JP2009286853A - ポリエステルイミド前駆体およびポリエステルイミド - Google Patents
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Abstract
【課題】高いガラス転移温度、極めて低い線熱膨張係数、極めて低い吸水率、極めて低い吸湿膨張係数、十分な靭性、高い熱安定性且つ難燃性を併せ持つポリエステルイミド用の前駆体およびポリエステルイミドを提供すること。
【解決手段】本発明のポリエステルイミド前駆体は、エステル基含有テトラカルボン酸二無水物とジアミンとにより得られるポリエステルイミド前駆体であって、前記エステル基含有テトラカルボン酸二無水物が下記式(1)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物であることを特徴とする。
【化1】
(式(1)中、R1〜R8は各々独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基を表し、Yはエステル基を表す。)
【選択図】なし
【解決手段】本発明のポリエステルイミド前駆体は、エステル基含有テトラカルボン酸二無水物とジアミンとにより得られるポリエステルイミド前駆体であって、前記エステル基含有テトラカルボン酸二無水物が下記式(1)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物であることを特徴とする。
【化1】
(式(1)中、R1〜R8は各々独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基を表し、Yはエステル基を表す。)
【選択図】なし
Description
本発明は、高いガラス転移温度、金属箔に近い線熱膨張係数、極めて低い吸水率、極めて低い吸湿膨張係数、十分な靭性、及び優れた難燃性を併せ持つ、フレキシブルプリント配線(FPC)用基板、チップオンフィルム(COF)用基板、テープオートメーションボンディング(TAB)用基板、各種電子デバイスにおける電気絶縁膜および液晶ディスプレー用基板、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレー用基板、電子ペーパー用基板、太陽電池用基板、特にFPC、COFおよびTAB用絶縁基板材料として有用なポリエステルイミド前駆体およびポリエステルイミドに関する。
ポリイミドは優れた耐熱性のみならず、耐薬品性、耐放射線性、電気絶縁性、優れた機械的性質などの特性を併せ持つことから、現在FPC、COFおよびTAB用基板、半導体素子の保護膜、集積回路の層間絶縁膜等、様々な電子デバイスに現在広く利用されている。ポリイミドはこれらの特性以外にも、製造方法の簡便さ、極めて高い膜純度、入手可能な種々のモノマーを用いた物性改良のしやすさといったことから、近年益々その重要性が高まっている。
電子機器の軽薄短小化が進むにつれてポリイミドへの要求特性も年々厳しさを増し、ハンダ耐熱性だけに留まらず、熱サイクルや吸湿に対するポリイミドフィルムの寸法安定性、透明性、金属箔との接着性、難燃性、成型加工性、ビアホール等の微細加工性等、複数の特性を同時に満足する多機能性ポリイミド材料が求められるようになってきている。
近年、FPC、COFおよびTAB用基板としてのポリイミドの需要が飛躍的に増加している。これらの原反(銅張積層板、FCCL)の構成は主に3つの様式に分類される。即ち、1)ポリイミドフィルムと銅箔とをエポキシ系接着剤等を用いて貼り付ける3層タイプ、2)銅箔にポリイミドワニスの塗付後乾燥または、ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)ワニスを塗布後、乾燥・イミド化するか、あるいは蒸着・スパッタ等によりポリイミドフィルム上に銅層を形成する無接着剤2層タイプ、3)接着層として熱可塑性ポリイミドを用いる擬似2層タイプが知られている。ポリイミドフィルムに高度な寸法安定性が要求される用途では接着剤を使用しない2層FCCLが有利である。寸法安定性は、熱膨張及び吸湿の両方に対して求められている。
例えば、FPC基板における絶縁材料であるポリイミドは実装工程における様々な熱サイクルに曝されて寸法変化が起こる。これをできるだけ抑えるためには、ポリイミドのガラス転移温度(Tg)が工程温度よりも高いことに加えて、ガラス転移温度以下での線熱膨張(係数)ができるだけ低いことが望ましい。後述するようにポリイミド層の線熱膨張(係数)の制御は2層FCCL製造工程中に発生する残留応力の低減の観点からも極めて重要である。
多くのポリイミドは有機溶媒に不溶で、ガラス転移温度以上でも溶融しないため、ポリイミドそのものを成型加工することは通常容易ではない。そのためポリイミドは一般に、無水ピロメリット酸(PMDA)等の芳香族テトラカルボン酸二無水物と4,4’−オキシジアニリン(ODA)等の芳香族ジアミンとをジメチルアセトアミド(DMAc)等の非プロトン性極性有機溶媒中で等モル反応させて、先ず高重合度のポリイミド前駆体(ポリアミド酸)を重合し、このワニスを銅箔上に塗付し、250℃〜400℃で加熱脱水閉環(イミド化)して製膜される。
