JP5355993B2 - 接着フィルム - Google Patents

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本発明は、高耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けた接着フィルムに関する。
近年、エレクトロニクス製品の軽量化、小型化、高密度化にともない、各種プリント基板の需要が伸びているが、中でも、フレキシブル積層板(フレキシブルプリント配線板(FPC)等とも称する)の需要が特に伸びている。フレキシブル積層板は、絶縁性フィルム上に金属箔からなる回路が形成された構造を有している。
上記フレキシブル積層板は、一般に、各種絶縁材料により形成され、柔軟性を有する絶縁性フィルムを基板とし、この基板の表面に、各種接着材料を介して金属箔を加熱・圧着することにより貼りあわせる方法により製造される。上記絶縁性フィルムとしては、ポリイミドフィルム等が好ましく用いられている。上記接着材料としては、エポキシ系、アクリル系等の熱硬化性接着剤が一般的に用いられている(これら熱硬化性接着剤を用いたFPCを以下、三層FPCともいう)。
上記三層FPCに用いられる熱硬化性接着剤は、比較的低温での接着が可能であるという利点がある。しかし今後、FPCに対して耐熱性、屈曲性、電気的信頼性といった各種特性に対する要求が厳しくなることに加え、熱硬化性接着剤の多くに含まれるハロゲン含有難燃剤が地球環境に悪影響を及ぼす可能性があることから、熱硬化性接着剤を用いた三層材FPCでは対応が困難になってきているのが現状である。
これに対し、接着剤として前記熱硬化性接着剤を使用しない二層FPCが提案されている。二層FPCに用いるフレキシブル金属張積層板の作製方法としては、金属箔上にポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を流延、塗布した後イミド化するキャスト法、スパッタ、メッキによりポリイミドフィルム上に直接金属層を設けるメタライジング法、熱可塑性ポリイミドを介してポリイミドフィルムと金属箔とを貼り合わせるラミネート法が挙げられる。この中で、ラミネート法は、対応できる金属箔の厚み範囲がキャスト法よりも広く、装置コストがメタライジング法よりも低いという点で優れている。ラミネートを行う装置としては、ロール状の材料を繰り出しながら連続的にラミネートする熱ロールラミネート装置またはダブルベルトプレス装置等が用いられている。上記の内、生産性が高いこと、初期設備投資が低いことから、熱ロールラミネート法を特に好ましく用いることができる。
従来の三層FPCを前記ラミネート法で作製する際、接着層に熱硬化性樹脂を用いていたため、ラミネート温度は200℃未満で行うことが可能であった(例えば、特許文献1参照)。これに対し、熱可塑性ポリイミドを接着層として用いる二層FPCは、熱可塑性ポリイミドの熱融着性を発現させるために200℃以上、多くの場合400℃近くの高温を加える必要がある。ここで、熱ロールラミネート法では、一対のロールで金属箔と接着フィルムを押し付けながら搬送するため、長手方向(以下、MD方向ともいう)には延伸、幅方向(以下、TD方向ともいう)には収縮の応力が印加される。しかし、当該ロールに挟まれる直前、接着フィルムは200℃以上、多くの場合400℃近くの温度にさらされるため、接着フィルムが持つ加熱収縮力や動的粘弾性によってもフィルムが変形する。当該変形及び、上記熱ロールラミネートの際のMD方向の延伸、TD方向の収縮の応力によって、残留歪を誘発し、金属張積層板をエッチングして配線を形成する際、ならびに部品を実装するために半田リフローを行う際に、寸法変化となって現れる。
近年、電子機器の小型化、軽量化を達成するために、基板に設けられる配線は微細化が進んでおり、実装する部品も小型化、高密度化されたものが搭載されうる。そのため、微細な配線を形成した後の寸法変化が大きくなると、設計段階での部品搭載位置からずれて、部品と基板とが良好に接続されなくなるという問題が生じる。
そこで、ラミネート圧力の制御や、接着フィルムの張力制御により、寸法変化を抑える試みがなされている(例えば、特許文献2または3参照)。しかしながら、これらの手段により寸法変化は改善されるものの、まだ充分ではなく、更なる寸法変化の改善が求められている。
特開平9−199830号公報 特開2002−326308号公報 特開2002−326280号公報
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ラミネート法で作製した場合でも寸法変化の発生が抑制されたフレキシブル金属張積層板が得られる、接着フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、接着フィルムの加熱収縮率及び動的粘弾性を制御することにより、ラミネート法で作成した場合でも寸法変化の発生が抑制されたフレキシブル金属張積層板を提供可能な接着フィルムが得られることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明は、高耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層が形成されてなる接着フィルムであって、当該接着フィルムのMD方向及びTD方向の300℃における加熱収縮率が何れも0%〜0.5%の範囲であり、接着フィルムの動的粘弾性測定時のtanδピークトップ温度が320〜400℃であり、tanδのピークトップの値が0.1以上であることを特徴とする、接着フィルムに関する。
