JP7253413B2 - 延伸フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
1つの実施形態において、上記左右のクリップから開放された上記フィルムの左右端部を切断除去した後に、上記弛み量および弛みが生じている部位を検出する。
1つの実施形態において、上記クリップピッチを変化させる補正が、上記弛みが生じている部位に対して遠方の端部を把持するクリップのクリップピッチを増大することを含む。
1つの実施形態において、上記クリップピッチを変化させる補正が、先行して走行する上記クリップが上記斜め延伸における走行区間の1/2~9/10の位置を通過した時点から、上記フィルムが上記左右のクリップから開放されるまでの間にわたって行われる。
1つの実施形態において、上記クリップピッチを変化させる補正が、上記搬送ロール間における上記フィルムの左右端部の長さの差L‘(単位:mm)よりも大きい補正量で行われ、ただし、L‘は、下記式(1)および(2)に基づいて算出される上記搬送ロール間における上記フィルムの長さL(単位:mm)を下記式(3)に代入して算出される。
1つの実施形態において、上記クリップピッチを変化させる補正が、上記斜め延伸において行われ、その際の雰囲気温度が、上記フィルムのTg~Tg+20℃である。
本発明の別の局面によれば、上記延伸フィルムの製造方法によって長尺状の延伸フィルムを得ること、および、長尺状の光学フィルムと該長尺状の延伸フィルムとを搬送しながら、その長尺方向を揃えて連続的に貼り合わせることを含む、光学積層体の製造方法が提供される。
1つの実施形態において、上記光学フィルムが、偏光板であり、上記延伸フィルムが、λ/4板またはλ/2板である。
本発明の延伸フィルムの製造方法は、長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をそれぞれ、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップによって把持すること、該左右のクリップを少なくとも一方のクリップピッチを変化させながら走行移動させて、該フィルムを斜め延伸すること、該フィルムを該左右のクリップから開放すること、該フィルムをロール搬送し、搬送ロール間における該フィルムの弛み量および弛みが生じている部位を検出すること、および、該検出結果に基づいて、搬送ライン上流における該左右のクリップの少なくとも一方のクリップピッチを変化させる補正を行うこと、を含む。代表的には、クリップによって把持されたフィルムは、予熱され、その後、斜め延伸に供される。
把持ゾーンA(延伸装置100のフィルム取り込みの入り口)においては、左右の無端ループ10L、10Rのクリップ20によって、延伸対象となるフィルムの両側縁が互いに等しい一定のクリップピッチ、あるいは、互いに異なるクリップピッチで把持される。左右の無端ループ10L、10Rのクリップ20の移動(実質的には、基準レール30に案内された各クリップ担持部材の移動)により、当該フィルムが予熱ゾーンBに送られる。
予熱ゾーンBにおいては、左右の無端ループ10L、10Rは、上記のとおり延伸対象となるフィルムの初期幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されているので、基本的には横延伸も縦延伸も行わず、フィルムが加熱される。ただし、予熱によりフィルムのたわみが起こり、オーブン内のノズルに接触するなどの不具合を回避するために、わずかに左右クリップ間の距離(幅方向の距離)を広げてもよい。
延伸ゾーンCにおいては、左右のクリップ20を、その少なくとも一方の縦方向のクリップピッチを変化させながら走行移動させて、フィルムを斜め延伸する。より具体的には、左右のクリップの当該クリップピッチをそれぞれ異なる位置で増大または縮小させること、それぞれ異なる変化速度で左右のクリップの当該クリップピッチを変化(増大および/または縮小)させること等によって、フィルムを斜め延伸する。
開放ゾーンDの任意の位置において、上記フィルムが、クリップから開放される。開放ゾーンDにおいては、通常、横延伸も縦延伸も行われず、必要に応じて、フィルムを熱処理して延伸状態を固定(熱固定)し、および/または、Tg以下まで冷却し、次いで、フィルムをクリップから開放する。なお、熱固定する際には、縦方向のクリップピッチを減少させ、これにより、応力を緩和してもよい。
ロール搬送においては、搬送ロール間における延伸フィルムの弛み量および弛みが生じている部位を検出する。
クリップピッチを変化させる補正は、いわゆる、フィードバック補正であり、上記弛み量および弛みが生じている部位の検出結果に基づいて、弛み量を減少させるように、搬送ライン上流における左右のクリップの少なくとも一方のクリップピッチを変化させることによって行う。例えば、検出された弛み量が所定の値以上である場合には、クリップピッチを変化させる補正を行い、所定の値未満である場合には、補正することなく斜め延伸を継続することができる。具体的は、1000mmのロール間距離で検出された弛み量が例えば3mm以上、5mm以上、10mm以上または15mm以上である場合に上記補正が行われ得る。
