JP2011518547A - 膵臓内分泌プレ前駆体細胞及びその子孫のdner媒介細胞精製 - Google Patents

膵臓内分泌プレ前駆体細胞及びその子孫のdner媒介細胞精製 Download PDF

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Abstract

本発明は、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期前駆体細胞、及び/又は完全分化内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む培養体を同定し、得る方法に関する。そのような細胞を分類するだけでなく、そのような細胞数を増やす方法もまた検討される。幾つかの態様では、本発明は内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌、及び/又は完全分化内分泌フェノタイプを伴う細胞のユニークなサブセットの選択を可能にする、選択的な細胞表面マーカーであるDNERに更に関する。幾つかの態様では、選択的な細胞表面マーカーは、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8からなる群から選択される。更に、本発明はそのような細胞とそれらの組成物から選択される単離細胞に関する。

Description

幾つかの態様では、本発明は、膵臓内分泌プレ前駆体表現型とその子孫を有する細胞独特のサブセットの同定、選択及び/又は定量を可能にする、選択的細胞表面マーカーDNERに関する。幾つかの態様では、選択的細胞表面マーカーは、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8からなる群から選択される。
内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞を含む組成物、細胞培養体及び細胞個体群、並びに完全に分化した内分泌細胞を生成させ、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞を検出する方法が考慮される。
ベータ細胞移植には、1型糖尿病の処置が改善されるとの大きな期待が寄せられているが、まずは多くの障害を克服する必要がある。これらのなかには、ドナー島の不足がある。ベータ細胞から誘導される胚性幹(ES)細胞は、原則的には、無制限の数の移植用ベータ細胞を供給可能であるが、完全に機能するベータ細胞を作製するための信頼のおけるプロトコルは、未だ開発されていない。胚性幹細胞からの確定的内胚葉(DE)細胞の形成が、例えば、 国際公開第2005/116073、国際公開第2005/063971及び米国特許第2006/0148081において、マウス及びヒトES細胞の双方で報告されている。例えば、DE細胞からの膵臓内胚葉(PE)細胞の効率的生成は、糖尿病を処置するためのインスリン生成ベータ細胞の作製にとっては有利である。
成人の膵島細胞を培養する試みにおいて、目的は、膵臓ベータ細胞又は島に分化可能な、膵臓及び膵臓内分泌前駆体細胞を単離することが切望されている。外分泌系からの膵臓内分泌系の単離における重要な段階の一つは、膵臓内分泌プレ前駆体細胞及び/又はその前駆体に対して特異的な、認識可能な細胞マーカーを同定することである。細胞内及び細胞外マーカーの双方が、この目的のために調査される。細胞内マーカー、特に完全に分化した島細胞に成長する胚性膵臓細胞からのものは、前駆体マーカーとして、広範囲にわたって研究されている。幾つかの実施態様では、これらの細胞内マーカーは、成熟島細胞に成長する胚性膵臓細胞において検出される転写因子である。転写因子、例えばPdx1、Ngn3、Pax6、及びIsl-1が研究されている。それらは、胚発育中に、膵臓内分泌細胞になるようにプログラムされた細胞において発現している。しかしながら、これらの細胞内マーカーは細胞外マーカーよりも実用的価値が低く、これは、それらのマーカーの発現の分析には、細胞内でのレポーター遺伝子を遺伝的に設計することによる、細胞の永続的修飾又は細胞を殺すことが必要であるからである。
特に、初期の膵臓つぼみ構造(マウス胎児発生の9.5から10.5日に観察される)を含む最も初期の多能性幹細胞又は前駆体細胞は、3つの転写因子:Pdx1、Nkx6.1及びPtflaを共発現する。Ptfla及びNkx6.1の発現は次いで、それぞれ、末梢腺房関連ドメイン及び中枢管/内分泌関連ドメインに区分される。Hald等, J Histochem Cytochem (2008);56(6):587-95を参照されたい。したがって、内分泌系を選択することに既に関与している初期「管/内分泌」前駆対細胞の特定の亜集団のような、膵臓組織サブセットにおいて選択的に発現する有用な表面マーカーを同定することは優先度が高い。我々は、これらの細胞の命名のために、「内分泌プレ前駆対細胞」を使用した。この段階において、DNERは、内分泌プレ前駆体細胞の表面に選択的に発現する。このような細胞は、後に、Ngn3を発現し、内分泌成熟に進行する。
同定されると、細胞外マーカーは、マーカーを発現する細胞が滅菌条件下で選別可能で、生存し続けるという利点を提供する。上皮細胞付着分子、例えばEp-CAM及びインテグリンは、膵臓島前駆体マーカーとして研究されている。例えば、Cirulliら, J. Cell Biol. 140: 1519-1534 (1998);及び Cirulliら, J. Cell Biol. 150: 1445-1460 (2000)を参照のこと。
幾つかの態様では、本発明は特定の膵臓細胞の同定と選択のための細胞外マーカーDNERの使用を開示する。幾つかの態様では、本発明は、特定の膵臓細胞の同定と選択のためのDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8からなる群から選択される細胞外マーカ−の使用を開示する。
幾つかの態様では、本発明は内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞の同定方法において、膵臓細胞を含む細胞個体群をDNER結合試薬に接触させることを含む方法に関する。幾つかの態様では、本発明は、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞の同定方法において、膵臓細胞を含む細胞個体群をDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8からなる群から選択される結合試薬に接触させることを含む方法に関する。
幾つかの態様では、本発明は、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞の培養体を得る方法において、膵臓細胞を含む細胞個体群をDNER結合試薬に接触させ、DNER結合試薬に結合しない細胞からDNER陽性細胞の画分におけるDNER結合試薬に結合する細胞を分離することを含む方法に関する。
幾つかの態様では、本発明は、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞の培養体を得る方法において、上又はここに記載の方法に従って精製した細胞を得、次いで得た細胞を、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞へと細胞分化することを容易にする条件下で培養することを含む方法に関する。
幾つかの態様では、本発明は、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞数を増やす方法において、上又はここに記載の方法に従って精製した細胞を得、次いで得た細胞を、得た細胞の型を増やすことを容易にする条件下で培養することを含む方法に関する。
幾つかの態様では、本発明は、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞の数を増加する方法において、上又はここに記載の方法に従って精製した細胞を得、次いで得た細胞を、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞へと細胞分化することを容易にする条件下で培養することを含む方法に関する。
幾つかの態様では、本発明は、細胞が上又はここに記載の任意の方法によって得られる、少なくとも一の膵臓ホルモンの産生欠損の哺乳類に、膵臓の内分泌機能を与える方法において、哺乳類の少なくとも一の膵臓ホルモンの測定可能な量を産生するために十分な量の得られた細胞を哺乳類に移植する工程を更に含む方法。
幾つかの態様では、本発明は、a)細胞にDNER結合試薬を接触させ、b)細胞表面マーカー(DNER陽性細胞)としてDNERを発現する細胞の量を決定することにより、膵臓細胞を含むDNER陽性細胞を定量する方法に関する。
幾つかの態様では、本発明は、DNER発現細胞(DNER陽性細胞)数が定期的に監視される、インビトロプロトコルにおける最適化のための方法に関する。
幾つかの態様では、本発明は、ここで定義される任意の方法によって得られた、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞及び及び完全分化内分泌細胞からなる群から選択される単離細胞に関する。
幾つかの態様では、本発明は、ここで定義される任意の方法によって定義される方法によって得られる、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞及び及び完全分化内分泌細胞からなる群から選択される一又は複数の細胞から選択される単離細胞を含む組成物に関する。
幾つかの態様では、本発明は、細胞表面マーカーとしてのDNERタンパク質を発現する細胞を同定又は選択するためのDNER結合試薬の使用に関する。
幾つかの態様では、本発明は、膵臓内分泌細胞の培養体を得るための細胞表面マーカーとしてのDNERタンパク質の使用に関する。
本発明の方法において同定、増加、及び/又は単離されるDNER陽性細胞は、膵臓系の種々の細胞型に分化するための可能性を有する。幾つかの態様では、DNER陽性細胞は、インスリン産生細胞に更に分化するが、これは、インスリン産生細胞だけを得るためか、又は、グルカゴン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド、及び/又はグレリン産生細胞も含む細胞の培養体を産生するためになされ得る。本発明の方法において同定、増加、及び/又は単離される、DNER、DISP2、SEZL2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞は、膵臓系の種々の細胞型へと分化する可能性を有する。
図1Aは、略図として、典型的な8μmのマウスe15.5膵臓組織切片を示す。マウスの膵臓において、細胞は同時に分化しない。よって、発達段階の異なる細胞が、付与された時間で観察可能である。e15.5での2つの主要なドメイン、中心及び末梢が観察される。中心ドメインには、初期の内分泌細胞、内分泌前駆体、及び管/内分泌前駆体に発育する細胞が含まれる。この中心ドメインは、外分泌系列の細胞を含まない。腺房系列の細胞は末梢ドメインに見出される。末梢ドメインにおける細胞はPtf1a及びPdx1であるが、Nk6.1、Ddr1ではない。中心ドメインおいて、細胞はPdx1である。ベータ-細胞系列の細胞はDnerlowであり、このような細胞の幾つかは、インスリンに対して陽性である。Dner細胞数と比較して、中枢ドメインにおける細胞の殆どは、Ddr1である。匹敵する細胞及びその局在性がヒト膵臓で見出されると仮定される。 図1Bは、細胞が通過する種々の段階の略図を示す。膵臓において、細胞は、多分化能性の膵臓前駆体プール、すなわちPdx1/Nkx6.1/Ptf1aの一部となり始める。細胞によりなされる運命の最初の選択は、外分泌(Ptf1a)又は管/内分泌系列(Pdx1及びNkx6.1、又はPdx1、Nkx6.1、及びDdr1並びにPtf1a)のいずれに進むかである。これらの細胞の幾つかは、管系列の運命をとるであろう。膵臓細胞がDdr1である場合、内分泌運命又は管運命を選択する可能性があり、よって、後にNgn3を活性化させる可能性がある。細胞がNgn3を活性化させたら、それは内分泌前駆体細胞である。また、Ngn3細胞はPdx1でもある。Ngn3発現は、内分泌前駆体細胞内でのみ一時的に生じ、特定の段階を介して内分泌分化プログラムを誘発し、そこではNeuroD、Pax6、Arx(アルファ細胞内)、及びPax4(ベータ細胞内)を含む他の転写因子が活性化される。これらの転写因子は、一部、ホルモン遺伝子活性化の原因であり、初期の内分泌細胞がホルモンに対して陽性になった場合、それらのほとんどは、Ngn3に対して既に陰性であるが、一方でPax6ではない。この時点から、細胞は、以前及び未来の運命決定インプットに応じて、十分に分化した内分泌細胞型(アルファ-、ベータ-、デルタ-、pp-、及びグレリン-細胞)の一つに発育していく。 マウスとヒトDnerのClustalW。アラインメント同一性は90%である。透過膜ドメインは下線を引いてある:アミノ酸639−661。細胞外部位はアミノ酸1−638。これは、切断され得るN末端シグナル配列(つまり、最初の30−35アミノ酸)を含む。アラインメントは、デフォルトで各列において観察される保存の程度を示す下のシンボルを示す:「*」は、その列における残基又はヌクレオチドがアラインメントの全ての配列において同一であることを示す。「:」は、保存置換が観察されたことを示す。「・」は、半保存置換が観察されることを示す。 マウス(A)とヒト(B)DnerのGlcNAc O−グリコシル化。GlcNAc O−グリコシル化は、マウスとヒトDnerの細胞外側面上に存在すると予測され、「G」で示される。 マウス(A)とヒト(B)Dnerのリシンのイプシロンアミノ基のグリコシル化。グリコシル化は、マウスとヒトDnerの細胞外側面上に存在すると予測され、「G」で示される。 マウス(A)とヒト(B)DnerのアスパラギンにおけるN−グリコシル化。N−グリコシル化は、マウスとヒトDnerの細胞外側面上に存在すると予測され、「N」で示される。 マウス(A)とヒト(B)Dnerのムチン型GalNAc O−グリコシル化。グリコシル化は、マウスとヒトDnerの細胞外側面上に存在すると予測され、「T」で示される。下線、即ち、「_」は、切断されるシグナルペプチドを示す。 Dner抗体を用いたアルファTCのFACS。一次ヤギ抗Dner抗体及び二次サル抗ヤギCy2抗体のいずれともインキュベートしないアルファTCのFACSを実施し、Cy2蛍光における非常に弱い細胞個体群の結果となる(即ち、バックグラウンド)。二次サル抗ヤギCy2抗体を添加し、蛍光の注目に値する増加の結果となり、これは、二次抗体の細胞への非特異的な結合が原因である(即ち、バックグラウンド)。一次ヤギIgGアイソタイプコントロールを添加し、二次抗体だけの場合と殆どおなじ蛍光の結果となる(即ち、バックグラウンド)。しかし、ヤギ抗Dnerを添加すると、蛍光の注目に値する増加の結果となり、Dnerタンパク質がFACSにおけるタグとして使用され得ることを示す。 Dner抗体(A)及びアイソタイプコントロール(B)を用いたe15.5マウス膵臓細胞のFACS。
DNERは、内分泌プレ前駆体細胞から完全に分化した膵臓細胞に分化する段階から膵臓細胞において存在する。比較として、DDR1は、管/内分泌前駆体細胞から初期内分泌細胞に分化する段階から膵臓細胞に存在する。このように、DNERは、DDR1と比較して膵臓細胞の発生におけるより後の段階に出現し、以後の段階においても発現する。したがって、DNERは、細胞が内分泌系に関与する分化の段階における膵臓細胞の細胞外マーカーを提供する。膵臓細胞の同定、増幅、及び/又は単離のための細胞外マーカーであるDNERの使用は、完全に分化した内分泌細胞となる可能性がある細胞を提供するが、管又は腺房細胞になる可能性を失った。
DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8は、Ngn3発現が起きる周辺又は後の分化段階から存在し、依然としてベータ細胞を含む完全に成熟した内分泌細胞である内分泌系の細胞外マーカーである。したがって、DISP2、SEZ6L、LRP11及びSLC30A8は、細胞が内分泌系に関連し、管又は腺房細胞になる可能性を失った分化の段階における膵臓細胞の付加的な細胞外マーカーを提供する。
膵臓内分泌細胞−及びそれらの前駆体
膵臓においては、幾つかの異なった種類の膵臓細胞が見出され得る。これらの細胞は、例えば、多能性の膵臓前駆体細胞、管/内分泌前駆体細胞、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞が含まれる。これらの細胞型の概略は、図1に見出すことができる。
ここで交換可能に使用される場合、「膵臓内分泌細胞」、「膵臓ホルモン発現細胞」とは、次のホルモン:インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド、及びグレリンの少なくとも一を発現可能な細胞を称する。
ここで使用される場合、「膵臓ホルモン分泌細胞」とは、次のホルモン:インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド、及びグレリンの少なくとも一を分泌可能な細胞を称する。
ここで使用される場合、「膵臓内分泌プレ前駆体細胞」(「膵臓内分泌プレ前駆体」及び「内分泌プレ前駆体」とも称される)とは、膵臓管及び腺房細胞に成長する可能性を失ったが、依然Ngn3タンパク質を発現せず、ホルモン発現をしないが、膵臓内分泌細胞又は膵臓ホルモン分泌細胞に分化する可能性を有し、通常、これらの細胞の表現型特徴の少なくとも一部を共有する細胞のことである。幾つかの態様では、内分泌プレ前駆体細胞は、Pdx1、Nkx6.1、Ddr1及びDnerである。
ここで使用される場合、「膵臓内分泌前駆体細胞」(「膵臓内分泌前駆体」及び「内分泌前駆体」とも称される)とは、Ngn3タンパク質発現細胞であり、ホルモン発現をしないが、膵臓内分泌細胞又は膵臓ホルモン分泌細胞に分化する可能性を有し、通常、これらの細胞の表現型特徴の少なくとも一部を共有する細胞のことである。幾つかの態様では、内分泌前駆体細胞は、Pdx1、Nkx6.1、Ngn3、Ddr1及びDner+/−である。幾つかの態様では、内分泌前駆体細胞は、Pdx1+、Nkx6.1、Ddr1、Ngn3+/low/−及びDner+/low/−である幾つかの態様では、内分泌前駆体細胞は、Pdx1、Nkx6.1、Ddr1+/low/−及びNgn3である。
ここで使用される場合、「初期の内分泌細胞」(「膵臓の初期の内分泌細胞」とも称される)とは、Ngn3を不活性化するが、成人膵臓のランゲルハンス島に見出される、完全に分化した膵臓内分泌細胞の特徴全て、例えばグルコースに対する反応性を共有していない内分泌細胞のことである。初期内分泌細胞は、一又は複数の膵臓内分泌ホルモン(インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド、及びグレリン)に対して陰性又は陽性であり得る初期内分泌細胞のことである。幾つかの態様では、初期内分泌細胞は、Pdx1+/−、Nkx6.1+/−、ホルモン、Ddr1+/−及びDner+/−である。幾つかの態様では、初期内分泌細胞は、Pdx1high/+、Nkx6.1、ホルモン+/−、Ddr1+/low/−及びDner+/low/−である。
ここで使用される場合、「完全に分化した内分泌細胞」(「膵臓の成熟した内分泌細胞」とも称される)とは、成人膵臓のランゲルハンス島に見出される、完全に分化した膵臓内分泌細胞の全ての特徴を共有する細胞のことである。「膵臓ホルモン発現細胞」及び「膵臓ホルモン分泌細胞」は、初期から完全に分化した表現型までの範囲で、「膵臓内分泌細胞」とみなされる。幾つかの態様では、完全に分化した内分泌細胞は、Pdx1+/−、Nkx6.1+/−、ホルモン、Ddr1及びDnerlowである。幾つかの態様では、完全に分化した内分泌細胞は、Pdx1、Nkx6.1+/−、ホルモン及びDnerlow/−である。
ここで使用される場合、「ベータ細胞系列」とは、転写因子PDX1、及び次の転写因子:Ngn-3、Nkx2.2、Nkx6.1、NeuroD、IsI-1、Hnf-3 ベータ、MafA、Pax4、及びPax6の少なくとも一に対して、陽性な遺伝子発現を有する細胞を称する。ベータ細胞系列に特徴的な細胞発現マーカーにはベータ細胞が含まれる。
ここで使用される場合、「管/内分泌前駆体細胞」は、初期の膵臓の発生において中枢部位に存在し、成熟管細胞又は完全に分化した内分泌細胞になる二つの可能性を保持する細胞のことである。更に、これらの細胞は、転写因子であるPdx1及びNkx6.1を発現し、Ptf1aを発現しない。管/内分泌前駆体細胞の例は、マウスのe12.0の周辺の発生段階で見出すことができる。幾つかの態様では、管/内分泌前駆体細胞内分泌プレ前駆体細胞は、Pdx1、Nkx6.1、Ddr1+/−である。
ここで使用される場合、「多能性膵臓前駆体細胞」は、膵臓の最も初期の細胞を示す細胞である。これらの細胞は、3つの鍵転写因子:Pdx1/Nkx6.1/Ptflaについて三重陽性細胞として一意的に特徴付けられる。
ここで使用される場合、「マーカー」は、関心ある細胞内で、差異的に発現する核酸又はポリペプチド分子である。この文脈において、差異的発現とは、陽性マーカーに対してはレベルの上昇、陰性マーカーに対してはレベルの低下を意味する。マーカー核酸又はポリペプチドの検出可能なレベルは、関心ある細胞が、当該技術で知られる種々の任意の方法を使用し、同定及び他の細胞と区別できるように、他の細胞と比較して、関心ある細胞内で十分に高い又は低いことである。
幾つかの態様では、本発明に記載の方法によって得られた膵臓内分泌細胞は、グルカゴン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド、及び/又はグレリン生成細胞の方向に分化した細胞と一緒でもよい、インスリン生成細胞である。ここで使用される場合、「インスリン生成細胞」とは、検出可能な量のインスリンを生成又は分泌する細胞を称する。「インスリン生成細胞」は、個々の細胞又は細胞の収集物であってよい。
幾つかの態様では、本発明に記載の方法により得られた膵臓DNER+細胞は、初期内分泌細胞を含む。幾つかの態様では、本発明の方法により得られた膵臓DNER+細胞は、内分泌前駆体細胞を含む。幾つかの態様では、本発明の記載の方法によって得られた膵臓DNER+細胞は、1)内分泌細胞へと成熟可能な非分裂細胞、2)成熟前に、制限された回数増殖可能な分裂細胞、3)細胞分割を受け、一つの培養容器から他の容器に徐々に継代可能な分裂細胞であってよい。幾つかの態様では、細胞表面マーカーとしてDNERを示す膵臓細胞の培養は、検出可能なDNER細胞表面発現に加え、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む、完全に分化した膵臓内分泌細胞に分化可能な、インスリン産生膵臓ベータ細胞を含む、膵臓細胞で増加した培養体と称される。
幾つかの態様では、本発明に記載の方法によって得られた膵臓DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞は、初期の内分泌細胞を含む。幾つかの態様では、本発明に記載の方法によって得られた膵臓DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞は、内分泌前駆体細胞を含む。幾つかの態様では、本発明に記載の方法によって得られた膵臓DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞は、1)内分泌細胞へと成熟可能な非分裂細胞、2)成熟前に、制限された回数増殖可能な分裂細胞、3)細胞分割を受け、一つの培養容器から他の容器に徐々に継代可能な分裂細胞であってよい。幾つかの態様では、細胞表面マーカーとしてDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8を示す膵臓細胞の培養は、検出可能なDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8細胞表面発現に加え、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む、完全に分化した膵臓内分泌細胞に分化可能な、インスリン産生膵臓ベータ細胞を含む、膵臓細胞で増加した培養体と称される。
通常、細胞の「継代」は、部分的コンフルエント状態から、コンフルエント状態までの、播種した培養容器の転移状態を称し、それらが培養容器から取り出された時点で、低密度にて、培養容器に再播種される。しかしながら、細胞はコンフルエンスに達する前に継代されてもよい。典型的には、継代により、コンフルエンスに達するまで成長するため、細胞個体群が増殖する結果となる。細胞個体群の増殖は、当初の播種密度に依存するが、典型的には、1〜10、1〜5、1〜3、又は1〜2回の増殖である。よって、一般的に継代では、培養中に、複数回細胞分裂可能である細胞が必要である。
膵臓細胞を含む細胞個体群
