JP2005537803A - Cd56陽性ヒト成体膵臓内分泌前駆細胞 - Google Patents

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Abstract

本発明は、インスリン産生細胞へ、またはインスリン産生細胞凝集物へ分化する傾向が強い膵臓幹細胞の固有のサブセットの選択を可能にする、選択的細胞表面マーカーの発見に関する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、参照として本明細書に組み入れられている、米国仮特許出願第60/409,310号;2002年9月6日出願の恩典を主張する。
発明の分野
本発明は、インスリン産生細胞またはインスリン産生細胞凝集物へ分化する傾向が強い膵臓幹細胞の固有サブセットの選択を可能にする選択的細胞表面マーカーの発見に関する。
発明の背景
成体膵島細胞を培養する試みにおいて、膵臓β細胞への分化および増殖の能力がある膵臓前駆細胞を単離することが、長い間、目標であった。膵臓前駆細胞の単離における1つの重要な段階は、前駆細胞に特異的な、認識できる細胞マーカーを同定することであるように思われる。細胞内および細胞外の両方のマーカーがこの目的のために調べられた。
いったん同定されれば、細胞外マーカーは、マーカーを発現させる細胞が無菌条件下で選別され、生きたままそれらの研究を続けることができるという利点を提供する。Ep-CAMおよびインテグリンのような上皮細胞接着分子は、膵島前駆体マーカーとして調べられた。例えば、Cirulliら、J. Cell Biol. 140:1519-1534 (1998);およびCirulliら、J. Cell Biol. 150:1445-1460 (2000)を参照。これらのマーカーにより選択された細胞は、PDX-1のような転写因子を発現することが示され、それらが、膵臓発生における細胞系譜に属することを示している。しかしながら、それらの細胞は、インスリンのような内分泌ホルモンを産生することができることは示されなかった。同典拠。
細胞内マーカー、特に成熟島細胞へと発生する胚性細胞由来のもの、は前駆体マーカーとして広く研究されてきた。例えば、PDX-1、Ngn3およびHlxb9のような転写因子が研究されてきた。それらは、膵臓内分泌細胞になるように胚発生の間にプログラムされる細胞に発現される。しかしながら、これらの細胞内マーカーは、それらのマーカーの発現の分析が、細胞の殺害かまたは細胞へのレポーター遺伝子の遺伝子操作による細胞の永久的改変かのいずれかを必要とするため、前駆細胞を選択するにおいて、細胞外マーカーより実用的価値は少ない。
このように、ヒト成体膵臓内分泌前駆細胞の同定および選択を可能にする細胞外マーカーを同定する大きな必要性がある。本発明はこれを始めとする問題を解決する。
発明の簡単な概要
本発明は、インスリン産生膵臓β細胞の前駆体を含む増殖性膵臓細胞の細胞培養物を提供する。細胞の少なくとも50%は、細胞表面マーカーとしてCD56分子を示し、かつ1:1未満のインスリン:アクチンのmRNA比率をもつ。一つの態様において、細胞の少なくとも70%は、細胞表面マーカーとしてCD56分子を示し、かつ1:1未満のインスリン:アクチンのmRNA比率をもつ。さらなる態様において、細胞の少なくとも70%は、細胞表面マーカーとしてCD56分子を示し、かつ1:100未満のインスリン:アクチンのmRNA比率をもつ。もう一つの態様において、細胞の少なくとも90%は、細胞表面マーカーとしてCD56分子を示し、かつ1:100未満のインスリン:アクチンのmRNA比率をもつ。本発明はまた、増殖性膵臓前駆細胞培養物から生じたインスリン産生細胞凝集物の細胞培養物を含む。
本発明はまた、膵臓から単離することにより増殖性膵臓細胞の培養物を得、かつCD56陽性膵臓細胞の選択およびCD56陰性細胞からのCD56陽性細胞の分離を可能にするために細胞をCD56結合試薬に接触させる方法を含む。いくつかの態様において、CD56結合試薬は標識される。いくつかの態様において、選択の段階は、蛍光活性化細胞選別により行われる。いくつかの態様において、選択の段階は、パニング(panning)により行われる。一つの態様において、CD56結合試薬は、CD56タンパク質に特異的に結合する抗体である。一つの態様において、CD56結合試薬は、CD56タンパク質に連結したオリゴ糖に特異的に結合する抗体である。もう一つの態様において、CD56結合試薬は、CD56タンパク質に連結したオリゴ糖に特異的に結合するレクチンである。もう一つの態様において、CD56結合試薬は、CD56タンパク質のリガンドである。さらなる態様において、リガンドは、可溶性CD56、ヘパリンおよびヘパリン硫酸からなる群より選択される。一つの態様において、膵臓はヒト由来である。
本発明のさらなる局面において、CD56陽性膵臓細胞は、増殖して、インスリン産生細胞の凝集物へと分化する。いくつかの態様において、細胞を分化させる段階は、コラーゲンIVでコーティングされたプレート上で細胞を培養することを含む。一つの態様において、細胞を分化させる段階は、分化因子を含む培地で細胞を培養することを含む。肝細胞成長因子、ケラチン生成細胞成長因子、エキセンディン4、塩基性線維芽細胞成長因子、インスリン様成長因子-I、神経成長因子、上皮成長因子および血小板由来成長因子を含む、多くの分化因子が用いられうる。
本発明はまた、膵臓から単離することによりインスリン産生膵臓細胞の凝集物を生成し、CD56陽性増殖性膵臓細胞の選択およびCD56陰性細胞からのCD56陽性細胞の分離を可能にするために細胞をCD56結合試薬に接触させ、CD56陽性増殖性膵臓細胞培養物をインスリン産生膵臓細胞の凝集物へと分化させる方法を含む。いくつかの態様において、CD56結合試薬は標識される。いくつかの態様において、選択の段階は、蛍光活性化細胞選別により行われる。いくつかの態様において、選択の段階は、パニングにより行われる。一つの態様において、CD56結合試薬は、CD56タンパク質に特異的に結合する抗体である。一つの態様において、CD56結合試薬は、CD56タンパク質に連結したオリゴ糖に特異的に結合する抗体である。もう一つの態様において、CD56結合試薬は、CD56タンパク質に連結したオリゴ糖に特異的に結合するレクチンである。もう一つの態様において、CD56結合試薬は、CD56タンパク質のリガンドである。さらなる態様において、リガンドは、可溶性CD56、ヘパリンおよびヘパリン硫酸からなる群より選択される。一つの態様において、膵臓はヒト由来である。いくつかの態様において、細胞を分化させる段階は、コラーゲンIVでコーティングされたプレート上で細胞を培養することを含む。一つの態様において、細胞を分化させる段階は、分化因子を含む培地で細胞を培養することを含む。もう一つの態様において、分化因子は、肝細胞成長因子、ケラチン生成細胞成長因子、エキセンディン4、塩基性線維芽細胞成長因子、インスリン様成長因子-I、神経成長因子、上皮成長因子および血小板由来成長因子からなる群より選択される。
本発明はまた、CD56陽性増殖性細胞培養物を単離することにより、膵臓内分泌機能を、そのような機能を必要とする哺乳動物へ供給し、哺乳動物において測定可能な量のインスリンを産生するのに十分な量のCD56陽性増殖性細胞培養物を哺乳動物へ移植する方法を含む。さらなる態様において、CD56陽性増殖性細胞培養物は、インビボで、例えば哺乳動物内で、インスリン産生細胞へとさらに分化する。もう一つの態様において、CD56陽性増殖性細胞培養物は、インビトロでインスリン産生凝集物へと分化し、その後インスリン産生膵臓細胞の凝集物は、哺乳動物へ、哺乳動物において測定可能な量のインスリンを産生するのに十分な量で移植される。一つの態様において、哺乳動物はヒトである。もう一つの態様において、ヒト膵臓は、CD56陽性増殖性細胞培養物の供給源として用いられる。
本発明はまた、膵臓細胞をCD56結合試薬に接触させることにより増殖性膵臓細胞の培養物をモニターし;細胞表面マーカーとしてCD56を示す細胞の量を測定する方法を含む。一つの態様において、検出段階は、蛍光活性化細胞選別により行われる。もう一つの態様において、CD56結合試薬は、CD56タンパク質に特異的に結合する抗体である。増殖性膵臓細胞培養物をモニターすることは、インスリン産生細胞の凝集物を形成する培養物の潜在能力を測定するために有用である。
定義
本明細書に用いられる場合、「増殖性膵臓細胞の細胞培養物」は、細胞分割を起こすことができる、および時間が経てば一つの培養容器からもう一つのものへ継代されることができる膵臓組織由来の細胞の培養物である。細胞表面マーカーとしてCD56を示す増殖性膵臓細胞の培養物は、検出可能なCD56細胞表面発現に加えて、低レベルのインスリンmRNAを示し、かつインスリン産生膵臓β細胞を含む成熟膵臓細胞への分化の能力がある膵臓前駆細胞の培養物を指す。いくつかの態様において、CD56陽性膵臓細胞は、1:1未満のインスリン:アクチンのmRNA比率をもつ。他のインスリン:アクチンのmRNA比率もまた本発明に含まれ、例えば1:50、1:20、1:10、1:5および1:2である。いくつかの態様において、CD56陽性膵臓細胞は、1:100未満のインスリン:アクチンのmRNA比率をもつ。いくつかの態様において、CD56陽性増殖性前駆細胞におけるインスリンmRNAレベルは、非常に感度の高い方法、例えばインサイチューハイブリダイゼーションを用いてのみ検出可能である。
本明細書に用いられる場合、「CD56タンパク質」は、胚形成、発生および細胞間の接触媒介相互作用において役割を果たすと思われる細胞表面糖タンパク質を指す。示差的転写スプライシングのために、CD56タンパク質の大多数は、3つの主要なサイズ:180 kDa、140 kDaおよび120 kDaに見出される。例示的なCD56タンパク質は、ヒトCD56タンパク質、例えば120 kDal型、アクセッション番号P13592;140 kDal型、アクセッション番号P13591、および180 kDal型を含み、例えばHemperly, J.ら、J. Mole Neurosci. 2:71-78(1990)を参照。
用語「CD56結合試薬」は、CD56タンパク質に、またはオリゴ糖のようなCD56タンパク質に共有結合された分子に特異的に結合する化合物を指すために本明細書に用いられる。好ましい態様において、CD56結合試薬は、CD56タンパク質に特異的に結合する抗体である。用語「CD56結合試薬」はまた、CD56タンパク質に特異的に結合される化合物、例えばヘパリンおよびヘパリン硫酸を含む。この用語は、本明細書に定義されているようなリガンドおよびレクチンを含む。CD56結合試薬は、細胞表面マーカーとしてCD56タンパク質を発現する細胞を同定または選択するために用いられる。
「細胞表面マーカーとしてCD56を示す」細胞とは、FACS、免疫細胞化学、免疫吸着およびパニングのような本明細書に記載された通常のCD56特異的結合試薬および方法を用いて細胞が細胞の集団から選択されるまたは取り出されることを可能にするのに十分な量の細胞表面上のCD56を示す細胞である。好ましい態様において、CD56抗体は、「細胞表面マーカーとしてCD56を示す」細胞を選択するために用いられる。
インスリン:アクチンのmRNA比率は、ゲルスキャナーを用いるバンド密度により、またはインスリンおよびアクチンについて異なる標識を用いるリアルタイムPCRにより測定される。これらの方法での、インスリン:アクチンのmRNA比率が、細胞の集団に渡る平均である。インスリン:アクチンのmRNA比率はまた、インサイチューハイブリダイゼーションを用いる個々の細胞基盤上で測定される。
「抗体」は、抗原を特異的に結合もしくは認識する免疫グロブリン遺伝子由来のフレームワーク領域を含むポリペプチドまたはその断片を指す。認められている免疫グロブリン遺伝子は、κ、λ、α、γ、δ、εおよびμ定常領域遺伝子、加えて無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、κまたはλのいずれかとして分類される。重鎖は、γ、μ、α、δまたはε(次には、それぞれ、免疫グロブリンクラス、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEを定義する)として分類される。典型的には、抗体の抗原結合領域は、結合の特異性および親和性において最も重要である。
例示的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は四量体を含む。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一のペアから構成され、各ペアは1つの「軽」(約25 kD)および1つの「重」鎖(約50〜70 kD)を有する。各鎖のN末端は、主として抗原認識を担う約100〜110またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を定義する。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)という用語は、それぞれ、これらの軽鎖および重鎖を指す。
抗体は、例えば無傷の免疫グロブリンとして、または様々なペプチダーゼでの消化により生じる多数のよく特徴付けられた断片として存在する。このように、例えばペプシンは、ヒンジ領域におけるジスルフィド結合より下で抗体を消化し、それ自身はジスルフィド結合によりVH-CH1に連結された軽鎖であるFabの二量体である、F(ab)'2を生じる。F(ab)'2は、ヒンジ領域におけるジスルフィド結合を切断するように穏やかな条件下で還元され、それにより、F(ab)'2二量体をFab'単量体へと変換しうる。Fab'単量体は、本質的に、ヒンジ領域の一部を有するFabである(Fundamental Immunology(Paul編、第3版、1993参照)。様々な抗体断片は、無傷の抗体の消化に関して定義されるが、そのような断片は化学的にかまたは組換えDNA方法を用いることによるかのいずれかで、新規に合成されうることを当業者は理解している。このように、抗体という用語は、本明細書に用いられる場合、抗体全体の改変により生じた抗体断片か、または組換えDNA方法を用いて新規に合成されたもの(例えば、単鎖Fv)か、またはファージディスプレーライブラリーを用いて同定されたもの(例えば、McCaffertyら、Nature 348:552-554 (1990)参照)のいずれかも含む。
抗体、例えば組換え抗体、モノクローナル抗体、またはポリクローナル抗体の調製のために、当技術分野において公知の多くの技術が用いられうる(例えば、
Figure 2005537803
を参照)。対象となる抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子は、細胞からクローニングでき、例えばモノクローナル抗体をコードする遺伝子は、ハイブリドーマからクローニングされ、組換えモノクローナル抗体を作製するために用いられうる。モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子ライブラリーはまた、ハイブリドーマまたは血漿細胞から作製されうる。重鎖および軽鎖遺伝子産物のランダムな組み合わせは、異なる抗原性の特異性をもつ抗体の大きなプールを生じる(Kuby、Immunology(第3版、1997)参照)。単鎖抗体または組換え抗体の作製についての技術(米国特許第4,946,778号、米国特許第4,816,567号)は、本発明のポリペプチドに対する抗体を作製するために適応しうる。また、トランスジェニックマウス、または他の哺乳動物のような他の生物体は、ヒト化またはヒト抗体を発現させるのに用いられうる(例えば、
