JP7076036B1 - 延伸フィルムの製造方法および光学積層体の製造方法 - Google Patents

延伸フィルムの製造方法および光学積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】延伸時の破断を抑制しながら高い製造効率で延伸フィルムを製造すること。【解決手段】本発明の実施形態による延伸フィルムの製造方法は、長尺状の延伸対象フィルムの幅方向端部をクリップによって把持すること、前記クリップを走行移動させることによって前記延伸対象フィルムを斜め方向に延伸すること、および、前記延伸対象フィルムを前記クリップから解放すること、を含み、前記把持の際、前記延伸対象フィルムの幅方向端部に付設フィルムが配置されており、前記延伸対象フィルムおよび前記付設フィルムを前記クリップにより把持し、前記延伸対象フィルムに粘着テープを貼り合わせることで前記付設フィルムを配置する。【選択図】図2

Description

本発明は、延伸フィルムの製造方法および光学積層体の製造方法に関する。
液晶表示装置(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(OLED)等の画像表示装置において、代表的には、表示特性の向上や反射防止等を目的として位相差層付偏光板が用いられる。位相差層付偏光板(例えば、円偏光板)は、偏光子と位相差フィルム(例えば、λ/4板)とが、偏光子の吸収軸と位相差フィルムの遅相軸とが所定の角度(例えば、45°)をなすようにして積層されて構成され得る。従来、位相差フィルムは、代表的には、縦方向および/または横方向に一軸延伸または二軸延伸することにより作製されているので、その遅相軸は、多くの場合、フィルム原反の横方向(幅方向)または縦方向(長尺方向)に発現する。結果として、位相差層付偏光板を作製するには、位相差フィルムを横方向または縦方向に対して所定の角度をなすように裁断し、1枚ずつ貼り合わせる場合があった。
このような生産性の問題を解決するために、長尺方向に対して斜め方向に延伸することにより、位相差フィルムの遅相軸を斜め方向に発現させる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、斜め方向への延伸は、延伸時に延伸対象となるフィルムが破断しやすい傾向にある。
特許第4845619号公報
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、延伸時の破断を抑制しながら高い製造効率で延伸フィルムを製造することにある。
本発明の実施形態による延伸フィルムの製造方法は、長尺状の延伸対象フィルムの幅方向端部をクリップによって把持すること、前記クリップを走行移動させることによって前記延伸対象フィルムを斜め方向に延伸すること、および、前記延伸対象フィルムを前記クリップから解放すること、を含み、前記把持の際、前記延伸対象フィルムの幅方向端部に付設フィルムが配置されており、前記延伸対象フィルムおよび前記付設フィルムを前記クリップにより把持し、前記延伸対象フィルムに粘着テープを貼り合わせることで前記付設フィルムを配置する。
1つの実施形態においては、上記延伸対象フィルムのガラス転移温度Tg1と上記付設フィルムのガラス転移温度Tg2との差(Tg1-Tg2)は0℃を超え25℃以下である。
1つの実施形態においては、上記延伸対象フィルムの弾性率E1と上記付設フィルムの弾性率E2との差(E1-E2)は100MPa以上800MPa以下である。
1つの実施形態においては、上記延伸対象フィルムに対する上記粘着テープの粘着力は0.1N/15mm以上である。
1つの実施形態においては、上記付設フィルムの幅は20mm以上100mm以下である。
1つの実施形態においては、上記付設フィルムはポリエチレンナフタレート系樹脂またはシクロオレフィン系樹脂の少なくとも一つを含む。
1つの実施形態においては、上記延伸対象フィルムは、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、および、ポリエステルカーボネート系樹脂からなる群より選択された少なくとも一種の樹脂を含む。
本発明の別の局面によれば、光学積層体の製造方法が提供される。この光学積層体の製造方法は、上記製造方法によって長尺状の延伸フィルムを得ること、および、前記長尺状の延伸フィルムと長尺状の光学フィルムとを搬送しながら、互いの長尺方向を揃えて連続的に積層すること、を含む。
1つの実施形態においては、上記光学フィルムは偏光子である。
本発明の実施形態によれば、延伸時の破断を抑制しながら高い製造効率で延伸フィルムを製造し得る。
本発明の1つの実施形態による延伸フィルムの製造に用いられる延伸装置の一例の全体構成の概略を示す平面図である。 フィルム端部の把持状態の一例を模式的に示す断面図である。 粘着テープの貼り合せ方法の一例を説明する図である。 本発明の1つの実施形態における位相差層付偏光板の概略の構成を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の形態に比べ、各部の幅、厚み、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
「Re(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した面内位相差である。例えば、「Re(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した面内位相差である。Re(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Re(λ)=(nx-ny)×dによって求められる。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
