JP2011251524A - 溶液製膜用コーティングダイおよび溶液製膜方法 - Google Patents

溶液製膜用コーティングダイおよび溶液製膜方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ドープのリップ先端部への滞留を防止した溶液製膜用コーティングダイおよび溶液製膜方法
【解決手段】 少なくとも1種類以上のポリマーを含む溶液からなるドープを吐出する溶液製膜用コーティングダイであって、ダイリップ先端部を円弧状に丸めたラウンド加工(R加工)を施した前記ダイにおいて、R加工幅を0.0050mm未満にしたことを特徴とする溶液製膜用コーティングダイ。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミドフィルム等を製造する溶液製膜方法に関し、更に詳しくは、ドープをコーティングダイから流延する際に、コーティングダイのリップ先端部に樹脂だまりを発生しないようにし、塗工欠陥の無いフィルムを製造する溶液製膜方法に関するものである。
ポリマーフィルムの製造方法として、溶液製膜方法は公知である。溶液製膜方法は、溶剤に高分子化合物を溶解してなる溶液(ドープともいう)を支持体上に塗布することで支持体上に前記高分子化合物を含む塗膜を形成する工程と、前記支持体上の塗膜を乾燥する工程とを少なくとも有する方法であり、この溶液製膜方法は、実験室規模から工業的規模にいたる様々な規模にて広く実施されている(特許文献1、参照)。
この溶液製膜方法は、塗膜形成の際、ドープをコーティングダイから流延支持体上に連続流延した後、剥離、乾燥、巻取りを行ってフィルムを得るものである。
ところで、ドープをコーティングダイから流延支持体に流延する際、ダイリップの先端部にドープの滞留による樹脂だまりが形成されることがある。ダイリップ先端部に樹脂だまりが形成されると、そこを起点としてスジが発生し面状品質を損ねる。
したがって、従来、樹脂だまりを防止する手段が各種提案されており、例えば、ダイリップ両端部の外側から、溶剤を供給することによって樹脂離れを良くする方法(特許文献2、参照)や膜状に押出された樹脂溶液の支持体に接触する側の表面を、減圧吸引用のブロワに吸引ダクトを介して接続している減圧チャンバにより減圧吸引することで、ドープを均一に塗布する方法(特許文献3、参照)が開示・提案されている。
また、流延ダイの引き取り側の長さを反引取り側より短くし、段差を設けることで、スジ状欠陥を生じさせないようにした押し出しダイが提案されている(特許文献4、参照)。
流延ダイのリップの先端におけるリボン状ドープに加わる伸張応力を制御し、さらに、流延するリボン状ドープのピン角度(リボン状ドープが支持体に着地するまでの流線と、反流延側リップの先端の壁面とのなす角度)を制御することで、着地点を安定化させ、スジ状欠陥を防止する製膜方法が提案されている(特許文献5、参照)。
特開2003−260715号公報 特許第2,687,260号公報 特許第3,827,268号公報 特開平9−207195号公報 特開2001−71338号公報
しかしながら、従来提案されている樹脂だまり防止方法は、ドープの特性によっては充分に防止することができなかった。
また、特許文献4は、熱可塑性樹脂に限定したコーティングダイであり、本発明の溶液製膜ダイとは、樹脂の性質が異なることから、特許文献4に記載されている方法では、十分に樹脂だまりを抑制することができず、スジ状欠陥を生じさせてしまうことがわかった。
本発明は、以上の問題点を解決し、ドープのリップ先端部への滞留を防止できるようにした溶液製膜方法を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、ポリアミド酸溶液に各種の添加剤を添加し、電子部品の基材や絶縁材などとして好適である平面性および均質性に優れたフィルムの溶液製膜方法を提供することにある。
本発明者は、上記樹脂だまりの原因について鋭意検討し、樹脂だまりが発生する原因を見出した。すなわち、コーティングダイリップ先端の樹脂離れ性が悪く、その結果、樹脂だまりが発生するものであった。
本発明は、上記課題を解決するべくなされたものであり、本発明の溶液製膜用コーティングダイは、溶液を流延して溶液製膜する溶液製膜用コーティングダイにおいて、以下の構成によるものである。
1.少なくとも1種類以上のポリマーを含む溶液からなるドープを吐出する溶液製膜用コーティングダイであって、ダイリップ先端部を円弧状に丸めたラウンド加工(R加工)を施した前記ダイにおいて、ダイの両側のリップのR加工幅をいずれも0.0050mm未満にしたことを特徴とする溶液製膜用コーティングダイ。
2. 1.に記載の溶液製膜用コーティングダイを用いて、支持体上に前記ドープを吐出し、前記支持体上で固化した前記ドープをフィルムとして剥ぎ取り、乾燥することを特徴とする溶液製膜方法。
3.前記ポリマーが芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とを反応させて得られるポリアミド酸溶液であることを特徴とする2.に記載の溶液製膜方法。
4.芳香族ジアミン類が、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類である2.〜3.記載のポリイミドフィルムの製造方法。
5.使用するドープの還元粘度が、3.0dl/g以上5.0dl/g以下であることを特徴とする2.または3.記載の溶液製膜方法。
