JP2006027067A - 接着フィルムおよびフレキシブル金属張積層板並びにそれらの製造方法 - Google Patents

接着フィルムおよびフレキシブル金属張積層板並びにそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、ラミネート法で作製した際に寸法変化の発生が抑制されたフレキシブル金属張積層板が得られる接着フィルム、及びそれに金属箔を貼り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板、並びにその製造方法を提供することにある。
【解決手段】 ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けた接着フィルムであって、該接着フィルムのMD方向の弾性率が5GPa未満であって、
2.00>(MD方向の弾性率)/(TD方向の弾性率)>1.10
を満足することを特徴とする接着フィルムによって上記課題を達成しうる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けた接着フィルム、並びにこの接着フィルムに金属箔を貼り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板、並びにその製造方法に関する。
近年、エレクトロニクス製品の軽量化、小型化、高密度化にともない、各種プリント基板の需要が伸びているが、中でも、フレキシブル積層板(フレキシブルプリント配線板(FPC)等とも称する)の需要が特に伸びている。フレキシブル積層板は、絶縁性フィルム上に金属箔からなる回路が形成された構造を有している。
上記フレキシブル積層板は、一般に、各種絶縁材料により形成され、柔軟性を有する絶縁性フィルムを基板とし、この基板の表面に、各種接着材料を介して金属箔を加熱・圧着することにより貼りあわせる方法により製造される。上記絶縁性フィルムとしては、ポリイミドフィルム等が好ましく用いられている。上記接着材料としては、エポキシ系、アクリル系等の熱硬化性接着剤が一般的に用いられている(これら熱硬化性接着剤を用いたFPCを以下、三層FPCともいう)。
熱硬化性接着剤は比較的低温での接着が可能であるという利点がある。しかし今後、耐熱性、屈曲性、電気的信頼性といった要求特性が厳しくなるに従い、熱硬化性接着剤を用いた三層FPCでは対応が困難になると考えられる。これに対し、絶縁性フィルムに直接金属層を設けたり、接着層に熱可塑性ポリイミドを使用したFPC(以下、二層FPCともいう)が提案されている。この二層FPCは、三層FPCより優れた特性を有し、今後需要が伸びていくことが期待される。
二層FPCに用いるフレキシブル金属張積層板の作製方法としては、金属箔上にポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を流延、塗布した後イミド化するキャスト法、スパッタ、メッキによりポリイミドフィルム上に直接金属層を設けるメタライジング法、熱可塑性ポリイミドを介してポリイミドフィルムと金属箔とを貼り合わせるラミネート法が挙げられる。この中で、ラミネート法は、対応できる金属箔の厚み範囲がキャスト法よりも広く、装置コストがメタライジング法よりも低いという点で優れている。ラミネートを行う装置としては、ロール状の材料を繰り出しながら連続的にラミネートする熱ロールラミネート装置またはダブルベルトプレス装置等が用いられている。上記の内、生産性の点から見れば、熱ロールラミネート法をより好ましく用いることができる。
従来の三層FPCをラミネート法で作製する際、接着層に熱硬化性樹脂を用いていたため、ラミネート温度は200℃未満で行うことが可能であった(特許文献1参照)。これに対し、二層FPCは熱可塑性ポリイミドを接着層として用いるため、熱融着性を発現させるために200℃以上、場合によっては400℃近くの高温を加える必要がある。そのため、ラミネートされて得られたフレキシブル金属張積層板に残留歪みが発生し、エッチングして配線を形成する際、並びに部品を実装するために半田リフローを行う際に寸法変化となって現れる。
特にラミネート法の一例を挙げると、ポリイミドフィルム上に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設ける際に、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を流延、塗布した後に連続的に加熱してイミド化を行い、金属箔を貼り合わせる方法があるが、イミド化の工程だけでなく、金属層を張り合わせる際も連続的に加熱加圧を行うため、材料は張力がかけられた状態で加熱環境下に置かれることが多い。その結果、フレキシブル積層板から金属箔をエッチングする際と、半田リフローを通して加熱する際にこの歪みが解放され、これらの工程の前後で寸法変化となって現れる場合が多かった。
近年、電子機器の小型化、軽量化を達成するために、基板に設けられる配線は微細化が進んでおり、実装する部品も小型化、高密度化されたものが搭載される。そのため、微細な配線を形成した後の寸法変化が大きくなると、設計段階での部品搭載位置からずれて、部品と基板とが良好に接続されなくなるという問題が生じる。
そこで、ラミネート圧力の制御や、接着フィルムの張力制御により、寸法変化を抑える試みがなされている(特許文献2または3参照)。しかしながら、これらの手段により寸法変化は改善されるものの、まだ充分ではなく、更なる寸法変化の改善が求められている。
特開平9−199830号公報 特開2002−326308号公報 特開2002−326280号公報
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、寸法変化の発生が抑制された接着フィルム、および金属箔を張り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板を提供することにある。また、フィルムと金属箔とを加熱、加圧しながら張り合わるラミネート法で連続的に作製した際に寸法変化の発生が抑制されたフレキシブル金属張積層板が得られる接着フィルム、及びそれに金属箔を貼り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板、並びにその製造方法を提供することにある。さらには、前記ラミネート法で金属箔と張り合わせた場合に、得られる金属張積層板の全幅において寸法変化率の安定性に優れる接着フィルム、それに金属箔を貼り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板、並びにその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けた接着フィルムについて、接着フィルムの弾性率が特定の関係を満足する場合に、FPCの製造工程で発生する寸法変化を抑制できることを見出した。具体的には、FCCLの銅箔をエッチングしてパターニングする工程、パターニングしたFPCを加熱する工程で発生する寸法変化を抑制できるものである。
また、特に、連続的に生産される接着フィルムにおいては、全幅において接着フィルムの弾性率が特定の関係を満足する場合に、例えば、熱可塑性ポリイミドのイミド化時や、金属箔とのラミネート時における熱応力の発生を緩和し、寸法変化の発生を効果的に抑制できることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、下記の新規な接着フィルムおよびフレキシブル金属張積層板およびその製造方法により上記課題を解決しうる。
(1)ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けた接着フィルムであって、該接着フィルムのMD方向の弾性率が5GPa未満であって、
2.00>(MD方向の弾性率)/(TD方向の弾性率)>1.10
を満足することを特徴とする、接着フィルム。
(2)ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けた接着フィルムであって、該接着フィルムは、連続的に生産されるとともに、全幅において、該接着フィルムのMD方向の弾性率が5GPa未満の場合、
2.00>(MD方向の弾性率)/(TD方向の弾性率)>1.10
を満足することを特徴とする、接着フィルム。
(3)前記接着フィルムの幅が250mm以上の長尺フィルムであることを特徴とする2)記載の接着フィルム。
(4)金属箔とともに、一対以上の金属ロールにより加熱および加圧して連続的に張り合わせられる2)または3)記載の接着フィルム。
(5)1)〜4)のいずれか一項に記載の接着フィルムに金属箔を貼り合わせて得られることを特徴とする、フレキシブル金属張積層板。
(6)2)または3)記載の接着フィルムと金属箔とを加熱および加圧しながら連続的に張り合わせることを特徴とするフレキシブル金属張層板の製造方法。