「Rth(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した厚み方向の位相差である。例えば、「Rth(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した厚み方向の位相差である。Rth(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Rth(λ)=(nx-nz)×dによって求められる。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
(5)角度
本明細書において角度に言及するときは、当該角度は基準方向に対して時計回りおよび反時計回りの両方を包含する。したがって、例えば「45°」は±45°を意味する。
A.延伸フィルムの製造方法
本発明の1つの実施形態に係る延伸フィルムの製造方法は、長尺状の延伸対象フィルムの幅方向端部をクリップによって把持すること、クリップを走行移動させることによって延伸対象フィルムを斜め方向に延伸すること、および、延伸対象フィルムをクリップから解放すること、を含む。
図1は、本発明の1つの実施形態による延伸フィルムの製造に用いられる延伸装置の一例の全体構成の概略を示す平面図である。延伸装置100は、平面視で、左右両側に、フィルム把持用の多数のクリップ20を有する無端ループ10Lと無端ループ10Rとを左右対称に有する。なお、延伸対象フィルムの入口側から見て左側の無端ループを左側の無端ループ10L、右側の無端ループを右側の無端ループ10Rと称する。左右の無端ループ10L、10Rのクリップ20は、それぞれ、基準レール30に案内されてループ状に巡回移動する。左側の無端ループ10Lのクリップ20は反時計廻り方向に巡回移動し、右側の無端ループ10Rのクリップ20は時計廻り方向に巡回移動する。延伸装置100においては、シートの入口側から出口側へ向けて、把持ゾーンA、予熱ゾーンB、延伸ゾーンCおよび解放ゾーンDが順に設けられている。これらのそれぞれのゾーンは、延伸対象となるフィルムが実質的に把持、予熱、延伸(斜め延伸)および解放されるゾーンを意味し、機械的、構造的に独立した区画を意味するものではない。また、図1の延伸装置におけるそれぞれのゾーンの長さの比率は、実際の長さの比率と異なることに留意されたい。
図示しないが、延伸ゾーンCと解放ゾーンDとの間には、必要に応じて任意の適切な処理をするためのゾーンが設けられてもよい。このような処理としては、例えば、縦収縮処理、横収縮処理が挙げられる。また、図示しないが、延伸装置100は、代表的には、予熱ゾーンBから解放ゾーンDまでの各ゾーンを加熱環境とするための加熱装置(例えば、熱風式、近赤外式、遠赤外式等の各種オーブン)を備える。1つの実施形態において、予熱、延伸および解放は、それぞれ、所定の温度に設定されたオーブン内で行われる。
把持ゾーンAおよび予熱ゾーンBでは、左右の無端ループ10L、10Rは、延伸対象となるフィルムの初期幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されている。延伸ゾーンCでは、予熱ゾーンBの側から解放ゾーンDに向かうに従って左右の無端ループ10L、10Rの離間距離が上記フィルムの延伸後の幅に対応するまで徐々に拡大する構成とされている。解放ゾーンDでは、左右の無端ループ10L、10Rは、上記フィルムの延伸後の幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されている。ただし、左右の無端ループ10L、10Rの構成は図示例に限定されない。例えば、左右の無端ループ10L、10Rは、把持ゾーンAから解放ゾーンDまで延伸対象となるフィルムの初期幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されていてもよい。
左側の無端ループ10Lのクリップ(左側のクリップ)20および右側の無端ループ10Rのクリップ(右側のクリップ)20は、それぞれ独立して巡回移動し得る。例えば、左側の無端ループ10Lの駆動用スプロケット11、12が電動モータ13、14によって反時計廻り方向に回転駆動され、右側の無端ループ10Rの駆動用スプロケット11、12が電動モータ13、14によって時計廻り方向に回転駆動される。その結果、これら駆動用スプロケット11、12に係合している駆動ローラ(図示せず)のクリップ担持部材(図示せず)に走行力が与えられる。これにより、左側の無端ループ10Lは反時計廻り方向に巡回移動し、右側の無端ループ10Rは時計廻り方向に巡回移動する。左側の電動モータおよび右側の電動モータを、それぞれ独立して駆動させることにより、左側の無端ループ10Lおよび右側の無端ループ10Rをそれぞれ独立して巡回移動させることができる。
例えば、左側の無端ループ10Lのクリップ(左側のクリップ)20および右側の無端ループ10Rのクリップ(右側のクリップ)20は、それぞれ可変ピッチ型とされる。すなわち、左右のクリップ20、20は、それぞれ独立して、移動に伴って縦方向のクリップピッチが変化し得る。可変ピッチ型の構成は、パンタグラフ方式、リニアモーター方式、モーター・チェーン方式等の駆動方式を採用することにより実現され得る。例えば、特許文献1、特開2008-44339号公報等には、パンタグラフ方式のリンク機構を用いたテンター式同時二軸延伸装置が詳細に説明されている。
把持ゾーンA(延伸装置100のフィルム取り込みの入口)においては、左右の無端ループ10L、10Rのクリップ20によって、延伸対象となるフィルムの両側縁が互いに等しい一定のクリップピッチ、あるいは、互いに異なるクリップピッチで把持される。左右の無端ループ10L、10Rのクリップ20の移動(実質的には、基準レールに案内された各クリップ担持部材の移動)により、当該フィルムは予熱ゾーンBに送られる。
