JP4846609B2 - エステル基及びオキサゾール構造を有するポリイミド前駆体、ポリイミド及びその製造方法 - Google Patents
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Description
電子機器の軽薄短小化が進むにつれて、ポリイミドへの要求特性も年々厳しさを増し、ハンダ耐熱性だけに留まらず、熱サイクルや吸湿に対するポリイミドフィルムの寸法安定性、透明性、金属基板との接着性、成型加工性、スルーホールなどの微細加工性など、複数の特性を同時に満足する多機能性ポリイミド材料が求められるようになってきている。
多くのポリイミドは、有機溶媒に不溶で、ガラス転移温度以上でも溶融しないため、ポリイミドそのものを成型加工することは通常容易ではない。そのため、ポリイミドは一般に、無水ピロメリット酸(PMDA)などの芳香族テトラカルボン酸二無水物と4,4’−オキシジアニリン(ODA)などの芳香族ジアミンとを、ジメチルアセトアミド(DMAc)などの非プロトン性極性有機溶媒中で等モル反応させて、先ず高重合度のポリイミド前駆体(ポリアミド酸)を重合し、このワニスを銅箔上に塗付し、250〜400℃で加熱し、脱水閉環(イミド化)して製膜される。
熱応力低減の方策として、絶縁膜であるポリイミド自身を低熱膨張化することが有効である。殆どのポリイミドでは、線熱膨張係数が40〜100ppm/Kの範囲にあり、金属基板、例えば、銅の線熱膨張係数17ppm/Kよりもはるかに大きいため、銅の値に近い、およそ20ppm/K以下の線熱膨張係数を示す、低熱膨張性ポリイミドの研究開発が行われている。
ポリイミドの寸法安定性は、熱サイクルだけでなく吸湿に対しても要求される。従来のポリイミドでは2〜3wt%も吸湿する。絶縁層の吸湿による寸法変化に伴う回路の位置ずれは、高密度配線や多層配線にとって深刻な問題である。ポリイミド/導体界面でのコロージョン、イオンマイグレーション、絶縁破壊など、電気特性の低下によって更に深刻な問題を引き起こす恐れがある。そのため絶縁膜としてのポリイミド層はできるだけ吸湿膨張率が低いことが求められている。
また、銅箔と基材との接着性の向上のために、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを利用したポリイミドフィルムが報告されている(特許文献2参照)。ベンゾオキサゾール構造は、剛直構造、高耐熱性であり、接着性の向上が期待できる。しかしながら、得られるポリイミドフィルムはオキサゾール構造の含有率によっては、膜厚や作製条件にもよるが、線熱膨張係数が5〜9ppm/Kと非常に低く、銅箔と同等の熱膨張係数へ制御することが難しい。さらに、オキサゾール構造の環構造中の酸素原子や窒素原子の存在により、吸湿膨張率の悪化が懸念される。
Macromolecules,29,7897(1996)
即ち、本発明は以下に示すものである。
1.下記一般式(1)と下記一般式(2)で表される構造を有するポリイミド前駆体であって、XとYの比が60/40〜99/1である、エステル基及びオキサゾール構造を有するポリイミド前駆体。
4.1に記載のエステル基及びオキサゾール構造を有するポリイミド前駆体を主成分として含有するワニスを金属箔上に塗付、乾燥後、加熱によりあるいは脱水試薬を用いてイミド化させることを特徴とする、金属層と2に記載のポリイミドから構成される樹脂層との積層板の製造方法。
5.4に記載の積層板の金属層をエッチングすることを特徴とする、フレキシブルプリント配線基板の製造方法。
本発明において着目したエステル基及びオキサゾール構造は、エーテル構造に比べて内部回転障壁が高く、コンホメーション変化が比較的妨げられているため、剛直構造単位として振舞い、且つ、ポリイミド主鎖にある程度の柔軟さも付与し、可撓性のフィルムを与えることが期待される。
一方、オキサゾール構造は、環構造中の酸素原子や窒素原子の存在により、金属との相互作用を高め、接着性向上にも有利であることが期待される。
本発明に係るポリイミド前駆体は、エステル基含有酸二無水物及び/又はエステル基含有ジアミンからエステル基を有するモノマーを選択し、オキサゾール構造含有ジアミンを共に用いることにより製造される。