本発明は、以上のように構成することにより、流延ドープがダイリップ先端部に付着することがないので、樹脂だまりの発生を防止することができる。その結果、装置の洗浄や樹脂付着による製品故障が起こらないため、平面性の良好なフィルムを効率よく製造することができる。平面性および巻き品位良好なフィルムであることから、高温での電子部品製造や、電子部品の高温時使用においても寸法の狂いがなく、電子部品などの軽少短薄に貢献することができ、工業的な意義は大きい。
本発明に用いたコーティングダイの断面模式図である。
本発明に用いるポリマーは、芳香族テトラカルボン酸類(無水物、酸、およびアミド結合性誘導体を総称して類という、以下同)と芳香族ジアミン類(アミン、およびアミド結合性誘導体を総称して類という、以下同)とを反応させて得られるポリアミド酸溶液を用いることが特に好ましい。
本発明におけるポリアミド酸溶液は、芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン
酸類を重縮合して得られるポリイミド酸溶液であれば、特に限定されるものではないが、好ましくは下記の芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸(無水物)類との組み合わせが好ましい例として挙げられる。
A.ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
B.ジアミノジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類とピロメリット酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
C.フェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とビフェニルテトラカルボン酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
D.上記のABCの一種以上の組み合わせ。
中でも特にA.のベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン残基を有するポリアミド酸溶液を製造するための組み合わせが好ましい。
本発明で特に好ましく使用できるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを反応させて得られるポリイミドベンゾオキサゾールを主成分とするポリイミドベンゾオキサゾールに使用される、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類として、下記の化合物が例示できる。
これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを全芳香族ジアミン類の70モル%以上使用することが好ましい。
本発明は、下記の芳香族ジアミンを使用してもよいが、好ましくは全芳香族ジアミン類の30モル%未満であれば下記に例示されるベンゾオキサゾール構造を有しないジアミン類を一種または二種以上、併用してのポリアミド酸もしくはポリイミド前駆体粉末である。
そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン。
3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン。
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン。
1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド。
2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン。
3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリルおよび上記芳香族ジアミンにおける芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
本発明で用いられる芳香族テトラカルボン酸類は好ましくは芳香族テトラカルボン酸無水物類である。芳香族テトラカルボン酸無水物類としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、全芳香族テトラカルボン酸類の30モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種または二種以上、併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物。
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを重合してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられるが、なかでもN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドが好ましく適用される。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの重量が、通常5〜40質量%、好ましくは10〜20質量%となるような量が挙げられる。
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌および/又は混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の重量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが2.0以上が好ましく、2.5以上がさらに好ましく、なおさらに3.0以上が好ましい。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の溶液を製造するのに有効である。さらに、以下述べるポリアミド酸の溶液を支持体上に流延・塗布するに際して予め減圧などの処理によって該溶液中の気泡や溶存気体を除去しておくことも、本発明のポリイミドフィルムを得るために有効な処理である。
