JP2006117792A - 新規なポリイミドフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 連続的に生産されるポリイミドフィルムの全幅において、引張り弾性率の分子配向軸方向(a)と分子配向軸に垂直な方向(b)で測定した場合の値の引張り弾性率比b/aが0.500以上1.000未満であり、最大値と最小値の差が0.20以下であることを特徴とするポリイミドフィルムであり、さらに、フィルムの分子配向角の最大値と最小値の差が40°以下であり、分子配向角がMD方向を0°とした場合に、0±20°以内に制御されていることを特徴とするポリイミドフィルムを用いる。
【選択図】 なし
Description
1)連続的に生産されるポリイミドフィルムであって、その全幅において、分子配向軸方向の引張り弾性率(a)と分子配向軸に垂直な方向の引張り弾性率(b)とを測定したときに、引張り弾性率比(b)/(a) が0.500以上1.000未満となっており、かつ、(b)/(a)の最大値と最小値の差が0.20以下となっていることを特徴とするポリイミドフィルム。
2)さらに、全幅において、ポリイミドフィルムの分子配向角の最大値と最小値の差が40°以下となっていることを特徴とする1)記載のポリイミドフィルム。
3)さらに、全幅において、ポリイミドフィルムの分子配向角が、連続的に製造されるときの搬送方向(MD方向)を0°としたときに、0±20°以内となっていることを特徴とする1)または2)記載のポリイミドフィルム
4)1)〜3)のいずれか一項に記載のポリイミドフィルムを含む積層体。
本発明にかかるポリイミドフィルムは、フレキシブルプリント配線板、TAB用テープ、太陽電池用基板などの電気・電子機器基板用途や高密度記録媒体、磁気記録媒体用のベースフィルムとして好適に用いられるものであり、その全幅における物性の安定性、特にFPC製造時におけるエッチング前後での寸法変化が良好なものとなっている。
本発明にかかるポリイミドフィルムは、連続的に生産されるものであるが、このとき、当該ポリイミドフィルムの全幅において、分子配向軸方向の引張り弾性率(a)と分子配向軸に垂直な方向の引張り弾性率(b)とを測定したときに、引張り弾性率比(b)/(a)が0.500以上1.000未満となっており、さらに好ましくは0.55以上1.00以下となっていることが好ましい。
引張り弾性率比=(b)/(a)・・・(式1)
引張り弾性率比(b)/(a)が0.500未満となると、フィルムの平坦性が損なわれる傾向にある。また、1.000以上となると寸法変化率が多くなるので、少なくとも分子配向軸方向の引張り弾性率(a)が、その垂直方向の引張り弾性率(b)よりも大きくなっていることが必要である。
引張り弾性率比の最大値と最小値の差=引張り弾性率比の最大値−引張り弾性率比の最小値・・・(式2)
(分子配向角)
本発明のポリイミドフィルムにおいては、上記引張り弾性率比(b)/(a)を規定することに加えて、さらに、ポリイミドフィルムの全幅における分子配向角の最大値と最小値の差(以下分子配向角差と称する)が40°以下となっていることが寸法変化率を小さくできるだけでなく、フィルムの幅方向での物性値のバラツキを小さくできるという点から好ましい。本願発明における分子配向角とは、上記分子配向軸を測定した場合の分子配向軸がMD方向からずれてくる角度を意味しており、ポリイミドフィルムの分子配向角が0°とは、分子配向軸がMD方向と並行な方向(図3の11と同じ方向)であることを意味している。正(プラス)の分子配向角とはMD方向から反時計回りに角度が傾斜した場合のこと(図3の12)をいう。一方、負(マイナス)の分子配向角とはMD方向から反時計回りに角度が傾斜した場合のこと(図3の13)をいう。本発明における分子配向角差とは、上記分子配向角をフィルム巾方向に測定して、その測定方向が最も正に振れている正の分子配向角と負に振れている負の分子配向角から下記算出式(式2)にて測定することができる。尚、巾方向に正の分子配向角のみが確認される場合には式3を用いる。巾方向に負の分子配向角のみが確認される場合には式4を用いる。分子配向角の最大値もしくは最小値が0°の場合には、0°が最大値の場合には最小値となる負の分子配向角を用いて式5より分子配向角差が求められる。0°が最小値の場合には最大値となる正の分子配向角を用いて式6より算出される。
分子配向角差=(正の分子配向角)−(負の分子配向角) ・・・(式3)