式(16)、式(17)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物が用いられる場合、B成分のモノマーは、式(18)〜式(20)のエステル基含有ジアミンに限定されず、式(21)で表される芳香族ジアミンを選択してもよい。
本発明に係るポリイミドは、式(14)と式(15)で表される構造を有するポリイミドであって、XとYの比が60/40〜99/1であるエステル基及びオキサゾール構造を有することに特徴を有している。XとYのモル比は60/40〜99/1の割合であり、80/20〜95/5の割合であることが好ましい。このように、本発明に係るポリイミドはエステル基とオキサゾール構造を有する単位の構成比により、高ガラス転移温度、高耐熱性、低吸湿膨張率、銅箔同等の低熱膨張係数、銅などの金属との十分な接着性、を同時に実現する。式(14)、式(15)で表される構造を有するポリイミドにおいて、吸湿膨張率の観点から、オキサゾール構造を有する構成成分のモル比は40%より少ないことが好ましく、金属との接着性の観点より、1%より多いことが好ましい。
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明するが、これらは本発明の実施形態の一例であり、これらの内容に限定されない。
本発明においては、式(16)、式(17)で表されるエステル基含有酸二無水物又は、式(18)〜式(20)で表されるエステル基含有ジアミンから、少なくとも1種のエステル基含有モノマーを選択し、式(24)〜式(26)で表されるオキサゾール構造含有ジアミンから少なくとも1種を選択し、酸二無水物とジアミンとを組み合わせて重合反応させることにより、産業上極めて有用な、エステル基及びオキサゾール構造を有するポリイミドを提供することができる。エステル基及びオキサゾール構造を有するモノマーの剛直性、疎水性、置換基の立体的嵩高さという構造上の特徴と、エステル基とオキサゾール構造を有する単位の構成比により、樹脂とした際に、銅箔同等の低線熱膨張係数、低吸湿膨張率、金属箔への十分な接着性、高ガラス転移温度、高膜靭性を併せ持つ、従来の材料では得ることのできなかった物性を有する材料とすることを達成した。
本発明に係るポリイミド前駆体を製造する方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。より具体的には、以下の方法により得られる。
まず、ジアミンを重合溶媒に溶解し、これにテトラカルボン酸二無水物粉末を徐々に添加し、0〜100℃、好ましくは20〜60℃で、メカニカルスターラーを用い0.5〜100時間、好ましくは1〜24時間攪拌する。この際、モノマー濃度は、重合度の観点や、モノマーや生成するポリマーの溶解性の観点から、5〜50wt%が好ましく、10〜40wt%がより好ましい。ポリイミドフィルムの靭性の観点から、ポリイミド前駆体の重合度はできるだけ高いことが望ましく、上記のモノマー濃度範囲で重合を行うことにより、均一で高重合度のポリイミド前駆体溶液(ワニス)を得ることができる。ポリイミドフィルムの靭性及びワニスのハンドリングの観点から、ポリイミド前駆体の固有粘度は0.1〜15.0dL/gの範囲が好ましく、0.5〜5.0dL/gの範囲であることがより好ましい。また、重合様式は任意であり、ランダム共重合様式やブロック共重合様式などが挙げられる。
本発明に係るポリイミド前駆体は、その重合溶液を大量の水やメタノールなどの貧溶媒中に滴下・濾過・乾燥し、粉末として単離することもできる。
本発明に係るポリイミドは、上記の方法で得られたポリイミド前駆体を脱水閉環反応(イミド化反応)させることで製造することができる。得られたポリイミドの使用可能な形態は、フィルム、金属箔/ポリイミドフィルム積層体、粉末、成型体及び溶液である。
まず、ポリイミドフィルムを製造する方法について述べる。
ポリイミド前駆体の重合溶液(ワニス)をガラス、銅、アルミニウム、シリコンなどの基板上に流延し、オーブン中40〜180℃、好ましくは50〜150℃で乾燥する。得られたポリイミド前駆体フィルムを基板上で真空中、窒素などの不活性ガス中、あるいは空気中で、200〜430℃、好ましくは250〜400℃で加熱することで、本発明に係るポリイミドフィルムを製造することができる。イミド化の閉環反応の観点から、200℃以上であり、生成したポリイミドフィルムの熱安定性の観点から、430℃以下である。イミド化は真空中あるいは不活性ガス中で行うことが望ましいが、イミド化温度が高すぎなければ空気中で行っても、差し支えない。
