JP7101352B2 - ポリイミド、ポリイミドフィルム、ポリイミド金属積層体及び、ポリアミド酸 - Google Patents

ポリイミド、ポリイミドフィルム、ポリイミド金属積層体及び、ポリアミド酸 Download PDF

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Description

本発明は、ポリイミド、ポリイミドフィルム、ポリイミド金属積層体及び、そのポリイミド前駆体であるポリアミド酸に関する。
ポリイミドフィルムは、耐熱性、耐薬品性、機械的強度、電気特性、寸法安定性などに優れていることから、電気・電子デバイス分野、半導体分野などの産業分野で広く使用されている。例えば、フレキシブルプリント配線板(FPC)としては、ポリイミドフィルムの片面又は両面に銅箔を積層してなる銅張り積層基板が使用されている。
例えば、特許文献1には、耐熱性、寸法安定性、高弾性率、高強度を有するポリイミドとして、1,3,5-トリアジンの6位にエチニルアニリノ基を有するジアミンとペルフルオロノネニル基含有ジアミン(FNDA)とを用いて合成した含フッ素芳香族ポリイミドが記載されている。
特開2011-102259号公報
フレキシブルプリント配線板(FPC)に用いられるポリイミドフィルムには銅箔等の金属層に対する優れた接着性を有することが求められている。また、ポリイミドフィルムは、溶媒を含む自己支持性フィルムの状態でその周囲をピンテンター等の支持体で支持しながら加熱して製造する場合にフィルムが自重でたるむことがある。フィルムがたるんだ場合、製品として使用できないため、たるみをいかに低減するかが課題となっている。更に、ポリイミドフィルムは、ポリイミドが結晶化することでフィルムが曇った状態となること、すなわちヘイズを低減することも課題となっている。
しかしながら、従来のポリイミドフィルムは、金属層への接着性や、たるみ、ヘイズを低減する点について、改善の余地があった。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、1,3,5-トリアジンの6位にエチニルアニリノ基を有するジアミン及び特定のジアミンを含むジアミン成分と、テトラカルボン酸成分とからなるポリイミドは、驚くべきことに、前記の課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明はテトラカルボン酸成分と、ジアミン成分とから得られるポリイミドであって、
前記ジアミン成分として、下記一般式(1)で表されるジアミンと、一般式(1)以外の構造を有し且つベンゼン核を1~4個有するフッ素非含有の芳香族ジアミンとを少なくとも用いた、ポリイミドを提供するものである。
Figure 0007101352000001
(式中のR、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。)
また本発明は、前記ポリイミドを含むポリイミドフィルム、前記ポリイミドフィルムを用いたポリイミド金属積層体、前記ポリイミドの原料であるポリアミド酸、該ポリアミド酸を用いてポリイミドフィルムを製造する方法をそれぞれ提供するものである。
本発明のポリイミドは、一般式(1)で表されたトリアジン系ジアミンを用いることによる耐熱性、寸法安定性、高弾性率、高強度に加えて、金属層への接着性の向上、たるみの低減、及び/又はヘイズの低減が実現されたものである。また、本発明は当該効果を奏するポリイミドを用いたポリイミドフィルム、ポリイミド金属積層体及び、そのポリイミド前駆体であるポリアミド酸、該ポリアミド酸を用いてポリイミドフィルムを製造する方法を提供することができる。
本発明のポリイミドはテトラカルボン酸成分と、ジアミン成分とから得られるポリイミドであって、前記ジアミン成分として、下記一般式(1)で表されるジアミンと、一般式(1)以外の構造を有しベンゼン核を1~4個有するフッ素非含有の芳香族ジアミンとを含むものを用いることを特徴の一つとする。これにより、本発明のポリイミドは、一般式(1)で表されるジアミンを用いたことに起因する耐熱性、寸法安定性、高弾性率、高強度を有しながら、金属層への接着性の向上、たるみの低減、及び/又はヘイズの低減が実現されたものとなる。テトラカルボン酸成分とは、ポリイミドを構成する四価の基の元となる成分のことである。テトラカルボン酸成分は、4個のカルボキシル基又はそれらに由来する基(2個のカルボキシル基の脱水縮合基あるいは低級アルコ-ルのエステル化物)を有する。一方、ジアミン成分とは、本発明のポリイミドを構成する二価の基の元となる成分のことである。ジアミン成分は2個のアミノ基を有する。
一般式(1)において1,3,5-トリアジンの2,4位置にそれぞれ―NR―基及び―NR―基を介して結合したベンゼン環において、NH基は、―NR―基及び―NR―基に対してオルト、メタ、パラのいずれの位置に結合していても良い。また、1,3,5-トリアジンの6位置に―NR―基を介して結合したベンゼン環において、エチニル基(―C≡C―R)は、―NR―に対してオルト、メタ、パラのいずれの位置に結合していても良い。R~Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。アルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t-ブチル、イソブチルが挙げられる。一般式(1)中の3つのベンゼン環における水素原子は、更に置換されていても、非置換であってもよく、置換されている場合の置換基としては、炭素原子数1~10(好ましくは1~4)のアルキル基、炭素原子数1~10(好ましくは1~4)のアルコキシ基、炭素原子数1~12(好ましくは1~6)の芳香族基、カルボキシル基、フッ素原子以外のハロゲン原子、などが挙げられる。
一般式(1)で表されるジアミンの好ましいものとしては、R~Rの少なくとも1つ、好ましくはR~Rの全てが水素原子であるもの;Rが水素原子であるもの;1,3,5-トリアジンの2,4位置にそれぞれ―NR―基及び―NR―基を介して結合したベンゼン環においてNH基が―NR―基及び―NR―基に対してパラ位に結合しているもの;1,3,5-トリアジンの6位置に―NR―基を介して結合したベンゼン環において、エチニル基が、―NR―に対してパラ位に結合しているものが挙げられる。特に好ましいジアミンとしては、以下の一般式(3)で表される化合物、つまり2,4-ビス(p-アミノアニリノ)-6-(p-エチニルアニリノ)-1,3,5-トリアジン(EDA)である。
Figure 0007101352000002
本発明のポリイミドにおいて、ジアミン成分中の一般式(1)で表されるジアミンの割合は、2モル%以上、より好ましくは4モル%以上であることが、たるみやヘイズの低減効果を一層得やすいために好ましい。また、本発明のポリイミドにおいて、ジアミン成分中の一般式(1)で表されるジアミンの割合は、80モル%以下、より好ましくは60モル%以下であることが、接着性の向上の点から好ましい。
上述したように、本発明では、ジアミン成分として一般式(1)以外の構造を有するベンゼン核を1~4個を有するフッ素非含有の芳香族ジアミンを用いる。この芳香族ジアミンはハロゲン原子非含有のジアミンであることが金属層との接着性の点から更に好ましい。
一般式(1)以外の構造を有するフッ素非含有の芳香族ジアミンのうち、ベンゼン核を1個有するジアミンの例としては、p-フェニレンジアミン(1,4-ジアミノベンゼン;PPD)、1,3-ジアミノベンゼン、2,4-ジアミノトルエン、2,5-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノトルエンなどが挙げられる。
