JP2015182449A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
易接着層付着異物が抑制された光学フィルムが得られる製造方法を提供する。
【解決手段】
アクリル系熱可塑性樹脂を成形して得られる光学フィルムの製造方法であって、該熱可塑性樹脂を溶融成膜して帯状の原フィルムを形成する工程(溶融成膜工程)、該原フィルムを該原フィルムの走行方向へ延伸する工程(縦延伸工程)、および/または該原フィルムの走行方向に対して垂直な方向へ延伸する工程(横延伸工程)、および前記形成した延伸フィルムを巻き取る工程(巻き取り工程)を連続して行い、該縦延伸工程、または横延伸工程の前に、延伸工程において走行するフィルムの走行下面に易接着組成物を塗布する工程(塗工工程)を含み、該延伸工程において加熱されることにより、当該フィルム走行下面に形成された該易接着組成物の塗布膜を乾燥して易接着層を形成することで上記課題を解決できることを見出した。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学フィルムの製造方法に関する。特に易接着層付着異物を抑制する光学フィルムの製造方法に関する。
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)に代表される(メタ)アクリル系重合体を含むアクリル樹脂は、光線透過率などの光学特性に優れるとともに、機械的強度、成形加工性および表面硬度のバランスに優れる。このため、アクリル樹脂は、自動車、家電製品をはじめとする各種の工業製品に、透明材料として幅広く使用されている。近年、アクリル樹脂が光学関連用途に使用されるケースが増えている。特に、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機EL表示装置(OELD)のような画像表示装置に組み込まれる光学フィルムへのアクリル樹脂の応用が進められている。
例えば、光学フィルムの一種である偏光子保護フィルムは、通常、偏光子と積層された偏光板の状態で画像表示装置に使用される。偏光板は、通常、偏光子と、当該偏光子の少なくとも一方の面に接着層を介して貼り合わされた偏光子保護フィルムとを含む構成を有する。
また、偏光子と、当該偏光子の少なくとも一方の面に接着層を介して偏光子保護フィルムを貼り合わす際に、偏光子と偏光子保護フィルムとの接着強度を向上するために、偏光保護フィルムの接着層と貼り合せる面に易接着層を設ける構成が、特許文献1および2に開示されている。
しかしながら、アクリル樹脂からなる未延伸の原フィルムは、機械的強度が極端に低く、トリミング時に発生する切粉が多い。発生した切粉がフィルムに付着して異物となることで、また、フィルムの巻取り時に切粉がフィルムに傷を付けることで、製品フィルムの品質が低下する。フィルムに付着した異物を除去する手段に、粘着ロールの使用がある。しかし、偏光子保護フィルムを製造する場合など、フィルムの表面に易接着層を設ける場合には、易接着層に切粉が固着するため、粘着ロールによる切粉の除去が難しい。
そこで、特許文献3には、アクリル樹脂を溶融成膜して帯状の原フィルムを形成する工程(溶融成膜工程)、前記形成した原フィルムを縦延伸する工程(縦延伸工程)、前記縦延伸した原フィルムを横延伸して光学フィルムを形成する工程(横延伸工程)、および前記形成した光学フィルムを巻き取る工程(巻き取り工程)を連続して行い、前記縦延伸工程と前記横延伸工程との間に、前記縦延伸した原フィルムの表面に易接着組成物を塗布する工程(塗工工程)をさらに含み、前記横延伸工程において、前記原フィルムに加えられる熱によって、当該フィルムの表面に形成された前記易接着組成物の塗布膜を乾燥して易接着層を形成し、前記横延伸工程と前記巻き取り工程との間に、前記形成した光学フィルムをトリミングする工程(トリミング工程)をさらに含む方法により、易接着層を有し、かつトリミング工程を経るにも拘わらず、異物の付着および傷の発生を抑える方法が開示されている。
しかし、近年の画像表示装置は、より薄く、より軽くすることが求められており、これらの表示装置に使用される光学フィルムの要求品質は更に厳しくなっているのが現状であり、異物欠点のさらなる低減が望まれていた。
特開2007−127893号公報 特開2010−55062号公報 特開2012−118479号公報
本発明は上記状況に鑑みてなされたものであり、その目的は延伸された光学フィルムを製造した際、易接着層付着異物を低減した光学フィルムの製造方法を提供することにある。
本願発明者らは、鋭意検討を重ねたところ、以下の方法によって、上記目的を達成する光学フィルムの製造方法を見出した。
具体的には、本発明は以下の構成を要件とする。
(1)アクリル系熱可塑性樹脂を成形して得られる光学フィルムの製造方法であって、走行するフィルムに易接着組成物を塗布する工程(塗工工程)と、延伸工程とを含み、該延伸工程において該易接着組成物の塗布膜が走行下面に形成されていることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
(2)アクリル系熱可塑性樹脂を成形して得られる光学フィルムの製造方法であって、走行するフィルムに易接着組成物を塗布する工程(塗工工程)と、延伸工程とを含み、該延伸工程において該易接着組成物の塗布膜が走行下面に形成され、該延伸工程において加熱されることにより、当該フィルム走行下面に形成された該易接着組成物の塗布膜を乾燥して易接着層を形成することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
(3)アクリル系熱可塑性樹脂を成形して得られる光学フィルムの製造方法であって、該熱可塑性樹脂を溶融成膜して帯状の原フィルムを形成する工程(溶融成膜工程)、該原フィルムを該原フィルムの走行方向へ延伸する工程(縦延伸工程)、および/または該原フィルムの走行方向に対して垂直な方向へ延伸する工程(横延伸工程)、および前記形成した延伸フィルムを巻き取る工程(巻き取り工程)を連続して行い、該縦延伸工程、または横延伸工程の前に、延伸工程において走行するフィルムの走行下面に易接着組成物を塗布する工程(塗工工程)を含み、該延伸工程において加熱されることにより、当該フィルム走行下面に形成された該易接着組成物の塗布膜を乾燥して易接着層を形成することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
(4)輝点として認識される長径50μm以上の前記易接着層における付着異物が、5個/50m以下である(1)〜(3)のいずれか1つに記載の光学フィルムの製造方法。
本発明により、易接着組成物の塗工から延伸工程による易接着層の形成までの易接着層付着異物を抑制することができ、易接着層付着異物を低減した光学フィルムロールを提供することができるという効果を奏する。
本発明の製造方法が実施される光学フィルム製造装置の第1の例を示す模式図である。 本発明の製造方法が実施される光学フィルム製造装置の第2の例を示す模式図である。 本発明の製造方法が実施される光学フィルム製造装置の第3の例を示す模式図である。 本発明の製造方法が実施される塗工装置の例を示す模式図である。 比較例において用いた塗工装置の例を示す模式図である。
以下の説明において、特に記載がない限り、「%」は「質量%」、「部」は「質量部」をそれぞれ意味し、範囲を表す「A〜B」は「A以上B以下」を意味する。
本明細書における「樹脂」は「重合体」よりも広い概念である。樹脂は、例えば1種または2種以上の重合体からなってもよいし、必要に応じて、重合体以外の材料、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、フィラーなどの添加剤、相溶化剤、安定化剤などを含んでいてもよい。

[アクリル系熱可塑性樹脂]
本発明で用いられるアクリル系熱可塑性樹脂とは、(メタ)アクリル酸エステル単位および/または(メタ)アクリル酸単位を構成単位として有する重合体を主成分として含む樹脂のことであり、(メタ)アクリル酸エステルまたは(メタ)アクリル酸の誘導体に由来する構成単位を有していてもよい。アクリル系熱可塑性樹脂が有する全構成単位における、(メタ)アクリル酸エステル単位、(メタ)アクリル酸単位および上記誘導体に由来する構成単位の割合に合計は、通常50%以上であり、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。なお、ラクトン環構造など、(メタ)アクリル酸エステル単位の誘導体である環構造を主鎖に有する場合、全構成単位に占める(メタ)アクリル酸エステル単位および(メタ)アクリル酸単位の割合と、環構造の含有率との合計が50重量%以上であればよい。
(メタ)アクリル酸エステル単位は、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチルなどの単量体に由来する構成単位である。
(メタ)アクリル酸単位は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸などの単量体に由来する構成単位である。
アクリル系熱可塑性樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単位および(メタ)アクリル酸単位としてこれらの構成単位を2種類以上有していてもよい。アクリル系熱可塑性樹脂はメタクリル酸メチル単位を有することが好ましく、この場合、アクリル系熱可塑性樹脂ならびにアクリル系熱可塑性樹脂を含む組成物を成形して得られたフィルムの熱安定性が向上する。
