JP2006117792A - 新規なポリイミドフィルム - Google Patents

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和宏 小野
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Abstract

【課題】 本発明は、金属層をエッチングした後の寸法変化率の小さいフレキシブル金属張積層板が得られるポリイミドフィルムを提供することにある。
【解決手段】 連続的に生産されるポリイミドフィルムの全幅において、引張り弾性率の分子配向軸方向(a)と分子配向軸に垂直な方向(b)で測定した場合の値の引張り弾性率比b/aが0.500以上1.000未満であり、最大値と最小値の差が0.20以下であることを特徴とするポリイミドフィルムであり、さらに、フィルムの分子配向角の最大値と最小値の差が40°以下であり、分子配向角がMD方向を0°とした場合に、0±20°以内に制御されていることを特徴とするポリイミドフィルムを用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、全幅において、分子配向軸方向の引張り弾性率(a)と分子配向軸に垂直な方向の引張り弾性率(b)の比が特定の範囲内となっているポリイミドフィルムに関する。さらに詳しくは、フレキシブルプリント配線板、TAB用テープ、太陽電池用基板などの電気・電子機器基板用途や高密度記録媒体、磁気記録媒体に好適に用いられるポリイミドフィルムであり、金属層を形成する工程、特に加熱しながら金属箔を積層する工程や、金属層をエッチングする工程を経ても、寸法変化率を小さくすることが可能であり、フィルムの全幅において物性値(寸法変化率)を安定化させることが可能なポリイミドフィルムに関するものである。
エレクトロニクスの技術分野においては、益々高密度実装の要求が高くなり、それに伴い、例えばフレキシブルプリント配線板(以下、FPCという)を用いる技術分野においても、高密度実装に対応できるような物性などが要求されてきている。
ここで、上記FPCの製造工程は、(1)ベースフィルムに金属を積層する工程、(2)金属表面に所望のパターンの配線を形成する工程に大別することができる。特に、高密度実装を想定したFPCの製造工程においては、ベースフィルムの寸法変化(加熱時の寸法変化、銅箔エッチング前後の寸法変化等)が小さいことが望まれている。
さらに、FPCの製造を、広幅のベースフィルムをロールトゥロールで処理して金属を積層して製造する場合には、当該ベースフィルムは、その全幅においてその物性値が安定している、つまり全幅において寸法変化率が安定していることが望まれる。
寸法変化のうち、フィルム自体の加熱寸法安定性という観点では、例えば、特許文献1では加熱寸法安定性の高いポリイミドフィルムと線膨張係数比との関係を報告し、その実施例の中で弾性率の値を例示している。しかし、ここに記載されているフィルムは、TD方向の引張り弾性率が大きく、本願引張り弾性率比の範囲には含まれない。
ところで、一般にポリイミドフィルムはテンター炉方式と呼ばれるフィルム端部をクリップもしくはピンシートで把持してフィルムを高温炉内に搬送して焼成する製造方法が用いられている。しかし、テンター炉方式を用いてポリイミドフィルムを製造する場合には、例えば非特許文献1〜2記載の分子配向の異方性(通常ボーイング現象と呼ばれる)と同様の現象がポリイミドフィルムの製造過程においても発生し、フィルム端部(細かくはフィルム把持装置から50cm以内の部分)に分子配向の異方性が発生することが知られている。尚、異方性が発現すると、例えば引張り弾性率の差異や寸法変化の差異がフィルム幅方向において発生することが知られている。従って、このことが原因で上記特許文献1記載のポリイミドフィルムにおいても同様に端部の寸法安定性が損なわれる問題が発生していた。
本発明者らは、このような連続的に生産される、ボーイング現象の発生したポリイミドフィルムについて種々の解析を行った結果、このようなフィルムを用いてFPCを製造すると、結果として、端部の寸法変化率が大きくなり、フィルム面内における寸法変化率の安定性に劣るという課題があることを見出した。そして、ポリイミドフィルムの引張り弾性率と、そのフィルム面内における特性に着目し、フィルムの全幅において、分子配向軸方向の引張り弾性率(a)と分子配向軸に垂直な方向の引張り弾性率(b)の比が特定の範囲内となっているポリイミドフィルムであれば、その寸法変化が少なく、全幅において寸法変化率を安定化させることが可能であることを見出した。
特開2004−122372 8項及び実施例 坂本國輔著、高分子論文集,Vol.48,No.11,671〜678(1991年) 野々村千里他著、成形加工,第4巻,第5号,312〜317(1992年)
つまり、これまで知られているポリイミドフィルムでは、中央部位と端部の寸法変化率を充分に小さくし、その差異を少なくすることができなかった。また、ポリイミドフィルムをベースフィルムとしてFPCを製造する工程、例えば、ベースフィルムに金属を積層する工程、金属表面に所望のパターンの配線を形成する工程の前後において、寸法変化が小さく、特に、広幅のベースフィルムをロールトゥロールで処理して金属を積層して製造しても、フィルムの全幅において物性値(寸法変化率)が安定しているポリイミドフィルムは得られていなかった。そこで、このような課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。
本発明は、以下の新規なポリイミドフィルムおよびこれを用いた積層体によって上記課題を解決しうる。
1)連続的に生産されるポリイミドフィルムであって、その全幅において、分子配向軸方向の引張り弾性率(a)と分子配向軸に垂直な方向の引張り弾性率(b)とを測定したときに、引張り弾性率比(b)/(a) が0.500以上1.000未満となっており、かつ、(b)/(a)の最大値と最小値の差が0.20以下となっていることを特徴とするポリイミドフィルム。
2)さらに、全幅において、ポリイミドフィルムの分子配向角の最大値と最小値の差が40°以下となっていることを特徴とする1)記載のポリイミドフィルム。
3)さらに、全幅において、ポリイミドフィルムの分子配向角が、連続的に製造されるときの搬送方向(MD方向)を0°としたときに、0±20°以内となっていることを特徴とする1)または2)記載のポリイミドフィルム
4)1)〜3)のいずれか一項に記載のポリイミドフィルムを含む積層体。
本発明のポリイミドフィルムは、連続的に生産されるポリイミドフィルムであって、その全幅において、分子配向軸方向の引張り弾性率(a)と分子配向軸に垂直な方向の引張り弾性率(b)とを測定したときに、引張り弾性率比(b)/(a)が0.500以上1.000未満となっていることを特徴とするポリイミドフィルムである。これによって、例えば、ポリイミドフィルムをFPCのベースフィルムとして用いた場合に、エッチング処理の前後において、特にフィルムの全幅において寸法変化率を小さいものとし、全幅において寸法変化率の安定性を良好なものにすることができる。その結果、例えば、得られるFPCを、高密度実装が可能な高品質なものとすることができるという効果を奏する。
本実施の形態では、本発明にかかるポリイミドフィルム、本発明にかかるポリイミドフィルムの製造方法の代表例、本発明にかかるポリイミドフィルムを用いた積層体の順で、本発明を詳細に説明する。
<本発明にかかるポリイミドフィルム>
本発明にかかるポリイミドフィルムは、フレキシブルプリント配線板、TAB用テープ、太陽電池用基板などの電気・電子機器基板用途や高密度記録媒体、磁気記録媒体用のベースフィルムとして好適に用いられるものであり、その全幅における物性の安定性、特にFPC製造時におけるエッチング前後での寸法変化が良好なものとなっている。
FPCを製造するときには、ベースフィルムとして用いられる寸法変化量を予め推定した上で、ポリイミドフィルムを用いる方法が考えられる。例えば、製造過程でFPCが高温に曝される場合や、エッチングによる寸法変化が生じる場合には、ポリイミド寸法変化量を予め推定しておく。ベースフィルムの寸法変化率が全幅において安定していれば、補正係数を用いて寸法変化率を予測することが可能となる。そのため、上述したような高温に曝露したときの寸法変化やエッチング後の寸法変化を全般にわたって制御しやすくなる。それゆえ、例えば、ポリイミドフィルムの全幅において金属を積層した金属積層板の金属層に、配線を形成する際に、配線パターンを形成しやすくなり、歩留まりが向上するほか、パターン接続の信頼性を向上させることが可能になり、FPCの品質の向上などに広く貢献することができる。