好ましい実施態様は、MD方向及びTD方向の300℃における加熱収縮率が何れも0.05%〜0.3%の範囲であることを特徴とする、前記の接着フィルムに関する。
好ましい実施態様は、共押出−流延塗布法により製造されてなることを特徴とする、前記の接着フィルムに関する。
好ましい実施態様は、高耐熱性ポリイミド層の両面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層が形成されていることを特徴とする、前記の接着フィルムに関する。
本発明によれば、ラミネート法で作製した場合でも寸法変化の発生が抑制されたフレキシブル金属張積層板が得られる、接着フィルムを提供できる。
本発明に係る接着フィルムは、高耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層が形成されてなる接着フィルムであって、当該接着フィルムのMD方向及びTD方向の300℃における加熱収縮率が何れも0%〜0.5%の範囲であり、前記接着フィルムの動的粘弾性測定時のtanδピークトップ温度が320〜400℃であり、tanδのピークトップの値が0.1以上であることを特徴とする。以下、実施の形態の一例に基づき説明する。
<高耐熱性ポリイミド層>
本発明に係る高耐熱性ポリイミド層は、その接着フィルムを用いて加工する際の工程、または最終製品の形態で通常さらされる温度において、容易に熱変形しないものであれば各種ポリイミド材料を使用して形成することができるが、特に非熱可塑性ポリイミド樹脂を90重量%以上含有していることが好ましい。なお、その分子構造、厚みは特に限定されない。高耐熱性ポリイミド層に用いられる非熱可塑性ポリイミドは、ポリアミド酸を前駆体として用いて製造されうる。ポリアミド酸の製造方法としては公知のあらゆる方法を用いることができるが、通常、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを、実質的等モル量となるように有機溶媒中に溶解させて、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造されうる。これらのポリアミド酸溶液は通常5〜35重量%、好ましくは10〜30重量%の濃度で得られる。一般に、この範囲の濃度である場合に、適当な分子量と溶液粘度を得ることができる。
ポリアミド酸の重合方法としては、あらゆる公知の方法およびそれらを組み合わせた方法を用いることができる。ポリアミド酸の重合における重合方法の特徴はそのモノマーの添加順序にあり、このモノマー添加順序を制御することにより、最終的に得られるポリイミドの諸物性を制御することができる。従い、本発明においてポリアミド酸の重合にはいかなるモノマーの添加方法を用いても良い。代表的な重合方法として次のような方法が挙げられる。すなわち、
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法、
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法、
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法、
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法、
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法、
などのような方法である。これら方法を単独で用いても良いし、部分的に組み合わせて用いることもできる。
本発明において、後述する剛直構造を有するジアミン成分を用いてプレポリマーを得る重合方法を用いることも好ましい。本方法を用いることにより、弾性率が高く、吸湿膨張係数が小さいポリイミドフィルムが得やすくなる傾向にある。本方法においてプレポリマー調製時に用いる剛直構造を有するジアミンと酸二無水物のモル比は100:70〜100:99もしくは70:100〜99:100、さらには100:75〜100:90もしくは75:100〜90:100が好ましい。この比が上記範囲を下回ると弾性率および吸湿膨張係数の改善効果が得られにくく、上記範囲を上回ると線膨張係数が小さくなりすぎたり、引張伸びが小さくなるなどの弊害が生じることがある。
ここで、前記ポリアミド酸組成物に用いられる材料について説明する。
本発明において用いることができる適当な酸二無水物は、例えば、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの誘導物を含み、これらを単独または任意の割合で混合した混合物を好ましく用いることができる。
これら酸二無水物の中で特にはピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
またこれら酸二無水物の中で3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選択される少なくとも一種を用いる場合の好ましい使用量は、全酸二無水物に対して、60mol%以下、より好ましくは55mol%以下、更に好ましくは50mol%以下である。3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選択される少なくとも一種を用いる場合、その使用量がこの範囲を上回るとポリイミドフィルムのガラス転移温度が低くなりすぎたり、熱時の貯蔵弾性率が低くなりすぎて製膜そのものが困難になったりする場合がある。