ここで使用される場合、「膵臓細胞を含む細胞個体群」とは、腺房及び管細胞、多能性膵臓前駆体細胞、管/内分泌前駆体細胞、膵臓内分泌プレ前駆体細胞、膵臓内分泌前駆体細胞、初期の膵臓内分泌細胞、膵臓内分泌細胞、膵臓ホルモン分泌細胞、胎児膵臓細胞、成人膵臓内分泌細胞、及び他の非膵臓細胞からなる群から選択される、一又は複数の細胞型を含む細胞個体群を称する。細胞の「個体群」とは、出発細胞に特定の単離及び培養手順により得られる、複数の細胞を称する。細胞個体群の特性は、一般的に、特定の特性を有する個々の細胞のパーセンテージ(例えば、特定のマーカーで陽性染色される細胞のパーセンテージ)、又は全個体群で測定した場合の特性のバルク平均値(例えば、細胞個体群から作製された溶菌液中のmRNA量、又はNgn3、Pax6、インスリン又はグルカゴン等、組織化学的マーカーに対して陽性な細胞のパーセント年齢)により定められる。
幾つかの態様では、膵臓細胞を含む細胞個体群は、胎児膵臓を含む、膵臓から得られる。幾つかの態様では、膵臓細胞を含む細胞個体群は、胎児膵臓又は成人膵臓を含む、膵臓から得られる。幾つかの態様では、膵臓は哺乳動物、例えばヒトからのものである。
幾つかの態様では、膵臓細胞を含む細胞個体群は、体細胞個体群から得られる。本発明の幾つかの態様では、体細胞個体群は、胚様幹(ES、例えば多能性)細胞への脱分化を誘発する。このような脱分化細胞は、人工多能性幹細胞(IPS)とも称される。
幾つかの態様では、膵臓細胞を含む細胞個体群は胚性幹(ES、例えば多能性)細胞である。幾つかの態様では、膵臓細胞を含む細胞個体群は多能性細胞、例えばES様細胞である。
幾つかの態様では、膵臓細胞を含む細胞個体群は、分化した胚幹(ES又は多能性)細胞である。分化は、胚様体及び/又は単層細胞培養、又はその組合せで生じる。
幾つかの態様では、膵臓細胞を含む細胞個体群は哺乳動物由来のものである。本発明の一態様において、膵臓細胞を含む細胞個体群はヒト由来のものである。幾つかの態様では、細胞個体群は、膵臓内分泌系列に向かって分化している。
幾つかの態様では、膵臓細胞を含む細胞個体群は、一又は複数の提供膵臓から得られる。ここに記載された方法は、提供膵臓の年齢に依存しない。従って、胎児から成人の年齢範囲のドナーから単離された膵臓物質を使用することができる。
膵臓がドナーから収集されると、典型的にはプロセシングされて、種々の方法を使用して培養される、個々の細胞又は細胞の小グループが生じる。このような方法では、収集した膵臓組織を、酵素消化用に浄化し、調製することが必要である。収集された組織の実質が膵臓細胞物質のより小さな単位に解離されるように、酵素的プロセシングが使用されて、結合組織が消化される。収集された膵臓組織は一又は複数の酵素で処理され、収集された器官の全体的構造から、膵臓細胞物質、部分構造、及び個々の膵臓細胞が分離される。コラゲナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、リベラーゼ(Liberase)調製物(米国特許第5830741号及び同5753485号を参照)、及び他の酵素が、ここに記載の方法に使用されると考えられる。
さらに、単離された原物質は、一又は複数の所望の細胞個体群に富むようにプロセシングすることができる。幾つかの態様では、培養用に解離した未分画の膵臓組織は、さらなる分離をすることなく、本発明の培養方法に直接使用することもできる。しかしながら、培養用に解離した未分画の膵臓組織は、さらなる分離をすることなく、本発明の培養方法に直接使用することができ、中間細胞個体群が生じるであろう。一実施態様において、単離された膵臓細胞物質は、密度勾配を介した遠心分離により精製される(例えば、Nycodenz、Ficoll、又はPercoll)。例えば、米国特許第5739033号に記載された勾配法は、島において、プロセシングされた膵臓物質を富ませるための手段として使用可能である。ドナー源から収集された細胞混合物は、典型的には異種性であり、よってアルファ細胞、ベータ細胞、デルタ細胞、管細胞、腺房細胞、通性前駆体細胞、及び他の膵臓細胞型を含有する。
典型的な精製手順により、多くの層又は界面において、単離された細胞物質の分離に至る。典型的には、2つの界面が形成される。上部界面は島に富み、典型的には、懸濁液に10〜100%の島細胞を含有する。第2の界面は、典型的には、島、腺房、及び管細胞を含む細胞の混合個体群である。低層はペレットであり、傾斜の底部に形成される。この層は、典型的には、主として腺房細胞、いくつかの捕捉された島、及びいくつかの管細胞を含有している。管状樹状成分(ductal tree components)を、さらなるマニピュレ−ション用に、別に収集することもできる。 さらなるマニピュレーション用に選択された画分の細胞支持層は、選択される勾配画分、及び各単離の最終結果に応じて変化するであろう。
島細胞が所望の細胞型である場合、単離された画分内で島細胞に適切に富む個体群は、少なくとも10%〜100%の島細胞を含有する。他の膵臓細胞型及び濃度も、富化後に収集可能である。例えば、ここに記載の培養方法は、使用される精製勾配に応じて、第2の界面、ペレット、又は他の画分から単離された細胞を用いて、使用することができる。
幾つかの態様では、中間膵臓細胞培養体は、島に富む(上部)画分から作製される。しかしながら、さらに、典型的には、島、腺房、及び管細胞、又は管状樹木成分、腺房細胞、及びいくつかの捕捉された島細胞の混合細胞個体群を含有する、より異種性の第2の界面及び底層画分は、それぞれ、培養に使用することができる。幾つかの態様では、双方の層は、ここに記載のDNER及び/又はDDR1陽性個体群を生じさせることのできる細胞を含有しており、各層は、開示された方法を用いた使用に対し、特定の利点を有する。幾つかの態様では、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11、SLC30A8及び/又はDDR1陽性個体群を生じさせることのできる細胞を含有しており、各層は、開示された方法を用いた使用に対し、特定の利点を有する。
幾つかの態様では、細胞個体群は幹細胞の個体群である。幾つかの態様では、細胞個体群は、膵臓内分泌系列に向かって分化した幹細胞の個体群である。
幹細胞は、単細胞レベルで、自己再生前駆体、非再生前駆体、及び末端で分化する細胞を含む子孫細胞を生成するために、自己再生し分化するといった、それらの能力により定められる未分化細胞である。また幹細胞は、複数の胚葉(内胚葉、中胚葉及び外胚葉)から、種々の細胞系列の機能的細胞においてインビトロで分化する、並びに、移植後、複数の胚様組織を生じせしめ、胚胎盤への注射後、全てではないならば、ほとんどの組織に対してかなり寄与する能力により特徴付けられる。
幹細胞は、それらの発育可能性により:(1)全ての胚及び胚外細胞型を生成可能であることを意味する全能性;(2)全ての胚細胞型を生成可能であることを意味する多能性;(3)全てではないが、特定の組織、器官、又は生理学的システムにおける細胞系列のサブセットを生成可能(例えば、造血幹細胞(HSC)は、HSC(自己再生)、血液細胞制限少能性(oligopotent)前駆体、及び血液の通常の成分である全ての細胞型及び成分(例えば、血小板)を含む子孫を生成可能)であることを意味する多分化能性;(4)多分化能性幹細胞よりもさらに制限された細胞系列のサブセットを生成可能であることを意味する少能性;及び(5)単一の細胞系列(例えば、精子形成幹細胞)のみを生成可能であることを意味する単能性に分類される。
幹細胞から膵臓細胞を得るためのプロトコルは、限定されるものではないが、D'Amour, K. Aら. (2006), Nat Biotechnol 24, 1392-401; Jiang, Jら. (2007), Stem Cells 25, 1940-53;及びKroon, Eら. (2008), Nat Biotechnol 26, 443 - 452により記載されたプロトコルに例証される。
体細胞、又はES様細胞等、多能性細胞への脱分化が誘発される体細胞から、膵臓細胞を得るためのプロトコルは、限定されるものではないが、Aoi, Tら. (2008), Science, 2008年2月14日, [Epub印刷準備中]; D'Amour, K. Aら. (2006), Nat Biotechnol 24, 1392-401; Jiang, Jら. (2007), Stem Cells 25, 1940-53; Kroon, Eら. (2008), Nat Biotechnol, 2008年2月20日, [Epub印刷準備中]; Takahashi, Kら. (2007), Cell 131, 861-72; Takahashi, K., 及びYamanaka, S. (2006), Cell 126, 663-76; 及びWernig, Mら. (2007), Nature 448, 318-24により記載されたプロトコルに例証される。
分化とは、特定化していない(「非コミット」)、又はあまり特定化していない細胞が、特定化細胞、例えば神経細胞又は筋肉細胞の特徴を獲得するプロセスである。分化した又は分化誘発性細胞は、細胞の系列内のより特定化された(「コミットされた」)位置をとるものである。分化のプロセスに適用される場合、「コミットされる」なる用語は、正常な環境下で、特定の細胞型又は細胞型のサブセットに分化し続け、正常な環境下で、異なる細胞型への分化が不可能であるか、あまり分化していない細胞型への復帰が不可能な分化経路における点まで進行した細胞を意味する。脱分化とは、細胞が、細胞系列内であまり特定化されていない(又は、コミットされていない)位置に復帰するプロセスを称する。ここで使用される場合、細胞の系列は、細胞の遺伝、すなわち細胞がどこから来て、細胞が何を生成するのかを定める。細胞系列を、発育及び分化の遺伝概略図の細胞に配する。系列特異的マーカーは、関心ある細胞系列の表現型に特異的に関連した特徴を称し、関心ある系列の非コミット細胞の分化を評価するのに使用することができる。
ここで使用される場合、「分化する」又は「分化」とは、未分化状態から分化状態、未熟な状態から、あまり未熟でない状態、又は未熟な状態から成熟した状態へと、細胞が発育していくプロセスを称する。例えば、初期の未分化胚膵臓細胞は増殖し、Pdx1、Nkx6.1、及びPtf1a等の特徴的マーカーを発現可能である。成熟又は分化した膵臓細胞は増殖せず、高レベルの膵臓内分泌ホルモンを分泌しない。幾つかの態様では、成熟又は分化した膵臓細胞は増殖せず、高レベルの膵臓内分泌ホルモン又は消化酵素を分泌しない。例えば完全に分化したベータ細胞は、グルコースに反応して、高レベルでインスリンを分泌する。細胞の相互作用及び成熟における変化は、細胞が未分化細胞のマーカーを失うか、又は分化した細胞のマーカーを獲得するために生じる。単一のマーカーの損失又は獲得は、細胞が「成熟又は分化した」ことを示す。単一のマーカーの損失又は獲得は、細胞が「成熟又は十分に分化した」ことを示す。「分化因子」なる用語は、インスリン生成ベータ細胞をも含む、成熟した内分泌細胞へのそれらの分化を高めるために、膵臓細胞に添加される化合物を称する。例示的な分化因子には、肝細胞増殖因子、ケラチノサイト増殖因子、エキセンディン-4、塩基性線維芽細胞増殖因子、インスリン様増殖因子、神経成長因子、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、及びグルカゴン様ペプチド1が含まれる。幾つかの態様では、細胞分化は、一又は複数の分化因子を含有する培地において、細胞を培養することを含む。
膵臓内分泌系列に特徴的なマーカーは、Ngn-3、NeuroD、島-1、Pdx1、Nkx6.1、Nkx2.2、MafA、MafB、Arx、Brn4、Pax-4及びPax-6、Glut2、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド(PP)及びグレリンからなる群から選択される。幾つかの態様では、膵臓内分泌細胞は、次のホルモン:インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、PP及びグレリンの少なくとも一を発現可能である。本発明での使用に適しているのは、膵臓内分泌系列に特徴的なマーカーの少なくとも一を発現可能な細胞である。本発明の幾つかの態様では、膵臓内分泌系列に特徴的なマーカーを発現する細胞は、膵臓内分泌細胞である。膵臓内分泌細胞は膵臓ホルモン発現細胞であってもよい。また、膵臓内分泌細胞は膵臓ホルモン分泌細胞であってもよい。
本発明の幾つかの態様では、膵臓内分泌細胞はベータ細胞系列に特徴的なマーカーを発現する細胞である。ベータ細胞系列に特徴的なマーカーを発現する細胞は、Pdx1、及び次の転写因子:Ngn-3、Nkx2.2、Nkx6.1、NeuroD、IsI-1、Hnf-3ベータ、MafA、Pax4、及びPax6の少なくとも一を発現する。本発明の幾つかの態様では、ベータ細胞系列に特徴的なマーカーを発現する細胞はベータ細胞である。幾つかの態様では、膵臓内分泌細胞は、マーカーNkx6.1を発現する細胞である。幾つかの態様では、膵臓内分泌細胞はマーカーPdx1を発現する細胞である。本発明の幾つかの態様では、膵臓内分泌細胞はマーカーNkx6.1及びPdx1を発現する細胞である。
ここで使用される場合、「Pdx1」とは、膵臓発育に係るホメオドメイン転写因子を称する。幾つかの態様では、ここで使用される場合、「Pax-4」はベータ細胞に特異的な因子であり、ここで使用される場合、「Pax-6」は膵島細胞(に特異的な)転写因子であり;双方とも、島発育に関連している。「Hnf-ベータ」は、転写因子の肝臓の核内因子に属し、高度に保存されたDNA結合ドメインと2つの短いカルボキシ末端ドメインにより特徴付けられる。また、「Hnf-3ベータ」は「FoxA2」としても公知である。ここで使用される場合、「NeuroD」は、神経発生に係る塩基性ヘリックス-ループ-ヘリックス(bHLH)転写因子である。ここで使用される場合、「Ngn-3」は、塩基ループ-ヘリックス-ループ転写因子のニューロゲンファミリーのメンバーである。ここで使用される場合、「Nkx-2.2」及び「Nkx-6.1」は、Nkx転写因子ファミリーのメンバーである。ここで使用される場合、「島-1」又は「IsI-1」は、転写因子のLIM/ホメオドメインファミリーのメンバーであり、発育している膵臓において発現する。ここで使用される場合、「MafA」は、膵臓で発現する転写因子であり、インスリンの生合成及び分泌に係る遺伝子の発現をコントロールする。
Nkx6.1及びPdx1は、成人膵臓で見出される全ての細胞型(例えば、腺房、管、及び内分泌細胞)で発育可能な初期の膵臓多分化能性細胞において、Ptf1aと共に同時発現する。この細胞個体群において、Ngn3を一時的に発現する細胞個体群が見出された。細胞がNgn3を発現又は発現していると、それは、後にランゲルハンス島を形成する、内分泌細胞(一つのタイプはインスリン生成ベータ細胞である)を生成する、内分泌系列の一部である。Ngn3が存在しないと、膵臓発育中に、内分泌細胞は形成されない。発育進行時、Nkx6.1及びPdx1は、今はPtf1a発現を欠く、膵臓のさらに中央のドメインにおいて同時発現し、Nkx6.1及びPdx1陽性細胞は、もはや腺房細胞を生成できない。このNkx6.1及びPdx1陽性細胞個体群において、有意な数の細胞が、一過性にNgn3を同時発現し、発生の初期におけるように内分泌系列に対してそれらをマークする。
DNER
ここで使用される場合、「DNER」、「Dner」、「DNERタンパク質」又は「Ddrタンパク質」とは、ヒト及びマウスを含む、全ての哺乳類の形態のDNERを意味する。幾つかの態様では、「DNER」、「Dner」、「DNERタンパク質」又は「Ddrタンパク質」は、DNERの全ての脊椎動物の形態を意味する。ここで使用される場合、該用語は、全てが大文字で書かれている「DNER」、又は最初の文字のみが大文字である「Dner」があってよく、ヒト及びマウスを含む任意の哺乳動物からの、DNERを意味する。ヒト形態は、「デルタ/ノッチ様EGF繰り返し含有」として、例えば、「ベット」及び「UNQ26」としても知られている。マウス形態は、「デルタ/ノッチ様EGF関連レセプター」として、例えば、「BET」、「Bret」、「MGC39059」、及び「A930026D19Rik」としても知られている。DNERはC末端に単一の膜透過膜ドメインを含み、推定細胞表面タンパク質と推定されている。それはその細胞外ドメインに幾つかのEGF様繰り返しを含み、その細胞質カルボキシ末端ドメインは、チロシンベースの選別モチーフを含む。ヒトとマウスの両者において、それは737アミノ酸長であり、マウスとヒトの類似性は90%である。一のファミリーメンバーがマウスにおいて同定されている。DNERはマウス小脳におけるバーグマングリアの細胞形態形成におけるノッチリガンドとして機能する。DNERはノッチ1に細胞−細胞接触部位に結合し、インビトロにおけるノッチシグナルを活性化する。
ヒト及びマウスDNERのアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号:1及び配列番号:2に示す。DNERのアミノ酸配列は、マウス及びヒトの両者において、737アミノ酸である。幾つかの態様では、本発明に記載のDNERは配列番号:1である。幾つかの態様では、本発明に記載のDNERは配列番号:2である。
幾つかの態様では、「DNERタンパク質」なる用語は、80、85、90、92、94パーセント同一性のような、70のタンパク質を含む。幾つかの態様では、用語DNERタンパク質は、95、例えば96、97、98又は99パーセント同一のタンパク質を含む。幾つかの態様では、タンパク質のヒト又はマウス形態に関連して決定され得る。パーセント同一性は、2つの配列を整列させ、整列した同一残基の数から異なる残基の数を引き、さらに長い配列の全残基数で割り、100を掛けることで決定される。
ここで使用される場合、「ヒトDNERタンパク質」は、位置2q36.3又は229.93−230.29Mbの染色体2において、自然に生じる。ヒトDNERタンパク質は、GenPept受託番号NP_620711.2を有する。
ここで使用される「マウスDnerタンパク質」は、位置1C5又は84.25−84.58Mbの染色体1において自然に生じる。マウスDnerタンパク質は、GenPept受託番号NP_690879.1を有する。
ここで使用される用語「DDR1結合試薬」とは、DNERタンパク質、又は前記タンパク質に共有結合する分子に特異的に結合する化合物、例えば抗体、その抗体フラグメント、分子から誘導された合成抗体、特定のタンパク質に結合する抗体(例えば、合成分子は、scFV、多重特異性抗体等であってよい)からのCDRを含むもの、レクチン、デルタノッチファミリーの相互作用パートナー及び小分子又はそのフラグメントを称する。
幾つかの態様では、結合試薬はDNERタンパク質に特異的に結合する抗体である。幾つかの態様では、結合試薬は、DNERタンパク質に転写後結合する、天然の炭水化物に特異的に結合する抗体である。ここで実施例1に示すように、炭水化物は、DNERアミノ酸配列の幾つかの特定部位に出現しやすいようである。幾つかの態様では、結合試薬は、DNERタンパク質に結合する天然の炭水化物構造体に特異的に結合するレクチンである。幾つかの態様では、結合試薬は、DNERタンパク質のリガンドである。幾つかの実施態様では、DNERのリガンドは、ノッチ−1、−2、−3、及び/又は−4の細胞外ドメインからなる群から選択される。幾つかの態様では、結合試薬は、細胞膜の細胞外又は細胞内側において、DNERタンパク質と相互作用する、無毒の蛍光標識された分子である。「DNERに結合するオリゴ糖」は、DNERタンパク質に共有結合する多糖類分子である。幾つかの実施態様では、オリゴ糖はグリシン(G)残基を介して結合している。幾つかの実施態様では、オリゴ糖はアスパラギン(N)残基を介して結合している。幾つかの実施態様では、オリゴ糖はスレオニン(T)残基を介して結合している。用語「レクチン」は、特定の炭水化物分子を認識するタンパク質を称する。幾つかの態様では、炭水化物は、DNERタンパク質分子に結合するオリゴ糖の全て又は一部である。「リガンド」は、タンパク質により特異的に結合する分子である。また、該用語は、タンパク質に結合する分子、例えばタンパク質に特異的に結合する抗体も含む。幾つかのの態様において、リガンドは、タンパク質に共有結合する分子、例えば炭水化物又はオリゴ糖に結合する。
幾つかの態様では、結合試薬は、DNERタンパク質に特異的に結合する抗体である。また、用語「DNER結合試薬」は、DNERタンパク質により特異的に結合する化合物、例えばノッチ−1、−2、及び/又は−4の細胞外ドメインが特異的に結合する化合物を含む。用語「結合試薬」は、自然に発生する抗体及びそのフラグメント、並びにいくつかの種の成分からなるキメラ抗体、さらには完全に合成された抗体様分子、例えばscFV、及び抗体との結合特異性を有する他の合成分子を含む(自然に生じるCDR配列を含む結果として)。
結合試薬は、細胞表面マーカーとして特定のタンパク質を発現する細胞を同定又は選択するために使用される。例えば、DNER結合試薬は、細胞表面マーカーとしてDNERタンパク質を発現する細胞を同定又は選択するために使用される。
「細胞表面マーカーとして」DNERタンパク質を「示す」細胞は、ここに記載の特定のタンパク質に特異的に結合する試薬、及び方法、例えばFACS、免疫細胞化学、免疫吸着、及びパニングを使用し、細胞個体群から細胞を選択又は取り出し可能な、細胞表面に十分な量の特定のタンパク質を示す細胞である。幾つかの態様では、本方法はMACSである。幾つかの態様では、DNER抗体は、「細胞表面マーカーとしてDNERを示す」細胞を選択するのに使用される。
一態様において、DNER結合試薬は、蛍光染料、例えばPE、cy2、cy3、cy5、又はAlexa488から選択されるもので標識される。幾つかの態様では、DNER結合試薬は、ハプテン、例えばDIG、ビオチン、エピトープ、例えばFLAG、HA、又はMycで標識される。
幾つかの態様では、一又は複数の付加的な結合試薬をDNER結合試薬と組み合わせて同時又は連続的に使用し得る。幾つかの態様では、付加的な結合試薬はDNER結合試薬として分析の同じ工程に使用され得る。幾つかの態様では、付加的な結合試薬は、DDR1タンパク質、プロミニン1(CD133としても知られる)、及びCD49fからなる群から選択される。例えば、Sugiyama等(2007), PNAS 140(1): 175-180を参照されたい。幾つかの態様では、付加的な結合試薬はDDR1である。
DDR1
ここで使用される場合、「DDR1タンパク質」又は「Ddr1タンパク質」とは、DDR/TKT型タンパク質キナーゼ、ジスコイジンドメインレセプターファミリー、メンバー1を称する。ここで使用される場合、本用語は、全てが大文字で書かれている「DDR1」、又は最初の文字のみが大文字である「Ddr1」があってよく、ヒト及びマウスを含む任意の哺乳動物からの、ジスコイジンドメインレセプターファミリー、メンバー1を意味する。幾つかの態様では、「DDR1タンパク質」、「Ddr1タンパク質」、「DDR1」又は「Ddr1」は、DDR1の全ての脊椎動物の形態を意味する。DDR1はI型からIV型までを含む、色々なタイプのコラーゲンにより活性化される。DDR1タンパク質にコラーゲンが結合すると自己リン酸化し、チロシンキナーゼの活性化が遅延化するが、持続的になる。DDR1は細胞対細胞の相互作用、又は認識においても機能する。876、913及び919アミノ酸の異なるタンパク質アイソフォームに帰する、少なくとも3つのmRNA変異体が、ヒトにおいては報告されている。マウスには2つのアイソフォーム、それぞれ874及び911アミノ酸が報告されている。DDR1タンパク質は、ヒトの乳房、卵巣、食道、及び小児脳腫瘍で過剰発現することが示されている。タンパク質は細胞内レセプターチロシンキナーゼ活性を有し、種々のタイプのコラーゲンにより活性化される。その自己リン酸化は、今までテストされた全てのコラーゲン(I型からVI及びXI型)でなされている。
マウス及びヒトDDR1のアミノ酸配列を配列番号:3から配列番号:7にそれぞれ示す。
配列番号 由来 型
3 ヒト DDR1アイソフォーム a
4 ヒト DDR1アイソフォーム b
5 ヒト DDR1アイソフォーム c
6 マウス DDR1アイソフォーム 1
7 マウス DDR1アイソフォーム 2
幾つかの態様では、本発明に記載のDDR1は、配列番号:3である。幾つかの態様では、本発明に記載のDDR1は、配列番号:4である。幾つかの態様では、本発明に記載のDDR1は、配列番号:5である。幾つかの態様では、本発明に記載のDDR1は、配列番号:6である。幾つかの態様では、本発明に記載のDDR1は、配列番号:7である。
幾つかの態様では、用語「DDR1タンパク質」は、70、例えば80、85、90、92、94パーセント同一のタンパク質を含む。幾つかの態様では、用語 DDR1タンパク質は、95、例えば96、97、98又は99パーセント同一のタンパク質を含む。パーセント同一性は、2つの配列を整列させ、整列した同一残基の数から異なる残基の数を引き、さらに長い配列の全残基数で割り、100を掛けることで決定される。
ここで使用される場合、「ヒトDDR1タンパク質」は、位置30.99-31.01Mbの染色体c6_COX_、又は位置6p21.3の染色体6において、自然に生じる。ヒトDDR1タンパク質アイソフォームaは、GenPept受入番号NP_054699.2を有する。ヒトDDR1タンパク質アイソフォームbは、GenPept受入番号NP_001945.3を有する。ヒトDDR1タンパク質アイソフォームcは、GenPept受入番号NP_054700.2を有する。
ここで使用される場合、「マウスDdr1タンパク質」は、位置35.29-35.31Mb又は17C;17 21.5cMの染色体17において自然に生じる。マウスDDR1タンパク質アイソフォーム1は、GenPept受入番号NP_031610.2を有する。マウスDDR1タンパク質アイソフォーム2は、GenPept受入番号NP_766550.1を有する。