残留応力は、高温でのイミド化反応後にポリイミド/金属基板積層体を室温へ冷却する過程で発生し、FCCLの反り、剥離、膜の割れ等、深刻な問題がしばしば起こる。
熱応力低減の方策として、絶縁膜であるポリイミド自身を低熱膨張化することが有効である。殆どのポリイミドでは線熱膨張係数が50℃〜200℃の範囲にて40ppm/K〜100ppm/Kの範囲にあり、金属箔例えば銅の線熱膨張係数17ppm/Kよりもはるかに大きいため、銅の値に近い、およそ20ppm/K以下を示す低熱膨張性ポリイミドの研究開発が行われている。
現在実用的な低熱膨張性ポリイミド材料としては3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンから形成されるポリイミドが最もよく知られている。このポリイミドフィルムは、膜厚や作製条件にもよるが、5ppm/K〜15ppm/Kと非常に低い線熱膨張係数を示すことが知られている(例えば非特許文献1参照)。しかしながらこれは低吸水性を示さない。
ポリイミドの寸法安定性は、熱サイクルだけでなく吸湿に対しても要求される。従来のポリイミドでは2〜3質量%も吸湿する。絶縁層の吸湿は、高密度配線や多層配線においては、寸法変化に伴う回路の位置ずれ、特に、ポリイミド/導体界面でのコロージョン、イオンマイグレーション、絶縁破壊等、電気特性の低下という問題を生じさせる可能性があり、改善すべき極めて重要な課題であった。そのため絶縁膜としてのポリイミド層はできるだけ吸水率が低いことが求められている。
低吸水率を実現するための分子設計として、例えばトリメリット酸無水物とヒドロキノンから誘導される式(4)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物を使用してポリイミド骨格へのパラ芳香族エステル結合を導入することが有効であると報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
しかしながら、式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物を用いる限り、ポリエステルイミドフィルムの吸水率は0.7%ないし0.8%が限界である。芳香族エステル結合の含有率を更に増加したテトラカルボン酸二無水物を用いることで、目的の物性を保持したままで更に低吸水率化が実現可能であると期待されるが、そのようなエステル基含有テトラカルボン酸二無水物およびそれを用いて誘導されるポリエステルイミドは知られていない。
重合反応性や製膜加工性を保持したまま低線熱膨張(係数)(目標値として20ppm/K以下)、低吸水率(目標値0.5%以下)、低吸湿膨張係数(目標値10ppm/RH%以下)、十分な靭性、ハンダ耐熱性、難燃性、且つ金属箔例えば銅箔との密着性を満足するポリイミドを得ることは分子設計上容易ではなく、このような要求特性を満足する実用的な材料は今のところ殆ど知られていないのが現状である。
Macromolecules,29,7897(1996) High Performance Polymers,18,697(2006)
Macromolecules,29,7897(1996) High Performance Polymers,18,697(2006)
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、高いガラス転移温度、極めて低い線熱膨張係数、極めて低い吸水率、極めて低い吸湿膨張係数、十分な靭性、高い熱安定性且つ難燃性を併せ持つポリエステルイミド用の前駆体およびポリエステルイミドを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を積み重ねた結果、下記式(1)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを原料として得られる、下記式(2)で表されるポリエステルイミド前駆体のワニスを銅箔等の導体基板上に塗付・乾燥してフィルムとし、これを熱的に又脱水環化試薬等を用いてイミド化して、得られた下記式(3)で表されるポリエステルイミドで構成されたフィルムが、上記産業分野において極めて有益な材料となることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物は、下記式(1)で表されることを特徴とする。
(式(1)中、R1〜R8は各々独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基を表し、Yはエステル基を表す。)
本発明のポリエステルイミド前駆体においては、下記式(2)で表される反復単位を含有することが好ましい。
(式(2)中、R1〜R8およびYは式(1)と同じであり、Aは2価の芳香族基または脂肪族基を表す。)
本発明のポリエステルイミド前駆体においては、固有粘度が0.1dL/g〜20.0dL/gの範囲であることが好ましい。
本発明のポリエステルイミドは、上記ポリエステルイミド前駆体をイミド化して得られ、下記式(3)で表される反復単位を含有することを特徴とする。
