JP2004299937A - グラファイトフィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高品質なグラファイトフィルムを製造するために重要な正確な原料フィルムの温度対時間プロファイルの制御を実現するために、原料フィルムがフィルム加熱処理装置内を移動する間に加熱処理が実施され、加熱処理が大気圧以上の不活性ガス雰囲気下2000℃以上での処理を含み、フィルム加熱処理装置内に500℃から2000℃以上の空間的な温度勾配を含むようにする。
また、原料フィルムとしてポリイミド、特にケミカルキュアによって作成され、複屈折率の高いポリイミドを用いる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電極、放熱材、発熱体、構造材、ガスケット、耐熱シール材等として使用され、電気伝導性、熱電導性、柔軟性および機械強度に優れるグラファイトフィルムの製造方法及び製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
人工的なグラファイトフィルムの製造方法には二つの方法が知られている。一つはエキスパンド法と呼ばれ、グラファイトを濃硫酸と濃硝酸の混合物に浸漬加熱してグラファイト層間を広げた後、フィルム状に加工する方法である。もう一つは不活性ガス雰囲気下で高分子フィルムを熱処理する方法である(例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献1。)。
【0003】
【特許文献1】特開昭60−115418
【0004】
【特許文献2】特開平04−149013
【0005】
【非特許文献1】J. Mater. Res., Vol.7, No.5, May 1992 1158−1173
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エキスパンド法で製造されたグラファイトフィルムの特性は天然の単結晶グラファイトには遠く及ばなかった。例えば電気伝導度は通常1.5×103S/cm程度と単結晶グラファイト(2.0×104S/cm)に比べて非常に劣っていた。また粉末より製造されるため、フィルムの強度も非常に弱いものであった。また、製造工程上、多量の酸が必要であるため、SOxガスやNOxガス等が発生するという問題もあった。さらにこのグラファイトフィルムを使用する際には、製造工程で使用された酸が完全に取り除けないため、その残留酸の浸出による金属の腐食が発生する等、多くの問題があった。
【0007】
また、高分子フィルムを熱処理する製造方法は、バッチ方式と連続生産方式の二つがあり、これらには次のような課題があった。一般に、高分子フィルムがグラファイト化する過程では、硬くて脆い状態を経る。そのため、連続生産方式ではフィルムの破損が発生しやすく、パッチ方式がもっぱら行われてきた。しかし、バッチ方式は生産効率が低く、グラファイトフィルムの長手方向の寸法に制限があるという問題があった。さらに、バッチ方式では高分子フィルムの昇温・降温速度が焼成炉そのものの昇温・降温速度により規定され、高品質なグラファイトフィルムを製造するために重要な正確な高分子フィルムの温度対時間プロファイルの制御が困難であり、例えば、急激な昇温ができない、と行った問題があった。
【0008】
また、高度な張力制御機構及び保温工程を有する連続焼成装置を用いて、グラファイト化過程でフィルムが破損しないように連続的に高分子フィルムを焼成する方法が知られているが、この方法では、張力制御が難しく工程が非常に複雑であった。さらに、この方法では、連続焼成装置内に、空間的な温度勾配がなく、温度は基本的に一定なので、高分子フィルムの昇温・降温速度は装置内での高分子フィルムへの熱伝導により規定され、この方法でも、高品質なグラファイトフィルムを製造するために重要な正確な高分子フィルムの温度対時間プロファイルの制御が困難であった。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、高分子フィルムまたは高分子フィルムを炭素化したフィルムから、不純物を含まず、電気伝導性、熱伝導性、柔軟性及び機械強度に優れたグラファイトフィルムを連続的に効率よく製造する方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0010】
ここでいう電気伝導性とは、JISK7194に準拠して測定される値のことを指し、5000S/cm以上、好ましくは8000S/cm以上、さらに好ましくは10000S/cm以上である。これ以下であると電極として用いた場合、抵抗ロスが大きくなるため好ましくない。
【0011】
また、熱伝導性とは、レーザーフラッシュ法熱伝導率測定装置(理学電機工業(株)社製「LF/TCM−FA8510B」)を用い、測定温度20℃にて測定される値のことを指し、100W/m・K以上、好ましくは300W/m・K以上、さらに好ましくは500W/m・K以上である。これ以下であると、基板やCPU等の放熱用途に使用した場合、熱を効率的に逃がすことができないために好ましくない。
【0012】
また、柔軟性とは、グラファイトフィルムをカッターで切断する際に、破損しないことをいい、柔軟性がないと、製品の取り扱いや折り曲げ用途では破損してしまうため好ましくない。
【0013】
また、機械強度は、引っ張り強度のことを指し、ASTM D882に準拠して測定される値のことを指し、1.0kgf/mm2以上、好ましくは1.5kgf/mm2以上、さらに好ましくは1.5kgf/mm2以上である。これ以下であると、構造材、ガスケット、耐熱シールとして用いた場合、強度が弱いために使用することができない。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、高品質なグラファイトフィルムを製造するために重要な正確な原料フィルムの温度対時間プロファイルの制御を実現するために、本発明によれば、原料フィルムである高分子フィルムまたは炭素化した高分子フィルムを加熱処理することによりグラファイト化するグラファイトフィルムの製造方法であって、前記原料フィルムがフィルム加熱処理装置内を移動する間に前記加熱処理が実施され、前記加熱処理が大気圧以上の不活性ガス雰囲気下2000℃以上での処理を含み、前記フィルム加熱処理装置内に500℃から2000℃以上への空間的な温度勾配を含むことを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法が提供される。
【0015】
