JP2014097561A - フィルム端部の処理方法およびフィルムの製造方法 - Google Patents

フィルム端部の処理方法およびフィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】製膜した長尺の樹脂フィルムの幅方向端部から、破断することなく安定的にフィルム耳を切り取って回収する方法、および長尺の樹脂フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】長尺の樹脂フィルムの幅方向のフィルム端部をフィルムの進行方向に連続して切断し、切断された帯状の端部を、両軸共に1つ以上の回転刃を有する異方向噛み合い2軸裁断機に導入して、帯状のフィルム端部を裁断するようにする。裁断された端部片は、空気輸送で効率的に回収することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、製膜した長尺の樹脂フィルムの幅方向端部からフィルム端部を切り取って回収する方法、および長尺の樹脂フィルムの製造方法に関する。
長尺の樹脂フィルムの流れ方向端部を把持したクリップの走行移動により当該樹脂フィルムを延伸して、延伸樹脂フィルムを得ることが行われている。その際、延伸後の樹脂フィルムにおける幅方向の端部(フィルム耳)が取り除かれることがある。例えば、特許文献1には、幅方向両端部を把持して延伸したフィルムの耳処理方法について、フィルム端部の把持部分以外をニップロールで挟んで搬送する方法が記載されており、強度が低く破断しやすいフィルムに効果的であるとされている。また、特許文献2においては、耳屑を風送する方法が記載されている。
特開2012−131208号公報 特開2003−291091号公報
従来の方法では、例えば特許文献1の方法では、ニップ部分での破断は防ぐことができるものの、人手で作業する耳部分の屑巻きを交換する際などにオペレーションミスを誘発してしまう可能性がある。また、特許文献1、2共に、ニップロールに至るまでの区間で破断が生じた場合には復旧が困難であるだけでなく、最悪の場合ライン停止処置など生産性を低下させてしまう恐れがある。
本発明は長尺の樹脂フィルム製品を製造するため、フィルムの幅方向端部の非製品部分を長時間安定的に切り取って回収する方法を提供することを目的とする。
本発明は、長尺の樹脂フィルムの幅方向のフィルム端部の処理方法であって、長尺の樹脂フィルムの幅方向の端部をフィルムの進行方向に連続して切断し、切断された帯状の端部を、両軸共に1つ以上の回転刃を有する異方向噛み合い2軸裁断機に導入して、帯状の端部を裁断するフィルム端部処理方法である。
本発明の処理方法は、前記2軸裁断機において、軸方向から見て、両軸の回転刃同士が重なる部分を有するように配置された2軸裁断機を用いることが好ましい。
本発明の処理方法は、前記切断された帯状の端部を、駆動部を有するニップロールで挟持した後、前記2軸裁断機に導入することが好ましい。
本発明の処理方法は、前記2軸裁断機にて裁断された端部片は、輸送して回収することが好ましい。
本発明の処理方法は、前記端部片の輸送手段は、空気輸送であることが好ましい。
本発明の処理方法は、前記長尺の樹脂フィルムが、テンター延伸工程を経た延伸樹脂フィルムであることが好ましい。
本発明のフィルムの製造方法は、上記フィルム端部の処理方法を有するフィルムの製造方法である。
本発明のフィルム端部の処理方法により、長尺フィルムの流れ方向端部を切り取る際の安定性が増すため連続生産性が向上する。
本発明のフィルム端部の処理方法の一例を示す模式図である。 本発明のフィルム端部の処理方法の別の一例を示す模式図である。 本発明のフィルム端部を切断(トリミング)する装置構成の一例を示す図である。 図2のスプリットロールの一例を示す模式図である。 本発明の異方向噛み合い2軸裁断機に用いられる回転刃の一例を示す模式図である。 実施例において実施した方法を説明するための模式図である。 実施例において実施した方法を説明するための模式図である。 実施例において実施した方法を説明するための模式図である。 比較例において実施した方法を説明するための模式図である。 比較例において実施した方法を説明するための模式図である。
本明細書における「熱可塑性樹脂」(あるいは単に「樹脂」)は「重合体」よりも広い概念である。樹脂は1種または2種以上の重合体を含んでもよいし、必要に応じて、重合体以外の材料、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、フィラー、相溶化剤、安定化剤のような添加剤を含んでもよい。
以下に、実施形態の一例を示して本発明について詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で任意に変更して実施してもよい。以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明のフィルム端部の処理方法は、長尺の樹脂フィルムの幅方向の端部をフィルムの進行方向に連続して切断(トリミング)し、切断された帯状の端部を、両軸共に1つ以上の回転刃を有する異方向噛み合い2軸裁断機に導入して、帯状の端部を裁断する処理方法である。
図1に示す例では、連続的に流れている帯状の樹脂フィルム1がインライントリミング設備(上刃21、および下刃22)において製品フィルム2と帯状の幅方向のフィルム端部(耳部分)3a,3bに分けられている様を示している。製品フィルム2は下流のワインダー設備(図示せず)にて巻き取られ、製品フィルムロールとなり、耳部分3a,3bは回転刃を有する異方向噛み合い2軸裁断機31、32にて裁断され、回収設備41(ダクト入口部分のみ図示)にて回収される。
本発明のフィルム端部の処理方法において、前記2軸裁断機は軸方向から見て、両軸の回転刃同士が重なる部分を有するように配置されていることが好ましい。このような配置とすることにより、フィルム端部の走行と破砕を同時に行えることから、フィルム端部の裁断効率が良くなる。
異方向噛み合い2軸裁断機31、32に用いられる回転刃は、図5に示すような鉤爪を有する刃や鋸丸刃、シュレッダー刃、脱穀機のように軸に複数の針が生えた構造等、取り除いた端部3a,3bの走行と破砕を同時に行える形状のものであれば特に制限はない
本発明のフィルム端部の処理方法においては、取り除いた端部3a,3bを両軸共に1つ以上の回転刃を有する異方向噛み合い2軸裁断機に導入するため、取り除いた端部3a,3bが途中で破断しても、取り除いた端部3a,3bが走行途中に溜まったり、搬送ロールに巻き込まれたりすることは生じにくい。これは回転刃を有する異方向噛み合い2軸裁断機が端部3a,3bの走行をも受け持つからである。
本発明のフィルム端部の処理方法は、前記裁断された帯状のフィルム端部を、駆動部を有するニップロールで狭持した後、前記2軸裁断機に導入することが好ましい。これは、ニップロール13、14で取り除いた端部3a,3bを挟み込み、流れ方向に搬送張力をかけることによってトリミング部分でのたるみが防止され、トリミングの安定性が向上するためである。なお、トリミング部とニップロール13,14との間、或いは、ニップロール13,14と異方向噛み合い2軸裁断機との間に、ガイドロールはできるだけ設けないことが好ましい。つまり、取り除いた端部3a,3bはできるだけ速やかにニップロール13,14を介して異方向噛み合い2軸裁断機に導入することが好ましく、図3のように樹脂フィルム2のみをガイドロールによって端部3a,3bと異なる方向に走行させ、端部3a,3bはニップロール13、14を介した後自重によって破断しない程度の距離を自然落下させて異方向噛み合い2軸裁断機で処理することが好ましい。
また、ニップロール13、14においては、エッジビード部或いはテンター延伸によって生じた幅方向端部のクリップ把持部分を除いてニップすることが好ましい。つまり、前記ガイドロールでの破断防止同様、エッジビード部或いはテンター延伸によって生じた幅方向端部のクリップ把持部分からの破断を防止するためである。
ニップロール13、14の材質は、一般には、その目的により金属やゴム材料など各種の素材が用いられる。例えばニップロール13の材質が金属である場合には、密着性の観点から、ニップロール14にはシリコーンゴムやアクリロニトリルブタジエンゴムを代表とする弾力性のあるゴム材料を用いることが好ましい。また、取り除いた端部3a,3bに発生する静電気を防止する為に、ゴム材料にカーボンブラック等を含ませることにより、導電性を付与してもよい。
<トリミング>
本発明のフィルム端部の処理方法は、例えば溶融押出成形時に形成されたエッジビード部を取り除く際、溶液製膜時に溶液をベースフィルムやドラム、エンドレスベルト等にキャストされる際の端部、特に溶液が端部まで均一に伸び広がらないことによる膜厚不良部分、テンター延伸によって生じた幅方向端部のクリップ把持部分の除去、或いは最終製品のフィルム幅を調整する際のトリミング等に使用できる。
別の一例である図2では、製品フィルム2と帯状の幅方向のフィルム端部(耳部分)3a,3bはスプリットロール23にて走行方向が分離される図を示す。スプリットロール23にはシアーカッターの下刃が組み込まれており(図示せず)、上刃21と組み合わされ、スプリットロール23上にてトリミングを行う。
図1に示す例を、図3にてさらに詳しく説明する。図3は、図1の例示を別の方向から見た図である。図3において、トリミング部の上流にあるガイドロール11の幅は、樹脂フィルムの幅よりも狭い。これは、特に溶融押出成形時に形成されたエッジビード部を取り除く際やテンター延伸によって生じた幅方向端部のクリップ把持部分の除去を行う際に好ましい。エッジビード部分は、フィルムの幅方向センター部分に対し厚いため、エッジビード部を有するフィルムは、曲げると割れやすい、また、クリップ把持部分は、延伸されたフィルムの幅方向センター部分に比べ平面性が悪く非常に脆い。このため、これらの部分をガイドロールに接触させないことで、フィルムの破断を防ぐことができる。
なお、図2に例示するような下刃を有するスプリットロール23上にてトリミングを行う場合も、図4に示すようにフィルムの幅よりもロール幅を狭くすることが好ましい。
ガイドロール11および下刃を有するスプリットロール23の狭さの程度は、樹脂フィルム1を構成する熱可塑性樹脂組成物の種類、エッジビード部の厚み、および延伸時にクリップによって把持されていた部分の変形の程度によってフィルム破断の起こりやすさが異なることから、当該組成物の種類および望まれるフィルム破断抑制の程度に応じて設定できる。
例えば、エッジビード部を未延伸フィルムの端部から除去する場合には、エッジビード部が当該ロールに接触しない幅である。また、幅方向端部をクリップで把持して延伸したフィルムからクリップ把持部分を除去する場合には、クリップ把持部分が当該ロールに接触しない幅である。例えば、クリップアウトの時点における樹脂フィルムに対する左右2列のクリップ間の距離よりも小さい幅である。当該ロールの幅は、例えば、当該左右2列のクリップ間の距離よりも60〜400mm小さく、100〜300mm小さいことが好ましい。樹脂フィルム1の幅方向の中央とロールの幅方向の中央とが一致するように、樹脂フィルム1を当該ロールに搬送し、通過させることがさらに好ましい。
図3では、カッター(上刃21、下刃22)を用いてトリミングを実施している例を示しているが、トリミングには、その他の手段を用いてもよい。カッターであれば、レザー刃や丸刃などの金属刃を用いるもの、レーザーなどの高エネルギー線を用いるものなど種類を問わないが、せん断で樹脂フィルムをカットするシアーカッターが好ましい。なお、シアーカッターにおける「上刃」「下刃」の各名称は、それぞれ刃の配置に関する物理的な上下の関係を意味しない。上刃を下方に、下刃を上方に配置して樹脂フィルム1をトリミングしてもよい。上刃は「薄刃」と、下刃は「厚刃」と、それぞれ称されることがある。
樹脂フィルムをトリミングした後、トリミングによって取り除かれた端部3a,3bは、端部3a,3bが取り除かれた樹脂フィルム2の走行方向と同じ方向に走行させてもよいが、図1、2に示す例のように、樹脂フィルム2の走行方向とは異なる方向に走行させることが好ましい。異なる方向への走行は、例えば、樹脂フィルム2の幅方向に、取り除いた端部3a,3bを当該フィルム2から引き離す走行である(図示せず)。また別の方法は、例えば、図1、2に示す例のように、樹脂フィルム2が走行する平面とは異なる平面に、取り除いた端部3a,3bが搬送される走行である。図1、2では樹脂フィルム2のみをガイドロール12によって取り除いた端部3a,3bとは異なる方向へ走行させる例を示してある。このように、樹脂フィルム2の走行方向と取り除いた端部3a,3bの走行方向を異方向とすることで、一度取り除いた端部3a,3bが樹脂フィルム2に干渉する(例えば、乗り上げる)ことによる、当該フィルム2の破断が抑制される。