本発明の接フィルムおよびフレキシブル金属張積層板は、寸法変化の発生が抑制されており、特にラミネート法における寸法変化の発生も効果的に抑制できる。具体的には、(1)金属箔を除去する前後の寸法変化率について、MD方向およびTD方向の、各々の寸法変化率を小さくできるとともに、MD方向およびTD方向の寸法変化の差異を小さくすることができ、例えば、0.40%以下の範囲とすることが可能である。また、(2)金属箔を除去する前後の寸法変化率と金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率の累積値について、MD方向およびTD方向の、各々の累積値を小さくできるとともに、MD方向およびTD方向の累積値の差異を小さくすることができ例えばMD方向とTD方向の差異が0.60%以下の範囲とすることが可能である。
従って、微細な配線を形成したFPC等にも好適に用いることが可能で、位置ずれ等の問題を改善できる。特に、連続的に生産される幅250mm以上の接着フィルムの場合には、上述の寸法変化率が小さいのみならず、フィルムの全幅における寸法変化率が安定しているという効果を奏する。
本発明の実施の形態について、以下に説明する。
本発明に係る接着フィルムは、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けて成ることを特徴とする。
本発明においては、接着フィルムの弾性率はMD方向とTD方向の両方を規定することによって、金属箔と張り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板において、金属箔を除去する前後の寸法変化率のMD方向とTD方向の差異を小さくすることができ、また、金属箔を除去する前後の寸法変化率と金属箔除去後に加熱を行う前後の寸法変化率の累積値を小さくすることが可能となる。
すなわち、本発明の接着フィルムは、接着フィルムのMD方向の弾性率が5GPa未満の場合、
2.00>(MD方向の弾性率)/(TD方向の弾性率)>1.10
を満足するものである。
MD方向の弾性率がTD方向の弾性率よりも大きいと、金属箔と張り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板において、金属箔を除去する前後の寸法変化率のMD方向とTD方向の差異を小さくすることができ、また、金属箔を除去する前後の寸法変化率と金属箔除去後に加熱を行う前後の寸法変化率の累積値を小さくすることが可能となる。
本発明の接着フィルムは、(MD方向の弾性率)/(TD方向の弾性率)で規定される値が2.00よりも小さく、1.10よりも大きいことが必要である。
(MD方向の弾性率)/(TD方向の弾性率)は、1.10よりも大きければ、寸法変化は改善されると考えられるが、あまりこの値が大きくなりすぎると、MD方向とTD方向の寸法変化のバランスが保たれなくなる場合があるので、上限は2.00とすることが好ましい。具体的には、TD方向の寸法変化が悪化する場合がある。
なお、弾性率は、フィルムの長手方向およびそれに垂直な方向(幅方向)に沿って、短冊状の測定サンプルを切り出し、各々の方向についてASTM D882に準拠し測定する。
このような弾性率を有する接着フィルムを得る方法は、特に限定されないが、例えば、(a)コアであるポリイミドフィルムとして、MD方向の弾性率、TD方向の弾性率が制御されたフィルムを用いるとともに、ポリイミドフィルムと接着層の厚みを各々選択することにより、接着フィルムの弾性率を制御する方法、(b)ポリイミドフィルムが揮発成分を含んだ状態で接着層を設けるとともに、ポリイミドフィルムが揮発成分を含んだ状態でTD方向及び/又はMD方向に延伸することによって、接着フィルムの弾性率を制御する方法、(c)ポリイミドフィルム層と接着層を共押出により形成する方法などが挙げられる。
特に、連続的に生産される接着フィルムにおいては、全幅において接着フィルムの弾性率が上述の関係を満足する場合には、例えば、熱ロールラミネート法により連続的に金属箔と張り合わせて得られるFPCの、寸法変化の発生を効果的に抑制できる。
このうち、MD方向およびTD方向の弾性率が制御されたポリイミドフィルムを用いるとともに、ポリイミドフィルムと接着層の厚みを適宜選択する方法は、容易に目的とする接着フィルムを得ることができるとともに、弾性率が、全幅において上述の関係を満たす接着フィルムを得やすいことから好ましい。以下、本発明の接着フィルムを構成するポリイミドフィルム、熱可塑性ポリイミドを含む接着層、接着性フィルムの製造、フレキシブル金属張積層板、フレキシブル金属張積層板の製造の順で説明する。
(I)本発明の接着フィルムを構成するポリイミドフィルム
本発明に係る接着フィルムにおける、ポリイミドフィルムは、例えば、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を重合する工程、得られたポリアミド酸と有機溶剤を含む組成物を支持体上に連続的に流延・塗布し、ゲルフィルムを形成する工程、ゲルフィルムを支持体から引き剥がしゲルフィルムの両端を固定する工程、フィルムの両端を固定しながら加熱炉内を搬送する工程、を含む製造方法を採用することができ、その一例を以下に例示する。
(第一の製造方法)
(A)ポリアミド酸を重合する工程
(B)ポリアミド酸及び有機溶媒を含む組成物を支持体上に流延・塗布後、ゲルフィルムを形成する工程、
(C)該ゲルフィルムを引き剥がし、両端を固定する工程
(D)フィルムの両端を固定しながら加熱炉内を搬送する工程、
(E)(D)工程後に、フィルムの両端固定を解除した状態で加熱・延伸する工程
を含むポリイミドフィルムの製造方法である。
(A)工程
(A)工程は、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を重合する工程である。ポリアミド酸の製造方法としては公知の方法を用いることができ、通常、芳香族酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種を、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解させて、得られた有機溶媒溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらの有機溶媒溶液は通常5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得る。
重合方法としてはあらゆる公知の方法を用いることができるが、特に好ましい重合方法として次のような方法が挙げられる。すなわち、
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
などのような方法である。これらの方法は、単独で用いてもよいし、部分的に組み合わせて用いることもできる。
ここで、本発明にかかるポリアミド酸有機溶媒組成物に用いられる材料について説明する。本発明において用いうる適当な酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物を含み、これらを単独または、任意の割合の混合物が好ましく用い得る。
本発明にかかるポリアミド酸において使用し得る適当なジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3‘−ジメチルベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、パラフェニレンジアミン及びそれらの類似物などが挙げられる。
ジアミン成分として、剛直構造を有するジアミンと柔構造を有するアミンを併用することもできる。得られるフィルムの持つ線膨張係数の値をコントロールするには、剛構造のジアミンの使用比率が大きくなると線膨張係数を小さくでき、柔構造を有するアミンの使用比率が大きくなると、線膨張係数を小さくすることができる。
本発明において、剛直構造を有するジアミンとは、
Figure 2006027067
式中のR2は
Figure 2006027067
で表される2価の芳香族基からなる群から選択される基であり、式中のR3は同一または異なってH−,CH3−、−OH、−CF3、−SO4、−COOH、−CO-NH2、Cl−、Br−、F−、及びCH3O−からなる群より選択される何れかの1つの基である)
で表されるものをいう。
また、柔構造を有するジアミンとは、エーテル基、スルホン基、ケトン基、スルフィド基などの柔構造を有するジアミンであり、好ましくは、下記一般式(2)で表されるものである。
Figure 2006027067
(式中のR4は、
Figure 2006027067
で表される2価の有機基からなる群から選択される基であり、式中のR5は同一または異なって、H−,CH3−、−OH、−CF3、−SO4、−COOH、−CO-NH2、Cl−、Br−、F−、及びCH3O−からなる群より選択される1つの基である。)
本発明において用いられるポリイミドフィルムは、上記の範囲の中で所望の特性を有するフィルムとなるように適宜芳香族酸二無水物および芳香族ジアミンの種類、配合比を決定して用いることにより得ることができる。
特に、好ましいジアミン成分は、線膨張係数や弾性率の制御のし易さの観点からは、獣構造を有するジアミンとしては4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル、剛直構造を有するジアミン成分としてはパラフェニレンジアミンが好ましく、更にこのましくは併用が好ましい。また、フィルムの耐環境性(高温高湿下暴露)の観点からは、剛直構造のジアミンの使用比率は、全ジアミンに対して、80モル%以下が好ましい。