本発明のグラファイトフィルムの製造方法によれば、正確な高分子フィルムの温度対時間プロファイルの制御が可能となり、例えば、高分子フィルムの急激な昇温が可能となり、高品質なグラファイトフィルムを生産性良く製造できる。
【0016】
原料フィルムが、前記加熱処理の前に、500℃以下の温度で脱気処理された後、不活性ガス雰囲気中で昇温されることが好ましい。
【0017】
原料フィルムとして炭素化した高分子フィルムを用いる場合、大気圧以上の不活性ガス雰囲気下、1500℃以下で加熱処理することにより炭素化されたものであることが好ましい。
【0018】
原料フィルムが固定された治具が、フィルム加熱処理装置内を移動することにより前記加熱処理を実施することができる。その場合、複数の治具を連続的にフィルム加熱処理装置内に配し、治具の移動を後述するような方法で、最後尾の治具を加熱機構の入口から押し入れるまたは、最前列の治具を加熱機構の出口から引き出すことによって実施することが好ましく、前記治具は連結されてなることがさらに好ましい。
【0019】
原料フィルムが一方のローラから繰り出され、かつ、グラファイトフィルムが他方のローラに巻き取られることにより、原料フィルムがフィルム加熱処理装置内を移動することで前記加熱処理を実施することができる。
【0020】
さらに、前記フィルム加熱処理装置は、両端部にフィルムの取り付け機構とフィルムの取り出し機構を備え、各々の機構が、大気雰囲気と非酸化性雰囲気との間で切り替え可能であることが好ましい。
【0021】
また、前記フィルム加熱処理装置は、後述するように、縦型が好ましく、また、炉床板を備えていることが好ましい。
【0022】
前記フィルム加熱処理装置は、グラファイトフィルムの圧延処理機構を、さらに備えていることが好ましい。
【0023】
さらに、前記高分子フィルムはポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサザール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリチアゾールのうちから選ばれた少なくとも一種類であると好ましく、特に、前駆体であるポリアミド酸を脱水剤とアミン類を併用してイミド転化するケミカルキュア法を用いて得られるポリイミドであると好ましく、さらに前記ポリイミドは、複屈折率が0.1以上のポリイミドであると好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。
【0025】
本発明のグラファイトフィルムの製造方法に用いられるフィルム加熱処理装置は少なくとも、中央部に位置する加熱機構13、及び両端部に位置するフィルム取り付け機構11とフィルム取り出し機構12とを備えてなる。
【0026】
加熱機構13は、一つ以上の加熱ゾーンを有し、加熱ゾーンの最高温度が2000℃以上、さらには2300℃以上、さらに好ましくは2500℃以上であると良い。加熱最高温度が2000℃以下では、出来上がったグラファイトフィルムの電気伝導性、熱伝導性、柔軟性、機械強度が非常に劣ったものとなるために好ましくない。また、加熱機構13はその内部が不活性ガス雰囲気に保持できる必要がある。このような不活性ガス雰囲気は、窒素、ヘリウム及びアルゴン等の不活性ガスを単独あるいは混合して、加熱機構13内に導入することにより得ることができる。不活性ガス雰囲気以外つまり少しでも酸素が混入した雰囲気でで加熱処理をおこなうと、出来上がったグラファイトフィルムの特性が著しく劣ったものとなる。また、高温の加熱機構13内部に酸化ガスが混入すると、発火や爆発の危険性があり危険である。
【0027】
フィルム取り付け11及び取り出し12機構は、フィルム入出部、加熱機構13との遮蔽部22、空気の及び不活性ガスの導入口24、及び排気系23を有している。加熱機構13が加熱されている状態でのフィルムのフィルム加熱処理装置への出し入れは以下のようにしておこなうことができる。
【0028】
まずフィルム取り付け11又は取り出し機構12と加熱機構13との間の遮蔽部22を閉じ、フィルム取り付け11及び取り出し機構内12に導入口24から空気を導入しフィルム取り付け又11は取り出し機構12内を大気状態にした後、フィルムのフィルム加熱処理装置への出し入れを行う。
【0029】
次に、フィルム取り付け11又は取り出し機構12内の空気を排気系23から排気し、導入口24から不活性ガスを導入する。排気系23が真空ポンプを含む場合には、空気を真空ポンプで排気し、機構内を真空状態にした後、不活性ガスを導入することができる。排気系23が真空ポンプを含まない場合には、空気を排気系23から排気しながら、導入口24から不活性ガスを導入することで、機構内の雰囲気を空気から不活性ガスに転換できる。
【0030】
最後に、加熱機構13との遮蔽部22を開くことにより、フィルムのフィルム加熱処理装置への出し入れは終了する。
【0031】
このような方法を用いることで、加熱機構13内に空気が侵入することがなく、フィルムのフィルム加熱処理装置への出し入れが可能となる。このような対応を十分に取らなかった場合、微量の空気が加熱機構13内に侵入することにより、加熱機構13内部が酸化することで寿命が短くなったり、グラファイトフィルムが酸化し物性の大幅低下を引き起こしたりすることになる。
【0032】
図1は、本発明の一つの実施形態におけるグラファイトフィルムの製造方法に用いられるフィルム加熱処理装置の概略図を示したものである。この装置では、原料フィルムが固定された治具16が、フィルム加熱処理装置内を移動することにより加熱処理を実施することができ、図2のように縦型の装置にしても良い。縦型装置にすると、複雑な送り出し機構を必要とせず、治具16の自重で加熱機構13内へ原料フィルムを送り込むことが可能となる。
【0033】
図1及び図2の装置においては、フィルム取り付け機構11は治具16取り入れ機構であり、フィルム取り出し機構12は治具16取り出し機構である。
【0034】
通常、破損しやすい高分子フィルムまたは高分子フィルムを炭素化したフィルムを連続的に焼成する場合、フィルムに張力をかけないようにするのが良いが、実質上張力をかけずに搬送するのは困難である。しかし、この方法では、原料フィルムは治具16に固定されており、治具16を押し出すまたは引き出すことによって原料フィルムを搬送するため、原料フィルムにかかる張力を実質的にゼロ(0.1kgf/cm2以下)にして加熱機構13内を通過させることができる。そのため装置はフィルムの破損防止用に複雑な張力制御機構を必要とせず、構成は非常に簡単になる。
【0035】