また、ピロメリット酸二無水物を用いる場合、好ましい使用量は40〜100mol%、更に好ましくは45〜100mol%、特に好ましくは50〜100mol%である。ピロメリット酸二無水物をこの範囲で用いることによりガラス転移温度および熱時の貯蔵弾性率を使用または製膜に好適な範囲に保ちやすくなる。
前記非熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の組成物において使用し得る適当なジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3‘−ジメチルベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン及びそれらの類似物などが挙げられる。
ジアミン成分として、剛直構造を有するジアミンと柔構造を有するアミンを併用することもでき、その場合の好ましい使用比率はモル比で80/20〜20/80、さらには70/30〜30/70、特には60/40〜30/70である。剛構造のジアミンの使用比率が上記範囲を上回ると得られるフィルムの引張伸びが小さくなる傾向にあり、またこの範囲を下回るとガラス転移温度が低くなりすぎたり、熱時の貯蔵弾性率が低くなりすぎて製膜が困難になるなどの弊害を伴う場合がある。
本発明において、剛直構造を有するジアミンとは、
Figure 0005355993
(ここで一般式(1)中のR2は、
Figure 0005355993
で表される2価の芳香族基からなる群から選択される基であり、一般式群(1)中のR3は同一または異なってもよく、H,CH3、OH、CF3、SO4、COOH、CO-NH2、Cl、Br、F及びCH3Oからなる群より選択される何れかの1つの基である)
で表されるものをいう。
また、柔構造を有するジアミンとは、エーテル基、スルホン基、ケトン基、スルフィド基などの柔構造を有するジアミンであり、好ましくは、下記一般式(2)で表されるものである。
Figure 0005355993
(ここで一般式(2)中のR4は、
Figure 0005355993
で表される2価の有機基からなる群から選択される基であり、一般式(2)中のR5は同一または異なってもよく、H,CH3、OH、CF3、SO4、COOH、CO-NH2、Cl、Br、F及びCH3Oからなる群より選択される1つの基である。)
本発明において用いられる高耐熱性ポリイミド層は、所望の特性を有するポリイミド層となるように適宜芳香族酸二無水物および芳香族ジアミンの種類、配合比を決定して用いることにより得ることができる。
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、ポリアミド酸を溶解する溶媒であればいかなるものも用いることができるが、例えば、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが好適であり、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用いられ得る。
また、摺動性、熱伝導性、導電性、耐コロナ性、ループスティフネス等のフィルムの諸特性を改善する目的で、高耐熱性ポリイミド層を中心としてフィラーを添加することもできる。フィラーとしてはいかなるものを用いても良いが、好ましい例としては、シリカ、酸化チタン、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、雲母などが挙げられる。
前記フィラーの粒子径は改質すべきフィルム特性と添加するフィラーの種類によって決定されるため、特に限定されるものではないが、一般的には平均粒子径が0.05〜100μm、好ましくは0.1〜75μm、更に好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは0.1〜25μmである。粒子径がこの範囲を下回ると摺動性などの改質効果が現れにくくなり、逆にこの範囲を上回ると表面性を大きく損なったり、機械的特性が大きく低下したりする可能性がある。また、フィラーの添加部数についても改質すべきフィルム特性やフィラー粒子径などにより決定されるため特に限定されるものではない。一般的にフィラーの添加量はポリイミド100重量部に対して0.01〜100重量部、好ましくは0.01〜90重量部、更に好ましくは0.02〜80重量部である。フィラー添加量がこの範囲を下回るとフィラーによる前記改質効果が現れにくく、この範囲を上回るとフィルムの機械的特性が大きく損なわれる可能性がある。
フィラーの添加は、
1.重合前または途中に重合反応液に添加する方法
2.重合完了後、3本ロールなどを用いてフィラーを混錬する方法
3.フィラーを含む分散液を用意し、これをポリアミド酸有機溶媒溶液に混合する方法
などいかなる方法を用いてもよいが、フィラーを含む分散液をポリアミド酸溶液に混合する方法、特に製膜直前に混合する方法が製造ラインのフィラーによる汚染が最も少なくすむため、好ましい。フィラーを含む分散液を用意する場合、ポリアミド酸の重合溶媒と同じ溶媒を用いるのが好ましい。また、フィラーを良好に分散させ、また分散状態を安定化させるために分散剤、増粘剤等をフィルム物性に影響を及ぼさない範囲内で用いることもできる。
