JP7066427B2 - フィルム延伸装置および延伸フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
1つの実施形態において、上記クリップが、上記フィルムを上方から挟み込む上側把持部材と下方から挟み込む下側把持部材とを有し、該上側把持部材の下面および該下側把持部材の上面との重なりによって規定されるフィルム把持面の該クリップの走行方向と直交する方向における長さが、15mm以上である。
1つの実施形態において、上記クリップが、上記フィルムを上方から挟み込む上側把持部材と下方から挟み込む下側把持部材とを有し、該上側把持部材の下面および該下側把持部材の上面との重なりによって規定されるフィルム把持面の該クリップの走行方向における長さが、30mm以上である。
本発明の別の局面によれば、位相差フィルムの製造方法が提供される。該位相差フィルムの製造方法は、延伸対象のフィルムの左右端部を、それぞれ、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップによって把持すること、該フィルムを予熱すること、該左右のクリップの少なくとも一方のクリップピッチを変化させて、該フィルムを斜め延伸すること、および、該フィルムを把持するクリップを開放すること、を含み、該フィルムの左右の端辺から20mm以上の距離の位置を該左右のクリップによって把持する。
1つの実施形態において、上記斜め延伸が、横延伸を含む。
1つの実施形態において、上記位相差フィルムの製造方法は、上記クリップ式フィルム延伸装置を用いて行われる。
本発明の1つの局面によれば、延伸対象のフィルムの左右端部(幅方向の端部)を把持して延伸ゾーンを通過走行するとともに、該通過走行に伴って少なくとも一方の縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップを有し、該クリップが該フィルムの左右の端辺から20mm以上の距離の位置を把持する、クリップ式フィルム延伸装置が提供される。以下、本発明のフィルム延伸装置の1つの実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
把持比率(%)= 掴み代/フィルム端辺からクリップ位置までの距離×100
本発明の別の局面によれば、延伸対象のフィルムの左右端部を、それぞれ、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップによって把持すること(把持工程)、該フィルムを予熱すること(予熱工程)、該左右のクリップの少なくとも一方のクリップピッチを変化させて、該フィルムを斜め延伸すること(斜め延伸工程)、および該フィルムを把持するクリップを開放すること(開放工程)、を含み、該把持工程において、該左右のクリップによってそれぞれ、該フィルムの左右の端辺から20mm以上の距離の位置を把持する、位相差フィルムの製造方法が提供される。当該位相差フィルムの製造方法は、上記A項に記載の延伸装置を用いることにより、好適に行われる。また、当該位相差フィルムの製造方法によれば、斜め方向(例えば、縦方向に対して45°の方向)に遅相軸を有する位相差フィルムを、フィルムの破断およびネックインを抑制しつつ効率よく作製することができる。以下、各工程について詳細に説明する。なお、本明細書において、「縦方向のクリップピッチ」(単に「クリップピッチ」と称される場合がある)とは、縦方向に隣接するクリップの走行方向における中央間距離(より具体的には、フィルム把持面の走行方向における中央間距離)を意味し、図6のPで表される距離である。
延伸対象となるフィルムは、まず、把持ゾーンA(延伸装置100のフィルム取り込みの入り口)において、左右の無端ループ10L、10Rのクリップ20によって、その両端部を互いに等しい一定のクリップピッチ、あるいは、互いに異なるクリップピッチで把持される。把持工程における左右のクリップのクリップピッチは、所望の位相差、軸角度等に応じて適切に設定され得る。該クリップピッチは、例えば50mm~180mmであり得る。なお、本明細書において、フィルムの端部とは、フィルム端辺からフィルム全幅の1割の領域を意味する。
予熱ゾーンBにおいては、左右の無端ループ10L、10Rは、上記のとおり延伸対象となるフィルムの初期幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されているので、基本的には横延伸も縦延伸も行わず、フィルムが加熱される。ただし、予熱によりフィルムのたわみが起こり、オーブン内のノズルに接触するなどの不具合を回避するために、わずかに左右クリップ間の距離(幅方向の距離)を広げてもよい。