用語「アイソフォーム」及び「アイソタイプ」は、ここでは交換可能に使用され、例えば単一のヌクレオチド多型を故に、形成された同じタンパク質の異なる形態を称し、ここで異なる形態のタンパク質は、関連遺伝子から生成されてもよいし、スプライシングにより同じ遺伝子から生じたものであってもよい。
ここで使用される場合、用語「DDR1結合試薬」とは、DDR1タンパク質、又はDDR1タンパク質に共有結合する分子に特異的に結合する化合物、例えば抗体、その抗体フラグメント、分子から誘導された合成抗体、DDR1結合抗体(例えば、合成分子は、scFV、多重特異性抗体等であってよい)からのCDRを含むもの、レクチン、及びコラーゲンタイプ又はそのフラグメントを称する。
幾つかの態様では、DDR1結合試薬は、DDR1タンパク質に特異的に結合する抗体である。幾つかの態様では、DDR1結合試薬は、DDR1タンパク質に転写後結合する、天然の炭水化物に特異的に結合する抗体であり;実施例1に示すように、炭水化物は、DDR1アミノ酸配列の多くの特定部位に出現しやすいようである。幾つかの態様では、DDR1結合試薬は、DDR1タンパク質に結合する天然の炭水化物構造体に特異的に結合するレクチンである。幾つかの態様では、DDR1結合試薬は、DDR1タンパク質のリガンドである。幾つかの実施態様において、リガンドは、コラーゲンI-XI、トランスサイレチン、膜貫通4サブファミリー、メンバー1(TM4SF1)からなる群から選択される。幾つかの態様では、DDR1結合試薬は、細胞膜の細胞外又は細胞内側において、DDR1と相互作用する、無毒の蛍光標識された分子である。「DDR1に結合するオリゴ糖」は、DDR1タンパク質に共有結合する多糖類分子である。幾つかの態様では、オリゴ糖はアスパラギン残基を介して結合している。用語「レクチン」は、特定の炭水化物分子を認識するタンパク質を称する。幾つかの態様では、炭水化物は、DDR1タンパク質分子に結合するオリゴ糖の全て又は一部である。「リガンド」は、タンパク質により特異的に結合する分子である。また、本用語は、タンパク質に結合する分子、例えばタンパク質に特異的に結合する抗体も含む。幾つかの態様では、リガンドは、タンパク質に共有結合する分子、例えば炭水化物又はオリゴ糖に結合する。
幾つかの実施態様において、DDR1結合試薬は、DDR1タンパク質に特異的に結合する抗体である。また、用語「DDR1結合試薬」は、DDR1タンパク質により特異的に結合する化合物、例えばコラーゲン及びコラーゲンフラグメントを含む。本用語は、抗体及びそのフラグメント、並びに幾つかの種の成分からなるキメラ抗体、さらには完全に合成された抗体様分子、例えばscFV、及び抗体との結合特異性を有する他の合成分子を含む(自然に生じるCDR配列を含む結果として)。
DDR1結合試薬は、細胞表面マーカーとして、DDR1タンパク質を発現する細胞の同定又は選択に使用される。
「細胞表面マーカーとしてDDR1を示す」細胞は、ここに記載のDDR1に特異的に結合する試薬、及び方法、例えばFACS、免疫細胞化学、免疫吸着、及びパニングを使用し、細胞個体群から細胞を選択又は取り出し可能な、細胞表面に十分な量のDDR1を示す細胞である。幾つかの態様では、本方法はMACSである。幾つかの実施態様において、DDR1抗体は、「細胞表面マーカーとしてDDR1を示す」細胞を選択するのに使用される。
一態様において、DDR1結合試薬は、蛍光染料、例えばPE、cy2、cy3、cy5、又はAlexa488から選択されるもので標識される。他の態様において、DDR1結合試薬は、ハプテン、例えばDIG、ビオチン、エピトープ、例えばFLAG、HA、又はMycで標識される。
DDR1とDDR1結合試薬とその使用に関する更なる態様は、出典明示によりここに取り込まれるPCT/EP2008/068061に記載される。
更なる細胞外マーカー
ここで使用される場合、「DISP2」、「Disp2」、「DISP2タンパク質」、「Disp2タンパク質」は、Ngn3発現が起きる後に主として見出される内分泌系の細胞外マーカーであり、ベータ細胞を含む完全に成熟した膵臓内分泌細胞中に残るタンパク質を意味する。しかし、幾つかの細胞はDISP2及びNgn3を共発現することが見出される。ここで使用される場合、該用語は、全てが大文字で書かれている「DISP2」、又は最初の文字のみが大文字である「Disp2」があってよく、哺乳類、ヒト及びマウスを含む任意の脊椎動物からのDISP2を意味する。Disp2は、「dispathced B」又は「dispatchedホモログ2」としても知られている。Disp2は、ヒトにおいてGenPept参照番号NP_277045及びマウスにおいてNP_733481を有する。Disp2タンパク質をコードする遺伝子は、ヒトにおいて、GeneID番号85455及びマウスにおいて214240を有する。
ここで使用される場合、「SEZ6L2」、「Sez6l2」、「SEZ6L2タンパク質」、「Sez6l2タンパク質」は、Ngn3発現が起きる後に主として見出される内分泌系の細胞外マーカーであり、ベータ細胞を含む完全に成熟した膵臓内分泌細胞中に残るタンパク質を意味する。しかし、幾つかの細胞はSEZ6L2及びNgn3を共発現することが見出される。ここで使用される場合、該用語は、全てが大文字で書かれている「SEZ6L2」、又は最初の文字のみが大文字である「Sez6l2」があってよく、哺乳類、ヒト及びマウスを含む任意の脊椎動物からのSEZ6L2を意味する。Sez6l2は、「発作関連6ホモログ様2」又は「発作関連6ホモログ(マウス)様2」としても知られている。ヒトにおいて2個のSez6l2のアイソフォームが見出され、Sez6l2のアイソフォーム1は、GenPept参照番号NP_036542を有し、Sez6l2のアイソフォーム2は、GenPept参照番号NP_963869を有する。Sez6l2は、マウスにおいてGenPept参照番号NP_659175を有する。Sez6l2は、マウスにおいてGenPept参照番号NP_659175を有する。Sez6l2タンパク質をコードする遺伝子は、ヒトにおいて、GeneID番号26470及びマウスにおいて233878を有する。
ここで使用される場合、「LRP11」、「Lrp11」、「LRP11タンパク質」又は「Lrp11タンパク質」は、Ngn3発現が起きる後に主として見出される内分泌系の細胞外マーカーであり、ベータ細胞を含む完全に成熟した膵臓内分泌細胞中に残るタンパク質を意味する。しかし、幾つかの細胞はLRP11及びNgn3を共発現することが見出される。ここで使用される場合、該用語は、全てが大文字で書かれている「LRP11」、又は最初の文字のみが大文字である「Lrp11」があってよく、哺乳類、ヒト及びマウスを含む任意の脊椎動物からのLRP11を意味する。Lrp11は、「低密度リポタンパク質レセプター関連タンパク質11」としても知られている。Lrp11は、ヒトにおいてGenPept参照番号NP_116221を、マウスにおいてNP_766372を有する。Lrp11タンパク質をコードする遺伝子は、ヒトにおいて、GeneID番号84918及びマウスにおいて237253を有する。
ここで使用される場合、「SLC30A8」、「Slc30a8」、「SLC30A8タンパク質」又は「Slc30a8タンパク質」は、Ngn3発現が起きる後に主として見出される内分泌系の細胞外マーカーであり、ベータ細胞を含む完全に成熟した膵臓内分泌細胞中に残るタンパク質を意味する。ここで使用される場合、該用語は、全てが大文字で書かれている「SLC30A8」、又は最初の文字のみが大文字である「Slc30a8」があってよく、哺乳類、ヒト及びマウスを含む任意の脊椎動物からのSLC30A8を意味する。Slc30a8は、「溶質輸送ファミリー30(亜鉛トランスポーター)、メンバー8」又は「溶質輸送ファミリー30メンバー8」としても知られている。Slc30a8は、ヒトにおいてGenPept参照番号NP_776250を、マウスにおいてNP_766404を有する。Slc30a8タンパク質をコードする遺伝子は、ヒトにおいて、GeneID番号169026及びマウスにおいて239436を有する。
幾つかの態様では、用語DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8は、70、例えば80、85、90、92、94パーセント同一のタンパク質を含む。幾つかの態様では、用語DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8は、95、例えば96、97、98又は99パーセント同一のタンパク質を含む。幾つかの態様では、パーセント同一性は、タンパク質のヒト又はマウスの形態に関連して決定される。パーセント同一性は、2つの配列を整列させ、整列した同一残基の数から異なる残基の数を引き、さらに長い配列の全残基数で割り、100を掛けることで決定される。
ここで使用される場合、用語「DISP2結合試薬」、「SEZ6L2結合試薬」、「LRP11結合試薬」又は「SLC30A8結合試薬」とは、それぞれ、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8タンパク質に特異的に結合する化合物、又はそれぞれ、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8タンパク質に共有結合する分子、例えば抗体、その抗体フラグメント、分子から誘導された合成抗体、それぞれ、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8結合抗体(例えば、合成分子は、scFV、多重特異性抗体等であってよい)からのCDRを含むもの、レクチン、及び小分子又はそのフラグメントを称する。
幾つかの態様では、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8結合試薬は、それぞれ、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8タンパク質に特異的に結合する抗体である。幾つかの態様では、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8結合試薬は、それぞれ、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8タンパク質に転写後結合する、天然の炭水化物に特異的に結合する抗体である。幾つかの態様では、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8結合試薬は、それぞれ、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8タンパク質に結合する天然の炭水化物構造体に特異的に結合するレクチンである。幾つかの態様では、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8結合試薬は、それぞれ、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8タンパク質のリガンドである。幾つかの態様では、リガンドは、コラーゲンI-XI、トランスサイレチン、膜貫通4サブファミリー、メンバー1(TM4SF1)からなる群から選択される。幾つかの態様では、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8結合試薬は、細胞膜の細胞外又は細胞内側において、それぞれ、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8と相互作用する、無毒の蛍光標識された分子である。「DISP2に結合するオリゴ糖」、「SEZ6L2に結合するオリゴ糖」、「LRP11に結合するオリゴ糖」又は「SLC30A8に結合するオリゴ糖」は、それぞれ、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8タンパク質に共有結合する多糖類分子である。幾つかの態様では、オリゴ糖はアスパラギン残基を介して結合している。用語「レクチン」は、特定の炭水化物分子を認識するタンパク質を称する。幾つかの態様では、炭水化物は、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8タンパク質分子に結合するオリゴ糖の全て又は一部である。「リガンド」は、タンパク質により特異的に結合する分子である。また、該用語は、タンパク質に結合する分子、例えばタンパク質に特異的に結合する抗体も含む。幾つかの態様では、リガンドは、タンパク質に共有結合する分子、例えば炭水化物又はオリゴ糖に結合する。
幾つかの実施態様において、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8結合試薬は、それぞれ、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8タンパク質に特異的に結合する抗体である。また、用語「DISP2結合試薬」、「SEZ6L2結合試薬」、「LRP11結合試薬」又は「SLC30A8結合試薬」は、それぞれ、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8タンパク質により特異的に結合する化合物、例えばコラーゲン及びコラーゲンフラグメントを含む。該用語は、抗体及びそのフラグメント、並びに幾つかの種の成分からなるキメラ抗体、さらには完全に合成された抗体様分子、例えばscFV、及び抗体との結合特異性を有する他の合成分子を含む(自然に生じるCDR配列を含む結果として)。
DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8結合試薬は、細胞表面マーカーとして、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8タンパク質を発現する細胞の同定又は選択に使用される。
「細胞表面マーカーとしてDISP2を示す」、「細胞表面マーカーとしてSEZ6L2を示す」、「細胞表面マーカーとしてLRP11を示す」、「細胞表面マーカーとしてSLC30A8を示す」細胞は、ここに記載の、それぞれ、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8に特異的に結合する試薬、及び方法、例えばFACS、免疫細胞化学、免疫吸着、及びパニングを使用し、細胞個体群から細胞を選択又は取り出し可能な、細胞表面に十分な量のそれぞれ、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8を示す細胞である。幾つかの態様では、本方法はMACSである。幾つかの実施態様において、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8抗体は、それぞれ、「細胞表面マーカーとしてDISP2を示す」、「細胞表面マーカーとしてSEZ6L2を示す」、「細胞表面マーカーとしてLRP11を示す」、「細胞表面マーカーとしてSLC30A8を示す」細胞を選択するのに使用される。
幾つかの態様では、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8結合試薬は、蛍光染料、例えばPE、cy2、cy3、cy5、又はAlexa488から選択されるもので標識される。他の態様において、DISP2、SEZ6L2、LRP11又はSLC30A8結合試薬は、ハプテン、例えばDIG、ビオチン、エピトープ、例えばFLAG、HA、又はMycで標識される。
幾つかの態様では、一又は複数のDISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8からなる群から選択されるマーカーが、DNERと組み合わせて本発明の方法において使用され得る。幾つかの態様では、一又は複数のDISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8からなる群から選択される結合試薬が、DNER結合試薬と組み合わせて本発明の方法において使用され得る。
幾つかの態様では、一又は複数のDISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8からなる群から選択されるマーカーが、DNERの代わりに本発明の方法において使用され得る。幾つかの態様では、一又は複数のDISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8からなる群から選択される結合試薬が、DNER結合試薬の代わりに本発明の方法において使用され得る。
幾つかの態様では、一又は複数のDISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8からなる群から選択されるマーカーが、DNERの代わりにDDR1と組み合わせて本発明の方法において使用され得る。幾つかの態様では、一又は複数のDISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8からなる群から選択される結合試薬が、DNER結合試薬の代わりにDDR1結合試薬と組み合わせて本発明の方法において使用され得る。
同定方法
幾つかの態様では、本発明は、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞を同定する方法に関し、該方法は、膵臓細胞を含む細胞個体群とDNER結合試薬とを接触させることを含む。幾つかの態様では、DNER結合試薬に結合する細胞、すなわちDNER陽性細胞の数/比率が測定されてよい。幾つかの態様では、本発明は、内分泌前駆体細胞を同定する方法に関し、該方法は、膵臓細胞を含む細胞個体群とDNER結合試薬とを接触させることを含む。幾つかの態様では、本発明は、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を同定する方法に関し、該方法は、膵臓細胞を含む細胞個体群とDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬とを接触させることを含む。幾つかの態様では、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬に結合する細胞、すなわちDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞の数/比率が測定されてよい。幾つかの態様では、本発明は、内分泌プレ前駆体細胞を同定する方法に関し、該方法は、膵臓細胞を含む細胞個体群とDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬とを接触させることを含む。幾つかの態様では、本発明は、内分泌前駆体細胞を同定する方法に関し、該方法は、膵臓細胞を含む細胞個体群とDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬とを接触させることを含む。
幾つかの態様では、本発明は、a)細胞とDNER結合試薬とを接触させ;b)細胞表面マーカーとしてDNERを示す細胞(DNER陽性細胞)の量を測定することによる、膵臓細胞を含むDNER陽性細胞を定量する方法に関する。幾つかの態様では、本発明は、a)細胞とDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬とを接触させ;b)細胞表面マーカーとしてDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8を示す細胞(DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞)の量を決定することによる、膵臓細胞を含むDNER陽性細胞を定量する方法に関する。
当業者であれば、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11、SLC30A8及び/又はDDR1タンパク質を検出するための多くの方法があることを認識しているであろう。例えば、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11、SLC30A8及び/又はDDR1タンパク質に特異的に結合する抗体を、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11、SLC30A8及び/又はDDR1の検出に使用することができる。DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11、SLC30A8及び/又はDDR1タンパク質に特異的に結合する抗体は、当業者に公知であり、例えば、R&;D Systems、Research Diagnostics, Inc; Abcam;Ancell Immunology Research Products;eBioscience;アイオワ大学のハイブリドーマバンク;及びZymed Laboratories, Inc.、Abnova Corporation、-Affinity BioReagents BioLegend、GeneTex Lifespan Biosciences、MBL International Novus Biologicals、Proteintech Group, Inc、Santa Cruz Biotechnology, Incから商業的に入手可能である。DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11、SLC30A8及び/又はDDR1の細胞外部分を認識する抗体は、細胞を選別するために、本発明で使用されてよい。幾つかの態様では、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11、SLC30A8及び/又はDDR1の細胞外部分の種々のエピトープを認識する種々の抗体は、単独で又は組合せて使用されてよい。細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインにおける、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11、SLC30A8及び/又はDDR1の任意の部分を認識可能な任意のDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11、SLC30A8及び/又はDDR1結合試薬が、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11、SLC30A8及び/又はDDR1の発現をモニターするのに使用可能である。幾つかの態様では、当業者であれば、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11、SLC30A8及び/又はDDR1タンパク質の検出に関する上述した記載が、本発明のマーカーとして使用されると考えられる他の細胞外タンパク質にも適用されるであろうと、自覚している。
多くの異なる蛍光分子、例えばフルオレセイン、cy2、cy3、cy5、PE、Alexa488、又はローダミンが、抗体とのコンジュゲートに利用される。当業者であれば、いくつかの例において、1以上の細胞外マーカーが、蛍光分子にコンジュゲートする種々の抗体を使用することにより検出可能であることを承知している。FACS分析は、関心ある1以上の胞外マーカーを同定する条件下で、実施することができる。
「抗体」又は「抗体群」は、抗原に特異的に結合し、認識する、免疫グロブリン遺伝子又はそのフラグメントからのフレームワーク領域を有するポリペプチドを意味する。抗体(免疫グロブリンとしても公知)は、脊椎動物の血液又は他の体液に見出され、細菌又はウイルス等の、外来体を同定し、中和する免疫システムに使用されるタンパク質である。全ての抗体の一般的構造はかなり類似しているが、タンパク質の先端の小さな領域は、極めて多様であり、わずかに異なる先端構造を有する数百万の抗体の存在が可能になる。この領域は高頻度可変領域として知られている。これらの各変異体は、抗原として公知の種々の標的に結合可能である。この非常に多様な抗体により、等しく多様な抗原を認識する免疫系が可能となる。抗体により認識される、抗原の唯一の部分は、エピトープと称される。これらのエピトープは、高度に特異的な相互作用において、それらの抗体と結合し、いわゆる誘導適合、抗体は、生物体を構成する数百万の種々の分子の中から、唯一特定の抗原を同定し、結合することができるようになる。
培養された、又は単離された細胞における、タンパク質及び/又はmRNAのような核酸マーカーの発現を評価する方法は、当該技術で標準的なものであり、定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、ノーザンブロット法、及びインサイツハイブリダイゼーション(例えば、Current Protocols in Molecular Biology (Ausubelら編、補足)を参照)、及びイムノアッセイ、例えば切片物質の免疫組織化学分析、ウエスタンブロット法、、及び無傷抗体で使用しやすいマーカーについては、フローサイトメトリー分析(FACS)(例えば、Harlow及びLane, Using Antibodies : A Laboratory Manual, New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press (1998)を参照)が含まれる。また、内分泌細胞分化の、従来からの組織化学マーカーを使用してもよい。免疫組織化学により研究される細胞は、顕微鏡検査用のガラスチャンバースライドにおいて培養されてよい。また、従来からの組織培養で増殖した細胞は、培養体から手動で取り出され、切片化用にパラフィンに包埋されてよい。また、従来からの組織培養で増殖した細胞は、手動で、酵素的に、又は酵素を含有しない細胞解離バッファーを使用して、培養体から取り出され、切片化用にパラフィン又はTissueTechに包埋されるか、包埋の前に、媒体において再度インキュベートされてもよい。細胞分化マーカーは多様であり、従来からの免疫組織化学で検出することができる。一般的に適用されるプロトコルは以下の通りである。