しかしながら、ポリイミドフィルムにおいて、特に全幅において寸法変化量がばらつく場合には、寸法変化量を推定して用いることが困難になる。従って、本発明のポリイミドフィルムを用いれば、寸法変化量の安定した部位だけを選別して用いる必要がないため、廃棄部位を少なくして、歩留まりを良くすることができるのである。
さらに、後述の、全幅において、ポリイミドフィルムの分子配向角が、連続的に製造されるときの搬送方向(MD方向)を0°としたときに、0±20°以内となっているポリイミドフィルムを用いれば、例えば該フィルムと金属箔とを、接着層を介して連続的に加熱・加圧する熱ロールラミネート方式で張り合わせた場合の寸法変化を良好なものにすることもできる。熱ロールラミネート方式で、金属箔を張り合わせる場合は、材料は張力がかけられた状態で加熱環境下に置かれることが多く、これに起因して寸法変化率が問題となることがあると考えられるが、本発明の特定のポリイミドフィルムを用いれば、全幅において寸法変化率を安定させることができる。
このような物性値の安定性を実現するためには、少なくとも、ポリイミドフィルムの全幅において、分子配向軸方向の引張り弾性率(a)と分子配向軸に垂直な方向の引張り弾性率(b)とを測定したときに、引張り弾性率比(b)/(a)を所定範囲内に規定する、そして、当該引張り弾性率比の最大値・最小値の差の上限を規定する、という条件を満たしており、好ましくは、ポリイミドフィルムの全幅における分子配向角に関して規定する、という条件を満たすようになっている。これによりえら得るポリイミドフィルムにおいては、優れた寸法安定性を発揮することが可能となり、FPCのベースフィルムなどとして好適に用いることが可能となる。以下にこれらの条件について具体的に説明する。
(分子配向軸方向の引張り弾性率(a)と分子配向軸に垂直な方向の引張り弾性率(b)および、引張り弾性率比(b)/(a))
本発明にかかるポリイミドフィルムは、連続的に生産されるものであるが、このとき、当該ポリイミドフィルムの全幅において、分子配向軸方向の引張り弾性率(a)と分子配向軸に垂直な方向の引張り弾性率(b)とを測定したときに、引張り弾性率比(b)/(a)が0.500以上1.000未満となっており、さらに好ましくは0.55以上1.00以下となっていることが好ましい。
本願発明における連続的に生産されるポリイミドフィルムは、長尺方向に300mm以上、幅方向に50mm以上の長さを有するポリイミドフィルムであるときに、発明の効果が顕著となる。特には500mm以上で連続的に生産される場合である。尚、本願発明における連続的に生産されたポリイミドフィルムとは、製造後にフィルムの幅方向及び長さ方向にある一定の値でスリットされたフィルムも含まれる。
上記「全幅」とは、連続的に生産されるポリイミドフィルムのフィルムの端部からもう一方の端部までの部位を差し、本発明におけるフィルム全幅における物性値とは、ポリイミドフィルムの両端部および中央部の計3箇所について物性値を測定し、これら測定値を比較したり利用したりすればよい。
本発明における分子配向軸とは、フィルムの長手方向をX軸、フィルムの幅方向をY軸、フィルムの厚み方向をZ軸方向とした場合に、フィルムのXY平面上で見た場合に、最も分子配向度が大きい方向を分子配向軸と称する。分子配向軸の測定は、汎用の測定装置であればどのような装置を用いても良い。例えば本発明では、王子計測機器株式会社製分子配向計MOA2012Aもしくは、MOA6015を用いて測定を行った。
本発明における、ポリイミドフィルムの分子配向軸方向の引張り弾性率(a)と分子配向軸に垂直方向の引張り弾性率(b)を測定するには、まず、分子配向軸を上記装置にて決定する。分子配向軸の測定には、ポリイミドフィルムの幅方向の両端部および中央部位から測定用サンプル(40mm×40mm)を採取し、当該測定用サンプルについて分子配向軸の測定を行う。尚、フィルムの巾が狭い場合にはそれぞれのサンプルをMD方向にずらしながらサンプリングすることが好ましい。例えばフィルム巾が100mmの場合には図1のようにMD方向にずらしながらサンプリングすることが好ましい。
次に、同一部位よりMD方向に位置をずらして、図2のように分子配向軸方向と分子配向軸に垂直な方向にそれぞれサンプルの切り出しを行い、切り出した試験片(15mm×200mm)について引張り弾性率を測定することで求められる。なお、引張り弾性率は、切り出した試験片についてASTM D1938に準拠して測定を行う。
本発明では寸法変化率を小さくするには、ポリイミドフィルムの分子配向軸方向の引張り弾性率(a)と分子配向軸に垂直な方向の引張り弾性率(b)を用いて下記算出式を用いて算出した場合に、引張り弾性率比(b)/(a)が0.500以上1.000未満となっており、好ましくは0.550以上1.000未満であり、さらに好ましくは0.600以上1.000未満である。
引張り弾性率比=(b)/(a)・・・(式1)
引張り弾性率比(b)/(a)が0.500未満となると、フィルムの平坦性が損なわれる傾向にある。また、1.000以上となると寸法変化率が多くなるので、少なくとも分子配向軸方向の引張り弾性率(a)が、その垂直方向の引張り弾性率(b)よりも大きくなっていることが必要である。
ポリイミドフィルムの引張り弾性率比を上記範囲内に制御することでポリイミドフィルムの寸法変化率を小さく抑えることが可能なり、しかも、フィルムの幅方向の物性値が安定するので好ましい。
さらに、本発明では、引張り弾性率比の最大値と最小値の差が0.20以下であることが、寸法変化率を小さくできるだけでなく、フィルムの幅方向での物性値のバラツキを小さくできるという点から好ましい。本発明における最大値と最小値の差が0.20以下とは、ポリイミドフィルムの両端部の引張り弾性率比と中央部の引張り弾性率比の中で最も大きな値と最も小さな値の差を下記算出式より算出した値を意味する。さらには0.15以下となっていることが好ましい。
引張り弾性率比の最大値と最小値の差=引張り弾性率比の最大値−引張り弾性率比の最小値・・・(式2)
(分子配向角)
本発明のポリイミドフィルムにおいては、上記引張り弾性率比(b)/(a)を規定することに加えて、さらに、ポリイミドフィルムの全幅における分子配向角の最大値と最小値の差(以下分子配向角差と称する)が40°以下となっていることが寸法変化率を小さくできるだけでなく、フィルムの幅方向での物性値のバラツキを小さくできるという点から好ましい。本願発明における分子配向角とは、上記分子配向軸を測定した場合の分子配向軸がMD方向からずれてくる角度を意味しており、ポリイミドフィルムの分子配向角が0°とは、分子配向軸がMD方向と並行な方向(図3の11と同じ方向)であることを意味している。正(プラス)の分子配向角とはMD方向から反時計回りに角度が傾斜した場合のこと(図3の12)をいう。一方、負(マイナス)の分子配向角とはMD方向から反時計回りに角度が傾斜した場合のこと(図3の13)をいう。本発明における分子配向角差とは、上記分子配向角をフィルム巾方向に測定して、その測定方向が最も正に振れている正の分子配向角と負に振れている負の分子配向角から下記算出式(式2)にて測定することができる。尚、巾方向に正の分子配向角のみが確認される場合には式3を用いる。巾方向に負の分子配向角のみが確認される場合には式4を用いる。分子配向角の最大値もしくは最小値が0°の場合には、0°が最大値の場合には最小値となる負の分子配向角を用いて式5より分子配向角差が求められる。0°が最小値の場合には最大値となる正の分子配向角を用いて式6より算出される。
分子配向角差=(正の分子配向角)−(負の分子配向角) ・・・(式3)
分子配向角差=(正の分子配向角の最大値)−(正の分子配向角の最小値)・・・(式4)
分子配向角差=(負の分子配向角最小値)−(負の分子配向角の最大値)・・・(式5)
分子配向角差=0 −(負の分子配向角最小値)・・・(式6)
分子配向角差=(正の分子配向角最大値) ・・・(式7)
なお、本発明における分子配向角差とは、ポリイミドフィルムの両端部の分子配向角と中央部の分子配向角の中から上記算出式を用いて算出した値を意味する。
分子配向角差が40°以下であれば、分子配向角の方向はどのような方向でもよい。好ましくは分子配向角差が30°以下である。分子配向角の最大値と最小値の差が40°以下となっている場合には、フィルムの全幅において寸法変化量のバラツキが小さくなるので好ましい。
本発明においては更に、ポリイミドフィルムのフィルム搬送方向(MD方向)を基準(0°)とした場合(図3の11)に、該ポリイミドフィルムの分子配向角が全幅において、0±20°となっていることが好ましい。本発明における分子配向角が0±20°となっていることは、図3記載のフィルム搬送方向(MD方向)と分子配向角の関係を示した図により説明することができる。ポリイミドフィルムの分子配向角が0°とは、MD方向と並行方向(図3の11)を意味しており、20°の分子配向角とはMD方向から反時計回りに角度が傾斜した場合のこと(図3の12が20°)をいう。一方、−20°の分子配向角とはMD方向から時計回りに角度が傾斜した場合のこと(図3の13が−20°)をいう。つまり、本発明に好ましい0±20°の分子配向角とは、MD方向に対して左右に20°以内となるように制御されていることを意味する。
