JP2009286854A - ポリエステルイミド前駆体およびポリエステルイミド - Google Patents

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匡俊 長谷川
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Abstract

【課題】本発明のポリエステルイミド前駆体は、高いガラス転移温度(ハンダ耐熱性)、金属箔と同等かまたはそれより低い線熱膨張係数、極めて低い吸水率、極めて低い吸湿膨張係数、優れた難燃性、高い熱安定性及び十分な靭性を併せ持つポリエステルイミドを提供すること。
【解決手段】本発明のポリエステルイミド前駆体は、下記式(1)で表される反復単位を含有することを特徴とする。
【化1】
Figure 2009286854

(式(1)中、構造単位Aは4価の芳香族基あるいは脂環族基を表す。Rは炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基、およびフェニル基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、高いガラス転移温度、金属箔と同等かまたはそれより低い線熱膨張係数、極めて低い吸水率、極めて低い吸湿膨張係数、優れた難燃性、及び十分な靭性を併せ持つ、フレキシブルプリント配線(FPC)用基板、チップオンフィルム(COF)用基板、テープオートメーションボンディング(TAB)用基板、各種電子デバイスにおける電気絶縁膜および液晶ディスプレー(LCD)用基板、有機エレクトロルミネッセンスディスプレー(ELD)用基板、電子ペーパー用基板、太陽電池用基板、特にFPC、COFおよびTAB用絶縁基板材料として有用なポリエステルイミドの前駆体およびポリエステルイミドに関する。
ポリイミドは、優れた耐熱性のみならず、耐薬品性、耐放射線性、電気絶縁性、優れた機械的性質などの特性を併せ持つことから、現在FPC、COFおよびTAB用基板、半導体素子の保護膜、集積回路の層間絶縁膜等、様々な電子デバイスに現在広く利用されている。ポリイミドはこれらの特性以外にも、製造方法の簡便さ、極めて高い膜純度、入手可能な種々のモノマーを用いた物性改良のしやすさといったことから、近年益々その重要性が高まっている。
電子機器の軽薄短小化が進むにつれてポリイミドへの要求特性も年々厳しさを増し、ハンダ耐熱性だけに留まらず、熱サイクルや吸湿に対するポリイミドフィルムの寸法安定性、透明性、金属箔との接着性、難燃性、成型加工性、ビアホール等の微細加工性等、複数の特性を同時に満足する多機能性ポリイミド材料が求められるようになってきている。
近年、FPC、COFおよびTAB用基板としてのポリイミドの需要が飛躍的に増加している。これらの原反(銅張積層板、FCCL)の構成は主に3つの様式に分類される。即ち、1)ポリイミドフィルムと銅箔とをエポキシ系接着剤等を用いて貼り付ける3層タイプ、2)銅箔にポリイミドワニスの塗付後乾燥または、ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)ワニスを塗布後、乾燥・イミド化するか、あるいは蒸着・スパッタ等によりポリイミドフィルム上に銅層を形成する無接着剤2層タイプ、3)接着層として熱可塑性ポリイミドを用いる擬似2層タイプが知られている。ポリイミドフィルムに高度な寸法安定性が要求される用途では接着剤を使用しない2層FCCLが有利である。寸法安定性は、熱膨張及び吸湿の両方に対して求められている。
例えば、FPC基板における絶縁材料であるポリイミドは実装工程における様々な熱サイクルに曝されて寸法変化が起こる。これをできるだけ抑えるためには、ポリイミドのガラス転移温度(Tg)が工程温度よりも高いことに加えて、ガラス転移温度以下での線熱膨張(係数)ができるだけ低いことが望ましい。後述するようにポリイミド層の線熱膨張(係数)の制御は2層FCCL製造工程中に発生する残留応力の低減の観点からも極めて重要である。
多くのポリイミドは有機溶媒に不溶で、ガラス転移温度以上でも溶融しないため、ポリイミドそのものを成型加工することは通常容易ではない。そのためポリイミドは一般に、無水ピロメリット酸(PMDA)等の芳香族テトラカルボン酸二無水物と4,4’−オキシジアニリン(ODA)等の芳香族ジアミンとをジメチルアセトアミド(DMAc)等の非プロトン性極性有機溶媒中で等モル反応させて、先ず高重合度のポリイミド前駆体(ポリアミド酸)を重合し、このワニスを銅箔上に塗付し、250℃〜400℃で加熱脱水閉環(イミド化)して製膜される。
残留応力は、高温でのイミド化反応後にポリイミド/金属基板積層体を室温へ冷却する過程で発生し、FCCLの反り、剥離、膜の割れ等、深刻な問題がしばしば起こる。
熱応力低減の方策として、絶縁膜であるポリイミド自身を低熱膨張化することが有効である。殆どのポリイミドでは線熱膨張係数が50℃〜200℃の範囲にて40ppm/K〜100ppm/Kの範囲にあり、金属箔例えば銅の線熱膨張係数17ppm/Kよりもはるかに大きいため、銅の値に近い、およそ20ppm/K以下を示す低熱膨張性ポリイミドの研究開発が行われている。
現在実用的な低熱膨張性ポリイミド材料としては3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンから形成されるポリイミドが最もよく知られている。このポリイミドフィルムは、膜厚や作製条件にもよるが、5ppm/K〜15ppm/Kと非常に低い線熱膨張係数を示すことが知られている(例えば非特許文献1参照)。しかしながらこれは低吸水性を示さない。
ポリイミドの寸法安定性は、熱サイクルだけでなく吸湿に対しても要求される。従来のポリイミドでは2〜3質量%も吸湿する。絶縁層の吸湿は、高密度配線や多層配線においては、寸法変化に伴う回路の位置ずれやポリイミド/導体界面でのコロージョン、イオンマイグレーション、絶縁破壊等、電気特性の低下という問題を生じさせる可能性があり、吸湿の抑制は改善すべき極めて重要な課題であった。そのためポリイミド層はできるだけ吸水率が低いことが求められている。
低吸水率を実現するための分子設計として、例えば下記式(3)で表されるエステル基含有ジアミンを使用してポリイミド骨格へのパラ芳香族エステル結合を導入することが有効であることが報告されている(例えば非特許文献2参照)。
Figure 2009286854
しかしながら、このエステル基含有ジアミンを用いる限り、汎用のテトラカルボン酸二無水物と組み合わせて得られるポリイミドフィルムの吸水率はある程度は下げることはできるが、0.7%が限界である。
パラ芳香族エステル結合の含有率を更に増加した例えば下記式(4)で表される剛直な構造を有するエステル基含有ジアミン(以下ABHQと称する)を用いた場合、低CTE特性や高ガラス転移温度等、目的の物性を保持したままで更なる低吸水率化が実現可能であると期待される。
Figure 2009286854
しかしながら、ABHQの極めて剛直な分子構造に由来して、溶媒に対する溶解性が極めて乏しいため、重合反応の際に重合溶媒に溶解しにくく、重合反応後も溶け残りが生じて、ワニスをガラスフィルター等で濾過する必要が生じたり、これを避けるために重合反応を加熱した状態で行うことが必要となる場合がある。そのため室温で重合を行おうとするとしばしば極めて長時間の攪拌が必要となる等、ポリイミド前駆体の重合工程の煩雑さや生産効率が低下するといった重大な問題を生じる恐れがある。これらに加え、重合反応によって生じたポリイミド前駆体またはそのオリゴマーも溶解性が乏しく、重合時にこれらが析出、あるいはワニスがゲル化する等、均一なポリイミド前駆体ワニスを得ることが困難となる等深刻な問題をしばしば生ずる。