ここでは、ポリイミド前駆体ワニスからのポリイミドフィルムの製造方法について述べたが、これに限定されず、熱乾燥させたポリイミド前駆体フィルムや、単離したポリイミド前駆体を、加熱により、あるいは脱水試薬を用いて環化反応させることなどによりポリイミドを製造しても良い。ポリイミドが溶媒に不溶な場合は、結晶性のポリイミド粉末を沈殿物として得ることもできる。
上記のようにして得られたポリイミドワニスを基板上に塗布し、40〜400℃、好ましくは100〜300℃で乾燥することによってもポリイミドフィルムを形成することができる。
また、得られたポリイミド粉末を200〜450℃、好ましくは250〜430℃で加熱圧縮することでポリイミドの成型体を作製することができる。
本発明に係るポリイミド前駆体のワニスを、金属箔、例えば銅箔上に塗付、乾燥後、上記の条件によりイミド化することで、FPC基板の原反である、金属層とポリイミド樹脂層の積層板(FCCL)を得ることができる。
FPC基板の金属層としては、種々の金属箔を使用することができるが、好ましくは、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔などを挙げることができる。これらの金属箔は、マット処理、メッキ処理、クロメート処理、アルミニウムアルコラート処理、アルミニウムキレート処理、シランカップリング剤処理などの表面処理を行ってもよい。
金属箔の厚みは、特に限定されないが、好ましくは35μm以下、さらに好ましくは6〜18μmである。
まず、本発明に係るポリイミド前駆体ワニスを、金属箔上に、ブレードコーターや、リップコーター、グラビアコーターなどを用い塗布(塗工)した後、乾燥させて、ポリイミド前駆体層を形成する。塗工厚は、ポリイミド前駆体ワニスの固形分濃度に影響されるが、ポリイミド前駆体層を、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性雰囲気下にて、200〜400℃にて熱イミド化させることによりポリイミド樹脂(絶縁)層を形成することができる。ポリイミド樹脂(絶縁)層の厚みは、100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは3〜25μmである。
本発明に係るポリイミド及びその前駆体中には、必要に応じて、酸化安定剤、フィラー、接着促進剤、シランカップリング剤、感光剤、光重合開始剤及び増感剤などの添加物を加えることができる。
本発明に係るポリイミド及びその前駆体中には、必要に応じて、酸化安定剤、フィラー、接着促進剤、シランカップリング剤、感光剤、光重合開始剤及び増感剤などの添加物を加えることができる。
<赤外線吸収スペクトル>
フーリエ変換赤外分光光度計(Thermo Nicolet社製Avatar360 FT−IR)を用い、全反射法にてポリイミドフィルム(25μm厚)の赤外線吸収スペクトルを測定した。
<固有粘度:h>
0.5重量%のポリイミド前駆体溶液を、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
<ガラス転移温度:Tg>
島津製作所製熱機械分析装置(TMA−50)を用いて、熱機械分析により、荷重5g、昇温速度10℃/分、窒素雰囲気下(流量20ml/分)、温度50〜450℃の範囲における試験片伸びの測定を行い、得られた曲線の変曲点から、ポリイミドフィルム(25μm厚)のガラス転移温度を求めた。
島津製作所製熱機械分析装置(TMA−50)を用いて、熱機械分析により、荷重5g、昇温速度10℃/分、窒素雰囲気下(流量20ml/分)、温度50〜450℃の範囲における試験片伸びの測定を行い、50〜200℃の範囲での平均値として、ポリイミドフィルム(25μm厚)の線熱膨張係数を求めた。
<吸湿膨張率:CHE>
アルバック理工株式会社製熱機械分析装置(TM−9400)及び湿度雰囲気調整装置(HC−1)を用いて、幅3mm、長さ30mm(チャック間長さ15mm)、厚み20〜25μmのフィルムを、23℃、荷重5gにて湿度10%RHから80%RHに変化させた際の試験片の伸びから、10%RH〜80%RHにおける平均値として、ポリイミドフィルムの吸湿膨張率を求めた。