いくつかの態様において、チャンバースライド内の細胞を、PBSを用いて、非常に優しくすすぎ、4%のパラホルムアルデヒド溶液において、45分、固定する。ついで、細胞をPBSですすぎ、使用するまで、+5で保管する。使用する日、細胞を、等級付けされたシリーズのエタノール(70%から開始して、96%、ついで99%、ついで再度99%、ついで96%、最後に70%、各濃度で5分のインキュベートを使用)に浸透させ、ついで室温にて、TNB(Perkin ElmerからのTSA(チラミド(Tyramide)シグナル増幅)キット又は正常な血清を含有するブロックバッファーにおいてインキュベートする。一次抗体を適切な希釈度に調製し、細胞に添加し、保湿チャンバー内で、室温(RT)にて一晩(O/N)インキュベートする。一次抗体のインキュベートに続き、細胞をPBSですすぐ。適切な希釈度に調製された蛍光二次抗体を細胞に添加し、暗所でインキュベートする。細胞核を対比染色するために、二次抗体と共にDAPI染料をインキュベートしてもよい。ついで、細胞をすすぎ、過度の流体を除去し、スライドのチャンバー部分を取り除き、スライドにカバーガラスを載せる。スライドを乾燥させ、蛍光顕微鏡、例えば共焦点顕微鏡を使用する研究まで、暗所で保管する。いくつかの態様では、染色方法は、スライドのチャンバー部分を取り除いてから始められる。バッファーを用いて、細胞を非常に優しくすすぎ、パラホルムアルデヒド溶液において固定する。ついで、細胞を、室温にて、正常な血清を含有するブロック溶液においてインキュベートする。ブロック溶液において、非イオン性の洗浄剤を用い、細胞を浸透させる。一次抗体を適切な希釈度に調製し、細胞に添加し、インキュベートする。一次抗体のインキュベートに続き、細胞をバッファーですすぐ。適切な希釈度に調製された二次抗体を細胞に添加し、暗所でインキュベートする。インキュベートの後、細胞をすすぎ、Hoechst染料を使用して、核を対比染色する。過度の流体を除去し、スライドを搭載し、カバースライドで覆う。別法として、過度の流体を除去し、スライドを搭載し、カバーガラスで覆う。スライドを乾燥させ、暗所で保管する。
また、HRP法を使用し、細胞を、免疫細胞化学用に調製することもできる。簡単には、細胞をパラフィンに包埋し、パラフィン切片とスライドを、37℃で一晩、乾燥させるものである。細胞を脱パラフィンし、過酸化水素水に浸漬し、内因性ペルオキシダーゼ活性を阻害する。0.01Mのクエン酸バッファー(pH6.0)で15分、スライドを加熱し、所定のエピトープを回復させる。スライドをバッファーで洗浄し、保湿チャンバー内で、室温にて、正常な血清を使用してブロックする。
いくつかの態様においては、一次抗体をサンプルに添加し、保湿チャンバー内でインキュベートする。スライドを洗浄し、ビオチン-二次抗体と共にインキュベートする。スライドをバッファーで再度すすぎ、アビジン-HRPと共にインキュベートする。スライドを再度すすぎ、TSA試薬と共にインキュベートし、一次抗体を可視化する。いくつかの態様において、TSAは、チラミドシグナル増幅の略語である。スライドを表示用に搭載する。
また、HRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)法を使用し、細胞を、免疫細胞化学用に調製することもできる。二次抗体として、ビオチン結合したものを使用する。ついで、スライドをPBSですすぎ、アビジン-HRPと共にインキュベートする。スライドを再度すすぎ、TSA試薬と共にインキュベートし、一次抗体を可視化する。蛍光顕微鏡、例えば共焦点顕微鏡を使用し、スライドを視覚的研究用に搭載する。いくつかの態様において、展開を、色素原試薬、例えばAECを使用して実施してもよい。いくつかの態様において、展開を、従来からの光学顕微鏡により可視化してもよい。
組織切片におけるタンパク質を同定するために、組織を4%のPFA(パラホルムアルデヒド)O/Nで固定し、ついて30%のスクロースO/Nで凍結保護し、TissueTechに包埋する。ついで、切片を凍結状態で切断し、PBS(リン酸緩衝食塩水)ですすぎ、0.01Mのクエン酸バッファー(pH6.0)において15分、マイクロ波処理し、エピトープを回復させる。ついで、このような切片は、上述した方法のいずれかを使用して染色可能であるが、等級付けされたエタノール処理は除く。HRPベースアッセイを使用するケースにおいては、過酸化水素水を使用し、内因性ペルオキシダーゼ活性を阻害する。いくつかの態様においては、ついで、例えばパラフィン切片を使用する場合は、切片をミクロトームで切断する。
分析用FACS選別を、生存している細胞、又はリリー固定液(Lillys fixative)において45分、固定化された細胞において実施する。上清を除去するために、10mlのv-チューブにおいて、室温で5分、1300rpmにより、細胞をペレット化する。ついで、この細胞を、0.1%のBSAを含有するPBSにおいて洗浄する。固定された細胞用:細胞を、二次抗体が生じた動物から、10%血清(最終濃度)に達するまで、血清を添加することにより細胞をブロックし、1時間ブロックしておく。ついで、細胞をペレット状にし、上清を除去する。一次抗体の溶液を添加し、室温、O/Nでインキュベートする。次の日、細胞を10mlのv-チューブにおいて2x5分洗浄する。二次抗体を添加し、室温で1時間インキュベートする。細胞を、10mlのv-チューブにおいて、0.1%のBSAを含有するPBSにて、2x5分洗浄する。最後に、細胞をFACSでアッセイする。生存細胞:一次抗体の溶液を添加し、4℃で1時間インキュベートする。細胞を10mlのv-チューブにおいて2x5分洗浄する。二次抗体を添加し、4℃で30分インキュベートする。細胞を、10mlのv-チューブにおいて、0.1%のBSAと共にPBSにて、2x5分洗浄する。最後に、細胞をFACSでアッセイする。
幾つかの態様では、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞の同定は、細胞個体群とDNER結合試薬とを接触させ、染色を評価することにより達成され得る。幾つかの態様において、内分泌プレ前駆体細胞の同定は、細胞個体群とDNER結合試薬とを接触させ、染色を評価することにより達成され得る。幾つかの態様において、内分泌前駆体細胞の同定は、細胞個体群とDNER結合試薬とを接触させ、染色を評価することにより達成され得る。この分析は、蛍光標識細胞分取(FACS)、免疫組織化学(IHC)、ウエスタンブロット法、PCR、又はELISA等の方法を使用して実施されてよい。いくつかの態様において、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞の同定は、細胞個体群とDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬とを接触させ、染色を評価することにより達成され得る。いくつかの態様において、内分泌プレ前駆体細胞の同定は、細胞個体群とDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬とを接触させ、染色を評価することにより達成され得る。いくつかの態様において、内分泌前駆体細胞の同定は、細胞個体群とDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬とを接触させ、染色を評価することにより達成され得る。
幾つかの態様では、本発明は、ここに記載の方法によって得られた、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される単離細胞に関する。幾つかの態様では、本発明は、ここに記載の方法によって得られた、単離された内分泌プレ前駆体細胞に関する。幾つかの態様では、本発明は、ここに記載の方法によって得られた、単離された内分泌前駆体細胞に関する。幾つかの態様では、本発明は、ここに記載の方法によって得られた、単離された完全に分化した内分泌細胞に関する。幾つかの態様では、本発明は、ここに記載の方法によって得られた、単離された膵臓ベータ細胞に関する。
いくつかの態様において、本発明は、細胞表面マーカーとしての、DNERタンパク質を発現する細胞を同定又は選択するための、DNER結合試薬の使用に関する。いくつかの態様において、本発明は、膵臓内分泌細胞の培養体を得るための、細胞表面マーカーとしての、DNERタンパク質の使用に関する。幾つかの態様では、本発明は、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8タンパク質を細胞表面マーカーとして発現する細胞を同定又は選択するための、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬の使用に関する。幾つかの態様では、本発明は、膵臓内分泌細胞の培養体を得るための、細胞表面マーカーとしてのDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8タンパク質の使用に関する。いくつかの態様において、一又は複数のさらなる細胞表面マーカーは、膵臓内分泌細胞の培養体を得るために、同時に又は逐次使用される。いくつかの態様において、さらなる細胞表面マーカーは、DDR1タンパク質、プロミニン(prominin)1(CD133としても知られる)、及びCD49fからなる群から選択される。幾つかの態様では、更なる細胞表面マーカーはDDR1タンパク質である。
分離方法
いくつかの態様において、本発明は、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞の培養体を得る方法に関し、該方法は、DNER結合試薬と、膵臓細胞を含む細胞個体群とを接触させ、DNER結合試薬と結合しない細胞から、DNER陽性細胞の画分中の、DNER結合試薬と結合した細胞を分離することを含む。いくつかの態様において、本発明は、内分泌プレ前駆体細胞を含む培養体を得る方法に関し、該方法は、DNER結合試薬と、膵臓細胞を含む細胞個体群とを接触させ、DNER結合試薬と結合しない細胞から、DNER陽性細胞の画分中の、DNER結合試薬と結合した細胞を分離することを含む。いくつかの態様において、本発明は、内分泌前駆体細胞を含む培養体を得る方法に関し、該方法は、DNER結合試薬と、膵臓細胞を含む細胞個体群とを接触させ、DNER結合試薬と結合しない細胞から、DNER陽性細胞の画分中の、DNER結合試薬と結合した細胞を分離することを含む。いくつかの態様において、本発明は、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む培養体を得る方法に関し、該方法は、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬と、膵臓細胞を含む細胞個体群とを接触させ、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬と結合しない細胞から、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞の画分中の、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬と結合した細胞を分離することを含む。いくつかの態様において、本発明は、内分泌プレ前駆体細胞を含む培養体を得る方法に関し、該方法は、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬と、膵臓細胞を含む細胞個体群とを接触させ、DNER結合試薬とと結合しない細胞から、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞の画分中の、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬と結合した細胞を分離することを含む。いくつかの態様において、本発明は、内分泌前駆体細胞を含む培養体を得る方法に関し、該方法は、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬と、膵臓細胞を含む細胞個体群とを接触させ、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬と結合しない細胞から、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞の画分中の、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬と結合した細胞を分離することを含む。
いくつかの態様において、分離工程は、蛍光標識細胞分取(FACS)によりなされる。幾つかの態様において、方法はMACSである。幾つかの態様では、分離工程は、パニングによりなされる。
また、FACSは、蛍光を測定することに基づき、細胞個体群を物理的に分離するために使用することもできる。流れる細胞は、その強度及び方向が蛍光シグナルの測定される強度に応じて変化する電磁場により偏向する。標識されたDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞は分離容器において偏向可能で、よって未標識のDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陰性細胞から分離される。
DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8に特異的に結合する蛍光標識された分子、最も一般的には、抗体は、FACSと併せて、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞を選択するのに使用される。簡単には、一態様において、膵臓細胞を含む細胞個体群は、蛍光標識された抗体と共にインキュベートされ、抗体結合後に、細胞がFACSにより分析される。細胞選別機は、液体に懸濁した単細胞を、蛍光光度計に通過させる。蛍光量を測定し、対照となる未標識の細胞よりも検出的に高い蛍光レベルを有する細胞を、陽性細胞として選択する。
膵臓細胞を含む細胞個体群が膵臓から単離される幾つかの態様において、細胞は、まず一又は複数の継代用に培養され、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8特異的抗体で標識される。ついで、細胞はFACSを使用してスキャニングされ、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陰性細胞から、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞が分離される。この例では、標識された抗体を用いたFACS分析を論議しているが、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8に特異的に結合する他の分子、例えばレクチン及びコラーゲン、及び他のDNER結合パートナー、例えば上述にて列挙したものを、本発明の実施に使用することができる。幾つかの態様では、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陰性細胞から、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞を分離する方法は、固体状支持体に、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞を親和吸着させることによりなされる。
また、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞は、固体状支持体に結合し、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8に特異的に結合する分子を使用することにより、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陰性細胞から分離することができる。当業者であれば、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8特異的抗体が、抗体結合分子、例えばプロテインG又はプロテインAを介して、固体状支持体に結合可能であり、又は固体状支持体に直接コンジュゲート可能であることを認識しているであろう。DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8抗体が結合した固体状支持体は、例えばStem Cell Technologiesから、磁気ビーズであるStemSep及びEasySepTMを、商業的に入手可能である。幾つかの態様では、分離工程は、磁気活性化細胞分取(MACS)を使用して、実施されてよい。
また、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞は、パニング技術を介して、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陰性細胞から分離することもできる。パニングは、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬で固体状支持体を被覆し、適切な条件下、適切な時間、表面で膵臓細胞をインキュベートすることによりなされる。平坦面、例えば培養皿は、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬で被覆される。膵臓細胞は表面に添加され、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬との結合が可能になる。ついで、培養皿が洗浄され、皿からDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陰性細胞が除去される。幾つかの態様において、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8特異的抗体は、膵臓細胞個体群において、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞用の培養皿及び「パン」を被覆するために使用される。
幾つかの態様において、細胞は、Ptprn/IA2-陽性及びPtprn/IA2-陰性細胞に細胞を分離することにより、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8による選択の前後に精製されてもよい。幾つかの態様において、細胞は、Ptprn/IA2-陽性及びPtprn-陰性細胞に細胞を分離することにより、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8による選択の前後に精製されてもよい。幾つかの態様において、細胞は、Slc30a8/ZnT-8-陽性及びSlc30a8/ZnT-8-陰性細胞に分離されてもよい。幾つかの態様において、細胞は、DDR1のような一又は複数の更なる細胞外マーカーと組み合わせたDNERによる選択の前後に精製されてもよい。幾つかの態様において、細胞は、DDR1のような一又は複数の更なる細胞外マーカーと組み合わせたDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8による選択の前後に精製されてもよい。
したがって、本発明は、膵臓細胞を含む細胞個体群が、Ptpm陽性画分、Abcc8陽性画分、及び/又はSlc30a8陽性画分を含む、ベータ細胞陽性である、態様を含む。また、ここ又は上の任意の実施態様に記載の方法により得られた膵臓内分泌細胞の培養体は、さらにPtprn-陽性/陰性画分及び/又はAbcb9-陽性/陰性画分及び/又はSlc30a8-陽性/陰性画分に分離を含む、ベータ細胞-陽性/陰性画分に分離されてもよい。
当業者であれば、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8についてはっきりと提示されてはいるが、分離方法に関して上述した部分の詳細は、他の細胞外タンパク質に適用されてもよいことは理解しているであろう。こような細胞外タンパク質には、DDR1、プロミニン1(CD33としても公知)、及びCD49fからなる群から選択されるタンパク質が含まれる。
ベータ細胞への胚性幹(ES)細胞の分化中、他の細胞型、例えば神経細胞、及び非膵臓内胚葉が生成されることが予期される。ES細胞は、アクチビンAにより内胚葉細胞、ついで膵臓細胞に分化可能である。膵臓の運命が獲得されたならば、望ましい細胞を単離することができる。DNER及び/又はDDR1は、細胞の所望するサブセットを単離するためのマーカーとして使用することができる。DNER結合試薬は、膵臓の内分泌プレ前駆体細胞及びその子孫だけでなく、一般的には神経細胞にも特異的に結合し得る。発明者は、DNERが小腸内分泌前駆体細胞のためのマーカーではないことを示す遺伝子発現プロファイリング実験を実施した。DDR1結合試薬は、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期内分泌細胞だけでなく、膵臓の管/内分泌前駆体細胞にもまた結合する。更に、DDR1結合試薬は、神経細胞には結合し得ないが、膵臓細胞以外の他の内分泌細胞に結合し得る。
同定、富化、及び/又は選択のための種々の方法が、例えば以下の実施例のように利用できる:膵臓内胚葉を含む確定的内胚葉への分化が誘導されたES細胞に、1)DDR1+細胞を単離するためのマーカーとしてのDDR1を使用すること:2)DDR1+固体群からDNER+細胞を単離するためのマーカーとしてのDNERを使用することができる。この工程により、膵臓プレ前駆体と命名される細胞のES-誘導プールの直接単離ができるようになる。さらに、このような細胞のインビトロで媒介される分化において、例えばマーカーとしての、Ptprn/IA2-、Abcc8/Sur1-、又はSlc30a8/ZnT-8-陽性細胞の二次的使用を、初期及び完全に分化した内分泌細胞を単離させるのに使用することができる。
DDR1陽性細胞の一部は、増殖する能力を有すると期待される。したがって、幾つかの態様では、本発明は、細胞個体群のサブセットを単離するために、a)細胞の固体群を単離するためのDDR1結合試薬の使用、b)所望により増殖及び/又は分化を容易にするための細胞個体群の培養、c)DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8結合試薬の使用の工程を含む方法に関する。この方法によって単離されるDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞個体群 は、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含み得る。
幾つかの態様では、本発明は、a)細胞個体群を単離するためのDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8結合試薬の使用、b)所望により増殖及び/又は分化を容易にするための細胞個体群の培養、c)細胞個体群のサブセットを単離するためのDDR1結合試薬の使用、d)所望により増殖及び/又は分化を容易にするための細胞個体群の培養、e)所望によりa)からd)をDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞の必要量が達成するまで繰り返す工程を含む方法に関する。
いくつかの態様において、マーカーとしてDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8を使用することで、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞を含む細胞個体群を、低比率、例えば20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、2%未満の他の細胞型と共に含む、又は他の細胞型、例えば、膵臓細胞及び神経細胞以外の内胚葉細胞を含まない細胞個体群が提供される。DNERとDDR1結合試薬を用いた二重の分離は、開始個体群が神経細胞がない膵臓又は内胚葉由来だけの場合、必要で無くてもよい。
いくつかの態様において、マーカーとしてDDR1とDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8を同時又は連続的に組み合わせて使用することで、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞を含む細胞個体群を、低比率、例えば20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、2%未満の他の細胞型と共に含む、又は他の細胞型、例えば、膵臓細胞及び神経細胞以外の内胚葉細胞を含まない細胞個体群が提供される。DNERとDDR1結合試薬を用いた二重の分離は、開始個体群が神経細胞がない膵臓又は内胚葉由来だけの場合、必要で無くてもよい。