予熱ゾーンBにおいては、左右の無端ループ10L、10Rは、上述のとおり延伸対象となるフィルムの初期幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成される。したがって、実質的には横延伸も縦延伸もされずにフィルムは加熱されるが、例えば、予熱によるフィルムのたわみが引き起こす不具合を回避するために、左右クリップ間の距離(幅方向の距離)を広げてもよい。
予熱においては、フィルムを温度T1まで加熱する。温度T1は、フィルムのガラス転移温度(Tg)以上であることが好ましく、より好ましくはTg+2℃以上であり、さらに好ましくはTg+5℃以上である。一方、加熱温度T1は、好ましくはTg+40℃以下であり、より好ましくはTg+30℃以下である。温度T1は、例えば70℃~190℃であり、好ましくは80℃~180℃である。
温度T1までの昇温時間および温度T1の保持時間は、例えば、フィルムの構成材料や製造条件(フィルムの搬送速度等)に応じて適切に設定され得る。昇温時間および保持時間は、クリップ20の移動速度、予熱ゾーンの長さ、予熱ゾーンの温度等を調整することにより制御され得る。
延伸ゾーンCにおいては、左右のクリップ20を、その少なくとも一方の縦方向のクリップピッチを変化させながら走行移動させて、フィルムを斜め延伸する。より具体的には、左右のクリップの当該クリップピッチをそれぞれ異なる位置で増大または縮小させること、それぞれ異なる変化速度で左右のクリップの当該クリップピッチを変化(増大および/または縮小)させること等によって、フィルムを斜め延伸する。
斜め延伸は、横延伸を含んでもよい。この場合、斜め延伸は、例えば、図1に示すように、左右のクリップ間の距離(幅方向の距離)を拡大させながら行われ得る。あるいは、図1に示す構成とは異なり、左右のクリップ間の距離を維持したまま行われ得る。
斜め延伸が横延伸を含む場合、横方向(TD)の延伸倍率(フィルムの初期幅Winitialに対する斜め延伸後のフィルムの幅Wfinalの比(Wfinal/Winitial)は、好ましくは1.05~6.00であり、より好ましくは1.10~5.00である。
1つの実施形態において、斜め延伸は、上記左右のクリップのうちの一方のクリップのクリップピッチが増大または減少し始める位置と他方のクリップのクリップピッチが増大または減少し始める位置とを縦方向における異なる位置とした状態で、それぞれのクリップのクリップピッチを所定のピッチまで増大または減少することによって行われ得る。当該実施形態の斜め延伸については、例えば、特許第4845619号公報、特開2014-238524号公報等の記載を参照することができる。
別の実施形態において、斜め延伸は、上記左右のクリップのうちの一方のクリップのクリップピッチを固定したまま、他方のクリップのクリップピッチを所定のピッチまで増大または減少させた後、当初のクリップピッチまで戻すことによって行われ得る。当該実施形態の斜め延伸については、例えば、特開2013-54338号公報、特開2014-194482号公報等の記載を参照することができる。
さらに別の実施形態において、斜め延伸は、(i)上記左右のクリップのうちの一方のクリップのクリップピッチを増大させつつ、他方のクリップのクリップピッチを減少させること、および、(ii)該減少したクリップピッチと該増大したクリップピッチとが所定の等しいピッチとなるように、それぞれのクリップのクリップピッチを変化させることによって行われ得る。当該実施形態の斜め延伸については、例えば、特開2014-194484号公報等の記載を参照することができる。当該実施形態の斜め延伸は、左右のクリップ間の距離を拡大させながら、一方のクリップのクリップピッチを増大させつつ、他方のクリップのクリップピッチを減少させて、該フィルムを斜め延伸すること(第1の斜め延伸工程)、および、該左右のクリップ間の距離を拡大させながら、左右のクリップのクリップピッチが等しくなるように該一方のクリップのクリップピッチを維持または減少させ、かつ、該他方のクリップのクリップピッチを増大させて、該フィルムを斜め延伸すること(第2の斜め延伸工程)を含み得る。
上記第1の斜め延伸工程においては、フィルムの一方の側縁部を長尺方向に伸長させつつ、他方の側縁部を長尺方向に収縮させながら斜め延伸を行うことにより、所望の方向(例えば、長尺方向に対して45°の方向)に高い一軸性および面内配向性で遅相軸を発現させることができる。また、第2の斜め延伸工程においては、左右のクリップピッチの差を縮小しながら斜め延伸を行うことにより、余分な応力を緩和しつつ、斜め方向に十分に延伸することができる。さらに、左右のクリップの移動速度が等しくなった状態でフィルムをクリップから解放することができるので、左右のクリップの解放時にフィルムの搬送速度等のバラつきが生じ難く、その後のフィルムの巻き取りが好適に行われ得る。
延伸温度T2は、延伸対象となるフィルムのガラス転移温度(Tg)に対し、(Tg-20)℃~(Tg+30)℃であってもよく、(Tg-10)℃~(Tg+20)℃であってもよく、好ましくはTg以上であり、より好ましくは(Tg+1)℃~(Tg+10)℃であり、さらに好ましくは(Tg+1)℃~(Tg+5)℃である。延伸温度は、例えば70℃~180℃であり、好ましくは80℃~170℃である。
上記温度T1と上記温度T2との差(T1-T2)は、好ましくは±2℃以上であり、より好ましくは±5℃以上である。1つの実施形態においては、T1>T2であり、したがって、予熱ゾーンで温度T1まで加熱されたフィルムは温度T2まで冷却され得る。
解放ゾーンDの任意の位置において、上記フィルムはクリップから解放される。解放ゾーンDにおいては、通常、横延伸も縦延伸も行われず、必要に応じて、フィルムを熱処理して延伸状態を固定(熱固定)し、および/または、Tg以下まで冷却し、次いで、フィルムをクリップから解放する。なお、熱固定する際には、縦方向のクリップピッチを減少させ、これにより、応力を緩和してもよい。