接着強度のサンプル作製法及び測定法については、JIS C6471規格に準じて行った。ポリイミド前駆体を銅箔上に塗布し乾燥器中でイミド化したポリイミドフィルム付き銅箔を、長さ15cm×幅1cmの大きさに切断し、1cmの中心幅3mmを残し、塩化第二鉄溶液にてエッチングした。得られたサンプルを、乾燥器中105℃にて1時間以上放置し乾燥させ、その後、厚み3mmのFR−4基板に両面粘着テープにて取り付けた。幅3mmの導体をポリイミドフィルムとの界面で引剥がしアルミ製テープに張りつけ、掴み代とした。
上記のようにして作製した試料を、島津製作所製引っ張り試験機(オートグラフAG-10KNI)に固定した。固定する際、確実に90°の方向に引き剥がすために治具をとりつけた。毎分約50mmの速度にて50mm引き剥がした際の荷重を測定し、1cmあたりの接着強度として算出した。
ポリイミド前駆体を銅箔上に塗布し乾燥器中でイミド化したポリイミドフィルム付き銅箔を、長さ3cm×幅3cmの大きさに切断し、中心部2.5cm×2.5cmを残し、外周部を塩化第二鉄溶液にて銅箔をエッチングした。得られたサンプルを乾燥器に入れ105℃にて1時間以上放置し乾燥させた後、300℃に設定されたハンダ浴中に、銅箔側が接するようにハンダ浴表面に2分間静置した後、取り出した。銅箔とポリイミドフィルム中のふくれ、銅箔の皺の発生の有無など、外観の変化を目視により評価し、外観の変化が見られない場合を良好な結果(○)とした。
ポリイミド前駆体を銅箔上に塗布し乾燥器中でイミド化したポリイミドフィルム付き銅箔を長さ3cm×幅3cmの大きさに切断し、中心部2.5cm×2.5cmを残し、外周部を塩化第二鉄溶液にて銅箔をエッチングした。還流冷却器付き容器に精製水を入れ、得られたサンプルを浸漬し、100℃で2時間静置した。その後、常温の精製水中にサンプルを投入し、各サンプルを1枚ずつ取り出し、両面の水分を紙タオルでふきとった。その後、280℃に設定されたハンダ浴中に、銅箔側が接するようにハンダ浴表面に2分間静置した後、取り出した。銅箔とポリイミドフィルム中のふくれ、銅箔の皺の発生の有無など、外観の変化を目視により評価し、外観の変化が見られない場合を良好な結果(○)とした。
(合成例1)オキサゾール構造含有ジアミンの合成1
2Lセパラフラスコ中に、ポリリン酸1000g、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル200mmol(和歌山精化工業株式会社製)を入れ、窒素雰囲気下にて150℃、2時間攪拌を行った。その後p−アミノ安息香酸400mmol(和光純薬工業社製)を加え、200℃にて5時間反応させた。反応液を室温まで放令後、精製水中に滴下し、得られた黄緑色析出物をろ過により分取した後、125℃で真空乾燥させ、粗結晶を得た。その後、粗結晶をN−メチルピロリドンに100℃付近で溶解させ、室温まで放冷した溶液をろ過し、不溶成分を除去した後、得られたろ液に3wt%炭酸ナトリウム水溶液を滴下し、固体を析出させた。析出した固体を、ろ過により分取し、精製水で2〜3回洗浄した後、125℃にて真空乾燥させ、下記式(27)で表されるオキサゾール構造含有ジアミン(以下、OXAと称する)を得た。
3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルの代わりに、2,4−ジアミノフェノール二塩酸塩(和光純薬工業社製 商品名アミドール)を用い、2,4−ジアミノフェノール二塩酸塩とp−アミノ安息香酸の仕込みモル比を当量にした以外は、合成例1と同様にして、ポリリン酸中にて脱水閉環反応及び分離・精製を行い、下記式(28)で表されるオキサゾール構造含有ジアミン(以下、BOXAと称する)を得た。
3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルの代わりに、2,4−ジアミノフェノール二塩酸塩(和光純薬工業社製 商品名アミドール)、p−アミノ安息香酸の代わりに、テレフタル酸(和光純薬工業社製)を用いた以外は、合成例1と同様にして、ポリリン酸中にて脱水閉環反応及び分離・精製を行い、下記式(29)で表されるオキサゾール構造含有ジアミン(以下、PBOXAと称する)を得た。
