JP5705900B2 - グラファイトフィルムの製造方法 - Google Patents

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本発明は、電子機器、精密機器などの放熱フィルムおよびヒートスプレッダ材料として使用されるグラファイトフィルムに関し、特に耐屈曲性、熱拡散性に優れ表面の厚みばらつきの少ないグラファイトフィルムの製造方法に関する。
コンピューターなどの各種の電子・電気機器に搭載されている半導体素子や、その他の発熱部品などの冷却の問題が注目されている。このような部品の冷却方法としては、それが搭載される機器筐体にファンを取り付け、その機器筐体を冷却する方法や、その冷却する部品にヒートパイプやヒートスプレッダ、ヒートシンクやフィンなどの熱伝導体を取り付け、その素子からの熱を外部に運ぶことで冷却する方法等が一般的である。冷却すべき部品に取り付ける熱伝導材料としては、アルミニウム板や銅板などが挙げられる。そして、この場合、アルミニウムや銅板の一部、またはヒートパイプに発熱部品を取り付け、更に、その板の他の部分をフィンやファンを用いて外部に放熱する。
ところで、近年は半導体素子等の発熱部品が搭載される各機器が小型化され、また、その部材の発熱量が大きくなる傾向がある。しかし筐体が小型化するため、フィンやヒートシンク及びファンなどの部品を挿入するスペースが制限されてきている。そこで近年は、熱伝導体(ヒートコンダクタ)として、熱拡散性に優れるグラファイトフィルムが期待されている。グラファイトフィルムはカーボンが層状構造をとっており、面内の熱伝導率が非常に高く、かつ密度が1〜2g/cm3程度と軽い上に、高い電気伝導性を持つ材料である。また、薄くフレキシブルなシートを得ることができるので、狭い場所や、隙間をぬって設置する必要のある場所のヒートコンダクタ材やヒートスプレッダ材として期待されている。
現在、一般に入手できるものとして、高分子熱分解法またはエキスパンド法により製造されたグラファイトフィルムがある。特許文献1に開示されているように、高分子熱分解法は、ポリオキサジアゾール、ポリイミド、ポリフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリチアゾール、またはポリアミド等の高分子フィルムをアルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気下や減圧下で熱処理してグラファイトフィルムを得る方法である。
また特許文献2には、良質で柔軟性と強靭性に富むフィルム状グラファイトの製造方法として、「常圧での加熱によるフィルムからのガスの発生によっても、グラファイトフィルムを得られる厚みを有する高分子フィルム」を2400℃以上の温度で熱処理することにより得られたグラファイトフィルムを後圧延工程することを特徴とするフィルム状グラファイトの製造方法が開示されている。
さらに特許文献3には、単結晶グラファイトと同様の物性を呈し、高品質で柔軟性、強靱性に富み熱拡散性に優れたグラファイトフィルムの製造方法が提案されている。この製造方法は、ポリイミドフィルムを原料として、不活性ガス中で上限温度1000℃〜1600℃の範囲で熱処理を行う第1の熱処理工程と、さらに上限温度が2500℃〜3100℃の範囲で熱処理を行う第2の熱処理工程とを有することを基本的な特徴とし、さらに昇温速度や一定温度などの熱処理条件を制御することにより適当な特性を有するグラファイトフィルムの製造方法であり、さらに圧延工程を施すことにより柔軟性を発現する方法である。
特開昭61−275116号公報 特許第2976481号公報 特開2000−178016号公報
そもそもグラファイトは硬質で脆い材料であり、十分な柔軟性、耐屈曲性を付与するためには工夫が必要である。特許文献1〜3に記載のグラファイトフィルムの製造方法において、柔軟性、耐屈曲性を有するグラファイトフィルム得るためのポイントは、「グラファイト化処理中のフィルムの発泡」と「グラファイト化処理後フィルムの圧縮処理」の2点である。フィルムに耐屈曲性を付与できるメカニズムは以下の通りである。まず、「グラファイト化処理中のフィルムの発泡」とは、グラファイト化の最終段階(2600℃以上)でグラファイト骨格を形成しないN2、フィラー(リン酸系)などの内部ガス(以下、発泡ガスと記載)発生によりグラファイト層が膨らむことである。発泡の程度は、グラファイト化の際の昇温速度制御などによりコントロールすることができる。この処理により得られる発泡グラファイトフィルム(以下、グラファイト化処理後フィルムと記載)は、グラファイトの層間に空間を有しており、折り曲げ時にかかる歪をその空間に逃がすことができるため、ある程度の耐屈曲性を有する。しかしながら、グラファイト化処理後フィルムの耐屈曲性は、近年の電子機器での使用に耐えうるほど十分なものとはいえない。なぜなら、グラファイト化処理後フィルムのグラファイト層は、図1のように波状にうねっており、かなりの部分が面方向から大きく傾いている(はみ出している)。このようなグラファイト層は柔軟性に欠けるので、グラファイト化処理後フィルムの耐屈曲性は十分でない。そこで、十分な耐屈曲性を付与するために「グラファイト化処理後フィルムの圧縮処理」が必要となる。ここでいう圧縮処理とは、グラファイト化処理後フィルムの上下方向(厚み方向)への加圧処理をいう。発泡したグラファイト化処理後フィルムを圧縮すると、図2のようにグラファイト層を面方向に揃えることができる。そのため、耐屈曲性は劇的に改善される。基本的に、圧縮処理時の圧力が大きいほど薄いグラファイトフィルムが得られ、耐屈曲性が高まる。以上、グラファイトフィルムに耐屈曲性を付与するポイントを2点示したが、本発明は、特に「グラファイト化処理後フィルムの圧縮処理」に関するものである。
まず、従来技術での「グラファイト化処理後フィルムの圧縮処理」について説明する。
特許文献1〜3では、発泡したグラファイト化処理後フィルムに後圧延工程を施こすことで耐屈曲性、柔軟性を付与している。後圧延工程とは2本のセラミック製あるいは金属製のローラーの間に、グラファイト化処理後フィルムを通すことにより圧縮する工程である。
しかしながら後圧延工程では、ローラーとグラファイト化処理後フィルムとの接触部で線状に圧力がかかるため、グラファイトフィルムが引き伸ばされたり、グラファイト層が破壊された結果、グラファイトフィルムの耐屈曲性、熱拡散性が低下する場合があった。また、部分的な密度のバラツキが生じるため(すなわち部分的に密度が高くなったり低くなったりするため)、グラファイトフィルムの耐屈曲性、熱拡散性のばらつきや、グラファイトフィルムが空気層を多く含むことによる耐屈曲性、熱拡散性の悪化の問題があった。
さらに、グラファイトフィルムは、金属ローラーのような強度の高いものを用いて圧延すると、表面に傷や皺が入りやすく、凹みや縦スジが生じるという問題もあった。さらに、圧縮度を高めようと強い力で圧延した場合、グラファイト化処理後フィルムの波打ちを巻き込んで折れ皺(巻き込み皺)を発生させながら圧縮してしまう場合があった。ここで「波打ち」とは、グラファイト化処理後フィルムの表面が波打っているように見える現象をいう。波打ちの原因は、グラファイト化処理後フィルムの発泡の度合いが均一でないことによる。つまり、局所的に発泡度が高い部分があることや局所的なフィルムの長さが異なることにより、表面が波打っているように見える。
さらに、折れ皺が発生しないように慎重に後圧延工程するため、作業に時間がかかることや、一度に多くの処理をできないなど作業性にも問題があった。
このような諸課題を解決するために本発明者らが鋭意検討した結果、グラファイト化処理後フィルムを面状に加圧する後面状加圧工程をおこなうことが有効であることが明らかになった。後面状加圧工程では面方向への均一な加圧が可能なため、圧延工程と比較して耐屈曲性に優れ、厚みバラツキ、皺などの非常に少ない良質のグラファイトフィルムが作製可能である。
しかしながら、上述のような優れた効果を発揮する後面状加圧工程おいても問題が発生する場合がある。それは、圧縮後にグラファイトフィルムを圧縮面(圧縮処理の際にグラファイトフィルムと接触している面)から取り外す際(グラファイトフィルムの独立回収工程)に、大きな静電気が発生することである。この静電気により、グラファイトフィルムに皺が発生したり、破けが発生したりしてグラファイトフィルムの外観の劣化を招くことがある。
静電気は、後面状加圧工程では面接触でフィルムを圧縮するために発生する。一般的に、2つの素材が密着すると一方の素材からもう一方の素材へ電荷の移動が起こる。密着した素材を引き剥がす際に一方の素材は電子を得て負に帯電し、もう片方は電子を失い正に帯電する。以上が圧縮処理による静電気の発生メカニズムと考えられる。したがって、特に圧縮圧力が高い場合、面積が大きい場合、圧縮時の接触面の表面粗さが小さい場合などは、圧縮面とグラファイトフィルムの密着性が高くなるために、グラファイトフィルムを圧縮面から剥がせないほど大きな静電気が発生し作業性を極端に低下させることがあった。
本発明は、後面状加圧工程における静電気の発生を抑制し、得られるグラファイトフィルムの外観および作業性を改善することを目的とするものである。
本発明は、以下のものである。
(1)厚み5μm以上250μm以下の高分子フィルムを2400℃以上の温度で熱処理するグラファイト化工程と、前記グラファイト化工程にて得られたグラファイト化処理後フィルムを、表面抵抗率が1×109Ω/□以下の圧縮面と接触させて加圧する、後面状加圧工程を含むことを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法。
