JP2005194395A - 接着フィルムならびにそれから得られる寸法安定性を向上させたフレキシブル金属張積層板 - Google Patents

接着フィルムならびにそれから得られる寸法安定性を向上させたフレキシブル金属張積層板 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、ラミネート法で作製した際に寸法変化の発生が抑制されたフレキシブル金属張積層板が得られる接着フィルム、及びそれに金属箔を貼り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板を提供することにある。
【解決手段】 絶縁性フィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けた接着フィルムであって、接着層が
(A)貯蔵弾性率変曲点から求めたガラス転移温度が235℃以上、300℃以下
かつ
(B)ガラス転移温度+60℃における貯蔵弾性率が10Pa以上、10Pa以下
の条件を満たすことを特徴とする、接着フィルムならびにそれに金属箔を貼り合わせることにより得られるフレキシブル金属張積層板。
【選択図】 なし

Description

本発明は、絶縁性フィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けた接着フィルム、ならびにこの接着フィルムに熱ロールラミネート装置により金属箔を貼り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板に関する。
近年、エレクトロニクス製品の軽量化、小型化、高密度化にともない、各種プリント基板の需要が伸びているが、中でも、フレキシブル積層板(フレキシブルプリント配線板(FPC)等とも称する)の需要が特に伸びている。フレキシブル積層板は、絶縁性フィルム上に金属箔からなる回路が形成された構造を有している。
上記フレキシブル積層板は、一般に、各種絶縁材料により形成され、柔軟性を有する絶縁性フィルムを基板とし、この基板の表面に、各種接着材料を介して金属箔を加熱・圧着することにより貼りあわせる方法により製造される。上記絶縁性フィルムとしては、ポリイミドフィルム等が好ましく用いられている。上記接着材料としては、エポキシ系、アクリル系等の熱硬化性接着剤が一般的に用いられている(これら熱硬化性接着剤を用いたFPCを以下、三層FPCともいう)。
熱硬化性接着剤は比較的低温での接着が可能であるという利点がある。しかし今後、耐熱性、屈曲性、電気的信頼性といった要求特性が厳しくなるに従い、熱硬化性接着剤を用いた三層FPCでは対応が困難になると考えられる。これに対し、絶縁性フィルムに直接金属層を設けたり、接着層に熱可塑性ポリイミドを使用したFPC(以下、二層FPCともいう)が提案されている。この二層FPCは、三層FPCより優れた特性を有し、今後需要が伸びていくことが期待される。
二層FPCに用いるフレキシブル金属張積層板の作製方法としては、金属箔上にポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を流延、塗布した後イミド化するキャスト法、スパッタ、メッキによりポリイミドフィルム上に直接金属層を設けるメタライジング法、熱可塑性ポリイミドを介してポリイミドフィルムと金属箔とを貼り合わせるラミネート法が挙げられる。この中で、ラミネート法は、対応できる金属箔の厚み範囲がキャスト法よりも広く、装置コストがメタライジング法よりも低いという点で優れている。ラミネートを行う装置としては、ロール状の材料を繰り出しながら連続的にラミネートする熱ロールラミネート装置またはダブルベルトプレス装置等が用いられている。上記の内、生産性の点から見れば、熱ロールラミネート法をより好ましく用いることができる。
従来の三層FPCをラミネート法で作製する際、接着層に熱硬化性樹脂を用いていたため、ラミネート温度は200℃未満で行うことが可能であった(特許文献1参照)。これに対し、二層FPCは熱可塑性ポリイミドを接着層として用いるため、熱融着性を発現させるために200℃以上、場合によっては400℃近くの高温を加える必要がある。そのため、ラミネートされて得られたフレキシブル金属張積層板に残留歪みが発生し、エッチングして配線を形成する際、ならびに部品を実装するために半田リフローを行う際に寸法変化となって現れる。
特にラミネート法は、ポリイミドフィルム上に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設ける際に、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を流延、塗布した後に連続的に加熱してイミド化を行い、金属箔を貼り合わせる際も連続的に加熱加圧を行うため、材料は張力がかけられた状態で加熱環境下に置かれることが多い。そのため、MD方向とTD方向で異なる熱応力が発生する。具体的には、張力のかかるMD方向には引張られる力が働き、逆にTD方向には縮む力が働く。その結果、フレキシブル積層板から金属箔をエッチングする際と、半田リフローを通して加熱する際にこの歪みが解放され、MD方向は収縮し、逆にTD方向は膨張してしまう。
近年、電子機器の小型化、軽量化を達成するために、基板に設けられる配線は微細化が進んでおり、実装する部品も小型化、高密度化されたものが搭載される。そのため、微細な配線を形成した後の寸法変化が大きくなると、設計段階での部品搭載位置からずれて、部品と基板とが良好に接続されなくなるという問題が生じる。
そこで、ラミネート圧力の制御や、接着フィルムの張力制御により、寸法変化を抑える試みがなされている(特許文献2または3参照)。しかしながら、これらの手段により寸法変化は改善されるものの、まだ充分ではなく、更なる寸法変化の改善が求められている。
特開平9−199830号公報 特開2002−326308号公報 特開2002−326280号公報
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ラミネート法で作製した際に寸法変化の発生が抑制されたフレキシブル金属張積層板が得られる接着フィルム、及びそれに金属箔を貼り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板、特にラミネート法で作製した際に寸法変化の発生を抑制できるフレキシブル金属張積層板を提供することにある。
上記の課題は、接着層に熱可塑性ポリイミドが含有されるために加工温度が高くなり、その結果として材料にかかる熱応力が大きくなって顕著に発生するものである。この課題を解決するためには、接着層のガラス転移温度を下げ、加工温度を低下させる手段が最も容易である。しかしながら、接着層のガラス転移温度を安易に下げてしまうと、半田耐熱性等の耐熱性が著しく低下し、三層FPCに対する二層FPCの優位性が低下してしまう。
本発明者らは、二層FPCの特性である耐熱性を損なわずに、即ち、接着層のガラス転移温度を必要以上に低下させずに、フレキシブル金属張積層板の寸法変化の発生を抑制することを目的として鋭意検討した結果、ラミネート法においてMD方向とTD方向に異なる熱応力が発生する際に、接着層の貯蔵弾性率が大きく関与することを見出した。
