JP4835088B2 - 高分子フィルムの製造方法および製造装置 - Google Patents
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Description
また、ポリイミドフィルムの製造にテンター式搬送装置を使用することも多数知られている(特許文献2参照)。
フィルムの収縮はフィルムの幅方向に限らず全方向に生じるが、フィルムの搬送方向は搬送テンションが作用しており収縮に対しての抑制効果がある。このように、未乾燥のフィルムを乾燥・熱処理する際にフィルムのテンター式搬送装置を使用して搬送することにより、乾燥・熱処理されたフィルムに必要な強度および平面性を確保することができる。
さらに、ウェブなどを搬送する際、ウェブの両側端部に置けるピンの配列を最内側のピン密度を大きくし、外側のピンの配列密度をより小さくしたテンター式搬送装置も提案されている(特許文献4参照)。これら改良提案においても、ピンの搬送方向における配列特にピンシート間のピン配列に配慮されたものはなく、フィルムの収縮によるピンを喰い込ませた孔におけるフィルムの幅方向に長孔状に破断が生じ易いフィルムの製造においては課題を有していた。
従来のフィルムのテンター式搬送装置は、ピンを喰い込ませた孔でのフィルムの幅方向に長孔状に破断する問題、皺の発生などの品質不良が発生し易く、生産ロスの原因となると共に生産効率の低下を招き、使用者にとって十分満足できるものではなかった。
1. 高分子又はその前駆体からなるフィルムをフィルム端部固定式テンターにて搬送しながら処理をする際に、フィルムの幅方向の両側端部におけるフィルム端部把持が、多数のピンシートと個々のピンシートに配された多数のピンで構成され、該ピンが押さえブラシロールでフィルムを押し込むことでフィルム両側端部を突き刺して、幅方向および又は搬送方向に張設した状態でフィルムを搬送するものであるテンター式処理部を使用する高分子フィルム製造方法であって、該ピンシートが幅方向に対し外側に設置したピン台座よりも高い部位を有し、前記押さえブラシロールでフィルムを押さえ込みピンに突き刺す際に、ピンの台座にフィルムを接触させないようにし、かつ、幅方向に対し外側に設置したピン台座よりも高い部位とピンシートに配された幅方向の最外に設置されたピンとの間隔が2mm以上10mm以下で、更に、下記の(1)式を満足するピン密度(P)を有するピンシートを用いることを特徴とする高分子フィルムの製造方法。
2/(t+70)≦P≦8/(t+70) (1)
なお、tはテンター処理後のフィルム厚さ(μm)で、Pはピンシートの幅方向に対し外側に設置した台(ピン台座よりも高い部位)以外のピンが設置されているピン台座全面積に対するピンの設置密度(本/mm2)を示す。
2. ピン台座に設置するピン横配列が、ピンシートの幅方向に対して、隣接するピンの最短距離Lt(mm)がフィルムの刺さるピンの直径d(mm)の2倍以上8倍以下である1.記載の高分子フィルムの製造方法。
3. ピン台座に設置するピン縦配列が、ピンシートの搬送方向に対して、隣接するピンの距離LM(mm)がフィルムの刺さるピンの直径d(mm)の2倍以上8倍以下であり、ピン縦配列がピンシートの中に少なくても2列以上ある1.〜2.記載の高分子フィルムの製造方法。
4. 高分子フィルム、又はその前駆体からなるフィルムをフィルム端部固定式テンターにて熱処理などの処理をする際に、フィルムの幅方向の両側端部におけるフィルム端部把持が、多数のピンシートと個々のピンシートに配された多数のピンで構成され、該ピンが押さえブラシロールでフィルムを押し込むことでフィルム両側端部を突き刺して、幅方向および又は搬送方向に張設した状態でフィルムを搬送するものであるテンター式処理部を使用する高分子フィルム製造装置であって、該ピンシートが幅方向に対し外側に設置したピン台座よりも高い部位を有し、前記押さえブラシロールでフィルムを押さえ込みピンに突き刺す際に、ピンの台座にフィルムを接触させないようにし、かつ、前記幅方向に対し外側に設置したピン台座よりも高い部位とピンシートに配された幅方向の最外に設置されたピンとの間隔が2mm以上10mm以下で、更に、以下(1)式を満足するピン密度(P)を有するピンシートを用いることを特徴とする高分子フィルムの製造装置。
2/(t+70)≦P≦8/(t+70) (1)
なお、tはテンター処理後のフィルム厚さ(μm)で、Pはピンシートの幅方向に対し外側に設置した台(ピン台座よりも高い部位)以外のピンが設置されている台座全面積に対するピンの設置密度(本/mm2)を示す。
本発明の高分子フィルムは、これらの高分子を含む溶液を流延し、乾燥、熱処理してフィルムとなす。これらの高分子を含む溶液に用いられる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、メタノール、メタクレゾールなどが挙げられる。
本発明において好ましく用いられる高分子溶液としては、ポリアミドイミドのN−メチル−2−ピロリドン溶液、N,N−ジメチルアセトアミド溶液、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸のN−メチル−2−ピロリドン溶液、N,N−ジメチルアセトアミド溶液、溶剤可溶なポリイミドのN−メチル−2−ピロリドン溶液、N,N−ジメチルアセトアミド溶液、酢酸セルロースの塩化メチレン溶液、メタノール溶液、ポリカーボネートの塩化メチレン溶液、メタクレゾール溶液、ポリ塩化ビニルのテトラヒドロフラン溶液、アラミドのN−メチル−2−ピロリドン溶液などが挙げられる。