また前記芳香族ジアミンのうち、ベンゼン核を2個有するジアミンの例としては、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテルなどのジアミノジフェニルエーテル類、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジカルボキシ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、4,4’-ジアミノベンズアニリド、3,3’-ジクロロベンジジン、3,3’-ジメチルベンジジン、2,2’-ジメチルベンジジン、3,3’-ジメトキシベンジジン、2,2’-ジメトキシベンジジン、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)プロパン,3,3’-ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’-ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホキシドなどが挙げられる。
前記芳香族ジアミンのうち、ベンゼン核を3個有するジアミンの例としては、1,3-ビス(3-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェニル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’-ジアミノ-4-(4-フェニル)フェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジ(4-フェニルフェノキシ)ベンゾフェノン、1,3-ビス(3-アミノフェニルチオ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニルチオ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニルチオ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス〔2-(4-アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4-ビス〔2-(3-アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4-ビス〔2-(4-アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼンなどが挙げられる。
前記芳香族ジアミンのうち、ベンゼン核を4個有するジアミンの例としては、3,3’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2-ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパンなどが挙げられる。
更に、下記一般式(2)で表されるトリアジン系ジアミンも、前記芳香族ジアミンのうちベンゼン環2~4個を有するものとして挙げられる。
Figure 0007101352000003
(式中、Rは水素原子、炭素数1~12のアルキル基又は炭素数1~12の芳香族基を示し、Rは炭素数1~12のアルキル基又は炭素数1~12の芳香族基を示す。R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。)
上記一般式(2)におけるR及びRで表される炭素数1~12のアルキル基としては、上記R~Rで表される炭素数1~4のアルキル基として例示したものに加えて、アミル、iso-アミル、tert-アミル、へキシル、2-へキシル、3-へキシル、シクロへキシル、1-メチルシクロへキシル、へプチル、2-へプチル、3-へプチル、iso-へプチル、tert-へプチル、オクチル、iso-オクチル、tert-オクチル等が挙げられる。R及びRで表される炭素数1~4のアルキル基としては、R~Rで表される炭素数1~4のアルキル基と同様のものが挙げられる。
上記一般式(2)におけるR及びRで表される炭素数1~12の芳香族基としては、アリール基及びアリールアルキル基が挙げられ、具体的には、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ビフェニル基等が挙げられる。また、酸素原子、窒素原子または硫黄原子を含有する複素芳香族基でもよい。
一般式(2)中の水素原子(特に2つのベンゼン環、及びR及びRで表される芳香族基における水素原子)は、更に置換されていても、非置換であってもよく、置換されている場合の置換基としては、炭素原子数1~10(好ましくは1~4)のアルキル基、炭素原子数1~10(好ましくは1~4)のアルコキシ基、炭素原子数1~12(好ましくは1~6)の芳香族基、カルボキシル基、フッ素原子以外のハロゲン原子、などが挙げられる。
一般式(2)で表される具体的な化合物としては、2,4-ビス(4-アミノアニリノ)-6-アニリノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(3-アミノアニリノ)-6-アニリノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(4-アミノアニリノ)-6-ベンジルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(3-アミノアニリノ)-6-ベンジルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(4-アミノアニリノ)-6-ナフチルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(4-アミノアニリノ)-6-ビフェニルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(4-アミノアニリノ)-6-ジフェニルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(3-アミノアニリノ)-6-ジフェニルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(4-アミノアニリノ)-6-ジベンジルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(4-アミノアニリノ)-6-N-メチルアニリノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(4-アミノアニリノ)-6-N-メチルナフチルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(4-アミノアニリノ)-6-メチルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(3-アミノアニリノ)-6-メチルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(4-アミノアニリノ)-6-エチルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(3-アミノアニリノ)-6-エチルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(4-アミノアニリノ)-6-ジメチルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(3-アミノアニリノ)-6-ジメチルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(4-アミノアニリノ)-6-ジエチルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(4-アミノアニリノ)-6-ジプロピルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(4-アミノアニリノ)-6-ジブチルアミノ-1,3,5-トリアジンなどが挙げられる。