(2)前記表面抵抗率が1×107Ω/□以下の圧縮面と接触させて、前記面状に圧力2MPa以上40MPa以下で加圧する後面状加圧工程を含むことを特徴とする(1)に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(3)前記圧縮面のJIS B0652に記載の光波干渉式表面粗さ測定法で得られる表面粗さRaが0.005〜3.000μmであることを特徴とする(1)〜(2)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(4)前記グラファイト化処理後フィルムの面積が100cm2以上10000cm2以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(5)前記圧縮面の材質が高分子であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(6)前記圧縮面の材質がカーボン系の導電性フィラーが練り込まれている、PS(ポリチレン)系樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)系樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)系樹脂、PP(ポリプロピレン)系樹脂、PE(ポリエチレン)系樹脂であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(7)前記圧縮面が50μm以上800μm以下のフィルム状媒体であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(8)前記後面状加圧工程において、前記グラファイト化処理後フィルムと前記フィルム状媒体を複数枚同時に加圧することを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(9)前記後面状加圧工程において、複数枚の前記グラファイト化処理後フィルムと複数枚の前記フィルム状媒体を、交互に積層して加圧することを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(10)前記グラファイト化処理後フィルムの面積が100cm2以上10000cm2以下であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
本発明により、耐屈曲性、熱拡散性に優れ表面の厚みばらつき、皺、破けの少ないグラファイトフィルムの製造が可能となった。また、圧縮工程の作業性を劇的に改善することができた。また本発明により、後面状加圧での大面積グラファイトフィルムの製造が可能となった。
グラファイト化処理フィルムの断面模式図 圧縮処理後のグラファイトフィルムの断面模式図 厚み測定点 単板プレス機による後面状加圧工程における圧縮面の説明 高分子フィルム/グラファイト化処理後フィルム積層体の単板プレス機による後面状加圧工程における圧縮面の説明 外部の凹凸のグラファイトフィルムへの転写の説明 フィルム状媒体とグラファイト化処理後フィルムの接触方法 フィルム状媒体とグラファイト化処理後フィルムの接触方法(複数枚同時) フィルム状媒体とグラファイト化処理後フィルムの接触方法(複数枚同時) フィルム状媒体と複数枚のグラファイト化処理後フィルムの接触方法(複数枚同時) 実施例1〜17、21、22、比較例1〜2での後面状加圧 実施例18〜20、比較例3での後面状加圧
本発明の第一は、厚み5μm以上250μm以下の高分子フィルムを2400℃以上の温度で熱処理するグラファイト化工程と、前記グラファイト化工程にて得られたグラファイト化処理後フィルムを、表面抵抗率が1×109Ω/□以下の圧縮面と接触させて加圧する、後面状加圧工程を含むことを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法である。
<グラファイトフィルム>
グラファイトフィルムとは、炭素の同素体であるグラファイト(黒鉛ともいう)からなるフィルムをいう。近年の電子機器の発熱密度増加に対する対策として熱拡散性の非常に優れたグラファイトフィルムが注目を集めている。現在、一般に入手できるグラファイトフィルムとして、高分子熱分解法またはエキスパンド法により製造されたグラファイトフィルムがある。
<本発明のグラファイトフィルムの製造方法の概要>
本発明のグラファイトフィルムは、高分子フィルムを2400℃以上の温度まで加熱して製造される。より具体的には、例えば、高分子フィルムを不活性ガス中で上限温度1000℃〜1600℃の範囲で熱処理を行う第1の熱処理工程(炭化工程)と、さらに上限温度が2500℃〜3100℃の範囲で熱処理を行う第2の熱処理工程(グラファイト化工程)をおこなうことにより製造される。不活性ガスとしては、例えばアルゴン、ヘリウム等を使用できる。
また上述したように、グラファイト化工程ではフィルムが発泡するが、いったん発泡したグラファイト化処理後フィルムを圧縮処理することにより、グラファイトフィルムに耐屈曲性を付与することができる。
<高分子フィルム>
本発明で用いる高分子フィルムは特に限定はされないが、例えば、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリオキサジアゾール(POD)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾビスオキサザール(PBBO)、ポリチアゾール(PT)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、ポリベンゾビスチアゾール(PBBT)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリベンゾビスイミダゾール(PBBI)からなる群より選択される高分子のフィルムを挙げることができる。これらの少なくとも1種を用いることにより、最終的に得られるグラファイトの耐屈曲性、熱拡散性を大きくすることが可能である。高分子フィルムは、公知の造方法で製造すればよい。
本発明では、耐熱芳香族性高分子フィルムを用いることが重要である。
以下の理由から、高分子フィルムとしては、ポリイミドフィルムを用いることが好ましい。
(1)ポリイミドフィルムは、他の有機材料を原料とする高分子フィルムよりも、フィルムの炭化、グラファイト化が進行しやすい。したがって、結晶性がよく耐屈曲性、熱拡散性に優れたグラファイトフィルムを比較的容易に得ることができる。
(2)ポリイミドは、原料モノマーを種々選択することによって様々な構造および特性を有するものを得ることができる。すなわち分子設計が比較的容易である。
<高分子フィルムの厚み>
本発明で用いる高分子フィルムの厚みは5μm以上250μm以下であり、好ましくは10μm以上180μm以下、さらに好ましくは20μm以上130μm以下である。5μm未満であると、フィルムが薄いため発生したガスがフィルムから抜けやすく、結果的にグラファイト化工程での発泡が不十分となる。また、250μmより厚いと、フィルムが厚すぎるため発生したガスが発泡セル膜を透過にくくなり、発泡セル膜を透過できなかったガスがグラファイト層を破壊しながら抜けてしまう。グラファイト層が破壊されると表面剥がれが発生し、均一に発泡したグラファイト化処理後フィルムが得られない。
<炭化工程>
本発明では、まず高分子フィルムの炭化工程をおこなった後、得られた炭化フィルムのグラファイト工程をおこなうことによりグラファイト化処理後フィルム得ることができる。本発明の炭化工程では、出発物質である高分子フィルムを減圧下もしくは不活性ガス中で加熱処理することが好ましい。この加熱は通常1000℃程度の温度で行い、例えば10℃/分の速度で昇温した場合には1000℃の温度領域で30分程度の温度保持を行うことが望ましい。より具体的には、高分子フィルムを炭化する炭化温度は、600℃以上、2000℃未満が好ましい。
また、熱処理中の高分子フィルムの保持方法としては、例えば2枚の黒鉛板あるいは、グラファイトシートの間に高分子フィルムを挟みこんで、これを、黒鉛の角型容器に保持する方法などを挙げることができる。
<グラファイト化工程>
本発明のグラファイト化工程では、炭化工程で得られた炭化フィルムを減圧下もしくは不活性ガス中で加熱処理することが好ましい。この加熱は通常2400℃以上の温度で行い、最高温度領域で60分程度の温度保持を行うことが望ましい。
また、熱処理中の高分子フィルムの保持方法としては、例えば2枚の黒鉛板あるいは、グラファイトシートの間に高分子フィルムを挟みこんで、これを、黒鉛の角型容器に保持する方法などを挙げることができる。
また、本発明のグラファイト化工程は、炭化工程により炭化した高分子フィルム(炭化フィルム)を一度炭化工程用の炉から取り出した後、グラファイト化用の炉に移し変えてからおこなっても良いし、炭化工程及びグラファイト化工程を連続的に同一の炉でおこなっても良い。
<グラファイト化最高温度とグラファイト化処理後フィルムの密度>
本発明でのグラファイト化工程での熱処理の際の最高温度(以下「グラファイト化最高温度」という)は2400℃以上であるが、好ましくは2800℃以上、より好ましくは、2900℃以上、さらに好ましくは3000℃以上である。このような熱処理温度にすることでグラファイト層が面方向へ成長し、耐屈曲性、熱拡散性の優れたグラファイトフィルムを得ることができる。一方、グラファイト化最高温度が2400℃より低い場合は、グラファイト化が十分進行しない。グラファイト化が十分に進行していないと、発泡の程度が十分でないためにフィルムが硬くなり、グラファイトフィルムの耐屈曲性、熱拡散性が不十分となる。熱処理温度が高いほど良質のグラファイトへの転化が可能である。
しかし一方、経済性(熱処理設備のコスト及びエネルギーコスト)の観点からは、グラファイト化最高温度は、あまり高くないことが好ましい。本発明でのグラファイト化最高温度は、3500℃以下であることが好ましく、より好ましくは、3200℃以下、さらに好ましくは3100℃以下である。
<グラファイト化処理後フィルム>
炭化工程、黒鉛化工程を施した高分子フィルムがグラファイト化処理後フィルムである。本発明のグラファイト化処理後フィルムはグラファイト化工程で発泡する。この発泡は上述したように、グラファイト化工程にてグラファイト骨格を形成しない窒素などの発泡ガスの発生によるものである。
<グラファイト化処理後フィルムの密度>
グラファイト化処理後フィルムの発泡の程度が、グラファイトフィルムの耐屈曲性、熱拡散性に影響する。発泡の程度が大きいグラファイト化処理後フィルムの密度は、グラファイト層間に多くの空間を有しているため小さい。逆に、発泡の程度が小さなグラファイト化処理後フィルムの密度は大きい。
