JP2022154342A - 延伸フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022154342000001
【課題】斜め延伸されたフィルムに生じた弛みおよび/またはシワを低減すること。
【解決手段】長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をそれぞれ、左右のクリップによって把持すること、
該左右のクリップを走行移動させて該フィルムを斜め延伸し、次いで、該左右のクリップから開放すること、および、コンケイブロールを用いて該フィルムをロール搬送すること、を含む、延伸フィルムの製造方法であって、該コンケイブロールが、中央部とその両端側に位置する端部とを有し、該端部が該中央部よりも大きい半径を有する円柱形状である、製造方法。
【選択図】図6

Description

本発明は、延伸フィルムの製造方法および光学積層体の製造方法に関する。
液晶表示装置(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(OLED)等の画像表示装置において、表示特性の向上や反射防止を目的として円偏光板が用いられている。円偏光板は、代表的には、偏光子と位相差フィルム(代表的にはλ/4板)とが、偏光子の吸収軸と位相差フィルムの遅相軸とが45°の角度をなすようにして積層されている。従来、位相差フィルムは、代表的には、縦方向および/または横方向に一軸延伸または二軸延伸することにより作製されているので、その遅相軸は、多くの場合、長尺状のフィルム原反の横方向(幅方向)または縦方向(長尺方向)に発現する。結果として、円偏光板を作製するには、位相差フィルムを幅方向または長尺方向に対して45°の角度をなすように裁断し、1枚ずつ貼り合わせる必要があった。
また、円偏光板の広帯域性を確保するために、λ/4板とλ/2板の二枚の位相差フィルムを積層させる場合もある。その場合はλ/2板は偏光子の吸収軸に対して75°の角度をなすように積層し、λ/4板は偏光子の吸収軸に対して15°の角度をなすように積層する必要がある。この場合でも、円偏光板を作製する際には、位相差フィルムを幅方向または長尺方向に対して15°および75°の角度をなすように裁断し、1枚ずつ貼り合わせる必要があった。
さらに別の実施形態においては、ノートPCからの光が、キーボード等に映り込むのを回避するために、偏光板からでた直線偏光の向きを90°回転させる目的で、偏光板の視認側にλ/2板を用いることがある。この場合でも、位相差フィルムを幅方向または長尺方向に対して45°の角度をなすように裁断し、1枚ずつ貼り合わせる必要があった。
このような問題を解決するために、長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をそれぞれ、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップによって把持し、該左右のクリップの少なくとも一方のクリップピッチを変化させて、長尺方向に対して斜め方向に延伸(以下、「斜め延伸」とも称する)することにより、位相差フィルムの遅相軸を斜め方向に発現させる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、このような技術で得られた斜め延伸フィルムにおいては、弛み(たるみ)やシワが生じる場合がある。
特許第4845619号
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、斜め延伸されたフィルムに生じた弛みおよび/またはシワを低減することにある。
本発明の1つの局面によれば、長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をそれぞれ、左右のクリップによって把持すること、該左右のクリップを走行移動させて該フィルムを斜め延伸し、次いで、該左右のクリップから開放すること、および、コンケイブロールを用いて該フィルムをロール搬送すること、を含む、延伸フィルムの製造方法であって、該コンケイブロールが、中央部とその両端側に位置する端部とを有し、該端部が該中央部よりも大きい半径を有する円柱形状である、製造方法が提供される。
1つの実施形態において、上記コンケイブロールが、上記中央部の両端から上記端部に向かって拡径する拡径部をさらに有する。
1つの実施形態において、上記コンケイブロールの中央部の半径と端部の半径との差が、0.2mm~2.0mmである。
1つの実施形態において、上記コンケイブロールの端部の幅が、30mm~180mmである。
1つの実施形態において、上記コンケイブロールに加えて、フラットエキスパンダーロールおよび/または湾曲ロールを用いて上記フィルムをロール搬送する。
1つの実施形態において、上記クリップが、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型のクリップであり、上記フィルムの左端部を把持する左クリップおよび右端部を把持する右クリップの少なくとも一方のクリップピッチを変化させながら走行移動させて、上記フィルムを斜め延伸する。
1つの実施形態において、上記斜め延伸が、(i)上記左右のクリップのうちの一方のクリップのクリップピッチをPからPまで増大させつつ、他方のクリップのクリップピッチをPからPまで減少させること、および、(ii)該減少したクリップピッチと該増大したクリップピッチとが所定の等しいピッチとなるように、それぞれのクリップのクリップピッチを変化させることを含む。
1つの実施形態において、P/Pが1.25~1.75であり、P/Pが0.50以上1未満である。
1つの実施形態において、上記フィルムの左端部を把持する左クリップと右端部を把持する右クリップとを等速で走行移動させながら、上記フィルムの搬送方向を途中で変えることによって、上記フィルムを斜め延伸する。
本発明の別の局面によれば、上記製造方法によって長尺状の延伸フィルムを得ること、および、長尺状の光学フィルムと該長尺状の延伸フィルムとを搬送しながら、その長尺方向を揃えて連続的に貼り合わせることを含む、光学積層体の製造方法が提供される。
1つの実施形態において、上記光学フィルムが、偏光板であり、上記延伸フィルムが、λ/4板またはλ/2板である。
本発明の延伸フィルムの製造方法においては、斜め延伸された長尺状のフィルムを、所定の形状を有するコンケイブロールを通過させる。これにより、弛みおよび/またはシワが低減された長尺状の斜め延伸フィルムが得られ得る。
本発明の延伸フィルムの製造方法に用いられ得る延伸装置の一例の全体構成を説明する概略平面図である。 図1の延伸装置においてクリップピッチを変化させるリンク機構を説明するための要部概略平面図である。 図1の延伸装置においてクリップピッチを変化させるリンク機構を説明するための要部概略平面図である。 本発明の延伸フィルムの製造方法に用いられ得る延伸装置の別の一例の全体構成を説明する概略平面図である。 斜め延伸の1つの実施形態におけるクリップピッチのプロファイルを示す概略図である。 斜め延伸の1つの実施形態におけるクリップピッチのプロファイルを示す概略図である。 (a)および(b)はそれぞれ、ロール搬送の一例を説明する概略平面図および概略側面図である。 拡径部を有するコンケイブロールの一例を説明する概略平面図である。 本発明の実施形態で好ましく用いられるフラットエキスパンダーロールを説明する概略平面図である。 本発明の実施形態で好ましく用いられる湾曲ロールを説明する概略平面図である。 本発明の製造方法により得られる位相差フィルムを用いた円偏光板の概略断面図である。 弛み量の測定方法を説明する概略図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。なお、本明細書において、「縦方向のクリップピッチ」とは、縦方向に隣接するクリップの走行方向における中心間距離を意味する。また、長尺状のフィルムの幅方向の左右関係は、特段の記載がない限り、該フィルムの搬送方向に向かっての左右関係を意味する。
A.延伸フィルムの製造方法
本発明の実施形態による延伸フィルムの製造方法は、長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をそれぞれ、左右のクリップによって把持すること、該左右のクリップを走行移動させて該フィルムを斜め延伸し、次いで、該左右のクリップから開放すること、および、コンケイブロールを用いて該フィルムをロール搬送すること、を含む。本実施形態で用いられるコンケイブロールは、中央部とその両端側に位置する端部とを有し、該端部が該中央部よりも大きい半径を有する円柱形状である。1つの実施形態において、コンケイブロールは、中央部とその両端から外方に向かってこの順に位置する拡径部と端部とを有し、該端部が円柱形状である。代表的には、本発明の実施形態による延伸フィルムの製造方法は、予熱工程をさらに含む。具体的には、左右のクリップによって把持されたフィルムは、予熱され、その後、斜め延伸に供される。