解放ゾーンDにおいてされてもよい熱処理の温度T3は、延伸対象となるフィルムによって異なり、T2≧T3の場合も、T2<T3の場合もあり得る。一般的に、フィルムが非晶性材料である場合はT2≧T3であり、フィルムが結晶性材料である場合はT2<T3にして、例えば、結晶化処理を行う。T2≧T3の場合、温度T2とT3の差(T2-T3)は好ましくは0℃~50℃である。熱処理の時間は、代表的には10秒~10分である。
[延伸対象フィルム]
延伸対象となるフィルム(延伸対象フィルム)を構成する樹脂としては、所望の光学特性を満足させ得る限り、任意の適切な樹脂を用いることができる。延伸対象フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、セルロースエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルカーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。好ましくは、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルカーボネート系樹脂である。これらの樹脂であれば、いわゆる逆分散の波長依存性を示す位相差フィルムが得られ得るからである。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記ポリカーボネート系樹脂としては、任意の適切なポリカーボネート系樹脂が用いられる。例えば、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート系樹脂が好ましい。ジヒドロキシ化合物の具体例としては、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-n-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-sec-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-イソブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-tert-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,5-ジメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-tert-ブチル-6-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等が挙げられる。ポリカーボネート系樹脂は、上記ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の他に、イソソルビド、イソマンニド、イソイデット、スピログリコール、ジオキサングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、ポリエチレングリコール(PEG)、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、トリシクロデカンジメタノール(TCDDM)、ビスフェノール類などのジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含んでいてもよい。
上記のようなポリカーボネート系樹脂の詳細は、例えば特開2012-67300号公報および特許第3325560号に記載されている。当該特許文献の記載は、本明細書に参考として援用される。
ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度は、110℃以上250℃以下であることが好ましく、より好ましくは120℃以上230℃以下である。ガラス転移温度が過度に低いと耐熱性が悪くなる傾向にあり、フィルム成形後に寸法変化を起こす可能性がある。ガラス転移温度が過度に高いと、フィルム成形時の成形安定性が悪くなる場合があり、また、フィルムの透明性を損なう場合がある。なお、ガラス転移温度は、JIS K 7121(1987)に準じて求められる。
上記ポリビニルアセタール系樹脂としては、任意の適切なポリビニルアセタール系樹脂を用いることができる。代表的には、ポリビニルアセタール系樹脂は、少なくとも2種類のアルデヒド化合物及び/又はケトン化合物と、ポリビニルアルコール系樹脂とを縮合反応させて得ることができる。ポリビニルアセタール系樹脂の具体例および詳細な製造方法は、例えば、特開2007-161994号公報に記載されている。当該記載は、本明細書に参考として援用される。
延伸対象フィルムの厚みは、例えば、得られる延伸フィルムの厚み、面内位相差等に応じて適切に設定され得る。延伸対象フィルムの厚みは、例えば40μm~150μmである。
[付設フィルム]
図2は、フィルム端部の把持状態の一例を模式的に示す断面図である。延伸対象フィルム1は、その幅方向端部に付設フィルム2aが配置された状態で延伸される。具体的には、上記把持の際、延伸対象フィルム1の幅方向端部に付設フィルム2aが配置されており、延伸対象フィルム1および付設フィルム2aは、クリップ20の上下のクリップ部材20a,20bにより把持される。
付設フィルム2aは、粘着テープ2を延伸対象フィルム1に貼り合わせることにより延伸対象フィルム1上に配置されている。具体的には、粘着テープ2は付設フィルム2aおよび粘着剤層2bを有し、付設フィルム2aは粘着剤層2bを介して延伸フィルム1に積層されている。粘着テープ2を用いることにより、連続生産を可能とし得る。例えば、図3に示すように、第一の延伸対象フィルム原反1に粘着テープ2を貼り合わせた後、その粘着テープ2を連続して第二の延伸対象フィルム原反(図示せず)に貼り合わせることにより、異なる延伸対象フィルム原反を連続して延伸に供することができ、製造効率の向上に寄与し得る。