以下ポリイミドフィルムについて詳述するがこれらに限定されるものではない。
本発明に好ましく適用し得る、ポリイミドフィルムを得るための芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類との反応は、溶媒中で芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸(無水物)類とを(開環)重付加反応に供してポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液を得て、次いで、このポリアミド酸の溶液から前駆体フィルム(グリーンフィルム)を成形した後に乾燥・熱処理・脱水縮合(イミド化)することにより製造される。
ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸(無水物)類との組み合わせが好ましい例として挙
げられる。
A.ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
B.ジアミノジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類とピロメリット酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
C.フェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とビフェニルテトラカルボン酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
D.上記のABCの一種以上の組み合わせ。
本発明で特に好ましく使用できるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類として、下記の化合物が例示できる。
本発明においては、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを70モル%以上使用することが好ましい。
本発明におけるフェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミンおよびそれらの誘導体が挙げられる。
例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、
前記に限定されないで下記の芳香族テトラカルボン酸を使用してもよい。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0dl/g以上が好ましく、4.0dl/g以上がさらに好ましい。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の溶液を製造するのに有効である。
さらに、以下述べるポリアミド酸の溶液を支持体上に流延・塗布するに際して予め減圧などの処理によって該溶液中の気泡や溶存気体を除去しておくことも、本発明のポリイミドフィルムを得るために有効な処理である。
熱閉環法の熱処理温度は、150〜500℃が好ましく、熱処理温度がこの範囲より低いと充分に閉環されづらくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、フィルムが脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間熱処理するところの初期段階熱処理と後段階熱処理とを有する2段階熱処理工程が挙げられる。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
ポリイミドフィルムの厚さは特に限定されないが、後述するプリント配線基板用ベース基板に用いることを考慮すると、3〜150μm、好ましくは10〜100μmである。この厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。
本発明のポリイミドフィルムには、滑剤をポリイミド中に添加含有せしめるなどしてフィルム表面に微細な凹凸を付与しフィルムの滑り性を改善することが好ましい。
滑剤としては、無機や有機の0.03μm〜3μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
2/(t+70)≦P≦8/(t+70) (1)
なお、tはテンター処理後のフィルム厚さ(μm)で、Pはピンシートの幅方向に対し外側に設置した台(ピン台座よりも高い部位)以外のピンが設置されているピン台座全面積に対するピンの設置密度(本/mm2)を示す。
さらに好ましい態様として、ピン台座に設置するピン縦配列が、ピンシートの搬送方向に対して、隣接するピンの距離LM(mm)がフィルムの刺さるピンの直径d(mm)の2倍以上8倍以下であり、ピン縦配列がピンシートの中に少なくても2列以上ある前記高分子フィルムの製造方法(又は製造装置)がある。
これらの好ましいピンシートの例は、例えば図1、図3に示すものである。
融点又は軟化点が150℃以上で引張弾性率4GPa以上の素材からなる毛材からなるブラシは、この物性を有することでフィルムの突き刺しが均一に行われかつ長時間の使用によってもその機能の劣化が極めて少ないものであり、この物性を有さないものを使用した場合には前記の2点を同時に満足することができないものである。