上記左右のクリップの走行移動によってフィルムを斜め延伸する方法としては、フィルムの左右端部を互いに異なる延伸倍率で延伸可能(結果として、長尺方向に対して斜め方向に延伸可能)である任意の適切な方法が用いられ得る。例えば、フィルムの左端部を把持するクリップと右端部を把持するクリップとを互いに異なる速度で走行移動させて斜め延伸する方法、フィルムの左端部を把持するクリップと右端部を把持するクリップとに互いに異なる距離を走行移動させて、斜め延伸する方法が挙げられる。前者の斜め延伸の1つの実施形態においては、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型のクリップを用いて、フィルムの左端部を把持する左クリップおよび右端部を把持する右クリップの少なくとも一方の該クリップピッチを変化させながらクリップを走行移動させることによって、フィルムを斜め方向に延伸することができる。後者の斜め延伸の1つの実施形態においては、フィルムの左端部を把持する左クリップと右端部を把持する右クリップとを等速で走行移動させながら、フィルムの搬送方向を途中で変えること(結果として、左右端部の搬送経路長を異ならせること)によってフィルムを斜め方向に延伸することができる。なお、上記斜め延伸によって得られる斜め延伸フィルムにおいては、延伸倍率が小さい側に弛みやシワが生じやすい傾向がある。よって、1つの実施形態において、斜め延伸フィルムにおいては、斜め延伸の際の延伸倍率が小さい側が弛む側であり得る。また、上記斜め延伸フィルムは、好ましくはλ/4板またはλ/2板である。
図1は、上記前者の斜め延伸に用いられ得る延伸装置の一例の全体構成を説明する概略平面図である。延伸装置100aは、平面視で、左右両側に、フィルム把持用の多数のクリップ20を有する無端ループ10Lと無端ループ10Rとを左右対称に有する。なお、本明細書においては、フィルムの入口側から見て左側の無端ループを左側の無端ループ10L、右側の無端ループを右側の無端ループ10Rと称する。左右の無端ループ10L、10Rのクリップ20は、それぞれ、基準レール70に案内されてループ状に巡回移動する。左側の無端ループ10Lのクリップ20は反時計廻り方向に巡回移動し、右側の無端ループ10Rのクリップ20は時計廻り方向に巡回移動する。延伸装置においては、シートの入口側から出口側へ向けて、把持ゾーンA、予熱ゾーンB、延伸ゾーンCおよび開放ゾーンDが順に設けられている。これらのそれぞれのゾーンは、延伸対象となるフィルムが実質的に把持、予熱、斜め延伸、および開放されるゾーンを意味し、機械的、構造的に独立した区画を意味するものではない。また、図1の延伸装置におけるそれぞれのゾーンの長さの比率は、実際の長さの比率と異なることに留意されたい。
図1では、図示されていないが、延伸ゾーンCと開放ゾーンDとの間には、必要に応じて任意の適切な処理をするためのゾーンが設けられてもよい。このような処理としては、横収縮処理等が挙げられる。また、同様に図示されていないが、上記延伸装置は、代表的には、予熱ゾーンBから開放ゾーンDまでの各ゾーンを加熱環境とするための加熱装置(例えば、熱風式、近赤外式、遠赤外式等の各種オーブン)を備えている。1つの実施形態において、予熱、斜め延伸およびクリップからの開放はそれぞれ、所定の温度に設定されたオーブン内で行われ得る。
上記延伸装置100aの把持ゾーンAおよび予熱ゾーンBでは、左右の無端ループ10L、10Rは、延伸対象となるフィルムの初期幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されている。延伸ゾーンCでは、予熱ゾーンBの側から開放ゾーンDに向かうに従って左右の無端ループ10L、10Rの離間距離が上記フィルムの延伸後の幅に対応するまで徐々に拡大する構成とされている。開放ゾーンDでは、左右の無端ループ10L、10Rは、上記フィルムの延伸後の幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されている。ただし、左右の無端ループ10L、10Rの構成は上記図示例に限定されない。例えば、左右の無端ループ10L、10Rは、把持ゾーンAから開放ゾーンDまで延伸対象となるフィルムの初期幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されていてもよい。
左側の無端ループ10Lのクリップ(左側のクリップ)20および右側の無端ループ10Rのクリップ(右側のクリップ)20は、それぞれ独立して巡回移動し得る。例えば、左側の無端ループ10Lの駆動用スプロケット11、12が電動モータ13、14によって反時計廻り方向に回転駆動され、右側の無端ループ10Rの駆動用スプロケット11、12が電動モータ13、14によって時計廻り方向に回転駆動される。その結果、これら駆動用スプロケット11、12に係合している駆動ローラ(図示せず)のクリップ担持部材(図示せず)に走行力が与えられる。これにより、左側の無端ループ10Lは反時計廻り方向に巡回移動し、右側の無端ループ10Rは時計廻り方向に巡回移動する。左側の電動モータおよび右側の電動モータを、それぞれ独立して駆動させることにより、左側の無端ループ10Lおよび右側の無端ループ10Rをそれぞれ独立して巡回移動させることができる。
さらに、左側の無端ループ10Lのクリップ(左側のクリップ)20および右側の無端ループ10Rのクリップ(右側のクリップ)20は、それぞれ可変ピッチ型である。すなわち、左右のクリップ20、20は、それぞれ独立して、移動に伴って縦方向のクリップピッチが変化し得る。可変ピッチ型の構成は、パンタグラフ方式、リニアモーター方式、モーター・チェーン方式等の駆動方式を採用することにより実現され得る。例えば、特許文献1、特開2008-44339号公報等には、パンタグラフ方式のリンク機構を用いたテンター式同時二軸延伸装置が詳細に説明されている。以下、一例として、リンク機構(パンタグラフ機構)について説明する。
図2および図3はそれぞれ、図1の延伸装置においてクリップピッチを変化させるリンク機構を説明するための要部概略平面図であり、図2はクリップピッチが最小の状態を示し、図3はクリップピッチが最大の状態を示す。
図2および図3に図示されるように、クリップ20を個々に担持する平面視横方向に細長矩形状のクリップ担持部材30が設けられている。図示しないが、クリップ担持部材30は、上梁、下梁、前壁(クリップ側の壁)、および後壁(クリップと反対側の壁)により閉じ断面の強固なフレーム構造に形成されている。クリップ担持部材30は、その両端の走行輪38により走行路面81、82上を転動するよう設けられている。なお、図2および図3では、前壁側の走行輪(走行路面81上を転動する走行輪)は図示されない。走行路面81、82は、全域に亘って基準レール70に並行している。クリップ担持部材30の上梁と下梁の後側(クリップ側の反対側(以下、反クリップ側))には、クリップ担持部材の長手方向に沿って長孔31が形成され、スライダ32が長孔31の長手方向にスライド可能に係合している。クリップ担持部材30のクリップ20側端部の近傍には、上梁および下梁を貫通して一本の第1の軸部材33が垂直に設けられている。一方、クリップ担持部材30のスライダ32には一本の第2の軸部材34が垂直に貫通して設けられている。各クリップ担持部材30の第1の軸部材33には主リンク部材35の一端が枢動連結されている。主リンク部材35は、他端を隣接するクリップ担持部材30の第2の軸部材34に枢動連結されている。各クリップ担持部材30の第1の軸部材33には、主リンク部材35に加えて、副リンク部材36の一端が枢動連結されている。副リンク部材36は、他端を主リンク部材35の中間部に枢軸37によって枢動連結されている。主リンク部材35、副リンク部材36によるリンク機構により、図2に示すように、スライダ32がクリップ担持部材30の後側(反クリップ側)に移動しているほど、クリップ担持部材30同士の縦方向のピッチ(結果として、クリップピッチ)が小さくなり、図3に示すように、スライダ32がクリップ担持部材30の前側(クリップ側)に移動しているほど、クリップ担持部材30同士の縦方向のピッチ(結果として、クリップピッチ)が大きくなる。スライダ32の位置決めは、ピッチ設定レール90により行われる。図2および図3に示すように、基準レール70とピッチ設定レール90との離間距離が小さいほどクリップピッチが大きくなる。
図4は、上記後者の斜め延伸に用いられ得る延伸装置の一例の全体構成を説明する概略平面図である。延伸装置100bは、平面視で、左右両側に、フィルム把持用の多数のクリップ20を有するループ状の無端ループ10Lと無端ループ10Rとを有する。左右の無端ループ10L、10Rのクリップ20は、それぞれ、基準レール40に案内されてループ状に巡回移動する(図示例では、無端ループ10Lと10Rの一部が省略されている)。左側の無端ループ10Lのクリップ20は反時計廻り方向に巡回移動し、右側の無端ループ10Rのクリップ20は時計廻り方向に巡回移動する。延伸装置においては、シートの入口側から出口側へ向けて、把持ゾーンA、予熱ゾーンB、延伸ゾーンCおよび開放ゾーンDが順に設けられている。これらのそれぞれのゾーンは、延伸対象となるフィルムが実質的に把持、予熱、斜め延伸、および開放されるゾーンを意味し、機械的、構造的に独立した区画を意味するものではない。また、図4の延伸装置におけるそれぞれのゾーンの長さの比率は、実際の長さの比率と異なることに留意されたい。
図4では、図示されていないが、延伸ゾーンCと開放ゾーンDとの間には、必要に応じて任意の適切な処理をするためのゾーンが設けられてもよい。このような処理としては、横延伸処理等、横収縮処理が挙げられる。また、同様に図示されていないが、上記延伸装置は、代表的には、予熱ゾーンBから開放ゾーンDまでの各ゾーンを加熱環境とするための加熱装置(例えば、熱風式、近赤外式、遠赤外式等の各種オーブン)を備えている。1つの実施形態において、予熱、斜め延伸およびクリップからの開放はそれぞれ、所定の温度に設定されたオーブン内で行われ得る。
