマイクロ波発生装置によって供給した。処理すべき成形物はチャンバ内部のガラスプレート上に置いた。チャンバを閉鎖し、30〜50Pa(0.3〜0.5mbar)の圧力にまで脱気した。真空ポンプに通じる弁は開いたままとし、ガス吸気弁によりガス(空気又は酸素)流を調節することによって圧力を所望の値に維持した。次いでマイクロ波発生装置を起動させた。発生装置は500又は600Wの出力を発生するように設定した。次いでポンプ弁を閉鎖し、空気吸入弁を開放することによってチャンバ内の圧力を大気レベルに戻した。
表6は、コロナプラズマ又はマイクロ波プラズマによって表面改質プレートの作製に用いられる出力、時間、圧力及びガスを示す。
(実施例17)
本発明の表面改質プレートの表面の特性評価
水接触角
表面改質プレート1〜4及び13を個別にプラスチックバッグに入れ、滅菌し、試験期間全体を通じて室温で保存した。接触角を表面処理及び滅菌1週間後に最初に測定し、図29に示した各時点で再び測定した。すべての接触角の測定は、静的固着液滴法及びFIBRO Systems AB,Swedenより販売されるPG−X測定ヘッド(ビデオカメラとコンピューターソフトウェア(v.3.1)からなる角度計)を用いて行った。接触角の計算には接線法(tangent leaning method)を用いた。4.0μLのMilliQ水の水滴を、自動液滴塗布装置を製造者の指示にしたがって静止モードで使用して付着させた。各水滴の接触角を1回ずつ測定した(各試料にそれぞれの時点で7滴を付着させた)。前の測定からの影響を防止するために各時点で新しい試料を使用した。Nuclon Delta(商標)及びCellBIND(商標)表面上での測定は、表面1〜4及び13上での測定と同じ実験条件下で行ったが、表面処理及び滅菌は最初の測定の12週間よりも前に行った(Nunclon Delta(商標)*は最初の測定の1週間前に滅菌した)。図29は、表面改質プレート1〜4及び13は同様の親水性を有し、Nuclon Delta(商標)及びCellBIND(商標)表面よりも親水性が高い(水接触角がより小さい)ことを示している。表面改質プレート1〜4及び13の親水性は、表面処理及び滅菌後少なくとも12週間にわたって安定であった。
CellBIND(商標)は、接触角が13.4°であるものとして以前に記載されている(標準偏差=4°)[コーニング社技術報告書(2005)、Corning(登録商標名)CellBIND(登録商標名)表面:細胞付着性を向上させるための改良表面(An Improved Surface for Enhanced Cell Attachment)(CLS−AN−057 REV1)http://catalog2.corning.com/Lifesciences/media/pdf/t_CellBIND_Improved_Surface_CLS_AN_057.pdf]。
負電荷密度
表面改質プレート1〜4及び13、Nunclon Delta(商標)表面、CellBIND(商標)表面、Primaria(商標)表面、Falcon(商標)表面、並びに非処理(ただし滅菌した)ポリスチレン表面(いずれも3cm径の培養皿形式)上の負電荷の密度を調べた。3mLのクリスタルバイオレット水溶液(0.015%w/v)を各培養皿に入れ、培養皿を静かに震盪(50rpm)しながら室温で60分インキュベートした。表面に結合しなかったクリスタルバイオレットを除去するため、培養皿を3mLのMilliQ水で3回洗浄した後、60℃で一晩乾燥させた。表面に結合したクリスタルバイオレットは1.5mLの0.1M塩酸/エタノール溶液(99%)を加え、培養皿を静かに震盪しながら(50rpm)室温で2分間インキュベートすることによって脱着させた。脱着されたクリスタルバイオレットを含む塩酸/エタノール溶液の吸光度をEnVision2100マイクロプレートリーダー(Perkin Elmer;Waltham,MA,USA)を用いて590nmにて測定した。吸光度の値は塩酸/エタノール溶液のバックグラウンド吸光度に対して補正した。負電荷の密度を1つの表面につき3個の培養皿で測定し、吸光度の測定を各培養皿について3重に行った。
各表面改質プレートの負電荷密度を図30に示す。表面改質プレート1〜4及び13の負電荷密度は同様であったが、5〜60秒の間隔のより長い表面処理時間において表面の負電荷密度はより低くなる傾向が見られた。表面1〜4及び13はCellBIND(商標)表面及び2007年に処理したNunclon Delta(商標)表面よりも大幅に低い負電荷密度を有していた。表面1〜4及び13は、2005年に処理したNunclon Delta(商標)表面と同レベルの負電荷密度を有し、Primaria(商標)表面、Falcon(商標)表面、及び非処理(ただし滅菌した)ポリスチレン表面よりも大幅に高い負電荷密度を有していた。2007年に処理したNunclon Delta(商標)表面よりも2005年に処理したNunclon Delta(商標)の負電荷密度が低かったことは、表面処理したポリスチレンは時間の経過とともに負の帯電がやや弱くなることを示唆するものである。CellBIND(商標)の高レベルの負電荷密度は高い表面粗さ、したがって大きな表面積によるものではない(本実施例のAFM分析を参照)。
X線光電子分光法(XPS)
表面改質プレート1〜4及び13〜15、並びにNunclon Delta(商標)、Costar(商標)、Falcon(商標)、CellBIND(商標)及びPrimaria(商標)表面を有するプレートをXPS法を用いて分析した。各プレートから切片を切断し、これをステンレス鋼の試料ホルダー上にバネクリップにより装着することによってX線源に曝した。各試料にAl kα線(1486eV)を照射した。試料と分析機との間の角度を45°として分析を行った。スペクトルは機器の販売者であるPhysical Electronicsによって提供されるソフトウェアパッケージを使用してカーブフィットした。このソフトウェアは市販のMatlab(商標)ルーチンを利用してデータ処理を行うものである。分析で使用した機器はPhysical Electronicsモデル5400X腺光電子分光計である。各プレートの表面処理した部分の直径約1mmの領域において最も外側の深さ2〜5nmを、1つの表面につき2個のプレートのそれぞれで分析した。