ラミネート法に代表される加熱加圧において接着フィルムを金属箔と貼り合わせる場合、加熱により熔融状態になった接着層を圧力によって金属箔表面の凹凸にかみ込ませることで接着を行う。この時、ラミネート法は材料を送り出しながら加熱圧着するため、熔融状態にある接着層には垂直方向の圧力だけではなく、MD方向に押し伸ばされる力が働く。従って、加工温度における接着層の貯蔵弾性率が低い場合、この押し伸ばされる力の影響を強く受け、MD方向に引き伸ばされた状態で金属箔と貼り合わされる。これが歪みとしてフレキシブル金属張積層板に残留し、寸法変化となって現れるのである。
この歪みの発生を抑制するためには、加工温度における接着層の貯蔵弾性率の制御が必要である。本発明者らはこの点に鑑み鋭意検討を行った結果、これらの物性を特定の範囲に制御することにより、ラミネート時における熱応力の発生を緩和し、寸法変化の発生を効果的に抑制できることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明の第1は、絶縁性フィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けた接着フィルムであって、接着層が
(A)貯蔵弾性率変曲点から求めたガラス転移温度が235℃以上、300℃以下
かつ
(B)ガラス転移温度+60℃における貯蔵弾性率が10Pa以上、10Pa以下
の条件を満たすことを特徴とする、接着フィルムに関する。
好ましい実施態様は、接着層のガラス転移温度+120℃における貯蔵弾性率が10Pa以上、10Pa以下であることを特徴とする、前記の接着フィルムに関する。
更に好ましい実施態様は、接着層に含有される熱可塑性ポリイミドが、ビフェニル構造を有するジアミン成分もしくは酸二無水物成分を、全ジアミン成分もしくは全酸二無水物成分の50モル%以上使用して得られることを特徴とする、前記の接着フィルムに関する。
本発明の第2は、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いて、前記接着フィルムに金属箔を貼り合わせて得られることを特徴とする、フレキシブル金属張積層板に関する。
好ましい実施態様は、金属箔を除去する前後の寸法変化率、ならびに金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率の合計値が、MD方向、TD方向共に−0.08〜+0.08の範囲にあることを特徴とする、前記のフレキシブル金属張積層板に関する。
本発明のフレキシブル金属張積層板は、寸法変化の発生が抑制されており、特にラミネート法における寸法変化の発生も効果的に抑制できる。具体的には、金属箔を除去する前後の寸法変化率、ならびに金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率の合計値が、MD方向、TD方向共に−0.08〜+0.08の範囲とすることが可能である。従って、微細な配線を形成したFPC等にも好適に用いることが可能で、位置ずれ等の問題を改善できる。
本発明の実施の一形態について、以下に説明する。
本発明に係る接着フィルムの接着層に含有される熱可塑性ポリイミドとしては、例えば、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミドイミド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリエステルイミド等を好適に用いることができる。また、本発明に用いられる熱可塑性ポリイミドは、公知のあらゆる製造方法を用いることが可能である。いずれの熱可塑性ポリイミド、ならびにいずれの製造方法を用いるとしても、得られる接着フィルムの接着層が
(A)貯蔵弾性率変曲点から求めたガラス転移温度が235℃以上、300℃以下
かつ
(B)ガラス転移温度+60℃における貯蔵弾性率が10Pa以上、10Pa以下
の条件を満たすように制御することが必要である。
接着層のガラス転移温度が上記範囲よりも低い場合、接着層の耐熱性が低下するため、接着強度の長期耐熱性や半田耐熱性などが低下する可能性がある。逆に上記範囲よりも高い場合、熱ラミネート装置で金属箔と貼り合わせるのに必要な温度が高くなり過ぎ、加工性に問題が生じる可能性がある。更に上記接着層のTgは240℃以上、280℃以下であることがより好ましい。
熱可塑性ポリイミドに限らず、熱可塑性樹脂はガラス転移温度では熔融性が不十分であるため、十分な接着性を発現させるためには、ガラス転移温度よりも更に高い温度をかける必要がある。本発明者らは鋭意検討を行った結果、ガラス転移温度+60℃以上の熱を加えれば、十分な接着性を発現することを見出した。従って、ガラス転移温度+60℃における接着層の貯蔵弾性率が上記範囲となるように制御することが、本発明における熱ラミネート法での寸法変化の発生が抑制された接着フィルムを得るために重要である。貯蔵弾性率が上記範囲よりも低い場合、ラミネート時に接着層が押し伸ばされやすくなり、得られるフレキシブル金属張積層板における寸法変化が大きくなる可能性がある。逆に上記範囲よりも高い場合、金属箔への接着層かみ込みが不十分となり、接着性が低下する可能性がある。
更に、生産性向上を考えた場合、ラミネート速度を上げる代わりに、より高い温度でラミネートを行うことも有り得る。従って、接着層の貯蔵弾性率は、接着層のガラス転移温度+120℃において10Pa以上、10Pa以下となるように制御することがより好ましい。
また、熱可塑性ポリイミドの構造によっては、ガラス転移温度を超えると著しく貯蔵弾性率が低下するものがあり、235℃〜300℃の範囲にガラス転移温度を有していても、寸法変化が大きくなる場合がある。従って、本発明で求められる寸法変化の抑制を実現するためには、ガラス転移温度と貯蔵弾性率を共に制御することが有効である。
接着層のガラス転移温度ならびに貯蔵弾性率を上記範囲に設定する手段としては、特に制限されるものではないが、熱可塑性ポリイミドのジアミン成分もしくは酸二無水物成分として、ビフェニル構造を有する化合物を、成分の50モル%以上使用することが挙げられる。更に好ましくは、70モル%以上使用することが好ましい。使用量が50モル%を下回る場合、Tgもしくは貯蔵弾性率が所望の値に達しない場合がある。
前記ビフェニル構造を有する化合物は、ジアミン成分もしくは酸二無水物成分のどちらか一方に使用すれば所望の物性を実現することができるが、ジアミン成分と酸二無水物成分の両方に使用することもできる。但し、その場合は貯蔵弾性率が高くなりすぎる場合があるため、使用割合については適宜調整し、所定の貯蔵弾性率となるようにすればよい。
接着層の貯蔵弾性率は、接着層のみから成る単層シートの動的粘弾性測定(DMS)から求めることが可能である。
また、本発明に係る接着フィルムの接着層に含有される熱可塑性ポリイミドは複数種を混合して使用しても良いし、単一成分を使用しても良い。即ち、ビフェニル構造を有する熱可塑性ポリイミドと、ビフェニル構造を有さない熱可塑性ポリイミドを混合して使用しても良いし、ビフェニル構造を有する一種類の熱可塑性ポリイミドを使用しても良い。
複数種の熱可塑性ポリイミドを混合する場合は、熱可塑性ポリイミドの選択範囲が広まるという利点がある。即ち、ある程度柔軟な構造を有する熱可塑性ポリイミドと、剛直な構造を有する熱可塑性ポリイミドを混合することにより、高い接着性を保ちつつ、接着層全体としての貯蔵弾性率を高くすることも可能となる。一方、単一成分の熱可塑性ポリイミドを使用する場合は、熱可塑性ポリイミドの重合工程や混合工程が減るため、生産性向上の面で利点がある。どちらの手段が特に好ましいということは無く、用途や生産量に応じて適宜選択すれば良い。