上記延伸装置100bの把持ゾーンAおよび予熱ゾーンBでは、左右の無端ループ10L、10Rは、延伸対象となるフィルムの初期幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されている。延伸ゾーンCでは、左の無端ループ10Lと右の無端ループ10Rとが左右非対称な方向に伸びており、これにより、フィルムの搬送方向が変化するとともに、予熱ゾーンBの側から開放ゾーンDに向かうに従って左右の無端ループ10L、10Rの離間距離が上記フィルムの延伸後の幅に対応するまで徐々に拡大する構成とされている。開放ゾーンDでは、左右の無端ループ10L、10Rは、上記フィルムの延伸後の幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されている。ただし、左右の無端ループ10L、10Rの構成は上記図示例に限定されない。
左側の無端ループ10Lのクリップ(左側のクリップ)20および右側の無端ループ10Rのクリップ(右側のクリップ)20は、それぞれ独立して巡回移動し得る。例えば、図1に示す延伸装置と同様に、左側の無端ループ10Lの駆動用スプロケット11が電動モータ13によって反時計廻り方向に回転駆動され、右側の無端ループ10Rの駆動用スプロケット11が電動モータ13によって時計廻り方向に回転駆動される。代表的には、左側のクリップ20および右側のクリップ20は、等速で走行移動し、縦方向のクリップピッチは一定に保たれ得る。なお、一対の左右のクリップの走行速度の差が1%以下である場合に両者の走行速度は等速であるということができ、当該走行速度の差は、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下である。
上記のような延伸装置を用いてフィルムの斜め延伸を行うことにより、斜め延伸フィルム、例えば、斜め方向に遅相軸を有する位相差フィルムが作製され得る。以下、上記延伸フィルムの製造方法の各工程について詳細に説明する。
A-1.クリップによるフィルムの把持
把持ゾーンA(延伸装置100aまたは100bのフィルム取り込みの入り口)においては、左右の無端ループ10L、10Rのクリップ20によって、延伸対象となるフィルムの両端部が互いに等しい一定のクリップピッチ、あるいは、互いに異なるクリップピッチで把持される。左右の無端ループ10L、10Rのクリップ20の移動(実質的には、基準レールに案内された各クリップ担持部材の移動)により、当該フィルムが予熱ゾーンBに送られる。
A-2.予熱
予熱ゾーンBにおいては、左右の無端ループ10L、10Rは、上記のとおり延伸対象となるフィルムの初期幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されているので、基本的には横延伸も縦延伸も行わず、フィルムが加熱される。ただし、予熱によりフィルムのたわみが起こり、オーブン内のノズルに接触するなどの不具合を回避するために、わずかに左右クリップ間の距離(幅方向の距離)を広げてもよい。
予熱においては、フィルムを温度T1(℃)まで加熱する。温度T1は、フィルムのガラス転移温度(Tg)以上であることが好ましく、より好ましくはTg+2℃以上、さらに好ましくはTg+5℃以上である。一方、加熱温度T1は、好ましくはTg+40℃以下、より好ましくはTg+30℃以下である。用いるフィルムにより異なるが、温度T1は、例えば70℃~190℃であり、好ましくは80℃~180℃である。
上記温度T1までの昇温時間および温度T1での保持時間は、フィルムの構成材料や製造条件(例えば、フィルムの搬送速度)に応じて適切に設定され得る。これらの昇温時間および保持時間は、クリップ20の移動速度、予熱ゾーンの長さ、予熱ゾーンの温度等を調整することにより制御され得る。
A-3.斜め延伸
A-3-1.可変ピッチ型のクリップを用いた斜め延伸
延伸装置100aの延伸ゾーンCにおいては、左右のクリップ20を、その少なくとも一方の縦方向のクリップピッチを変化させながら走行移動させて、フィルムを斜め延伸する。より具体的には、左右のクリップの当該クリップピッチをそれぞれ異なる位置で増大または縮小させること、それぞれ異なる変化速度で左右のクリップの当該クリップピッチを変化(増大および/または縮小)させること等によって、フィルムを斜め延伸する。
斜め延伸は、横延伸を含んでもよい。この場合、斜め延伸は、例えば図1に示す構成のように、左右のクリップ間の距離(幅方向の距離)を拡大させながら行われ得る。あるいは、図1に示す構成とは異なり、左右のクリップ間の距離を維持したまま行われ得る。
斜め延伸が横延伸を含む場合、横方向(TD)の延伸倍率(フィルムの初期幅Winitialに対する斜め延伸後のフィルムの幅Wfinalの比(Wfinal/Winitial)は、好ましくは1.05~6.00であり、より好ましくは1.10~5.00である。
1つの実施形態において、斜め延伸は、上記左右のクリップのうちの一方のクリップのクリップピッチが増大または減少し始める位置と他方のクリップのクリップピッチが増大または減少し始める位置とを縦方向における異なる位置とした状態で、それぞれのクリップのクリップピッチを所定のピッチまで増大または減少することによって行われ得る。当該実施形態の斜め延伸については、例えば、特許文献1、特開2014-238524号公報等の記載を参照することができる。
別の実施形態において、斜め延伸は、上記左右のクリップのうちの一方のクリップのクリップピッチを固定したまま、他方のクリップのクリップピッチを所定のピッチまで増大または減少させた後、当初のクリップピッチまで戻すことによって行われ得る。当該実施形態の斜め延伸については、例えば、特開2013-54338号公報、特開2014-194482号公報等の記載を参照することができる。
さらに別の実施形態において、斜め延伸は、(i)上記左右のクリップのうちの一方のクリップのクリップピッチをPからPまで増大させつつ、他方のクリップのクリップピッチをPからPまで減少させること、および、(ii)該減少したクリップピッチと該増大したクリップピッチとが所定の等しいピッチとなるように、それぞれのクリップのクリップピッチを変化させることによって行われ得る。当該実施形態の斜め延伸については、例えば、特開2014-194484号公報等の記載を参照することができる。当該実施形態の斜め延伸は、左右のクリップ間の距離を拡大させながら、一方のクリップのクリップピッチをPからPまで増大させつつ、他方のクリップのクリップピッチをPからPまで減少させて、フィルムを斜め延伸すること(第1の斜め延伸)、および、左右のクリップ間の距離を拡大させながら、左右のクリップのクリップピッチが等しくなるように該一方のクリップのクリップピッチをPで維持またはPまで減少させ、かつ、該他方のクリップのクリップピッチをPまたはPまで増大させて、フィルムを斜め延伸すること(第2の斜め延伸)を含み得る。
上記第1の斜め延伸においては、フィルムの一方の端部を長尺方向に伸長させつつ、他方の端部を長尺方向に収縮させながら斜め延伸を行うことにより、所望の方向(例えば、長尺方向に対して45°の方向)に高い一軸性および面内配向性で遅相軸を発現させることができる。また、第2の斜め延伸においては、左右のクリップピッチの差を縮小しながら斜め延伸を行うことにより、余分な応力を緩和しつつ、斜め方向に十分に延伸することができる。
上記3つの実施形態の斜め延伸において、左右のクリップの移動速度が等しくなった状態でフィルムをクリップから開放することができるので、左右のクリップの開放時にフィルムの搬送速度等のバラつきが生じ難く、その後のフィルムの巻き取りが好適に行われ得る。
図5Aおよび図5Bはそれぞれ、上記第1の斜め延伸および第2の斜め延伸を含む斜め延伸におけるクリップピッチのプロファイルの一例を示す概略図である。以下、これらの図を参照しながら、第1の斜め延伸を具体的に説明する。なお、図5Aおよび図5Bにおいて、横軸はクリップの走行距離に対応する。第1の斜め延伸開始時においては、左右のクリップピッチはともにPとされている。Pは、代表的には、フィルムを把持した際のクリップピッチである。第1の斜め延伸が開始されると同時に、一方のクリップ(以下、第1のクリップと称する場合がある)のクリップピッチの増大を開始し、かつ、他方のクリップ(以下、第2のクリップと称する場合がある)のクリップピッチの減少を開始する。第1の斜め延伸においては、第1のクリップのクリップピッチをPまで増大させ、第2のクリップのクリップピッチをPまで減少させる。したがって、第1の斜め延伸の終了時(第2の斜め延伸の開始時)において、第2のクリップはクリップピッチPで移動し、第1のクリップはクリップピッチPで移動することとされている。なお、クリップピッチの比はクリップの移動速度の比に概ね対応し得る。
図5Aおよび図5Bでは、第1のクリップのクリップピッチを増大させ始めるタイミングおよび第2のクリップのクリップピッチを減少させ始めるタイミングをともに第1の斜め延伸の開始時としているが、図示例とは異なり、第1のクリップのクリップピッチを増大させ始めた後に第2のクリップのクリップピッチを減少させ始めてもよく、第2のクリップのクリップピッチを減少させ始めた後に第1のクリップのクリップピッチを増大させ始めてもよい。1つの好ましい実施形態においては、第1のクリップのクリップピッチを増大させ始めた後に第2のクリップのクリップピッチを減少させ始める。このような実施形態によれば、既にフィルムが幅方向に一定程度(好ましくは1.2倍~2.0倍程度)延伸されていることから第2のクリップのクリップピッチを大きく減少させてもシワが発生しにくい。よって、より鋭角な斜め延伸が可能となり、一軸性および面内配向性の高い位相差フィルムが好適に得られ得る。
同様に、図5Aおよび図5Bでは、第1の斜め延伸の終了時(第2の斜め延伸の開始時)まで第1のクリップのクリップピッチの増大および第2のクリップのクリップピッチの減少が続いているが、図示例とは異なり、クリップピッチの増大または減少のいずれか一方が他方よりも早く終了し、他方が終了するまで(第1の斜め延伸の終了時まで)そのクリップピッチがそのまま維持されてもよい。
