JP4894504B2 - ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
また、ポリイミドフィルムの製造にテンター式搬送装置を使用することも多数知られている(特許文献2参照)。
すなわち本発明は、下記の構成からなる。
1.ポリアミド酸及び/又はポリイミドを含む液を流延する工程、乾燥する工程、熱処理する工程、及びロール状に巻き取る工程を少なくとも含むポリイミドフィルムの製造方法であって、熱処理炉から出たフィルムをロール状に巻き取るまでの間、フィルム両面を開放した状態にて雰囲気温度0〜100℃の空間において2〜25分間搬送する搬送処理した後にロール状に巻き上げることを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
2.ポリイミドフィルムが芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン残基を有するポリイミドフィルムである前記1記載のポリイミドフィルムの製造方法。
3.熱処理炉から出たフィルムをロール状に巻き取るまでの間、搬送処理に加えて、大気中ないし不活性気体中において30〜500kHzの超音波をかける超音波処理、及びフィルム表面近傍の大気ないし不活性気体を流速1〜300m/秒の流速において通風させる通風処理を行う前記1又は2いずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
これは熱処理時に発生した分解物、残溶剤、残溶剤の変性物などの低分子量物質がフィルムからフィルム外に拡散、フィルム表面近傍の濃度が上がることが考えられ、それら低分子量物質が十分にフィルム外に拡散して希釈される時間が必要であり搬送処理の一定時間フィルム両面を支持体などとの密着から開放した状態とすることがフィルム表面近傍の濃度が上がった分解物、残溶剤、残溶剤の変性物などの低分子量物質を清浄化すると考えられる。
さらに、 超音波をあてることにより表面の極く近傍の分解物、残溶剤などの低分子量成分を活性化、遊離させ、表面付近の雰囲気を更新させることにより、再付着が防止されるため、効果が高まると考えられる。
また、これら低分子成分はブリスターの核になりやすいと考えられる効果で、得られたフィルムに真空製膜で金属層を積層形成する際に、金属層(箔)との密着性が改善され、特に加湿後にリフロー加熱した際のブリスター発生が抑制される、などのフィルム表面の清浄化と接着性を改善した品質の優れたポリイミドフィルムの製造方法であり、品質の優れたポリイミドフィルムを効率よく比較的簡便に製造することができ工業的に極めて有効である。
本発明において好ましく用いられるポリイミド溶液としては、ポリアミドイミドのN−メチル−2−ピロリドン溶液、N,N−ジメチルアセトアミド溶液、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸のN−メチル−2−ピロリドン溶液、N,N−ジメチルアセトアミド溶液、溶剤可溶なポリイミドのN−メチル−2−ピロリドン溶液、N,N−ジメチルアセトアミド溶液、酢酸セルロースの塩化メチレン溶液、メタノール溶液、ポリカーボネートの塩化メチレン溶液、メタクレゾール溶液、ポリ塩化ビニルのテトラヒドロフラン溶液、アラミドのN−メチル−2−ピロリドン溶液などが挙げられる。
本発明に好ましく適用し得る、ポリイミドフィルムを得るための芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類との反応は、溶媒中で芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸(無水物)類とを(開環)重付加反応に供してポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液を得て、次いで、このポリアミド酸の溶液から前駆体フィルム(グリーンフィルム)を成形した後に乾燥・熱処理・脱水縮合(イミド化)することにより製造される。
ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸(無水物)類との組み合わせが好ましい例として挙
げられる。
A.ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
B.ジアミノジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類とピロメリット酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
C.フェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とビフェニルテトラカルボン酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
D.上記のABCの一種以上の組み合わせ。
本発明で最も好ましく使用できるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類として、下記の化合物が例示できる。
本発明においては、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを70モル%以上使用することが好ましい。
例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、
前記に限定されないで下記の芳香族テトラカルボン酸を使用してもよい。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0dl/g以上が好ましく、4.0dl/g以上がさらに好ましく、なおさらに5.0dl/g以上が好ましい。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の溶液を製造するのに有効である。