酸成分として、弾性率以外の、FPCに必要なフィルム特性、線膨張係数、耐薬品性、吸水率、吸湿膨張係数、をコントロールできるという点から、酸二無水物の中で特にはピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
またこれら酸二無水物の中で3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)から選択される少なくとも一種を用いる場合の好ましい使用量は、全酸二無水物に対して、60mol%以下、好ましくは55mol%以下、更に好ましくは50mol%以下である。3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)から選択される少なくとも一種を用いる場合、その使用量がこの範囲を上回るとポリイミドフィルムのガラス転移温度が低くなりすぎたり、熱時の貯蔵弾性率が低くなりすぎて製膜そのものが困難になったりすることがあるため好ましくない。
また、ピロメリット酸二無水物を用いる場合、好ましい使用量は40〜100mol%、更に好ましくは45〜100mol%、特に好ましくは50〜100mol%である。ピロメリット酸二無水物をこの範囲で用いることによりガラス転移温度および熱時の貯蔵弾性率を使用または製膜に好適な範囲に保ちやすくなる。
また、適度な弾性率を発現する為には、好ましくは、少なくともピロメリット酸、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、パラフェニレンジアミンの併用が好ましい。4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの使用量は全ジアミン成分に対し50モル%以上、パラフェニレンジアミンの使用量は全ジアミン成分に対し50モル%以下がフィルムの耐環境性(高温高湿下曝露後の劣化)、フィルム加工性並びにフィルム特性(弾性率制御)の観点で好ましい。更にピロメリット酸の使用量は全酸二無水物使用量に対し70モル%以上が好ましい。
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、ポリアミド酸を溶解する溶媒であればいかなるものも用いることができるが、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用い得る。
(B)工程
(B)ポリアミド酸及び有機溶媒を含む組成物(ポリアミド酸溶液ともいう)を支持体上に流延・塗布後、ゲルフィルムを形成する工程、である。(B)工程で用いる組成物は、ポリアミド酸と反応しうる反応剤など、その他の成分を添加した組成物を用いてもよい。
これらポリアミド酸溶液をポリイミドに転化する方法については従来公知の方法を用いることができる。この方法には熱イミド化法と化学イミド化法が挙げられる。熱イミド化法は、上記の脱水剤及びイミド化触媒を作用させることなく、加熱によってのみイミド化を促進させる方法である。加熱条件は、ポリアミド酸の種類、フィルムの厚さ等により、変動し得る。化学イミド化法は、ポリアミド酸有機溶媒溶液に、脱水剤及びイミド化触媒とを作用させる方法である。脱水剤としては、例えば無水酢酸などの脂肪族酸無水物、無水安息香酸などの芳香族酸無水物などが挙げられる。イミド化触媒としては、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリンなどの複素環式第3級アミン類などが挙げられる。
これらの中で、特に脱水剤としては無水酢酸、イミド化触媒としてイソキノリンを用いるのが好ましい。ポリアミド酸有機溶媒溶液のアミック酸1モルに対して無水酢酸はモル比で1.0〜4.0、好ましくは1.2〜3.5、更に好ましくは1.5〜2.5加えるのがよく、イソキノリンはポリアミド酸有機溶媒溶液のアミック酸1モルに対してモル比で0.1〜2.0、好ましくは0.2〜1.5、更に好ましくは0.3〜1.2、特に好ましくは0.3〜1.1の割合で加えると良好なポリイミドフィルムが得られる。
また、摺動性、熱伝導性、導電性、耐コロナ性、ループスティフネス等のフィルムの諸特性を改善する目的でフィラーを添加することもできる。フィラーとしてはいかなるものを用いても良いが、好ましい例としてはシリカ、酸化チタン、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、雲母などが挙げられる。
フィラーの粒子径は改質すべきフィルム特性と添加するフィラーの種類によって決定されるため、特に限定されるものではないが、一般的には平均粒径が0.05〜100μm、好ましくは0.1〜75μm、更に好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは0.1〜25μmである。粒子径がこの範囲を下回ると改質効果が現れにくくなり、この範囲を上回ると表面性を大きく損なったり、機械的特性が大きく低下したりすることがある。また、フィラーの添加部数についても改質すべきフィルム特性やフィラー粒子径などにより決定されるため特に限定されるものではない。一般的にフィラーの添加量はポリイミド100重量部に対して0.01〜100重量部、好ましくは0.01〜90重量部、更に好ましくは0.02〜80重量部である。フィラー添加量がこの範囲を下回るとフィラーによる改質効果が現れにくく、この範囲を上回るとフィルムの機械的特性が大きく損なわれる可能性がある。フィラーの添加は、
1.重合前または途中に重合反応液に添加する方法
2.重合完了後、3本ロールなどを用いてフィラーを混錬する方法
3.フィラーを含む分散液を用意し、これをポリアミド酸有機溶媒溶液に混合する方法
などいかなる方法を用いてもよいが、フィラーを含む分散液をポリアミド酸溶液に混合する方法、特に製膜直前に混合する方法が製造ラインのフィラーによる汚染が最も少なくすむため、好ましい。フィラーを含む分散液を用意する場合、ポリアミド酸の重合溶媒と同じ溶媒を用いるのが好ましい。また、フィラーを良好に分散させ、また分散状態を安定化させるために分散剤、増粘剤等をフィルム物性に影響を及ぼさない範囲内で用いることもできる。
このようにして得られた組成物を、支持体上に連続的に流延・塗布する。支持体としては、該溶液樹脂により溶解することが無く、該合成樹脂溶液の有機溶剤溶液を除去するために要する加熱にも耐えうる支持体であればどのような支持体でも用いることができる。特に好ましくは、金属板を繋ぎ合わせて作製した、エンドレスベルトもしくは金属ドラムが溶液状の塗布液を乾燥させる上で好ましい。尚、エンドレスベルトもしくはドラムの材質は、金属が好ましく用いられ中でも、SUS材が好ましく用いられる。表面には、クロム、チタン、ニッケル、コバルト等の金属にてメッキを施したものを用いることで表面上の溶剤の密着性が向上する、或いは、乾燥した有機絶縁性フィルムが剥離しやすくなるのでメッキ処理を施すことが好ましい。エンドレスベルト、金属ドラム上は平滑な表面を有することが好ましいが、エンドレスベルト上もしくは金属ドラム上には無数の凸凹を作製して用いることも可能である。エンドレスベルトもしくは金属ドラム上に加工される凸凹の直径は0.1μm〜100μmで深さが0.1〜100μmであることが好ましい。金属表面に凸凹を作製することで有機絶縁性フィルムの表面に微細な突起を作製することが可能となり、該突起によりフィルム同士の摩擦による傷の発生、もしくは、フィルム同士のすべり性を向上させることが可能となる。
本発明におけるゲルフィルムとは、ポリアミド酸溶液を加熱・乾燥させて一部の有機溶剤もしくは反応生成物(これらを残存成分と称する)が高分子フィルム中に残存している高分子樹脂フィルムをゲルフィルムと称する。ポリイミドフィルムの製造工程においては、ポリアミド酸溶液を溶解している有機溶剤、イミド化触媒、脱水剤、反応生成物(脱水剤の吸水成分、水)がゲルフィルム中の残存成分として残る。ゲルフィルム中に残存する残存成分割合は、該ゲルフィルム中に存在する乾燥後のゲルフィルムの重量(即ち固形分重量)a(g)に対して残存する残存成分重量b(g)を算出した際に、残存成分割合cは下記の算出式で算出される値であり、該残存成分割合が500%以下であることが好ましく、さらに好ましくは10%以上300%以下、特に好ましくは20%以上100%以下であることが好ましい。
c=b/a×100 ・・・(式1)
500%以上の場合には、面内における残存成分割合のバラツキが相対的に大きくなり、得られるフィルムの特性を均一に制御することが困難な場合がある。フィルム面内における、残存成分割合のバラツキは、所定の残存成分割合をXとした場合、下記(式2)で表される範囲内であることが、MD方向に分子の配向が制御したフィルムを得やすいという点から好ましい。
0.8X≦X≦1.2X ・・・ (式2)
Xを(式2)の範囲内に制御するには、支持体上での乾燥を、例えば、ジェットノズル方式で乾燥する場合には、熱風をフィルムに対してできるだけ垂直に吹き付ける、支持体上のフィルム幅よりも広い範囲で熱風を吹き付ける、あるいはフィルム幅方向においてできるだけ温度を一定にする、などの方法が挙げられる。