一般式(2)で表されるジアミンの好ましいものとしては、R及びRの少なくとも1つ、好ましくはR及びRの両方が水素原子であるもの;Rが水素原子であるもの;Rが芳香族基、特にアリール基であるもの;NH基が、1,3,5-トリアジンの2,4位置にそれぞれ―NR―基及び―NR―基を介して結合したベンゼン環において、―NR―基及び―NR―基に対してパラ位に結合しているものが挙げられる。
前記芳香族ジアミンとしては、入手容易性や一般式(1)で表された化合物に起因する耐熱性、寸法安定性、高弾性率、高強度を損ねずに金属層への接着性の向上、又は/及び、たるみ及びヘイズの低減を図ることができる点から、p-フェニレンジアミン、下記一般式(a)で表されるベンゼン核が2つである芳香族ジアミン及び一般式(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、p-フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル類及び一般式(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることが特に好ましい。特に、ジアミノジフェニルエーテル類を用いることは、金属層への接着性やたるみやヘイズの向上効果を高める点から好ましく、一般式(2)で表される化合物を用いることは、金属層への接着性を高める点から好ましい。これらの点から、前記芳香族ジアミンとしては、特に、ジアミノジフェニルエーテル類及び一般式(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)及び一般式(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることが特に好ましい。
Figure 0007101352000004
(式中、Xは、酸素原子、硫黄原子、-COO-、-OCO-、-SO-、-CONH-、-NHCO-又は直接結合であり、式中のベンゼン核は、炭素原子数1~10(好ましくは1~4)のアルキル基、炭素原子数1~10(好ましくは1~4)のアルコキシ基、炭素原子数1~12(好ましくは1~6)の芳香族基、カルボキシル基、フッ素原子以外のハロゲン原子、などに置換されていてもよい。)
前記一般式(1)以外の構造のベンゼン核を1~4個含有するフッ素非含有の芳香族ジアミンの含有量は、ジアミン成分中、98モル%以下、より好ましくは96モル%以下であることが、一般式(1)で表されるジアミンの量を確保してたるみ、ヘイズを低減する点から好ましい。また、該芳香族ジアミンの含有量は、ジアミン成分中、20モル%以上、より好ましくは40モル%以上であることが、接着性能向上の点から好ましい。
ジアミン成分が一般式(2)で表される芳香族ジアミンを含有する場合、ジアミン成分中、一般式(2)で表される芳香族ジアミンの割合は、16モル%以上、より好ましくは18モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上であることが、得られるポリイミドの金属層への接着強度を高める点から好ましい。
また、接着性向上の観点から、ジアミン成分中、一般式(1)で表される芳香族ジアミン及び一般式(2)で表される芳香族ジアミンの合計の割合は20モル%以上、22モル%以上及び24モル%以上のいずれかであることが好ましい。
一般式(1)以外の構造を有する芳香族ジアミンとして一般式(2)で表される化合物を用いる場合、ジアミン成分が更に一般式(1)及び(2)以外の構造の非フッ素含有芳香族ジアミンを含むものであると、金属層への接着性効果、たるみやヘイズの向上効果を得やすくなるために好ましい。好ましい一般式(1)及び(2)以外の構造の芳香族ジアミンとしては、p-フェニレンジアミン、及び上記一般式(a)で表されるベンゼン核が2つの芳香族ジアミンを挙げることができ、とりわけ一般式(a)で表される芳香族ジアミン、特にジアミノジフェニルエーテル類を用いることが、金属層への接着性効果、及び、たるみやヘイズの向上効果の両方を得やすいため好ましい。
ジアミン成分が一般式(1)及び(2)以外の構造の非フッ素含有芳香族ジアミンを含有する場合であって、一般式(2)で表される芳香族ジアミンを非含有である場合は、ジアミン成分中、一般式(1)及び(2)以外の構造の非フッ素含有芳香族ジアミンの割合は、40モル%以上、特に50モル%以上であることが、金属層への接着性効果やたるみやヘイズを高める点から好ましい。一方ジアミン成分が、一般式(1)及び(2)以外の構造の非フッ素含有芳香族ジアミンを、一般式(2)で表される芳香族ジアミンとともに含有する場合は、一般式(1)及び(2)以外の構造の非フッ素含有芳香族ジアミンの量は、10モル%以上、より好ましくは20モル%以上であることが接着強度を高める点から好ましい。 その他の各種のジアミンの好ましい上限や下限は、ジアミン成分の合計量が100質量%となる量であればよい。
テトラカルボン酸成分としては、芳香族テトラカルボン酸又は、それらの酸二無水物や低級アルコ-ルのエステル化物、脂環族系テトラカルボン酸又は、それらの酸二無水物や低級アルコ-ルのエステル化物を好適に挙げることができる。
芳香族テトラカルボン酸としては、ビフェニルテトラカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、及び、2つのo-ベンゼンジカルボン酸基のベンゼン環同士が連結基で結合された構造を有するテトラカルボン酸を挙げることができる。この連結基としては、-O-、-CO-、-SO-、アルキレン基(好ましくは炭素数1~3等)、ハロゲン化アルキレン基(好ましくは炭素数1~3等)、フェニレン基又はこれらを酸素原子同士が連続しない条件で組み合せてなる基が挙げられる。
前記のビフェニルテトラカルボン酸としては2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸が挙げられる。
前記のナフタレンテトラカルボン酸としては、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,4,5-ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸が挙げられる。
前記の2つのo-ベンゼンジカルボン酸基のベンゼン環同士が連結基で結合された構造を有するテトラカルボン酸としては、3,3’,4,4’-ジフェニルエ-テルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2-ビス(3,4-ベンゼンジカルボン酸)ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(3,4-ベンゼンジカルボン酸)ベンゼン、2,2-ビス[4-(3,4-フェノキシジカルボン酸)フェニル]プロパン、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンビスフェノキシ)ジフタル酸などの芳香族テトラカルボン酸が挙げられる。