(式(3)中、R1〜R8、YおよびAは、式(2)と同じである。)
本発明のポリエステルイミドの製造方法は、上記ポリエステルイミド前駆体を加熱あるいは脱水試薬を用いて環化反応(イミド化)させて得られることを特徴とする。
本発明のポリエステルイミドの製造方法は、上記ポリエステルイミド前駆体を単離することなしに、ポリエステルイミド前駆体の原料であるテトラカルボン酸二無水物及びジアミンを、溶媒中で、高温下一段階で重縮合反応することを特徴とする。
本発明の積層板の製造方法は、上記ポリエステルイミド前駆体のワニスを金属層上に塗布、乾燥する工程と、前記ポリエステルイミド前駆体を加熱あるいは脱水試薬を用いてイミド化させてポリエステルイミド層を形成する工程と、を具備することを特徴とする。
本発明のフレキシブルプリント基板の製造方法は、上記積層板の金属層をエッチングしてパターニングを行うことを特徴とする。
本発明によれば、高いガラス転移温度、極めて低い線熱膨張係数、極めて低い吸水率、極めて低い吸湿膨張係数、十分な靭性、高い熱安定性且つ難燃性を併せ持つポリエステルイミド用の前駆体およびポリエステルイミドを提供することができる。本発明のポリエステルイミドは、FPC、COF、TAB用基板、各種電子デバイスにおける電気絶縁膜および液晶ディスプレー用基板、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレー用基板、電子ペーパー用基板、太陽電池用基板、特にFPC、COFおよびTAB用絶縁基板として有用である。
ポリイミドを低線熱膨張化するための分子設計として、主鎖骨格をできるだけ直線状で剛直(内部回転により多様なコンホメーションをとりにくく)する必要がある。しかし一方で、これによりポリマー鎖の絡み合いが減少し、フィルムが脆弱化する恐れがある。また、ポリイミド骨格へのエーテル結合等の屈曲性単位の過大な導入は靭性の向上には大きく寄与するが、低線熱膨張特性の発現を妨げる。
本発明において着目したパラ芳香族エステル結合はエーテル結合に比べて内部回転障壁が高く、コンホメーション変化が比較的妨げられているため、剛直構造単位として振舞い、且つポリイミド主鎖にある程度の柔軟さも付与し、可撓性のフィルムを与えることが期待される。また、エステル結合はアミド結合やイミド結合よりも単位体積当たりの分極率が低いため、ポリイミドへのエステル結合の導入は低吸水率化にも有利である。
本発明のポリエステルイミド前駆体は、エステル基含有テトラカルボン酸二無水物とジアミンとにより得られるポリエステルイミド前駆体であって、前記エステル基含有テトラカルボン酸二無水物が上記式(1)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物であることを特徴とし、上記式(2)で表される反復単位を含有することを特徴とする。また、本発明のポリエステルイミドは、前記ポリエステルイミド前駆体をイミド化して得られ、上記式(3)で表される反復単位を含有することを特徴とする。なお、式(2)中Aに結合した2つのカルボキシル基は便宜上シス配置として例示されているが、実際のポリエステルイミド前駆体連鎖はシスとトランス配置の混在したものでも良い。
本発明のポリエステルイミド前駆体は、下記式(1)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物を用いて製造される。
(式(1)中、R1〜R8は各々独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基を表し、Yはエステル基を表す。)
ポリイミドの低吸水率化のために、しばしばフッ素化モノマーが使用されるが、該テトラカルボン酸二無水物はフッ素基を一切含有しないため、フッ素化モノマー使用時にしばしば見られるガラス転移温度や金属箔との密着性が低下する懸念がなく、更にポリイミドを低コストで製造できるといった利点もある。
該テトラカルボン酸二無水物の特徴の一つは分子内に疎水基として振舞う6つ芳香環と4つのエステル基を含有している点である。これにより、極めて低い吸水率、極めて低い吸湿膨張係数および極めて低い線熱膨張係数を同時に実現することが可能になる。また、線熱膨張係数の制御の観点からこれらが全てパラ結合している、式(10)の構造であることが好ましい。ここで式(10)中のR1〜R8は各々独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基を表し、Yはエステル基を表す。
該テトラカルボン酸二無水物モノマー中の酸無水物基の重合反応性は、得られるポリエステルイミドフィルムの靭性に大きな影響を及ぼす。酸無水物基の求電子性即ちジアミンとの重合反応性が十分高くないと、高重合体が得られず、結果としてポリマー鎖同士の絡み合いが低くなり、ポリエステルイミドフィルムが脆弱になる恐れがある。本発明のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物は十分高い重合反応性を有するためそのような懸念がない。