また、治具16の押し入れや引き出しは、ベルトコンベアやロボットを用いるとよい。特に引き出す場合には、治具16に炭素繊維のような耐熱性繊維を取り付け、その繊維を巻き取ることによって引き出しても良い。引き出す場合には、治具16同士を連結できる構造にすると、先頭の治具16を引き出すことで、後に続く治具16も連続的に搬送できるため好ましい。また、押し出す場合にも、治具16同士を連結できる構造しておくと、力が十分に伝わり、加熱機構13内を安定的に搬送できるために好ましい。
【0036】
原料フィルムの治具16へ固定の方法としては、図3〜6のような方法が挙げられる。最も簡単なものとして、図3のように枚葉状に切り出した原料フィルムを複数枚重ね、容器状の治具16に入れるという方法がある。またフィルム同士が融着しないように図4のようにグラファイト板またはシートに挟んでも良い。また、図5のように円筒に巻きつけると、長尺のグラファイトフィルムを得ることができるために好ましい。但し、フィルム搬送時にフィルムが加熱機構13と接触しないように、持ち上げる機構を備えているのが良い。また図6のように円筒に巻きつけたものをさらに容器状の治具16に入れても良い。こうすることで、原料フィルムに加わる張力を実質的にゼロ(0.1kgf/cm2以下)に抑えることができる。
【0037】
治具16の材質としては、耐熱性、熱伝導性、及び表面滑り性の観点から、グラファイトが好ましい。グラファイト製の治具16とすることで、加熱機構13内の移動を、安定して少ない動力で繰り替えし実施可能となり、また、加熱機構13から原料フィルムへの伝熱を大きくすることができ、本発明の目的である原料フィルムの温度対時間プロファイルの精密な制御が可能となる。
【0038】
図7は、本発明の別の実施形態におけるグラファイトフィルムの製造方法に用いられるフィルム加熱処理装置の概略図を示したものである。この装置では、原料フィルムが一方のローラから繰り出され、かつ、グラファイトフィルムが他方のローラに巻き取られることにより、原料フィルムがフィルム加熱処理装置内を移動することで前記加熱処理を実施することができ、図8のように縦型の装置にしても良い。縦型装置にすると、複雑な繰り出し機構を必要とせず、フィルムの自重で加熱機構13内へ原料フィルムを送り込むことが可能となる。さらにフィルムには自重以外の力はかからないため、フィルムは破損しにくくなる。
【0039】
図7及び図8の装置においては、フィルム取り付け機構11はフィルム繰り出し機構61を含み、フィルム取り出し機構12はフィルム巻き取り機構62を含む。圧延処理機構をフィルム巻き取り機構の前または後にさらに設けても良い。
【0040】
原料フィルムの加熱機構13内での搬送は、フィルム繰り出し機構の押し出し力またはフィルム巻き取り機構の張力によってなされる。但し、加熱処理中にフィルムが破損しやすいので、極力フィルムに張力をかけないようにするのが良い。従って、フィルムの搬送は、フィルム繰り出し機構の押し出し力のみで搬送することが、より好ましい。また、フィルム巻き取り機構を構成するローラによって、フィルムに極力張力をかけないことが好ましい。フィルムに張力が加わる場合には、自重以外の力は実質的にゼロ(0.1kgf/cm2以下)に抑えるのが良い。さらに、搬送中やローラ付近でわざとたるみをもたせるように搬送すると、フィルムにかかる張力はより小さくすることができ、張力が殆どかかっていないことが容易に確認できるので好ましい。
【0041】
また、本発明の別の実施形態におけるグラファイトフィルムの製造方法に用いられるフィルム加熱処理装置の加熱機構13内には、炉床板を設置すると良い。中空状態でフィルムを搬送すると、自重で破損することがあるが、炉床板があると、フィルムを炉床板と接触させながら搬送させることができ、自重によるフィルムの破損を防止することができる。炉床板の材質としては、耐熱性、熱伝導性、及び表面滑り性の観点から、グラファイトが好ましく、表面が平滑、平坦であるグラファイトが好ましい。グラファイト製の炉床板とすることで、加熱処理中の原料フィルムが接触しても、摩擦による張力の発生を防止することができる。さらに、原料フィルムは断面のアスペクト比(厚みと幅)が1000倍以上と大きいが、炉床板に接触させながら搬送することで、捻れることなく加熱処理可能となる。
*加熱処理方法の説明
本発明の原料フィルムの加熱処理方法について説明する。
【0042】
通常高分子フィルムを、空気等の酸化性雰囲気中500℃以上の温度で加熱すると、酸化燃焼して無くなってしまう。しかし、これを不活性ガス雰囲気中でおこなうと、全部燃焼することなく炭素分が残り、これを炭素化と呼ぶ。さらにこの炭素化物をさらに高温で加熱すると黒鉛となり、これを黒鉛化と呼ぶ。一段階目の炭素化は、1500℃以下の加熱で起こり、二段階目の黒鉛化は2000℃以上の加熱で起こる。
【0043】
そのため、加熱機構13としては、2000℃以上の加熱ゾーンだけで構成するのではなく、炭素化のために加熱ゾーンの一部を1500℃以下の加熱ゾーンとすると良い。そうすることで、ヒーター容量を落とすことができ、使用電力量を抑えることができる。また、グラファイト化する際に発生するガスは、ほとんど炭素化の段階で発生するため、炭素化過程で発生するガスを選択的に排ガス処理することも可能となる。
【0044】
また、1500℃以下と比較的低温でおきる炭素化過程においては、導入する不活性ガスとして安価な窒素を用いることが好ましい。黒鉛化過程においては、窒素を導入すると、2000℃以上の高温のため、窒素分子が乖離し、窒素原子による反応で製造されるグラファイトフィルムの品質が低下するので、アルゴンガス又はヘリウムガスを導入することが好ましい。
【0045】
また、炭素化後一旦冷却すると、フィルムは非常に脆いものになるので、炭素化と黒鉛化の過程は引き続き連続していることが好ましい。さらに、生産中には、各加熱ゾーンの温度分布は一定にしておくことが好ましい。フィルムを加熱ゾーンに投入した後に昇温すると時間がかかってしまう。本発明においては、原料フィルムの温度対時間プロファイルの制御は、加熱機構13の時間的昇温速度ではなく、個々の加熱ゾーン及びそれらが合わさった空間的温度分布と搬送速度とによることが好ましい。空間的温度分布の取り方としては、入口から出口にかけて、連続的に温度を上昇させても、段階的に設定しても良い。特に、原料フィルムの特性に応じて、炭素化及び黒鉛化する最適ゾーンを設けると良い。
【0046】
さらに、加熱機構13内を原料フィルムが通過する場合に、連続的に通過させても良いし、一次停止させながら断続的に通過させても良い。連続的に搬送をおこなうと生産性が高まるために好ましい。通過時間は原料の種類によって適宜変更してもよい。一方、断続的に搬送をおこなうと最高処理温度での滞留時間を長くできるため品質の良いグラファイトをえることができる場合がある。