乾燥後のゲルフィルムの重量aと残存成分重量bの算出方法は、100mm×100mmのゲルフィルム重量dを測定した後に、該ゲルフィルムを450℃のオーブン中で20分乾燥した後、室温まで冷却後、重量を測定し完全乾燥合成樹脂重量aとする。残存成分重量bは、ゲルフィルム重量dと完全乾燥合成樹脂重量aからb=d−aの算出式より算出される。
ゲルフィルムを製造する工程において、支持体上で加熱・乾燥させる際の温度・風速・排気速度は残存成分割合が上記範囲内になるように決定することが好ましい。特に、ポリイミドフィルムの製造過程においては50〜200℃の範囲の温度で高分子と有機溶剤を含有した有機溶剤溶液を加熱・乾燥させることが好ましく、特に好ましくは50〜180℃で加熱・乾燥させることが好ましい。尚、乾燥時間は、20秒〜30分の範囲内で乾燥させ、多段式の温度管理で乾燥させることが好ましい。
(C)工程
(C)工程は、ゲルフィルムを支持体から引き剥がし連続的にゲルフィルムの両端を固定する工程である。本願発明における、ゲルフィルムの端部を固定する工程とは、ピンシート、クリップ等の一般にフィルムの製造装置において用いられる把持装置を用いてゲルフィルムの端部を把持する工程である。
(D)工程
(D)工程は、フィルムの両端を固定しながら加熱炉内を搬送する工程である。(D)工程での加熱温度は、最高雰囲気温度が450℃以下であることが、全幅にわたってMD/TD方向の弾性率が制御されたフィルムが得られるという点から好ましい。さらに好ましくは、400℃以下である。雰囲気温度とは、遠赤ヒーターテンターにおいては炉内で走行するフィルム近傍の温度である。熱風循環型のテンターにおいては循環する熱風の温度のことを言う。
(D)工程の加熱工程は、熱風処理または輻射熱線処理であることがフィルムを巾方向(TD方向)に均一に加熱できる点から好ましい。また、熱風処理と輻射熱線処理の組み合わせであることもフィルムを巾方向(TD方向)に均一に加熱できるの点から好ましい。(D)工程の加熱処理が熱風処理である場合には、450℃以下の熱風処理、更には400℃以下の熱風処理であることが好ましく、輻射熱線処理である場合には、430℃以下の輻射熱線処理であることが好ましく、さらには400℃以下の輻射熱線処理であることが好ましい。
上記熱風処理において、フィルムに熱風を当てる方法として熱風炉を用いる場合、どのような熱風炉を用いてもよいが、一例として熱風炉が考えられる。また、上記輻射熱線処理において、フィルムに輻射熱線を当てる方法として輻射熱線ヒーター炉を用いる場合、どのような輻射熱線ヒーター炉を用いてもよいが、一例として輻射熱線ヒーター炉が考えられる。なお、ここでいう輻射熱線とは、どのようなものを用いてもよいが、一例として赤外線、遠赤外線等が挙げられる。また、熱風や輻射熱線をフィルムに当てる方法として熱風炉や輻射熱線ヒーター炉を単独で、もしくは複数の炉を組み合わせて用いる他に、熱風と輻射熱線を同時にフィルムに当てることができる炉ことも可能である。
(E)工程
(E)工程は、(D)工程後に、両端を固定しているピン、クリップなどからフィルムを剥がすなどして、フィルムの両端固定を解除した状態で加熱する工程である。
(E)工程における張力が、フィルムに0.10kg/mm2〜1.50kg/mm2であることが好ましい。0.10kg/mm2以下の張力であると、MD方向の弾性率とTD方向の弾性率が制御されにくい場合があり、1.5kg/mm2以上であると、フィルムの平坦性が失われる場合がある。好ましくは0.20kg/mm2〜1.0kg/mm2、さらに好ましくは0.20kg/mm2〜0.80kg/mm2である。
(E)工程における加熱温度は、最高雰囲気温度が430℃以上であることが、全幅にわたって分子の配向が制御されたフィルムが得られるという点から好ましい。更に好ましくは450℃以上、更に好ましくは、500℃以上が好ましい。
(E)工程での加熱処理は、熱風処理または輻射熱線処理であることがフィルムを巾方向(TD方向)に均一に加熱できるの点から好ましい。また、熱風処理と輻射熱線処理の組み合わせであることもフィルムを巾方向(TD方向)に均一に加熱できるの点から好ましい。
(E)工程の加熱処理が熱風処理である場合には、430℃以上の熱風処理、さらには450℃〜570℃、熱風処理であることが好ましく、特には470℃〜560℃であることが好ましい。輻射熱線処理である場合には、400℃以上の輻射熱線処理であることが好ましく、さらには430℃〜570℃であることが好ましく、特には450℃〜560℃であることが好ましい。
また、(E)工程においては、熱風処理と輻射熱線処理を同時に行うこともフィルムを巾方向(TD方向)に均一に加熱できるの点から好ましく、この場合400℃以上、さらに好ましくは430℃〜570℃であることが好ましい。
(E)工程の熱風処理における熱風炉、輻射熱線処理における輻射熱線ヒータ炉は、(B)工程に例示したものを使用することができる。
なお、フィルム端部の固定を解除した後、一旦低温焼成フィルムを巻取ってから、(E)工程に供してもよいし(例えばロール・トゥー・ロールで張力制御可能なフィルム搬送装置を有する熱風炉や輻射熱線ヒーター炉などの加熱炉に、(D)工程後、巻き取った低温焼成フィルムを通し、(E)工程を行う等)、(D)工程後、端をピン等で固定しない状態で、引き続き熱風炉や輻射熱線ヒーター炉などの加熱炉に通す等の方法により、(E)工程を行ってもよい。
また、FCCL並びにFPCに用いられる有機絶縁性フィルムの全面内での厚みは、以下の範囲内が接着剤塗布加工性並びにFPC加工工程の寸法変化率の観点で好ましい。
厚み規定について
所望の厚み(中心値)をTミクロンとすると、
(A)フィルム全面内にて、T−T×0.10ミクロン以上、かつ、T+T×0.10ミクロン以下
(B)フィルム流れ方向(MD方向)については、最大値−最小値=T×0.15ミクロン以下
(C)フィルム流れ方向と直交方向(TD方向)については、最大値−最小値=T×0.15ミクロン以下
上記(A)〜(C)を同時に満たすことが好ましい。
(第二の方法)
第二の方法は、連続的に生産される有機絶縁性フィルムの製造方法において、少なくとも、(A)ポリアミド酸を重合する工程
(B)ポリアミド酸及び有機溶媒を含む組成物を支持体上に流延・塗布後、ゲルフィルムを形成する工程、
(C)該ゲルフィルムを引き剥がし、両端を固定する工程
(D)フィルムの両端を固定しながら加熱炉内を搬送する工程、
を含む有機絶縁性フィルムの製造方法であって、前記(D)工程は、(D−1)少なくとも一部においてフィルム幅方向(TD方向)の張力が実質的に無張力となるように固定されて搬送する工程を含むことを特徴とする有機絶縁性フィルムの製造方法である。
(A)工程
(A)工程は、前述の(第一の方法)で詳述した(A)工程と同様の方法を採用することができる。
(B)工程
(B)工程は、前述の(第一の方法)で詳述した(B)工程と同様の方法を採用することができる。この工程におけるゲルフィルムの残留成分割合は、500%以下であることが好ましく、さらに好ましくは25〜200%、特に好ましくは30〜150%である。
(C)工程
(C)工程は、前述の(第一の方法)で詳述した(C)工程と同様の方法を採用することができる。なお、後述する(D)工程においての少なくとも一部においてTD方向の張力が実質的に無張力となるように固定する方法として、この(C)工程の、ゲルフィルムの端部を固定する際に、TD方向の張力が実質的に無張力となるように固定してもよい。フィルムを固定する段階で、TD方向の張力が実質的に無張力となるように行い、そのまま(D)工程へ送る方法である。具体的には、端部を固定する際に、フィルムを弛ませて固定するのである。
(D)工程
(D)工程は、フィルムの両端を固定しながら加熱炉内を搬送する工程である。本発明においては、この(D)工程の少なくとも一部において(D−1)フィルム幅方向(TD方向)の張力が実質的に無張力となるように固定されて搬送する工程を含むことが、MD方向に配向が制御された有機絶縁性フィルムを得るという点で好ましい。
ここで、TD方向の張力が実質的に無張力であるとは、フィルムの自重による張力以外に、機械的なハンドリングによる引っ張り張力がTD方向にかからないことを意味している。実質的にはフィルムの両端部固定端の距離(図1の7)よりも両端部固定端間のフィルムの幅(図1の8)が広いことを意味しており、そのような状況下でのフィルムを実質的に無張力下のフィルムと言う。図1を用いて説明すると、フィルムは、把持装置によって固定され、このとき図1の7の長さが両端部固定装置端の距離である。通常は、フィルムの両端はピンと張力がかかった状態であり、この両端部固定端距離7と両端部固定端間のフィルムの幅8は同じである。本発明においては、図1のように、両端部固定端距離7とこの間のフィルムの幅8は異なり、両端部固定端の距離が小さくなっている。具体的には、フィルムは弛ませて固定されているのである。特に、MD方向の分子配向を制御しやすいという点から、両端部固定端の距離7をX、両端部固定端間のフィルムの幅8をYとしたとき、XとYが下記式を満足するように固定されていることが好ましい。
20.0≧(Y−X)/Y×100>0.00・・・・(式3)