ポリイミド前駆体の重合反応性(生産性)やワニスの均一性および貯蔵安定性を保持したまま低線熱膨張係数(目標値として20ppm/K以下)、低吸水率(目標値0.5%以下)、低吸湿膨張係数(目標値10ppm/RH%以下)、十分な靭性、ハンダ耐熱性且つ難燃性(目標値UL94規格、V−0)を満足するポリイミドを得ることは分子設計上容易ではなく、このような要求特性を満足する実用的な耐熱絶縁材料は今のところ殆ど知られていないのが現状である。
Macromolecules,29,7897(1996) High Performance Polymers,18,697(2006)
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、高いガラス転移温度(ハンダ耐熱性)、金属箔と同等かまたはそれより低い線熱膨張係数、極めて低い吸水率、極めて低い吸湿膨張係数、優れた難燃性、高い熱安定性及び十分な靭性を併せ持つ、FPC、COF,TAB用絶縁基板材料、各種電子デバイスにおける電気絶縁膜およびLCDおよび有機ELD用基板、電子ペーパー用基板、太陽電池用基板、特にFPC、COFおよびTAB用絶縁基板材料として有用なポリエステルイミドの前駆体およびポリエステルイミドを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を積み重ねた結果、下記式(1)で表されるポリエステルイミド前駆体のワニスを銅箔等の導体基板上に塗付・乾燥してフィルムとし、これを熱的に又脱水環化試薬等を用いてイミド化して、得られた下記式(2)で表されるポリエステルイミドフィルムが、上記産業分野において極めて有益な材料となることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のポリエステルイミド前駆体は、下記式(1)で表される反復単位を含有することを特徴とする。
Figure 2009286854
(式(1)中、構造単位Aは4価の芳香族基あるいは脂環族基を表す。Rは炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基、およびフェニル基を表す。)
本発明のポリエステルイミド前駆体においては、固有粘度が0.1dL/g〜20.0dL/gの範囲であることが好ましい。
本発明のポリエステルイミドは、上記ポリエステルイミド前駆体をイミド化してなり、下記式(2)で表される反復単位を含有することを特徴とする。
Figure 2009286854
(式(2)中、構造単位AおよびRは式(1)と同じである。)
本発明のポリエステルイミドの製造方法は、上記ポリエステルイミド前駆体を加熱あるいは脱水試薬を用いて環化反応(イミド化)させることを特徴とする。
本発明のポリエステルイミドの製造方法は、上記ポリエステルイミド前駆体を単離することなしに、ポリエステルイミド前駆体の原料である、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを、溶媒中で、高温下一段階で重縮合反応することを特徴とする。
本発明の積層板の製造方法は、上記ポリエステルイミド前駆体のワニスを金属層上に塗布、乾燥する工程と、前記ポリエステルイミド前駆体を加熱あるいは脱水試薬を用いてイミド化させてポリエステルイミド層を形成する工程と、を具備することを特徴とする。
本発明のフレキシブルプリント基板の製造方法は、上記積層板の金属層をエッチングしてパターニングを行うことを特徴とする。
本発明のポリエステルイミド前駆体およびポリエステルイミドは、高いガラス転移温度(ハンダ耐熱性)、金属箔と同等かまたはそれより低い線熱膨張係数、極めて低い吸水率、極めて低い吸湿膨張係数、優れた難燃性、高い熱安定性及び十分な靭性を併せ持つポリエステルイミドは、FPC、COF,TAB用絶縁基板材料、各種電子デバイスにおける電気絶縁膜およびLCDおよび有機ELD用基板、電子ペーパー用基板、太陽電池用基板、特にFPC、COFおよびTAB用絶縁基板材料として有用である。
ポリイミドを低線熱膨張化するための分子設計として、主鎖骨格をできるだけ直線状で剛直(内部回転により多様なコンホメーションをとりにくく)する必要がある。しかし一方で、これによりポリマー鎖の絡み合いが減少し、フィルムが脆弱化する恐れがある。また、ポリイミド骨格へのエーテル結合等の屈曲性単位の過大な導入は靭性の向上には大きく寄与するが、低線熱膨張特性の発現を妨げる。
本発明において着目したパラ芳香族エステル結合はエーテル結合に比べて内部回転障壁が高く、コンホメーション変化が比較的妨げられているため、剛直構造単位として振舞い、且つポリイミド主鎖にある程度の柔軟さも付与し、可撓性のフィルムを与えることが期待される。また、芳香族エステル基はアミド基やイミド基よりも単位体積当たりの分極率が低いため、ポリイミドへの導入は低吸水率化にも有利である。
本発明のポリエステルイミド前駆体は、上記式(1)で表される反復単位を含有することを特徴としており、本発明のポリエステルイミドは、上記ポリエステルイミド前駆体をイミド化してなり、下記式(2)で表される反復単位を含有することを特徴とする。なお、式(1)中Aに結合した2つのカルボキシル基は便宜上シス配置として例示されているが、実際のポリエステルイミド前駆体連鎖はシスとトランス配置の混在したものである。
本発明のポリエステルイミド前駆体は、下記式(5)で表されるエステル基含有ジアミンとテトラカルボン酸二無水物との等モル重付加反応により製造される。
Figure 2009286854
(式(5)中、Rは炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基、およびフェニル基を表す。)
上記ジアミンは、R置換基を有するハイドロキノンと2当量のニトロ安息香酸またはその活性誘導体とを反応させた後、2つのニトロ基を還元することで容易に得られる。ジアミン構造の例としては、式(4)で表されるエステル基含有ジアミン(ABHQ)に置換基Rを導入した下記式(6)を例示することができる。
Figure 2009286854
(式(6)中、Rは炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基、およびフェニル基を表す。)
ポリイミドの低吸水率化のためにしばしば置換基としてフッ素基を含むモノマーが使用されるが、該ジアミンはフッ素基を一切含有しないため、フッ素化モノマー使用時にしばしば見られるガラス転移温度や金属箔との密着性が低下する懸念がなく、更にポリイミドを低コストで製造できるといった利点もある。
該ジアミンの特徴の一つはジアミン分子内に疎水基として振舞う3つの芳香環と2つのエステル基を含有している点にある。これにより、低吸水率と低熱膨張係数を同時に実現することが可能になる。また、ガラス転移温度や耐熱性向上の点からこれらが2つのアミノ基も含め全てパラ結合の構造を有するジアミンであることが好ましく、該ジアミンを用いたポリエステルイミド前駆体が式(7)の構造であることが好ましい。ここで、式(7)中の構造単位Aは4価の芳香族基あるいは脂環族基を表す。Rは炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基、およびフェニル基を表す。式(7)中Aに結合した2つのカルボキシル基は便宜上シス配置として例示されているが、実際のポリエステルイミド前駆体連鎖はシスとトランス配置の混在したものである。
Figure 2009286854
該ジアミンの重合反応性は、得られるポリエステルイミドフィルムの靭性に大きな影響を及ぼす。アミノ基の塩基性即ち重合反応性が十分高くないと、高重合体が得られず、結果としてポリマー鎖同士の絡み合いが低くなり、ポリエステルイミドフィルムが脆弱になる恐れがある。上記式(5)で表されるエステル基含有ジアミンは各種テトラカルボン酸二無水物と十分高い重合反応性を示すため、そのような恐れはない。
