JP2009275183A - ポリアミド酸ワニス組成物及びそれを用いた金属ポリイミド複合体 - Google Patents

ポリアミド酸ワニス組成物及びそれを用いた金属ポリイミド複合体 Download PDF

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【課題】ゲル成分のない高分子量のポリアミド酸ワニス組成物、及び低吸湿膨張率、高耐熱性、高難燃性を有し、さらに機械強度の向上した金属ポリイミド複合体を提供すること。
【解決手段】本発明のポリアミド酸ワニス組成物は、エステル基含有テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを付加重合させてなるポリアミド酸と、溶媒と、を含むポリアミド酸ワニス組成物において、前記エステル基含有テトラカルボン酸二無水物が、示差走査熱量計にて示されるプロファイルにおいて、融解熱ピークの温度を(a)℃とし、前記融解熱ピークへの立ち上がりが開始する温度を接点とする仮想接線と、前記融解熱ピークの略直線部分に沿う直線との交点となる温度を(b)℃とし、温度幅を△T=((b)−(a))℃とするとき、(a)≧322℃及び△T≦5℃を満足することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリアミド酸ワニス組成物及びそれを用いた金属ポリイミド複合体に関する。
ポリイミドは優れた耐熱性のみならず、耐薬品性、耐放射線性、電気絶縁性、優れた機械的性質などの特性を併せ持つことから、現在FPC(Flexible Printed Circuitboard)基板、TAB(Tape Automated Bonding)用基材、半導体素子の保護膜、集積回路の層間絶縁膜等、様々な電子デバイスに現在広く利用されている。ポリイミドは、これらの特性以外にも、製造方法の簡便さ、極めて高い膜純度、入手可能な種々のモノマーを用いた物性改良のし易さといったことから、近年益々その重要性が高まっている。
電子機器の軽薄短小化が進むにつれてポリイミドへの要求特性も年々厳しさを増し、ハンダ耐熱性だけに留まらず、吸湿に対するポリイミドフィルムの寸法安定性、透明性、金属基板との接着性、成型加工性、スルーホール等の微細加工性等、複数の特性を同時に満足する多機能性ポリイミド材料が求められるようになってきている。
ポリイミドの寸法安定性は、吸湿に対して要求されるが、従来のポリイミドでは2質量%〜3質量%も吸湿する。絶縁層の吸湿による寸法変化に伴う回路の位置ずれは、高密度配線や多層配線にとって深刻な問題である。この位置ずれは、ポリイミド/導体界面でのコロージョン、イオンマイグレーション、絶縁破壊等を引き起こし、電気特性の低下によって更に深刻な問題を引き起こす恐れがある。そのため、絶縁膜としてのポリイミド層はできるだけ吸湿膨張率が低いことが求められている。
低吸湿膨張率を実現するための分子設計として、例えば式(2)で表されるエステル基含有酸無水物を使用してポリイミド骨格への芳香族エステル結合を導入することが有効であると報告されている(特許文献1参照)。
Figure 2009275183
しかしながら、このような材料は銅箔との密着性が低いために、接着性を発現させるために新たにビスフェノールA型エポキシ樹脂などを用いた接着層を必要とし、構成される絶縁膜(ポリイミド層+接着層)としては、難燃性、吸湿膨張率、ポリイミドの特長である耐熱性の悪化が懸念される。
銅箔との高い密着性を実現するための分子設計として、酸無水物を、ビフェニル骨格を有する式(1)で表されるエステル基含有酸二無水物であるp−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)を使用することが有効であると報告されている(特許文献2)。
Figure 2009275183
エステル基含有酸二無水物を製造する方法は、ベンゼンやトルエン中、無水トリメリット酸クロリドとジオールとを反応させる方法(特許文献3)や、フェノール類の低級アルカン酸エステルとトリメリット酸又はその無水物とのエステル交換による方法(特許文献4)が知られている。このとき、これら公知の方法で得られた式(1)を用いて芳香族ジアミンと共重合させてポリアミド酸を製造すると、重合反応液の粘度が充分に上がらず高分子量体が得られない、及び、高分子量化するための酸無水物とジアミンの適正仕込み比(通常1:1で高分子量化する)がずれるなどポリアミド酸製造時の信頼性が低下する。また、場合によっては、得られるポリアミド酸に一部ゲル化(不溶成分)が進行し、イミド化して得られるポリイミドフィルムの機械強度(伸度)などが著しく低下するという不具合があった。
特開平10−126019号公報 特開2006−336011号公報 特公昭43−5911号公報 特開平07−41472号公報
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、ゲル成分のない高分子量のポリアミド酸ワニス組成物、及び低吸湿膨張率、高耐熱性、高難燃性を有し、さらに機械強度の向上した金属ポリイミド複合体を提供することを目的とする。