熱可塑性ポリイミドを混合する場合、混合割合は特に規定されないが、接着層のガラス転移温度が235℃以上、300℃以下、かつガラス転移温度+60℃における貯蔵弾性率が10Pa以上、10Pa以下の範囲に収まるようにする。また、一般にポリイミドは溶媒に不溶であるため、前駆体であるポリアミド酸の状態で混合することが好ましい。混合する熱可塑性ポリイミドのどちらか一方が可溶性を示す場合は、可溶性ポリイミドの溶液を作製した後、もう一方のポリアミド酸に添加して混合しても良いし、ポリアミド酸同士を混合しても良い。両方の熱可塑性ポリイミドが可溶性を示す場合も同様である。
本発明に係る接着フィルムは、絶縁性フィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けて成ることを特徴とする。本発明において用いられる絶縁性フィルムとしては、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、液晶ポリマーフィルム、ナイロンフィルム、アラミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム等、いかなるものを用いても良いが耐熱性、絶縁特性の点からポリイミドフィルムを用いることが好ましい。
以下、絶縁層としてポリイミドフィルムを用いた場合についてその実施の形態の一例に基づき説明する。
本発明に用いられるポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の製造方法としては公知のあらゆる方法を用いることができ、通常、芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンを、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解させて、得られたポリアミド酸有機溶媒溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらのポリアミド酸溶液は通常5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得る。
重合方法としてはあらゆる公知の方法およびそれらを組み合わせた方法を用いることができる。ポリアミド酸の重合における重合方法の特徴はそのモノマーの添加順序にあり、このモノマー添加順序を制御することにより得られるポリイミドの諸物性を制御することができる。従い、本発明においてポリアミド酸の重合にはいかなるモノマーの添加方法を用いても良い。代表的な重合方法として次のような方法が挙げられる。即ち、
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
などのような方法である。これら方法を単独で用いても良いし、部分的に組み合わせて用いることもできる。
本発明において、上記のいかなる重合方法を用いて得られたポリアミド酸を用いても良く、重合方法は特に限定されるのもではない。
本発明において、パラフェニレンジアミンや置換ベンジジンに代表される剛直構造を有するジアミン成分を用いてプレポリマーを得る重合方法を用いることも好ましい。本方法を用いることにより、弾性率が高く、吸湿膨張係数が小さいポリイミドフィルムが得やすくなる傾向にある。本方法においてプレポリマー調製時に用いる剛直構造を有するジアミンと酸二無水物のモル比は100:70〜100:99もしくは70:100〜99:100、さらには100:75〜100:90もしくは75:100〜90:100が好ましい。この比が上記範囲を下回ると弾性率および吸湿膨張係数の改善効果が得られにくく、上記範囲を上回ると線膨張係数が小さくなりすぎたり、引張伸びが小さくなるなどの弊害が生じることがある。
ここで、本発明にかかるポリアミド酸組成物に用いられる材料について説明する。
本発明において用いうる適当な酸無水物は、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物を含み、これらを単独または、任意の割合の混合物が好ましく用い得る。
これら酸二無水物の中で特にはピロメリット酸二無水物及び/又は3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及び/又は4,4’−オキシフタル酸二無水物及び/又は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の使用が好ましい。
またこれら酸二無水物の中で3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及び/又は4,4’−オキシフタル酸二無水物の好ましい使用量は、全酸二無水物に対して、60mol%以下、好ましくは55mol%以下、更に好ましくは50mol%以下である。3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及び/又は4,4’−オキシフタル酸二無水物の使用量がこの範囲を上回るとポリイミドフィルムのガラス転移温度が低くなりすぎたり、熱時の貯蔵弾性率が低くなりすぎて製膜そのものが困難になったりすることがあるため好ましくない。
また、ピロメリット酸二無水物を用いる場合、好ましい使用量は40〜100mol%、更に好ましくは45〜100mol%、特に好ましくは50〜100mol%である。ピロメリット酸二無水物をこの範囲で用いることによりガラス転移温度および熱時の貯蔵弾性率を使用または製膜に好適な範囲に保ちやすくなる。
本発明にかかるポリイミド前駆体ポリアミド酸組成物において使用し得る適当なジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3‘−ジメチルベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン及びそれらの類似物などが挙げられる。
これらジアミン類をジアミノベンゼン類、ベンジジン類などに代表されるいわゆる剛直構造のジアミンとエーテル基、スルホン基、ケトン基、スルフィド基など柔構造を有するジアミンとに分類して考えると、剛構造と柔構造のジアミンの使用比率はモル比で80/20〜20/80、好ましくは70/30〜30/70、特に好ましくは60/40〜30/70である。剛構造のジアミンの使用比率が上記範囲を上回ると得られるフィルムの引張伸びが小さくなる傾向にあり、またこの範囲を下回るとガラス転移温度が低くなりすぎたり、熱時の貯蔵弾性率が低くなりすぎて製膜が困難になるなどの弊害を伴うことがあるため好ましくない。
本発明において用いられるポリイミドフィルムは、上記の範囲の中で所望の特性を有するフィルムとなるように適宜芳香族酸二無水物および芳香族ジアミンの種類、配合比を決定して用いることにより得ることができる。
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、ポリアミド酸を溶解する溶媒であればいかなるものも用いることができるが、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用い得る。