延伸対象フィルム1に対する粘着テープ2の粘着力は、好ましくは0.1N/15mm以上であり、より好ましくは0.15N/15mm以上である。このような粘着力によれば、延伸時に延伸対象フィルム1から粘着テープ2が剥がれることなく、取り扱い性に優れ得る。なお、粘着テープ2を貼り合わせた部分(幅方向端部)は、延伸後に切断(スリット)して除去してもよい。
粘着テープ2の粘着剤層2bは、上記粘着力を満足し得る任意の適切な粘着剤で形成される。粘着剤層2bの厚みは、例えば15μm~30μmである。
図2に示すように、延伸対象フィルム1および付設フィルム2a(粘着テープ2)の端面は一致している必要はなく、延伸対象フィルム1と付設フィルム2aとの重ね合せ部分をクリップ20が把持できればよい。付設フィルム2a(粘着テープ2)の幅は、例えば20mm以上100mm以下である。また、図中、延伸対象フィルム1の上側に付設フィルム2aを配置させているが、下側に配置させてもよい。また、上側および下側に配置させてもよい。この場合、上側および下側のそれぞれに別の付設フィルムを配置させてもよいし、一つの付設フィルムの一端を上側に配置させてもう一端を下側に配置させてもよい。
上述のように、延伸ゾーンCにおいては、左右のクリップ20を、その少なくとも一方の縦方向のクリップピッチを変化させながら走行移動させて、フィルムを斜め延伸する。このような形態においては、延伸対象フィルムの幅方向端部に大きな応力がかかるため、延伸時に破断が生じたり、得られる延伸フィルムの幅方向端部にめくれが生じたりする傾向にあるが、付設フィルムを配置して延伸することにより、このような不具合の発生を抑制し得る。なお、図3に示す例では、延伸対象フィルム1の幅方向両端部に粘着テープ2を貼り合わせているが、少なくとも縦方向のクリップピッチを変化させる側に付設テープを配置すればよい。
付設フィルム2aのガラス転移温度Tg2は、延伸対象フィルム1のガラス転移温度Tg1よりも低いことが好ましい。延伸対象フィルム1のガラス転移温度Tg1と付設フィルム2aのガラス転移温度Tg2との差(Tg1-Tg2)は、好ましくは0℃を超え25℃以下であり、より好ましくは5℃以上20℃以下である。このような付設フィルムを用いることにより、上記破断・めくれの発生を効果的に抑制しながら、延伸を良好に行うことができる。
付設フィルム2aの弾性率E2は、延伸対象フィルム1の弾性率E1よりも小さいことが好ましい。延伸対象フィルムの弾性率E1は、例えば1500MPa以上3500MPa以下である。延伸対象フィルム1の弾性率E1と付設フィルム2aの弾性率E2との差(E1-E2)は、好ましくは100MPa以上800MPa以下であり、より好ましくは200MPa以上500MPa以下である。このような付設フィルムを用いることにより、上記破断・めくれの発生を効果的に抑制しながら、延伸を良好に行うことができる。
付設フィルム2aの厚みは、例えば50μm~200μmである。付設フィルム2aを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンナフタレート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂が挙げられる。
B.光学積層体
上記実施形態により得られる延伸フィルムは、代表的には、光学フィルムに積層されて光学積層体として用いられる。例えば、延伸フィルムは、偏光板に積層されて位相差層(位相差フィルム)として機能し得る。
図4は、本発明の1つの実施形態における延伸フィルムの使用方法の一例として、位相差層付偏光板の概略の構成を示す断面図である。位相差層付偏光板80は、偏光板71と、偏光板71の片側に接着層61を介して貼り合わせられた延伸フィルム(位相差フィルム)51とを有する。偏光板71は、偏光子72と偏光子72の片側に配置された保護層73とを有し、偏光子72に接着層61を介して位相差フィルム51が貼り合わせられている。図示しないが、偏光子72のもう片側に(偏光子72と位相差フィルム51との間に)第二保護層が配置されていてもよい。
位相差層付偏光板80は、例えば、偏光板71と位相差フィルム51とを、接着剤または粘着剤を介して積層することにより得ることができる。1つの実施形態においては、長尺状の偏光板71と長尺状の位相差フィルム51とを搬送しながら互いの長尺方向を揃えて連続的に積層する。具体的には、ロールトゥロールにより積層する。なお、「長尺状」とは、幅に対して長さが十分に長い細長形状をいい、例えば、幅に対して長さが10倍以上、好ましくは20倍以上の細長形状をいう。
B-1.位相差フィルム
位相差フィルムは、面内位相差を有し得る。位相差フィルムの面内位相差Re(550)は、例えば100nm~310nmである。1つの実施形態においては、位相差フィルムは、λ/4板として機能し得る。具体的には、位相差フィルムの面内位相差Re(550)は、好ましくは100nm~190nmであり、より好ましくは110nm~180nmであり、さらに好ましくは130nm~160nmであり、特に好ましくは135nm~155nmである。別の実施形態においては、位相差フィルムは、λ/2板として機能し得る。具体的には、位相差フィルムの面内位相差Re(550)は、好ましくは230nm~310nm、より好ましくは250nm~290nmである。
位相差フィルムは、代表的には、nx>ny≧nzの屈折率特性を有する。ここで、「ny=nz」はnyとnzが完全に等しい場合だけではなく、実質的に等しい場合を包含する。したがって、ny<nzとなる場合があり得る。位相差フィルムのNz係数は、好ましくは0.9~3.0であり、より好ましくは0.9~2.5であり、さらに好ましくは0.9~1.5であり、特に好ましくは0.9~1.3である。このようなNz係数によれば、例えば、位相差フィルム(位相差層付偏光板)を画像表示装置に用いた場合に、優れた反射色相を達成し得る。
