JP4839914B2 - 高分子フィルムの製造装置および高分子フィルムの製造方法 - Google Patents
高分子フィルムの製造装置および高分子フィルムの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4839914B2 JP4839914B2 JP2006082636A JP2006082636A JP4839914B2 JP 4839914 B2 JP4839914 B2 JP 4839914B2 JP 2006082636 A JP2006082636 A JP 2006082636A JP 2006082636 A JP2006082636 A JP 2006082636A JP 4839914 B2 JP4839914 B2 JP 4839914B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- polymer film
- clip
- bis
- polymer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Registering, Tensioning, Guiding Webs, And Rollers Therefor (AREA)
- Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
- Moulding By Coating Moulds (AREA)
- Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
Description
また、ポリイミドフィルムの製造にテンター式搬送装置を使用することも多数知られている(特許文献2〜4参照)。
すなわち本発明は、下記の構成からなる。
1.高分子フィルム又は高分子前駆体フィルムをフィルム端部固定式テンターにて熱処理などの処理をする際に、フィルムの幅方向の両側端部におけるフィルム端部把持が、多数のクリップで挟み込むことによってなされ、幅方向およびまたは搬送方向に張設した状態でフィルムを搬送するテンター式処理部を有する高分子フィルム製造装置において、該クリップのフィルムと接する把持部が通気性を有する耐熱素材にて構成されていることを特徴とする高分子フィルムの製造装置。
2.高分子フィルム又は高分子前駆体フィルムをフィルム端部固定式テンターにて熱処理などの処理をする際に、フィルムの幅方向の両側端部におけるフィルム端部把持が、多数のクリップで挟み込むことによってなされ、幅方向およびまたは搬送方向に張設した状態でフィルムを搬送するテンター式処理部を有する高分子フィルム製造装置を用いて高分子フィルムを製造する際に、クリップのフィルムと接する把持部に通気性のある耐熱素材を用いることを特徴とする高分子フィルムの製造方法。
3.高分子フィルム、又はその前駆体からなるフィルムが、揮発成分を含有するフィルムである前記2記載の高分子フィルムの製造方法。
4.高分子フィルムが、芳香族ポリアミドフィルム又はポリイミドフィルムである前記2又は3いずれかに記載の高分子フィルムの製造方法。
かかる現象は単にフィルムの破断に留まらず、クリップ把持部分にフィルム成分、ないしその分解物の一部が付着しやすくなる、という副次的な現象を促進する。クリップに付着したこれら有機成分は長期間繰り返し使用される間に炭化し、クリップを汚染する。汚染されたクリップにおいてはフィルムを均質に把持することができなくなり、幅方向の応力バランスが崩れるために、作製されるフィルムの内部に応力の不均質かを生じせしめ、結果として得られるフィルムの平面性が低下し、さらに機械的特性についての面内でのバラツキを生じせしめるものとなる。また、かかる炭化物が脱落した場合には黒色の導電性異物となり、外観を害するだけでなく、電気的な信頼性にも悪影響が生じる。
本発明の高分子フィルム製造装置は、ポリイミドフィルムなどの高分子フィルムにおけるテンター式処理部(搬送装置)において、フィルム両側端部を把持するクリップが通気性のある耐熱素材からなるため、フィルムの把持中にクリップに挟まれたフィルム部分からの、ガス、溶媒などの揮発成分の発散が妨げられない。それにより、フィルム把持部でのボイド発生、表面荒れとフィルム成分のクリップ側への付着を抑制するため、かような問題が解消され、高品位でクリーンなフィルムを効率よく経済的に製造することが可能となり、高分子フィルム製造の生産性にも寄与し、高分子フィルムの製造装置としてまた高分子フィルムの製造方法として工業的に極めて有効である。
本発明の高分子フィルムは、これらの高分子を含む溶液を流延し、乾燥、熱処理してフィルムとなす。これらの高分子を含む溶液に用いられる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、メタノール、メタクレゾールなどが挙げられる。
本発明において好ましく用いられる高分子溶液としては、ポリアミドイミドのN−メチル−2−ピロリドン溶液、N,N−ジメチルアセトアミド溶液、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸のN−メチル−2−ピロリドン溶液、N,N−ジメチルアセトアミド溶液、溶剤可溶なポリイミドのN−メチル−2−ピロリドン溶液、N,N−ジメチルアセトアミド溶液、酢酸セルロースの塩化メチレン溶液、メタノール溶液、ポリカーボネートの塩化メチレン溶液、メタクレゾール溶液、ポリ塩化ビニルのテトラヒドロフラン溶液、アラミドのN−メチル−2−ピロリドン溶液などが挙げられる。
本発明に好ましく適用し得る、ポリイミドフィルムを得るための芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類との反応は、溶媒中で芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸(無水物)類とを(開環)重付加反応に供してポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液を得て、次いで、このポリアミド酸の溶液から前駆体フィルム(グリーンフィルム)を成形した後に乾燥・熱処理・脱水縮合(イミド化)することにより製造される。
A.ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