ポリイミドフィルムをベースフィルムとして、金属積層板を製造する方法として、例えば、ポリイミドフィルムに接着剤を塗布した後に、金属箔との熱圧着処理を施す方法が挙げられる。この方法では、熱圧着時にポリイミドフィルムのMD方向には、熱圧着装置により延伸され、TD方向には収縮する。分子配向軸が0±20°以下に制御されていれば、フィルム全幅において均等にMD方向に引き延ばされることになり、例えば、250mm以上の幅を持ったフィルムの場合には、フィルムの全幅の伸び率を制御しやすくなる。これにより、加熱下で引っ張られた場合、フィルムの両端部の伸び率が異なることが原因で発生する、フィルムの片伸びや、フィルムのカールも抑制することができるのでこのように分子配向角を制御することが好ましい。
(フィルム厚み)
フィルム厚みとしては、フィルムの屈曲性向上の観点から1〜200μmの厚みが好ましく、特に好ましくは1〜100μmであることが好ましい。さらに、分子配向角の制御はポリイミドフィルムの厚みが薄い程、制御しやすい為、厚みは200μm以下であることが好ましい。
<本発明にかかるポリイミドフィルムの製造方法>
本発明にかかるポリイミドフィルムの製造方法は特に限定されるものではない。また、ポリイミド樹脂の種類も特に限定されるものではないが、フィルムの全幅において、分子配向軸方向の引張り弾性率(a)と分子配向軸に垂直な方向の引張り弾性率(b)とを測定したときに、引張り弾性率比(b)/(a)が0.500以上1.000未満を満たすポリイミドフィルムを得る手段の一つとして、フィルムの製造条件を変更する方法が挙げられる。目的とするポリイミドフィルムを得るためには、例えば、
(A)ポリアミド酸を重合する工程
(B)ポリアミド酸及び有機溶媒を含む組成物を支持体上に流延・塗布後、ゲルフィルムを形成する工程、
(C)該ゲルフィルムを引き剥がし、両端を固定する工程
(D)フィルムの両端を固定しながら加熱炉内を搬送する工程、
を含む製造方法を採用することができ、これらの各条件を適宜選定する、あるいは、さらなる工程を追加することによって、製造すればよいのであるが、変更しうる製造条件および製造例について以下に例示する。
(A)工程
(A)工程は、ポリアミド酸を重合する工程である。ポリアミド酸の製造方法としては公知の方法を用いることができ、通常、芳香族酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種を、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解させて、得られた有機溶媒溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらの有機溶媒溶液は通常5〜40wt%、好ましくは10〜30wt%の固形分濃度で得られる。この範囲の固形分濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得る。
重合方法としてはあらゆる公知の方法を用いることができるが、特に好ましい重合方法として次のような方法が挙げられる。すなわち、
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
などのような方法である。
ポリアミド酸の重合に好適に用いられる有機溶媒としては、特に限定される物ではないが、テトラメチル尿素、N,N’−ジメチルエチルウレアのようなウレア類、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、テトラメチルスルフォンのようなスルホキシドあるいはスルホン類、N,N’−ジメチルアセトアミド(略称DMAc)、N,N’−ジメチルホルムアミド(略称DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(略称NMP)、γ―ブチルラクトン、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類、またはホスホリルアミド類の非プロトン性溶媒、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化アルキル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、フェノール、クレゾールなどのフェノール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、p−クレゾールメチルエーテルなどのエーテル類が挙げられることができる。これら有機溶媒は、通常単独で用いられるが、2種以上を適宜組合わせて用いてよい。これらのうち有機溶媒の中でも、非プロトン性極性溶媒が好ましく用いられ、DMF、DMAc、NMPなどのアミド類がより好ましく用いられる。
ポリアミド酸のモノマー原料として用いられる酸二無水物としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−メチルフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−(2,3−ジメチルフェニレン)ビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、1,4−ナフタレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、2,6−ナフタレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)2,2−ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物;さらに、エチレンテトラカルボン酸、1, 2, 3, 4−ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、1, 2, 3, 4―ベンゼンテトラカルボン酸、3, 3’, 4, 4’―ビフェニルテトラカルボン酸、2, 2, 3, 3―ビフェニルテトラカルボン酸、3, 3’, 4, 4’―ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2, 2’, 3, 3’―ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(2, 3―ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3, 4―ジカルボキシフェニル)メタン、1, 1―ビス(2, 3―ジカルボキシフェニル)エタン、2, 2―ビス(3, 4―ジカルボキシフェニル)プロパン、2, 2―ビス(2, 3―ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3, 4―ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(2, 3―ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(2, 3―ジカルボキシフェニル)スルホン、2, 3, 6, 7―ナフタレンテトラカルボン酸、1, 4, 5, 8―ナフタレンテトラカルボン酸、1,2, 5, 6―ナフタレンテトラカルボン酸、2, 3, 6, 7―アントラセンテトラカルボン酸、1, 2, 7, 8―フェナントレンテトラカルボン酸、3, 4, 9, 10―ペリレンテトラカルボン酸、4, 4―(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸、4, 4 ―(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸、2, 2―ビス[(2, 3―ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン等の芳香族テトラカルボン酸もしくは当該酸の酸二無水物を挙げることができる。
これらの中でも、ピロメリット酸、1, 2, 3, 4―ベンゼンテトラカルボン酸、3, 3’, 4, 4’―ビフェニルテトラカルボン酸、2, 2’, 3, 3’―ビフェニルテトラカルボン酸、3, 3’, 4, 4’―ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2, 2’, 3, 3’―ベンゾフェノンテトラカルボン酸、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸)の芳香族テトラカルボン酸もしくは当該酸の酸二無水物が好適に用いられる。