位相差フィルムは、位相差値が測定光の波長に応じて大きくなる逆分散波長特性を示してもよく、位相差値が測定光の波長に応じて小さくなる正の波長分散特性を示してもよく、位相差値が測定光の波長によってもほとんど変化しないフラットな波長分散特性を示してもよい。1つの実施形態においては、位相差フィルムは、逆分散波長特性を示す。この場合、位相差フィルムのRe(450)/Re(550)は、好ましくは0.8以上1未満であり、より好ましくは0.8以上0.95以下である。このような波長特性によれば、例えば、位相差フィルム(位相差層付偏光板)を画像表示装置に用いた場合に、優れた反射防止特性を達成し得る。
位相差フィルムの厚みは、用途および目的に応じて適切に設定され得る。位相差フィルムの厚みは、好ましくは15μm~60μmであり、より好ましくは25μm~45μmである。
位相差フィルムは、上述のとおり、長尺状の延伸対象フィルムを長尺方向に対して角度θの方向(斜め方向)に連続的に延伸された延伸フィルムから構成される。この場合、位相差フィルムは長尺方向に対して斜め方向(角度θの方向)に遅相軸(角度θの配向角)を有する。斜め方向は、位相差フィルムの長尺方向に対して、好ましくは30°~60°、より好ましくは40°~50°、さらに好ましくは42°~48°、特に好ましくは約45°の方向である。通常、偏光子は長尺方向に吸収軸を有するので、長尺状の位相差フィルムによれば、ロールトゥロールにより位相差層付偏光板を作製することが可能となり、製造工程を簡略化することができる。
B-2.偏光子
偏光子は、代表的には吸収型偏光子である。位相差フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は、用途および目的に応じて適切に設定され得る。1つの実施形態においては、位相差フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は、好ましくは30°~60°であり、より好ましくは40°~50°であり、さらに好ましくは42°~48°であり、特に好ましくは約45°である。
偏光子は、好ましくは、波長380nm~780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光子の単体透過率は、例えば41.5%~46.0%であり、好ましくは42.0%~46.0%であり、より好ましくは44.5%~46.0%である。偏光子の偏光度は、好ましくは97.0%以上であり、より好ましくは99.0%以上であり、さらに好ましくは99.9%以上である。
偏光子は、代表的には、二色性物質(例えば、ヨウ素)を含む樹脂フィルムである。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムが挙げられる。
偏光子の厚みは、例えば1μm~80μmである。1つの実施形態においては、偏光子の厚みは、好ましくは1μm~25μmであり、さらに好ましくは3μm~10μmであり、特に好ましくは3μm~8μmである。
偏光子は、任意の適切な方法で作製し得る。具体的には、偏光子は、単層の樹脂フィルムから作製してもよく、二層以上の積層体を用いて作製してもよい。
単層の樹脂フィルムから偏光子を作製する方法は、代表的には、樹脂フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質による染色処理と延伸処理とを施すことを含む。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムが用いられる。当該方法は、不溶化処理、膨潤処理、架橋処理等をさらに含んでいてもよい。このような製造方法は、当業界で周知慣用であるので、詳細な説明は省略する。
積層体を用いて得られる偏光子の具体例としては、樹脂基材と当該樹脂基材に積層されたPVA系樹脂層(PVA系樹脂フィルム)との積層体、あるいは、樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子が挙げられる。このような偏光子の製造方法の詳細は、例えば特開2012-73580号公報、特許第6470455号に記載されている。これらの公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
B-3.保護層
保護層は、偏光子の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成され得る。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系等のシクロオレフィン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂が挙げられる。
上記位相差層付偏光板は、代表的には、画像表示装置の視認側に配置される。したがって、保護層には、必要に応じて、ハードコート(HC)処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、アンチグレア処理等の表面処理が施されていてもよい。
保護層の厚みは、好ましくは5μm~80μm、より好ましくは10μm~40μm、さらに好ましくは10μm~30μmである。なお、上記表面処理が施されている場合、保護層の厚みは、表面処理層の厚みを含めた厚みである。
上記第二保護層は、1つの実施形態においては、光学的に等方性であることが好ましい。本明細書において「光学的に等方性である」とは、面内位相差Re(550)が0nm~10nmであり、厚み方向の位相差Rth(550)が-10nm~+10nmであることをいう。
B-4.接着層