本発明のグラファイト化処理後フィルムの密度は、通常、0.25g/cm3以上1.68g/cm3以下であり、好ましくは0.5g/cm3以上1.30g/cm3以下、さらに好ましくは0.7g/cm3以上1.20g/cm3以下である。グラファイト化処理後フィルムの密度が0.25g/cm3より小さい場合、発泡の程度が大きすぎてグラファイト層が破壊されているために、耐屈曲性、熱拡散性が悪くなる場合がある。一方、グラファイト化処理後フィルムの密度が1.68g/cm3より大きい場合は、発泡の程度が小さすぎて耐屈曲性が悪くなる場合がある。
<グラファイト化処理後フィルムの圧縮>
本発明では、発泡したグラファイト化処理後フィルムを圧縮することで、耐屈曲性が非常に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。耐屈曲性の高まるメカニズムは、次の通りである。
グラファイト化工程の発泡ガスにより持ち上げられたグラファイト層は、図1のように波状にうねっており、かなりの部分が面方向から大きく傾いている(はみ出している)。このようなグラファイト層は柔軟性に欠けるので、グラファイト化処理後フィルムは耐屈曲性は十分でない。
そこで、十分な耐屈曲性を付与するために、グラファイト化処理後フィルムの圧縮処理が必要となる。ここでいう圧縮処理とは、上下方向(厚み方向)への加圧処理をいう。発泡したグラファイト化処理後フィルムを圧縮すると、図2のようにグラファイト層を面方向に揃えることができるため、耐屈曲性が改善される。基本的には、圧縮処理時の圧力が大きいほど、薄いグラファイトフィルムが得られ、耐屈曲性が良くなる。
<後圧延工程>
グラファイト化処理後フィルムを圧縮する方法としては、後圧延工程と後面状加圧工程が考えられるが、本発明では、後面状加圧工程をおこなう。以下の点で、後面状加圧工程は後圧延工程よりも優れている。
グラファイト化処理後フィルムの圧縮方法として、上記特許文献2に記載の後圧延工程がある。具体的には、セラミック製やステンレス製の2本のローラーを通す方法が記載されている。後圧延工程の問題点は、上記の通りである。
<後面状加圧工程>
後圧延工程の問題点は、グラファイト化処理後フィルムを面状に加圧する後面状加圧工程により解決された。
後面状加圧工程では面全体に均一に加圧できるため、圧延工程と比較して耐屈曲性に優れ、厚みバラツキ、皺なども少ない良質のグラファイトフィルムを製造することが可能である。後面状加圧工程は、次の1〜6のような理由で後圧延工程より優れている。
(理由1)密度の小さなグラファイト化処理後フィルム(すなわち発泡度が高いグラファイト化処理後フィルム)は波打ちが多いため、後圧延工程により折れ皺(巻き込み皺)が発生する場合がある。一方、後面状加圧工程では、このような折れ皺(巻き込み皺)は発生し難い。
(理由2)密度の小さなグラファイト化処理後フィルムは厚みバラツキも大きいため、後圧延工程では均一に加圧することが難しい。一方、後面状加圧工程では、面接触で加圧するために、このような厚みバラツキに関係なく均一に加圧できる
(理由3)後圧延工程では、金属ローラーのような強度の高いものでグラファイト化処理後フィルムを巻き込ませながら圧縮するためグラファイトフィルムを傷つけやすい。後面状加圧工程では、グラファイト化処理後フィルムを面状に加圧するために、圧力を強めてもグラファイトフィルムを傷つけ難い。
(理由4)密度の小さなグラファイト化処理後フィルムを薄くするためには、大きな圧縮圧力が必要となる。しかしながら後圧延工程では、圧縮圧力を大きくすると、線接触であるためグラファイトを傷つけやすい、折れ皺(巻き込み皺)も多く発生するという問題が発生する。一方、後面状加圧工程では、面接触であるために圧力を強めてもグラファイトを傷つけ難く、折れ皺(巻き込み皺)も発生しない。
(理由5)後圧延工程は、ニップ幅が固定されるために圧縮圧力の調節が難しい。一方、後面状加圧は、圧縮圧力の調節が可能であり、グラファイト化処理後フィルムの状態に応じて、圧力を調節できる。また、圧力を徐々に強めたり弱めたり調節が可能であり、グラファイト化処理後フィルムの状態に応じた圧縮が可能である。
(理由6)後圧延工程は、皺などが入り易いために慎重に処理する必要があり、作業に時間がかかる。一方、後面状加圧工程では、皺などが入りにくいために、作業性がよく、短時間での圧縮が可能である。また後述するように、フィルム状媒体と交互にグラファイト化処理後フィルムを積層して圧縮するなど、複数枚同時の圧縮も可能である。
本発明に係るグラファイトフィルムの製造方法においては、前記グラファイト化工程を経てグラファイト化した高分子フィルム、つまりグラファイト化処理後フィルムを、さらに、面状に加圧する(後面状加圧工程)。この工程により、耐屈曲性、熱拡散率に優れ、表面の傷、凹みが少なく、皺が少なく、平坦性に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。この工程は、特に耐屈曲性を向上させるためには重要である。後面状加圧工程は、室温でも行うことができる。後面状加圧工程においては、前記グラファイト化処理後フィルム以外のフィルム状媒体とともに、面状に加圧することが好ましい。
また、前記グラファイトフィルムが複数枚積層され配置された状態で面状に加圧することが好ましく、グラファイトフィルム自体が緩衝材の役割を果たすので、表面の傷が少なく、平坦性に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。
後面状加圧は、単板プレス、真空プレス等で実施され得る。より具体的には、グラファイトフィルムを圧縮成型機、プレス機、ホットプレス機、単板プレス機といった面状に加圧できる装置を用いて加圧する方法やプラスチック板、セラミック板、金属板にグラファイトフィルムを挟みボルトで締め付ける方法が挙げられる。これらの方法を用いることにより、面状に一様に加圧することが可能となり、グラファイト層が破損することなく圧縮され、熱拡散率の低下を引き起こさず、熱拡散率の高い、密度が高く、表面の傷が少なく、皺の少ないグラファイトフィルムを得ることができる。
また、加圧工程では、加圧中に圧力を変化させることや、加圧を数段階に別けて実施することも可能である。波打ちの大きなグラファイト化処理後フィルムについては、はじめから大きな圧力で加圧すると、皺や折れ皺(巻き込み皺)を引き起こす場合があり、このような場合、まず始めに弱い圧力で予備加圧し、予備加圧後更に大きな圧力で加圧するとよい。また、単板プレス機、フィルム状媒体などの厚み公差により圧縮むらが発生する場合もあるが、このような場合は、一度加圧し、グラファイト化処理後フィルムの位置を変更し、再度加圧すると厚みバラツキの少ないグラファイトフィルムが得られる。
<後面状圧縮工程の課題>
しかしながら後面状加圧工程にも、静電気発生の問題があることが明らかになっている。静電気により、グラファイトフィルムに皺が発生したり、破けが発生したり、グラファイトフィルムの外観が劣化する場合がある。静電気の発生は後面状加圧工程が、面接触でフィルムを圧縮することに由来する。特に圧縮圧力が高い場合、面積が大きい場合、圧縮時の接触面の表面粗さが小さい場合などは、グラファイトフィルムを圧縮媒体から剥がせないほどに非常に大きな静電気が発生し、作業性を極端に低下させることがあった。
<後面状圧縮工程時に圧縮面とグラファイトフィルムに静電気が発生する理由>
静電気の発生は後面状加圧工程が、面接触でフィルムを圧縮することに由来する。一般的に、2つの素材が密着すると一方の素材からもう一方の素材へ電荷の移動が起こる。密着した素材を引き剥がす際に一方の素材は電子を得て負に帯電し、もう片方は電子を失い正に帯電する。以上が圧縮処理による静電気の発生メカニズムと考えられる。
<圧縮面>
圧縮面とは、グラファイト化処理後フィルムの後面状加圧工程において、圧縮の際、グラファイト化処理後フィルムと面状に接触している面である。例えば、単板プレス機を使用して後面状加圧工程を実施する場合、圧縮面は、圧縮時にグラファイト化処理後フィルムと接触している面である(図4の太線部)。また、高分子フィルムでグラファイト化処理後フィルムを挟んで、それを単板プレス機を使用して後面状加圧工程を実施する場合は、圧縮面は高分子フィルムの表面である(図5の太線部分)。
<圧縮面の表面抵抗率>
後面状加圧工程を実施後、圧縮面からのグラファイトフィルムの引き剥がす工程(独立回収工程)では、強い静電気が発生する。この静電気により、独立回収工程の作業性が悪くなるばかりか、グラファイトフィルムに皺、破けが発生する場合もあり、静電気によるグラファイトフィルムと圧縮面の貼りつきは深刻な問題であることが明らかになった。
そこで、本発明では、グラファイトフィルムと圧縮面との静電気を抑制するため、圧縮面の表面抵抗率を小さくした。一般的に、表面の電気抵抗が小さいと帯電した電子(あるいはホール)が自由に移動できるために静電気が発生しにくいと言われている。通常静電気を除去するために求められる表面抵抗率は1×109Ω/□〜1×1012Ω/□であると言われている。
しかしながら、本発明の後面状加圧工程における圧縮圧力は非常に大きなもので、発生する静電気の量も大きいため、表面抵抗率が1×109Ω/□〜1×1012Ω/□では不十分であることがわかった。特に後面状加圧工程の圧縮圧力が大きな場合、グラファイトフィルムのサイズが大きい場合、圧縮面の表面粗さが小さい場合ほど、発生する静電気量は大きいため、表面抵抗率が小さな圧縮面を使用したほうがよい。
本発明の後面状加圧工程における圧縮面の表面抵抗率は1×109Ω/□以下、好ましくは1×107Ω/□以下、さらに好ましくは1×105Ω/□以下である。圧縮面の表面抵抗率が1×109Ω/□より大きい場合、静電気の発生量が大きく、グラファイトフィルムと圧縮面を引き剥がし難くなる。特に、面状に圧力8MPa以上で加圧した場合は、圧縮面の表面抵抗率は1×107Ω/□以下がよい。
<後面状加圧工程の圧力>