このようにして得られた非熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体を有する溶液を、本発明においては高耐熱性ポリイミドの前駆体を含む溶液ともいう。
<接着層>
接着層に含有される熱可塑性ポリイミドとしては、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミドイミド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリエステルイミド等を好適に用いることができる。中でも、低吸湿特性の点から、熱可塑性ポリエステルイミドが特に好適に用いられる。
また、本発明に係る接着フィルムを用いて金属張積層板を製造する際に既存の装置でラミネートが可能であり、かつ得られる金属張積層板の耐熱性を損なわないという点から考えると、本発明における熱可塑性ポリイミドは、150〜300℃の範囲にガラス転移温度(Tg)を有していることが好ましい。なお、Tgは動的粘弾性測定装置(DMA)により測定した貯蔵弾性率の変曲点の値により求めることができる。
本発明に用いられる熱可塑性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸についても、特に限定されるわけではなく、公知のあらゆるポリアミド酸を用いることができる。ポリアミド酸溶液の製造に関しても、前記原料および前記製造条件等を全く同様に用いることができる。
なお、熱可塑性ポリイミドは、使用する原料を種々組み合わせることにより、諸特性を調節することができるが、一般に剛直構造のジアミン使用比率が大きくなるとガラス転移温度高くなる及び/又は熱時の貯蔵弾性率が大きくなり接着性・加工性が低くなる傾向がある。このため、剛直構造のジアミン比率は好ましくは40mol%以下、さらに好ましくは30mol%以下、特に好ましくは20mol%以下である。また、必要に応じて無機あるいは有機物のフィラーを添加しても良い。
<接着フィルムの製造>
本発明に係る接着フィルムは、例えば、高耐熱性ポリイミド層を得た後、接着層をコーティングする方法、共押出−流延塗布法など、従来周知の技術のいずれを使って製造してもよい。中でも、接着フィルムの加熱収縮率を所望の範囲に制御しやすいことから、共押出−流延塗布法が最も好ましく用いられる。
本発明における前記共押出−流延塗布法とは、高耐熱性ポリイミド層を形成しうる高耐熱性ポリイミドの前駆体溶液と、接着層を形成しうる熱可塑性ポリイミドを含有する溶液若しくは熱可塑性ポリイミドの前駆体を含有する溶液とを、二層以上の押出し成形用ダイスを有する押出成形機へ同時に供給して、前記ダイスの吐出口から両溶液を少なくとも二層の薄膜状体として押出す工程を含む接着フィルムの製造方法である。二層以上の押出し成形用ダイスから押出された前記の両溶液を、平滑な支持体上に連続的に押し出し、次いで、前記支持体上の多層の薄膜状体の溶媒の少なくとも一部を揮散せしめることで、自己支持性を有する多層フィルムが得られる。さらに、当該多層フィルムを前記支持体上から剥離し、最後に、当該多層フィルムを高温(250−600℃)で充分に加熱処理することによって、溶媒を実質的に除去すると共にイミド化を進行させ、目的の接着フィルムを得ることができる。また、接着層の熔融流動性を改善する目的で、意図的にイミド化率を低くする及び/又は溶媒を残留させてもよい。
二層以上の押出し成形用ダイスから押出された高耐熱性ポリイミドの前駆体溶液と、熱可塑性ポリイミドを含有する溶液若しくは熱可塑性ポリイミドの前駆体を含有する溶液中の溶媒の揮散方法に関しては特に限定されないが、加熱および/または送風による方法が最も簡易な方法である。上記加熱の際の温度は、高すぎると溶媒が急激に揮散し、当該揮散の痕が最終的に得られる接着フィルム中に微小欠陥を形成せしめる要因となるため、用いる溶媒の沸点+50℃未満であることが好ましい。
上記の二層以上の押出し成形用ダイスとは、複数層用フィルム作成用のダイスであれば特に限定されず、従来既知のあらゆる構造のものを好適に使用可能であるが、特に好適に使用可能なものとして、フィードブロックダイスやマルチマニホールドダイスが例示される。
ポリイミドは、例えば、ポリイミドの前駆体、即ちポリアミド酸からの脱水転化反応により得られる。当該転化反応を行う方法としては、熱によってのみ行う熱キュア法と、化学脱水剤を使用する化学キュア法の2法が最も広く知られている。何れの方法を採用してもよいが、より高い生産性を付与することから、化学キュア法を用いることが特に好ましい。
上記化学脱水剤とは、ポリアミド酸に対する脱水閉環剤であり、その主成分として、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N′−ジアルキルカルボジイミド、低級脂肪族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪族酸無水物、アリールスルホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物またはそれら2種以上の混合物を好ましく用いることができる。その中でも特に、脂肪族酸無水物及び芳香族酸無水物が良好に作用する。また、ポリアミド酸に対する化学脱水剤の脱水閉環作用を促進する効果を有する成分として触媒を併用できるが、当該触媒としては、例えば、脂肪族3級アミン、芳香族3級アミン、複素環式3級アミンを用いることができる。そのうち、イミダゾ−ル、ベンズイミダゾ−ル、イソキノリン、キノリン、またはβ−ピコリンなどの含窒素複素環化合物であることが特に好ましい。