いくつかの態様において、開始個体群が膵臓由来だけである場合、本発明は、DDR1陽性細胞の細胞個体群が得られる、DDR1の第一の分離、及びDNER陽性細胞がDDR1陽性細胞から除かれる、DNERの第二の逆分離に関し;この方法は、幾つかの管/内分泌前駆体細胞を伴って、DDR1を発現しDNERを発現しない、前内分泌前前駆体細胞の細胞個体群を与え得る。前内分泌前前駆体細胞は、内分泌前前駆体細胞の直接前駆体として定義される。幾つかの態様では、開始個体群が膵臓由来だけの場合、本発明は、DDR1陽性細胞の細胞個体群が得られる、DDR1の第一の分離、及びDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞がDDR1陽性細胞から除かれる、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8の第二の逆分離に関し;この方法は、幾つかの管/内分泌前駆体細胞を伴って、DDR1を発現しDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8を発現しない、前内分泌前前駆体細胞の細胞個体群を与え得る。前内分泌前前駆体細胞は、内分泌前前駆体細胞の直接前駆体として定義される。
幾つかの態様において、実質的には他の細胞型を含まない、膵臓内分泌細胞を含有する組成物が、生成されてよい。いくつかの態様において、実質的には他の細胞型を含まない、膵臓内分泌プレ前駆体細胞、膵臓内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び完全に分化した内分泌細胞を含有する組成物が、生成されてよい。いくつかの態様において、実質的には他の細胞型を含まない、膵臓内分泌プレ前駆体細胞を含有する組成物が、生成されてよい。いくつかの実施態様において、実質的には他の細胞型を含まない、膵臓内分泌前駆体細胞を含有する組成物が、生成されてよい。いくつかの態様において、表現「実質的に含まない」は、細胞培養体又は細胞個体群が、細胞の全数に対して、膵臓内分泌プレ前駆体細胞、膵臓内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び完全に分化した内分泌細胞と比べて、他の細胞型を20%少なく含有することと理解される。いくつかの態様において、表現「実質的に含まない」は、細胞培養体又は細胞個体群が、細胞の全数に対して、膵臓内分泌プレ前駆体細胞より、他の細胞型を20%少なく含有することと理解される。いくつかの態様において、表現「実質的に含まない」は、細胞培養体又は細胞個体群が、細胞の全数に対して、膵臓内分泌プレ前駆体細胞より、他の細胞型を20%少なく含有することと理解される。いくつかの態様において、表現「実質的に含まない」は、細胞培養体又は細胞個体群が、細胞の全数に対して、膵臓内分泌前駆体細胞より、他の細胞型を20%少なく含有することと理解される。
いくつかの実施態様において、本発明は、得られた細胞個体群が、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞からなる方法に関する。いくつかの実施態様において、本発明は、得られた細胞個体群が、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の内分泌プレ前駆体細胞からなる方法に関する。いくつかの実施態様において、本発明は、得られた細胞個体群が、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の内分泌前駆体細胞からなる方法に関する。
いくつかの実施態様において、本発明は、出発細胞個体群が内胚葉由来であり、得られた細胞個体群が、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞からなる方法に関する。いくつかの実施態様において、本発明は、出発細胞個体群が内胚葉由来であり、得られた細胞個体群が、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の内分泌プレ前駆体細胞からなる群から選択される細胞からなる方法に関する。いくつかの実施態様において、本発明は、出発細胞個体群が内胚葉由来であり、得られた細胞個体群が、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の内分泌前駆体細胞からなる方法に関する。
いくつかの実施態様において、本発明は、出発細胞個体群が内胚葉及び神経由来の細胞を含み、得られた細胞個体群が、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞からなる方法に関する。いくつかの実施態様において、本発明は、出発細胞個体群が内胚葉及び/又は神経由来の細胞を含み、得られた細胞個体群が、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の内分泌プレ前駆体細胞からなる群から選択される細胞からなる方法に関する。いくつかの実施態様において、本発明は、出発細胞個体群が内胚葉及び/又は神経由来の細胞を含み、得られた細胞個体群が、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の内分泌前駆体細胞からなる群から選択される細胞からなる方法に関する。いくつかの実施態様において、本発明は、出発細胞個体群が内胚葉又は神経由来の細胞を含む場合、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8結合試薬が、一又は複数の付加的な結合試薬と組合せて、同時に又は逐次使用され、ここで出発細胞個体群が内胚葉及び/又は神経由来の細胞を含む方法に関する。本発明のいくつかの実施態様において、付加的な結合試薬は、プロミニン1(CD133としても公知)、及びCD49f結合試薬からなる群から選択される。
いくつかの態様において、本発明は、ここに記載の任意の方法により得られた、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞及び完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される単離された細胞に関する。
いくつかの態様において、本発明は、ここに記載の任意の方法により得られた、単離された内分泌プレ前駆体細胞に関する。いくつかの態様において、本発明は、ここに記載の任意の方法により得られた、単離された内分泌前駆体細胞に関する。
いくつかの態様において、本発明は、ここに記載の任意の方法に定められた方法により得られた、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群からの一又は複数の細胞から選択される、単離された細胞を含有する組成物に関する。いくつかの態様において、本発明は、ここに記載の任意の方法に定められた方法により得られた、単離された内分泌プレ前駆体細胞を含有する組成物に関する。いくつかの態様において、本発明は、ここに記載の任意の方法に定められた方法により得られた、単離され、十分に分化した内分泌細胞を含有する組成物に関する。
細胞分化マーカー
いくつかの態様において、本発明は、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含有する細胞培養体を得る方法に関し、該方法は:ここに記載の方法に従い、精製された細胞を得、ついで、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞において、膵臓細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。いくつかの態様において、本発明は、内分泌プレ前駆体細胞を含有する培養体を得る方法に関し、該方法は:上又はここに記載した方法に従い、精製された細胞を得、ついで、内分泌プレ前駆体細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。いくつかの態様において、本発明は、内分泌前駆体細胞を含有する培養体を得る方法に関し、該方法は:ここに記載の方法に従い、精製された細胞を得、ついで、内分泌前駆体細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。
膵臓細胞個体群を同定するのに使用可能な、多くの細胞マーカーが存在する。単離され、培養されたドナーー細胞は、分化した膵臓細胞の種々の表現型及び遺伝子型の兆候を示し始める。表現型及び遺伝子型の兆候の例には、調節された(例えば、アップレギュレーション又はダウンレギュレーション)通性前駆体細胞個体群に存在する、種々の分子マーカーが含まれる。これらの分子マーカーには、膵臓の通性幹細胞(即ち、多能性膵臓幹細胞)のマーカーであると仮定されている、CK-19又はPdx1/Nkx6.1/Ptf1aトリプル陽性細胞が含まれる。
典型的には、哺乳動物幹細胞は、多くの発育段階を介して進行し、最終的な発育終点になるまで成熟する。発育段階は、発育している細胞に存在していない又は存在しているマーカーを同定することにより決定することができる。ヒト内分泌細胞は同様の方式で発育するため、細胞用表現型から偽性島表現型へとそれらが移行する場合の細胞を同定するために、種々のマーカーを使用することができる。
本発明の方法により増殖又は分化が誘発された細胞におけるマーカー発現は、正常なヒトの膵臓の発育におけるマーカー発現のシーケンスと、ある程度の類似性を有している。発育のかなりの初期、始原上皮細胞は、ホメオドメイン核内因子である、Pdx-1、初期の細胞マーカーを発現する。細胞が発育すると、それらは出芽し、管を形成し始める。これらの細胞はサイトケラチン19、上皮管細胞のマーカーを発現し、一時的には、発育的に内分泌細胞に至るNgn3を発現する。これらの細胞は内分泌細胞に向かって発育し続けており、それらは、インスリン、ソマトスタチン、グルカゴン、又は膵臓ポリペプチドを発現する能力を獲得する。最終的に分化した細胞は一つのみを発現でき、アルファ細胞(グルカゴン)、ベータ細胞(インスリン)、デルタ細胞(ソマトスタチン)、及びPP-細胞となる。
ここで使用されるDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞個体群は、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び完全に分化した内分泌細胞の主要なカテゴリーに分割可能であると、考えられている。
DNERの細胞外発現は、膵臓の種々のドメインで変化し、膵臓内分泌細胞の発育段階中に変化する可能性がある、例えば、図1の略図を参照。
DNERは、膵臓内胚葉のいくつかの細胞で発現する。DNERは多能性膵臓前駆体細胞では発現しない。DNERは腺房系列では発現しない。DNERは外分泌系列では発現しない。DNERは管系列では発現しない。DNERは内分泌腸系列では発現しない。DNERは、Ngn3タンパク質の発現の前の分化の段階における新しい細胞型、即ち、内分泌プレ前駆体細胞において発現するようである。よって、DNERは、内分泌プレ前駆体細胞の同定、富化、及び/又は単離に使用可能である。DNERは、内分泌前駆体細胞において、高、中又は低レベルで発現し得る。よって、DNERは、内分泌前駆体細胞の同定、富化、及び/又は単離に使用可能である。DNERは、初期内分泌細胞において、高、中又は低レベルで発現し得る。更に、DNERは、ホルモン陽性内分泌細胞において及び完全に分化した内分泌細胞のような、成人の膵臓内分泌細胞において発現し得る。よって、DNERは、完全に分化した内分泌細胞の同定、富化、及び/又は単離に使用可能である。従って、DNERは、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞を、同定、富化及び/又は単離するのに使用されてよい。特に、多くのタンパク質、例えばPtprn/IA2、Abcc8/Sur1、及びSlc30a8/ZnT-8は、完全に分化した内分泌細胞の同定、富化及び/又は単離に使用可能であるが、DNERのみが、内分泌前駆体細胞の同定、富化及び/又は単離に使用され得る。
細胞が実際に発達経路における前駆体の例であるか又は単純にインビトロ操作における結果であるかに関わらず、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞は、また最終的には内分泌ホルモンを発現し、又は膵臓の初期の内分泌細胞からさらに成熟した内分泌細胞型へと成熟し、よって任意のタイプの島細胞における欠点を矯正するために使用される可能性を有している細胞に分化可能な、発育経路における前駆体の具体例であると信じられている。
さらに、DDR1陽性細胞個体群は、発育の十分に分化した段階未満であり、十分に分化した内分泌細胞に分化する可能性、及び増殖する能力を保持していると信じられている。細胞が実際に発達経路における前駆体の例であるか又は単純にインビトロ操作における結果であるかに関わらず、DDR1陽性細胞は、増殖し、また最終的には内分泌ホルモンを発現し、又は膵臓の初期の内分泌細胞からさらに成熟した内分泌細胞型へと成熟し、よって任意のタイプの島細胞における欠点を矯正するために使用される可能性を有している細胞に分化可能な、発育経路における前駆体の具体例であると信じられている。
関心あるマーカーは、膵臓において、時間-及び組織-特異的パターンで発現する分子である(Hollingsworth, Ann N Y Acad Sci 880: 38-49 (1999)を参照)。これらの分子マーカーは、一般的に3つのカテゴリー:転写因子、ノッチ経路マーカー、及び中間径フィラメントマーカーに分けられる。転写因子マーカーの例には、Pdx-1、NeuroD、Nkx-6.1、Isl-1、Pax-6、Pax-4、Ngn-3、及びHES-1が含まれる。
ノッチ経路マーカーの例には、Notch1、Notch2、Notch3、Notch4、Jagged1、Jagged2、Dll1、及びRBPjkが含まれる。中間径フィラメントマーカーの例には、CK19及びネスチンが含まれる。膵臓ベータ細胞の前駆体のマーカーの例には、Pdx-1、Pax-4、Ngn-3、及びHb9が含まれる。完全に分化した膵臓ベータ細胞のマーカーの例には、インスリン、ptprn/IA2、Abcc8/Sur1、及びSlc30a8/ZnT-8が含まれる。
インスリンmRNA発現
膵臓細胞の同一性、分化又は成熟度の特徴付けに使用され得る一つのマーカーは、インスリンmRNAのレベルである。例えば、本発明の中間細胞個体群は、定められた範囲でインスリンmRNA発現を示す。インスリンmRNAを定量する方法には、ノーザンブロット法、ヌクレアーゼプロテクション、及びプライマー伸長法が含まれる。
幾つかの態様において、RNAを、培養された細胞の個体群から抽出し、プロインスリンメッセージの量を、定量的逆転写PCRにより測定する。逆転写の後、インスリンcDNAを、インスリンcDNA配列にハイブリダイゼーションしたプライマーを使用し、増幅した生成物の量が、サンプル中に存在するmRNAの量に関連する増幅条件下で、サンプルから、特異的かつ定量的に増幅させる(例えば、 Zhouら, J Biol Chem 272: 25648-51 (1997)を参照)。動力学的定量手順は、出発mRNAレベルを正確に測定可能であるため、好ましい。
インスリンmRNAの量を、構造的に発現したmRNA、例えばアクチンに対して、頻繁に正常化し、アクチンに特異的なプライマーを使用し、同様のRNAサンプルから特異的に増幅させる。よって、インスリンmRNAの発現レベルは、アクチンmRNA増幅生成物に対する、インスリンmRNA増幅生成物の比率、又は単純に、インスリン:アクチンのmRNA比率として報告される。他の膵臓ホルモン(例えば、ソマトスタチン又はグルカゴン)をコードするmRNAの発現は、同様の方法で定量される。また、インスリン及びアクチンのmRNAレベルは、インサイツハイブリダイゼーションにより測定され、ついでインスリン:アクチンのmRNA比率の測定に使用することができる。インサイツハイブリダイゼーション法は、当業者に公知である。
増殖方法
いくつかの態様において、本発明は、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞の数を増やす方法に関し、該方法は:ここ又は上に記載した方法に従い、精製された細胞を得、ついで、得られた細胞型(類)の増殖を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。いくつかの態様において、本発明は、内分泌プレ前駆体細胞数を増加させる方法に関し、該方法は:ここ又は上に記載した方法に従い、精製された細胞を得、ついで、内分泌プレ前駆体細胞の増殖を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。いくつかの態様において、本発明は、内分泌前駆体細胞の数を増加させる方法に関し、該方法は:ここ又は上に記載した方法に従い、精製された細胞を得、ついで、内分泌前駆体細胞の増殖を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。
いくつかの態様において、本発明は、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞の数を増やす方法に関し、該方法は:ここ又は上に記載した方法に従い、精製され、増殖した細胞を得、ついで、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞において、膵臓細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。幾つかの態様において、本発明は、内分泌プレ前駆体細胞の数を増やす方法に関し、該方法は:ここ又は上に記載した方法に従い、精製され、増殖した細胞を得、ついで、内分泌プレ前駆体細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。幾つかの態様において、本発明は、内分泌前駆体細胞の数を増やす方法に関し、該方法は:上述した方法に従い、精製され、増殖した細胞を得、ついで、内分泌前駆体細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。さらなる他の態様において、本発明は、初期の内分泌細胞の数を増やす方法に関し、該方法は:上述した方法に従い、精製され、増殖した細胞を得、ついで、初期の内分泌細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。
胎児/成人組織から誘導された膵臓細胞及び幹細胞を増殖させるプロトコルは、限定されるものではないが、Heimberg, Hら. (2000), Diabetes 49, 571-9; Heremans, Yら. (2002), J Cell Biol 159, 303-12; Miralles, Fら. (1998), Development 125, 1017-24; 及びMiralles, Fら. (1999), Dev Dyn 214, 116-26に記載のプロトコルにより例証される。
機能アッセイ
ベータ細胞の重要な機能の一つは、グルコースレベルに応じて、そのインスリン分泌を調製することである。典型的には、静的グルコース刺激(SGS)アッセイは、種々のグルコースレベルに応じてインスリンを分泌可能であるかどうかを同定するために、増殖する粘着性膵臓細胞において実施される。細胞は、ほぼコンフルエントになるまで、適切な基質において培養される。SGSテストの3日前、培養培地を、インスリンを欠き、及び、1g/Lのグルコースのみを含有する以外は同様の特性の培地に置き換える。3日間、毎日培地を交換し、4日目にSGSテストを実施する。
テストの前に、培養培地を、グルコース及びインスリン分析用に収集しておいてもよい。テスト用の細胞を調製するために、ダルベッコのリン酸緩衝食塩水(DPBS)+0.5%BSAで、細胞を2回洗浄し、各洗浄と共に、5分インキュベートし、ついで、DPBS単独で1回、さらに5分インキュベートする。洗浄後、37℃のインキュベーターにおいて30分、60mg/dlのグルコース(KRB-60)を含有する、10ml(100mmの皿において)又は5ml(60mmの皿において)のクレブスリンゲルSGS液と共にインキュベートする。ついで、このインキュベートを繰り返す。
SGSアッセイを予め作製しておくために、細胞を、3ml(100mmの皿)又は4ml(T75フラスコ)又は2ml(60mmの皿dish)のKRB-60において、37℃で20分インキュベートする。培地を吸引してスパンさせ、LG-1(低グルコース刺激工程)としてインスリンアッセイ用に収集する。ついで、KRB-450+テオ(450mg/dlのグルコースと10mMのスレオフィリンを含有するKRB)を、上述した同じ容量で添加し、上述した同様の条件下で細胞を培養する。HG(高グルコース刺激)として、インスリンアッセイ用に上清を収集する。ついで、細胞を、KRB-60と共に、再度インキュベートし、LG-2として、別の時間にはLG-3として培地を収集する。インスリン分析用に培地を収集し、インスリン含有量がラジオイムノアッセイ(RIA)又は他の適切なアッセイにより測定されるまで、−20℃で保管する。
SGSテストの結果は、多くの場合、HGインスリン値をLG-1インスリン値で割ったものと定義される、刺激指標として表される。一般的に、約2以上の刺激指標は、SGSアッセイにおいて陽性の結果であるとみなされ、他の値(例えば、1.5、2.5、3.0、3.5等)は、特定の細胞個体群を定めるために使用され得る。
治療方法
いくつかの態様において、本発明は、少なくとも一の膵臓ホルモンの生成に欠損がある哺乳動物に、膵臓内分泌機能を提供する方法に関し、ここで細胞は上述した任意の方法により得られたものであり、該方法は、哺乳動物において、少なくとも一の膵臓ホルモンを測定可能な量生成するのに十分な量の得られた細胞を、哺乳動物にインプラントする工程をさらに含む。
当業者であれば、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8選択細胞又はさらに培養され分化した細胞が、インプラント用の再生可能な資源であり、哺乳動物における膵臓機能を回復させると認識しているであろう
DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性膵臓細胞は、哺乳動物において、まずインプラント前に分化する。また、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8選択細胞は前駆体状態でインプラントされ、体内で分化可能である。使用者が望むのであれば、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8細胞は、インプラント前にカプセル化することができる。
哺乳動物において、インプラント前のDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性膵臓細胞の分化は、グルコース反応性インスリン生成ベータ細胞を含む、十分に分化した内分泌細胞、すなわち単離されたランゲルハンス島のベータ細胞と同等のものからなる群から選択される分化の状態のものであってよい。いわゆるエドモントンプロトコルを使用する単離されたランゲルハンス島のインプラント例は、Shapiro AM (2000), N Engl J Med.; 343(4):230-8に見出すことができる。
DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8により選択される細胞は、前駆体状態、すなわち未熟な細胞、例えば膵臓プレ内分泌前駆体細胞、膵臓前駆体細胞、及び/又は初期の内分泌細胞からなる群から選択され、体内で分化可能な細胞を含む細胞個体群でインプラントされてもよい。幾つかの態様において、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8により選択される細胞は、膵臓プレ前駆体細胞の前駆体状態でインプラントされてもよい。いくつかの実施態様において、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8により選択される細胞は、膵臓前駆体細胞の前駆体状態でインプラントされてもよい。従って、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞は、移植に直接使用されてもよい。この状況において、インビボ環境により、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞の治療用ベータ細胞への分化が引き起こされると予測される。移植用に未熟な膵臓細胞を使用する例は、Kroon E ら. (2008), Nat Biotechnol 26, 443 - 452.に記載されている。
DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞のカプセル化により、カプセル中に、細胞凝集体が形成される結果となる。カプセル化により、1型糖尿病の宿主に膵臓細胞を移植することが可能となり、同時に、宿主動物の免疫反応を最小にすることができる。カプセル化膜の空隙率により、インスリンのような生体材料の、カプセルからの分泌が可能となり、同時に、外来細胞に対する宿主の免疫系へのアクセスが制限される。