(Y−X)/Y×100(これを便宜上TD収縮率という場合がある)を上記範囲以上に大きくすると、フィルムの弛みを安定的に制御することが難しくなり、弛み量が進行方法に対して変化する場合がある。また場合によってはフィルムの弛みによる端部把持装置からの脱落が生じ、安定したフィルムの製造ができない場合がある。さらに好ましくは15.0≧(Y−X)/Y×100>0.00である。特に好ましくは10.0≧(Y−X)/Y×100>0.00である。
本発明においては、(D)工程における加熱炉の入り口において、TD方向の張力が実質的に無張力となるように固定されていることが、フィルム全幅においてMD方向に配向軸を向けてフィルムを製造する点から好ましい。加熱炉の入り口において、TD方向の張力が実質的に無張力となるように固定されて搬送するには、前述の(C)工程の、ゲルフィルムの端部を固定する際に、TD方向の張力が実質的に無張力となるように固定し、そのまま(D)工程に送る方法(方法その1)の他に、(C)工程の後、一旦両端部固定端の距離を縮める操作(図2記載の方式)を行って、(D)工程に送る方法(方法その2)が挙げられる。方法その1は、ゲルフィルムの両端を固定する際に、(式3)を満たすように固定する方法が好ましく、方法その2は、(式3)を満たすように固定端の距離を縮めることが好ましい。
もちろん、(D)工程の加熱炉に入って後、両端部固定端の距離を縮める操作を行ってもよく(方法その3)、これらの方法を組み合わせて行ってもよい。方法その3では、両端部固定端の距離を縮める操作は300℃以下、さらには250℃以下、特には200℃以下の温度範囲で行うことが好ましい。300℃以上の温度領域において第三の操作を行った場合には、フィルムの配向を制御しにくくなる傾向にあり、特にフィルム端部での配向が制御しにくくなる傾向にある。
(D)工程では、フィルムが急激に加熱されるため、フィルムはある程度収縮する。従って、加熱炉の入り口で、TD方向の張力が実質的に無張力となるように固定して搬送すると、加熱によるフィルムの収縮によって、フィルム幅が小さくなるので、両端部固定端距離と両端部固定端間のフィルムの幅は同じとなり、しわのないフィルムが製造できるのである。
本願発明に好適に用いられる加熱炉は、フィルム上面もしくは下面、或いは、両面から100℃以上の熱風をフィルム全体に噴射して加熱する方式の熱風炉、もしくは、遠赤外線を照射してフィルムを焼成する遠赤外線発生装置を備えた遠赤外線炉が用いられる。加熱工程においては、段階的に温度を上げて焼成することが好ましく、その為に、熱風炉、もしくは、遠赤外線炉、もしくは、熱風炉と遠赤外線炉を混在させながら数台連結して焼成する段階式の加熱炉を用いることが好ましい。各炉の間には、前炉からの熱を次炉へ伝えないために、各炉を仕切るための装置が備え付けられていることが好ましい。
上記焼成過程において本願発明では、ポリイミドフィルムの製造工程においては、ゲルフィルムを把持し、炉内に搬送した際の最初に与えられる加熱温度が100℃以上、250℃以下が好ましく、特に好ましくは、120℃以上200℃以下であることが、MD方向に配向が制御された有機絶縁性フィルムを得やすい点から好ましい。具体的には、前記加熱炉は、2以上の複数の加熱炉にし、第一の加熱炉の温度を100℃以上250℃以下とすることが好ましい。また、他の有機絶縁性フィルムに適応させる場合には、有機絶縁性フィルムの種類及び溶剤の揮発温度を考慮して決定することが好ましい。特に、ゲルフィルム中に含まれる溶剤の沸点を調査し、該溶剤の沸点よりも100℃低い温度から100℃高い温度までの範囲の温度で管理することが望ましい。
ポリイミドフィルムの製造において、炉内に搬送した際の最初に与えられる加熱温度が250℃以上の場合にはポリイミドフィルム上でボーイング現象(フィルムの収縮の影響で中央部がフィルムの端部よりも早く加熱炉内部に搬送されるため、端部に強い分子配向状態が発生する現象)が発生しフィルムの端部の配向軸を制御しにくくなる傾向にある。さらに、100℃以下の場合には、次ぎの炉の温度を100℃以上、250℃以下の温度に設定することで分子配向軸を制御したポリイミドフィルムの製造が可能となる。また、初期温度及び次炉の温度は上記のように設定することが好ましいが、それ以外の温度は通常のポリイミドフィルムの製造に用いられる焼成温度にて焼成することが好ましい。例えば、その一例として、ポリイミドフィルムの焼成には最高600℃までの温度にて段階的に焼成することが好ましい。最高焼成温度が低い場合には、イミド化率が完全でない場合があり充分に焼成することが必要となる。
炉内に搬送される際のゲルフィルムに与えるMD方向に与えられる張力はフィルム1mあたりにかけられる張力を算出することで、1〜20kg/mであることが好ましく、特に好ましくは1〜15kg/mであることが好ましい。張力が1kg/m以下の場合にはフィルムを安定して搬送することが難しく、フィルムを把持して安定したフィルムが製造しにくくなる傾向にある。また、フィルムにかける張力が20kg/m以上の場合には、特に、フィルムの端部においてMD方向に分子配向を制御しにくくなる傾向にある。炉内に搬送されるゲルフィルムに与える張力発生装置としては、ゲルフィルムに荷重をかける荷重ロール、ロールの回転速度を調整して荷重を変化させるロール、ゲルフィルムを2つのロールで挟み込み張力の制御を行う二ップロールを用いる方式等の種々の方法を用いてゲルフィルへの張力を調整することができる。
尚、フィルムに与える張力はポリイミドフィルムの厚みにより上記範囲内で適宜調整することが好ましい。フィルム厚みとしては、1〜200μmの厚みが好ましく、特に好ましくは1〜100μmであることが好ましい。
前記(D)工程は、さらに(D−2)フィルムをTD方向に引き延ばす工程を含むこともできる。
本発明における、(D−2)フィルムをTD方向に引き延ばす工程は、(D−1)工程を経た後、加熱炉の中で、フィルムをTD方向に引き延ばす工程である。(D−1)工程で、フィルム幅方向(TD方向)の張力が実質的に無張力となるように固定されて搬送するが、加熱炉内でフィルムが加熱されると、フィルムはある程度収縮する。収縮してフィルムの弛みがなくなった後、フィルムをTD方向に引き延ばすのである。引き延ばす量(これを便宜上膨張率という)は、引き延ばす前の、TD方向の両端部固定端の幅をB(図2)、フィルムが炉内でTD方向に引き伸ばされた際の両端部固定端の幅をC(図2)としたとき、下記式を満たすことが好ましい。
40.0≧(C−B)/B×100>0.00 (式4)
(C−B)/B×100(これを便宜上TD膨張率という場合がある)を上記範囲以上に大きくすると、フィルムの分子配向軸をMD方向に制御することが難しくなる場合がある。さらに好ましくは30.0≧(C−B)/B×100>0.00である。特に好ましくは20.0≧(C−B)/B×100>0.00である。
(D−2)工程は、フィルムの把持幅を徐々に広げながらTD方向にフィルムを引き伸ばせばよい。さらに、必要に応じて(D−2)工程以降に再度収縮を行ってもよく、さらに、フィルム幅を広げることも可能であり、収縮量、拡大量に関しては適宜選定することが好ましい。
(D−2)工程を行う温度は、合成樹脂フィルムが高温で弾性率の保持率が低下するフィルムである場合には、その弾性率の変化する温度±100℃の温度で引き伸ばす事が好ましい。特に、耐熱性に優れるポリイミドフィルムの場合には、300℃以上500℃以下、特に好ましくは350℃以上480℃以下がポリイミドフィルムの弾性率が低下してフィルムを引き伸ばしやすくなるので好ましい。尚、引き伸ばし温度で合成樹脂フィルムを炉内に搬送した際に、フィルムが軟化して伸びきってしまう場合がある。その場合には、上記範囲以外の温度を適宜設定することが好ましい。
上記、フィルムの弾性率の低下を確認するには、一般的に用いられている貯蔵弾性率の測定装置を用いてその貯蔵弾性率の測定温度を測定し、貯蔵弾性率の低下し始めて完全に溶融する、もしくは、貯蔵弾性率が低下し始めて一定の貯蔵弾性率を示す温度を弾性率の低下温度とする事がこのましい。
本発明においては、(D−1)工程での収縮及び、(D−2)工程での引き伸ばし、更には、搬送する際のMD方向のフィルム張力、ゲルフィルムの残存成分重量、加熱温度を適宜調節して、MD方向に配向が制御されたフィルムを製造すればよい。また、合成樹脂フィルムがポリイミドフィルムである場合は、化学イミド化を行うか、熱イミド化を行うかにより、フィルムの加熱温度、加熱時間が全く異なるが、熱イミド化の場合であっても、本願発明の方法内での制御を行えば、目的とするフィルムを得ることができる。
(II)熱可塑性ポリイミドポリイミドを含有する接着層
本発明に係る接着フィルムの接着層に含有される熱可塑性ポリイミドとしては、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミドイミド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリエステルイミド等を好適に用いることができる。中でも、低吸湿特性の点から、熱可塑性ポリエステルイミドが特に好適に用いられる。
また、既存の装置でラミネートが可能であり、かつ得られる金属張積層板の耐熱性を損なわないという点から考えると、本発明における熱可塑性ポリイミドは、150〜300℃の範囲にガラス転移温度(Tg)を有していることが好ましい。なお、Tgは動的粘弾性測定装置(DMA)により測定した貯蔵弾性率の変曲点の値により求めることができる。