本発明のポリアミド酸ワニス組成物は、式(1)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを付加重合させてなるポリアミド酸と、溶媒と、を含むポリアミド酸ワニス組成物において、前記エステル基含有テトラカルボン酸二無水物が、示差走査熱量計にて示されるプロファイルにおいて、融解熱ピークの温度を(a)℃とし、前記融解熱ピークへの立ち上がりが開始する温度を接点とする仮想接線と、前記融解熱ピークの略直線部分に沿う直線との交点となる温度を(b)℃とし、温度幅を△T=((b)−(a))℃とするとき、(a)≧322℃及び△T≦5℃を満足することを特徴とする。
Figure 2009275183
本発明のポリイミド樹脂は、上記ポリアミド酸ワニス組成物をイミド化させて得られることを特徴とする。
本発明の金属ポリイミド複合体は、金属基体と、前記金属基体上に形成されており、上記ポリイミド樹脂で構成された層と、を具備することを特徴とする。
本発明の金属ポリイミド複合体においては、前記金属基体が銅で構成されていることが好ましい。
本発明のポリアミド酸ワニス組成物の製造方法は、環状エステル構造、環状ケトン構造、環状カーボネート構造、環状スルホン構造を有する有機溶媒に、固形分濃度を50%以下とし、150℃〜300℃の温度にて完全溶解させ、再結晶した後に無水化加熱乾燥処理してエステル基含有テトラカルボン酸二無水物を得る工程と、前記エステル基含有テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを溶媒中で付加重合させてポリアミド酸ワニス組成物を得る工程と、を具備することを特徴とする。
本発明によれば、高純度のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを付加重合させてなるポリアミド酸を含むので、ゲル成分のない高分子量のポリアミド酸ワニス組成物を得ることができる。また、このポリアミド酸ワニス組成物を用いて得られた金属ポリイミド複合体は、吸湿膨張率が低く、耐熱性、難燃性、機械強度に優れるものである。
本発明者は、上記式(1)に示すエステル基含有酸二無水物を精製する過程に着目し、特定の溶媒、濃度、温度条件にて再結晶することにより、混在する式(3)で表される4,4’−ビフェノール誘導体や、式(4)で表される4,4’−ビフェノールとトリメリット酸クロリドの酸無水物が開環して反応して得られると推定されるオリゴマー体などが効率よく除去され、その後無水化加熱乾燥処理することにより、結晶中に付着している付着水及び結晶水が除去され、一部再結晶時に開環したテトラカルボン酸が無水化されて高純度の式(1)に示すエステル基含有酸二無水物が得られることを見出した。
Figure 2009275183
Figure 2009275183
(ここで、nは、1〜5である。)
上記式(1)に示すエステル基含有酸二無水物は、純度の向上に伴い、示差走査熱量計(DSC)にて示される融解熱ピークの温度が高温側にシフトするとともに、融解熱ピークの温度を(a)℃とし、前記融解熱ピークへの立ち上がりが開始する温度を接点とする仮想接線と、前記融解熱ピークの略直線部分に沿う直線との交点となる温度を(b)℃としたときの(a)と(b)の温度差が小さくなる。
そして、このような高純度のエステル基含有酸二無水物、すなわちp−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)と芳香族ジアミンとを共重合させてポリアミド酸を得ることによりゲル成分のない高分子量のポリアミド酸を製造することができる。このポリアミド酸を用いて金属ポリイミド複合体を製造することにより、金属箔との密着性に優れ、吸湿膨張率が低く、難燃性に優れる金属ポリイミド複合体を得ることができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
式(1)に示すエステル基含有テトラカルボン酸二無水物であるp−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)は、有機溶媒中、無水トリメリット酸クロリドとジオールとの反応や、フェノール類の低級アルカン酸エステルとトリメリット酸又はその無水物とのエステル交換により得られる反応生成物を特定の溶媒、濃度、温度条件にて再結晶化し、その後無水化加熱乾燥処理することによって得られる。
Figure 2009275183
本発明の高純度のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物を得るための再結晶に用いる溶媒としては、環状エステル構造を有するラクトン系溶媒、環状ケトン構造や環状カーボネート構造や環状スルホン構造を有する溶媒であることが好ましい。例として、α−メチレン−γ−バレロラクトン、α−メチレン−γ−ブチロラクトン、γ−メチレン−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、シクロペンタノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、スルホランが挙げられる。これらは単独、または2種以上を混合して用いることができる。これらの中で、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホランを使用することが、再結晶時の溶解性や経済性の観点から好ましい。