該ジアミンのもう一つの特徴は置換基の効果である。式(5)中、置換基Rが水素原子の場合、その極めて剛直な分子構造に由来して、溶媒に対する溶解性が極めて乏しい。そのためこれを使用してポリエステルイミド前駆体を重合する際、場合によっては重合反応修了後も溶け残りが生じて、ワニスをガラスフィルター等で濾過する必要が生じたり、これを避けるために重合反応を加熱した状態で行うことが必要となる場合がある。そのため室温で重合を行おうとするとしばしば極めて長時間の攪拌が必要となる等、ポリイミド前駆体の重合工程の煩雑さや生産効率が低下するといった重大な問題を生じる恐れがある。また得られたポリエステルイミド前駆体ワニスの貯蔵安定性が低く、これらに加え、重合反応によって生じたポリイミド前駆体またはそのオリゴマーも溶解性が乏しく、重合時にこれらが析出、あるいはワニスがゲル化する等、均一なポリイミド前駆体ワニスを得ることが困難となる等深刻な問題をしばしば生ずる。
一方、式(5)で表されるジアミンのように置換基Rを導入することで、ポリエステルイミドフィルムの要求特性を犠牲にすることなく、ポリエステルイミド前駆体を重合する際に、ポリマー鎖同士の凝集が適度に弱められ、上記のような深刻な問題を回避することができる。
上記問題の回避に加え、本発明のポリエステルイミドフィルムが優れた要求特性を発現し、且つ原料入手のしやすさやコストの観点から最適な置換基Rはメトキシ基およびフェニル基である。これ以外の置換基、例えばメチル基を置換基として導入した場合、該ジアミンの低溶解性が劇的には改善されないため、十分な置換基効果が得られない恐れがある。
式(5)で表されるジアミンと組み合わせるテトラカルボン酸二無水物成分として、剛直な構造のテトラカルボン酸二無水物を用いた場合に得られる本発明のポリエステルイミドフィルムは、銅箔より低い線熱膨張係数を示すことがある。この場合、適当量の4,4’−オキシジアニリン(ODA)等の屈曲性モノマーを共重合成分として併用することで、ポリエステルイミドフィルムの線熱膨張係数を銅箔の値に一致させることができる。屈曲性モノマーの併用によりポリエステルイミドフィルムの靭性も大幅に改善することができる。
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明するが、これらは本発明の実施形態の一例であり、これらの内容に限定されない。
本発明は、式(5)で表されるエステル基含有ジアミンを原料とし、各種テトラカルボン酸二無水物と組み合わせて重合反応することにより得られたポリエステルイミド前駆体をイミド化させることで、産業上極めて有用なポリエステルイミドを提供することができる。該エステル基含有ジアミンの反応性、剛直性、疎水性、置換基の適度な立体的嵩高さという構造上の特徴から、樹脂とした際に高ガラス転移温度、金属箔と同等かまたはそれより低い線熱膨張係数、極めて低い吸水率、極めて低い吸湿膨張係数、高靭性、難燃性という従来の材料では得ることのできなかった物性を同時に有する材料とすることができる。
<エステル基含有ジアミンの製造方法>
式(5)で表されるエステル基含有ジアミンの製造方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。例として式(6)において、置換基Rがメトキシ基である、下記式(8)で表されるエステル基含有ジアミン(以下ABMHQと称する)の製造方法について以下に説明する。
Figure 2009286854
より具体的には、メトキシハイドロキノン(以下MHQと称する)またはその誘導体と、2当量の4−ニトロ安息香酸(以下4−NBAと称する)またはその誘導体を原料としてエステル化反応を行い、下記式(9)で表されるジニトロ体(以下NBMHQと称する)を合成した後、ニトロ基を還元することにより製造することができる。
Figure 2009286854
上記エステル化反応の際適用できる方法として、例えば、MHQのヒドロキシ基と4−NBAのカルボキシル基を高温で直接脱水反応させるか、ジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水試薬を用いて脱水縮合させる方法、あるいはMHQのジアセテート化体と4−NBAとを高温で反応させ脱酢酸してエステル化する方法(エステル交換法)、4−NBAのカルボキシル基を酸ハライドに変換し、これとMHQとを脱酸剤(塩基)の存在下で反応させる方法(酸ハライド法)、トシルクロリド/N,N−ジメチルホルムアミド/ピリジン混合物を用いて4−NBA中のカルボキシル基を活性化してエステル化する方法等が挙げられる。上述の方法の中でもエステル交換法や酸ハライド法が経済性、反応性の点で好ましく適用できる。
次に、上記ジニトロ体(NBMHQ)を酸ハライド法によって合成する方法について具体的に説明するが、特に限定されない。
酸ハライド法によるエステル化反応は次のようにして行う。4−ニトロ安息香酸クロリド(以下4−NBCと称する)とメトキシハイドロキノン(MHQ)を反応させてエステル化し、NBMHQを合成する。まず4−NBC(A mol)をよく脱水した溶媒に溶解し、セプタムキャップ等で密栓する。この溶液に、メトキシハイドロキノン(0.5×A mol)および適当量の脱酸剤を同一溶媒に溶解したものをシリンジまたは滴下ロートにてゆっくりと滴下する。滴下終了後、反応混合物を1時間〜24時間撹拌する。合成に用いた溶媒に対する目的物の溶解度が高い場合は、反応混合物からまず生成したピリジン塩酸塩を濾別し、濾液をエバポレーターで溶媒留去し、50℃〜150℃で1時間〜24時間真空乾燥して粉末状の粗生成物を得る。目的物の溶解度が低い場合には、目的物とピリジン塩酸塩の混合物を濾別し、これを大量の水で洗浄して塩酸塩のみ溶解除去する。このようにして得られた生成物をそのまま次の還元工程に使用しても差し支えないが、適当な溶媒で再結晶することにより精製してもよい。
エステル化反応の際、4−NBCの添加量はMHQに対して2倍モル量が好ましいが、4−NBCの分離のしやすさから、過剰量の4−NBCを添加して反応させても差し支えない。
上記エステル化反応の際、使用可能な溶媒としては、特に限定されないが、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ピコリン、ピリジン、アセトン、クロロホルム、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,2−ジメトキシエタン−ビス(2−メトキシエチル)エーテル等の非プロトン性溶媒、およびフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール等のプロトン性溶媒が挙げられる。またこれらの溶媒を単独でも、2種類以上混合して用いてもよい。反応試薬の溶解性、反応後の溶媒留去、乾燥除去のしやすさの観点からテトラヒドロフランが好適に用いられる。
上記エステル化反応は、−10℃〜50℃で行われるが、より好ましくは0〜30℃で行われる。副反応を避け、収率を向上させるという点から、反応温度は50℃以下であることが好ましい。
上記エステル化反応は、溶質濃度5質量%〜50質量%の範囲で行われる。副反応の制御、沈殿の濾過工程を考慮して、好ましくは10質量%〜40質量%の範囲で行われる。
上記エステル化反応に用いる脱酸剤としては、特に限定されないが、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等の有機3級アミン類、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基が用いられる。