脂環族系テトラカルボン酸としては、置換あるいは無置換のシクロアルキル基(好ましくは炭素数4~7)、複数の脂環が二つ以上の共通の炭素原子によって構成された多脂環型(好ましくは炭素数10~15)、及び環を形成する炭素原子同士が化学結合によって更に環を形成した架橋環型(好ましくは炭素数7~12)における4つの水素原子がカルボン酸基に置換されたテトラカルボン酸が挙げられ、具体的には、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸、3-メチル-4-シクロヘキセン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、5-(1,2-ジカルボキシエチル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、[1,1’-ビ(シクロヘキサン)]-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸、[1,1’-ビ(シクロヘキサン)]-2,3,3’,4’-テトラカルボン酸、[1,1’-ビ(シクロヘキサン)]-2,2’,3,3’-テトラカルボン酸、4,4’-メチレンビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)、4,4’-(プロパン-2,2-ジイル)ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)、4,4’-オキシビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)、4,4’-チオビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)、4,4’-スルホニルビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)、4,4’-(ジメチルシランジイル)ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)、4,4’-(テトラフルオロプロパン-2,2-ジイル)ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)、オクタヒドロペンタレン-1,3,4,6-テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸、6-(カルボキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5-トリカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2,3,7,8-テトラカルボン酸、トリシクロ[4.2.2.02,5]デカン-3,4,7,8-テトラカルボン酸、トリシクロ[4.2.2.02,5]デカ-7-エン-3,4,9,10-テトラカルボン酸、9-オキサトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン-3,4,7,8-テトラカルボン酸、などを好適に挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記の低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、2-プロパノール等が挙げられる。
テトラカルボン酸成分としては特に限定されるものではないが、入手容易性や、本発明の効果である金属層への接着性の向上、たるみの低減、及び/又はヘイズの低減が効果的に奏される点で、芳香族テトラカルボン酸が好適に挙げられ、とりわけ、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、2つのo-ベンゼンジカルボン酸基のベンゼン環同士が連結基で結合された構造を有するテトラカルボン酸、これらの酸の二無水物並びにこれらの酸の低級アルコ-ルのエステル化物から選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、特に、ビフェニルテトラカルボン酸(とりわけ3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸)、ピロメリット酸並びにこれらの酸無水物及びこれらの低級アルコールのエステル化物から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
本発明においては、一般式(1)以外の構造を有し且つベンゼン核を1~4個有する芳香族ジアミンがフッ素非含有であることに加えて、ポリイミドそれ自体がフッ素非含有であることが好ましい。従って、本発明のポリイミドが、フッ素非含有のテトラカルボン酸と、フッ素非含有のジアミン成分とから製造されたものであることが好ましい。より好ましくは、本発明のポリイミドは、ハロゲン非含有のテトラカルボン酸と、ハロゲン非含有のジアミン成分とから製造されたハロゲン非含有のものであることが好ましい。
本発明において使用するテトラカルボン酸成分とジアミン成分との割合は、略等モル、好ましくはジアミン成分1モルに対してテトラカルボン酸成分が0.8~1.2、より好ましくは0.9~1.1モル程度の割合である。
本発明のポリイミドは、溶媒中、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させて製造することができる。ここで、「反応させる」とは、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とが反応してイミド環を形成しながらポリイミド骨格を形成すること、すなわち重合・イミド化することを意味している。したがって、従来知られている重合およびイミド化する方法を好適に用いることができる。例えば、溶媒中でテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを100~200℃程度の温度で加熱して一段で重合・イミド化することもできる。また、溶媒中でテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを100℃未満程度の温度で反応させてポリイミド前駆体(ポリアミド酸)とし、次いで100~200℃程度に加熱してイミド化させるか、又は脱水環化試薬である無水酢酸/ピリジン系やジシクロヘキシルカルボジイミド等の化学イミド化剤によってイミド化させることもできる。イミド化反応では、トルエンやキシレン等の共沸剤を添加して反応し生成水を系外に除いても構わない。
反応に用いる溶媒は、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを好適に反応(重合・イミド化)してポリイミドを得るための溶媒環境を与えるものであれば特に限定されず、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン等のアミド系溶媒、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン、α-メチル-γ-ブチロラクトン等の環状エステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラグライム等のグリコール系溶媒、m-クレゾール、p-クレゾール、3-クロロフェノール、4-クロロフェノール等のフェノール系溶媒、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシド等が採用される。さらに、その他の一般的な有機溶剤、即ちフェノール、o-クレゾール、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2-メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエーテル、エタノール、メタノールなども使用できる。これらはポリイミドを得るための溶媒環境を与えるものであれば混合して使用しても構わない。また必要に応じてベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などを併用してもよい。