本発明の後面状加圧工程のグラファイト化処理後フィルムを面状に加圧する圧力は、2MPa以上40MPa以下であり、好ましくは4MPa以上20MPa以下、更に好ましく8MPa以上15MPa以下である。グラファイト化処理後フィルムを面状に加圧する圧力が2MPaより小さい場合は、圧力が小さすぎて十分に圧縮処理できず、耐屈曲性の悪いグラファイトフィルムとなる。一方、グラファイト化処理後フィルムを面状に加圧する圧力が40MPaより大きいと、圧力が大きすぎて圧縮処理時にグラファイトフィルムが破壊されてしまい、耐屈曲性、熱拡散性、外観の悪いグラファイトフィルムとなる。また、圧力が大きい方が圧縮面からのグラファイトフィルム引き剥がし性が悪くなる傾向がある。
<圧縮面の表面粗さRa>
後面状加圧工程において、圧縮面とグラファイト化処理後フィルムを接触させて圧縮するために、圧縮面の表面粗さRaが出来上がりのグラファイトフィルムの表面平滑性を左右する。圧縮面の表面粗さが大きい場合は、出来上がりのグラファイトフィルムの表面粗さも大きくなり、表面平滑性が悪くなる。圧縮面の表面粗さが小さい場合は出来上がりのグラファイトフィルムの表面粗さも小さくなり、表面平滑性がよくなる。出来上がりのグラファイトフィルムの表面平滑性が良い方が、他材料との複合の際に有利であり、また耐屈曲性や引っ張り強度などの機械特性も優れている。したがって接触面の表面粗さRaは小さいものがよい。
本発明の圧縮面のJIS B0652に記載の光波干渉式表面粗さ測定法で得られる表面粗さRaは、通常0.005〜3.000μm、好ましくは0.007〜2.000μm、さらに好ましくは0.015〜1.500μmである。圧縮面の表面粗さが3.000μmより大きい場合、出来上がりのグラファイトフィルムの表面性が悪くなる。一方、圧縮面の表面粗さが0.005μmより小さい場合、発生する静電気の量が大きくなり、圧縮面からのグラファイトフィルム引き剥がし性が悪くなる。
<グラファイト化処理後フィルムの面積>
本発明では、大面積のグラファイト化処理後フィルムを用いて、大面積のグラファイトフィルムを得ることが好ましい。グラファイト化処理後フィルムの面積が小さいと発生する静電気は小さいが、得られるグラファイトフィルムのサイズも小さくなるという問題がある。一方、静電気が発生しやすいものの、グラファイト化処理後フィルムの面積が大きいと、サイズの大きいグラファイトフィルムを製造できるので好ましい。
したがって、本発明で使用されるグラファイト化処理後フィルムの面積は、通常、100cm2以上10000cm2以下、好ましくは225cm2以上6400cm2以下、更に好ましくは400cm2以上2500cm2以下である。
本発明では各種検討の結果、100cm2以上のグラファイト化処理後フィルムの製造が可能となった。後面状加圧工程を施すグラファイト化処理後フィルムの面積が100cm2以上になると、静電気発生の問題が顕著に現れてくるが、上述のような圧縮面を使用することで、静電気を抑制した状態で後面状加圧工程を施すことができることがわかった。(また今回、面積が100cm2より小さい場合は、静電気の発生が問題になりにくいこともわかった。)グラファイト化処理後フィルムの面積が10000cm2以下までは、静電気を抑制した状態で後面状加圧工程を施すことが比較的容易である。
<圧縮面の材質>
本発明の圧縮面の材質としては、例えば、高分子、セラミック、金属、ゴムなどが挙げられるが、表面抵抗率が1×109Ω/□以下であれば、その材質は特に限定されない。
<金属材料>
金属材料は非常に小さな表面抵抗率(1×105Ω/□以下)を示すことが知られており、後面状加圧工程後のグラファイトフィルムと圧縮面の引き剥がし性が優れている。しかしながら本発明のように非常に大きな圧力で圧縮する場合、金属は硬く柔軟性に欠けるため、金属がグラファイトフィルムを傷つけることがある。また金属は延性と展性を示すために塑性変形しやすく、いったん塑性変形してしまうと、その後は圧縮面の平坦性を保つことができず、繰り返しの使用が困難な場合がある。
<高分子材料>
一方、高分子は粘弾性体であるために、圧縮面に使用すると、グラファイトフィルムを傷つけることなく圧縮できる(高分子の弾性変形により、局所的な加圧が緩和されるため、均一な加圧が可能となる)。また、金属と違って原子位置の流動による変形がないため、繰り返しの使用が可能である。
しかしながら、通常の高分子の表面抵抗率は非常に大きく、後面状加圧工程後のグラファイトフィルムと圧縮面の引き剥がし性が悪いといった短所もある。しかし下記の通り、この問題は克服可能である。
本発明で使用される高分子材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)系樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)系樹脂、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)系樹脂、PVAc(ポリ酢酸ビニル)系樹脂、アクリル系樹脂、PP(ポリプロピレン)系樹脂、PE(ポリエチレン)系樹脂、PS(ポリスチレン)系樹脂、ABS系樹脂などの汎用樹脂をはじめ、PC(ポリカーボネート)系樹脂、PF(ポリフェノール)系樹脂、EP(エポキシ)系樹脂、MF(メラミン)系樹脂、PA(ポリアミド)系樹脂、PI(ポリイミド)系樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)系樹脂、PAN(ポリアクリルニトリル)系樹脂、または、これらの共重合体などを挙げることができる。また、圧縮面として使用した場合にグラファイトフィルムを傷つけにくいという理由から、PP(ポリプロピレン)系樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)系樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)系樹脂、PE(ポリエチレン)系樹脂、PS(ポリスチレン)系樹脂が好ましい。
<導電性、静電気防止高分子>
導電性あるいは静電気防止の効果がある高分子材を圧縮面として使用すると、グラファイトフィルムを傷つけず、圧縮面からのグラファイトフィルムの引き剥がしの作業性もよくなる。また、高分子であるため、圧縮面の変形もなく、繰り返しの使用が可能である。導電性高分子材料には、電子の移動を可能にする化学構造を持った、いわゆる導電性ポリマーと、界面活性剤、電解質などの化合物や金属粉、カーボンブラックなどの導電性フィラーを練り込んだ、導電性樹脂組成物とがある。
実用化という点では、フィラー系導電性樹脂組成物が最も先行しており、次いで、界面活性剤や親水ポリマーを練り込んだ化合物系導電樹脂組成物が、静電気防止・帯電防止・制電性材料として一般的に使用されている。例えば、太平化学製品株式会社より入手が可能な、PS素材にカーボン系のフィラーを練り込んだタイプのシート(グレード:CMPS1050E)の表面抵抗率は1×104Ω/□以下であり、静電気防止効果が大きい。フィラー系導電性樹脂組成物の表面抵抗率は、一般的に他の導電性高分子材料よりも低いので、本発明の圧縮面に適している。
導電性ポリマーとしては、例えばポリピロール、ポリチオフェン、およびポリアニリンなどを挙げることができる。これらの導電性ポリマーを単独で使用したもの、あるいは絶縁性のポリマーとブレンドした高分子材料が実用化されている。例えば(株)アキレスから入手できるSTポリは、導電性ポリマーであるポリピロールをPET基材に薄くコーティングしたものであり、表面抵抗率は1×106Ω/□以下であり、静電気防止効果が大きい。化合物系導電性樹脂組成物では、 界面活性剤および親水性ポリマーを用いたものは、半導体のレベルであり、主として帯電防止や静電気対策を必要とする分野で使用されている。
<各種導電性高分子の耐久性>
後面状加圧工程に、導電性ポリマーや界面活性剤など導電性の媒体を表面にコーティングしたタイプのシートを用いた場合、耐久性が良くないことが多い。圧縮処理の際、非常に大きな圧力でグラファイトフィルムと圧縮面を密着させるため、圧縮のたびに表面コーティングが少しずつ剥がれていき、静電気抑制効果が低下するものと考えられる。
一方、導電性フィラーを練り込むタイプのシート、すなわちフィラー系導電性樹脂組成物からなるシートは、シートの内部に含有されている導電性フィラーを介して電子が移動するため、後面状加圧工程において耐久性がある。また導電性ポリマー(高分子材料そのものが導電性を示すもの)もシート内部を電子が移動できるために、同様に耐久性がある。
したがって、本発明で使用される圧縮面としては、耐久性の観点から導電性フィラーを樹脂中に練り込んだタイプのもの、導電性ポリマーなどが適している。
<導電性フィラー>
フィラー系導電性樹脂組成物中の導電性フィラーとして、銅、銅合金、銀、ニッケル、低融点合金(ハンダなど)の金属微粒子、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウムなどの金属酸化物微粒子、各種のカーボンブラック、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマー粒子、金属を被覆したポリマー微粒子、貴金属を被覆した銅や銀の微粒子、金属繊維、炭素繊維など、極めて多種多様なものを使用することができる。
特に、グラファイトフィルムの後面状加圧工程においては、同じ炭素材料であるカーボンブラックなどのカーボン系のフィラーを用いることが好ましい。これは、圧縮されるグラファイトフィルムと同等の硬度を示すカーボン系のフィラーであれば、圧縮時にグラファイトフィルムを傷つけないために、非常に表面性のよいものが得られる。また、グラファイトフィルムと同等の帯電列であるため、静電気の発生も効果的に抑制できる。
<本発明における導電性、静電気防止高分子の圧縮面での使用の利点>
本発明の後面状加圧工程において使用される圧縮面として、上述したような導電性、静電気防止高分子材料の使用は非常に優れている。圧縮面として導電性、静電気防止高分子材料を使用した場合、金属材料、絶縁性の高分子材料を使用した場合より次の点で優れている。
1)静電気が発生しにくいので、後面状加圧工程後のグラファイトフィルムと圧縮面の引き剥がしがスムーズとなる。
