JP2006291157A - ポリイミドフィルムロールの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性、フレキシブル性をより高いレベルで保持し、かつ熱に対するフィルムの反りのないポリイミドフィルムを提供する。
【解決手段】少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有するポリイミドの前駆体物質を含む有機溶媒溶液を支持体上に流延塗布して塗膜を形成し、前駆体フィルムの一方面と他方面側のイミド化率との差が5以下となるように塗膜を加熱乾燥し、次いで得られた前駆体フィルムに熱処理を施し、得られたフィルムのA面を巻内にして曲率半径が30〜600mmの範囲になるように100N以上の巻き張力でロール状に巻き上げることでポリイミドフィルムロールが得られる。得られたポリイミドフィルムは、300℃で熱処理後のカール度が10%以下であり、またフィルムの線膨張係数の変動率(CV%)が25%以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、近年の電子機器の小型軽量化に伴いFPC(フレキシブルプリント配線板)、TABテープ、COFテープなどが広く用いられ、かかるFPC(フレキシブルプリント配線板)、TABテープ、COFテープフィルムの基材として多用される耐熱性フィルムであるポリイミドフィルム、特にその表裏面の物性差を抑えた高温でのカールの少ない耐熱性に優れたポリイミドフィルム、その製造方法及びポリイミドフィルムロールに関する。
情報通信機器(放送機器、移動体無線、携帯通信機器等)、レーダーや高速情報処理装置などといった電子部品の基材の材料として、従来、セラミックが用いられていた。セラミックからなる基材は耐熱性を有し、近年における情報通信機器の信号帯域の高周波数化(GHz帯に達する)にも対応し得る。しかし、セラミックはフレキシブルでなく、薄くできないので使用できる分野が限定される。
そのため、有機材料からなるフィルムを電子部品の基材として用いる検討がなされ、ポリイミドからなるフィルム、ポリテトラフルオロエチレンからなるフィルムが提案されている。ポリイミドからなるフィルムは耐熱性に優れ、また、強靭であるのでフィルムを薄くできるという長所を備える一方、高周波の信号への適用において、信号強度の低下や信号伝達の遅れなどといった問題が懸念される。ポリテトラフルオロエチレンからなるフィルムは、高周波にも対応し得るが、弾性率が低いのでフィルムを薄くできない点、表面への金属導体や抵抗体などとの接着性が悪いという点、線膨張係数が大きく温度変化による寸法変化が著しくて微細な配線をもつ回路の製造に適さない点等が問題となり、使用できる分野が限定されているのが実情であった。
また、ポリイミドフィルムとして、芳香族テトラカルボン酸性分として3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸と芳香族ジアミン成分としてp−フェニレンジアミン、p−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−オキシジアニリン)を主鎖に有するポリイミドからなるポリイミドフィルムが提案されている(特許文献1参照)。芳香族テトラカルボン酸成分としてビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び/又はピロメリット酸二無水物を用い、芳香族ジアミン成分として、p−フェニレンジアミン及び/又はジアミノジフェニルエーテルを用いて重合・脱水させて得たポリイミドフィルムも提案されている(特許文献2参照)。
また、弾性率の高いポリイミドフィルムとして、ベンゾオキサゾール環を主鎖に有するポリイミドからなるポリイミドベンゾオキサゾールフィルムが提案されている(特許文献3参照)。
さらに、ポリイミドフィルム表裏の配向の比を所定値以下にすることで25℃におけるカールの少ないポリイミドフィルムも提案されている(特許文献4参照)。
特開平09−328544号公報 特開平09−188763号公報 特開平06−056992号公報 特開2000−085007号公報
しかし、従来公知のポリイミドフィルムやポリイミドベンゾオキサゾールフィルムからなる基材の使用は、セラミックからなる基材の使用に比べて劣るうえ、フィルム内の物性差による電子部品化の際に反りや歪みが生じやすいといった問題があった。またフィルムの反りや歪を解消すべく、延伸下で熱処理すること等により見かけ上のフィルムの反りを軽減する方策が採られていた。しかし、見かけ上のフィルムの反り、即ち顕在化したフィルムの反り等は解消できたとしても、特に電子部品として応用される際に高温での加工が必要となるが、かかる高温処理によって潜在的に存在する歪が顕在化してカールが発生するといった問題は解決されていなかった。従って、たとえ見かけ上の反りが少ないフィルムであっても加工する際にカールが生じるフィルムは生産上の歩留まり低下につながり、また高品質な電子部品が得難い場合が多かった。
本発明は、電子部品の基材として好適である平面性及び均質性に優れ、しかも高温処理しても反りやカールの少ない耐熱性に優れたポリイミドフィルム、その製造方法、及びポリイミドフィルムロールを提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、ポリイミドフィルムがFPC(フレキシブルプリント配線板)、TABテープ、COFテープフィルムの基材として使用されたとき、300℃でのカール度が10%以下である場合に高品質で均一なFPC(フレキシブルプリント配線板)、TABテープ、COFテープフィルムが得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、下記の構成からなる。
1.芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムであって、ポリイミドが少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有し、かつフィルムの300℃熱処理後のカール度が10%以下であることを特徴とするポリイミドフィルム。
2.300℃熱処理後のカール度が8%以下であることを特徴とする上記1記載のポリイミドフィルム。
3.少なくともビフェニルテトラカルボン酸残基とフェニレンジアミン残基とを有するポリイミドの前駆体物質の有機溶媒溶液を支持体上に流延塗布し塗膜となし加熱乾燥で前駆体フィルムとなし、次いで当該前駆体フィルムに熱処理を施し、得られたフィルムをロール状に巻き上げるポリイミドフィルムの製造方法において、当該前駆体フィルムの一方の側(A面側)のイミド化率IMAと他一方の側(B面側)のイミド化率IMBとが下記式の関係を満足することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
式1; |IMA−IMB|≦5
4.塗膜面側の雰囲気温度よりもその反対面側の雰囲気温度を1〜55℃高くして加熱乾燥することを特徴とする上記3記載のポリイミドフィルムの製造方法。
5.塗膜面側の雰囲気温度が80〜105℃であることを特徴とする上記4記載のポリイミドフィルムの製造方法。
6.加熱乾燥時間がトータルで10〜90分であることを特徴とする上記4又は5記載のポリイミドフィルムの製造方法。