第1のクリップのクリップピッチの変化率(P/P)は、好ましくは1.25~1.75、より好ましくは1.30~1.70、さらに好ましくは1.35~1.65である。また、第2のクリップのクリップピッチの変化率(P/P)は、例えば0.50以上1未満、好ましくは0.50~0.95、より好ましくは0.55~0.90、さらに好ましくは0.55~0.85である。クリップピッチの変化率がこのような範囲内であれば、フィルムの長手方向に対して概ね45度の方向に高い一軸性および面内配向性で遅相軸を発現させることができる。
クリップピッチは、上記のとおり、延伸装置のピッチ設定レールと基準レールとの離間距離を調整してスライダを位置決めすることにより、調整され得る。
第1の斜め延伸におけるフィルムの幅方向の延伸倍率(第1の斜め延伸終了時のフィルム幅/第1の斜め延伸前のフィルム幅)は、好ましくは1.1倍~3.0倍、より好ましくは1.2倍~2.5倍、さらに好ましくは1.25倍~2.0倍である。当該延伸倍率が1.1倍未満であると、収縮させた側の端部にトタン状のシワが生じる場合がある。また、当該延伸倍率が3.0倍を超えると、得られる位相差フィルムの二軸性が高くなってしまい、円偏光板等に適用した場合に視野角特性が低下する場合がある。
1つの実施形態において、第1の斜め延伸は、第1のクリップのクリップピッチの変化率と第2のクリップのクリップピッチの変化率との積が、好ましくは0.7~1.5、より好ましくは0.8~1.45、さらに好ましくは0.85~1.40となるように行われる。変化率の積がこのような範囲内であれば、一軸性および面内配向性の高い位相差フィルムが得られ得る。
次に、第2の斜め延伸の1つの実施形態を、図5Aを参照しながら具体的に説明する。本実施形態の第2の斜め延伸においては、第2のクリップのクリップピッチをPからPまで増大させる。一方、第1のクリップのクリップピッチは、第2の斜め延伸の間、Pのまま維持される。したがって、第2の斜め延伸の終了時において、左右のクリップはともに、クリップピッチPで移動することとされている。
図5Aに示す実施形態の第2の斜め延伸における第2のクリップのクリップピッチの変化率(P/P)は、本発明の効果を損なわない限りにおいて制限はない。該変化率(P/P)は、例えば1.3~4.0、好ましくは1.5~3.0である。
第2の斜め延伸の別の実施形態を、図5Bを参照しながら具体的に説明する。本実施形態の第2の斜め延伸においては、第1のクリップのクリップピッチを減少させるとともに、第2のクリップのクリップピッチを増大させる。具体的には、第1のクリップのクリップピッチをPからPまで減少させ、第2のクリップのクリップピッチをPからPまで増大させる。したがって、第2の斜め延伸の終了時において、左右のクリップはともにクリップピッチPで移動することとされている。なお、図示例では、第2の斜め延伸の開始と同時に、第1のクリップのクリップピッチの減少および第2のクリップのクリップピッチの増大を開始しているが、これらは異なるタイミングで開始され得る。また、同様に、第1のクリップのクリップピッチの減少および第2のクリップのクリップピッチの増大は、異なるタイミングで終了してもよい。
図5Bに示す実施形態の第2の斜め延伸における第1のクリップのクリップピッチの変化率(P/P)および第2のクリップのクリップピッチの変化率(P/P)は、本発明の効果を損なわない限りにおいて制限はない。変化率(P/P)は、例えば0.4以上1.0未満、好ましくは0.6~0.95である。また、変化率(P/P)は、例えば1.0を超え2.0以下、好ましくは1.2~1.8である。好ましくは、PはP以上である。P<Pであると、端部にシワが生じる、二軸性が高くなる等の問題が生じる場合がある。
第2の斜め延伸におけるフィルムの幅方向の延伸倍率(第2の斜め延伸終了時のフィルム幅/第1の斜め延伸終了時のフィルム幅)は、好ましくは1.1倍~3.0倍、より好ましくは1.2倍~2.5倍、さらに好ましくは1.25倍~2.0倍である。当該延伸倍率が1.1倍未満であると、収縮させた側の端部にトタン状のシワが生じる場合がある。また、当該延伸倍率が3.0倍を超えると、得られる位相差フィルムの二軸性が高くなってしまい、円偏光板等に適用した場合に視野角特性が低下する場合がある。また、第1の斜め延伸および第2の斜め延伸における幅方向の延伸倍率(第2の斜め延伸終了時のフィルム幅/第1の斜め延伸前のフィルム幅)は、上記と同様の観点から、好ましくは1.2倍~4.0倍であり、より好ましくは1.4倍~3.0倍である。
斜め延伸は、代表的には、温度T2で行われ得る。温度T2は、フィルムのガラス転移温度(Tg)に対し、Tg-20℃~Tg+30℃であることが好ましく、さらに好ましくはTg-10℃~Tg+20℃、特に好ましくはTg程度である。用いるフィルムにより異なるが、温度T2は、例えば70℃~180℃であり、好ましくは80℃~170℃である。上記温度T1と温度T2との差(T1-T2)は、好ましくは±2℃以上であり、より好ましくは±5℃以上である。1つの実施形態においては、T1>T2であり、したがって、予熱ゾーンで温度T1まで加熱されたフィルムは温度T2まで冷却され得る。
上述の通り、斜め延伸後に横収縮処理が行われてもよい。斜め延伸後の当該処理については、特開2014-194483号公報の0029~0032段落を参照することができる。
A-3-2.ピッチ一定型のクリップを用いた斜め延伸
延伸装置100bの延伸ゾーンCにおいては、左の無端ループ10Lと右の無端ループ10Rとが非対称な方向に伸びている結果、フィルムの搬送方向が変化するように(具体的には、予熱ゾーンBにおけるフィルムの搬送方向(矢印Bの延びる方向)と解放ゾーンDにおけるフィルムの搬送方向(矢印Dの延びる方向)とが非平行となるように)構成されている。このような構成に起因して、斜め延伸ゾーンCにおける左右の無端ループ10L、Rの長さ(換言すると、斜め延伸ゾーンCにおける左右のクリップの走行距離)が異なる。その結果、等速で走行移動する一対の左右のクリップは、上記走行距離が短い方のクリップが先行走行することになり(図4では、左のクリップが先行走行する)、フィルムが斜め方向に延伸される。当該実施形態の斜め延伸については、例えば、特開2004-226686号公報、WO2007/111313等の記載を参照することができる。
斜め延伸は、代表的には、温度T2で行われ得る。温度T2は、フィルムのガラス転移温度(Tg)に対し、Tg-20℃~Tg+30℃であることが好ましく、さらに好ましくはTg-10℃~Tg+20℃、特に好ましくはTg程度である。用いるフィルムにより異なるが、温度T2は、例えば70℃~180℃であり、好ましくは80℃~170℃である。上記温度T1と温度T2との差(T1-T2)は、好ましくは±2℃以上であり、より好ましくは±5℃以上である。1つの実施形態においては、T1>T2であり、したがって、予熱ゾーンで温度T1まで加熱されたフィルムは温度T2まで冷却され得る。
上述の通り、斜め延伸後に横収縮処理が行われてもよい。斜め延伸後の当該処理については、特開2014-194483号公報の0029~0032段落を参照することができる。
A-4.クリップの開放
開放ゾーンDの任意の位置において、上記フィルムが、クリップから開放される。開放ゾーンDにおいては、通常、横延伸も縦延伸も行われず、必要に応じて、フィルムを熱処理して延伸状態を固定(熱固定)し、および/または、Tg以下まで冷却し、次いで、フィルムをクリップから開放する。なお、熱固定する際には、縦方向のクリップピッチを減少させ、これにより、応力を緩和してもよい。
熱処理は、代表的には、温度T3で行われ得る。温度T3は、延伸されるフィルムによって異なり、T2≧T3の場合も、T2<T3の場合もあり得る。一般的に、フィルムが非晶性材料である場合はT2≧T3であり、結晶性材料である場合はT2<T3にすることで結晶化処理を行う場合もある。T2≧T3の場合、温度T2とT3の差(T2-T3)は好ましくは0℃~50℃である。熱処理時間は、代表的には10秒~10分である。
1つの実施形態において、クリップから開放されたフィルムの幅(結果として、後述のコンケイブロールを用いたロール搬送に供されるフィルムの幅)は、例えば1500mm~3000mmであり、好ましくは1800mm~2700mmであり、より好ましくは2000mm~2400mmである。
A-5.ロール搬送
上記クリップから開放されたフィルムは、コンケイブロールを用いてロール搬送される。コンケイブロールは、中央部よりも端部の径が大きい構造を有し、中央部と端部との間に発生する周速差を利用してフィルムを拡張する作用を発揮し得る。本発明の実施形態で用いられるコンケイブロールは、中央部とその両端側に位置する端部とを有し、該端部が該中央部よりも大きい半径を有する円柱形状である。1つの実施形態においては、中央部とその両端から外方に向かってこの順に位置する拡径部と端部とを有し、該端部が円柱形状であるコンケイブロールが好ましく用いられ得る。なお、本明細書において、通常のロール搬送に用いられる円柱形状の搬送ロールをストレートロールと称する場合がある。
図6(a)および図6(b)はそれぞれ、上記コンケイブロールを用いたロール搬送の一例を説明する概略平面図および概略側面図であり、図7は、拡径部を有するコンケイブロールの一例の概略平面図である。図示例のロール搬送においては、延伸装置100から送り出されたフィルム1を、7つのロール(コンケイブロール51、第1~第6のストレートロール52~57)を通過させて搬送し、巻取り部60で巻き取っている。