2)高分子材料は粘弾性を示す材料であるため、後面状加圧工程時にグラファイトフィルムを傷つけない。(金属材料の場合、傷がつく)
3)高分子材料は変形に対しても強く、後面状加圧工程後に圧縮面の変形がないため繰り返しの使用が可能である。(金属材料の場合、一度の圧縮で変形し、その変形が次の圧縮の際に傷、押ムラの原因となる)
4)また、高分子材料は金属材料と比較して軽いために、作業が容易である。この差は、特に複数のグラファイト化処理後フィルムや圧縮面を同時にプレスする際に顕著となる(後述)。
<フィルム状媒体>
本発明の後面状加圧工程における圧縮面を持つ媒体として、フィルム状媒体を用いることができる。フィルム状媒体の素材としては、例えば上述したようなPS(ポリスチレン)系樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)系樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)系樹脂、PP(ポリプロピレン)系樹脂、PE(ポリエチレン)系樹脂などの高分子材料が挙げられる。また、銅、アルミニウム、鉄、それらの合金などの金属材料、セラミック、ゴム材なども用いることができる。フィルム状媒体を使用したグラファイト化処理後フィルムの圧縮例を図5に示す。図5の51がフィルム状媒体であり、フィルム状媒体でグラファイト化処理後フィルムを挟み、それを単板プレス機を使用して面状に圧縮する。
<フィルム状媒体の厚み>
本発明の後面状加圧工程において使用するフィルム状媒体の厚みは、通常、50μm以上800μm以下であり、好ましくは200μm以上600μm以下、さらに好ましくは200μm以上400μm以下である。フィルム状媒体の厚みが50μmより薄い場合は、フィルムが薄すぎてこしがないために、図6の(61)のような外部の凹凸をグラファイトフィルムに転写してしまう。一方、フィルム状媒体の厚みが800μmより厚い場合は、後述するように複数枚同時に処理する場合に嵩張ってしまう。また、フィルム状媒体の重量が重くなると作業性が悪くなるので、フィルム媒体の厚みは800μm以下がよい。
<フィルム状媒体とグラファイト化処理後フィルムの接触方法>
本発明のフィルム状媒体とグラファイト化処理後フィルムの接触方法として、例えば、〔フィルム状媒体/1枚のグラファイト化処理後フィルム/フィルム状媒体〕をサンドイッチ状に挟む方法(図7)を例示することができる。フィルム状媒体とグラファイト化処理後フィルムの積層体を単板プレス機などで面状に圧縮することで、後面状加圧工程が実施できる。
<フィルム状媒体とグラファイト化処理後フィルムの接触方法(複数枚同時)>
一度に複数枚のグラファイト化処理後フィルムの後面状加圧工程をおこなうことにより、グラファイトフィルムの生産性を向上させることが可能である。例えば、〔フィルム状媒体/1枚のグラファイト化処理後フィルム〕を交互に積み重ねる方法(図8)、〔フィルム状媒体/複数枚のグラファイト化処理後フィルム/フィルム状媒体〕をサンドイッチ状に挟む方法(図9)、〔フィルム状媒体/複数枚のグラファイト化処理後フィルム〕を積み重ねる方法(図10)などを例示することができる。
このように積層したフィルム状媒体とグラファイト化処理後フィルムの接触体を単板プレス機などで面状に圧縮することで、後面状加圧工程が実施できる。
この複数枚積層して後面状加圧工程を実施することで、一度に多くのグラファイトフィルムが作製できると同時に、積層したフィルム状媒体とグラファイト化処理後フィルムの接触体自体がクッション材として作用し、フィルムの圧縮ムラも改善できる。
<後面状加圧工程後のグラファイトフィルムの傷>
グラファイトフィルムに傷があると、傷の部分に折り曲げに対する応力が集中するために耐屈曲性が悪くなる場合がある。また、熱拡散性、電気伝導度、引っ張り強度などグラファイトフィルムの優れた特性が損なわれる原因となる。後面状加圧工程におけるグラファイトフィルムの傷の発生は、圧縮面に金属などの硬い材料を使用した場合などに起こりやすい。また、後面状加圧工程時に大きな静電気が発生した場合は、圧縮面からグラファイトフィルムを取り外す際に傷が発生する場合がある。
<後面状加圧工程後のグラファイトフィルムの厚みムラ>
グラファイトフィルムに厚みムラがあると、厚みの厚い部分に折り曲げに対する応力が集中するために耐屈曲性が悪くなる場合がある。また、熱拡散性、電気伝導度、引っ張り強度などグラファイトフィルムの優れた特性が損なわれる原因となる。
密度の小さなグラファイト化処理後フィルムは厚みバラツキも大きいため、後圧延工程では均一に加圧することが難しい。しかしながら、後面状加圧工程では、面状に加圧するので、厚みバラツキがあっても均一に加圧できる。
<用途など>
本発明のグラファイトフィルムは、柔軟性、電気伝導性に優れるため、この特徴を活かした用途に特に適している。グラファイトフィルムの熱伝導に優れるという特徴は、熱を移動させる、熱を逃がす、熱を広げる、熱を均一にする、熱応答を早くする、早く暖める、早く冷ますといった効果が必要な用途には適している。熱を瞬時に広げることで急激な温度変化を防止緩和したり、局所的な熱の集中を回避したりすることが可能である。またその逆で、急激な変化を起こさせたり、わずかな熱の変化を検知したりする用途に使用することが可能である。熱が緩和されることで高温環境下においても強度、接着性を確保できる。また、均一かつ正確に熱を伝えることにより、液晶ディスプレイなどの高精度、高品位、高画質といった特性改善も可能になる。各種製品の製造装置に用いた場合には、熱を早く、大量に輸送できる特長を活かし、コンタクトタイム短縮、加熱・冷却効率改善、乾燥効率改善、高速化、待ち時間短縮といった生産性の向上が可能になる。また、熱の均一化や素早い輸送により、不良低減、保温機能も高めることが可能となる。また、様々な機器に採用することで、省スペース化、薄膜化、軽量化、機構の単純化、設置の自由度改善を可能とし、余計な部品を無くすことで、省電力化、静音化も可能となる。また、熱を逃がすことが可能なため、ヒートサイクル環境試験やアニ−ル処理でも特性劣化なく、半田耐熱、接着層の密着性、耐熱性、信頼性、耐久性が改善でき、また断熱性を高めたり、熱に弱い部品から守ったりすることも可能となる。その結果、メンテナンスレス、コストダウンにつながり、安全性も改善することが可能となる。
具体的な用途として、以下のものがあげられる。例えば、サーバー、サーバー用パソコン、デスクトップパソコン、ワードプロセッサ、キーボード、ゲーム等の電子機器、ノートパソコン、電子辞書、PDA、携帯電話、携帯ゲーム機器、ポータブル音楽プレイヤー等の携帯電子機器。液晶ディスプレイ、透過型液晶表示装置、反射型LCDパネル、プラズマディスプレイ、SED、LED、有機EL、無機EL、液晶プロジェクター、リアプロジェクター、液晶パネル、バックライト装置(ばらつき防止、温度ムラ改善)、TFT基板、電子放出素子、電子源基板とフェースプレート(軽量化)、表示パネルフレームとの複合、発光素子、電荷注入型発光素子、時計等の光学・表示機器及びその部品。レーザー、半導体レーザー、発光ダイオード、蛍光灯、白熱電球、発光ドット、発行素子アレー、照明ユニット、平面発光装置、原稿照明装置等の発光・照明装置。インクジェット(熱エネルギーを利用してインクを途出する)用の単体もしくは複数からなる記録ヘッド(ヒーター、断熱材、蓄熱層等)、ラインヘッド、長尺インクヘッド、固体インクジェット装置、インクジェットヘッド用放熱板、インクカートリッジ、インクジェットヘッド用シリコン基板、インクジェット駆動ドライバ、インクジェット記録紙を加熱するための加熱源(ハロゲンランプヒータ)等のインクジェットプリンタ(インクヘッド)装置及びその部品。トナーカートリッジ、レーザー光源を有する装置、走査光学装置(光線出射ユニット、偏向走査ポリゴンミラー、ポリゴンミラー回転駆動モーター、感光体ドラムへ導く光学部品)、露光装置、現像装置(感光ドラム、光受容部材、現像ローラ、現像スリーブ、クリーニング装置)、転写装置(転写ロール、転写ベルト、中間転写ベルト等)、定着装置(定着ロール(芯、外周部材、ハロゲンヒーター等)、サーフヒーター、電磁誘導加熱ヒーター、セラミックヒーター、定着フィルム、フィルム加熱装置、加熱ローラ、加圧ローラ・加熱体、加圧部材、ベルトニップ)、シート冷却装置、シート載置装置、シート排出装置、シート処理装置等からなる電子写真装置・画像形成装置及びその部品。定着装置ではグラファイトフィルムの使用による熱特性の改善効果は顕著であり、幅方向の画質ムラ、画質欠陥、連続通紙における画質バラツキ、立ち上がり・下がり時間、リアルタイム対応、温度の高追従性、通紙部と非通紙部の温度差、皺、強度、省電力、オンデマンド加熱、高温オフセット及び低温オフセット、ヒーター周辺部材の過昇温、ヒーター割れが大幅に改善できる。熱転写式記録装置(リボン)、ドットプリンタ、昇華プリンタ等のその他記録装置。半導体素子、半導体パッケージ、半導体封止ケース、半導体ダイボンディング、液晶表示素子駆動用半導体チップ、CPU、MPU、メモリ、パワートランジスタ、パワートランジスタケース等の半導体関連部品。プリント基板、リジッド配線板、フレキシブル配線板、セラミック配線板、ビルドアップ配線板、実装基板、高密度実装プリント基板、(テープキャリアパッケージ)、TAB、ヒンジ機構、摺動機構、スルーホール、樹脂パッケージング、封止材、多層樹脂成形体、多層基板等の配線基板。CD、DVD(光ピックアップ、レーザー発生装置、レーザー受光装置)、ブルーレイディスク、DRAM、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、光記録再生装置、磁気記録再生装置、光磁気記録再生装置、情報記録媒体、光記録ディスク、光磁気記録媒体(透光性基板、光干渉層、磁壁移動層、中間層、記録層、保護層、放熱層、情報トラック)、受光素子、光検出素子、光ピックアップ装置、磁気ヘッド、光磁気記録用磁気ヘッド、半導体レーザチップ、レーザダイオード、レーザー駆動IC等の記録装置、記録再生装置及びその部品。