7.芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムであって、ポリイミドが少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有するポリイミドフィルムからなり、当該フィルムの線膨張係数の変動率(CV%)が25%以下であることを特徴とするポリイミドフィルムロール。
8.フィルムの300℃熱処理後のカール度が10%以下であることを特徴とする上記7記載のポリイミドフィルムロール。
9.各部位における反り度の最大値と最小値の差が5%以下であることを特徴とする上記7又は8記載のポリイミドフィルムロール。
10.ポリイミドフィルムをロール状に巻き上げるポリイミドフィルムロールの製造方法において、ポリイミドとして上記3〜6のいずれか一項に記載の製造方法により得られたポリイミドフィルムを用い、曲率半径が30〜600mmの範囲になるように100N以上の巻き張力でA面側を巻内にしてロール状に巻き上げことを特徴とするポリイミドフィルムロールの製造方法。
11.曲率半径が80〜300mmであることを特徴とする上記10記載のポリイミドフィルムロールの製造方法。
本発明におけるポリイミドフィルムを基材として使用した電子部品、例としてプリント配線板は、ポリイミドフィルムの片面又は両面に、例えば線幅5〜30μm、線間5〜30μm、厚さが3〜40μm程度の配線パターンが形成されたものであり、このパターン形成時における蒸着やスパッタリングやその他の熱処理、化学薬品処理が基材フィルムに施され、この各種処理時に片面がまずそれら処理を受ける場合が殆どであり、ポリイミドフィルムの表裏面の物性差、特に表裏面の300℃熱処理後のカール度、さらにフィルムの幅方向及び長手方向における物性差が一定以下である場合に、特に高温処理に対してポリイミドフィルムが反りや歪みを殆ど生じなく、その結果、得られたプリント配線板の品質が向上し、歩留まりも向上する。この様に耐熱性フィルムとしてのポリイミドフィルムは熱に曝される場合が多く、その熱に対するフィルムの300℃熱処理後のカール度の低さが工業製品の基材などに使用される際に極めて重要な品質となる。
本発明のポリイミドフィルムによって、高温に曝される電子部品など基材として使用されその製造時に該基材の反りや歪みが発生し難く、高品質の電子部品製造や歩留まり向上が実現でき産業上極めて有意義である。
本発明のポリイミドフィルムは、芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムであって、ポリイミドが少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有し、かつフィルムの300℃熱処理後のカール度が10%以下であることを第一の特徴とする。
本発明において、300℃におけるフィルムのカール度とは、所定の熱処理を行った後のフィルムの面方向に対する厚さ方向への変形度合を意味し、具体的には、図1に示すように、50mm×50mmの試験片を、300℃で10分間熱風処理した後に、平面上に試験片を凹状となるように静置し、四隅の平面からの距離(h1、h2、h3、h4:単位mm)の平均値をカール量(mm)とし、試験片の各頂点から中心までの距離(35.36mm)に対するカール量の百分率(%)で表される値である。
試料片は、ポリイミドフィルムロール若しくはフィルムの全長に対して5分の1の長さピッチで幅方向に2点(幅長の1/3と2/3の点)を試験片の中心点として計10点をサンプリングし、測定値は10点の平均値とする。
但し、10点のサンプリングをするに十分なフィルムがない場合は、可能な限り等間隔でサンプリングする。
具体的には、次式によって算出される。
カール量(mm)=(h1+h2+h3+h4)/4
カール度(%)=100×(カール量)/35.36
本発明における300℃熱処理後のカール度は、より好ましくは8%以下、更に好ましくは6%以下、更には5%以下である。
10%を超えると、本発明にかかるポリイミドフィルムを基材とする電子部品を製造する際(特に、高温で処理する電子部材をはんだ付けする工程)、フィルムに内在する歪が発現してカールが発生し、電子部材の位置ズレや浮きなどの問題が生じ、更に筐体との組み立て、コネクタ接続などに支障を生じる場合がある。
本発明において、ビフェニルテトラカルボン酸残基とはビフェニルテトラカルボン酸の酸および無水物、ハロゲン化物などの官能性誘導体からの芳香族ジアミンとの反応によって形成されるポリアミド酸もしくはポリイミド中での結合におけるビフェニルテトラカルボン酸由来の残基をいう。フェニレンジアミン残基とはフェニレンジアミンとその各種誘導体からの芳香族テトラカルボン酸類との反応によって形成されるポリアミド酸もしくはポリイミド中での結合におけるフェニレンジアミン由来の残基をいう。
以下本発明においては、他芳香族テトラカルボン酸残基、他芳香族ジアミン残基とも、同様の意味を表すものである。
本発明においては、芳香族ポリアミド酸溶液からグリーンフィルムを成形した後に高温熱処理もしくは脱水縮合(イミド化)することにより製造される。
好ましい製造例として、ポリイミド前駆体フィルム(グリーンフィルム)の一方の側(A面側)のイミド化率IMAと他一方の側(B面側)のイミド化率IMBとを下記式の関係を満たすポリイミド前駆体フィルム(グリーンフィルム)を製造し、次いで該ポリイミド前駆体フィルム(グリーンフィルム)をイミド化することが挙げられる。
式1; |IMA−IMB|≦5
本発明において、グリーンフィルムのイミド化率の測定は下記による。
≪イミド化率の測定方法≫
測定対象フィルムを2cm×2cmの大きさに採取し、測定対象面をATR結晶と密着させてIR測定装置にセットして下記特定波長吸光度を測定して下記の式によって、測定フィルム対象面のイミド化率を得る。
イミド特定波長として1778cm-1(付近)を採用しその波長における測定面の吸光度をλ1778とし、基準として芳香族環特定波長1478cm-1付近を採用しその波長における測定面の吸光度をλ1478とする。
装置 ;FT−IR FTS60A/896 (株式会社デジラボジャパン)
測定条件;1回反射ATRアタッチメント(SILVER GATE)
ATR結晶 Ge
入射角 45°
検出器 DTGS
分解能 4cm-1
積算回数 128回
式2 ; IM={Iλ/I(450)}×100
式2において、Iλ=(λ1778/λ1478)であり、I(450)は同一組成のポリイミド前駆体フィルムを450℃で15分間熱閉環イミド化したフィルムを同様にして測定した(λ1778/λ1478)の値である。
A面のイミド化率IMをIMAとしてB面のイミド化率IMをIMBとして式2からこれらの値を測定し得る。IMAとIMBとの差は、絶対値を持って示すものである。
測定値は、フィルムの任意の箇所における幅方向に2点(幅長の1/3と2/3の点)とし、測定値は2点の平均値とする。
本発明のポリイミドフィルムは、芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドからなり、かつ、ポリイミドが少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有するものである。
上述の「反応」は、まず、溶媒中で芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを開環重付加反応などに供して芳香族ポリアミド酸溶液を得て、次いで、この芳香族ポリアミド酸溶液からグリーンフィルムを成形した後に高温熱処理もしくは脱水縮合(イミド化)することによりなされる。