Figure 2005537803
を参照)。または、ファージディスプレーテクノロジーは、選択された抗原に特異的に結合する抗体およびヘテロマーのFab断片を同定するために用いられうる(例えば、McCaffertyら、Nature 348:552-554 (1990);Marksら、Biotechnology 10:779-783 (1992)を参照)。抗体は、二特異性(すなわち、2つの異なる抗原を認識することができる)にさせうる(例えば、国際公開公報第93/08829号、Trauneckerら、EMBO J. 10:3655-3659 (1991);およびSureshら、Methods in Enzymology 121:210 (1986)を参照)。抗体はまた、ヘテロ結合体、例えば2つの共有結合的に連結された抗体、または免疫毒素でありうる(米国特許第4,676,980号、国際公開公報第91/00360号;国際公開公報第92/200373号;および欧州特許第03089号を参照)。
非ヒト抗体をヒト化または霊長類化するための方法は、当技術分野においてよく知られている。一般的に、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源からそれへ導入された1個または複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、移入残基と呼ばれ、典型的には移入可変ドメインから取られる。ヒト化は、本質的には、齧歯類CDRsまたはCDR配列を、ヒト抗体の対応する配列の代わりに用いることにより、Winterおよび共同研究者の方法に従って行われうる(Jonesら、Nature 321:522-525 (1986);Riechmannら、Nature 332:323-327 (1988);Verhoeyenら、Science 239:1534-1536 (1988)およびPresta、Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照)。従って、そのようなヒト化抗体は、キメラ抗体(米国特許第4,816,567号)であり、無傷のヒト可変ドメインより実質的に少量が、非ヒト種由来の対応する配列によって置換された。実際には、ヒト化抗体は、典型的には、いくつかのCDR残基、および場合によりいくつかのFR残基が、齧歯類抗体における類似部位由来の残基により置換される。
「キメラ抗体」は、(a)抗原結合部位(可変領域)が、異なるもしくは変化した、クラス、エフェクター機能および/もしくは種の定常領域、またはキメラ抗体に新しい性質を与える完全に異なる分子、例えば酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物など、に連結されるように、定常領域またはその部分が変更、置換または交換される;または(b)可変領域またはその部分が、異なるもしくは変化した抗原特異性をもつ可変領域に変更、置換または交換される、抗体分子である。
一つの態様において、抗体は「エフェクター」部分に結合される。エフェクター部分は、放射性標識または蛍光標識のような標識部分を含む、任意の数の分子でありうる、または治療的部分でありうる。一つの局面において、抗体は、タンパク質の活性を調節する。
タンパク質またはペプチドに関連している場合、抗体に「特異的に(または選択的に)結合する」または「〜と特異的(または選択的)免疫反応性の」という句は、しばしば、タンパク質および他の生物製剤の不均一な集団において、そのタンパク質の存在に限定的である結合反応を指す。このように、指定された免疫アッセイ条件下で、特定化された抗体が、バックグラウンドの少なくとも2倍、およびより典型的にはバックグランドの10倍より多く100倍まで、特定のタンパク質に結合する。そのような条件下での抗体への特異的な結合は、特定のタンパク質へのそれの特異性について選択される抗体を必要とする。例えば、CD56タンパク質に対して産生されたポリクローナル抗体、多型変異体、対立遺伝子、オルソログおよび保存的に改変された変異体、もしくはスプライスバリアント、またはそれらの部分は、CD56タンパク質と特異的免疫反応性であって、他のタンパク質とはそうではないそれらのポリクローナル抗体のみを得られるように選択されうる。この選択は、他の分子と交差反応する抗体を引き算することにより達成されうる。様々な免疫アッセイ法型式が、特定のタンパク質と特異的免疫反応性である抗体を選択するために用いられうる。例えば、固相ELISA免疫アッセイ法は、タンパク質と特異的免疫反応性である抗体を選択するために日常的に用いられる(例えば、特異的免疫反応性を測定するために用いられうる免疫アッセイ法の構成および条件の解説について、HarlowおよびLane、Antibodies, A Laboratory Manual (1988)を参照)。特異的結合はまた、CD56タンパク質に特異的に結合する他の分子(例えば、CD56を認識するCD56リガンドおよびレクチン)の相互作用を記載するために用いられうる。
「抗原」は、抗体により認識および結合される分子、例えばペプチド、炭水化物、有機分子、または糖脂質および糖タンパク質のようなより複雑な分子である。抗体結合の標的である抗原の部分は抗原決定基であり、単一の抗原決定基に対応する小さな機能群はハプテンと呼ばれる。
「標識」または「検出可能な部分」は、分光的、光化学的、生化学的、免疫化学的、化学的または他の物理的手段により検出可能な組成物である。例えば、有用な標識は、32P、蛍光色素、電子高密度試薬、酵素(例えば、ELISAにおいて一般に用いられているような)、ビオチン、ジゴキシゲニン、または、例えばペプチドへ放射性標識を組み入れることにより検出可能にされうる、もしくはペプチドに特異的反応性がある抗体を検出するために用いられうる、ハプテンおよびタンパク質を含む。
本明細書に用いられる場合、「インスリン産生細胞」は、検出可能な量のインスリンを分泌する細胞を指す。「インスリン産生細胞」は、個々の細胞または細胞の集合でありうる。「インスリン産生細胞」の集合の一つの例は、「インスリン産生細胞凝集物」、例えばCK-19陽性細胞の周囲の外套および内部細胞塊を有する細胞の組織された集合である。細胞の関係における「凝集物」は、三次元構造を指す。「CK-19」は、40 kDの酸性ケラチン、サイトケラチン19である。「外套(mantle)」は、内部細胞塊を三次元で囲む細胞の外被を指す。
用語「接触すること」は、以下のものと交換可能に本明細書で用いられる:〜と化合させる、〜に加える、〜と混合する、〜の上を通過させる、〜とインキュベートする、〜の上を流す、など。
「CD56に連結したオリゴ糖」とは、CD56タンパク質に共有結合している多糖分子である。好ましい態様において、オリゴ糖は、アスパラギン残基を通して連結する。
用語「レクチン」は、特定の炭水化物分子を認識するタンパク質を指す。好ましい態様において、炭水化物は、CD56タンパク質分子に連結したオリゴ糖のすべてまたは一部である。
「リガンド」は、タンパク質により特異的に結合される分子である。例として、ヘパリンおよびヘパリン硫酸は、CD56分子により結合される。この用語はまた、タンパク質に結合する分子、例えばタンパク質に特異的に結合する抗体を含む。いくつかの例において、リガンドは、タンパク質に共有結合している分子、例えば炭水化物またはオリゴ糖に結合する。
用語「ヘパランまたはヘパリンおよびヘパリン硫酸」は、当業者に公知である。ヘパリンおよびヘパリン硫酸は、グリコサミノグリカンの例である。
用語「FACS」は、対象となる特定の分子の含有量に従って細胞を分離するために用いられる技術である、蛍光活性化細胞選別を指す。対象となる分子は、細胞の型に、または特定の細胞状態に特異的でありうる。対象となる分子は、蛍光色素に結合することにより直接的に、または蛍光標識された第二分子、例えば蛍光標識された、かつ対象となる分子に特異的に結合する抗体もしくはレクチン、に結合することにより、蛍光標識されうる。好ましい態様において、蛍光標識されたCD56特異的抗体が、CD56陰性細胞からCD56陽性細胞を分離するために用いられる。
用語「パニング」は、CD56結合試薬に結合する細胞を選択する方法を指す。平らな表面、例えば培養皿は、CD56結合試薬でコーティングされる。膵臓細胞を、その表面に加え、CD56結合試薬に結合するようにさせておく。培養皿は、その後洗浄し、皿からCD56陰性細胞を除去する。好ましい態様において、CD56特異的抗体は、培養皿をコーティングし、膵臓細胞の集団においてCD56陽性細胞を「選別する(pan)」ために用いられる。
「分化する」または「分化」は、細胞が、未分化状態から分化した状態へ、または未成熟状態から成熟状態へ進行する過程を指す。例えば、未分化の膵臓細胞は、増殖し、かつPDX-1のような特徴マーカーを発現させることができる。成熟または分化した膵臓細胞は、増殖せず、高レベルの膵臓内分泌ホルモンを分泌する。例えば、成熟β細胞は、高レベルでインスリンを分泌する。細胞相互作用および成熟における変化は、細胞が未分化の細胞のマーカーを喪失する、または分化した細胞のマーカーを獲得する時に起こる。単一マーカーの喪失または獲得は、細胞が「成熟したまたは分化した」ことを示しうる。
用語「分化因子」は、成熟インスリン産生β細胞への分化を促進するために膵臓細胞へ加えられる化合物を指す。例示的な分化因子は、肝細胞成長因子、ケラチン生成細胞成長因子、エキセンディン4、塩基性線維芽細胞成長因子、インスリン様成長因子-I、神経成長因子、上皮成長因子および血小板由来成長因子を含む。
用語「膵臓機能をそのような機能を必要とする哺乳動物へ提供すること」とは、膵臓ホルモンを、自分でそのようなホルモンを産生することができない哺乳動物の身体内で産生する方法を指す。好ましい態様において、インスリンは、糖尿病の哺乳動物の身体中で産生される。膵臓機能は、本開示の方法により生成されたインスリン産生膵臓細胞の凝集物を哺乳動物へ移植することにより提供される。移植される凝集物の数は、哺乳動物において測定可能な量のインスリンを産生するのに十分な量である。インスリンは、血糖値の維持のようなインスリン機能についてのアッセイ法を含む、ウェスタンブロッティングまたは当業者に公知の他の検出方法により測定されうる。インスリンはまた、血液におけるCペプチドを検出することにより測定されうる。もう一つの好ましい態様において、膵臓機能の供給は、身体の外側で作製されたインスリンへの哺乳動物の依存を減少させるまたは排除するのに十分である。
「カプセル化」は、細胞が、アルギン酸ナトリウムおよびポリリシンのような生体適合性の無細胞性材料により囲まれる過程を指す。好ましくは、糖および低分子量タンパク質のような低分子が、カプセル化細胞を囲んでいる環境から拾い上げられうるまたは環境へ分泌されうる。同時に、より大きい分子および免疫細胞によるカプセル化細胞への接近は制限される。
「移植すること」とは、レシピエントへの細胞の移植または配置である。それは、カプセル化細胞および非カプセル化細胞を含む。細胞は、当技術分野において公知の方法により、皮下に、筋肉内に、門脈内にまたは腹膜内に配置されうる。
細胞の「集団」は、特定の単離または培養手順により得られる複数の細胞を指す。本発明の選択工程は、比較的均一な性質をもつ集団を生じるが、マーカー発現または他の表現型についてアッセイされた場合、細胞の集団は不均一でありうる。細胞集団の性質は、一般的に、特定の性質をもつ個々の細胞のパーセンテージ(例えば、特定のマーカーについて陽性の細胞染色のパーセンテージ)、または集団全体を通して測定される場合の性質のバルク平均値(例えば、細胞集団から作製された可溶化液におけるmRNAの量)により定義される。
細胞の「継代」は、通常、蒔かれた培養容器の部分的集密的状態から集密的状態への移行を指し、その時点において、それらはその培養容器から除去され、より低密度で培養容器に再び蒔かれる。しかしながら、細胞は、集密に達する前に継代されうる。継代は、典型的には、増殖して集密に達するため、結果として、細胞集団の増大を生じる。細胞集団の増大は、最初の播種密度に依存するが、典型的には、1〜10倍、1〜5倍、1〜3倍、または1〜2倍の増大である。このように、継代することは、一般的に、細胞が培養において複数回の細胞分割の能力があることを必要とする。
発明の詳細な説明
I. 序文
CD56タンパク質は、神経細胞接着分子(N-CAM)としても知られているが、膵臓β細胞の前駆体についての細胞外マーカーであることが初めて示された。CD56は、もともと、発達中の神経組織から単離されたが、非神経細胞においても見出される。CD56は、ニューロン、筋肉細胞、副腎髄質細胞、アストロサイト、シュワン細胞、NK細胞、およびβ細胞抗原特異的であり、1型糖尿病を引き起こすことが知られているものを含む活性化T細胞のサブセット上に発現している。例えば、
Figure 2005537803
を参照。CD56は、細胞-細胞の相互作用を促進することにより、パターン形成において発生の役割をもつ。CD56の既知の結合パートナーは、他のCD56タンパク質およびヘパリンまたはヘパリン硫酸を含む。
CD56は、進化的に保存されている細胞表面分子である。CD56ファミリーメンバーは、ニワトリ、マウス、ラット、ヒトおよびカエルに見出された。CD56タンパク質の大部分は、mRNAの示差的スプライシングに起因する3つのアイソフォームに見出される:180 kDal型、140 kDal型および120 kDal型。CD56タンパク質は、広範に、翻訳後修飾される。翻訳後修飾は、アスパラギン連結型オリゴ糖の付加、オリゴ糖の硫酸化、セリンおよびスレオニン残基のリン酸化、ならびにタンパク質の脂肪酸アシル化を含む。
本明細書に記載された実験は、CD56が膵臓前駆細胞の細胞外マーカーとして用いられうることを初めて明らかにしている。本明細書に提供された実験および実施例はまた、同定されたCD56陽性膵臓細胞が増殖する能力があり、また、インスリン産生膵臓細胞の凝集物へ分化されうることを実証している。
II. CD56陽性膵臓細胞の単離
様々な供給源および方法がCD56陽性膵臓細胞を単離するために用いられうることを当業者は認識している。
A. ドナーからの膵臓の単離
引き続きの培養のために単離された膵臓細胞は、1つまたは複数の寄付された膵臓から得られる。本明細書に記載された方法は、寄付された膵臓の年齢に依存しない。従って、胎児から成人までの年齢の範囲に渡るドナーから単離された膵臓材料が用いられうる。
もう一つの態様において、膵臓細胞は、培養された供給源から単離される。例えば、「Microencapsulation of cells」と題する、Soon-Shiongらに対する米国特許第5,762,959号のマイクロカプセル化方法に従って調製された細胞は、ドナー細胞の供給源として回収されうる。
1. 膵臓からの膵臓細胞の単離
いったん、膵臓がドナーから採取されれば、それは、典型的には、様々な方法を用いて、培養のための個々の細胞または小さな細胞群を生じるように処理される。1つのそのような方法は、採取された膵臓組織が酵素的消化のために洗浄および調製されることを必要とする。酵素的処理は、採取された組織の実質組織が、膵臓細胞材料のより小さな単位へ解離されるように結合組織を消化するために用いられる。採取された膵臓組織は、採取された器官の全体の構造から、膵臓細胞材料、下部構造および個々の膵臓細胞を分離するために、1つまたは複数の酵素で処理される。コラゲナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、リベラーゼ調製物(米国特許第5,830,741号および第5,753,485号参照)および他の酵素が、本明細書に開示された方法での使用について企図されている。