原子%の単位で表わした表面の元素組成を表7に示す。表面改質プレートはすべて、炭素、酸素、及び窒素を表面に含有していた(水素はXPSでは検出されない)。表面1〜4、表面13及びCelBIND(商標)表面は分析を行った他の表面と比較してより多くの酸素を含有していた。表面1〜4及び表面13〜15はPrimaria(商標)よりも窒素含量は少なかったが、Nunclon Delta(商標)、Costar(商標)、Falcon(商標)、及びCellBIND(商標)プレートの表面よりも窒素含量は多かった。酸素及び窒素レベルはより長い表面処理時間と正の相関を示し(表面1〜4及び13)、これら両方の元素の最も高いレベルは、30秒又は60秒のコロナプラズマ処理を用いた場合に得られた(それぞれ表面3及び表面4)。表面3と4とは元素の組成が似ていた。表面2と13とは元素組成が似ており、その元素組成は表面1よりも表面3及び4により近かった。
文献に見られるような化学種のピーク幅及びエネルギー位置を用いることによって表面内の炭素の結合環境を特定及び定量化するため、C1sスペクトルピークをカーブフィットした(カイ二乗で最もよくフィットした)(表8)。濃度は、面積%に原子濃度を掛けることによって得られる原子%の単位で表わしたものである。表面2〜4及び13は炭素結合環境の観点から似ていた。C*−C−O−C−C*結合環境にある炭素の比率は、分析を行った他の表面よりも表面2〜4及び13において低かった。O−[C=O]−O結合環境にある炭素の比率は、分析を行った他の表面よりも表面2〜4及び13において高かった。表面2〜4及び13並びに表面1、CellBIND(商標)表面、並びに/又はPrimaria(商標)表面間の類似性も確認された。C−O−C又はC−NH3+結合環境(スペクトル内の同じエネルギー位置)にある炭素の比率は、分析を行った他の表面よりも表面1〜4及び13において高かった。C−O−C*=O結合環境にある炭素の比率は、分析を行った他の表面よりも表面2〜4、表面13、及びPrimaria(商標)表面において高かった。CO3−結合環境にある炭素の比率は、分析を行った他の表面よりも表面2〜4、表面13、及びCellBIND(商標)表面において高かった。C=O結合環境にある炭素の比率は、分析を行った他の表面よりも表面1〜4、表面13、及びCellBIND(商標)表面において高かった。C−[O]−C結合環境にある炭素の比率は、分析を行った他の表面よりも表面1〜4、表面13、CellBIND(商標)表面、及びPrimaria(商標)表面において高かった。芳香族Π→Π*遷移によりエネルギー損失ピークが生じたが、これは表面の芳香族性の指標である。
O1sスペクトルピークはほぼガウス分布にしたがい、カーブフィットすることはできなかった。文献に見られるような化学種のピーク幅及びエネルギー位置を用いることによって表面内の窒素の結合環境を特定及び定量化するため、N1sスペクトルピークをカーブフィットした(カイ二乗で最もよくフィットした)(表9)。濃度は、面積%に原子濃度を掛けることによって得られる原子%の単位で表わしたものである。Nunclon Delta(商標)、CellBIND(商標)、Costar(商標)、及びFalcon(商標)表面からのN1sシグナルは弱く、したがってこれらの表面で窒素の結合環境の特定を行うことは不可能であった。N1sスペクトルは表面改質プレート1〜4及び13では区別ができず、2つの代表的なN1sスペクトルのカーブフィッティングから得られたデータを示してある。−NH3 +結合環境にある窒素の比率は、表面14及び15並びにPrimaria(商標)表面よりも表面1〜4及び13において高かった。−NH2結合環境にある窒素は、表面14及び15並びにPrimaria(商標)表面においてのみ検出された。−NO2結合環境にある窒素は、表面1〜4及び13、並びに表面15の1つの試料においてのみ検出された。−NO3結合環境にある窒素は、表面15及びPrimaria(商標)表面においてのみ検出された。
CellBIND(商標)は、炭素70.4%、酸素29.0%、窒素0.6%、及び他の元素<0.01%の元素組成を有し、ESCAによって分析した場合に比較的高い濃度のC−[O]−C、C=O、及びCOOH/R基を有するものとして以前に記載されている[コーニング社技術報告書(2005)、Corning(登録商標)CellBIND(登録商標)表面:細胞付着性を向上させるための改良表面(An Improved Surface for Enhanced Cell Attachment)(CLS−AN−057 REV1)http://catalog2.corning.com/Lifesciences/media/pdf/t_CellBIND_Improved_Surface_CLS_AN_057.pdf]。
Primaria(商標)は、炭素74.6%、酸素14.1%、窒素11.1%及び他の元素0.2%の元素組成を有し、ESCAによって分析した場合に主としてニトリル(C≡N)及び尿素[HN(C=O)NH]の炭素−窒素結合環境を有するものとして以前に記載されている。
原子間力顕微鏡法(AFM)
表面改質プレート1〜4及び13、並びにNunclon Delta(商標)及びCellBIND(商標)表面を有するプレートをAFMを用いて分析した。試料は、Digital Instruments製マルチモード原子間力顕微鏡をタッピングモードで使用して分析した。使用した先端部はタッピングモード先端部(タイプTESP7)である。試料は両面粘着テープで試料ディスクに取り付けた。各プレートの表面処理した部分の10μm×10μm及び500nm×500nmの領域を分析した。ナノメートルの単位で表わした表面の平均粗さ(Ra)及び最大高さ(Rmax)を表10に示す。Nunclon Delta(商標)及びCellBIND(商標)表面を有するプレートと同様、表面改質プレート1〜4及び13は比較的平滑であり、Ra及びRmaxは2回の走査のいずれにおいても表面処理時間との相関は見られなかった。細胞培養を目的とした非処理のポリスチレン及び酸化ポリスチレン表面、並びにPrimaria(商標)表面の分析についてはShen及びHorbett(J.Biomed.Mater.Res.57:336〜345,2001)によって述べられている(3つの表面すべてで表面粗さは約4nm)。