融点又は軟化点が150℃以上で引張弾性率4GPa以上の素材からなる毛材からなるブラシとしてはこの物性を備えたものであれば特に限定されるものではなく、例えば高弾性率の高分子繊維、カーボンファイバー、ガラスファイバー、などが挙げられるが、より好ましくは高分子繊維などの高分子素材であり、芳香族ポリアミド、例えばコーネックスなどが挙げられる。
本発明においては、好ましい態様として、フィルム熱処理が終了して、ピン又はピンシートがターンしてフィルム把持を開始する位置に戻る直前の部位において冷却手段を設けて、ピンがフィルム把持開始時点においては充分に冷却され、ピンによるフィルム両端の突き刺しにおいて、フィルム把持の均一性が保たれ、ピンを喰い込ませた孔でのフィルムの幅方向又は搬送方向にも孔が拡大することや破断が生じることが抑制され、フィルム全体での歪の減少、フィルム厚さ斑の低減が達成できるようにした冷却手段を備えた製造装置であり、この装置を使用する製造方法である。冷却手段としては、空冷、水冷いずれでもよく、また空気、水以外の冷媒を用いても良い。冷却効率の点からは液体の冷媒を用いることが好ましく、さらに、テンター自身が一般の有機溶剤の発火点以上に加熱されることを考えると、水冷仕様による冷却手段にすることが最も好ましい。
この冷却手段を設けることで、ピンおよびピンシートがフィルム両端を把持して搬送を開始する時点で、一端熱処理温度例えば450℃などの高温に加熱され冷却手段がないときにピンなどが高温に維持されており、この高温のピンによるフィルム両端の突き刺しにおいて、フィルム把持の均一性が保たれ難く、ピンを喰い込ませた孔でのフィルムの幅方向又は搬送方向にも孔が拡大することや破断が生じることが容易くなり、フィルム全体での歪の増加、フィルム厚さ斑の拡大が生じるなどの問題をある程度解消することができる。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(又は、N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。(ポリアミド酸溶液の調製に使用した溶媒がN,N−ジメチルアセトアミドの場合は、N,N−ジメチルアセトアミドを使用してポリマーを溶解し、測定した。)
2.ポリイミドフィルムの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1254D)を用いて測定した。
測定対象のポリイミドフィルムを、流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(登録商標)、機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度を測定した。
4.フィルムの線膨張係数(CTE)
下記条件で伸縮率を測定し、30〜300℃までを15℃間隔で分割し、各分割範囲の伸縮率/温度の平均値より求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
5.フィルムの融点、ガラス転位温度
試料を下記条件でDSC測定し、融点(融解ピーク温度Tpm)とガラス転移点(Tmg)をJIS K 7121に準拠して下記測定条件で求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製DSC3100S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料質量 ; 4mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
6.フィルムの熱分解温度
熱分解温度は、充分に乾燥した試料を下記条件でTGA測定(熱天秤測定)して、5%質量減をもって規定した。
装置名 ; MACサイエンス社製TG−DTA2000S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料質量 ; 10mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を1.22質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を、容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。予備分散液中の平均粒子径は0.11μmであった。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、223質量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを入れた。次いで、4000質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて24時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Aが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.8dl/gであった。
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後,5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール223質量部、N,N−ジメチルアセトアミド4416質量部を加えて完全に溶解させた後,コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックスDMAC−ST30(日産化学工業株式会社製)40.5質量部(シリカを8.1質量部含む)、ピロメリット酸二無水物217質量部を加え,25℃の反応温度で24時間攪拌すると,褐色で粘調なポリアミド酸溶液Bが得られた。このもののηsp/Cは4.0dl/gであった。