カプセル化の方法は当該技術で公知であり、以下の参照:van Schelfgaarde &; de Vos, J. Mol. Med. 77: 199-205 (1999), Uludagら. Adv. DrugDel Rev. 42: 29-64 (2000)、及び米国特許第5762959号、同5550178号、及び同5578314号に開示されている。
カプセル化の方法は、参照としてここに導入される、出願PCT/US02/41616に詳細に記載されている。
哺乳動物へのインプラント又は移植、ついで、内分泌機能のモニタリングは、島移植に一般的に使用される方法に従い実施されてよい;例えば、Ryanら, Diabetes, 50: 710-19(2001); Peckら, Ann Med 33: 186-92 (2001); Shapiroら, NEngl JMed 343 (4): 230-8(2000); Carlssonら, Ups J Med Sci 105 (2): 107-23 (2000)及びKuhtreiber, WM, Cell Encapsulation Technology and Therapeutics, Birkhauser, Boston, 1999を参照。幾つかの態様では、インプラントの好ましい部位には、腹膜腔、肝臓、及び腎臓カプセルが含まれる。
当業者であれば、未成熟膵臓細胞を含む膵臓細胞を使用して移植を実施する場合、膵臓ホルモン及び血糖値の測定のようなベータ細胞機能の測定は、移植後、少なくとも2週間、例えば、少なくとも4週間、少なくとも6週間、又は少なくとも8週間実施すべきであることを理解するであろう。対照的に、分化した膵臓細胞を使用して移植を行う場合、ベータ細胞機能、例えば、膵臓ホルモン及び血糖値レベルの測定を移植直後、例えば、移植後の12時間以前、24時間以前、又は36時間以前に実施すべきである。
当業者であれば、意図する受容者用のマイクロカプセルの適切な用量を決定することができるであろう。用量は、受容者が必要とするインスリンに依存する。ベータ細胞又はマイクロカプセルの決まった数から分泌されるインスリンレベルは、免疫学的に、又は生物活性量により決定することができる。用量を決定する場合、受容者の体重を考慮に入れることができる。(カプセル化されてもよい)細胞に対する受容者の反応をモニターしている場合、必要であるならば、1以上のインプラントを実施することもできる。よって、()カプセル化されてもよい)細胞の用量に対する指針として、インプラントに対する反応性を使用することができる(Ryanら, Diabetes 50: 710-19 (2001))。
受容者における、(カプセル化されてもよい)細胞の機能は、グルコースに対する受容者の反応をモニターすることにより測定することができる。(カプセル化されてもよい)細胞のインプラントにより、血糖値をコントロールすることができる。さらに、膵臓内分泌ホルモン、インスリン、C-ペプチド、グルカゴン、及びソマトスタチンのレベルが増加したという証拠により、(カプセル化されてもよい)細胞の機能を示すことができる。
当業者であれば、血糖のコントロールは、種々の方法でモニター可能であると、認識しているであろう。例えば、血糖は、体重とインスリン必要量から、直接測定することができる。経口グルコース負荷試験を付与することもできる。腎臓機能は、他の代謝パラメーターから測定することもできる(Soon-Shiong, Pら, PNAS USA 90: 5843-5847 (1993); Soon-Shiong, Pら, La71cet 343: 950-951 (1994))。
ここで使用される場合、用語「インスリン生成内分泌膵臓細胞」は、インスリンを生成し、血糖依存方式でインスリンを分泌する細胞を称する。
幾つかの態様において、膵臓細胞を含む細胞個体群は、(この発明の)培養源から単離される。ついで、単離された細胞は、例えば、さらなる培養に使用されるか、又は米国特許第5762959号のマイクロカプセル化法に従いマイクロカプセル化される。
用語「このような機能を必要とする哺乳動物に膵臓機能を付与する」とは、それ自身、このようなホルモンを生成できない哺乳動物の体内で、膵臓ホルモンを生成する方法を称する。幾つかの態様において、膵臓ホルモンは、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド、及びグレリンからなる群から選択される。いくつかの態様において、インスリンは糖尿病の哺乳動物の体内で生成される。膵臓機能は、この開示の方法により生成された、インスリンを生成する膵臓細胞を、哺乳動物にインプラント又は移植することにより提供される。インプラントされた凝集体の数は、哺乳動物に、測定可能な量のインスリンを生成するのに十分な量とされる。インスリンは、Elisaアッセイ又はラジオイムノアッセイ又はインスリン機能、例えば血糖値の維持度合いのアッセイを含む、当業者に公知の他の検出方法により測定可能である。
インスリンは、等モル量のC-ペプチドと同時分泌され、よって、インスリン分泌活性は、血中のC-ペプチドを検出することにより測定することができる。幾つかの態様において、膵臓機能の提供は、体外で生成されるインスリンへの、哺乳動物の依存性を低減又は除去するのに十分である。
「カプセル化」とは、細胞が、生体融合性のある無細胞物質、例えばアルギン酸ナトリウム及びポリリジンで取り囲まれるプロセスを称する。好ましくは、糖類及び小分子量のタンパク質のような小分子が、カプセル化された細胞周囲の環境から取り込まれるか、又はそこに分泌可能である。同時に、より大きな分子によりカプセル化された細胞、及び免疫細胞へのアクセスは制限される。
「インプラント」は、受容者に細胞をグラフトする又は配置することである。それには、カプセル化した細胞又は非カプセル化が含まれる。細胞は、当該技術で公知の方法により、皮下、筋肉内、門脈内、又は腹腔内に配することができる。
幾つかの態様において、分離工程は蛍光標識細胞分取により実施される。幾つかの態様において、分離工程はパニングにより実施される。幾つかの態様において、分離工程は流動床により実施される。
幾つかの態様では、本発明はまた、細胞表面マーカーとして、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8タンパク質を発現する細胞を同定又は選択するためのDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬の使用に関する。いくつかの態様において、本発明は、一又は複数の付加的な結合試薬、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬として、分析の同じ工程(類)にかけられてもよい、と組合せて、細胞表面マーカーとしてのDNER、DISP2、SEZL6L2、LRP11及び/又はSLC30A8を発現する細胞を同定又は選択するためのDNER、DISP2、SEZL6L2、LRP11及びSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬の同時又は逐次使用に関する。幾つかの態様において、付加的な結合試薬は、DDR1、プロミニン(CD133としても公知)、及びCD49f結合試薬からなる群から選択される。幾つかの態様では、付加的な結合試薬は、DDR1結合試薬である。
また本発明は、膵臓内分泌前駆体細胞又は膵臓ホルモン分泌細胞又は初期内分泌細胞の培養体を得るための細胞表面マーカーとしての、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8タンパク質の使用に関する。いくつかの態様において、本発明は、一又は複数の付加的な結合試薬と組合せて、膵臓内分泌前駆体細胞、又は膵臓ホルモン分泌細胞、又は初期の内分泌細胞の培養体を得るための、細胞表面マーカーとしての、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8タンパク質の同時又は逐次使用に関する。いくつかの態様において、付加的な結合試薬は、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬として、分析の同じ工程(類)にかけられてもよい。幾つかの態様において、付加的な結合試薬は、DDR1、プロミニン(CD133としても公知)、及びCD49f結合試薬からなる群から選択される。幾つかの態様では、付加的な結合試薬は、DDR1結合試薬である。幾つかの態様において、付加的な結合試薬は、初期の、及び十分に分化した内分泌細胞を単離するのに使用可能な、Ptprn/IA2、Abcc8/Sur1、及びSlc30a8/ZnT-8結合試薬からなる群から選択される。
幾つかの態様では、本発明は、このような機能を必要とする哺乳動物に、膵臓機能を提供することによる、1型糖尿病を処置する方法に関する。
インビトロプロトコルの最適化
いくつかの態様において、膵臓細胞を含むインビトロ培養体は、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8の発現について、定期的にモニターされる。いくつかの態様において、一又は複数の付加的なマーカーが、同時又は逐次的に、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8と組合せて使用されてよい。いくつかの態様において、付加的なマーカーは、DDR1、プロミニン(CD133としても公知)、及びCD49fからなる群から選択される。幾つかの態様では、付加的なマーカーはDDR1タンパク質である。DNERの高発現レベルは、内分泌細胞になることに関連するが、Ngn3タンパク質の発現の前の発達の段階にある細胞をマークする。
胚性幹細胞の分化の最適化について、十分に分化した内分泌細胞に向かった膵臓細胞の発育の種々の段階を同定するマーカーを有することが、非常に重要である。DNER及びDDR1は、今までは、他のマーカーを使用して検出可能でなかった、細胞分化の重要かつ特定の段階を特定するために、単独で、又は組合せて使用されてよい。DNER及び/又はDDR1は、一又は複数の付加的なマーカーと組合せて使用されてよい。DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11、SLC30A8及びDDR1は、今までは、他のマーカーを使用して検出できなかった、細胞分化の重要かつ特定の段階を特定するために、単独又は組み合わせて使用され得る。DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11、SLC30A8及びDDR1は、一又は複数の付加的なマーカーと組合せて使用されてよい。
DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8を発現する細胞は、上又はここに記載の方法、例えばFACSを使用し、同定、富化、及び/又は単離することができる。
幾つかの態様では、DDR1+及びDNER+細胞を単離することで、例えばES細胞-誘導性の限定的内胚葉細胞個体群から、内分泌プレ前駆体細胞の純粋な培養体の生成に、かなりの利点が提供される。幾つかの態様では、DDR1陽性細胞とDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞の逐次単離により、例えば、内胚葉細胞個体由来のES細胞からの、内分泌プレ前駆体細胞の純粋な培養体の生成に、かなりの利点が提供される。よって、より純粋な内分泌細胞個体群に向かっての、さらなる増殖及び/又は分化にかけることのできる培養体が得られる。
各文献が、出典明示により個々にかつ具体的に援用されるように記載され、その全内容がここに記載されているかと同程度に、ここに引用された、刊行物、特許出願および特許を含む全ての文献は、出典明示によりその全内容がここに援用される(法律により許容される最大範囲)。
全ての表題および副題は、ここでは便宜的に使用され、決して本発明を限定するものと解すべきではない。
ここに提供される任意かつ全ての例、または例示的な言語(例えば「例えば、等」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、特に請求項に記載がない限り、本発明の範囲に限定をもたらすものではない。明細書中の如何なる語句も請求項に記載していない要素が本発明の実施に必須であることを示しているものと解すべきではない。
ここでの特許文献の引用および援用は単に便宜上なされているものに過ぎず、そのような特許文献の有効性、特許性、および/または権利行使性についての見解を反映させるものではない。
この発明は、適用される法律に容認される場合、ここに付加される請求項に列挙された主題事項の全ての修正点および等価物を含む。
動物由来とここの実施例で使用される抗体の濃度を表1に示す。全ての二次抗体を製造元の指示書に従って希釈し使用した。
Figure 2011518547
実施例1:マウス及びヒトDnerの生物情報学的分析
細胞外及び膜貫通ドメインを見出すために、マウス及びヒトのDnerを、CBS(http://www.cbs.dtu.dk/services/TMHMM/)にて、膜貫通プレディクターTMHMMサーバーv.2.0に通した。結果は、ヒトとマウスのDnerの両者がヒト及びマウスの両者の細胞外側に最初の主な638アミノ酸を有する単一の透過膜タンパク質(I型)であると予測され、該透過膜ドメインは639−661アミノ酸であると予測された。Dnerタンパク質の最初の部位におけるTMHMMによって予測される透過膜様領域は、シグナルペプチドであり、シグナルPに関連する下の結果においてまた考察される。
Dnerのマウス及びヒトシグナルペプチドは、CBS(http://www.cbs.dtu.dk/)にて、シグナルP3.0予測サーバーを用いて解析した。マウス:シグナルペプチド可能性:1.000;シグナルアンカー可能性:0.000;位置39及び40の間で最大切断箇所可能性0.494。ヒト:シグナルペプチド可能性:1.000;シグナルアンカー可能性:0.000;最大切断箇所可能性:位置34及び35の間で0.379。結果は、マウス及びヒトDnerにおいて観察される透過膜様構造が、透過膜ドメインではなく、1の可能性を有するシグナルペプチドであることを示す。
マウスとヒトDnerの間でのアミノ酸の差異を調べるために、タンパク質のアミノ酸配列をClustal W (http://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw/)を使用して整列させた。図2に結果を示す。配列同一性は、90%であった。このように、マウス及びヒトのDnerのアミノ酸配列は、高度に保存されている。透過膜ドメインは下線を引いている:アミノ酸639から661。
Dner結合試薬により結合可能な修飾についての情報を得るために、CBS(http://www.ebi.ac.uk/)にて、マウス及びヒトDnerを、翻訳後予測サーバーに通した。結果を図3から6に示す。GalNAc O-グリコシル化を調べるために、マウス及びヒトDnerをDictyOGlyc1.1サーバー(http://www.ebi.ac.uk/における)を通した。図3はGlcNAcO−グリコシル化がマウス及びヒトDnerの細胞外側に存在すると予測され、「G」で示される。リシンのイプシロンアミノ基のグリコシル化を調べるために、マウス及びヒトDnerをNetGlycate1.0サーバー(http://www.ebi.ac.uk/における)を通した。図4はグリコシル化がマウス及びヒトDnerの細胞外側に存在すると予測され、「G」で示される。アスパラギンのN−グリコシル化を調べるために、マウス及びヒトDnerをNetGlycate1.0サーバー(http://www.ebi.ac.uk/における)を通した。図5はグリコシル化がマウス及びヒトDnerの細胞外側に存在すると予測され、「N」で示される。ムチン型GalNacO−グリコシル化を調べるために、マウス及びヒトDnerをNetGlyc3.1ーバー(http://www.ebi.ac.uk/における)を通した。図6はグリコシル化がマウス及びヒトDnerの細胞外側に存在すると予測され、「T」で示される。下線、即ち「_」は、切断されたシグナルペプチドを示す。
これらの結果(TMHMM、シグナルP及び図2から6)は、Dnerが細胞外側において翻訳後に修飾される可能性が高いことを示す。Dnerのマウスとヒト形態の両者は従ってこのような修飾を認識する結合試薬が結合する。
マウスとヒトDDR1の情報学的解析は、PCT/EP2008/068061の実施例1に従って実施され得、これに関する結果はその中に示される。マウスDDR1のアイソタイプの研究は、PCT/EP2008/068061の実施例2に従って実施され得、これに関する結果はその中に示される。
実施例2:膵臓ベータ細胞株におけるDnerとDdr1の発現
全RNAは、マウス内分泌様細胞株から単離された:Isn1、ベータHC、ベータTCtet(条件:テトラサイクリンと伴に培養(+tet)、ベータTCtet(条件:テトラサイクリンを伴わず培養(−tet)、Min6及びアルファTC及びe15.5NMRI内臓(胃、十二指腸、脾臓、及び膵臓)組織から単離された。細胞株Ins1はM Asafari等Endocrinology, 130巻, 167-178に記載されている。細胞株ベータHC−9は、Noda M等, Diabetes, 1996 Dec;45(12):1766-73に記載されている。細胞株ベータTC−tetは、Fleischer N等, Diabetes, 1998 Sep;47(9):1419-25に記載されている。細胞株Min6は、J Miyazaki等, Endocrinology,1990 Jul;127(1):126-32に記載されている。細胞株アルファTCは、Powers AC等, Diabetes, 1990 Apr;39(4):406-14に記載されている。RNAをテンプレートとして使用することにより、ランダムプライムのcDNAを作製した。PCRの35サイクルをこれらのcDNA上で実施した(96℃で180秒、次いで(96℃で30秒、55℃で30秒、72℃で30秒)を35回)。e15.5cDNAを陽性コントロールとして使用し、水HOを陰性コントロールとして使用した。
これらの結果は、Ddr1が調べた全ての細胞株で発現したこと及びDnerがIns1を除く全ての細胞株で発現していることを示した。このことは、細胞の培養体中でDnerとDdr1を発現させることが可能であることを示す。類似の結果が膵臓細胞に分化するES細胞についても得ることができると期待される。
実施例3:チャンバースライド中のIHCで可視化される内分泌様細胞株、アルファTC中のDner及びDdr1の発現
アルファTCを1000mg/LのD−グルコース、ピルビン酸ナトリウム(0.5mM)、P/S(ペニシリン(10IU/ml)、ストレプトマイシン(10μg/ml)、及び10%FCSを含むDMEM中で培養した。細胞株アルファTCは、Powers AC等, Diabetes, 1990 Apr;39(4):406-14に記載されている。細胞をリリー固定液で45分間固定し、次いでPBS中で洗浄し、使用まで+5℃においてPBS中で保存した。エタノールグラジエント(70%から出発して、96%、ついで99%、ついで再度99%、ついで96%、最後に70%、各濃度で5分のインキュベートを使用)に浸透させ、次いで0.5%のTNBブロッキング試薬(パーキンエルマーから)でブロッキングする。ヤギ抗Dner(R&Dシステム、AF2254、1:150)又はマウス抗Ddr1(R&Dシステム、MAB2396、1:50)を添加し、室温(RT)で終夜(O/N)インキュベートした。翌日、細胞をPBSで洗浄し、ビオチニル化抗サル又は抗マウス抗体を添加し、45分間インキュベートした。PBS中で細胞を洗浄後、ストレプトアビジン−HRPを添加し、15分間インキュベートし、次いでPBS中で洗浄した。最後に、染色を展開するために、チラミド−cy3を添加した。
結果は、不均質なDner及びDdr1の免疫反応性がアルファTC中で検出され得ることを示す。強力で明確な免疫反応性が約10%の細胞中でDnerについて観察された。明確な免疫反応性はまた約10%の細胞中でDdr1についても観察された。
ES細胞がベータ細胞に分化する際、他の細胞型もまた産生されることが期待される。Dner及び/又はDdr1は、次いで細胞の所望のサブセットを単離するために使用され得る。このことは、ここの実施例4から7において、不均質なDnerとDdr1染色において示される。ES細胞はアクチビンAによって内分泌細胞に分化し、次いで膵臓細胞に分化する。膵臓細胞の運命が決定されると、所望の細胞を単離することができる。1)管/内分泌前駆体を単離するために、Ddr1結合試薬を使用し得る。2)内分泌プレ前駆体細胞及び内分泌前駆体細胞を単離するために、Dner結合試薬を単独で又はDdr1結合試薬と組み合わせて使用し得る。
Dnerをマーカーとして使用して単離した細胞を内分泌細胞型を得るために使用することができ、一方でDdr1をマーカーとして使用して単離した細胞は内分泌及び管細胞型を生じ得る。Ddr1+細胞は従ってDNERを発現する可能性を示す細胞の亜集団を含む。
幾つかの態様では、マウスにおけるDdr1の発現パターンの研究は、PCT/EP2008/068061の実施例3に従って実施され得、これに関する結果はその中に示される。
実施例4:蛍光染色により可視化されるe15.5、e18.5及び成体マウス膵臓における、Dnerの局在化
マウスe15.5、e18.5胚、及び成体組織を収集し、PBSに4%のパラホルムアルデヒド(PFA)が入ったものにおいて、一晩(O/N)固定した。PBSに30%のスクロースが入ったもので組織を平衡にし、TissueTechに包埋した。8μm切片に切断し、−80℃で保管した。切片を室温(RT)で解凍し、PBSで洗浄し、0.01Mのクエン酸バッファーでマイクロ波処理し、PBSに1%のHが入ったものと共に、30分インキュベートし、ついで、0.5%のTNBブロック試薬(Perkin-Elmerからのもの)を用いてブロックした。ついで、1:75のヤギ抗Dner、1:200のモルモット抗インスリン(Gp抗-Ins)、1:75のマウス抗グルカゴン(マウス抗Glu001)を添加し、室温で終夜インキュベートした。次の日、細胞をPBSで洗浄し、ビオチニル化した抗-サル抗体と、抗-マウス-cy5、及び抗-gp-cy2を添加し、45分インキュベートした。PBSにおいて細胞を洗浄後、ストレプトアビジン-HRPを添加し、15分、インキュベートした。ついで、細胞をPBSで洗浄した。最終的に、チラミド-cy3を添加して、染色を展開した。
結果は、Dnerがe15.5及びe18.5の膵臓において強く発現していることを示した。しかし、成体膵臓では、不均質で弱いDnerが検出された。e15.5では、強いDner免疫反応性が、膵臓の中枢Nkx6.1陽性ドメイン中の拡散した細胞中で検出された。膵臓中のDnerの局在は、Ngn3タンパク質の局在化に非常に類似していた。Dnerシグナルは、インスリン又はグルカゴン陽性ドメイン中でまれに観察された。e18.5において、インスリン及びグルカゴンを共発現しないDner個体群は依然存在するが、Dnerを共発現するインスリン及びグルカゴン陽性細胞は劇的に増加した。更に、Dner陰性であるインスリンとグルカゴン陽性細胞もまた観察された。場合によっては、Dnerは、管システムと密接に関連するグルカゴン又はインスリン陽性細胞を共発現することが見出された。Dner発現はまた周囲の間葉でも観察された。間葉におけるDnerシグナルはHuC/Dに陽性の神経細胞の支配から得られる見込みがあった。e18.5において、Dnerはe15.5に比較して弱いようであった。成体の膵臓では、Dner免疫反応性は島に見出された。それはインスリンとグルカゴンの両者に共局在した。成体膵臓では、Dnerはe15.5とe18.5と比較して弱いようであった。しかし、幾つかの細胞はDnerを高いレベルで発現した。要約すると、Dner免疫反応性はマウス膵臓発生のe15.5日目における膵臓の中枢ドメインに局在化する細胞型において最も高度に発現し、高度に特徴的な「Ngn3様」染色様式を伴った(現在内分泌プレ前駆体及び内分泌前駆体(Ngn3+細胞)である細胞を含むことが知られている)。Dnerはより後段階の内分泌細胞及び完全に分化した内分泌細胞においてより低いレベル発現し得る。Dnerは神経において発現する(膵臓及び膵臓間葉の両者を神経支配する)。
実施例5:蛍光染色で可視化したe15.5wt及びNgn3機能喪失突然変異マウス膵臓におけるDner、Pdx1、及びHuc/HuDの局在化
Dnerの発現の開始がNgn3タンパク質の発現の前であるという仮説を試験するために、野生型及びNgn3-機能欠損突然変異e15.5マウス膵臓をDner、Pdx1、及び神経マーカーHuC/HuDについて染色した。データはDnerがngn3-発現欠損マウスにおいて発現することを明確に示した。Dnerは従ってNgn3より前に発現するマーカーである。
方法の記載についてはここの実施例4を参照されたい。具体的には、マウス抗HuC/HuD(Molecular Probes、A−21271)を1:150で使用し、サル抗マウスcy2で展開した。ウサギ抗Pdx1(Hm-253)を1:600で使用し、サル抗ウサギcy5で展開した。
