JP2008038083A - ポリイミドフィルム - Google Patents

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量之 應矢
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祐輔 清水
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Abstract

【課題】 極めて高温での使用にも耐える電子部品の基材として好適な、高い剛性を持ち極めて高い耐熱性を有し、特に高温湿熱環境下に晒された後の力学特性の保持に優れたポリイミドフィルムを提供する。
【解決手段】 芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを重縮合して得られるポリイミドフィルム特に少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてピロメリット酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン残基とを有するポリイミドフィルムであって、ポリイミドフィルムのポリマー由来の分解物量が0.01ppm以上7ppm以下であるポリイミドフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、極めて高温での使用にも耐える電子部品の基材として好適な、高い剛性を持ち極めて高い耐熱性を有し、特に高温湿熱環境下に晒された後の力学特性の保持に優れたポリイミドフィルムに関する。
ポリイミドフィルムは、その卓越した耐熱性や電気特性・機械的物性・寸法安定性などを有しているために、フレキシブルプリント配線板(FPC)、テープ・オートメーテッド・ボンディング(TAB)用キャリアテープ、半導体実装のための基材をはじめとする各種電子材料や産業機器、航空機などの高性能部品等の広範な分野で用いられている。
特に、近年の高密度実装に伴う回路基板や半導体パッケージ用基材においては、信号伝送の高速化を図るために誘電率の低い絶縁樹脂を層間絶縁膜として使用することが主流となってきている。ポリイミドフィルムはその代表的な絶縁材料の一つである。
通常、ポリイミドフィルムは、接着剤を用いて銅箔と貼り合わせたり、蒸着法、メッキ法、スパッタ法、又はキャスト法によりフィルム層と銅箔からなる積層板(銅箔付きポリイミドフィルム)に加工されたりして、フレキシブルプリント多層回路基板の基材フィルムとして使用される。
近年は、かかる多層基板の半導体パッケージ用基材用途への要求特性が高くなってきており、従来のリードフレームを用いたICパッケージと同様の信頼性が求められるようになってきている。半導体パッケージの信頼性試験では高温高湿試験や冷熱衝撃試験など過酷な環境下での安定性が要求され、従来のポリイミドフィルムの使用ではこれらの要求を満たせないことが問題になってきている。
例えば、半導体の実装においては、基材フィルムに形成されたリード部に半田バンプ等を介して、半導体チップとボンディングする際に、基材フィルムであるポリイミドフィルムが高温(220〜320℃程度)に曝されるため、ポリイミドフィルムの膨れや銅箔の剥がれが発生し、生産効率が低下するという問題があった。
さらに、半導体素子の高密度化による発熱量の増加に伴い、使用と不使用の繰り返しによる冷熱衝撃環境で、ポリイミドフィルムに膨れや剥がれが発生し、接触不良の原因になる等の問題もあった。
かかる問題に対処するために、ベンゾオキサゾール環を主鎖に有したポリイミドからなる耐熱性と剛性が高く温度による寸法変化の少ない所謂ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムが提案されている(特許文献1〜3参照)。しかし、極めて高温下で使用する用途(例えば、無機薄膜形成用基材等)においては信頼性に関して要求を満たすレベルには到達せずその改善が強く嘱望されていた。
特開平6−56992号公報 特表平11−504369号公報 特表平11−505184号公報
本発明は、極めて高温での使用にも耐える電子部品の基材として好適であり、高い剛性を持ち、かつ高温湿熱環境下に晒された後の力学特性の保持に優れたポリイミドフィルムを提供することを課題とする。
かかる状況に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、高温や高温湿熱によってポリイミドフィルムに発生する膨れや剥がれが、ポリイミドフィルムにわずかに残存する溶媒に起因することに着目し、残存溶媒を極めて少ない量の範囲にすることによって、従来に無い高温や高温湿熱による溶媒発生量の少ないポリイミドフィルムが得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、下記の構成によるものである。
1.ポリイミドフィルムに含まれるポリマー由来の分解物量が0.01ppm以上7ppm以下であることを特徴とするポリイミドフィルム。
2.ポリマー由来の分解物が、分子量が90以上200以下、かつ分子骨格に1個以上の窒素原子を有する、ポリマー由来の分解物である前記1.のポリイミドフィルム。
3.ポリイミドフィルムが、少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてピロメリット酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン残基とを有するポリイミドフィルムである前記1又は前記2.のポリイミドフィルム。
4.ポリマー由来の分解物が、下記化合物のうち少なくとも1つを含むものである前記3.のポリイミドフィルム。
アニリン、ベンゾニトリル、1−メチル−2,5−ピロリジンジオン、メチルイソシアノベンゼン、1,2−ベンゾジニトリル、ジメチルベンズアミド、2−メチルイソインドール−1,3−ジオン、4−シアノフェニルグリオキザール−1−オキシム