<ポリイミド前駆体の重合、イミド化及びポリイミドフィルム特性の評価>
よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中に式(30)で表されるエステル基含有ジアミン(以下、APABと称する)28mmol、式(27)で表されるOXA7.2mmolを入れ、N−メチル−2−ピロリドン145mLに溶解した後、この溶液に式(31)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物(以下、TAMHQと称する)の粉末35.8mmolを徐々に加えた。30分後、溶液粘度が急激に増加した。
次いで、金属製の塗工台に、12μm厚の銅箔(日本電解株式会社 USLP箔)を、マット面側が表面になるように静置した。塗工台の表面温度を90℃に設定し、得られたポリイミド前駆体溶液を、ドクターブレード用いて、銅箔マット面に塗布した。その後、塗工台で30分間静置し、さらに乾燥器中で100℃にて30分間静置した。タック性のないポリイミド前駆体フィルム(厚み45μm)が得られた。続いて、SUS製金属板にポリイミド前駆体フィルムを貼りつけ、窒素雰囲気下、熱風乾燥器中にて、昇温速度5℃/分で、150℃で30分間、200℃で1時間、400℃で1時間静置して、イミド化を行った。カールのない銅箔付きフィルムが得られた。この銅箔付きフィルムを塩化第二鉄溶液にて銅箔をエッチングすることにより、膜厚25μmの薄茶色のポリイミドフィルムを得た。
表1に物性値をまとめる。得られたポリイミドフィルムの赤外線吸収スペクトルを図1に示す。
実施例1と同様にして、よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中に、APAB26mmol、OXA1.4mmolを入れ、N−メチル−2−ピロリドン110mLに溶解した後、この溶液にTAMHQ28mmolを加え、組成比を変更した以外は、実施例1に記載した方法に従って、ポリイミド前駆体を重合し、製膜、イミド化して、ポリイミドフィルムを作製し、物性を評価した。共重合組成(モル比)はAPAB:OXA=95:5である。このポリイミドフィルムは180°折曲げ試験によっても破断せず、可撓性を示した。N−メチル−2−ピロリドンやジメチルアセトアミドなどの有機溶媒に対して溶解性を示さなかった。高いガラス転移温度、銅箔同等の低い線熱膨張係数、低吸湿膨張率、銅箔との高い接着性、良好なハンダ耐熱性を示した。物性値を表1に示す。得られたポリイミドフィルムの赤外線吸収スペクトルを図2に示す。
TAMHQの代わりにエステル基含有テトラカルボン酸二無水物として式(32)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物(以下、TAHQと称する)を用いた以外は、実施例1に記載した方法に従って、ポリイミド前駆体を重合し、製膜、イミド化して、ポリイミドフィルムを作製し、物性を評価した。共重合組成(モル比)はAPAB:OXA=80:20である。このポリイミドフィルムは、180°折曲げ試験によっても破断せず、可撓性を示した。N−メチル−2−ピロリドンやジメチルアセトアミドなどの有機溶媒に対して溶解性を示さなかった。高いガラス転移温度、銅箔同等の低い線熱膨張係数、極めて低い低吸湿膨張率、銅箔との十分な接着性、良好なハンダ耐熱性を示した。物性値を表1に示す。得られたポリイミドフィルムの赤外線吸収スペクトルを図3に示す。
オキサゾール構造含有ジアミンとしてBOXAを用いた以外は、実施例1に記載した方法に従って、ポリイミド前駆体を重合し、製膜、イミド化して、ポリイミドフィルムを作製し、同様に物性を評価した。共重合組成(モル比)はAPAB:BOXA=80:20である。このポリイミドフィルムは180°折曲げ試験によっても破断せず、可撓性を示した。N−メチル−2−ピロリドンやジメチルアセトアミドなどの有機溶媒に対して溶解性を示さなかった。高いガラス転移温度、銅箔同等の低い線熱膨張係数、極めて低い低吸湿膨張率、銅箔との十分な接着性、良好なハンダ耐熱性を示した。物性値を表1に示す。得られたポリイミドフィルムの赤外線吸収スペクトルを図4に示す。