単離された供給源材料は、1つまたは複数の望ましい細胞集団について濃縮するためにさらに処理されうる。しかしながら、未分画の膵臓組織も、いったん、培養のために解離されれば、さらなる分離なしに、本発明の培養方法に直ちに用いられることができ、中間の細胞集団を生じる。一つの態様において、単離された膵臓細胞の材料は、密度勾配(例えば、ナイコデンツ、フィコールまたはパーコール)による遠心分離により精製される。例えば、米国特許第5,739,033号に記載された勾配方法は、島における処理された膵臓材料を濃縮するための手段として用いられうる。ドナー供給源から採取された細胞の混合物は、典型的には不均一なものであり、したがってα細胞、β細胞、δ細胞、導管細胞、腺房細胞、条件的前駆細胞および他の膵臓細胞型を含む。
典型的精製方法は、結果として、単離された細胞材料の多数の層または界面への分離を生じる。典型的には、2つの界面が形成される。上部界面は、島が濃縮されており、典型的には、懸濁液に10〜100%の島細胞を含む。第二界面は、典型的には、島、腺房および導管細胞を含む混合された細胞集団である。底部層は、ペレットであり、勾配の一番下に形成される。この層は、典型的には、主として(>80%)、腺房細胞、いくらかの捕捉された島、およびいくらかの導管細胞を含む。導管樹枝状(ductal tree)成分は、さらなる操作のために別々に回収されうる。
さらなる操作のために選択された画分の細胞成分は、勾配のどの画分が選択されるかということ、および各単離の最終的結果に依存して変わる。島細胞が所望の細胞型である場合、単離された画分内での島細胞の適切に濃縮された集団は、少なくとも10%〜100%の島細胞を含む。他の膵臓細胞型および濃度もまた、濃縮後、回収されうる。例えば、本明細書に記載された培養方法は、用いられた精製勾配に依存して、第二界面から、ペレットから、または他の画分から単離された細胞に対して用いられうる。
一つの態様において、中間の膵臓細胞培養物は、島が濃縮された(上部)画分から生成される。しかしながら、さらに典型的には、それぞれ、島、腺房および導管細胞、または導管樹枝状成分、腺房細胞およびいくらかの捕捉された島細胞の混合された細胞集団を含むより不均一な第二界面および底部層もまた、培養に用いられうる。両方の層は、本明細書に記載されたCD56陽性集団を生じさせる能力がある細胞を含むが、各層は、開示された方法での使用について特定の利点をもちうる。
B. CD56陽性膵臓細胞の選択
いったん、膵臓細胞の供給源が選択されると、CD56陽性細胞は選択され、その後CD56を発現させない細胞から分離されうる。CD56陽性細胞を選択し、CD56陰性細胞からそれらの細胞を分離するために様々な方法が用いられうることを当業者は認識している。
1. CD56を結合する分子を用いるCD56陽性細胞の検出
CD56タンパク質を検出するための多くの方法があることを当業者は認識している。例えば、CD56タンパク質に特異的に結合する抗体は、CD56を検出するために用いられうる。CD56タンパク質に特異的な抗体は、当業者に知られており、例えばResearch Diagnostics, Inc.;Abeam;Ancell Immunology Research Products;eBioscience;the Hybridoma Bank of the University of Iowa;およびZymed Laboratories, Inc.から市販されている。CD56の細胞外部分を認識する抗体は、本発明に用いられうる。
CD56タンパク質は、広範に、翻訳後修飾される。抗体はまた、それらの修飾の一部として付加された分子、例えば糖およびオリゴ糖分子を検出するために用いられうる。
抗体に加えて、CD56に特異的に結合する他の分子がCD56陽性細胞を同定するために用いられうる。例えば、レクチンは、特定の糖またはオリゴ糖に特異的に結合する分子である。CD56に特異的に結合するレクチンは、本発明に用いられうる。CD56はまた、他のCD56タンパク質およびヘパリンまたはヘパリン硫酸を含む特定のリガンドに特異的に結合する。これらもまた、本発明を実施するために用いられうる。
CD56に特異的に結合する分子は、標識されている場合には特に有用であり、それに従って、いくつかの手段により検出されることができることを当業者は認識している。「標識」は、分光的、光化学的、生化学的、免疫化学的、化学的または他の物理的手段により検出可能な組成物である。例えば、有用な標識は、32P、蛍光色素、電子高密度試薬、酵素(例えば、ELISAにおいて一般に用いられているような)、ビオチン、ジゴキシゲニン、または、例えばペプチドへ放射性標識を組み入れることにより検出可能にされうる、もしくはペプチドに特異的反応性がある抗体を検出するために用いられうる、ハプテンおよびタンパク質を含む。
2. CD56陽性細胞を選択するためのFACS
CD56に特異的に結合する蛍光標識された分子は、最も一般には抗体であるが、蛍光活性化細胞選別機(FACS)と共にCD56陽性細胞を選択するために用いられる。簡単には、膵臓細胞は、蛍光標識された抗体とインキュベートされ、抗体の結合後、細胞は、FACSにより分析される。細胞選別機は、液体に懸濁された単一の細胞を蛍光計に通過させる。蛍光量は測定され、対照、非標識の細胞より検出可能に高い蛍光レベルをもつ細胞が、陽性細胞として選択される。
FACSはまた、蛍光の測定に基づいて細胞集団を物理的に分離するために用いられうる。以下の細胞は、強さおよび方向が蛍光シグナルの測定された強度に従って変わる電磁場により偏向させられる。標識されたCD56陽性細胞は、分かれた容器へと偏向させられ、非標識のCD56陰性細胞から分離されうる。
膵臓細胞が膵臓から単離された後、細胞は最初1〜2継代の間培養され、その後CD56特異的抗体で標識される。細胞は、その後CD56陰性細胞からCD56陽性を分離するためにFACSを用いてスキャンされる。細胞の80%までがCD56について陰性だと考えられる。
この例は、標識された抗体でのFACS分析を考察したが、CD56に特異的に結合する他の分子、例えばレクチン、ならびに他のCD56分子およびヘパリンまたはヘパリン硫酸のような他のCD56結合パートナー、もまた本発明を実施するために用いられうる。
多くの異なる蛍光分子は、抗体への結合に利用可能であり、例えばフルオレセインまたはローダミンである。いくつかの例において、1つより多い細胞外マーカーが、蛍光分子に結合した異なる抗体を用いることにより検出されうることを当業者は承知している。FACS分析は、対象となる1つより多い細胞外マーカーを同定しうる条件下で行われうる。
3. 固体支持体上へCD56陽性細胞を吸着する親和性
CD56陽性細胞はまた、固体支持体に付着したCD56特異的結合分子を用いることによりCD56陰性細胞から分離されうる。CD56特異的抗体が、プロテインGまたはプロテインAのような抗体結合分子を通して固体支持体に結合されうる、または直接的に固体支持体に結合されうることを当業者は認識している。CD56抗体が付着した固体支持体は、市販されており、例えばStemSep(商標)およびEasySep(商標)は両方とも、Stem Cell Technologies製の磁気ビーズである。
CD56陽性細胞はまた、パニングの技術を通してCD56陰性細胞から分離されうる。パニングは、CD56結合試薬で固体表面をコーティングし、適した条件下で適した時間の間、表面上で膵臓細胞をインキュベートすることにより行われる。平らな表面、例えば培養皿、はCD56結合試薬でコーティングされる。膵臓細胞を、その表面に加え、CD56結合試薬に結合するようにさせておく。培養皿は、その後洗浄され、皿からCD56陰性細胞を除去する。好ましい態様において、CD56特異的抗体は、培養皿をコーティングし、膵臓細胞の集団においてCD56陽性細胞を「選別する」ために用いられる。
III. CD56陽性細胞およびそれらの子孫の細胞培養物および培養
A. 一般的な細胞培養工程
いったん、膵臓細胞を得て単離すると、それらは所望のCD56陽性集団の増殖のために、または他の態様において、より成熟した細胞型の分化のために選択する条件下で培養される。一般的な細胞培養方法は、Freshney、Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique、第4版、John Wiley & Sons (2000)に見出されうる。典型的には、膵臓細胞は、他の哺乳動物細胞に適切な条件下で、例えば5% CO2の大気中、37℃で、加湿されたインキュベーター内において、培養される。細胞は、当技術分野において公知の様々な基材上で培養することができ、例えばホウ珪酸ガラス管、瓶、皿、負の表面電荷をもつクローニングリング、プラスチックの組織培養管、皿、フラスコ、マルチウェルプレート、増殖表面積(GSA)を増加させるまたは食道ドップラーモニター(Esophageal Doppler Monitor)(EDM)仕上げを有する容器、GSAを増加させるための複数内部シートを有するフラスコ、フェンワル(Fenwal)袋、および他の培養容器がある。
いったん、膵臓細胞材料が採取され、培養のために選択されると、またはいったん、集団が集密的で、新しい基材へ移されることになると、細胞の集団は、培養のために適する組織培養容器に蒔かれる。播種密度は、開示された方法を用いて培養される膵臓細胞の生存力に影響を及ぼしうり、特定の培養条件に最適な播種密度は、異なる密度の範囲で細胞を蒔き、その結果生じた細胞生存率および増殖率をモニターすることにより経験的に決定されうる。播種密度の範囲は、培養でホルモン分泌細胞を生産するにおいて効果的であることが示された。より低い細胞濃度がクローニング工程に用いられうるが、典型的には、細胞濃度は100 mm培養皿あたり約102個〜108個の細胞の範囲、例えば100 mm培養皿あたり102個、103個、104個、105個、106個、107個または108個の細胞である。他の培養容器についての細胞濃度は、異なる培養容器についての相対的基材表面積および/または培地ガス交換表面積を計算することにより調整されうる。例えば、典型的100 mm培養皿は、55平方センチメートルの基材表面積をもち(Freshney、前記)、皿あたり10,000個の細胞の細胞濃度が、1平方センチメートルあたり約180個の細胞に対応し、一方、皿あたり100,000個の細胞の細胞濃度が、1平方センチメートルあたり約1,800個の細胞に対応する。培養容器表面積に関しての細胞濃度は、培養表面積あたりの適切な培地容量を用いることにより、培地容量に関しての細胞濃度に関係づけられうる(0.2〜0.5 ml/cm2が静置培養についての典型的範囲である)。10倍に増大されたかどうかを測定するために、細胞は、酵素的消化により取り出され、既知の容量の液体中で、顕微鏡下、カウントされる。細胞はまた、増殖および分化を促進するために定義済みの細胞外マトリックス成分で事前コーティングされた培養表面上で増殖されうる(例えば、フィブロネクチン、コラーゲンI、エンゲルブレス-ホルム-スワーム(Engelbreth-Holm-Swarm)マトリックス、および好ましくは、コラーゲンIVまたはラミニン)。
標準的な細胞培養物増殖技術は、本発明の実施に適している。細胞が培養表面に付着して増殖している場合、それらは典型的には、80%〜90%集密に達するまで単層として増殖し、その時点で、細胞は、タンパク質分解性消化により表面から遊離され、新しい容器での培養として1:2または1:3に分割される。細胞のより高い希釈も適しており、一般的に、1:4〜1:10の範囲の間であるが、よりいっそう低い細胞濃度がクローニング工程においては適切である。タンパク質分解性酵素およびキレート剤の濃度は、細胞が無血清培地に継代される場合、通常、低くされる(例えば、0.025%トリプシンおよび0.53 mM EDTA)。培地は、典型的には、週に2回、または培地のpHが新鮮な培地を必要としていることを示す場合に交換される。
本発明の膵臓細胞は、様々な培地で培養されうる。本明細書に記載されているように、特定の成分、特に血清を含むまたは欠く培地は、単離および増殖工程の特定の段階に好ましい。例えば、膵臓から新鮮に単離された細胞は、細胞が単離工程から回復するのを可能にするために高血清培地で維持されうる。逆に、低血清培地は、中間段階集団の選択および増殖に有利である。従って、多数の培地配合物は、本発明の実施において有用である。本明細書に開示された培地配合物は、例示的目的のためであり、培地の重大な意味をもたない成分は、本明細書に記載されたアッセイ法を用いて、細胞集団の複製または分化への変化の効果をアッセイすることにより、単純化するために省かれ、置換でき、変化され、または添加されうる。例えば、Stephanら、Endocrinology 140:5841-5854 (1999)を参照。
培地は、通常、無機塩、緩衝剤、アミノ酸、ビタミン、エネルギー源、ならびにいくつかの場合には、タンパク質、核酸、炭水化物、または脂質の代謝に関係する有機中間体および前駆体の形をとった追加的な栄養素を含む基本培地を含む。基本培地は、F12、イーグルのMEM、ダルベッコの改変MEM(DMEM)、RPMI 1640、F12およびDMEMの1:1混合物、ならびに他を含む。Freshney、前記を参照。細胞の成長を支えるために、基本培地は、通常、成長因子、他のタンパク質、ホルモンおよび微量元素の供給源で補われる。これらの補充物(supplement)は、細胞の成長、維持および/または分化を促進し、他の培地における不純物または毒素を代償し、基本培地に欠けている微量栄養素を供給する。多くの培地において、血清はこれらの補充物の供給源である。血清は、ヒト、ウシ、ヒツジ、ウマなどのような様々な哺乳動物源から、および成体、若年または胎児の源から、供給されうる。Freshney、前記を参照。胎児のウシ血清は、一般に用いられる補充物である。血清の濃度は、総培地容量のパーセンテージとして血清の容量によって表され、典型的には、約0.1%から25%までの範囲、例えば0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、または25%である。いくつかの適用において、基本培地は、血清でよりもむしろ、成長因子、ホルモンおよび微量栄養素の組成既知または組成半既知の混合物で補われる。血清置換補充物についての配合は、本明細書に開示されている;他は当技術分野において公知である、または市販用供給源から入手可能である(Freshney、前記、参照)。いくつかの態様について、血清の濃度は、低くされているが、除去されてはおらず、組成既知または組成半既知の補充物混合物が基本培地へ添加される。血清の高濃度または低濃度を含む培地についての好ましい適用は、本明細書に記載されている。
B. 高血清を含む培地における単離された膵臓細胞の維持および増殖
ドナー膵臓から採取された細胞は、通常、ドナーの死と単離工程の開始の間、温虚血または冷虚血の期間を受けている。さらになお、単離工程の間、膵臓細胞は、通常、機械的および剪断のストレスに加えて、タンパク質分解性消化に曝される。特定の理論に縛られることは望まないが、これらの細胞が経験した様々な外傷は、条件的前駆細胞のような膵臓幹細胞集団の増大を結果として生じる様々な細胞過程を上方制御する可能性がある。中間の細胞集団は、単離または精製の後、細胞を低血清培地へ直ちに置くことにより、十分な効率で生成されうる。それにもかかわらず、単離工程間に細胞が経験した外傷は、細胞生存および培養への適応に有害作用を及ぼしうるため、培養過程の効率を向上させるために血清の高濃度(例えば、>4%)を含む安定化培地において新鮮に単離された細胞を維持することが時には望ましい。この維持期間は短時間でありうる(例えば、一晩)。選択的に、細胞は、高血清培地において増殖期間を拡大して維持されうる。