本発明においては、非プロトン性であり、沸点が150~220℃であるN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、γ-ブチロラクトンなどを好適に使用することができる。
なお、本発明のポリイミドは、溶媒中での熱イミド化又は化学イミド化により製造される場合、以下式(7)で表される構造単位、及び以下の式(8)で表される構造単位を有するものとして表されてもよい。
Figure 0007101352000005
(式中、Aは、4価のテトラカルボン酸残基であり、Dは、一般式(6)で表される2価の基である。)
Figure 0007101352000006
(式中、Aは、4価のテトラカルボン酸残基であり、Aと同一であっても異なってもよい。Dは、一般式(6)以外の構造を有し且つベンゼン核を1~4個有するフッ素非含有の2価の芳香族ジアミン残基である。)
Figure 0007101352000007
(式中のR、R、R及びRは一般式(1)と同じである)
上記A及びAで表されるテトラカルボン酸残基としては、上記テトラカルボン酸成分の残基が挙げられ、上記テトラカルボン酸成分の説明は全て、該テトラカルボン酸残基が由来するテトラカルボン酸に当てはまる。またDで表される一般式(6)以外の構造を有し且つベンゼン核を1~4個有するフッ素非含有の2価の芳香族ジアミン残基とは、上述した一般式(1)以外の構造を有し且つベンゼン核を1~4個有するフッ素非含有の2価の芳香族ジアミンの残基であり、上述した該芳香族ジアミンの説明は、全て上記芳香族ジアミン残基が由来する芳香族ジアミンに当てはまる。また、上記ポリイミドの全構造単位中、式(7)で表される構造単位の好ましいモル数の割合は、上述したジアミン成分中の上記式(1)で表されるジアミン化合物の好ましいモル数の割合と同じである。同様に、上記ポリイミドの全構造単位中、式(8)で表される構造単位であってDが一般式(2)で表されるジアミンの残基である構造単位の好ましい割合は上述したジアミン成分中の一般式(2)で表されるジアミンの好ましい割合と同じである。また同様に、上記ポリイミドの全構造単位中、式(8)で表される構造単位であってDが一般式(1)及び(2)以外の構造のジアミンの残基である構造単位の好ましい割合は上述したジアミン成分中の一般式(1)及び(2)以外の構造のジアミンの好ましい割合と同じである。
本発明のポリイミドの製造に用いる一般式(1)で表されるジアミンは上記の通りエチニル基を有する。そして、本発明のポリイミドが例えば200℃以上の熱イミド化により製造された時には、熱イミド化の際に分子中でこのエチニル基がランダムな架橋反応を起こす場合がある。このような架橋がなされたポリイミドも、本発明のポリイミドに含まれる。
次いで、本発明のポリイミドフィルムを説明する。本発明のポリイミドフィルムは、前記本発明のポリイミドを含むポリイミドフィルムである。本発明のポリイミドフィルムには、本発明のポリイミドをフィルムの構成材料の一部として用いているものも含まれる。例えば、本発明のポリイミドを用いた単層のフィルム、多層のフィルムのうちその一層に本発明のポリイミドを用いたもの、フィルムの表層に本発明のポリイミドを有するもの、フィルム中に本発明のポリイミドが分散されたものも含まれる。特に限定されるわけではないが、本発明のポリイミドフィルムの厚さは、0.1μm~500μm、好ましくは1μm~250μm、より好ましくは、2.5μm~120μm、さらに好ましくは、5μm~75μm、特に好ましくは、7.5μm~50μmである。
ポリイミドフィルムの製造方法としては、公知の方法を任意で用いることができる。
次に、本発明のポリイミド金属積層体を説明する。本発明のポリイミド金属積層体は、本発明のポリイミドフィルムに直接又は接着剤を介して金属層が積層されてなることを特徴とする。金属層としては、例えば、銅、アルミニウム、鉄、金など、又はステンレスなどのそれらの合金などが挙げられる。特に本発明のポリイミドフィルムは、金属箔等の基材や接着剤等の材料との接着性に優れている。このため、本発明のポリイミド積層体としては、ポリイミドフィルムと金属層とが直接又は接着剤を介して積層されたポリイミド金属積層体を好適に得ることができる。
特に限定されるわけではないが、ポリイミド金属積層体の製造方法としては、(1)ポリイミドフィルムと基材(例えば、金属箔)とを、直接又は接着剤を介して、加圧又は加熱加圧して積層する方法、(2)ポリイミドフィルム上に湿式法(メッキ)又は乾式法(真空蒸着、スパッタリング等のメタライジング)により金属層を直接形成する方法、(3)金属箔等の基材上に、前述のポリアミド酸含有液又はポリイミド含有液を塗布し、乾燥・イミド化(ポリイミド含有液のときは乾燥)する方法、等が挙げられる。
以上のように、本発明のポリイミドフィルム、ポリイミド金属積層体(接着剤層を介してフィルムと金属層が積層された積層体、フィルム上に直接金属層が形成された積層体の両方を含む)は、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TAB用テープ、COF用テープあるいは金属配線など、また、金属配線、ICチップなどのチップ部材などのカバー基材、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレー、電子ペーパー、太陽電池などのベース基材等の電子部品や電子機器類の素材として用いることができる。
次に本発明のポリアミド酸を説明する。
本発明のポリアミド酸は、一般式(4)で表される構造単位及び下記一般式(5)で表される構造単位を有することを特徴の一つとする。本発明のポリアミド酸は、前述の本発明のポリイミドを得るための前駆体として用いられるものである。

Figure 0007101352000008
(式中、Aは、4価のテトラカルボン酸残基であり、Dは、一般式(6)で表される2価の基であり、X及びXはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数3~9のアルキルシリル基である。)
Figure 0007101352000009

(式中、Aは、4価のテトラカルボン酸残基であり、Aと同一であっても異なってもよい。Dは、一般式(6)以外の構造を有し且つベンゼン核を1~4個有するフッ素非含有の2価の芳香族ジアミン残基であり、X及びXはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数3~9のアルキルシリル基である。)
Figure 0007101352000010
(式中のR、R、R及びRは一般式(1)と同じである)