延伸ゾーンCにおいては、左右のクリップ20の少なくとも一方の縦方向のクリップピッチを変化させて、フィルムを斜め延伸する。斜め延伸は、横延伸を含んでもよく、含まなくてもよい。例えば、図示例のように、左右のクリップ間の距離(幅方向の距離)を拡大させながら行われてもよく、あるいは、図示例とは異なり、左右のクリップ間の距離を維持したまま行われてもよい。好ましくは、斜め延伸は、横延伸を含む。
W1は、第1の斜め延伸前のフィルム幅、
W3は、第2の斜め延伸後のフィルム幅、
v3’は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップに関して、該クリップのクリップピッチが第2の斜め延伸工程で所定のクリップピッチに変化した際のクリップ移動速度、
t3は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを減少させる方のクリップが、予熱ゾーンに入ってから、第2の斜め延伸工程が終了するまでの時間、
t3’は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップが、予熱ゾーンに入ってから、第2の斜め延伸工程が終了するまでの時間
を表す。)
v2’=v3’の場合は、上記t3は下記式(2)、上記t’3は下記式(3)で表され、
v2’>v3’の場合は、上記t3は下記式(4)、上記t’3は下記式(5)で表される。
a1=(v2-v3)/(L2-L3)、
b1=v3-a1*L3、
a=(v1-v2)/(L1-L2)、
b=v2-a*L2であり、
v1は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを減少させる方のクリップが予熱ゾーンを通過する際のクリップ移動速度、
v2は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを減少させる方のクリップに関して、該クリップのクリップピッチが第1の斜め延伸工程で所定のクリップピッチ(図7および図8を用いた説明におけるP3に対応する)に減少した際のクリップ移動速度、
v3は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを減少させる方のクリップに関して、該クリップのクリップピッチが第2の斜め延伸工程で所定のクリップピッチ(図7および図8を用いた説明におけるP2に対応する)に増大した際のクリップ移動速度であり、
L1は、予熱ゾーン入口から、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを減少させる方のクリップがクリップピッチを減少し始めるまでの距離(1つの実施形態においては、予熱ゾーン入口から予熱ゾーン出口までの距離)、
L2は、予熱ゾーン入口から、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを減少させる方のクリップがクリップピッチを増大し始める箇所までの距離(1つの実施形態においては、予熱ゾーン入口から第1の斜め延伸ゾーン出口までの距離)、
L3は、予熱ゾーン入口から、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを減少させる方のクリップがクリップピッチを増大し終わる箇所までの距離(1つの実施形態においては、予熱ゾーン入口から第2の斜め延伸ゾーン出口までの距離)
である。)
a’=(v1’-v2’)/(L1’-L2’)、
b’=v3’-a’*L2’であり、
v1’は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップが予熱ゾーンを通過する際のクリップ移動速度、
v2’は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップに関して、該クリップのクリップピッチが第1の斜め延伸工程で所定のクリップピッチ(図7および図8を用いた説明におけるP2に対応する)に増大した際のクリップ移動速度、
v3’は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップに関して、該クリップが第2の斜め延伸ゾーンを通過する際のクリップ移動速度であり、
L1’は、予熱ゾーン入口から、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップがクリップピッチを増大し始めるまでの距離(1つの実施形態においては、予熱ゾーン入口から予熱ゾーン出口までの距離)、
L2’は、予熱ゾーン入口から、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップがクリップピッチを増大し終わる箇所までの距離(1つの実施形態においては、予熱ゾーン入口から第1の斜め延伸ゾーン出口までの距離)、