分子配向角差=(正の分子配向角の最大値)−(正の分子配向角の最小値)・・・(式4)
分子配向角差=(負の分子配向角最小値)−(負の分子配向角の最大値)・・・(式5)
分子配向角差=0 −(負の分子配向角最小値)・・・(式6)
分子配向角差=(正の分子配向角最大値) ・・・(式7)
なお、本発明における分子配向角差とは、ポリイミドフィルムの両端部の分子配向角と中央部の分子配向角の中から上記算出式を用いて算出した値を意味する。
フィルム厚みとしては、フィルムの屈曲性向上の観点から1〜200μmの厚みが好ましく、特に好ましくは1〜100μmであることが好ましい。さらに、分子配向角の制御はポリイミドフィルムの厚みが薄い程、制御しやすい為、厚みは200μm以下であることが好ましい。
本発明にかかるポリイミドフィルムの製造方法は特に限定されるものではない。また、ポリイミド樹脂の種類も特に限定されるものではないが、フィルムの全幅において、分子配向軸方向の引張り弾性率(a)と分子配向軸に垂直な方向の引張り弾性率(b)とを測定したときに、引張り弾性率比(b)/(a)が0.500以上1.000未満を満たすポリイミドフィルムを得る手段の一つとして、フィルムの製造条件を変更する方法が挙げられる。目的とするポリイミドフィルムを得るためには、例えば、
(A)ポリアミド酸を重合する工程
(B)ポリアミド酸及び有機溶媒を含む組成物を支持体上に流延・塗布後、ゲルフィルムを形成する工程、
(C)該ゲルフィルムを引き剥がし、両端を固定する工程
(D)フィルムの両端を固定しながら加熱炉内を搬送する工程、
を含む製造方法を採用することができ、これらの各条件を適宜選定する、あるいは、さらなる工程を追加することによって、製造すればよいのであるが、変更しうる製造条件および製造例について以下に例示する。
(A)工程は、ポリアミド酸を重合する工程である。ポリアミド酸の製造方法としては公知の方法を用いることができ、通常、芳香族酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種を、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解させて、得られた有機溶媒溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらの有機溶媒溶液は通常5〜40wt%、好ましくは10〜30wt%の固形分濃度で得られる。この範囲の固形分濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得る。
重合方法としてはあらゆる公知の方法を用いることができるが、特に好ましい重合方法として次のような方法が挙げられる。すなわち、
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
などのような方法である。
このようにして得られるポリアミド酸の平均分子量は、GPCのPEG(ポリエチレングリコール)換算で10000以上であることがフィルム物性上好ましい。
(B)ポリアミド酸及び有機溶媒を含む組成物(ポリアミド酸溶液ともいう)を支持体上に流延・塗布後、ゲルフィルムを形成する工程、である。(B)工程で用いる組成物は、ポリアミド酸と反応しうる反応剤など、その他の成分を添加した組成物を用いてもよい。
c=b/a×100 ・・・(式2)
500%を超えると、後述する(D)フィルムの両端を固定しながら加熱炉内を搬送する工程において、有機溶媒などが除去されることによるフィルムの収縮量が大きくなり、得られるポリイミドフィルムに亀裂が入る場合がある。
(C)工程は、ゲルフィルムを支持体から引き剥がし連続的にゲルフィルムの両端を固定する工程である。本願発明における、ゲルフィルムの端部を固定する工程とは、ピンシート、クリップ等の一般にフィルムの製造装置において用いられる把持装置を用いてゲルフィルムの端部を把持する工程である。
(D)工程は、フィルムの両端を固定しながら加熱炉内を搬送する工程である。用いられる加熱炉としては、公知の加熱炉を用いればよいが、例えば、(1)フィルム上面もしくは下面、或いは、両面から100℃以上の熱風をフィルム全体に噴射して加熱する方式の熱風炉、(2)遠赤外線を照射してフィルムを焼成する遠赤外線発生装置を備えた遠赤外線炉が好適に用いられる。
さらに、最初に加熱される際の加熱温度を250℃以下にすることでポリイミドフィルムのボーイング現象を抑制することができる。これにより、ポリイミドフィルムの端部の配向軸を制御することが可能となる。