これら化合物は、少なくとも1種が用いられることが好ましい。また、これら化合物は1種類のみを用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
ポリアミド酸のモノマー原料として用いられるジアミン類としては、特に限定されるものではないが、p-フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、3,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシジベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェニル)スルホン、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェニル)スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エ−テル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エ−テル、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エ−テル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノ−6−フルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、ジアミノポリシロキサン等の化合物を挙げることができる。
これらの化合物は、少なくとも1種類が用いられることが好ましい。また、これら化合物は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テルが好適に用いられる。
特に本発明においては、得られるポリイミドフィルムにおいて分子配向角を好ましい範囲に制御しやすくなる点から、次に示す酸二無水物およびジアミン類の組み合わせを、モノマー原料としてより好ましく用いることができる。
具体的には、(1)p-フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、ピロメリット酸二無水物、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)を用いる組み合わせ、(2)p-フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、ピロメリット酸二無水物、3, 3’, 4, 4’―ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いる組み合わせ、(3)p-フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、ピロメリット酸二無水物、3, 3’, 4, 4’―ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を用いる組み合わせ、(4)p-フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、ピロメリット酸二無水物、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、3, 3’, 4, 4’―ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いる組み合わせ、(5)p-フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、3, 3’, 4, 4’―ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いる組み合わせ、(6)4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、ピロメリット酸二無水物を用いる組み合わせ、(7)p-フェニレンジアミン、3, 3’, 4, 4’―ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いる組み合わせを用いることにより、最終的に得られるポリイミドフィルムの分子配向角を好ましい範囲に制御しやすくなる。
また、本発明においては、ポリイミドフィルムの平均の弾性率が高い方が分子配向角を好ましい範囲に制御しやすくなるという点から好ましい。平均の弾性率が低いフィルムでも本発明で開示する方法によって、目的とするフィルムが得られるが、平均の弾性率が高いフィルムの方が、容易に目的とするフィルムが得られやすい。平均の弾性率は、(分子配向軸方向の引張り弾性率(a)+分子配向軸に垂直な方向の引張り弾性率(b))/2のことをいう。と具体的には、例えばジアミン原料としてp-フェニレンジアミンや酸ニ無水物原料としてピロメリット酸二無水物、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、3, 3’, 4, 4’―ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3, 3’, 4, 4’―ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を用いると平均の弾性率を高くしやすい。特に、平均の引張り弾性率が4.2GPa以上であることが好ましい。弾性率は高い方が好ましいが、製膜性の観点(弾性率が高すぎるとイミド化途中でフィルムが破れたりする場合がある)や、取扱い上でのフレキシビリティーに欠ける点から上限は10.0GPa以下であることが好ましい。平均の
このようにして得られるポリアミド酸の平均分子量は、GPCのPEG(ポリエチレングリコール)換算で10000以上であることがフィルム物性上好ましい。
(B)工程
(B)ポリアミド酸及び有機溶媒を含む組成物(ポリアミド酸溶液ともいう)を支持体上に流延・塗布後、ゲルフィルムを形成する工程、である。(B)工程で用いる組成物は、ポリアミド酸と反応しうる反応剤など、その他の成分を添加した組成物を用いてもよい。
上記ポリアミド酸溶液の粘度は、23℃に保温された水浴中で1時間保温し、その時の粘度をB型粘度計で、ローターはNo.7を回転数は4rpmで測定を行いその粘度が50Pa・s以上1000Pa・s以下であることが好ましく、さらに好ましくは100Pa・s以上500Pa・s以下、最も好ましくは200Pa・s以上350Pa・s以下であることがフィルム成形体を製造する際に、取扱いやすいという点から最も好ましい。
また、(B)工程で用いるポリアミド酸溶液中のポリアミド酸の固形分濃度は、5〜40wt%、好ましくは10〜30wt%であることが好ましく、さらには13〜25wt%であることが好ましい。上記範囲内であれば、フィルム成形体を製造する際に、取扱いやすくなる傾向にある。
上記ポリアミド酸溶液の粘度および濃度は、必要に応じて、(A)工程で例示したポリアミド酸の重合用溶媒のような有機溶媒を加えて調整することができる。
これらポリアミド酸溶液からポリイミドフィルムを製造する方法については従来公知の方法を用いることができる。この方法には熱イミド化法と化学イミド化法が挙げられる。熱イミド化法は、加熱によってのみイミド化を促進させる方法である。加熱条件は、ポリアミド酸の種類、フィルムの厚さ等により、変動し得る。さらに、適宜ポリアミド酸溶液中に剥離剤、熱イミド化触媒等を混合してイミド化することが望ましい。化学イミド化法は、ポリアミド酸有機溶媒溶液に、イミド化触媒、脱水剤を作用させる方法である。脱水剤としては、例えば無水酢酸などの脂肪族酸無水物、無水安息香酸などの芳香族酸無水物などが挙げられる。イミド化触媒としては、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリンなどの複素環式第3級アミン類などが挙げられる。
用いるイミド化触媒の量は特に限定されないが、モル比で、イミド化触媒/ポリアミド酸中アミド基=10〜0.01が好ましい。更に好ましくは、イミド化触媒/ポリアミド酸中アミド基=5〜0.5が好ましい。
また脱水剤及びイミド化触媒を併用する際は、モル比で、脱水剤/ポリアミド酸中アミド基=10〜0.01が好ましく、イミド化触媒/ポリアミド酸中アミド基=10〜0.01であることが好ましい。更に好ましくは、脱水剤/ポリアミド酸中アミド基=5〜0.5が好ましく、イミド化触媒/ポリアミド酸中アミド基=5〜0.5が好ましい。なお、この場合には、アセチルアセトン等の反応遅延剤を併用しても良い。また、ポリアミド酸に対する脱水剤及びイミド化触媒の含有量は、0℃にてポリアミド酸と脱水剤・触媒混合物とが混合されてから粘度上昇が始まるまでの時間(ポットライフ)で規定しても良い。一般にはポットライフが0.1分〜120分、さらに好ましくは1分〜60分が好ましい。
