JP2008038083A - ポリイミドフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを重縮合して得られるポリイミドフィルム特に少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてピロメリット酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン残基とを有するポリイミドフィルムであって、ポリイミドフィルムのポリマー由来の分解物量が0.01ppm以上7ppm以下であるポリイミドフィルム。
【選択図】なし
Description
特に、近年の高密度実装に伴う回路基板や半導体パッケージ用基材においては、信号伝送の高速化を図るために誘電率の低い絶縁樹脂を層間絶縁膜として使用することが主流となってきている。ポリイミドフィルムはその代表的な絶縁材料の一つである。
通常、ポリイミドフィルムは、接着剤を用いて銅箔と貼り合わせたり、蒸着法、メッキ法、スパッタ法、又はキャスト法によりフィルム層と銅箔からなる積層板(銅箔付きポリイミドフィルム)に加工されたりして、フレキシブルプリント多層回路基板の基材フィルムとして使用される。
例えば、半導体の実装においては、基材フィルムに形成されたリード部に半田バンプ等を介して、半導体チップとボンディングする際に、基材フィルムであるポリイミドフィルムが高温(220〜320℃程度)に曝されるため、ポリイミドフィルムの膨れや銅箔の剥がれが発生し、生産効率が低下するという問題があった。
さらに、半導体素子の高密度化による発熱量の増加に伴い、使用と不使用の繰り返しによる冷熱衝撃環境で、ポリイミドフィルムに膨れや剥がれが発生し、接触不良の原因になる等の問題もあった。
1.ポリイミドフィルムに含まれるポリマー由来の分解物量が0.01ppm以上7ppm以下であることを特徴とするポリイミドフィルム。
2.ポリマー由来の分解物が、分子量が90以上200以下、かつ分子骨格に1個以上の窒素原子を有する、ポリマー由来の分解物である前記1.のポリイミドフィルム。
3.ポリイミドフィルムが、少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてピロメリット酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン残基とを有するポリイミドフィルムである前記1又は前記2.のポリイミドフィルム。
4.ポリマー由来の分解物が、下記化合物のうち少なくとも1つを含むものである前記3.のポリイミドフィルム。
アニリン、ベンゾニトリル、1−メチル−2,5−ピロリジンジオン、メチルイソシアノベンゼン、1,2−ベンゾジニトリル、ジメチルベンズアミド、2−メチルイソインドール−1,3−ジオン、4−シアノフェニルグリオキザール−1−オキシム
したがって、本発明のポリイミドフィルムは、極めて高温で使用するフレキシブルプリント配線用銅張基板(FPC)やテープ・オートメーテッド・ボンディング(TAB)用キャリアテープなどの製造に用いる基材フィルムとして極めて有用である。
A.ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
B.ジアミノジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類とピロメリット酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
C.フェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とビフェニルテトラカルボン酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
D.ジアミノジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類とフェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とピロメリット酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
さらに上記のABCの一種以上の組み合わせが好ましい。
中でも特にA.のベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン残基を有するポリイミドフィルムを製造するための組み合わせが好ましい。
本発明で特に好ましく使用できるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類として、下記の化合物が例示できる。
本発明においては、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを70モル%以上使用することが好ましい。
そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種又は二種以上、併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
この場合、イミド化反応を一部進行させる条件としては、好ましくは100〜200℃による3〜20分間の熱処理であり、イミド化反応を完全に行わせるための条件は、好ましくは200〜400℃による3〜20分間の熱処理である。