一方、加熱温度を100℃未満としてもポリイミドフィルムの製造は可能であり、フィルムの分子配向軸を制御する上では好ましいが、乾燥が進行しないことから、第一の加熱炉の加熱温度が100℃以下の場合には、第二の加熱炉の温度を100℃以上、250℃以下の温度に設定することが好ましい。
なお、上記第一加熱炉および第二の加熱炉以降の加熱炉(第三加熱炉以降の加熱炉)の加熱温度は、200℃から約600℃までの温度範囲で、段階的に加熱できるように設定することが好ましい。最高焼成温度が低い場合には、イミド化率が完全でないおそれがあるので、段階的に充分な加熱処理を行うことが好ましい。
20.0≧(Y−X)/Y×100>0.00・・・・(式8)
(Y−X)/Y×100(これを便宜上TD収縮率という場合がある)を上記範囲以上に大きくすると、フィルムの弛みを安定的に制御することが難しくなり、弛み量が進行方法に対して変化する場合がある。また場合によってはフィルムの弛みによる端部把持装置からの脱落が生じ、さらには端部にシワが発生する為、安定したフィルムの製造ができない場合がある。さらに好ましくは15.0≧(Y−X)/Y×100>0.00である。特に好ましくは10.0≧(Y−X)/Y×100>0.00である。
前記(D)工程は、さらにフィルムをTD方向に引き延ばす工程{以下(D−2)工程と称する}を含むこともできる。
40.0≧(C−B)/B×100≧0.00 (式5)
(C−B)/B×100(これを便宜上TD膨張率という場合がある)を上記範囲以上に大きくすると、フィルムの分子配向軸をMD方向に制御することが難しくなる場合がある。さらに好ましくは30.0≧(C−B)/B×100≧0.00である。特に好ましくは20.0≧(C−B)/B×100≧0.00である。
さらに、必要に応じて(D−2)工程以降に再度収縮を行ってもよく、さらに、フィルム幅を広げることも可能であり、TD収縮率、TD膨張率に関しては適宜選定することが好ましい。
本発明では、ポリイミドフィルムを製造する工程において、上記(A)〜(D)工程の他の工程を含んでいてよく、例えば、図4(b)に示すように、加熱炉を通過した後、巻き取り装置に巻き取る工程(図4の46)が挙げられる。さらに、工程内にフィルム表面に異種のワニスを塗布する装置や、表面を処理する装置を備えていても良い。
本発明のポリイミドフィルムの用途は、特に限定されないが、フレキシブルプリント配線板、TAB用テープ、太陽電池用基板などの電気・電子機器基板用途や高密度記録媒体、磁気記録媒体用などに特に好適に用いられる。
(1)ポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に接着剤層を介して金属箔を熱圧着する方法。熱圧着する方法としては、例えば、プレス法、ダブルベルト法、熱ロール法が好適に用いられる。また、接着剤としては、熱可塑性ポリイミド樹脂系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤が好適に用いられる。さらに、金属箔としては、少なくとも0.1μm以上の厚みを持つ銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、クロムもしくはそれぞれの金属の合金で出来あがっている金属箔が用いられる。
(2)当該ポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に、金属を直接に設ける方法。金属層を直接に設ける方法としては、金属を加熱炉中で加熱蒸発させて積層する加熱蒸着法、電子ビームにより金属を加熱・蒸発させて積層する電子ビーム法(EB法ともいう)、プラズマにより金属を蒸散させて積層するスパッタリング法が好適に用いられる。また、用いられる金属はどのような金属でもよく、例えば、銅、金、銀、マンガン、ニッケル、クロム、チタン、錫、コバルト、インジュウム、モリブデン等が用いられる。さらに、それらの何種類かを同時に蒸発させながらポリイミドフィルム表面で金属合金を製造する方法を用いてもよい、例えば、ニッケルとクロムを同時に積層してニッケル/クロム合金を形成する方法、インジュウムと錫を酸素存在下で同時に蒸着して製造するITO膜等を用いることできる。さらに、上記金属を数種類積層して金属多層体を形成してもよい。