アクリル系熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、通常110℃以上であり、115℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、130℃以上がさらに好ましい。Tgの上限としては成形加工性が乏しくなることから200℃以下が好ましい。なお、代表的なアクリル系熱可塑性樹脂であるPMMAのTgは105℃である。
本発明におけるガラス転移温度はJIS K7121の規定に準拠して求めることができる。具体的には、示差走査熱量計(リガク製、DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温速度20℃/分で昇温して得られたDSC曲線から始点法により算出した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
環構造の種類は特に限定されないが、例えば、ラクトン環構造、無水グルタル酸構造、グルタルイミド構造、N−置換マレイミド構造および無水マレイン酸構造から選ばれる少なくとも1種である。
以下の一般式(1)に無水グルタル酸構造およびグルタルイミド構造を示す。
Figure 2015182449
上記一般式(1)におけるR、Rは互いに独立して水素原子、またはメチル基であり、Xは酸素原子または窒素原子である。Xが酸素原子であるとき、R3は存在せず、Xが窒素原子のとき、Rは、水素原子、炭素数1から6の直鎖アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基またはフェニル基である。
が酸素原子のとき一般式(1)により示される環構造は無水グルタル酸構造となる。無水グルタル酸構造は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体を分子内で脱アルコール環化縮合させて形成できる。
が窒素原子のとき、一般式(1)により示される環構造はグルタルイミド構造となる。グルタルイミド構造は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル重合体をメチルアミンなどのイミド化剤によりイミド化して形成できる。
以下の一般式(2)に、無水マレイン酸構造およびN−置換マレイミド構造を示す。
Figure 2015182449
上記一般式(2)におけるR、Rは互いに独立して水素原子、またはメチル基であり、Xは酸素原子または窒素原子である。Xが酸素原子であるとき、Rは存在せず、Xが窒素原子のとき、Rは、水素原子、炭素数1から6の直鎖アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基またはフェニル基である。
が酸素原子のとき一般式(2)により示される環構造は無水マレイン酸構造となる。無水マレイン酸構造は、例えば、無水マレイン酸と(メタ)アクリル酸エステルとを共重合体して形成できる。
が窒素原子のとき、一般式(2)により示される環構造はN−置換マレイミド構造となる。N−置換マレイミド構造は、例えば、フェニルマレイミドなどのN−置換マレイミドと(メタ)アクリル酸エステルとを重合体して形成できる。
なお、一般式(1)、(2)の説明において例示した環構造を形成する各方法では、各々の環構造を形成に用いる重合体が全て(メタ)アクリル酸エステル単位を構成単として有するため、当該方法により得た樹脂はアクリル系熱可塑性樹脂となる。
アクリル系熱可塑性樹脂が主鎖に有していてもよいラクトン環構造は特に限定されず、例えば、4から8員環であってもよいが、環構造の安定性に優れることから5員環または6員環であることが好ましく、6員環であることがより好ましい。6員環であるラクトン環構造は、例えば、特開2004−168882号公報に開示されている構造であるが、前駆体の重合収率が高いこと、前駆体の環化縮合反応により、高いラクトン環含有率を有するアクリル系熱可塑性樹脂が得られること、メタクリル酸メチル単位を構成単位として有する重合体を前駆体にできること、などの理由から以下の一般式(3)に示される構造が好ましい。
Figure 2015182449
上記一般式(3)において、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1から20の範囲の有機残基である。当該有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。
一般式(3)における有機残基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1から20の範囲のアルキル基、エテニル基、プロペニル基などの炭素数2から20の範囲の不飽和脂肪族炭化水素基、フェニル基、ナフチル基などの炭素数1から20の範囲の芳香族炭化水素基であり、上記アルキル基、上記不飽和脂肪族炭化水素基、上記芳香族炭化水素基は、水素原子の一つ以上が、水酸基、カルボキシル基、エーテル基、およびエステル基から選ばれる少なくとも1種類の基により置換されていてもよい。
アクリル系熱可塑性樹脂における上記環構造の含有率は特に限定されないが、例えば5〜90%であり、好ましくは10〜70%であり、よりこの好ましくは10〜60%であり、さらに好ましくは10〜50%である。
アクリル系熱可塑性樹脂における環構造の含有率が過渡に小さくなると、フィルムの耐熱性の低下や、耐溶剤性および表面硬度が不十分となることがある。一方、上記含有率が過渡に大きくなると、フィルムの成形性や機械的特性が低下する。
主鎖に環構造を有するアクリル系熱可塑性樹脂は公知の方法により製造できる。環構造が無水グルタル酸構造あるいはグルタルイミド構造であるアクリル系熱可塑性樹脂は、例えば、WO2007/26659号公報あるいはWO2005/108438号公報に記載の方法により製造できる。環構造が無水マレイン酸構造あるいはN−置換マレイミド構造であるアクリル系熱可塑性樹脂は、例えば、特開昭57−153008号公報、特開2007−31537号公報に記載の方法により製造できる。環構造がラクトン環構造であるアクリル系熱可塑性樹脂は、例えば、特開2006−96960号公報、特開2006−171464号公報あるいは特開2007−63541号公報に記載の方法により製造できる。
アクリル系熱可塑性樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単位および(メタ)アクリル酸単位以外の構成単位を有していてもよく、このような構成単位は、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタリルアルコール、アリルアルコール、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、酢酸ビニル、2−ヒドロキシメチル−1−ブテン、メチルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾールなどの単量体に由来する構成単位である。アクリル系熱可塑性樹脂は、これらの構成単位を2種以上有していてもよい。
アクリル系熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、例えば1000〜300000の範囲であり、好ましくは5000〜250000の範囲であり、より好ましくは10000〜200000の範囲であり、さらに好ましくは50000〜200000の範囲である。
アクリル系熱可塑性樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の樹脂を含んでいてもよい。その他の樹脂の含有割合は、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜25質量%、さらに好ましくは0〜10質量%である。
その他の樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系ポリマー;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂等の含ハロゲン系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートなどの生分解性ポリエステル;セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースエステル;ポリカーボネート;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルニトリル;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン:ポリオキシペンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂等のゴム質重合体;などが挙げられる。相溶性の観点からは、スチレン−アクリロニトリル共重合体が好ましい。また、ゴム質重合体は、表面にアクリル系熱可塑性樹脂と相溶し得る組成のグラフト部を有するのが好ましく、ゴム質重合体の平均粒子径は、フィルムとした際の透明性向上の観点から、100nm以下である事が好ましく、70nm以下である事が更に好ましい。
アクリル系熱可塑性樹脂は、その他の添加剤を含んでいてもよい。アクリル系熱可塑性樹脂中のその他の添加剤の含有割合は、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜2質量%、さらに好ましくは0〜0.5質量%である。その他の添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;ベンゾフェノン系、トリアゾール系、トリアジン系等の紫外線吸収剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;位相差上昇剤、位相差低減剤、位相差安定剤等の位相差調整剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;可塑剤;滑剤などが挙げられる。