化学脱水剤の好ましい使用量は、化学脱水剤及び触媒を含有せしめる溶液に含まれるポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して0.5〜5モル、好ましくは0.7〜4モルである。また、触媒の好ましい使用量は、化学脱水剤及び触媒を含有せしめる溶液に含まれるポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して0.05〜3モル、好ましくは0.2〜2モルである。化学脱水剤及び触媒が上記範囲を下回ると化学的イミド化が不十分で、フィルムが焼成途中で破断したり、機械的強度が低下したりすることがある。また、これらの量が上記範囲を上回ると、イミド化の進行が早くなりすぎ、フィルム状にキャストすることが困難となることがある。
本発明に係る接着フィルムは、高耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層が形成されてなる接着フィルムであって、MD方向及びTD方向の300℃における加熱収縮率が何れも0%〜0.5%の範囲である接着フィルムであって、前記接着フィルムの動的粘弾性測定時のtanδピークトップ温度が320〜400℃であり、tanδのピークトップの値が0.1以上であることを特徴とする、接着フィルムである。
例えば、本発明に係る接着フィルムを用いて熱ロールラミネート法により金属張積層板を製造する方法では、一対のロールで金属箔と接着フィルムを押し付けながら搬送するため、長手方向(以下、MD方向)には延伸、幅方向(以下、TD方向)には収縮の応力が印加される。しかし、当該ロールに挟まれる直前、接着フィルムは200℃以上、多くの場合400℃近くの温度にさらされるため、接着フィルムが持つ加熱収縮力によってもフィルムが変形する。当該変形及び、上記熱ロールラミネートの際のMD方向の延伸、TD方向の収縮の応力によって、残留歪を誘発し、金属張積層板をエッチングして配線を形成する際、並びに部品を実装するために半田リフローを行う際に、寸法変化となって現れる。
本発明者らは、ラミネート後の寸法変化と接着フィルムの加熱収縮率及び動的粘弾性について鋭意検討した結果、特定の範囲の加熱収縮率及び動的粘弾性を持った接着フィルムを用いることにより、寸法変化率の小さい二層FPCを得られることを見出した。
なお、本発明において加熱収縮率とは、以下の方法により得られる値である。23℃、55%RHに調整された部屋に2日間放置した後のフィルム寸法(L1)を測定し、続いて300℃で30分間加熱した後、再び25℃、55%RHに調整された部屋に2日間放置した後フィルム寸法(L2)を測定し、下記式計算により評価する。
加熱収縮率=−(L2−L1)/L1×100
MD方向及びTD方向の加熱収縮率を所定の範囲に制御する具体的方法に関しては特に限定されないが、接着フィルムを共押出−流延塗布法で製造する場合、キュア最高温度ゾーンから冷却の工程中において、MD方向、TD方向の張力を上げる方法が挙げられる。
上記、MD方向の張力を上げる方法の具体例としては、キュア最高温度でのフィルム搬送速度(S1)に対し、雰囲気温度が接着フィルムのtanδのピークトップの温度と同等の温度のゾーンのフィルム搬送速度(S2)が、S1≦S2となるように調整する方法が挙げられる。また、TD方向の張力を上げる方法の具体例としては、キュア最高温度でのフィルム把持幅(W1)に対し、雰囲気温度が接着フィルムのtanδのピークトップの温度と同等の温度のゾーンのフィルム把持幅(W2)が、W1≦W2となるように調整する方法が挙げられる。接着フィルムを構成するポリイミド樹脂は、正の熱線膨張係数を有する。従い、前記の条件に設定することで、MD方向、TD方向の張力を実質的に上げることが可能となる。
また、動的粘弾性測定で得られる、損失弾性率を貯蔵弾性率で割った値であるtanδのピークトップ温度が320℃〜400℃、好ましくは330℃〜380℃の範囲内にあることが必要である。tanδのピークトップ温度が上記範囲よりも低い場合、tanδが増加し始める温度が250℃前後もしくはそれ以下になり、寸法変化測定時にコア層(高耐熱性ポリイミド層)が軟化し始める場合があるため、寸法変化率が悪化する可能性がある。逆にtanδのピークトップ温度が上記範囲よりも高い場合、歪みを緩和するのに充分なレベルまでコア層を軟化させるために必要な温度が高くなりすぎるため、既存のラミネート装置では熱応力を充分に緩和できず、寸法変化が悪化する可能性がある。
また、tanδのピークトップの値が0.1以上、好ましくは0.12以上であることが必要である。tanδのピークトップの値が前記範囲よりも小さい場合、歪を緩和するのに充分なレベルまでコアを軟化させることができないため、寸法変化が悪化する可能性がある。tanδのピークトップの値の上限については特に制限はないが、当該値が高すぎるとコアが軟化しすぎ、得られる金属張積層板にシワが発生する可能性がある。そのため、tanδのピークトップの値は、0.2以下が好ましく、より好ましくは0.18以下である。