【0047】
上記のような方法で作成されたグラファイトフィルムは圧延処理によって強靭で、かつ柔軟性に富むグラファイトフィルムに転化することができる。上記圧延処理は通常2本の金属製またはセラミック製のロールの間を通過させることや焼成後熱プレスによって行われるが、原理的に同様の効果を有する手法であれば、その手段に限定されることなく、優れた性質のグラファイトフィルムを得ることができる。
【0048】
本発明に用いることができる高分子フィルムとしては、特に限定はされないが、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリオキサジアゾール(POD)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、ポリベンゾビスチアゾール(PBBT)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾビスオキサザール(PBBO)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリフェニレンベンゾイミダゾール(PBI)、ポリフェニレンベンゾビスイミダゾール(PPBI)、ポリチアゾール(PT)が挙げられ、このらのうちから選ばれる少なくとも1種を含む耐熱芳香族性高分子フィルムであることが、最終的に得られるグラファイトの電気伝導性、熱伝導性が大きくなることから好ましい。これらのフィルムは、公知の製造方法で製造すればよい。この中でもポリイミドは、原料モノマーを種々選択することによって様々な構造および特性を有するものを得ることができるために好ましい。
【0049】
本発明におけるポリイミド樹脂とは、その構造中にイミド結合を有する樹脂全般を指し、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミドなどの一般名称で呼ばれる樹脂はもちろん、他樹脂との共重合系やブレンド物も含むものである。この中でも、熱処理によって電気伝導性、熱伝導性、柔軟性、機械強度に優れたグラファイトとなる反応硬化型の直鎖状ポリイミド樹脂が好ましい。ここで、反応硬化型の直鎖状ポリイミド樹脂とは、前駆体である直鎖状ポリアミド酸を経由し、アミド酸部位が脱水閉環することで得られるポリイミド樹脂のことを指し、ピロメリット酸二無水物と4,4′−ジアミノジフェニルエーテルとの反応で得られる直鎖状のポリアミド酸をイミド化することで得られるポリイミド樹脂が代表例として挙げられる。反応硬化型の直鎖状ポリアミド酸は、容易に高分子量体にすることができるため、出来上がったポリイミドの分子量も高くなり、熱処理によって得られるグラファイトの結晶子を大きくなり、電気伝導性、熱伝導性が高くなりやすいために好ましい。また、直鎖状であるために、分子が面方向に配向しやすく、低温でグラファイト化がおこり、品質の良いグラファイトフィルムを得られやすいために好ましい。
【0050】
また、電気伝導性(5000S/cm以上)、熱伝導性(100W/m・K以上)、柔軟性、機械強度等の特性に優れた高品質のグラファイトフィルムを安定、迅速、連続的にえるためには、ポリイミドの弾性率は高い方がよく、線膨張係数は小さいほうがよく、複屈折率が大きい方が良い。
【0051】
本発明に用いられるポリイミドフィルムの弾性率は、200kg/mm2以上あり、好ましくは300kg/mm2以上、さらに好ましくは400kg/mm2以上であるとよい。200kg/mm2以上であると、電気伝導性、熱伝導性、柔軟性、機械強度に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。尚、フィルムの弾性率は、ASTM D882に準拠して測定される値のことを指す。
【0052】
また、本発明に用いられるポリイミドフィルムの100〜200℃の範囲におけるフィルムの面方向の平均線膨張係数が、35pm以下、好ましくは25ppm、さらに好ましくは15ppmであるとよい。なお、フィルムの線膨張係数が35pmより小さいと、電気伝導性、熱伝導性、柔軟性、機械強度に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。尚、フィルムの線膨張係数は、TMA(熱機械分析装置)を用いて、まず試料を10℃/分の昇温速度で350℃まで昇温させたのち一旦室温まで空冷し、再度10℃/分の昇温速度で350℃まで昇温させ、2回目昇温時の100℃〜200℃の平均線膨張係数を測定することによって得られる。具体的には、熱機械分析装置(TMA:セイコー電子製SSC/5200H;TMA120C)を用いて、測定試料サイズ:3mm幅×20mm長で所定の治具にセットし、引張モードで3gの荷重をかけて、窒素雰囲気下で測定する。
【0053】
また、本発明に用いられるポリイミドフィルムの複屈折率が、0.10以上、好ましくは0.13以上、さらに好ましくは0.16以上であると良い。0.10以上、特に0.13以上であると、最高温度を下げ、焼成温度も短くすることができ、できあがったグラファイトフィルムの配向性も良くなるため、電気伝導性、熱伝導性、柔軟性、機械強度に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。なお、ここでいう複屈折率とはフィルム面内方向の屈折率と厚み方向の屈折率の差であり、本明細書においてはフィルム面内X方向の複屈折率Δnxは下式で与えられる。
複屈折率Δnx=(面内X方向の屈折率Nx)−(厚み方向の屈折率Nz)
具体的測定方法を説明すると、フィルム試料をくさび形に切り出して、波長589nmの単色光(ナトリウム光)をフィルム面内のX方向に垂直な方向から当て、偏光顕微鏡で観察すると干渉縞がみられる。この干渉縞の数をnとすると、フィルム面内X方向の複屈折Δnxは、
Δn=n×λ/d
で表される。ここで、λはナトリウム光の波長589nm、dは試料の巾(nm)である。詳しくは「新実験化学講座」第19巻(丸善)などに記載されている。
【0054】
なお、前記した「複屈折Δnがフィルム面内のどの方向においても」とは、例えばフィルム製膜時の流れ方向を基準として、面内の0゜方向、45゜方向、90゜方向、135゜方向のどの方向においても、の意味である。
【0055】
本発明のポリイミドフィルムは、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶剤溶液をエンドレスベルト、ステンレスドラムなどの支持体上に流延し、乾燥・イミド化させることにより製造される。
【0056】