B.ジアミノジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類とピロメリット酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
C.フェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とビフェニルテトラカルボン酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
D.上記のABCの一種以上の組み合わせ。
本発明で好ましく使用できるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類として、下記の化合物が例示できる。
本発明においては、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを70モル%以上使用することが好ましい。
本発明におけるフェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミンおよびそれらの誘導体が挙げられる。
本発明におけるポリイミドフィルムには前記に限定されない下記の芳香族ジアミンを使用してもよい。
例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、
本発明におけるポリイミドフィルムにおける好ましく使用できる芳香族テトラカルボン酸類として、ピロメリット酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類すなわちピロメリット酸およびその無水物またはハロゲン化物、ビフェニルテトラカルボン酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類すなわちビフェニルテトラカルボン酸およびその無水物またはハロゲン化物が挙げられる。
前記に限定されないで下記の芳香族テトラカルボン酸を使用してもよい。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0dl/g以上が好ましく、4.0dl/g以上がさらに好ましく、なおさらに5.0dl/g以上が好ましい。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の溶液を製造するのに有効である。
さらに、以下述べるポリアミド酸の溶液を支持体上に流延・塗布するに際して予め減圧などの処理によって該溶液中の気泡や溶存気体を除去しておくことも、本発明のポリイミドフィルムを得るために有効な処理である。
熱閉環法の熱処理温度は、150〜500℃が好ましく、熱処理温度がこの範囲より低いと充分に閉環されづらくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、フィルムが脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間熱処理するところの初期段階熱処理と後段階熱処理とを有する2段階熱処理工程が挙げられる。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
ポリイミドフィルムの厚さは特に限定されないが、後述するプリント配線基板用ベース基板に用いることを考慮すると、5〜150μm、好ましくは10〜100μmである。この厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。
本発明のポリイミドフィルムには、滑剤をポリイミド中に添加含有せしめるなどしてフィルム表面に微細な凹凸を付与しフィルムの滑り性を改善することが好ましい。
滑剤としては、無機や有機の0.03μm〜3μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
本発明における通気性耐熱素材として、多孔性のセラミックスを用いることができる。セラミックスの材質そのものに特段の制限はなく、アルミナ、カルシア、マグネシア、シリカなどの単独または複数からなる素材を用いればよい、多孔質度合いを示す空隙率は体積比で30%以上が好ましく40%以上がなお好ましく50%以上がなおさらに好ましい。多孔質度合いがこの範囲より低いと、ポリマーフィルムからの揮発成分の自由な発散が妨げられる。また90%を超えるとセラミックス自体が脆くなり実用性に乏しくなる。同様に多孔質体としては発泡セメント、石膏、ガラス、金属、その他リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、金属酸塩等の無機の固体を用いることができる。
本発明における通気性耐熱素材として、無機繊維の集合体を用いることができる。本発明において用いられる無機繊維とはカーボンファイバー、アルミナウール、ガラスウール、石綿、各種の硝子繊維等を用いることができる。これらは織布形状でも不織布形状、あるいはフェルトのごとき厚手でもかまわない。
本発明における通気性耐熱素材として金属繊維の集合体を用いることができる。金属種としては耐食性に優れるステンレス系の素材が好ましい。
本発明における通気性耐熱素材として、耐熱高分子繊維の集合体を用いることができる。耐熱高分子繊維としては、芳香族ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、ポリベンゾチアゾール繊維、ポリベンゾイミダゾール繊維、ポリイミドベンゾオキサゾール繊維などを用いることができる。
フィルム端部把持を多数のクリップで挟み込むことによってなす。本発明のテンターは該クリップがフィルムと接する把持部の温度が180℃未満となるように冷却する手段を有することがさらに好ましい。
以下、クリップ冷却手段を詳述する。かかるクリップを固定手段として用いるテンターはクリップテンターと称される。クリップテンターのクリップは多くの場合駆動チェーンに組み合わせれ、無限軌道として設置される。クリップテンターの駆動チェーンは、往復とも処理炉内を通る型式と、復路は処理路の外を通るように配置される型式が知られているが、本発明では、往復とも処理炉内を通る型式に適用されることが好ましい。このような型式の場合には装置全体をコンパクトにすることが可能である。