(実施例18)
ヒトES細胞の付着及びコロニー形成に関連しての表面の元素組成及び接触角
表面の元素組成のXPS分析、表面接触角の測定、及びヒトES細胞の付着及びコロニー形成実験の結果の概要を表11に示す。
Rho又はRhoキナーゼの阻害能を有する化合物の非存在下での固体基質へのヒトES細胞の付着及び固体基質上でのコロニー形成(10cm2の表面につき少なくとも15個のコロニー)は、表面改質プレート2〜4及び13、CellBIND(商標)プレート、並びにPrimaria(商標)プレート上でのみ観察された(細胞は細胞の塊の懸濁液として各表面に供与された)。表面改質プレート2〜4及び13は細胞の付着、コロニー形成、及び継代を支持した。約3回の継代後、細胞の形態は細胞が分化していないことを示したが、表面改質プレート2〜4及び13上のヒトES細胞の増殖速度は自然に低下した(Rho阻害及びRhoキナーゼ阻害の非存在下においてのみ)。更に、多能性マーカーの発現は表面3上で4回継代した細胞で維持された。CellBIND(商標)プレートは、ヒトES細胞の付着及びコロニー形成を支持したが、細胞の分化は最初の継代の前に観察された。細胞の形態観察に基づけば、Primaria(商標)プレートは分化の兆候なしでヒトES細胞の付着及びコロニー形成を支持した(継代は試験しなかった)。表面の酸素(例えば表面14に対する表面2)及び窒素(例えばCostar(商標)に対するPrimaria(商標)、及びCellBIND(商標)に対する表面2及び13)含量は、いずれも、Rho阻害及びRhoキナーゼ阻害の非存在下でヒトES細胞の付着及びコロニー形成を支持する各表面の能力に影響を与えた。窒素含量が少なくとも約0.9%であり、酸素と窒素の含量の合計が少なくとも約22.3%であり、水接触角が少なくとも約13.9°である表面は、Rho阻害又はRhoキナーゼ阻害の非存在下でヒトES細胞の付着及びコロニー形成を支持した。
Rho又はRhoキナーゼ阻害能を有する化合物の存在下での固体基質上へのヒトES細胞の付着及びコロニー形成(10cm2の表面につき少なくとも15個のコロニー)は、表面改質プレート1〜15、表面改質プレート19、表面改質プレート33、表面改質プレート34、CellBIND(商標)及びPrimaria(商標)上で観察された(細胞は細胞の塊の懸濁液として各表面に供与された)。我々は、ヒトES細胞の付着及びコロニー形成を促進するうえで、表面2〜4及び13並びにPrimaria(商標)が表面1、19、33及び34並びにCellBIND(商標)よりも良好であり、表面1、19、33及び34並びにCellBIND(商標)は更に表面5〜12、14及び15よりも良好であることを認めた。表面改質プレート3及び4上でかつRhoキナーゼ阻害剤の存在下では、ヒトES細胞は付着して、増殖して少なくとも10回継代可能なコロニーを形成し、正常な核型を有する多能性細胞を生じた(核型は表面4上で増殖した細胞でのみ試験した)。表面の酸素(例えばNunclon Delta(商標)に対するCellBIND(商標))及び窒素(例えばCostar(商標)に対するPrimaria(商標)、及びCellBIND(商標)に対する表面2及び13)含量は、いずれも、Rhoキナーゼ阻害の存在下でヒトES細胞の付着及びコロニー形成を支持する各表面の能力に影響を与えた。窒素含量が少なくとも約0.5%であり、酸素と窒素の含量の合計が少なくとも約17.2%であり、水接触角が少なくとも約13.9°である表面は、Rhoキナーゼ阻害の存在下でヒトES細胞の付着及びコロニー形成を支持した。窒素含量が少なくとも約0.5%であり、酸素と窒素の含量の合計が少なくとも約17.3%であるが19.9%未満であり、水接触角が少なくとも約9.4°である表面は、ある場合(表面14)にはRhoキナーゼ阻害の存在下でヒトES細胞の付着及びコロニー形成を支持し、他の場合(表面22〜24)には支持しなかった。
我々は、表面改質プレート4上で培養したヒトES細胞培養からRhoキナーゼ阻害剤を除去すると、固体基質の表面からヒトES細胞が分離することを認めた。この後、細胞をRhoキナーゼ阻害剤で再処理することによって表面に再付着させることができた。ヒトES細胞の酵素的継代は潜在的なストレス因子であって、核型の不安定性をもたらしうることを考慮すると、ヒトES細胞を継代するためにRhoキナーゼ阻害剤を一時的に除去することによって酵素的継代のストレスをなくすことが可能である。
ヒトES細胞の付着及びコロニー形成を、無動物由来成分培地、Rhoキナーゼ阻害、及び表面改質プレート4を用いて更に実証した。表面改質プレート4を細胞外マトリクスタンパク質で前処理することにより、より多くのコロニーが形成されたが、これはRhoキナーゼ阻害の存在下においてのみ見られた。
細胞を塊として継代することによってコロニー状態の培養条件を維持する酵素的方法によってヒトES細胞を継代する以外にも、ヒトES細胞は、TrypLE(商標)又はAccutase(商標)のような酵素を使用して単一細胞として継代することも可能である。Rhoキナーゼ阻害剤の存在下又は非存在下では、ヒトES細胞のコロニーは表面改質プレート3及び4に付着させたTrypLE(商標)を用いることで単一細胞の懸濁液中に解離し、少なくとも5回継代することが可能な、多能性マーカーを有する細胞を生ずるコロニーを形成した。
単一細胞の懸濁液として継代することによって調製したヒトES細胞培養からRhoキナーゼ阻害剤を除去することによって、固体基質の表面からヒトES細胞が剥離することはなかったが、Rhoキナーゼ阻害剤を除去しなかった場合よりも増殖の速いコロニーが生じた。
(実施例19)
Y−27632による処理は表面改質プレートへのHEK293細胞の付着を促進する。