本発明の製造方法においては、任意の適切なフィルムを用いることができる。例えば、位相差フィルムとして適用可能な樹脂フィルムが挙げられる。このようなフィルムを構成する材料としては、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、セルロースエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルカーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。好ましくは、ポリカーボネート樹脂、セルロースエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルカーボネート系樹脂、シクロオレフィン樹脂である。これらの樹脂であれば、いわゆる逆分散の波長依存性を示す位相差フィルムが得られ得るからである。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、所望の特性に応じて組み合わせて用いてもよい。
本発明の製造方法により得られた延伸フィルムは、別の光学フィルムと貼り合わせられて光学積層体として用いられ得る。例えば、本発明の製造方法によって得られた位相差フィルムは、偏光板と貼り合わせられて、円偏光板として好適に用いられ得る。
ダイヤルゲージ(PEACOCK社製、製品名「DG-205 type pds-2」)を用いて測定した。
(2)位相差値
Axometrics社製のAxoscanを用いて面内位相差Re(550)を測定した。
(3)配向角(遅相軸の発現方向)
測定対象のフィルムの中央部を、一辺が当該フィルムの幅方向と平行となるようにして幅50mm、長さ50mmの正方形状に切り出して試料を作成した。この試料を、Axometrics社製のAxoscanを用いて測定し、波長590nmにおける配向角θを測定した。
(4)ガラス転移温度(Tg)
JIS K 7121に準じて測定した。
(5)弛み量
図5に示すように、延伸フィルムの搬送経路の下であって、隣接する2つの搬送ロールの中間点(ロール間距離:912mm)に超音波変位センサーを配置した。搬送張力150N/mで延伸フィルムを搬送しながら、幅方向の中央部と端部において超音波変位センサーから延伸フィルムまでの距離を測定し、最大距離(LMAX)と最小距離(LMIN)との差(LMAX-LMIN)を弛み量(mm)とした。また、最小距離を与えた部位を、弛みが生じている部位と判定した。
(ポリエステルカーボネート樹脂フィルムの作製)
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した縦型反応器2器からなるバッチ重合装置を用いて重合を行った。ビス[9-(2-フェノキシカルボニルエチル)フルオレン-9-イル]メタン 29.60質量部(0.046mol)、ISB 29.21質量部(0.200mol)、SPG 42.28質量部(0.139mol)、DPC 63.77質量部(0.298mol)及び触媒として酢酸カルシウム1水和物1.19×10-2質量部(6.78×10-5mol)を仕込んだ。反応器内を減圧窒素置換した後、熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始した。昇温開始40分後に内温を220℃に到達させ、この温度を保持するように制御すると同時に減圧を開始し、220℃に到達してから90分で13.3kPaにした。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を100℃の還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は45℃の凝縮器に導いて回収した。第1反応器に窒素を導入して一旦大気圧まで復圧させた後、第1反応器内のオリゴマー化された反応液を第2反応器に移した。次いで、第2反応器内の昇温および減圧を開始して、50分で内温240℃、圧力0.2kPaにした。その後、所定の攪拌動力となるまで重合を進行させた。所定動力に到達した時点で反応器に窒素を導入して復圧し、生成したポリエステルカーボネートを水中に押し出し、ストランドをカッティングしてペレットを得た。得られたポリエステルカーボネート樹脂のTgは、140℃であった。
上記のようにして得られたポリエステルカーボネート樹脂フィルムを、図2~4に示すような延伸装置を用いて斜め延伸して、位相差フィルムを得た。具体的には、ポリエステルカーボネート樹脂フィルムを延伸装置の予熱ゾーンで145℃に予熱した。予熱ゾーンにおいては、左右のクリップのクリップピッチ(P1)は125mmであった。次に、フィルムが斜め延伸ゾーンCに入ると同時に、右側クリップのクリップピッチの増大および左側クリップのクリップピッチの減少を開始し、右側クリップのクリップピッチをP2まで増大させるとともに左側クリップのクリップピッチをP3まで減少させた。このとき、右側クリップのクリップピッチ変化率(P2/P1)は、1.42であり、左側クリップのクリップピッチ変化率(P3/P1)は0.78であり、フィルムの原幅に対する横延伸倍率は1.45倍であった。次いで、右側クリップのクリップピッチをP2に維持したままで、左側クリップのクリップピッチの増大を開始し、P3からP2まで増大させた。この間の左側クリップのクリップピッチの変化率(P2/P3)は1.82であり、フィルムの原幅に対する横延伸倍率は1.9倍であった。なお、斜め延伸ゾーンCはTg+3.2℃(143.2℃)に設定した。
上記クリップから開放され、延伸装置から送り出された延伸フィルムの両側端部をそれぞれ250mm切除した。両端を切除したフィルムをロール搬送し、搬送ロール間における弛み量および弛みが生じている部位の検出を行った。その結果、左側の端部に弛みが生じており、弛み量は18.0mmであった。また、上記式(1)~(3)に基づいて算出される補正前の延伸フィルムにおける両端部の長さの差L‘は、0.95mmであった。