デジタルカメラ、アナログカメラ、デジタル一眼レフカメラ、アナログ一眼レフカメラ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、カメラ一体型VTR用、カメラ一体型VTR用IC、ビデオカメラ用ライト、電子閃光装置、撮像装置、撮像管冷却装置、撮像装置、撮像素子、CCD素子、レンズ鏡筒、イメージセンサ及びそれを用いた情報処理装置、X線吸収体パターン、X線マスク構造体、X線撮影装置、X線露光装置、X線平面検出器、X線デジタル撮影装置、X線エリアセンサー基板、電子顕微鏡用試料冷却ホルダ、電子ビーム描画装置(電子銃、電子銃、電子ビーム描画装置)、放射線検出装置及び放射線撮像システム、スキャナー、画像読取装置、動画用撮像素子と静止画用撮像素子、顕微鏡等の画像記録装置及びその部品。アルカリ電池、マンガン電池等の一次電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素、鉛蓄電池等の二次電池、電気二重層キャパシタ、電解コンデンサ、組電池、太陽電池、太陽電池モジュール設置構造体、光電変換基板、光起電力素子アレー、発電素子、燃料電池(発電セル、筐体外部、燃料タンク内部)等のバッテリー機器等の放熱材料。電源(整流ダイオード、トランス)、DC/DCコンバータ、スイッチング電源装置(フォワード型)、電流リ−ド、超電導装置システム等の電源及びその部品。モーター、リニアモーター、平面モーター、振動波モーター、モーターコイル、回転制御駆動用の回路ユニット、モータドライバ、インナーロータモーター、振動波アクチュエーター等のモーター及びその部品。真空処理装置、半導体製造装置、蒸着装置、薄膜単結晶半導体層製造装置、プラズマCVD、マイクロ波プラズマCVD、スパッタリング装置、減圧チャンバー、真空ポンプ、クライオトラップ・クライオポンプ等の真空排気装置、静電チャック、真空バキュームチャック、ピンチャック型ウエハチャック、スパッタリング用ターゲット、半導体露光装置、レンズ保持装置及び投影露光装置、フォトマスク、等の堆積膜製造装置(温度一定、品質安定)及びその部品。抵抗加熱・誘導加熱・赤外線加熱による熱処理装置、乾燥機、アニール装置、ラミネート装置、リフロー装置、加熱接着(圧着)装置、射出成型装置(ノズル・加熱部)、樹脂成形金型、LIM成型、ローラ成型装置改質ガス製造(改質部、触媒部、加熱部等)スタンパ、(フィルム状、ロール状、記録媒体用)、ボンディングツール、触媒反応器、チラー、カラーフィルタ基板の着色装置、レジストの加熱冷却装置、溶接機器、磁気誘導加熱用フィルム、結露防止ガラス、液体残量検知装置、熱交換装置等の種々製造装置及びその部品。断熱材、真空断熱材、輻射断熱材等の断熱装置。各種電子・電気機器、製造装置のシャーシ、筐体、外装カバー。放熱器、開口部、ヒートパイプ、ヒートシンク、フィン、ファン、放熱用コネクタ等の放熱部品。ペルチェ素子、電気熱変換素子、水冷部品等の冷却部品。温度調節装置、温度制御装置、温度検出装置及び部品。サーミスタ、サーモスイッチ、サーモスタット、温度ヒューズ、過電圧防止素子、サーモプロテクタ、セラミックヒーター、フレキシブルヒーター、ヒーターと熱伝導板と断熱材の複合品、ヒーターコネクタ・電極端子部品等の発熱体関連部品。高放射率を有する放射部品、電磁波遮蔽、電磁波吸収体等の電磁シールド部品、アルミ、銅、シリコン等の金属との複合品、窒化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナ等のセラミックとの複合品として好適である。
以下において、本発明の種々の実施例がいくつかの比較例と共に説明される。
[ポリイミドフィルムAの作製方法]
4,4’−オキシジアニリンの1当量を溶解したDMF(ジメチルフォルムアミド)溶液に、ビロメリット酸二無水物の1当量を溶解してポリアミド酸溶液(18.5wt%)を得た。
この溶液を冷却しながら、ポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して、1当量の無水酢酸、1当量のイソキノリン、およびDMFを含むイミド化触媒を添加し脱泡した。次にこの混合溶液が、乾燥後に所定の厚さになるようにアルミ箔上に塗布した。アルミ箔上の混合溶液層を、熱風オーブン、遠赤外線ヒーターを用いて乾燥した。
以下に出来上がり厚みが75μmの場合におけるフィルム作製をする場合の乾燥条件を示す。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブンで120℃において240秒乾燥して、自己支持性を有するゲルフィルムにした。そのゲルフィルムをアルミ箔から引き剥がし、フレームに固定した。さらに、ゲルフィルムを、熱風オーブンにて120℃で30秒、275℃で40秒、400℃で43秒、450℃で50秒、および遠赤外線ヒーターにて460℃で23秒段階的に加熱して乾燥した。
なお、その他厚みのフィルムを作製する場合には、厚みに比例して焼成時間を調整した。例えば厚さ50μmのフィルムの場合には、75μmの場合よりも焼成時間を2/3倍に設定した。なお、厚みが厚い場合には、ポリイミドフィルムの溶媒やイミド化触媒蒸発による発泡を防ぐために低温での焼成時間を十分とる必要がある。
<後面状加圧工程に用いるフィルム状媒体>
本発明の実施例、比較例で使用したフィルム状媒体を表1に示す。なお、表に記載の表面抵抗値は、株式会社ダイアインスツルメンツ社から入手可能な抵抗率計・ロレスタGTを用いて測定した(JIS−K7194準拠)。また、表面粗さRaはJIS B0652に記載の光波干渉式表面粗さ測定法で測定した値である。
フィルムA
フィルムAはベース材であるPETフィルムの表面に、導電性ポリマーであるポリピロールをコーティングしたフィルムである。
ロレスタGTで測定した表面抵抗値は1×106Ω/□であり、フィルムの総厚みは400μmである。表面粗さはRa0.050μmである。
フィルムB
フィルムBはベース材であるPETフィルムの表面に、界面活性剤を塗布して静電気を抑制したフィルムである。
ロレスタGTで測定した表面抵抗値は1×109Ω/□であり、フィルムの総厚みは400μmである。表面粗さはRa0.100μmである。
フィルムC
フィルムCは導電性フィラーであるカーボンの粉末をベース材であるPS樹脂に練り込みフィルム化したものである。
ロレスタGTで測定した表面抵抗値は1×105Ω/□であり、フィルムの総厚みは400μmである。表面粗さはRa0.800μmである。
フィルムC‘
フィルムC‘は導電性フィラーであるカーボンの粉末をベース材であるPS樹脂に練り込みフィルム化したものである。
ロレスタGTで測定した表面抵抗値は1×105Ω/□であり、フィルムの総厚みは400μmである。表面粗さはRa0.010μmである。
フィルムC“
フィルムC“は導電性フィラーであるカーボンの粉末をベース材であるPS樹脂に練り込みフィルム化したものである。
ロレスタGTで測定した表面抵抗値は1×105Ω/□であり、フィルムの総厚みは50μmである。表面粗さはRa0.800μmである。
フィルムD
フィルムDは導電性フィラーであるAlの粉末をベース材であるPET樹脂に練り込みフィルム化したものである。
ロレスタGTで測定した表面抵抗値は1×105Ω/□であり、フィルムの総厚みは400μmである。表面粗さはRa0.100μmである。
フィルムE
フィルムEはAl板である。
ロレスタGTで測定した表面抵抗値は1×103Ω/□であり、フィルムの総厚みは400μmである。表面粗さはRa0.100μmである。
フィルムF
フィルムFはPETフィルムである。
ロレスタGTで測定した表面抵抗値は1×1014Ω/□であり、フィルムの総厚みは400μmである。表面粗さはRa0.050μmである。
フィルムG
フィルムGはPSフィルムである。
ロレスタGTで測定した表面抵抗値は1×1014Ω/□であり、フィルムの総厚みは400μmである。表面粗さはRa0.050μmである。
<各種物性測定条件>
<グラファイト化処理後フィルムの厚み測定>
グラファイト化処理後フィルムの厚みの測定方法としては、10cm×10cmのフィルムを厚みゲージ(ハイデンハイン(株)社製、HEIDENHAIN−CERTO)を用い、室温25℃の恒温室にて測定した。測定箇所は、グラファイトフィルムの左下の末端を(0,0)とした場合、(1,1)、(1,5)、(1,9)、(5,1)、(5,5)、(5,9)、(9,1)、(9,5)、(9,9)の9点を測定し、平均して測定値とした(図3)。〔例えば(1,5)は、左下の末端から右に1cm、上に5cmの点を、(9,1)は、左下の末端から右に9cm、上に1cmの点を表す。〕
<グラファイト化処理後フィルムの密度測定>
グラファイト化処理後フィルムの密度は、10cm角のグラファイト化処理後フィルムの重量(g)をグラファイト化処理後フィルムの縦(10cm)、横(10cm)、厚みの積で算出した体積(cm3)の割り算により算出された。
<グラファイト化処理後フィルムの面方向の熱拡散率測定>
グラファイト化処理後フィルムの面方向の熱拡散率測定は、光交流法による熱拡散率測定装置(アルバック理工(株)社から入手可能な「LaserPit」)を用いて、グラファイトフィルムを4×40mmのサンプル形状に切り取り、20℃の雰囲気下、10Hzにおいて測定された。
<グラファイトフィルムの厚み測定>
グラファイトフィルムの厚みの測定方法としては、10cm×10cmのフィルムを厚みゲージ(ハイデンハイン(株)社製、HEIDENHAIN−CERTO)を用い、室温25℃の恒温室にて測定した。測定箇所は、グラファイトフィルムの左下の末端を(0,0)とした場合、(1,1)、(1,5)、(1,9)、(5,1)、(5,5)、(5,9)、(9,1)、(9,5)、(9,9)の9点を測定し、平均して測定値とした。
〔例えば(1,5)は、左下の末端から右に1cm、上に5cmの点を、(9,1)は、左下の末端から右に9cm、上に1cmの点を表す。〕
<グラファイトフィルムの密度測定>
グラファイトフィルムの密度は、10cm角のグラファイトフィルムの重量(g)をグラファイトフィルムの縦(10cm)、横(10cm)、厚みの積で算出した体積(cm3)の割り算により算出された。
<後面状加圧工程後のグラファイトフィルムの圧縮面からの引き剥がし性>