ヒト胚性腎細胞293(HEK293、ECACC番号:85120602)を、10%ウシ胎児血清(FBS、Lonza)を含んだイーグル最小必須培地(EMEM、Lonza,Verviers,Belgium)中で維持した。細胞は、血清添加EMEM及びPro293a−CDM培地を3:1、1:1、1:3、1:7及び最後に0:1の連続した比で使用して徐々に数回の継代を行うことによって、接着性HEK293の培養に最適化された化学合成無血清培地であるPro293a−CDM培地(Lonza)に適合させた。細胞の維持及び適合のため、HEK293細胞をNunclon Delta(商標)表面(Thermo Fisher Scientific,Roskilde,Denmark)を有する75cm2のフラスコ中に2.0×104細胞/cm2の密度で播種し、70〜80%コンフルエンスでトリプシン/EDTAを用いて解離させて継代した。
1.0、4.0又は10μMの濃度でY−27632(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)を添加したPro293a−CDM培地(100μl)を、表面4、Nunclon Delta(商標)表面、又はCellBIND(商標)表面を有する平底の96ウェルプレート中に分配した。更に100μlのPro293a−CDM培地をHEK細胞とともに各ウェルに加えた(4.0×104細胞/cm2)。次いで培養を空気中5%CO2の加湿雰囲気中、37℃で(i)96時間、又は(ii)48時間インキュベートした後、培養を200μlのダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS、Lonza)で1回洗い、次いでY−27632を加えない200μlのPro293a−CDM培地を加え、最後に培養を更に48時間インキュベートした。
次いでウェル内の生存細胞の数を、Roche,Switzerlandより販売される乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性キットを使用して調べた。簡単に述べると、各ウェルをPro293a−CDM培地で洗い、接着細胞を2%(v/v)Triton X−100(Sigma Chemical Co.)を含む100μlのDPBS中で37℃で30分のインキュベーションの間に溶解した。溶解物及び100μl触媒及び色素試薬混合物を混合し、25℃で30分、暗所でインキュベートした。50μlの1.0M塩酸を加えることによって反応を停止させ、490nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(Genios Pro;Tecan,Austria)で測定した。これらの試料及び既知の数の細胞からのLDHを含む標準溶液から得られたA490の値を用いて細胞の数を計算した。
Pro293a−CDM培地中でのHEK293細胞の付着及び増殖に対する各固体基質表面及びY−27632の影響を図31aに示す。図中、Y−27632に96時間継続的に曝露した場合を「Y−27632 96時間オン」として示し、Y−27632への48時間の継続的な曝露の後、培地を換えてY−27632の非存在下で48時間インキュベートした場合を「Y−27632 48時間オン/48時間オフ」として示している。Y−27632の非存在下では、HEK293細胞は3つの表面のすべてに付着した。48時間のインキュベーション後に培地を交換することによって、96時間のインキュベーション後に測定された培養中の細胞の数は大幅に減少した。Y−27632は、2.0及び5.0μMの濃度で加えられた場合に表面4及びCellBIND(商標)表面上へのHEK293細胞の付着を促進した。48時間のインキュベーション後にY−27632を除去すると3つの表面のすべてから細胞が顕著に剥離した。
1cm2当たり2.0×104個の適合していないHEK293細胞及び全体を通じて10%FBSを添加したEMEMを使用した以外は同様の実験を行った。10%FBSを添加したEMEM中でのHEK293細胞の付着及び増殖に対する各固体基質表面及びY−27632の影響を図31bに示す。図中、Y−27632に96時間継続的に曝露した場合を「Y−27632 96時間オン」として示し、Y−27632への48時間の継続的な曝露の後、培地を換えてY−27632の非存在下で48時間インキュベートした場合を「Y−27632 48時間オン/48時間オフ」として示している。Y−27632の非存在下では、HEK293細胞は3つの表面のすべてに付着した。48時間のインキュベーション後に培地を交換することによって、96時間のインキュベーション後に測定された培養中の細胞の数は大幅に減少した。Y−27632は、2.0及び5.0μMの濃度で加えられた場合に表面4及びCellBIND(商標)表面上へのHEK293細胞の付着を促進した。48時間のインキュベーションの後にY−27632を除去すると、表面4及びCellBIND(商標)から細胞が顕著に剥離した。
(実施例20)
Y−27632及びH−1152による処理は、表面改質プレート上でのHEK293細胞の増殖を促進する。
HEK293細胞を、10%FBS(Lonza)を含むEMEM(Lonza)中で維持した。細胞を、70〜80%コンフルエンスでトリプシン/EDTAを用いて解離させて継代し、Nunclon Delta(商標)表面(Thermo Fisher Scientific,Roskilde,Denmark)を有する75cm2のフラスコ中に2.0×104細胞/cm2の密度で播種した。
1.0、5.0、10、15又は20μMのY−27632(Sigma Chemical Co.)、又は0.4、1.2、1.6、2.4又は2.8μMのH−1152(Calbiochem、EMD Chemicals Inc.,Darmstadt,Germany)を含む、10%FBSを添加したEMEM(500μl)を、表面4又は非処理(ただしγ線(25kGy)照射した)ポリスチレン表面のいずれかを有するマルチディッシュ24ウェルプレートに分配した。10%FBSを添加し、HEK293細胞を含む更に500μlのEMEMを各ウェルに加えた(2.0×104細胞/cm2)。培養をIncuCyte(商標)Plus(Essen Instruments,Michigan,USA)に入れ、空気中5%CO2の加湿雰囲気中、37℃でインキュベートした。IncuCyte(商標)Plusは、CO2インキュベーターの内部に収まるように構成され、使用者によって定められる時間に使用者によって定められる培養中の位置において細胞の位相差画像を取得することによって動的かつ非侵襲的な生きた細胞の画像を与えるように設計された自動画像化プラットフォームである。この装置の主たる測定基準は培養のコンフルエンス、すなわち細胞によって覆われた表面の割合である。HEK293細胞を、操作を行わずに72時間インキュベートし、3重の培養の9箇所の位置において2時間ごとに画像を取得した。培養のコンフルエンスをIncuCyte(商標)Plusソフトウェア(v.3.4.1.25966)を使用して求めた。