上記tanδのピークトップ温度および値を所定の範囲に制御する具体的方法に関しては特に限定されないが、接着フィルムを構成するポリイミド樹脂、特に高耐熱性ポリイミド層を構成するポリイミド樹脂の分子構造を選択する方法が挙げられる。具体的には、高耐熱性ポリイミド層を形成するポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸の組成物として、柔構造を有するテトラカルボン酸二無水物若しくはジアミンを使用することで目的が好適に達成できる。さらに具体的には、テトラカルボン酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ジアミンとしては、前述一般式(2)のジアミンが挙げられる。
なお、本発明に係るtanδとは、23℃、55%RHに調整された部屋に2日間接着フィルムを放置し、セイコー電子(株)社製DMS200を用いて(サンプルサイズ幅9mm、長さ40mm)、周波数1、5、10Hzで昇温速度3℃/minで20〜400℃の温度範囲で測定して得られる値である。
本発明に係る接着フィルムは、ラミネート法により金属箔を接着フィルムの少なくとも片側表面に接着せしめることが、好ましい使用の形態の一つである。従って、金属箔を少なくとも片側表面に接着させた形態、即ち、フレキシブル金属張積層板に加工した際の、寸法安定性を考慮すると、接着フィルムの100〜200℃における熱膨張係数を好ましくは4〜30ppm/℃、より好ましくは6〜25ppm/℃、特に好ましくは8〜22ppm/℃となるように制御することが好ましい。
接着フィルムの熱膨張係数が上記範囲を上回る場合、金属箔の熱膨張係数よりも大きくなりすぎるため、ラミネート時の接着フィルムと金属箔の熱挙動の差が大きくなり、得られるフレキシブル金属張積層板の寸法変化が大きくなる場合がある。接着フィルムの熱膨張係数が上記範囲を下回る場合、逆に接着フィルムの熱膨張係数が金属箔よりも小さくなりすぎるため、やはりラミネート時の熱挙動の差が大きくなり、得られるフレキシブル金属張積層板の寸法変化が大きくなる場合がある。また、接着フィルムの熱膨張係数と、貼り合わせる金属箔の熱膨張係数の差が大きくなると、貼り合わせ時の膨張・収縮の挙動の差が大きくなるため、得られるフレキシブル金属張積層板に歪みが残留し、金属箔除去後の寸法変化率が大きくなる場合がある。接着フィルムの熱膨張係数は、100〜200℃における値が、金属箔の熱膨張係数±6ppm/℃の範囲となるように調整することが好ましい。接着フィルムの熱膨張係数は、高耐熱性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミド層の厚み比率を変更することにより、調整することが可能である。
上記の金属箔としては特に限定されるものではないが、電子機器・電気機器用途にフレキシブル金属張積層板を用いる場合には、例えば、銅若しくは銅合金、ステンレス鋼若しくはその合金、ニッケル若しくはニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる箔を挙げることができる。一般的なフレキシブル金属張積層板では、圧延銅箔、電解銅箔といった銅箔が多用されるが、本発明においても好ましく用いることができる。なお、これらの金属箔の表面には、防錆層や耐熱層あるいは接着層が塗布されていてもよい。
接着フィルム各層の厚み構成については、用途に応じた総厚みになるように適宜調整すれば良いが、本発明の効果をより顕著に得られる総厚みとしては、10μm〜30μm、より好ましくは10μm〜20μm、さらに好ましくは10μm〜16μmである。
次に、本発明に係る接着フィルムの製造方法を実施例により詳しく説明する。なお、実施例及び比較例中の加熱収縮率及びtanδは、以下の方法で評価した。
<加熱収縮率>
23℃、55%RHに調整された部屋に2日間放置した後のフィルム寸法(L1)を測定し、続いて300℃で30分間加熱した後、再び25℃、55%RHに調整された部屋に2日間放置した後フィルム寸法(L2)を測定し、下記式計算により評価した。
加熱収縮率=−(L2−L1)/L1×100
<動的粘弾性測定>
23℃、55%RHに調整された部屋に2日間接着フィルムを放置し、セイコー電子(株)社製DMS200を用いて(サンプルサイズ幅9mm、長さ40mm)、周波数1、5、10Hzで昇温速度3℃/minで20〜400℃の温度範囲で測定して得た。
<フレキシブル金属張積層板の作製>
得られた接着フィルムの両側に18μm厚の圧延銅箔(BHY−22B−T,ジャパンエナジー社製)を、さらに銅箔の両側に保護材料(アピカル125NPI;株式会社カネカ製)を用いて、接着フィルムの張力0.4N/cm、ラミネート温度380℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で連続的に熱ロールラミネートを行い、フレキシブル金属張積層板を作製した。
<寸法変化率>
JIS C6481に基づいて、フレキシブル金属張積層板に4つの穴を形成し、各穴のそれぞれの距離を測定した(この値をD1とする)。次に、エッチング工程を実施してフレキシブル金属張積層板から金属箔を除去した後に、23℃、55%RHの恒温室に24時間放置した。その後、エッチング後の測定サンプルを250℃で30分加熱した後、23℃、55%RHの恒温室に24時間放置した。その後、上記4つの穴について、それぞれの距離を測定した。加熱後における各穴の距離の測定値をD2として、次式により加熱前後の寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)={(D2−D1)/D1}×100
なお、上記寸法変化率は、MD方向及びTD方向の双方について測定した。
(合成例1;高耐熱性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸の合成)