結果はe15.5野生型膵臓中でDner陽性細胞のほとんどがPdx1を共発現し、Pdx1highを共発現しないことを示した。Pdx1と共局在しないDner免疫反応性の幾つかは、膵臓中で、神経マーカーであるHuC/HuDと共局在する。DnerとHuC/HuDの共局在は、膵臓を神経支配する。HuC/HuD染色は強い。強いDner染色はまた膵臓中でも観察された。幾つかのDner陽性細胞はPdx1とHuC/HuDのいずれも共発現しなかった。e15.5のNgn3機能欠損突然変異膵臓において、多くのDner免疫反応性が長い糸で観察された(矢頭)。このようなDner陽性細胞はHuC/HuD及びPdx1について陰性であった。わずかにいくつかのDner陽性細胞Dner陽性細胞がPdx1を共発現することが見出された。Pdx1を共発現しなかったDner陽性細胞は、Pdx1陽性内胚葉から葉裂するようであった。そしてC’−C’’’’中で観察されたDner+/PDx1−細胞の糸は、このような葉裂細胞を示し得る(矢頭)。このことは一度細胞がDnerになると、Ngn3はPdx1を維持するために必要であることを示すであろう。
実施例6:蛍光染色よって可視化したマウスe15.5膵臓中のDner、Pax6、Pdx1、Ngn3、及びPtflaの局在化
切片の作製は、ここの実施例4を参照されたい。ヤギ抗Dnerは、切片上で1:75(TSA-cy3で展開した)及び全量で1:250(サル抗ヤギcy2で展開した)で使用した。ウサギ抗Pax6(Covane、PRG-278P)を切片上で1:200(サル抗ウサギcy5で展開した)、及び全量で1:2000(TSA-cy3で展開した)で使用した。ウサギ抗Pdx1(Hm-253)を切片上で1:500(サル抗ウサギcy5で展開した)使用した。モルモット抗Pdx1を全量で1:1000(Abcam、ab47308−100、サル抗ウサギcy5で展開した)で使用した。マウス抗Ngn3(AbCore、F25A1B3)を切片上で1:100(サル抗ウサギcy2で展開した)で使用した。ウサギ抗Ngn3(AbCore、2369B)を全量で1:16000で使用した(TSA-cy3で展開した)。ウサギ抗Ptflaを全量で1:5000(サル抗ウサギcy5で展開した)で使用した。全量の方法については、Ahnfelt-Ronne J等., J Histochem Cytochem. 2007 Sep;55(9):925-30を参照されたい。
全量の結果は、Dnerが中枢内分泌Pax6ドメインに局在化していることを示した。しかし、切片上では、Dner陽性細胞が、主にPax6について陰性であるが、Pa6発現細胞に非常に近接して発現していることが観察された。幾つかのDner陽性細胞は、Pax6を共発現した。更なる全量の研究から、DnerがPdx1high発現細胞が局在化している膵臓の中枢ドメインに局在化していることは明らかであった。切片上では、Dnerが主としてPdx1high細胞核に対して陰性であるが、Pdx1を発現する全てのDner発現細胞に近いことが観察された。全てのNgn3を用いたDner染色は、Dnerが他の細胞型中でNgn3を発現する内分泌前駆体を含む膵臓の中枢ドメインに局在化していることを示した。切片上で、幾つかのDner陽性細胞がNgn3を共発現し、他のDner陽性細胞がNgn3に対して陰性であることが観察された。最終的にDnerが腺房細胞をマークするPtflaを共発現しないことが観察された。これらの結果からe15.5においてDnerは膵臓内胚葉(DnerはPdx1と共局在する)において発現し、Dnerは主に膵臓内胚葉で発現することが観察された。DnerはNgn3と共発現し、Ngn3が細胞中で刺激する前にも発現した(Dner陽性細胞の大多数は、Pdx6と共局在せず、Pdx1陽性Dner細胞はNgn3機能欠損突然変異膵臓で見出されることに注意されたい。(ここの実施例5))。従って、DnerはNgn3の前の発生段階における新しい細胞型である、内分泌プレ前駆体細胞中で発現するようである。DnerがPtflaと共局在しないのでDnerは腺房系の一部ではないことが示された。従って、Dnerは内分泌プレ前駆体細胞を精製するために使用され得る。更に、Dnerは、また内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞の幾つか及び完全に分化した内分泌細胞の多くにおいて発現し(ここの実施例4)、従ってこのような細胞を精製するためにまた使用され得る。
実施例7:蛍光染色により可視化されるe15.5マウス膵臓における、Dner及びDdr1の局在化
e15.5マウス膵臓及び他の内分泌細胞型において、Dner及びDdr1の局在化を測定するために、蛍光染色を実施した。方法の記載についてはここの実施例4を参照されたい。ヤギ抗Ddr1(R&D systems、AF2396)は1:150で使用され、ヤギ抗Dnerを1:75で使用し、両者はTSA-cy3で展開した。
実験は蛍光染色によって可視化されるe15.5マウス胚中のDner及びDdr1の局在化を決定するために実施された。結果はこの時間点において近接する内胚葉−腺房又は胃後壁にはない内分泌前駆体を他の細胞型の間に含む膵臓の中枢ドメインで高度に広範囲に発現した(Nkx6.1の様に)。膵臓から更に離れてDdr1は前胃、食堂及び胚の幾つかの部位で発現する。神経管において、幾つかの発現が中枢部位において観察された。Ddr1は、一般的に神経管の中枢部位における幾つかの発現から離れた神経組織において発現しなかった。Dnerはまた膵臓の内胚葉において発現した。しかしこれから離れて、胃の前後壁、十二指腸、食道及び胚において観察されるように内胚葉で発現しなかった。しかしDnerは神経管の非中枢部位で強く発現した。更にDnerは体内の神経で広く発現した。Dnerは胃、十二指腸及び食堂の周囲の神経で観察された。神経管では、Ddr1とDnerは、相補パターンで発現するようであった。内胚葉におけるDdr1とDner発現を比較すると、Dnerは膵臓で発現するだけなのに対しDdr1はより広く発現した。膵臓では、DnerはDdr1陽性細胞のサブセットで発現するだけなので、Ddr1はまたDnerより広く発現した。結果はまた動眼核及び滑車核における脳幹運動ニューロンを除く全ての分化した神経中で発現する、Phox2bがDnerと共発現することを示した。
結果には、DnerとDdr1の両者の二重陽性細胞及びDner又はDdr1二重陽性細胞が、蛍光染色で可視化されたe15.5膵臓において見出されることがさらに示された。
結果には、Dner又はDdr1陽性細胞が、蛍光染色で可視化されたe15.5膵臓において、グレリンを共発現しなかったことが示された。
結果には、約90%のNgn3陽性細胞が、蛍光染色で可視化されたe15.5膵臓において、Ddr1を同時発現することがさらに示された。
結果には、蛍光染色で可視化された場合に、細胞増殖のマーカーであるKi-67について陽性であるため、e15.5膵臓において、約5−10%のDdr1陽性細胞が増殖していることがさらに示された。
結果には、e15.5で、Ddr1は、管から十二指腸への接合部に近接した主な膵臓管のほとんど全ての細胞で発現したことがさらに示された。特にDner及びDdr1の両者は膵臓でのみ発現しており、主な膵臓管のDdr1陽性細胞と、十二指腸のDdr1陰性細胞とDdr1陰性細胞とのはっきりとした境界が、蛍光染色による可視化により観察された。
幾つかの膵臓細胞を含む内胚葉に主に分化するES培養体では、Dner結合試薬は膵臓の内分泌プレ前駆体細胞だけでなく一般的に神経細胞にも特異的に結合することが観察される。Ddr1結合試薬はまた内分泌プレ前駆体細胞にも結合し得るが、加えて膵臓の管/内分泌前駆体細胞にも結合し得る。しかし、Dner結合試薬の場合と反対に、Ddr1結合試薬は神経細胞には結合せず、膵臓細胞以外の他の内胚葉細胞に反応し得る。従って、最初にDdr1結合試薬を使用することによって、管/内分泌内胚葉細胞は、他の内胚葉と一緒に精製し得るが、次いで、Dner結合試薬を同時に又は連続的に使用することにより、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞を精製し得るが、完全に分化した内分泌細胞は精製し得ない。しかし、Dner免疫反応性はe18.5よりe15.5において、成体で強いようであり、このことは内分泌プレ前駆体細胞及び内分泌前駆体だけを選択的に精製するために使用され得る。得られた細胞個体群は、他の内胚葉及び神経細胞型のような他の細胞型の低比率を含み得る。
幾つかの態様では、蛍光染色によって可視化されるe15.5マウス膵臓におけるDdr1の局在化は、PCT/EP2008/068061の実施例4に従って実施され得、これに関する結果はその中に示される。
実施例8:蛍光線色によって可視化したWG21ヒト膵臓中のDNER、インスリン及びグルカゴンの局在化
蛍光染色をヒトWG21膵臓中のDner、インスリン及びグルカゴンの局在化を決定するために実施した。切片は最初に脱パラフィン化した。ヤギ抗Dner(R&Dシステム、0.2mg/ml)を1:75で使用し(即ち、2.7μg/ml)、TSA-cy3で展開した。インスリンは、モルモット抗ヒトインスリン1:100(Abcam、全血清)で検出し、グルカゴンはウサギ抗ヒトグルカゴン1:100(DAKO、全血清)で検出した。染色はサル抗モルモット-Cy2とサル抗ウサギ-Cy5で展開した。方法の記述は、ここの実施例4を参照されたい。
結果は、DNER発現がヒト膵臓で見出されることを示した。幾つかの細胞はDNERに対し強い陽性であり、幾つかは弱い陽性であった。DNERの強い陽性細胞は、一般的にインスリン又はグルコガンを共発現しないことが見出されている。しかし、DNERの弱い陽性細胞の幾つかは、インスリン又はグルカゴンに対し陽性である。
実施例9:Dnerを使用したアルファTC細胞の分離
アルファTCのDner分離は、リリー固定液に45分固定化した細胞を使用して分析FACS分離によって実施した。上清を除くため、細胞を1400rpmで10分間室温で2mlのチューブでペレット化した。続いての細胞を0.1%のBSAを含むPBS中で洗浄し、動物からの10%血清(最終濃度)に達するまで血清を添加することによりブロックするが、ここで、二次抗体を起こし、1時間ブロックした。細胞は、次いでペレット化し、上清を除いた。一次抗体溶液を添加し、室温で終夜インキュベートした。翌日細胞を2mlチューブ中で3x5分間洗浄した(1.8ml使用)。二次抗体を添加し、1時間室温でインキュベートした。細胞を0.1%BSAを含むPBS中で3x5分間洗浄した(1.8ml使用)。二次抗体を添加し、室温で1時間インキュベートした。最後に、FACSで細胞をアッセイした。具体的には、ヤギ抗Dnerを1:150で使用し、サル抗ヤギcy2(1:300)で展開した。
結果を図7に示す:Dner抗体を用いたアルファTCのFACS。結果は一次ヤギ抗Dner抗体と二次サル抗ヤギCy2抗体の何れとも一緒にインキュベートしてないアルファTCのFACSを実施し、非常に弱いCy2蛍光(即ち、バックグラウンド)を有する細胞個体群を得た。二次のサル抗ヤギCy2抗体を添加し、注目に値する蛍光の増加を得た−このことは、二次抗体の細胞への非特異的な結合が原因であった(即ち、バックグラウンド)。一次のヤギIgGアイソタイプコントロールを添加すると、二次抗体単独(即ち、バックグラウンド)の場合と殆ど同様の蛍光が得られた。しかし、ヤギ抗Dnerを添加すると、注目に値する蛍光の増加が得られ、Dnerタンパク質をFACSにおけるタグとして使用し得ることが示された。
主として膵臓細胞を含む内胚葉及び幾らかの神経細胞になるように分化したES細胞培養体は、FACSによりアルファ細胞と同様の方法で精製し得る。マーカーDnerを使用して分離することにより、内分泌プレ前駆体個体群は、幾らかの神経細胞を伴って精製され得る。マーカーDdr1を使用して分離することにより、管/内分泌前駆体、内分泌プレ前駆体、内分泌前駆体、及び/又は初期の内分泌細胞を他の内胚葉細胞を伴って精製し得る(Dner内分泌プレ前駆体細胞もまた含む)。しかし、マーカーDdr1とDnerを組み合わせて使用し二重分離を実施し、純粋な前駆体プレ前駆体、内分泌前駆体、及び/又は初期の内分泌細胞を得るであろう。二重分離は、開始個体群が神経細胞がない膵臓由来の内胚葉のみからなる場合は必要ないであろう。
幾つかの態様では、FACSを介してDdr1を使用するベータTC3細胞のような細胞の分離は、PCT/EP2008/068061の実施例5に従って実施され得、これに関する結果はその中に示される。
実施例10:FACSによるe15.5マウス膵臓からのDner陽性細胞の分離
実験の目的は、原発性細胞がDnerについて分離され得るかどうかを試験することである。
NMRIe15.5胚の膵臓を氷冷PBS中でミクロ切断することによって単離した。単一の細胞を30℃で約1時間又は例えば、組織の量に依存して単一の細胞が得られるまで、アクターゼと共にインキュベートすることにより組織から作製した。細胞は5mlの氷冷DMEM/F12+P/Sを添加することにより、10mlv-チューブで2回洗浄し、4℃で5分間1200rpmで細胞をペレットにし、3mlのDMEM/F12+P/S+10%FCSに再懸濁した。細胞を次いで37℃で2.5時間再インキュベートし、ペレット化し、氷冷PBS+0.1%BSA中に再懸濁した。一次抗体溶液(ラット抗-mDner、IgG1型、10μg/ml又はアイソタイプ、10μg/ml)を添加し、45分間氷上でインキュベートした。細胞を5mlのPBS+0.1%BSAを用いてv-チューブ中で3回洗浄した。二次抗体(サル抗-ラット-cy2、Jackson ImmunoResearch、ストック濃度 1.5mg/ml、1:300で使用、即ち、5μg/ml)を添加し、氷上で30分間インキュベートした。細胞を5mlPBS+0.1%BSAを用いてv-チューブ中で3回洗浄した。最後に、細胞はFACSで評価した。
図8に示す結果は、10μg/mlのDner抗体(A)及び10μg/mlのIgG1アイソタイプコントロール(B)を使用した結果を示す。結果はアイソタイプ抗体と比較して特異的抗体を用いると、e15.5細胞個体群はより高い蛍光を示すようにシフトすることを示す。
幾つかの態様では、FACSを介してDdr1を使用するマウス胚性膵臓細胞は、PCT/EP2008/068061の実施例6に従って実施され得、これに関する結果はその中に示される。
実施例11:FACSによって分離されるe15.5マウス膵臓からのDner陽性細胞の特徴付け
実験の目的は胚性膵臓からのDner陽性細胞がどのような細胞型を生じるか決定し、このような細胞の可能性を試験することである。
Dner陽性及び陰性である細胞はここの実施例10の通り胚性膵臓から分離される。2個の細胞個体群をKroon, E.等. (2008), Nat Biotechnol 26, 443 - 452に記載の通り腎臓カプセルの下に移植した。移植部位は処理され、ここの実施例4及び6に記載のIHCによって染色した。続くインビボ成熟では、移植した細胞をインビトロで回収し、グルコース調節インスリン分泌の試験のように、機能的に試験した。Dner陽性個体群の移植物はインスリン/グルカゴン発現細胞を含み、Dner陰性細胞の移植物は外分泌細胞を含み得、従ってアミラーゼとDBAについて陽性に染色されることが期待される。従ってDner陽性細胞はまた血糖レベルを規格化することもできるであろう。
幾つかの態様では、胎児膵臓由来細胞又はFACSを使用しDdr1を介して単離されるES由来細胞中のインスリン産生の検出は、PCT/EP2008/068061の実施例7又は8に従って実施され得る。
実施例12:膵臓に分化する運命であるヒトES細胞中でのDdr及びDnerの発現
膵臓に分化する運命であるヒトES細胞中でのDdr1及びDnerの発現を決定するために、このような細胞を固定化し、ここの実施例4に記載の方法に従って染色し得る。
実施例13:hES細胞から分化した膵臓内分泌細胞の精製
実験の目的は、ベータ細胞とその他の内分泌細胞及びその内分泌関連前駆体を精製することである。
胚幹細胞を単離し、段階4に達するまで、Kroon, Eら(2008), Nat Biotechnol 26, 443 - 452に記載されたプロトコルに従い、分化させてよい。管-内分泌前駆体細胞、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞又は初期内分泌細胞の亜集団を精製するために、ES由来細胞を単一の細胞とし、Dner及びDdr1を単独又は組み合わせて、下記の修正を伴って、ここの実施例6に記載の通り染色した:マウス抗-Ddr1(R&D Systems、MAB2396)及びマウス抗Dner(R&Dシステム、MAB3646)抗体を使用した。二次抗体及び洗浄後、細胞を固定せず、DMEM/F12+10%のFCS+P/Sを含有する2つのチューブに、FACSArianにおいて、生存している状態で選別する。ポジティブ細胞を、最初のチューブに選別する。ネガティブ細胞を他方のチューブに選別する。その後、Kroon, Eら. (2008), Nat Biotechnol, 26, 443 - 452に記載されたようにして、腎臓の下にカプセルをインプラントする。陽性個体群からのインプラントはインスリン/グルカゴン発現細胞を含み、陰性細胞はアミラーゼ陽性細胞を含むことが期待される。
実施例14:Lrp11、Disp2及びSez6l2の局在化
インサイツハイブリダイゼーション(ISH)を成体マウス膵臓からの凍結切片においてLrp11、Disp2及びSez6l2について実施した。特的なISHシグナルがランゲルハンスの内分泌島で観察された。e18.5及びe15.5において、またISHシグナルが内分泌コンパートメントに局在していた。これはLrp11、Disp2又はSez6l2を認識する抗体の使用によって確認された。成体膵臓におけるIHCは、Lrp11、Disp2及びSez6l2が全てランゲルハンスの内分泌島でホルモン産生細胞と共局在していることを示した。胚性膵臓では、Lrp11、Disp2又はSez6l2について陽性の細胞の幾つかは、ホルモンを共発現する一方で、その他はホルモンを共発現しなかった。しかしいつもLrp11、Disp2又はSez6l2IHCシグナルは胚性膵臓の中枢内分泌ドメインで見出された。
実施例15:FACSによるDisp2又はSez6l2陽性細胞の分別
実験は成体島形態マウスがDisp2に対するモノクローナル抗体を使用することによりFACSで分離し得ることを示した。Sez6l2に特的なウサギ血清は、ベータTC細胞をFACS分離するために使用した。
実施例16:DNER、DDR1、及び/又はNgn3の発現の定量による幹細胞の分化のためのインビトロプロトコルの最適化
ES分化の効率的な最適化のため、完全に分化した内分泌細胞に成長する膵臓細胞の種々の段階を同定するマーカーを有することは非常に重要である(図1を参照されたい)。Dner、Ddr1、及びNgn3は、他のマーカーを使用して検知することが今日まで不可能であった重要で特異的な細胞分化の段階を特定するために組み合わせて使用され得る。Dner、Ddr1、及びNgn3は、一又は複数の付加的なマーカーと組み合わせて使用され得る。
内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞の同定は、細胞個体群をDner結合試薬、Ddr1結合試薬、及び/又は他の内胚葉マーカー(例えば、Pdx1又はE-カドヘリン結合試薬)の結合試薬と接触させ染色を評価することによってなされ得る。結合試薬の選択は、Ddr1は内胚葉をマークするが、膵臓を刺激する神経細胞はマークしないため、細胞培養体中に神経細胞が存在するかに依存してよい。しかし、Dnerの高発現レベルは、内分泌細胞になることになっている内分泌プレ前駆体又は内分泌前駆体である細胞をマークする。三重陽性である、Ngn3及びDdr1細胞に対する同時染色により、内分泌前駆体群のグルーピングが可能となり、高レベルのDner免疫反応性を有し、Ngn3を欠いてDdr1免疫反応性を有する細胞は内分泌プレ前駆体細胞に属する。この分析は、FACS、MACS、IHC、又はパニング等の方法を使用して実施されてよい。
いくつかの態様において、幹細胞の分化についてのインビトロプロトコルを最適化する方法は、最適な培養条件をスクリーニングする方法である。
いくつかの態様では、幹細胞の分化についてのインビトロプロトコルを最適化する方法は、以下の工程を含む:
a)1)細胞個体群とDNER結合試薬とを接触させ、2)細胞表面マーカーとしてDNERを示す細胞(DNER陽性細胞)の量を測定することによる、DNER陽性細胞の定量;
b)場合によっては、DNER結合試薬と結合しない細胞から、DNER陽性細胞のフラクション中の、DNER結合試薬と結合した細胞を分離;
c)場合によっては、得られた細胞型(類)の増殖を容易にする条件下にて、DNER陽性細胞を含む細胞個体群を培養することによる、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞の数を増加;
d)管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞への分化を容易にする条件下にて、DNER陽性細胞を含む細胞個体群を培養;
e)場合によっては、得られた細胞型(類)の増殖を容易にする条件下にて、DNER陽性細胞を含む細胞個体群を培養することによる、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞の数を増加;
f)1)細胞個体群とDNER結合試薬とを接触させ、2)細胞表面マーカーとしてDNERを示す細胞(DNER陽性細胞)の量を測定することによる、DNER陽性細胞の定量;
g)工程f)のDNER陽性細胞の量が、工程a)のDNER陽性細胞の量より多いかどうかを測定;
h)場合によっては、DNER結合試薬と結合しない細胞から、DNER陽性細胞のフラクション中の、DNER結合試薬と結合した細胞を分離;
i)場合によっては、分化に影響を与える条件を変えることにより、DDR1陽性細胞の量を増加させるための培養条件、例えば1)分化因子の濃度又は組合せ、2)成長培地の濃度又は組成、3)成長培地へのサプリメントの濃度又は組成、4)インキュベート時間、及び/又は5)酸素分圧、を調節することを導入;
j)場合によっては、DNER結合試薬と結合しない細胞から、DNER陽性細胞のフラクション中の、DNER結合試薬と結合した細胞を分離;
k)満足のいく量のDNER陽性細胞が得られるまでの、工程a)ないしh)のシーケンスの繰り返し。
幾つかの態様では、幹細胞の分化のためのインビトロプロトコルの最適化法は、DDR1結合試薬とDNER結合試薬の連続的な使用を含む。幾つかの態様では、DDR1結合試薬の使用は、DNER結合試薬の使用前になされる。a)からk)の工程によって定義されるDNER結合試薬の使用に関する上記の方法は、工程a)の前及び/又は工程d)の前の以下の工程α)からγ):
α)細胞個体群にDDR1結合試薬を接触させ2)細胞表面マーカー(DDR1陽性細胞)としてDDR1を発現する細胞の量を決定し;
β)所望によりDDR1結合試薬に結合しない細胞からDDR1陽性細胞の画分におけるDDR1結合試薬に結合する細胞を分離し;
γ)所望により得られた細胞型の増加を容易にする条件下でDDR1陽性細胞を含む細胞個体群を培養することにより、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞の数を増やす;
の使用のような、DDR1結合試薬の使用と組み合わせ得る。
幾つかの態様では、幹細胞の分化のためのインビトロプロトコルの最適化法は、DDR1結合試薬とDNER結合試薬及びLRP11及び/又はDISP2及び/又はSEZ6L2及び/又はSLC30A8結合試薬の連続的な使用を含み、DNER結合試薬の使用は上の工程a)からk)によって定義され得、DDR1結合試薬の使用は上の工程α)からγ)によって定義され、工程a)の前及び/又は:工程d)の前並びに工程γ)又はc)の後に使用され得る。
i)細胞個体群にLRP11、DISP2、SEZ6L2及び/又はSLC30A8結合試薬を接触させ2)細胞表面マーカー(LRP11、DISP2、SEZ6L2及び/又はSLC30A8陽性細胞)としてLRP11、DISP2、SEZ6L2及び/又はSLC30A8を発現する細胞の量を決定し;
ii)所望によりLRP11、DISP2、SEZ6L2及び/又はSLC30A8結合試薬に結合しない細胞からLRP11、DISP2、SEZ6L2及び/又はSLC30A8陽性細胞の画分におけるLRP11、DISP2、SEZ6L2及び/又はSLC30A8結合試薬に結合する細胞を分離する。
幾つかの態様では、幹細胞の分化のためのインビトロプロトコルの最適化法は、DDR1結合試薬とLRP11及び/又はDISP2及び/又はSEZ6L2及び/又はSLC30A8結合試薬の連続的な使用を含み、DDR1結合試薬の使用は上の工程α)からγ)によって定義され、RP11及び/又はDISP2及び/又はSEZ6L2及び/又はSLC30A8結合試薬は、工程γ)の後の工程i)及びii)によって定義される通り使用される。
いくつかの態様では、DNER及び/又はDDR1陽性細胞の量的測定は、自動化された染色システム、例えば蛍光検出を使用して実施されてよい。
内分泌前駆体細胞、及び/又は初期の内分泌細胞の同定は、場合によっては、他の内胚葉マーカーについての付加的な結合試薬(例えば、Pdx1結合試薬)と組合せて、DDR1結合試薬と細胞個体群とを接触させ、染色を評価することにより達成され得る。結合試薬の選択は、例えばDDR1は内胚葉をマークするが、膵臓を刺激する神経細胞はマークしないため、神経細胞が存在するかどうか等、細胞培養体の組成に依存してよい。二重陽性である、Ngn3及びDDR1細胞に対する同時染色により、内分泌前駆体群のグルーピングが可能となる。この分析は、FACS、MACS、IHC、又はパニング等の方法を使用して実施されてよい。
幾つかの態様では、DDR1の定量による幹細胞分化のためのインビトロプロトコルの最適化は、PCT/EP2008/068061の実施例9に従って実施され得る。