本発明におけるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物に対して、更なる低吸水化を目論み、芳香族エステル結合を更に増加(追加)しようとすると、合成経路が著しく煩雑になり、製造コストの観点から不利である。それに加えそのようなモノマーを使用してポリエステルイミド前駆体を重合する際、モノマーおよび生成物の溶媒溶解性が低下して、重合度が十分に増加しない恐れや、得られるポリエステルイミドフィルムが結晶化により脆弱になる恐れがあるため、好ましくない。
本発明におけるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物において、置換基を含有しなくても大きな支障はないが、適当な置換基を導入することで、ポリエステルイミドのポリマー鎖間のパッキングが適度に乱され、フィルムの結晶化が妨害されて、結果として要求特性を保持したままで靭性が改善される場合がある。
その際、フェニル基のような非常に嵩高い置換基はポリエステルイミドの要求特性を著しく低下する恐れがあるために避けるべきである。適用可能な置換基として、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基が挙げられるが、メチル基およびメトキシ基がより好ましく、更にコストの観点からメチル基がより好ましい。
極めて剛直な構造のジアミンを用いた場合、本発明に係るポリエステルイミドフィルムは銅箔等の金属箔より低い線熱膨張係数を示すことがある。この場合、適当量の4,4’−オキシジアニリン等の屈曲性モノマーを共重合成分として併用することで、ポリエステルイミドフィルムの線熱膨張係数を金属箔の値に完全に一致させることができる。屈曲性モノマーの併用によりポリエステルイミドフィルムの靭性も大幅に改善することができる。
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明するが、これらは本発明の実施形態の一例であり、これらの内容に限定されない。
本発明においては、式(1)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物を原料とし、各種ジアミンと組み合わせて重合反応、イミド化させることにより産業上極めて有用なポリエステルイミドを提供することができる。該エステル基含有テトラカルボン酸二無水物の反応性、剛直性、疎水性、置換基の適度な立体的嵩高さという構造上の特徴から、樹脂とした際に金属箔に近い低線熱膨張係数、極めて低い吸水率、極めて低い吸湿膨張係数、高ガラス転移温度、高靭性、難燃性という従来の材料では得ることのできなかった物性を同時に有する材料とすることができる。
<エステル基含有テトラカルボン酸二無水物の製造方法>
式(1)で表される本発明のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物の製造方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。例として式(5)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物の製造方法について説明する。より具体的には、まずその原料となる下記式(11)で表されるジオール(以下44BPHBと称する)を合成する。
式(1)で表される本発明のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物の製造方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。例として式(5)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物の製造方法について説明する。より具体的には、まずその原料となる下記式(11)で表されるジオール(以下44BPHBと称する)を合成する。
エステル化反応の際適用できる方法としては、例えば、4−アセトキシ安息香酸のカルボキシル基を酸ハライドに変換し、これと44BPとを脱酸剤(塩基)の存在下で反応させる方法(酸ハライド法)、トシルクロリド/N,N−ジメチルホルムアミド/ピリジン混合物を用いて4−アセトキシ安息香酸のカルボキシル基を活性化してエステル化する方法等が挙げられる。上述の方法の中でも酸ハライド法が経済性、反応性の点で好ましく適用できる。
以下に4−アセトキシ安息香酸のカルボキシル基を酸ハライドに変換する方法について具体的に説明するが、特に限定されない。4−アセトキシ安息香酸クロライド(以下4−ABCと称する)を合成するために、ハロゲン化剤として塩化チオニルを用いる方法、オキザリルクロリドを用いる方法、三塩化リンを用いる方法、安息香酸クロリドなどの他の酸クロリドを使用する方法などが挙げられる。中でも過剰に使用した試剤の留去のしやすさの点から塩化チオニルを用いる方法が好適に用いられる。この際、塩化チオニルの使用量は特に制限はないが、溶媒としての働きも有するため、ジカルボン酸に対して大過剰使用することが望ましい。塩素化の触媒としてN,N−ジメチルホルムアミドやピリジン等を塩化チオニルに添加してもよい。反応は室温でも行えるが、通常50〜90℃に加熱還流して行うことが好ましい。反応後は過剰な塩素化試剤を常圧あるいは減圧下にて留去するが、塩素化試剤と共沸組成物を形成するベンゼンやトルエン等の溶媒を添加することもできる。得られた4−ABCはヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の無極性溶媒を用いて再結晶することでより純度を高めることができるが、そのような精製操作を行わなくても通常十分高純度なものが得られるので、そのまま次の反応工程に使用しても差し支えない。