斜め延伸ゾーンCの走行区間の3/4を通過した時点から終点に到達するまでの間に右側のクリップのクリップピッチをP2’まで徐々に増大させ(クリップピッチの補正量(P2’-P2):0.3mm)、当該クリップピッチを維持したままで上記と同様に熱固定(125℃、60秒間)および冷却(100℃)を行ってクリップを開放するように、上記クリップピッチのプロファイルを変更して斜め延伸を続行した。すなわち、フィードバック補正後の斜め延伸フィルムがクリップから開放される際のクリップピッチは、右側がP2’であり、左側がP2であった。
クリップピッチの補正量(P2’-P2)を0.6mmにしたこと以外は実施例1と同様にして、斜め延伸を行って延伸フィルムを得た。
クリップピッチの補正量(P2’-P2)を0.95mmにしたこと以外は実施例1と同様にして、斜め延伸を行って延伸フィルムを得た。
クリップピッチの補正量(P2’-P2)を1.8mmにしたこと以外は実施例1と同様にして、斜め延伸を行って延伸フィルムを得た。
クリップピッチの補正量(P2’-P2)を2.6mmにしたこと以外は実施例1と同様にして、斜め延伸を行って延伸フィルムを得た。
クリップピッチの補正量(P2’-P2)を0.6mmにしたこと、および、斜め延伸ゾーンCの走行区間の3/4以降の区間をTg+6.0℃(146.0℃)に設定したこと以外は実施例1と同様にして、斜め延伸を行って延伸フィルムを得た。
クリップピッチの補正量(P2’-P2)を0.95mmにしたこと、および、斜め延伸ゾーンCの走行区間の3/4以降の区間をTg+6.0℃(146.0℃)に設定したこと以外は実施例1と同様にして、斜め延伸を行って延伸フィルムを得た。
クリップピッチの補正量(P2’-P2)を1.8mmにしたこと、および、斜め延伸ゾーンCの走行区間の3/4以降の区間をTg+6.0℃(146.0℃)に設定したこと以外は実施例1と同様にして、斜め延伸を行って延伸フィルムを得た。
クリップピッチの補正量(P2’-P2)を2.6mmにしたこと、および、斜め延伸ゾーンCの走行区間の3/4以降の区間をTg+6.0℃(146.0℃)に設定したこと以外は実施例1と同様にして、斜め延伸を行って延伸フィルムを得た。
フィードバック補正を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、斜め延伸を行って延伸フィルムを得た。
〇:マスキングフィルム貼り合せ(貼り合せ張力150N/m)後に、シワがみとめられず、接着剤をフィルム全面に塗工ができる。
△:マスキングフィルム貼り合せの際、貼り合せ張力を300N/mに上げることでシワなく貼り合せができたが、接着剤塗工の際に、弛んだ箇所に接着剤を塗工できなかった。
×:マスキングフィルム貼り合せ後に、シワがあり、外観が劣化している。
表1に示されるとおり、斜め延伸されたフィルムの弛み量を検出し、検出結果に基づいて、搬送ライン上流のクリップピッチを適切に変更することにより、その後に得られる延伸フィルムの弛みが低減されることがわかる。
10L 無端ループ
10R 無端ループ
20 クリップ
100 延伸装置
200 搬送ロール
300 巻取り部
400 超音波変位センサー
500 円偏光板
Claims (7)
- 長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をそれぞれ、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップによって把持すること、
該左右のクリップを少なくとも一方のクリップピッチを変化させながら走行移動させて、該フィルムを斜め延伸すること、
該フィルムを該左右のクリップから開放すること、
該フィルムをロール搬送し、搬送ロール間における該フィルムの弛み量および弛みが生じている部位を検出すること、および、
該検出結果に基づいて、搬送ライン上流における該左右のクリップの少なくとも一方のクリップピッチを変化させる補正を行うこと、を含み、
該クリップピッチを変化させる補正が、先行して走行する該クリップが該斜め延伸における走行区間の1/2~9/10の位置を通過した時点から、該フィルムが該左右のクリップから開放されるまでの間にわたって行われる、延伸フィルムの製造方法。 - 前記左右のクリップから開放された前記フィルムの左右端部を切断除去した後に、前記弛み量および弛みが生じている部位を検出する、請求項1に記載の延伸フィルムの製造方法。
- 前記クリップピッチを変化させる補正が、前記弛みが生じている部位に対して遠方の端部を把持するクリップのクリップピッチを増大することを含む、請求項1または2に記載の延伸フィルムの製造方法。
- 前記クリップピッチを変化させる補正が、前記搬送ロール間における前記フィルムの左右端部の長さの差L‘(単位:mm)よりも大きい補正量で行われ、ただし、L‘は、下記式(1)および(2)に基づいて算出される前記搬送ロール間における前記フィルムの長さL(単位:mm)を下記式(3)に代入して算出される、請求項1から3のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
- 前記クリップピッチを変化させる補正が、前記斜め延伸において行われ、
その際の雰囲気温度が、前記フィルムのTg~Tg+20℃である、請求項1から4のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。 - 請求項1から5のいずれかに記載の製造方法によって長尺状の延伸フィルムを得ること、および
長尺状の光学フィルムと該長尺状の延伸フィルムとを搬送しながら、その長尺方向を揃えて連続的に貼り合わせることを含む、光学積層体の製造方法。 - 前記光学フィルムが、偏光板であり、
前記延伸フィルムが、λ/4板またはλ/2板である、請求項6に記載の光学積層体の製造方法。
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