また、摺動性、熱伝導性、導電性、耐コロナ性、ループスティフネス等のフィルムの諸特性を改善する目的でフィラーを添加することもできる。フィラーとしてはいかなるものを用いても良いが、好ましい例としてはシリカ、酸化チタン、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、雲母などが挙げられる。
フィラーの粒子径は改質すべきフィルム特性と添加するフィラーの種類によって決定されるため、特に限定されるものではないが、一般的には平均粒径が0.05〜100μm、好ましくは0.1〜75μm、更に好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは0.1〜25μmである。粒子径がこの範囲を下回ると改質効果が現れにくくなり、この範囲を上回ると表面性を大きく損なったり、機械的特性が大きく低下したりする可能性がある。また、フィラーの添加部数についても改質すべきフィルム特性やフィラー粒子径などにより決定されるため特に限定されるものではない。一般的にフィラーの添加量はポリイミド100重量部に対して0.01〜100重量部、好ましくは0.01〜90重量部、更に好ましくは0.02〜80重量部である。フィラー添加量がこの範囲を下回るとフィラーによる改質効果が現れにくく、この範囲を上回るとフィルムの機械的特性が大きく損なわれる可能性がある。フィラーの添加は、
1.重合前または途中に重合反応液に添加する方法
2.重合完了後、3本ロールなどを用いてフィラーを混錬する方法
3.フィラーを含む分散液を用意し、これをポリアミド酸有機溶媒溶液に混合する方法
などいかなる方法を用いてもよいが、フィラーを含む分散液をポリアミド酸溶液に混合する方法、特に製膜直前に混合する方法が製造ラインのフィラーによる汚染が最も少なくすむため、好ましい。フィラーを含む分散液を用意する場合、ポリアミド酸の重合溶媒と同じ溶媒を用いるのが好ましい。また、フィラーを良好に分散させ、また分散状態を安定化させるために分散剤、増粘剤等をフィルム物性に影響を及ぼさない範囲内で用いることもできる。
これらポリアミド酸溶液からポリイミドフィルムを製造する方法については従来公知の方法を用いることができる。この方法には熱イミド化法と化学イミド化法が挙げられる。熱イミド化法は、脱水閉環剤等を作用させずに加熱だけでイミド化反応を進行させる方法であり、化学イミド化法は、ポリアミド酸溶液に、化学的転化剤及び/又は触媒とを作用させてイミド化を促進する方法である。
ここで、化学転化剤とは、ポリアミド酸に対する脱水閉環剤を意味し、例えば、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N’− ジアルキルカルボジイミド、ハロゲン化低級脂肪族、ハロゲン化低級脂肪酸無水物、アリールホスホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物、またはそれら2種以上の混合物が挙げられる。中でも入手の容易性、コストの点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ラク酸等の脂肪族酸無水物、またはそれら2種以上の混合物を好ましく用いることができる。
また、触媒とはポリアミド酸に対する脱水閉環作用を促進する効果を有する成分を意味し、例えば、脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、複素環式第三級アミン等が用いられる。中でも触媒としての反応性の点から、複素環式第三級アミンから選択されるものが特に好ましく用いられる。具体的にはキノリン、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等が好ましく用いられる。
どちらの方法を用いてフィルムを製造してもかまわないが、化学イミド化法によるイミド化の方が本発明に好適に用いられる諸特性を有したポリイミドフィルムを得やすい傾向にある。
また、本発明において特に好ましいポリイミドフィルムの製造工程は、
a)有機溶剤中で芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させてポリアミド酸溶液を得る工程、
b)上記ポリアミド酸溶液を含む製膜ドープを支持体上に流延する工程、
c)支持体上で加熱した後、支持体からゲルフィルムを引き剥がす工程、
d)更に加熱して、残ったアミック酸をイミド化し、かつ乾燥させる工程、
を含むことが好ましい。
上記工程において無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤と、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等の第三級アミン類等に代表されるイミド化触媒とを含む硬化剤を用いても良い。
以下本発明の好ましい一形態、化学イミド化法を一例にとり、ポリイミドフィルムの製造工程を説明する。ただし、本発明は以下の例により限定されるものではない。製膜条件や加熱条件は、ポリアミド酸の種類、フィルムの厚さ等により、変動し得る。
脱水剤及びイミド化触媒を低温でポリアミド酸溶液中に混合して製膜ドープを得る。引き続いてこの製膜ドープをガラス板、アルミ箔、エンドレスステンレスベルト、ステンレスドラムなどの支持体上にフィルム状にキャストし、支持体上で80℃〜200℃、好ましくは100℃〜180℃の温度領域で加熱することで脱水剤及びイミド化触媒を活性化することによって部分的に硬化及び/または乾燥した後支持体から剥離してポリアミド酸フィルム(以下、ゲルフィルムという)を得る。
ゲルフィルムは、ポリアミド酸からポリイミドへの硬化の中間段階にあり、自己支持性を有し、式(1)
(A−B)×100/B・・・・(1)
式(1)中A,Bは以下のものを表す。
A:ゲルフィルムの重量
B:ゲルフィルムを450℃で20分間加熱した後の重量
から算出される揮発分含量は5〜500重量%の範囲、好ましくは5〜200重量%、より好ましくは5〜150重量%の範囲にある。この範囲のフィルムを用いることが好適であり、焼成過程でフィルム破断、乾燥ムラによるフィルムの色調ムラ、特性ばらつき等の不具合が起こることがある。
脱水剤の好ましい量は、ポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して、0.5〜5モル、好ましくは1.0〜4モルである。
また、イミド化触媒の好ましい量はポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して、0.05〜3モル、好ましくは0.2〜2モルである。
脱水剤及びイミド化触媒が上記範囲を下回ると化学的イミド化が不十分で、焼成途中で破断したり、機械的強度が低下したりすることがある。また、これらの量が上記範囲を上回ると、イミド化の進行が早くなりすぎ、フィルム状にキャストすることが困難となることがあるため好ましくない。
前記ゲルフィルムの端部を固定して硬化時の収縮を回避して乾燥し、水、残留溶媒、残存転化剤及び触媒を除去し、そして残ったアミド酸を完全にイミド化して、本発明のポリイミドフィルムが得られる。