<回収設備>
本発明のフィルム端部の処理方法は、前記2軸裁断機にて、裁断された端部片を輸送して回収することが好ましい。回収設備41は、回転刃を有する異方向噛み合い2軸裁断機31、32によって裁断された端部3a,3bを収集して回収する装置である。図1、2には裁断された端部3a,3bが飛び散らないように確実に収集するためのダクト入口部分のみを図示しているが、この先には搬送のための配管、吸引のためのブロワ、消音器、裁断された端部3a,3bをさらに細かく破砕するためのカッター、サイクロン等のセパレーター、細かく破砕された端部3a,3bを収集しておくためのサイロ、細かく裁断・破砕された端部3a,3bを除去したエアーをろ過するフィルター等、適宜配置する事ができる。裁断された端部3a,3bをさらに細かく破砕するためのカッターは、端部3a,3bを安定的に長距離輸送するために併用することが好ましく、ラインカッター、ブロアーカッター、ロータリーカッターなどが好適である。
なお、裁断・破砕した端部3a,3b片を輸送する手段は空気輸送である事が好ましく、図1、2に図示しているダクト入り口部分内部は負圧とし、端部3a,3bを裁断する際の切りくず等が飛び散らないよう吸い込むことが好ましい。また、本発明のフィルム端部の処理方法およびフィルムの製造方法をクリーンルーム等密閉された空間で行う場合、端部3a,3b片を輸送した空気は、クリーンルーム等密閉された空間内へ循環させることが、圧力管理等の観点から好ましい。その際、端部3a,3b片由来の異物を除去するために、HEPAフィルター等のフィルターを介してクリーンルーム内に循環することが好ましい。
<フィルムの製造方法>
本発明のフィルムの製造方法は、上記フィルム端部の処理方法を有するフィルムの製造方法である。本発明に用いられる樹脂フィルムの具体的な例であるアクリル樹脂、スチレン系樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース誘導体は、透明性や複屈折性の観点から光学フィルムとして好適に使用される。このため、本発明に用いられる樹脂フィルムはクリーンルーム等浮遊粒子数が少ない環境下で製膜・加工されることが好ましい。
本発明のフィルムの製造方法は、アメリカ連邦規格Fed.Std.209Dにて規定されているクラス1〜10000のクリーンルーム内で実施することが好ましく、クラス10〜1000であることがより好ましい。
また、これらの樹脂フィルムを加工するに当たって、クリーン度が悪化しないことが好ましい。クリーン度の度合いとしては、例えば0.01CF(キュービックフィート)中の0.3μm以上の浮遊異物数は50個以下を維持することが好ましい。30個以下を維持することがより好ましく、10個以下を維持することがさらに好ましい。
また、上記樹脂フィルムのうちアクリル樹脂およびスチレン系樹脂が比較的硬くて脆い。このため、樹脂フィルムがアクリル樹脂および/またはスチレン系樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物のフィルムである場合に、本発明の効果がより顕著となる。つまり、樹脂フィルムの破断が抑制されることにより、樹脂フィルム破断による切粉の発散、復旧作業時の発塵によるクリーン度の低下を抑制することができ、フィルムの生産性および歩留まり向上に好適である。
樹脂フィルムを製造する方法は特に限定されない。樹脂フィルムは、例えば、溶液製膜法(溶液流延法、キャスト成形法)、溶融製膜法(溶融押出法、押出成形法)、プレス成形法のような公知の手法により製造できる。なかでも、環境負荷が小さく生産性に優れる観点から、溶融製膜法による樹脂フィルムの製造が好ましい。
溶液製膜法では、例えば、樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂組成物と良溶媒とを撹拌混合して均一な混合液とし、得られた混合液を支持フィルムまたはドラムにキャストしてキャスト膜を形成し、形成したキャスト膜を予備乾燥して自己支持性を有するフィルムとし、このフィルムを支持フィルムまたはドラムから剥がして乾燥し、樹脂フィルムを形成する。樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂組成物は、必要ならば添加剤のような材料を含む。これは、他の製膜法においても同じである。溶液製膜法に用いられる溶媒は、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンのような塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼンおよびこれらの混合溶媒のような芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールのようなアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、2−ブタノン、酢酸エチル、ジエチルエーテル;である。溶媒として、これらの1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。溶液製膜法を実施する装置は、例えば、ドラム式キャスティングマシン、ベルト式キャスティングマシンである。
溶融製膜法では、例えば、樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂組成物の各成分をオムニミキサーのような混合機を用いてプレブレンドし、得られた混合物を混練機により混練した後、押出成形して樹脂フィルムを形成する。別途形成した熱可塑性樹脂組成物を溶融押出成形して樹脂フィルムを形成してもよい。混練機は特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機、加圧ニーダーのような公知の混練機である。
押出成形は、例えば、Tダイ法、インフレーション法である。押出成形の温度(成形温度)は、好ましくは200〜350℃、より好ましくは250〜300℃、さらに好ましくは255℃〜300℃、特に好ましくは260℃〜300℃である。Tダイ法によれば、押出機の先端部にTダイを取り付け、当該Tダイから押し出して得たフィルムを巻き取ることによって、ロールに巻回した樹脂フィルムロールが得られる。
押出成形に用いる押出機の種類は特に限定されず、単軸、二軸、多軸のいずれの押出機も使用しうる。熱可塑性樹脂組成物を十分に可塑化して良好な混練状態を得るために、押出機のL/D値(Lは押出機のシリンダの長さ、Dはシリンダ内径)は、好ましくは10以上100以下であり、より好ましくは15以上80以下であり、さらに好ましくは20以上60以下である。L/D値が10未満の場合、熱可塑性樹脂組成物が十分に可塑化されず、良好な混練状態が得られないことがある。L/D値が100を超える場合、熱可塑性樹脂組成物に対して過度に剪断発熱が加わることにより、樹脂組成物に含まれる樹脂が熱分解することがある。
押出機のシリンダの設定温度は、好ましくは200℃以上300℃以下であり、より好ましくは250℃以上300℃以下である。シリンダの設定温度が200℃未満の場合、熱可塑性樹脂組成物の溶融粘度が過度に高くなり、樹脂フィルムの生産性が低下しやすい。シリンダの設定温度が300℃を超える場合、樹脂組成物に含まれる樹脂が熱分解することがある。
押出機の形状は、特に限定されない。押出機は、1個以上の開放ベント部を有することが好ましい。この場合、押出機の開放ベント部から分解ガスを吸引でき、得られた樹脂フィルムに残存する揮発成分の量が低減する。開放ベント部から分解ガスを吸引するためには、例えば、開放ベント部を減圧状態にすればよい。減圧状態にある開放ベント部の圧力は、1.3〜931hPaが好ましく、13.3〜798hPaがより好ましい。開放ベント部の圧力が931hPaより高いと、揮発成分ならびに樹脂の分解により発生する単量体成分が熱可塑性樹脂組成物中に残存しやすい。開放ベント部の圧力を1.3hPaより低く保つことは、工業的に困難である。
樹脂フィルムの製造には、ポリマーフィルターにより濾過した熱可塑性樹脂組成物を使用することが好ましい。ポリマーフィルターを用いた濾過により、樹脂組成物中に存在する異物が除去され、得られた延伸樹脂フィルムの欠点(光学欠点、外観上の欠点)が低減される。濾過は、溶液濾過または溶融濾過である。
溶融濾過の際、樹脂組成物は高温の溶融状態となる。ポリマーフィルターを通過する際に樹脂組成物に含まれる成分が劣化すると、劣化により発生したガス成分あるいは着色劣化物が流れ出し、得られた樹脂フィルムに、穴あき、流れ模様、流れスジのような欠点が観察されることがある。これらの欠点は、特に、樹脂フィルムの連続成形時に観察されやすい。溶融濾過時の樹脂組成物の劣化は、樹脂組成物の溶融粘度を低下させ、ポリマーフィルターにおける樹脂組成物の滞留時間を短くすることによって防ぐことができる。この観点から、ポリマーフィルターにより溶融濾過した樹脂組成物の成形温度は、例えば、255〜320℃であり、260〜300℃が好ましい。
ポリマーフィルターの構成は特に限定されない。ハウジング内に多数枚のリーフディスク型フィルターを配したポリマーフィルターが好適に用いられる。リーフディスク型フィルターの濾材は、金属繊維不織布を焼結したタイプ、金属粉末を焼結したタイプ、金網を数枚積層したタイプ、またはそれらを組み合わせたハイブリッドタイプのいずれであってもよく、なかでも、金属繊維不織布を焼結したタイプが最も好ましい。
ポリマーフィルターの濾過精度は特に限定されないが、通常15μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。濾過精度が1μm以下の場合、ポリマーフィルターにおける樹脂組成物の滞留時間が長くなるため、樹脂組成物に含まれる樹脂が熱劣化しやすい。さらに、樹脂フィルムの生産性も低下する。濾過精度が15μmを超える場合、樹脂組成物中の異物を除去することが難しくなる。
ポリマーフィルターの形状は特に限定されず、例えば、複数の流通口を有し、センターポール内に樹脂組成物の流路を有する内流型;断面が複数の頂点もしくは面においてリーフディスクフィルターの内周面に接し、センターポールの外面に樹脂組成物の流路がある外流型;である。なかでも、樹脂組成物の滞留箇所の少ない外流型が好ましい。
ポリマーフィルターにおける樹脂組成物の滞留時間は、好ましくは20分以下、より好ましくは10分以下、さらに好ましくは5分以下である。濾過時におけるフィルター入口圧および出口圧は、例えば、それぞれ3〜15MPaおよび0.3〜10MPaであり、圧力損失(フィルターの入口圧と出口圧の圧力差)は、1MPa〜15MPaが好ましい。圧力損失が1MPa以下の場合、樹脂組成物がフィルターを通過する流路に偏りが生じやすく、得られたフィルムの品質が低下する傾向がある。圧力損失が15MPaを超えると、ポリマーフィルターの破損が起こり易くなる。
ポリマーフィルターに導入される樹脂組成物の温度は、その溶融粘度に応じて適宜設定すればよく、例えば250〜300℃であり、好ましくは255〜300℃であり、さらに好ましくは260〜300℃である。
ポリマーフィルターを用いた溶融濾過により、異物および着色物の少ない樹脂フィルムを得るための具体的な手順は、特に限定されない。例えば、(1)クリーン環境下で樹脂組成物の形成および濾過処理を行い、引き続いてクリーン環境下で成形を行うプロセス、(2)異物または着色物を有する樹脂組成物をクリーン環境下で濾過処理した後、引き続いてクリーン環境下で成形を行うプロセス、(3)異物または着色物を有する樹脂組成物を、クリーン環境下で濾過処理すると同時に成形を行うプロセス、が採用される。それぞれの工程毎に、複数回、濾過処理を実施してもよい。
ポリマーフィルターによって樹脂組成物を溶融濾過する際には、押出機とポリマーフィルターとの間にギアポンプを設置して、フィルター内の樹脂組成物の圧力を安定化させることが好ましい。
<樹脂フィルム>