ポリアミド酸溶液を流延(塗布)する支持体は、ポリアミド酸溶液をフィルム状に成形するに足る程度の平滑性、剛性を有していればよく、表面が金属、プラスチック、ガラス、磁器などであるドラム又はベルト状回転体などが挙げられる。中でも、支持体の表面は好ましくは金属であり、より好ましくは錆びなくて耐腐食に優れるステンレスである。支持体の表面にはCr、Ni、Snなどの金属メッキを施してもよい。支持体表面は必要に応じて鏡面にしたり、あるいは梨地状に加工することができる。また支持体の差によって乾燥における風量や温度は適宜選択採用すればよい。
支持体へのポリアミド酸の塗布は、このコーティングダイから押し出されて、走行している支持体上に流延され、走行中に乾燥し、剥ぎ取られてテンタ延伸機に送られる。
このコーティングダイは、単層のフィルムを製膜する際に用いるもので、このコーティングダイは、1つのマニホールドが形成されている。なお、このコーティングダイにおいては、Tダイを使用しているが、これに限定されるものでなく、コートハンガーダイ等他の形状のダイであってもよい。
溶液製膜法におけるダイリップクリアランスは、通常0.05mmから3mmの範囲で設定し、好ましくは0.1mmから0.5mmの範囲で設定するのがよいが、これに限定されるものではない。
コーティングダイと支持体との間隔は、通常1mmから10mmの範囲で設定し、好ましくは1.5mmから5mmの範囲で設定するのがよいが、これに限定されるものではない。
本発明においては、このダイリップの先端部の形状に特徴がある。すなわち、従来はリップ先端のエッジR幅の精度を規定することはなかった。本発明では、この先端エッジR幅が、R=0.0050mm以下とするのが好ましい。好ましくは、R=0.0030mm以下、さらに好ましくはR=0.0015mm以下であることが望ましい。なお、下限値は限定されないが、実際上0.0005mm程度である。
上記R加工の方法については、上記精度を出せる方法であれば、特に限定されるものではないが、常法に従い機械加工による研磨、ハンドラッピングなどが適用可能である。
流延速度vは、通常0.1m/分〜5.0m/分の範囲で設定し、好ましくは0.5m/分〜2.0m/分の範囲で設定するのがよいが、これに限定されるものではない。
ダイの幅に関しては、製品幅に応じて適宜選ぶことができ、特に限定されるものではないが、好ましくは300mm幅以上2000mm幅以内であることが好ましい。
イミド化工程として、閉環(イミド化)触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)やポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることができる。
熱閉環法の熱処理温度は、150〜500℃が好ましく、熱処理温度がこの範囲より低いと充分に閉環されづらくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、フィルムが脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間熱処理するところの初期段階熱処理と後段階熱処理とを有する2段階熱処理工程が挙げられる。
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。熱閉環反応であっても、化学閉環法であっても、支持体に形成されたポリイミドフィルムの前駆体(グリーンシート、フィルム)を完全にイミド化する前に支持体から剥離してもよいし、イミド化後に剥離してもよい。
本発明におけるポリイミドフィルムの厚さは特に限定されないが、好ましくは3μm以上100μm以下である。
ポリイミドフィルムの長尺フィルムを工業的に安定的に製造することが困難であり、また得られたこれらのポリイミドフィルムはその厚さ斑が極端に大きく、例えば市販の7.5μmのポリイミドフィルムの厚さ斑は25%程度のものであり、寸法精度の要求される電子部品などにおいては品質上問題があった、本発明はこれらの課題を解決せんとするものである。
このポリイミドフィルムの厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得るが、その変動または制御不良が最終的ポリイミドフィルムの厚さ斑に影響し、特にフィルム厚さが薄くなるほどその斑が大きくなる傾向を有している。
本発明のポリイミドフィルムには、滑剤をポリイミド中に添加含有せしめるなどしてフィルム表面に微細な凹凸を付与しフィルムの滑り性を改善することが好ましい。
滑剤としては、無機や有機の0.03μm〜1μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(又は、N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。(ポリアミド酸溶液の調製に使用した溶媒がN,N−ジメチルアセトアミドの場合は、N,N−ジメチルアセトアミドを使用してポリマーを溶解し、測定した。)
<実施例1>