この時、最終的に400〜650℃の温度で5〜400秒加熱するのが好ましい。この温度より高い及び/または時間が長いと、フィルムの熱劣化が起こり問題が生じることがある。逆にこの温度より低い及び/または時間が短いと所定の効果が発現しないことがある。
また、フィルム中に残留している内部応力を緩和させるためにフィルムを搬送するに必要最低限の張力下において加熱処理をすることもできる。この加熱処理はフィルム製造工程において行ってもよいし、また、別途この工程を設けても良い。加熱条件はフィルムの特性や用いる装置に応じて変動するため一概に決定することはできないが、一般的には200℃以上500℃以下、好ましくは250℃以上500℃以下、特に好ましくは300℃以上450℃以下の温度で、1〜300秒、好ましくは2〜250秒、特に好ましくは5〜200秒程度の熱処理により内部応力を緩和することができる。
ポリイミドフィルムの諸特性の制御は、用いるモノマーの種類、重合時のモノマーの添加順序、選択するイミド化方法等により適宜制御することができるが、本発明において概ね以下の特性を有するように分子設計することが好ましい。
1.引張弾性率は4.0GPa以上、好ましくは4.5GPa以上、特に好ましくは5.0GPa以上
2.吸湿膨張係数は12ppm以下、好ましくは10ppm以下
3.線膨張係数は1〜20ppm、好ましくは3〜18ppm、特に好ましくは5〜15ppm
また、本発明においては市販のポリイミドフィルムを用いてもよく、例えば、アピカル(鐘淵化学工業社製)、カプトン(デュポン社製)、ユーピレックス(宇部興産社製)が挙げられる。この中でも、低吸水、低吸湿膨張率を示し、弾性率等とのバランスも取れているアピカルHPP(鐘淵化学工業社製)が特に好ましく用いられ得る。
本発明に係る接着フィルムの製造方法としては、コアフィルムとなる絶縁性フィルム上に接着層を形成する方法、又は接着層をシート状に成形し、これを上記コアフィルムに貼り合わせる方法等が好適に例示され得る。このうち、前者の方法を採る場合、接着層に含有される熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を完全にイミド化してしまうと、有機溶媒への溶解性が低下する場合があることから、コアフィルム上に上記接着層を設けることが困難となることがある。従って、上記観点から、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する溶液を調製して、これをコアフィルムに塗布し、次いでイミド化する手順を採った方がより好ましい。上記ポリアミド酸溶液をコアフィルムに流延、塗布する方法については特に限定されず、ダイコーター、リバースコーター、ブレードコーター等、既存の方法を使用することができる。塗布厚みについては特に限定されず、用途ごとに適宜厚みを調整すれば良いが、塗布厚みが厚くなりすぎるとイミド化に要する時間が長くなるため生産性が落ちるなどの不具合が生じやすくなるため、イミド化後の厚みが10μm以下となるように塗布することが好ましい。また、前記ポリアミド酸溶液には、用途に応じて、例えば、フィラーのような他の材料を含んでもよい。また、必要に応じて、接着層を設ける前にコロナ処理、プラズマ処理、カップリング処理等の各種表面処理をコアとなるフィルム表面に施しても良い。
この時のイミド化の方法としては、コアとなるポリイミドフィルムの場合と同様に、熱イミド化法若しくは化学イミド化法のどちらも用いることができる。なお、化学イミド化法は接着層を熱劣化させずに化学的転化剤等を除去する加熱条件を設定しなくてはならない場合があるという点から、熱イミド化法によりイミド化する方がより好ましい。熱イミド化法の場合、イミド化の温度は高い方がイミド化が起こりやすいため、イミド化速度を速くすることができ、生産性の面で好ましい。但し、高すぎると熱可塑性ポリイミドが熱分解を起こす可能性がある。一方、イミド化の温度が低すぎると、イミド化が進みにくく、イミド化工程に要する時間が長くなってしまう。熱イミド化の温度は、熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度〜ガラス転移温度+200℃の範囲内に設定することが好ましく、ガラス転移温度+50℃〜ガラス転移温度+150℃の範囲内に設定することがより好ましい。イミド化時間に関しては、実質的にイミド化および乾燥が完結するに十分な時間を取ればよく、一義的に限定されるものではないが、一般的には1〜600秒程度の範囲で適宜設定される。
また、接着層の熔融流動性を改善する目的で、意図的にイミド化率を低くする及び/又は溶媒を残留させることもできる。
イミド化する際にかける張力としては、9.8N/m〜147N/mの範囲内とすることが好ましく、49N/m〜98N/mの範囲内とすることが特に好ましい。張力が上記範囲より小さい場合、搬送時にたるみや蛇行が生じ、巻き取りに問題が生じる可能性がある。逆に上記範囲よりも大きい場合、接着フィルムに強い張力がかかった状態で高温雰囲気下におかれるため、接着フィルムに熱応力が発生し、寸法変化に影響を与える可能性がある。
本発明に係るフレキシブル金属張積層板は、上記接着フィルムに金属箔を貼り合わせることにより得られる。使用する金属箔としては特に限定されるものではないが、電子機器・電気機器用途に本発明のフレキシブル金属張積層板を用いる場合には、例えば、銅若しくは銅合金、ステンレス鋼若しくはその合金、ニッケル若しくはニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる箔を挙げることができる。一般的なフレキシブル金属張積層板では、圧延銅箔、電解銅箔といった銅箔が多用されるが、本発明においても好ましく用いることができる。なお、これらの金属箔の表面には、防錆層や耐熱層あるいは接着層が塗布されていてもよい。
本発明において、上記金属箔の厚みについては特に限定されるものではなく、その用途に応じて、十分な機能が発揮できる厚みであればよい。接着フィルムと金属箔の貼り合わせ方法としては、例えば、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置或いはダブルベルトプレス(DBP)による連続処理を用いることができる。中でも、装置構成が単純であり保守コストの面で有利であるという点から、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いることが好ましい。ここでいう「一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置」とは、材料を加熱加圧するための金属ロールを有している装置であればよく、その具体的な装置構成は特に限定されるものではない。
上記熱ラミネートを実施する手段の具体的な構成は特に限定されるものではないが、得られる積層板の外観を良好なものとするために、加圧面と金属箔との間に保護材料を配置することが好ましい。保護材料としては、熱ラミネート工程の加熱温度に耐えうるものであれば特に限定されず、非熱可塑性ポリイミドフィルム等の耐熱性プラスチック、銅箔、アルミニウム箔、SUS箔等の金属箔等を好適に用いることができる。中でも、耐熱性、再使用性等のバランスが優れる点から、非熱可塑性ポリイミドフィルムがより好ましく用いられる。また、厚みが薄いとラミネート時の緩衝ならびに保護の役目を十分に果たさなくなるため、非熱可塑性ポリイミドフィルムの厚みは75μm以上であることが好ましい。