本発明の適応対象となる樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂組成物が含む樹脂(重合体)は特に限定されない。当該樹脂は、例えば、具体的な例は、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース誘導体である。
本発明に用いる樹脂フィルムは、2以上の熱可塑性樹脂層が積層された構造を有していてもよく、その表面には、熱可塑性樹脂の層ではない機能性層を設けてもよい。機能性層は、例えば、ハードコート層、易接着層、帯電防止層、反射防止層、防眩層、粘接着剤層、紫外線吸収層、熱線吸収層およびアンチブロッキング層である。2以上の機能性層が積層して設けられていてもよい。
樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂組成物が主鎖に環構造を有する樹脂を含む場合、環構造の立体障害によって主鎖が剛直となり樹脂フィルムが比較的硬く脆くなりやすい。このため、本発明の効果がより顕著となる。
主鎖に環構造を有する樹脂はアクリル樹脂であってもよく、すなわち、本発明の適応対象となる樹脂フィルムは、主鎖に環構造を有するアクリル樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物のフィルムであってもよい。主鎖に環構造を有するアクリル樹脂は、主鎖に環構造を有さないアクリル樹脂に比べて、さらに硬くて脆い傾向を有する。また、他の樹脂に比べて、同程度のフィルム強度を得るためには強く延伸する必要がある。このため、延伸樹脂フィルムの製造時に破断が生じやすいし、幅方向端部の耳部分を除去する際の破断も発生しやすい。すなわち、樹脂フィルムが主鎖に環構造を有するアクリル樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物のフィルムである場合(主鎖に環構造を有するアクリル樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物の延伸樹脂フィルムを製造する場合)に、本発明の製造方法による効果がさらに顕著となる。
なお、樹脂フィルムは連続的に流れている帯状であれば特に限定されない。溶液製膜法(溶液流延法、キャスト成形法)、溶融製膜法(溶融押出法、押出成形法)、圧延プレス成形法のような公知の手法により製造・作成されたフィルムロールを連続的に用いてもよいし、一旦ロール状に巻き取った後に再度繰り出してから用いてもよい。また、延伸状態についても特に規定されず、未延伸フィルムであっても延伸フィルムであってもよい。延伸フィルムの場合、縦延伸、横延伸或いは斜め延伸を施した一軸延伸フィルムであっても、縦横逐次、或いは同時二軸延伸を施した二軸延伸フィルムであってもよい。なお、本明細書における「斜め延伸」とは、帯状の樹脂フィルムに対して、その長手方向に対して90°未満傾いた方向への延伸、例えばその長手方向に対して10°〜80°、典型的な例としては40°〜50°、好ましくは43°〜47°、より好ましくは44°〜46°傾いた方向への延伸をいう。
樹脂フィルムの延伸は、公知の方法に従えばよい。一つの実施形態では、樹脂フィルムの双方の長辺縁部をテンター横延伸機の一対のクリップ群によって把持し、クリップの走行移動に伴って当該一対のクリップ群間の間隔を広げることにより、樹脂フィルムをその幅方向に延伸する。別の実施形態では、樹脂フィルムの双方の長辺縁部を同時二軸延伸機の一対のクリップ群によって把持し、クリップを走行移動させることによって、樹脂フィルムをその幅方向に延伸するとともに、当該フィルムをその流れ方向(長手方向)に延伸するまたは収縮させる。また別の実施形態では、樹脂フィルムの双方の長辺縁部を同時二軸延伸機またはそれに類する装置の一対のクリップ群によって把持し、クリップを走行移動させることによって、樹脂フィルムをその幅方向に延伸することなく、その流れ方向に延伸する。これらの方法は、樹脂フィルムを斜め延伸する場合にも適用できる。また、例えば加熱処理、機能性材料の塗工、表面処理などの各種加工処理を行った後の樹脂フィルムであってもよい。
アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単位を、全構成単位の50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上有する樹脂である。ただし、アクリル樹脂が、(メタ)アクリル酸エステル単位の誘導体である環構造を含む場合、当該環構造の含有率も(メタ)アクリル酸エステル単位の含有率に含まれる。アクリル樹脂は、透明度が高く、表面強度などの機械的特性に優れる。アクリル樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物の樹脂フィルムを用いることにより、延伸樹脂フィルムとして、例えば、LCDなどの画像表示装置への使用に好適な光学フィルムが得られる。
シクロオレフィン樹脂は、シクロオレフィン単位を、全構成単位の50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上有する樹脂である。セルロース誘導体は、トリアセチルセルロース(TAC)単位、セルロースアセテートプロピオネート単位、セルロースアセテートブチレート単位、セルロースアセテートフタレート単位などの繰り返し単位を、全構成単位の50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上有する樹脂である。シクロオレフィン樹脂およびセルロース誘導体は、主鎖に環構造を有する。
スチレン系樹脂は、スチレン単位、α−メチルスチレン単位、α−ヒドロキシメチルスチレン単位、α−ヒドロキシエチルスチレン単位などのスチレンおよびその誘導体に由来する構成単位を、全構成単位の50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上有する樹脂である。スチレン系樹脂は、例えば、ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体である。
ポリエステル樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートである。
樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂組成物は、これらの樹脂を2種類以上含んでもよい。ただし、得られた延伸樹脂フィルムを光学用途に使用する場合には、光学的に透明なフィルムを得るために樹脂同士の相溶性を考慮する必要がある。例えば、樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂組成物が主鎖に環構造を有するアクリル樹脂を含む場合、当該アクリル樹脂との相溶性の観点から、同時に含む樹脂はスチレン−アクリロニトリル共重合体であることが好ましい。
主鎖に環構造を有するアクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構成単位と環構造とを含む。当該アクリル樹脂における(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構成単位と環構造との含有率の合計は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%、特に好ましくは95質量%以上、最も好ましくは99質量%以上である。環構造の含有率は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。環構造の含有率が40質量%を超えると、そのような環構造の含有率を有する樹脂の形成が難しくなったり(環化反応を進行させる際にゲルが生じやすくなる)、当該樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物の成形性およびハンドリング性が低下して、樹脂フィルムの生産性が低下したりすることがある。
(メタ)アクリル酸エステル単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどの単量体に由来する構成単位である。アクリル樹脂は、これらの構成単位を2種類以上有していてもよい。アクリル樹脂はメタクリル酸メチル(MMA)単位を有することが好ましく、この場合、得られた延伸樹脂フィルムの熱安定性が向上する。
アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単位以外の構成単位を有していてもよい。当該構成単位は、例えば、水酸基および/またはカルボン酸基を有する構成単位である。水酸基および/またはカルボン酸基を有する構成単位は、その種類によっては、重合後の環化反応によって樹脂の主鎖に位置する環構造に変化する。アクリル樹脂には、環構造に変化しなかった未反応のこれらの構成単位が残ることがある。水酸基を有する構成単位は、例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチルの各単量体に由来する構成単位である。カルボン酸基を有する構成単位は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸の各単量体に由来する構成単位である。アクリル樹脂は、これらの構成単位を2種類以上有していてもよい。
アクリル樹脂が有してもよい、(メタ)アクリル酸エステル単位以外のさらなる構成単位は、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタリルアルコール、アリルアルコール、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、酢酸ビニル、2−ヒドロキシメチル−1−ブテン、メチルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾールの各単量体に由来する構成単位である。アクリル樹脂は、これらの構成単位を2種類以上有していてもよい。
環構造の種類は特に限定されず、例えば、ラクトン環構造、無水グルタル酸構造、グルタルイミド構造、マレイミド構造および無水マレイン酸構造から選ばれる少なくとも1種である。なかでも、成形時における耐熱性の観点から、ラクトン環構造、グルタルイミド構造およびマレイミド構造から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
アクリル樹脂が主鎖に有していてもよいラクトン環構造は特に限定されず、例えば、4から8員環であってもよいが、環構造の安定性に優れることから5員環または6員環であることが好ましく、6員環であることがより好ましい。6員環であるラクトン環構造は、例えば、特開2004−168882号公報に開示されている構造であるが、前駆体の重合収率が高いこと、前駆体の環化反応により、高いラクトン環含有率を有するアクリル樹脂が得られること、MMA単位を構成単位として有する樹脂を前駆体にできること、などの理由から以下の式(1)に示される構造が好ましい。
Figure 2014097561
式(1)において、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1から20の有機残基である。有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。
式(1)における有機残基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基のような炭素数1から20の範囲のアルキル基;エテニル基、プロペニル基のような炭素数2から20の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、ナフチル基のような炭素数6から20の芳香族炭化水素基である。上記アルキル基、不飽和脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基は、水素原子の一つ以上が、水酸基、カルボキシル基、エーテル基およびエステル基から選ばれる少なくとも1種の基により置換されていてもよい。