エステル化反応により生成した沈殿物は、脱酸剤としてピリジンを使用した場合、水溶性のピリジン塩酸塩を含んでいる。例えば溶媒としてテトラヒドロフランを用いた場合、ピリジン塩酸塩は殆どその溶媒に溶解しないため、反応溶液を濾過するだけで、塩酸塩をほぼ完全に分離することができる。通常、目的物の溶解度が高い場合、目的物は濾液中に溶解しているので、濾液から溶媒を留去し、適当な溶媒から再結晶するだけで高収率で十分高い純度の目的物が得られるが、痕跡量の塩素成分を分離除去するために、目的物をクロロホルムや酢酸エチル等に再溶解し、分液ロートを用いて有機層を水洗する方法や、沈殿物を単に十分水洗する方法を用いることも可能である。塩酸塩の除去は洗浄液を1質量%硝酸銀水溶液を用いて塩化銀の白色沈殿の精製の有無をもって、容易に判断することができる。
次に得られたジニトロ体(NBMHQ)の末端の2つのニトロ基を還元して、式(8)で表されるABMHQを合成する。NBMHQの還元反応の方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。例えばジニトロ体がエタノール等の水素供与性溶媒に可溶である場合、塩化錫を添加することで容易に還元することができる。また、ジニトロ体を溶媒に溶かし、パラジウム/カーボンを触媒として、水素雰囲気中で場合によっては加熱しながら攪拌する方法も適用することができる。ジニトロ体の溶媒の制限を受けないという観点から、後者の方法が好適に用いられる。
パラジウム/カーボンを用いたNBMHQの還元反応は具体的には以下のようにして行う。まず3口フラスコ中、NBMHQをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に加熱溶解し、これに触媒量のパラジウム/カーボン粉末を添加する。次にフラスコ中に水素を導入し、加熱しながら約5時間攪拌して反応させた。反応終了後、パラジウム/カーボンを熱濾過により除去し、濾液の溶媒をエバポレーターで留去した。得られた茶白色固体を50℃〜180℃で1時間〜24時間真空乾燥する。得られた粗生成物を適当な溶媒で再結晶して精製し、重合反応に供することのできる高純度の該エステル基含有ジアミンが得られる。
この還元反応の際に使用可能な溶媒としては、特に限定されないが、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、エタノール、1,4−ジオキサン、ピコリン、ピリジン、アセトン、クロロホルム、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,2−ジメトキシエタン−ビス(2−メトキシエチル)エーテル等の非プロトン性溶媒が挙げられる。またこれらの溶媒を単独でも、2種類以上混合して用いてもよい。反応試薬の溶解性、反応後の溶媒留去、乾燥除去のしやすさの観点からN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)が好適に用いられる。
<ポリエステルイミド前駆体の製造方法>
本発明に係るポリエステルイミド前駆体を製造する方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。より具体的には、以下の方法により得られる。まず式(5)で表されるジアミンを重合溶媒に溶解し、これにテトラカルボン酸二無水物粉末を徐々に添加し、メカニカルスターラーを用い、0〜100℃、好ましくは20℃〜60℃で0.5時間〜100時間好ましくは1時間〜48時間攪拌する。この際モノマー濃度は5質量%〜50質量%、好ましくは10質量%〜40質量%である。ポリエステルイミド前駆体の重合度を十分高くするという点から、濃度範囲は5質量%以上であることが好ましく、モノマーや生成するポリマーの溶解性を十分確保するという点から50質量%以下であることが好ましい。よって、このモノマー濃度範囲で重合を行うことにより均一で高重合度のポリイミド前駆体溶液を得ることができる。ポリエステルイミド前駆体の重合度が増加しすぎて、重合溶液が攪拌しにくくなった場合は、適宜同一溶媒で希釈することもできる。
ポリエステルイミドフィルムの靭性の観点からポリエステルイミド前駆体の重合度はできるだけ高いことが望ましい。上記モノマー濃度範囲で重合を行うことによりポリマーの重合度が十分高く、モノマー及びポリマーの溶解性も十分確保することができる。
また、ポリエステルイミドフィルムの靭性の観点から、ポリエステルイミド前駆体の固有粘度は好ましくは0.1dL/g〜20.0dL/gの範囲であり、さらにポリエステルイミド前駆体のハンドリングの観点から0.5dL/g〜5.0dL/gの範囲であることがより好ましい。
本発明に係るポリエステルイミド前駆体の重合反応性、ポリエステルイミドの要求特性を著しく損なわない範囲で、使用可能な芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、特に限定されないが、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ハイドロキノン−ビス(トリメリテートアンハイドライド)、メチルハイドロキノン−ビス(トリメリテートアンハイドライド)、メトキシハイドロキノン−ビス(トリメリテートアンハイドライド)、4,4’−ビフェノール−ビス(トリメリテートアンハイドライド)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。また、これらを2種類以上用いてもよい。
本発明に係るポリエステルイミドフィルムの要求特性およびポリエステルイミド前駆体の重合反応性を損なわない範囲で、ポリエステルイミド前駆体重合の際に使用可能な脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、特に限定されないが、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(ジオキソテトラヒドロフリル−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−テトラリン−1,2−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。またこれらを2種類以上併用することもできる。
ポリエステルイミドフィルムの低線熱膨張特性発現という観点から、剛直で直線的な構造を有するテトラカルボン酸二無水物即ち、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ハイドロキノン−ビス(トリメリテートアンハイドライド)、メチルハイドロキノン−ビス(トリメリテートアンハイドライド)、メトキシハイドロキノン−ビス(トリメリテートアンハイドライド)および4,4’−ビフェノール−ビス(トリメリテートアンハイドライド)をテトラカルボン酸二無水物成分として用いることが好ましい。この際、上記テトラカルボン酸二無水物の含有量は全テトラカルボン酸二無水物使用量の10モル%〜100モル%、好ましくは50モル%〜100モル%である。
本発明に係るポリエステルイミド前駆体の重合反応性、ポリエステルイミドの要求特性を著しく損なわない範囲で、式(5)で表されるエステル基含有ジアミン以外に共重合成分として部分的に使用可能な芳香族ジアミンとしては特に限定されないが、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノデュレン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(2−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、3−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4−アミノフェニル−3’−アミノベンゾエート、ベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、p−ターフェニレンジアミン等が例として挙げられる。またこれらを2種類以上併用することもできる。