L3’は、予熱ゾーン入口から、第2の斜め延伸ゾーン出口までの距離
である。)
a’=(v1’-v2’)/(L1’-L2’)、
b’=v2’-a’*L2’、
a’’=(v2’-v3’)/(L2’-L3’)、
b’’=v3’-a’’*L3’であり、
v1’は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップが予熱ゾーンを通過する際のクリップ移動速度、
v2’は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップに関して、該クリップのクリップピッチが第1の斜め延伸工程で所定のクリップピッチ(図7および図8を用いた説明におけるP2に対応する)に増大した際のクリップ移動速度、
v3’は、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップに関して、該クリップのクリップピッチが第2の斜め延伸工程で所定のクリップピッチに減少した際のクリップ移動速度であり、
L1’は、予熱ゾーン入口から、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップがクリップピッチを増大し始める箇所までの距離(1つの実施形態においては、予熱ゾーン入口から予熱ゾーン出口までの距離)、
L2’は、予熱ゾーン入口から、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップがクリップピッチを増大し終わる箇所までの距離(1つの実施形態においては、予熱ゾーン入口から第1の斜め延伸ゾーン出口までの距離)、
L3’は、予熱ゾーン入口から、第1の斜め延伸工程でクリップピッチを増大させる方のクリップが第2の斜め延伸工程でクリップピッチを所定のクリップピッチに減少し終わる箇所までの距離(1つの実施形態においては、予熱ゾーン入口から第2の斜め延伸ゾーン出口までの距離)である。)
最後に、フィルムを把持するクリップを開放して、位相差フィルムが得られる。通常、フィルムをTg以下まで冷却した後にクリップを開放する。必要に応じて、フィルムを熱処理して延伸状態を固定し、冷却した後にクリップを開放する。
本発明の製造方法に好適に用いられるフィルムとしては、位相差フィルムとして用いられ得る任意の適切な長尺状のフィルムが挙げられる。延伸対象のフィルムの幅は、例えば300mm以上、好ましくは500mm以上、より好ましくは500mm~2000mmである。
ダイヤルゲージ(PEACOCK社製、製品名「DG-205 type pds-2」)を用いて測定した。
(2)ガラス転移温度(Tg)
JIS K 7121に準じて測定した。
(3)ネックイン量
図12に示すように、クリップ位置からネックインの谷部分までの距離(mm)を、左右の端辺においてそれぞれ5箇所ずつ測定し、その平均値をネックイン量とした。
(ポリエステルカーボネート樹脂フィルムの作製)
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した縦型反応器2器からなるバッチ重合装置を用いて重合を行った。ビス[9-(2-フェノキシカルボニルエチル)フルオレン-9-イル]メタン 29.60質量部(0.046mol)、ISB 29.21質量部(0.200mol)、SPG 42.28質量部(0.139mol)、DPC 63.77質量部(0.298mol)及び触媒として酢酸カルシウム1水和物1.19×10-2質量部(6.78×10-5mol)を仕込んだ。反応器内を減圧窒素置換した後、熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始した。昇温開始40分後に内温を220℃に到達させ、この温度を保持するように制御すると同時に減圧を開始し、220℃に到達してから90分で13.3kPaにした。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を100℃の還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は45℃の凝縮器に導いて回収した。第1反応器に窒素を導入して一旦大気圧まで復圧させた後、第1反応器内のオリゴマー化された反応液を第2反応器に移した。次いで、第2反応器内の昇温および減圧を開始して、50分で内温240℃、圧力0.2kPaにした。その後、所定の攪拌動力となるまで重合を進行させた。所定動力に到達した時点で反応器に窒素を導入して復圧し、生成したポリエステルカーボネートを水中に押し出し、ストランドをカッティングしてペレットを得た。得られたポリエステルカーボネート樹脂のTgは、140℃であった。