アクリル樹脂が主鎖にラクトン環構造を有する場合、当該樹脂におけるラクトン環構造の含有率は特に限定されない。含有率は、例えば5〜90質量%であり、好ましくは10〜80質量%であり、より好ましくは10〜70質量%であり、さらに好ましくは20〜60質量%である。アクリル樹脂における環構造の含有率が過度に小さくなると、得られた延伸樹脂フィルムにおいて、環構造の存在により期待される特性、例えば、耐熱性、耐溶剤性、表面硬度および光学特性が不十分となることがある。環構造の含有率が過度に大きくなると、アクリル樹脂および当該樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物の成形性およびハンドリング性が低下して、樹脂フィルムおよび延伸樹脂フィルムの生産性が低下する。
アクリル樹脂におけるラクトン環構造の含有率は、公知の方法により評価できる。具体的には、例えば、アクリル樹脂に対してダイナミックTG測定を実施し、150℃から300℃に加熱したときの重量減少率(実測重量減少率)を求める。この重量減少率は、評価対象であるアクリル樹脂に残留する水酸基の量に対応する。150℃は、アクリル樹脂に残留する未反応の(環化しなかった)水酸基が再び環化反応を開始する温度であり、300℃はアクリル樹脂が分解を始める温度である。この実測重量減少率と、環化反応前の前駆体が有する全ての水酸基(前駆体の組成から算出できる)が脱アルコール環化反応したと仮定したときの理論重量減少率とから、ラクトン環構造の含有率を算出できる。すなわち、ラクトン環構造を有するアクリル樹脂のダイナミックTG測定において、150℃から300℃までの間の実測重量減少率(X)の測定を行う。これとは別に、当該樹脂の組成から、その組成に含まれる全ての水酸基がラクトン環の形成(脱アルコール環化反応)に関与すると仮定したときの理論重量減少率(Y)を求める。理論重量減少率(Y)は、より具体的には、樹脂中の脱アルコール環化反応に関わる構造(水酸基)を有する単量体のモル比、すなわち当該単量体の含有率から算出できる。これらの値X,Yを式{1−(実測重量減少率(X)/理論重量減少率(Y))}×100(%)に代入して、脱アルコール反応率Aが得られる。次に、求めた脱アルコール反応率Aに対応する割合で環化反応が進行したと仮定して、式B×A×MR/Mmにより、ラクトン環の含有率が求められる。Bは、前駆体(ラクトン環化反応が進行する前の樹脂)における、上記水酸基を有する単量体の含有率であり、MRは、環化反応により形成されるラクトン環構造の式量であり、Mmは、上記水酸基を有する単量体の分子量であり、Aは、脱アルコール反応率である。
主鎖に環構造を有するアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは8万以上、より好ましくは10万以上である。分子量の分散度は、好ましくは3.5以下であり、より好ましくは3以下である。これらの場合、アクリル樹脂に存在する分岐構造が少なく、加工時の熱安定性が向上するとともに、得られた延伸樹脂フィルムの強度および外観が向上する。Mwおよび分散度は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)を用いてポリスチレン換算により求めることができる。分散度は、樹脂の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnである。Mnも、GPCを用いて求めることができる。
主鎖に環構造を有するアクリル樹脂のガラス転移温度Tgは、例えば、110℃以上であり、115℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。一方、Tgが200℃を越えると、溶融製膜が困難になるなど、フィルムへの成形性およびフィルムの延伸性が低下する。主鎖に環構造を有さない一般的なアクリル樹脂のTgは100℃程度である。
主鎖に環構造を有するアクリル樹脂は、公知の方法により製造できる。環構造が無水グルタル酸構造またはグルタルイミド構造であるアクリル樹脂は、例えば、WO2007/26659号公報またはWO2005/108438号公報に記載されている方法により製造できる。環構造が無水マレイン酸構造またはN−置換マレイミド構造であるアクリル樹脂は、例えば、特開昭57−153008号公報または特開2007−31537号公報に記載されている方法により製造できる。環構造がラクトン環構造であるアクリル樹脂は、例えば、特開2006−96960号公報、特開2006−171464号公報または特開2007−63541号公報に記載されている方法により製造できる。
樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂組成物のTgは、例えば、110℃以上であり、115℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。一方、Tgが200℃を越えると、溶融製膜が困難になるなど、フィルムへの成形性およびフィルムの延伸性が低下する。
樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂組成物は、上述した以外の他の樹脂を含んでいてもよい。熱可塑性樹脂における当該樹脂の含有率は、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜25質量%、さらに好ましくは0〜10質量%である。当該樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)のようなオレフィン系ポリマー;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂のような含ハロゲン系ポリマー;ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートのような生分解性ポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610のようなポリアミド;ポリアセタール;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルニトリル;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシペンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴムまたはアクリル系ゴムを配合したABS樹脂またはASA樹脂のようなゴム質重合体;である。ただし、得られた延伸樹脂フィルムを光学用途に使用する場合には、光学的に透明なフィルムを得るために樹脂同士の相溶性を考慮する必要がある。樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂組成物が主鎖に環構造を有するアクリル樹脂を含む場合、当該アクリル樹脂との相溶性の観点から、ゴム質重合体は、当該アクリル樹脂と相溶し得る組成を有するグラフト部を表面に有することが好ましい。また、光学的に透明なフィルムを得るためには、ゴム質重合体の平均粒子径は、例えば、400nm以下であり、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは100nm以下であり、さらに好ましくは70nm以下である。
樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂組成物は、複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する樹脂を含んでいてもよい。この場合、熱可塑性樹脂組成物の組成によっては、得られた延伸樹脂フィルムが示す光学特性、具体的には複屈折の波長分散性、の制御の自由度が高くなり、例えば、延伸樹脂フィルムとして逆波長分散性を示す位相差フィルムが得られる。逆波長分散性は、少なくとも可視光域において、波長が短くなるほど複屈折が小さくなる(位相差が小さくなる)波長分散性である。複素芳香族基は、例えば、カルバゾール基、ピリジン基、チオフェン基およびイミダゾール基から選ばれる少なくとも1種である。複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位は、例えば、N−ビニルカルバゾール単位、ビニルピリジン単位、ビニルチオフェン単位およびビニルイミダゾール単位から選ばれる少なくとも1種である。なかでも、N−ビニルカルバゾール単位が好ましく、この場合、位相差フィルムが良好な逆波長分散性を示しうる。逆波長分散性を示す位相差フィルムによって、例えば、高い反射防止効果を示す楕円偏光板が実現する。
複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する樹脂は、主鎖に環構造を有するアクリル樹脂であってもよい。樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂組成物は、主鎖に環構造を有するアクリル樹脂とは異なる樹脂として、複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する樹脂を含んでもよい。
逆波長分散性を示す位相差フィルムは、主鎖に環構造を有するアクリル樹脂と、複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する樹脂とを樹脂フィルムが同一の層に含む場合だけではなく、双方の樹脂を別々の層に含む場合(各樹脂を含む層の積層構造を有する場合)にも実現できる。
樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂組成物は、公知の添加剤を含んでもよい。添加剤は、例えば、紫外線吸収剤;酸化防止剤;位相差上昇剤および位相差低減剤のような位相差調整剤;位相差安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤および熱安定剤のような安定剤;ガラス繊維および炭素繊維のような補強材;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェートおよび酸化アンチモンのような難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤に代表される帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料のような着色剤;有機フィラー、無機フィラー;樹脂改質剤;アンチブロッキング剤;マット剤;酸補足剤;金属不活性化剤;可塑剤;滑剤;難燃剤;ASAおよびABSのようなゴム質重合体;その他、延伸樹脂フィルムの光学特性および/または機械的特性を調整する材料である。添加剤の添加量は、例えば、0〜10質量%であり、好ましくは0〜5質量%であり、より好ましくは0〜2質量%であり、さらに好ましくは0〜0.5質量%である。
樹脂フィルムの幅方向の端部に、ナーリング加工のような機能性加工を施してもよい。機能性加工は、樹脂フィルムの破断防止または樹脂フィルムへのアンチブロッキング性の付与を目的とするテープの貼付などである。テープは、例えば、積水化学製のタフライトテープ(商品名)である。
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
最初に、本実施例において作製した熱可塑性樹脂の評価方法を示す。
[ガラス転移温度(Tg)]
熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121の規定に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク製、DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温(昇温速度20℃/分)して得られたDSC曲線から、始点法により評価した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
[重量平均分子量]
熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。測定に用いた装置および測定条件は以下の通りである。
システム:東ソー製GPCシステムHLC−8220
測定側カラム構成:
・ガードカラム(東ソー製、TSKguardcolumn SuperHZ−L)
・分離カラム(東ソー製、TSKgel SuperHZM−M)2本直列接続
リファレンス側カラム構成:
・リファレンスカラム(東ソー製、TSKgel SuperH−RC)
展開溶媒:クロロホルム(和光純薬工業製、特級)