熱可塑性ポリイミドは、前駆体であるポリアミド酸をイミド化することにより得られる。熱可塑性ポリイミドの前駆体についても、特に限定されるわけではなく、公知のあらゆるポリアミド酸を用いることができる。また、その製造に関しても、公知の原料や反応条件等を用いることができる。また、必要に応じて無機あるいは有機物のフィラーを添加しても良い。
(III)接着性フィルムの製造
本発明の接着フィルムは、上述の連続的に生産された特定のポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けることにより得られる。その具体的な製造方法としては、基材フィルムとなるポリイミドフィルムに接着層を形成する方法、又は接着層をシート状に成形し、これを上記ポリイミドフィルムに貼り合わせる方法等が好適に例示される。このうち、前者の方法を採る場合、接着層に含有される熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を完全にイミド化してしまうと、有機溶媒への溶解性が低下する場合があることから、ポリイミドフィルム上に上記接着層を設けることが困難となる場合がある。従って、上記観点から、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する溶液を調製して、これを基材フィルムに塗布し、次いでイミド化する手順を採った方がより好ましい。
ポリアミド酸溶液をポリイミドフィルムに流延、塗布する方法については特に限定されず、ダイコーター、リバースコーター、ブレードコーター等、既存の方法を使用することができる。接着層は連続的に形成する場合に、本発明の効果が顕著となる。すなわち、上述のようにして得られたポリイミドフィルムを巻き取り、これを繰り出して、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含む溶液を、連続的に塗布する方法である。また、前記ポリアミド酸溶液には、用途に応じて、例えば、フィラーのような他の材料を含んでもよい。また耐熱性接着フィルム各層の厚み構成については、用途に応じた総厚みになるように適宜調整すれば良い。また、必要に応じて、接着層を設ける前にコロナ処理、プラズマ処理、カップリング処理等の各種表面処理をコアフィルム表面に施しても良い。
この時のイミド化の方法としては、熱キュア法若しくはケミカルキュア法のどちらも用いることができる。いずれのイミド化手順を採る場合も、イミド化を効率良く進めるために加熱を行うが、その時の温度は、(熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度−100℃)〜(ガラス転移温度+200℃)の範囲内に設定することが好ましく、(熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度−50℃)〜(ガラス転移温度+150℃)の範囲内に設定することがより好ましい。熱キュアの温度は高い方がイミド化が起こりやすいため、キュア速度を速くすることができ、生産性の面で好ましい。但し、高すぎると熱可塑性ポリイミドが熱分解を起こすことがある。一方、熱キュアの温度が低すぎると、ケミカルキュアでもイミド化が進みにくく、キュア工程に要する時間が長くなってしまう。
イミド化時間に関しては、実質的にイミド化および乾燥が完結するに十分な時間を取ればよく、一義的に限定されるものではないが、一般的には1〜600秒程度の範囲で適宜設定される。また、接着層の熔融流動性を改善する目的で、意図的にイミド化率を低くする及び/又は溶媒を残留させることもできる。
イミド化する際にかける張力としては、MD方向に対して、フィルム厚みが25μmの場合、1kg/m〜15kg/mの範囲内とすることが好ましく、5kg/m〜10kg/mの範囲内とすることが特に好ましい。張力が上記範囲より小さい場合、フィルム搬送時にたるみが生じ、均一に巻き取れない等の問題が生じることがある。なお、フィルム厚みが変更される場合は、それにあわせて適宜変更すればよい。逆に上記範囲よりも大きい場合、接着フィルムに強い張力がかかった状態で高温まで加熱されるため、コアフィルムをMD配向させていたとしても接着フィルムに熱応力が発生し、寸法変化に影響を与えることがある。
FPCの耐熱性や、耐屈曲性の観点から、接着層の厚みは、0.5μm以上、10μm以下が好ましい。接着層の厚みは小さいほど、コアフィルムの弾性率の影響が大きくなる傾向にある。
好ましい接着層の厚みバラツキは、所望の厚みをTとしたとき、
0.7T>T>1.3T
となっていることが好ましい。接着層の厚みは、接着フィルム全体に影響を与えるからである。
(IV)フレキシブル金属張積層板およびその製造方法
本発明に係るフレキシブル金属張積層板は、上記接着フィルムに金属箔を貼り合わせることにより得られる。使用する金属箔としては特に限定されるものではないが、電子機器・電気機器用途に本発明のフレキシブル金属張積層板を用いる場合には、例えば、銅若しくは銅合金、ステンレス鋼若しくはその合金、ニッケル若しくはニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる箔を挙げることができる。一般的なフレキシブル金属張積層板では、圧延銅箔、電解銅箔といった銅箔が多用されるが、本発明においても好ましく用いることができる。なお、これらの金属箔の表面には、防錆層や耐熱層あるいは接着性を向上させる為にカップリング剤処理等を実施しても良い。本発明において、上記金属箔の厚みについては特に限定されるものではなく、その用途に応じて、十分な機能が発揮できる厚みであればよい。
本発明の接着フィルムは、金属箔との貼り合わせを、例えば、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置或いはダブルベルトプレス(DBP)による連続処理により行う場合に、特に顕著に効果を発現する。また、接着フィルムは、適当なフィルム幅にスリットした後、金属箔と連続的に張り合わせもよいが、フィルム幅が250mm以上である場合、寸法変化率が小さく、また、全幅において寸法変化率が安定するため、本発明の効果を特に発現しやすい態様といえる。
金属層との張り合わせは、装置構成が単純であり保守コストの面で有利であるという点から、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いることが好ましい。
このような熱ロールラミネート装置を用いる場合は、寸法変化となって現れやすい。従って、本発明の接着フィルムは、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置によって張り合わせを行う場合に、顕著に効果を発現する。ここでいう「一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置」とは、材料を加熱加圧するための金属ロールを有している装置であればよく、その具体的な装置構成は特に限定されるものではない。
上記熱ラミネートを実施する手段の具体的な構成は特に限定されるものではないが、得られる積層板の外観を良好なものとするために、加圧面と金属箔との間に保護材料を配置することが好ましい。保護材料としては、熱ラミネート工程の加熱温度に耐えうるものであれば特に限定されず、非熱可塑性ポリイミドフィルム等の耐熱性プラスチック、銅箔、アルミニウム箔、SUS箔等の金属箔等を好適に用いることができる。中でも、耐熱性、再利用性等のバランスが優れる点から、非熱可塑性ポリイミドフィルムがより好ましく用いられる。また、厚みが薄いとラミネート時の緩衝並びに保護の役目を十分に果たさなくなるため、非熱可塑性ポリイミドフィルムの厚みは75μm以上であることが好ましい。
また、この保護材料は必ずしも1層である必要はなく、異なる特性を有する2層以上の多層構造でも良い。
上記熱ラミネート手段における被積層材料の加熱方式は特に限定されるものではなく、例えば、熱循環方式、熱風加熱方式、誘導加熱方式等、所定の温度で加熱し得る従来公知の方式を採用した加熱手段を用いることができる。同様に、上記熱ラミネート手段における被積層材料の加圧方式も特に限定されるものではなく、例えば、油圧方式、空気圧方式、ギャップ間圧力方式等、所定の圧力を加えることができる従来公知の方式を採用した加圧手段を用いることができる。
上記熱ラミネート工程における加熱温度、すなわちラミネート温度は、接着フィルムのガラス転移温度(Tg)+50℃以上の温度であることが好ましく、接着フィルムのTg+100℃以上がより好ましい。Tg+50℃以上の温度であれば、接着フィルムと金属箔とを良好に熱ラミネートすることができる。またTg+100℃以上であれば、ラミネート速度を上昇させてその生産性をより向上させることができる。
また、加熱温度は、200℃以上、さらには、300℃以上である場合に特に顕著に発明の効果を発現する。本発明の接着フィルムは、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けており、これにより耐熱性を付与することができる。通常、接着層に熱可塑性ポリイミドを用いると、熱融着性を発現させるために200℃以上、場合によっては400℃近くの高温を加える必要がある。そのため、ラミネートされて得られたフレキシブル金属張積層板に残留歪みが発生し、エッチングして配線を形成する際、並びに部品を実装するために半田リフローを行う際に寸法変化となって現れる場合があった。本発明の接着フィルムは、ポリイミドフィルムとして全幅において特定の物性を有するフィルムを用いているため、高温で積層しても、寸法変化率が小さく、かつ全幅において寸法変化率が安定したフレキシブル金属積層板が得られる。