図7に示すコンケイブロール51は、中央部51aとその両端から外方に向かってこの順に位置する拡径部51bと端部51cとを有する。中央部51aおよび端部51cはそれぞれ、円柱形状であり、コンケイブロール51は、回転軸Aの中央を対称の中心とする点対称な形状を有する。コンケイブロール51は、フィルム1とその幅方向中央が重なるように配置された際に、その形状に起因して、フィルムの幅方向中央に対して左右対称に拡張性を発揮すると予測されるが、一方の側に弛みおよび/または該弛みに起因するシワを有する斜め延伸フィルムに対して適用した場合には、目的の軸角度および面内位相差を実質的に維持しつつ、弛みおよび/またはシワが低減されるという優れた効果が得られ得る。このような効果が得られる理由は定かではないが、弛みおよび/またはシワがある場合には、微小な延伸効果によってこれらが改善され、また、その際にフィルム幅方向で均一な張力がかかることから、面均一な特性が維持されると推測される。
中央部51aの半径と端部51cの半径との差Xは、例えば0.2mm~2.0mmであり得る。また、端部51cの幅W4は、例えば20mm~200mm、好ましくは30mm~180mmであり得る。差Xおよび/または幅W4が当該範囲内であれば、弛みおよび/またはシワ低減効果が好適に得られ得る。なお、図示例では、中央部51aが幅W2を有しており、円柱形状であるが、中央部51aの幅W2は0mmであってもよく、その場合、コンケイブロールは、幅方向中央(中心線C1)から両端部に向けて拡径する構造を有する。
1つの実施形態において、中央部51aの半径と端部51cの半径との差Xは、好ましくは0.6mm~1.8mm、より好ましくは0.8mm~1.5mmである。また、端部51cの幅W4は、好ましくは30mm~180mm、より好ましくは30mm~160mmであり得る。差Xおよび/または幅W4が当該範囲内であれば、弛み低減効果がより好適に得られ得る。
1つの実施形態において、中央部51aの半径と端部51cの半径との差Xは、好ましくは0.3mm~1.8mm、より好ましくは0.4mm~1.5mmである。また、端部51cの幅W4は、好ましくは30mm~130mm、より好ましくは30mm~120mmであり得る。差Xおよび/または幅W4が当該範囲内であれば、シワ低減効果がより好適に得られ得る。
1つの実施形態において、中央部51aの半径と端部51cの半径との差Xは、好ましくは0.6mm~1.8mm、より好ましくは0.8mm~1.5mmである。また、端部51cの幅W4は、好ましくは30mm~130mm、より好ましくは30mm~120mmであり得る。差Xおよび/または幅W4が当該範囲内であれば、弛みおよびシワ低減効果がより好適に得られ得る。
拡径部51bの拡径率(X/W3×100)は、例えば0.1%~6.0%、好ましくは0.2%~5.0%、より好ましくは1.0%~4.5%である。拡径率が当該範囲内であれば、目的の軸角度および面内位相差を実質的に維持しつつ、弛みおよび/またはシワの低減効果が得られ得る。なお、図示例では、拡径部は直線的に拡径しているが、拡径部は凹湾していてもよい。
図示例とは異なり、拡径部を有さないコンケイブロール(すなわち、端部が中央部の両端から垂直に立ち上がっているコンケイブロール)を用いることもできる。このようなコンケイブロールにおける中央部51aの半径と端部51cの半径との差Xおよび端部51cの幅W4については、上記拡径部を有するコンケイブロールと同様の説明を適用することができる。
コンケイブロール51の全幅W1および中央部51aの幅W2は、ロール通過時のフィルム幅、端部の幅W4、拡径率、差X等に応じて適切に設定され得る。コンケイブロール51の全幅W1は、例えば、左右の端部51cがそれぞれ、ロール上を通過するフィルムと例えば5mm~195mm、また例えば10mm~190mm重なるように設計され得る。
コンケイブロールの形成材料は、本発明の効果が得られる限りにおいて特に制限されず、例えばゴムまたは金属が挙げられる。
フィルムがコンケイブロールを通過する際の抱き角度は、例えば45°~135°、好ましくは70°~100°である。抱き角度がこのような範囲内であれば、本発明の効果が好適に得られ得る。
図示例の通り、ロール搬送は、コンケイブロールを含む複数のロールを用いて行われ得る。ロール搬送において、フィルムが通過するロールの総数(コンケイブロールを含む)は、例えば1~12、好ましくは2~10、より好ましくは3~8であり得る。その際、フィルムが全ロール中、コンケイブロールを通過する順序は特に制限されず、コンケイブロールは任意の位置に配置することができる。
1つの実施形態において、コンケイブロールに加えて、フラットエキスパンダーロールおよび/または湾曲ロールを併用してロール搬送を行ってもよい。これらを併用することにより、弛みの低減効果がより好適に得られ得る。フラットエキスパンダーロールおよび湾曲ロールの配置箇所に特に制限はない。これらのロールはそれぞれ、コンケイブロールよりも搬送方向上流または下流の任意の箇所に配置され得る。
図8は、上記実施形態で好ましく用いられるフラットエキスパンダーロールを説明する概略平面図である。図8に示すフラットエキスパンダーロール58は、直線状のロールである。フラットエキスパンダーロール58は、シャフト58aと、シャフト58aの両端に取り付けられた一対の支持基板58bと、支持基板58bの内側に取り付けられ、フィルムの搬送方向に対してそれぞれ角度θで拡がるように対向配置された一対のリング部材58cと、一対のリング部材58c間にその周方向に所定の間隔を設けて取り付けられた伸縮可能な複数の弾性バンド(代表的には、ゴムバンド)58dとを有する。リング部材58cは、ベアリングを備え、弾性バンド58dと搬送されるフィルムとの摩擦力を受けてその内側が弾力性バンド58dとともに周方向に回転可能に構成されている。また、リング部材58cは、フィルムの搬送方向に対する角度θを任意に変更可能に構成されている。図示例においては、4つの調整ボルト58eの差し込み量によって角度θを変更可能に構成されているが、他の構成によって角度θが変更されるものであってもよい。フラットエキスパンダーロールは、角度θが大きいほど、大きな拡張性を発揮し得る。
リング部材の傾斜角度θは、例えば0°を超え°4.0°以下、好ましくは0.1°~3.5°であり得る。このような傾斜角度でフラットエキスパンダーロールを併用することにより、目的の軸角度および面内位相差を実質的に維持しつつ、弛みが低減された長尺状の延伸フィルムがより好適に得られ得る。
図9は、上記実施形態で好ましく用いられる湾曲ロールを説明する概略平面図である。図9に示す湾曲ロール59は、搬送方向に向かって凸となるように幅方向中央(中心線C3)を中心に左右対称に湾曲している。湾曲ロールを用いる場合、フィルム1の弛まない側の端部が弛む側の端部よりも湾曲ロールの幅方向中央寄りになるように、フィルム1の幅方向中央(中心線C2)と湾曲ロールの幅方向中央(中心線C3)とをずらしてフィルム1をロール搬送することが好ましい。このように搬送することにより、フィルムの弛まない側に弛む側よりも大きなテンションがかかることから、弛み低減に有利である。
湾曲ロール59は、例えば湾曲シャフト59aの周囲に多数のラジアルボールベアリング(図示せず)を取り付け、その表層をゴム等の弾性変形可能な弾性材料からなる筒で覆った構造を有し、湾曲軸59bを中心に該筒が回転可能に構成されている。なお、湾曲ロールには、その湾曲度合いが固定されたものと可変であるものとがあるが、いずれを用いてもよい。
湾曲ロール59の湾曲量D(mm)および全幅W5(mm)はそれぞれ、所望する弛み低減量、フィルム幅等に応じて適切な値に設定され得る。湾曲量Dは、例えば5mm~15mm、好ましくは8mm~13mmであり得る。湾曲ロール59の湾曲率(D/W5×100)は、例えば0.1%~1.5%、好ましくは0.2%~0.7%であり得る。湾曲量および/または湾曲率が当該範囲内であれば、目的の軸角度および面内位相差を実質的に維持しつつ、軸角度および面内位相差を実質的に維持しつつ、弛みが低減された長尺状の延伸フィルムが好適に得られ得る。なお、湾曲ロール59の全幅W5は、フィルム1の幅の例えば105%~170%、好ましくは110%~155%であり得る。
湾曲ロール59を通過する際のフィルム1の幅方向中央と湾曲ロール59の幅方向中央との距離(フィルム1の中心線C2と湾曲ロールの中心線C3との距離)Lは、例えば40mm~120mmであり、好ましくは45mm~110mm、より好ましくは50mm~100mmである。
上記ロール搬送は、クリップから開放後のフィルムに張力を付与しながら行うことが好ましい。コンケイブロールを用いた弛みの矯正に加えてフィルム全体に張力を付与することにより、より効果的に弛みおよび/またはシワを低減することができる。フィルムに付与される張力は、例えば100N/m以上であり、好ましくは200N/m以上、より好ましくは250N/m~500N/mである。張力の付与は、例えば、搬送ロール間等においてフィルムにかかる張力を測定し、該張力が所望の値となるように搬送ロールの回転速度等を制御することによって行われ得る。
張力の付与は、クリップ開放後から任意の搬送ロールまでの間(例えば、クリップの開放後からコンケイブロールより下流のロールまでの間)において行われ得る。
張力を付与する時間は、フィルムの形成材料、弛み量等に応じて適切に設定され得る。該時間は、例えば、5秒~60秒であり得る。
ロール搬送は、加熱環境下で行われてもよく、非加熱環境下で行われてもよい。好ましくは、ロール搬送は、非加熱環境下で行われる。非加熱環境下でコンケイブロールを通過させることにより、キズの発生を防止しつつ、弛みおよび/またはシワを低減することができる。非加熱環境の雰囲気温度は、例えば15℃~40℃程度、また例えば20℃~30℃程度であり得る。また、加熱環境の雰囲気温度は、例えば上記延伸装置の開放ゾーンにおける雰囲気温度と同程度とすることができる。