本発明に係るポリエステルイミド前駆体の重合反応性、ポリエステルイミドの要求特性を著しく損なわない範囲で、式(5)で表されるエステル基含有ジアミン以外に共重合成分として部分的に使用可能な脂肪族ジアミンとしては特に限定されないが、例えば、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、シス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロ〔5.2.1.0〕デカン、1,3−ジアミノアダマンタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−プロパンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン等が挙げられる。またこれらを2種類以上併用することもできる。
式(5)で表されるエステル基含有ジアミン以外に共重合成分として部分的に用いられる上記ジアミンの含有量は、全ジアミン使用量の0〜70モル%、好ましくは0〜50モル%である。更に好ましくは0〜30モル%の範囲である。
本発明のポリエステルイミドフィルムの線熱膨張係数が銅箔のそれよりも低い場合、適当量の屈曲性ジアミンを共重合成分として部分的に使用することで、銅箔の線熱膨張係数に合わせこみ、積層体の反りを完全に防止することが可能である。またそれにより、ポリエステルイミドの靭性も改善される。この目的のために使用可能な屈曲性ジアミンとしてエーテル結合、チオエーテル結合、メチレン結合、イソプロピリデン結合、トリフルオロイソプロピリデン結合、スルホニル結合等の屈曲性結合基を有するジアミンが挙げられる。この中でも特にエーテル結合を有するジアミンが好ましく、具体的には特に限定されないが、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフホン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。このうち、製造コストの観点から4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−オキシジアニリン)が最適である。
重合反応の際使用される溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホオキシド等の非プロトン性溶媒が好ましいが、原料モノマーと生成するポリイミド前駆体が溶解すれば問題はなく特にその構造には限定されない。具体的に例示するならば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド溶媒、γ−プチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−プチロラクトン等の環状エステル溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、トリエチレングリコール等のグリコール系溶媒、m−クレゾール、p−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフエノール等のフェノール系溶媒、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシドなどが好ましく採用される.さらに、その他の一般的な有機溶剤、即ちフエノール、o−クレゾール、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプチル、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルプ、プチルセロソルプ、2−メチルセロソルプアセテート、エチルセロソルプアセテート、プチルセロソルプアセテート、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジプチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルイソプチルケトン、ジイソプチルケトン、シクロへキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ系溶媒なども添加して使用できる。
本発明のポリエステルイミド前駆体はその重合溶液を、大量の水やメタノール等の貧溶媒中に滴下・濾過・乾燥し、粉末として単離することもできる。
<ポリエステルイミドの製造方法>
本発明のポリエステルイミドは、上記の方法で得られたポリエステルイミド前駆体を脱水閉環反応(イミド化反応)することで製造することができる。この際ポリエステルイミドの使用可能な形態は、フィルム、粉末、成型体、ワニスおよび金属箔との積層体が挙げられる。
まず、ポリエステルイミドフィルムを製造する方法について述べる。ポリエステルイミド前駆体の重合溶液(ワニス)をガラス、銅、アルミニウム、ステンレス、シリコン等の基板上に流延し、オーブン中40℃〜180℃、好ましくは50℃〜150℃で乾燥する。得られたポリエステルイミド前駆体フィルムを基板上で真空中、窒素等の不活性ガス中、あるいは空気中、200℃〜450℃、好ましくは250℃〜430℃で加熱することで本発明のポリエステルイミドフィルムを製造することができる。加熱温度はイミド化の閉環反応を十分に行なうという観点から200℃以上、生成したポリエステルイミドフィルムの熱安定性の観点から450℃以下が好ましい。またイミド化は真空中あるいは不活性ガス中で行うことが望ましいが、イミド化温度が高すぎなければ空気中で行っても、差し支えない。
また、イミド化反応は、熱処理に代えて、ポリエステルイミド前駆体フィルムをピリジンやトリエチルアミン等の3級アミン存在下、無水酢酸等の脱水環化試薬を含有する溶液に浸漬することによって行うことも可能である。また、これらの脱水環化試薬をあらかじめポリエステルイミド前駆体ワニス中に室温で投入・攪拌し、それを上記基板上に流延・乾燥することで、部分的にイミド化したポリエステルイミド前駆体フィルムを作製することもでき、これを更に上記のように熱処理することでポリエステルイミドフィルムが得られる。
ポリエステルイミド前駆体の重合溶液をそのままあるいは同一の溶媒で適度に希釈した後、そのワニスを150℃〜230℃に加熱することで、ポリイミド自体が用いた溶媒に溶解する場合、本発明のポリエステルイミドのワニスを容易に製造することができる。溶媒に不溶な場合は、結晶性のポリエステルイミド粉末を沈殿物として得ることができる。この際、イミド化の副生成物である水等を共沸留去するために、トルエンやキシレン等を添加しても差し支えない。また触媒としてγ−ピコリン等の塩基を添加することができる。得られたワニスを大量の水やメタノール等の貧溶媒中に滴下して析出させ、これを濾過しポリエステルイミドを粉末として単離することもできる。またポリエステルイミド粉末が溶媒に可溶である場合は、これを上記重合溶媒に再溶解してポリエステルイミドのワニスとすることができる。
本発明のポリエステルイミドは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを溶媒中高温で反応(ワンポット重合)させることにより、ポリエステルイミド前駆体を単離することなく、一段階で製造することもできる。この際、反応温度は反応促進の観点から、130℃〜250℃、好ましくは150℃〜230℃の範囲に保持するとよい。またポリエステルイミドが用いた溶媒に不溶な場合、ポリエステルイミドは沈殿物として得られ、可溶な場合はポリエステルイミドのワニスとして得られる。ワンポット重合の際使用可能な溶媒は特に限定さないが、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性溶媒が例として挙げられが、より好ましくはm−クレゾール等のフェノール系溶媒やNMP等のアミド系溶媒が用いられる。これらの溶媒にイミド化反応の副生成物である水を共沸留去するために、トルエンやキシレン等を添加することができる。またイミド化触媒としてγ−ピコリン等の塩基を添加することができる。得られたワニスを大量の水やメタノール等の貧溶媒中に滴下・濾過しポリエステルイミドを粉末として単離することができる。またポリエステルイミドが溶媒に可溶である場合はその粉末を上記溶媒に再溶解してポリエステルイミドのワニスとすることができる。