[光学フィルム]
本発明における光学フィルムは、アクリル系熱可塑性樹脂からなることが好ましい。アクリル系熱可塑性樹脂を成形して得られる光学フィルムは脆いため、製造時の破断が起きやすく、本発明の効果が顕著となる。アクリル系熱可塑性樹脂に関する詳細は後述する。
本発明における光学フィルムのガラス転移温度(Tg)は、例えば110℃以上であり、アクリル系熱可塑性樹脂の組成および光学フィルムにおけるアクリル系熱可塑性樹脂の含有率によっては、115℃以上、120℃以上となる。このような高いTgを有する光学フィルムは、画像表示装置における光源などの発熱部近傍への配置が容易となるなど、光学用途に好適である。
本発明における光学フィルムは、JIS P8115に準拠して測定した荷重200gにおけるMIT耐折度試験回数がMD方向、TD方向いずれにおいても30回以上であり、好ましくは100回以上であり、より好ましくは200回以上である。耐折度試験回数が30回未満の場合、フィルムとしての可撓性が不十分となることがある。
本発明における光学フィルムの厚さは特に限定されないが、10〜300μmであり、好ましくは20〜150μmであり、より好ましくは20〜100μmである。
本発明における光学フィルムは平滑性に優れ、フィルムの厚さムラは平均厚さの5%以内であり、より好ましくは3%以内、さらに好ましくは1%以内である。
光学フィルムの幅は特に限定されないが、例えば300mm以上であり、600mm以上が好ましく、1000mm以上が特に好ましい。
本発明における光学フィルムは、アクリル系熱可塑性樹脂に由来する高い光線透過率を有する。JIS K7361−1に準拠して測定した全光線透過率が、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上である。
本発明における光学フィルムは、着色が少なく、250μm厚みあたりのb値が好ましくは0.5以下であり、より好ましくは0.3以下である。
本発明における光学フィルムは、好ましくはヘイズが5%以下であり、より好ましくは3%以下である。ヘイズが5%を越えると透過率が低下し、光学用途に適さないことがある。
本発明における光学フィルムの欠点は、好ましくは100個/m以下、より好ましくは10個/m以下である。ここで言う欠点とは、フィルム中のきょう雑物によるもの、または、透明な架橋樹脂によるものがある。きょう雑物とは、例えば、光学フィルムの製造工程において、原料の溶融混練中にアクリル系熱可塑性樹脂が部分的に過熱され、劣化することによって発生する炭化物(いわゆる「焼け異物」)や、細かい砂、繊維、人体由来の有機物等が挙げられる。透明な架橋樹脂とは、化学構造は原料樹脂に非常に近いが分子間架橋が生じているために、完全に溶融しない弾性体となっている物である。光学特性が原料樹脂と異なっている場合は、透過光では影として、反射光では輝点として観察される。光学物性が全く同じ場合でもフィルムの表面付近に存在すれば観察される場合がある。
光学フィルム中の欠点の含有量は、例えば、JIS K6718に記載の外観の観察方法に準じた方法で測定することができる。具体的には、まず光学フィルムを散乱光下において目視で外観検査し、次に、20μm以上の欠点数を倍率20〜100倍の顕微鏡下でカウントすることによって測定することができる。
本発明における光学フィルムの易接着層の付着異物の量は、好ましくは5個/50m以下、より好ましくは3個/50m以下である。易接着層の付着異物の量は、JIS K6718に記載の外観の観察方法に準じた方法で測定することができる。具体的には、幅を狭めることなく1000mmの長さに切り出した光学フィルムを2000ルーメン以上の高輝度ライトを用いて反射光によって目視で外観検査した後、輝点として認識される長径50μm以上の傷および易接着層付着異物を、倍率20〜100倍の顕微鏡を用いて傷の数を除いてカウントすることによって測定することができる。

[易接着層]
本発明の製造方法により得られる光学フィルムは、易接着層を有する。
易接着層は、微粒子を含むことが好ましい。易接着層が微粒子を含むことにより、巻き取り時に生じるブロッキングを効果的に抑制して、巻き取り性に優れた光学フィルムとなる。さらに、微粒子の平均粒子径と粒度分布が特定の範囲を取ることにより、微粒子の含有量が少ないながらも、優れた易接着性を有しながら、耐ブロッキング性および透明性が両立した光学フィルムとなる。
微粒子の平均粒子径は特に限定されないが、200nm以上であることが好ましい。より好ましくは220nm以上であり、さらに好ましくは250nm以上であり、特に好ましくは280nm以上である。また、平均粒子径の上限は、好ましくは1000nm以下であり、より好ましくは500nm以下であり、さらに好ましくは400nm以下であり、特に好ましくは350nm以下である。このような平均粒子径の微粒子を用いることにより、透明性を維持しながら、少ない添加量でも効率的に光学フィルムに耐ブロッキング性を付与できる。
微粒子の粒度分布は特に限定されないが、1.0〜1.4であることが好ましい。より好ましくは、1.0〜1.2である。このような粒度分布の少ない微粒子を用いることにより、易接着性および透明性に優れた光学フィルムが得られる。
易接着層の微粒子について、Particle Sizing Systems社製粒度分布測定装置(Submicron Particle Sizer NICOMP380)で測定した等価球形分布において大粒子側から積算した積算体積分率50%の粒径を平均粒子径(d50)とした。また、粒度分布は、積算体積分率25%および75%の値をそれぞれd25、d75とし、その比(d25/d75)を粒度分布とした。
微粒子の好ましい形態のひとつは、水分散性の微粒子である。具体的には、無機系微粒子、有機系微粒子のいずれも用いることができる。無機系微粒子としては、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニアなどの無機酸化物、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、燐酸カルシウムなどが挙げられる。有機系微粒子としては、例えば、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、好ましい実施形態のひとつは、シリカである。ブロッキング抑制能にさらに優れ、透明性に優れ、ヘイズを生じず、着色もないので、光学フィルムの光学特性に与える影響がより小さいからである。また、シリカは、易接着組成物への分散性および分散安定性が良好であるので、易接着層を形成する際の作業性にもより優れる。さらに、シリカは、アクリル重合体および/またはスチレン系重合体を含む熱可塑性樹脂からなるフィルムとの密着性にも優れる。
易接着組成物が水系の場合、好ましくは、微粒子は水分散体として配合される。具体的には、微粒子としてシリカを採用する場合、好ましくは、コロイダルシリカとして配合される。コロイダルシリカとしては、市販品をそのまま用いることができる。市販品としては、例えば、扶桑化学工業(株)製のクォートロンPLシリーズ、日産化学工業(株)製のスノーテックスシリーズ、日本アエロジル(株)のAERODISPシリーズおよびAEROSILシリーズ、(株)日本触媒製のシーホスターシリーズなどが挙げられる。
易接着層における微粒子の含有量の上限は好ましくは2質量%未満、さらに好ましくは1.8質量%未満、特に好ましくは1.6質量%未満である。易接着層における微粒子の含有量が2質量%以上では、光学フィルムの透明性が不足することがある。また、易接着層における微粒子の含有量の下限は、好ましくは0.4質量%以上、さらに好ましくは0.7質量%以上、特に好ましくは1.0質量%以上である。易接着層における微粒子の含有量が0.4質量%未満では、光学フィルムの耐ブロッキング性能が不足することがある。
易接着層の厚みは、任意の適切な値に設定し得る。好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.1〜3μm、特に好ましくは0.2〜1μmである。このような範囲に設定することにより、偏光子との密着性に優れ得、易接着層に位相差が発現するのを抑制できる。
易接着層としては、ウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリオール系樹脂、ポリカルボン酸系樹脂、ポリエステル系樹脂、水性(メタ)アクリル系樹脂分散体など、易接着性を有する各種の樹脂を使用することができる。
易接着性を有する樹脂の数平均分子量は、好ましくは5000〜600000、さらに好ましくは10000〜400000である。
易接着層は、易接着性を有する樹脂と微粒子とを含む易接着組成物から形成する。易接着組成物は、好ましくは水系である。水系は、溶剤系に比べて環境面に優れ、作業性にも優れる。
易接着組成物は、任意の適切な添加剤をさらに含み得る。添加剤としては、例えば、分散安定剤、揺変剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、分散剤、界面活性剤、触媒、帯電防止剤などが挙げられる。
易接着層および易接着組成物の組成は、限定されない。
易接着層はウレタン系樹脂を含むウレタン系樹脂層であることが好ましい。易接着層がウレタン系樹脂層であることにより、アクリル系熱可塑性樹脂を成形して得られる光学フィルムとの密着性に優れた易接着層が形成される。