また、この保護材料は必ずしも1層である必要はなく、異なる特性を有する2層以上の多層構造でも良い。
上記熱ラミネート手段における被積層材料の加熱方式は特に限定されるものではなく、例えば、熱循環方式、熱風加熱方式、誘導加熱方式等、所定の温度で加熱し得る従来公知の方式を採用した加熱手段を用いることができる。同様に、上記熱ラミネート手段における被積層材料の加圧方式も特に限定されるものではなく、例えば、油圧方式、空気圧方式、ギャップ間圧力方式等、所定の圧力を加えることができる従来公知の方式を採用した加圧手段を用いることができる。
上記熱ラミネート工程における加熱温度、すなわちラミネート温度は、接着フィルムのガラス転移温度(Tg)+60℃以上の温度であることが好ましく、接着フィルムのTg+120℃以上がより好ましい。Tg+60℃以上の温度であれば、接着フィルムと金属箔とを良好に熱ラミネートすることができる。またTg+120℃以上であれば、ラミネート速度を上昇させてその生産性をより向上させることができる。
上記熱ラミネート工程におけるラミネート速度は、0.5m/分以上であることが好ましく、1.0m/分以上であることがより好ましい。0.5m/分以上であれば十分な熱ラミネートが可能になり、1.0m/分以上であれば生産性をより一層向上することができる。
上記熱ラミネート工程における圧力、すなわちラミネート圧力は、高ければ高いほどラミネート温度を低く、かつラミネート速度を速くすることができる利点があるが、一般にラミネート圧力が高すぎると、接着層もしくは接着フィルム全体を押し伸ばす力が強くなるため、得られる積層板の寸法変化が悪化する傾向がある。また、逆にラミネート圧力が低すぎると得られる積層板の金属箔の接着強度が低くなる。そのためラミネート圧力は、49〜490N/cm(5〜50kgf/cm)の範囲内であることが好ましく、98〜294N/cm(10〜30kgf/cm)の範囲内であることがより好ましい。この範囲内であれば、ラミネート温度、ラミネート速度およびラミネート圧力の三条件を良好なものにすることができ、生産性をより一層向上することができる。
上記ラミネート工程における接着フィルム張力は、0.01〜4N/cm、さらには0.02〜2.5N/cm、特には0.05〜1.5N/cmが好ましい。張力が上記範囲を下回ると、ラミネートの搬送時にたるみや蛇行が生じ、均一に加熱ロールに送り込まれないために外観の良好なフレキシブル金属張積層板を得ることが困難となる可能性がある。逆に、上記範囲を上回ると、強い張力がかけられた状態でラミネートされるため、接着フィルムと金属箔の間に歪みが生じ、寸法安定性が劣る可能性がある。
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を得るためには、連続的に被積層材料を加熱しながら圧着する熱ラミネート装置を用いることが好ましいが、この熱ラミネート装置では、熱ラミネート手段の前段に、被積層材料を繰り出す被積層材料繰出手段を設けてもよいし、熱ラミネート手段の後段に、被積層材料を巻き取る被積層材料巻取手段を設けてもよい。これらの手段を設けることで、上記熱ラミネート装置の生産性をより一層向上させることができる。上記被積層材料繰出手段および被積層材料巻取手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、例えば、接着フィルムや金属箔、あるいは得られる積層板を巻き取ることのできる公知のロール状巻取機等を挙げることができる。
さらに、保護材料を巻き取ったり繰り出したりする保護材料巻取手段や保護材料繰出手段を設けると、より好ましい。これら保護材料巻取手段・保護材料繰出手段を備えていれば、熱ラミネート工程で、一度使用された保護材料を巻き取って繰り出し側に再度設置することで、保護材料を再使用することができる。また、保護材料を巻き取る際に、保護材料の両端部を揃えるために、端部位置検出手段および巻取位置修正手段を設けてもよい。これによって、精度よく保護材料の端部を揃えて巻き取ることができるので、再使用の効率を高めることができる。なお、これら保護材料巻取手段、保護材料繰出手段、端部位置検出手段および巻取位置修正手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、従来公知の各種装置を用いることができる。
本発明にかかる製造方法により得られるフレキシブル金属張積層板においては、金属箔を除去する前後の寸法変化率、ならびに金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率の合計値が、MD方向、TD方向共に−0.08〜+0.08の範囲にあることが非常に好ましい。金属箔除去前後の寸法変化率は、エッチング工程前のフレキシブル金属張積層板における所定の寸法およびエッチング工程後の所定の寸法の差分と、上記エッチング工程前の所定の寸法との比で表される。加熱前後の寸法変化率は、エッチング工程後のフレキシブル金属張積層板における所定の寸法および加熱工程後の所定の寸法の差分と、上記加熱工程前の所定の寸法との比で表される。
寸法変化率がこの範囲内から外れると、フレキシブル金属張積層板において、微細な配線を形成した後、ならびに部品搭載時の寸法変化が大きくなってしまい、設計段階での部品搭載位置からずれることになる。その結果、実装する部品と基板とが良好に接続されなくなるおそれがある。換言すれば、寸法変化率が上記範囲内であれば、部品搭載に支障がないと見なすことが可能になる。
上記寸法変化率の測定方法は特に限定されるものではなく、フレキシブル金属張積層板において、エッチングまたは加熱工程の前後に生じる寸法の増減を測定できる方法であれば、従来公知のどのような方法でも用いることができる。
ここで、寸法変化率の測定は、MD方向、TD方向の双方について測定することが必須となる。連続的にイミド化ならびにラミネートする場合、MD方向およびTD方向では張力のかかり方が異なるため、熱膨張・収縮の度合いに差が現れ、寸法変化率も異なる。従って、寸法変化率の小さい材料では、MD方向およびTD方向の双方ともに変化率が小さいことが要求される。本発明においては、フレキシブル金属張積層板の、金属箔を除去する前後の寸法変化率、ならびに金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率の合計値が、MD方向、TD方向共に−0.08〜+0.08の範囲にあることが非常に好ましい。
なお、寸法変化率を測定する際のエッチング工程の具体的な条件は特に限定されるものではない。すなわち、金属箔の種類や形成されるパターン配線の形状等に応じてエッチング条件は異なるので、本発明において寸法変化率を測定する際のエッチング工程の条件は従来公知のどのような条件であってもよい。同様に、加熱工程においても、250℃で30分間加熱がなされれば良く、具体的な条件は特に限定されない。
本発明にかかる製造方法によって得られるフレキシブル金属張積層板は、前述したように、金属箔をエッチングして所望のパターン配線を形成すれば、各種の小型化、高密度化された部品を実装したフレキシブル配線板として用いることができる。もちろん、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、金属箔を含む積層体であれば、種々の用途に利用できることはいうまでもない。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