芳香族ポリアミド酸は、上記芳香族テトラカルボン酸類(酸、無水物、官能性誘導体を総称する、以下芳香族テトラカルボン酸ともいう)と芳香族ジアミン類(以下芳香族ジアミンともいう)との実質的に等モル量を好ましくは90℃以下の重合温度において1分〜数日間不活性有機溶媒中で反応・重合させることにより製造される。芳香族テトラカルボン酸と芳香族ジアミンは混合物としてそのままあるいは溶液として有機溶媒に加えてもよいしあるいは有機溶媒を上記成分に加えてもよい。有機溶媒は重合成分の一部又は全部を溶解してもよくそして好ましくはコポリアミド酸重合物を溶解するものである。
好ましい溶媒には、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドがある。この種の溶媒のうちで他の有用な化合物はN,N−ジエチルホルムアミドおよびN,N−ジエチルアセトアミドである。用いることのできる他の溶媒はジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドンなどである。溶媒は単独で、お互いに組み合わせてあるいはベンゼン、ベンゾニトリル、ジオキサンなどのような貧溶媒と組み合わせて用いることができる。
溶媒の使用量は芳香族ポリアミド酸溶液の75〜90質量%の範囲にあることが好ましい。というのはこの濃度は最適の分子量を与えるからである。芳香族テトラカルボン酸と芳香族ジアミン成分は絶対的に等モル量で用いる必要はない。分子量を調整するために、芳香族テトラカルボン酸:芳香族ジアミンのモル比は0.90〜1.10の範囲にある。
上述したようにして製造した芳香族ポリアミド酸溶液は5〜40質量%好ましくは10〜25質量%のポリアミド酸重合体を含有する。
本発明においては、これら芳香族ジアミン類としてフェニレンジアミンが必須ジアミンである。フェニレンジアミンの具体例にはp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミンが挙げられる。
好ましい態様としてこれらのフェニレンジアミンに加えて他の芳香族ジアミンを適宜選択使用してもよい。
本発明においては、芳香族テトラカルボン酸類としてビフェニルテトラカルボン酸類(ビフェニルテトラカルボン酸およびその二無水物(PMDA)ならびにそれらの低級アルコールエステル)が必須である。その具体例としては3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸および3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物が挙げられる。
本発明において、フェニレンジアミン類は全芳香族ジアミン類に対して50〜100モル%、他の芳香族ジアミン類は全芳香族ジアミン類に対して0〜50モル%使用することが好ましい。これらのモル%比がこの範囲を超える場合、可撓性、剛直性、強度、弾性率吸水率性、吸湿膨脹係数、伸度などの耐熱性ポリイミドフィルムとしてのバランスが崩れ好ましくない。
本発明において、ビフェニルテトラカルボン酸類は全芳香族テトラカルボン酸類に対して50〜100モル%、他の芳香族テトラカルボン酸類は全芳香族テトラカルボン酸類に対して0〜50モル%使用することが好ましい。これらのモル%比がこの範囲を超える場合、可撓性、剛直性、強度、弾性率吸水率性、吸湿膨脹係数、伸度などの耐熱性ポリイミドフィルムとしてのバランスが崩れ好ましくない。
前記の芳香族ジアミン類、芳香族テトラカルボン酸類以外に使用できるものは特に限定されないが、例えば以下に示すものである。
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテルおよび3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、5‐アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6‐アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、5‐アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6‐アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン。
上記芳香族ジアミンにおける芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシル基、シアノ基、又はアルキル基又はアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
ピロメリット酸無水物、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4、4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン酸二無水物、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物などである。
上記の特定グリーンフィルムを製造する方法は、特に限定されるものではないが、好適な例としては下記の方法が挙げられる。
グリーンフィルムが自己支持性を有する程度にまで乾燥する際に、溶媒の揮発する方向が空気に接する面に限られるためにグリーンフィルムの空気に接している面のイミド化率が、支持体に接する面のイミド化率より小さくなる傾向にある。表裏面の配向差が小さいポリイミドフィルムを得るためには、グリーンフィルムの表裏のイミド化率差が許容範囲内であることが必要である。グリーンフィルムのイミド化率は、溶媒量が多く、ポリアミド酸分子の自由度が高い状態の内に熱エネルギーが必要以上に加えられると高くなる。表裏のイミド化率の差を許容範囲内に抑えるには、必要最低限の加熱により溶媒を、表裏から極力均一に除去することが求められる。そのために、ポリアミド酸溶液を支持体上にコーティングし、乾燥して自己支持性となったグリーンフィルムを得る際の乾燥条件については加える熱量、溶媒の揮発速度、表裏の溶媒量差等を管理しつつ乾燥条件を制御する必要があり、この制御によって、グリーンフィルム表裏面のイミド化率とその差が所定範囲にあるグリーンフィルムを得ることができる。
これらのグリーンフィルムにおける表裏面のイミド化率の差は、好ましくは5以下であり、より好ましくは4以下であり、さらに好ましくは3以下である、さらにこれらのイミド化率が表裏共に1〜15の範囲に制御することがこのましい。
グリーンフィルム表裏面のイミド化率の差が5を超えるときは、潜在的に存在するフィルム内部の歪が残存し、300℃に熱処理した後にカールが発生し、製品化に不向きなポリイミドフィルムとなる。
また、グリーンフィルムを自己支持性が出る程度に乾燥する際に、乾燥後の全質量に対する残留溶媒量を制御することにより表裏面のイミド化率とその差が所定の範囲のグリーンフィルムを得ることができる。具体的には、乾燥後の全質量に対する残留溶媒量は、好ましくは25〜50質量%であり、より好ましくは35〜50質量%とすることが肝要である。当該残留溶媒量が25質量%より低い場合は、グリーンフィルム一方の側のイミド化率が相対的に高くなりすぎ、表裏面のイミド化率の差が小さいグリーンフィルムを得ることが困難になるばかりか、分子量低下により、グリーンフィルムが脆くなりやすい。また、50質量%を超える場合は、自己支持性が不十分となり、フィルムの搬送が困難になる場合が多い。