また、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、有機滑剤(例えばワックス)などの添加物を添加して用いてもよい。また、表面の易滑性や耐磨耗性、耐スクラッチ性等を付与するために、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式または乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸バリウム、アルミナおよびジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とする有機粒子等を添加してもよい。
上述のイミド化触媒、脱水剤、添加剤などを含むポリアミド酸溶液を得る場合は、これらを混合する前にフィルター等にて不溶解原料や混入異物を取り除く工程設けることがフィルム中の異物・欠陥を減少させる上で好ましい。上記フィルターの目開きは、取得フィルム厚みの1/2、好ましくは1/5、更に好ましくは1/10が良い。
このようにして得られたポリアミド酸溶液を、支持体上に連続的に流延・塗布し、乾燥させることでゲルフィルムを得る。支持体としては、該溶液樹脂により溶解することが無く、該ポリイミド溶液の有機溶剤溶液を除去するために要する加熱にも耐えうる支持体であればどのような支持体でも用いることができる。特に好ましくは、金属板を繋ぎ合わせて作製した、エンドレスベルトもしくは金属ドラムが溶液状の塗布液を乾燥させる上で好ましい。尚、エンドレスベルトもしくはドラムの材質は、金属が好ましく用いられ中でも、SUS材が好ましく用いられる。表面には、クロム、チタン、ニッケル、コバルト等の金属にてメッキを施したものを用いることで表面上の溶剤の密着性が向上する、或いは、乾燥した有機絶縁性フィルムが剥離しやすくなるのでメッキ処理を施すことが好ましい。エンドレスベルト、金属ドラム上は平滑な表面を有することが好ましいが、エンドレスベルト上もしくは金属ドラム上には無数の凸凹を作製して用いることも可能である。エンドレスベルトもしくは金属ドラム上に加工される凸凹の直径は0.1μm〜100μmで深さが0.1〜100μmであることが好ましい。金属表面に凸凹を作製することで有機絶縁性フィルムの表面に微細な突起を作製することが可能となり、該突起によりフィルム同士の摩擦による傷の発生、もしくは、フィルム同士のすべり性を向上させることが可能となる。
本願発明におけるゲルフィルムとは、ポリアミド酸溶液を加熱・乾燥させて一部の有機溶剤もしくは反応生成物(これらを残存成分と称する)がポリイミドフィルム中に残存しているフィルムをゲルフィルムと称する。ポリイミドフィルムの製造工程においては、ポリアミド酸溶液を溶解している有機溶剤、イミド化触媒、脱水剤、反応生成物(脱水剤の吸水成分、水)、添加剤がゲルフィルム中の残存成分として残る。ゲルフィルム中に残存する残存成分割合は、該ゲルフィルム中に存在する乾燥後のゲルフィルムの重量a(g)に対して残存する残存成分重量b(g)を算出した際に、残存成分割合cは下記の算出式で算出される値であり、該残存成分割合が500%以下であることが好ましく、さらに好ましくは25%以上200%以下、特に好ましくは30%以上150%以下であることが好ましい。
c=b/a×100 ・・・(式2)
500%を超えると、後述する(D)フィルムの両端を固定しながら加熱炉内を搬送する工程において、有機溶媒などが除去されることによるフィルムの収縮量が大きくなり、得られるポリイミドフィルムに亀裂が入る場合がある。
乾燥後のゲルフィルムの重量aと残存成分重量bの算出方法は、100mm×100mmのゲルフィルム重量dを測定した後に、該ゲルフィルムを450℃のオーブン中で20分乾燥した後、室温まで冷却後、重量を測定し完全乾燥ポリイミド重量aとする。残存成分重量bは、ゲルフィルム重量dと完全乾燥ポリイミド重量aからb=d−aの算出式より算出される。
ゲルフィルムを製造する工程において、支持体上で加熱・乾燥させるときの条件(乾燥温度・乾燥時に吹き付けるときの熱風の風速・排気速度・乾燥時間など)は残存成分割合が上記範囲内になるように適宜設定することが好ましい。特に、ポリイミドフィルムの製造過程においては50〜200℃の範囲の温度でフィルムを加熱・乾燥させることが好ましく、特に好ましくは50〜180℃で加熱・乾燥させることが好ましい。また、乾燥時間は、20秒〜60分の範囲内で乾燥させることが好ましい。乾燥は多段式の温度管理で乾燥させることが好ましい。
(C)工程
(C)工程は、ゲルフィルムを支持体から引き剥がし連続的にゲルフィルムの両端を固定する工程である。本願発明における、ゲルフィルムの端部を固定する工程とは、ピンシート、クリップ等の一般にフィルムの製造装置において用いられる把持装置を用いてゲルフィルムの端部を把持する工程である。
なお、後述する(D)工程においての少なくとも一部においてTD方向の張力が実質的に無張力となるように固定する方法として、この(C)工程の、ゲルフィルムの端部を固定する際に、TD方向の張力が実質的に無張力となるように固定してもよい。フィルムを固定する段階で、TD方向の張力が実質的に無張力となるように行い、そのまま(D)工程へ送る方法である。具体的には、端部を固定する際に、フィルムを弛ませて固定するのである。
(D)工程
(D)工程は、フィルムの両端を固定しながら加熱炉内を搬送する工程である。用いられる加熱炉としては、公知の加熱炉を用いればよいが、例えば、(1)フィルム上面もしくは下面、或いは、両面から100℃以上の熱風をフィルム全体に噴射して加熱する方式の熱風炉、(2)遠赤外線を照射してフィルムを焼成する遠赤外線発生装置を備えた遠赤外線炉が好適に用いられる。
加熱炉内を搬送する条件は、特に限定されないが、段階的に温度を上げて焼成することが好ましい。従って、加熱炉を温度上昇の程度に応じて複数台用いることが好ましい。また、このとき用いる複数の加熱炉についても特に限定されるものではなく、熱風炉または遠赤外線炉を単独で、もしくはこれらを組み合わせて用いてもよい。
具体的には、例えば、上記熱風炉および遠赤外線炉を混在させながら、複数台連結することにより、段階的に加熱温度を上昇させる段階式の加熱炉とすることができる。段階式の加熱炉の場合には、前段の加熱炉からの熱を次の段の加熱炉へ伝えないために、各炉を仕切るための装置が備え付けられていることが好ましい。加熱炉の数、各加熱炉の温度は焼成条件により適宜変更することが好ましい。
本発明では、両端を把持されたゲルフィルムが最初に搬送される加熱炉の加熱温度(初期加熱温度)が100℃以上、250℃以下の温度範囲であることが好ましく、120℃以上200℃以下であることがより好ましい。この温度範囲であれば、得られるポリイミドフィルムにおいて、分子配向軸をMD方向に沿った方向に制御しやすくなる。
さらに、最初に加熱される際の加熱温度を250℃以下にすることでポリイミドフィルムのボーイング現象を抑制することができる。これにより、ポリイミドフィルムの端部の配向軸を制御することが可能となる。
一方、加熱温度を100℃未満としてもポリイミドフィルムの製造は可能であり、フィルムの分子配向軸を制御する上では好ましいが、乾燥が進行しないことから、第一の加熱炉の加熱温度が100℃以下の場合には、第二の加熱炉の温度を100℃以上、250℃以下の温度に設定することが好ましい。
なお、上記第一加熱炉および第二の加熱炉以降の加熱炉(第三加熱炉以降の加熱炉)の加熱温度は、200℃から約600℃までの温度範囲で、段階的に加熱できるように設定することが好ましい。最高焼成温度が低い場合には、イミド化率が完全でないおそれがあるので、段階的に充分な加熱処理を行うことが好ましい。
ここで、段階式加熱炉を用いた例により具体的に説明する。図4(a)、(b)に示すように、段階的加熱炉40は5台の加熱炉41〜45から構成されており、最初の加熱炉41、第二の加熱炉42、第三の加熱炉43、第四の加熱炉44、および第五の加熱炉45の順で、ポリイミドフィルム51の搬送方向(MD方向:D1方向)に沿って配置されている。なお、図4(a)は、段階式加熱炉40を上方から見た模式図であり、図4(b)は、段階式加熱炉40をポリイミドフィルムの巻き取り装置46とともに側面から見た図である。
図4(a)に示すように、ゲルフィルム50は、幅方向(TD方向)の両端で一対の把持部材52により、弛みなく固定され、最初の加熱炉40に搬送される。
この(D)工程の少なくとも一部においてフィルム幅方向(TD方向)の張力が実質的に無張力となるように固定されて搬送する工程{以下(D−1)工程と称する}を含むことが、全幅において物性値が安定したポリイミドフィルムを得るという点で好ましい。