後面状加圧工程後にグラファイトフィルムの圧縮面から引き剥がし性は静電気の発生の程度により異なっている。引き剥がし性を、圧縮面を水平方向から徐々に傾けてグラファイトフィルムが滑り落ちるかどうかで判断した。傾ける速度は1°/秒で実施した。0〜45°傾けている間にグラファイトフィルムが滑りおちるものを◎、45〜90°間に滑り落ちるものを○とした。また、90°まで傾けたところで固定し、60秒以内で滑りおちるものを△、滑り落ちないものを×とした。
圧縮面の後面状加圧工程による劣化のしやすさを評価するために、同じ圧縮面を使用して後面状加圧工程を10回実施した後の引き剥がし性も評価した。
<後面状加圧工程後の圧縮面の変形>
後面状加圧工程後の圧縮面の変形について評価した。後面状加圧工程後に圧縮面に凹みが発生する場合があるが、この凹みの深さが周囲の高さを基準として、深さが0〜3μmを◎、3〜5μmを○、5〜8μmを△、8μmより大きい場合は×とした。
<グラファイトフィルムの傷>
後面状加圧工程後のグラファイトフィルムの傷について評価した。特に金属などの硬い材料を使用した際は傷が付きやすかった。
後面状加圧工程後のグラファイトフィルム傷は、長さ2mm以上の傷の有無を目視にて判断した。得られる200×200mmのグラファイトフィルム中に傷が0〜2個確認されるものを◎、3〜5個確認されるものを○、6〜30個確認されるものを△、31個以上確認されるものを×として評価した。
<グラファイトフィルムの厚みムラ>
グラファイトフィルムの厚みムラは、グラファイトフィルムの厚み測定で測定した9点の最大値と最小値の差で評価した。厚みの差が0〜2μmを◎、2〜4μmを○、4〜6μmを△、6μmより大きい場合は×とした。
今回、発明者・出願人が測定した実施例、比較例で使用したグラファイト化処理後フィルムおよび圧縮後のグラファイトフィルムの製造条件や各種物性を、表2、表3にまとめた。
以下の実施例及び比較例では、ポリイミドフィルムおよび/または炭化フィルムを第1の容器内に保持したものを、さらに第2の容器内に保持してから、第2の容器を加熱してグラファイトフィルムを製造した。第2の容器とヒータは、空間により、互いに非接触の状態に維持されており、これらの間隔は約5cmであった。
(実施例1)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムAを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムAが26枚、一番上部と下部はフィルムAとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした(図11)。
(実施例2)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムBを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムBが26枚、一番上部と下部はフィルムBとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧は10MPaとした(図11)。
(実施例3)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムCを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムCが26枚、一番上部と下部はフィルムCとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした(図11)。
(実施例4)
厚さ75μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムCを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムCが26枚、一番上部と下部はフィルムCとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした(図11)。
(実施例5)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムDを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムDが26枚、一番上部と下部はフィルムDとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした(図11)。
(実施例6)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムEを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムEが26枚、一番上部と下部はフィルムEとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした(図11)。
(実施例7)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムAを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムAが26枚、一番上部と下部はフィルムAとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は5MPaとした(図11)。
(実施例8)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムAを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムAが26枚、一番上部と下部はフィルムAとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は20MPaとした(図11)。
(実施例9)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムBを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムBが26枚、一番上部と下部はフィルムBとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は5MPaとした(図11)。
(実施例10)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムBを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムBが26枚、一番上部と下部はフィルムBとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は20MPaとした(図11)。
(実施例11)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムCを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムCが26枚、一番上部と下部はフィルムCとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は5MPaとした(図11)。
(実施例12)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムCを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムCが26枚、一番上部と下部はフィルムCとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は20MPaとした(図11)。
(実施例13)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムDを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムDが26枚、一番上部と下部はフィルムDとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は5MPaとした(図11)。
(実施例14)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムDを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムDが26枚、一番上部と下部はフィルムDとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は20MPaとした(図11)。
(実施例15)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムEを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムEが26枚、一番上部と下部はフィルムEとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は5MPaとした(図11)。
(実施例16)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムEを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムEが26枚、一番上部と下部はフィルムEとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は20MPaとした(図11)。
(実施例17)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムCを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が1枚、フィルムCが2枚、一番上部と下部はフィルムCとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした(図11)。
(実施例18)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)を、直接、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした(図12)。