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
「ポリマー由来の分解物量」の測定は、下記のようにして実施した。
キューリーポイント型熱分解装置を用いて、GCMS法より、ポリマー分解物量を求めた。あらかじめ加熱乾燥処理した日本分析工業製500℃用パイロホイルに、試料(目安4mg)を精秤し(秤量値をA(mg)とする。)、熱分解装置内保温温度を170℃にセットして、試料ホイルを導入、3分間ヘリウムパージした。その後、直ちに発振操作により500℃で10秒間加熱した。その500℃での10秒間の加熱中にフィルムから揮発するポリマー分解物を、GCMSで検出した。この全イオン(TIC)ピーク面積を求め、アニリン換算による絶対検量線法によりポリマー分解物量B(μg)を求めた。ポリイミドフィルムに対するポリマー分解物量は次式により算出した。
ポリマー分解物量(ppm)=B(μg)/A(mg)×1000
(熱分解GCMS条件)
装置 : HP5973N(HP社製GCMS)
JHS−3(日本分析工業社製熱分解装置)
カラム : HP−1(アジレントテクノロジー社製)、0.25mmφ×25m、膜厚1μm
カラム温度 : 40℃/2分保持→10℃/分で260℃まで昇温→260℃で
5分保持
流量 : He 0.7ml/min、スプリット導入
質量操作範囲 : m/z=30〜550
かかるポリマー由来の分解物は、下記化合物が代表的具体例であり、これらの少なくとも1つを含むものである。
アニリン、ベンゾニトリル、1−メチル−2,5−ピロリジンジオン、メチルイソシアノベンゼン、1,2−ベンゾジニトリル、ジメチルベンズアミド、2−メチルイソインドール−1,3−ジオン、4−シアノフェニルグリオキザール−1−オキシム。
乾燥装置は従来公知のものを適用でき、熱風、熱窒素、遠赤外線、高周波誘導加熱などを挙げることができる。
イミド化の具体的な方法としては、従来公知のイミド化反応、イミド化処理を適宜用いることが可能であるが、好ましくはグリーンフィルムの前処理温度が130℃以上150℃以下であり、3分間以上15分間以下の時間でグリーンフィルムを前処理すること、及び最高イミド化反応処理温度が480℃以上500℃未満であり、3分間以上30分間以下の時間で、高温イミド化処理することが好ましい。
ここで、プリント配線基板用ベース基板とは、絶縁板としてのポリイミドフィルムの少なくとも片面に金属層を積層してなる構成の略平板状の基板である。積層される金属層は、エッチング等の加工によって回路を形成することが意図される回路用の金属層であってもよいし、特に後加工をせずに絶縁板と一緒になって放熱等の目的に用いられる金属層であってもよい。プリント配線基板用ベース基板の用途としては、FPC、TAB用キャリアテープ等が、高温環境下における膨れや剥がれが小さいという本発明のポリイミドフィルムの特徴を活かすことができるため好ましい。ポリイミドフィルムの少なくとも片面に積層される金属は特に限定はなく、好ましくは銅、アルミニウム、ステンレス鋼などである。 積層方法は特に問わず、接着剤を用いてポリイミドフィルムに金属板を貼り付ける方法、金属板を支持体として、そこにポリアミド酸溶液を塗布して上述のようにイミド化してフィルムを形成させる方法、ポリイミドフィルムに蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの乾式製膜法(真空コーティング技術)を用いて金属層を形成する方法、無電解めっき、電気めっきなどの湿式メッキ法により金属層をポリイミドフィルムに形成する方法などが挙げられる。
これらの方法を単独で、あるいは組み合わせることによってポリイミドフィルムの少なくとも片面に金属層を積層することができる。
本発明で使用する金属層の表面には、金属単体や金属酸化物などといった無機物の塗膜を形成してもよい。また金属層の表面を、カップリング剤(アミノシラン、エポキシシランなど)による処理、サンドプラスト処理、ホ−リング処理、コロナ処理、プラズマ処理、エッチング処理などに供してもよい。同様に、ポリイミドフィルムの表面をホーニング処理、コロナ処理、プラズマ処理、エッチング処理などに供してもよい。
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
フィルムの厚さは、マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1254D)を用いて測定した。
乾燥後のフィルムを長手方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)にそれぞれ長さ100mm、幅10mmの短冊状に切り出して試験片とし、引張試験機(島津製作所製オートグラフ(商品名)機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、引張弾性率、引張破断強度及び引張破断伸度を測定した。それぞれの力学物性データ値は、MD方向とTD方向の平均値で示した。
測定対象のポリイミドフィルムについて、下記条件でMD方向及びTD方向の寸法変化率をそれぞれ測定し、30℃〜45℃、45℃〜60℃、・・・と15℃の間隔での寸法変化率/温度を測定し、この測定を300℃まで行い、全測定値の平均値をCTEとして算出した。MD方向とTD方向の意味は上記「3.」の測定と同じである。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