安定化のための高血清培地は、典型的には、少なくとも4%血清を含み、いくつかの態様において、10%または20%のような血清のより高い濃度を含む。安定化または増殖のために用いられる培地は、多くの商業的供給源から入手可能であり、Mooreら、J Am Med Assoc 199:519-524 (1967)に記載されている、RPMI 1640のような基本培地から導かれうる。維持または増殖のための例示的高血清培地は、培地(Medium)3(RPMI 1640+10 mM HEPES、2 mM グルタミン、5 μM ZnSO4および10%胎児ウシ血清(FBS))、および培地7(RPMI 1640+10 mM HEPES、2 mM グルタミン、5 μM ZnSO4および20%FBS)を含む。高血清培地はまた、所望の血清濃度(例えば、4%〜9%)に達するように、培地3または培地7のような高血清培地の特定の容量をSM95、SM96またはSM98(本明細書に記載された)のような無血清培地の特定の容量と混合することにより得られる。
採取後の安定化のために、細胞は、好都合には、高血清培地において、比較的高い密度での培養容器で培養される(例えば、培地7(20%FBS)の70 ml中109個の細胞)。しかしながら、より低い細胞密度および血清濃度も用いられうる。細胞は、典型的には、採取工程からの回復を可能にするために、比較的短時間(例えば、一晩)、最初の容器内で維持される。
維持期間後、細胞は、本明細書に記載されているようなCD56陽性細胞集団の選択および増殖のために低血清培地へ移されうる。選択的には、細胞は、混合された細胞集団の増幅を可能にするために高血清培地において培養されうる。典型的態様において、維持培養からの細胞は、培地3(10%FBS)、培地7(20%FBS)、もしくは培地3および培地7の混合物(15%FBS)、または他のAmCyte培地を含む新しい培養容器へ再び蒔かれる。細胞は、典型的には、この培地において7〜10日間培養され、その時間の間に、それらは集密へと増殖しうる。いったん、細胞は集密に達したならば、それらは本明細書に記載された中間の細胞集団の選択的増大のために低血清培地へと継代されうる。
C. 低血清を含む培地においての培養によるCD56陽性膵臓細胞集団の増大および増殖
いったん、膵臓細胞が単離されたならば、細胞は、その後増殖する中間段階集団の出現を促進するために選択培地へ移される。この選択培地は、膵臓内分泌ホルモンを分泌する能力を保持する、または高レベルの膵臓内分泌ホルモンを分泌するより分化した細胞へと成熟する潜在能力を保持する細胞の増殖に促進する。純粋な上皮培養が、本発明の方法における膵臓細胞の有利な使用のために必要とはされないことが示されたが、一般的に、選択培地は線維芽細胞および間充織細胞を犠牲にして上皮または上皮様細胞の増殖に促進する。典型的には、上皮選択培地は、培養における増殖の特定の期間、例えば各継代における集団の増大に依存して2回、3回、4回または5回の継代の後に、ほとんど純粋な(例えば、<10%線維芽細胞または間充織細胞)細胞の集団を生じる。
胚組織からの上皮細胞増殖に促進するために用いられた選択培地の1つの型は、無血清培地である(例えば、Stephanら、前記;PeehlおよびHam、In Vitro 16:526-540 (1980)を参照)。上皮特異的培地、およびより好ましくは、成長ホルモンの供給源を含む低血清培地は、膵臓細胞発生のマーカー(例えば、PDX-1)を保持する成体哺乳動物由来の増殖性膵臓細胞の明確な集団について選択するように用いられうるが、高レベルの膵臓内分泌ホルモンを発現させるために適切な条件下でさらに分化されうる。膵臓細胞の培養に適した特定の上皮選択培地は、本明細書に開示されているが、上皮または上皮様細胞の優先的な増大に促進する当技術分野において公知の他の培地配合物もまた用いられうる。
上皮選択的低血清培地への移行は、高血清培地における維持期間の後になされうるか(「離脱」)、または単離および分離工程の後に選択的低血清培地へ直ちに細胞を移すことによりなされうる(「ショック」)。いずれの方法も望ましい中間細胞集団の生成に適している。
1. 成長ホルモンおよび好ましい例
成長ホルモン(GH)を含む上皮選択的培地は、中間の分化の価値ある膵臓細胞集団の出現を促進するために用いられる。特定の理論に縛られることは望まないが、GHは、細胞増殖を支える血清中に普通、見出される分裂促進性物質を置換しうる、しかし、血清は、より望ましくない細胞集団(例えば、線維芽細胞および間充織細胞)の過剰増殖を促進する他の分裂促進性因子を含む、という仮説が立てられる。このゆえに、血清の、GHを含む補充的混合物での置換は、分化の中間状態である細胞集団の増殖について選択する。本発明の代替の態様において、無血清培地におけるGHの機能は、他の補充的成分で置換されうるが、天然の抽出物における、または組換えタンパク質としてのGHの得やすい入手可能性は、GH含有培地を、本明細書に開示された方法のために適した上皮選択的培地にさせている。
成長ホルモンは、ソマトトロピンとしても知られているが、正常な身体成長および乳汁分泌を促進し、かつ細胞代謝の様々な局面に影響を及ぼす下垂体前葉で合成されるポリペプチドホルモンである。GHは、細胞への直接的効果ならびにIGF-Iおよび類似の分子により媒介された間接的効果の両方を生じる;無傷の膵臓において、島細胞増殖は、GHならびに相同性ホルモン、プロラクチンおよびラクトゲンの発現に結びつけられた(Nielsenら、J Mol Med 77(1):62-66 (1999)参照)。ヒトにおいて、成熟GHは、191個のアミノ酸残基を含み、22 kDaの分子量を示す。しかしながら、一般に観察されるジスルフィド二量体に加えて、ヒトGHの部分からなる2つのペプチド(残基1位〜43位および44位〜191位)が、血清に検出され、成体島組織へ別々の効果を生じる(Lewisら、Endocr J 47 Suppl:S1-S8 (2000)参照)。ヒトGHの様々な天然に存在する誘導体、変異体、代謝産物および操作された誘導体は公知であり、グリコシル化GH、メチオニルGH、20 kDa GH、アセチル化GH、タンパク質分解性に切断されたGH、デサミドGH、スルホキシドGH、および切断型GHを含む。
GHは、保存されたホルモンのファミリーのメンバーであり、ヒトにおいて、GH-V1とGH-V2、コリオマンモトロピンおよびプロラクチン、ならびに齧歯類の胎盤性ラクトゲンIとIIおよび他のウシとヒツジのラクトゲン、マウスのプロリフェリンI、IIとIIIおよびプロリフェリン関連タンパク質、ウシのプロラクチン関連タンパク質I、IIとIII、ラットのプロラクチン様タンパク質AとB、および様々な魚由来のソマトラクチンのような他の脊椎動物由来のタンパク質を含む。このファミリーのメンバーは、共通配列
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または
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により特徴付けられる。
本発明の実施に適した成長ホルモンは、様々な天然および人工的な供給源から得られうる。しばしば同じ種のGHを必要とする、GHの治療的使用とは対照的に、霊長類、哺乳動物または脊椎動物の種の範囲由来のGHが、膵臓細胞の培養のための低血清培地の配合に用いられうる。成長ホルモンの便利な供給源は、ウシ下垂体抽出物(BPE)であり、天然のGHの豊富な供給源である。BPE(75 μg/mlタンパク質)は、約0.1〜100 μ/ml、好ましくは0.5〜50 μl/ml、および最も好ましくは5 μl/mlまたは37.5 mg/lで、培地に含まれうる。他の種(例えば、ブタ、ヒツジなど)から入手可能な下垂体抽出物もまた、同様の濃度で用いられうる。下垂体抽出物に存在する他の因子は、それの効果を増強しうるが、満足な結果はまた、精製されたGHおよび組換えGHでも達成されうる。組換えウシおよびヒトGHは広く入手可能であり、GH活性の適する供給源である。組換えGHは、0.01 mg/lと100 mg/lの間で、好ましくは0.1 mg/lと10 mg/lの間、より好ましくは約0.2 mg/l、0.5 mg/l、0.75 mg/l、1 mg/l、1.25 mg/l、2 mg/l、または5 mg/lで、最も好ましくは約1.25 mg/lで、培地に添加することができ、組換えタンパク質の1 mgは、GHの3 IUとほぼ等価である。
2. 他の補充物
完全無血清培地について基本培地に添加される典型的成分は、組換えヒトインスリン(0.1〜100 μg/ml)、トランスフェリン(0.1〜100 μg/ml)、上皮成長因子(0.1〜100 ng/ml)、エタノールアミン(0.1〜100 μg/ml)、アプロチニン(0.1〜100 μg/ml)、グルコース(0.1〜100 mg/ml)、ホスホエタノールアミン(0.1〜100 μM)、トリヨードチロノン(0.1〜100 pM)、セレニウム(0.1〜100 nM)、ヒドロコルチゾン(0.01〜100 μM)、プロゲステロン(0.1〜10 nM)、フォルスコリン(0.1〜100 μM)、ヘレグリン(0.1〜100 nM)、およびウシ下垂体抽出物(0.1〜500 μg/ml)を含む。すべての補充的成分が細胞増殖を支えるために必要とされるわけではない;特定の補充物について最適な濃度または必要性は、単一の成分の濃度を除外するまたは低下させ、細胞増殖への効果を観察することにより、経験的に決定されうる。例えば、Stephanら、前記、参照。
一般的に、補充的成分は、同じ生物学的性質をもつ天然または合成の生成物により置換されうる。例えば、トリヨードチロノン、ヒドロコルチゾンおよびプロゲステロンは、すべて、同じ細胞内受容体(甲状腺受容体、グルココルチコイド受容体、およびプロゲステロン受容体)を活性化することが知られている天然または合成のホルモンにより置換されうる。インスリンおよびEGFは、典型的には、組換えDNA方法により産生されたヒトタンパク質であるが、天然の源から精製されたポリペプチドにより、他の種由来のポリペプチドにより、またはインスリンおよびEGF受容体の他のアゴニストにより、置換されうる。GHは、いくつかの場合、GH受容体の他のアンタゴニストで置換されうる。同様に、ヘレグリン、ErbB3受容体のリガンドは、NRG2、NRG3およびNRG4、知覚および運動ニューロン由来因子、ニューレスチン(neurestin)、およびEbp-1、ヘレグリンα、ヘレグリンβ、ヘレグリンγ、ニューレグリン(neuregulin)-1およびニューレグリン-2(NRG-1α、NRG-1β、NRG-2αおよびNRG-2β)のようなヘレグリンのアイソフォームおよび他のErbB3アゴニストにより置換されうる。
例示的無血清培地は、基本培地SM96、および以下の表に示されているように補われたSM96からなる完全培地SM95を含む。SM98は、Stephanら、前記により記載された改変培地補充物14Fで補われた1:1 F12/DMEMからなる。SM98は、14Fより少ないヘレグリン(1 ng/ml対8 ng/ml)を含む。このように、SM98は、組換えヒトインスリン、10 μg/ml;トランスフェリン、10 μg/ml;上皮成長因子、10 ng/ml;エタノールアミン、61 ng/ml;アプロチニン、25 μg/ml;グルコース、5 mg/ml;ホスホエタノールアミン、141 ng/ml;トリヨードチロノン、3.365 pg/ml;セレニウム、4.325 ng/ml;ヒドロコルチゾン、181 ng/ml;プロゲステロン、3.15 ng/ml;フォルスコリン、410 ng/ml;ヘレグリン、1 ng/ml;およびウシ下垂体抽出物、75 μg/mlで補われた1:1 F12/DMEMからなる。SM95およびSM98におけるEGHならびにヘレグリンの例示的供給源は、組換えヒトEGF(Sigma E9644)、およびヒトヘレグリン-β1のEGFドメイン(アミノ酸176位〜246位)(R&G systems 396-HB/CF)である。
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3. 細胞の低血清培地への移行
膵臓細胞の培養物を低血清培地へ移すことは、分化の中間状態をもつ確定した細胞の集団の選択を促進する。この細胞集団は、継代培養された場合には増殖し続けるだろうが、PDX-1のような膵臓マーカーの高発現レベルを維持する。刺激されなければ、この集団は、インスリンのような膵臓内分泌ホルモンの比較的低レベルを分泌するが、高分泌性細胞を生じるように本発明の方法に従って成熟されうる。膵臓細胞の培養物を低血清培地へ移すために、細胞は、高血清から低血清培地へと引き離されるか、または単離後に低血清培地に直ちに置かれうる。SM95およびSM98のような培地は、適した低血清培地であるが、SM95は膵臓細胞の成熟において、わずかに向上したインスリン分泌を生じる。
CD56陽性細胞集団およびその子孫は、典型的には、増殖する能力、および高分泌性内分泌細胞へとさらなる分化のための能力の両方を保持する。CD56陽性細胞は増殖するにつれて、CD56発現の強さはよりはっきりしなくなる可能性があり、いくつかの場合には、RT-PCRによってのみ検出可能である。
CD56細胞の増殖する能力は、グルコース分泌、インスリン産生凝集物への後期の成熟に有効な細胞の数を増大するおよび増加させるそれらの能力において優位性を提供する。増殖性能力は、一般的に、ある1つの密度で蒔かれた培養物の第二の密度へ増大する能力により評価される;例えば、1平方センチメートルあたり180個の細胞で蒔かれた細胞は、1回の継代において1 mlあたり1,800個の細胞へ増大しうる。増殖および継代の繰り返されるサイクルにより、単離された膵臓細胞の出発集団は、PDX-1のような内分泌マーカーおよびインスリンmRNA発現を保持し、かつ成熟した高分泌性内分泌細胞へ分化する能力を保持しながら、約10,000倍またはそれ以上(例えば、約100倍、500倍、1000倍、5000倍、10,000倍、50,000倍、100,000倍、500,000倍または1,000,000倍)、増大されうる。
IV. インスリン産生凝集物の分化誘導
CD56陽性細胞の細胞分化は、細胞凝集の誘導を通して引き起こされうる。CD56陽性細胞が分化するにつれて、CD56発現の強さは、よりはっきりしなくなりうる。細胞凝集は様々な方法において誘導されうる。例えば、凝集および分化は、細胞を集密まで増殖させることにより誘導されうる。凝集および分化はまた、細胞を調整済み(conditioned)培養皿において増殖させることにより誘導されうる。
様々な基材が培養皿を調整するために用いられうる。調整済み培養皿は、中間段階膵臓幹細胞を増殖させるために以前に用いられた培養皿でありうる。いったん、細胞が単層を形成したならば(最初の継代培養播種密度に依存して、典型的には約5日間)、それらはトリプシン処理により取り出される。100%集密的細胞培養の増殖は、調整済み培養皿を作製することを要求されない。低いトリプシン濃度(典型的には、標準的細胞培養技術に用いられる濃度の1/2または1/4)がマトリックスの広範な分解を防ぐために好ましい。または、細胞単層は、細胞を取り出すが分泌されたマトリックスをあとに残す界面活性剤を用いて、基材から抜き取ることにより取り出すことができる (Gospodarowiczら、Proc Natl Acad Sci USA 77:4094-4098 (1980)参照)。