溶媒の使用量としては、不純物の除去、再結晶や収率を考慮すると、反応によって得られた生成物1質量部に対して1質量部〜150質量部であり、特に4質量部〜100質量部であることが好ましい。エステル基含有テトラカルボン酸二無水物と溶媒との溶液中におけるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物の濃度を固形分濃度とした場合、50%以下となることが好ましく、収率の点からさらに20%以下であることが好ましい。
再結晶を行う際には、上述の濃度となるように所定量の溶媒と混合し、150℃〜300℃まで加熱し、完全に溶解させる。その後、系を室温まで放置することにより得られる析出物を濾別する。この工程により、反応時に生成した上記式(3)で表される4,4‘−ビフェノール誘導体や上記式(4)で表される4,4‘−ビフェノールとトリメリット酸クロリドの酸無水物が開環して反応して得られると推定されるオリゴマー体などが濾液中に残存することにより効率よく除去される。
Figure 2009275183
Figure 2009275183
(ここで、nは、1〜5である。)
濾別により得られた析出物を、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気下にて大気圧中もしくは、減圧下にて、昇温速度1℃/分〜20℃/分、200℃〜300℃の温度にて3時間以上無水化加熱処理することにより、結晶中に付着している付着水及び結晶水の除去、一部再結晶時に開環したテトラカルボン酸の無水化が行われる。結晶中に付着している付着水及び結晶水の除去を効率よく行うには、100℃〜130℃の温度にて30分〜1時間保持した後に、200℃〜300℃の温度にて3時間以上無水化加熱することが、より好ましい。また、昇温速度は、結晶物の加熱を均一にし、局所的に結晶物が高温になり脱炭酸などの分解反応が進行することを避けるという点から20℃/分以下であることが好ましい。
本発明により得られたp−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)は、示差走査熱量計(DSC)にて示されるプロファイル(図1)において、融解熱ピークの温度を(a)℃とし、前記融解熱ピークへの立ち上がりが開始する温度を接点とする仮想接線と、前記融解熱ピークの略直線部分に沿う直線との交点となる温度を(b)℃とし、温度幅を△T=((b)−(a))℃とするとき、(a)≧322℃及び△T≦5℃を満足する。
示差走査熱量計(DSC)にて示される融解熱ピーク温度(a)℃は、その物質の融点(mp)であり、322℃より高温側にシフトし、融解熱ピークへの立ち上がりが開始する温度を接点とする仮想接線と、融解熱ピークの略直線部分に沿う直線との交点となる温度を(b)℃としたときの(a)と(b)の温度差が5℃より狭くなることは、上記式(1)に示すエステル基含有テトラカルボン酸二無水物の純度の向上と相関がある。これらの条件を満足することにより、高分子量であり、ゲル成分のないポリアミド酸ワニス組成物の重合が可能となる。
本発明のポリアミド酸ワニス組成物は、芳香族テトラカルボン酸二無水物として、上記のような方法で得られた上記式(1)で示されるp−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)と任意のジアミン成分を溶媒中で反応させることにより得られる。ポリアミド酸を構成する繰り返し単位の規則性は、ブロック構造が含有されていても、あるいはランダム構造であっても良い。
本発明のポリイミド樹脂は、本発明のポリアミド酸ワニス組成物をイミド化すること
により得られる。通常、製造にあたったテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との仕込み比を調節することによって、生成するポリイミド樹脂の分子量や末端構造を調節することができる。好ましい全テトラカルボン酸二無水物と全ジアミンのモル比は、0.90〜1.10である。
得られるポリイミドの末端構造は、製造時における全テトラカルボン酸二無水物と全ジアミンとのモル仕込み比によって、アミンもしくは酸無水物構造となる。末端構造がアミンの場合は、カルボン酸無水物にて末端封止しても良い。これらの例としては、無水フタル酸、4−フェニルフタル酸無水物、4−フェノキシフタル酸無水物、4−フェニルカルボニルフタル酸無水物、4−フェニルスルホニルフタル酸無水物等が挙げられるが、これに限るものではない。これらのカルボン酸無水物を単独もしくは2種以上を混合して用いてもよい。