図3に示すように熱処理などの処理を受ける処理室内では、クリップが配されたクリップブロックが多数フィルム両端部に配されており、これらのクリップがフィルム両端を把持して搬送し、処理室内ではこれらクリップはフィルム両端で互いに並行に走行しているものであり、かつ極めて高温に維持されてフィルムの熱処理がおこなわれるもので、少なくともこの処理室内ではクリップも高温に曝され、フィルム熱処理が終了してターンして元の位置にてまた新たにフィルムを把持する様になっている。
本発明においてクリップおよびクリップブロックの冷却は、処理炉の入り口側における駆動チェーンの復路からクリップニングゾーンまでの間にて行うことが好ましい。
本発明における冷却手段としては、空冷、水冷いずれでもよく、また空気、水以外の冷媒を用いても良い。冷却効率の点からは液体の冷媒を用いることが好ましく、さらに、テンター自身が一般の有機溶剤の発火点以上に加熱されることを考えると、水冷仕様による冷却手段にすることが最も好ましい。また冷却部付近においては結露を防止するため、雰囲気、並びに冷媒として空気を用いる場合には冷風の露点制御することが好ましい。
さらに本発明においては該クリップ部の温度を測定する手段と、測定結果に応じて冷却度合いを制御する制御系を備えることが好ましい。温度測定手段については熱電対、あるいは放射温度計などの公知の手段を用いることができる。制御系は通常の負帰還制御を用いればよい。
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(又は、N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。(ポリアミド酸溶液の調製に使用した溶媒がN,N−ジメチルアセトアミドの場合は、N,N−ジメチルアセトアミドを使用してポリマーを溶解し、測定した。)
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1254D)を用いて測定した。
測定対象のポリイミドフィルムを、流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(商品名)、機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張破断強度及び引張破断伸度を測定した。
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を1.22質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を、容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。予備分散液中の平均粒子径は0.11μmであった。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、223質量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを入れた。次いで、4000質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて24時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Aが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.8dl/gであった。
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後,5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール223質量部、N,N−ジメチルアセトアミド4416質量部を加えて完全に溶解させた後,コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックスDMAC−ST30(日産化学工業株式会社製)40.5質量部(シリカを8.1質量部含む)、ピロメリット酸二無水物217質量部を加え,25℃の反応温度で24時間攪拌すると,褐色で粘調なポリアミド酸溶液Bが得られた。このもののηsp/Cは4.0dl/gであった。
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を7.6質量部、N−メチル−2−ピロリドン390質量部を容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、200質量部のジアミノジフェニルエーテルを入れた。次いで、3800質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を390質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Cが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.7dl/gであった。
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を3.7質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、108質量部のフェニレンジアミンを入れた。次いで、3600質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と292.5質量部のジフェニルテトラカルボン酸二無水物を加えて、25℃にて12時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Dが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は4.5dl/gであった。
参考例1〜4で得たポリアミド酸溶液を、ポリエチレンテレフタレート製フィルムA−4100(東洋紡績製)の無滑材面上に、コンマコーターを用いてコーティングし(ギャップは、150μm、塗工幅1240mm)、90℃にて60分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して両端をカットし、厚さ21μm、幅1200mmのそれぞれのグリーンフィルムを得た。