このような条件を達成するためには熱風、熱窒素、遠赤外線、高周波誘導加熱などの乾燥装置を使用することができるが、乾燥条件として以下の温度制御が要求される。
熱風乾燥を行う場合は、グリーンフィルムを自己支持性が出る程度に乾燥する際に、グリーンフィルム表裏面のイミド化率の範囲およびその差を所定範囲にするためには、定率乾燥条件を長くし、塗膜全体から均一に溶剤が揮発するように操作することが好ましい。定率乾燥とは塗膜表面が自由液面からなり溶剤の揮発が、外界の物質移動で支配される乾燥領域である。塗膜表面が乾燥固化し、塗膜内での溶剤拡散が律速となる乾燥条件では、表裏の物性差が出やすくなる。かかる好ましい乾燥状態は、支持体の種類や厚みによっても異なってくるが、温度設定、風量設定、通常支持体上の塗膜(グリーンフィルム)の上側(塗膜面側)の雰囲気温度よりも前記反対側(塗膜面側の反対側)の雰囲気温度が1〜55℃高い条件下で塗膜を乾燥する。雰囲気温度の説明においては、塗膜から支持体へ向う方向を下方向、その逆を上方向として方向を定義する。このような上下方向の記載は着目すべき領域の位置を簡潔に表現するためになされるものであり、実際の製造における塗膜の絶対的な方向を特定するためのものではない。
「塗膜面側の雰囲気温度」とは、塗膜の直上から塗膜面方30mmに至る領域(通常は空間部分)の温度であり、塗膜から上方向に5〜30mm離れた位置の温度を熱電対などで計測することで、塗膜面側の雰囲気温度を求めることができる。
「反対側の雰囲気温度」とは、塗膜の直下(支持体部分)から塗膜の下方30mmに至る領域(支持体および支持体の下方の部分を含むことが多い)の温度であり、塗膜から下方向に5〜30mm離れた位置の温度を熱電対などで計測することで、反対側の雰囲気温度を求めることができる。
乾燥時に、塗膜面側の雰囲気温度よりも前記反対面側の雰囲気温度を1〜55℃高くすれば、乾燥温度自体を高くして塗膜の乾燥速度を高めても高品質なフィルムを得ることができる。塗膜面側の雰囲気温度よりも反対面側の雰囲気温度が低いか、あるいは、塗膜面側の雰囲気温度と反対側の雰囲気温度の差が1℃未満であると、塗膜面付近が先に乾燥してフィルム化して「蓋」のようになってしまい、その後に、支持体付近から蒸発すべき溶剤の蒸散を妨げて、フィルムの内部構造に歪が生じることが懸念される。反対側の雰囲気温度が塗膜面側の雰囲気温度よりも高く、その温度差が55℃より大きくすることは、装置上、経済上に不利となり望ましくない。好ましくは、乾燥時に、塗膜面側の雰囲気温度よりも前記反対側の雰囲気温度を5〜55℃高くし、より好ましくは10〜50℃高くし、更に好ましくは、15〜45℃高くする。
また、塗膜面側の雰囲気温度は、具体的には、好ましくは80〜105℃であり、より好ましくは90〜105℃である。
反対面側の雰囲気温度は、具体的には、好ましくは85〜105℃であり、より好ましくは100〜105℃である。
上記のような雰囲気温度の設定は、塗膜の乾燥の全工程にわたってなされてもよいし、塗膜乾燥の一部の工程でなされてもよい。塗膜の乾燥をトンネル炉等の連続式乾燥機で行う場合、乾燥有効長の、好ましくは10〜100%、より好ましくは15〜100%の長さにおいて、上述の雰囲気温度を設定すればよい。
乾燥時間は、トータルで10〜90分、望ましくは15〜45分である。
乾燥工程を経たグリーンフィルムは、次いでイミド化工程に供せられるが、インライン及びオフラインのいずれの方法でもよい。
オフラインを採用する場合はグリーンフィルムを一旦巻取るが、その際、グリーンフィルムが内側(支持体が外側)となるようにして管状物に巻き取ることによりカールの軽減を図ることができる。
いずれの場合も曲率半径が30mm以下とならないように搬送、ないし巻き取りを行うことが好ましい。
本発明において、「前駆体フィルム(グリーンフィルム)」とは、厚みや分子量により左右されるが、残留溶媒量が約50質量%以下のフィルムであり、具体的には、支持体上の塗膜を乾燥して得られるフィルムであって、支持体から剥離後50℃以上に加熱されるまでの間のフィルムをいう。また剥離する雰囲気が既に50℃以上の場合には、剥離直後から剥離雰囲気温度+30℃以上に加熱されるまでの間のフィルムをいう。
このような方法で得られた表裏面のイミド化率とその差が所定の範囲に制御されたグリーンフィルムを所定の条件でイミド化することで、本発明の300℃熱処理後のカール度の低いポリイミドフィルムが得られる。
その具体的なイミド化方法としては、従来公知のイミド化反応を適宜用いることが可能である。例えば、閉環触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、加熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)やポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることができるが、ポリイミドフィルムの300℃熱処理後のカール度が10%以下のポリイミドフィルムを得るためには、熱閉環法が好ましい。
熱閉環法の加熱最高温度は、100〜500℃が例示され、好ましくは200〜480℃である。加熱最高温度がこの範囲より低いと充分に閉環されづらくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、フィルムが脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間処理する2段階熱処理が挙げられる。
化学閉環法では、ポリアミド酸溶液を支持体に塗布した後、イミド化反応を一部進行させて自己支持性を有するフィルムを形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。この場合、イミド化反応を一部進行させる条件としては、好ましくは100〜200℃による3〜20分間の熱処理であり、イミド化反応を完全に行わせるための条件は、好ましくは200〜400℃による3〜20分間の熱処理である。
上述の乾燥処理及びイミド化処理はフィルム両端をピンテンターやクリップで把持して実施される。その際、フィルムの均一性を保持するためには、可能な限りフィルムの幅方向及び長手方向の張力を均一にすることが望ましい。
具体的には、フィルムをピンテンターに供する直前に、フィルム両端部をブラシで押さえ、ピンが均一にフィルムに突き刺さるような工夫を挙げることができる。ブラシは、剛直で耐熱性のある繊維状のものが望ましく、高強度高弾性率モノフィラメントを採用することができる。
上述したイミド化処理の条件(温度、時間、張力)を満たすことにより、フィルム内部(表裏や平面方向)の配向歪の発生を抑制することができる。
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
ポリイミドフィルムの厚さは特に限定されないが、後述するプリント配線基板用ベース基板に用いることを考慮すると、通常1〜150μm、好ましくは3〜50μmである。この厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。