(3)(2)で製造した金属積層板に電気めっきや無電解めっきを行い、金属層の厚みを増やす方法。電気めっき法とは、めっきを施したい金属が溶解している溶液中に浸漬し、電気めっきを施したい金属を対極として電気を通電し、めっきする方法が用いられる。尚、電気めっき法は上記方法にとらわれる事無く、公知公用の電気めっき法にて積層する方法であればよい。また、さらに金属層の厚みを増やす方法としては、例えば目的とする金属を溶解した無電解めっき浴中に、すでに金属層を設けたポリイミドフィルムの金属表面に無電解めっき用触媒を塗布したフィルムを浸漬して、金属を積層する方法が挙げられる。尚、無電解めっき法は上記方法にとらわれる事無く、公知公用の無電解めっき法にて積層する方法であればよい。
(4)無電解めっき法で金属を薄く積層する方法。無電解めっき法とは、無電解めっき用の触媒金属をポリイミドフィルム表面に積層した後に、無電解めっき用の金属浴中に浸漬して金属を積層する方法であればよい。尚、無電解めっき法は上記方法にとらわれる事無く、公知公用の無電解めっき法にて積層する方法であればよい。
(5)(4)で製造した金属積層板に電気めっき、もしくは、無電解めっきを行い、金属層の厚みを増やす方法。
(ポリイミドフィルムの製造)
本実施例では、N,N−ジメチルフォルムアミド(DMF)中で、4,4−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)50モル%と、パラフェニレンジアミン(p−PDA)50モル%、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TMHQ)50モル%、ピロメリット酸二無水物(PMDA)50モル%を該比率で添加して重合してポリアミド酸溶液を合成した。該ポリアミド酸溶液に、アミド酸当量に対して、2.0倍当量の無水酢酸と1.0倍当量のイソキノリンを添加し、最終的に得られる厚みが20μmとなるように、1100mm幅でエンドレスベルト上にキャストし、100℃〜150℃で2分間熱風乾燥し、自己支持性を有する残存成分割合が54重量%のゲルフィルムを得た。その後ベルト上から引き剥がす。ゲルフィルムは幅方向両端を、連続的にフィルムを搬送するピンシートに固定した。このとき、ピン巾1000mmで弛み無く固定した。該ゲルフィルムを、第一の加熱炉(熱風炉;177℃)、第二の加熱炉(熱風炉;300℃)、第三の加熱炉(熱風炉;450℃)、第四の加熱炉(遠赤外線炉;515℃)と段階的に焼成してポリイミドフィルムへと焼成した。TD収縮率を4.40、TD膨張率を2.20となるようにポリイミドフィルムをTD方向に収縮・膨張させながらフィルムの搬送を行った。TD方向に実質的に無張力となるように固定されるように両端固定端距離を縮める工程は、炉内にフィルムが挿入される前に終了させ、両端固定端距離を拡張する工程は第三加熱炉にて行った。
重合用の有機溶媒であるDMFに対して、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)100モル%、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)90モル%、3,3’,4,4’-エチレングリコールベンゾエートテトラカルボン酸二無水物(TMEG)10モル%をこれらの比率で添加して攪拌重合することにより熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸溶液を合成した。尚、当該ポリアミック酸溶液の固形分濃度は20重量%で合成した。
後述の分子配向角を測定するためのサンプルを測定した部位からMD方向にずらして、図2に記載するように、分子配向軸方向及び分子配向軸方向に垂直な方向の試験片(15mm×200mm)の切り出しを行った。このサンプルを島津製作所製引張り試験機(オートグラフ S−100−C)を使用し、ASTM−D882に準じで測定した。
(分子配向角)
上記ポリイミドフィルムの両端及び中央部位の分子配向角を分子配向計MOA2012にて測定を行った。分子配向角差は、分子配向角の最大値と最小値を用いて、最大値-最小値の算出式より算出した。