ロール搬送されたフィルム1は、巻取り部60で巻取られてフィルムロールを形成し得る。あるいは、図示例とは異なり、フィルムは巻き取られることなく、他の長尺状の光学フィルムと搬送しながら、その長尺方向を揃えて連続的に貼り合わせられて光学積層体を構成し得る。
1つの実施形態において、クリップから開放され、延伸装置から送り出された延伸フィルムをストレートロールのみを用いてロール搬送しながら、その弛み量を測定し、所定量以上の弛み量が検出された場合に、少なくとも1つのストレートロールをコンケイブロールに変更してロール搬送を行うことにより、その後に得られる延伸フィルムの弛み量を低減することができる。
A-6.弛み量の検出
弛み量は、例えば、搬送ロール間において検出され得る。具体的には、弛み量は、搬送ロール間の中間点において、フィルムの幅方向における位置(搬送高さ)の差として検出され得る。
上記検出時における搬送ロール間距離は、特に限定されないが、例えば500mm~2000mmであり、好ましくは700mm~1500mmとすることができる。
上記検出時におけるフィルム張力は、特に限定されないが、例えば50N/m~400N/mであり、好ましくは100N/m~200N/mとすることができる。搬送張力が高すぎると、搬送中のフィルムが弾性変形し、弛みが検出し難くなる場合がある。一方、搬送張力が低すぎると、張力そのものが安定せず、弛みの測定値が安定しない場合がある。
上記検出は、非加熱環境下で行われ得る。弛み量を検出する際の雰囲気温度は、例えば15℃~40℃程度、また例えば20℃~30℃程度であってよい。
1つの実施形態においては、クリップから開放された延伸フィルムの幅方向の左右端部を切断除去した後に、弛み量の検出を行う。両端部を除去した状態で弛み量の検出を行うことにより、より正確な検出結果が得られ得る。
切断除去される端部の幅はそれぞれ独立して、例えば20mm~600mm、好ましくは100mm~500mmであり得る。端部の切断除去は、通常のスリット加工によって行われ得る。
本発明の延伸フィルムの製造方法によって得られる弛み低減量(コンケイブロールを用いずにロール搬送されたフィルムの弛み量-コンケイブロールを用いてロール搬送されたフィルムの弛み量:ただし、ロール間距離1000mmで測定した弛み量)は、例えば3mm以上、好ましくは5mm以上、より好ましくは8mm以上、さらに好ましくは10mm以上であり得る。また、上記コンケイブロールを用いたロール搬送後のフィルムに残存し得る弛み量は、例えば15mm未満、好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下、さらに好ましくは5mm以下、さらにより好ましくは3mm未満であり得る。
B.延伸対象のフィルム
本発明の製造方法においては、任意の適切なフィルムを用いることができる。例えば、位相差フィルムとして適用可能な樹脂フィルムが挙げられる。このようなフィルムを構成する材料としては、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、セルロースエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルカーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。好ましくは、ポリカーボネート樹脂、セルロースエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルカーボネート系樹脂、シクロオレフィン樹脂である。これらの樹脂であれば、いわゆる逆分散の波長依存性を示す位相差フィルムが得られ得るからである。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、所望の特性に応じて組み合わせて用いてもよい。
上記ポリカーボネート系樹脂としては、任意の適切なポリカーボネート系樹脂が用いられる。例えば、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂が好ましい。ジヒドロキシ化合物の具体例としては、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-n-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-sec-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-イソブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-tert-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,5-ジメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-tert-ブチル-6-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等が挙げられる。ポリカーボネート樹脂は、上記ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の他に、イソソルビド、イソマンニド、イソイデット、スピログリコール、ジオキサングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、ポリエチレングリコール(PEG)、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、トリシクロデカンジメタノール(TCDDM)、ビスフェノール類などのジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含んでいてもよい。
上記のようなポリカーボネート系樹脂の詳細は、例えば特開2012-67300号公報および特許第3325560号に記載されている。当該特許文献の記載は、本明細書に参考として援用される。
ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度は、110℃以上250℃以下であることが好ましく、より好ましくは120℃以上230℃以下である。ガラス転移温度が過度に低いと耐熱性が悪くなる傾向にあり、フィルム成形後に寸法変化を起こす可能性がある。ガラス転移温度が過度に高いと、フィルム成形時の成形安定性が悪くなる場合があり、また、フィルムの透明性を損なう場合がある。なお、ガラス転移温度は、JIS K 7121(1987)に準じて求められる。
上記ポリビニルアセタール系樹脂としては、任意の適切なポリビニルアセタール系樹脂を用いることができる。代表的には、ポリビニルアセタール系樹脂は、少なくとも2種類のアルデヒド化合物及び/又はケトン化合物と、ポリビニルアルコール系樹脂とを縮合反応させて得ることができる。ポリビニルアセタール系樹脂の具体例および詳細な製造方法は、例えば、特開2007-161994号公報に記載されている。当該記載は、本明細書に参考として援用される。
上記延伸対象のフィルムを延伸して得られる延伸フィルム(位相差フィルム)は、好ましくは、屈折率特性がnx>nyの関係を示す。1つの実施形態において、位相差フィルムは、好ましくはλ/4板として機能し得る。本実施形態において、位相差フィルム(λ/4板)の面内位相差Re(550)は、好ましくは100nm~180nm、より好ましくは135nm~155nmである。別の実施形態において、位相差フィルムは、好ましくはλ/2板として機能し得る。本実施形態において、位相差フィルム(λ/2板)の面内位相差Re(550)は、好ましくは230nm~310nm、より好ましくは250nm~290nmである。なお、本明細書において、nxは面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、nyは面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、nzは厚み方向の屈折率である。また、Re(λ)は、23℃における波長λnmの光で測定したフィルムの面内位相差である。したがって、Re(550)は、23℃における波長550nmの光で測定したフィルムの面内位相差である。Re(λ)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、式:Re(λ)=(nx-ny)×dによって求められる。
位相差フィルムの面内位相差Re(550)は、斜め延伸条件を適切に設定することにより所望の範囲とすることができる。例えば、斜め延伸によって100nm~180nmの面内位相差Re(550)を有する位相差フィルムを製造する方法は、特開2013-54338号公報、特開2014-194482号公報、特開2014-238524号公報、特開2014-194484号公報等に詳細に開示されている。よって、当業者は、当該開示に基づいて適切な斜め延伸条件を設定することができる。
1枚の位相差フィルムを用いて円偏光板を作製する場合、または、1枚の位相差フィルムを用いて直線偏光の向きを90°回転させる場合、用いられる位相差フィルムの遅相軸方向は、当該フィルムの長尺方向に対して好ましくは30°~60°または120°~150°、より好ましくは38°~52°または128°~142°、さらに好ましくは43°~47°または133°~137°、特に好ましくは45°または135°程度である。