上記A及びAで表されるテトラカルボン酸残基としては、上記テトラカルボン酸成分の残基が挙げられ、上記テトラカルボン酸成分の説明は全て、該テトラカルボン酸残基が由来するテトラカルボン酸に当てはまる。またDで表される一般式(6)以外の構造を有し且つベンゼン核を1~4個有するフッ素非含有の2価の芳香族ジアミン残基とは、上述した一般式(1)以外の構造を有し且つベンゼン核を1~4個有するフッ素非含有の2価の芳香族ジアミンの残基であり、上述した該芳香族ジアミンの説明は、全て上記芳香族ジアミン残基が由来する芳香族ジアミンに当てはまる。また、本発明のポリアミド酸の全構造単位中、式(4)で表される構造単位の好ましいモル数の割合は、上述したジアミン成分中の上記式(1)で表されるジアミン化合物の好ましいモル数の割合と同じである。同様に、本発明のポリアミド酸の全構造単位中、式(5)で表される構造単位であってDが一般式(2)で表されるジアミンの残基である構造単位の好ましい割合は上述したジアミン成分中の一般式(2)で表されるジアミンの好ましい割合と同じである。また同様に、本発明のポリアミド酸の全構造単位中、式(5)で表される構造単位であってDが一般式(1)及び(2)以外の構造のジアミンの残基である構造単位の好ましい割合は上述したジアミン成分中の一般式(1)及び(2)以外の構造のジアミンの好ましい割合と同じである。
ポリアミド酸は、上記テトラカルボン酸成分と上記ジアミン成分とを反応させて得ることができ、例えば略等モル量を、有機溶媒中で反応させてポリアミド酸の溶液(均一な溶液状態が保たれていれば一部がイミド化されていてもよい)を得ることができる。また、予めどちらかの成分が過剰である2種類以上のポリアミド酸を合成しておき、各ポリアミド酸溶液を一緒にした後、反応条件下で混合してもよい。このようにして得られたポリアミド酸溶液はそのまま、あるいは必要であれば溶媒を除去又は加えて、自己支持性フィルムの製造に使用することができる。
ポリアミド酸の重合反応を実施するに際して、有機溶媒としては、上述したものを用いることができる。有機溶媒中の全モノマーの濃度は、使用する目的や製造する目的に応じて適宜選択すればよく、例えば、有機溶媒中の全モノマーの濃度が、5質量%~30質量%、さらに8質量%~25質量%、特に10質量%~22質量%であることが効率よく反応を進ませる観点や副生物の生成抑制等の観点から好ましい。
ポリアミド酸の製造例の一例としてテトラカルボン酸成分とジアミン成分との重合反応は、例えば、両成分を上述した量比にして混合し、反応温度100℃以下、好ましくは80℃以下にて約0.2~60時間反応させることにより実施して、ポリアミド酸溶液を得ることができる。
ポリアミド酸溶液には、熱イミド化であれば必要に応じて、イミド化触媒、有機リン含有化合物、無機微粒子などを加えてもよい。ポリアミド酸溶液には、化学イミド化であれば必要に応じて、環化触媒および脱水剤、無機微粒子などを加えてもよい。
イミド化触媒としては、置換若しくは非置換の含窒素複素環化合物、該含窒素複素環化合物のN-オキシド化合物、置換若しくは非置換のアミノ酸化合物、ヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物又は芳香族複素環状化合物が挙げられ、特に1,2-ジメチルイミダゾール、N-メチルイミダゾール、N-ベンジル-2-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、N-ベンジル-2-メチルイミダゾールなどの低級アルキルイミダゾール、5-メチルベンズイミダゾールなどのベンズイミダゾール、イソキノリン、3,5-ジメチルピリジン、3,4-ジメチルピリジン、2,5-ジメチルピリジン、2,4-ジメチルピリジン、4-n-プロピルピリジンなどの置換ピリジンなどを好適に使用することができる。イミド化触媒の使用量は、ポリアミド酸のアミド酸単位に対して0.01~2倍当量、特に0.02~1倍当量程度であることが好ましい。イミド化触媒を使用することによって、得られるポリイミドフィルムの物性、特に伸びや端裂抵抗が向上することがある。
環化触媒としては、トリメチルアミン、トリエチレンジアミンなどの脂肪族第3級アミン、ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン、およびイソキノリン、ピリジン、α-ピコリン、β-ピコリンなどの複素環第3級アミンなどが挙げられる。
脱水剤としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などの脂肪族カルボン酸無水物、および無水安息香酸などの芳香族カルボン酸無水物などが挙げられる。
また、一般式(4)及び(5)において、X~Xが、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数アルキルシリル基である構造単位を含むポリイミド前駆体を製造するには、例えば上述のようにポリアミド酸を製造した後、エステル化剤と反応させてエステル化を行うか、又は公知のシリル化剤と反応させてシリル化反応を行って製造することができる。
<ポリイミドフィルムの好ましい製造方法>
上述したように本発明のポリイミドフィルムはその製造方法により限定されるものではないが、たるみの低減の効果を発揮させる点において、好ましいポリイミドフィルムの製造方法の一つを以下に示す。本製造方法は、上記ポリアミド酸を、溶媒中に溶解させた溶液を支持体上に流延又は塗布した後に加熱して、一方向に長い自己支持性フィルムを得、得られた自己支持性フィルムを該支持体から剥がして該フィルムの幅方向の両端縁を固定した状態で、250℃以上500℃以下の最高加熱温度で加熱するものである。
<ポリアミド酸溶液の自己支持性フィルムの製造>
ポリアミド酸溶液の自己支持性フィルムは、ポリアミド酸溶液を支持体上に流延塗布し、自己支持性となる程度(通常のキュア工程前の段階を意味する)、例えば支持体上より剥離することができる程度にまで加熱して製造される。
本発明において用いるポリアミド酸溶液の固形分濃度は、製造に適した粘度範囲となる濃度であれば特に限定されないが、通常、5質量%~30質量%が好ましく、8質量%~25質量%がより好ましく、10質量%~22質量%がさらに好ましい。
自己支持性フィルム作製時の加熱温度及び加熱時間は適宜決めることができ、熱イミド化では、例えば、温度50~180℃で1~60分間程度加熱すればよい。
支持体としては、ポリアミド酸溶液をキャストできるものであれば特に限定されないが、平滑な基材を用いることが好ましく、例えばガラス基板や、ステンレスなどの金属製のドラムやベルトなどが使用される。通常得られる自己支持性フィルムは一方向に長い形状、例えば長尺状の形状をしている。
<加熱処理(イミド化)工程>
次いで、自己支持性フィルムを加熱処理してポリイミドフィルムを得る。加熱処理工程において、最高加熱温度が、好ましくは250℃以上、300℃以上、より好ましくは350℃以上、さらに好ましくは400℃以上となるように加熱する。加熱温度の上限はポリイミドフィルムの特性が低下しない温度であれば良く、好ましくは500℃以下、より好ましくは490℃以下、さらに好ましくは480℃以下、特に好ましくは450℃以下である。
加熱処理の一例としては、次のような形態が挙げられる。最初に約100℃~350℃未満の温度においてポリマーのイミド化および溶媒の蒸発・除去を約0.05~5時間、特に0.1~3時間で徐々に行うことが適当である。特に、この加熱処理は段階的に、約100℃~約170℃の比較的低い温度で約0.5~30分間第一次加熱処理し、次いで170℃を超えて220℃以下の温度で約0.5~30分間第二次加熱処理して、その後、220℃を越えて350℃未満の高温で約0.5~30分間第三次加熱処理することが好ましい。さらに、350℃以上から500℃以下の高い温度で第四次高温加熱処理することが好ましい。また、この加熱プロセスは逐次的にも連続的にも行うことができる。