Y−27632及びH−1152の濃度を増大させると、表面4上のHEK293細胞の付着及び増殖が促進された(図32a)。HEK293の付着及び増殖に対する非処理の細胞培養表面及びY−27632又はH−1152の影響を図32bに示す。HEK293細胞の増殖及び付着は10μMのY−27632及び0.6〜1.2μMのH−1152の存在下でわずかに促進された。しかしながら、非処理の細胞培養表面上でのHEK293細胞の増殖及び付着の促進は、表面4と比較してわずかであった。
(実施例21)
H−1152による処理は表面改質プレートへのHEK293細胞の増殖及び付着を促進する。
HEK293細胞を、10%FBS(Lonza)を含むEMEM(Lonza)中で維持した。細胞を、70〜80%コンフルエンスでトリプシン/EDTAを用いて解離させて継代し、Nunclon Delta(商標)表面(Thermo Fisher Scientific,Roskilde,Denmark)を有する75cm2のフラスコ中に2.0×104細胞/cm2の密度で播種した。
0.4、0.8、1.2、1.6、2.0、2.4又は2.8μMのH−1152を含む、10%FBSを添加したEMEM(1.0mL)を、表面4を有するマルチディッシュ12ウェルプレートに分配した。10%FBSを添加し、HEK293細胞を含む更に1.0mLのEMEMを各ウェルに加えた(4.0×104細胞/cm2)。培養を、IncuCyte(商標)Plusに入れ、空気中5%CO2の加湿雰囲気中、37℃で42時間インキュベートした(画像は6時間ごとに取得した)。この後、1mLの培地をピペットで取り、0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、1.2及び1.4μMのH−1152を含む、10%FBSを添加した1.0mLのEMEMを加えた。培養を再びIncuCyte(商標)Plusに入れ、画像をその後25時間にわたって毎時間取得した。画像は3重の培養の9箇所の位置において取得し、培養のコンフルエンスをIncuCyte(商標)Plusソフトウェアを使用して求めた。H−1152(0.6μM)の非存在下又は存在下で増殖させたHEK293細胞の培養の特定の位置において取得されたIncuCyte(商標)Plusからの画像を読み出し、位相差顕微鏡写真として示すことによって以下の時点におけるHEK293培養の形態を比較した。すなわち、インキュベートの開始時(0時間)、培地交換の直前(42時間)、培地交換の1時間後(43時間)、及び最後に52時間のインキュベーション後。
H−1152の非存在下及び0.2μM又は0.4μMのH−1152の存在下では、42時間のインキュベーション後に培地の50%を交換することによって培養のコンフルエンスが大幅に減少した(図33a)。0.6μM、0.8μM又は1.4μMのH−1152の存在下では、培地の交換の影響は最小に留まった。H−1152の存在下で表面4上で増殖させたHEK293細胞は、H−1152の非存在下で表面4上で増殖させたHEK293細胞よりも均一に固体基質表面を覆った(図33b)。H−1152の非存在下では、HEK293細胞は大きな塊を形成したのに対して、H−1152の存在下ではHEK293細胞は細胞密度の低い小さな塊を形成した。
(実施例22)
Y−27632による処理は、表面改質プレート上で3回の継代にわたってHEK293細胞の増殖を促進する。
5.0μMのY−27632を含む、10%のFBSを添加したEMEM(500μl)を表面4又はNunclon Delta(商標)表面を有するマルチディッシュ24ウェルプレートのウェルに分配した。10%FBSを添加し、HEK293細胞を含む更に500μlのEMEMを各ウェルに加え(2.0×104細胞/cm2)、培地を空気中5%CO2の加湿雰囲気中37℃で3日間インキュベートした。細胞をトリプシン/EDTA(Lonza,Verviers,Belgium)で2分間、37℃で処理することによって継代し、NucleoCount細胞カウンター(Chemometec A/S,Allerod,Denmark)を使用して全細胞数を求めた。その後の継代では、HEK293細胞を2.0×104細胞/cm2の密度で播種した。表面4及びNunclon Delta(商標)表面上でのHEK293細胞の増殖は、2.5μMのY−27632の存在によって促進された(図34)。
(実施例23)
細胞外マトリクスタンパク質/成分及びフィーダー細胞を欠いた表面改質プレート4、18、及び19を用いたヒト胚性幹細胞の付着、培養及び維持
1:30のMATRIGELでコーティングしたプラスチック容器上、8ng/mLのbFGFを添加したMEF調整培地中で維持した継代数42のH1 hES細胞をLIBERASE(商標)酵素処理によって浮かせ、8ng/mLのbFGFを添加したMEF調整培地中、1:2の希釈率で表面改質された96ウェル形式のプレートに播種した。細胞は改質表面4、18若しくは19、又はPrimaria(商標)上に播種した。改質表面への結合に対するRhoキナーゼ阻害の影響を調べるため、10μMのRhoキナーゼ阻害剤Y−27632、又は3μM若しくは10μMのRhoキナーゼ阻害剤H−1152グリシルのいずれかで細胞を処理した。非処理の細胞をコントロールとした。24時間の培養後、各ウェルを吸引し、細胞を乾燥して、各ウェルをクリスタルバイオレットで染色した。
我々は、24時間の培養後、表面改質プレート4及び19並びにPrimaria(商標)プレート上でRhoキナーゼ阻害剤により処理した場合にES細胞のコロニーが付着及び増殖するが、同じ効果は表面改質プレート18では認められないことを観察した(図35)。
(実施例24)
細胞外マトリクスタンパク質/成分及びフィーダー細胞を欠いた表面改質プレート30、31、32、33及び34を用いたヒト胚性幹細胞の付着、培養及び維持