都合の良いことには、基材または培養皿上で以前に増殖した、取り出された細胞は、分割され、その同じ、たった今調整した、培養皿に再び蒔かれうる。しかしながら、基材を調整する培養物、および基材に蒔かれる培養物は、同じ培養物である必要はない。従って、一つの細胞の培養が、基材を調整するために基材上で増殖され、その細胞は除去され、もう一つの培養からの細胞がその調整した基材上に蒔かれうる。調整する細胞は、引き続いて培養される細胞と同じもしくは異なるドナーまたは種由来でありうる。
もう一つの態様において、コラーゲンコーティングで調整したプレートが本発明に用いられる。コラーゲンコーティングプレートは、商業的に入手できる。好ましい態様において、コラーゲンIVコーティングプレートが、膵臓細胞の凝集および分化を誘導するために用いられる。
CD56陽性細胞の成熟インスリン産生細胞への分化はまた、分化因子の存在下における細胞の増殖により促進されうる。好ましい分化因子は、肝細胞成長因子、ケラチン生成細胞成長因子およびエキセンディン4を含む。肝細胞成長因子は、培養およびトランスジェニック動物において膵臓細胞の分化をもたらすことが示された。例えば、Mashima, Hら、Endocrinology、137:3969-3976 (1996);Garcia-Ocana, Aら、J. Biol. Chem. 275:1226-1232 (2000);およびGahr, Sら、J. Mol. Endocrinol. 28:99-110 (2002)を参照。ケラチン生成細胞成長因子は、トランスジェニック動物において膵臓細胞の分化をもたらすことが示された。例えば、Krakowski, M.L.ら、Am. J. Path. 154:683-691 (1999)およびKrakowski, M.L.ら、J. Endochrinol. 162:167-175 (1999)を参照。エキセンディン4は、培養において膵臓細胞の分化をもたらすことが示された。例えば、Doyle M.E.およびEgan J.M.、Recent Prog. Horm. Res. 56:377-399 (2001)およびGoke Rら、J. Biol. Chem. 268:19650-19655 (1993)を参照。bFGFは、マイクロカプセル化膵島においてインスリン分泌を増加させることが示された。例えば、Wang W.ら、Cell Transplant 10(4-5):465-471 (2001)を参照。IGF-Iは、膵臓の導管細胞の分化に影響を及ぼし、IGF-I置換治療がI型糖尿病治療に用いられた。例えば、Smith FE.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 15;88(14):6152-6156 (1991)、Thrailkill KM.ら、Diabetes Technol. Ther. 2(1):69-90 (2000)を参照。NGFが膵臓β細胞機能において重要な自己調節的な役割を果たすことを証拠が示した。例えば、Rosenbaum T.ら、Diabetes 50(8):1755-1762 (2001)、Vidaltamayo R.ら、FASEB 16(8):891-892 (2002)、およびPierucci D.ら、Diabetologia 44(10):1281-1295 (2001)を参照。EGFは、島増殖を促進し、かつインスリン分泌を刺激することが示された。例えば、Chatterjee AK.ら、Horm. Metab. Res. 18(12):873-874 (1986)を参照。PDGFは、CD56陽性細胞の生存に影響を及ぼすことが示された。例えば、Ben-Hur T.ら、J. Neurosci. 18(15):5777-5788 (1998)を参照。
V. CD56陽性細胞およびそれらの子孫の特徴付け
CD56陽性細胞およびそれらの子孫の分化状態を測定することが有用でありうることを当業者は認識している。膵臓細胞の分化状態は、様々な方法で測定することができ、分化のタンパク質およびmRNAマーカーの測定、ならびに膵臓細胞の機能アッセイ法、例えばグルコース刺激に応答してインスリンを分泌する能力を含む。
A. 表現型アッセイ法
成熟膵臓細胞がいつ存在しているかを知るために、培養の特定の段階において膵臓細胞の表現型をアッセイすることが有用である。特定のタンパク質の発現は、細胞同一性または分化状態と相関するため、細胞は、それらの同一性もしくは分化状態を評価するためにマーカー遺伝子またはタンパク質の発現について分析されうる。例えば、新鮮に単離された膵臓組織において、アミラーゼの発現は、細胞を外分泌腺房細胞と同定し、一方、インスリンの発現は、細胞を内分泌島細胞と同定する。同様に、分化の初期における島細胞は、通常、サイトケラチンCK-19について陽性であり、一方、成熟島細胞は、より少量のCK-19の発現を示す。
表現型的性質は、細胞ごとを基本として、または集団平均として、アッセイされうる。アッセイの様式は、特定の必要条件およびアッセイ技術の方法に依存する。このように、固定化切片においてまたはFACS分析による懸濁した細胞において行われる、免疫組織化学によるマーカー発現のアッセイ法は、個々の細胞が所定のマーカーを発現させる頻度および強度を測定する。他方では、細胞集団全体に関して、平均の、インスリン対アクチンのmRNA発現の比率のような性質を測定することが望ましい。そのような場合、アッセイ法は、典型的には、細胞のプールからmRNAを回収し、インスリンおよびアクチンのメッセージの総量を測定することにより行われる。多くの表現型的性質は、細胞かまたは集団かのいずれかを基本としてアッセイされうる。例えば、インスリン発現は、分泌顆粒におけるインスリンの存在について個々の細胞を染色することによるか、または細胞のプールを溶解し、総インスリンタンパク質量についてアッセイすることによるかのいずれかにより、アッセイされうる。同様に、mRNA量は、細胞を溶解し、mRNAを回収することにより細胞の集団に関して、またはインサイチューハイブリダイゼーションにより個々の細胞を基本として、測定されうる。
1. 細胞分化マーカー
膵臓細胞の集団を同定するために用いられうる多数の細胞マーカーがある。単離および培養されたドナー細胞は、分化した膵臓細胞の様々な表現型および遺伝子型のしるし(indicia)を示し始める。表現型および遺伝子型のしるしは、調節される(例えば、上方制御されるかまたは下方制御されるかのいずれか)条件的前駆細胞集団に存在する様々な分子マーカーを含む。これらの分子マーカーは、CK-19を含み、それは、膵臓の条件的幹細胞のマーカーであると仮定される。
典型的には、哺乳動物幹細胞は、それらの最終的な発生の終点へと成熟する場合、多数の発生段階を通って進行する。発生段階は、しばしば、発達中の細胞に存在するまたは存在しないマーカーを同定することにより測定されうる。ヒト内分泌細胞は、類似した様式で発達するため、それらが幹細胞様表現型から擬似島(pseudoislet)表現型へ移行する場合、様々なマーカーが、細胞を同定するために用いられうる。
本発明の方法により増殖または分化するように誘導された細胞におけるマーカーの発現は、正常なヒト膵臓発生におけるマーカー発現の配列といくらかの類似性をもつ。発生のごく初期に、始原上皮細胞は、PDX-1、ホメオドメイン核因子である初期細胞マーカーを発現する。細胞が発達するにつれて、それらは出芽して、導管を形成し始める。これらの細胞は、サイトケラチン19、上皮導管細胞についてのマーカーを発現させ、かつ内分泌細胞へと発生的に導くPDX-1を一時的に発現させる。これらの細胞が発達し続けるにつれて、それらはインスリン、ソマトスタチンまたはグルカゴンを発現させる能力を獲得する。最終的な分化した細胞は、一つを発現できるのみであり、α細胞(グルカゴン)、β細胞(インスリン)、およびδ細胞(ソマトスタチン)になる。本明細書に用いられるCD56陽性細胞集団は、発生の完全に分化した段階未満にあると考えられ、増殖する能力および成熟内分泌細胞へと分化する潜在能力を保持している。細胞は実際に発生経路における前駆体の例であろうが、または単に、インビトロでの操作の結果にすぎないのであろうが、CD56陽性細胞は、増殖すること、加えて内分泌ホルモンを発現させることができ、それゆえに、任意の型の島細胞における欠損を補正するために用いられるための潜在能力を有する。
対象となるマーカーは、膵臓において一時的および組織特異的パターンにおいて発現される分子である(Hollingsworth、Ann N Y Acad Sci 880:38-49 (1999)参照)。これらの分子マーカーは、3つの一般的なカテゴリー:転写因子、notch経路マーカー、および中間径フィラメントマーカーに分類される。転写因子マーカーの例は、PDX-1、NeuroD、Nkx-6.1、Isl-1、Pax-6、Pax-4、Ngn-3、およびHES-1を含む。ノッチ経路マーカーの例は、Notch1、Notch2、Notch3、Notch4、Jagged1、Jagged 2、Dll1、およびRBPjkを含む。中間径フィラメントマーカーの例は、CK19およびネスチンを含む。膵臓β細胞の前駆体のマーカーの例は、PDX-1、Pax-4、Ngn-3、およびHb9を含む。成熟膵臓β細胞のマーカーの例は、インスリン、ソマトスタチン、glp-9、およびグルカゴンを含む。
培養または単離された細胞においてタンパク質の発現および核酸マーカーを評価するための方法は、当技術分野において標準的なものであり、定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、ノーザンブロット、およびインサイチューハイブリダイゼーション(例えば、Current Protocols in Molecular Biology (Ausubelら編、2001 別冊)参照)、ならびに切片化材料の免疫組織化学的分析、ウェスタンブロッティング、および無傷細胞においてアクセスできるマーカーについて、フローサイトメトリー分析(FACS)(例えば、HarlowおよびLane、Using Antibodies: A Laboratory Manual, New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press (1998)参照)のような免疫アッセイ法を含む。内分泌細胞分化の通常の組織化学的マーカーもまた用いられうる。免疫組織化学により調べられる細胞は、顕微鏡検査のためのガラスチャンバースライド上で培養されうる。または、通常の組織培養で増殖した細胞は、培養物から手作業で取り出され、切片作製のためにパラフィンに包埋されうる。PDX-1抗体は、Leonard J.ら、Mol. Endocrinol.、1993年10月7日、(10) 1275-1283の教示に従って作製されうる。
細胞分化マーカーは、様々であり、通常の免疫組織化学により検出されうる。一般的に適用可能なプロトコールが続く。
染色処理は、スライドのチャンバー部分を取り除くことから始まる。細胞を、非常に穏やかに緩衝液ですすぎ、パラホルムアルデヒド溶液中に固定した。その後、細胞を、室温で、正常の血清を含むブロッキング溶液中でインキュベートする。細胞を、ブロッキング溶液中で非イオン性界面活性剤で透過化処理をした。下に列挙されているような一次抗体を、適切な希釈度でブロッキング溶液中に調製し、細胞へ加え、インキュベートする。一次抗体とインキュベートした後、細胞を緩衝液ですすぎ、ブロッキング溶液中で再びブロックする。
適切な希釈度でブロッキング溶液中に調製された二次抗体を細胞に加え、暗所でインキュベートする。インキュベーション後、細胞をすすぎ、核をヘキスト染料で対比染色した。過剰な液体を除去し、スライドをマウントし、カバースライドで覆う。スライドは乾燥し、暗所で保存される。
または、細胞は、ABC方法を用いる免疫組織化学のために調製されうる。簡単には、細胞をパラフィンに包埋し、パラフィン切片を載せたスライドを37℃で一晩、乾燥させる。細胞を脱パラフィンし、内因性ペルオキシダーゼ活性を抑制するために過酸化水素メタノール溶液中に浸す。スライドを、特定のエピトープを回復させるために0.01クエン酸緩衝液(pH 6.0)中で30分間、煮沸した。スライドを緩衝液ですすぎ、湿ったチャンバー内、室温で、正常な血清を用いてブロックした。
ブロッキング溶液中に調製された一次抗体を試料に加え、湿ったチャンバー内でインキュベートする。スライドを洗浄し、ブロッキング溶液中に調製された二次抗体とインキュベートした。スライドを再び緩衝液ですすぎ、アビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼ試薬または市販キット(例えば、Dako Corporation)のABC複合体とインキュベートした。スライドを再びすすぎ、金の覆いの中で、ジアミノベンジジン発色液;尿素過酸化水素とインキュベートする。蒸留水での洗浄後、スライドをマイヤーのヘマトキシリン中に5分間、浸し、その後水が無色に変わり、核が青色になるまで、スライドを流れる水道水中のままにした。スライドを脱水し、観察のためにマウントする。
2. インスリンmRNA発現
膵臓細胞の同一性、分化、または成熟度を特徴付けるために用いられうる1つのマーカーは、インスリンmRNAのレベルである。例えば、本発明の中間細胞集団は、規定された範囲内のインスリンmRNAの発現を示す。インスリンmRNAを定量化するための方法は、ノーザンブロット、ヌクレアーゼ保護およびプライマー伸長を含む。一つの態様において、RNAは、培養細胞の集団から抽出され、プロインスリンメッセージの量が定量的逆転写PCRにより測定される。逆転写後、インスリンcDNAは、インスリンcDNA配列にハイブリダイズするプライマー、および増幅産物の量が試料に存在しているmRNAの量と相関している増幅条件を用いて、試料から定量的に増幅される(例えば、Zhouら、J Biol Chem 272:25648-25651 (1997)参照)。反応速度定量化工程は、出発mRNAレベルが正確に測定されうるため好ましい。
しばしば、インスリンmRNAの量は、アクチンのような構成的に発現されるmRNAに対して正規化され、アクチンのmRNAは、アクチン特異的プライマーを用いて同じRNA試料から特異的に増幅される。このように、インスリンmRNAの発現のレベルは、インスリンmRNA増幅産物のアクチンmRNA増幅産物に対する比率、すなわち、簡単には、インスリン:アクチンのmRNA比率、として報告されうる。他の膵臓ホルモン(例えば、ソマトスタチンまたはグルカゴン)をコードするmRNAの発現は、同じ方法により定量化されうる。インスリンおよびアクチンのmRNAレベルはまた、インサイチューハイブリダイゼーションにより測定され、その後インスリン:アクチンのmRNA比率を決定するために用いられうる。インサイチューハイブリダイゼーション方法は、当業者に知られている。
B. 機能的アッセイ法
a) グルコース刺激によるインスリン分泌
β細胞の重要な機能の一つは、グルコースレベルに従ってそれのインスリン分泌を調整することである。典型的には、静的グルコース刺激(SGS)アッセイ法が、それらが異なるグルコースレベルに応答してインスリンを分泌することができるかどうかを同定するために増殖性付着性膵臓細胞において行われうる。細胞は、一般的に、ほぼ集密的になるまで適切な基材上で培養される。SGS試験の3日前に、培地は、類似した特性であるが、インスリンを欠きかつ1 g/Lのグルコースのみを含む培地に交換される。培地は、3日間毎日、交換され、SGS試験は4日目に行われる。