上記熱ラミネート工程におけるラミネート速度は、0.5m/分以上であることが好ましく、1.0m/分以上であることがより好ましい。0.5m/分以上であれば十分な熱ラミネートが可能になり、1.0m/分以上であれば生産性をより一層向上することができる。
上記熱ラミネート工程における圧力、すなわちラミネート圧力は、高ければ高いほどラミネート温度を低く、かつラミネート速度を速くすることができる利点があるが、一般にラミネート圧力が高すぎると得られる積層板の寸法変化が悪化する傾向がある。また、逆にラミネート圧力が低すぎると得られる積層板の金属箔の接着強度が低くなる。そのためラミネート圧力は、49〜490N/cm(5〜50kgf/cm)の範囲内であることが好ましく、98〜294N/cm(10〜30kgf/cm)の範囲内であることがより好ましい。この範囲内であれば、ラミネート温度、ラミネート速度およびラミネート圧力の三条件を良好なものにすることができ、生産性をより一層向上することができる。
上記ラミネート工程における接着フィルム張力は、0.01〜4N/cm、さらには0.02〜2.5N/cm、特には0.05〜1.5N/cmが好ましい。張力が上記範囲を下回ると、ラミネートの搬送時にたるみや蛇行が生じ、均一に加熱ロールに送り込まれないために外観の良好なフレキシブル金属張積層板を得ることが困難となることがある。逆に、上記範囲を上回ると、接着層のTgと貯蔵弾性率の制御では緩和できないほど張力の影響が強くなり、寸法安定性が劣ることがある。
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を得るためには、連続的に被積層材料を加熱しながら圧着する熱ラミネート装置を用いることが好ましいが、この熱ラミネート装置では、熱ラミネート手段の前段に、被積層材料を繰り出す被積層材料繰出手段を設けてもよいし、熱ラミネート手段の後段に、被積層材料を巻き取る被積層材料巻取手段を設けてもよい。これらの手段を設けることで、上記熱ラミネート装置の生産性をより一層向上させることができる。上記被積層材料繰出手段および被積層材料巻取手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、例えば、接着フィルムや金属箔、あるいは得られる積層板を巻き取ることのできる公知のロール状巻取機等を挙げることができる。
さらに、保護材料を巻き取ったり繰り出したりする保護材料巻取手段や保護材料繰出手段を設けると、より好ましい。これら保護材料巻取手段・保護材料繰出手段を備えていれば、熱ラミネート工程で、一度使用された保護材料を巻き取って繰り出し側に再度設置することで、保護材料を再使用することができる。また、保護材料を巻き取る際に、保護材料の両端部を揃えるために、端部位置検出手段および巻取位置修正手段を設けてもよい。これによって、精度よく保護材料の端部を揃えて巻き取ることができるので、再使用の効率を高めることができる。なお、これら保護材料巻取手段、保護材料繰出手段、端部位置検出手段および巻取位置修正手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、従来公知の各種装置を用いることができる。
本発明にかかる製造方法により得られるフレキシブル金属張積層板においては、金属箔を除去する前後の寸法変化率、並びに金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率の合計値が、MD方向、TD方向共に−0.4〜+0.4の範囲にあることが非常に好ましい。金属箔除去前後の寸法変化率は、エッチング工程前のフレキシブル金属張積層板における所定の寸法およびエッチング工程後の所定の寸法の差分と、上記エッチング工程前の所定の寸法との比で表される。加熱前後の寸法変化率は、エッチング工程後のフレキシブル金属張積層板における所定の寸法および加熱工程後の所定の寸法の差分と、上記加熱工程前の所定の寸法との比で表される。
寸法変化率がこの範囲内から外れると、フレキシブル金属張積層板において、微細な配線を形成した後、並びに部品搭載時の寸法変化が大きくなってしまい、設計段階での部品搭載位置からずれる場合がある。その結果、実装する部品と基板とが良好に接続されなくなるおそれがある。換言すれば、寸法変化率が上記範囲内であれば、部品搭載に支障がないと見なすことが可能になる。
上記寸法変化率の測定方法は特に限定されるものではなく、フレキシブル金属張積層板において、エッチングまたは加熱工程の前後に生じる寸法の増減を測定できる方法であれば、従来公知のどのような方法でも用いることができる。
ここで、寸法変化率の測定は、MD方向、TD方向の双方について測定することが必須となる。連続的にイミド化並びにラミネートする場合、MD方向およびTD方向では張力のかかり方が異なるため、熱膨張・収縮の度合いに差が現れ、寸法変化率も異なる。したがって、寸法変化率の小さい材料では、MD方向およびTD方向の双方ともに変化率が小さいことが要求される。本発明においては、フレキシブル金属張積層板の、金属箔を除去する前後の寸法変化率、並びに金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率の合計値が、MD方向、TD方向共に−0.4〜+0.4の範囲にあることが非常に好ましい。
なお、寸法変化率を測定する際のエッチング工程の具体的な条件は特に限定されるものではない。すなわち、金属箔の種類や形成されるパターン配線の形状等に応じてエッチング条件は異なるので、本発明において寸法変化率を測定する際のエッチング工程の条件は従来公知のどのような条件であってもよい。同様に、加熱工程においても、250℃で30分間加熱がなされれば良く、具体的な条件は特に限定されない。
本発明にかかる製造方法によって得られるフレキシブル金属張積層板は、前述したように、金属箔をエッチングして所望のパターン配線を形成すれば、各種の小型化、高密度化された部品を実装したフレキシブル配線板として用いることができる。もちろん、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、金属箔を含む積層体であれば、種々の用途に利用できることはいうまでもない。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
なお、合成例、実施例及び比較例における熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度、ポリイミドフィルムの弾性率、フレキシブル金属張積層板の寸法変化率の評価法は次の通りである。
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度は、セイコーインスツルメンツ社製 DMS200により、昇温速度3℃/分にて、室温から400℃までの温度範囲で測定し、貯蔵弾性率の変曲点をガラス転移温度とした。
(弾性率)
ASTM D882に準拠し実施した。
(寸法変化率)
JIS C6481 5.16に基づいて、フレキシブル積層板に4つの穴を形成し、各穴のそれぞれの距離を測定した。次に、エッチング工程を実施してフレキシブル積層板から金属箔を除去した後に、20℃、60%RHの恒温室に24時間放置した。その後、エッチング工程前と同様に、上記4つの穴について、それぞれの距離を測定した。金属箔除去前における各穴の距離の測定値をD1とし、金属箔除去後における各穴の距離の測定値をD2として、次式によりエッチング前後の寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)={(D2−D1)/D1}×100
続いて、エッチング後の測定サンプルを250℃で30分加熱した後、20℃、60%RHの恒温室に24時間放置した。その後、上記4つの穴について、それぞれの距離を測定した。加熱後における各穴の距離の測定値をD3として、次式により加熱前後の寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)={(D3−D2)/D2}×100
なお、上記寸法変化率は、MD方向及びTD方向の双方について測定した。
(合成例1;ポリイミドフィルムの作製)
ピロメリット酸二無水物/4,4’-オキシジアニリン/パラフェニレンジアミンを、それぞれモル比1/0.75/0.25の比率で、N,N’-ジメチルアセトアミド溶媒下、固形分が18%になるように重合した。
具体的には、全ジアミン成分に対して75モル%の4,4’-オキシジアニリンをN,N’-ジメチルアセトアミド溶媒に溶かし、次にピロメリット酸二無水物を全量投入する(すなわち、すでに投入されているジアミン成分に対して133%の酸無水物を投入する)ことで、酸末端プレポリマーを得る。次いでこの酸末端プレポリマー溶液に、残りのジアミン成分(すなわちパラフェニレンジアミン)を、全酸成分と実質的に等モルになるように、不足分のジアミンを添加し、反応させて重合溶液を得た。