また、2枚の位相差フィルム(具体的には、λ/2板とλ/4板)を用いて円偏光板を作製する場合、用いられる位相差フィルム(λ/2板)の遅相軸方向は、当該フィルムの長尺方向に対して好ましくは60°~90、より好ましくは65°~85、特に好ましくは75°程度である。また、位相差フィルム(λ/4板)の遅相軸方向は、当該フィルムの長尺方向に対して好ましくは0°~30°、より好ましくは5~25°、特に好ましくは15°程度である。
位相差フィルムは、好ましくは、いわゆる逆分散の波長依存性を示す。具体的には、その面内位相差は、Re(450)<Re(550)<Re(650)の関係を満たす。Re(450)/Re(550)は、好ましくは0.8以上1.0未満であり、より好ましくは0.8~0.95である。Re(550)/Re(650)は、好ましくは0.8以上1.0未満であり、より好ましくは0.8~0.97である。
位相差フィルムは、その光弾性係数の絶対値が、好ましくは2×10-12(m/N)~100×10-12(m/N)であり、より好ましくは5×10-12(m/N)~50×10-12(m/N)である。
C.光学積層体および該光学積層体の製造方法
本発明の製造方法により得られた延伸フィルムは、別の光学フィルムと貼り合わせられて光学積層体として用いられ得る。例えば、本発明の製造方法によって得られた位相差フィルムは、偏光板と貼り合わせられて、円偏光板として好適に用いられ得る。
図10は、そのような円偏光板の一例の概略断面図である。図示例の円偏光板200は、偏光子210と、偏光子210の片側に配置された第1の保護フィルム220と、偏光子210のもう片側に配置された第2の保護フィルム230と、第2の保護フィルム230の外側に配置された位相差フィルム240と、を有する。位相差フィルム240は、A項に記載の製造方法により得られた延伸フィルム(例えば、λ/4板)である。第2の保護フィルム230は省略されてもよい。その場合、位相差フィルム240が偏光子の保護フィルムとして機能し得る。偏光子210の吸収軸と位相差フィルム240の遅相軸とのなす角度は、好ましくは30°~60°、より好ましくは38°~52°、さらに好ましくは43°~47°、特に好ましくは45°程度である。
本発明の製造方法により得られた位相差フィルムは、長尺状であり、かつ、斜め方向(長尺方向に対して例えば45°の方向)に遅相軸を有する。また、多くの場合、長尺状の偏光子は長尺方向または幅方向に吸収軸を有する。よって、本発明の製造方法により得られた位相差フィルムを用いれば、いわゆるロールトゥロールを利用することができ、きわめて優れた製造効率で円偏光板を作製することができる。なお、ロールトゥロールとは、長尺状のフィルム同士をロール搬送しながら、その長尺方向を揃えて連続的に貼り合わせる方法をいう。
1つの実施形態において、本発明の光学積層体の製造方法は、A項に記載の延伸フィルムの製造方法によって長尺状の延伸フィルムを得ること、および、長尺状の光学フィルムと該長尺状の延伸フィルムとを搬送しながら、その長尺方向を揃えて連続的に貼り合わせることを含む。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、実施例における測定および評価方法は下記のとおりである。
(1)厚み
ダイヤルゲージ(PEACOCK社製、製品名「DG-205 type pds-2」)を用いて測定した。
(2)位相差値
Axometrics社製のAxoscanを用いて面内位相差Re(550)を測定した。
(3)配向角(遅相軸の発現方向)
測定対象のフィルムの中央部を、一辺が当該フィルムの幅方向と平行となるようにして幅50mm、長さ50mmの正方形状に切り出して試料を作成した。この試料を、Axometrics社製のAxoscanを用いて測定し、波長590nmにおける配向角θを測定した。
(4)ガラス転移温度(Tg)
JIS K 7121に準じて測定した。
(5)弛み量
図11に示すように、搬送ロール50a、50b間の中間点(ロール間距離:912mm)におけるフィルム1の搬送経路の下方に超音波変位センサー300を配置し、搬送張力150N/mで搬送した際の幅方向の中央部と端部において超音波変位センサーから延伸フィルムまでの距離を測定し、最大距離(LMAX)と最小距離(LMIN)との差(LMAX-LMIN)を弛み量(mm)とした。なお、上記弛み量の測定は、サクションロール等を用いて弛みを矯正するために付与された張力をカットした後、搬送張力150N/mでロール搬送しながら行った。
(6)張力
フィルム搬送ライン中に設置したフィルム張力検出器によって、フィルムにかかる張力を測定した。
<実施例1>
(ポリエステルカーボネート樹脂フィルムの作製)
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した縦型反応器2器からなるバッチ重合装置を用いて重合を行った。ビス[9-(2-フェノキシカルボニルエチル)フルオレン-9-イル]メタン 29.60質量部(0.046mol)、ISB 29.21質量部(0.200mol)、SPG 42.28質量部(0.139mol)、DPC 63.77質量部(0.298mol)及び触媒として酢酸カルシウム1水和物1.19×10-2質量部(6.78×10-5mol)を仕込んだ。反応器内を減圧窒素置換した後、熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始した。昇温開始40分後に内温を220℃に到達させ、この温度を保持するように制御すると同時に減圧を開始し、220℃に到達してから90分で13.3kPaにした。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を100℃の還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は45℃の凝縮器に導いて回収した。第1反応器に窒素を導入して一旦大気圧まで復圧させた後、第1反応器内のオリゴマー化された反応液を第2反応器に移した。次いで、第2反応器内の昇温および減圧を開始して、50分で内温240℃、圧力0.2kPaにした。その後、所定の攪拌動力となるまで重合を進行させた。所定動力に到達した時点で反応器に窒素を導入して復圧し、生成したポリエステルカーボネートを水中に押し出し、ストランドをカッティングしてペレットを得た。得られたポリエステルカーボネート樹脂のTgは、140℃であった。
得られたポリエステルカーボネート樹脂を80℃で5時間真空乾燥をした後、単軸押出機(東芝機械社製、シリンダー設定温度:250℃)、Tダイ(幅200mm、設定温度:250℃)、チルロール(設定温度:120~130℃)および巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み135μmの樹脂フィルムを作製した。
(延伸フィルムの作製)
上記のようにして得られたポリエステルカーボネート樹脂フィルムを、図1~3に示すような延伸装置を用いて斜め延伸して、位相差フィルムを得た。
具体的には、ポリエステルカーボネート樹脂フィルムの左右端部を延伸装置の入り口で左右のクリップによって把持し、予熱ゾーンBで145℃に予熱した。予熱ゾーンにおいては、左右のクリップのクリップピッチ(P)は125mmであった。
次に、フィルムが延伸ゾーンCに入ると同時に、右側クリップのクリップピッチの増大および左側クリップのクリップピッチの減少を開始し、右側クリップのクリップピッチをPまで増大させるとともに左側クリップのクリップピッチをPまで減少させた(第1の斜め延伸)。このとき、右側クリップのクリップピッチ変化率(P/P)は、1.42であり、左側クリップのクリップピッチ変化率(P/P)は0.78であり、フィルムの原幅に対する横延伸倍率は1.45倍であった。次いで、右側クリップのクリップピッチをPに維持したままで、左側クリップのクリップピッチの増大を開始し、PからPまで増大させた(第2の斜め延伸)。この間の左側クリップのクリップピッチの変化率(P2/P3)は1.82であり、フィルムの原幅に対する横延伸倍率は1.9倍であった。なお、延伸ゾーンCはTg+3.2℃(143.2℃)に設定した。
次いで、開放ゾーンDにおいて、125℃で60秒間フィルムを保持して熱固定を行った。熱固定されたフィルムを、100℃まで冷却後、左右のクリップを開放し、延伸装置出口から送り出した。
(弛みの検出)
以上のようにして、延伸装置出口から送り出されたフィルム(幅2050mm)を、室温環境下で、図6(a)および図6(b)に示すような7つの搬送ロールを用いた搬送ラインで搬送し、搬送ロール間で弛み量を検出した。ロール搬送中、搬送方向最下流のロールのトルクを調整することにより、クリップ開放地点から搬送方向最下流のロールまでのフィルムに300N/mの張力を180秒間付与した。なお、搬送ラインに設置されたロールは全てストレートロールであった。検出の結果、延伸装置出口から送り出されたフィルムにおいては、幅方向の左端部に弛みが生じており、弛み量は、18mmであった。
(ロール搬送)
上記ロール搬送において、延伸装置出口から送り出されたフィルムが最初に通過するロールをコンケイブロールに取り換えてロール搬送を継続した。このとき、コンケイブのロールの幅方向中央(中心線C1)とフィルムの幅方向中央(中心線C2)とが重なるようにロール搬送を行った。用いたコンケイブロールの全幅W1は2100mmであり、中央部の幅W2は1800mmであり、端部の幅W4は100mmであり、中央部の半径と端部の半径との差Xは0.9mmであった。
得られた延伸フィルムの位相差Re(590)は、147nmであり、遅相軸方向と長尺方向とのなす角度は45°であった。
<実施例2>
全幅W1が2100mmであり、中央部の幅W2が1800mmであり、端部の幅W4が50mmであり、差Xが1.3mmであるコンケイブロールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。