ウレタン系樹脂は、代表的には、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させることにより得られる。ポリオールとしては、分子中にヒドロキシル基を2個以上有するものであれば特に限定されず、任意の適切なポリオールを採用し得る。例えば、ポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなどが挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリアクリルポリオールは、代表的には、(メタ)アクリル酸エステルと、水酸基を有する単量体とを共重合させることにより得られる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。水酸基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシペンチル等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸モノエステル;N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリアクリルポリオールは、前記単量体成分に加えて、他の単量体を共重合させてもよい。他の単量体としては、共重合可能な限り、任意の適切な単量体を用いることができる。具体的には、(メタ)アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸ならびにその無水物およびモノまたはジエステル類;(メタ)アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;メチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン化α,β−不飽和脂肪族単量体;スチレン、α−メチルスチレンなどのα,β−不飽和芳香族単量体が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリエステルポリオールは、代表的には、多塩基酸成分とポリオール成分とを反応させることにより得られる。多塩基酸成分としては、例えば、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、酒石酸、アルキルコハク酸、リノレイン酸、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;あるいは、これらの酸無水物、アルキルエステル、酸ハライド等の反応性誘導体等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1−メチル−1,3−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−ブチレングリコール、1−メチル−1,4−ペンチレングリコール、2−メチル−1,4−ペンチレングリコール、1,2−ジメチル−ネオペンチルグリコール、2,3−ジメチル−ネオペンチルグリコール、1−メチル−1,5−ペンチレングリコール、2−メチル−1,5−ペンチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンチレングリコール、1,2−ジメチルブチレングリコール、1,3−ジメチルブチレングリコール、2,3−ジメチルブチレングリコール、1,4−ジメチルブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリエーテルポリオールは、代表的には、多価アルコールにアルキレンオキシドを開環重合して付加させることにより得られる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4′−シクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4′−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記ウレタン系樹脂は、好ましくは、カルボキシル基を有する。カルボキシル基を有することにより、偏光子との密着性(特に、高温・高湿下における)に優れた光学フィルムを提供することができる。カルボキシル基を有するウレタン系樹脂は、例えば、前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとに加え、遊離カルボキシル基を有する鎖長剤を反応させることにより得られる。遊離カルボキシル基を有する鎖長剤は、例えば、ジヒドロキシカルボン酸、ジヒドロキシスクシン酸等が挙げられる。ジヒドロキシカルボン酸は、例えば、ジメチロールアルカン酸(例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロールペンタン酸)等のジアルキロールアルカン酸が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記ウレタン系樹脂の酸価は、好ましくは10以上、さらに好ましくは10〜50、特に好ましくは20〜45である。酸価がこのような範囲内であることにより、偏光子との密着性がより優れる。
前記ウレタン系樹脂の製造において、前記の成分に加えて、他のポリオール、他の鎖長剤を反応させることができる。他のポリオールとしては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトラオール、1,4−ソルビタン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の水酸基数が3個以上のポリオールが挙げられる。他の鎖長剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール等のグリコール類;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、アミノエチルエタノールアミン等の脂肪族ジアミン;イソホロンジアミン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環族ジアミン;キシリレンジアミン、トリレンジアミン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。
前記ウレタン系樹脂の製造方法は、任意の適切な方法を用いることができる。具体的には、前記各成分を一度に反応させるワンショット法、段階的に反応させる多段法が挙げられる。ウレタン系樹脂がカルボキシル基を有する場合、好ましくは、多段法である。カルボキシル基を容易に導入し得るからである。なお、前記ウレタン系樹脂の製造に際し、任意の適切なウレタン反応触媒を用いることができる。
易接着層がウレタン系樹脂層の場合は、ウレタン系樹脂層はウレタン系樹脂と微粒子を含むウレタン系樹脂組成物を基材に塗布し、必要に応じて乾燥することによって得られることが好ましい。ウレタン系樹脂組成物は、好ましくは、水系である。水系は、溶剤系に比べて環境面に優れ、作業性にも優れる。前記ウレタン系樹脂組成物が水系の場合、好ましくは、前記ウレタン系樹脂の製造において中和剤を用いる。中和剤を用いることにより、水中におけるウレタン系樹脂の安定性が向上し得る。中和剤としては、例えば、アンモニア、N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記ウレタン系樹脂組成物が水系の場合、ウレタン系樹脂の製造に際し、好ましくは、前記ポリイソシアネートに対して不活性で、水と相溶する有機溶剤を用いる。当前記有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;ジオキサン、テトラハイドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶剤等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記ウレタン系樹脂組成物は、好ましくは、架橋剤を含む。当前記架橋剤は、任意の適切な架橋剤を用いることができる。具体的には、前記ウレタン系樹脂がカルボキシル基を有する場合、架橋剤としては、好ましくは、カルボキシル基と反応し得る基を有するポリマーが挙げられる。カルボキシル基と反応し得る基としては、例えば、有機アミノ基、オキサゾリン基、エポキシ基、カルボジイミド基等が挙げられる。好ましくは、架橋剤は、オキサゾリン基を有する。これらの中でも、オキサゾリン基を有する架橋剤は、前記ウレタン系樹脂と混合したときの室温でのポットライフが長く、加熱することによって架橋反応が進行するため、作業性が良好である。なお架橋剤は1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
架橋剤としては、市販品では、例えば、オキサゾリン類として、日本触媒社製のエポクロス(登録商標)シリーズ(WS−700等)等が挙げられ、カルボジイミド類として、日清紡ケミカル社製のカルボジライト(登録商標)等が挙げられる。
前記ポリマーとしては、任意の適切なポリマーを用いることができる。例えば、アクリル系ポリマー、スチレン・アクリル系ポリマー等が挙げられる。好ましくは、アクリル系ポリマーである。アクリル系ポリマーを用いることにより、偏光子との密着性がさらに向上し得る。また、水系のウレタン系樹脂組成物に安定的に相溶し、前記ウレタン系樹脂と良好に架橋することができる。
上述したように、ウレタン系樹脂組成物は、好ましくは水系である。ウレタン系樹脂組成物におけるウレタン系樹脂の濃度は、好ましくは1〜15質量%、さらに好ましくは3〜12質量%である。ウレタン系樹脂層形成時の作業性に優れるからである。ウレタン系樹脂組成物中の架橋剤(固形分)の含有量は、ウレタン系樹脂(固形分)100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部、さらに好ましくは3〜30重量部である。1重量部以上とすることにより、偏光子との密着性および光学フィルムの耐溶剤性が優れ得る。また、一方、40重量部以下とすることにより、ウレタン系樹脂層に位相差が発現するのを抑制し得る。ウレタン系樹脂組成物中の微粒子(固形分)の含有量は、ウレタン系樹脂(固形分:架橋剤を含む場合は架橋剤をも含めた固形分)100重量部に対して、好ましくは0.4〜2重量部、さらに好ましくは0.7〜1.8重量部である。