本発明によれば、ポリイミドフィルムのポリマー由来の分解物量を極めて少ない量にすることによって、高温や高温湿熱での揮発分解物量が極めて少ないポリイミドフィルム特にベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン残基を有するポリイミドフィルムが得られるので、基材フィルムとして各種電子部品積層体に用い、高温や高温湿熱で使用しても膨れや剥がれの発生を防止できる。
したがって、本発明のポリイミドフィルムは、極めて高温で使用するフレキシブルプリント配線用銅張基板(FPC)やテープ・オートメーテッド・ボンディング(TAB)用キャリアテープなどの製造に用いる基材フィルムとして極めて有用である。
本発明におけるポリイミドフィルムは、例えば芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類を重縮合して得られるポリイミドフィルムであって、該ポリイミドフィルムのポリマー由来の分解物量が0.01ppm以上7ppm以下であるものであれば、特に限定されるものではないが、好ましくは下記の芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸(無水物)類との組み合わせが好ましい例として挙げられる。
A.ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
B.ジアミノジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類とピロメリット酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
C.フェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とビフェニルテトラカルボン酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
D.ジアミノジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類とフェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とピロメリット酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
さらに上記のABCの一種以上の組み合わせが好ましい。
中でも特にA.のベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン残基を有するポリイミドフィルムを製造するための組み合わせが好ましい。
本発明で特に好ましく使用できるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類として、下記の化合物が例示できる。
Figure 2008038083
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これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを70モル%以上使用することが好ましい。
本発明は、前記事項に限定されず下記の芳香族ジアミンを使用してもよいが、好ましくは全芳香族ジアミンの30モル%未満であれば下記に例示されるベンゾオキサゾール構造を有しないジアミン類を一種又は二種以上、併用してのポリイミドフィルムである。
そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、
3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、
2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、
3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリル及び上記芳香族ジアミンにおける芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシル基、シアノ基、又はアルキル基又はアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
本発明で用いられる芳香族テトラカルボン酸類は例えば芳香族テトラカルボン酸無水物類である。芳香族テトラカルボン酸無水物類としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
Figure 2008038083
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Figure 2008038083
Figure 2008038083
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これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種又は二種以上、併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸(無水物)類とを反応(重合)させてポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマー及び生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。 これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの質量が、通常5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%となるような量が挙げられる。