本発明に用いられるポリアミド酸の製造方法としては公知の方法を用いることができ、通常、芳香族酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種を、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解させて、得られたポリアミド酸有機溶媒溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらのポリアミド酸溶液は通常5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得る。
【0057】
重合方法としてはあらゆる公知の方法を用いることができるが、特に好ましい重合方法として次のような方法が挙げられる。すなわち、
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
などのような方法である。
【0058】
ここで、本発明にかかるポリイミド前駆体ポリアミド酸組成物に用いられる材料について説明する。
【0059】
本発明のポリイミドに用いられる酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物を含み、これらを単独または、任意の割合の混合物が好ましく用い得る。
【0060】
本発明のポリイミドに用いられるジアミンとしては、4,4’−オキシジアニリン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン及びそれらの類似物を含み、これらを単独または、任意の割合の混合物が好ましく用い得る。
【0061】
特に、線膨張係数を小さく、複屈折率を大きくできるという点から、本発明におけるポリイミドフィルムは、下記構造で表される酸二無水物を原料に用いることが好ましい。
【0062】
【化1】
【0063】
であり、R1は、
【0064】
【化2】
【0065】
からなる群から選択される2価の有機基であって、R2はそれぞれ独立して、−CH3、−Cl、−Br、−F、または−CH3Oである。
【0066】
また、前記の酸二無水物を用いることにより比較的低吸水率のポリイミドフィルムが得られるので、グラファイト過程での水分による発泡を防止することができるという点からも好ましい。
【0067】
さらに、線膨張係数を小さく、弾性率を高く、複屈折率が大きく、吸水率を小さくするためには、本発明におけるポリイミドは、下記構造で表される酸二無水物を原料に用いているとよい。
【0068】
【化3】
【0069】
特に、酸二無水物として2つ以上のエステル結合でベンゼン環が直線状に結合された構造を持つ前記酸二無水物を原料に用いて得られるポリイミドフィルムは、屈曲鎖を含むものの全体として非常に直線的なコンフォメーションをとりやすく、比較的剛直なポリイミドとなる。その結果、この原料を用いれば線膨張係数を小さくすることができ、例えば1.5×10−5cm/cm/℃以下にできる。また、弾性率を大きく、吸水率を小さくすることができ、弾性率は500kgf/mm2以上、吸水率は1.5%以下にすることができる。
【0070】
さらに、線膨張係数を小さく、弾性率を高く、複屈折率を大きくするためには、本発明におけるポリイミドは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物を原料に用いているとよい。
【0071】
さらに、線膨張係数を小さく、弾性率を高く、複屈折率を大きくするためには、本発明におけるポリイミドは、p−フェニレンジアミンを原料に用いているとよい。
【0072】
本発明に用いられるポリイミドフィルムにおいて、最も適当な酸二無水物は
【0073】
【化4】
【0074】
で表されるp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物:TMHQと称する)及び/または3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び/またはピロメリット酸二無水物であり、これら単独もしくは2者の合計モルが全酸二無水物に対して40モル%以上、更には50モル%以上、更には70モル%以上、また更には80モル%以上を用いるのが好ましい。これら酸二無水物の使用量がこの範囲を外れると、線膨張係数が大きく、弾性率が小さく、複屈折率が小さくなる傾向にある。
【0075】
また、本発明に用いられるポリイミドにおいて、最も適当なジアミンは4,4’−オキシジアニリンとp−フェニレンジアミンであり、これら単独もしくは2者の合計モルが全ジアミンに対して40モル%以上、更には50モル%以上、更には70モル%以上、また更には80モル%以上を用いるのが好ましい。さらに、p−フェニレンジアミンが10モル%以上、更には20モル%以上、更には30モル%以上、また更には40モル%以上を用いるのが好ましい。これらジアミンの使用量がこの範囲を外れると、線膨張係数が大きく、弾性率が小さく、複屈折率が小さくなる。
【0076】
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用い得る。
【0077】
次に、ポリイミドの製造方法には、前駆体であるポリアミド酸を加熱でイミド転化する熱キュア法、ポリアミド酸に無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤や、ピコリン、キノリン、イソキノリン、ピリジン等の第3級アミン類をイミド化促進剤として用い、イミド転化するケミカルキュア法のいずれを用いても良いが、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が高く、複屈折率が大きくなりやすく、早くかつ低温でグラファイト化され、品質の良いグラファイトを得ることができるという点から、ケミカルキュアの方が好ましい。特に、脱水剤とイミド化促進剤を併用することが、線膨張係数が小さく、弾性率が大きく、複屈折率が大きくできる点から好ましくい。また、ケミカルキュア法は、イミド化反応がより速く進行するために加熱処理プロセスにおいてイミド化反応を短時間に完結させることができることから、生産性に優れ、工業的に有利な方法である。
【0078】