アクリル系重合体を含む熱可塑性樹脂からなるフィルムと易接着層の摩擦係数は、好ましくは0.1〜0.6、さらに好ましくは0.2〜0.4である。
易接着樹脂組成物の粘度は、好ましくは10〜1000cP、さらに好ましくは15〜500cPである。易接着層樹脂組成物の粘度が低すぎると、塗工後に液垂れが発生し均一な塗布が行えないことがある。これに加えて、液垂れによって延伸機が汚染され、異物数が増加することがある。また、易接着層樹脂組成物の粘度が高すぎると、塗工工程時に均一な塗布が行なえないことがある。
易接着樹脂組成物の乾燥前の厚さは、15μm以下であることが好ましく、より好ましくは13μm以下、さら
に好ましくは10μm以下である。易接着層樹脂組成物が厚すぎると、塗工後に液垂れが発生し均一な塗布が行なえないことがある。これに加えて、液垂れによって延伸機が汚染され、異物数が増加することがある。易接着樹脂組成物の乾燥後の厚さは、0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜5μmがより好ましく、0.3μm〜3μmがさらに好ましい。この範囲では、易接着樹脂組成物自体に位相差が発現することを抑制することができる。
[光学フィルムの製造方法]
本発明は、アクリル系熱可塑性樹脂を成形して得られる光学フィルムの製造方法であって、走行するフィルムに易接着組成物を塗布する工程(塗工工程)と、延伸工程とを含む。具体的には、アクリル系熱可塑性樹脂を成形して得られる光学フィルムの製造方法であって、走行するフィルムに易接着組成物を塗布する工程(塗工工程)と、延伸工程とを含み、該延伸工程において該易接着組成物の塗布膜が走行下面に形成されていることを特徴とする。
また、アクリル系熱可塑性樹脂を成形して得られる光学フィルムの製造方法であって、走行するフィルムに易接着組成物を塗布する工程(塗工工程)と、延伸工程とを含み、該延伸工程において該易接着組成物の塗布膜が走行下面に形成され、該延伸工程において加熱されることにより、当該フィルム走行下面に形成された該易接着組成物の塗布膜を乾燥して易接着層を形成することを特徴とする。
本発明における光学フィルムを製造する方法は、上記塗工工程と延伸工程を有していれば特に限定されない。例えば、上記工程の前工程において、溶液製膜法(溶液流延法、キャスト成形法)、溶融製膜法(溶融押出法、押出成形法)、プレス成形法などの公知の成形工程を有することができる。環境負荷が小さく生産性に優れることから溶融製膜法を用いた成形工程を有することが好ましい。
溶液製膜法を用いてフィルムを得ようとする場合は、主成分であるアクリル系熱可塑性樹脂と必要によりその他の重合体やその他の添加剤などとの樹脂組成物を良溶媒中に撹拌混合して均一混合液とし、支持フィルムやドラムにキャストして自己支持性を有するまで予備乾燥した後、支持フィルムやドラムから剥がして乾燥すると得ることができる。溶液製膜法に用いられる溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンなどの塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、およびこれらの混合溶媒などの芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル;などが挙げられる。これら溶媒は1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。溶液製膜法を行うための装置としては、例えば、ドラム式キャスティングマシン、ベルト式キャスティングマシンなどが挙げられる。
溶融製膜法の具体的な例としては、樹脂組成物を構成する各成分をオムニミキサーなどの混合機でプレブレンドした後、得られた混合物を混練機から押出混練してもよい。押出混練に用いる混練機は特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機などの押出機、あるいは加圧ニーダーなどの公知の混練機を用いることができる。
また、別途形成したアクリル系熱可塑性樹脂を溶融押出成形してもよい。溶融製膜法には、例えば、Tダイ法、インフレーション法などがあり、その際の成形温度は、好ましくは200〜350℃、より好ましくは250〜300℃、さらに好ましくは255℃〜300℃、特に好ましくは260℃〜300℃である。
Tダイ法を用いる場合、押出機の先端部にTダイを取り付け、このTダイから押し出したフィルムを巻き取ることで、ロール状に巻回させた樹脂フィルムを得ることができる。このとき、巻き取りの温度および速度を制御して、フィルムの押し出し方向に延伸(一軸延伸)を加えることも可能である。
押出成形に押出機を用いる場合、その種類は特に限定されず、単軸であっても二軸であっても多軸であってもよいが、そのL/D値は(Lは押出機のシリンダの長さ、Dはシリンダ内径)、アクリル系熱可塑性樹脂を十分に可塑化して良好な混練状態を得るために、好ましくは10以上100以下であり、より好ましくは15以上80以下であり、さらに好ましくは20以上60以下である。L/D値が10未満の場合、アクリル樹脂を十分に可塑化できず、良好な混練状態が得られないことがある。一方、L/D値が100を超えると、アクリル樹脂に対して過度に剪断発熱が加わることで、組成物中の樹脂が熱分解する可能性がある。
またこの場合、シリンダの設定温度は、好ましくは200℃以上300℃以下であり、より好ましくは250℃以上300℃以下である。設定温度が200℃未満では、アクリル系熱可塑性樹脂の溶融粘度が過度に高くなって、樹脂フィルムの生産性が低下する。一方、設定温度が300℃を超えると、アクリル系熱可塑性樹脂が熱分解する可能性がある。
押出成形に押出機を用いる場合、その形状は特に限定されないが、押出機が1個以上の開放ベント部を有することが好ましい。このような押出機を用いることによって、開放ベント部から分解ガスを吸引することができ、得られた樹脂フィルムに残存する揮発成分の量を低減できる。開放ベント部から分解ガスを吸引するためには、例えば、開放ベント部を減圧状態にすればよく、その減圧度は、開放ベント部の圧力にして、931〜1.3hPaの範囲が好ましく、798〜13.3hPaの範囲がより好ましい。開放ベント部の圧力が931hPaより高い場合、揮発成分、あるいは樹脂の分解により発生する単量体成分などが、樹脂中に残存しやすい。一方、開放ベント部の圧力を1.3hPaより低く保つことは工業的に困難である。
本発明の製造方法で得られる光学フィルムは、ポリマーフィルターで濾過したアクリル系熱可塑性樹脂を成形してフィルムとすることが好ましい。ポリマーフィルターにより、アクリル系熱可塑性樹脂中に存在する異物を除去できるため、得られたフィルムの外観上の欠点を低減できる。なお、ポリマーフィルターによる濾過時には、アクリル系熱可塑性樹脂は高温の溶融状態となる。このため、ポリマーフィルターを通過する際にアクリル系熱可塑性樹脂が劣化し、劣化により形成されたガス成分や着色劣化物が組成物中に流れだして、得られたフィルムに、穴あき、流れ模様、流れスジなどの欠点が観察されることがある。この欠点は、特に樹脂フィルムの連続成形時に観察されやすい。このため、ポリマーフィルターで濾過したアクリル系熱可塑性樹脂を成形する際には、その成形温度は、樹脂の溶融粘度を低下させ、ポリマーフィルターにおける樹脂の滞留時間を短くするために、例えば255〜300℃であり、260〜320℃が好ましい。
ポリマーフィルターの構成は特に限定されないが、ハウジング内に多数枚のリーフディスク型フィルターを配したポリマーフィルターを好適に用いることができる。リーフディスク型フィルターの濾材は、金属繊維不織布を焼結したタイプ、金属粉末を焼結したタイプ、金網を数枚積層したタイプ、あるいはそれらを組み合わせたハイブリッドタイプのいずれでもよいが、金属繊維不織布を焼結したタイプが最も好ましい。
ポリマーフィルターによる濾過精度は特に限定されないが、通常15μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。濾過精度が1μm以下になると、樹脂の滞留時間が長くなることで当該組成物の熱劣化が大きくなる他、樹脂フィルムの生産性が低下する。一方、濾過精度が15μmを超えると、アクリル系熱可塑性樹脂中の異物を除去することが難しくなる。
ポリマーフィルターの形状は特に限定されず、例えば、複数の樹脂流通口を有し、センターポール内に樹脂の流路を有する内流型;断面が複数の頂点もしくは面においてリーフディスクフィルタの内周面に接し、センターポールの外面に樹脂の流路がある外流型;などがある。特に、樹脂の滞留箇所の少ない外流型を用いることが好ましい。
ポリマーフィルターにおける樹脂の滞留時間に特に制限はないが、好ましくは20分以下であり、より好ましくは10分以下であり、さらに好ましくは5分以下である。また、濾過時におけるフィルター入口圧およびフィルター出口圧は、例えば、それぞれ、3〜15MPaおよび0.3〜10MPaであり、圧力損失(フィルターの入口圧と出口圧の圧力差)は、1MPa〜15MPaの範囲が好ましい。圧力損失が1MPa以下になると、樹脂がフィルターを通過する流路に偏りが生じやすく、得られた樹脂フィルムの品質が低下する傾向がある。一方、圧力損失が15MPaを超えると、ポリマーフィルターの破損が起こり易くなる。
ポリマーフィルターに導入される樹脂の温度は、その溶融粘度に応じて適宜設定すればよく、例えば250〜300℃であり、好ましくは255〜300℃であり、さらに好ましくは260〜300℃である。