本発明の製造方法によって得られるポリイミドフィルムは、好ましくは吸収比がB面より大きい傾向にあるA面を巻内にして管状物に巻き取ることで、更にカール度の小さいポリイミドフィルムを得ることができる。A面を巻内にして管状物に巻き取る場合、その曲率半径は30mmから600mmの範囲とすることが好ましい。曲率半径がこの範囲を超えるとポリイミドフィルムのカール度が大きくなる場合がある。
更に、巻き張力は100N以上、好ましくは150N以上500N以下とすることが望ましい。
従って、ポリイミドフィルムをロール巻きする際に、カール改善を図るための好適態様としてA面を巻内にし、曲率半径を30〜600mm、好ましくは80〜300mmと比較的大きくし、更に巻き張力を100N以上とする方法が採用できる。
また、巻き取られたフィルムの巻き芯側(ロール内層部側)と巻き外側(ロール外層部側)の物性差を極力軽減させるために、フィルムの曲率半径が大きくなればなるほど巻き張力を大きく(巻き芯側の巻き張力を小さく、巻き外側の巻き張力を大きく)していくことが望ましい。
更に、グリーンフィルムのイミド化をオフラインで行う場合には、当該グリーンフィルムが内側(支持体が外側)となるようにして巻き取る方法が採用できる。
なお、上述の吸収比とは、フィルム表面(又は裏面、以下同)から3μm程度の深さまでのポリイミド分子のイミド環面のフィルム面に対する配向度合を意味する。具体的には、FT−IR(測定装置:Digilab社製、FTS−60A/896等)により偏光ATR測定を、一回反射ATRアタッチメントをgolden gate MkII(SPECAC社製)、IREをダイアモンド、入射角を45°、分解能を4cm-1、積算回数128回の条件でフィルム表面について測定を行った場合の1480cm-1付近に現れるピーク(芳香環振動)における各方向の吸収係数(Kx、KyおよびKz)を求め、次式により定義されるものである。(但し、KxはMD方向、KyはTD方向、Kzは厚み方向の吸収係数をそれぞれ示す。)
吸収比=(Kx+Ky)/2×Kz
測定値は、フィルムの任意の箇所における幅方向に2点(幅長の1/3と2/3の点)とし、測定値は2点の平均値とする。
そして、本発明においては、吸収比が大きいほうの面をA面、吸収比が小さいほうの面をB面とすることが望ましい。
ポリイミドフィルムは、グリーンフィルムの乾燥工程やイミド化工程で熱による処理が施されている。その際、フィルムの幅方向に処理斑があると、フィルムの幅方向における物性差が生じ、カールの発生原因となる。
そこで、本発明では、乾燥機内における雰囲気温度の幅方向のムラを中心温度±5℃以内、好ましくは±3℃以内、さらに好ましくは±2℃以内に制御することが望ましい。
ここに雰囲気温度とは、支持体の表面から5mm〜30mmの等距離だけ離れた位置において、熱電対、サーモラベルなどで測定した温度をいう。また本発明では幅方向に温度検出端を8ないし64ポイント設けることが好ましい。
特に幅方向の検出端と検出端の間隔は5cm〜10cm程度にすることが好ましい。検出端としては、公知のアルメルクロメル等の熱伝対を用いれば良い。
本発明においては、塗布面側の雰囲気温度に対し、反対側の雰囲気温度を5〜55℃高く設定することができる。この場合も、支持体の各々の側での温度の中心温度から±5℃の範囲とすることが肝要である。中心温度は各検出端にて測定された摂氏温度の算術平均値であり、支持体の走行する方向と直交する幅方向における各検出端にて測定された温度が±5℃の範囲であることは、該中心値の数値に基づいて算定された範囲となる。
このような条件で製造されたポリイミドフィルムは、前記の条件で測定したカール度が10%以下の極めて高温における平面性に優れたものとなる。
本発明のポリイミドフィルムの厚さは上述のとおり、通常1〜150μm、好ましくは3〜50μmである。
本発明のポリイミドフィルムには、滑剤をポリイミド中に添加含有せしめるなどしてフィルム表面に微細な凹凸を付与しフィルムの滑り性を改善することが好ましい。
滑剤としては、無機や有機の0.03〜3μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
本発明のポリイミドフィルムは、通常は無延伸フィルムであるが、1軸又は2軸に延伸しても構わない。ここで、無延伸フィルムとは、テンター延伸、ロール延伸、インフレーション延伸などによってフィルムの面拡張方向に機械的な外力を意図的に加えずに得られるフィルムをいう。
本発明に係るポリイミドフィルムを巻き上げたロールは、上述したとおり、巻き張力が100N以上で曲率半径が30〜600mmのものであることが望ましい。そして、上記方法により得られたポリイミドフィルムは、反りや歪が少なく、しかも平面性に優れたものであるが、本発明においては、これらの特性はフィルムの長手方向に対して均質なものである。すなわち、巻外側と巻芯側のフィルムの線膨張係数の変動率(標準偏差×100/平均値)(CV%)が25%以下であることが望ましい。好ましくは、20%以下、更に好ましくは15%以下である。
ここで線膨張係数の測定法は以下の通りである。
測定対象のポリイミドフィルムについて、下記条件にてMD方向および
TD方向の伸縮率を測定し、30℃〜45℃、45℃〜60℃、…と15℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を300℃まで行い、全測定値の平均値を線膨張係数(CTE)として算出した。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
試料片のサンプリングは、ポリイミドフィルムロールの幅方向に2点(幅長の1/3と2/3の点)を長手方向に全長に対して5分の1の長さピッチで計10点とする。
そして10点についての変動率を算出する。
通常、フィルムをロール巻きすると、解反時にフィルムが巻き方向に反る、所謂巻きぐせが生じ、その反りは巻き芯側のものと巻き外側のフィルムとで差があるものであるが、このように、本発明に係るポリイミドフィルムのロールは巻き芯側と巻き外側の物性差は極めて小さいものであり、各部位におけるフィルムの反り度の差は5%以下といった均質性に優れたものとなる。
本発明において、フィルムの反り度(見かけ上の反り度)とは、具体的には、図1に示すように、50mm×50mmの試験片を、ロールから解反したポリイミドフィルム試験片を平面上に凹状となるように静置し、四隅の平面からの距離(h1、h2、h3、h4:単位mm)の平均値を反り量(mm)とし、試験片の各頂点から中心までの距離(35.36mm)に対する反り量の百分率(%)で表される値である。
具体的には、次式によって算出される。
反り量(mm)=(h1+h2+h3+h4)/4
反り度(%)=100×(カール量)/35.36
試料片のサンプリングは、ポリイミドフィルムロールの幅方向に2点(幅長の1/3と2/3の点)を長手方向に全長に対して5分の1の長さピッチで計10点とする。
本発明のポリイミドフィルムを用いた例としてプリント配線基板用ベース基板を説明する。
ここで、「プリント配線基板用ベース基板」とは、絶縁板の少なくとも片面に金属層を積層してなる構成の略平板状の基板である。積層される金属層は、エッチング等の加工によって回路を形成することが意図される回路用の金属層であってもよいし、特に後加工をせずに絶縁板と一緒になって放熱等の目的に用いられる金属層であってもよい。
「プリント配線基板用ベース基板」の用途としては、FPC、TAB用キャリアテープ、COF用基材、CSP用基材等が、カール度が小さいという本発明のポリイミドフィルムの特徴を活かすことができるため好ましい。