ポリアミド酸を得るための重合反応の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌及び/又は混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の質量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0dl/g以上が好ましく、4.0dl/g以上がさらに好ましい。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
高温処理によるイミド化方法としては、従来公知のイミド化反応を適宜用いることが可能である。例えば、閉環触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、加熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)やポリアミド酸溶液に閉環触媒及び脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒及び脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることができる。
化学閉環法では、ポリアミド酸溶液を、イミド化反応を一部進行させて自己支持性を有する前駆体複合体を形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。
この場合、イミド化反応を一部進行させる条件としては、好ましくは100〜200℃による3〜20分間の熱処理であり、イミド化反応を完全に行わせるための条件は、好ましくは200〜400℃による3〜20分間の熱処理である。
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
本発明における、ポリイミドフィルムのポリマー由来の分解物量は、0.01ppm以上7ppm以下であることが必須要件であり、少なければ少ないほど好ましいが、製造の容易性、コスト等を考慮すれば、実質的に不具合が生じない程度にすればよく、その下限としては、具体的には0.01ppmである。
「ポリマー由来の分解物量」の測定は、下記のようにして実施した。
キューリーポイント型熱分解装置を用いて、GCMS法より、ポリマー分解物量を求めた。あらかじめ加熱乾燥処理した日本分析工業製500℃用パイロホイルに、試料(目安4mg)を精秤し(秤量値をA(mg)とする。)、熱分解装置内保温温度を170℃にセットして、試料ホイルを導入、3分間ヘリウムパージした。その後、直ちに発振操作により500℃で10秒間加熱した。その500℃での10秒間の加熱中にフィルムから揮発するポリマー分解物を、GCMSで検出した。この全イオン(TIC)ピーク面積を求め、アニリン換算による絶対検量線法によりポリマー分解物量B(μg)を求めた。ポリイミドフィルムに対するポリマー分解物量は次式により算出した。
ポリマー分解物量(ppm)=B(μg)/A(mg)×1000
(熱分解GCMS条件)
装置 : HP5973N(HP社製GCMS)
JHS−3(日本分析工業社製熱分解装置)
カラム : HP−1(アジレントテクノロジー社製)、0.25mmφ×25m、膜厚1μm
カラム温度 : 40℃/2分保持→10℃/分で260℃まで昇温→260℃で
5分保持
流量 : He 0.7ml/min、スプリット導入
質量操作範囲 : m/z=30〜550
本発明におけるポリマー由来の分解物は、上記測定条件に即して、主としてかかる雰囲気下でポリイミドフィルムから分解・揮発するものと考えられ、分子量が90以上200以下、かつ分子骨格に1個以上の窒素原子を有する、ポリマー由来の分解物である。
かかるポリマー由来の分解物は、下記化合物が代表的具体例であり、これらの少なくとも1つを含むものである。
アニリン、ベンゾニトリル、1−メチル−2,5−ピロリジンジオン、メチルイソシアノベンゼン、1,2−ベンゾジニトリル、ジメチルベンズアミド、2−メチルイソインドール−1,3−ジオン、4−シアノフェニルグリオキザール−1−オキシム。
ポリイミドフィルムに対するポリマー由来の分解物量が所定の範囲であるポリイミドフィルムを得るための方法は特に限定されないが、ポリイミドフィルムの前駆体フィルムであるグリーンフィルムの乾燥条件と高温イミド化の条件を選定して実施することが好ましい方法であり、グリーンフィルムを得るための乾燥条件としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミドを溶媒として用いる場合は、乾燥温度は、好ましくは70〜130℃、より好ましくは80〜125℃であり、さらに好ましくは85〜120℃である。この乾燥温度が130℃より高い場合は、分子量低下がおこり、グリーンフィルムが脆くなりやすい。また、グリーンフィルム製造時にイミド化が一部進行し、イミド化工程時に所望の物性が得られにくくなる。また70℃より低い場合は、乾燥時間が長くなり、分子量低下がおこりやすく、また乾燥不十分でハンドリング性が悪くなる傾向がある。また、乾燥時間としては乾燥温度にもよるが、好ましくは5〜90分間であり、より好ましくは15〜80分間である。乾燥時間が90分間より長い場合は、分子量低下がおこり、フィルムが脆くなりやすく、また5分間より短い場合は、乾燥不十分でハンドリング性が悪くなる傾向がある。
乾燥装置は従来公知のものを適用でき、熱風、熱窒素、遠赤外線、高周波誘導加熱などを挙げることができる。
得られたグリーンフィルムを所定の条件でイミド化することでポリマー由来の分解物量が0.01ppm以上7ppm以下であるポリイミドフィルムを得ることができる。
イミド化の具体的な方法としては、従来公知のイミド化反応、イミド化処理を適宜用いることが可能であるが、好ましくはグリーンフィルムの前処理温度が130℃以上150℃以下であり、3分間以上15分間以下の時間でグリーンフィルムを前処理すること、及び最高イミド化反応処理温度が480℃以上500℃未満であり、3分間以上30分間以下の時間で、高温イミド化処理することが好ましい。