オキサゾール構造含有ジアミンとしてPBOXAを用いた以外は、実施例1に記載した方法に従って、ポリイミド前駆体を重合し、製膜、イミド化して、ポリイミドフィルムを作製し、同様に物性を評価した。共重合組成(モル比)はAPAB:PBOXA=80:20である。このポリイミドフィルムは180°折曲げ試験によっても破断せず、可撓性を示した。N−メチル−2−ピロリドンやジメチルアセトアミドなどの有機溶媒に対して溶解性を示さなかった。高いガラス転移温度、銅に近い線熱膨張係数、低吸湿膨張率、銅箔との高い接着性、良好なハンダ耐熱性、膜靭性を示した。物性値を表1に示す。得られたポリイミドフィルムの赤外線吸収スペクトルを図5に示す。
実施例1と同様にして酸二無水物としてTAMHQを用い、APAB、OXAの組成比を変更した以外は、実施例1に記載した方法に従って、ポリイミド前駆体を重合し、製膜、イミド化して、ポリイミドフィルムを作製し、同様に物性を評価した。共重合組成(モル比)はAPAB:OXA=50:50である。銅に近い線熱膨張係数、銅箔との高い接着性、高いガラス転移温度、及び膜靭性を示したが、吸湿膨張率は10ppm/%RHと高い値であった。物性値を表1に示す。
TAMHQやTAHQの代わりに、エステル基を有しない3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAと称する)を用い、OXA及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、ODAと称する)を用いた以外は、実施例1に記載した方法に従って、ポリイミド前駆体を重合し、製膜、イミド化して、ポリイミドフィルムを作製し、物性を評価した。共重合組成(モル比)はOXA:ODA=80:20である。銅箔同等の低い線熱膨張係数、銅箔との高い接着性、高いガラス転移温度、及び膜靭性を示したが、吸湿膨張率は10ppm/%RHと高い値であった。物性値を表1に示す。
TAMHQやTAHQの代わりにBPDAを用い、OXAの代わりにBOXAを用い、ODAを用いた以外は、実施例1に記載した方法に従って、ポリイミド前駆体を重合し、製膜、イミド化して、ポリイミドフィルムを作製し、物性を評価した。銅箔同等の低い線熱膨張係数、銅箔との高い接着性、高いガラス転移温度、及び膜靭性を示したが、吸湿膨張率は12ppm/%RHと高い値であった。物性値を表1に示す。
OXAの代わりにODAを用いた以外は、実施例1に記載した方法に従って、ポリイミド前駆体を重合した。N−メチル−2−ピロリドン中、30℃、0.5重量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリイミド前駆体の固有粘度は、0.82dL/gであった。実施例1に記載した方法に従って、製膜、イミド化して、ポリイミドフィルムを作製し、物性を評価した。実施例1〜5に記載のポリイミドと同様に、高いガラス転移温度、銅箔同等の低い線熱膨張係数、及び膜靭性を示したが、吸湿膨張率は8.3ppm/%RHと高く、また、銅箔との接着強度も0.3kg/cmと低い値であった。物性値を表1に示す。
Claims (5)
- 下記一般式(1)と下記一般式(2)で表される構造を有するポリイミド前駆体であって、XとYの比が60/40〜99/1である、エステル基及びオキサゾール構造を有するポリイミド前駆体。
- 下記一般式(14)と下記一般式(15)で表される構造を有するポリイミドであって、XとYの比が60/40〜99/1の割合である、エステル基及びオキサゾール構造を有するポリイミド。
- 請求項1に記載のエステル基及びオキサゾール構造を有するポリイミド前駆体を加熱によりあるいは脱水試薬を用いて環化反応(イミド化)させることを特徴とする、請求項2に記載のポリイミドの製造方法。
- 請求項1に記載のエステル基及びオキサゾール構造を有するポリイミド前駆体を主成分として含有するワニスを金属箔上に塗付、乾燥後、加熱によりあるいは脱水試薬を用いてイミド化させることを特徴とする、金属層と請求項2に記載のポリイミドから構成される樹脂層との積層板の製造方法。
- 請求項4に記載の積層板の金属層をエッチングすることを特徴とする、フレキシブルプリント配線基板の製造方法。
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