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を7.6質量部、N−メチル−2−ピロリドン390質量部を容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、200質量部のジアミノジフェニルエーテルを入れた。次いで、3800質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を390質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Cが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.7dl/gであった。
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を3.7質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、108質量部のフェニレンジアミンを入れた。次いで、3600質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と292.5質量部のジフェニルテトラカルボン酸二無水物を加えて、25℃にて12時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Dが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は4.5dl/gであった。
参考例1〜4で得たポリアミド酸溶液を、ポリエチレンテレフタレート製フィルムA−4100(東洋紡績株式会社製)の無滑剤面上に、コンマコーターを用いてコーティングし(ギャップは、120μm、塗工幅1240mm)、90℃にて60分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して両端をカットし、厚さ17μm、幅1200mmのそれぞれのグリーンフィルムを得た。
テンターの熱処理設定は以下の通りである。第1段が200℃で5分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として450℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却し、フィルムの両端部の平面性が悪い部分をスリッターにて切り落とし、ロール状に巻き上げ、褐色を呈する実施例1〜4のそれぞれのポリイミドフィルムを得た。熱処理中の搬送状態、得られたポリイミドフィルムの特性などの測定結果を表1に記載する。
なお、フィルムの平面性、有効幅は、以下のように定義した。
まず得られたフィルムを清浄な表面を有する定盤に広げ、フィルム端部にてウネリにより定盤との間に空間が空いてしまう部分を平面性不良な部分として捉えた。フィルムの端部が定盤表面から持ち上がらずに、フィルム全体が定盤に密着するようになるまで、フィルム両端をカットし、その時のフィルム幅を有効幅と定義した。
また、ピン裂けは、フィルムの先頭から10m程度の部分にて、ピン部でのフィルム裂け幅を物差しにて測定した。
参考例1〜4のポリアミド酸溶液を、実施例と同様に支持体上に塗布乾燥し、乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して、厚さ17μmのそれぞれのグリーンフィルムを得た。
得られたこれらのグリーンフィルムは図2に示すように、幅方向外側に台が設置されたピンシートにピンを植え込んだ構成のピンテンターに通し、以下実施例1〜4と同様に、テンターにて熱処理してイミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却し、フィルムの両端部の平面性が悪い部分をスリッターにて切り落とし、ロール状に巻き上げ、褐色を呈する比較例1〜4のそれぞれのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの特性などの測定結果を表1に記載する。ピンは、ピンシートが並んだ際にピン間隔が一定となるように配置されており、ピン台座からのピン高さは8mm、ピンシートの幅方向外側に設置した台の高さは、ピン台座から0.5mm高く、ピン先端から7.5mm低く設定し、ピンシート間隔は1140mmである。また、ピンシートの長手方向の長さは95mm、幅方向の長さは40mmで、ピンシートの幅方向外側に設定した該台の長手方向の長さは95mm、幅方向の長さは15mmであり、該台の周囲は面取り加工を施した。
また、ピンシートの幅方向外側に設置した台とピンシートに配された幅方向の最外に設置されたピンとの間隔は11.0mmである。また、ピンシートの幅方向に対して、隣接するピンの最短距離Ltは、6.4mm、ピンシートの搬送方向に対して、ピン配列は3本あり、隣接するピンの距離LMは、11.0mmであり、フィルムの刺さるピンの直径dは、1.0mmである。また、ピンが設置されている台座全面積に対するピンの設置密度は、0.014本/mm2である。
表1に示した結果のとおり、比較例においてはフィルム端の平面性が悪い部分の幅が広く、結果的に有効幅が狭くなっている。またフィルム厚さの左右の差も大きく、フィルムの均一性が良くないことが示唆される。