得られた延伸フィルムの位相差Re(590)は、147nmであり、遅相軸方向と長尺方向とのなす角度は45°であった。
<実施例3>
全幅W1が2100mmであり、中央部の幅W2が1800mmであり、端部の幅W4が100mmであり、差Xが1.3mmであるコンケイブロールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。
得られた延伸フィルムの位相差Re(590)は、147nmであり、遅相軸方向と長尺方向とのなす角度は45°であった。
<実施例4>
全幅W1が2100mmであり、中央部の幅W2が1800mmであり、端部の幅W4が120mmであり、差Xが1.3mmであるコンケイブロールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。
得られた延伸フィルムの位相差Re(590)は、147nmであり、遅相軸方向と長尺方向とのなす角度は45°であった。
<実施例5>
全幅W1が2100mmであり、中央部の幅W2が1800mmであり、端部の幅W4が150mmであり、差Xが1.3mmであるコンケイブロールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。
得られた延伸フィルムの位相差Re(590)は、147nmであり、遅相軸方向と長尺方向とのなす角度は45°であった。
<実施例6>
全幅W1が2100mmであり、中央部の幅W2が1800mmであり、端部の幅W4が50mmであり、差Xが0.4mmであるコンケイブロールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。
得られた延伸フィルムの位相差Re(590)は、147nmであり、遅相軸方向と長尺方向とのなす角度は45°であった。
<実施例7>
延伸装置の出口から送り出されたフィルムが最初に通過するストレートロールを湾曲量が10mmである湾曲ロールに取り換え、フィルムの中心線C2が湾曲ロールの中心線C3よりも50mm左側になるように配置したこと、延伸装置の出口から3番目に配置されていたストレートロールをコンケイブロールに取り換えたこと、および、6番目に配置されていたストレートロールをフラットエキスパンダーロールに取り換えたこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。なお、フラットエキスパンダーロールのリング部材の傾斜角度θは3.5°であった。コンケイブロールの端部の半径と中央部の半径との差Xは、0.9mmであり、全幅W1は2100mmであり、中央部の幅W2は1800mmであり、各端部の幅W3は100mmであり、各拡径部W4は50mmであった。
得られた延伸フィルムの位相差Re(590)は、147nmであり、遅相軸方向と長尺方向とのなす角度は45°であった。
[外観および取り扱い性評価]
上記実施例および比較例で得られた延伸フィルムを、長尺状のマスキングフィルム(東レフィルム加工社製、製品名「トレテック7832C-30」)とロールトゥロールで貼り合わせてフィルム積層体を得た。次いで、フィルム積層体からマスキングフィルムを剥離し、グラビアコーターで接着剤を塗工して偏光板と貼り合せ、UVを照射することにより、光学積層体を得た。光学積層体の外観(目視)および延伸フィルムの取り扱い性を、以下の基準に基づいて評価した。
〇:マスキングフィルム貼り合せ(貼り合せ張力150N/m)後に、シワがみとめられず、接着剤をフィルム全面に塗工ができる。
△:マスキングフィルム貼り合せの際、貼り合せ張力を300N/mに上げることでシワなく貼り合せができたが、接着剤塗工の際に、弛んだ箇所に接着剤を塗工できなかった。
×:マスキングフィルム貼り合せ後に、シワがあり、外観が劣化している。
[シワ評価]
以下の基準に基づいて、得られた延伸フィルムのシワを評価した。
〇:ポラリオンライト(ポラリオン社製、製品番号「NP-1」)を照射してもシワが視認されない。
△:蛍光灯を照射してもシワが視認されないが、ポラリオンライトを照射するとシワが視認される。
×:蛍光灯を照射するとシワが視認される。
[搬送性評価]
得られた延伸フィルムに関して、弛みおよび/またはシワに起因してフィルムに歪みまたは折れが生じているか否かを目視によって確認し、以下の基準に基づいて評価した。
〇:フィルムに歪みおよび折れが生じていない。
×:フィルムに歪みおよび/または折れが生じている。
[視認性評価]
上記外観および取り扱い性評価において作製した光学積層体を、接着層を介して反射板または有機ELパネルの視認側に貼り合わせた。得られた光学積層体に関して、弛みまたはシワに起因する形状のムラまたは光抜けの有無を目視によって確認し、以下の基準に基づいて評価した。
〇:反射板およびパネル実装の両方において、ムラおよび光抜けが視認されない。
△:反射板でムラおよび/または光抜けが視認されるが、パネル実装では視認されない。
×:反射板およびパネル実装の両方において、ムラおよび/または光抜けが視認される。
上記実施例で得られた延伸フィルムに関して、弛み量および上記評価結果を表1に示す。
Figure 2022154342000002
<評価>
表1に示されるとおり、長尺状の斜め延伸フィルムの製造において、斜め延伸後のフィルムにコンケイブロールを通過させることにより、弛みおよび/またはシワが低減されることが分かる。具体的には、XおよびW4の値が比較的大きいコンケイブロール(すなわち、拡径率が比較的大きい)を用いることにより、弛みが効果的に低減され、XおよびW4の値が比較的小さいコンケイブロールを用いることにより、シワが効果的に低減されることが確認された。
本発明の延伸フィルムの製造方法は、位相差フィルムの製造に好適に用いられ、結果として、液晶表示装置(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(OLED)等の画像表示装置の製造に寄与し得る。
1 延伸フィルム
10L 無端ループ
10R 無端ループ
20 クリップ
50 搬送ロール
51 コンケイブロール
60 巻取り部
100 延伸装置
200 円偏光板
300 超音波変位センサー

Claims (11)

  1. 長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をそれぞれ、左右のクリップによって把持すること、
    該左右のクリップを走行移動させて該フィルムを斜め延伸し、次いで、該左右のクリップから開放すること、および、
    コンケイブロールを用いて該フィルムをロール搬送すること、を含む、延伸フィルムの製造方法であって、
    該コンケイブロールが、中央部とその両端側に位置する端部とを有し、該端部が該中央部よりも大きい半径を有する円柱形状である、製造方法。
  2. 前記コンケイブロールが、前記中央部の両端から前記端部に向かって拡径する拡径部をさらに有する、請求項1に記載の延伸フィルムの製造方法。
  3. 前記コンケイブロールの中央部の半径と端部の半径との差が、0.2mm~2.0mmである、請求項1または2に記載の延伸フィルムの製造方法。
  4. 前記コンケイブロールの端部の幅が、30mm~180mmである、請求項1から3のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
  5. 前記コンケイブロールに加えて、フラットエキスパンダーロールおよび/または湾曲ロールを用いて前記フィルムをロール搬送する、請求項1から4のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
  6. 前記クリップが、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型のクリップであり、
    前記フィルムの左端部を把持する左クリップおよび右端部を把持する右クリップの少なくとも一方のクリップピッチを変化させながら走行移動させて、前記フィルムを斜め延伸する、請求項1から5のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
  7. 前記斜め延伸が、(i)前記左右のクリップのうちの一方のクリップのクリップピッチをPからPまで増大させつつ、他方のクリップのクリップピッチをPからPまで減少させること、および、(ii)該減少したクリップピッチと該増大したクリップピッチとが所定の等しいピッチとなるように、それぞれのクリップのクリップピッチを変化させることを含む、請求項6に記載の延伸フィルムの製造方法。
  8. /Pが1.25~1.75であり、P/Pが0.50以上1未満である、請求項7に記載の延伸フィルムの製造方法。
  9. 前記フィルムの左端部を把持する左クリップと右端部を把持する右クリップとを等速で走行移動させながら、前記フィルムの搬送方向を途中で変えることによって、前記フィルムを斜め延伸する、請求項1から5のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の製造方法によって長尺状の延伸フィルムを得ること、および
    長尺状の光学フィルムと該長尺状の延伸フィルムとを搬送しながら、その長尺方向を揃えて連続的に貼り合わせることを含む、光学積層体の製造方法。
  11. 前記光学フィルムが、偏光板であり、
    前記延伸フィルムが、λ/4板またはλ/2板である、請求項10に記載の光学積層体の製造方法。
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