JP4838509B2 - フレキシブル金属張積層板の製造方法 - Google Patents

フレキシブル金属張積層板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、フレキシブル金属張積層板の製造方法と、それにより得られるフレキシブル金属張積層板に関するものであり、特に、ラミネート法により製造する場合に、金属箔の表面の酸化を抑制することができる製造方法と、それにより得られるフレキシブル積層板に関するものである。
近年、エレクトロニクス製品の軽量化、小型化、高密度化にともない、各種プリント基板の需要が伸びている。これらのプリント基板の中でも、フレキシブル配線板の需要が特に伸びている。フレキシブル配線板はフレキシブルプリント配線板(FPC)等とも称する。フレキシブル配線板は、絶縁性フィルム上に金属層からなる回路が形成された構造を有している。
上記フレキシブル配線板は、その積層構造から見た場合、代表的なタイプとして、(1)絶縁性の基板/接着材料/金属層の三層構造を有しているタイプと、(2)絶縁性の基板/金属層の二層構造を有しているタイプを挙げることができる。なお、以下の説明では、便宜上、前者を「三層FPC」と称し、後者を「二層FPC」と称する。
上記三層FPCは、各種絶縁材料により形成され、柔軟性を有する絶縁性フィルムを基板とし、この基板の表面に、各種接着材料を介して金属箔(銅箔等)を加熱・圧着することにより貼り合わせる方法により製造される。上記絶縁性フィルムとしては、ポリイミドフィルム等が好ましく用いられており、上記接着材料としては、エポキシ系、アクリル系等の熱硬化性接着剤が一般的に用いられている。
次に、上記二層FPCは、絶縁性フィルムに直接金属箔を積層するか、または上記接着層として、絶縁性フィルムの材質に合わせて熱可塑性ポリイミドを使用することにより製造される。
上記三層FPCに用いられる熱硬化性接着剤は、比較的低温での接着が可能であるという利点がある。ただし、接着材料(熱硬化性接着剤)の種類によっては諸特性がポリイミドよりも劣る場合があるので、基板(絶縁性フィルム)としてポリイミドフィルムを用いても、FPC全体として見た場合、当該ポリイミドフィルムの諸特性を十分に発揮できない場合がある。
特に、今後、フレキシブル配線板に対して耐熱性、屈曲性、電気的信頼性といった各種特性に対する要求が厳しくなることが想定されているが、熱硬化性接着剤を用いた三層FPCでは、このような要求に十分対応することが困難になると考えられている。これに対して、上記二層FPCは、三層FPCより優れた特性を有し、上記各種特性に対する要求にも十分対応可能であるため、今後需要が伸びていくことが期待される。もちろん、三層FPCが全て二層FPCに取って代わることにはならず、フレキシブル配線板の用途等に応じて、三層FPCと二層FPCとが並存して使用されることになると考えられる。
ところで、上記二層FPCや三層FPC等のフレキシブル配線板は、基板に金属箔を積層した構造を有するフレキシブル金属張積層板を用いて製造される。このフレキシブル金属張積層板の製造方法としては、キャスト法、メタライジング法、ラミネート法等が挙げられる。キャスト法は、金属箔上にポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を流延、塗布した後イミド化する方法である。メタライジング法は、スパッタ、メッキによりポリイミドフィルム上に直接金属層を設ける方法である。ラミネート法は、高耐熱性ポリイミド層の少なくとも片表面に熱可塑性ポリイミド層が設けられた接着フィルムと金属箔とを貼り合わせる方法である。
これらのうち、ラミネート法は、対応できる金属箔の厚み範囲がキャスト法よりも広く、装置コストがメタライジング法よりも低いという点で優れている。ラミネート法を行う装置としては、ロール状の材料を繰り出しながら連続的にラミネートする熱ロールラミネート装置またはダブルベルトプレス装置等が用いられている。これら装置のうち、生産性が高いこと、初期設備投資が低いこと等から、熱ロールラミネート法を特に好ましく用いることができる。
三層FPCをラミネート法で製造するときには、接着材料(接着層)に熱硬化性樹脂を用いているため、通常、ラミネート温度を200℃未満としてラミネート処理を行うことが可能であった(特許文献1参照)。これに対して、二層FPCは熱可塑性ポリイミドを接着層として用いるため、熱融着性を発現させるために200℃以上、場合によっては400℃近くの高温を加える必要がある。また、三層FPCでも、接着材料の種類や製造工程の種類等によっては200℃以上の高温を加える場合があり得る。
このような高温が印加されると、ラミネートにより得られるフレキシブル配線板においては、金属箔の表面が酸化されてしまう。その結果、表面エッチング等により酸化部位を除去する等の後処理が必要となる。近年、電子機器の小型化、軽量化を達成するために、基板に設けられる配線は微細化が進んでおり、実装する部品も小型化、高密度化されたものが搭載される。そのため、微細な配線を形成するためには金属箔表面の粗さ(表面粗さ)は小さいことが要求される。これに対して、上記のように、酸化部位を除去するために表面エッチング等の処理を行うと、金属箔の表面粗さが大きくなるので、配線の微細化に対応可能な表面状態を実現することが困難となる。
フレキシブル配線板の製造において微細な配線の形成に対応可能な技術としては、例えば、(1)基板の寸法変化率を規定する技術、(2)ラミネート時に加圧面と被積層材料との間に保護材料を配置する技術等が知られている。
前者(1)の技術として、例えば、特許文献2に開示されている技術が挙げられる。この技術では、熱圧着性ポリイミドフィルムの300℃での加熱収縮率を0.1%以下に規定しており、熱圧着性ポリイミドのガラス転移温度(Tg)より20℃以上高く400℃以下の温度で加熱圧着を行っている。これにより、エッチング工程および加熱工程の逐次処理を加えても寸法変化を小さくすることが可能になるとされている。
また、後者(2)の技術として、例えば、特許文献3に開示されている技術が挙げられる。この技術では、加圧面と被積層材料との間に保護材料を配置し200℃以上の加圧加熱成形を行い、冷却後に該保護材料を積層板から剥離する。このときの保護材料としてはポリイミドフィルムが好適に用いられる。これにより、熱ラミネート時に生じるシワ等の外観不良の発生を回避することができる。
さらに、フレキシブル配線板に限らずプリント基板一般において、金属箔の表面の酸化を抑制するための技術として、種々の技術が提案されている。具体的には、例えば、成形時に保護層を設ける技術が知られている。
このような技術の例として、特許文献4に開示されている技術が挙げられる。この技術では、リジッド型のプリント基板の製造において、耐熱性熱可塑性樹脂を基材とし、これに銅箔を一体成形する際に、ポリ四フッ化エチレン樹脂(PTFE)を保護層として銅箔表面の酸化を防止する。なお、一体成形時の温度は、耐熱性熱可塑性樹脂の成形温度である270℃以上となっている。
特開平9−199830号公報(平成9年(1997)7月31日公開) 特開2001−270034号公報(平成13年(2001)10月2日公開) 特開2001−129918号公報(平成13年(2001)5月15日公開) 特開昭62−13336号公報(昭和62年(1987)1月22日公開)
しかしながら、上記従来の技術は、特に、ラミネート法によるフレキシブル金属張積層板の製造に適用困難であるか、または適用可能であるが不十分な点を有している。
具体的には、特許文献4に開示されている技術は、リジッド型のプリント基板に関する技術である。リジッド型のプリント基板を製造する場合、耐熱性熱可塑性樹脂と銅箔とを一体成形するため、PTFEのように、溶融することで銅箔の表面を保護する材料を用いることが可能であるが、連続的なラミネート処理で製造するFPCに適用することはできない。
また、特許文献2に開示されている技術は、基板の寸法変化を小さくする技術であるため、金属箔表面の酸化を抑制することはできない。
さらに、特許文献3に開示されている技術は、保護材料を用いることで金属箔表面を保護するため、金属箔表面の酸化を抑制することが可能である。ただし、この技術は、酸化という化学的な損傷ではなく、シワという物理的な外観不良の発生を防止することを主たる目的としている。それゆえ、この技術では、金属箔表面の酸化を十分に抑制することはできない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、特に、ラミネート法によりフレキシブル金属張積層板を製造する際に、金属箔の表面の酸化を有効に抑制する技術を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、ラミネート時に保護材料を用いる技術において、保護材料の厚みをできる限り均一化すると、ラミネート時に金属箔の表面を十分に保護して酸化を有効に抑制することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板の製造方法は、上記の課題を解決するために、基材となるポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に金属箔を貼り合わせることにより得られるフレキシブル金属張積層板の製造方法において、上記ポリイミドフィルムと金属箔とを加熱および加圧しながら貼り合わせる熱ラミネート工程を含んでおり、当該熱ラミネート工程では、金属箔と加圧面との間に、厚みばらつき5%以下である保護フィルムを配することを特徴としている。
上記フレキシブル金属張積層板の製造方法においては、上記熱ラミネート工程では、接着層を介してポリイミドフィルムと金属箔とを貼り合わせることが好ましい。また、上記保護フィルムとして、少なくとも非熱可塑性ポリイミドからなるフィルムを用いることが好ましい。上記保護フィルムとしては、20〜200℃の範囲内におけるMD方向およびTD方向の平均熱膨張係数が5〜40ppm/℃となっているフィルムを用いることが好ましく、上記保護フィルムとして、その厚みが50μm以上であるフィルムを用いることが好ましい。
上記フレキシブル金属張積層板の製造方法においては、上記熱ラミネート工程では、一対以上の金属ロールを備える熱ロールラミネート装置を用いてポリイミドフィルムと金属箔とを貼り合わせることが好ましい。また、上記熱ラミネート工程では、貼り合わせ前に保護フィルムを予備的に加温しておくことが好ましく、上記保護フィルムの予備的な加温は、貼り合わせ時の保護フィルムの温度を、熱ラミネート工程の加熱温度に対し0〜−10℃の範囲内とするように行うことがより好ましい。さらに、上記熱ロールラミネート装置に備えられている加熱処理が可能な金属ロールに、保護フィルムを予め接触させることにより、予備的な加温を行うことがより好ましい。
また、上記熱ラミネート工程におけるラミネート条件は特に限定されるものではないが、具体的には、貼り合わせ時における圧力を49〜490N/cmの範囲内に設定することが好ましく、基材となるポリイミドフィルムと金属箔とを貼り合わせる速度を0.5m/分以上に設定することが好ましく、貼り合わせ時の温度を、接着層のガラス転移温度+50℃以上の温度に設定するか、または、300℃以上に設定することが好ましく、貼り合わせ時において、基材となるポリイミドフィルムの張力を0.01〜2N/cmの範囲内に設定することが好ましい。
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板は、上記製造方法により製造されるものであり、特に、ポリイミドフィルムと金属箔とを貼り合わせる接着層が、熱可塑性ポリイミドを含有する樹脂組成物からなっていることが好ましく、金属箔を除去する前後の寸法変化率、および金属箔を除去した後に250℃、30分の熱処理を行う前後の寸法変化率の合計値が、MD方向およびTD方向共に−0.08〜+0.08%の範囲にあることが好ましい。
本発明は、以上のように、厚みばらつきが±5%以下である保護フィルムを用いて熱ラミネート法によりポリイミドフィルムに金属箔を貼り合わせる構成を有している。そのため、熱ラミネート時に金属箔の表面を十分に保護することが可能になるため、製造過程において金属箔の表面の酸化を有効に抑制することができる。
すなわち、本発明によれば、フレキシブル金属張積層板における金属箔の表面酸化を有効に抑制することができる。それゆえ、熱ラミネート工程の後に、エッチング等により金属箔の表面を表面処理する工程が不要となる。その結果、得られるフレキシブル金属張積層板を、微細な配線を形成するフレキシブル配線板の製造に好適に用いることができるとともに、製造過程の煩雑化を回避することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
(I)フレキシブル金属張積層板
本発明により製造されるフレキシブル金属張積層板は、基材となるポリイミドフィルムの片面または両面に、直接貼り合わせられるか、接着層を介して金属箔を貼り合わせて得られるものであり、金属箔の表面の酸化が少なく、寸法安定性にも優れたものとなっている。
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板は、絶縁性の基板/接着材料/金属層の三層構造を有している三層FPCと、絶縁性の基板/金属層の二層構造を有している二層FPCとの双方に適用することができる。言い換えれば、少なくとも片面に金属層を積層する場合には、接着層を介する構成(三層FPC)と接着層を介さない構成(二層FPC)との双方に、本発明を適用することができる。そこで、これら各FPCの構造に基づいて、絶縁性の基板として用いられるポリイミドフィルム(基材となるポリイミドフィルム)、接着材料からなる層(接着層)、金属層(金属箔)についてそれぞれ説明する。
<基材となるポリイミドフィルム>
本発明において、絶縁性の基板として用いられるポリイミドフィルム、すなわちフレキシブル金属張積層板において基材となるポリイミドフィルム(以下、説明の便宜上、基材ポリイミドフィルムと称する)は、最終的に製造しようとするFPCの種類に応じて、その種類を選択すればよく、その具体的な材料、組成、厚み等は特に限定されるものではない。ここでいうポリイミドフィルムとは、ポリイミド樹脂を含有している樹脂組成物からなり、フィルム状で絶縁性を発揮できるものであればよい。
具体的には、従来公知の原料および製造方法により得られるポリイミドフィルムを用いることが可能であり、市販のポリイミドフィルムを使用することも可能である。例えば、後述する実施例では、基材ポリイミドフィルムとして、厚み17μmのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製、商品名:アピカルHP)を用いている。
上記基材ポリイミドフィルムを形成する樹脂組成物は、実質的にポリイミド樹脂のみからなっていてもよいし、ポリイミド樹脂以外の成分を含んでいてもよい。このような他の成分としては、ポリイミド樹脂にブレンド可能であり、かつ、要求される諸物性を損なわないものであればよく、具体的には、エポキシ樹脂等のポリイミド以外の樹脂、耐熱層の諸特性を改善するための各種添加剤等を挙げることができる。なお、ポリイミド樹脂も複数種類組み合わせて用いられていてもよい。
上記基材ポリイミドフィルムの製造方法については特に限定されるものではなく、各成分を公知の方法で混合して樹脂組成物を調製し、当該樹脂組成物を公知の方法でフィルム状に成形すればよい。
<接着層>
本発明においてポリイミドフィルムと金属箔とを貼り合わせるために用いられる接着層は、アクリル系、エポキシ系、変性エポキシ系、フェノール系、ポリアミドイミド系、ポリイミド系等どのようなものであってもよく、特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性ポリイミドを含有する樹脂組成物(接着材料)を挙げることができる。この接着材料を用いれば、得られるフレキシブル金属張積層板において、耐熱性、絶縁信頼性、ラミネート加工性を好ましいものとすることができる。また、このようなポリイミド系の接着層を用いることで、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を二層FPCの製造に用いることができる。なお、上記熱可塑性ポリイミドとは、ガラス転移温度を有し、かつ、圧縮モード(プローブ径3mmφ、荷重5g)の熱機械分析測定(TMA)において、10〜400℃(昇温速度:10℃/min)の温度範囲で永久圧縮変形を起こすものをいう。
上記熱可塑性ポリイミドとしては、具体的には、例えば、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミドイミド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリエステルイミド等を好適に用いることができる。中でも、低吸湿特性の点から、熱可塑性ポリエステルイミドが特に好適に用いられる。
また、既存の装置で熱ラミネートが可能であり、かつ、得られるフレキシブル金属張積層板の耐熱性を損なわないという観点から、上記熱可塑性ポリイミドとしては、150〜300℃の範囲にガラス転移温度(Tg)を有しているものが好ましく用いられる。なお、Tgは動的粘弾性測定装置(DMA)により測定した貯蔵弾性率の変曲点の値により求めることができる。
上記熱可塑性ポリイミドの製造方法は特に限定されるものではなく、前駆体であるポリアミド酸(ポリアミック酸)を合成し、これをイミド化する等の公知の方法を用いればよい。前駆体であるポリアミド酸の種類およびその製造方法(合成方法)についても特に限定されるものではなく、公知の方法で製造される、あらゆる種類のポリアミド酸を用いることができる。具体的には、後述する保護フィルムの説明において、当該保護フィルムとして好適に用いられるポリイミドフィルムの製造方法と同様の原料、製造条件等を適用することができる。
ここで、接着層に用いられる上記熱可塑性ポリイミドにおいては、使用するモノマー原料である酸二無水物成分とジアミン成分とを種々組み合わせることにより、諸特性を調節することができる。酸二無水物成分およびジアミン成分として用いられる化合物は特に限定されるものではなく、公知の化合物を用いることができる。具体的には、例えば、酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TMEG)、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TMHQ)等を挙げることができる。また、ジアミンとしては、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3,4’−ODA)等を挙げることができる。
特に、上記熱可塑性ポリイミドにおいては、一般に、剛直構造を有するジアミン成分の使用比率は小さいことが好ましい。具体的には、剛直構造を有するジアミン成分の比率は、全ジアミン成分中、40モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましく、20モル%以下であることが特に好ましい。剛構造を有するジアミン成分の比率が40モル%を超えると、得られる熱可塑性ポリイミドにおいてTgが高くなる、または、熱時の貯蔵弾性率が大きくなる、あるいは、これらがともに生じるため、接着性・加工性が低下することになるため好ましくない。
剛直構造を有するジアミン成分として用いられるジアミンとしては、具体的には、ベンゼン環を含む主骨格を有するジアミンを挙げることができる。より具体的には、次の一般式(1)
Figure 0004838509
(ただし、式中のR1 は、次の一般式群(2)
Figure 0004838509
で表される2価の芳香族基からなる群から選択される基であり、式中のR2 は同一であってもよいし異なっていてもよいが、H−,CH3−,−OH,−CF3 、−SO4 、−COOH,−CONH2 、Cl−、Br−、F−、およびCH3O−からなる群より選択される何れかの1つの基である)
で表されるものを挙げることができる。
上記接着層には、上記熱可塑性ポリイミドが含有されていればよいが、必要に応じて他の成分も含有されていてもよい。具体的には、例えば、上記基材ポリイミドフィルムと同様に、他の樹脂成分や添加剤を含有していてもよい。この場合、接着層は、上記熱可塑性ポリイミドを含有する樹脂組成物となっていることになる。添加剤としては特に限定されるものではないが、例えば、無機または有機物のフィラーを挙げることができる。これらフィラーの種類およびその添加方法については、後述する保護フィルムの説明において、当該保護フィルムとして好適に用いられるポリイミドフィルムに準ずるものであるため、具体的な説明は省略する。
なお、後述の貼り合わせ手順でも説明するように、接着層は、基材ポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に予め積層して一体化しておくことにより、接着フィルムとして用いることができる。すなわち、金属箔を基材ポリイミドフィルムに貼り合わせる時点では、接着層/基材ポリイミドフィルム、または、接着層/基材ポリイミドフィルム/接着層の構成を有する接着フィルムを用いてもよい。この場合、接着フィルムの厚み(接着層および基材ポリイミドフィルムの総厚み)は、用途に応じた厚みになるように適宜調整すればよい。また、必要に応じて、接着層を設ける前に、基材ポリイミドフィルムの表面に、コロナ処理、プラズマ処理、カップリング処理等の各種表面処理を施しても良い。
<金属層(金属箔)>
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板において用いられる金属箔としては特に限定されるものではないが、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を電子機器および電気機器用途に用いる場合には、例えば、銅もしくはその合金、ステンレス鋼もしくはその合金、ニッケルもしくはその合金(42合金も含む)、または、アルミニウムもしくはその合金からなる箔を挙げることができる。
一般的なフレキシブル金属張積層板では、圧延銅箔、電解銅箔といった銅箔が多用されるので、本発明においても銅箔(銅合金箔も含む)を好ましく用いることができる。例えば、後述する実施例では18μmの厚みを有する圧延銅箔を用いている。なお、これらの金属箔の表面には、防錆層や耐熱層あるいは接着層が塗布されていてもよい。
本発明において、上記金属箔の厚みについては特に限定されるものではなく、その用途に応じて、十分な機能が発揮できる厚みであればよいが、具体的には、例えば、一般的な厚みとして1〜35μmの範囲内が好ましく、2〜25μmの範囲内がより好ましく、3〜18μmの範囲内が特に好ましい。金属箔の厚みがこの範囲を下回ると実装時に接続不良を生じたり、接続信頼性の低下を来たしたりすることがある。特に、異方導電性フィルム等を用いた種々基板等への実装時には接続に関する問題が顕著となりやすい。また、上記範囲を上回ると微細配線を形成させることが難しくなる傾向にある。
なお、上記金属箔として予め厚めのものを用いて、後から厚みを低減させるという手法を採用してもよい。具体的には、例えば、上記範囲を上回る厚みを有する金属箔を基材ポリイミドフィルムにラミネートしておき、その後、当該金属箔の種類に応じたエッチング等の公知の方法により、当該金属箔の厚みを上記範囲内に入るように薄くして用いることもできる。
なお、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板としては、必要に応じて、上記基材ポリイミドフィルム、接着層、金属箔以外の層を有していてもよい。
<フレキシブル金属張積層板の諸特性>
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板は、後述するフレキシブル金属張積層板の製造方法により製造されるものである。そのため、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板は、金属層(金属箔)の表面の酸化が抑制されているだけでなく、寸法変化率も小さいものとなっている。
具体的には、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板においては、金属箔を除去する前後の寸法変化率、および金属箔を除去した後に250℃、30分の熱処理を行う前後の寸法変化率の合計値が、MD方向およびTD方向共に−0.08〜+0.08%の範囲にあることが非常に好ましい。なお、MD(Machine Direction)方向はフレキシブル金属張積層板を熱ラミネート法により製造する場合の進行方向であり、TD(Transverse Direction)方向は幅方向すなわちMD方向に対し垂直となる方向である。寸法変化率の合計値が上記範囲内から外れると、フレキシブル金属張積層板をフレキシブル配線板として用いる場合に、部品実装時の不良率が高くなる傾向にある。
上記寸法変化率は、各処理における寸法(長さ)の変化を百分率で表したものであり、その測定方法は特に限定されるものではない。すなわち、フレキシブル金属張積層板において、エッチングまたは加熱処理の前後に生じる寸法の増減を測定できる方法であれば、従来公知のどのような方法でも用いることができる。後述する実施例では、JIS C6481に基づき、フレキシブル銅張積層板に4つの穴を形成して測定サンプルとする手法を採用している。
上記寸法変化率についてより具体的に説明する。まず、金属箔を除去する前後の寸法変化率R1 について説明すると、フレキシブル金属張積層板において基準となる所定の寸法を設定し、エッチング処理前の上記所定の寸法をD1 とし、エッチング処理後の上記所定の寸法をD2 とすると、エッチング処理前後における上記所定の寸法の差分はD2 −D1 で表される。この差分と上記エッチング処理前の所定の寸法D1 との比を上記寸法変化率R1 として評価する。これを式で表すと、次式(a)となる。
寸法変化率R1 (%)={(D2 −D1 )/D1 }×100 …(a)
次に、加熱処理前後の寸法変化率R2 について説明すると、上記フレキシブル金属張積層板において、加熱処理後の上記所定の寸法をD3 とすると、加熱処理前の上記所定の寸法は、上記エッチング処理後の上記所定の寸法D2 となるので、加熱処理前後における上記所定の寸法の差分はD3 −D2 で表される。この差分と上記加熱処理前の所定の寸法D2 との比を上記寸法変化率R2 として評価する。これを式で表すと、次式(b)となる。
寸法変化率R2 (%)={(D3 −D2 )/D2 }×100 …(b)
ここで、上記寸法変化率は、MD方向およびTD方向の双方について測定することが必須となる。本発明にかかる製造方法では、フレキシブル金属張積層板を連続的に製造(熱ラミネート処理および後述するイミド化処理を含む)することになるが、このような連続的な製造においては、MD方向およびTD方向では張力のかかり方が異なる。そのため、それぞれの方向で熱膨張・収縮の度合いに差が現れることになり、その結果、各方向で寸法変化率も異なる。したがって、寸法変化率の小さい材料としては、MD方向およびTD方向の双方ともに変化率が小さいことが要求される。それゆえ、上記2方向において寸法変化率を測定することが必須となる。
なお、寸法変化率を測定する際におけるエッチング処理の具体的な条件は特に限定されるものではない。すなわち、金属箔の種類や形成されるパターン配線の形状等に応じてエッチング条件は異なるので、本発明において寸法変化率を測定する際のエッチング処理の条件は従来公知のどのような条件であってもよい。同様に、加熱処理についても、250℃で30分間加熱がなされればよく、具体的な条件は特に限定されるものではない。
(II)フレキシブル金属張積層板の製造方法
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板の製造方法は、上記フレキシブル金属張積層板を熱ラミネート法により製造する方法である。熱ラミネート法は、上記基材ポリイミドフィルムと金属箔とを加熱および加圧しながら貼り合わせる方法であり、熱ラミネート法による貼り合わせ工程を熱ラミネート工程と称する。本発明では、熱ラミネート時に、金属箔と加圧面との間に保護フィルムを配するが、金属箔の表面酸化を抑制するために、厚みばらつきの小さい保護フィルムを用いる。
<貼り合わせ手順>
基材ポリイミドフィルムに金属箔を貼り合わせる際の手順としては、特に限定されるものではないが、接着層を介してポリイミドフィルムと金属箔とを貼り合わせる場合には、具体的には、例えば、(1)基材ポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に接着層を積層して接着フィルムを形成した後、この接着フィルムの表面に金属箔を貼り合わせる、(2)接着層をシート状に成形し、これを基材ポリイミドフィルムに貼り合わせた後、さらに接着層の上に金属箔と貼り合わせる、あるいは(3)接着層をシート状に成形し、金属箔とポリイミドフィルムの間に挟んで一度に貼り合わせる、等の手順を例示することができる。
本発明では、上記何れの貼り合わせ手順においても、加圧面と金属箔との間に厚みのより均一な保護フィルムを配する。換言すれば、ラミネート時には、加圧面/保護フィルム/金属箔/接着層/基材ポリイミドフィルムの順で保護フィルムを配置するようになっていればよい。
<接着材料のイミド化>
ここで、上記貼り合わせ手順のうち、例えば、(1)の手順を採り、さらに接着層として熱可塑性ポリイミドを含有する接着材料を用いる場合には、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を溶液化して用いることにより、接着層を形成することがより好ましい。これは、ポリアミド酸を完全にイミド化してしまうと、有機溶媒への溶解性が低下する場合があることから、基材ポリイミドフィルムの表面に上記接着層を設けることが困難となることがあるためである。
熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の有機溶媒溶液(ポリアミド酸溶液)の調製方法は特に限定されるものではないが、例えば、モノマー原料から有機溶媒中でポリアミド酸を合成することにより、ポリアミド酸溶液を調製することができる(保護フィルムの項参照)。得られたポリアミド酸溶液を公知の手法でポリイミドフィルムに塗布し、次いでイミド化すればよい。
また、上記貼り合わせ手順のうち、(2)または(3)の手順を採り、さらに接着層として熱可塑性ポリイミドを含有する接着材料を用いる場合には、当該接着材料を公知の方法でシート化すればよい。シート化に際しては、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布してからイミド化すればよい。
上記接着材料のイミド化の方法としては、熱イミド化法(熱キュア法)および化学イミド化法(化学キュア法)の何れであっても用いることができるが、特に、熱イミド化法が好ましい。これは、化学イミド化法を採用すると、接着層を熱劣化させずに化学的転化剤等を除去する加熱条件を設定しなくてはならない場合が生じるためである。また、熱イミド化法は、高温であればイミド化を生じさせやすいため、イミド化速度を速くすることが可能となるので、生産性の面からも好ましい。
但し、熱イミド化法においては、イミド化の温度が高すぎると熱可塑性ポリイミドが熱分解を起こす可能性がある。一方、イミド化の温度が低すぎると、イミド化が進みにくく、イミド化処理に要する時間が長くなってしまう。そこで、熱イミド化法におけるイミド化の温度は、熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度(Tg)を基準として好ましい範囲を設定することができる。具体的には、イミド化の温度は、Tg〜(Tg+200℃)の範囲内に設定することが好ましく、(Tg+50℃)〜(Tg+150℃)の範囲内に設定することがより好ましい。
イミド化温度以外の条件は特に限定されるものではない。例えば、イミド化の時間に関しては、実質的にイミド化および乾燥が完結するに十分な時間を取ればよく、特に限定されるものではないが、一般的には1〜600秒程度の範囲で、熱可塑性ポリイミドの種類等に応じて適宜設定すればよい。
また、接着層(接着材料)の熔融流動性を改善する目的で、意図的にイミド化率を低くするようにイミド化処理してもよいし、意図的に溶媒を残留させるような加熱条件でイミド化処理してもよいし、低イミド化率および溶媒の残留の両方を実現するようにイミド化処理してもよい。
<熱ラミネート工程>
本発明にかかる製造方法では、熱ラミネート工程で、金属箔と加圧面との間に保護フィルムを配した状態で、基材ポリイミドフィルムおよび金属箔等の被積層材料を加熱および加圧しながら貼り合わせる。この貼り合わせは、連続的に被積層材料を加熱しながら圧着する熱ラミネート装置を用いることが好ましい。
上記熱ラミネート装置は、連続的な貼り合わせを行うことができれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、一対以上の金属ロールを備える熱ロールラミネート装置、ダブルベルトプレス(DBP)を備えるラミネート装置等を用いることができる。中でも、装置構成が単純であり保守コストの面で有利であるという点から、上記熱ロールラミネート装置を用いることが好ましい。
上記熱ロールラミネート装置の具体的な構成は特に限定されるものではなく、被積層材料を少なくとも加圧するための金属ロールを有していればよく、加熱するための金属ロールを有していてもよい。また、加熱および加圧の両方の処理を施すことができる金属ロールを備えていてもよい。
上記熱ラミネート装置における被積層材料の加熱方式は特に限定されるものではない。具体的には、例えば、熱循環方式、熱風加熱方式、誘導加熱方式等、所定の温度で加熱し得る従来公知の方式を採用した加熱手段を用いることができる。したがって、上記熱ロールラミネート装置の場合、少なくとも加圧するための金属ロールを有していれば、加熱手段として必ずしも金属ロールを用いなくてもよい。ただし、加熱手段として金属ロールを用いた場合、加熱効率がよい、後述するような保護フィルムの予備的な加温に有利等の利点がある。
同様に、上記熱ラミネート装置における被積層材料の加圧方式も特に限定されるものではない。具体的には、例えば、油圧方式、空気圧方式、ギャップ間圧力方式等、所定の圧力を加えることができる従来公知の方式を採用した加圧手段を用いることができる。
また、上記熱ラミネート装置においては、熱ラミネート処理を行う手段(金属ロール等)の前段に、被積層材料を繰り出す被積層材料繰出手段を設けてもよいし、熱ラミネート手段の後段に、被積層材料を巻き取る被積層材料巻取手段を設けてもよい。これらの手段を設けることで、上記熱ラミネート装置の生産性をより一層向上させることができる。上記被積層材料繰出手段および被積層材料巻取手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、被積層材料(基材ポリイミドフィルム、接着層、あるいは接着フィルム、金属箔)、または得られるフレキシブル金属張積層板を巻き取ることができる公知のロール状巻取機等を挙げることができる。
<熱ラミネート条件>
上記熱ラミネート工程における諸条件については特に限定されるものではなく、少なくとも、厚みばらつきの少ない保護フィルムにより、加熱加圧処理における金属箔の表面を保護するようになっていればよい。これにより、金属箔の表面の酸化を有効に抑制することができる。さらに、表面の酸化をより有効に抑制したり、熱ラミネート処理をより効率的または確実に行ったりする等の観点から、熱ラミネート時の圧力(ラミネート圧力)、貼り合わせの速度(ラミネート速度)、加熱温度(ラミネート温度)、熱ラミネート時における基材ポリイミドフィルムの張力等の条件を所定範囲内に設定することがより好ましい。
まず、ラミネート圧力は、高ければ高いほどラミネート温度を低くできるとともに、ラミネート速度を速くすることができるという利点があるが、一般に、ラミネート圧力を高くし過ぎると得られるフレキシブル金属張積層板の寸法変化が悪化する傾向がある。また、逆に、ラミネート圧力を低くし過ぎると得られるフレキシブル金属張積層板の金属箔の接着強度が低くなる。それゆえラミネート圧力は、49〜490N/cm(5〜50kgf/cm)の範囲内であることが好ましく、98〜294N/cm(10〜30kgf/cm)の範囲内であることがより好ましい。この範囲内であれば、ラミネート温度、ラミネート速度およびラミネート圧力の三条件をより良好なものにすることができ、生産性をより一層向上することができる。
次に、ラミネート速度は、0.5m/分以上であることが好ましく、1.0m/分以上であることがより好ましい。0.5m/分以上であれば十分な熱ラミネート処理が可能になり、1.0m/分以上であれば生産性をより一層向上することができる。逆に、0.5m/分未満となると、フレキシブル金属張積層板の種類にもよるが、生産性が低下する場合があるだけでなく、被積層材料への加熱加圧時間が長くなるので一部の被積層材料が劣化する可能性も生じる。
次に、ラミネート温度は、接着層のTg+50℃以上の温度であることが好ましく、接着層のTg+100℃以上がより好ましい。ラミネート温度が少なくともTg+50℃以上の温度であれば、接着層を介して金属箔と基材ポリイミドフィルムとを良好に貼り合わせることができる。また、ラミネート温度がTg+100℃以上であれば、ラミネート速度を上昇させることができるため、生産性をより向上させることができる。
また、ラミネート温度の設定は、接着層のTgを基準としなくてもよい。具体的には、接着層の種類によらず、ラミネート温度を300℃以上としても好ましい。ラミネート温度が300℃以上である場合、連続的な熱ラミネート処理を十分かつ良好に進めることができるため、本発明の効果が顕著に現れ、特に寸法安定性に優れたフレキシブル金属張積層板を製造することが可能となる。なお、ラミネート温度の具体的な設定は、被積層材料の種類や他の製造条件に応じて適宜設定すればよく、接着層のTgを基準とするか否かについては特に限定されるものではない。
次に、基材ポリイミドフィルムの張力は、0.01〜2N/cmの範囲内であることが好ましく、0.02〜1.5N/cmの範囲内であることがより好ましく、0.05〜1.0N/cmの範囲内であることが特に好ましい。基材ポリイミドフィルムの張力が上記の範囲を下回ると、外観の良好なフレキシブル金属張積層板を得ることが困難となる場合がある。また、基材ポリイミドフィルムの張力が上記の範囲を上回ると、得られるフレキシブル金属張積層板の寸法安定性が劣る傾向にある。
<保護フィルムの使用条件>
本発明にかかる製造方法では、上記熱ラミネート工程を行うときに加圧面と金属箔との間に保護フィルム(保護材料)を配する。従来では、保護フィルムの配置は、貼り合わせ時のシワの発生を防止し、得られるフレキシブル金属張積層板の外観を良好なものとすることを目的としていたが、本発明では、厚みばらつきの少ない保護フィルムを用いることにより、外観不良だけでなく金属箔の表面酸化も抑制することができる。
保護フィルムの具体的な種類は特に限定されるものではなく、後述するように、少なくとも厚みばらつきが±5%以下であればよく、好ましくは、金属箔に近い平均熱膨張係数を有していればよいが、特に、熱ラミネート工程に耐え得る耐熱性、再使用可能な強靭性等の特性に優れることから、非熱可塑性ポリイミドを用いたフィルムがより好ましい。
本発明では、上記保護フィルムを用いることが必須であるため、被積層材料を連続処理する熱ラミネート装置においては、熱ラミネート処理を行う手段(金属ロール等)の前段に、保護材料を巻き取ったり繰り出したりする保護材料巻取手段や保護材料繰出手段を設けるとより好ましい。これら手段を備えていれば、熱ラミネート工程で、一度使用された保護材料を巻き取って繰り出し側に再度設置することで、保護材料を再使用することができる。
また、上記熱ラミネート装置においては、保護材料を巻き取る際に、保護材料の両端部を揃えるために、端部位置検出手段および巻取位置修正手段を設けてもよい。これによって、精度よく保護材料の端部を揃えて巻き取ることができるので、再使用の効率を高めることができる。なお、これら保護材料巻取手段、保護材料繰出手段、端部位置検出手段および巻取位置修正手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、従来公知の各種装置を用いることができる。また、前述した被積層材料繰出手段および被積層材料巻取手段も含めて、これら繰出手段や巻取手段、位置検出または修正手段は、熱ラミネート装置に一体化されている必要はなく、別の装置として独立していてもよい。
本発明にかかる製造方法では、特に、接着層として熱可塑性ポリイミドを含有する接着材料を用いる場合、ラミネート温度が非常に高温となる。そのため、保護フィルムをそのままラミネートに用いると、急激な熱膨張により、得られるフレキシブル金属張積層板の外観や寸法安定性を悪化させる可能性がある。そこで、熱ラミネート処理の前(貼り合わせ前)に保護フィルムを予備的に加温しておくことが好ましい。
上記保護フィルムの予備的な加温は、貼り合わせ時の保護フィルムの温度を、ラミネート温度に対し0〜−10℃の範囲内とするように行う。例えば、加熱手段として加熱可能な金属ロールを用いる場合には、当該金属ロールの温度に対して0〜−10℃の範囲内とするように予備的な加温を行う。貼り合わせ時の保護フィルムの温度を上記範囲内とすることにより、熱ラミネート処理の段階では保護フィルムの熱膨張が終了している。そのため、フレキシブル金属張積層板の外観や寸法変化に影響を与えることを有効に抑制することができる。
貼り合わせ時の保護フィルムの温度が上記範囲から外れた場合、保護フィルムの熱膨張が終了しないままラミネートが行われることになる。そのため、熱ラミネート処理時に急激な熱膨張が起こり、得られるフレキシブル金属張積層板の外観や寸法変化が悪化する可能性がある。
保護フィルムの予備的な加温の条件は特に限定されるものではなく、上記温度範囲内に有効かつ効率的に加温ができればよいが、具体的には、例えば、加熱処理が可能な金属ロールを加熱手段として用いる場合には、当該金属ロールに抱かせるなどして接触させる方法が挙げられる。この方法によれば、接触による加熱処理となるので効率的な加温が可能であるだけでなく、貼り合わせ時と実質的に同じ条件で加温することができるので、保護フィルムを効率的かつ十分に熱膨張させることができるとともに、予備的な加温に別途手段を要することがないため熱ラミネート装置の構成の煩雑化を回避することができる。予備的な加温の時間や、金属ロールに保護フィルムを抱かせる長さ等の他の条件についても特に限定されるものではなく、保護フィルムの厚み、金属ロールの径、ラミネート速度等の条件を考慮して適宜調整すればよい。
(III)本発明にかかる製造方法で用いられる保護フィルム
本発明にかかる製造方法で用いられる保護フィルムは、フレキシブル金属張積層板の製造時における外観不良を抑制するだけでなく、金属箔の表面酸化を抑制するために用いられる。すなわち、300℃を超える高温で熱ラミネート処理を行う場合、酸素存在下で高温の加熱処理を施すことになるので、金属箔の表面が酸化してしまい、そのままでは配線形成できないものとなる。そこで、耐熱性に優れる保護フィルムで金属箔の表面を覆うことにより、当該金属箔の表面と酸素との接触を妨げ、当該表面における酸素濃度を限りなく小さくすることが可能となる。その結果、金属箔の表面の酸化を抑制することが可能となる。
ところで、例えば二層フレキシブル配線板では微細配線を形成することになるが、この用途にフレキシブル金属張積層板を用いる場合、微細な加工を施す必要があることから当該フレキシブル金属張積層板には優れた寸法安定性が要求される。そのため、フレキシブル金属張積層板の製造時には、熱ラミネート処理時の応力を小さく抑えるため、できるだけ低圧で貼り合わせることが要求される。
ここで、従来、熱ラミネート法によりフレキシブル金属張積層板またはその類似物を製造する際に、外観不良を抑制するために保護フィルムを用いる技術は知られている(例えば、特許文献3等)。当該保護フィルムとしては一般的にポリイミドフィルムが用いられており、特に、熱ラミネート処理に耐え得るものとして、高温でも溶融しない非熱可塑性ポリイミドが好適に用いられる。
しかしながら、従来の技術では、熱ラミネート時におけるシワの発生を防止することを課題としている。そのため、非熱可塑性ポリイミドを用いた保護フィルムで熱ラミネート処理を行う場合、当該保護フィルムは、熱ラミネート処理に耐え得ることができる反面、ラミネート圧力を高くしなければ、表面に保護フィルムを追随させることが困難となる。そもそも従来の技術ではラミネート圧力を高圧とする必然性はなく、仮に、高圧で貼り合わせるとフレキシブル金属張積層板を微細な加工用途に用いることができなくなる。したがって、従来の保護フィルムを用いる技術は、物理的な外観不良を抑制するには好ましい技術であるが、金属箔の表面の部分的な酸化を回避することができない。
そこで本発明者らは鋭意検討した結果、熱ラミネートにおいて、加熱しながら加圧する側の面(加圧面)と金属箔との間に、厚みのより均一な保護フィルムを配することで、得られるフレキシブル金属張積層板の銅箔の表面酸化を抑制できることを独自に見出した。
<保護フィルムの諸特性>
本発明では、用いる保護フィルムの厚みの均一性は厚みばらつきにより評価する。具体的には、厚みばらつきは±5%以下に抑えればよく、±3%以下に抑えることが望ましい。厚みばらつきが±5%を超えると、熱ラミネート処理時に保護フィルムがフレキシブル金属張積層板の表面凹凸に十分に追随できない。その結果、金属箔の表面を有効に覆うことができなくなり、金属箔の表面に部分的に酸化が生じることがある。厚みばらつきの評価方法は特に限定されるものではなく従来公知の方法を用いることができる。
また、上記保護フィルムの熱時の寸法安定性は保護しようとする金属箔の寸法安定性になるべく近いことが望ましい。具体的には、熱ラミネート処理時の温度範囲における平均熱膨張係数をなるべく金属箔のそれに近づけることが好ましく、より具体的には、20〜200℃の範囲内におけるMD方向およびTD方向の平均熱膨張係数を5〜40ppm/℃の範囲内とすることが好ましく、10〜30ppm/℃の範囲内とすることがより好ましく、12〜20ppm/℃の範囲内とすることが特に好ましい。この平均熱膨張係数は、MD方向の熱膨張係数とTD方向の熱膨張係数との平均値であり、これら熱膨張係数を足して2で割ることにより求められる。
上記保護フィルムの厚みは特に限定されるものではないが、本発明における保護フィルムの役割は、熱ラミネート処理時における金属箔の表面酸化を抑制することであるため、金属箔の表面の酸素濃度を低く抑える必要がある。それゆえ、保護フィルムは酸素の透過を抑制または阻害できる程度の厚みを有する必要がある。具体的には、保護フィルムの厚みは50μm以上であることが好ましく、75μm以上であることがより好ましい。
保護フィルムの材質にもよるため、一概には言えないが、厚みが薄過ぎると、酸素透過量が多くなる上に、熱ラミネート処理時の緩衝作用および保護機能を十分に果たすことができなくなるため、少なくとも50μm以上であることが望ましい。特に、保護フィルムが後述する非熱可塑性ポリイミドを含有するフィルムであれば、75μm以上であるとより好ましい。
上記保護フィルムの具体的な材質は特に限定されるものではなく、各種ポリイミドフィルム等の耐熱性プラスチック;銅箔、アルミニウム箔、SUS箔等の金属箔;等を挙げることができる。中でも、熱ラミネート工程に耐え得る耐熱性、再使用可能な強靭性等の特性のバランスに優れることから、非熱可塑性ポリイミドを用いたフィルムがより好ましい。また、保護フィルムは一層のみの構造に限定されるものではなく、異なる特性を有する複数の層を積層した多層構造となっていてもよい。
<非熱可塑性ポリイミドを用いた保護フィルム>
本発明においては、保護フィルムとして少なくとも非熱可塑性ポリイミドからなるフィルム(便宜上、非熱可塑性ポリイミドフィルムと称する)を好ましく用いることができる。具体的には、非熱可塑性ポリイミドのみからなるフィルムであってもよいし、必要に応じて他の成分を含有してもよい。具体的には、非熱可塑性ポリイミド以外の樹脂、保護層としての諸特性を改善するための各種添加剤等を挙げることができる。なお、非熱可塑性ポリイミドも複数種類組み合わせて用いられていてもよい。より具体的な他の成分としては、後述するフィラーが挙げられる。
上記非熱可塑性ポリイミドフィルムは、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を用いて製造することができる。ポリアミド酸の製造方法(合成方法)としては公知のあらゆる方法を用いることができる。
一般的なポリアミド酸の合成方法は、まず、モノマー原料である酸二無水物成分とジアミン成分を、実質的等モル量を有機極性溶媒中に溶解させてモノマー溶液とする。このモノマー溶液を、制御された温度条件下で攪拌する。攪拌は上記酸二無水物成分とジアミン成分の重合が完了するまで継続する。これによってポリアミド酸の有機溶媒溶液(ポリアミド酸溶液)を製造することができる。得られるポリアミド酸溶液は通常5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%の濃度となっている。この範囲の濃度であれば適当な分子量および溶液粘度を得ることができる。
モノマー原料の重合方法としては、あらゆる公知の方法およびそれらを組み合わせた方法を用いることができる。ポリアミド酸の合成方法における重合方法の特徴は、モノマー原料の添加順序にあり、この添加順序を制御することにより最終的に得られるポリイミドの諸物性を制御することができる。したがって、本発明においてポリアミド酸の重合方法としては、どのような添加方法を用いてもよい。代表的な重合方法(添加方法)としては次のような方法が挙げられる。
1)ジアミン成分を有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの酸二無水物成分添加して重合させる。
2)酸二無水物成分とこれに対し過小モル量となるジアミン成分とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸二無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、最終的に酸二無水物成分とジアミン成分とが実質的に等モルとなるようにジアミン成分を添加して重合させる。
3)酸二無水物成分とこれに対し過剰モル量のジアミン成分とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いて、プレポリマー溶液にジアミン成分を追加添加した後、最終的に酸二無水物成分とジアミン成分とが実質的に等モルとなるように酸二無水物成分を添加して重合させる。
4)酸二無水物成分を有機極性溶媒中に溶解および/または分散させた後、実質的に等モルとなるようにジアミン成分を添加して重合させる。
5)実質的に等モルの酸二無水物成分とジアミン成分との混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合させる。
なお、上記添加方法(重合方法)は単独で用いてもよいし、部分的に組み合わせて用いてもよい。本発明では、最終的に得ようとする保護フィルムの特性に応じて好ましい重合方法を選択すればよく、上記の何れの重合方法を用いて得られたポリアミド酸であっても用いることができる。
上記ポリアミド酸の合成に用いる溶媒としては、ポリアミド酸を溶解する溶媒であればどのようなものでも用いることができるが、有機極性溶媒が好ましく、より具体的にはアミド系溶媒が好ましく用いられる。アミド系溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等を特に好ましく用いることができるが、これに限定されるものではない。
上記非熱可塑性ポリイミドフィルム(その前駆体であるポリアミド酸)に用いられるモノマー原料は、少なくとも1種の酸二無水物からなる酸二無水物成分、および、少なくとも1種のジアミンからなるジアミン成分である。酸二無水物成分およびジアミン成分の何れも、構造中に芳香環を含む芳香族化合物であることが好ましい。これにより耐熱性により優れたポリイミドを得ることができる。
本発明において用いることができる芳香族酸二無水物としては特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)およびそれらの類似物を挙げることができる。これら化合物は単独で用いてもよいし、任意の割合で組み合わせた混合物として用いてもよい。
上記芳香族酸二無水物の中でも、特に、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、および3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を用いることが好ましい。これら酸二無水物を用いることで、最終的に得られる非熱可塑性ポリイミドの物性をより向上させ、保護フィルムの材料として好適に用いることができる。
本発明において用いることができる芳香族ジアミンとしては特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニル N−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノンおよびそれらの類似物を挙げることができる。これら化合物は単独で用いてもよいし、任意の割合で組み合わせた混合物として用いてもよい。
本発明では、最終的に得ようとする保護フィルムの特性に応じて好ましいモノマー原料を選択すればよく、具体的なモノマー原料は上記化合物のみに限定されるものではない。また、各モノマー原料として複数種類の化合物を組み合わせる場合、各化合物の配合比も、最終的に得ようとする保護フィルムの特性に応じて決定すればよい。また、本発明では、上記各モノマー原料の複数の組み合わせにより得られる、異なる種類の非熱可塑性ポリイミドを二種類以上組み合わせて用いることもできる。
上記ポリアミド酸溶液からポリイミドフィルムを成形する方法としては従来公知の方法を用いることができ、特に限定されるものではない。具体的な成形方法としては、例えば、まず、得られたポリアミド酸溶液を含む製膜ドープを支持体上に流延し、次に、支持体上で成膜ドープを加熱してゲルフィルム化した後、支持体からゲルフィルムを引き剥がし、ゲルフィルムを加熱してイミド化を完了し、かつ乾燥させるという方法を挙げることができる。
このとき行われるイミド化としては、前述したように熱イミド化法と化学イミド化法とが挙げられ、保護フィルムとしての非熱可塑性ポリイミドフィルムを製造する場合には、どちらの方法を用いても構わないが、化学イミド化法が好ましい。化学イミド化法によるイミド化の方が、保護フィルムとして好適に用いられる諸特性を有した非熱可塑性ポリイミドフィルムを得やすい傾向にある。上記化学イミド化法では、無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤と、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等の第三級アミン類等に代表されるイミド化触媒とを含む硬化剤を用いることができる。
上記化学イミド法を採用した場合のフィルム成形方法を以下に説明する。なお、以下の成形方法における種々の条件は、ポリアミド酸の種類、得ようとするフィルムの厚み等により変動し得るものであり、特に限定されるものではない。
まず、ポリアミド酸溶液に脱水剤およびイミド化触媒を低温で混合して製膜ドープを調製する。続いて、得られた製膜ドープをガラス板、アルミ箔、エンドレスステンレスベルト、ステンレスドラム等の支持体上にフィルム状にキャストし、支持体上で80℃〜200℃、好ましくは100℃〜180℃の温度領域で加熱する。これにより脱水剤およびイミド化触媒を活性化させ、ポリアミド酸を部分的に硬化および乾燥させる。この加熱によりポリアミド酸は部分的に硬化されるとともに溶媒が残留している状態にあるため、自己支持性を有するゲルフィルムとなっている。
なお、厚みフィードバック方式のダイを用いてキャストすることにより、ゲルフィルムの厚み、特に幅方向の厚みを制御することができるため、得られる保護フィルムの厚みばらつきを抑えることが可能となる。また、成膜ドープの固形分濃度等を調整することにより、得られる保護フィルムの厚みばらつきを制御することも可能である。
上記ゲルフィルムは、ポリアミド酸からポリイミドへの硬化の中間段階にあり、揮発分含量が所定の範囲内となっていることが好ましい。ゲルフィルムの重量をWA とし、ゲルフィルムを450℃で20分間加熱した後の重量をWB とした場合、揮発分含量Rは次の式(1)で定義される。
R=(WA −WB )×100/WB …(1)
上記式(1)で定義される揮発分含量は5〜500重量%の範囲内であることが好ましく、5〜200重量%の範囲内にあることがより好ましく、5〜150重量%の範囲内にあることが特に好ましい。ゲルフィルムの揮発分含量が上記の範囲内から外れると、イミド化の後段の焼成過程でフィルム破断、乾燥ムラによるフィルムの色調ムラ、特性ばらつき等の不具合が起こることがある。
上記化学イミド化法で用いられる脱水剤の好ましい量は、ポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して0.5〜5モルの範囲内であればよく、1.0〜4モルの範囲内がより好ましい。また、イミド化触媒の好ましい量は、ポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して0.05〜3モルの範囲内であればよく、0.2〜2モルの範囲内であればより好ましい。
脱水剤およびイミド化触媒の使用量が上記範囲を下回ると化学的イミド化が不十分となり、加熱途中で破断したり、機械的強度が低下したりすることがある。また、脱水剤およびイミド化触媒の使用量が上記範囲を上回ると、イミド化の進行が早くなりすぎ、フィルム状にキャストすることが困難となることがある。
得られたゲルフィルムを支持体から剥離し、両端部を固定して乾燥(焼成)する。両端部の固定は焼成による硬化時の収縮を回避するために行う。この焼成によりゲルフィルムを乾燥させて、水分、残留溶媒、残存脱水剤およびイミド化触媒を除去するとともに、残存ずるアミド酸を完全にイミド化する。これにより非熱可塑性ポリイミドフィルムを得ることができる。
上記焼成における加熱条件は、得ようとする非熱可塑性ポリイミドフィルムのフィルム特性や用いる装置に応じて変動するため特に限定されるものではないが、400〜650℃の範囲内で、かつ5〜400秒の範囲内で加熱処理を施すことが好ましい。このような焼成処理を行うことにより、得られる非熱可塑性ポリイミドフィルムのフィルム特性を向上させることができる。一方、焼成温度が上記範囲を上回るか、焼成時間が長くなると、フィルムの熱劣化が生じるため、フィルム特性が低下することがある。一方、加熱温度が上記範囲を下回るか、加熱時間が短くなると、所定のフィルム特性が発現しないことがある。
また、得られた非熱可塑性ポリイミドフィルムに対してポスト加熱処理を行ってもよい。これにより、フィルムの内部応力をより良好に緩和することができる。具体的には、非熱可塑性ポリイミドフィルムに対して必要最低限の張力を加えながら加熱処理を行う。加熱温度は、一般的には、200〜500℃の範囲内であることが好ましく、250〜500℃の範囲内であることがより好ましく、300〜450℃の範囲内であることがより好ましい。また、加熱時間は、1〜300秒の範囲内であることが好ましく、2〜250秒の範囲内であることがより好ましく、5〜200秒の範囲内であることが特に好ましい。この範囲内の条件で加熱処理を行えば、フィルム内部の応力をより良好に緩和することができる。
なお、上記ポスト加熱処理は、フィルムの成形過程に含めるようなかたちで行ってもよいし、また、別途この処理工程を設けてもよい。
非熱可塑性ポリイミドフィルムの諸特性の制御は、用いるモノマー原料の種類、重合時のモノマー原料の添加順序(重合方法)、選択するイミド化方法等により適宜制御することができる。
<非熱可塑性ポリイミドフィルムに添加するフィラー>
本発明では、保護フィルムとして用いる非熱可塑性ポリイミドフィルムには、前述したように、保護層としての諸特性を改善するための各種添加剤等を添加してもよい。具体的な添加剤としては、各種フィラーを挙げることができる。フィラーは、保護フィルムの摺動性、熱伝導性等の諸特性を改善する目的で添加することができる。
本発明においてフィラーは公知のどのようなものを用いてもよいが、具体的には、例えば、シリカ、酸化チタン、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、雲母等を好ましく用いることができる。
フィラーの粒子径は、改質すべきフィルム特性の種類、添加するフィラーの種類等によって決定されるため特に限定されるものではないが、一般的には、平均粒径が0.05〜100μmの範囲内であればよく、0.1〜75μmの範囲内であることが好ましく、0.1〜50μmの範囲内であることがより好ましく、0.1〜25μmの範囲内であることが特に好ましい。フィラーの粒子径が上記の範囲を下回るとフィルム特性の改質効果が現れにくくなる。一方、フィラーの粒子径が上記の範囲を上回ると得られる保護フィルムにおいて表面性を大きく損なったり、機械的特性が大きく低下したりする可能性がある。
また、フィラーの添加量も、改質すべきフィルム特性の種類、フィラーの種類、フィラーの粒子径等により決定されるため特に限定されるものではないが、一般的には、フィラーの添加量は、ポリイミド100重量部に対して0.01〜100重量部の範囲内であればよく、0.01〜90重量部の範囲内であることが好ましく、0.02〜80重量部の範囲内であればより好ましい。フィラー添加量が上記の範囲を下回るとフィルム特性の改質効果が現れにくくなる。一方、フィラーの添加量が上記の範囲を上回るとフィルムの機械的特性が大きく損なわれる可能性がある。
フィラーの添加方法は特に限定されるものではないが、代表的な添加方法としては次のような方法を挙げることができる。
1)ポリアミド酸の重合前または途中に重合反応液に添加する。
2)ポリアミド酸の重合完了後、3本ロールなどを用いてフィラーを混錬する。
3)フィラーを含む分散液を用意し、これをポリアミド酸溶液に混合する。
上記添加方法は何れの方法を採用してもよいが、中でも、3)フィラーを含む分散液をポリアミド酸溶液に混合する方法が好ましい。混合のタイミングとしては、特に、ポリアミド酸を製膜する直前に混合することが好ましい。この添加方法を採用すれば、製造ラインのフィラーによる汚染が最も少なくすむため好ましい。フィラーを含む分散液を用意する場合、ポリアミド酸の重合溶媒と同じ種類の溶媒を用いることが好ましい。また、フィラーを良好に分散させたり、分散状態を安定化させたりするために、分散剤・増粘剤等をフィルム物性に影響を及ぼさない範囲内で用いることもできる。
(IV)本発明の利用
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板の製造方法、およびこれにより得られるフレキシブル金属張積層板の用途は特に限定されるものではないが、最も重要な用途としては、フレキシブル配線板(FPC)を挙げることができる。FPCの具体的な製造方法は特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、フレキシブル金属張積層板の金属箔(金属層)に所望のパターンのエッチング処理を行い、金属箔に所望のパターン回路を形成する方法を挙げることができる。
本発明を用いて得られるFPCでは、金属箔にシワなどの外観不良が見られないだけでなく、金属箔の表面の酸化も有効に抑制することができる。そのため、酸化部位を除くために別途表面エッチング処理を施す必要がないので、FPCの製造の煩雑化を回避できるとともに、表面エッチング等の処理を行わないため、金属箔の表面粗さが大きくなることを回避することができる。そのため、より微細な配線を形成することが可能となり、特に、二層FPCにおいて好適に用いることができる。その結果、耐熱性、屈曲性、電気的信頼性といった各種特性に優れたフレキシブル配線板を得ることが可能となる。
以下、本発明について、実施例および比較例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、以下の製造例、合成例、実施例および比較例において、保護フィルムの厚みばらつきおよび熱膨張係数、熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度、フレキシブル金属張積層板の寸法変化率、銅箔表面の酸化、並びに、銅箔の引き剥し強度は、次のようにして測定または評価した。
〔保護フィルムの厚みばらつき〕
ポリイミドフィルムの幅方向1mおよび長手方向1mのそれぞれについて、連続厚み計(アンリツ社製、商品名:KG601A)を用いて3水準を測定し、厚みばらつきを算出した。
〔保護フィルムの熱膨張係数〕
測定サンプルとして、保護フィルムを幅3mm、長さ10mmに切り出して用いるとともに、セイコー電子(株)社製、商品名:TMA120Cを用いて、20〜200℃の熱膨張係数を測定した。測定条件は次のように設定した。すなわち、荷重3g、昇温速度10℃/分で10℃〜400℃まで一旦昇温させた後に10℃まで冷却し、さらに昇温速度10℃/分で昇温させて、2回目の昇温時の20℃および200℃における熱膨張率を測定し、これら2点の熱膨張率から熱膨張係数を平均値として計算した。
〔熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度〕
セイコーインスツルメンツ社製、商品名:DMS200により、昇温速度3℃/分にて、室温から400℃までの温度範囲でサンプルの貯蔵弾性率を測定し、当該貯蔵弾性率の変曲点をガラス転移温度とした。
〔フレキシブル銅張積層板の寸法変化率〕
JIS C6481に基づいて、フレキシブル銅張積層板に4つの穴を形成して測定サンプルとし、各穴のそれぞれの距離を測定した。次に、エッチング工程を実施して測定サンプルから銅箔を除去した後に、20℃、60%RHの恒温室に24時間放置した。その後、エッチング工程前と同様に、上記4つの穴についてそれぞれの距離を測定した。銅箔除去前における各穴の距離の測定値をD1 とし、銅箔除去後における各穴の距離の測定値をD2 として、次式(a)によりエッチング前後の寸法変化率R1 を求めた。なお、この寸法変化率R1 は、MD方向およびTD方向の双方について測定した。
寸法変化率R1 (%)={(D2 −D1 )/D1 }×100 …(a)
続いて、エッチング後の測定サンプルを250℃で30分加熱した後、20℃、60%RHの恒温室に24時間放置した。その後、上記4つの穴について、それぞれの距離を測定した。加熱後における各穴の距離の測定値をD3 として、次式(b)により加熱前後の寸法変化率R2 を求めた。なお、この寸法変化率R2 も、MD方向及びTD方向の双方について測定した。
寸法変化率R2 (%)={(D3 −D2 )/D2 }×100 …(b)
〔銅箔表面の酸化〕
ラミネート前後の銅箔表面の状態を目視により観察した。表面の状態に変化が無く、変色が無い場合には、表面の酸化を抑制できたとして「○」と評価し、表面の状態に変化が生じ、変色が生じている場合には「×」と評価した。
〔銅箔の引き剥がし強度〕
JIS C6471の「6.5 引きはがし強さ」に従って、サンプルを作製し、5mm幅の金属箔部分を、180度の剥離角度、50mm/分の条件で剥離し、その荷重を測定した。
〔ポリイミドフィルムの製造例1〕
10℃に冷却したN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)231kgにp−フェニレンジアミン(p−PDA)4.73kgを溶解した後、さらにピロメリット酸二無水物(PMDA)5.41kgを添加し、1時間攪拌することにより溶解させた。この溶液に4,4’−オキシジアニリン(ODA)20.45kgを溶解させた後、PMDA25.46kgを添加し1時間攪拌して溶解させて反応液とした。
別途調製しておいたPMDAのDMF溶液(PMDA:DMF=0.95kg:12.7kg)を上記反応液に徐々に添加し、粘度が3000ポイズ程度に達したところで添加を止めた。さらに1時間攪拌を行うことによりポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液は、固形分濃度が19重量%、23℃での回転粘度が3300ポイズであった。
別途調製しておいた、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比14.89/8.79/21.31)からなる硬化剤を、得られたポリアミド酸溶液に添加した。硬化剤の添加量は、ポリアミド酸溶液に対して重量比で45%となる量とした。硬化剤の添加とともにポリアミド酸溶液を連続的にミキサーで攪拌しながら、Tダイから樹脂溶液を支持体に押し出した。このTダイとしては厚みフィードバック機能を有しているものを用いた。また、支持体としては、Tダイの下20mmの位置を走行するステンレス製のエンドレスベルトを用い、このエンドレスベルト上にTダイから押し出した樹脂溶液を流延した。
流延により得られた樹脂膜を130℃×40秒で加熱することにより、自己支持性を有するゲル膜とした。ゲル膜の揮発分含量は280重量%であった。その後、エンドレスベルトから当該ゲル膜を引き剥がしてテンタークリップに固定し、200℃×5分、450℃×5分、500℃×1分の条件で乾燥およびイミド化を行った。これにより厚み125μmのポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムの厚みばらつきは±5%であり、20〜300℃におけるMD方向およびTD方向の熱膨張係数(CTE)は、それぞれ18ppm/℃および16ppm/℃であり、酸素透過率は、125NPIで30ml/cm2 ・24hr・atmであった。
〔ポリイミドフィルムの製造例2〕
Tダイとして、厚みフィードバック機能を有さないものを用いた以外は、上記製造例1と同様にして厚み125μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの厚みばらつきは±8%であり、20℃〜300℃におけるMD方向とTD方向の熱膨張係数(CTE)は、それぞれ18ppm/℃および16ppm/℃であり、酸素透過率は、125NPIで30ml/cm2 ・24hr・atmであった。
〔ポリアミド酸溶液の合成例1〕
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)を115.6g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を78.7g徐々に添加した。続いて、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TMEG)を3.8g添加し、氷浴下で30分間攪拌した。2.0gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加し、攪拌を行った。粘度が3000poise に達したところで添加、攪拌を止め、ポリアミド酸溶液を得た。
なお、得られたポリアミド酸溶液については、イミド化後の物性について確認を行った。具体的には、得られたポリアミド酸溶液を25μmPETフィルム(東洋メタライジング社製、商品名:セラピールHP)上に、最終厚みが20μmとなるように流延し、120℃で5分間乾燥することにより自己支持性を有するゲルフィルムとした。得られたゲルフィルムをPETフィルムから剥離した後、金属製のピン枠に固定し、150℃×5分間、200℃×5分間、250℃×5分間、350℃×5分間の条件で乾燥およびイミド化を行った。これによりポリイミドの単層シートを得た。
得られたポリイミドの単層シートのガラス転移温度は240℃であった。また、熱可塑性の判定を行ったところ、単層シートに圧縮永久変形が生じたため、得られたポリイミドは熱可塑性を有していることがわかった。
〔ポリアミド酸溶液の合成例2〕
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、BPDAを119g添加し、窒素雰囲気下で1時間攪拌した。その後、続いて氷浴下で30分間攪拌し、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3,4’−ODA)を78.6g加えた。さらに2.4gの3,4’−ODAを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加し、攪拌を行った。粘度が2000poise に達したところで添加、攪拌を止め、ポリアミド酸溶液を得た。
なお、このポリアミド酸溶液についても、上記合成例1と同様にして成形、乾燥、イミド化することにより、ポリイミドの単層シートを得て、物性を確認した。得られたポリイミドの単層シートのガラス転移温度は270℃であった。また、熱可塑性の判定を行ったところ、単層シートに圧縮永久変形が生じたため、得られたポリイミドは熱可塑性を有していることがわかった。
〔ポリアミド酸溶液の合成例3〕
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TMHQ)105.5g添加し、窒素雰囲気下で1時間攪拌した。その後、続いて氷浴下で30分間攪拌し、BAPPを92.6g加えた。さらに2.1gのBAPPを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加し、攪拌を行った。粘度が2000poise に達したところで添加、攪拌を止め、ポリアミド酸溶液を得た。
なお、このポリアミド酸溶液についても、上記合成例1と同様にして成形、乾燥、イミド化することにより、ポリイミドの単層シートを得て、物性を確認した。得られたポリイミドの単層シートのガラス転移温度は210℃であった。また、熱可塑性の判定を行ったところ、単層シートに圧縮永久変形が生じたため、得られたポリイミドは熱可塑性を有していることがわかった。
〔実施例1〕
合成例1で得られたポリアミド酸溶液を、固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈して接着材料溶液とした。厚み17μmのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製、商品名:アピカルHP)を基材ポリイミドフィルムとして用い、その両面に、上記接着材料溶液を塗布した。このときの塗布厚みは、イミド化後に得られる熱可塑性ポリイミド層(接着層)の最終片面厚みが4μmとなるような厚みとした。
上記接着材料溶液を塗布した後、ポリイミドフィルムに対して140℃、1分間の加熱を行った。続いて、雰囲気温度390℃の遠赤外線ヒーター炉の中を20秒間通して加熱イミド化を行った。これにより、ポリイミドフィルムの両面に接着層が形成された耐熱性接着フィルムを得た。
得られた耐熱性接着フィルムの両面に、厚み18μmの圧延銅箔(ジャパンエナジー社製、商品名:BHY−22B−T)を重ね、さらに銅箔の外側(耐熱性接着フィルムと接していない側)の表面に、保護フィルムとして製造例1のポリイミドフィルムを重ねた。そして、耐熱性接着フィルム(基材ポリイミドフィルム)の張力を0.4N/cm、熱ラミネート温度を360℃、熱ラミネート圧力を98N/cm(10kgf/cm)、熱ラミネート速度を1.5m/分に設定し、この条件で、上記重ね合わせた各フィルムに対して連続的に熱ラミネート処理を行った。これにより、フレキシブル銅張積層板(FCCL)を製造した。
得られたFCCLについて測定または評価した諸特性を表1・2に示す。また、使用した保護フィルムについて、20℃からラミネート温度である360℃の範囲におけるMD方向およびTD方向の熱膨張係数の比についても、併せて表2に示す。
〔実施例2〕
接着材料溶液に合成例2のポリアミド酸溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてFCCLを製造した。得られたFCCLについて測定または評価した諸特性と、使用した保護フィルムにおける熱膨張係数の比とを表1・2に示す。
〔実施例3〕
接着材料溶液に合成例3のポリアミド酸溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてFCCLを製造した。得られたFCCLについて測定または評価した諸特性と、使用した保護フィルムにおける熱膨張係数の比とを表1・2に示す。
〔比較例1〜3〕
保護フィルムとして製造例2のポリイミドフィルムを用いた以外は、それぞれ実施例1〜3と同様にしてFCCLを製造した。得られたFCCLについて測定または評価した諸特性と、使用した保護フィルムにおける熱膨張係数の比とを表1・2に示す。
〔実施例4・5〕
熱ラミネート温度を450℃とした(実施例4)か、熱ラミネート圧力を392N/cm(40kgf/cm)とした(実施例5)以外は、それぞれ実施例1と同様にしてFCCLを製造した。得られたFCCLについて測定または評価した諸特性と、使用した保護フィルムにおける熱膨張係数の比とを表1・2に示す。
Figure 0004838509
Figure 0004838509
比較例1〜3に示すように、保護フィルムの厚みばらつきが5%を超えると、得られるFCCLの銅箔の表面には酸化による変色が見られた。これに対して、保護フィルムの厚みばらつきを5%以下とすれば、銅箔の表面には変色が見られず、酸化を抑制することができることが分かった。
さらに、実施例4・5と実施例1〜3とを比較すると、熱ラミネート温度や熱ラミネート圧力等の熱ラミネート条件を適宜設定することにより、得られるFCCLの寸法変化をより一層良好なものとすることができることが分かった。
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以上のように、本発明では、保護フィルムとして厚みのより均一なものを用いている。そのため、金属箔の表面酸化を抑制できるとともに、寸法安定性にも優れたフレキシブル金属張積層板を製造することができる。そのため、本発明は、フレキシブル金属張積層板を製造する分野に利用することができるだけでなく、さらには、これを用いたフレキシブル配線板やその利用分野等、各種電子部品の製造に関わる分野に広くするにも応用することが可能である。

Claims (10)

  1. 基材となるポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に金属箔を貼り合わせることにより得られるフレキシブル金属張積層板の製造方法であって、
    上記ポリイミドフィルムと金属箔とを加熱および加圧しながら貼り合わせる熱ラミネート工程を含んでおり、
    当該熱ラミネート工程では、金属箔と加圧面との間に、厚みばらつき5%以下である保護フィルムを配し、
    上記厚みばらつきは、保護フィルムの幅方向1mおよび長手方向1mのそれぞれについて、連続厚み計を用いて3水準を測定して算出したものであることを特徴とするフレキシブル金属張積層板の製造方法。
  2. 上記熱ラミネート工程では、接着層を介してポリイミドフィルムと金属箔とを貼り合わせることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル金属張積層板の製造方法。
  3. 上記保護フィルムとして、少なくとも非熱可塑性ポリイミドからなるフィルムを用いることを特徴とする請求項1または2に記載のフレキシブル金属張積層板の製造方法。
  4. 上記保護フィルムとして、20〜200℃の範囲内におけるMD方向およびTD方向の平均熱膨張係数が5〜40ppm/℃となっているフィルムを用いることを特徴とする請求項1、2または3に記載のフレキシブル金属張積層板の製造方法。
  5. 上記熱ラミネート工程では、一対以上の金属ロールを備える熱ロールラミネート装置を用いてポリイミドフィルムと金属箔とを貼り合わせることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載のフレキシブル金属張積層板の製造方法。
  6. 上記熱ラミネート工程では、貼り合わせ前に保護フィルムを予備的に加温しておくことを特徴とする請求項5に記載のフレキシブル金属張積層板の製造方法。
  7. 上記保護フィルムの予備的な加温は、貼り合わせ時の保護フィルムの温度を、熱ラミネート工程の加熱温度に対し0〜−10℃の範囲内とするように行うことを特徴とする請求項6に記載のフレキシブル金属張積層板の製造方法。
  8. 上記熱ロールラミネート装置に備えられている加熱処理が可能な金属ロールに、保護フィルムを予め接触させることにより、予備的な加温を行うことを特徴とする請求項6または7に記載のフレキシブル金属張積層板の製造方法。
  9. 上記熱ラミネート工程では、貼り合わせ時における圧力を49〜490N/cmの範囲内に設定することを特徴とする請求項1ないし8の何れか1項に記載のフレキシブル金属張積層板の製造方法。
  10. 上記熱ラミネート工程では、貼り合わせ時において、基材となるポリイミドフィルムの張力を0.01〜2N/cmの範囲内に設定することを特徴とする請求項1ないし9の何れか1項に記載のフレキシブル金属張積層板の製造方法。
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