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を1.22質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を、容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。予備分散液中の平均粒子径は0.11μmであった。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、223質量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを入れた。次いで、4000質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて24時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Aが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.8dl/gであった。
ポリアミド酸溶液Aを用いて、ポリエチレンテレフタレート製フィルムA−4100(東洋紡績株式会社製)の無滑材面上に、引き取り側リップ先端のエッジR幅が、R=0.0013mm(反引き取り側:0.0012mm)であるコーティングダイを用いて単層流延した(塗工幅1240mm、バックアップロールの真円度が2(μm)のものを使用)。結果として、樹脂だまりは見られず、塗布品位良好な塗膜を形成することが可能であった。結果を表1に示す。
<実施例2>
ポリアミド酸溶液Aを用いて、引き取り側リップ先端のエッジR幅が、R=0.0028mm(反引き取り側:0.0029mm)であるコーティングダイを用いて単層流延した以外は、実施例1と同様にして流延膜を形成した。結果として、樹脂だまりは見られず、塗布品位良好な塗膜を形成することが可能であった。結果を表1に示す。
<実施例3>
ポリアミド酸溶液Aを用いて、引き取り側リップ先端のエッジR幅が、R=0.0045mm(反引き取り側:0.0043mm)であるコーティングダイを用いて単層流延した以外は、実施例1と同様にして流延膜を形成した。結果として、樹脂だまりは見られず、塗布品位良好な塗膜を形成することが可能であった。結果を表1に示す。
<実施例4>
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を7.6質量部、N−メチル−2−ピロリドン390質量部を容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、200質量部の4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを入れた。次いで、3800質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を390質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Bが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.7dl/gであった。
ポリアミド酸溶液Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして流延膜を形成した。結果として、樹脂だまりは見られず、塗布品位良好な塗膜を形成することが可能であった。結果を表1に示す。
<実施例5>
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を3.7質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、108質量部のp−フェニレンジアミンを入れた。次いで、3600質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と292.5質量部の3,3’、4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物を加えて、25℃にて12時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Cが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は4.5dl/gであった。
ポリアミド酸溶液Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして流延膜を形成した。結果として、樹脂だまりは見られず、塗布品位良好な塗膜を形成することが可能であった。結果を表1に示す。
<比較例1>
ポリアミド酸溶液Aを用いて、引き取り側リップ先端のエッジR幅が、R=0.0081mm(反引き取り側:0.0083mm)であるコーティングダイを用いて単層流延したこと以外は、実施例1と同様にして流延膜を形成した。結果として、樹脂だまりはリップ全体に見られ、塗工スジが多数発生する塗布品位悪い塗膜を形成することがわかった。結果を表1に示す。
<比較例2>
ポリアミド酸溶液Bを用いて、リップ先端のエッジR幅が、R=0.0081mmであるコーティングダイを用いて単層流延したこと以外は、実施例1と同様にして流延膜を形成した。結果として、樹脂だまりはリップ全体に見られ、塗工スジが多数発生する塗布品位悪い塗膜を形成することがわかった。結果を表1に示す。
<比較例3>
ポリアミド酸溶液Cを用いて、リップ先端のエッジR幅が、R=0.0081mmであるコーティングダイを用いて単層流延したこと以外は、実施例1と同様にして流延膜を形成した。結果として、樹脂だまりはリップ全体に見られ、塗工スジが多数発生する塗布品位悪い塗膜を形成することがわかった。結果を表1に示す。
以下のポリイミドフィルム作成についての実施例における、物性の評価方法は以下の通りである。
1.ポリイミドフィルムの厚さおよび厚さ斑