ポリイミドフィルムの前処理としてポリイミドフィルム表面に、Ar:He:N2=8:2:0.2(体積比率)の割合で混合したガス気流中で出力280W/m2の割合でプラズマ放電を行い表面プラズマの処理を行った。ついで、上記の熱可塑性ポリイミド前駆体を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈した後、上記ポリイミドフィルムの両面に全幅に渡って、熱可塑性ポリイミド層(接着層)の最終片面厚みが4μmとなるように熱可塑性ポリイミド前駆体を塗布した後、140℃で1分間加熱を行った。続いて、雰囲気温度390℃の加熱炉の中を20秒間通して加熱しイミド化を行って、熱可塑性ポリイミド層が積層されたポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムの両側に18μm圧延銅箔(BHY−22B−T,ジャパンエナジー社製)を、さらに銅箔の両側に保護材料(アピカル125NPI;鐘淵化学工業株式会社製)を用いて、ポリイミドフィルムの張力0.4N/cm、ラミネート温度380℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で連続的に熱ラミネートを行い、本発明にかかるフレキシブル金属積層板を作製した。
図6のサンプリング方式に従ってフィルムの両端及び中央部位から必要な大きさのフレキシブル金属積層板をサンプリングする。サンプリングしたFPCの寸法を図7の測定部位に従い、次ぎの4点につき測定を行った。1)フィルムの搬送方向(MD方向:図7の81)、2)搬送方向と垂直な方向(TD方向:図7の80)、3)フィルムの搬送方向から45°方向(R方向:図7の82)、4)フィルムの搬送方向から−45°方向(L方向:図7の83)。寸法変化は、JIS C6481に基づいて測定を行った。方法の詳細は以下のとおりである。まず、サンプリングしたフレキシブル金属積層板に4つの穴を形成し、各穴のそれぞれの距離を測定した。次に、エッチング処理を行いフレキシブル金属積層板から金属を除去した。金属の除去には、播磨化学工業株式会社製塩化第2鉄の塩酸溶液(濃度30%以上)の溶液を30℃にヒーターにて加熱し、該加熱溶液を上下から噴霧させてフィルム表面に暴露する装置を用いてエッチングを行った。塩化鉄溶液と金属積層板が接触している時間は10分以内に設定し、エッチング速度との兼ね合いで時間を変更してエッチング処理を行った。エッチング後のフィルムは水洗後液滴を吹き飛ばして風乾し、銅層を除去したフィルムを作製した。このようにして作製したフィルムを20℃、60%R.H.の恒温室に24時間放置した。その後、エッチング工程前と同様に、上記4つの穴について、それぞれの距離を測定した。金属箔除去前における各穴の距離の測定値をD1とし、金属箔除去後における各穴の距離の測定値をD2として、次式によりエッチング前後の寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)={(D2−D1)/D1}×100
なお、上記寸法変化率は、1)〜4)について測定した。尚、1)、2)の測定結果はサンプルの2辺を測定してその平均値から求めた。結果を表1に示す。
TD収縮率を4.40、TD膨張率を4.40とした以外は、実施例1と同じ製造方法にてポリイミドフィルムを作製した。
このこのようにしてできたポリイミドフィルムを実施例1と同様の方法で物性値評価を行った。その結果、フィルムの全幅に渡って引張り弾性率の引張り弾性率比b/aが0.500以上1.000未満であり、引張り弾性率比の最大値と最小値の差が0.20以下、分子配向角が0±20°以下に制御されたポリイミドフィルムであることが確認できた。寸法変化率を表1に示す。
TD収縮率を3.90、TD膨張率を0.00、焼成炉内の温度を130℃、250、350、450、515℃とした以外は、実施例1と同じ製造方法にてポリイミドフィルムを作製した。
このこのようにしてできたポリイミドフィルムを実施例1と同様の方法で物性値評価を行った。その結果、フィルムの全幅に渡って引張り弾性率の引張り弾性率比b/aが0.500以上1.000未満であり、引張り弾性率比の最大値と最小値の差が0.20以下、分子配向角が0±20°以下に制御されたポリイミドフィルムであることが確認できた。寸法変化率を表1に示す。
TD収縮率を2.00、TD膨張率を0.00、焼成炉内の温度を130℃、250、350、450、515℃とした以外は、実施例1と同じ製造方法にてポリイミドフィルムを作製した。
このこのようにしてできたポリイミドフィルムを実施例1と同様の方法で物性値評価を行った。その結果、フィルムの全幅に渡って引張り弾性率の引張り弾性率比b/aが0.500以上1.000未満であり、引張り弾性率比の最大値と最小値の差が0.20以下、分子配向角が0±20°以下に制御されたポリイミドフィルムであることが確認できた。寸法変化率を表1に示す。
TD収縮率を4.00、TD膨張率を0.00、焼成炉内の温度を160℃、300、450、515℃とした以外は、実施例1と同じ製造方法にてポリイミドフィルムを作製した。