1:30のMATRIGELでコーティングしたプラスチック容器上、8ng/mLのbFGFを添加したMEF調整培地中で維持した継代数47のH1 hES細胞をTrypLE(商標)酵素処理によって浮かせ、8ng/mLのbFGFを添加したMEF調整培地中、1:3の希釈率で表面改質された96ウェル形式のプレートに播種した。細胞は改質表面30、31、32、33又は34に播種した。改質表面への結合に対するRhoキナーゼ阻害の影響を調べるため、3μMのRhoキナーゼ阻害剤H−1152グリシルで細胞を処理した。非処理の細胞をコントロールとした。更に、細胞を、Matrigel(商標)で前処理した表面改質プレートのウェルに播種した。播種24時間後、培地を8ng/mLのbFGFを添加した新鮮なMEF調整培地に交換し、Rhoキナーゼ阻害剤の存在下で播種した細胞については培地に3μMのH−1152グリシルを添加した。48時間の培養後、各ウェルを吸引し、細胞を乾燥して、各ウェルをクリスタルバイオレットで染色した。
我々は、48時間の培養後、表面改質プレート33及び34上でRhoキナーゼ阻害剤により処理した場合にES細胞のコロニーが付着及び増殖するが(それぞれ図39及び40)、同じ効果は表面改質プレート30、31又は32では認められないことを観察した(それぞれ図36〜40)。
(実施例25)
細胞外マトリクスタンパク質/成分及びフィーダー細胞を欠いた表面改質プレート22、23、24又は29を用いたヒト胚性幹細胞の付着、培養及び維持
1:30のMATRIGELでコーティングしたプラスチック容器上、8ng/mLのbFGFを添加したMEF調整培地中で維持した継代数46のH1 hES細胞をLiberase(商標)酵素処理によって浮かせ、8ng/mLのbFGFを添加したMEF調整培地中、1:3の希釈率で表面改質された60mm径の培養皿に播種した。細胞は表面改質プレート3、4、22、23、24及び29に播種した。改質表面への結合に対するRhoキナーゼ阻害の影響を調べるため、3μMのRhoキナーゼ阻害剤H−1152グリシルで細胞を処理することによって細胞を播種した。細胞の播種24時間後に、8ng/mLのbFGF及び1μMのRhoキナーゼ阻害剤H−1152グリシルを添加した新鮮なMEF調整培地に培地を交換した。改質表面3、4又はmatrigel(商標)コーティングしたプラスチックに播種された細胞をコントロールとした。各プレートを播種24時間及び48時間後に位相差顕微鏡によって観察した。我々は、48時間の培養後、Rhoキナーゼ阻害剤の存在下又は非存在下で播種したES細胞のコロニーは、表面改質プレート22、23、24又は29に付着しなかったが、Rhoキナーゼ阻害剤の存在下で表面改質プレート3又は4に播種した細胞は付着して増殖したことを観察した。
(実施例26)
本発明の表面改質プレートの更なる表面特性評価
水接触角
表面改質プレート1〜4及び13を個別にプラスチックバッグに入れ、滅菌し、40週間の試験期間全体を通じて室温で保存した。接触角を表面処理及び滅菌の1週間後に最初に測定し、図41に示した各時点で再び測定した。すべての接触角の測定は実施例17で述べたのと同様にして行った。Nuclon Delta(商標)及びCellBIND(商標)表面上での測定は、表面1〜4及び13上での測定と同じ実験条件下で行ったが、表面処理及び滅菌は最初の測定の12週間よりも前に行った(Nuclon Delta(商標)*は最初の測定の1週間前に滅菌した)。図41は、表面改質プレート1〜4及び13は同様の親水性を有し、Nuclon Delta(商標)及びCellBIND(商標)表面よりも親水性が高い(水接触角がより小さい)ことを示している。表面改質プレート1〜4及び13の親水性は、表面処理及び滅菌後少なくとも41週間にわたって安定であった。
接触角を表面改質プレート5〜12、22〜24、29、30及び33上でも測定した。表面改質プレート5〜12、22〜24、29、30及び33はプラスチックバッグに入れ、実施例16で述べたのと同様にして滅菌し、室温で9週間保存した(28週間保存した表面改質プレート29を除く)。表面改質プレート18、19、32及び34は単一マイクロウェル形式のものであり、したがって接触角の測定に使用することはできなかった。表面改質プレート30及び33はマイクロウェルプレート形式のものであり、接触角の測定はウェルの内部ではなく、プレートの裏面で行った。接触角は実施例17で述べたのと同様にして測定した(親水性の高い表面改質プレート29については2.5μlのMilliQ水のより小さな液滴を付着させた)が、3重の試料を分析し、各試料について7滴を付着させた。Costar(商標)、Falcon(商標)、Primaria(商標)及びNunclon Delta(商標)表面を有するプレート上での測定は同様の実験条件下で行ったが、表面処理及び滅菌は最初の測定の12週間よりも前に行った。図42は、表面改質プレート5〜12は、Nunclon Delta(商標)、Costar(商標)及びFalcon(商標)表面よりも親水性が高い(水接触角がより小さい)ことを示している。表面5〜12の親水性は、Primaria(商標)表面の親水性と同等であり、表面1〜4及び13の親水性よりも高かった(図41に示す)。表面改質プレート22〜24及び33の親水性が表面1〜4及び13の親水性と同等であった(図41に示す)のに対して、表面30の親水性は、Nunclon Delta(商標)、Costar(商標)及びFalcon(商標)表面の親水性と同等であった。表面改質プレート29は、分析を行った他の表面よりも大幅に親水性が高かった。
負電荷密度