また、末端構造が酸無水物の場合は、モノアミン類にて末端封止してもよい。具体的には、アニリン、トルイジン、アミノフェノール、アミノビフェニル、アミノベンゾフェノン、ナフチルアミン等が挙げられる。これらのモノアミンを単独もしくは2種以上を混合して用いても良い。
本発明のポリアミド酸ワニス組成物における溶媒としては、前記のポリアミド酸と混合するものであれば良く、例として、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラメチル尿素等が挙げられる。本発明に使用する好ましい溶媒は、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチル−2−ピロリドンである。これらは単独、または2種以上を混合して用いることができる。
溶媒中での固形分濃度に特に制限はない。固形分濃度とは、溶媒を含めた全芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの総質量に対する全芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの質量の百分率である。好ましい固形分濃度は、5質量%〜35質量%であり、より好ましくは10質量%〜25質量%である。
付加重合条件については、従来より行われているポリアミド酸の付加重合条件に準じて行うことができる。具体的には、まず、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気下、大気圧中で芳香族ジアミン類を溶媒に0℃〜80℃にて溶解させ、40℃〜100℃にてテトラカルボン酸二無水物を、すみやかに加えながら、4時間〜8時間付加重合させる。これによりポリアミド酸ワニス組成物が得られる。得られるポリアミド酸ワニスの粘度については、1ポイズから2500ポイズとなるように、固形分濃度を調節することが好ましい。
また、ポリイミドフィルムの靭性の観点から、ポリアミド酸ワニス組成物の固有粘度は好ましくは0.3dL/g〜25.0dL/gの範囲であり、0.5dL/g〜15.0dL/gの範囲であることがより好ましい。
本発明のポリアミド酸ワニス組成物における芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、p−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)に、従来公知のものを併用して使用することができる。例えば、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−メチルフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、オキシジフタル酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸等の二無水物が挙げられる。線熱膨張率やガラス転移温度等の観点から、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−メチルフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物を使用することが好ましい。また、各々の芳香族テトラカルボン酸二無水物を単独で用いても、併用して用いてもよい。また、非芳香族テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸等の二無水物を、本発明の効果を損なわない範囲で用いても良い。
本発明のポリイミド酸ワニス組成物における芳香族ジアミンは、従来公知のものを使用することができる。例えば、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、2,2−ジメチル−4,4−ジアミノビフェニル、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、2−メチル−4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4−アミノフェニル−3’−アミノベンゾエート、2−メチル−4−アミノフェニル−3’−アミノベンゾエート、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(4−アミノフェニル)イソフタレート、4,4‘−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4‘−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホンがあげられる。熱膨張率性能やガラス転移温度等の観点から、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4−アミノフェニル−3’−アミノベンゾエート、2−メチル−4−アミノフェニル−3’−アミノベンゾエート、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(4−アミノフェニル)イソフタレート、4,4‘−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルを使用することが好ましい。