10℃に冷却したN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFともいう)239kgに4,4’−オキシジアニリン(以下、ODAともいう)6.9kg、p−フェニレンジアミン(以下、p−PDAともいう)6.2kg、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(以下、BAPPともいう)9.4kgを溶解した後、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAともいう)10.4kgを添加し1時間撹拌して溶解させた。ここに、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAともいう)20.3kgを添加し1時間撹拌させて溶解させた。
別途調製しておいたPMDAのDMF溶液(PMDA:DMF=0.9kg:7.0kg)を上記反応液に徐々に添加し、粘度が3×102Pa・secに達したところで添加を止めた。1時間撹拌を行って固形分濃度18重量%、23℃での回転粘度が3.5×102Pa・secの、高耐熱性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸溶液を得た。
(合成例2;高耐熱性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸の合成)
10℃に冷却したDMF236kgにODAを11.0kg、p−PDAを5.9kg溶解した後、PMDAを11.2kg添加し1時間撹拌させて溶解させた。続いて、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)25.1kgを添加し、2時間撹拌して溶解させた。
別途調製しておいたPMDAのDMF溶液(PMDA:DMF=0.7kg:10.0kg)を上記反応液に徐々に添加し、粘度が3×102Pa・secに達したところで添加を止めた。1時間撹拌を行って固形分濃度18重量%、23℃での回転粘度が3.5×102Pa・secの、高耐熱性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸溶液を得た。
(合成例3;熱可塑性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸の合成)
容量350Lの反応槽に、DMFを248kg、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を17.5kg加え、窒素雰囲気下で攪拌した。当該溶液に、メジアン平均径が2μmのシリカの10%DMF分散液を41.4g添加し、十分に攪拌した。次いで、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)を24.0kg徐々に添加した。0.5kgのBPDAを10kgのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が40Pa・secに達したところで添加、撹拌をやめ、熱可塑性ポリイミドの前駆体溶液を得た。
(合成例4;熱可塑性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸の合成)
容量350Lの反応槽に、DMFを248kg、BPDAを21.1kg加え、窒素雰囲気下で攪拌した。当該溶液に、メジアン平均径が2μmのシリカの10%DMF分散液を41.4g添加し、十分に攪拌した。次いで、4,4′−(m−フェニレンジオキシ)ジアニリン(TPE−R)を20.3kg徐々に添加した。0.6kgのTPE−Rを10kgのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が40Pa・secに達したところで添加、撹拌をやめ、熱可塑性ポリイミドの前駆体溶液を得た。
(実施例1)
合成例1で得られた高耐熱性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸溶液に、以下の化学脱水剤及び触媒を含有せしめた。
1.化学脱水剤:無水酢酸を高耐熱性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸のアミド酸ユニット1モルに対して2モル
2.触媒:イソキノリンを高耐熱性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸のアミド酸ユニット1モルに対して1モル
更に、合成例3で得られた熱可塑性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸溶液に、以下の化学脱水剤及び触媒を含有せしめた。
1.化学脱水剤:無水酢酸を熱可塑性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸のアミド酸ユニット1モルに対して2モル
2.触媒:イソキノリンを熱可塑性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸のアミド酸ユニット1モルに対して0.5モル