自己支持性フィルムの加熱処理(イミド化)は、支持体上で行ってもよく、支持体上から剥がして行なってもよいが、本製造方法では、たるみの効果を発揮させる点から、加熱処理の際、自己支持性フィルムを支持体上から剥がし、フィルムの幅方向の両端縁を固定した状態で加熱処理を行なう。加熱処理は例えばキュア炉中において行われる。フィルムの幅方向とは、長尺の自己支持性フィルムの長手方向に直角の方向であって、該フィルムの面と水平な方向である。フィルムの幅方向の両端縁の固定は、ピンテンター、クリップ、チャック、枠などの支持部材によって行われる。加熱時には、必要に応じて、フィルムの幅方向、又は長さ方向に拡縮してもよい。
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<用いたジアミン、テトラカルボン酸二無水物、溶媒>
(ジアミン)
・2,4-ビス(4-アミノアニリノ)-6-アニリノ-1,3,5-トリアジン(p-ATDA)
・2,4-ビス(p-アミノアニリノ)-6-(p-エチニルアニリノ)-1,3,5-トリアジン(EDA)
・4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)
・p-フェニレンジアミン(PPD)
(テトラカルボン酸二無水物)
・3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)
・ピロメリット酸二無水物(PMDA)
(溶媒)
・N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)
〔比較例1〕
重合槽に所定量のDMAc、ジアミン成分としてp-ATDA、ODAを加えた後、室温下で撹拌しながら、酸成分としてs-BPDAをジアミン成分と略等モルまで段階的に添加して反応させ、固形分濃度が18質量%であるポリアミド酸の重合溶液(ポリイミド前駆体溶液)を得た。そして、このポリアミド酸重合溶液に、ポリアミド酸100質量部に対して0.25質量部の割合でモノステアリルリン酸エステルトリエタノールアミン塩を添加し、均一に混合し、加圧ろ過して、ポリアミド酸溶液を得た。p-ATDA:ODAのモル比は20:80とした。
〔比較例2及び3〕
p-ATDA及びODAの使用量をs-BPDA:ODA:p-ATDAのモル比が下記表1記載の比となるように変更した以外は、比較例1と同様にしてポリアミド酸溶液を得た。
〔実施例1~5〕
p-ATDAを用いずに、EDAを用い、s-BPDA:ODA:EDAのモル比が下記表1記載の比となるように原料の量を調整した以外は、比較例1と同様にしてポリアミド酸溶液を得た。
〔実施例6及び7〕
s-BPDA、ODA、p-ATDAに加えてEDAを用い、s-BPDA:ODA:p-ATDA:EDAのモル比が下記表1記載の比となるように原料の量を調整した以外は、比較例1と同様にしてポリアミド酸溶液を得た。
[ポリイミドフィルムの製造]
ポリアミド酸溶液をガラス板上に薄膜状にキャストし、オーブンを用いて132℃で6分加熱した後、ガラス板から剥離して、自己支持性フィルムを得た。 自己支持性フィルムをピンテンターに固定し、オーブンを用いて150℃から350℃まで昇温速度20℃/分で加熱し、さらに350℃で9分保持して、厚さ35μmのポリイミドフィルムを得た。
<フィルムの物性評価>
[たるみ]
フィルムを、製膜時と上下をひっくり返した状態で平坦な台の上面に戴置した。フィルム幅方向の両端をテープで固定し、上方へ向けて凸となった凸部の頂点の、台の上面からの高さを定規を用いて測定した。結果を表1に示す。
[ヘイズ]
HAZE MATER NDH2000(日本電色工業(株)社製)を用いて、JIS K7136の規格に準拠して、ポリイミドフィルムのヘイズを測定した。結果を表1に示す。
[接着強度(熱圧着の場合)]
ポリイミドフィルムの両面に、銅箔(三井金属鉱業株式会社製3EC-III(35μm))を340℃、4MPaの条件で10分間プレスして貼り合わせた。ポリイミドフィルムは銅箔の粗化面と圧着させた。得られたポリイミド金属積層体を幅5mmに切断し、ピール試験片を得た。ピール強度は島津製作所製小型引張試験機(EZ-S500N)を用い、Tピールで、A面(自己支持性フィルム作製時の基板側に対して反対側の面)を上にした状態で剥離速度50mm/minの条件で測定した。実施例6及び7のポリイミドフィルムについて測定した接着強度を表2に示す。表2には五連の平均値を示す。ポリイミドフィルムと銅箔の剥離においては、ポリイミドフィルムの両面に積層された銅箔のうち、より接着力の弱い方の面で剥離する。従って、測定された剥離強度はより接着力の弱い面の剥離強度である。測定は温度23℃、相対湿度50%の環境下で行った。
[Tg]
下記測定条件にて、レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製固体粘弾性アナライザーRSAIIIを用いて室温(約25℃)から500℃までの温度範囲におけるフィルムの固体粘弾性を測定した。得られたE’’曲線の極大が位置する温度をガラス転移温度(Tg)とした。結果を表3に示す。
(測定条件)
測定モード:引張モード動的測定
周波数:62.8rad/sec(10Hz)
昇温: 3℃/step
雰囲気:窒素気流中
[線熱膨張係数(CTE)]
ポリイミドフィルムを幅4mmの短冊状に切り取って試験片とし、TMA/SS6100(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用い、チャック間長15mm、荷重2gで、30℃から昇温速度20℃/分で昇温を開始した。220℃まで昇温した(1st)後、すぐに室温に戻して、再度20℃/分で500℃まで昇温した(2nd)。2nd測定時の50℃から200℃の間で計算した線熱膨張係数を表3に示す。
[5%重量減少温度(Td5)]
ポリイミドフィルムを試験片とし、TAインスツルメント社製熱量計測定装置(Q5000IR)を用い、窒素気流中、昇温速度10℃/分で30℃から700℃まで昇温した。得られた重量曲線から、5%重量減少温度を求めた。結果を表3に示す。
[初期弾性率、破断点伸度、破断強度]
ポリイミドフィルムをIEC-540(S)規格のダンベル形状に打ち抜いて試験片(幅:4mm)とし、ORIENTEC社製TENSILONを用いて、チャック間長30mm、引張速度2mm/分で、初期の引張弾性率、破断点伸度、破断強度を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0007101352000011
Figure 0007101352000012
表1に示す結果より、本発明のポリイミドは、一般式(1)で表される特定のジアミン及び特定の芳香族ジアミンを用いた構造により、たるみ及びヘイズの低減において優れた効果を奏することがわかる。また、表2に示す結果より、本発明のポリイミドが金属箔との接着強度に優れていることがわかる。
Figure 0007101352000013
表3に示す結果より、本発明のポリイミドがたるみ及びヘイズや接着強度について前述した効果を奏しつつ、従来のポリイミドと同等の耐熱性、低い線熱膨張係数、高弾性率、高強度を有することがわかる
〔実施例8~13、比較例4~6〕
使用するテトラカルボン酸の組成、及び/又はジアミンの組成が表4の記載となるように、使用するジアミンの種類及び使用量を変更した以外は、実施例1と同様にしてポリアミド酸溶液を得た。
〔ポリイミド金属積層体の製造〕