具体的にケミカルキュアによるフィルムの製造は、以下のようになる。まず上記ポリアミド酸溶液に化学量論以上の脱水剤と触媒量のイミド化促進剤を加え支持板やPET等の有機フィルム、ドラム又はエンドレスベルト等の支持体上に流延又は塗布して膜状とし、有機溶媒を蒸発させることにより自己支持性を有する膜を得る。次いで、これを更に加熱して乾燥させつつイミド化させ、本発明のポリイミド重合体からなるポリイミド膜を得る。加熱の際の温度は、150℃から550℃の範囲の温度が好ましい。加熱の際の昇温速度には特に制限はないが、連続的もしくは断続的に、徐々に加熱して最高温度が上記の温度になるようにするのが好ましい。加熱時間はフィルム厚みや最高温度によって異なるが一般的には最高温度に達してから10秒から10分の範囲が好ましい。さらに、ポリイミドの製造工程中に、収縮を防止するためにフィルムを固定したり、延伸したりする工程を含むと、線膨張係数が小さく、弾性率が高く、複屈折率が大きくなりやすくなるために好ましい。
【0079】
また、本発明の高分子フィルムの厚みは400μm以下がよい。400μmより厚いと、原料フィルムの内部から発生するガスによってフィルムがボロボロになり、良質のグラファイトを得ることは難しい。
【0080】
通常、高分子フィルムを炭素化及び黒鉛化すると、フィルムは非常に脆く、分解ガス発生による体積収縮や分子構造の変化によって破損しやすい。従って、加熱機構13内を移動時には振動や炉内との擦れによりフィルムに無理な力を加わるので、フィルムは特に破損しやすくなり、その結果、製造されるグラファイトフィルムも物性の低下も引き起こし易い。
【0081】
しかし、本発明では、樹脂に耐熱芳香族性高分子、とくにポリイミドを用いるためこのような問題は解決される。耐熱芳香族性高分子は、黒鉛の基本骨格である炭素6員環平面(グラフェン層)と類似している芳香環を分子内に多数有しているため、最小限の変化にて、グラフェン層を形成できる。そのため、分子の結合開裂や体積変化が最小限になるため、炭素化中及び黒鉛化中も高い強度を保持できる。
【0082】
特に、ポリイミドのようにガラス転移温度が出来るだけ高く、さらに、ガラス転移温度と熱分解温度がほぼ等しいもの、特に、ガラス転移温度がなく熱分解に達するものが好ましい。というのは、ガラス転移温度が高いと、焼成中に融解や軟化することなく、焼成中の寸法変化が少なくなり、寸法変化による破損を引き起こさないために好ましい。また、高温時も強度を高く保てるために、焼成中の搬送や振動によっても破損することがない。特に、ガラス転移温度が存在しないと、フィルム同士を接触させても、融着して塊とならず、初期の形状を保ったものが得られるために好ましい。また、融着しないために分解ガスが効果的に抜け出し、迅速かつ安定して炭素化が進行するために好ましい。また、ガラス転移を経ずに熱分解に達すると、焼成中の分子運動を抑えることができ、大きな構造変化を伴うことなく、分解ガスを発生させることが出来るために好ましい。
【0083】
また、ポリイミドの中でも、弾性率が高く、線膨張係数が小さいものである良い。というのは、弾性率が高く、線膨張係数が小さいと、焼成中の寸法変化、特に外部から力が加わった時の寸法変化が小さく、フィルムが破損することなく品質の良いものが得られるために好ましい。
【0084】
さらに、ポリイミドの中でも、複屈折率が大きく、ケミカルキュアで作製したものは、分子の面配向が進んでいるために好ましい。というのは、分子の面配向が進んでいると、ポリイミドの構成単位である芳香族単位が、平面に配列していることになり、焼成することで 容易に炭素6員環が平面に発達し、大きな構造変化を伴うことなく、最小限の変化で、黒鉛化が進むからである。そのため、容器に固定しても焼成してもフィルムが破損することない。また、グラフェン層が平面状に発達し、厚み方向にスタッキングしやすく、電気伝導性、熱伝導性に優れたものが得られるために好ましい。
【0085】
また、本発明の上記高分子フィルムを炭素化したフィルムとしては、上記高分子フィルムを1500℃以下の温度で炭素化したフィルムである。このように予め1500℃以下で炭素化したフィルムを用いると、グラファイトフィルムの製造工程は黒鉛化のみですむため、加熱機構13がシンプルになり、焼成時間も未時間も短くてすむために好ましい。
【0086】
以上のような製造方法及び原料フィルムを用いることにより、電気伝導性、熱伝導性、柔軟性と機械強度に優れた、グラファイトフィルムを連続的に効率よく製造することができる。
【0087】
以上、本発明に係わる実施態様を説明したが、本発明は上述の形態に限定されるものではない。
【0088】
【実施例】
次に本発明を実施例により詳述する。
【0089】
(実施例1)
原料フィルムとして厚さ50μm、10cm角からなるポリイミド(ピロメリット酸無水物とジアミノジフェニルエーテルを重合させて得たポリアミド酸を原料とし、イソキノリンと無水酢酸を用いてケミカルキュアにより得たポリイミド:アピカル50AH/鐘淵化学工業(株)、引っ張り弾性率300kgf/mm2、線膨張係数21ppm、吸水率2.5%、複屈折率0.10)10枚を治具16である内寸が10cm角からなるグラファイト製容器に入れたものを多数準備した。
【0090】
図1に示すフィルム加熱処理装置を用いて、1.5気圧0.5kgf/cm2のアルゴン雰囲気中、800℃、1000℃、2000℃、28000℃の4つの加熱ゾーン(各50cm)を有する加熱機構13内を各加熱ゾーンに30分間滞留させる速度で通過させ、グラファイトフィルムとした。
【0091】
治具16の送り出しは、加熱機構13の前に設置した一軸駆動ロボットで、治具16を連続的に押し込むことによっておこなった。また、治具16の取り入れ・取り出しは、大気とアルゴン雰囲気に切り替えることができるフィルム取り付け11又は取り出し機構12にておこなったため、加熱機構13の冷却時間を必要とせず、30分以内の時間で実行できた。
【0092】
このようにして得られたグラファイトフィルムの電気伝導性、熱伝導性は表1のとおりであり、単結晶グラファイトなみの優れた特性を示した。また、柔軟性及び強度にも優れ、高品質グラファイトフィルムを連続的に得られることが分かった。
【0093】
【表1】
【0094】
(実施例2)
原料フィルムとして厚さ50μm、幅5cm、長さ5mからなるポリイミド(ピロメリット酸無水物とジアミノジフェニルエーテルを重合させて得たポリアミド酸を原料とし、イソキノリンと無水酢酸を用いてケミカルキュアにより得たポリイミド:アピカル50AH/鐘淵化学工業(株)、引っ張り弾性率300kgf/mm2、線膨張係数21ppm、吸水率2.5%、複屈折率0.10)を、図3に示すフィルム加熱処理装置を用いて、0.5kgf/cm2のアルゴン雰囲気中、0.1kgf以下の張力で、800℃、1000℃、2000℃、28000℃の4つの加熱ゾーン(各50cm)と表面平滑かつ平坦なグラファイト製の炉床板を有する加熱機構13内を各加熱ゾーンに30分間滞留させる速度で通過させ、長尺のグラファイトフィルムを連続的に得ることができた。また、フィルムの取り付け・取り出しは、大気とアルゴン雰囲気に切り替えることができるフィルム取り付け11又は取り出し機構12にておこなったため、加熱機構13の冷却時間を必要とせず、30分以内の時間で実行できた。