さらに、以下述べるポリアミド酸の溶液を支持体上に流延・塗布するに際して予め減圧などの処理によって該溶液中の気泡や溶存気体を除去しておくことも、本発明のポリイミドフィルムを得るために有効な処理である。
熱閉環法の熱処理温度は、150〜500℃が好ましく、熱処理温度がこの範囲より低いと充分に閉環されづらくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、フィルムが脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間熱処理するところの初期段階熱処理と後段階熱処理とを有する2段階熱処理工程が挙げられる。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
ポリイミドフィルムの厚さは特に限定されず、1.5〜150μmの範囲で適用することができる。後述するプリント配線基板用ベース基板に用いることを考慮すると、1.5〜60μm、好ましくは1.5〜15μmである。さらに、特に高い性能を要求される場合には1.5〜9μm、さらには2〜6μmの範囲がなおさらに好ましい。この厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。
本発明のポリイミドフィルムには、滑剤をポリイミド中に添加含有せしめるなどしてフィルム表面に微細な凹凸を付与しフィルムの滑り性を改善することが好ましい。
滑剤としては、無機や有機の0.03μm〜3μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
融点又は軟化点が150℃以上で引張弾性率4GPa以上の素材からなる毛材からなるブラシは、この物性を有することでフィルムの突き刺しが均一に行われかつ長時間の使用によってもその機能の劣化が極めて少ないものであり、この物性を有さないものを使用した場合には前記の2点を同時に満足することができないものである。融点又は軟化点が150℃以上で引張弾性率4GPa以上の素材からなる毛材からなるブラシとしてはこの物性を備えたものであれば特に限定されるものではなく、例えば高弾性率のポリイミド繊維、カーボンファイバー、ガラスファイバー、などが挙げられるが、より好ましくはポリイミド繊維などのポリイミド素材であり、芳香族ポリアミド、例えばコーネックス(帝人製)などが挙げられる。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(又は、N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。(ポリアミド酸溶液の調製に使用した溶媒がN,N−ジメチルアセトアミドの場合は、N,N−ジメチルアセトアミドを使用してポリマーを溶解し、測定した。)
2.フィルムの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン(登録商標)1254D)を用いて測定した。
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後,5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(p−DAMBO)300質量部を仕込んだ。次いで,DMAC4400質量部を加えて完全に溶解させた後,ピロメリット酸二無水物300質量部を加え,25℃の反応温度で15時間攪拌すると,褐色で粘調なポリアミド酸溶液(1)が得られた。得られたポリアミド酸のηsp/Cは3.8dl/gであった。
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器を窒素置換した後、ODAとP−PDAを入れた。次いで、DMACを加えて完全に溶解させてから、PMDAを加えて、モノマーとしてのODA/P−PDA//PMDAとが2/1//3のモル比でDMAC中重合し、モノマー仕込濃度が、15質量%となるようにし、25℃にて4時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液(2)が得られた。得られたポリアミド酸のηsp/Cは2.0dl/gであった。
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器を窒素置換した後、P−PDAを入れた。次いで、DMACを加えて完全に溶解させてから、BPDAを加えて、モノマーとしてのP−PDAとBPDAとが1/1のモル比でDMAC中重合し、モノマー仕込濃度が、15質量%となるようにし、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液(3)が得られた。得られたポリアミド酸のηsp/Cは2.6dl/gであった。
<フィルムの作製>
得られたポリアミド酸溶液(1)をダイコーターを用いて鏡面仕上げしたエンドレスステンレスベルトに幅740mmとなるようにコーティングし、4つの乾燥ゾーンを有する連続式乾燥炉に通して乾燥した。各ゾーンはベルトを挟んで上下に各3列のスリット状吹き出し口を有し、各吹き出し口間の熱風温度はプラスマイナス1.5℃、風量差はプラスマイナス3%の範囲で制御できるよう設定されている。また幅方向についてはフィルム有効幅の1.2倍に相当する幅までの間、プラスマイナス1℃以内となるように制御がなされている。
乾燥炉の設定は以下の通りである。
レベリングゾーン 温度25℃、風量なし
第1ゾーン 上側温度 105℃、下側温度 105℃
風量 上下とも20〜25立方m/分
第2ゾーン 上側温度 100℃、下側温度 100℃
風量 上下とも30〜35立方m/分
第3ゾーン 上側温度 95℃、下側温度 100℃
風量 上下とも20〜25立方m/分
第4ゾーン 上側温度 90℃、下側温度 100℃
上側風量 15〜18立方m/分、下側風量 20〜25立方m/分
また風量はの吹き出し口からの風量の総計である。なお、各ゾーン中央の吹き出し口の真下に当たる部分でフィルム上10mmの位置に支持された熱電対により、10cm間隔でモニターがなされプラスマイナス1.5℃以内であることが確認されている。
乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルム(GF)をステンレスベルトから剥離し、芳香族ポリアミド製モノフィラメントストランドからなるブラシをフィルム両端部に接するように設け、ピンテンターのピンにフィルム両端が均一に突き刺さるようにして両端を把持した状態で窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で5分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として500℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。
熱処理後のフィルムはエアシャッターを経て、熱処理炉から外界に搬送され、ピンに刺し込まれた状態で1.5分間(時間Aという)搬送される。この間の雰囲気温度は熱処理炉出口で60℃である。
次いでフィルムはピンから外され、フリーロールを経て2.5分間(時間Bという)両面フリーの状態で、フィルム端部のピン刺しに使われた部分がスリットにより取り除かれ、雰囲気温度はピン外し部分で38℃、スリット部で27℃、最高60℃である、搬送処理(時間はA+Bである)を行い、最終的にフィルムは6インチのABSコアに巻き取られ、フィルムロールとなる。熱処理炉出口から巻き取りまでの所要時間は4分間である。この場合は超音波処理及び通風処理は実施しなかった(その場合は表中無として示す)。
得られたポリイミドフィルムの特性とその評価結果を表1に示す。
(プラズマ処理)
得られたポリイミドフィルムを常圧プラズマ処理装置に装着し、フィルムを1m/分の速度にて走行させ、空気中、周波数13.56MHz、出力100Wの条件で表面のプラズマ処理を行った。処理時の温度は25℃であり、プラズマにフィルム表面が暴露されている時間は約10秒間である。
上記プラズマ処理を施したフィルムを連続式スパッタ装置に装着し、周波数13.56MHz、出力400W、ガス圧0.8Paの条件、ニッケル−クロム(クロム含有量10%)合金のターゲットを用い、アルゴン雰囲気下にてRFスパッタ法により、10Å/秒のレートで厚さ150Åのニッケル−クロム合金被膜を形成した。次いで、15Å/秒のレートで
銅をスパッタリング製膜し、厚さ0.15μmの銅薄膜を形成させた。その後、このフィルムを250mm×400mmに切り出し、プラスチック製の枠に固定し直し、硫酸銅めっき浴を用いて、厚さ12μmの厚付け銅メッキ層を上記銅薄膜上に形成して、金属化ポリイミドフィルムを得た。
得られた金属化ポリイミドフィルム、幅3mm、間隔15mmの直線パターンをエッチングにて形成し、50mm四方に切り取り試験片とした。試験片を85℃85%の恒温恒湿器にクリップで吊し、5日間放置した後、恒温恒湿器から取りだし、260℃の溶融半田槽に銅箔パターン面が上になる方向にて10秒間フロートし、60秒間取りだして室温空中にて冷却し再度半田槽にフロート、これを3回、5回、10回と繰り返し、各段階における金属化パターン部分の変化を目視観察した。結果を表に示す。
なお表中、フクレ、剥がれが、3回以内に発生したものを×、3−5回で発生したものを△、5−10回で発生したものを○、10回を超えても発生しないものを◎とした。
先に得られた3mm幅の銅箔パターンを利用し、銅箔と基材ポリイミド間の接着強度を(株)オリエンテック製テンシロン引っ張り試験器にて測定した。パターン幅は3mm、初期チャック間20mm、引っ張り速度10mm/分である。測定は、半田耐熱性評価(加湿後にフロート10回)の前後で実施し、銅箔接着強度保持率を算出した。結果を表に示す。
銅箔接着強度保持率=100×(Fa/Fb)
Fa:半田耐熱性評価後の銅箔接着強度
Fb:半田耐熱性評価前の銅箔接着強度
同じく、銅箔パターンの無い部分を利用して、幅10mm、長さ50mmの試験片を作製し、(株)オリエンテック製テンシロン引張試験にてフィルムの引張破断強度を測定した。初期チャック間20mm、引張速度10mm/分である。測定は、半田耐熱性評価(加湿後にフロート10回)の前後で実施し、フィルム引張破断強度保持率を算出した。結果を表に示す。
フィルム破断強度保持率=100×(Fa/Fb)
Fa:半田耐熱性評価後のフィルム引張破断強度
Fb:半田耐熱性評価前のフィルム引張破断強度
実施例1と表に示す条件以外は同様にしてフィルムを作製した、得られたポリイミドフィルムの作製条件とその評価としての半田耐熱性を表1、2に示す。
表3、4に示すように、使用ポリアミド酸、超音波処理と気流制御した通風の条件以外は前記実施例1に記載と同様にして各例のポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの作製条件とその評価としての半田耐熱性を表3、4に示す。
また、搬送処理に加えて、超音波処理及び通風処理を実施した場合は表中に数値を示す。
Claims (2)
- ポリアミド酸及び/又はポリイミドを含む液を流延する工程、乾燥する工程、熱処理してイミド化する工程、及びロール状に巻き取る工程を少なくとも含むポリイミドフィルムの製造方法であって、熱処理炉から出たフィルムをロール状に巻き取るまでの間、フィルム両面を開放した状態にて雰囲気温度0〜100℃の空間において2〜25分間搬送する搬送処理、大気中ないし不活性気体中において30〜500kHzの超音波をかける超音波処理、及びフィルム表面近傍の大気ないし不活性気体を流速1〜300m/秒の流速において通風させる通風処理を行った後にロール状に巻き上げることを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
- ポリイミドフィルムが芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン残基を有するポリイミドフィルムである請求項1記載のポリイミドフィルムの製造方法。
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