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1254D)を用いて流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)の厚さを測定した。MD方向は50mm間隔で1000mm、TD方向は10mm間隔で全幅評価実施した。
本発明における厚さ斑の測定は、下記式による。
厚さ斑(%)=((最大値−最小値)/平均厚み)×100
2.ポリイミドフィルムの引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度
測定対象のポリイミドフィルムを、流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(登録商標)、機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度を測定した。
3.フィルムの線膨張係数(CTE)
下記条件で伸縮率を測定し、30〜300℃までを15℃間隔で分割し、各分割範囲の伸縮率/温度の平均値より求めた。MD方向、TD方向の意味は上記と同様である。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
測定荷重 ; (フィルム厚み(μm))/25.1×1.73 g
4.コーティングダイのダイリップ先端部(エッジ)R加工幅
エッジR幅の測定については、KEYENCE製マイクロスコープ(VW−6000)を用いて、先端部のエッジRの輝線幅を測定し、下記式(1)にてエッジR幅を算出した。
(エッジR幅)=(輝線幅)/√2・・・(式1)
<実施例6>
実施例1で実施した流延条件で得られた流延膜を、90℃にて60分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して両端をカットし、厚さ18μm、幅1200mmのグリーンフィルムを得た。ピンシートやブラシロール、押さえロール、支え治具の条件でピンテンターにて両端を把持し熱処理を行った。ピンは、ピンシートが並んだ際にピン間隔が一定となるように配置されており、ピン台座からのピン高さは8mm、ピンシート間隔は1140mmであり、ピンシートの長手方向の長さは95mm、幅方向の長さは35mmで、ピンシートの幅方向外側に設定した該台の長手方向の長さは95mm、幅方向の長さは15mmであり、該台の周囲は面取り加工を施した。また、ブラシロールは幅方向に2種類の素材を用いた2層構造を用い、内側にはコーネックス製で素線径φ0.3mmを配置し、外側には素線径φ0.5mmの金属素線を配置した。
(ピンシートの形状は平板形状、押さえロールとフィルム把持開始部との距離は150mm、支え治具はテフロン(登録商標)製バーを使用、支え治具とフィルム把持開始部との距離は170mm)
テンターの熱処理設定は以下の通りである。第1段が180℃で5分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として460℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却し、フィルムの両側端部をスリッターにて切り落とし、ロール状に巻き上げ、褐色を呈するポリイミドフィルムAを得た。熱処理中の搬送状態、得られたポリイミドフィルムの特性などの測定結果を表2に記載する。
<実施例7>
実施例2で実施した流延条件で得られた流延膜を用いたこと以外は、実施例5と同様にしてポリイミドフィルムBを得た。
同様にしてその評価をした。結果を表2に示す
<実施例8>
実施例3で実施した流延条件で得られた流延膜を用いたこと以外は、実施例5と同様にしてポリイミドフィルムCを得た。
同様にしてその評価をした。結果を表2に示す
少なくとも1種類以上のポリマーを含む溶液からなるドープを吐出する溶液製膜用コーティングダイであって、ダイリップ先端部を円弧状に丸めたラウンド加工(R加工)を施した前記ダイにおいて、R加工幅を0.0050mm未満にしたことを特徴とする溶液製膜用コーティングダイを用いて、溶液製膜を実施することで、安定的生産が可能となり、得られたフィルムは品質および品位不良が発生し易い課題を解消することができ、この方法を採用することで得られるフィルムを利用したフレキシブル回路などの電子部品の寸法精度と品質の向上に寄与することができる。

Claims (5)

  1. 少なくとも1種類以上のポリマーを含む溶液からなるドープを吐出する溶液製膜用コーティングダイであって、ダイリップ先端部を円弧状に丸めたラウンド加工(R加工)を施した前記ダイにおいて、ダイの両側のリップのR加工幅をいずれも0.0050mm未満にしたことを特徴とする溶液製膜用コーティングダイ。
  2. 請求項1に記載の溶液製膜用コーティングダイを用いて、支持体上に前記ドープを吐出し、前記支持体上で固化した前記ドープをフィルムとして剥ぎ取り、乾燥することを特徴とする溶液製膜方法。
  3. 前記ポリマーが芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とを反応させて得られるポリアミド酸溶液であることを特徴とする請求項2に記載の溶液製膜方法。
  4. 芳香族ジアミン類が、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類である請求項2〜3記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  5. 使用するドープの還元粘度が、3.0dl/g以上5.0dl/g以下であることを特徴とする請求項2または3記載の溶液製膜方法。
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