展開溶媒の流量:0.6mL/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー製、PS−オリゴマーキット)
カラム温度:40℃
[浮遊粒子数]
パーティクルカウンター(リオン製、KC−01E)にて、0.01CF(キュービックフィート)中の0.3μm以上の浮遊異物数を測定した。
(製造例1)
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応容器に、メタクリル酸メチル(MMA)40重量部、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)10重量部、酸化防止剤としてアデカスタブ2112(ADEKA製)0.025重量部および重合溶媒としてトルエン50重量部を仕込んだ。次に、反応容器に窒素ガスを導入しながら105℃まで昇温し、昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、商品名:ルペロックス570)0.05重量部を添加した。これと同時に上記ターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート0.10重量部の滴下を開始し、これを2時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の還流下で溶液重合を進行させた。滴下終了後、反応容器を4時間加温し続けて熟成を行った。
次に、このようにして得た重合溶液に、環化反応の触媒としてリン酸ステアリル(堺化学工業製、商品名:Phoslex A−18)0.05重量部を添加し、約90℃〜110℃の還流下で2時間、ラクトン環構造を形成する環化縮合反応を進行させた。
次に、得られた重合溶液を240℃に保持した多管式熱交換器に通して環化縮合反応を完結させた後、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルター(濾過精度5μm)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、樹脂量換算で88重量部/時の処理速度で導入して、重合溶液を脱揮した。用いたベントタイプスクリュー二軸押出機のリアベント数は1個、フォアベント数は4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)とし、第3ベントと第4ベントとの間にサイドフィーダーを配置し、バレル温度は240℃、減圧度は13.3〜400hPa(10〜300mmHg)とした。脱揮の際、イオン交換水を1.3重量部/時の投入速度で第2ベントの後ろから、別途準備しておいた環化触媒失活剤の溶液を0.6重量部/時の投入速度で第3ベントの後ろから、紫外線吸収剤と酸化防止剤との混合溶液を2.7重量部/時の投入速度で第4ベントの後ろから、それぞれ投入した。環化触媒失活剤の溶液として、1.0重量部のオクチル酸カルシウム(日本化学産業製、商品名:ニッカオクチクスカルシウム5質量%)をトルエン1.8重量部に溶解させた溶液を用いた。紫外線吸収剤と酸化防止剤との混合溶液には、フェノール系酸化防止剤(BASFジャパン製、イルガノックス1010)0.1重量部、イオウ系酸化防止剤(ADEKA製、アデカスタブAO−412S)0.1重量部および紫外線吸収剤(BASFジャパン製、チヌビン477)8.55重量部をトルエン3.56重量部に溶解させた溶液を用いた。また、さらに、上記サイドフィーダーから、スチレン−アクリロニトリル共重合体(スチレン単位/アクリロニトリル単位の比率が73質量%/27質量%、重量平均分子量22万)のペレットを、投入速度12重量部/時で投入した。
その後、押出機内にある溶融状態の樹脂を押出機の先端から吐出し、ペレタイザーによりペレット化して、主鎖にラクトン環構造を有するアクリル重合体を主成分(88質量%)とし、スチレン−アクリロニトリル共重合体12質量%をさらに含む、アクリル樹脂(1A)の透明なペレットを得た。このアクリル樹脂のTgは124℃、重量平均分子量は14.9万であった。なお、以下の実施例および比較例において、当該ペレットは60℃の乾燥エアー中で24時間乾燥させた後に使用した。
(製造例2)
攪拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応釜に、メタクリル酸メチル(MMA)229.6重量部、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)33重量部、重合溶媒としてトルエン248.6重量部、酸化防止剤(アデカスタブ2112、ADEKA製)0.138重量部、およびn−ドデシルメルカプタン0.1925重量部を仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。
昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、商品名:ルペロックス570)0.2838重量部を添加するとともに、上記t−アミルパーオキシイソノナノエート0.5646重量部とスチレン12.375重量部を2時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の還流下で溶液重合を進行させ、さらに4時間の熟成を行った。
次に、得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒(環化触媒)として、リン酸ステアリル(堺化学工業製、Phoslex A−18)0.206重量部を加え、約90〜110℃の還流下において2時間、ラクトン環構造を形成するための環化縮合反応を進行させた。
次いで、上記環化縮合反応で得られた重合体溶液を、240℃に加熱した多管式熱交換器を通して環化縮合反応を完結させた後、バレル温度250℃、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個およびフォアベント数4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)、第3ベントと第4ベントとの間にサイドフィーダーが設けられており、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルタ(濾過精度5μm)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に31.2部/時(樹脂量換算)の処理速度で導入し、脱揮を行った。
その際、イオン交換水を0.47部/時の投入速度で第2ベントの後から、別途準備しておいた環化触媒失活剤溶液を0.18部/時の投入速度で第3ベントの後から、紫外線吸収剤溶液を0.59部/時の投入速度で第4ベントの後から、それぞれ投入した。環化触媒失活剤溶液には、失活剤として53.4重量部のオクチル酸カルシウム(日本化学産業製、ニッカオクチクスカルシウム5重量%)を、トルエン124.5重量部に溶解させた溶液を用いた。紫外線吸収剤溶液には、0.66重量部の紫外線吸収剤(ADEKA製、アデカスタブ LA−F70)を、トルエン1.23重量部に溶解させた溶液を用いた。
脱揮完了後、押出機内に残された熱溶融状態にある樹脂を当該押出機の先端からポリマーフィルターにより濾過しながら排出し、ペレタイザーによりペレット化して、ラクトン環構造を主鎖に有する(メタ)アクリル重合体からなるアクリル樹脂の透明なペレット(2A)を得た。ペレット(2A)を構成するアクリル樹脂のTgは121℃、重量平均分子量は13.1万であった。なお、以下の実施例および比較例において、当該ペレットは60℃の乾燥エアー中で24時間乾燥させた後に使用した。
(製造例3)
構成単位としてグルタルイミド単位を有するアクリル樹脂(ダイセル・エボニック製、商品名:プレキシイミド8813、グルタルイミド単位の含有率42質量%)78重量部と、スチレン−アクリロニトリル共重合体(旭化成製、商品名:スタイラックAS783、スチレン単位/アクリロニトリル単位の比率が73質量%/27質量%)22重量部とを、先端部にギアポンプを介してポリマーフィルターが配置された二軸押出機を用いて混練し、主鎖にグルタルイミド環構造を有するアクリル重合体を主成分(78質量%)とし、さらにスチレン−アクリロニトリル共重合体を22質量%含む透明なアクリル樹脂(3A)のペレットを得た。このアクリル樹脂のTgは128℃、重量平均分子量は14.2万であった。なお、以下の実施例および比較例において、当該ペレットは60℃の乾燥エアー中で24時間乾燥させた後に使用した。
(製造例4)
無水グルタル酸構造を主鎖に有するアクリル樹脂(4A)のペレット(住友化学製、スミペックスB−TR)を準備した。アクリル樹脂(4A)のTgは126℃であった。なお、以下の実施例および比較例において、当該ペレットは60℃の乾燥エアー中で24時間乾燥させた後に使用した。
(製造例5)
マレイミド構造を主鎖に有するアクリル樹脂(5A)のペレット(日本触媒製、ポリイミレックスPML203)を準備した。アクリル樹脂(5A)のTgは139℃であった。なお、以下の実施例および比較例において、当該ペレットは60℃の乾燥エアー中で24時間乾燥させた後に使用した。
(製造例6)
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応容器に、MMA40重量部、MHMA10重量部、酸化防止剤としてアデカスタブ2112(ADEKA製)0.025重量部および重合溶媒としてトルエン50重量部を仕込んだ。次に、反応容器に窒素ガスを導入しながら105℃まで昇温し、還流が始まったところで、重合開始剤としてターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、商品名:ルペロックス570)0.05重量部を添加した。これと同時に上記ターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート0.10重量部の滴下を開始し、これを2時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の還流下で溶液重合を進行させた。滴下終了後、反応容器を4時間加温し続けて熟成を行った。
次に、このようにして得た重合溶液に、環化反応の触媒としてリン酸2−エチルヘキシル(堺化学工業製、商品名:Phoslex A−8)0.05重量部を添加し、約90℃〜105℃の還流下で2時間、ラクトン環構造を形成する環化縮合反応を進行させた。次に、得られた重合溶液を熱交換器に通して240℃まで昇温し、先端部にギアポンプを介してリーフディスク型のポリマーフィルター(濾過精度5μm)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、樹脂量換算で70重量部/時の処理速度で導入して、重合溶液を脱揮した。用いたベントタイプスクリュー二軸押出機のリアベント数は1個、フォアベント数は4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)とし、第3ベントと第4ベントとの間にサイドフィーダーを配置し、バレル温度は240℃、減圧度は13.3〜400hPa(10〜300mmHg)とした。脱揮の際、別途準備しておいた酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液を1.05重量部/時の投入速度で第1ベントの後ろから、イオン交換水を1.05重量部/時の投入速度で第2および第3ベントの後ろから、それぞれ投入した。酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液には、5重量部の酸化防止剤(BASFジャパン製、イルガノックス1010)と、環化触媒失活剤として55重量部のオクチル酸亜鉛(日本化学産業製、商品名:ニッカオクチクス亜鉛3.6%)とをトルエン45重量部に溶解させた溶液を用いた。さらに、上記サイドフィーダーから、スチレン−アクリロニトリル共重合体(スチレン単位/アクリロニトリル単位の比率が73質量%/27質量%、重量平均分子量22万)のペレットを、投入速度30重量部/時で投入した。