試験の前に、培地は、グルコースおよびインスリンの分析のために回収されうる。試験のために細胞を調製するために、細胞は、ダルベッコのリン酸緩衝食塩水(DPBS)+0.5% BSAで2回、洗浄され、各洗浄について5分間、インキュベートして、その後1度、DPBS単独で洗浄され、また5分間、インキュベートする。洗浄後、細胞は、60 mg/dl グルコースを含む10 ml(100 mm皿中)または5 ml(60 mm皿中)のクレブス-リンガーSGS溶液(KRB-60)と、30分間、37℃のインキュベーターにおいてインキュベートされる。このインキュベーションはその後、繰り返される。
SGSアッセイ法を行うために、細胞は、3 ml(100 mm皿)または4 ml(T75フラスコ)または2 ml(60 mm皿)のKRB-60において、37℃で20分間、インキュベートされる。培地は、吸引かつ回転され、LG-1(低グルコース刺激による段階)としてのインスリンアッセイのために回収される。KRB-450+テオ(theo)(450 mg/dl グルコースおよび10 mM テオフィリンを含むKRB)がその後、上と同じ容量で添加され、細胞は、上と同じ条件下で培養される。上清は、HG(高グルコース刺激による)としてのインスリンアッセイのために回収される。細胞は、その後再びKRB-60とインキュベートされ、培地は、LG-2として、およびこの次にLG-3として、回収される。培地は、インスリン分析のために回収され、インスリン含有量が放射性免疫アッセイ法(RIA)または他の適したアッセイ法により測定されるまで、-20℃で保存される。
SGS試験の結果は、しばしば、LG-1インスリン値で割ったHGインスリン値として定義される、刺激指数として表される。一般的に、約2またはそれを超える刺激指数が、SGSアッセイ法において陽性結果であるとみなされるが、他の値(例えば、1.5、2.5、3.0、3.5など)が特定の細胞集団を規定するために用いられうる。
VI. CD56陽性細胞またはそれらの子孫の移植および膵臓内分泌機能の修復
増殖性CD56陽性細胞が、移植のための再生可能資源および哺乳動物における膵臓機能の修復を提供することを当業者は認識している。増殖性CD56陽性膵臓細胞は、最初、哺乳動物への移植の前に分化させる。使用者により望ましい場合には、CD56細胞は、移植の前にカプセル化されうる。
A. カプセル化
CD56陽性細胞のカプセル化は、結果として、カプセル内に細胞凝集物の形成を生じる。カプセル化は、宿主動物の免疫応答を最小限にしながら、膵臓細胞が糖尿病の宿主へ移植されることを可能にする。カプセル化膜の多孔度は、外来細胞への宿主の免疫系のアクセスを制限しながら、カプセルからインスリンのような生体適合物質の分泌を可能にするように選択されうる。
カプセル化方法は、当技術分野において知られており、以下の参照文献に開示されている:van Schelgaarde & de Vos、J. Mol. Med. 77:199-205 (1999)、Uludagら、Adv. Drug Del Rev. 42:29-64 (2000)ならびに米国特許第5,762,959号、第5,550,178号および第5,578,314号。中間段階膵臓幹細胞のカプセル化の一般的な説明は以下である。特定の例は、本出願の実施例5および9に見出される。
カプセル化方法は、同時係属中の出願PCT/US02/41616(参照として本明細書に組み入れられている)に詳細に記載されている。
B. 移植
哺乳動物への移植および内分泌機能のその後のモニタリングは、島移植について一般に用いられる方法に従って行われうる;例えば、Ryanら、Diabetes 50:710-719 (2001);Peckら、Ann Med 33:186-192 (2001);Shapiroら、N Engl J Med 343(4):230-238 (2000);Carlssonら、Ups J Med Sci 105(2):107-123 (2000)およびKuhtreiber, WM、Cell Encapsulation Technology and Therapeutics、Birkhauser、ボストン、1999を参照。移植の好ましい部位は、腹膜腔、肝臓および腎臓嚢を含む。
当業者は、意図されたレシピエントについてマイクロカプセルの適切な投与量を決定することができる。投与量は、レシピエントのインスリン要求に依存する。マイクロカプセルにより分泌されるインスリンレベルは、免疫学的に、または生物学的活性の量により、測定されうる。レシピエントの体重もまた、投与量を決定する場合に考慮に入れられうる。必要な場合には、1回より多い移植が、カプセル化細胞へのレシピエントの応答をモニターしながら、行われうる。このように、移植に対する応答は、カプセル化細胞の投与量についての指針として用いられうる(Ryanら、Diabetes 50:710-719 (2001))。
C. 膵臓内分泌機能のインビボの測定
レシピエントにおけるカプセル化細胞の機能は、グルコースへのレシピエントの応答をモニターすることにより測定されうる。カプセル化細胞の移植は、結果として、血糖値の制御を生じうる。さらに、膵臓内分泌ホルモン、インスリン、Cペプチド、グルカゴンおよびソマトスタチンの増加したレベルという証拠が、移植されたカプセル化細胞の機能を示しうる。
血糖の制御が異なる方法でモニターされうることを当業者は認識している。例えば、血糖は、直接的に測定することができ、体重およびインスリン要求も測定されうる。経口のグルコース負荷試験もまた与えられうる。腎機能はまた、他の代謝性パラメーターが測定されうるように、測定されうる。(Soon-Shiong, P.ら、PNAS USA 90:5843-5847 (1993);Soon-Shiong, P.ら、Lancet 343:950-951 (1994))。
本明細書に参照されたすべての参照文献および特許刊行物は、本明細書に参照として組み入れられている。
上で提供された開示から理解されうるように、本発明は、幅広い種類の適用をもつ。従って、以下の実施例は、例示目的のために提供され、決して、本発明に対する限定として解釈されるものではない。
実施例
実施例1
膵臓細胞の単離および最初の培養(継代1および2)
典型的には、CD56陽性膵臓幹細胞は、ドナー膵臓から単離される。単離された膵臓細胞の混合された集団は、CD56陽性膵臓前駆細胞の増殖を促進するための条件下で培養される。
器官調達
HD407成人膵臓は、20歳の女性器官ドナーから採取された。器官は、以下の工程を用いて島単離のために消化された。
ドナーから膵臓を取り出すために、腹大動脈が最初、腎動脈の接合部の下にカニューレを挿入された。門脈灌流は、下腸門膜静脈の挿管を通して行われた。カニューレは、門静脈と脾静脈の接合部まで以上、挿入された。2-0タイ(tie)は、脾静脈あたりの門静脈の接合部に置かれた。もう一つの2-0タイは、脾動脈あたりに置かれた。
脾静脈は、結紮され、灌流が開始される直前に脾臓側で切開された。この方法は、島に損傷を与えうる高圧を増加させることなく、膵臓の灌流をより効率的にさせる。それはまた、灌水を脾臓および膵臓から肝臓へ排出するのを避ける。網嚢が開かれ、生理食塩水スラッシュが膵臓へ適用された。1リットルの大動脈灌流後、脾動脈は結紮された。
肝臓および腎臓チームが脾静脈および下方胃管を切開する時、膵臓は十分に保護された。膵臓は、膵臓への損傷のリスクを低下させ、かつまた汚染のリスクを低下させるために、十二指腸の縁で分割された。
器官は、UW溶液で満たされたプラスチック袋に保存され、輸送のために滅菌生理食塩水スラッシュを含むナルジーン(Nalgene)ジャーに置かれた。
ドナー膵臓からのヒト島の単離
膵臓組織は、機械的破壊およびHBSS中のリベラーゼ(Liberase)(1.5 mg/ml)での消化により解離された。240ミリリットルのリベラーゼ溶液は、導管のカニューレ挿入を通して膵臓へ注入された。器官は、約10〜20分、組織が柔らかくなるまで、37℃で、800 ml 焼き戻しビーカーにおいてインキュベートされた。
主要な導管は、組織塊から除去され、その組織塊は、その後金属消化チャンバーへ移された;自動循環消化が開始された。遊離島が試料に現れた時に、200 ml 消化物が回収され、120 ml(0.75 mg/ml) 新鮮なリベラーゼ溶液がさらなる消化のために系へ添加された。
島の大部分が周辺組織から遊離された後、消化物が回収され、培地A2(RPMI中に2% FBS)で希釈された。細胞は、4℃、1,000 rpmで2分間、遠心分離により、3回、A10(RPMI中10% FBS)で洗浄された。
島は、米国特許第5,739,033号に記載されているように、PIPSの溶液(UW溶液中にナイコデンツ(Nycomed AS、ノルウェイ))において3層密度勾配分離により腺房細胞から分離された。
洗浄された膵臓細胞のペレットは、320 ml PIPS(密度1.114)と混合され、10分間、氷上でインキュベートされた。8本の250 ml平底遠心分離管は、70 ml PIPS(密度1.090)で満たされた。細胞/PIPS懸濁液の40ミリリットルが、各管へ下に置かれた。2% FBSを含むRPMIの60ミリリットルが、PIPSの上面にかぶせられた。管は、1,500 rpmで、ブレーキをかけることなく6分間、05、ARCローターをもつSorvall RC-3C Plusを用いて遠心分離された。
上部界面、下部界面(捕捉された島、断片的島、腺房および導管細胞の混合物)およびペレット(主として、腺房および導管細胞)は、別々に回収された。
細胞は、培地A10でさらに2回、洗浄された。島細胞の約10%を含む、密度勾配1,090と1,114の間の細胞が、回収され、組織培養フラスコに蒔かれた。単離された細胞は、4:1比でのSM95およびM3の培地の混合物中で培養された。細胞がフラスコに付着した後の3〜5日以内に、細胞は、100% SM95培地へ交換された。その後、細胞は、8日目に継代培養され(継代1、P1)、および12日目に再び継代培養された(継代2、P2)。
実施例2
FACS選別によるCD56陽性細胞の選択
単離された膵臓細胞は、最初、CD56特異的抗体とインキュベートされ、続いて、CD56特異的抗体に特異的な、蛍光標識された二次抗体とインキュベートされる。標識CD56陽性細胞は、FACSによりCD56陰性細胞から分離される。
P2細胞の4つの皿は、0.5%トリプシン/0.2%EDTA(Sigma、T3924)と5分間、インキュベートされ、4℃PBS中で2回、洗浄された。その後、細胞は、40 μM 細胞ストレーナーを通して洗浄された。700万個の細胞が回収された。100万個の細胞がアイソタイプ染色対照として用いられた;細胞の残りはFACS選別に用いられた。
細胞は、50%正常ヤギ血清で、4℃、10分間、ブロックされ、その後一次抗体として抗CD56抗体の1:20希釈溶液(Hybridoma Bank of University of Iowa)で、4℃、1時間、染色された。細胞は、結合していない抗体を除去するために4℃PBSで2回、洗浄され、その後50%正常ヤギ血清で、4℃、10分間、ブロックされた。その後、細胞は、FITCに結合した1:100希釈の二次抗体と30分間、インキュベートした。
対照試料として、上の一次抗体が、アイソタイプ対照抗体である、抗マウスIgGに置換された。他の段階は、上と同じであった。
FACS機、Becton DickinsonからのFACSCaliburシステムは、使用前に、10%漂白剤を30分間、その後滅菌したPBSを1時間、流すことにより殺菌された。
ヒストグラムにおけるFITC強度の陰性対照領域は、アイソタイプ対照試料を流すことにより決定された。壊死組織片からのノイズシグナルを避けるために、主要な細胞集団のためのゲートが作製された。ヒストグラムは、このスキャンから作成された。染色された領域は、陰性領域(M1)としてマークを付けられた。M1を超える少しでも強い染色強度は、陽性結果とみなされた。
抗CD56抗体で染色された細胞は、その後細胞集団における陽性染色のパーセンテージを測定するためにFACSスキャンされた。このスキャンにおける強度は、M1からより強い側へとシフトした。M1を超える領域は、陽性染色とみなされ、M2としてマークを付けられた。
分類ゲートは、選別の前にM2領域に作製された。ゲート内に位置する任意の細胞は、CD56陽性とみなされ、機械により回収された。CD56陽性細胞は、細胞完全性および生存力を維持するのを助けるために4%BSAおよび5ミリリットルのM7でコーティングされた管に回収された。
回収された細胞は、1200 rpmで5分間、遠心分離されて、カウントされた。回収された細胞は、皿あたり約1.4×105個の密度で2つの60ミリメートルの皿に蒔かれ、最初は培地7番で培養された。細胞は、増殖のためにSM95培地へ交換された。
実施例3
CD56陽性細胞の増大および分化
CD56陽性細胞は、10回の継代までの間、培養において増殖かつ増大されうる。CD56細胞は、培養時間を増加させること、およびコラーゲンIVでコーティングされた培養皿において細胞を増殖させることにより分化するように誘導されうる。分化因子、例えば肝細胞成長因子、ケラチン生成細胞成長因子、エキセンディン4、塩基性線維芽細胞成長因子、インスリン様成長因子-I、神経成長因子、上皮成長因子および血小板由来成長因子、が分化過程を増加させるために加えられうる。
細胞増大
継代3
FACS選別されたCD56陽性細胞はM7で培養された。蒔かれた細胞の推定5%が、7日後に培養皿へ付着した。培養物は、継代培養されるまでの3週間、4:1比でのSM95+M7の混合培地へ切り替えられた。
継代4
P3細胞は、継代4(P4)細胞になるように、28日目に1つの1 × 100 mm 培養皿(約8.4 × 104個の細胞)へ継代培養された。P4細胞の培養物はSM95培地で7日間、インキュベートされた。この期間中、細胞増殖速度は有意に増加した。
継代5
P4細胞は、2つの100 mm 培養皿および1つの60 mm コラーゲンIVコーティング培養皿へ継代培養された。60 mm コラーゲンIVコーティング培養皿における細胞は、1日間、培養され、インサイチューインスリンmRNA染色による細胞同定のために固定された。
継代6
6日後、2つの100 mm 皿のP5細胞は、2つの100 mm 培養皿(P6)および2つの6ウェルプレート(P6)へ継代培養された。6ウェルプレートの1つはコラーゲンIVでコーティングされた。100 mm 皿における細胞は、SM95培地で培養された。7日後、1つのプレートからの細胞は液体窒素で凍結された。
6ウェルプレートにおける細胞は、5日間、SM95で培養され、その後分化または成長因子が加えられた。以下の成長因子組み合わせが用いられた:SM95のみ、SM95+50 ng/ml 肝細胞成長因子(HGFまたはH)、SM95+10 ng/ml ケラチン生成細胞成長因子(KGFまたはK)、SM95+1 nM エキセンディン4(E)、SM95+E+H、およびSM95+E+K。細胞は、成長因子と48時間、インキュベートされた。プレートは固定され、インサイチューハイブリダイゼーションによるインスリン検出にまわされた。
継代7
1つの100 mm 皿のP6細胞は、3つの100 mm 培養皿および2 × 6ウェルプレートへ継代培養された。最初のP6プレートが、P7細胞の細胞培養のために再使用された。
継代8
3つの100 mm 培養皿のP7細胞の一部は、P8細胞になるように3つの100 mm 皿へ継代培養された。100 mm 皿の1つは、コラーゲンコーティングされた。残りのP7細胞は、2つの6ウェルプレート(1つはコラーゲンIVコーティングされている)、および凍結保存のための2つの管へ継代培養された。
6ウェルコラーゲンIVコーティングプレートからのP7細胞は、継代6について記載された同じ条件を用いて第二の6ウェルプレートへ継代培養された。インキュベーション後、細胞は、RT-PCRによる分析にまわされた。コーティングされていない6ウェルプレート細胞由来のP7細胞は、1つの100 mm 皿へ継代培養された。100 mm 皿のP8細胞は、SM95で培養された。