ここで、TD方向の張力が実質的に無張力であるとは、フィルムの自重による張力以外に、機械的なハンドリングによる引っ張り張力がTD方向にかからないことを意味している。実質的にはフィルムの両端部固定端の距離(図4、図5のV1)よりも両端部固定端間のフィルムの幅(図5の61)が広いことを意味しており、そのような状況下でのフィルムを実質的に無張力下のフィルムと言う。図5を用いて説明すると、フィルムは、把持装置によって固定される。固定開始時の固定間距離の幅(両端部固定開始端距離)は図4のV0である。固定されたフィルムは、両端固定装置で固定されたまま炉内に搬送される。搬送されて最もフィルム把持装置間の距離が狭くなった時点での装置間距離(両端固定最小距離)が重要である。図4、図5で説明すると、両端部固定装置端が最も収縮した地点での距離をV1とする。通常は、固定開始時のフィルムの両端はピンと張力がかかった状態であり、この両端部固定開始端距離V0と両端部固定開始端間のフィルムの幅61は同じである。但し、上記(C)工程にて記載したように、フィルムがたるむように端部を固定しても問題はない。本発明においては、図5のように、両端固定最小距離V1とこの間のフィルムの幅61は異なり、両端部固定端の距離が小さくなっていることが望ましい。具体的には、両端固定最小距離の部位では、フィルムは弛ませて固定されているのである。また、本発明においては、(D)工程における加熱炉の入り口において、TD方向の張力が実質的に無張力となるように固定されていることが、フィルム全幅においてMD方向に配向軸を向けてフィルムを製造する点から好ましい。加熱炉の入り口において、TD方向の張力が実質的に無張力となるように固定されて搬送するには、前述の(C)工程の、ゲルフィルムの端部を固定する際に、TD方向の張力が実質的に無張力となるように固定し、そのまま(D)工程に送る方法(方法その1)の他に、(C)工程の後、一旦両端部固定端の距離を縮める操作(図4記載のV0からV1に収縮する方式)を行って、(D)工程に送る方法(方法その2)が挙げられるが後者の方法を用いることが容易であり好ましい。なお、方法その1は、ゲルフィルムの両端を固定する際に、(式4)を満たすように固定する方法が好ましく、方法その2は、(式4)を満たすように固定端の距離を縮める(V0→V1へ収縮させる)ことが好ましい。特に、MD方向の分子配向を制御しやすいという点から、両端固定最小距離の距離V1をX、両端部固定開始端間のフィルムの幅61をYとしたとき、XとYが下記式を満足するように固定されていることが好ましい。
20.0≧(Y−X)/Y×100>0.00・・・・(式8)
(Y−X)/Y×100(これを便宜上TD収縮率という場合がある)を上記範囲以上に大きくすると、フィルムの弛みを安定的に制御することが難しくなり、弛み量が進行方法に対して変化する場合がある。また場合によってはフィルムの弛みによる端部把持装置からの脱落が生じ、さらには端部にシワが発生する為、安定したフィルムの製造ができない場合がある。さらに好ましくは15.0≧(Y−X)/Y×100>0.00である。特に好ましくは10.0≧(Y−X)/Y×100>0.00である。
また、(D)工程の少なくとも一部においてフィルム幅方向(TD方向)の張力が実質的に無張力となるように固定されて搬送する(D−1)工程を行う方法として、(D)工程における加熱炉の入り口において、TD方向の張力が実質的に無張力となるように固定されていることが好ましく、TD方向に実質的に無張力となるように固定されるべく、両端固定端距離を縮める工程を、炉内にフィルムが挿入される前に終了させる方法が挙げられる。この場合には、上記の実質的に無張力であることを次のように表すこともできる。すなわち、両端固定最小距離のV1をX、両端部固定開始端間のフィルムの幅61をYとしたとき、XとYが下記式を満足するように固定されていることを差す。
Y−X>0.00・・・・(式8)
前記(D)工程は、さらにフィルムをTD方向に引き延ばす工程{以下(D−2)工程と称する}を含むこともできる。
本発明における、(D−2)工程は、(D−1)工程を経た後、加熱炉の中で、フィルムをTD方向に引き延ばす工程である。(D−1)工程で、フィルム幅方向(TD方向)の張力が実質的に無張力となるように固定されて搬送するが、加熱炉内でフィルムが加熱されると、フィルムはある程度収縮する。収縮してフィルムの弛みがなくなった後、フィルムをTD方向に引き延ばすのである。引き延ばす量(これを便宜上膨張率という)は、引き延ばす前の、TD方向の両端部固定端の幅をB(図4(a)のV1)、フィルムが炉内でTD方向に引き伸ばされた際の両端部固定端の幅をC(図4(a)のV2やV3)としたとき、下記式を満たすことが好ましい。
40.0≧(C−B)/B×100≧0.00 (式5)
(C−B)/B×100(これを便宜上TD膨張率という場合がある)を上記範囲以上に大きくすると、フィルムの分子配向軸をMD方向に制御することが難しくなる場合がある。さらに好ましくは30.0≧(C−B)/B×100≧0.00である。特に好ましくは20.0≧(C−B)/B×100≧0.00である。
さらに、必要に応じて(D−2)工程以降に再度収縮を行ってもよく、さらに、フィルム幅を広げることも可能であり、TD収縮率、TD膨張率に関しては適宜選定することが好ましい。
(D−2)工程を行う温度は、ポリイミドフィルムが高温で弾性率の保持率が低下するフィルムである場合には、その(弾性率の変化する温度)±100℃の温度で引き伸ばす事が好ましい。特に、耐熱性に優れるポリイミドフィルムの場合には、300℃以上500℃以下、特に好ましくは350℃以上480℃以下がポリイミドフィルムの弾性率が低下してフィルムを引き伸ばしやすくなるので好ましい。尚、引き伸ばし温度でポリイミドフィルムを炉内に搬送した際に、フィルムが軟化して伸びきってしまう場合がある。その場合には、上記範囲以外の温度を適宜設定することが好ましい。
本発明においては、(D−1)工程での収縮及び、(D−2)工程での引き伸ばし、更には、搬送する際のMD方向のフィルム張力、ゲルフィルムの残存成分重量、加熱温度を適宜調節して、MD方向に配向が制御されたフィルムを製造すればよい。また、ポリイミドフィルムの場合、化学イミド化を行うか、熱イミド化を行うかにより、フィルムの加熱温度、加熱時間が全く異なるが、熱イミド化の場合であっても、本発明の方法内での制御を行えば、目的とするフィルムを得ることができる。
(E)その他の工程
本発明では、ポリイミドフィルムを製造する工程において、上記(A)〜(D)工程の他の工程を含んでいてよく、例えば、図4(b)に示すように、加熱炉を通過した後、巻き取り装置に巻き取る工程(図4の46)が挙げられる。さらに、工程内にフィルム表面に異種のワニスを塗布する装置や、表面を処理する装置を備えていても良い。
また、ポリイミドフィルムに対して、必要に応じて、熱処理、成形、表面処理(プラズマ処理、コロナ放電処理)、ラミネート、コーティング、印刷、エンボス加工、エッチングなどの任意の加工を行ってもよい。
<本発明のポリイミドフィルムを用いた積層体>
本発明のポリイミドフィルムの用途は、特に限定されないが、フレキシブルプリント配線板、TAB用テープ、太陽電池用基板などの電気・電子機器基板用途や高密度記録媒体、磁気記録媒体用などに特に好適に用いられる。
本発明のポリイミドフィルムは、当該ポリイミドフィルムの単層フィルムであっても、他の層を積層した積層体であってもよい。例えば、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に他のポリマー層を塗布することができる。例えば、熱可塑性ポリイミド(ガラス転移温度が400℃以下のポリイミド樹脂を差す)、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデンおよびアクリル系ポリマーを直接、あるいは接着剤などの層を介して積層してもよい。
例えば、上記積層体の製造方法としては、ゲルフィルムを成形した後に、(1)該ゲルフィルムを他の樹脂を溶解した溶液に浸漬した後に、テンター炉内で加熱乾燥させて積層フィルムを製造する方法、(2)該ゲルフィルム表面にコーターを用いて他の樹脂を溶解した溶液を塗布して加熱乾燥させて積層フィルムを製造する方法、(3)該ゲルフィルムに噴霧装置にて他の樹脂を溶解した溶液を噴霧塗布して加熱乾燥させて積層フィルムを製造する方法が好適に用いられる。さらには、成形されたポリイミドフィルム表面に他の樹脂を溶解した溶液を再度塗布して加熱乾燥させて積層体を製造する方法を用いてもよい。塗布方法としては、(1)〜(3)の積層方式を用いることが好ましい。