その後、押出機内にある溶融状態の樹脂を押出機の先端から吐出し、ペレタイザーによりペレット化して、主鎖にラクトン環構造を有するアクリル重合体と、スチレン−アクリロニトリル共重合体とを含み、負の固有複屈折を有するアクリル樹脂(6A)のペレットを得た。このアクリル樹脂のTgは122℃、重量平均分子量は14.6万、MFRは13.6g/10分であった。なお、以下の実施例および比較例において、当該ペレットは60℃の乾燥エアー中で24時間乾燥させた後に使用した。
(製造例7)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器に、MHMA15重量部、MMA27重量部、アクリル酸メチル(MA)10重量部、N−ビニルカルバゾール(NVCz)6重量部、トルエン37重量部およびメタノール2重量部を仕込んだ。次に、反応容器に窒素ガスを導入しながら95℃まで昇温し、還流が始まったところで、重合開始剤としてターシャリーアミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(アルケマ吉富製、商品名:ルペロックス575)0.029重量部を添加した。これと同時に、MHMA15重量部、MMA27重量部、トルエン17重量部およびターシャリーアミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.082重量部の混合物の滴下を開始し、この混合物を8時間かけて滴下しながら、約90℃〜100℃の還流下で溶液重合を進行させた。また、重合開始から5時間経過した時点以降、23.3重量部のトルエンを3時間かけて重合系に滴下し、重合溶液を希釈した。
次に、このようにして得た重合溶液に、環化反応の触媒としてリン酸2−エチルヘキシル(堺化学工業製、商品名:Phoslex A−8)0.24重量部を添加し、80℃〜105℃の還流下で2時間、ラクトン環構造を形成する環化縮合反応を進行させた。次に、得られた重合溶液を熱交換器に通して240℃まで昇温し、バレル温度250℃、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個およびフォアベント数4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)であり、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルター(濾過精度5μm)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、樹脂量換算で100重量部/時の処理速度で導入して、重合溶液を脱揮した。脱揮の際、別途準備しておいた酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液を1.5重量部/時の投入速度で第2ベントの後ろから、イオン交換水を0.5重量部/時の投入速度で第3ベントの後ろから、それぞれ投入した。酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液には、10重量部の酸化防止剤(5重量部のBASFジャパン製、イルガノックス1010および5重量部のADEKA製、アデカスタブAO−412Sの混合物)と、環化触媒失活剤として80重量部のオクチル酸亜鉛(日本化学産業製、商品名:ニッカオクチクス亜鉛3.6%)とを、トルエン65重量部に溶解させた溶液を用いた。
その後、押出機内にある溶融状態の樹脂組成物を押出機の先端から吐出し、ペレタイザーによりペレット化して、主鎖にラクトン環構造を有するとともに構成単位としてN−ビニルカルバゾール単位を有するアクリル重合体を含む、アクリル樹脂(7A)のペレットを得た。樹脂(6A)のTgは132℃、重量平均分子量は11.0万であった。
(製造例8)
攪拌機を備えた耐圧反応容器に、脱イオン水70重量部、ピロリン酸ナトリウム0.5重量部、オレイン酸カリウム0.2重量部、硫酸第一鉄0.005重量部、デキストロース0.2重量部、p−メンタンハイドロパーオキシド0.1重量部および1,3−ブタジエン28重量部からなる反応混合物を加え、容器内を65℃に昇温して、2時間重合を進行させた。次に、この重合によって得られた容器内の混合物に、p−ハイドロパーオキシド0.2重量部をさらに加えた後、1,3−ブタジエン72重量部、オレイン酸カリウム1.33重量部および脱イオン水75重量部の混合物を2時間かけて連続滴下した。その後、重合開始の時点から21時間が経過するまで重合を進行させて、平均粒子径が0.240μmのブタジエン系ゴム重合体ラテックスを得た。
次に、冷却器と攪拌機とを備えた重合容器に、脱イオン水120重量部、ブタジエン系ゴム重合体ラテックス50重量部(固形分換算)、オレイン酸カリウム1.5重量部およびソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.6重量部を投入し、重合容器内を窒素ガスで十分に置換した。
次に、容器内の温度を70℃に上昇させた後、スチレン36.5重量部およびアクリロニトリル13.5重量部からなる混合モノマー溶液と、クメンハイドロキシパーオキサイド0.27重量部および脱イオン水20.0重量部からなる重合開始剤溶液とを、個別に、2時間かけて連続滴下させながら重合を進行させた。滴下終了後、容器内の温度を80℃とし、さらに2時間重合を継続させた。次に、容器内の温度を40℃に下げた後、内容物を300メッシュの金網を通過させて、弾性有機微粒子の乳化重合液を得た。
得られた弾性有機微粒子の乳化重合液を塩化カルシウムを用いて塩析、凝固させ、凝固物を水洗、乾燥して、粉体状の弾性有機微粒子(G1)(平均粒子径0.260μm、軟質重合体層の屈折率1.516)を得た。
(製造例9)
製造例7で作製したアクリル樹脂(7A)のペレット、製造例8で作製した弾性有機微粒子(G1)およびスチレン−アクリロニトリル共重合体(スチレン単位/アクリロニトリル単位の比率が73質量%/27質量%、重量平均分子量22万)を、81:14:5の混合比(重量基準)で、二軸押出機を用いて240℃で混練し、透明なアクリル樹脂(9A)のペレットを得た。樹脂(9A)のTgは129℃であった。なお、以下の実施例および比較例において、当該ペレットは60℃の乾燥エアー中で24時間乾燥させた後に使用した。
(実施例1〜5)
製造例1で作製した樹脂組成物(1A)(実施例1);製造例2で作製した樹脂(2A)(実施例2);製造例3で作製した樹脂(3A)(実施例3);製造例4で作製した樹脂(4A)(実施例4):または製造例5で作製した樹脂(5A)(実施例5)のペレットを、ポリマーフィルター(濾過精度5μm)を備えるとともにTダイを先端に備えた単軸押出機を用いて成形温度270℃で溶融押出成形し、厚さ175μmの未延伸の樹脂フィルムを製膜した。なお、製膜以下の工程はクラス100のクリーンルーム内で実施した。次に、製膜した樹脂フィルムを巻き取ることなく、そのまま連続的に複数の加熱ロールおよび赤外線(IR)ヒーターを備えた縦延伸機に供給し、加熱ロール温度をそれぞれの実施例に用いた樹脂のTg、IRヒーター温度を680℃として、縦方向(樹脂フィルムの長手方向)に延伸倍率3.2倍でロール縦延伸した。引き続き、縦延伸後のフィルムを連続的にテンター横延伸機に供給し、当該フィルムの幅方向に延伸温度それぞれの実施例に用いた樹脂のTg+20℃、延伸倍率3.2倍で横延伸して、逐次二軸延伸フィルムを得た。横延伸の際には、フィルムの長辺から20mmの位置をクリップが把持するようにした。この二軸延伸フィルムにおける、横延伸のクリップから開放された時点における当該クリップ間の距離は1200mm、センター部の厚さは40μmであった。
次に、クリップから開放された上記延伸フィルムを、図6に示す走行経路に連続的に通し、インラインでのトリミング、製品フィルム2の回収、および幅方向の双方の端部3a,3bの回収を行った。すなわち、フィルム端部のクリップ把持部分が触れないよう幅1100mmのガイドロール11に通した後、その幅方向の双方の端部3a,3bを、端部3a,3bを取り除いた後の当該フィルム(以下製品フィルムと記載)の幅が1000mmとなるようにシアーカッター21、22で除去した。製品フィルムはシアーカッターの下流のガイドロール12にて端部3a,3bと走行方向が分離され、さらに下流のワインダー52にて巻き取り、製品フィルムロール(実施例1;1AF、実施例2;2AF、実施例3;3AF、実施例4;4AF、実施例5;5AF)を得た。
一方製品フィルムから除去された端部3a,3bは、ニップロール13、14にて端部のクリップ把持部分を除いて把持して送り出した後、回転刃を有する異方向噛み合い2軸裁断機31、32に導き、図7に示す空気輸送の処理機で処理・回収した。すなわち、空送配管61でカットブロワ62に導いてさらに細かく破砕した後、セパレーター63で端部3a,3b片のみを分離してサイロ64に回収した。また、空送エアーはフィルター群65(粗塵用フィルター、中高性能フィルター、HEPAフィルター)を通した後、クリーンルーム内へ循環させた。
実施例1〜5においては、二軸延伸フィルムの破断、トリミング不良、トリミング後の製品フィルムの破断、端部3a,3bの処理不良は発生せず、安定的に500mの製品フィルムロール(実施例1;1AF、実施例2;2AF、実施例3;3AF、実施例4;4AF、実施例5;5AF)を得ることができた。なお、樹脂フィルムの供給を500mとしたために製品フィルムの製造を長さ500mで終了したが、より長尺の樹脂フィルムを供給することによって、さらなる長さを有する製品フィルムを連続的に製造できる状況であった。
また、製品フィルムロール(実施例1;1AF、実施例2;2AF、実施例3;3AF、実施例4;4AF、実施例5;5AF)を目視により確認したが、割れや微細クラック等の欠陥の発生は確認されなかった。さらに、端部3a,3bの空送配管61内を目視確認したが端部3a,3b片のつまりや引っかかり等の不具合の発生は確認されなかった。なお、運転中にガイドロール12直後の製品フィルム端部付近にて浮遊粒子数をモニタしていたが、0.01CF中の0.3μm以上の浮遊異物数は10個以下を維持していた。
(実施例6)
製造例6で作製した樹脂組成物(6A)のペレットを、ポリマーフィルター(濾過精度5μm)を備えるとともにTダイを先端に備えた単軸押出機を用いて成形温度270℃で溶融押出成形し、厚さ175μmの未延伸の樹脂フィルムを製膜した。なお、製膜以下の工程はクラス100のクリーンルーム内で実施した。次に、作製した樹脂フィルムを、溶融押出成形に続いて連続的にオーブン縦延伸機に供給し、当該延伸機にて当該フィルムの縦方向(溶融押出時の流れ方向、帯状のフィルムの長手方向)に延伸温度138℃、延伸倍率2.2倍で縦延伸した。次に、縦延伸後の樹脂フィルムをテンター横延伸機に供給し、当該延伸機にて当該フィルムの幅方向に延伸温度138℃、延伸倍率2.2倍で横延伸することで、クリップから開放された時点における左右2列のクリップ間距離が920mmである逐次二軸延伸フィルムを形成した。
得られた二軸延伸フィルムを、製品フィルムの幅を750mmとした以外は実施例1と同様の方法で端部処理し、製品フィルムロール6AF−1と端部3a,3bの回収物を得た。
実施例6においては、延伸樹脂フィルムの破断、トリミング不良、トリミング後の製品フィルムの破断、端部3a,3bの処理不良は発生せず、安定的に500mの製品フィルムロール6AF−1を得ることができた。なお、樹脂フィルムの供給を500mとしたために製品フィルムの製造を長さ500mで終了したが、より長尺の樹脂フィルムを供給することによって、さらなる長さを有する製品フィルムを連続的に製造できる状況であった。
また、製品フィルムロール6AF−1を目視により確認したが、割れや微細クラック等の欠陥の発生は確認されなかった。さらに、端部3a,3bの空送配管61内を目視確認したが端部3a,3b片のつまりや引っかかり等の不具合の発生は確認されなかった。なお、運転中にガイドロール12直後の製品フィルム端部付近にて浮遊粒子数をモニタしていたが、0.01CF中の0.3μm以上の浮遊異物数は10個以下を維持していた。
(実施例7)
製造例6で作製した樹脂組成物(6A)のペレットを、ポリマーフィルター(濾過精度5μm)を備えるとともにTダイを先端に備えた単軸押出機を用いて成形温度270℃で溶融押出成形し、幅640mm、厚さ150μmの未延伸の樹脂フィルムを製膜した。なお、製膜以下の工程はクラス100のクリーンルーム内で実施した。