表面改質プレート5〜12(いずれも5cm径の培養皿形式)、18、19、30、32、33及び34(いずれもマイクロウェル形式)、表面改質プレート22〜24及び29(いずれも6cm径の培養皿形式)、並びにCellBIND(商標)表面(3cm径の培養皿形式)、Primaria(商標)表面(マルチディッシュ6形式)並びにNunclon Delta(商標)表面(3cm径の培養皿形式)上の負電荷の密度を調べた。過剰量のクリスタルバイオレット水溶液(0.015%w/v)を各形式に入れ(培養皿形式では0.34mL/cm2、及びマイクロウェル形式では0.13mL/cm2)、静かに震盪(50rpm)しながら室温で60分インキュベートした。表面に結合しなかったクリスタルバイオレットを除去するため、培養皿形式については培養皿を3mLのMilliQ水で3回洗浄し、マイクロウェル形式では350μlのMilliQ水で3回洗浄してから、60℃で一晩乾燥させた。表面に結合したクリスタルバイオレットは、0.17mL/cm2の0.1M塩酸/エタノール溶液(99%)を加え、培養皿を静かに震盪しながら(50rpm)室温で2分間インキュベートすることによって脱着させた。脱着されたクリスタルバイオレットを含む塩酸/エタノール溶液の吸光度をEnVision 2100マイクロプレートリーダー(Perkin Elmer;Waltham,MA,USA)を用いて590nmにて測定した。吸光度の値は塩酸/エタノール溶液のバックグラウンド吸光度に対して補正した。負電荷密度を、表面改質プレート5〜12、22〜24、29、CellBIND(商標)、Primaria(商標)、及びNunclon Delta(商標)について3個の培養皿で測定し、吸光度の測定を各培養皿について3重に行った。表面改質プレート18、19、30、32、33及び34については、1つの試料に3重の測定を行って試験した。
表面改質プレート5〜12の負電荷密度は同様であり、これらの表面はCellBIND(商標)表面及びNunclon Delta(商標)表面よりも大幅に低い負電荷密度を有したが、Primaria(商標)表面よりは大幅に高い負電荷密度を有していた(図43)。表面改質プレート19、33及び34の負電荷密度は、それぞれ同じポリマー材料の非処理表面である表面改質プレート18、30及び32の負電荷密度よりも大幅に高かった。表面改質プレート22〜24及び29の負電荷密度はNunclon Delta(商標)表面の負電荷密度に対して標準化したものであり、図44は、表面改質プレート22〜24がNunclon Delta(商標)表面よりも高い負電荷密度を有していたのに対して、表面改質プレート29の負電荷密度はNunclon Delta(商標)表面(及び表面4)の負電荷密度よりも大幅に低かったことを示している。
X線光電子分光法(XPS)
表面改質プレート5〜12、18、19、22〜24、29、30、31〜34を実施例17で述べたのと同様にしてXPSを用いて分析した。原子%の単位で表わした表面の元素組成を表12に示す。窒素を含有していなかった表面改質プレート31及び32(プラズマ処理していない)を除き、すべての表面が炭素、酸素、及び窒素を含有していた(水素はXPSでは検出されない)。表面改質プレート5〜12の酸素含量は表面改質プレート1〜4及び13よりも小さかったが、Costar(商標)、Falcon(商標)、及びNunclon Delta(商標)表面よりも大幅に大きかった(表7に示す)。表面改質プレート5〜12はマイクロ波プラズマ処理によって作製したものであるのに対して、表面改質プレート1〜4及び13はコロナプラズマ処理によって作製したものである。コロナプラズマ処理によって作製したが(表面改質プレート1〜4及び13の作製に用いた)ポリスチレン以外のポリマーから射出成形された表面改質プレート19、33及び34の酸素含量は、表面改質プレート1〜4及び13の酸素含量と同等であった。表面改質プレート22〜24の酸素含量は、表面改質プレート1〜4及び13よりも小さかった。表面改質プレート29の酸素含量は表面改質プレート1〜4及び13と同等であった。表面改質プレート5〜12、19、33及び34の窒素含量は表面改質プレート1〜4及び13よりも小さかったが、Costar(商標)、Falcon(商標)、及びNunclon Delta(商標)表面よりも大きかった(表7に示す)。表面改質プレート29の窒素含量は、Primaria(商標)表面を含む分析を行った他の表面よりも大幅に大きかった。
文献に見られるような化学種のピーク幅及びエネルギー位置を用いることによって表面改質プレート中の炭素の結合環境を特定及び定量化するため、C1sスペクトルピークをカーブフィットした(カイ二乗で最もよくフィットした)(表13)。濃度は、面積%に原子濃度を掛けることによって得られる原子%の単位で表わしたものである。表面10、22〜24及び29を除くすべてのプラズマ処理表面は、炭素の結合環境の点で似ていた。C−[O]−Cにある炭素の比率は、表面5〜12、18、30及び32並びに表面1〜4及び13よりも表面19、33及び34において大幅に高かった(表8に示す)。O−[C=O]−O結合環境にある炭素の比率は、表面1〜4及び13よりも表面5〜12、19、33及び34において低かった。C*−C−O−C−C*にある炭素の比率は、表面5〜9、11、12、19、33及び34において表面1〜4及び13よりも大幅に高かったが、Nunclon Delta(商標)及びCellBIND(商標)表面と同等であった。C−O−C又はC−NH3 +結合環境(スペクトルの同じエネルギーの位置)にある炭素の比率は、表面5〜12、19、33及び34において表面1〜4及び13よりも低かったが、Costar(商標)、Falcon(商標)、CellBIND(商標)、及びPrimaria(商標)表面よりも高かった。C−O−C*=O結合環境にある炭素の比率は、表面19、33及び34において表面5〜12よりも高かったが、表面1〜4及び13におけるレベルと同等であった。C=O結合環境にある炭素の比率は、表面5〜12において表面19、33及び34よりも高かったが、表面1〜4及び13よりも低かった。CO3 -結合環境にある炭素の比率は、表面5〜12において表面19、33及び34よりも高く、表面1〜4及び13におけるレベルと同等であった。表面22〜24は、炭素結合環境の点で似ていた。表面22〜24では、C−[O]−C、O−[C=O]−O、C−O−C又はC−NH3 +、C−O−C*=O及びC=Oにある炭素の比率は、表面1〜4及び13におけるよりも大幅に低かった。CO3 -及びC*−C−O−C−C*結合環境にある炭素の比率は、表面22〜24において表面1〜4及び13よりも高かった。表面29の炭素の結合環境は、他のすべてのプラズマ処理表面の炭素の結合環境と異なっていた。C−[O]−Cにある炭素の比率は表面1〜4及び13と同等であった。O−[C=O]−O、CO3 -及びC*−C−O−C−C*結合環境にある炭素の比率は、表面29において表面1〜4及び13よりも低かった。C−O−C又はC−NH3 +、C−O−C*=O及びC=O結合環境にある炭素の比率は、表面29において表面1〜4及び13よりも高かった。芳香族Π→Π*遷移によりエネルギー損失ピークが生じたが、これは表面の芳香族性の指標である。