本発明の金属ポリイミド複合体とは、金属基体上にポリイミド樹脂で構成された絶縁層が設けられているものである。金属基体上に本発明のポリアミド酸ワニス組成物をイミド化して得られたポリイミド樹脂絶縁層を設けてなる複合体である。ポリイミド層の厚みは、特に限定されないが、好ましくは50μm以下、より好ましくは1μm〜25μmである。
金属基体としては、種々の金属箔を使用することができるが、フレキシブルプリント基板用としては、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔等が好適に用いられる。これらの金属箔は、マット処理、メッキ処理、クロメート処理、アルミニウムアルコラート処理、アルミニウムキレート処理、シランカップリング剤処理等の表面処理を行っても良い。金属箔の厚みは、特に限定されないが、好ましくは35μm以下、より好ましくは18μm以下である。
本発明のポリアミド酸ワニス組成物から得られる金属ポリイミド複合体は、以下の様にして製造することができる。まず、本発明のポリアミド酸組成物を金属箔上にブレードコーターや、リップコーター、グラビアコーター等を用いて塗工を行い、その後乾燥させてポリイミド前駆体層としてのポリアミド酸層を形成する。塗工厚は、ポリアミド酸ワニス組成物の固形分濃度に影響される。ポリアミド酸層を、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気下にて、200℃〜400℃にて熱イミド化させることによりポリイミド樹脂層(ポリイミドフィルム)を形成することができる。
上記のポリイミドフィルムを用いた本発明の金属ポリイミド積層体は、該ポリイミドフィルムの片側又は両側に金属箔を重ね、公知の加熱及び/又は加圧を伴った方法により、該ポリイミドフィルムと金属箔とを積層することで得ることができる。積層方法は単板プレスによるバッチ処理、熱ロールラミネートあるいはダブルベルトプレス(DBP)による連続処理等公知の方法を用いることができる。
上記積層方法における加熱方式は特に限定されるものではなく、例えば、熱循環方式、熱風加熱方式、誘導加熱方式等、所定の温度で加熱し得る従来公知の方式を採用した加熱手段を用いることができる。同様に、上記積層方法における加圧方式も特に限定されるものではなく、例えば、油圧方式、空気圧方式、ギャップ間圧力方式等、所定の圧力を加えることができる従来公知の方式を採用した加圧手段を用いることができる。
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、p−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ポリアミド酸ワニス組成物の特性や、イミド化後のポリイミド樹脂及び銅ポリイミド複合体の物性測定は、次のようにして行った。
(1)融解熱ピーク温度(a)℃、温度幅△T=((b)−(a))℃
p−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)を5mg程度秤量し、付属のアルミニウム試料容器に入れ、蓋をかぶせて、クリンプし測定サンプルを作製した。同様にして、未秤量のアルミニウム試料容器と蓋をクリンプしたものを標準物質とした。示差走査熱量計(DSC−60、株式会社島津製作所製)の加熱炉内に標準物質と測定サンプルを置き、昇温速度10℃/分、N雰囲気下にて測定を行い室温〜350℃の範囲にて測定を行った。融解熱のピーク温度を(a)℃とし、融解熱ピークへの立ち上がりが開始する温度を接点とする仮想接線と、融解熱ピークの略直線部分に沿う直線との交点となる温度を(b)℃とし、温度幅△T=((b)−(a))℃を算出した。なお、温度と熱流量の校正については、インジウムの標準物質で行った。
(2)固有粘度(η)
0.5質量%のポリアミド酸ワニス組成物溶液を、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
(3)ガラス転移温度(Tg)および線熱膨張率(CTE)
得られた銅ポリイミド複合体を長さ50mm、幅3mm、厚み25μmに切出し、塩化第2鉄水溶液(鶴見曹達製)に浸漬し、銅箔層をエッチング処理し水洗を行った。得られたポリイミドフィルムを105℃にて熱風乾燥機にて乾燥させた後、熱分析装置(TMA-50、株式会社島津製作所製)を用いて引っ張りモード、5g荷重、試料長15mm、昇温速度10℃/分、N雰囲気下にて測定を行い、接線の交点からTgを求め、また50℃〜200℃の線熱膨張率を算出した。
(4)接着強度
上記と同様にして銅ポリイミド複合体を長さ150mm、幅10mm、厚み25μmに切出し、幅10mmの中央部の幅1.5mmをビニールテープにてマスキングし、塩化第2鉄水溶液(鶴見曹達製)に浸漬し、銅箔層をエッチング処理し水洗を行った。その後、ビニールテープを除去し、得られたフレキシブル基板を105℃にて熱風乾燥機にて乾燥させた後、幅3mmの銅箔をポリイミド層から剥離し、その応力を測定した。剥離角度を90度、剥離速度を50mm/分とした。