未延伸の樹脂フィルムを、図8に示す走行経路に連続的に通し、フィルム端部のエッジビード部分が触れないよう幅620mmのガイドロール11に通した後、その幅方向の双方の端部3a,3bを、端部3a,3bを取り除いた後の当該フィルム(以下製品フィルムと記載)の幅が540mmとなるようにシアーカッター21、22で除去した。製品フィルムはシアーカッターの下流のガイドロール12にて端部3a,3bと走行方向が分離され、さらに下流のワインダー52にて巻き取り、製品フィルムロール6AF−2を得た。
一方製品フィルムから除去された端部3a,3bは、実施例1と同様の方法で回収した。
実施例7においては、延伸樹脂フィルムの破断、トリミング不良、トリミング後の製品フィルムの破断、端部3a,3bの処理不良は発生せず、安定的に500mの製品フィルムロール6AF−2を得ることができた。なお、樹脂フィルムの供給を500mとしたために製品フィルムの製造を長さ500mで終了したが、より長尺の樹脂フィルムを供給することによって、さらなる長さを有する製品フィルムを連続的に製造できる状況であった。
また、製品フィルムロール6AF−2を目視により確認したが、割れや微細クラック等の欠陥の発生は確認されなかった。さらに、端部3a,3bの空送配管61内を目視確認したが端部3a,3b片のつまりや引っかかり等の不具合の発生は確認されなかった。なお、運転中にガイドロール12直後の製品フィルム端部付近にて浮遊粒子数をモニタしていたが、0.01CF中の0.3μm以上の浮遊異物数は10個以下を維持していた。
(実施例8)
実施例7で得られた未延伸の製品フィルムロール6AF−2を繰り出し、同時二軸延伸機を用いて斜め延伸した。
斜め延伸に用いた同時二軸延伸機は、上流側から下流側に向かって等しい長さ(樹脂フィルムの流れ方向の長さ)の4つのゾーン(予熱ゾーンZ1、前段延伸ゾーンZ2、後段延伸ゾーンZ3および熱処理ゾーンZ4)が順に設定された加熱炉とを備えており、それぞれ140℃、130℃、130℃、72℃に設定した。
また、複数個のクリップにより構成される一対のクリップ群が走行する一対のレール(左側クリップレールおよび右側クリップレール)を備えており、左右の両レールにおける各ゾーンの境界部には、レール間隔を調整し、横方向の延伸または収縮を可能とするための関節部、および縦方向の延伸または収縮を可能とするための関節部が設けられている。なお、縦方向延伸または収縮によって、フィルムの走行速度が変化する。
クリップ群が製品フィルムロール6AF−2を把持する位置は、当該フィルムの幅方向の端部から25mmの位置とした(左右のクリップ群ともに、掴みしろが25mmであった)。
予熱ゾーンでは積極的な延伸および/または収縮を実施せず、加熱による樹脂フィルムの弛みの解消を目的とした、クリップ群の走行速度およびクリップ群間の間隔の微調整のみを実施した。次いで、前段延伸ゾーンZ2では左側レールを走行するクリップ群(左側クリップ群)のみの走行速度を1/1.6倍に減少させ、後段延伸ゾーンZ3では、前段延伸ゾーンZ2において減速した左側クリップ群の走行速度を、減速前の走行速度に回復させた。また横延伸は1.6倍とし、一定の比率で実施するために、クリップレールは、左右ともに前段延伸ゾーンおよび後段延伸ゾーンを通じて直線的に設定した。さらに熱処理ゾーンZ4では、予熱ゾーン同様積極的な延伸および/または収縮を実施せず、冷却時にフィルムに生じる収縮応力の調整を目的とした、クリップ群の走行速度およびクリップ群間の間隔の微調整を実施した。
帯状の樹脂フィルムを把持する際の左右クリップ群の走行速度(左右のクリップイン部での走行速度)は、ともに2.0m/分としたが、左側クリップ群のみ、前段延伸ゾーンZ2に入ると徐々に速度が下がり、前段延伸ゾーンZ2と後段延伸ゾーンZ3の境界部にて、最低速度となる。この後、後段延伸ゾーンZ3内では徐々に速度が上昇し、後段延伸ゾーンZ3と熱処理ゾーンZ4の境界部にて元の速度に戻る。しかし、右側クリップ群の走行速度は変化しないため、左右のフィルム走行速度に差が生じ、このことによって斜め延伸が行われる。
得られた斜め延伸フィルムを、製品フィルムの幅を600mmとした以外は実施例1と同様の方法で端部処理し、製品フィルムロール6AF−3と端部3a,3bの回収物を得た。
実施例8においては、延伸樹脂フィルムの破断、トリミング不良、トリミング後の製品フィルムの破断、端部3a,3bの処理不良は発生せず、安定的に300mの製品フィルムロール6AF−3を得ることができた。なお、樹脂フィルムの供給を300mとしたために製品フィルムの製造を長さ300mで終了したが、より長尺の樹脂フィルムを供給することによって、さらなる長さを有する製品フィルムを連続的に製造できる状況であった。
また、製品フィルムロール6AF−3を目視により確認したが、割れや微細クラック等の欠陥の発生は確認されなかった。さらに、端部3a,3bの空送配管61内を目視確認したが端部3a,3b片のつまりや引っかかり等の不具合の発生は確認されなかった。
(実施例9)
製造例9で作製した樹脂組成物(9A)のペレットを、ポリマーフィルター(濾過精度5μm)を備えるとともにTダイを先端に備えた単軸押出機を用いて成形温度270℃で溶融押出成形し、厚さ360μmの未延伸の樹脂フィルムを製膜した。なお、製膜以下の工程はクラス100のクリーンルーム内で実施した。次に、作製した樹脂フィルムを、溶融押出成形に続いて連続的にテンター横延伸機に供給し、当該延伸機にて当該フィルムの幅方向に延伸温度131℃、延伸倍率2.4倍で横延伸することで、クリップから開放された時点における左右2列のクリップ間距離が1200mmである横延伸フィルム9AFを形成した。
得られた横延伸フィルムを、実施例1と同様の方法で端部処理し、製品フィルムロール9AFと端部3a,3bの回収物を得た。
実施例9においては、延伸樹脂フィルムの破断、トリミング不良、トリミング後の製品フィルムの破断、端部3a,3bの処理不良は発生せず、安定的に500mの製品フィルムロール9Aを得ることができた。なお、樹脂フィルムの供給を500mとしたために製品フィルムの製造を長さ500mで終了したが、より長尺の樹脂フィルムを供給することによって、さらなる長さを有する製品フィルムを連続的に製造できる状況であった。
また、製品フィルムロール9Aを目視により確認したが、割れや微細クラック等の欠陥の発生は確認されなかった。さらに、端部3a,3bの空送配管61内を目視確認したが端部3a,3b片のつまりや引っかかり等の不具合の発生は確認されなかった。なお、運転中にガイドロール12直後の製品フィルム端部付近にて浮遊粒子数をモニタしていたが、0.01CF中の0.3μm以上の浮遊異物数は10個以下を維持していた。
(比較例1〜5)
製造例1で作製した樹脂組成物(1A)(比較例1);製造例2で作製した樹脂(2A)(比較例2);製造例3で作製した樹脂(3A)(比較例3);製造例4で作製した樹脂(4A)(比較例4):または製造例5で作製した樹脂(5A)(比較例5)のペレットを、実施例1と同様の方法で製膜、延伸した後、図9に示す走行経路に連続的に通して端部処理し、製品フィルムロールと端部3a,3bの回収を試みた。
すなわち、フィルム端部のクリップ把持部分が触れないよう幅1100mmのガイドロール11に通した後、その幅方向の双方の端部3a,3bを、端部3a,3bを取り除いた後の当該フィルム(以下製品フィルムと記載)の幅が1000mmとなるようにシアーカッター21、22で除去した。製品フィルムはシアーカッターの下流のガイドロール12にて端部3a,3bと走行方向が分離され、さらに下流のワインダー52にて巻き取り、製品フィルムロール(比較例1;1AF、比較例2;2AF、比較例3;3AF、比較例4;4AF、比較例5;5AF)の回収を試みた。一方製品フィルムから除去された端部3a,3bは、ニップロール13、14にて端部のクリップ把持部分を除いて把持して送り出した後、耳巻取り機54でそれぞれを巻き取って端部3a,3bのロール形状物の回収を試みた。
比較例1〜5においては、安定的な製品フィルムロールの回収、および端部3a,3bの巻き取り回収が安定的に行えなかった。事象をよく確認したところ、以下の事象が大半であった。
(1)耳巻取り機に巻きとられた端部3a,3bのロール形状物を取り外し、再度巻き付けを開始する作業において、帯状の端部3a,3bを通常走行方向とは異なる方向へ引っ張ってしまう、或いは巻き付け作業のため帯状の端部3a,3bを強く引っ張ってしまうなど些細な操作ミスにより、ニップロール13,14を超えてトリミング部分に急激な張力変動が起こってトリミング不良(製品フィルム端面にクラック或いは切断面の段差)が発生した。場合によってはトリミング不良部分を起点として製品フィルム破断が起こった。なお、帯状の端部3a,3bの幅方向厚み分布は、クリップ把持部分が厚く、幅方向反対側(トリミング部分)が薄い。このため、巻きズレが生じて巻き姿がタケノコ状になった。このためオペレーターによる交換作業の頻度が多い事も破断多発の一因と考えられる。
(2)帯状の端部3a,3bのクリップ把持部分が耳巻取り機54の巻取り径に追随できず、帯状の端部3a,3bの破断が多発した。この破断による急激な張力変動も、(1)同様製品フィルム破断を誘発することがあった。
また、数10m程度回収できた製品フィルムロール(比較例1;1AF、比較例2;2AF、比較例3;3AF、比較例4;4AF、比較例5;5AF)を目視により確認したが、ロール端部、すなわちトリミングした端面にクラックや切断面の段差、切粉の巻きこみが多数発生していた。さらに、運転中にガイドロール12直後の製品フィルム端部付近にて浮遊粒子数をモニタしていたが、製品フィルムの破断時、帯状の端部3a,3bの破断時、およびオペレーターが破断を復旧する作業実施時に0.01CF中の0.3μm以上の浮遊異物数は50個を超え、クリーン度が低下していることが確認された。
(比較例6)
製造例6で作製した樹脂組成物(6A)のペレットを、端部3a,3bは比較例1と同様の方法で処理した以外は、実施例6と同様の方法で製品フィルムロール6AF−1と端部3a,3bのロール形状物の回収を試みた。
比較例6においては、安定的な製品フィルムロールの回収、および端部3a,3bの巻き取り回収が安定的に行えなかった。事象をよく確認したところ、以下の事象が大半であった。
(1)耳巻取り機に巻きとられた端部3a,3bのロール形状物を取り外し、再度巻き付けを開始する作業において、帯状の端部3a,3bを通常走行方向とは異なる方向へ引っ張ってしまう、或いは巻き付け作業のため帯状の端部3a,3bを強く引っ張ってしまうなど些細な操作ミスにより、ニップロール13,14を超えてトリミング部分に急激な張力変動が起こってトリミング不良(製品フィルム端面にクラック或いは切断面の段差)が発生した。場合によってはトリミング不良部分を起点として製品フィルム破断が起こった。なお、帯状の端部3a,3bの幅方向厚み分布は、クリップ把持部分が厚く、幅方向反対側(トリミング部分)が薄い。このため、巻きズレが生じて巻き姿がタケノコ状になった。このためオペレーターによる交換作業の頻度が多い事も破断多発の一因と考えられる。
(2)帯状の端部3a,3bのクリップ把持部分が耳巻取り機54の巻取り径に追随できず、帯状の端部3a,3bの破断が多発した。この破断による急激な張力変動も、(1)同様製品フィルム破断を誘発することがあった。
また、数10m程度回収できた製品フィルムロール6AF−1を目視により確認したが、ロール端部、すなわちトリミングした端面にクラックや切断面の段差、切粉の巻きこみが多数発生していた。さらに、運転中にガイドロール12直後の製品フィルム端部付近にて浮遊粒子数をモニタしていたが、製品フィルムの破断時、帯状の端部3a,3bの破断時、およびオペレーターが破断を復旧する作業実施時に0.01CF中の0.3μm以上の浮遊異物数は50個を超え、クリーン度が低下していることが確認された。
(比較例7)
製造例6で作製した樹脂組成物(6A)のペレットを、端部3a,3bは比較例1と同様の方法で処理した以外は、実施例7と同様の方法で製品フィルムロール6AF−2と端部3a,3bのロール形状物の回収を試みた。
比較例7においては、安定的な製品フィルムロールの回収、および端部3a,3bの巻き取り回収が安定的に行えなかった。事象をよく確認したところ、以下の事象が大半であった。
(1)耳巻取り機に巻きとられた端部3a,3bのロール形状物を取り外し、再度巻き付けを開始する作業において、帯状の端部3a,3bを通常走行方向とは異なる方向へ引っ張ってしまう、或いは巻き付け作業のため帯状の端部3a,3bを強く引っ張ってしまうなど些細な操作ミスにより、ニップロール13,14を超えてトリミング部分に急激な張力変動が起こってトリミング不良(製品フィルム端面にクラック或いは切断面の段差)が発生した。場合によってはトリミング不良部分を起点として製品フィルム破断が起こった。