ここに記載の本発明は、バンダービルト大学を通し、NIH/NIDDKからの付与(#5U01-DK072473)により支持されている。
本発明の実施態様
1.内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全分化内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞を同定する方法において、膵臓細胞を含む細胞個体群をDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8結合試薬からなる群から選択される一又は複数の結合試薬に接触させることを含む方法。
2.内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全分化内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞を同定する方法において、膵臓細胞を含む細胞個体群をDNER結合試薬に接触させることを含む方法。
3.内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全分化内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞の培養体を得る方法において、膵臓細胞を含む細胞個体群をDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8結合試薬からなる群から選択される一又は複数の結合試薬に接触させ、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞の画分中のDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8結合試薬に結合する細胞を、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8結合試薬に結合しない細胞から分離することを含む方法。
4.内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全分化内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞の培養体を得る方法において、膵臓細胞を含む細胞個体群をDNER結合試薬に接触させ、DNER陽性細胞の画分中のDNER結合試薬に結合する細胞を、DNER結合試薬に結合しない細胞から分離することを含む方法。
5.内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全分化内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞の培養体を得る方法において、実施態様3又は4の方法に従って精製された細胞を得、次いで、得た細胞を、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全分化内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞への膵臓細胞の分化を容易にする条件下で培養することを含む方法。
6.内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全分化内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞の培養体を得る方法において、実施態様3又は4の方法に従って精製された細胞を得、次いで、得た細胞を、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全分化内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞への細胞分化を容易にする条件下で培養することを含む方法。
7.内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全分化内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞の数を増加する方法において、実施態様3又は4に従って精製された細胞を得、次いで、得た型の細胞増殖を容易にする条件で、得た細胞を培養することを含む方法。
8.内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全分化内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞の数を増加する方法において、実施態様7に従って精製し、増殖した細胞を得、次いで、得た細胞を、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全分化内分泌細胞からなる群から選択される細胞への膵臓細胞の分化を容易にする条件下で培養することを含む方法。
9.内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全分化内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞の数を増加する方法において、実施態様7に従って精製し、増殖した細胞を得、次いで、得た細胞を、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全分化内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞への細胞の分化を容易にする条件下で培養することを含む方法。
10.細胞が実施態様1から9の何れか一項に記載の方法によって得られる、少なくとも一の膵臓ホルモンの産生欠損の哺乳類に、膵臓の内分泌機能を与える方法において、哺乳類の少なくとも一の膵臓ホルモンの測定可能な量を産生するために十分な量の得られた細胞を哺乳類に移植する工程を更に含む方法。
11.膵臓ホルモンの量が、移植後の日よりも早くないか又は少なくとも1、2、3又は4週間後のような、インビボ成熟後に決定される、実施態様10に記載の方法。
12.前記の少なくとも一の膵臓ホルモンがインスリンである、実施態様10又は11に記載の方法。
13.哺乳類がヒトである、実施態様10から12の何れかに記載の方法。
14.前記の少なくとも一の膵臓ホルモンが、インスリン、グルコガン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド、及びグレリンからなる群から選択される、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
15.a)細胞にDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8結合試薬からなる群から選択される一又は複数の結合試薬を接触させ、b)細胞表面マーカー(DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞)としてDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8を発現する細胞の量を決定することにより、膵臓細胞を含むDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞を定量する方法。
16.a)細胞にDNER結合試薬を接触させ、b)細胞表面マーカー(DNER陽性細胞)としてDNERを発現する細胞の量を決定することにより、膵臓細胞を含むDNER陽性細胞を定量する方法。
17.DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8発現細胞(DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞)数が定期的に監視される、インビトロプロトコルにおける最適化のための方法。
18.DNER発現細胞(DNER陽性細胞)数が定期的に監視される、インビトロプロトコルにおける最適化のための方法。
19.一又は複数の付加的な結合試薬をDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8結合試薬からなる群から選択される一又は複数の結合試薬と、同時に又は連続的に組み合わせて使用する、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
20.一又は複数の付加的な結合試薬をDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8結合試薬と、同時に又は連続的に組み合わせて使用する、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
21.一又は複数の付加的な結合試薬をDNER結合試薬と、同時に又は連続的に組み合わせて使用する、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
22.付加的な結合試薬が、DDR1、プロミニン1(CD133としても知られる)、及びCD49f結合試薬からなる群から選択される、実施態様20又は21の何れかに記載の方法。
23.付加的な結合試薬が、DDR1結合試薬である、実施態様20又は21の何れかに記載の方法。
24.DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8陽性細胞が、更にインスリン産生細胞に分化し、グルコガン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド、及び/又はグレリン産生細胞からなる群から選択される細胞に更に分化される細胞を伴ってもよい、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
25.DNER陽性細胞が、更にインスリン産生細胞に分化し、グルコガン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド、及び/又はグレリン産生細胞からなる群から選択される細胞に更に分化される細胞を伴ってもよい、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
26.膵臓細胞を含む細胞個体群が、膵臓から得られる、実施態様1から25の何れか一に記載の方法。
27.膵臓細胞を含む細胞個体群が、体細胞個体群から得られる、実施態様1から25の何れか一に記載の方法。
28.体細胞個体群が、ES様細胞のような多能性細胞に脱分化するために誘導される、実施態様27に記載の方法。
29.膵臓細胞を含む細胞個体群がES細胞のような多能性細胞から得られる、実施態様1から25の何れか一に記載の方法。
30.膵臓細胞を含む細胞個体群が脊椎動物由来である、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
31.膵臓細胞を含む細胞個体群が哺乳類由来である、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
32.膵臓細胞を含む細胞個体群がヒト由来である、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
33.膵臓細胞を含む細胞個体群がマウス由来である、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
34.膵臓細胞を含む細胞個体群がラット由来である、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
35.膵臓細胞を含む細胞個体群がニワトリ由来である、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
36.細胞個体群が膵臓内分泌系に分化する、実施態様30から35の何れか一に記載の方法。
37.細胞の分化が一又は複数の分化因子を含む培地中で細胞を培養することを含む、実施態様36に記載の方法。
38.膵臓細胞を含む細胞個体群がベータ細胞陽性画分である、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
39.膵臓細胞を含む細胞個体群がptprn/IA2陽性画分である、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
40.膵臓細胞を含む細胞個体群がAbcc8/Sur1陽性画分である、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
41.膵臓細胞を含む細胞個体群がSlc30a8/ZnT−8陽性画分である、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
42.上又はここの実施態様の何れか一に記載の方法によって得られる膵臓内分泌細胞の培養体が、ベータ細胞陽性画分において更に分離される、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
43.上又はここの実施態様の何れか一に記載の方法によって得られる膵臓内分泌細胞の培養体が、ptprn/IA2陽性画分において更に分離される、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
44.上又はここの実施態様の何れか一に記載の方法によって得られる膵臓内分泌細胞の培養体が、Abcc8/Sur1陽性画分において更に分離される、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
45.上又はここの実施態様の何れか一に記載の方法によって得られる膵臓内分泌細胞の培養体が、Slc30a8/ZnT−8陽性画分において更に分離される、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
46.DNER結合試薬がDNERタンパク質に特異的に結合する抗体である、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
47.Disp2結合試薬がDisp2タンパク質に特異的に結合する抗体である、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
48.Sez6l2結合試薬がSez6l2タンパク質に特異的に結合する抗体である、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
49.Lrp11結合試薬がLrp11タンパク質に特異的に結合する抗体である、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
50.Slc30a8結合試薬がSlc30a8タンパク質に特異的に結合する抗体である、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
51.DDR1結合試薬がDDR1タンパク質に特異的に結合する抗体である、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
52.分離又は監視の工程が蛍光標識細胞分取である、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
53.分離又は監視の工程が磁気標識細胞分取である、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
54.分離の工程がパニングによってなされる、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
55.細胞が内分泌プレ前駆体細胞である、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
56.Disp2結合試薬がDNER結合試薬の代わりに使用される、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
57.Sez6l2結合試薬がDNER結合試薬の代わりに使用される、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
58.Lrp11結合試薬がDNER結合試薬の代わりに使用される、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
59.Slc30a8結合試薬がDNER結合試薬の代わりに使用される、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
60.Disp2結合試薬がDNER結合試薬の代わりにDDR1結合試薬と組み合わせて使用される、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
61.Sez6l2結合試薬がDNER結合試薬の代わりにDDR1結合試薬と組み合わせて使用される、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
62.Lrp11結合試薬がDNER結合試薬の代わりにDDR1結合試薬と組み合わせて使用される、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
63.Slc30a8結合試薬がDNER結合試薬の代わりにDDR1結合試薬と組み合わせて使用される、上記実施態様の何れか一に記載の方法。
64.実施態様1から63の何れかで定義される方法によって得られる、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される単離細胞。
65.前記単離細胞が内分泌プレ前駆体細胞である、実施態様64に記載の単離細胞。
66.前記単離細胞が完全に分化した内分泌細胞である、実施態様64に記載の単離細胞。
67.実施態様1から63の何れか一で定義される方法によって得られる、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び完全に分化した内分泌細胞からなる群から選択される1又は複数の単離細胞を含む組成物。
68.細胞表面マーカーとしてDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8タンパク質を発現する細胞を同定又は選択するためのDNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8結合試薬からなる群から選択される結合試薬の使用。
69.細胞表面マーカーとしてDNERタンパク質を発現する細胞を同定又は選択するためのDNER結合試薬の使用。
70.膵臓内分泌細胞の培養体を得るための、DNER、DISP2、SEZ6L2、LRP11及び/又はSLC30A8タンパク質の使用。
71.膵臓内分泌細胞の培養体を得るための、細胞表面マーカーとしてのDNERタンパク質の使用。
72.膵臓内分泌細胞の培養体を得るために、一又は複数の更なる細胞表面マーカーを同時又は連続的に使用する、実施態様70又は71に記載の使用。
73.更なる細胞表面マーカーがDDR1タンパク質、プロミン1(CD133としても知られる)、及びCD49fからなる群から選択される、実施態様72に記載の使用。
74.更なる細胞表面マーカーがDDR1タンパク質である、実施態様72に記載の使用。
75.Disp2結合試薬がDNER結合試薬の代わりに使用される、実施態様68から74の何れか一に記載の使用。
76.Sez6l2結合試薬がDNER結合試薬の代わりに使用される、実施態様68から74の何れか一に記載の使用。
77.Lrp11結合試薬がDNER結合試薬の代わりに使用される、実施態様68から74の何れか一に記載の使用。
78.Slc30a8結合試薬がDNER結合試薬の代わりに使用される、実施態様68から74の何れか一に記載の使用。
79.Disp2結合試薬がDNER結合試薬の代わりにDDR1結合試薬と組み合わせて使用される、実施態様68から74の何れか一に記載の使用。
80.Sez6l2結合試薬がDNER結合試薬の代わりにDDR1結合試薬と組み合わせて使用される、実施態様68から74の何れか一に記載の使用。
81.Lrp11結合試薬がDNER結合試薬の代わりにDDR1結合試薬と組み合わせて使用される、実施態様68から74の何れか一に記載の使用。
82.Slc30a8結合試薬がDNER結合試薬の代わりにDDR1結合試薬と組み合わせて使用される、実施態様68から74の何れか一に記載の使用。

Claims (15)

  1. 内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全分化内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞を同定する方法において、膵臓細胞を含む細胞個体群をDNER結合試薬に接触させることを含む方法。
  2. 内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全分化内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞の培養体を得る方法において、膵臓細胞を含む細胞個体群をDNER結合試薬に接触させ、DNER陽性細胞の画分中のDNER結合試薬に結合する細胞を、DNER結合試薬に結合しない細胞から分離することを含む方法。
  3. 内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全分化内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞の培養体を得る方法において、請求項2の方法に従って精製された細胞を得、次いで、得た細胞を、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全分化内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞への細胞分化を容易にする条件下で培養することを含む方法。
  4. 内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全分化内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞の数を増加する方法において、請求項2に従って精製された細胞を得、次いで、得た型の細胞増殖を容易にする条件で、得た細胞を培養することを含む方法。
  5. 内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全分化内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞の数を増加する方法において、請求項4に従って精製し、増殖した細胞を得、次いで、得た細胞を、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞、及び/又は完全分化内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞への細胞分化を容易にする条件下で培養することを含む方法。
  6. 細胞が請求項1から5の何れか一項に記載の方法によって得られる、少なくとも一の膵臓ホルモンの産生欠損の哺乳類に、膵臓の内分泌機能を与える方法において、哺乳類の少なくとも一の膵臓ホルモンの測定可能な量を産生するために十分な量の得られた細胞を哺乳類に移植する工程を更に含む方法。
  7. a)細胞にDNER結合試薬を接触させ、b)細胞表面マーカー(DNER陽性細胞)としてDNERを発現する細胞の量を決定することにより、膵臓細胞を含むDNER陽性細胞を定量する方法。
  8. DNER発現細胞(DNER陽性細胞)数が定期的に監視される、インビトロプロトコルにおける最適化のための方法。
  9. 一又は複数の付加的な結合試薬をDNER結合試薬と、同時に又は連続的に組み合わせて使用する、請求項1から8の何れか一項に記載の方法。
  10. 付加的な結合試薬が、DDR1、プロミニン1(CD133としても知られる)、CD49f、DISP2、SEZ6L2、LRP11及びSLC30A8結合試薬からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
  11. DNER陽性細胞が、更にインスリン産生細胞に分化し、グルコガン、ソマトスタチン、膵臓ポリペプチド、及び/又はグレリン産生細胞からなる群から選択される細胞に更に分化される細胞を伴ってもよい、請求項1から10の何れか一項に記載の方法。
  12. 請求項1から11の何れか一項に記載の方法によって得られる、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞及び及び完全分化内分泌細胞からなる群から選択される単離細胞。
  13. 請求項1から11の何れか一項に記載の方法によって得られる、内分泌プレ前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期内分泌細胞及び及び完全分化内分泌細胞からなる群から選択される一又は複数の細胞から選択される単離細胞を含む組成物。
  14. 細胞表面マーカーとしてのDNERタンパク質を発現する細胞を同定又は選択するためのDNER結合試薬の使用。
  15. 膵臓内分泌細胞の培養体を得るための細胞表面マーカーとしてのDNERタンパク質の使用。
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