このこのようにしてできたポリイミドフィルムを実施例1と同様の方法で物性値評価を行った。その結果、フィルムの全幅に渡って引張り弾性率の引張り弾性率比b/aが0.500以上1.000未満であり、引張り弾性率比の最大値と最小値の差が0.20以下、分子配向角が0±20°以下に制御されたポリイミドフィルムであることが確認できた。寸法変化率を表1に示す。
TD収縮率を3.00、TD膨張率を0.00、焼成炉内の温度を170℃、300、450、515℃とした以外は、実施例1と同じ製造方法にてポリイミドフィルムを作製した。
このこのようにしてできたポリイミドフィルムを実施例1と同様の方法で物性値評価を行った。その結果、フィルムの全幅に渡って引張り弾性率の引張り弾性率比b/aが0.500以上1.000未満であり、引張り弾性率比の最大値と最小値の差が0.20以下、分子配向角が0±20°以下に制御されたポリイミドフィルムであることが確認できた。寸法変化率を表1に示す。
TD収縮率を5.00、TD膨張率を0.00、焼成炉内の温度を165℃、300、450、515℃とした以外は、実施例1と同じ製造方法にてポリイミドフィルムを作製した。
このこのようにしてできたポリイミドフィルムを実施例1と同様の方法で物性値評価を行った。その結果、フィルムの全幅に渡って引張り弾性率の引張り弾性率比b/aが0.500以上1.000未満であり、引張り弾性率比の最大値と最小値の差が0.20以下、分子配向角が0±20°以下に制御されたポリイミドフィルムであることが確認できた。寸法変化率を表1に示す。
TD収縮率を0.00、TD膨張率を0.00とした以外は、実施例1と同じ製造方法にてポリイミドフィルムを作製した。
このこのようにしてできたポリイミドフィルムを実施例1と同様の方法で物性値評価を行った。その結果を表2に記載する。その結果、フィルムの分子配向角が端部で、45°と大きな分子配向角を持ち分子配向角が制御されていないフィルムであることを確認した。
また、更に、エッチング後の寸法変化の特にフィルムの搬送方向から45°方向と−45°方向の寸法変化量が大きくなることが明らかになった。
2 サンプルフィルム(分子配向軸方向)
3 サンプルフィルム(分子配向軸に垂直方向)
4 分子配向軸に垂直な方向
11 MD方向(フィルムの機械送り方向)
12 正(プラス)の分子配向角
13 負(マイナス)の分子配向角
14 TD方向(フィルムの機械送り方向に垂直な方向)
40 段階的加熱炉
41 第一の加熱炉
42 第ニの加熱炉
43 第三の加熱炉
44 第四の加熱炉
45 第五の加熱炉
46 巻き取り装置に巻き取る工程(ポリイミドフィルムの巻き取り装置)
50 ゲルフィルム
51 ポリイミドフィルム
52 ゲルフィルム把持部材(ゲルフィルムの端部把持装置)
53 ポリアミック酸溶液の塗布用ダイス
54 ポリアミック酸溶液の塗布用基材
55 ゲルフィルムの剥離部位
61 両端部固定端間のフィルムの幅
70 フレキシブルプリント配線板(FPC)
71 寸法変化率測定用サンプル
80 フィルムの搬送方向に直角な方向の測定部位(TD方向)
81 フィルムの搬送方向の測定部位(MD方向)
82 フィルムの搬送方向から45°方向(R方向)
83 フィルムの搬送方向から−45°方向(L方向)
84 フィルムの搬送方向(MD方向)
Claims (4)
- 連続的に生産されるポリイミドフィルムであって、その全幅において、分子配向軸方向の引張り弾性率(a)と分子配向軸に垂直な方向の引張り弾性率(b)とを測定したときに、引張り弾性率比(b)/(a) が0.500以上1.000未満となっており、かつ、(b)/(a)の最大値と最小値の差が0.20以下となっていることを特徴とするポリイミドフィルム。
- さらに、全幅において、ポリイミドフィルムの分子配向角の最大値と最小値の差が40°以下となっていることを特徴とする請求項1記載のポリイミドフィルム。
- さらに、全幅において、ポリイミドフィルムの分子配向角が、連続的に製造されるときの搬送方向(MD方向)を0°としたときに、0±20°以内となっていることを特徴とする請求項1または2記載のポリイミドフィルム
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリイミドフィルムを含む積層体。
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