また、ポリイミドフィルムに接着剤層を設けた積層体であってもよく、この場合は、接着剤層を保護する為の保護材料を積層してもよい。
さらに、当該ポリイミドフィルムを用いて金属を積層した金属積層板を製造する方法としては、下記の方法が挙げられる。
(1)ポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に接着剤層を介して金属箔を熱圧着する方法。熱圧着する方法としては、例えば、プレス法、ダブルベルト法、熱ロール法が好適に用いられる。また、接着剤としては、熱可塑性ポリイミド樹脂系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤が好適に用いられる。さらに、金属箔としては、少なくとも0.1μm以上の厚みを持つ銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、クロムもしくはそれぞれの金属の合金で出来あがっている金属箔が用いられる。
(2)当該ポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に、金属を直接に設ける方法。金属層を直接に設ける方法としては、金属を加熱炉中で加熱蒸発させて積層する加熱蒸着法、電子ビームにより金属を加熱・蒸発させて積層する電子ビーム法(EB法ともいう)、プラズマにより金属を蒸散させて積層するスパッタリング法が好適に用いられる。また、用いられる金属はどのような金属でもよく、例えば、銅、金、銀、マンガン、ニッケル、クロム、チタン、錫、コバルト、インジュウム、モリブデン等が用いられる。さらに、それらの何種類かを同時に蒸発させながらポリイミドフィルム表面で金属合金を製造する方法を用いてもよい、例えば、ニッケルとクロムを同時に積層してニッケル/クロム合金を形成する方法、インジュウムと錫を酸素存在下で同時に蒸着して製造するITO膜等を用いることできる。さらに、上記金属を数種類積層して金属多層体を形成してもよい。
(3)(2)で製造した金属積層板に電気めっきや無電解めっきを行い、金属層の厚みを増やす方法。電気めっき法とは、めっきを施したい金属が溶解している溶液中に浸漬し、電気めっきを施したい金属を対極として電気を通電し、めっきする方法が用いられる。尚、電気めっき法は上記方法にとらわれる事無く、公知公用の電気めっき法にて積層する方法であればよい。また、さらに金属層の厚みを増やす方法としては、例えば目的とする金属を溶解した無電解めっき浴中に、すでに金属層を設けたポリイミドフィルムの金属表面に無電解めっき用触媒を塗布したフィルムを浸漬して、金属を積層する方法が挙げられる。尚、無電解めっき法は上記方法にとらわれる事無く、公知公用の無電解めっき法にて積層する方法であればよい。
(4)無電解めっき法で金属を薄く積層する方法。無電解めっき法とは、無電解めっき用の触媒金属をポリイミドフィルム表面に積層した後に、無電解めっき用の金属浴中に浸漬して金属を積層する方法であればよい。尚、無電解めっき法は上記方法にとらわれる事無く、公知公用の無電解めっき法にて積層する方法であればよい。
(5)(4)で製造した金属積層板に電気めっき、もしくは、無電解めっきを行い、金属層の厚みを増やす方法。
また、上記製造方法(1)〜(5)で製造された金属層を積層したポリイミド金属積層体においては、金属層を保護する為の保護材料を積層してもよい。
このようにして製造された金属積層板は、金属層の配線形成処理(例えばエッチングマスクを表面に形成した後に金属層をエッチング処理する方法)を行うことで金属配線を少なくともポリイミドフィルムを含むフィルムの上に形成することが可能となる。
このように、本発明にかかる積層体は、本発明にかかるポリイミドフィルムを含む構成であれば特に限定されるものではない。さらに、上記に金属積層板の製造方法について代表的な方法を詳細に記載したが、本発明には、上記ポリイミドフィルムをベースフィルムとして作製される金属積層板(例えばFPC、TAB、高密度記録媒体、磁気記録媒体、電気・電子機器用金属積層板等)の製造方法は上記で説明した方法だけではなく、公知公用の当業者であれば使用しうる種々の方法を用いて金属層を積層してもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。特に、本願発明ではポリイミドフィルムの製造方法における実施例を記載する。
(実施例1)
(ポリイミドフィルムの製造)
本実施例では、N,N−ジメチルフォルムアミド(DMF)中で、4,4−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)50モル%と、パラフェニレンジアミン(p−PDA)50モル%、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TMHQ)50モル%、ピロメリット酸二無水物(PMDA)50モル%を該比率で添加して重合してポリアミド酸溶液を合成した。該ポリアミド酸溶液に、アミド酸当量に対して、2.0倍当量の無水酢酸と1.0倍当量のイソキノリンを添加し、最終的に得られる厚みが20μmとなるように、1100mm幅でエンドレスベルト上にキャストし、100℃〜150℃で2分間熱風乾燥し、自己支持性を有する残存成分割合が54重量%のゲルフィルムを得た。その後ベルト上から引き剥がす。ゲルフィルムは幅方向両端を、連続的にフィルムを搬送するピンシートに固定した。このとき、ピン巾1000mmで弛み無く固定した。該ゲルフィルムを、第一の加熱炉(熱風炉;177℃)、第二の加熱炉(熱風炉;300℃)、第三の加熱炉(熱風炉;450℃)、第四の加熱炉(遠赤外線炉;515℃)と段階的に焼成してポリイミドフィルムへと焼成した。TD収縮率を4.40、TD膨張率を2.20となるようにポリイミドフィルムをTD方向に収縮・膨張させながらフィルムの搬送を行った。TD方向に実質的に無張力となるように固定されるように両端固定端距離を縮める工程は、炉内にフィルムが挿入される前に終了させ、両端固定端距離を拡張する工程は第三加熱炉にて行った。
(熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
重合用の有機溶媒であるDMFに対して、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)100モル%、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)90モル%、3,3’,4,4’-エチレングリコールベンゾエートテトラカルボン酸二無水物(TMEG)10モル%をこれらの比率で添加して攪拌重合することにより熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸溶液を合成した。尚、当該ポリアミック酸溶液の固形分濃度は20重量%で合成した。
(引張り弾性率及び引張り弾性率比の測定)
後述の分子配向角を測定するためのサンプルを測定した部位からMD方向にずらして、図2に記載するように、分子配向軸方向及び分子配向軸方向に垂直な方向の試験片(15mm×200mm)の切り出しを行った。このサンプルを島津製作所製引張り試験機(オートグラフ S−100−C)を使用し、ASTM−D882に準じで測定した。
(分子配向角)
上記ポリイミドフィルムの両端及び中央部位の分子配向角を分子配向計MOA2012にて測定を行った。分子配向角差は、分子配向角の最大値と最小値を用いて、最大値-最小値の算出式より算出した。
(フレキシブル金属積層板の作製)
ポリイミドフィルムの前処理としてポリイミドフィルム表面に、Ar:He:N2=8:2:0.2(体積比率)の割合で混合したガス気流中で出力280W/m2の割合でプラズマ放電を行い表面プラズマの処理を行った。ついで、上記の熱可塑性ポリイミド前駆体を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈した後、上記ポリイミドフィルムの両面に全幅に渡って、熱可塑性ポリイミド層(接着層)の最終片面厚みが4μmとなるように熱可塑性ポリイミド前駆体を塗布した後、140℃で1分間加熱を行った。続いて、雰囲気温度390℃の加熱炉の中を20秒間通して加熱しイミド化を行って、熱可塑性ポリイミド層が積層されたポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムの両側に18μm圧延銅箔(BHY−22B−T,ジャパンエナジー社製)を、さらに銅箔の両側に保護材料(アピカル125NPI;鐘淵化学工業株式会社製)を用いて、ポリイミドフィルムの張力0.4N/cm、ラミネート温度380℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で連続的に熱ラミネートを行い、本発明にかかるフレキシブル金属積層板を作製した。