上記ポリエステルイミドのワニスを基板上に塗布し、40℃〜400℃、好ましくは100℃〜350℃で乾燥するによってもポリエステルイミドフィルムを形成することができる。
上記のように得られたポリエステルイミド粉末を200℃〜450℃、好ましくは250℃〜430℃で加熱圧縮することでポリエステルイミドの成型体を作製することもできる。
ポリエステルイミド前駆体溶液中にN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドやトリフルオロ無水酢酸等の脱水試薬を添加・撹拌して0〜100℃、好ましくは0〜60℃で反応させることにより、ポリエステルイミドの異性体であるポリエステルイソイミドが生成する。イソイミド化反応は上記脱水試薬を含有する溶液中にポリエステルイミド前駆体フィルムを浸漬することでも可能である。ポリエステルイソイミドワニスを上記と同様な手順で製膜した後、250℃〜450℃、好ましくは270℃〜400℃で熱処理することにより、ポリエステルイミドへ容易に変換することができる。
本発明のポリエステルイミド前駆体のワニスを金属箔例えば銅箔上に塗付・乾燥後、上記の条件によりイミド化することで、金属層とポリエステルイミド樹脂層の積層体を得ることができる。更に塩化第二鉄水溶液等のエッチング液を用いて金属層を所望する回路状にエッチングすることで、無接着剤型フレキシブルプリント基板を製造することができる。
フレキシブルプリント基板の金属箔としては、種々の金属箔を使用することができるが、好ましくは、銅箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などを挙げることができる。これらの金属箔は、マット処理、メッキ処理、クロメート処理、アルミニウムアルコラート処理、アルミニウムキレート処理、シランカップリング剤処理などの表面処理を行ってもよい。金属箔の厚みは、特に限定されないが、好ましくは35μm以下、さらに好ましくは6μm〜18μmである。
フレキシブルプリント基板は、以下の様にして製造することができる。まず、本発明のポリエステルイミド前駆体ワニスを金属箔上にブレードコーターや、リップコーター、グラビアコーター等を用いて塗工し、その後乾燥させてポリエステルイミド前駆体層を形成する。塗工厚は、ポリエステルイミド前駆体ワニスの固形分濃度に影響されるが、ポリエステルイミド前駆体層を、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気下にて、200℃〜450℃にて熱イミド化させることによりポリエステルイミド樹脂絶縁層を形成することができる。ポリエステルイミド樹脂絶縁層の厚みは、100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは3μm〜25μmである。
本発明のポリエステルイミドおよびその前駆体中に、必要に応じて酸化安定剤、フィラー、接着促進剤、シランカップリング剤、感光剤、光重合開始剤、増感剤、末端封止剤、架橋剤等の添加物を加えることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これら実施例に限定されるものではない。なお、以下の例における物性値は、次の方法により測定した。
<赤外吸収スペクトル>
フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社製FT−IR5300)を用い、KBr法にてエステル基含有ジアミンの赤外線吸収スペクトルを測定した。また透過法にてポリエステルイミド前駆体およびポリエステルイミドフィルム(約5μm厚)の赤外線吸収スペクトルを測定した。
H−NMRスペクトル>
日本電子社製NMR分光光度計(ECP400)を用い、重水素化ジメチルスルホキシド中でエステル基含有ジアミンのH−NMRスペクトルを測定した。
<示差走査熱量分析(融点および融解曲線)>
エステル基含有ジアミンの融点および融解曲線は、ブルカーエイエックス社製示差走査熱量分析装置(DSC3100)を用いて、窒素雰囲気中、昇温速度2℃/分で測定した。融点が高く融解ピークがシャープであるほど、高純度であることを示す。
<固有粘度:η>
0.5質量%のポリエステルイミド前駆体溶液を、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
<ガラス転移温度:Tg>
ブルカーエイエックス社製熱機械分析装置(TMA4000)を用いて動的粘弾性測定により、周波数0.1Hz、昇温速度5℃/分における損失ピークからポリエステルイミドフィルム(20μm厚)のガラス転移温度を求めた。
<線熱膨張(係数):CTE>
ブルカーエイエックス社製熱機械分析装置(TMA4000)を用いて、熱機械分析により、荷重0.5g/膜厚1μm、昇温速度5℃/分における試験片の伸びより、100℃〜200℃の範囲での平均値としてポリエステルイミドフィルム(20μm厚)の線熱膨張(係数)を求めた。
<5%質量減少温度:T
ブルカーエイエックス社製熱質量分析装置(TG−DTA2000)を用いて、窒素中または空気中、昇温速度10℃/分での昇温過程において、ポリエステルイミドフィルム(20μm厚)の初期質量が5%減少した時の温度を測定した。これらの値が高いほど、熱安定性が高いことを表す。
<複屈折:△n>
アタゴ社製アッベ屈折計(アッベ4T)を用いて、ポリエステルイミドフィルム(20μm厚)に平行な方向(nin)と垂直な方向(nout)の屈折率をアッベ屈折計(ナトリウムランプ使用、波長589nm)で測定し、これらの屈折率の差から複屈折(Δn=nin−nout)を求めた。この値が高いほど、ポリマー鎖の面内配向度が高いことを意味する。
<誘電率:εcal
アタゴ社製アッベ屈折計(アッベ4T)を用いて、ポリエステルイミドフィルムの平均屈折率〔nav=(2nin+nout)/3〕に基づいて次式:εcal=1.1×nav により1MHzにおけるポリエステルイミドフィルムの誘電率(εcal)を算出した。
<吸水率>
50℃で24時間真空乾燥したポリエステルイミドフィルム(膜厚20〜30μm)を24℃の水に24時間浸漬した後、余分の水分を拭き取り、質量増加分から吸水率(%)を求めた。殆どの用途においてこの値が低いほど好ましい。
<吸湿膨張係数:CHE>
ポリエステルイミドフィルム(5mm×20mm×膜厚20μm)を100℃で数時間真空乾燥後、これをブルカーエイエックスエス社製熱機械分析装置(TMA4000)に速やかにセット(チャック間:15mm)して膜厚1μm当たり0.5gの静荷重を試験片にかけ、室温で乾燥窒素を1時間流した後、神栄社製精密湿度供給装置(SRG−1R−1)を用いて相対湿度(RH)80%のウエットガスをTMA4000装置内に導入して、室温における試験片の伸びより、ポリエステルイミドフィルムの吸湿膨張係数を求めた。この値が低いほど吸湿寸法安定性が高いことを意味する。
<弾性率、破断伸び、破断強度>
東洋ボールドウィン社製引張試験機(テンシロンUTM−2)を用いて、ポリエステルイミド試験片(3mm×30mm×20μm厚)について引張試験(延伸速度:8mm/分)を実施し、応力―歪曲線の初期の勾配から弾性率を、フィルムが破断した時の伸び率から破断伸び(%)を求めた。破断伸びが高いほどフィルムの靭性が高いことを意味する。
<難燃性評価>
UL−94V規格に従ってポリエステルイミド試験片(125mm×13mm×20μm厚)の難燃性を評価した。