(実施例19)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)を、直接、圧縮成型機(上下の単板材質はAl)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした(図12)。
(実施例20)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)を、直接、圧縮成型機(上下の単板材質はカーボン粉末を練り込んだ導電性のポリスチレン)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした(図12)。
(実施例21)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムC‘を交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムC‘が26枚、一番上部と下部はフィルムC‘となるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした(図11)。
(実施例22)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムC“を交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムC”が26枚、一番上部と下部はフィルムC”となるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした(図11)。
(比較例1)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムFを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムFが26枚、一番上部と下部はフィルムFとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした(図11)。
(比較例2)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムGを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムGが26枚、一番上部と下部はフィルムGとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした(図11)。
(比較例3)
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)を、直接、圧縮成型機(上下の単板材質はポリスチレン)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした(図12)。
●圧縮面からのグラファイトフィルムの引き剥がし性
実施例1〜22の圧縮面からグラファイトフィルムの引き剥がし性は△以上であり、比較例1〜3の引き剥がし性より優れている。これは、実施例は圧縮面の表面抵抗率が1×109以下であるために、静電気を抑制できたからである。
圧縮面の表面抵抗率との相関
フィルム状媒体を圧縮面として使用した実施例1〜6、比較例1〜2を比較すると、表面抵抗率が小さいほど、引き剥がし性がよくなっていることがわかる。実施例3〜6は表面抵抗率が1×105Ω/□以下と小さいために、引き剥がし性が非常によい。一方、比較例1〜2は絶縁材料であるために引き剥がし性は非常に悪い。
また、実施例18〜20および比較例3のように、フィルム状媒体を使用しない場合も、表面抵抗が1×109Ω/□以下である方が引き剥がし性がよい。
圧縮圧力との相関
圧縮圧力が大きいほど、グラファイトフィルムの引き剥がし性は悪くなる。実施例1〜16を比較する。実施例7、9、11、13、15のように圧縮圧力が5MPaの時は表面抵抗率が1×109Ω/□以下であれば、引き剥がし性は十分であるが、圧縮圧力が10MPaのとき(実施例1〜6)は、実施例2のように、表面抵抗が1×109Ω/□のときは引き剥がし性が足りない。また、圧縮圧力が20MPaのとき(実施例8、10、12、14、16)は、表面抵抗が1×105Ω/□以下が求められる。
圧縮面の表面粗さとの相関
上記の通り圧縮面の表面粗さが小さい程、でき上がったグラファイトフィルムの表面平滑性がよくなるが、一方、圧縮面の表面粗さが小さいほど、グラファイトフィルムの引き剥がし性は悪くなる。実施例3および21を比較すると表面粗さが小さいほど、グラファイトフィルムの引き剥がし性は悪いことがわかる。本発明により、表面平滑性のよいグラファイトフィルムを効率よく製造することが可能となった。
●圧縮面の耐久性
また数回使用することで圧縮面の表面抵抗率が上昇し、圧縮面の静電気抑制能力が劣化してくる場合がある。実施例1〜6を比較すると、実施例1〜2のように、表面のみに導電性材料が形成されている材料では、1回目の使用と比較して10回目の使用の方がグラファイトフィルムの引き剥がし性は悪くなる。これは、後面状加圧工程を繰り返すたびにフィルム状媒体の表面に形成された導電材料部分が剥がれていくためである。
●後面状加圧工程後の圧縮面の変形
また塑性変形し易いAlなどの材料を圧縮面として使用した場合、一回の処理で圧縮面が変形してしまう場合がある。実施例1〜6および実施例18〜20を比較すると、実施例6、19は表面の変形が大きいため、2回目以降、この変形が圧縮時にグラファイトフィルムに傷を与えてしまう。
●グラファイトフィルムの傷
後面状加圧工程における圧縮面が金属のように非常に硬質なものでは、グラファイトフィルムに傷が発生することが多い。実施例6、15、16、18、19は圧縮面が金属であるため、引き剥がし性は非常によいものの、グラファイトフィルムに傷が発生した。一方、樹脂フィルムを圧縮面として使用した場合は傷が発生しにくい。
また、実施例3と実施例17を比較するとわかるように、グラファイトフィルムとフィルム状媒体の積層枚数が少ない場合も、傷が発生し易い傾向にある。これは、実施例3がフィルムを複数枚積層しているために、フィルムが局所的にかかる荷重を緩和してくれるためである。
●グラファイトフィルムの厚みムラ
実施例1〜22をみると、圧縮面が硬く、一度に処理するグラファイトフィルムの枚数が少ないと厚みムラが発生しやすい。これは、圧縮面が硬く、一度に処理するグラファイトフィルムの枚数が少ないと、圧縮時にグラファイトフィルムに局所的にかかる荷重を緩和することができないからである。
以上のように、本発明の後面状加圧工程においては、表面抵抗率が1×109以下の接触面を使用することが必須となる。圧縮圧力が大きい場合は、更に表面抵抗率を小さくする必要がある。また、グラファイトフィルムの表面性、圧縮面の耐久性を考慮すると、表面抵抗率の小さな樹脂フィルムを使用し、グラファイトフィルムとフィルム状媒体を複数枚交互に積層して圧縮処理を施すとよい。
11 グラファイト層
12 グラファイトフィルムの面方向
31 各測定点
32 基準点(0,0)
41 単板プレス機の上板
42 単板プレス機の下板
43 グラファイト化処理後フィルム
44 圧縮面
51 圧縮面を有する高分子フィルム
61 外部の凹凸
71 フィルム状媒体

Claims (9)

  1. 厚み5μm以上250μm以下の高分子フィルムを2400℃以上の温度で熱処理するグラファイト化工程と、前記グラファイト化工程にて得られたグラファイト化処理後フィルムを、材質が高分子である表面抵抗率が1×109Ω/□以下の圧縮面と面接触させて加圧する、後面状加圧工程を含むことを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法。
  2. 前記圧縮面の材質が、導電性フィラーが練り込まれている高分子である、請求項1に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  3. 前記高分子が、PS(ポリスチレン)系樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)系樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)系樹脂、PP(ポリプロピレン)系樹脂、またはPE(ポリエチレン)系樹脂である、請求項1又は2に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  4. 前記圧縮面の表面抵抗率が1×107Ω/□以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  5. 前記圧縮面のJIS B0652に記載の光波干渉式表面粗さ測定法で得られる表面粗さRaが0.005〜3.000μmである、請求項1〜4のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  6. 前記グラファイト化処理後フィルムの面積が100cm2以上10000cm2以下である、請求項1〜5のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  7. 前記圧縮面が50μm以上800μm以下のフィルム状媒体である、請求項1〜6のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  8. 前記後面状加圧工程において、前記グラファイト化処理後フィルムと前記フィルム状媒体を複数枚同時に加圧する、請求項7に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  9. 前記後面状加圧工程において、複数枚の前記グラファイト化処理後フィルムと複数枚の前記フィルム状媒体を、交互に積層して加圧する、請求項7に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
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