得られたこれらのグリーンフィルムを、図1、図2に示すクリップであってフィルムに接する部分の素材として繊維径8μmのナスロン繊維製のフェルト(厚さ約2mm)を使用したクリップを使用し、放射温度計によるクリップ把持部の温度測定手段を備え、さらに図3.に模式的に示すように冷却部を設けたクリップテンターに通し、クリップシート間隔を1140mm、すなわちグリーンフィルム両端の各30mmをクリップにて把持し、第1段が170℃で5分、第2段220℃5分、第3段480℃5分にて加熱を施して、イミド化反応を進行させた。なお、クリップ把持部での温度は160℃プラスマイナス5℃の範囲にて制御された。ここにナスロン繊維とは日本精線株式会社製のステンレススチール繊維である。
フィルムの搬送状態は良好であり、テンター内での「クリップはずれ」は生じなかった。またテンター出口でのクリップ把持部にてもフィルム裂けはほとんど観察されなかった。
得られたフィルムを室温にまで冷却し、フィルムの両端部の平面性が悪い部分をスリッターにて切り落とし、ロール状に巻き上げ、褐色を呈する実施例1〜4のそれぞれのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの特性を表1に記載する。
まず得られたフィルムを清浄な表面を有する定盤に広げ、フィルム端部にてウネリにより定盤との間に空間が空いてしまう部分を平面性不良な部分として捉えた。フィルムの端部が定盤表面から持ち上がらずに、フィルム全体が定盤に密着するようになるまで、フィルム両端をカットし、その時のフィルム幅を有効幅と定義した。
以下、クリップの素材とその温度を変えて実施例と同様に製膜を行い評価した。結果を表2に示す。なお、使用した素材は以下の通りである。
実施例5〜8:東洋紡績株式会社製ポリベンゾオキサゾール繊維「ザイロン」製のフェルト。
実施例9〜10:多孔質アルミナセラミックス(空隙率54%)
実施例11〜12:カーボンファイバーの網組ベルト
参考例1〜4のポリアミド酸溶液を、実施例と同様に支持体上に塗布乾燥し、乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して、厚さ21μmのそれぞれのグリーンフィルムを得た。
得られたこれらのグリーンフィルムを、実施例1と同様にクリップテンターにて熱処理を行った。なお比較例においてはクリップの素材は表面エンボス加工されたステンレススチール板であり、かつ冷却は行っていない。製膜中クリップの温度は220℃プラスマイナス10℃程度の幅にて推移した。
以下、実施例と同様にフィルムの両端部の平面性が悪い部分をスリッターにて切り落とし、ロール状に巻き上げ、褐色を呈する比較例1〜4のそれぞれのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの特性など結果を表1に記載する。
結果のとおり、比較例においてはクリップはずれが生じやすく、またクリップ裂けが大きく、フィルム端の平面性が悪い部分の幅が広く、結果的に有効幅が狭くなっていることが判る。
ポリイミドフィルム、セルロース系フィルム、ポリアミドフィルム、ポリアミドイミドフィルムなどの流延製膜方法として有効な製造装置と製造方法であり、産業上有意義なものである
2.ローラー
3.クリップ把持部
4.回転軸
11.冷却部
12.熱処理ゾーン
13.クリップ駆動チェーン
Claims (4)
- 高分子フィルム又は高分子前駆体フィルムをフィルム端部固定式テンターにて熱処理などの処理をする際に、フィルムの幅方向の両側端部におけるフィルム端部把持が、多数のクリップで挟み込むことによってなされ、幅方向およびまたは搬送方向に張設した状態でフィルムを搬送するテンター式処理部を有する高分子フィルム製造装置において、該クリップのフィルムと接する把持部が通気性を有する耐熱素材にて構成されていることを特徴とする高分子フィルムの製造装置。
- 高分子フィルム又は高分子前駆体フィルムをフィルム端部固定式テンターにて熱処理などの処理をする際に、フィルムの幅方向の両側端部におけるフィルム端部把持が、多数のクリップで挟み込むことによってなされ、幅方向およびまたは搬送方向に張設した状態でフィルムを搬送するテンター式処理部を有する高分子フィルム製造装置を用いて高分子フィルムを製造する際に、クリップのフィルムと接する把持部に通気性のある耐熱素材を用いることを特徴とする高分子フィルムの製造方法。
- 高分子フィルム、又はその前駆体からなるフィルムが、揮発成分を含有するフィルムである請求項2記載の高分子フィルムの製造方法。
- 高分子フィルムが、芳香族ポリアミドフィルム、またはポリイミドフィルムである請求項2〜3いずれかに記載の高分子フィルムの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006082636A JP4839914B2 (ja) | 2006-03-24 | 2006-03-24 | 高分子フィルムの製造装置および高分子フィルムの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006082636A JP4839914B2 (ja) | 2006-03-24 | 2006-03-24 | 高分子フィルムの製造装置および高分子フィルムの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007253518A JP2007253518A (ja) | 2007-10-04 |
JP4839914B2 true JP4839914B2 (ja) | 2011-12-21 |
Family
ID=38628232
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006082636A Active JP4839914B2 (ja) | 2006-03-24 | 2006-03-24 | 高分子フィルムの製造装置および高分子フィルムの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4839914B2 (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5114668B2 (ja) * | 2008-01-11 | 2013-01-09 | 東洋紡株式会社 | 耐熱高分子フィルムの製造装置および耐熱高分子フィルムの製造方法 |