接着層の具体例としては、接着剤層、粘着剤層が挙げられる。1つの実施形態においては、接着層として接着剤層が採用される。接着剤層は、代表的には、活性エネルギー線硬化型接着剤で構成される。活性エネルギー線硬化型接着剤としては、活性エネルギー線の照射によって硬化し得る接着剤であれば、任意の適切な接着剤が用いられ得る。活性エネルギー線硬化型接着剤としては、例えば、紫外線硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤等が挙げられる。活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化型の具体例としては、ラジカル硬化型、カチオン硬化型、アニオン硬化型、これらの組み合わせ(例えば、ラジカル硬化型とカチオン硬化型のハイブリッド)が挙げられる。活性エネルギー線硬化型接着剤としては、例えば、硬化成分として(メタ)アクリレート基や(メタ)アクリルアミド基などのラジカル重合性基を有する化合物(例えば、モノマーおよび/またはオリゴマー)を含有する接着剤が挙げられる。活性エネルギー線硬化型接着剤およびその硬化方法の具体例は、例えば、特開2012-144690号公報に記載されている。当該公報の記載は、本明細書に参考として援用される。
活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化後の厚み(接着剤層の厚み)は、例えば0.2μm~3.0μmであり、好ましくは0.4μm~2.0μmであり、より好ましくは0.6μm~1.5μmである。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各特性の測定方法および評価方法は以下の通りである。
(1)厚み
ダイヤルゲージ(PEACOCK社製、製品名「DG-205 type pds-2」)を用いて測定した。
(2)位相差値
Axometrics社製のAxoscanを用いて面内位相差Re(550)を測定した。
(3)配向角(遅相軸の発現方向)
測定対象のフィルムの中央部を、一辺が当該フィルムの幅方向と平行となるようにして幅50mm、長さ50mmの正方形状に切り出して試験片を得た。この試験片を、Axometrics社製のAxoscanを用いて測定し、波長550nmにおける配向角θを測定した。
(4)ガラス転移温度(Tg)
JIS K 7121に準じて測定した。
(5)弾性率
ISO527-3:2012に準じて測定した。
(6)粘着力
180°ピール粘着力試験法にて測定した。
[実施例1]
(ポリエステルカーボネート樹脂フィルムの作製)
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した縦型反応器2器からなるバッチ重合装置を用いて重合を行った。ビス[9-(2-フェノキシカルボニルエチル)フルオレン-9-イル]メタン 29.60質量部(0.046mol)、ISB 29.21質量部(0.200mol)、SPG 42.28質量部(0.139mol)、DPC 63.77質量部(0.298mol)及び触媒として酢酸カルシウム1水和物1.19×10-2質量部(6.78×10-5mol)を仕込んだ。反応器内を減圧窒素置換した後、熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始した。昇温開始40分後に内温を220℃に到達させ、この温度を保持するように制御すると同時に減圧を開始し、220℃に到達してから90分で13.3kPaにした。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を100℃の還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は45℃の凝縮器に導いて回収した。第1反応器に窒素を導入して一旦大気圧まで復圧させた後、第1反応器内のオリゴマー化された反応液を第2反応器に移した。次いで、第2反応器内の昇温および減圧を開始して、50分で内温240℃、圧力0.2kPaにした。その後、所定の攪拌動力となるまで重合を進行させた。所定動力に到達した時点で反応器に窒素を導入して復圧し、生成したポリエステルカーボネートを水中に押し出し、ストランドをカッティングしてペレットを得た。得られたポリエステルカーボネート樹脂のTgは140℃であった。
得られたポリエステルカーボネート樹脂を80℃で5時間真空乾燥をした後、単軸押出機(東芝機械社製、シリンダー設定温度:250℃)、Tダイ(幅:250mm、設定温度:250℃)、チルロール(設定温度:120~130℃)および巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み135μm、弾性率2400MPaのポリエステルカーボネート樹脂フィルムを作製した。
(粘着テープの貼り合せ)
図3に示すように、得られたポリエステルカーボネート樹脂フィルムをその長尺方向(矢印の方向)にロール搬送しながら、幅方向両端部それぞれに、ロールR1,R2を用いて粘着テープを貼り合わせた。ここで、ポリエステルカーボネート樹脂フィルムの幅は250mmであり、粘着テープの幅は20mmであった。また、粘着テープは、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂から構成される基材(厚み:100μm、Tg:130℃、弾性率:2200MPa)を含み、ポリエステルカーボネート樹脂フィルムに対する粘着力は0.15N/15mmであった。
(斜め延伸)
幅方向両端部に粘着テープが貼り合わせられたポリエステルカーボネート樹脂フィルムを、図1に示すような延伸装置であって、予熱ゾーン、斜め延伸ゾーンおよび解放ゾーンのそれぞれを独立して所定の温度に制御可能なオーブンを備える延伸装置を用いて斜め延伸して、位相差フィルムを得た。