本発明においてフィルムに含まれるポリマー分解物の量を所定の範囲内にするには、さらにポリイミドフィルムの熱処理後に、熱処理炉から出てきたフィルムを直ちに巻き取らず、フィルム両面をフリーの状態にして5分以上、好ましくは7分以上、さらに好ましくは10分以上、なお好ましくは16分以上、大気中ないし不活性気体中に保持した後に巻き取ることが好ましい。両面フリーの状態とは大気ないし不活性気体にフィルムが直接触れている状態を意味する。もちろん、その間には、複数のロール等を用いてフィルムを搬送することができる。フィルムに含まれる低分子量物質が拡散によりフィルム外に排出されるに十分な時間を確保する意味合いである保持時間が短いとポリマー由来の分解物、溶媒、反応副生成物などの低分子量物質の残存量が多くなる場合がある。また時間が長すぎる場合には、フィルムハンドリンが困難となり生産性が低下する場合がある
また、本発明においては、ポリイミドフィルムの表面に、大気中ないし不活性気体中において超音波、好ましくは30kHz〜250kHzの広帯域超音波をかけ、さらにフィルムないし接着シート表面近傍の大気ないし不活性気体を流速3m/秒以上、好ましくは9m/秒以上、なお好ましくは15m/秒以上の流速において更新させることが好ましい。かかる処理はポリイミドフィルムが熱処理炉から出た直後から、5分以内、好ましくは7分以内、なお好ましくは15分以内に行うことが好ましい。かかる処理は熱処理炉内においてフィルム近傍に存在した、ポリマー由来分解物を含む低分子物質が冷却凝縮によりフィルム表面に付着することを防止する物である。
ポリイミドフィルムの厚さは特に限定されないが、プリント配線基板用ベース基板などに用いることを考慮すると、通常5〜250μm、好ましくは8〜50μmである。この厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。
次に、上述したポリイミドフィルムを用いたプリント配線基板用ベース基板を説明する。
ここで、プリント配線基板用ベース基板とは、絶縁板としてのポリイミドフィルムの少なくとも片面に金属層を積層してなる構成の略平板状の基板である。積層される金属層は、エッチング等の加工によって回路を形成することが意図される回路用の金属層であってもよいし、特に後加工をせずに絶縁板と一緒になって放熱等の目的に用いられる金属層であってもよい。プリント配線基板用ベース基板の用途としては、FPC、TAB用キャリアテープ等が、高温環境下における膨れや剥がれが小さいという本発明のポリイミドフィルムの特徴を活かすことができるため好ましい。ポリイミドフィルムの少なくとも片面に積層される金属は特に限定はなく、好ましくは銅、アルミニウム、ステンレス鋼などである。 積層方法は特に問わず、接着剤を用いてポリイミドフィルムに金属板を貼り付ける方法、金属板を支持体として、そこにポリアミド酸溶液を塗布して上述のようにイミド化してフィルムを形成させる方法、ポリイミドフィルムに蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの乾式製膜法(真空コーティング技術)を用いて金属層を形成する方法、無電解めっき、電気めっきなどの湿式メッキ法により金属層をポリイミドフィルムに形成する方法などが挙げられる。
これらの方法を単独で、あるいは組み合わせることによってポリイミドフィルムの少なくとも片面に金属層を積層することができる。
本発明で使用する金属層の表面には、金属単体や金属酸化物などといった無機物の塗膜を形成してもよい。また金属層の表面を、カップリング剤(アミノシラン、エポキシシランなど)による処理、サンドプラスト処理、ホ−リング処理、コロナ処理、プラズマ処理、エッチング処理などに供してもよい。同様に、ポリイミドフィルムの表面をホーニング処理、コロナ処理、プラズマ処理、エッチング処理などに供してもよい。
以下、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は前記したもの以外は、以下の通りである。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
2.ポリイミドフィルムのフィルム厚さ
フィルムの厚さは、マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1254D)を用いて測定した。
3.ポリイミドフィルムの引張弾性率、引張破断強度及び引張破断伸度
乾燥後のフィルムを長手方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)にそれぞれ長さ100mm、幅10mmの短冊状に切り出して試験片とし、引張試験機(島津製作所製オートグラフ(商品名)機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、引張弾性率、引張破断強度及び引張破断伸度を測定した。それぞれの力学物性データ値は、MD方向とTD方向の平均値で示した。
4.ポリイミドフィルムの線膨張係数(CTE)
測定対象のポリイミドフィルムについて、下記条件でMD方向及びTD方向の寸法変化率をそれぞれ測定し、30℃〜45℃、45℃〜60℃、・・・と15℃の間隔での寸法変化率/温度を測定し、この測定を300℃まで行い、全測定値の平均値をCTEとして算出した。MD方向とTD方向の意味は上記「3.」の測定と同じである。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
5.ポリイミドフィルムの融点、ガラス転移温度
試料の熱的データ(融点(融解ピーク温度Tpm)とガラス転移点(Tmg))をJIS K 7121に準拠して下記測定条件で求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製DSC3100S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料質量 ; 4mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
(実施例1〜3)
<重合及びフィルムの製造例1>