(5)ハンダ耐熱性
縦3cm×横6cmの銅ポリイミド複合体を切り出し、中央部の2.5cm×2.5cmをビニールテープにてマスキングし、塩化第2鉄水溶液(鶴見曹達製)に浸漬し、銅箔層をエッチング処理し水洗を行った。その後、ビニールテープを除去し、得られた銅ポリイミド複合体を105℃にて熱風乾燥機にて乾燥させた後、300℃に設定したハンダ浴中に試料を、銅箔光沢面側をハンダ浴に接触するようにして1分静置した際の外観変化による評価を行った。
(6)煮沸ハンダ耐熱性
上記と同様にして縦3cm×横6cmの銅ポリイミド複合体を切り出し、中央部の2.5cm×2.5cmをビニールテープにてマスキングし、塩化第2鉄水溶液(鶴見曹達製)に浸漬し、銅箔層をエッチング処理し水洗を行った。その後、ビニールテープを除去し、得られた試料を煮沸水中にて2時間浸漬し、その後室温にて水中に浸漬し取出し、表面に付着する水をふき取り、すみやかに、280℃で1分静置した際の外観変化による評価を行った。
(7)吸湿膨張率:CHE
アルバック理工株式会社製熱機械分析装置(TM−9400)及び湿度雰囲気調整装置(HC−1)を用いて、幅3mm、長さ20mm(チャック間長さ15mm)、厚み20〜25μm、のフィルムを23℃、荷重5gにて湿度30%RHから70%RHに変化させた際の試験片の伸びから30%RH〜70%RHにおける平均値としてポリイミドフィルムの吸湿膨張率を求めた。
(8)弾性率、破断伸び
東洋ボールドウィン社製引張試験機(テンシロンUTM−2)を用いて、ポリイミドフィルム(10μm厚)の試験片(3mm×30mm)について引張試験(延伸速度:8mm/分)を実施し、応力―歪曲線の初期の勾配から弾性率を、ポリイミドフィルムが破断した時の伸び率から破断伸び(%)を求めた。
(9)難燃性
イミド化後のポリイミドフィルムの厚みが12μmとなるようにポリイミド前駆体をフィルム銅箔上に塗布した。窒素雰囲気中にて乾燥器中でイミド化したポリイミドフィルム付き銅箔を塩化第二鉄溶液にて銅箔をエッチングし、得られたサンプルを乾燥器105℃にて1時間以上放置し乾燥させた。その後、長さ20cm×幅5cmの大きさとなるように40枚作製した。40枚のサンプル中、20枚を23℃、相対湿度50%の雰囲気下に48時間以上放置(受理状態)し、残り20枚を温度70℃、168時間エージング後、温度23℃、相対湿度20%以下のデシケーター中にて4時間冷却した。各々のポリイミドフィルム各5枚を用いて、UL94 VTM試験に基づく評価方法にて23℃、相対湿度55%の雰囲気下にて燃焼性試験を行いVTM-0評価した。(なお、このとき評価に使用した炎は、20mmの大きさの青色炎で、銅スラグの100℃〜700℃までの昇温時間が42.9秒であった。)
(合成例1)p−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)の合成
1Lセパラフラスコ中に、N,N’−ジメチルホルムアミド溶液100ml、トリメリット酸クロリド200mmol(東京化成株式会社製)を溶解し、窒素雰囲気下にて氷浴にて0℃に冷却した。その後、N,N’−ジメチルホルムアミド溶液50ml、ピリジン50mlに、4,4’−ビフェノールを溶かした溶液を、10℃以下になるように2時間かけて100rpmにて滴下し、その後、室温にて6時間攪拌を行った。滴下を開始すると溶液は赤くなり、滴下終了になるにつれて黄色沈殿が生成した。
次いで、析出物をろ過し、N,N’−ジメチルホルムアミドで洗浄し、更に水で洗浄した後濾過を2回繰り返し、濾取物を乾燥して、p−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(以下TABPとする)を含む黄白色結晶を得た。その後、真空乾燥器にて減圧しながら、昇温速度10℃/分にて130℃、2時間加熱乾燥し、黄色結晶を得た。
(実施例1)
<TABPの評価>
300mlフラスコ中に、合成例1で得られた黄色結晶10gをγ−ブチロラクトン溶液150mlに入れ、オイルバスにて200℃まで加熱し30分かけて攪拌しながら溶解させた。このとき不溶物は、みられなかった。その後、オイルバスの加熱及び攪拌をやめ、室温まで徐冷した。
室温まで放置することにより、ゆるやかに溶液が2層分離しながら針状の黄白色結晶が析出した。析出物を濾過により分取し、真空乾燥器にて減圧しながら、昇温速度10℃/分にて130℃、2時間加熱乾燥後、さらに昇温速度10℃/分にて200℃、6時間加熱乾燥し真空度を保持しながら室温まで冷却した後、大気圧にした後、目的物の高純度TABP黄色結晶を得た。
得られたTABP5mgを示差走査熱量計(DSC−60、株式会社島津製作所製)にて測定した結果は、下記表1に示すように、融解熱のピーク温度(a)325℃、温度幅△T=((b)−(a))=3.2℃であった。
<ポリアミド酸ワニス組成物、イミド化およびポリイミドフィルム特性の評価>
よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中にモノマー骨格中にエステル基を含有するビス(4−アミノフェニル)イソフタレート(以下BPIPと称する)50mmol、N−メチル−2−ピロリドン191mL(脱水)(和光純薬工業株式会社製)(以下NMPと称する)に溶解した後、この溶液に得られたTABPの粉末50mmolを徐々に加えた。30分後、溶液粘度が急激に増加した。更に80℃で4時間撹拌し透明、均一で粘稠なエステル基を有するポリアミド酸ワニス組成物を得た。得られたポリアミド酸ワニス組成物は室温及び−20℃で一ヶ月間放置しても沈澱、ゲル化は全く起こらず、高い溶液貯蔵安定を示した。NMP中、30℃、0.5質量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリアミド酸の固有粘度は、2.8dL/gであった。このポリアミド酸ワニス組成物を5μmメンブレンフィルターにて窒素3kg/cmの加圧条件にて濾過を行い目的とするポリアミド酸ワニス組成物を得た。
同様にしてポリアミド酸の酸無水物とジアミンの仕込み比を0.90、0.92、0.94、0.96、0.98として重合させた。得られたポリアミド酸の固有粘度は、順に0.4dL/g、0.45dL/g、0.72dL/g、1.24dL/g、1.75dL/gとなり、適正な仕込み比にてポリアミド酸が製造できることを確認した。
金属製の塗工台に12μm厚の銅箔(日本電解株式会社 USLP箔)マット面側を表面になるように静置する。塗工台の表面温度を90℃に設定し、酸無水物とジアミンの仕込み比1.00にて得られたポリアミド酸ワニス組成物を用いてドクターブレードにて銅箔マット面に塗布する。その後、塗工台で30分静置、さらに乾燥器中で100℃で30分静置の後、タック性のないポリアミド酸フィルム(厚み45μm)を得た。その後、SUS製金属板にポリアミド酸フィルムをはりつけ、窒素雰囲気下、熱風乾燥器中にて、昇温速度5℃/分にて、150℃で30分、200℃で1時間、400℃で1時間にて、イミド化を行った。25μm厚みの銅箔つきポリイミドフィルムが得られた。
この銅箔付きポリイミドフィルムを塩化第2鉄溶液にて銅箔をエッチングすることにより膜厚25μmの薄茶色のポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムは180°折曲げ試験によっても破断せず、可撓性を示した。また如何なる有機溶媒に対しても全く溶解性を示さなかった。このポリイミドフィルムは、TMA測定により線熱膨張係数(50℃から200℃の間の平均値)は22ppm/Kと銅箔同等の線熱膨張係数を示した。また、吸湿膨張率を測定したところ5ppm/%RH(30%RHから70%RHの間の平均値)と、極めて低い吸湿膨張率を示した。また、90°銅箔接着強度を測定したところ1.4kg/cmと高い接着強度を示した。また、同様にして、膜厚12μmのポリイミドフィルムの難燃性を評価したところUL94 VTM−0の性能を示した。
また、同様にして、このポリアミド酸ワニス組成物を6インチのシリコンウエハ上に、スピンコーター(MS−250 ミカサ株式会社製)にてスピンコートし、乾燥器中で100℃で30分静置の後、タック性のないポリアミド酸フィルム(厚み17μm)を得た。その後、シリコンウエハを窒素雰囲気下、熱風乾燥器中にて、昇温速度5℃/分にて、150℃で30分、200℃で1時間、400℃で1時間にて、イミド化を行った。その後、フッ酸にてシリコンウエハから剥離して10μm厚みのポリイミドフィルムが得られた。得られたポリイミドフィルムについて引っ張り試験を行ったところ、弾性率5.4GPa及び破断伸び53%が得られた。これらの結果を下記表2に示す。
(実施例2)
300mlフラスコ中に、合成例1で得られた黄色結晶10g、スルホラン150mLに入れ、オイルバスにて180℃まで加熱し30分かけて攪拌しながら溶解させた。その後、実施例1同様にして評価を行った。得られたTABPを示差走査熱量計(DSC−60、株式会社島津製作所製)、にて測定したところ、下記表1に示すように、融解熱のピーク温度(a)322.5℃、温度幅△T=((b)−(a))=4.5℃であった。分子量が最大となるのは、仕込み比0.99であった。また、仕込み比0.99で得られたポリアミド酸の固有粘度は、順に2.4dL/gであり、ポリアミド酸ワニスの酸無水物とジアミンの仕込み比を0.90、0.92、0.94、0.96、0.98として重合させた。得られたポリアミド酸の固有粘度は、順に0.3dL/g、0.42dL/g、0.74dL/g、1.63dL/g、1.82dL/gとなり、ほぼ適正な仕込み比にてポリアミド酸が製造できることを確認した。そして、得られたポリアミド酸ワニス組成物を実施例1と同様にしてイミド化し、ポリイミドフィルムの特性の評価を行った。その結果を下記表2に併記する。
(比較例1)
合成例1で得られた黄色結晶を、再結晶及び無水化加熱処理を行うことなく実施例1同様にしてポリアミド酸ワニス組成物を得て、得られたポリアミド酸ワニス組成物をイミド化し、ポリイミドフィルムの特性の評価を行った。なお、黄色結晶を示差走査熱量計(DSC−60、株式会社島津製作所製)にて測定したところ、下記表1に示すように、融解熱のピーク温度(a)321℃、温度幅△T=((b)−(a))=7.3℃であった。