ポリイミドフィルムの少なくとも片面に積層される金属は特に限定はなく、好ましくは銅、アルミニウム、ステンレス鋼などである。積層手段は特に問わず、以下のような手段が例示される。
・接着剤を用いて、ポリイミドフィルムに金属板を貼り付ける手段、
・ポリイミドフィルムに蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの真空コーティング技術を用いて金属層を形成する手段、
・無電解めっき、電気めっきなどの湿式メッキ法により金属層をポリイミドフィルムに形成する手段。
これらの手段を単独で、あるいは組み合わせることによってポリイミドフィルムの少なくとも片面に金属層を積層することができる。
なかでも、金属層を積層する方法としては、スパッタリングにより下地金属層を形成し、電気めっきにて厚付けする方法が好ましい態様として挙げられる。
この場合、下地金属としてはCu、Ni、Cr、Mo、Zn、Ti、Ag、Au、Fe等の単体又は合金を用いることができる。また、下地金属の上に導電化層としてCu等の良導体をさらにスパッタリングにて付着させてもよい。
下地層および導電化層の厚みは、好ましくは100〜5000Åである。
電気めっきする金属としては、Cuが好ましい。
金属層の厚さは特に制限はないが、当該金属層を回路用(導電性)とする場合には、その金属層の厚さは好ましくは1〜175μmであり、より好ましくは3〜105μmである。金属層を貼合わせたポリイミドフィルムを放熱基板として用いる場合には、金属層の厚さは、好ましくは50〜3000μmである。この金属層のポリイミドと接着される表面の表面粗さについては特に限定されないが、JIS B 0601(表面粗さの定義と表示)における、中心線平均粗さ(以下Raと記載する)および十点平均粗さ(以下Rzと記載する)で表示される値が、Raについては0.1μm以下、Rzについては1.0μm以下であるものがフィルムと金属層との接着性向上の効果が大きく好ましい。
本発明で使用する金属層の表面には、金属単体や金属酸化物などといった無機物の塗膜を形成してもよい。また金属層の表面を、カップリング剤(アミノシラン、エポキシシランなど)による処理、サンドプラスト処理、ホ−リング処理、コロナ処理、プラズマ処理、エッチング処理などに供してもよい。同様に、ポリイミドフィルムの表面をホ−ニング処理、コロナ処理、プラズマ処理、エッチング処理などに供してもよい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りであり、300℃熱処理後のカール度、イミド化率、線膨張係数、反り度、吸収比は前記した方法の通りである。
1.ポリイミドフィルムの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン(登録商標)1245D)を用いて測定した。
実施例などで使用する化合物の略称を下記する。
P−PDA:パラフェニレンジアミン
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
DMF:ジメチルホルムアミド
DMAC:ジメチルアセトアミド
AA:無水酢酸
IQ:イソキノリン
また、略称GFはポリイミド前駆体フィルム(グリーンフィルム)を、略称IFはポリイミドフィルムを、略称IMAはA面のイミド化率を、IMBはB面のイミド化率を示す。
(実施例1)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器を窒素置換した後、P−PDAを入れた。次いで、DMACを加えて完全に溶解させてから、BPDAを加えて、モノマーとしてのP−PDAとBPDAとが1/1のモル比でDMAC中重合し、モノマー仕込濃度が、15質量%となるようにし、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液が得られた。得られたポリアミド酸溶液100質量部に対してAAを15質量部、IQを3質量部の割合で混合し、これを厚さ188ミクロン、幅800mmのポリエステルフィルム(コスモシャインA4100(東洋紡績株式会社製))の滑剤を含まない面に幅740mmとなるようにコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、430μm)、
4つの乾燥ゾーンを有する連続式乾燥炉に通して乾燥した。各ゾーンはフィルムを挟んで上下に各3列のスリット状吹き出し口を有し、各吹き出し口間の熱風温度はプラスマイナス1.5℃、風量差はプラスマイナス3%の範囲で制御できるよう設定されている。また幅方向についてはフィルム有効幅の1.2倍に相当する幅までの間、プラスマイナス1℃以内となるように制御がなされている。
フィルムから上下30mm離れた温度を以下の通り設定した。
乾燥条件A
レベリングゾーン 温度25℃、風量なし
第1ゾーン 上側温度 105℃、下側温度 105℃
風量 上下とも20立方m/分
第2ゾーン 上側温度 100℃、下側温度 100℃
風量 上下とも30立方m/分
第3ゾーン 上側温度 95℃、下側温度 100℃
風量 上下とも20立方m/分
第4ゾーン 上側温度 90℃、下側温度 100℃
上側風量 15立方m/分、下側風量 20立方m/分
各ゾーンの長さは同じであり、総乾燥時間は18分である。
また風量は各ゾーン毎の吹き出し口からの風量の総計である。
かかる乾燥条件において、第3ゾーンまでは塗膜表面が指触乾燥状態には至らず、ほぼ定率乾燥条件となっていることが確認されている。
塗膜表面は第4ゾーンに入ってまもなく指触乾燥に至り以後は減率乾燥的に乾燥が進行している。この際に下側の温度、風量を上側より多めに設定し、塗膜内の溶媒の拡散を促進している。
なお、各ゾーン中央の吹き出し口の真下に当たる部分でフィルム上10mmの位置に支持された熱電対により、10cm間隔でモニターがなされプラスマイナス1.5℃以内であることが確認されている。
乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムをポリエステルフィルムから剥離して、グリーンフィルムを得た。剥離雰囲気温度は27℃であった。
得られたグリーンフィルムの厚み、IMA、IMB測定値から求めた|IMA−IMB|、残溶媒率を表1に示す。
得られたグリーンフィルムを、ピンテンターにて両端を把持した状態で窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で5分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として400℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈するポリイミドフィルムを得た。
なお、グリーンフィルムを熱処理する際に、芳香族ポリアミド製モノフィラメントストランドからなるブラシをフィルム両端部に接するように設け、ピンテンターのピンにフィルム両端が均一に突き刺さるようにした。
得られたポリイミドフィルムの厚み、カール度を表1に示す。
更に、得られたポリイミドフィルムをロール状に巻き上げフィルムロールとした。
巻き上げ条件(巻き取りテンション、巻取り方法及びロール曲率半径)は表1のとおりである。得られたロールの巻外側と巻芯側のフィルムの線膨張係数の変動率及び反り度の最大値と最小値を表1に示す。