[実施例1]
ポリエステルイミド前駆体を重合するに先立ち、まず式(8)で表されるエステル基含有ジアミンを合成した。
<ABMHQの合成>
まず、4−NBC3.71g(20 mol)をよく脱水したTHF16.7mLに溶解し、セプタムキャップで密栓しA液とした。次にメトキシハイドロキノン1.40g(10 mol)をTHF6.3mLに溶解し、これにピリジン4.9mL(60mmol)を加えてセプタムキャップで密栓しB液とした。氷浴中、A液にB液をシリンジを用いて滴下し、12時間攪拌した。析出した黄白色沈殿を濾別してTHFで洗浄後、濾液中に塩素イオンが塩化銀白色沈殿として確認されなくなるまで、水で繰り返し洗浄してピリジン塩酸塩を溶解除去した。これを100℃で18時間真空乾燥して淡黄色の粉末状生成物を得た(収率:82%)。FT−IRスペクトルおよびH−NMRスペクトルより、得られた生成物は目的とする下記式(9)で表されるジニトロ体(NBMHQ)であることが確認された。DSC測定によるシャープな融解ピーク(が見られたことから、生成物は高純度であり、そのまま次の還元工程に用いた。
Figure 2009286854
FT−IR: 1738cm−1(エステルC=O)
H−NMR: δ3.8ppm(メチルプロトン3H)、δ8.4ppm(芳香族プロトン8H),δ7.0〜7.5ppm(芳香族プロトン3H)
DSC: 融点238.1℃
次に、NBMHQのニトロ基を還元した。水素導入管およびコンデンサー付3口フラスコにNBMHQ2.00g(4.56mmol)およびパラジウム/カーボン粉末0.667gを入れ、DMF30mLを加えて100℃に加熱し、NBMHQを溶解させた。次に水素を導入し、100℃で5時間攪拌した。反応後、熱濾過によりパラジウム/カーボン濾別・除去し、濾液の溶媒をエバポレーターで留去し、析出した沈殿をTHFで洗浄した。これを160℃で12時間真空乾燥して茶白色の粗生成物を得た(収率61%)。これを1,4−ジオキサンで再結晶したところ白赤色板状結晶が析出し、140℃で12時間真空乾燥して生成物を得た。FT−IRスペクトルおよびH−NMRスペクトルより、得られた生成物は目的とする下記式(8)で表されるエステル基含有ジアミン(ABMHQ)であることが確認された。DSC測定によるシャープな融解ピークが見られたことから、生成物は高純度であることがわかった。
Figure 2009286854
FT−IR:3482、3378cm−1(アミンN−H)、1707cm−1(エステルC=O)
H−NMR:δ6.2ppm(アミンプロトン4H)、δ3.8ppm(メチルプロトン3H)、δ7.8ppm(芳香族プロトン4H)、δ6.7〜7.2ppm(芳香族プロトン7H)、
DSC:融点253.8℃
<ポリエステルイミド前駆体の重合、イミド化およびポリエステルイミドフィルム特性の評価>
よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中にABMHQ3mmolを入れ、モレキュラーシーブス4Aで十分に脱水したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解した後、この溶液に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下BPDAと称する)3mmolを加えた(全溶質濃度:15質量%)。室温で24時間攪拌後、溶液粘度が増加して攪拌しにくくなったため、11.5質量%まで同一溶媒で適宜希釈しトータル48時間撹拌して均一で粘稠なポリエステルイミド前駆体溶液を得た。
このポリエステルイミド前駆体溶液は室温および−20℃で一ヶ月間放置しても沈澱、ゲル化は全く起こらず、高い溶液貯蔵安定を示した。NMP中、30℃、0.5質量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリエステルイミド前駆体の固有粘度は1.36dL/gであった。
このポリエステルイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、80℃、2時間で乾燥して得たポリエステルイミド前駆体フィルムを基板上、250℃で1時間、更に300℃で1時間真空中で熱イミド化を行った後、残留応力を除去するために基板から剥がして350℃で1時間、熱処理を行い、膜厚20μmの淡黄色の透明なポリエステルイミドフィルムを得た。このポリエステルイミドフィルムは180°折曲げ試験によっても破断せず、可撓性を示した。また如何なる有機溶媒に対しても全く溶解性を示さなかった。このポリエステルイミドフィルムについて動的粘弾性測定を行った結果、424℃にガラス転移点(動的粘弾性曲線における損失ピークより決定)が観測された。
また、線熱膨張係数は5.6ppm/Kと極めて低い値を示した。これは、非常に大きな複屈折値(Δn>0.146)から判断して、ポリエステルイミド鎖の高度な面内配向によるものと考えられる。また本発明のポリエステルイミドはV−0クラスの優れた難燃性および極めて低い吸水率0.41%を示した。この結果はポリイミド骨格中にエステル基を導入した効果である。また5%質量減少温度は窒素中で473℃、空気中で458℃であり、十分高い熱安定性も有している。機械的特性は引張弾性率(ヤング率)6.01GPa、破断強度0.236GPa、破断伸び23%、吸湿膨張係数3.08ppm/RH%であった。
このようにこのポリエステルイミドは高いガラス転移温度、金属箔と同等かまたはそれより低い線熱膨張係数、優れた難燃性、低吸水率、優れた寸法安定性、十分高い熱安定性、十分な靭性および比較的低い誘電率を示した。表1に物性値をまとめる。得られたポリエステルイミド前駆体およびポリエステルイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを図1、図2にそれぞれ示す。
[実施例2]
テトラカルボン酸二無水物成分としてBPDAの代わりにピロメリット酸二無水物(以下PMDAと称する)を用いた以外は、実施例1に記載した方法に従って、ABMHQとPMDAよりポリエステルイミド前駆体を重合し、製膜、熱イミド化、膜物性評価を行った。表1に物性を示す。実施例1に記載のポリエステルイミドと同様、優れた特性を示した。ポリエステルイミド前駆体およびポリエステルイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを図3、図4にそれぞれ示す。
[実施例3]
テトラカルボン酸二無水物成分としてBPDAの代わりにハイドロキノン−ビス(トリメリテートアンハイドライド)(以下TAHQと称する)を用いた以外は、実施例1に記載した方法に従って、ABMHQとTAHQよりポリエステルイミド前駆体を重合し、製膜、熱イミド化、膜物性評価を行った。表1に物性を示す。実施例1に記載のポリエステルイミドと同様、優れた特性を示した。ポリエステルイミド前駆体およびポリエステルイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを図5、図6にそれぞれ示す。
[実施例4]
<フェニル置換基を有するポリエステルイミド>
本発明のフェニル置換基を有するポリエステルイミドの前駆体を重合するに先立ち、まず下記式(10)で表されるフェニル置換基を有するエステル基含有ジアミン(ABPHQ)を合成した。
Figure 2009286854
メトキシハイドロキノン(MHQ)の代わりにフェニルハイドロキノン(以下PHQと称する)を用い、実施例1に記載した方法に従って4−NBCと反応させ、下記式(11)で表されるフェニル置換基を有するジニトロ体(以下NBPHQと称する)を合成した。
Figure 2009286854
FT−IRスペクトルおよびH−NMRスペクトルより、得られた生成物は目的とするNBPHQであることが確認された。DSC測定によるシャープな融解ピーク(が見られたことから、生成物は高純度であり、そのまま次の還元工程に用いた。