参考例1〜4で得たポリアミド酸溶液を、ステンレススチール製のエンドレスベルトに、ダイコータを用いてコーティングし(塗工幅1240mm)、110℃にて40分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して両端をカットし、厚さ6μm、幅1200mmのそれぞれのグリーンフィルムを得た。
得られたこれらのグリーンフィルムは図3に示すように、幅方向外側に台が設置されたピンシートにピンを植え込んだ構成のピンテンターに通し、以下実施例1〜4と同様に、テンターにて熱処理してイミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却し、フィルムの両端部の平面性が悪い部分をスリッターにて切り落とし、ロール状に巻き上げ、褐色を呈する実施例5〜8のそれぞれのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの特性などの測定結果を表1に記載する。ピンは、ピンシートが並んだ際にピン間隔が一定となるように配置されており、ピン台座からのピン高さは8mm、ピンシートの幅方向外側に設置した台の高さは、ピン台座から3mm高く、ピン先端から5mm低く設定し、ピンシート間隔は1140mmである。また、ピンシートの長手方向の長さは95mm、幅方向の長さは35mmで、ピンシートの幅方向外側に設定した該台の長手方向の長さは95mm、幅方向の長さは15mmであり、該台の周囲は面取り加工を施した。
また、ピンシートの幅方向外側に設置した台とピンシートに配された幅方向の最外に設置されたピンとの間隔は3.5mmである。また、ピンの台座のピンとピンの間には、ピン台座全体の14%に当たる空洞を設け、ピンシートの幅方向外側に設置した台には、断面積全体の38%に当たる空洞を設けた。また、ピンシートの幅方向に対して、隣接するピンの最短距離Ltは、3.5mm、ピンシートの搬送方向に対して、ピン配列は4本あり、隣接するピンの距離LMは、5.2mmであり、フィルムの刺さるピンの直径dは、1.0mmである。また、ピンが設置されている台座全面積に対するピンの設置密度は、0.038本/mm2である。
Claims (4)
- 高分子又はその前駆体からなるフィルムをフィルム端部固定式テンターにて搬送しながら処理をする際に、フィルムの幅方向の両側端部におけるフィルム端部把持が、多数のピンシートと個々のピンシートに配された多数のピンで構成され、該ピンが押さえブラシロールでフィルムを押し込むことでフィルム両側端部を突き刺して、幅方向および又は搬送方向に張設した状態でフィルムを搬送するものであるテンター式処理部を使用する高分子フィルム製造方法であって、該ピンシートが幅方向に対し外側に設置したピン台座よりも高い部位を有し、前記押さえブラシロールでフィルムを押さえ込みピンに突き刺す際に、ピンの台座にフィルムを接触させないようにし、かつ、幅方向に対し外側に設置したピン台座よりも高い部位とピンシートに配された幅方向の最外に設置されたピンとの間隔が2mm以上10mm以下で、更に、下記の(1)式を満足するピン密度(P)を有するピンシートを用いることを特徴とする高分子フィルムの製造方法。
2/(t+70)≦P≦8/(t+70) (1)
なお、tはテンター処理後のフィルム厚さ(μm)で、Pはピンシートの幅方向に対し外側に設置した台(ピン台座よりも高い部位)以外のピンが設置されているピン台座全面積に対するピンの設置密度(本/mm2)を示す。 - ピン台座に設置するピン横配列が、ピンシートの幅方向に対して、隣接するピンの最短距離Lt(mm)がフィルムの刺さるピンの直径d(mm)の2倍以上8倍以下である請求項1記載の高分子フィルムの製造方法。
- ピン台座に設置するピン縦配列が、ピンシートの搬送方向に対して、隣接するピンの距離LM(mm)がフィルムの刺さるピンの直径d(mm)の2倍以上8倍以下であり、ピン縦配列がピンシートの中に少なくても2列以上ある請求項1〜2記載の高分子フィルムの製造方法。
- 高分子フィルム、又はその前駆体からなるフィルムをフィルム端部固定式テンターにて熱処理などの処理をする際に、フィルムの幅方向の両側端部におけるフィルム端部把持が、多数のピンシートと個々のピンシートに配された多数のピンで構成され、該ピンが押さえブラシロールでフィルムを押し込むことでフィルム両側端部を突き刺して、幅方向および又は搬送方向に張設した状態でフィルムを搬送するものであるテンター式処理部を使用する高分子フィルム製造装置であって、該ピンシートが幅方向に対し外側に設置したピン台座よりも高い部位を有し、前記押さえブラシロールでフィルムを押さえ込みピンに突き刺す際に、ピンの台座にフィルムを接触させないようにし、かつ、前記幅方向に対し外側に設置したピン台座よりも高い部位とピンシートに配された幅方向の最外に設置されたピンとの間隔が2mm以上10mm以下で、更に、以下(1)式を満足するピン密度(P)を有するピンシートを用いることを特徴とする高分子フィルムの製造装置。
2/(t+70)≦P≦8/(t+70) (1)
なお、tはテンター処理後のフィルム厚さ(μm)で、Pはピンシートの幅方向に対し外側に設置した台(ピン台座よりも高い部位)以外のピンが設置されている台座全面積に対するピンの設置密度(本/mm2)を示す。
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