なお、合成例、実施例及び比較例における熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度、フレキシブル積層板の寸法変化率、金属箔引き剥し強度の評価法は次の通りである。
(貯蔵弾性率,ガラス転移温度)
貯蔵弾性率は、セイコーインスツルメンツ社製 DMS200により、昇温速度3℃/分にて、室温から400℃までの温度範囲で測定した後、それぞれの温度での値を読み取った。また、貯蔵弾性率の変曲点をガラス転移温度(Tg)とした。
(寸法変化率)
JIS C6481に基づいて、フレキシブル積層板に4つの穴を形成し、各穴のそれぞれの距離を測定した。次に、エッチング工程を実施してフレキシブル積層板から金属箔を除去した後に、20℃、60%RHの恒温室に24時間放置した。その後、エッチング工程前と同様に、上記4つの穴について、それぞれの距離を測定した。金属箔除去前における各穴の距離の測定値をD1とし、金属箔除去後における各穴の距離の測定値をD2として、次式によりエッチング前後の寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)={(D2−D1)/D1}×100
続いて、エッチング後の測定サンプルを250℃で30分加熱した後、20℃、60%RHの恒温室に24時間放置した。その後、上記4つの穴について、それぞれの距離を測定した。加熱後における各穴の距離の測定値をD3として、次式により加熱前後の寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)={(D3−D2)/D2}×100
なお、上記寸法変化率は、MD方向及びTD方向の双方について測定した。
(金属箔の引き剥がし強度:接着強度)
JIS C6471の「6.5 引きはがし強さ」に従って、サンプルを作製し、5mm幅の金属箔部分を、180度の剥離角度、50mm/分の条件で剥離し、その荷重を測定した。
(合成例1;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン(以下、BAPSともいう。)を117.2g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAともいう。)を71.7g徐々に添加した。続いて、3,3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物(以下、TMEGともいう。)を5.6g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。5.5gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
(合成例2;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(以下、BAPBともいう。)を110.2g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDAを83.6g徐々に添加した。続いて、TMEGを3.1g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。3.0gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
(合成例3;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(以下、BAPPともいう。)を115.6g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDAを78.7g徐々に添加した。続いて、TMEGを3.8g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。2.0gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
(合成例4;熱可塑性ポリイミドの合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを680g、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(以下、TFMBともいう。)を110.2g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、2,2’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン酸二無水物(以下、6FDAともいう。)を170.3g徐々に添加し、氷浴下で30分間撹拌した。4.0gの6FDAを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
得られたポリアミド酸溶液を撹拌しながら、ピリジン186.2gを徐々に添加した。その後、撹拌を続けながら、無水酢酸96.2gを徐々に添加した。添加が終わった後、撹拌を続けながら、ポリアミド酸溶液を100℃で3時間加熱した。加熱が終わった溶液を室温まで冷却した後、メタノール中に注ぎ、析出したポリイミド樹脂320gを回収した。
得られたポリイミド樹脂をメタノール中で2時間撹拌して洗浄する作業を3回繰り返した後、樹脂を回収して60℃で1時間乾燥させ、イミド化促進剤を除去したポリイミド樹脂を得た。
(合成例5;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、BAPPを56.4g、BAPSを59.5g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDAを72.8g、TMEGを9.3g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。2.0gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
(合成例6;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを800g、BAPPを115.6g、無水フタル酸を1.7g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDAを78.7g徐々に添加した。続いて、TMEGを1.2g添加、撹拌を行った。30分間撹拌を行い、ポリアミド酸溶液を得た。
(合成例7;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、BAPPを100g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(以下、TMHQともいう。)を75.1g徐々に添加した。続いて、TMEGを25.8g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。3.0gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