次いで、3層マルチマニホールドダイスから、外層が熱可塑性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸溶液、内層が高耐熱性ポリイミド溶液の前駆体のポリアミド酸溶液となる順番で、各ポリアミド酸溶液を連続的に押し出して、当該マルチマニホールドダイスの下20mmを走行しているステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒で加熱した後、エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がしてテンタークリップに固定し、テンタークリップ間を広げることでTD方向の延伸倍率1.1倍で延伸しながら、300℃×30秒、400℃×50秒、450℃×10秒で乾燥・イミド化させ、各熱可塑性ポリイミド層厚4μm、高耐熱性ポリイミド層厚17μmの接着フィルムを得た。
当該接着フィルムの加熱収縮率及びtanδを測定した。さらに、当該接着フィルムを用いて、フレキシブル金属張積層板を作成し、寸法変化率を測定した。これらの値を表1に示す。
(実施例2)
合成例3で得られた熱可塑性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸溶液を用いる代わりに、合成例4で得られた熱可塑性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸溶液を用いることを除いて、実施例1と同様の手順で接着フィルムを作製した。
当該接着フィルムの加熱収縮率及びtanδを測定した。さらに、当該接着フィルムを用いて、フレキシブル金属張積層板を作成し、寸法変化率を測定した。これらの値を表1に示す。
(比較例1)
テンタークリップ間を狭め、TD方向の延伸倍率を0.95倍にしたことを除いて、実施例1と同様の手順で接着フィルムを作成した。当該接着フィルムの加熱収縮率及びtanδを測定した。さらに、当該接着フィルムを用いて、フレキシブル金属張積層板を作製し、寸法変化率を測定した。これらの値を表1に示す。
(比較例2)
合成例1で得られた高耐熱性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸溶液を用いる代わりに、合成例2で得られた高耐熱性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸溶液を用いることを除いて、実施例1と同様の手順で接着フィルムを作製した。当該接着フィルムの加熱収縮率及びtanδを測定した。さらに、当該接着フィルムを用いて、フレキシブル金属張積層板を作製し、寸法変化率を測定した。これらの値を表1に示す。
Figure 0005355993
表1に示されるように、加熱収縮率及びtanδが本発明の範囲外である接着フィルムを用いて作成したフレキシブル金属張積層板は、寸法変化率が大きく、加熱収縮率及びtanδが所定の範囲内である接着フィルムを用いて作成したフレキシブル金属張積層板は寸法変化率が小さい結果となった。
以上、本発明に係る接着フィルムについて説明したが、本発明は上述の形態に限定されるものではない。例示するまでもなく記述した範囲内で種々の変形を加えた態様で実施できるものである。

Claims (4)

  1. 高耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層が形成されてなる接着フィルムであって、当該接着フィルムのMD方向及びTD方向の300℃における加熱収縮率が何れも0%〜0.5%の範囲であり、接着フィルムの動的粘弾性測定時のtanδピークトップ温度が320〜400℃であり、tanδのピークトップの値が0.1以上であり、
    前記高耐熱性ポリイミド層は、非熱可塑性ポリイミドを含有するものであり、
    前記非熱可塑性ポリイミドは、酸二無水物成分として、ピロメリット酸二無水物と、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4'−オキシジフタル酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選択される少なくとも一種とを用い、
    ジアミン成分として、下記一般式(2)で表されるジアミンを用いて得られるものであることを特徴とする、接着フィルム:
    Figure 0005355993
    (ここで一般式(2)中のR 4 は、
    Figure 0005355993
    で表される2価の有機基からなる群から選択される基であり、一般式(2)中のR 5 は同一または異なってもよく、H,CH 3 、OH、CF 3 、SO 4 、COOH、CO-NH 2 、Cl、Br、F及びCH 3 Oからなる群より選択される1つの基である。)。
  2. MD方向及びTD方向の300℃における加熱収縮率が何れも0.05%〜0.3%の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の接着フィルム。
  3. 共押出−流延塗布法により製造されてなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の接着フィルム。
  4. 高耐熱性ポリイミド層の両面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層が形成されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の接着フィルム。
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