上記のようにして得られたポリエステルカーボネート樹脂フィルムを、図1~図5に示すような装置を用い、図8に示すようなクリップピッチのプロファイルで、予熱処理、第1の斜め延伸および第2の斜め延伸を行った。具体的には、以下のとおりである。なお、該延伸装置に取り付けられたクリップの上側把持部材の下面および下側把持部材の上面はそれぞれ、45mm×30mmサイズの長方形であった。
次いで、ポリエステルカーボネート樹脂フィルム(厚み150μm、幅(W1)765mm)を予熱ゾーンBで145℃に予熱した。予熱ゾーンBにおいては、左右のクリップのクリップピッチ(P1)は150mmであった。次に、フィルムが第1の斜め延伸ゾーンC1に入ると同時に、右側クリップのクリップピッチの増大および左側クリップのクリップピッチの減少を開始した。第1の斜め延伸ゾーンC1の終端部における右側クリップのクリップピッチの変化率(P2/P1)は1.42であり、左側クリップのクリップピッチの変化率(P3/P1)は0.72であった。第1の斜め延伸後のフィルム幅(W2)は1092mmであった(TD延伸倍率(W2/W1)=1.45倍)。
次に、フィルムが第2の斜め延伸ゾーンC2に入ると同時に、左側クリップのクリップピッチの増大を開始し、P3からP2まで増大させるべく、第2の斜め延伸ゾーンC2における左側クリップのクリップピッチの変化率(P2/P3)を1.97と設定した。一方、右側クリップのクリップピッチは、第2の斜め延伸ゾーンC2においてP2のまま維持した。また、上記第1の斜め延伸工程および第2の斜め延伸工程における幅方向への延伸倍率(W3/W1)は、1.9倍と設定した。
しかし、第2の斜め延伸工程の途中でフィルムが破断した。延伸機出口より、フィルムの様子を観察し、破断が生じた位置に基づいて破断した箇所のMD倍率、TD倍率を特定した。破断した箇所のMD倍率およびTD倍率に基づいて、かつ、上記式(1)を用いて破断時の斜め延伸倍率を算出したところ、2.55倍であった。なお、第1の斜め延伸および第2の斜め延伸はともに、142℃で行った。
斜め延伸工程終了時の斜め延伸倍率が上記破断時の斜め延伸倍率よりも0.01倍小さくなるように(すなわち、2.54倍になるように)、第1の斜め延伸ゾーンC1における右側クリップのクリップピッチP2および第2の斜め延伸ゾーンC2における左側クリップのクリップピッチP2を調整したこと以外は上記と同様にして斜め延伸を行った(すなわち、P1、P3、および、第1または第2の斜め延伸における幅方向の延伸倍率に変更はない)。その結果、破断を生じさせることなく斜め延伸フィルムを得た。得られた斜め延伸フィルムを破断直前のフィルムとし、そのネックイン量を破断直前のネックイン量として測定した。
上側把持部材の下面が、45mm×25mmサイズの長方形であるクリップを用いたこと、および、図13(b)に示すように、フィルム端辺からクリップ位置までの距離(D)が25mmとなるようにフィルムをクリップで把持したこと以外は実施例1と同様にして、フィルムが破断するまで斜め延伸を行って破断時の斜め延伸倍率を算出するとともに、該破断時の斜め延伸倍率に基づいて破断直前のフィルムを作成して破断直前のネックイン量を求めた。掴み長さ(L)および掴み代(W)はそれぞれ、45mmおよび25mmであった。
上側把持部材の下面が、45mm×20mmサイズの長方形であるクリップを用いたこと、および、図13(b)に示すように、フィルム端辺からクリップ位置までの距離(D)が20mmとなるようにフィルムをクリップで把持したこと以外は実施例1と同様にして、フィルムが破断するまで斜め延伸を行って破断時の斜め延伸倍率を算出するとともに、該破断時の斜め延伸倍率に基づいて破断直前のフィルムを作成して破断直前のネックイン量を求めた。掴み長さ(L)および掴み代(W)はそれぞれ、45mmおよび20mmであった。
上側把持部材の下面が、45mm×15mmサイズの長方形であるクリップを用いたこと、および、図13(c)に示すように、フィルム端辺からクリップ位置までの距離(D)が30mmとなるようにフィルムをクリップで把持したこと以外は実施例1と同様にして、フィルムが破断するまで斜め延伸を行って破断時の斜め延伸倍率を算出するとともに、該破断時の斜め延伸倍率に基づいて破断直前のフィルムを作成して破断直前のネックイン量を求めた。掴み長さ(L)および掴み代(W)はそれぞれ、45mmおよび15mmであった。
上側把持部材の下面が、21.5mm×2mmサイズの長方形であるクリップを用いたこと、および、図13(c)に示すように、フィルム端辺からクリップ位置までの距離(D)が30mmとなるようにフィルムをクリップで把持したこと以外は実施例1と同様にして、フィルムが破断するまで斜め延伸を行って破断時の斜め延伸倍率を算出するとともに、該破断時の斜め延伸倍率に基づいて破断直前のフィルムを作成して破断直前のネックイン量を求めた。掴み長さ(L)および掴み代(W)はそれぞれ、21.5mmおよび2mmであった。