O1sスペクトルピークはほぼガウス分布にしたがい、カーブフィットすることはできなかった。文献に見られるような化学種のピーク幅及びエネルギー位置を用いることによって表面内の窒素の結合環境を特定及び定量化するため、N1sスペクトルピークをカーブフィットした(カイ二乗で最もよくフィットした)(表14)。濃度は、面積%に原子濃度を掛けることによって得られる原子%の単位で表わしたものである。表面9を除くすべての表面において−NH3 +結合環境にある窒素の比率は、表面1〜4及び13におけるよりも低かった。表面5〜12、19、33及び34の−NH2結合環境にある窒素はばらつきがあったが、表面1〜4及び13におけるよりも高かった。表面5〜12、19、33及び34の−NO2結合環境にある窒素はばらつきがあったが、表面1〜4及び13におけるよりも低かった。表面5〜12、19、33及び34の−NO3結合環境にある窒素はばらつきがあったが、表面1〜4及び13におけるよりも高かった。表面22〜24及び29の窒素の結合環境は他のプラズマ処理表面と異なっていた。表面22〜24及び29の−NH2結合環境にある窒素の比率はばらつきがあったが、表面1〜4及び13におけるよりも大幅に高かった。−NO2結合環境にある窒素の比率は、表面22〜24及び29で表面1〜4及び13におけるよりも低かった。O=C−N−C=O結合環境にある窒素の比率は、表面22〜24及び29、並びに表面1〜4及び13において同等であった。
この文書の全体を通じて引用された刊行物は、その全体を参照により本明細書に援用するものである。以上、本発明の様々な態様を、実施例及び好ましい実施形態を参照して説明したが、本発明の範囲は上記の記載によってではなく、特許法の原則の下で適宜解釈される以下の特許請求の範囲によって定義されることは理解されるであろう。
Figure 0005733986
Figure 0005733986
Figure 0005733986
Figure 0005733986
RIに曝露:96時間培養のY−27632の濃度(μM)
Figure 0005733986
Figure 0005733986
*γ線照射による滅菌を行わなかった
Figure 0005733986
*他の元素は0.4%の濃度で検出された。
Figure 0005733986
*官能基は1つの試料においてのみ特定された。
Figure 0005733986
*N1sスペクトルは表面改質プレート1〜4及び13では区別がつかず、2つの代表的なN1sスペクトルのカーブフィッティングから得られたデータを示してある。
**官能基は1つの試料においてのみ特定された。
Figure 0005733986
Figure 0005733986
「−」は、10cm2につき15個未満のコロニー形成を意味する。
「+」、「++」、及び「+++」は、それぞれ、一部(10cm2につき15個以上のコロニー)、それよりも多い、及び最も多いヒトES細胞の付着及びコロニー形成を意味する。
「RI」は、Rhoキナーゼ阻害剤、「ND」は実験が行われなかったことを意味する。
「PS」はポリスチレンを意味し、「PC」はポリカーボネートを意味し、「PS/PC」はポリスチレンとポリカーボネートの配合物を意味し、「COC」は環状オレフィンコポリマーを意味し、「CP」はコロナプラズマを意味し、「MP」はマイクロ波プラズマを意味する。
*ヒトES細胞は付着し、約3回継代可能なコロニーに増殖した(その後増殖速度は自然に低下した)。
**ヒトES細胞は付着し、最初の継代前に自然に分化するコロニーに増殖した。
***ヒトES細胞は付着し、コロニーに増殖した(継代は試験しなかった)。
****分析に使用可能な試料は1つのみであった。
Figure 0005733986
*プラズマ処理を行わなかった。
**他の元素は0.2〜2.0%の濃度で検出された。
Figure 0005733986
*プラズマ処理を行わなかった。
Figure 0005733986
*プラズマ処理を行わなかった。
**ND:分析を行ったが検出されなかった。

Claims (8)

  1. 少なくとも1.3%の窒素を含有し、酸素と窒素の合計量が24.9%以上であり、接触角が少なくとも20.7°であり、フィーダー細胞層を欠く表面への細胞の付着を促進するための方法であって、
    a.前記細胞の懸濁液を得る工程と、
    b.前記細胞の懸濁液を、Rhoキナーゼ活性の阻害能を有する化合物、及びRho活性の阻害能を有する化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物で処理する工程と、
    c.前記細胞の懸濁液を前記表面に加えて前記細胞を付着させる工程と、を含む方法。
  2. 前記表面が吸着層を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記表面に前記細胞が付着した後に前記細胞が培養中に維持される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記細胞が前記表面に付着した後に前記少なくとも1つの化合物が除去される、請求項3に記載の方法。
  5. 前記少なくとも1つの化合物を除去することによって前記細胞が前記表面から剥離される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記細胞の懸濁液が細胞の塊の懸濁液である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記細胞の懸濁液が単一細胞の懸濁液である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記表面が容器又はマトリクスの一部である、請求項1に記載の方法。
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