【0095】
このようにして得られたグラファイトフィルムの電気伝導性、熱伝導性は表1のとおりであり、単結晶グラファイトなみの優れた特性を示した。また、柔軟性及び強度に優れ、高品質で、長さ方向に十分な大きさを有するグラファイトフィルムを連続的に得られることが分かった。
【0096】
(実施例3)
治具16からグラファイトフィルムを取り出した後、熱プレスで圧延処理した以外は実施例1と同様に実施した。その結果、実施例1よりも機械強度に優れた同程度グラファイトフィルムを得ることができた。
【0097】
(実施例4)
搬送と停止を10分おきに繰り返して加熱機構13内を通過させた以外は実施例1と同様にして加熱処理をおこなった。その結果、実施例1よりも電気伝導性、熱伝導性に優れたグラファイトフィルムを連続的に得ることができた。
【0098】
(実施例5)
図6のように、原料フィルムをグラファイト製の円筒に巻き付けたものを治具16にいれた状態で加熱機構13内を通過させた以外は実施例1と同様にして加熱処理をおこなった。その結果、実施例1と同程度の特性を有し、長手方向に十分な長さを有するグラファイトフィルムを連続的に得ることができた。
【0099】
(実施例6)
フィルム加熱処理装置を図2に示す縦型炉に変更した以外は実施例1と同様にして加熱処理をおこなった。その結果、実施例2と同程度の特性を有するグラファイトフィルムを連続的に得ることができた。
【0100】
(実施例7)
グラファイトフィルムを取り出した後、圧延ロールにより圧延処理した以外は実施例1と同様に実施した。その結果、実施例2よりも機械強度に優れた同程度グラファイトフィルムを得ることができた。
【0101】
(実施例8)
ポリイミドとして熱キュアで作成したポリイミド(ピロメリット酸無水物とジアミノジフェニルエーテルを原料とし、触媒としてイソキノリンのみを添加し100℃、200℃、300℃、400℃で各1時間加熱することにより得たポリイミド:引っ張り弾性率300kgf/mm2、線膨張係数>20ppm、吸水率2.5%、複屈折率0.07)を用いた以外は実施例1と同様にして加熱処理をおこなった。その結果、各種特性は実施例1より少し劣るものの優れたグラファイトフィルムを連続的に得ることができた。
【0102】
(実施例9)
ポリイミドに熱キュアで作成したポリイミド(ピロメリット酸無水物とジアミノジフェニルエーテルを原料とし、触媒としてイソキノリンのみを添加し100℃、200℃、300℃、400℃で各1時間加熱することにより得たポリイミド:引っ張り弾性率300kgf/mm2、線膨張係数>20ppm、吸水率2.5%、複屈折率0.07)を用いた以外は実施例1と同様にして加熱処理をおこなった。その結果、各種特性は実施例1より少し劣るものの優れたグラファイトフィルムを連続的に得ることができた。
【0103】
(実施例10)
高分子フィルムの変わりに、実施例1のポリイミドを1000℃で1時間予備焼成して得た炭素化フィルムを用い、加熱ゾーンを2000℃、28000℃の2つの加熱ゾーンとし、加熱機構13内を15分間で通過させた以外は、実施例1と同様にして加熱処理をおこなった。その結果、実施例1と同程度の特性を有するグラファイトフィルムを短時間かつ連続的に得ることができた。
【0104】
(実施例11)
ポリイミドに複屈折率が0.13であるポリイミド(PMDA/4,4′−ジアミノジフェニルエーテル/パラフェニレンジアミンを4/3/1で重合させて得たポリアミド酸を原料とし、イソキノリンと無水酢酸を用いてケミカルキュアにより得たポリイミド:引っ張り弾性率400kgf/mm2、線膨張係数8ppm、吸水率2.1%、複屈折率0.13)に変更し、加熱ゾーンの最高温度を2750℃、滞留時間を25分にした以外は実施例1と同様にして加熱処理をおこなった。その結果、最高温度が実施例1よりも低いにもかかわらず各種特性で実施例1よりも優れたグラファイトフィルムを連続的に得ることができた。
【0105】
(実施例12)
ポリイミドに複屈折率が0.15であるポリイミド(PMDA/p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)/4,4′−ジアミノジフェニルエーテル/パラフェニレンジアミンを1/1/1/1で重合させたポリアミド酸を原料とし、イソキノリンと無水酢酸を用いてケミカルキュアにより得たポリイミド:引っ張り弾性率600kgf/mm2、線膨張係数9ppm、吸水率2.1%、複屈折率0.15)に変更し、加熱ゾーンの最高温度を2700℃、滞留時間を25分にした以外は実施例1と同様にして加熱処理をおこなった。その結果、最高温度が実施例1よりも低いにもかかわらず各種特性で実施例1よりも優れたグラファイトフィルムを連続的に得ることができた。
【0106】
(実施例13)
ポリイミドに熱キュアで作成したポリイミド(ピロメリット酸無水物とジアミノジフェニルエーテルを原料とし、100℃、200℃、300℃、400℃で各1時間加熱することにより得たポリイミド:引っ張り弾性率300kgf/mm2、線膨張係数>20ppm、吸水率2.5%、複屈折率0.07)を用いた以外は実施例2と同様にして加熱処理をおこなった。その結果、各種特性は実施例2より少し劣るものの優れたグラファイトフィルムを連続的に得ることができた。
【0107】
(実施例14)
ポリイミドに複屈折率が0.13であるポリイミド(PMDA/4,4′−ジアミノジフェニルエーテル/パラフェニレンジアミンを4/3/1で重合させて得たポリアミド酸を原料とし、イソキノリンと無水酢酸を用いてケミカルキュアにより得たポリイミド:引っ張り弾性率400kgf/mm2、線膨張係数8ppm、吸水率2.1%、複屈折率0.13)に変更し、加熱ゾーンの最高温度を2750℃、滞留時間を25分にした以外は実施例2と同様にして加熱処理をおこなった。その結果、最高温度が実施例1よりも低いにもかかわらず各種特性で実施例2よりも優れたグラファイトフィルムを連続的に得ることができた。
【0108】
(実施例15)
加熱処理中の張力を1.0kgf/cm2にした以外は実施例14と同様にして加熱処理をおこなった。その結果、実施例14よりも機械強度に優れたグラファイトフィルムを加熱処理中に裂けることなく、つまり連続的に得ることができた。
【0109】
(実施例16〜19)