100 mm P7皿から継代培養された2つの6ウェルプレートにおけるP8細胞はまた、P6細胞と同じ条件下で増殖された(1つはコラーゲンIVコーティングされている、1つは標準どおり)。インキュベーション後、細胞はインサイチューインスリンmRNA染色のために固定された。
継代9
2つのコーティングされていない100 mm 培養皿からのP8細胞は、5つの100 mm 皿へ継代培養された。100 mm コラーゲンIVコーティング皿における細胞は、2つの100 mm コラーゲンIVコーティング皿へ継代培養された。
残り1つの100 mm 皿における細胞の一部は、4つの管に凍結され、その残りは、2つの6ウェルプレート(1つはコラーゲンIVコーティングされている)へ継代培養され、SM95培地で5日間、培養され、その後2日間、継代6において列挙された追加の因子を含むSM95培地へ切り替えられ、インサイチューインスリンmRNA染色のために固定された。
継代10
2つの100 mm P9皿は、2匹のSTZ誘導化糖尿病マウスへの移植のために用いられた。2つの100 mm P9皿はCD56スキャニングのために用いられた。2つの100 mm P9皿は、凍結保存された。1つの100 mm 皿(9番)は、1つの100 mm 皿(P10)へ継代培養され、細胞はまた、RT-PCRおよびICC研究のために取っておかれた。
細胞分化
細胞分化は細胞凝集により誘導された。細胞凝集は、培養時間を増加させることおよびコラーゲンIVでプレートをコーティングすることにより誘導された。分化過程は、成長および分化因子、例えば肝細胞成長因子、ケラチン生成細胞成長因子、およびSM95+1 nM エキセンディン4の添加により高められた。
実施例4
CD56選別された細胞およびCD56細胞の子孫の特徴付け
2回の継代後、インスリン発現が、インサイチューハイブリダイゼーションにより、CD56陽性細胞の70%において検出された。5回の継代後(継代8)、インスリン陽性クローンがCD56陽性細胞において発生し、インサイチューハイブリダイゼーションを用いて検出された。インスリン発現およびβ細胞の前駆体のマーカーの発現の両方もまた、継代8で分化因子で処理されたCD56陽性細胞においてPCRにより検出された。
インサイチューハイブリダイゼーション
細胞分化は、インサイチューインスリンmRNAアッセイ法により測定されるようなインスリン発現により決定された。いくらかの細胞凝集物は、培地交換時に洗い落とされた。残っている付着細胞が分析された。
用いられたプロトコールは、本質的に、ChitnisらおよびHenriqueらのものであった。例えば、Chitnisら、Nature 375:761-766 (1995);およびHenriqueら、Nature 375:787-790 (1995)を参照されたい。
簡単には、培養細胞は、1回、PBSで洗浄され、その後室温で1〜2時間か、または4℃で2時間〜一晩かのいずれかで、PBS中の4% ホルムアルデヒドを用いて固定された。その後、細胞は、0.1% ツイーン20を含むPBS(PTW)において3回、洗浄された。各洗浄は10分であった。その後、細胞は100% MeOHへ移された。
細胞は、75%、50%、25% MeOH/PTWの連続的洗浄で再水和され、その後PTWのみで3回、洗浄された。その後、細胞は、PTW中の1 μg/ml プロテイナーゼKで、10分間、予め温められた溶液を用いて37℃で、処理された。プロテイナーゼK除去後、細胞は、PTWで2回、短時間、すすがれ、PTW中の4% HCHO+0.1% グルタルアルデヒドにおいて20分間、後固定された。細胞は、その後PTWで1回、すすぎ洗浄された。
プレハイブリダイゼーションについて、細胞は、1:1 PTW/ハイブリダイゼーション混合物で1回、すすがれ、その後1ミリリットルのハイブリダイゼーション混合物ですすがれた。1ミリリットルの新鮮なハイブリダイゼーション混合物が加えられ、細胞は、少なくとも1時間、65℃で穏やかに混合しながらインキュベートされた。
ハイブリダイゼーションについて、1 μg/ml DIG標識RNAプローブを含む1ミリリットルの予め温められたハイブリダイゼーション混合物が細胞へ加えられた。細胞は、65℃/一晩、穏やかに混合しながらインキュベートされた。
以下のハイブリダイゼーション混合物が用いられた。
Figure 2005537803
ハイブリダイゼーション後、細胞は、65℃に予め温められたハイブリダイゼーション混合物で2回、すすがれた。細胞は、その後予め温められたハイブリダイゼーション混合物で65℃において10分間、洗浄された。細胞は、その後65℃において、また65℃に予め温められた洗浄溶液1(50% ホルムアミド/1×SSC/0.1% ツイーン20)で30分間、3回、洗浄された。
続いて、65℃において予め温められた1:1洗浄溶液1/マレイン酸緩衝液(MABT:100 mM マレイン酸、150 mM NaCl、0.1% ツイーン20、pH 7.5)で10分間洗浄した。MABTでの30分間の2回の洗浄が続いた。細胞は、その後MABT+2%ベーリンガーブロッキング試薬(Boehringer Blocking Reagent)において室温で1時間、洗浄された。
二次抗体について、細胞は、MABT+2% BBR+20% 加熱処理されたヤギ血清(65℃、30分間)の2ミリリットルにおいて、1〜2時間、プレインキュベートされた。抗DIG-AP抗体の1/3000希釈溶液を含むMABT+2% BBR+20% 血清の溶液が、4℃での一晩インキュベーションのために加えられた。
二次抗体でのインキュベーション後、細胞は、MABTで3回、すすがれ、その後10〜20ミリリットルのMABTで1時間、3回、洗浄された。細胞は、その後NTMTで10分間、3回、洗浄された。(下記参照)。
細胞は、NTMT+4.5 μl/ml NBT+3.5 μl/ml BCIPの1.5ミリリットルで、最初の20分間、振動させて、インキュベートされた。
色は、30分〜3日の期間の間、発色させられた。細胞は、その後PTWで3回、洗浄された。細胞は、4% HCHO/0.1% グルタルアルデヒド/PTWにおいて一晩、再固定され、続いて、PTWで洗浄され、+4℃でPTW/0.1% アジドに保存された。細胞は、その後50% グリセロール/PTW、次に80% グリセロール/PTW/0.02% アジドにおいて透明にされた。
Figure 2005537803
P2細胞(例えば、CD56選別の前)の集団は、ほとんどインスリン陽性細胞を含まなかった。インサイチューハイブリダイゼーション分析を用いて、インスリン発現は、P5におけるCD56選別された細胞の70%において検出された。インスリン発現はまた、コラーゲンIVコーティングプレートまたは未処理のプレート上において様々な成長因子の存在または非存在下で増殖したP6由来の細胞において、インサイチューハイブリダイゼーションにより検出された。
インスリン陽性細胞は、P8におけるCD56選別された細胞においてインサイチューハイブリダイゼーションにより検出された。さらに、インスリン陽性クローンが、肝細胞成長因子の存在下において増殖されたP8細胞において検出された。インスリン陽性細胞は、P9においてインサイチューハイブリダイゼーションによりまだなお検出されたが、FACS分析により、CD56陰性細胞がP9細胞集団に存在していることが示された。
RT-PCR
PCRはまた、細胞の分化状態を分析するために用いられた。リアルタイムRT-PCRは、インスリン、グルカゴンおよびソマトスタチンの分析のために用いられた。標準型RT-PCRは、Hlex9、Pax4およびGLP-1Rについてアッセイするために用いられた。
対様(paired-like)ホメオボックスタンパク質をコードするヒトPax4転写産物の検出のために、以下のPCRプライマーが用いられた。
Figure 2005537803
PCRサイクルは、1回の95℃で3分インキュベーションで始まった。以下のサイクルが40回、繰り返された:95℃で30秒;55℃で30秒;72℃で1分。PCRは、72℃で5分伸長で終了した。
ホメオボックス遺伝子である、ヒトHlxb9転写産物の検出のために、以下のPCRプライマーが用いられた。
Figure 2005537803
PCRサイクルは、1回の95℃で3分インキュベーションで始まった。以下のサイクルが40回、繰り返された:95℃で30秒;59℃で45秒;72℃で1分。PCRは、72℃で5分伸長で終了した。
ペプチド受容体のようなグルカゴンをコードするヒトGlp-1R転写産物の検出のために、以下のPCRプライマーが用いられた。
Figure 2005537803
PCRサイクルは、1回の95℃で3分インキュベーションで始まった。以下のサイクルが40回、繰り返された:95℃で30秒;58℃で45秒;72℃で1分。PCRは、72℃で5分伸長で終了した。
RT-PCRは、β細胞の前駆体についてのマーカーおよび成熟β細胞のマーカーの、存在または非存在を測定するために用いられた。成熟β細胞のマーカー、インスリン、ソマトスタチン、グルカゴン、およびグルコーストランスポーターアイソフォーム(GLUT2)についての結果は、表3に提示されている。
Figure 2005537803
β細胞についての前駆体マーカーおよびβ細胞マーカーはまた、RT-PCRにより検出された。Hb-9およびPax-4は、前駆体β細胞において発現される転写因子である。Hb-9およびPax-4の両方は、様々な成長因子で処理された、コラーゲンIVプレートでのすべてのCD56選別された細胞において検出された。Hb-9はまた、成熟β細胞に発現された。
GLP-1受容体は、成熟β細胞についてのマーカーである。GLP-1受容体転写産物は、P8での本発明者らのCD56選別された細胞において検出され、それは、CD56選別された細胞が成熟β細胞と系譜関係をもつことを示している。
実施例5
CD56陽性細胞およびそれらの子孫のインビボの機能
CD56陽性細胞由来の継代9細胞は、SCIDマウスへ移植された。移植後、ヒトCペプチドがマウスに検出され、移植された細胞がインビボでインスリンを分泌することを示した。
2匹のSCIDマウスは、P9培養皿からの200万個のCD56選別された細胞を注射された。(例えば、マウス1匹あたり100ミリリットル皿の細胞。)一方の皿が、SCIDマウス2-22番へ腹膜内に注射された。他方の皿は、SCIDマウス2-23番へ皮下に注射された。
注射されたP9細胞のインビボの機能を評価するために、ヒトCペプチドが、LINCOからのRIAキットを用いて移植の5日後に測定された。両方のマウスは、5日目においてヒトCペプチドについて陽性であった。SCIDマウス2-22番における血液のヒトCペプチドレベルは、0.1 ng/mlであり、SCIDマウス2-23番においては、0.3 ng/mlであった。これは、CD56選別されたP9細胞が成熟β細胞へ分化し、かつ移植後インスリンを分泌するそれらの能力を保持していたことを示している。
実施例6
膵臓培養におけるCD56+細胞の出現および発達の時間経過的研究
HD418成人膵臓細胞が、40歳の女性ドナーから採取された。器官は上記のように消化された。単離された膵臓細胞の混合された集団は、培養の前にヒトCD56に対するモノクローナル抗体(5.1 H11抗体)でのCD56染色のために固定されるか、またはSM95/M7(1:1)における培養のために4ウェルチャンバースライドへ蒔かれるかのいずれかであった。培養細胞は固定され、播種後1日目、2日目、3日目および9日目において、5.1 H11抗CD56抗体で染色された。
CD56発現は、免疫組織化学的技術を用いて測定された。(データは示されず。)培養の前には、島について濃縮されたヒト膵臓細胞においてCD56陽性細胞は検出されなかった。1日目における培養において、CD56陽性細胞は検出されなかった。CD56陽性細胞の検出は、播種後2日目において始まり、CD56陽性細胞は、2日目から9日目まで細胞数において増加するようにみえた。
その時間経過の間、CD56陽性細胞は、他の細胞の上に広くとどまっていた。CD56陽性細胞は、プラスチック表面と直接的に接触するようになる場合、より大きくかつ平板化された形態を示した。
CD56陽性細胞の染色パターンは、時間経過に渡って変化した。初期時点において、CD56染色は、細胞表面中一様に分布されたが、後期時点において、染色は細胞辺縁に局在するようになった。
時間経過的研究は、1)CD56陽性細胞は培養の結果として出現する、2)CD56陽性細胞は増殖の能力がある、および3)CD56陽性細胞は培養中、染色パターンおよび細胞形態に関して動的変化を起こすことを示唆している。
実施例7
CD56の陽性におよび陰性に選択された培養膵臓細胞のRT-PCR分析
HD421成人膵臓が11歳の男性ドナーから採取された。器官は上記のように消化された。P0におけるHD421混合集団膵臓細胞は、1週間、SM95/M7において培養された。107個の細胞が回収され、FACS選別のために5.1 H11抗CD56抗体で標識された。50万個のCD56陽性細胞および50万個のCD56陰性細胞が得られた。CD56陽性細胞、CD56陰性細胞の細胞アリコートおよび選別されていない細胞がRT-PCR分析のために回収された。成熟膵臓内分泌細胞により(Ins、Gcg、Sst、GLUT-2、Pax6およびPdx1)、および膵臓内分泌前駆細胞により(Neuro D、Ngn3)発現される遺伝子が分析された。(例えば、Wilson M.E.ら、Mechanisms of Development 120:65-80 (2003)参照)。
図1は、選別されていない細胞、CD56陽性細胞およびCD56陰性細胞の相対的遺伝子発現レベルを示す。遺伝子発現は、対象となる遺伝子のmRNAコピー数(インスリンmRNAコピー数のような)の、β-アクチンのそれ(β-アクチンのmRNAコピー数)に対する比率として表された。比較のために、選別されていない細胞により発現された遺伝子発現のレベルが1に標準化され、一方、CD56陽性に選別された、および陰性に選別された細胞により発現された遺伝子発現のレベルは、選別されていない細胞のそれに対して何倍の増加または減少としてプロットされた。
図1は、CD56陽性細胞が、選別されていない細胞が有するより多くの内分泌遺伝子発現を有することを示している。追加として、選別されていない細胞は、CD56陰性細胞が有するより高い内分泌遺伝子発現を有する。
実施例8
CD56陽性細胞およびCD56陰性細胞由来の培養ヒト膵臓細胞の膵臓内分泌表現型
磁気ビーズを用いて選択されたCD56陽性およびCD56陰性細胞由来培養膵臓細胞の内分泌表現型が分析された。HD440成人膵臓は、45歳の女性ドナーから採取された。器官は上記のように消化された。混合された膵臓細胞集団は、上記のように培養され、類似したCD56発現が見られた。
HD440から回収されたヒト膵臓細胞は、最初、8:2比のSM95およびM7において培養された。培地は、播種後2〜3日の間の最初の培地交換の時点で100% SM95へ交換され、その後の培養に用いられた。細胞継代1において、培養細胞は、下の工程により、EasySepヒト陽性選択カクテル(EasySep Human Positive Selection Cocktail)(StemCell Technology、バンクーバー、BC、カナダ)でCD56(+)およびCD56(-)集団へ分離された:
1. ヒト膵臓細胞を、トリプシン処理し、PBS中に1 × 108個の細胞/mlの濃度で懸濁した。その後、細胞を、EasySepマグネット(Magnet)への配置のために12 × 75 mm ポリスチレンチューブに入れた。