(実施例2)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器を窒素置換した後、P−PDAを入れた。次いで、DMACを加えて完全に溶解させてから、BPDAを加えて、モノマーとしてのP−PDAとBPDAとが1/1のモル比でDMAC中重合し、モノマー仕込濃度が、15質量%となるようにし、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液が得られた。得られたポリアミド酸溶液をステンレスベルト上にコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、450μm)、所定の方法で乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離してグリーンフィルムを得た。
得られたグリーンフィルムの厚み、IMA、IMB測定値から求めた|IMA−IMB|、残溶媒率を表1に示す。
得られたグリーンフィルムを、窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で3分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として460℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈するポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの厚み、カール度を表1に示す。
更に、得られたポリイミドフィルムをロール状に巻き上げフィルムロールとした。巻き上げ条件(巻き取りテンション、巻取り方法及びロール曲率半径)は表1のとおりである。得られたロールの巻外側と巻芯側のフィルムの線膨張係数の変動率及び反り度の最大値と最小値を表1に示す。
なお、本実施例及び以下の実施例と比較例については、特に明記されている条件以外は実施例1と同様の条件で実施した。
(比較例1〜3)
実施例1で得られたポリアミド酸溶液100質量部に対してAAを15質量部、IQを3質量部の割合で混合し、これをステンレスベルト上にコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、430μm)、実施例と同様の乾燥装置にて乾燥を行った、なお乾燥条件(温度はフィルムから上下30mm離れた温度)は以下の通りである。
乾燥条件B
レベリングゾーン 温度25℃、風量なし
第1ゾーン 温度 上下とも110℃
風量 上下とも20立方m/分
第2ゾーン 温度 上下とも120℃
風量 上下とも20立方m/分
第3ゾーン 温度 上下とも120℃
風量 上下とも20立方m/分
第4ゾーン 温度 上下とも120℃
風量 上下とも20立方m/分
各ゾーンの長さは同じであり、総乾燥時間は9分である。
また風量は各ゾーン毎の吹き出し口からの風量の総計である。
かかる乾燥条件においては、第2ゾーン中央で塗膜表面が指触乾燥状態に至り、以後は減率乾燥的な乾燥が行われている物と推察される。
乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離して、表1に示す厚さのグリーンフィルム3種、比−1、比−2、比−3を得た。
得られた各グリーンフィルムのIMA、IMBを測定し、その|IMA−IMB|を求めた。結果を表1に示す。
得られた各グリーンフィルムを、窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で3分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として400℃で2分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する各ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの厚み、カール度を表1.に示す。
更に、得られたポリイミドフィルムをロール状に巻き上げフィルムロールとした。巻き上げ条件(巻き取りテンション、巻取り方法及びロール曲率半径)は表1のとおりである。得られたロールの巻外側と巻芯側のフィルムの線膨張係数の変動率及び反り度の最大値と最小値を表1に示す。
(比較例4〜6)
実施例2で得られたポリアミド酸溶液をステンレスベルト上にコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、450μm)、乾燥方法を種々変更して乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離して、表1に示す厚さのグリーンフィルム3種、比−4、比−5、比−6を得た。
得られた各グリーンフィルムのIMA、IMBを測定した。
得られた各グリーンフィルムを、窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で3分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として460℃で2分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する各ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの厚み、カール度を表1に示す。
更に、得られたポリイミドフィルムをロール状に巻き上げフィルムロールとした。巻き上げ条件(巻き取りテンション、巻取り方法及びロール曲率半径)は表1のとおりである。得られたロールの巻外側と巻芯側のフィルムの線膨張係数の変動率及び反り度の最大値と最小値を表1に示す。
(実施例3)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器を窒素置換した後、P−PDAを入れた。次いで、DMACを加えて完全に溶解させてから、BPDAを加えて、モノマーとしてのP−PDAとBPDAとが1/1のモル比でDMAC中重合し、モノマー仕込濃度が、15質量%となるようにし、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液が得られた。得られたポリアミド酸溶液をステンレスベルト上にコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、450μm)、下記の乾燥条件(温度はフィルムから上下30mm離れた温度)で乾燥した。
乾燥条件C
レベリングゾーン 温度25℃、風量なし
第1ゾーン 上側温度 105℃、下側温度 105℃
風量 上下とも20立方m/分
第2ゾーン 上側温度 100℃、下側温度 100℃
風量 上下とも30立方m/分
第3ゾーン 上側温度 95℃、下側温度 100℃
風量 上下とも20立方m/分
第4ゾーン 上側温度 90℃、下側温度 100℃
上側風量 15立方m/分、下側風量 20立方m/分
総乾燥時間 27分。
乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離して、グリーンフィルムを得た。
得られたグリーンフィルムのIMA、IMBを測定し、その|IMA−IMB|を求めた。結果を表1に示す。