上側把持部材の下面が、21.5mm×2mmサイズの長方形であるクリップを用いたこと、および、図13(c)に示すように、フィルム端辺からクリップ位置までの距離(D)が25mmとなるようにフィルムをクリップで把持したこと以外は実施例1と同様にして、フィルムが破断するまで斜め延伸を行って破断時の斜め延伸倍率を算出するとともに、該破断時の斜め延伸倍率に基づいて破断直前のフィルムを作成して破断直前のネックイン量を求めた。掴み長さ(L)および掴み代(W)はそれぞれ、21.5mmおよび2mmであった。
上側把持部材の下面が、45mm×2mmサイズの長方形であるクリップを用いたこと、および、図13(c)に示すように、フィルム端辺からクリップ位置までの距離(D)が15mmとなるようにフィルムをクリップで把持したこと以外は実施例1と同様にして、フィルムが破断するまで斜め延伸を行って破断時の斜め延伸倍率を算出するとともに、該破断時の斜め延伸倍率に基づいて破断直前のフィルムを作成して破断直前のネックイン量を求めた。掴み長さ(L)および掴み代(W)はそれぞれ、45mmおよび2mmであった。
上側把持部材の下面が、21.5mm×2mmサイズの長方形であるクリップを用いたこと、および、図13(c)に示すように、フィルム端辺からクリップ位置までの距離(D)が15mmとなるようにフィルムをクリップで把持したこと以外は実施例1と同様にして、フィルムが破断するまで斜め延伸を行って破断時の斜め延伸倍率を算出するとともに、該破断時の斜め延伸倍率に基づいて破断直前のフィルムを作成して破断直前のネックイン量を求めた。掴み長さ(L)および掴み代(W)はそれぞれ、21.5mmおよび2mmであった。
表1に示されるとおり、フィルムの左右の端辺から20mm以上の距離の位置をそれぞれ把持して延伸を行った実施例においては、斜め延伸倍率が2.0倍を超えても樹脂フィルムは破断しなかった。これに対し、フィルムの左右の端辺から15mmの距離の位置をそれぞれ把持して延伸を行った比較例においては、2.0倍未満の斜め延伸倍率で樹脂フィルムが破断した。さらに、掴み長さおよび/または掴み代を大きく設定することにより、フィルムの破断がより好適に抑制されることがわかる。また、掴み代を大きく設定することにより、ネックイン量を低減できることが分かる。
10R 無端ループ
20 クリップ
22 下側把持部材
26 上側把持部材
28 フィルム把持面
30 クリップ担持部材
70 基準レール
90 ピッチ設定レール
100 延伸装置
200 フィルム
Claims (4)
- 延伸対象のフィルムの左右端部を把持して延伸ゾーンを通過走行するとともに、該通過走行に伴って縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップを有し、
該クリップが、該フィルムの左右の端辺から30mm以上の距離の位置を把持する、クリップ式フィルム延伸装置であって、
該クリップが、該フィルムを上方から挟み込む上側把持部材と下方から挟み込む下側把持部材とを有し、
該上側把持部材の下面と該下側把持部材の上面との重なりによって規定されるフィルム把持面の該クリップの走行方向と直交する方向における長さが、30mm~60mmであり、
該フィルム把持面の該クリップの走行方向における長さが、35mm~80mmである、クリップ式フィルム延伸装置。 - 延伸対象のフィルムの左右端部を、それぞれ、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップによって把持すること、
該フィルムを予熱すること、
該左右のクリップの少なくとも一方のクリップピッチを変化させて、該フィルムを斜め延伸すること、および
該フィルムを把持するクリップを開放すること、を含み、
該フィルムの左右の端辺から30mm以上の距離の位置を該左右のクリップによって把持し、
該クリップが、該フィルムを上方から挟み込む上側把持部材と下方から挟み込む下側把持部材とを有し、
該上側把持部材の下面と該下側把持部材の上面との重なりによって規定されるフィルム把持面の該クリップの走行方向と直交する方向における長さが、30mm~60mmであり、
該フィルム把持面の該クリップの走行方向における長さが、35mm~80mmである、位相差フィルムの製造方法。 - 前記斜め延伸が、横延伸を含む、請求項2に記載の位相差フィルムの製造方法。
- 請求項1に記載のクリップ式フィルム延伸装置を用いて行われる、請求項2または3に記載の位相差フィルムの製造方法。
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