2. EasySep陽性選択カクテル(抗CD56抗体)を、100 μl/ml細胞で加え、よく混合し、室温で15分間、インキュベートした。
3. 磁気ナノ粒子を、50 μl/ml細胞で加え、よく混合し、室温で10分間、インキュベートした。
4. 細胞懸濁液を、PBSを添加することにより2.5 mlの全容量に調整した。チューブをマグネットへ置き、5分間、放置した。
5. CD56陰性細胞を含む上清画分を捨てた。磁気的に標識された細胞CD56陽性細胞は、EasySepマグネットの磁場により保持されるため、チューブの内側に残った。
6. チューブをマグネットから取り出し、2.5 mlのPBSを細胞懸濁液へ添加し、ピペットで上下させるのを2〜3回、穏やかに行うことによりよく混合した。チューブをもとのマグネットに戻し、5分間、放置した。
7. マグネットにおいて合計で3回の5分間分離として、段階5および6を2回繰り返した。チューブをマグネットから取り出し、CD56陽性細胞を細胞培地SM95に懸濁し、5% CO2 インキュベーター内において37℃でインキュベートした。
8. CD56陰性細胞を含む上清を混ぜ合わせて、1200 rpmで3分間、遠心分離した。細胞を培地SM95に懸濁し、5% CO2 インキュベーター内において37℃でインキュベートした。
CD56陽性および陰性細胞は、それらが分化処理にかけられる時のP8まで、別々に培養された。P2からP8までのCD56陽性および陰性細胞のインスリン遺伝子発現のレベルは、RT-PCRにより分析された。結果は図2に示されている。インスリン遺伝子発現は、培養期間を通じて、CD56陰性細胞においてより、CD56陽性細胞において一貫してより高かった。
P8細胞は、3日間、SM95において培養され、続いて、ポリ-オルニチンでコーティングされた皿上で3日間、MM1分化培地において培養され、その後もう3日間、MM2へ切り替えられた。
段階1:
培地成分、MM1:成熟培地(図3)+25 ng/ml bFGF
皿:15 μg/ml ポリ-L-オルニチンコーティング
細胞:細胞がトリプシン処理され、中和された後に、細胞は上清から取られる。
細胞密度:200万個/100 mm 皿、またはウェルあたり50万個
時間:3〜6日
培地交換;隔日
段階2:
培地成分、MM2:成熟培地(図3)+10 mM ニコチンアミド
皿:15 μg/ml ポリ-L-オルニチンコーティング
時間:3〜6日
培地交換;隔日
凝集した細胞は、静的グルコース刺激(SGS)アッセイ法を用いることによりインスリン機能についてアッセイされた。CD56陽性細胞は、グルコース負荷に応答してのインスリン放出において2倍より多い増加を示した。(例えば、図4参照。)CD56陰性細胞は、グルコース負荷に応答してのインスリン放出において増加を示さなかった。(例えば、図4参照。)
実施例9
CD56(+)細胞由来の培養ヒト膵臓細胞の増殖、凍結保存、分化および機能の特徴付け
初代培養膵臓細胞は、CD56陽性細胞についてP2においてFACS選別された;これらの細胞は上記のように連続的に培養された。P6およびP8におけるCD56陽性細胞は、凍結保存され、液体窒素中に貯蔵された。凍結保存の15ヶ月後、P6およびP8細胞のそれぞれの1つのバイアルを生き返らせ、8 mlのSM95および2 mlのM7培地を含む100 mm 組織培養皿において培養した。2つの培養物は、その後の継代において混ぜ合わされ、P8/10となった。混合後、細胞はSM95培地において培養された。P10/12において、細胞は3日間、SM95で培養され、ポリ-オルニチンでコーティングされた皿上で3日間、MM1分化培地へ継代培養され、その後もう3日間、MM2培地へ切り替えられた。凝集された細胞は、RT-PCRインビトロ分析のために、およびアルギン酸カプセル化後のインビボ分析についての糖尿病のSCIDマウスへの移植のために回収された。
解凍後、混合前にP7およびP9において回収された培養細胞、ならびにP8/10、P9/11、P10/12でP11/13における成熟処理後に回収された混合細胞が、RT-PCRによりインスリン遺伝子発現について分析された。図5に示されているように、インスリン遺伝子発現のレベルは、増殖期の間、継代とともに減少した。しかしながら、インスリン遺伝子発現のレベルは、P11/13における分化処理後に増加し、内分泌前駆細胞がCD56陽性細胞からの培養物に存在していたことを示唆している。それらの前駆細胞は、分化処理に応答して、それらの前のものの細胞より高いレベルのインスリンを産生する細胞へと成熟した。
高レベルのインスリン遺伝子発現は、免疫細胞化学(ICC)分析により検出された強いインスリン産生細胞の存在により確認された(データ示されず) 。強いインスリン産生細胞は、分化処理前の増殖培養において検出されなかった。
インビボ機能を試験するために、P11/13分化処理後細胞は、マクロカプセル化され、STZ誘導化糖尿病のマウスへ移植された。凝集された細胞は、2%高Gアルギン酸、(バッチ番号V4046-02F)を用いてカプセル化された。ゲルは細胞ペレットと混合され(1:1)、18ゲージ針を通してMC2(バッチ番号V4011)溶液へ滴下され、5分間、静置させた。その後、ビーズはMCS(V4008)で3回、洗浄された。
マウスは、筋肉内注射によるケタミン 50 mg/kg体重+ロンパン(Rompun) 10 mg/kg体重からなる麻酔で、移植のために調製された。動物は皮膚準備処置を施され、正中切開がなされた。アルギン酸ビーズは、へらで腹膜腔へ移植された。傷は4-0絹縫合糸を用いて閉じられた。
HD407 CD56(+)P11/13培養細胞由来の細胞凝集物は、約10,000IEQ/kgの用量で糖尿病のSCIDマウス6番の腹腔へ移植された。血糖は、手術前および後に測定された。結果は図6に示されている。移植前には、マウス血糖値は520 mg/dlであった。移植後11日目には、マウス血糖は、409 mg/dlへ低下した。18日目までには、マウス血糖値は121 mg/dlであった。
本明細書に引用されたすべての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願が明確にかつ個々に示されて参照として組み入れられているかのように、参照として本明細書に組み入れられている。
前述の発明は、明確な理解のため、図解および実施例を通してかなり詳細に記載されているが、特定の変化および改変が添付された特許請求の範囲の真意または範囲から逸脱することなく、なされうることは、本発明の教示を鑑みれば当業者には容易に明らかである。
選別されていない細胞、CD56陽性細胞、およびCD56陰性細胞の相対的遺伝子発現レベルを示す。遺伝子発現は、対象となる遺伝子のmRNAコピー数(インスリンmRNAコピー数のような)の、β-アクチンのそれ(β-アクチンのmRNAコピー数)に対する比率として表された。比較のために、選別されていない細胞により発現された遺伝子発現のレベルが1に標準化され、一方、CD56陽性に選別された、および陰性に選別された細胞により発現された遺伝子発現のレベルは、選別されていない細胞のそれに対して何倍の増加または減少としてプロットされた。 増殖中のCD56陽性HD440B細胞のインスリン/β-アクチン比率を示す。CD56陽性細胞は、磁気ビーズで選択された。 成熟培地(MM)の組成を提供する。 CD56陰性細胞由来の継代8細胞における(左パネル)、およびCD56陽性細胞由来の継代8細胞における(右パネル)、静的グルコース刺激(SGS)アッセイ法の結果を提供する。 選択され、継代され、その後P11/13においてMM培地で成熟させられたCD56陽性細胞由来の細胞のインビトロのインスリン発現を示す。 CD56陽性細胞由来のカプセル化された凝集細胞を移植された糖尿病のSCIDマウスの血糖値を示す。

Claims (55)

  1. 細胞の少なくとも50%が細胞表面マーカーとしてCD56を示し、かつ1:1未満のインスリン:アクチンのmRNA比率をもつ、増殖性膵臓細胞の細胞培養物。
  2. 細胞の少なくとも70%が細胞表面マーカーとしてCD56を示し、かつ1:1未満のインスリン:アクチンのmRNA比率をもつ、請求項1記載の細胞培養物。
  3. 細胞の少なくとも70%が細胞表面マーカーとしてCD56を示し、かつ1:100未満のインスリン:アクチンのmRNA比率をもつ、請求項1記載の細胞培養物。
  4. 細胞の少なくとも90%が細胞表面マーカーとしてCD56を示し、かつ1:1未満のインスリン:アクチンのmRNA比率をもつ、請求項1記載の細胞培養物。
  5. インスリン産生細胞凝集物の細胞培養物であって、該細胞培養物が請求項1記載の増殖性膵臓細胞から生成され、細胞の少なくとも50%が細胞表面マーカーとしてCD56を示す、細胞培養物。
  6. 以下の段階を含む、増殖性膵臓細胞の培養物を得る方法:
    (a)膵臓から膵臓細胞を単離する段階;
    (b)膵臓細胞をCD56結合試薬と接触させる段階;
    (c)CD56結合試薬に特異的に結合する膵臓細胞を選択する段階;および
    (d)増殖性膵臓細胞の培養物を得るために、CD56結合試薬を結合しない膵臓細胞から、選択された膵臓細胞を分離する段階。
  7. CD56結合試薬が標識されている、請求項6記載の方法。
  8. 選択段階が蛍光活性化細胞選別により行われる、請求項6記載の方法。
  9. 選択段階がパニングにより行われる、請求項6記載の方法。
  10. CD56結合試薬がCD56タンパク質に特異的に結合する抗体である、請求項6記載の方法。
  11. CD56結合試薬がCD56タンパク質に連結したオリゴ糖に特異的に結合する抗体である、請求項10記載の方法。
  12. CD56結合試薬がCD56タンパク質に連結したオリゴ糖に特異的に結合するレクチンである、請求項6記載の方法。
  13. CD56結合試薬がCD56タンパク質のリガンドである、請求項6記載の方法。
  14. リガンドが可溶性CD56、ヘパリン、およびヘパリン硫酸からなる群より選択される、請求項13記載の方法。
  15. 膵臓がヒト由来である、請求項6記載の方法。
  16. 段階(d)の細胞を増殖させる段階および該細胞をインスリン産生細胞の凝集物へ分化させる段階をさらに含む、請求項6記載の方法。
  17. 細胞を分化させる段階がコラーゲンIVでコーティングされたプレート上で細胞を培養する段階を含む、請求項16記載の方法。
  18. 細胞を分化させる段階が分化因子を含む培地で細胞を培養する段階を含む、請求項16記載の方法。
  19. 分化因子が、肝細胞成長因子、ケラチン生成細胞成長因子、およびエキセンディン4からなる群より選択される、請求項18記載の方法。
  20. 分化因子が肝細胞成長因子である、請求項18記載の方法。
  21. 以下の段階を含むインスリン産生膵臓細胞の凝集物を生成する方法:
    (a)膵臓から膵臓細胞を単離する段階;
    (b)膵臓細胞をCD56結合試薬と接触させる段階;
    (c)CD56結合試薬に特異的に結合する膵臓細胞を選択する段階;
    (d)増殖性膵臓細胞の培養物を得るために、CD56結合試薬を結合しない膵臓細胞から、選択された膵臓細胞を分離する段階;および
    (e)増殖性膵臓細胞培養物をインスリン産生膵臓細胞の凝集物へ分化させる段階。
  22. CD56結合試薬が標識されている、請求項21記載の方法。
  23. 選択段階が蛍光活性化細胞選別により行われる、請求項21記載の方法。
  24. 選択段階がパニングにより行われる、請求項21記載の方法。
  25. CD56結合試薬がCD56タンパク質に特異的に結合する抗体である、請求項21記載の方法。
  26. CD56結合試薬がCD56タンパク質に連結したオリゴ糖に特異的に結合する抗体である、請求項25記載の方法。
  27. CD56結合試薬がCD56タンパク質に連結したオリゴ糖に特異的に結合するレクチンである、請求項21記載の方法。
  28. CD56結合試薬がCD56タンパク質のリガンドである、請求項21記載の方法。
  29. リガンドが可溶性CD56、ヘパリン、およびヘパリン硫酸からなる群より選択される、請求項28記載の方法。
  30. 膵臓がヒト由来である、請求項21記載の方法。
  31. 細胞を分化させる段階がコラーゲンIVでコーティングされたプレート上で細胞を培養する段階を含む、請求項21記載の方法。
  32. 細胞を分化させる段階が分化因子を含む培地中で細胞を培養する段階を含む、請求項21記載の方法。
  33. 分化因子が、肝細胞成長因子、ケラチン生成細胞成長因子、およびエキセンディン4からなる群より選択される、請求項21記載の方法。
  34. 分化因子が肝細胞成長因子である、請求項21記載の方法。
  35. 以下の段階を含む、膵臓の内分泌機能をそのような機能を必要とする哺乳動物へ提供する方法:
    (a)膵臓から膵臓細胞を単離する段階;
    (b)膵臓細胞をCD56結合試薬と接触させる段階;
    (c)CD56結合試薬に特異的に結合する膵臓細胞を選択する段階;
    (d)増殖性膵臓細胞の培養物を得るために、CD56結合試薬を結合しない膵臓細胞から、選択された膵臓細胞を分離する段階;および
    (e)哺乳動物において測定可能な量のインスリンを産生するのに十分な量の増殖性膵臓細胞を該哺乳動物へ移植する段階。
  36. CD56結合試薬が標識されている、請求項35記載の方法。
  37. 選択段階が蛍光活性化細胞選別により行われる、請求項35記載の方法。
  38. 選択段階がパニングにより行われる、請求項35記載の方法。
  39. CD56結合試薬がCD56タンパク質に特異的に結合する抗体である、請求項35記載の方法。
  40. CD56結合試薬がCD56タンパク質に連結したオリゴ糖に特異的に結合する抗体である、請求項35記載の方法。
  41. CD56結合試薬がCD56タンパク質に連結したオリゴ糖に特異的に結合するレクチンである、請求項35記載の方法。
  42. CD56結合試薬がCD56タンパク質のリガンドである、請求項35記載の方法。
  43. リガンドが可溶性CD56、ヘパリン、およびヘパリン硫酸からなる群より選択される、請求項42記載の方法。
  44. 膵臓がヒト由来である、請求項35記載の方法。
  45. 哺乳動物がヒトである、請求項35記載の方法。
  46. 増殖性膵臓細胞が哺乳動物への移植後にインスリン産生膵臓細胞の凝集物へ分化する、請求項35記載の方法。
  47. 哺乳動物への移植前に、増殖性膵臓細胞培養物がインスリン産生膵臓細胞の凝集物へ分化させられる、請求項35記載の方法。
  48. 細胞を分化させる段階がコラーゲンIVでコーティングされたプレート上で細胞を培養する段階を含む、請求項47記載の方法。
  49. 細胞を分化させる段階が分化因子を含む培地中で細胞を培養する段階を含む、請求項47記載の方法。
  50. 分化因子が、肝細胞成長因子、ケラチン生成細胞成長因子およびエキセンディン4からなる群より選択される、請求項47記載の方法。
  51. 分化因子が肝細胞成長因子である、請求項47記載の方法。
  52. 哺乳動物がヒトである、請求項47記載の方法。
  53. 以下の段階により増殖性膵臓細胞の培養物をモニターする方法:
    a)膵臓細胞をCD56結合試薬に接触させる段階;および
    b)細胞表面マーカーとしてCD56を示す細胞の量を測定する段階。
  54. 検出段階が蛍光活性化細胞選別により行われる、請求項53記載の方法。
  55. CD56結合試薬がCD56タンパク質に特異的に結合する抗体である、請求項53記載の方法。
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