ポリアミド酸溶液を用いてポリイミド金属積層体を作製した。ポリイミド金属積層体は、ポリアミド酸溶液を圧延銅箔(JX日鉱日石金属株式会社製、BHY-13H-T、18μm厚)に塗布し、120℃で10分加熱後、さらに400℃まで20分かけて昇温することにより得た。ポリイミド金属積層体のポリイミドフィルムの厚みは下記表4に示す通りであった。
[ポリイミド金属積層体の剥離強度]
得られたポリイミド金属積層体の90°剥離試験を行った。90°剥離強度は試験機として島津製作所製小型引張試験機(EZ-S500N)を用い、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、50mm/分の剥離速度で測定した。結果を表4に示す。
Figure 0007101352000014
前記表4の結果から、本発明においてポリイミド金属積層体上にポリアミド酸溶液を塗布、加熱して得られたポリイミド金属積層体の接着強度も、加熱圧着で製造された積層体と同様に高いことがわかる。
〔実施例14~20〕
下記の実施例では化学イミド化により本発明のポリイミドを得た例である。
使用するテトラカルボン酸の組成、及び/又はジアミンの組成が表5の記載となるように、テトラカルボン酸成分が合計2.5mmol、使用するジアミン成分が合計2.5mmolとなるように種類及び使用量を変更し、溶媒にN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリアミド酸溶液(固形分濃度13~20質量%)を得た。得られたポリアミド酸溶液を固形分濃度が5質量%となるようにNMPで希釈した後、無水酢酸1.6mL、ピリジン1.8mLを攪拌しながら滴下し、100℃で24時間攪拌して化学イミド化を行った。化学イミド化終了後、ポリイミドをメタノールで沈殿させ、ろ過して回収した後、室温で減圧乾燥して、ポリイミドを得た。得られたポリイミドをNMPに再溶解して、濃度15質量%のポリイミド溶液を得た。このようにして得たポリイミド溶液をガラス板上に薄膜状にキャストし、室温から、オーブンを用いて、40℃、60℃、100℃、150℃、200℃、250℃、300℃、350℃と段階的に温度を上げ、
最終的に350℃で30分キュアし、ガラス板から剥離して、厚さ35μmのポリイミドフィルムを得た。
Figure 0007101352000015

Claims (11)

  1. テトラカルボン酸成分と、ジアミン成分とから得られるポリイミドであって、
    前記ジアミン成分として、下記一般式(1)で表されるジアミンと、一般式(1)以外の構造を有し且つベンゼン核を1~4個有するフッ素非含有の芳香族ジアミンとを少なくとも用い、前記芳香族ジアミンのうちベンゼン核を4個有するフッ素非含有の芳香族ジアミンは、3,3’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2-ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、および2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパンから選択される一種以上である、ポリイミド。
    Figure 0007101352000016
    (式中のR、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。)
  2. 前記芳香族ジアミンがp-フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル類及び下記一般式(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載のポリイミド。
    Figure 0007101352000017
    (式中、Rは水素原子、炭素数1~12のアルキル基又は炭素数1~12の芳香族基を示し、Rは炭素数1~12のアルキル基又は炭素数1~12の芳香族基を示す。R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。)
  3. 前記芳香族ジアミンが4,4’-ジアミノジフェニルエーテル及び前記一般式(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種である、請求項2記載のポリイミド。
  4. 前記テトラカルボン酸成分が、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、これらの酸の二無水物並びにこれらの酸の低級アルコ-ルのエステル化物から選ばれる少なくとも一種である、請求項1~3いずれかに記載のポリイミド。
  5. 前記一般式(1)で表されるジアミンが下記化学式(3)で表される化合物である請求項1~4いずれかに記載のポリイミド。
    Figure 0007101352000018
  6. 前記ジアミン成分中、前記一般式(1)で表されるジアミンの割合が2モル%以上である請求項1~5いずれかに記載のポリイミド。
  7. 前記ジアミン成分中、前記一般式(1)で表されるジアミンの割合が80モル%以下である請求項1~6いずれかに記載のポリイミド。
  8. 請求項1~7いずれかに記載のポリイミドを含むポリイミドフィルム。
  9. 請求項1~7いずれかに記載のポリイミドフィルムと、該ポリイミドフィルムに直接又は接着剤を介して積層された金属層とを有するポリイミド金属積層体。
  10. 下記一般式(4)で表される構造単位及び下記一般式(5)で表される構造単位を有するポリアミド酸。
    Figure 0007101352000019
    (式中、Aは、4価のテトラカルボン酸残基であり、Dは、一般式(6)で表される2価の基であり、X及びXはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数3~9のアルキルシリル基である。)
    Figure 0007101352000020
    (式中、Aは、4価のテトラカルボン酸残基であり、Aと同一であっても異なってもよい。Dは、一般式(6)以外の構造を有し且つベンゼン核を1~4個有するフッ素非含有の2価の芳香族ジアミン残基であり、前記芳香族ジアミンのうちベンゼン核を4個有するフッ素非含有の芳香族ジアミンは、3,3’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2-ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、および2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパンから選択される一種以上であり、及びXはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数3~9のアルキルシリル基である。)
    Figure 0007101352000021
    (式中のR、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す)
  11. 請求項10に記載のポリアミド酸を溶媒中に溶解させた溶液を、支持体上に流延又は塗布した後に加熱して、一方向に長い自己支持性フィルムを得、得られた自己支持性フィルムを該支持体からはがして該フィルムの幅方向の両端縁を固定した状態で、250℃以上500℃以下の最高加熱温度で加熱する、ポリイミドフィルムの製造方法。


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