(2)帯状の端部3a,3bのエッジビード部分が耳巻取り機54の巻取り径に追随できず、帯状の端部3a,3bの破断が多発した。この破断による急激な張力変動も、(1)同様製品フィルム破断を誘発することがあった。
また、数10m程度回収できた製品フィルムロール6AF−2を目視により確認したが、ロール端部、すなわちトリミングした端面にクラックや切断面の段差、切粉の巻きこみが多数発生していた。
(比較例8)
実施例7で得られた未延伸の製品フィルムロール6AF−2を繰り出し、端部3a,3bは比較例1と同様の方法で処理した以外は、実施例8と同様の方法で製品フィルムロール6AF−3と端部3a,3bのロール形状物の回収を試みた。
比較例8においては、斜め延伸時にクリップによって把持されていた部分で発生していた盛り上がりジワ、およびクリップ把持部分の形状により、帯状の端部3a,3bは耳巻取り機54の巻取り径に全く追随できなかった。(曲げるとすぐに破断してしまった。)
そこで、端部3a,3bはオペレーター2人が左右それぞれを手巻きで回収することで製品フィルムロール6AF−3と端部3a,3bの回収を試みた。しかし、帯状の端部3a,3bを通常走行方向とは異なる方向へ引っ張ってしまう、或いは強く引っ張ってしまうなど些細な操作ミスにより、ニップロール13,14を超えてトリミング部分に急激な張力変動が起こってトリミング不良(製品フィルム端面にクラック或いは切断面の段差)が発生した。場合によってはトリミング不良部分を起点として製品フィルム破断が起こった。
10数m程度回収できた製品フィルムロール6AF−3を目視により確認したが、ロール端部、すなわちトリミングした端面にクラックや切断面の段差、切粉の巻きこみが多数発生していた。さらに、オペレーターによる手作業を続けていたため0.01CF中の0.3μm以上の浮遊異物数は50個を下回ることはなく、クリーン度が低下していることが確認された。
(比較例9)
製造例9で作製した樹脂組成物(9A)のペレットを、端部3a,3bは比較例1と同様の方法で処理した以外は、実施例9と同様の方法で製品フィルムロール9AFと端部3a,3bのロール形状物の回収を試みた。
比較例9においては横方向への延伸しか行っていないこともあり、巻き付け作業のため帯状の端部3a,3bを引っ張る、或いは巻き付け開始時に弛みが無くなる一瞬の張力上昇で帯状の端部3a,3bは破断したため、耳巻取り機54での回収を断念した。
そこで、端部3a,3bはオペレーター2人が左右それぞれを手巻きで回収することで製品フィルムロール9AFと端部3a,3bの回収を試みた。しかし、帯状の端部3a,3bを通常走行方向とは異なる方向へ引っ張ってしまう、或いは強く引っ張ってしまうなど些細な操作ミスにより、ニップロール13,14を超えてトリミング部分に急激な張力変動が起こってトリミング不良(製品フィルム端面にクラック或いは切断面の段差)が発生した。場合によってはトリミング不良部分を起点として製品フィルム破断が起こった。
10数m程度回収できた製品フィルムロール9AFを目視により確認したが、ロール端部、すなわちトリミングした端面にクラックや切断面の段差、切粉の巻きこみが多数発生していた。さらに、オペレーターによる手作業を続けていたため0.01CF中の0.3μm以上の浮遊異物数は50個を下回ることはなく、クリーン度が低下していることが確認された。
(比較例10〜14)
製造例1で作製した樹脂組成物(1A)(比較例10);製造例2で作製した樹脂(2A)(比較例11);製造例3で作製した樹脂(3A)(比較例12);製造例4で作製した樹脂(4A)(比較例13):または製造例5で作製した樹脂(5A)(比較例14)のペレットを、端部3a,3bの処理方法を以下のように行った以外は比較例1と同様の方法で製膜、延伸した。
端部3a,3bは、ニップロール13、14にて端部のクリップ把持部分を除いて把持して送り出した後、図10に示すように吸引ダクト66内に吸い込まれ、空送配管61内のロータリーカッター67で裁断し、カットブロワ62に導いてさらに細かく破砕した後、セパレーター63で端部3a,3b片のみを分離してサイロ64に回収した。また、空送エアーはフィルター群65(粗塵用フィルター、中高性能フィルター、HEPAフィルター)を通した後、クリーンルーム内へ循環させた。
比較例10〜14においては、端部3a,3bの回収が安定的に行えなかった。具体的には、吸引ノズルで急激に引っ張られた端部3a,3bがロータリーカッター67に至るまでに破断する事象が発生した。これにより、吸引による端部3a,3bの張力が大きく変化し、ニップロール13,14を超えてトリミング部分に急激な張力変動が起こってトリミング不良(製品フィルム端面にクラック或いは切断面の段差)が発生した。場合によってはトリミング不良部分を起点として製品フィルム破断が起こった。
また、数10m程度得られた製品フィルムロール(比較例1;1AF、比較例2;2AF、比較例3;3AF、比較例4;4AF、比較例5;5AF)を目視により確認したが、端部(トリミング端面)に細かい割れや微細クラック、段差、切粉の巻き込み等の欠陥の発生が散見された。さらに、端部3a,3bの空送配管61内を目視確認したところ、エルボ部分などの湾曲部分で端部3a,3b片の詰まりが発生していた。なお、ガイドロール12直後の製品フィルム端部付近での浮遊粒子数モニタの結果、製品フィルムの破断時、帯状の端部3a,3bの破断時、およびオペレーターが復旧作業を行っている際に、0.01CF中の0.3μm以上の浮遊異物数は50個を超え、クリーン度が低下していることが確認された。
(比較例15)
製造例6で作製した樹脂組成物(6A)のペレットを、端部3a,3bは比較例10と同様の方法で処理した以外は、実施例6と同様の方法で製品フィルムロール6AF−1と端部3a,3bの回収を試みた。
比較例15においては、端部3a,3bの回収が安定的に行えなかった。具体的には、吸引ノズルで急激に引っ張られた端部3a,3bがロータリーカッター67に至るまでに破断する事象が発生した。これにより、吸引による端部3a,3bの張力が大きく変化し、ニップロール13,14を超えてトリミング部分に急激な張力変動が起こってトリミング不良(製品フィルム端面にクラック或いは切断面の段差)が発生した。場合によってはトリミング不良部分を起点として製品フィルム破断が起こった。
また、数10m程度得られた製品フィルムロール6AF−1を目視により確認したが、端部(トリミング端面)に細かい割れや微細クラック、段差、切粉の巻き込み等の欠陥の発生が散見された。さらに、端部3a,3bの空送配管61内を目視確認したところ、エルボ部分などの湾曲部分で端部3a,3b片の詰まりが発生していた。なお、ガイドロール12直後の製品フィルム端部付近での浮遊粒子数モニタの結果、製品フィルムの破断時、帯状の端部3a,3bの破断時、およびオペレーターが復旧作業を行っている際に、0.01CF中の0.3μm以上の浮遊異物数は50個を超え、クリーン度が低下していることが確認された。
(比較例16)
製造例6で作製した樹脂組成物(6A)のペレットを、端部3a,3bは比較例10と同様の方法で処理した以外は、実施例7と同様の方法で製品フィルムロール6AF−2と端部3a,3bのロール形状物の回収を試みた。
比較例16においては、端部3a,3bの回収が安定的に行えなかった。具体的には、吸引ノズルで急激に引っ張られた端部3a,3bがロータリーカッター67に至るまでに破断する事象が発生した。これにより、吸引による端部3a,3bの張力が大きく変化し、ニップロール13,14を超えてトリミング部分に急激な張力変動が起こってトリミング不良(製品フィルム端面にクラック或いは切断面の段差)が発生した。場合によってはトリミング不良部分を起点として製品フィルム破断が起こった。
また、数10m程度得られた製品フィルムロール6AF−2を目視により確認したが、端部(トリミング端面)に細かい割れや微細クラック、段差、切粉の巻き込み等の欠陥の発生が散見された。さらに、端部3a,3bの空送配管61内を目視確認したところ、エルボ部分などの湾曲部分で端部3a,3b片の詰まりが発生していた。なお、ガイドロール12直後の製品フィルム端部付近での浮遊粒子数モニタの結果、製品フィルムの破断時、帯状の端部3a,3bの破断時、およびオペレーターが復旧作業を行っている際に、0.01CF中の0.3μm以上の浮遊異物数は50個を超え、クリーン度が低下していることが確認された。
(比較例17)
実施例7で得られた未延伸の製品フィルムロール6AF−2を繰り出し、端部3a,3bは比較例10と同様の方法で処理した以外は、実施例8と同様の方法で製品フィルムロール6AF−3と端部3a,3bのロール形状物の回収を試みた。
比較例19において、帯状の端部3a,3bの端部は流れ方向にクリップ間隔が広いため、流れ方向に隣り合うクリップ把持部分の間にネックインが生じている形状となっている。このため、クリップ把持部分が吸引ダクト66の縁に引っかかってしまい、吸引されなくなるという不具合が頻発したため、製品フィルム6AF−3および端部3a,3bの回収を断念した。
(比較例18)
製造例9で作製した樹脂組成物(9A)のペレットを、端部3a,3bは比較例10と同様の方法で処理した以外は、実施例6と同様の方法で製品フィルムロール6AF−1と端部3a,3bの回収を試みた。
比較例20においては横方向への延伸しか行っていないこともあり、吸引ノズルで急激に引っ張られた端部3a,3bがロータリーカッター67に至るまでに破断する事象が比較例12以上に発生したため、製品フィルム9AFおよび端部3a,3bの回収を断念した。
本発明のフィルム端部の処理方法は、製造時のフィルムの破断が少なく、効率良くフィルムの製造が可能となる。特に、アクリル樹脂やスチレン系樹脂等の脆いフィルムの製造に有用である。
1 (処理前の)樹脂フィルム
2 (処理後の)樹脂フィルム(製品フィルム)
3a,3b 端部
11,12 ガイドロール
13,14 ニップロール
21 上刃
22 下刃
23 スプリットロール
31,32 回転刃を有する異方向噛み合い2軸裁断機(刃の部分)
41 回収設備((ダクト入口部分)
51 延伸機
52 ワインダー
53 押出・製膜機
54 耳巻取り機
61 空送配管
62 カットブロワ
63 セパレーター
64 サイロ
65 フィルター群
66 吸引ダクト
67 ロータリーカッター

Claims (11)

  1. 長尺の樹脂フィルムの幅方向のフィルム端部の処理方法であって、樹脂フィルムの幅方向の端部をフィルムの進行方向に連続して切断し、切断された帯状の端部を、両軸共に1つ以上の回転刃を有する異方向噛み合い2軸裁断機に導入して、帯状の端部を裁断する、フィルム端部の処理方法。
  2. 前記2軸裁断機において、軸方向から見て、両軸の回転刃同士が重なる部分を有するように配置された2軸裁断機を用いる請求項1記載の処理方法。
  3. 前記切断された帯状の端部を、駆動部を有するニップロールで挟持した後、前記2軸裁断機に導入する請求項1または2のいずれかに記載の処理方法。
  4. 前記2軸裁断機にて裁断された端部片を輸送して回収する請求項1から3のいずれかに記載の処理方法。
  5. 前記端部片の輸送手段が空気輸送である請求項4に記載の処理方法。
  6. 前記樹脂フィルムが、テンター延伸工程を経た延伸樹脂フィルムである請求項1から5のいずれかに記載の処理方法。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載のフィルム端部の処理方法を有するフィルムの製造方法。
  8. クラス1から10000のクリーンルーム内で製造する請求項7記載のフィルムの製造方法。
  9. 前記端部片の空気輸送で用いた空気を、フィルターを介してクリーンルーム内に循環する請求項8記載のフィルムの製造方法。
  10. 前記樹脂フィルムが、アクリル樹脂を含む請求項7から8のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法。
  11. 前記樹脂フィルムが、溶融製膜で成形されたフィルムである請求項7から10のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法。
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