ポリマーフィルターを用いた濾過処理により、異物、着色物の少ない光学フィルムを得る具体的な工程は、特に限定されない。例えば、(1)クリーン環境下でアクリル系熱可塑性樹脂の形成および濾過処理を行い、引き続いてクリーン環境下でアクリル系熱可塑性樹脂の成形を行うプロセス、(2)異物または着色物を有するアクリル系熱可塑性樹脂を、クリーン環境下で濾過処理した後、引き続いてクリーン環境下でアクリル系熱可塑性樹脂の成形を行うプロセス、(3)異物または着色物を有するアクリル系熱可塑性樹脂を、クリーン環境下で濾過処理すると同時に成形を行うプロセス、などが挙げられる。それぞれの工程毎に、複数回、ポリマーフィルターによるアクリル系熱可塑性樹脂の濾過処理を行ってもよい。
ポリマーフィルターによってアクリル系熱可塑性樹脂を濾過する際には、押出機とポリマーフィルターとの間にギアポンプを設置して、フィルター内の樹脂の圧力を安定化することが好ましい。
ポリマーフィルターによってアクリル系熱可塑性樹脂を濾過する際には、押出機とポリマーフィルターとの間にギアポンプを設置して、フィルター内の樹脂の圧力を安定化することが好ましい。
本発明の製造方法で得られる延伸フィルムは、延伸フィルムであれば、特に制限はなく、1軸延伸フィルムであっても2軸延伸フィルムまたは斜め延伸フィルムであってもよく、より好ましくは2軸延伸フィルムであり、逐次2軸延伸、同時2軸延伸いずれの手法でもかまわない。逐次2軸延伸の場合は、縦延伸工程と横延伸工程を含む。
縦延伸工程は公知の延伸方法を適用できる。例えば、オーブン延伸、ロール延伸いずれの方法であってもかまわない。ただし、縦延伸工程前に塗工工程を行う場合、易接着組成物によりロールが汚染されるおそれがあり、ロール延伸は好ましくない。
オーブン縦延伸機は、オーブン入口側および出口側のそれぞれにある搬送ロールとオーブンとから構成される。オーブン入口側にある搬送ロールと、出口側にある搬送ロールとの間に周速差をつけることによって原フィルムをその流れ方向(長手方向)に延伸する。オーブンは、原フィルムを延伸可能な温度にまで加熱する機能を有する。延伸条件によっては、オーブンによって、延伸後の原フィルムに熱処理効果を与えることができる。
オーブン縦延伸における延伸温度は、原フィルムのガラス転移温度(Tg)を基準に、(Tg−10)℃〜(Tg+50)℃が好ましく、より好ましくは(Tg−5)℃〜(Tg+40)℃であり、さらに好ましくは、(Tg)℃〜(Tg+30)℃である。(Tg−10)℃未満で延伸すると原フィルムの破断のおそれがある。(Tg+50)℃を越えると、原フィルムのたるみが大きくなるために、装置とのこすれや破断のおそれが生じる。
一方、ロール縦延伸機は、加熱可能な多数のロールあるいはニップロール(加熱ロール)と、冷却可能な多数のロールあるいはニップロール(冷却ロール)とから構成される。原フィルムは多数の加熱ロールに連続接触しながら延伸温度にまで予熱され、加熱ロールと冷却ロールとの間に設けられた短区間(延伸区間)のニップロールによって延伸された後、冷却ロールによって冷却される。延伸温度を安定化するため、延伸区間内に補助加熱装置を設けても良い。
原フィルムの延伸温度および延伸倍率は、縦延伸後に得られた原フィルムの機械的強度、表面性および厚み精度を指標として適宜調整することができる。延伸の際に原フィルムを、当該フィルムのガラス転移温度(Tg)を基準に、加熱ロールによって(Tg−10)℃〜(Tg+20)℃にまで加熱することが好ましく、さらに延伸区間内に設けた補助加熱装置によって、(Tg)℃〜(Tg+30)℃以下にまで加熱することがより好ましい。加熱ロールでの原フィルムの加熱が、(Tg−10)℃よりも低い場合には、原フィルムが裂ける、割れるなどの工程上の問題を引き起こしやすい。(Tg+20)℃よりも高い場合には、原フィルムがロールに付着するトラブルが起こりやすい。また、補助加熱装置での加熱が(Tg)℃よりも低い場合には、原フィルムにシワが発生しやすく、フィルムの裂けや割れなどの工程上の問題を引き起こしやすく、(Tg+30)℃よりも高い場合には、最終的に得られた延伸フィルムの伸び率や引っ張り強度、可とう性などの力学的性質が改善されず、2次加工性が悪くなることがある。延伸区間内に設けた補助加熱装置としては、従来公知の方法が使用でき、IRヒーター、セラミックヒーター、熱風ヒーターの中から選ばれるいずれかの加熱方法が装置の導入コストの観点から好ましい。
横延伸工程は、原フィルムをその幅方向に延伸する工程である。横延伸に用いる装置は、グリップ式でもピン式でもかまわないが、原フィルムの引き裂けが生じにくいことから、グリップ式がより好ましい。グリップ式のテンター延伸機は、横延伸用のグリップ走行装置とオーブンとから構成される。グリップ走行装置は原フィルムの横端部をグリップで掴んで搬送すると同時にグリップ走行装置のガイドレールを開いて左右2列のグリップ間の距離を広げることによって、当該フィルムを延伸する。なお、フィルムの長手方向にもグリップの拡縮機能を持たせた同時二軸延伸機であってもよい。また、オーブンは原フィルムを延伸可能な温度にまで加熱する(予熱する)機能を有する。延伸条件によっては、オーブンによって、横延伸後のフィルムに熱処理効果を与えることができる。オーブンから出たフィルムは、その後冷却される。いずれの場合においても、フィルムの延伸温度は、熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)を基準に、(Tg−10)℃〜(Tg+50)℃が好ましく、より好ましくは(Tg−5)℃〜(Tg+30)℃である。また、延伸温度が、原フィルムのガラス転移温度に達するまで延伸を行わないことが好ましい。これにより、厚みムラ、位相差ムラが小さい位相差フィルムとすることができる。なお、横延伸工程とは、加熱(予熱)、延伸、冷却の一連の工程を指す。横延伸工程では、原フィルムの幅方向の延伸が行われるが、その際、原フィルムの流れ方向の延伸を併せて行うこともできる。
延伸フィルムの光学特性および機械的特性を安定させるために、延伸後、必要に応じて熱処理(アニーリング)を実施してもよい。
縦方向および横方向のそれぞれの方向に対する延伸倍率は、好ましくは1.05〜10倍の範囲、より好ましくは1.1〜5倍の範囲、さらに好ましくは1.2〜3倍の範囲である。1.05倍よりも小さいと、フィルムの強度が不十分となったり、所望する位相差値が得られない場合があり好ましくない。10倍よりも大きいと、延伸倍率を上げるだけの効果が認められず、また延伸中にフィルムの破断が起こる場合があり好ましくない。
本発明の製造方法における塗工工程は、縦または横延伸工程の前に、延伸工程において走行するフィルムの走行下面に易接着組成物を塗布することによって行われる。易接着組成物の塗布には、下面への塗布が可能な任意の適切な方法を採用することができる。例えば、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ロッドコート法等が挙げられる。縦または横延伸工程の前に形成された易接着組成物の塗布膜は、縦または横延伸工程において原フィルムに加えられる熱によって、乾燥し、易接着層となる。易接着層が形成されるタイミングは、典型的には、縦または横延伸工程において原フィルムが予熱されるタイミングである。易接着層は、縦または横延伸工程における他のタイミング、例えば、延伸のタイミング、で形成されてもよい。易接着層が形成される際、乾燥のために光学フィルムが熱風にさらされることがあり異物が付着し易い傾向がある。本発明では延伸工程において塗付面が下向きで延伸されることが異物の付着を低減できる一つの要因と考えられる。乾燥温度は、代表的には50℃以上、好ましくは90℃以上、さらに好ましくは110℃以上である。乾燥温度をこのような範囲とすることにより、例えば、耐色性(特に、高温高湿下における)に優れた光学フィルムを提供することができる。本発明において、縦または横延伸工程における延伸温度を、塗膜の乾燥温度として好ましい範囲とすることができることから、易接着層とフィルムとの密着性を向上することができる。
塗付する易接着樹脂組成物の粘度は、好ましくは10〜1000cP、さらに好ましくは15〜500cP、特に好ましくは18〜300cPである。易接着層樹脂組成物の粘度が低すぎると、塗工後に液垂れが発生し均一な塗布が行えないことがある。これに加えて、液垂れによって延伸機が汚染され、異物数が増加することがある。また、易接着層樹脂組成物の粘度が高すぎると、塗工工程時に均一な塗布が行えないことがある。
本発明の巻き取り機としては、一般的に使用されているもので良く、巻き取り軸に巻き取られる光学フィルムに接触して押圧するタッチロールを有しており、テーパーテンション法、定テンション法、定トルク法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
タッチロールの材質としては、金属または金属ロールの周りに樹脂やゴムなどを被覆したものを用いることができる。
タッチロールの幅は特に限定されないが、巻き取る光学フィルムの全幅を押圧することができる幅が好ましい。また、中央部から端部へ行くに従い、ロール径を変化させたクラウンロールを用いることもできる。
タッチロールを冷却する方法はロール表面の温度を均一に制御できるものであれば特に制限されないが、例えば、幅方向に行きと返りが交互に流れるようにしたり、スパイラル状に流れるようにしたりすることでロール表面の温度分布の小さい温度制御ができる。
タッチロールを冷却する冷媒は特に制限はなく、所定の温度設定ができるものであれば水やオイルを使用することができる。
本発明における光学フィルムの巻き取り速度は特に限定されないが、3〜100m/分であり、好ましくは5〜80m/分であり、より好ましくは10〜50m/分である。