原料フィルムにポリパラフェニレンオキサジアゾール(POD)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)(PODについては、市販のフィルム(古河電工製)を硫酸に溶解し、硫酸キャスト法で得た。また、PPVについては公知の方法(I.Murase 他、Polymer Commun.,25,327(1984))で得られたPPV前駆体をキャスト法によりフィルム化し、加熱処理によりフィルムを得た。)を夫々用いた以外は、実施例1と同様にして加熱処理をおこなった。その結果、各種特性は実施例1より少し劣るものの優れたグラファイトフィルムを連続的に得ることができた。
【0110】
(比較例1)
厚さ50μm、幅5cm、長さ5mからなる芳香族ポリイミド(ピロメリット酸無水物−ジアミノジフェニルエーテルを原料とするポリイミド:アピカル50AH/鐘淵化学工業(株))を円筒状グラファイトに巻きつけ、窒素雰囲気中20℃/minの速度で1000℃まで昇温して炭素化した。ついで、0.5kgf/cm2のアルゴン雰囲気中20℃/minの速度で2800℃まで昇温してグラファイト化した。その後、10時間以上かけて室温まで冷却してグラファイトフィルムを取り出した。得られたグラファイトフィルムの品質は実施例1と同程度あったが、製作には冷却時間が長くかかりすぎるため各実施例よりも長時間を必要とした。また、昇温や冷却のための電力や冷却水も多量に必要であった。
【0111】
(比較例2)
高分子フィルムとして厚さ50μm、幅5cm、長さ5mからなるポリエチレンテレフタレートを用いた以外は、実施例1と同様にして加熱処理をおこなった。加熱処理途中でボロボロに破損し、物性測定できるサンプルを入手できなかった。
【0112】
【発明の効果】
本発明のグラファイトフィルムの製造方法は、原料フィルムがフィルム加熱処理装置内を移動する間に前記加熱処理が実施され、前記加熱処理がの不活性ガス雰囲気下2000℃以上での処理を含み、前記フィルム加熱処理装置内に500℃から2000℃以上への空間的な温度勾配を含む製造方法なので、正確な原料フィルムの温度対時間プロファイルの制御が可能となり、高品質なグラファイトフィルムを生産性良く製造できる。
【0113】
さらに、高分子フィルムにポリイミド、特にケミカルキュアによって作成され、複屈折率の高いポリイミドを用いると、連続生産性に優れ、電気伝導性、熱伝導性、柔軟性、機械強度に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。
【0114】
そしてこれらグラファイトフィルムは、電極、放熱材、発熱体、構造材、ガスケット、耐熱シール材等として好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施形態におけるグラファイトフィルムの製造方法に用いられるフィルム加熱処理装置の概略図。
【図2】本発明の一つの実施形態におけるグラファイトフィルムの製造方法に用いられる別のフィルム加熱処理装置の概略図。
【図3】原料フィルムの治具16へ固定の方法。
【図4】別の、原料フィルムの治具16へ固定の方法。
【図5】さらに別の、原料フィルムの治具16へ固定の方法。
【図6】さらに別の、原料フィルムの治具16へ固定の方法。
【図7】本発明の別の実施形態におけるグラファイトフィルムの製造方法に用いられるフィルム加熱処理装置の概略図。
【図8】本発明の別の実施形態におけるグラファイトフィルムの製造方法に用いられる別のフィルム加熱処理装置の概略図。
【符号の説明】
11 フィルム取り付け機構
12 フィルム取り出し機構
13 加熱機構
16 治具
22 加熱機構13の遮蔽部
23 排気系
24 導入口
31 ヒータ
32 炉床板
51 圧延処理機構
60 グラファイト
61 フィルム繰り出し機構
62 フィルム巻き取り機構
63 フィルム
Claims (8)
- 原料フィルムである高分子フィルムまたは炭素化した高分子フィルムを加熱処理することによりグラファイト化するグラファイトフィルムの製造方法であって、前記原料フィルムがフィルム加熱処理装置内を移動する間に前記加熱処理が実施され、前記加熱処理が大気圧以上の不活性ガス雰囲気下2000℃以上での処理を含み、前記フィルム加熱処理装置内に500℃から2000℃以上への空間的な温度勾配を含むことを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法。
- 請求項1記載のグラファイトフィルムの製造方法であって、前記原料フィルムが、前記加熱処理の前に、500℃以下の温度で脱気処理された後、不活性ガス雰囲気中で昇温されることを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法。
- 請求項1または2に記載のグラファイトフィルムの製造方法であって、前記炭素化した高分子フィルムが、高分子フィルムを大気圧以上の不活性ガス雰囲気下、1500℃以下で加熱処理することにより炭素化されたものであることを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記高分子フィルムはポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサザール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリチアゾールのうちから選ばれた少なくとも一種類であることを特徴とする請求項1〜3に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記高分子フィルムは、前駆体であるポリアミド酸を脱水剤とアミン類を併用してイミド転化するケミカルキュア法を用いて得られるポリイミドであることを特徴とする請求項1〜4に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記ポリイミドは、複屈折率が0.1以上のポリイミドであることを特徴とする請求項5に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記原料フィルムが固定された治具が、前記フィルム加熱処理装置内を移動することにより前記加熱処理が実施されることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記原料フィルムが一方のローラから繰り出され、かつ、前記グラファイトフィルムが他方のローラに巻き取られることにより、前記原料フィルムが前記フィルム加熱処理装置内を移動することを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
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