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後,5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(p−DAMBO)300質量部を仕込んだ。次いで,N,N−ジメチルアセトアミド4400質量部を加えて完全に溶解させた後,ピロメリット酸二無水物300質量部を加え,25℃の反応温度で17時間攪拌すると,褐色で粘調なポリアミド酸溶液が得られた。このもののηsp/Cは4.1dl/gであった。
続いてこのポリアミド酸溶液をステンレスベルトに、スキージ/ベルト間のギャップを950μmとしてコーティングし、110℃にて15分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離し厚さ78μmのグリーンフィルムを得た。このときのグリーンフィルムの残溶媒量は39%であった。得られたグリーンフィルムを、連続式の乾燥炉に通し、150℃にて3分間熱処理し、続いて200℃にて2分間熱処理した後、499℃にて5分間熱処理し、熱処理炉から出たフィルムは巻き取られる前に7分間大気中にてロール搬送され、また巻き取りの4分30秒前には、フィルム幅方向はフィルム幅+40mm、フィルム進行方向には50mmの区間にて30kHz〜150kHzの広帯域超音波を照射し、同エリアの境界において流速30m/分となるように気流制御してフィルム表面近傍の大気を更新して実施例1のポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの特性値を評価した。結果を表1に示す。
上記と同じポリアミド酸溶液を用いて、表1記載の製膜条件で実施例2と3のポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの特性値を評価した。結果を表1に示す。
(実施例4)
<重合及びフィルムの製造例2>
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(p−DAMBO)240質量部と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル60質量部を仕込んだ。次いで、N,N−ジメチルアセトアミド4400質量部を加えて完全に溶解させた後,ピロメリット酸二無水物300質量部を加え,25℃の反応温度で24時間攪拌すると,淡黄色で粘調なポリアミド酸溶液が得られた。このもののηsp/Cは4.0dl/gであった。
このポリアミド酸溶液を用いて、表1記載の製膜条件で実施例1と同様にして、実施例4のベンゾオキサゾール構造とジフェニルエーテル構造を含むポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの特性値を評価した。結果を表1に示す。
(比較例1、2)
熱処理の温度プロファイルを、表2の通りに変更し、熱処理後5分間かけて室温まで冷却したこと以外は実施例1と同様にして、ポリイミドフィルムを得、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
なお表1、2における、引張弾性率、引張破断強度、引張破断伸度及び線膨張係数の値はMD方向、TD方向での測定値の平均値を示している。また、PCT後は、A4サイズに切り出したフィルムを、平山製作所製の超加速寿命試験装置PC−242IIIに投入し、プレッシャークッカーテスト(PCT)処理(条件121℃・2atm・96時間)を行った、処理後のフィルム物性を示し、常態はこの処理を行う前の未処理フィルム物性を示す。
Figure 2008038083
Figure 2008038083
(実施例5〜7、比較例3)
実施例1〜3で使用したポリアミド酸溶液を使用して、実施例1〜3と同様にして厚さと製膜条件を変えて実施例5〜7、比較例3のポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの特性値を評価した。この特性値評価結果と製膜条件とを表3に示す。
Figure 2008038083
本発明のポリイミドフィルムは、ポリマー由来の分解物量が極めて少ないので、高い耐熱性を有し、特に高温湿熱環境下に晒された後の力学特性の保持に優れたものであり、基材フィルムとして各種電子部品積層体に用いて高温で使用した場合に、高い耐熱性、特に高温湿熱環境下に晒された後の力学特性の保持に優れた挙動を示し、膨れや剥がれなどの発生を防止できる。したがって本発明のポリイミドフィルムは、極めて高温で使用するフレキシブルプリント配線用銅張基板(FPC)やテープ・オートメーテッド・ボンディング(TAB)用キャリアテープなどの製造に用いる基材フィルムとして有用である。

Claims (4)

  1. ポリイミドフィルムに含まれるポリマー由来の分解物量が0.01ppm以上7ppm以下であることを特徴とするポリイミドフィルム。
  2. ポリマー由来の分解物が、分子量が90以上200以下、かつ分子骨格に1個以上の窒素原子を有する、ポリマー由来の分解物である請求項1記載のポリイミドフィルム。
  3. ポリイミドフィルムが、少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてピロメリット酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン残基とを有するポリイミドフィルムである請求項1又は2記載のポリイミドフィルム。
  4. ポリマー由来の分解物が、下記化合物のうち少なくとも1つを含むものである請求項3記載のポリイミドフィルム。
    アニリン、ベンゾニトリル、1−メチル−2,5−ピロリジンジオン、メチルイソシアノベンゼン、1,2−ベンゾジニトリル、ジメチルベンズアミド、2−メチルイソインドール−1,3−ジオン、4−シアノフェニルグリオキザール−1−オキシム
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