本発明の製造方法で得られる光学フィルムは、例えば特開2002−255409号公報に記載されているように、巻き取り直前で除電器によりフィルム上に帯電している電荷を除去することが、フィルム間の静電気による密着を防ぐことができるため好ましい。
本発明の製造方法で得られる光学フィルムは、フィルム両端部にナーリング部を有していてもよい。
ナーリング部の高さは通常1μm以上25μm以下が好ましい。ナーリング部の高さとは、ナーリング加工が施されたフィルム端部の厚みから、ナーリング加工が施されていない部分の厚みを差し引いた値であり、1μm未満であるとロール状としたときのフィルム同士の貼りつきが起こりやすくなるために好ましくない。また、ナーリング部の高さが25μmよりも大きくなると、ロール状としたときにフィルムの幅方向における中央部と両端部の見かけ上の直径差が大きくなり、馬の背故障、変形故障等を誘発するので好ましくない。
ナーリング部を成形する方法は特に限定されないが、加工歯を有する一対の転写ロールや凹凸の刻印されたエンボスロール、エンボスベルトでフィルムの両端部を押圧することで賦形することができる。一対の転写ロールやエンボスロールは、片方にだけ凹凸が刻印されているものであっても、両方に凹凸が刻印されているものであっても良い。片方にだけ凹凸が刻印されている場合は、その対となるロールはゴムロールであっても良いし、金属ロールであっても良い。
ナーリング部をフィルムに付与する加工歯の形状は特に限定されないが、例えば、円錐台形や角錐台形、円錐や円柱、角錐状などが挙げられる。
ナーリングの凸部の高さを調整する方法は特に限定されないが、一対の転写ロールやエンボスロールのロール間隙間調整や油圧制御によるロール押圧調整などが挙げられ、適宜選択される。
ナーリング部の成形は、常温でも加熱下でも実施可能であるが、加熱して実施することが好ましい。例えば、50〜300℃であり、好ましくは80〜250℃であり、より好ましくは100〜200℃である。
本発明の製造方法で得られる光学フィルムロールは、JIS Z0208で規定される透湿度が5%以下である包装材で包装されていてもよい。包装材内の光学フィルムロールの湿度変化を好ましい範囲内(例えば4%/分以下、好ましくは1.3%以下)に抑制することができる。これにより、包装体の内部に湿度差が発生することを抑制することができ、包装体の保管・輸送・荷受け渡し時に光学フィルムの変形、傷が発生することを抑制することができる。
前記包装材は、その外面が蒸着フィルムまたは金属箔であることが好ましい。包装材の外面が蒸着フィルムまたは金属箔であると、日射反射率に優れているため、光学フィルムロールの急激な温度変化を抑制することができ、保管・輸送・荷受け渡し時における光学フィルムの変形、傷が発生することを抑制することができる。
本発明の製造方法で得られる光学フィルムの表面には、必要に応じて、各種の機能性コーティング層が形成されていてもよい。機能性コーティング層は、例えば、帯電防止層、粘接着剤層、接着層、防眩(ノングレア)層、光触媒層などの防汚層、反射防止層、ハードコート層、紫外線遮蔽層、熱線遮蔽層、電磁波遮蔽層、ガスバリヤー層などである。また、本発明の樹脂成形品に、上記機能性コーティング層を有する部材が積層されていてもよい。当該部材の積層は、粘着剤や接着剤を介して行うことができる。
本発明の製造方法で得られる光学フィルムの用途は特に限定されないが、その高い透明性、耐熱性により、光学部材として好適に用いることができる。光学部材は、例えば、光学用保護フィルム、具体的には、各種の光ディスク(VD、CD、DVD、MD、LDなど)基板の保護フィルム、液晶表示装置(LCD)などの画像表示装置が備える偏光板に用いる偏光子保護フィルムである。位相差フィルム、視野角補償フィルム、光拡散フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、タッチパネル用導電フィルムなどの光学フィルムとして、本発明の光学フィルムを用いてもよい。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に限定されない。フィルム物性の測定用サンプルは、幅方向の中央部からサンプルを取得した。
<重量平均分子量>
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により以下の条件で求めた。
システム:東ソー社製GPCシステム HLC−8220
展開溶媒:クロロホルム(和光純薬工業製、特級)、流量:0.6ml/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー社製、PS−オリゴマーキット)
測定側カラム構成:ガードカラム(東ソー社製、TSKguardcolumn SuperHZ−L)、分離カラム(東ソー社製、TSKgel SuperHZM−M)2本直列接続
リファレンス側カラム構成:リファレンスカラム(東ソー社製、TSKgel SuperH−RC)
<ガラス転移温度>
ガラス転移温度(Tg)はJIS K7121の規定に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク製、DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温速度20℃/分で昇温して得られたDSC曲線から始点法により算出した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
<易接着組成物の粘度>
易接着組成物の粘度(cP)は、東機産業(株)製のRB80Lを用いて以下の条件で求めた。
ローター:No.1
回転数:60rpm
測定温度:20℃
<フィルム平均厚み>
ミツトヨ製デジマチックマイクロメーター(最小表示量0.001mm)を用いて幅方向に20mm間隔で測定し、平均値を求めた。
<易接着層の付着異物の測定>
易接着層の付着異物の量は、JIS K6718に記載の外観の観察方法に準じた方法で測定した。具体的には、幅を狭めることなく1000mmの長さに切り出した光学フィルムをポラリオンライト(シーズシー社製、NP−1、3400ルーメン)を用いて反射光によって目視で外観検査した後、輝点として認識される長径50μm以上の傷および易接着層付着異物を、倍率20〜100倍の顕微鏡を用いて傷の数を除いてカウントすることによって計測した。
〔製造例1〕
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、および滴下ロートを備えた反応容器に、メタクリル酸メチル(MMA)91質量部、N−フェニルマレイミド(PMI)9質量部、酸化防止剤(アデカスタブ2112、ADEKA製)0.05質量部、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン(DM)0.1質量部、およびトルエン80.5質量部を仕込み、これに窒素ガスを導入しつつ、内容物を105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、ルペロックス570)0.103質量部を添加するとともに、トルエン21質量部にt−アミルパーオキシイソノナノエート0.205質量部を溶解させた溶液を2時間かけて滴下しながら溶液重合を進行させ、滴下終了後、さらに6時間の熟成を行った。
次に、得られた重合溶液を、バレル温度240℃、回転速度100rpm、リアベント数1個およびフォアベント数4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)のベントタイプスクリュー二軸押出機(φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時の処理速度で導入し、脱揮を行った。脱揮は、リアベントの圧力を300mmHg、第1ベントの圧力を200mmHg、第2から第4ベントの圧力を20mmHgに減圧して実施した。その際、別途準備しておいた酸化防止剤溶液を、0.03kg/時の投入速度で第1ベントと第2ベントとの間から、イオン交換水を0.01kg/時の投入速度で第3ベントと第4ベントとの間から、ポンプを用いてそれぞれ投入した。酸化防止剤溶液には、50質量部の酸化防止剤(住友化学製、スミライザーGS)をトルエン235質量部に溶解させた溶液を用いた。
脱揮完了後、押出機内に残された熱溶融状態にある樹脂組成物を押出機の先端から排出し、ペレタイザーによってペレット化して、透明なペレット(1A)を得た。樹脂ペレット(1A)を構成する樹脂組成物の重量平均分子量は131000、Tgは128℃であった。
〔製造例2〕
グルタルイミド構造を主鎖に有する(メタ)アクリル重合体を主成分とするアクリル樹脂(ダイセル・エボニック製、プレキシイミド8813)100重量部と、0.66重量部の紫外線吸収剤(ADEKA製、アデカスタブ LA−F70)を、260℃で二軸押出機に供給して、グルタルイミド構造を主鎖に有する(メタ)アクリル重合体からなるアクリル樹脂の透明なペレット(1B)を得た。
〔製造例3〕
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応釜に、メタクリル酸メチル(MMA)40重量部、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)10重量部、重合溶媒としてトルエン50重量部および酸化防止剤(アデカスタブ2112、ADEKA製)0.025重量部を仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。
昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、商品名:ルペロックス570)0.05重量部を添加するとともに、上記t−アミルパーオキシイソノナノエート0.10重量部を2時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の還流下で溶液重合を進行させ、さらに4時間の熟成を行った。