酸無水物とジアミンの仕込み比を0.90〜1.00まで0.02間隔にて重合させた。得られたポリアミド酸の固有粘度は、順に0.6dL/g、0.72dL/g、0.62dL/g、0.42dL/g、0.12dL/gとなり、分子量が最大となるのは、仕込み比0.92であった。また、仕込み比0.92で得られたポリアミド酸ワニス組成物を5μmメンブレンフィルターにて3kg/cmのN加圧濾過を行ったが、目詰まりが生じ、濾過ができなかった。そのため加圧濾過を実施せず、実施例1と同様にしてイミド化し、ポリイミドフィルムの特性の評価を行った。その結果を下記表2に併記する。
(比較例2)
300mlフラスコ中に、合成例1で得られた黄色結晶10g、ジメチルアセトアミド150mLに入れ、オイルバスにて混合溶媒の還流温度となるように180℃まで加熱し30分かけて攪拌しながら溶解させた。その後、実施例1と同様にして評価を行った。得られたTABPを示差走査熱量計(DSC−60、株式会社島津製作所製)にて測定したところ、下記表1に示すように、融解熱のピーク温度(a)322℃、温度幅△T=((b)−(a))=6.2℃であった。
分子量が最大となるのは、仕込み比0.92であった。また、仕込み比0.92で得られたポリアミド酸の固有粘度は、順に0.74dL/gであり、さらなる高分子量化体が得られなかった。ポリアミド酸ワニス組成物を5μmメンブレンフィルターにて3kg/cmのN加圧濾過を行うことができなかった。そのため加圧濾過を実施せず、実施例1と同様にしてイミド化し、ポリイミドフィルムの特性の評価を行った。その結果を下記表2に併記する。
(比較例3)
300mlフラスコ中に、合成例1で得られたTABP10g、NMP150mLに入れ、オイルバスにて混合溶媒の還流温度となるように200℃まで加熱しTABPを30分かけて攪拌しながら溶解させた。1週間放置しても目的とする結晶が析出しなかった。そのため、溶媒を加熱減圧留去し、白色の残留物を得た。その後、実施例1と同様に真空乾燥を行うことにより薄黄色結晶を得た。TABPが開環した構造が主生成物であることが判明した。
Figure 2009275183
Figure 2009275183
表2から分かるように、融解熱のピーク温度(a)が322℃以上で、温度幅△Tが5℃以下であるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物を用いたポリイミドフィルム(実施例1、実施例2)は、FPCやTABで必要とされる特性すべてについて優れたものであった。一方、融解熱のピーク温度(a)が322℃未満で、温度幅△Tが5℃を超えるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物を用いたポリイミドフィルム(比較例1、比較例2)は、破断伸びなどの機械強度、難燃性能が著しく低下したものであった。
本発明は、高密度配線や高信頼性を必要とするフレキシブルプリント基板やICパッケージ基板等の配線基材に好適である。
示差走査熱量計にて示されるプロファイルを示す図である。

Claims (5)

  1. 式(1)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを付加重合させてなるポリアミド酸と、溶媒と、を含むポリアミド酸ワニス組成物において、前記エステル基含有テトラカルボン酸二無水物が、示差走査熱量計にて示されるプロファイルにおいて、融解熱ピークの温度を(a)℃とし、前記融解熱ピークへの立ち上がりが開始する温度を接点とする仮想接線と、前記融解熱ピークの略直線部分に沿う直線との交点となる温度を(b)℃とし、温度幅を△T=((b)−(a))℃とするとき、(a)≧322℃及び△T≦5℃を満足することを特徴とするポリアミド酸ワニス組成物。
    Figure 2009275183
  2. 請求項1記載のポリアミド酸ワニス組成物をイミド化させて得られることを特徴とするポリイミド樹脂。
  3. 金属基体と、前記金属基体上に形成されており、請求項2記載のポリイミド樹脂で構成された層と、を具備することを特徴とする金属ポリイミド複合体。
  4. 前記金属基体が銅で構成されていることを特徴とする請求項3記載の金属ポリイミド複合体。
  5. 環状エステル構造、環状ケトン構造、環状カーボネート構造、環状スルホン構造を有する有機溶媒に、固形分濃度を50%以下とし、150℃〜300℃の温度にて完全溶解させ、再結晶した後に無水化加熱乾燥処理してエステル基含有テトラカルボン酸二無水物を得る工程と、前記エステル基含有テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを溶媒中で付加重合させてポリアミド酸ワニス組成物を得る工程と、を具備することを特徴とするポリアミド酸ワニス組成物の製造方法。
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