(合成例8;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、BAPPを107.5g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAともいう。)を54.9g徐々に添加した。続いて、TMEGを34.6g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。3.0gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
(実施例1)
合成例1で得られたポリアミド酸溶液を25μmPETフィルム(セラピールHP,東洋メタライジング社製)上に最終厚みが20μmとなるように流延し、120℃で5分間乾燥を行った。乾燥後の自己支持性フィルムをPETから剥離した後、金属製のピン枠に固定し、150℃で5分間、200℃で5分間、250℃で5分間、350℃で5分間乾燥を行い、単層シートを得た。
また、合成例1で得られたポリアミド酸溶液を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈した後、18μm厚のポリイミドフィルム(アピカルHPP,鐘淵化学工業社製)の両面に、熱可塑性ポリイミド層(接着層)の最終片面厚みが4μmとなるようにポリアミド酸を塗布した後、120℃で4分間加熱を行った。続いて420℃で20秒間加熱してイミド化を行い、接着フィルムを得た。
得られた接着フィルムの両面に18μmの圧延銅箔(BHY−22B−T;ジャパンエナジー製)、さらにその両側に保護材料(アピカル125NPI;鐘淵化学工業株式会社製)を配して、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度380℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で連続的に熱ラミネートを行い、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を作製した。
(実施例2)
合成例2で得られたポリアミド酸溶液を用いて実施例1と同様の操作を行い、単層シート、接着フィルムならびにフレキシブル金属張積層板を作製した。
(実施例3)
合成例4で得られた熱可塑性ポリイミド樹脂を、固形分濃度20重量%になるまでDMFで希釈した。得られた溶液を、合成例3で得られたポリアミド酸溶液90重量部に対して10重量部の割合で添加した。得られた混合溶液を用いて実施例1と同様の操作を行い、単層シートを作製した。
また、上記混合溶液を、固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈した後、18μm厚のポリイミドフィルム(アピカルHPP,鐘淵化学工業社製)の両面に、熱可塑性ポリイミド層(接着層)の最終片面厚みが4μmとなるようにポリアミド酸を塗布した後、120℃で4分間加熱を行った。続いて390℃で20秒間加熱してイミド化を行い、接着フィルムを得た。
得られた接着フィルムを用いて、ラミネート温度を360℃とする以外は実施例1と同様の操作を行い、フレキシブル金属張積層板を作製した。
(実施例4)
合成例5で得られたポリアミド酸溶液を用いて実施例1と同様の操作を行い、単層シート、接着フィルムならびにフレキシブル金属張積層板を作製した。
(比較例1)
合成例6で得られたポリアミド酸溶液を用いて、実施例1と同様の操作を行い、単層シートを作製した。また、合成例6で得られたポリアミド酸溶液を用いて、イミド化のための加熱温度を390℃とする以外は実施例1と同様の操作を行い、接着フィルムを作製した。得られた接着フィルムを用いて、ラミネート温度を360℃とする以外は実施例1と同様の操作を行い、フレキシブル金属張積層板を作製した。
(比較例2)
合成例7で得られたポリアミド酸溶液を用いて比較例1と同様の操作を行い、単層シート、接着フィルムならびにフレキシブル金属張積層板を作製した。
(比較例3)
合成例8で得られたポリアミド酸溶液を用いて、実施例1と同様の操作を行い、単層シートを作製した。また、合成例8で得られたポリアミド酸溶液を用いて、イミド化のための加熱温度を340℃とする以外は比較例1と同様の操作を行い、接着フィルムを作製した。得られた接着フィルムを用いて、ラミネート温度を340℃とする以外は比較例1と同様の操作を行い、フレキシブル金属張積層板を作製した。
(比較例4)
合成例4で得られたポリアミド酸溶液を25μmPETフィルム(セラピールHP,東洋メタライジング社製)上に最終厚みが20μmとなるように流延し、120℃で5分間乾燥を行った。乾燥後の自己支持性フィルムをPETから剥離した後、金属製のピン枠に固定し、150℃で5分間、200℃で5分間、250℃で5分間、350℃で5分間、400℃で5分間乾燥を行い、単層シートを得た。
また、合成例4で得られたポリアミド酸溶液を用いて、イミド化のための加熱温度を400℃とする以外は実施例1と同様の操作を行い、接着フィルムを作製した。得られた接着フィルムを用いて、ラミネート温度を400℃とする以外は実施例1と同様の操作を行い、フレキシブル金属張積層板を作製した。
各実施例、比較例で使用した熱可塑性ポリイミドの特性を評価した結果を表1に示し、フレキシブル金属張積層板の特性を評価した結果を表2に示す。
比較例1〜比較例4に示すように、接着層のガラス転移温度または貯蔵弾性率のいずれかの値が規定範囲外である場合は、寸法変化が大きい、もしくは接着強度とのバランスが取れない結果となった。
これに対し、全ての特性が所定範囲内となっている実施例1〜4では寸法変化の発生が抑制され、接着性の低下も見られなかった。

Claims (5)

  1. 絶縁性フィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けた接着フィルムであって、接着層が
    (A)貯蔵弾性率変曲点から求めたガラス転移温度が235℃以上、300℃以下
    かつ
    (B)ガラス転移温度+60℃における貯蔵弾性率が10Pa以上、10Pa以下
    の条件を満たすことを特徴とする、接着フィルム。
  2. 接着層のガラス転移温度+120℃における貯蔵弾性率が10Pa以上、10Pa以下であることを特徴とする、請求項1記載の接着フィルム。
  3. 接着層に含有される熱可塑性ポリイミドが、ビフェニル構造を有するジアミン成分もしくは酸二無水物成分を、全ジアミン成分もしくは全酸二無水物成分の50モル%以上使用して得られることを特徴とする、請求項1または2に記載の接着フィルム。
  4. 一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いて、請求項1乃至3に記載の接着フィルムに金属箔を貼り合わせて得られることを特徴とする、フレキシブル金属張積層板。
  5. 金属箔を除去する前後の寸法変化率、ならびに金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率の合計値が、MD方向、TD方向共に−0.08〜+0.08の範囲にあることを特徴とする、請求項4に記載のフレキシブル金属張積層板。
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