次に、得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒(環化触媒)として、リン酸2−エチルヘキシル(堺化学工業製、Phoslex A−8)0.05重量部を加え、約90〜110℃の還流下において5時間、ラクトン環構造を形成するための環化縮合反応を進行させた。次に、得られた重合溶液を熱交換器に通して240℃まで昇温し、当該温度において環化縮合反応をさらに進行させた。
次に、得られた重合溶液を、バレル温度240℃、回転速度100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個およびフォアベント数4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)、第3ベントと第4ベントとの間にサイドフィーダーが設けられており、先端にリーフディスク型のポリマーフィルター(濾過精度5μm)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、90重量部/時(樹脂量換算)の処理速度で導入し、脱揮を行った。
その際、別途準備しておいた酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液を1.06重量部/時の投入速度で第1ベントの後から、イオン交換水を0.34重量部/時の投入速度で第2および第3ベントの後から、それぞれ投入した。
酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液としては、50重量部の酸化防止剤(BASFジャパン製、イルガノックス1010)と、失活剤である35重量部のオクチル酸亜鉛(日本化学産業製、ニッカオクチクス亜鉛3.6%)とを、トルエン200重量部に溶解させた溶液を用いた。
これに加えて、脱揮の際に、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂:スチレン単位/アクリロニトリル単位の比率が73重量%/27重量%、重量平均分子量が22万)のペレットをサイドフィーダーから、10重量部/時の投入速度で投入した。
脱揮完了後、押出機内に残された熱溶融状態にある樹脂を当該押出機の先端からポリマーフィルターにより濾過しながら排出し、ペレタイザーによりペレット化して、ラクトン環構造を主鎖に有する(メタ)アクリル重合体を主成分(含有率が90重量%)とし、さらにスチレン−アクリロニトリル共重合体を10重量%の含有率で含むアクリル樹脂の透明なペレット(1C)を得た。樹脂ペレット(1C)を構成する樹脂組成物の重量平均分子量は132000、Tgは125℃であった。
〔製造例4〕
ウレタン樹脂(第一工業製薬製、スーパーフレックス210、固形分35重量%)20.6重量部、架橋剤(日本触媒製、エポクロスWS−700、固形分25重量%)1.4重量部、アモルファスシリカ微粒子を含むエマルジョン(日本触媒製、シーホスターKE−W30、平均粒径(一次粒子径)0.28μm、粒度分布1.1、固形分20重量%)0.5重量部、および純水58重量部を混合して、エマルジョン状の分散体である易接着組成物(2A)を得た。易接着組成物(2A)の粘度は24.3cPであった。
〔製造例5〕
ウレタン樹脂(第一工業製薬製、スーパーフレックス210、固形分35重量%)11.4重量部、架橋剤(日本触媒製、エポクロスWS−700、固形分25重量%)0.8重量部、アモルファスシリカ微粒子を含むエマルジョン(日本触媒製、シーホスターKE−W30、平均粒径(一次粒子径)0.28μm、粒度分布1.1、固形分20重量%)0.3重量部、および純水68重量部を混合して、エマルジョン状の分散体である易接着組成物(2B)を得た。易接着組成物(2B)の粘度は8.6cPであった。
[実施例1]
製造例1で得られた樹脂ペレット(1A)を、図1に準じた製造工程にて溶融成膜、縦延伸、易接着組成物の塗工、横延伸、トリミング、ナーリング、巻き取りを連続して実施し、二軸延伸光学フィルムを得た。
溶融成膜は282℃で行い、厚み113μmの原フィルムを成膜した後、そのまま連続的にオーブン縦延伸機へ供給し、オーブンの温度を140℃にして、縦方向に延伸倍率2.0倍の延伸を行った。
さらに連続して、製造例4で調製した易接着組成物をオフセットグラビアキスコーターにより走行する原フィルムの走行下面に乾燥後の膜厚が800nmになるように塗布した後、両端部から20mmの位置を2インチのクリップで掴みテンター延伸機へ供給し、オーブンの温度を140℃として、易接着層の形成と延伸倍率2.0倍の横延伸とを行った。この後、さらに連続的に、シェアカッターを用いて幅700mmにトリミングした後、フィルムの両端部にナーリング加工を施して、巻き取り機で巻き取り、平均厚み40μmの連続した500m長の延伸フィルムロールを得た。
図4は易接着組成物塗工装置であるオフセットグラビアキスコーターの主要部を示す概略図である。
[実施例2]
製造例2で作製した樹脂ペレット(1B)を使用した以外は実施例1と同様にして延伸フィルムロールを取得した。
[実施例3]
製造例3で作製した樹脂ペレット(1C)を使用した以外は実施例1と同様にして延伸フィルムロールを取得した。
[実施例4]
縦延伸と易接着組成物の塗布の順番を逆にし、易接着組成物の乾燥後の膜厚を1130nmにした以外は実施例1と同様にして、図2に準じた製造工程にて延伸フィルムロールを取得した。
[実施例5]
厚み80μmの原フィルムを成膜し、縦延伸を行なわなかった以外は実施例1と同様にして、図3に準じた製造工程にて延伸フィルムロールを取得した。
[実施例6]
製造例5で調製した易接着組成物を塗布した以外は実施例1と同様にして延伸フィルムロールの取得を行なったが、易接着組成物の塗布からテンター延伸機へ供給するまでに塗工液の液垂れが発生しており、不均一な易接着層の形成が確認された。そこで、易接着層のウェット膜厚を8000nm、乾燥後膜厚を400nm、延伸後膜厚を200nmに変更することで均一な易接着層の形成が確認された。得られた光学フィルムの易接着層付着異物の数は2個であった。
[比較例1]
易接着組成物の塗布をグラビアリバースコーターにより走行する原フィルムの走行上面に塗布した以外は実施例1と同様にして、図1に準じた製造工程にて延伸フィルムロールを取得した。
図5は易接着組成物塗工装置であるグラビアリバースコーターの主要部を示す概略図である。
各実施例および比較例で作製した得られた光学フィルムの評価結果を、以下の表1にまとめる。
Figure 2015182449
なお、上記実施例の製造条件、装置および易接着層樹脂組成物の物性等について、本明細書中に記載された好ましい範囲内において本発明が有利な効果を奏することが立証されている。
本発明の光学フィルムの製造方法は、液晶表示装置などのフラットパネル画像表示装置に用いられる、偏光子保護フィルム、反射防止フィルム、位相差フィルム、偏光フィルムなどの各種の光学フィルムの製造に好適に適用できる。
1 乾燥機
2 押出機
3 ギアポンプ
4 ポリマーフィルター
5 ダイ
6 キャスティング装置
7 縦延伸装置
8 横延伸装置
9 トリミング装置
10 製品巻き取り部
11 塗工装置
12 ナーリング装置
20 ウェブ
21 ガイドロール
22 ゴムロール
23 グラビアロール
24 ドクター
25 塗布液
26 液槽
27 バックアップロール
61 第1冷却ロール
62 第2冷却ロール
63 第3冷却ロール
71 低速ロール
72 高速ロール
73 オーブン
81 予熱部
82 横延伸部
83 熱固定部

Claims (4)

  1. アクリル系熱可塑性樹脂を成形して得られる光学フィルムの製造方法であって、走行するフィルムに易接着組成物を塗布する工程(塗工工程)と、延伸工程とを含み、該延伸工程において該易接着組成物の塗布膜が走行下面に形成されていることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. アクリル系熱可塑性樹脂を成形して得られる光学フィルムの製造方法であって、走行するフィルムに易接着組成物を塗布する工程(塗工工程)と、延伸工程とを含み、該延伸工程において該易接着組成物の塗布膜が走行下面に形成され、該延伸工程において加熱されることにより、当該フィルム走行下面に形成された該易接着組成物の塗布膜を乾燥して易接着層を形成することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  3. アクリル系熱可塑性樹脂を成形して得られる光学フィルムの製造方法であって、該熱可塑性樹脂を溶融成膜して帯状の原フィルムを形成する工程(溶融成膜工程)、該原フィルムを該原フィルムの走行方向へ延伸する工程(縦延伸工程)、および/または該原フィルムの走行方向に対して垂直な方向へ延伸する工程(横延伸工程)、および前記形成した延伸フィルムを巻き取る工程(巻き取り工程)を連続して行い、該縦延伸工程、または横延伸工程の前に、延伸工程において走行するフィルムの走行下面に易接着組成物を塗布する工程(塗工工程)を含み、該延伸工程において加熱されることにより、当該フィルム走行下面に形成された該易接着組成物の塗布膜を乾燥して易接着層を形成することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  4. 輝点として認識される長径50μm以上の前記易接着層における付着異物が、5個/50m以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
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