具体的には、把持ゾーンで、フィルムの粘着テープを貼り合わせた幅方向両端部を左右のクリップで把持し、予熱ゾーンで145℃に予熱した。予熱ゾーンにおいては、左右のクリップのクリップピッチ(P)は125mmであった。
次に、フィルムが斜め延伸ゾーンに入ると同時に、右側クリップのクリップピッチの増大および左側クリップのクリップピッチの減少を開始し、右側クリップのクリップピッチをPまで増大させるとともに左側クリップのクリップピッチをPまで減少させた。このとき、右側クリップのクリップピッチ変化率(P/P)は、1.42であり、左側クリップのクリップピッチ変化率(P/P)は0.78であり、フィルムの原幅に対する横延伸倍率は1.45倍であった。次いで、右側クリップのクリップピッチをPに維持したままで、左側クリップのクリップピッチの増大を開始し、PからPまで増大させた。この間の左側クリップのクリップピッチの変化率(P/P)は1.82であり、フィルムの原幅に対する横延伸倍率は1.9倍であった。なお、延伸ゾーンはTg+3.2℃(143.2℃)に設定した。
次いで、解放ゾーンにおいて、125℃で60秒間フィルムを保持して熱固定を行った。熱固定されたフィルムを、100℃まで冷却後、左右のクリップを解放し、延伸装置出口から送り出した。
こうして、延伸(位相差)フィルム(厚み:53μm、Re(550):140nm、遅相軸方向と長尺方向とのなす角度:45°)を得た。
[実施例2]
粘着テープの粘着剤を変更したこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。
[実施例3]
粘着テープの基材をシクロオレフィン系樹脂(COP)から構成される基材(厚み:100μm、Tg:120℃、弾性率:2200MPa)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。
[実施例4]
粘着テープの基材をポリエチレン樹脂(PE)から構成される基材(厚み:100μm、Tg:-125℃、弾性率:1100MPa)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。
[実施例5]
粘着テープの基材をポリプロピレン樹脂(PP)から構成される基材(厚み:100μm、Tg:0℃、弾性率:1500MPa)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。
各実施例について、下記の評価を行った。評価結果を表1にまとめる。
<評価>
1.延伸時の破断
延伸時に延伸対象フィルムに破断が生じるか否かを確認した。
2.外観および取り扱い性
得られた延伸フィルムに関して、外観および取り扱い性を、目視によって以下の基準に基づいて評価した。
良好:ロール搬送時の延伸フィルム(延伸対象フィルム)にシワおよび弛みが確認されない
不良:ロール搬送時の延伸フィルム(延伸対象フィルム)にシワおよび/または弛みが確認される
Figure 0007076036000002
実施例4、5においては延伸時に延伸対象フィルムの破断は生じなかったが、幅方向端部にめくれが確認された。
本発明の実施形態による延伸フィルムは、例えば、光学部材に好適に用いられ、そのような光学部材は画像表示装置に好適に用いられる。
1 延伸対象フィルム
2 粘着テープ
2a 付設フィルム
2b 粘着剤層
51 延伸フィルム(位相差フィルム)
61 接着層
71 偏光板
72 偏光子
73 保護層
80 位相差層付偏光板

Claims (8)

  1. 長尺状の延伸対象フィルムの幅方向端部をクリップによって把持すること、
    前記クリップを走行移動させることによって前記延伸対象フィルムを斜め方向に延伸すること、および、
    前記延伸対象フィルムを前記クリップから解放すること、を含み、
    前記把持の際、前記延伸対象フィルムの幅方向端部に付設フィルムが配置されており、前記延伸対象フィルムおよび前記付設フィルムを前記クリップにより把持し、
    前記延伸対象フィルムに粘着テープを貼り合わせることで前記付設フィルムを配置
    前記延伸対象フィルムのガラス転移温度Tg1と前記付設フィルムのガラス転移温度Tg2との差(Tg1-Tg2)は0℃を超え25℃以下である、
    延伸フィルムの製造方法。
  2. 前記延伸対象フィルムの弾性率E1と前記付設フィルムの弾性率E2との差(E1-E2)は100MPa以上800MPa以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記延伸対象フィルムに対する前記粘着テープの粘着力は0.1N/15mm以上である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記付設フィルムの幅は20mm以上100mm以下である、請求項1からのいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記付設フィルムはポリエチレンナフタレート系樹脂またはシクロオレフィン系樹脂の少なくとも一つを含む、請求項1からのいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記延伸対象フィルムは、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、および、ポリエステルカーボネート系樹脂からなる群より選択された少なくとも一種の樹脂を含む、請求項1からのいずれかに記載の製造方法。
  7. 請求項1からのいずれかに記載の製造方法によって長尺状の延伸フィルムを得ること、および、
    前記長尺状の延伸フィルムと長尺状の光学フィルムとを搬送しながら、互いの長尺方向を揃えて連続的に積層すること、
    を含む、光学積層体の製造方法。
  8. 前記光学フィルムは偏光子である、請求項に記載の製造方法。
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