JP2009275163A (ja) * | 2008-05-16 | 2009-11-26 | Ew Chemical Engineering Kk | プラスチックフィルムの表面改質方法及びその装置 |
JP2010070652A (ja) * | 2008-09-18 | 2010-04-02 | Nippon Shokubai Co Ltd | 光学用未延伸フィルム |
JP5377242B2 (ja) * | 2009-11-25 | 2013-12-25 | 株式会社日本触媒 | 位相差フィルムの製造方法 |
JP2011213923A (ja) * | 2010-03-31 | 2011-10-27 | Ube Industries Ltd | ポリイミドフィルムの製造方法 |
JP7066427B2 (ja) | 2018-02-01 | 2022-05-13 | 日東電工株式会社 | フィルム延伸装置および延伸フィルムの製造方法 |
JP2021075363A (ja) * | 2019-11-08 | 2021-05-20 | 住友化学株式会社 | 乾燥したフィルムロールの製造方法 |
JP7059430B1 (ja) * | 2021-09-27 | 2022-04-25 | 日東電工株式会社 | 延伸フィルムの製造方法、光学積層体の製造方法およびフィルム延伸装置 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61193836A (ja) * | 1985-02-25 | 1986-08-28 | Toa Nenryo Kogyo Kk | 超高分子量α−オレフイン重合体フイルムの製造方法 |
JP3695477B2 (ja) * | 1995-09-14 | 2005-09-14 | 富士写真フイルム株式会社 | ウエブ又はシートの搬送装置 |
JP2842427B2 (ja) * | 1997-01-13 | 1999-01-06 | 宇部興産株式会社 | ポリイミドフィルム |
JP4318111B2 (ja) * | 2002-09-30 | 2009-08-19 | 東レ・デュポン株式会社 | ポリイミドフィルムおよびその製造方法 |
-
2006
- 2006-03-24 JP JP2006082636A patent/JP4839914B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007253518A (ja) | 2007-10-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4839914B2 (ja) | 高分子フィルムの製造装置および高分子フィルムの製造方法 | |
KR20080007388A (ko) | 고분자 필름의 제조 장치 및 고분자 필름의 제조 방법 | |
JP4821955B2 (ja) | 高分子フィルムの製造装置および高分子フィルムの製造方法 | |
JP2011235452A (ja) | 溶液製膜用コーティングダイおよび溶液製膜方法 | |
JP2009013245A (ja) | ポリイミドフィルム | |
JP4835088B2 (ja) | 高分子フィルムの製造方法および製造装置 | |
JP4967797B2 (ja) | ポリイミドフィルムの製造方法 | |
JP2008156090A (ja) | 高分子フィルムの製造方法及び高分子フィルムの製造装置 | |
JP4900032B2 (ja) | ポリイミドフィルムの製造方法 | |
JP2007253517A (ja) | 高分子フィルムの製造装置および高分子フィルムの製造方法 | |
JP4821956B2 (ja) | 高分子フィルムの製造装置および高分子フィルムの製造方法 | |
JP4821960B2 (ja) | 高分子フィルムの製造装置および高分子フィルムの製造方法 | |
JP2006327022A (ja) | ポリイミドフィルムの製造装置 | |
JP4967635B2 (ja) | 高分子フィルムの製造方法及び高分子フィルムの製造装置 | |
JP4900033B2 (ja) | ポリイミドフィルムの製造方法 | |
JP5549360B2 (ja) | ポリイミドフィルムの製造方法及びポリイミドフィルムロール | |
JP5874184B2 (ja) | 溶液製膜用コーティングダイおよび溶液製膜方法 | |
JP2008285514A (ja) | ポリイミドフィルムの製造方法 | |
JP5114668B2 (ja) | 耐熱高分子フィルムの製造装置および耐熱高分子フィルムの製造方法 | |
JP5023464B2 (ja) | 高分子フィルムの製造方法および製造装置 | |
JP4843996B2 (ja) | 高分子フィルムの製造装置および高分子フィルムの製造方法 | |
JP5023463B2 (ja) | 高分子フィルムの製造方法および製造装置 | |
JP2007055737A (ja) | 高分子フィルムの製造方法および製造装置 | |
JP2007021948A (ja) | 高分子フィルムの製造装置 | |
JP2007106837A (ja) | ポリイミドフィルム |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090319 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110831 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110906 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110919 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 4839914 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141014 Year of fee payment: 3 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |