JP2005335102A - 寸法安定性を向上させた接着性接合部材及びそれからなるフレキシブル金属張積層板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、寸法安定性に優れたフレキシブル金属張積層板の製造方法を提供することにある。
【解決手段】
ポリイミドフィルムの片面または両面に、熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を形成したフィルム状接合部材であって、250℃、30分加熱した際のTD方向の加熱時寸法変化が−0.01〜−0.10%であり、且つMD方向の加熱時寸法変化率が+0.01〜+0.10%である接着性接合部材を用い、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置により、金属箔と前記接着性接合部材とを貼り合わせることで、寸法安定性に優れたフレキシブル金属張積層板を製造できる。
【選択図】 なし
【解決手段】
ポリイミドフィルムの片面または両面に、熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を形成したフィルム状接合部材であって、250℃、30分加熱した際のTD方向の加熱時寸法変化が−0.01〜−0.10%であり、且つMD方向の加熱時寸法変化率が+0.01〜+0.10%である接着性接合部材を用い、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置により、金属箔と前記接着性接合部材とを貼り合わせることで、寸法安定性に優れたフレキシブル金属張積層板を製造できる。
【選択図】 なし
Description
本発明はポリイミドフィルムの片面または両面に、熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を形成した接着性接合部材及び該接着性接合部材に金属箔を貼り合わせて得られる寸法安定性に優れたフレキシブル金属張積層板に関する。
近年、エレクトロニクス製品の軽量化、小型化、高密度化にともない、各種プリント基板の需要が伸びているが、中でも、フレキシブル積層板(フレキシブルプリント配線板(FPC)等とも称する)の需要が特に伸びている。フレキシブル積層板は、絶縁性フィルム上に金属箔からなる回路が形成された構造を有している。
上記フレキシブル積層板は、一般に、各種絶縁材料により形成され、柔軟性を有する絶縁性フィルムを基板とし、この基板の表面に、各種接着材料を介して金属箔を加熱・圧着することにより貼りあわせる方法により製造される。上記絶縁性フィルムとしては、ポリイミドフィルム等が好ましく用いられている。上記接着材料としては、エポキシ系、アクリル系等の熱硬化性接着剤が一般的に用いられている(これら熱硬化性接着剤を用いたFPCを以下、三層FPCともいう)。
熱硬化性接着剤は比較的低温での接着が可能であるという利点がある。しかし今後、耐熱性、屈曲性、電気的信頼性といった要求特性が厳しくなるに従い、熱硬化性接着剤を用いた三層FPCでは対応が困難になると考えられる。これに対し、絶縁性フィルムに直接金属層を設けたり、接着層に熱可塑性ポリイミドを使用したFPC(以下、二層FPCともいう)が提案されている。この二層FPCは、三層FPCより優れた特性を有し、今後需要が伸びていくことが期待される。
二層FPCに用いるフレキシブル金属張積層板の作製方法としては、金属箔上にポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を流延、塗布した後イミド化するキャスト法、スパッタ、メッキによりポリイミドフィルム上に直接金属層を設けるメタライジング法、熱可塑性ポリイミドを介してポリイミドフィルムと金属箔とを貼り合わせるラミネート法が挙げられる。この中で、ラミネート法は、対応できる金属箔の厚み範囲がキャスト法よりも広く、装置コストがメタライジング法よりも低いという点で優れている。ラミネートを行う装置としては、ロール状の材料を繰り出しながら連続的にラミネートする熱ロールラミネート装置またはダブルベルトプレス装置等が用いられている。上記の内、生産性の点から見れば、熱ロールラミネート法をより好ましく用いることができる。
従来の三層FPCをラミネート法で作製する際、接着層に熱硬化性樹脂を用いていたため、ラミネート温度は200℃未満で行うことが可能であった(特許文献1参照)。これに対し、二層FPCは熱可塑性ポリイミドを接着層として用いるため、熱融着性を発現させるために200℃以上、場合によっては400℃近くの高温を加える必要がある。そのため、ラミネートされて得られたフレキシブル金属張積層板に残留歪みが発生し、エッチングして配線を形成する際、ならびに部品を実装するために半田リフローを行う際に寸法変化となって現れる。
特にラミネート法は、ポリイミドフィルム上に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設ける際に、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を流延、塗布した後に連続的に加熱してイミド化を行い、金属箔を貼り合わせる際も連続的に加熱加圧を行うため、材料は張力がかけられた状態で加熱環境下に置かれることが多い。そのため、MD方向とTD方向で異なる熱応力が発生する。具体的には、張力のかかるMD方向には引張られる力が働き、逆にTD方向には縮む力が働く。その結果、フレキシブル積層板から金属箔をエッチングする際と、半田リフローを通して加熱する際にこの歪みが解放され、MD方向は収縮し、逆にTD方向は膨張してしまう。
近年、電子機器の小型化、軽量化を達成するために、基板に設けられる配線は微細化が進んでおり、実装する部品も小型化、高密度化されたものが搭載される。そのため、微細な配線を形成した後の寸法変化が大きくなると、設計段階での部品搭載位置からずれて、部品と基板とが良好に接続されなくなるという問題が生じる。
そこで、ラミネート圧力の制御や、接着フィルムの張力制御により、寸法変化を抑える試みがなされている(特許文献2または3参照)。しかしながら、これらの手段により寸法変化は改善されるものの、まだ充分ではなく、更なる寸法変化の改善が求められている。
特開平9−199830号公報
特開2002−326308号公報
特開2002−326280号公報
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、プリント配線板加工時、特に半田づけ及びACF貼り合わせ時に寸法変化の発生が抑制されたフレキシブル金属張積層板またはこれに用いる接着性接合部材、特にラミネート法で作製した際に寸法変化の発生を抑制できるフレキシブル金属張積層板またはこれに用いる接着性接合部材を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、予めフィルム状接合部材に熱ラミネート等により発生するMD、TDの寸法変化をキャンセルする寸法歪み、すなわち加熱時寸法変化を持たせておくことにより、得られるフレキシブル金属張積層板の寸法変化率を改善できることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明の第1は、ポリイミドフィルムの片面または両面に、熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を形成したフィルム状の接合部材であって、250℃、30分加熱した際のTD方向の寸法変化率が−0.01〜−0.10%であり、且つMD方向の寸法変化が+0.01〜+0.10%であることを特徴とする接着性接合部材に関する。
本発明の第二は、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置により前記フィルム状接合部材と金属箔とを貼り合わせて得られることを特徴とするフレキシブル銅張積層板に関する。
好ましい実施態様は、熱ラミネート時の保護フィルム張力が60kg/m以上、200kg/m以下であることを特徴とする、前記フレキシブル銅張積層板に関する。
更に好ましい実施態様は、保護フィルムを予め熱ロールに接触させることによりラミネート時に保護フィルム表面温度をロール表面温度に対し0〜−10℃にすることを特徴とする、前記フレキシブル銅張積層板に関する。
更に好ましい実施態様は、熱ラミネート温度が300℃以上であることを特徴とする、前記フレキシブル銅張積層板に関する。
更に好ましい実施態様は、保護フィルムがポリイミドフィルムであることを特徴とする前記フレキシブル銅張積層板に関する。
更に好ましい実施態様は、金属箔除去後に250℃、30分の熱処理を行う前後の寸法変化率が、MD方向、TD方向共に−0.05〜+0.05%の範囲にあることを特徴とする、フレキシブル金属張積層板に関する。
本発明の製造方法から得られるフレキシブル金属張積層板は、寸法変化の発生が抑制されており、特にラミネート法における寸法変化の発生を効果的に抑制できる。具体的には、金属箔を除去する前後の寸法変化率、ならびに金属箔除去後に250℃、30分の熱処理を行う前後の寸法変化率小さくすることができ、従って、微細な配線を形成したFPC等にも好適に用いることが可能で、位置ずれ等の問題を改善できる。
本発明の実施の一形態について、以下に説明する。
本発明のフィルム状積層部材はポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを主成分とする接着層を形成して得られる。特に予めフィルム状接合部材に熱ラミネート等により発生するMD、TDの寸法変化をキャンセルする寸法歪み、すなわち加熱時寸法変化を持たせておくことにより、250℃×30分加熱時の寸法安定性の良いフレキシブル金属張積層板を得ることが出来る。
本発明においてコアフィルムとして用いるポリイミドフィルムは、ポリアミド酸を前駆体として用いて製造される。ポリアミド酸の製造方法としては公知のあらゆる方法を用いることができ、通常、芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンを、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解させて、得られたポリアミド酸有機溶媒溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらのポリアミド酸溶液は通常5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得る。
重合方法としてはあらゆる公知の方法およびそれらを組み合わせた方法を用いることができる。ポリアミド酸の重合における重合方法の特徴はそのモノマーの添加順序にあり、このモノマー添加順序を制御することにより得られるポリイミドの諸物性を制御することができる。従い、本発明においてポリアミド酸の重合にはいかなるモノマーの添加方法を用いても良い。代表的な重合方法として次のような方法が挙げられる。すなわち、
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
などのような方法である。これら方法を単独で用いても良いし、部分的に組み合わせて用いることもできる。
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
などのような方法である。これら方法を単独で用いても良いし、部分的に組み合わせて用いることもできる。
本発明において、上記のいかなる重合方法を用いて得られたポリアミド酸を用いても良く、重合方法は特に限定されるのもではない。
ここで、本発明にかかるポリアミック酸組成物に用いられる材料について説明する。
本発明において用いうる適当な酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物を含み、これらを単独または、任意の割合の混合物が好ましく用い得る。
これら酸二無水物の中で特にはピロメリット酸二無水物及び/又は3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及び/又は4,4’−オキシフタル酸二無水物及び/又は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の使用が好ましい。
本発明にかかるポリイミド前駆体ポリアミド酸組成物において使用し得る適当なジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3‘−ジメチルベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン及びそれらの類似物などが挙げられる。
本発明におけるポリイミドフィルムは、上記の範囲の中で所望の特性を有するフィルムとなるように適宜芳香族酸二無水物および芳香族ジアミンの種類、配合比を決定して用いることにより得ることができる。
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、ポリアミド酸を溶解する溶媒であればいかなるものも用いることができるが、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用い得る。
また、摺動性、熱伝導性等のフィルムの諸特性を改善する目的でフィラーを添加することもできる。フィラーとしてはいかなるものを用いても良いが、好ましい例としてはシリカ、酸化チタン、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、雲母などが挙げられる。
フィラーの粒子径は改質すべきフィルム特性と添加するフィラーの種類によって決定されるため、特に限定されるものではないが、一般的には平均粒径が0.05〜100μm、好ましくは0.1〜75μm、更に好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは0.1〜25μmである。粒子径がこの範囲を下回ると改質効果が現れにくくなり、この範囲を上回ると表面性を大きく損なったり、機械的特性が大きく低下したりする可能性がある。また、フィラーの添加部数についても改質すべきフィルム特性やフィラー粒子径などにより決定されるため特に限定されるものではない。一般的にフィラーの添加量はポリイミド100重量部に対して0.01〜100重量部、好ましくは0.01〜90重量部、更に好ましくは0.02〜80重量部である。フィラー添加量がこの範囲を下回るとフィラーによる改質効果が現れにくく、この範囲を上回るとフィルムの機械的特性が大きく損なわれる可能性がある。
フィラーの添加は、
1.重合前または途中に重合反応液に添加する方法
2.重合完了後、3本ロールなどを用いてフィラーを混錬する方法
3.フィラーを含む分散液を用意し、これをポリアミド酸有機溶媒溶液に混合する方法
などいかなる方法を用いてもよいが、フィラーを含む分散液をポリアミド酸溶液に混合する方法、特に製膜直前に混合する方法が製造ラインのフィラーによる汚染が最も少なくすむため、好ましい。フィラーを含む分散液を用意する場合、ポリアミド酸の重合溶媒と同じ溶媒を用いるのが好ましい。また、フィラーを良好に分散させ、また分散状態を安定化させるために分散剤、増粘剤等をフィルム物性に影響を及ぼさない範囲内で用いることもできる。
1.重合前または途中に重合反応液に添加する方法
2.重合完了後、3本ロールなどを用いてフィラーを混錬する方法
3.フィラーを含む分散液を用意し、これをポリアミド酸有機溶媒溶液に混合する方法
などいかなる方法を用いてもよいが、フィラーを含む分散液をポリアミド酸溶液に混合する方法、特に製膜直前に混合する方法が製造ラインのフィラーによる汚染が最も少なくすむため、好ましい。フィラーを含む分散液を用意する場合、ポリアミド酸の重合溶媒と同じ溶媒を用いるのが好ましい。また、フィラーを良好に分散させ、また分散状態を安定化させるために分散剤、増粘剤等をフィルム物性に影響を及ぼさない範囲内で用いることもできる。
これらポリアミック酸溶液からポリイミドフィルムを製造する方法については従来公知の方法を用いることができる。この方法には熱イミド化法と化学イミド化法が挙げられ、どちらの方法を用いてフィルムを製造してもかまわないが、化学イミド化法によるイミド化の方が本発明に好適に用いられる諸特性を有したポリイミドフィルムを得やすい傾向にある。
また、本発明において特に好ましいポリイミドフィルムの製造工程は、
a)有機溶剤中で芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させてポリアミック酸溶液を得る工程、
b)上記ポリアミック酸溶液を含む製膜ドープを支持体上に流延する工程、
c)支持体上で加熱した後、支持体からゲルフィルムを引き剥がす工程、
d)更に加熱して、残ったアミック酸をイミド化し、かつ乾燥させる工程、
を含むことが好ましい。
a)有機溶剤中で芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させてポリアミック酸溶液を得る工程、
b)上記ポリアミック酸溶液を含む製膜ドープを支持体上に流延する工程、
c)支持体上で加熱した後、支持体からゲルフィルムを引き剥がす工程、
d)更に加熱して、残ったアミック酸をイミド化し、かつ乾燥させる工程、
を含むことが好ましい。
上記工程において無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤と、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等の第三級アミン類等に代表されるイミド化触媒とを含む硬化剤を用いても良い。
以下本発明の好ましい一形態、化学イミド法を一例にとり、ポリイミドフィルムの製造工程を説明する。ただし、本発明は以下の例により限定されるものではない。製膜条件や加熱条件は、ポリアミド酸の種類、フィルムの厚さ等により、変動し得る。
脱水剤及びイミド化触媒を低温でポリアミド酸溶液中に混合して製膜ドープを得る。引き続いてこの製膜ドープをガラス板、アルミ箔、エンドレスステンレスベルト、ステンレスドラムなどの支持体上にフィルム状にキャストし、支持体上で80℃〜200℃、好ましくは100℃〜180℃の温度領域で加熱することで脱水剤及びイミド化触媒を活性化することによって部分的に硬化及び/または乾燥した後支持体から剥離してポリアミック酸フィルム(以下、ゲルフィルムという)を得る。
ゲルフィルムは、ポリアミド酸からポリイミドへの硬化の中間段階にあり、自己支持性を有し、式(1)
(A−B)×100/B・・・・(1)
式(1)中、A,Bは以下のものを表す。
A:ゲルフィルムの重量
B:ゲルフィルムを450℃で20分間加熱した後の重量
から算出される揮発分含量は5〜500重量%の範囲、好ましくは5〜200重量%、より好ましくは5〜150重量%の範囲にある。この範囲のフィルムを用いることが好適であり、焼成過程でフィルム破断、乾燥ムラによるフィルムの色調ムラ、特性ばらつき等の不具合が起こることがある。
(A−B)×100/B・・・・(1)
式(1)中、A,Bは以下のものを表す。
A:ゲルフィルムの重量
B:ゲルフィルムを450℃で20分間加熱した後の重量
から算出される揮発分含量は5〜500重量%の範囲、好ましくは5〜200重量%、より好ましくは5〜150重量%の範囲にある。この範囲のフィルムを用いることが好適であり、焼成過程でフィルム破断、乾燥ムラによるフィルムの色調ムラ、特性ばらつき等の不具合が起こることがある。
脱水剤の好ましい量は、ポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して、0.5〜5モル、好ましくは1.0〜4モルである。
また、イミド化触媒の好ましい量はポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して、0.05〜3モル、好ましくは0.2〜2モルである。
脱水剤及びイミド化触媒が上記範囲を下回ると化学的イミド化が不十分で、焼成途中で破断したり、機械的強度が低下したりすることがある。また、これらの量が上記範囲を上回ると、イミド化の進行が早くなりすぎ、フィルム状にキャストすることが困難となることがあるため好ましくない。
前記ゲルフィルムの端部を固定して硬化時の収縮を回避して乾燥し、水、残留溶媒、残存転化剤及び触媒を除去し、そして残ったアミド酸を完全にイミド化して、ポリイミドフィルムが得られる。
ポリイミドフィルムは、最終的に400〜650℃の温度で5〜400秒加熱するのが好ましい。この温度より高い及び/または時間が長いと、フィルムの熱劣化が起こり問題が生じることがある。逆にこの温度より低い及び/または時間が短いと所定の効果が発現しないことがある。
また、MD方向、TD方向の加熱時寸法変化はフィルム作製時の幅方向及び長手方向の延伸度で調整することが可能である。例えばTD方向に延伸するとTD方向の加熱収縮が大きくなり、逆に縮めると加熱膨張する。また、MD方向に延伸するとMD方向の加熱収縮が大きくなり、逆に縮めると加熱膨張する傾向がある。延伸もしくは収縮させる温度及びタイミングが重要であり、発生させた歪みを緩和させないように分子構造及び特性に応じ適宜設定することが出来る。
また、分子構造及び特性によっては、この熱処理の際に、前記加熱寸法変化を調節することも可能である。
ポリイミドフィルムの諸特性の制御は、用いるモノマーの種類、重合時のモノマーの添加順序、選択するイミド化方法等により適宜制御することができる。
本発明において用いられる接着層は、アクリル系、エポキシ系、変性エポキシ系、フェノール系、ポリアミドイミド系、ポリイミド系いかなるものを含有しても良いが、耐熱性、絶縁信頼性、ラミネート加工性、半田耐熱性及び電気的信頼性の面から熱可塑性ポリイミドを主成分とする接着層を用いることが必要である。
なお、本発明における熱可塑性ポリイミドとは、ガラス転移温度を有し、かつ、圧縮モード(プローブ径3mmφ、荷重5g)の熱機械分析測定(TMA)において、10〜400℃(昇温速度:10℃/min)の温度範囲で永久圧縮変形を起こすものをいう。
接着層に含有される熱可塑性ポリイミドとしては、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミドイミド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリエステルイミド等を好適に用いることができる。
また、既存の装置でラミネートが可能であり、かつ得られる金属張積層板の耐熱性を損なわないという点から考えると、本発明における熱可塑性ポリイミドは、150〜300℃の範囲にガラス転移温度(Tg)を有していることが好ましい。なお、Tgは動的粘弾性測定装置(DMA)により測定した貯蔵弾性率の変曲点の値により求めることができる。
本発明に用いられる熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸については、特に限定されるわけではなく、あらゆるポリアミド酸を用いることができる。ポリアミド酸溶液の製造に関しても、前記製造条件等を全く同様に用いることができる。
使用する原料を種々組み合わせることにより、諸特性を調節することができるが、一般に剛構造のジアミン使用比率が大きくなるとガラス転移温度高くなる及び/又は熱時の貯蔵弾性率が大きくなり接着性・加工性が低くなるため好ましくない。剛構造のジアミン比率は好ましくは40mol%以下、さらに好ましくは30mol%以下、特に好ましくは20mol%以下である。
また、必要に応じて無機あるいは有機物のフィラーを添加しても良く、フィラーの添加方法も前記方法を全く同様に用いることができる。
本発明におけるフレキシブル金属張積層板は、前記フィルム状接合部材と金属箔とを貼り合わせることを特徴とする。貼り合わせ手順としては、上記ポリイミドフィルムの少なくとも片面に接着層を形成した後、金属箔と貼り合わせる方法、接着層をシート状に成形し、これを上記ポリイミドフィルムに貼り合わせた後、金属箔と貼り合わせる方法、又は接着層をシート状に成形し、金属箔とポリイミドフィルムの間に挟んで貼り合わせる方法等が好適に例示され得る。このうち、一番目の方法を採り、更に接着層に熱可塑性ポリイミドが含有される場合、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を完全にイミド化してしまうと、有機溶媒への溶解性が低下する場合があることから、ポリイミドフィルム上に上記接着層を設けることが困難となることがある。従って、上記観点から、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する溶液を調製して、これをポリイミドフィルムに塗布し、次いでイミド化する手順を採った方がより好ましい。この時のイミド化の方法としては、熱イミド化法若しくは化学イミド化法のどちらも用いることができるが、化学イミド化法は接着層を熱劣化させずに化学的転化剤等を除去する加熱条件を設定しなくてはならない場合があるという点から、熱イミド化法によりイミド化する方がより好ましい。
熱イミド化の温度は高い方がイミド化が起こりやすいため、イミド化速度を速くすることができ、生産性の面で好ましい。但し、高すぎると熱可塑性ポリイミドが熱分解を起こす可能性がある。一方、熱キュアの温度が低すぎると、イミド化が進みにくく、イミド化工程に要する時間が長くなってしまう。熱イミド化の温度は、熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度〜ガラス転移温度+200℃の範囲内に設定することが好ましく、ガラス転移温度+50℃〜ガラス転移温度+150℃の範囲内に設定することがより好ましい。イミド化時間に関しては、実質的にイミド化および乾燥が完結するに十分な時間を取ればよく、一義的に限定されるものではないが、一般的には1〜600秒程度の範囲で適宜設定される。
また、接着層の熔融流動性を改善する目的で、意図的にイミド化率を低くする及び/又は溶媒を残留させることもできる。
また接着層ならびにポリイミドフィルムの厚み構成については、用途に応じた総厚みになるように適宜調整すれば良い。また、必要に応じて、接着層を設ける前にコロナ処理、プラズマ処理、カップリング処理等の各種表面処理をポリイミドフィルム表面に施しても良い。
本発明において使用する金属箔としては特に限定されるものではないが、電子機器・電気機器用途に本発明のフレキシブル金属張積層板を用いる場合には、例えば、銅若しくは銅合金、ステンレス鋼若しくはその合金、ニッケル若しくはニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる箔を挙げることができる。一般的なフレキシブル金属張積層板では、圧延銅箔、電解銅箔といった銅箔が多用されるが、本発明においても好ましく用いることができる。なお、これらの金属箔の表面には、防錆層や耐熱層あるいは接着層が塗布されていてもよい。
本発明において、上記金属箔の厚みについては特に限定されるものではなく、その用途に応じて、十分な機能が発揮できる厚みであればよいが、一例をあげて説明すると、一般的には1〜35μm、さらには2〜25μm、特には3〜18μmが好ましい。金属箔の厚みがこの範囲を下回ると異方導電性フィルム等を用いた種々基板等への実装時に接続不良または接続信頼性の低下をきたしやすく、また、上記範囲を上回ると微細配線を形成させることが難しくなる傾向にある。また、この金属箔は厚めのものを用いてラミネートし、その後エッチング等公知の方法により薄くして用いることもできる。
本発明における接着層を介して金属箔とポリイミドフィルムを貼り合わせるには、例えば、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置或いはダブルベルトプレス(DBP)による連続処理を用いることができる。中でも、装置構成が単純であり保守コストの面で有利であるという点から、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いることが好ましい。ここでいう「一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置」とは、材料を加熱加圧するための金属ロールを有している装置であればよく、その具体的な装置構成は特に限定されるものではない。
上記熱ラミネートを実施する手段の具体的な構成は特に限定されるものではないが、得られる積層板の外観を良好なものとするために、加圧面と金属箔との間に保護材料を配置することが好ましい。使用する保護フィルムとしては、熱ラミネート工程の加熱温度に耐えうるものであれば良く、非熱可塑性ポリイミドフィルム等の耐熱性プラスチック、銅箔、アルミニウム箔、SUS箔等の金属箔等が挙げられるが、中でも、耐熱性、再使用性等のバランスが優れる点から、非熱可塑性ポリイミドフィルムが好適に用いられ得る。また、厚みが薄いとラミネート時の緩衝ならびに保護の役目を十分に果たさなくなるため、非熱可塑性ポリイミドフィルムの厚みは75μm以上であることが好ましい。
また、この保護材料は必ずしも1層である必要はなく、異なる特性を有する2層以上の多層構造でも良い。
また、接着層に熱可塑性ポリイミドが含有される為、ラミネート温度が非常に高温となり、保護フィルムをそのままラミネートに用いると、急激な熱膨張により、得られるフレキシブル金属張積層板の外観や寸法安定性を悪化させる可能性がある。従って、ラミネート前に保護フィルムに予備加熱を施したほうが好ましい。予備加熱の手段としては、保護材料を熱ロールに抱かせるなどして接触させる方法が挙げられる。いずれの方法を採るとしても、ラミネート時に保護フィルムの表面温度がロール表面温度に対し0〜−10℃の範囲内となるようにする。ここでいう「保護フィルムの表面温度」とは、ラミネート時に金属箔と接する側の面の温度のことをいう。保護フィルム表面温度を上記範囲内とすることにより、ラミネート時には保護材料の熱膨張が終了しているため、フレキシブル金属張積層板の外観や寸法変化に影響を与えることが抑制される。保護フィルム表面温度が上記範囲から外れた場合、保護材料の熱膨張が終了しないままラミネートが行われるため、ラミネート時に急激な熱膨張が起こり、得られる積層板の外観や寸法変化が悪化する可能性がある。保護材料を加熱ロールに抱かせる距離ならびに時間については特に限定されず、保護フィルム厚み、ロールの径、ラミネート速度などから適宜調整すれば良い。保護フィルムならびにロール表面温度については接触式温度計や熱電対等、公知の方法により測定が可能である。
上記熱ラミネート手段における被積層材料の加熱方式は特に限定されるものではなく、例えば、熱循環方式、熱風加熱方式、誘導加熱方式等、所定の温度で加熱し得る従来公知の方式を採用した加熱手段を用いることができる。同様に、上記熱ラミネート手段における被積層材料の加圧方式も特に限定されるものではなく、例えば、油圧方式、空気圧方式、ギャップ間圧力方式等、所定の圧力を加えることができる従来公知の方式を採用した加圧手段を用いることができる。
上記熱ラミネート工程における加熱温度、すなわちラミネート温度は、接着フィルムのガラス転移温度(Tg)+50℃以上の温度であることが好ましく、接着フィルムのTg+100℃以上がより好ましい。Tg+50℃以上の温度であれば、接着フィルムと金属箔とを良好に熱ラミネートすることができる。またTg+100℃以上であれば、ラミネート速度を上昇させてその生産性をより向上させることができる。また、ラミネート温度が300℃以上である場合、本発明の効果が特に顕著に現れ、寸法安定性に優れたフレキシブル金属張積層板を製造することが可能となる。
上記熱ラミネート工程におけるラミネート速度は、0.5m/分以上であることが好ましく、1.0m/分以上であることがより好ましい。0.5m/分以上であれば十分な熱ラミネートが可能になり、1.0m/分以上であれば生産性をより一層向上することができる。
上記熱ラミネート工程における圧力、すなわちラミネート圧力は、高ければ高いほどラミネート温度を低く、かつラミネート速度を速くすることができる利点があるが、一般にラミネート圧力が高すぎると得られる積層板の寸法変化が悪化する傾向がある。また、逆にラミネート圧力が低すぎると得られる積層板の金属箔の接着強度が低くなる。そのためラミネート圧力は、49〜490N/cm(5〜50kgf/cm)の範囲内であることが好ましく、98〜294N/cm(10〜30kgf/cm)の範囲内であることがより好ましい。この範囲内であれば、ラミネート温度、ラミネート速度およびラミネート圧力の三条件を良好なものにすることができ、生産性をより一層向上することができる。
また、ラミネート時のフィルム状接合部材張力は、0.01〜2N/cm、さらには0.02〜1.5N/cm、特には0.05〜1.0N/cmが好ましい。張力がこの範囲を下回ると外観の良好なフレキシブル金属張積層板を得ることが困難となる場合があり、またこの範囲を上回ると寸法安定性が劣る傾向にある。
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を得るためには、連続的に被積層材料を加熱しながら圧着する熱ラミネート装置を用いることが好ましいが、この熱ラミネート装置では、熱ラミネート手段の前段に、被積層材料を繰り出す被積層材料繰出手段を設けてもよいし、熱ラミネート手段の後段に、被積層材料を巻き取る被積層材料巻取手段を設けてもよい。これらの手段を設けることで、上記熱ラミネート装置の生産性をより一層向上させることができる。上記被積層材料繰出手段および被積層材料巻取手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、例えば、接着フィルムや金属箔、あるいは得られる積層板を巻き取ることのできる公知のロール状巻取機等を挙げることができる。
さらに、保護材料を巻き取ったり繰り出したりする保護材料巻取手段や保護材料繰出手段を設けると、より好ましい。これら保護材料巻取手段・保護材料繰出手段を備えていれば、熱ラミネート工程で、一度使用された保護材料を巻き取って繰り出し側に再度設置することで、保護材料を再使用することができる。また、保護材料を巻き取る際に、保護材料の両端部を揃えるために、端部位置検出手段および巻取位置修正手段を設けてもよい。これによって、精度よく保護材料の端部を揃えて巻き取ることができるので、再使用の効率を高めることができる。なお、これら保護材料巻取手段、保護材料繰出手段、端部位置検出手段および巻取位置修正手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、従来公知の各種装置を用いることができる。
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板においては、金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率が、MD方向、TD方向共に−0.05〜+0.05の範囲にあることが非常に好ましい。加熱前後の寸法変化率は、エッチング工程後のフレキシブル金属張積層板における所定の寸法および加熱工程後の所定の寸法差分と、上記エッチング工程後の所定の寸法との比で表される。
寸法変化率がこの範囲内から外れると、フレキシブル金属張積層板において、部品実装時の不良率が高くなる傾向にある。
上記寸法変化率の測定は、単純に、フレキシブル金属張積層板において加熱工程の前後に生じる寸法の増減を測定することにより行える。
ここで、寸法変化率の測定は、MD方向、TD方向の双方について測定することが必須となる。連続的にイミド化ならびにラミネートする場合、MD方向およびTD方向では張力のかかり方が異なるため、熱膨張・収縮の度合いに差が現れ、寸法変化率も異なる。したがって、寸法変化率の小さい材料では、MD方向およびTD方向の双方ともに変化率が小さいことが要求される。本発明においては、フレキシブル金属張積層板の金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率が、MD方向、TD方向共に−0.05〜+0.05の範囲にあることが非常に好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
なお、合成例、実施例及び比較例における熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度、コアフィルムの加熱時寸法変化率、フレキシブル積層板の寸法変化率、金属箔引き剥し強度の評価法は次の通りである。
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度は、セイコーインスツルメンツ社製 DMS200により、昇温速度3℃/分にて、室温から400℃までの温度範囲で測定し、貯蔵弾性率の変曲点をガラス転移温度とした。
ガラス転移温度は、セイコーインスツルメンツ社製 DMS200により、昇温速度3℃/分にて、室温から400℃までの温度範囲で測定し、貯蔵弾性率の変曲点をガラス転移温度とした。
(フィルム状接合部材の加熱時寸法変化率)
JIS C6481に基づいて、フィルム状接合部材に4つの穴を形成し、20℃、60%RHの恒温室に24時間放置した後に各穴のそれぞれの距離を測定した。この距離をD1とした。
JIS C6481に基づいて、フィルム状接合部材に4つの穴を形成し、20℃、60%RHの恒温室に24時間放置した後に各穴のそれぞれの距離を測定した。この距離をD1とした。
エッチング後の測定サンプルを250℃で30分加熱した後、20℃、60%RHの恒温室に24時間放置した。その後、上記4つの穴について、それぞれの距離を測定した。加熱後における各穴の距離の測定値をD2として、次式により加熱前後の寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)={(D2−D1)/D1}×100
なお、上記寸法変化率は、MD方向及びTD方向の双方について測定した。
寸法変化率(%)={(D2−D1)/D1}×100
なお、上記寸法変化率は、MD方向及びTD方向の双方について測定した。
(寸法変化率)
JIS C6481に基づいて、フレキシブル積層板に次に、エッチング工程を実施してフレキシブル積層板から金属箔を除去した後、4つの穴を形成し、20℃、60%RHの恒温室に24時間放置した後に各穴のそれぞれの距離を測定した。この距離をD1とした。
JIS C6481に基づいて、フレキシブル積層板に次に、エッチング工程を実施してフレキシブル積層板から金属箔を除去した後、4つの穴を形成し、20℃、60%RHの恒温室に24時間放置した後に各穴のそれぞれの距離を測定した。この距離をD1とした。
エッチング後の測定サンプルを250℃で30分加熱した後、20℃、60%RHの恒温室に24時間放置した。その後、上記4つの穴について、それぞれの距離を測定した。加熱後における各穴の距離の測定値をD2として、次式により加熱前後の寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)={(D2−D1)/D1}×100
なお、上記寸法変化率は、MD方向及びTD方向の双方について測定した。
寸法変化率(%)={(D2−D1)/D1}×100
なお、上記寸法変化率は、MD方向及びTD方向の双方について測定した。
(金属箔の引き剥がし強度:接着強度)
JIS C6471の「6.5 引きはがし強さ」に従って、サンプルを作製し、5mm幅の金属箔部分を、180度の剥離角度、50mm/分の条件で剥離し、その荷重を測定した。
JIS C6471の「6.5 引きはがし強さ」に従って、サンプルを作製し、5mm幅の金属箔部分を、180度の剥離角度、50mm/分の条件で剥離し、その荷重を測定した。
(合成例1;ポリイミドフィルムの合成)
ピロメリット酸二無水物/p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)/4,4’-ジアミノジフェニルエーテル/パラフェニレンジアミンを、それぞれモル比1/1/1/1の比率で、N,N’-ジメチルアセトアミド溶媒下、固形分が18%になるように重合した。
ピロメリット酸二無水物/p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)/4,4’-ジアミノジフェニルエーテル/パラフェニレンジアミンを、それぞれモル比1/1/1/1の比率で、N,N’-ジメチルアセトアミド溶媒下、固形分が18%になるように重合した。
この重合溶液を約0℃に冷却した上で、約0℃に冷却したポリアミド酸有機溶媒溶液のアミド酸1モルに対して2.1モル%の無水酢酸及び1.1モル%のイソキノリンを添加し、充分に攪拌した後、約5℃に保ったダイより押し出して、エンドレスベルト上に流延塗布した。エンドレスベルト上で、140℃以下で加熱することでゲル残輝54%のゲルフィルムを得た。
この自己支持性を有したグリーンシート(ゲルフィルム)を引き剥がし、続いてシートの両端を連続的にシートを搬送するピンシートに固定し、熱風加熱炉、遠赤炉(IR炉)、徐冷炉に搬送し、徐冷炉から搬出したところでピンからフィルムを引き剥がし、巻取って1.2m幅の18μmポリイミドフィルムを得た。
熱風加熱炉(1〜3炉)、遠赤炉(IR炉)、徐冷炉の雰囲気温度並びに滞留時間は表1に示す通りである。
尚、後に示す各実施例1〜3、比較例1〜3に使用する目的で、MD方向及びTD方向の加熱時寸法変化を調整するため、徐冷炉において表2の”延伸度(%)”欄に示した延伸度でMD方向及びTD方向への延伸もしくは収縮工程を設けた。延伸度が100%を下回る場合は、収縮を意味する。
(合成例2;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)を115.6g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を78.7g徐々に添加した。続いて、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TMEG)を3.8g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。2.0gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)を115.6g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を78.7g徐々に添加した。続いて、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TMEG)を3.8g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。2.0gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液を25μmPETフィルム(セラピールHP,東洋メタライジング社製)上に最終厚みが20μmとなるように流延し、120℃で5分間乾燥を行った。乾燥後の自己支持性フィルムをPETから剥離した後、金属製のピン枠に固定し、150℃で5分間、200℃で5分間、250℃で5分間、350℃で5分間乾燥を行い、単層シートを得た。この熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度は240℃であった。
(実施例1〜4,比較例1〜3;フレキシブル銅張積層板(FCCL)の製造)
合成例2で得られたポリアミド酸溶液を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈した後、18μmの合成例1の各ポリイミドフィルムの両面に、熱可塑性ポリイミド層(接着層)の最終片面厚みが3μmとなるようにポリアミド酸を塗布した後、140℃で1分間加熱を行った。続いて、雰囲気温度390℃の遠赤外線ヒーター炉の中を20秒間通して加熱イミド化を行って、耐熱性接着フィルムを得た。得られた接着フィルムの両側に18μm圧延銅箔(BHY−22B−T,ジャパンエナジー社製)を、さらに銅箔の両側に表1に示す保護フィルムを用いて、表1に示す保護フィルム張力、接着フィルムの張力0.4N/cm、ラミネート温度380℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で連続的に熱ラミネートを行い、フレキシブル金属張積層板を作製した。このフレキシブル金属張積層板の特性を表2に示した。
合成例2で得られたポリアミド酸溶液を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈した後、18μmの合成例1の各ポリイミドフィルムの両面に、熱可塑性ポリイミド層(接着層)の最終片面厚みが3μmとなるようにポリアミド酸を塗布した後、140℃で1分間加熱を行った。続いて、雰囲気温度390℃の遠赤外線ヒーター炉の中を20秒間通して加熱イミド化を行って、耐熱性接着フィルムを得た。得られた接着フィルムの両側に18μm圧延銅箔(BHY−22B−T,ジャパンエナジー社製)を、さらに銅箔の両側に表1に示す保護フィルムを用いて、表1に示す保護フィルム張力、接着フィルムの張力0.4N/cm、ラミネート温度380℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で連続的に熱ラミネートを行い、フレキシブル金属張積層板を作製した。このフレキシブル金属張積層板の特性を表2に示した。
比較例1〜比較例3に示すように、フィルム状接合部材のMD/TDの加熱時寸法変化率が適正でなかった場合、得られるフレキシブル金属張積層板の250℃加熱時寸法変化に劣る結果となった。これに対し、フィルム状接合部材のMD/TDの加熱時寸法変化率を適正範囲内に制御した実施例1〜3では、良好な寸法安定性が確認された。
Claims (7)
- ポリイミドフィルムの片面または両面に、熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を形成したフィルム状の接合部材であって、250℃、30分加熱した際のTD方向の寸法変化率が−0.01〜−0.10%であり、且つMD方向の寸法変化が+0.01〜+0.10%である接着性接合部材。
- 一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置により、金属箔と請求項1記載の接着性接合部材とを貼り合わせて得られることを特徴とするフレキシブル金属張積層板。
- 熱ラミネート時に保護フィルムを用い、保護フィルム張力が60kg/m以上、200kg/m以下でラミネートすることを特徴とする、請求項2記載のフレキシブル金属張積層板。
- 保護フィルムを予め熱ロールに接触させることによりラミネート時に保護フィルム表面温度をロール表面温度に対し0〜−10℃にすることを特徴とする、請求項2乃至3記載のフレキシブル金属張積層板。
- 熱ラミネート温度が300℃以上であることを特徴とする、請求項2乃至4記載のフレキシブル金属張積層板。
- 保護フィルムがポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項2乃至5記載のフレキシブル金属張積層板。
- 金属箔除去後に250℃、30分の熱処理を行う前後の寸法変化率が、MD方向、TD方向共に−0.05〜+0.05%の範囲にあることを特徴とする、請求項2乃至6記載のフレキシブル金属張積層板。
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WO2006082828A1 (ja) * | 2005-02-04 | 2006-08-10 | Kaneka Corporation | 等方性接着フィルム及びフレキシブル金属張積層体 |
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2004
- 2004-05-24 JP JP2004154019A patent/JP2005335102A/ja active Pending
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