試料の熱的データ(融点(融解ピーク温度Tpm)とガラス転移点(Tmg))をJIS K 7121に準拠して下記測定条件で求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製DSC3100S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料質量 ; 4mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
<重合及びフィルムの製造例1>
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後,5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(p−DAMBO)300質量部を仕込んだ。次いで,N,N−ジメチルアセトアミド4400質量部を加えて完全に溶解させた後,ピロメリット酸二無水物300質量部を加え,25℃の反応温度で17時間攪拌すると,褐色で粘調なポリアミド酸溶液が得られた。このもののηsp/Cは4.1dl/gであった。
続いてこのポリアミド酸溶液をステンレスベルトに、スキージ/ベルト間のギャップを950μmとしてコーティングし、110℃にて15分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離し厚さ78μmのグリーンフィルムを得た。このときのグリーンフィルムの残溶媒量は39%であった。得られたグリーンフィルムを、連続式の乾燥炉に通し、150℃にて3分間熱処理し、続いて200℃にて2分間熱処理した後、499℃にて5分間熱処理し、熱処理炉から出たフィルムは巻き取られる前に7分間大気中にてロール搬送され、また巻き取りの4分30秒前には、フィルム幅方向はフィルム幅+40mm、フィルム進行方向には50mmの区間にて30kHz〜150kHzの広帯域超音波を照射し、同エリアの境界において流速30m/分となるように気流制御してフィルム表面近傍の大気を更新して実施例1のポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの特性値を評価した。結果を表1に示す。
上記と同じポリアミド酸溶液を用いて、表1記載の製膜条件で実施例2と3のポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの特性値を評価した。結果を表1に示す。
<重合及びフィルムの製造例2>
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(p−DAMBO)240質量部と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル60質量部を仕込んだ。次いで、N,N−ジメチルアセトアミド4400質量部を加えて完全に溶解させた後,ピロメリット酸二無水物300質量部を加え,25℃の反応温度で24時間攪拌すると,淡黄色で粘調なポリアミド酸溶液が得られた。このもののηsp/Cは4.0dl/gであった。
このポリアミド酸溶液を用いて、表1記載の製膜条件で実施例1と同様にして、実施例4のベンゾオキサゾール構造とジフェニルエーテル構造を含むポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの特性値を評価した。結果を表1に示す。
熱処理の温度プロファイルを、表2の通りに変更し、熱処理後5分間かけて室温まで冷却したこと以外は実施例1と同様にして、ポリイミドフィルムを得、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1〜3で使用したポリアミド酸溶液を使用して、実施例1〜3と同様にして厚さと製膜条件を変えて実施例5〜7、比較例3のポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの特性値を評価した。この特性値評価結果と製膜条件とを表3に示す。
Claims (4)
- ポリイミドフィルムに含まれるポリマー由来の分解物量が0.01ppm以上7ppm以下であることを特徴とするポリイミドフィルム。
- ポリマー由来の分解物が、分子量が90以上200以下、かつ分子骨格に1個以上の窒素原子を有する、ポリマー由来の分解物である請求項1記載のポリイミドフィルム。
- ポリイミドフィルムが、少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてピロメリット酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン残基とを有するポリイミドフィルムである請求項1又は2記載のポリイミドフィルム。
- ポリマー由来の分解物が、下記化合物のうち少なくとも1つを含むものである請求項3記載のポリイミドフィルム。
アニリン、ベンゾニトリル、1−メチル−2,5−ピロリジンジオン、メチルイソシアノベンゼン、1,2−ベンゾジニトリル、ジメチルベンズアミド、2−メチルイソインドール−1,3−ジオン、4−シアノフェニルグリオキザール−1−オキシム
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