FT−IR:1740cm−1(エステルC=O)
H−NMR:δ8.2〜8.5ppm(芳香族プロトン8H)、δ7.3〜7.6ppm(芳香族プロトン8H)
DSC:融点197.1℃
次に、NBPHQを実施例1に記載した方法に従って還元し、灰色の粗生成物を得た(収率:97%)。この粗生成物4.0gを1,4−ジオキサン170mLとクロロホルム120mLの混合溶媒を用いて再結晶し、白色の生成物を得た。FT−IRスペクトルおよびH−NMRスペクトルより、得られた生成物は目的とするABPHQであることが確認された。DSC測定によるシャープな融解ピーク(が見られたことから、生成物は高純度であることがわかった。
FT−IR:3356、3237cm−1(アミンN−H)、1703cm−1(エステルC=O)
H−NMR:δ6.2ppm(アミンプロトン4H)、δ6.5〜6.7ppm(芳香族プロトン4H)、δ7.7〜7.8ppm(芳香族プロトン4H)、δ7.3〜7.5ppm(芳香族プロトン8H)、
DSC:融点263.7℃
<ポリエステルイミド前駆体の重合、イミド化およびポリエステルイミドフィルム特性の評価>
BPDAおよびABPHQより、実施例1に記載した方法に従ってポリエステルイミド前駆体を重合し、製膜、イミド化、膜物性評価を行った。表1に物性を示す。実施例1に記載のポリエステルイミドと同様、優れた特性を示した。ポリエステルイミド前駆体およびポリエステルイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを図7、図8にそれぞれ示す。
[実施例5]
実施例1に記載した方法に準じて、ABPHQとPMDAよりポリエステルイミド前駆体を重合し、製膜、熱イミド化、膜物性評価を行った。表1に物性を示す。実施例1に記載のポリエステルイミドと同様、優れた特性を示した。ポリエステルイミド前駆体およびポリエステルイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを図9、図10にそれぞれ示す。
[実施例6]
実施例1に記載した方法に準じて、ABPHQとTAHQよりポリエステルイミド前駆体を重合し、製膜、熱イミド化、膜物性評価を行った。表1に物性を示す。実施例1に記載のポリエステルイミドと同様、優れた特性を示した。ポリエステルイミド前駆体およびポリエステルイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを図11、図12にそれぞれ示す。
[実施例7]
ジアミン成分としてABMHQを単独で用いる代わりに、これと4,4’−オキシジアニリン(以下ODAと称する)を併用し、BPDAと反応させて実施例1に記載した方法と同様に、ポリエステルイミド前駆体を重合し、製膜、熱イミド化、膜物性評価を行った。重合の際のジアミンの仕込みモル比(ABMHQ:ODA)は70:30である。表1に膜物性を示す。実施例1に記載のポリエステルイミドと同様、優れた特性を示した。
[実施例8]
ジアミン成分としてABMHQを単独で用いる代わりに、これと4,4’−オキシジアニリン(以下ODAと称する)を併用し、BPDAと反応させて実施例1に記載した方法と同様に、ポリエステルイミド前駆体を重合し、製膜、熱イミド化、膜物性評価を行った。重合の際のジアミンの仕込みモル比(ABMHQ:ODA)は60:40である。吸湿膨張係数は5.30ppm/RH%で、その他の物性は表1に示す。実施例1に記載のポリエステルイミドと同様、優れた特性を示した。
[比較例1]
式(4)で表される置換基のないジアミンを用い、NMP中でPMDAとポリエステルイミド前駆体の重合反応を試みたところ、溶液粘度の増加は見られたが、室温で2週間攪拌しても、均一な溶液が得られなかった。これはこのジアミンが溶解性に極めて乏しく、溶け残ってしまったことと、生成したオリゴマーが一部析出したためである。PMDAの代わりにTAHQを用いた場合でも、重合反応中に沈殿物が析出し、均一なワニスが得られなかった。このように式(4)で表される置換基のないジアミンを用いると、実施例1〜6に記載した置換基がある場合と異なり、室温での重合が不可であった。
Figure 2009286854
本発明のポリエステルイミドは、フレキシブルプリント配線回路(FPC)用基板、テープオートメーションボンディング(TAB)用基材、各種電子デバイスにおける電気絶縁膜および液晶ディスプレー用基板、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレー用基板、電子ペーパー用基板、太陽電池用基板、特にFPCおよびTAB用基材として好適に利用できる。
実施例1に記載のポリエステルイミド前駆体薄膜のFT−IRスペクトルである。 実施例1に記載のポリエステルイミド薄膜のFT−IRスペクトルである。 実施例2に記載のポリエステルイミド前駆体薄膜のFT−IRスペクトルである。 実施例2に記載のポリエステルイミド薄膜のFT−IRスペクトルである。 実施例3に記載のポリエステルイミド前駆体薄膜のFT−IRスペクトルである。 実施例3に記載のポリエステルイミド薄膜のFT−IRスペクトルである。 実施例4に記載のポリエステルイミド前駆体薄膜のFT−IRスペクトルである。 実施例4に記載のポリエステルイミド薄膜のFT−IRスペクトルである。 実施例5に記載のポリエステルイミド前駆体薄膜のFT−IRスペクトルである。 実施例5に記載のポリエステルイミド薄膜のFT−IRスペクトルである。 実施例6に記載のポリエステルイミド前駆体薄膜のFT−IRスペクトルである。 実施例6に記載のポリエステルイミド薄膜のFT−IRスペクトルである。

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表される反復単位を含有することを特徴とするポリエステルイミド前駆体。
    Figure 2009286854
    (式(1)中、構造単位Aは4価の芳香族基あるいは脂環族基を表す。Rは炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基、およびフェニル基を表す。)
  2. 固有粘度が0.1dL/g〜20.0dL/gの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルイミド前駆体。
  3. 請求項1または請求項2に記載のポリエステルイミド前駆体をイミド化してなり、下記式(2)で表される反復単位を含有することを特徴とするポリエステルイミド。
    Figure 2009286854
    (式(2)中、構造単位AおよびRは式(1)と同じである。)
  4. 請求項1または請求項2に記載のポリエステルイミド前駆体を加熱あるいは脱水試薬を用いて環化反応(イミド化)させることを特徴とするポリエステルイミドの製造方法。
  5. 請求項1または請求項2に記載のポリエステルイミド前駆体を単離することなしに、ポリエステルイミド前駆体の原料である、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを、溶媒中で、高温下一段階で重縮合反応することを特徴とするポリエステルイミドの製造方法。
  6. 請求項1または請求項2に記載のポリエステルイミド前駆体のワニスを金属層上に塗布、乾燥する工程と、前記ポリエステルイミド前駆体を加熱あるいは脱水試薬を用いてイミド化させてポリエステルイミド層を形成する工程と、を具備することを特徴とする積層板の製造方法。
  7. 請求項6に記載の積層板の金属層をエッチングしてパターニングを行うことを特徴とするフレキシブルプリント基板の製造方法。
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