この重合溶液を約0℃に冷却した上で、約0℃に冷却したポリアミド酸有機溶媒溶液のアミック酸1モルに対して2.0モル%の無水酢酸及び0.5モル%のイソキノリンを添加し、充分に攪拌した後、ダイより押し出して、乾燥・焼成後に25μmになるようにエンドレスベルト上に流延・塗布した。エンドレスベルト上で加熱し、揮発成分重量が50重量%であるゲルフィルムを得た。このゲルフィルムを引き剥がし、続いてシートの両端を連続的にシートを搬送するピンシートに固定した状態で熱風炉に搬送し、250℃で30秒加熱した後、引き続き350℃、400℃の熱風炉に搬送して30秒ずつ加熱を行った。その後、輻射熱線として遠赤外線を用い遠赤外線ヒーター炉を用いて、350℃で30秒間加熱を行い、遠赤外線ヒーター炉から搬出したところでピンからフィルムを引き剥がし、巻取って約1m幅の25μm端部固定フィルム(長尺品)を得た。
得られたフィルムを後処理としてロール・トゥー・ロールで張力を制御しながら熱風・遠赤炉にて加熱・張力処理を行った。このときの条件は炉内滞留時間30秒、炉内温度460℃、張力0.32kg/mm2とした。
(合成例2;ポリイミドフィルムの作製)
フィルムの後処理としてロール・トゥー・ロールでの張力を制御しながら熱風・遠赤炉にて加熱・張力処理条件を表1のように変更した以外は合成例1と同様に実施した。
(合成例3;ポリイミドフィルムの作製)
フィルムの後処理としてロール・トゥー・ロールでの張力を制御しながら熱風・遠赤炉にて加熱・張力処理条件を表1のように変更した以外は合成例1と同様に実施した。
(合成例5;ポリイミドフィルムの作製)
フィルムの後処理としてロール・トゥー・ロールでの張力を制御しながら熱風・遠赤炉にて加熱・張力処理条件を表1のように変更した以外は合成例1と同様に実施した。
(合成例4;ポリイミドフィルムの作製)
ピロメリット酸二無水物/4,4’-オキシジアニリン/パラフェニレンジアミンを、それぞれモル比1/0.75/0.25の比率で、N,N’-ジメチルアセトアミド溶媒下、固形分が18%になるように重合した。
具体的には、全ジアミン成分に対して75モル%の4,4’-オキシジアニリンをN,N’-ジメチルアセトアミド溶媒に溶かし、次にピロメリット酸二無水物を全量投入する(すなわち、すでに投入されているジアミン成分に対して133%の酸無水物を投入する)ことで、酸末端プレポリマーを得る。次いでこの酸末端プレポリマー溶液に、残りのジアミン成分(すなわちパラフェニレンジアミン)を、全酸成分と実質的に等モルになるように、不足分のジアミンを添加し、反応させて重合溶液を得た。
この重合溶液を約0℃に冷却した上で、約0℃に冷却したポリアミド酸有機溶媒溶液のアミック酸1モルに対して2.0モル%の無水酢酸及び0.5モル%のイソキノリンを添加し、充分に攪拌した後、ダイより押し出して、乾燥・焼成後に25μmになるようにエンドレスベルト上に流延・塗布した。エンドレスベルト上で加熱し、揮発成分重量が50重量%であるゲルフィルムを得た。このゲルフィルムを引き剥がし、続いてシートの両端を連続的にシートを搬送するピンシートに固定した状態で熱風炉に搬送し、250℃で30秒加熱した後、引き続き350℃、400℃の熱風炉に搬送して30秒ずつ加熱を行った。その後、輻射熱線として遠赤外線を用い遠赤外線ヒーター炉を用いて、520℃で30秒間加熱を行い、遠赤外線ヒーター炉から搬出したところでピンからフィルムを引き剥がし、巻取って約1m幅の25μm端部固定フィルム(長尺品)を得た。
(合成例6;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(以下、BAPP)を115.6g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDAを78.7g徐々に添加した。続いて、エチレングリコールビストリメリット酸二無水物(以下、TMEG)を3.8g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。2.0gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
尚、熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度は次ぎのようにして求めた。得られたポリアミド酸溶液を25μmPETフィルム(セラピールHP,東洋メタライジング社製)上に最終厚みが20μmとなるように流延し、120℃で5分間乾燥を行った。乾燥後の自己支持性フィルムをPETから剥離した後、金属製のピン枠に固定し、150℃で5分間、200℃で5分間、250℃で5分間、350℃で5分間乾燥を行った。得られた単層シートのガラス転移温度を測定したところ、240℃であった。
(実施例1)
合成例6で得られたポリアミド酸溶液を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈した後、合成例1で得られたポリイミドフィルム(フィルム巾1000mm)の両面に、熱可塑性ポリイミド層(接着層)の最終片面厚みが4μmとなるようにポリアミド酸を塗布した後、140℃で1分間加熱を行った。続いて、張力5kg/mにて雰囲気温度390℃の遠赤外線ヒーター炉の中を20秒間通して加熱イミド化を行い接着フィルムを得た。得られた接着フィルムの両側に18μm圧延銅箔(BHY−22B−T,ジャパンエナジー社製)を、さらに銅箔の両側に保護材料(アピカル125NPI;鐘淵化学工業株式会社製)を用いて、ポリイミドフィルムの張力0.4N/cm、ラミネート温度360℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で連続的に熱ラミネートを行い、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を作製した。
(実施例2)
合成例1で得られたポリイミドフィルムの代わりに、合成例2で得られたポリイミドフィルムを用いる以外は、実施例1と同様の操作を行い、接着フィルム並びにフレキシブル金属張積層板を作製した。
(実施例3)
合成例1で得られたポリイミドフィルムの代わりに、合成例3で得られたポリイミドフィルムを用いる以外は、実施例1と同様の操作を行い、接着フィルム並びにフレキシブル金属張積層板を作製した。
(比較例)
合成例1で得られたポリイミドフィルムの代わりに、合成例4で得られたポリイミドフィルムを用いる以外は、実施例1と同様の操作を行い、接着フィルム並びにフレキシブル金属張積層板を作製した。
(参考例)
合成例1で得られたポリイミドフィルムの代わりに、合成例5で得られたポリイミドフィルムを用いる以外は、実施例1と同様の操作を行い、接着フィルム並びにフレキシブル金属張積層板を作製した。
各実施例、比較例で得られた接着フィルムを用いて得られたフレキシブル金属張積層板の特性を評価した結果を表2、3に示す。また、接着フィルム並びにフレキシブル金属張積層板の評価(サンプリング方法)については図3に示す通りである。
Figure 2006027067
Figure 2006027067
Figure 2006027067
このように、比較例1に示すように接着フィルムの特性が特定の範囲をこえると、フレキシブル金属張積層体の寸法変化が大きい結果となった。これに対し、接着フィルムの特性が所定範囲内となっている実施例1〜4ではフレキシブル金属張積層体の寸法変化の発生が抑制されている。
フィルム弛緩状態の断面イメージ図 テンター炉並びに拡縮率の図 寸法変化を測定するためのサンプリング方法を示す図である。

Claims (6)

  1. ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けた接着フィルムであって、該接着フィルムのMD方向の弾性率が5GPa未満であって、
    2.00>(MD方向の弾性率)/(TD方向の弾性率)>1.10
    を満足することを特徴とする、接着フィルム。
  2. ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けた接着フィルムであって、該接着フィルムは、連続的に生産されるとともに、全幅において、該接着フィルムのMD方向の弾性率が5GPa未満の場合、
    2.00>(MD方向の弾性率)/(TD方向の弾性率)>1.10
    を満足することを特徴とする、接着フィルム。
  3. 前記接着フィルムの幅が250mm以上の長尺フィルムであることを特徴とする請求項2記載の接着フィルム。
  4. 金属箔とともに、一対以上の金属ロールにより加熱および加圧して連続的に張り合わせられる請求項2または3記載の接着フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の接着フィルムに金属箔を貼り合わせて得られることを特徴とする、フレキシブル金属張積層板。
  6. 請求項2または3記載の接着フィルムと金属箔とを加熱および加圧しながら連続的に張り合わせることを特徴とするフレキシブル金属張層板の製造方法。
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