得られたグリーンフィルムを、窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で3分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として460℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する各ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの厚み、カール度を表1に示す。
更に、得られたポリイミドフィルムを表1に記載の条件でロール状に巻き上げフィルムロールとした。得られたロールの巻外側と巻芯側のフィルムの線膨張係数の変動率及び反り度の最大値と最小値を表1に示す。
(実施例4)
実施例2で得られたポリアミド酸溶液をステンレスベルト上にコーティングし、実施例3と同一条件の乾燥方法にて乾燥、イミド化処理をした。
得られたグリーンフィルムのIMA、IMBを測定し、その|IMA−IMB|を求めた。結果を表1.に示す。得られたポリイミドフィルムの厚み、カール度を表1に示す。更に、得られたポリイミドフィルムロールの巻外側と巻芯側のフィルムの線膨張係数の変動率及び反り度の最大値と最小値を表1に示す。
(比較例7)
イミド化処理をTD方向に1.8倍延伸し、第1段が180℃で3分、昇温速度5℃/秒で昇温して第2段として430℃で1分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた以外は実施例1と同様の条件でポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムのカール度を測定したところ12.4%であった。
更に、得られたポリイミドフィルムを表1に記載の条件でロール状に巻き上げフィルムロールとした。得られたロールの巻外側と巻芯側のフィルムの線膨張係数の変動率及び反り度の最大値と最小値を表1に示す。
各実施例及び比較例で得られたポリイミドフィルムを用いてテスト用片面銅張積層回路基板を試作した。
表1にその結果を示す。表中◎は電子部材は所定位置にはんだ付けされており(画像処理でチェック)、通電テストも問題はなかった、○は電子部材はほぼ所定位置にはんだ付けされており(画像処理でチェック)、通電テストによる問題はなかった、△はサイズの小さい電子部材について位置ズレが認められ、通電テストも異常が認められた、×はサイズの小さい電子部材は位置ズレが、サイズの大きい電子部材は基板からの浮きが認められ、通電テストにおいても異常が認められた、を示す。
Figure 2006291157
以上述べてきたように、本発明のポリイミドフィルムは平面性及び均質性に優れたものであり当該ポリイミドフィルムを例えばプリント配線板などに加工した場合であっても反りや歪みのないものとなる。また多層化した際にも均質な積層加工が行われるため、反り、変形の小さい、特に高密度な微細配線が要求されるディスプレイドライバー、高速の演算装置、グラフィックコントローラ、高容量のメモリー素子、等を搭載する基板として有用であり、さらに高温に曝されるフィルムとしてスパッタリングや蒸着用のフィルムに有用である。
ポリイミドフィルムのカール度の測定方法を示した模式図である。(a)は上面図であり、(b)は熱風処理前の(a)におけるa−aで示される断面図であり、(c)は熱風処理後の(a)におけるa−aで示される断面図である。
符号の説明
1 ポリイミドフィルムの試験片
2 アルミナ・セラミック板

Claims (11)

  1. 芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムであって、ポリイミドが少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有し、かつフィルムの300℃熱処理後のカール度が10%以下であることを特徴とするポリイミドフィルム。
  2. 300℃熱処理後のカール度が8%以下であることを特徴とする請求項1記載のポリイミドフィルム。
  3. 少なくともビフェニルテトラカルボン酸残基とフェニレンジアミン残基とを有するポリイミドの前駆体物質の有機溶媒溶液を支持体上に流延塗布し塗膜となし加熱乾燥で前駆体フィルムとなし、次いで当該前駆体フィルムに熱処理を施し、得られたフィルムをロール状に巻き上げるポリイミドフィルムの製造方法において、当該前駆体フィルムの一方の側(A面側)のイミド化率IMAと他一方の側(B面側)のイミド化率IMBとが下記式の関係を満足することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
    式1; |IMA−IMB|≦5
  4. 塗膜面側の雰囲気温度よりもその反対面側の雰囲気温度を1〜55℃高くして加熱乾燥することを特徴とする請求項3記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  5. 塗膜面側の雰囲気温度が80〜105℃であることを特徴とする請求項4記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  6. 加熱乾燥時間がトータルで10〜90分であることを特徴とする請求項4又は5記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  7. 芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムであって、ポリイミドが少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有するポリイミドフィルムからなり、当該フィルムの線膨張係数の変動率(CV%)が25%以下であることを特徴とするポリイミドフィルムロール。
  8. フィルムの300℃熱処理後のカール度が10%以下であることを特徴とする請求項7記載のポリイミドフィルムロール。
  9. 各部位における反り度の最大値と最小値の差が5%以下であることを特徴とする請求項7又は8記載のポリイミドフィルムロール。
  10. ポリイミドフィルムをロール状に巻き上げるポリイミドフィルムロールの製造方法において、ポリイミドとして請求項3〜6のいずれか一項に記載の製造方法により得られたポリイミドフィルムを用い、曲率半径が30〜600mmの範囲になるように100N以上の巻き張力でA面側を巻内にしてロール状に巻き上げことを特徴とするポリイミドフィルムロールの製造方法。
  11. 曲率半径が80〜300mmであることを特徴とする請求項10記載のポリイミドフィルムロールの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008155561A (ja) * 2006-12-26 2008-07-10 Toyobo Co Ltd ポリイミドフィルムの製造方法
JP5552811B2 (ja) * 2007-07-27 2014-07-16 宇部興産株式会社 ポリイミドフィルムおよび配線基板
JP2017186466A (ja) * 2016-04-07 2017-10-12 コニカミノルタ株式会社 ポリイミドフィルム、その製造方法、及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置

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