(寸法変化率)
図6のサンプリング方式に従ってフィルムの両端及び中央部位から必要な大きさのフレキシブル金属積層板をサンプリングする。サンプリングしたFPCの寸法を図7の測定部位に従い、次ぎの4点につき測定を行った。1)フィルムの搬送方向(MD方向:図7の81)、2)搬送方向と垂直な方向(TD方向:図7の80)、3)フィルムの搬送方向から45°方向(R方向:図7の82)、4)フィルムの搬送方向から−45°方向(L方向:図7の83)。寸法変化は、JIS C6481に基づいて測定を行った。方法の詳細は以下のとおりである。まず、サンプリングしたフレキシブル金属積層板に4つの穴を形成し、各穴のそれぞれの距離を測定した。次に、エッチング処理を行いフレキシブル金属積層板から金属を除去した。金属の除去には、播磨化学工業株式会社製塩化第2鉄の塩酸溶液(濃度30%以上)の溶液を30℃にヒーターにて加熱し、該加熱溶液を上下から噴霧させてフィルム表面に暴露する装置を用いてエッチングを行った。塩化鉄溶液と金属積層板が接触している時間は10分以内に設定し、エッチング速度との兼ね合いで時間を変更してエッチング処理を行った。エッチング後のフィルムは水洗後液滴を吹き飛ばして風乾し、銅層を除去したフィルムを作製した。このようにして作製したフィルムを20℃、60%R.H.の恒温室に24時間放置した。その後、エッチング工程前と同様に、上記4つの穴について、それぞれの距離を測定した。金属箔除去前における各穴の距離の測定値をD1とし、金属箔除去後における各穴の距離の測定値をD2として、次式によりエッチング前後の寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)={(D2−D1)/D1}×100
なお、上記寸法変化率は、1)〜4)について測定した。尚、1)、2)の測定結果はサンプルの2辺を測定してその平均値から求めた。結果を表1に示す。
(実施例2)
TD収縮率を4.40、TD膨張率を4.40とした以外は、実施例1と同じ製造方法にてポリイミドフィルムを作製した。
このこのようにしてできたポリイミドフィルムを実施例1と同様の方法で物性値評価を行った。その結果、フィルムの全幅に渡って引張り弾性率の引張り弾性率比b/aが0.500以上1.000未満であり、引張り弾性率比の最大値と最小値の差が0.20以下、分子配向角が0±20°以下に制御されたポリイミドフィルムであることが確認できた。寸法変化率を表1に示す。
(実施例3)
TD収縮率を3.90、TD膨張率を0.00、焼成炉内の温度を130℃、250、350、450、515℃とした以外は、実施例1と同じ製造方法にてポリイミドフィルムを作製した。
このこのようにしてできたポリイミドフィルムを実施例1と同様の方法で物性値評価を行った。その結果、フィルムの全幅に渡って引張り弾性率の引張り弾性率比b/aが0.500以上1.000未満であり、引張り弾性率比の最大値と最小値の差が0.20以下、分子配向角が0±20°以下に制御されたポリイミドフィルムであることが確認できた。寸法変化率を表1に示す。
(実施例4)
TD収縮率を2.00、TD膨張率を0.00、焼成炉内の温度を130℃、250、350、450、515℃とした以外は、実施例1と同じ製造方法にてポリイミドフィルムを作製した。
このこのようにしてできたポリイミドフィルムを実施例1と同様の方法で物性値評価を行った。その結果、フィルムの全幅に渡って引張り弾性率の引張り弾性率比b/aが0.500以上1.000未満であり、引張り弾性率比の最大値と最小値の差が0.20以下、分子配向角が0±20°以下に制御されたポリイミドフィルムであることが確認できた。寸法変化率を表1に示す。
(実施例5)
TD収縮率を4.00、TD膨張率を0.00、焼成炉内の温度を160℃、300、450、515℃とした以外は、実施例1と同じ製造方法にてポリイミドフィルムを作製した。
このこのようにしてできたポリイミドフィルムを実施例1と同様の方法で物性値評価を行った。その結果、フィルムの全幅に渡って引張り弾性率の引張り弾性率比b/aが0.500以上1.000未満であり、引張り弾性率比の最大値と最小値の差が0.20以下、分子配向角が0±20°以下に制御されたポリイミドフィルムであることが確認できた。寸法変化率を表1に示す。
(実施例6)
TD収縮率を3.00、TD膨張率を0.00、焼成炉内の温度を170℃、300、450、515℃とした以外は、実施例1と同じ製造方法にてポリイミドフィルムを作製した。
このこのようにしてできたポリイミドフィルムを実施例1と同様の方法で物性値評価を行った。その結果、フィルムの全幅に渡って引張り弾性率の引張り弾性率比b/aが0.500以上1.000未満であり、引張り弾性率比の最大値と最小値の差が0.20以下、分子配向角が0±20°以下に制御されたポリイミドフィルムであることが確認できた。寸法変化率を表1に示す。
(実施例7)
TD収縮率を5.00、TD膨張率を0.00、焼成炉内の温度を165℃、300、450、515℃とした以外は、実施例1と同じ製造方法にてポリイミドフィルムを作製した。
このこのようにしてできたポリイミドフィルムを実施例1と同様の方法で物性値評価を行った。その結果、フィルムの全幅に渡って引張り弾性率の引張り弾性率比b/aが0.500以上1.000未満であり、引張り弾性率比の最大値と最小値の差が0.20以下、分子配向角が0±20°以下に制御されたポリイミドフィルムであることが確認できた。寸法変化率を表1に示す。
Figure 2006117792
(比較例1)
TD収縮率を0.00、TD膨張率を0.00とした以外は、実施例1と同じ製造方法にてポリイミドフィルムを作製した。
このこのようにしてできたポリイミドフィルムを実施例1と同様の方法で物性値評価を行った。その結果を表2に記載する。その結果、フィルムの分子配向角が端部で、45°と大きな分子配向角を持ち分子配向角が制御されていないフィルムであることを確認した。
また、更に、エッチング後の寸法変化の特にフィルムの搬送方向から45°方向と−45°方向の寸法変化量が大きくなることが明らかになった。
Figure 2006117792
分子配向角、分子配向軸のサンプルのサンプリング方法 引張り弾性率測定の際のフィルムサンプリング方法 フィルムの分子配向軸および分子配向角の説明図 フィルムの搬送方式の模式図 フィルムの把持状態の模式図 FPCからのサンプル採取部位の模式図 寸法変化率の測定用サンプルの寸法変化測定部位を説明する為の模式図
符号の説明
1 分子配向軸
2 サンプルフィルム(分子配向軸方向)
3 サンプルフィルム(分子配向軸に垂直方向)
4 分子配向軸に垂直な方向
11 MD方向(フィルムの機械送り方向)
12 正(プラス)の分子配向角
13 負(マイナス)の分子配向角
14 TD方向(フィルムの機械送り方向に垂直な方向)
40 段階的加熱炉
41 第一の加熱炉
42 第ニの加熱炉
43 第三の加熱炉
44 第四の加熱炉
45 第五の加熱炉
46 巻き取り装置に巻き取る工程(ポリイミドフィルムの巻き取り装置)
50 ゲルフィルム
51 ポリイミドフィルム
52 ゲルフィルム把持部材(ゲルフィルムの端部把持装置)
53 ポリアミック酸溶液の塗布用ダイス
54 ポリアミック酸溶液の塗布用基材
55 ゲルフィルムの剥離部位
61 両端部固定端間のフィルムの幅
70 フレキシブルプリント配線板(FPC)
71 寸法変化率測定用サンプル
80 フィルムの搬送方向に直角な方向の測定部位(TD方向)
81 フィルムの搬送方向の測定部位(MD方向)
82 フィルムの搬送方向から45°方向(R方向)
83 フィルムの搬送方向から−45°方向(L方向)
84 フィルムの搬送方向(MD方向)

Claims (4)

  1. 連続的に生産されるポリイミドフィルムであって、その全幅において、分子配向軸方向の引張り弾性率(a)と分子配向軸に垂直な方向の引張り弾性率(b)とを測定したときに、引張り弾性率比(b)/(a) が0.500以上1.000未満となっており、かつ、(b)/(a)の最大値と最小値の差が0.20以下となっていることを特徴とするポリイミドフィルム。
  2. さらに、全幅において、ポリイミドフィルムの分子配向角の最大値と最小値の差が40°以下となっていることを特徴とする請求項1記載のポリイミドフィルム。
  3. さらに、全幅において、ポリイミドフィルムの分子配向角が、連続的に製造されるときの搬送方向(MD方向)を0°としたときに、0±20°以内となっていることを特徴とする請求項1または2記載のポリイミドフィルム
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリイミドフィルムを含む積層体。
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