次に、このようにして得られた4−ABCと44BPを反応させてエステル化し、式(11)で表されるジアセトキシ体を合成する方法について説明する。まず4−ABCを溶媒に溶解し、セプタムキャップで密栓する。この溶液を、44BPおよび適当量のピリジン等の塩基(脱酸剤)を同一溶媒に溶解したものへ、シリンジまたは滴下ロートにてゆっくりと滴下する。この際、滴下終了後、反応混合物を1〜24時間撹拌する。反応溶媒に対する目的物の溶解度が高い場合は、反応混合物からまず生成した塩酸塩を濾別し、濾液をエバポレーターで溶媒留去し、析出物を水で十分洗浄して過剰の塩基を除去した後50〜100℃で24時間真空乾燥して粉末状の粗生成物を得る。一方、反応溶媒に対する目的物の溶解度が低い場合には、まず目的物と塩酸塩の混合物を濾別し、これを大量の水で洗浄して塩酸塩および過剰の塩基を溶解除去して粗生成物を得る。この際塩酸塩の除去は洗浄液を1%硝酸銀水溶液を用いて塩化銀の白色沈殿の生成の有無をもって、容易に判断することができる。このようにして得られた粗生成物は次の反応に供することができるが、適当な溶媒から再結晶してジアセトキシ体の純度を更に高めることもできる。
エステル化反応の際、4−ABCの添加量は44BPに対して2倍モル量が好ましいが、4−ABCの分離のしやすさから、過剰量の4−ABCを添加して反応させても差し支えない。
エステル化反応の際、使用可能な溶媒としては、特に限定されないが、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ピコリン、ピリジン、アセトン、クロロホルム、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,2−ジメトキシエタン−ビス(2−メトキシエチル)エーテル等の非プロトン性溶媒、およびフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール等のプロトン性溶媒が挙げられる。またこれらの溶媒を単独でも、2種類以上混合して用いてもよい。反応試薬の溶解性、反応後の溶媒留去のしやすさの観点からテトラヒドロフランが好適に用いられる。
上記エステル化反応は、−10℃〜50℃で行われるが、より好ましくは0〜30℃で行われる。副反応を避け、収率を向上させるという点から、反応温度は50℃以下であることが好ましい。
上記エステル化反応は、溶質濃度5質量%〜50質量%の範囲で行われる。副反応の制御、沈殿の濾過工程を考慮して、好ましくは10質量%〜40質量%の範囲で行われる。
反応に用いる脱酸剤としては、特に限定されないが、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等の有機3級アミン類、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基が用いられる。
次に、得られたジアセトキシ体の末端のアセトキシ基を加水分解して、式(10)で表される44BPHBを合成する。ジアセトキシ体に対し、酸化防止剤として硫酸水素ナトリウムを含むアルカリ水溶液を加えて加水分解する。これを濾過して不溶物を除去した後、濾液に無機酸水溶液(0.1N〜2N)を加えて弱酸性にすることで白色沈殿が析出する。これを濾過し、洗液に塩素イオンがなくなるまで、水で十分洗浄し、50℃〜150℃で過熱真空乾燥して44BPHBの粗生成物を得る。この生成物はそのまま次の反応に供することもできるが、適当な溶媒から再結晶して純度を更に高めることもできる。
加水分解の際、硫酸水素ナトリウムは44BPHBの末端ヒドロキシルの酸化を抑制するために触媒量添加されるが、用いなくても大きな支障はない。この際硫酸水素ナトリウムの濃度は特に制限はないが例えば0.1質量%以上であれば十分である。またアルカリ水溶液として、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が好適に用いられ、加水分解時の濃度は0.1mol/l〜2mol/lの範囲であり、好ましくは0.5mol/l〜1mol/lである。反応は0〜50℃の範囲、好ましくは0〜30℃で行い、1分〜24時間、好ましくは5分〜1時間攪拌する。アルカリ水溶液の濃度や反応温度が高すぎたり、反応時間が長すぎると、アセトキシ基ばかりでなく、芳香族エステル基まで加水分解される恐れがあるため、注意を要する。水酸化ナトリウム水溶液を用いて加水分解すると、44BPHBの2つのヒドロキシ基はナトリウム塩になっているため、塩酸等の無機酸水溶液を加えて中和し、pH2〜5好ましくはpH3〜4に調節して目的物を析出させる。この際使用される無機酸の濃度は特に限定されないが例えば0.1mol/l〜2mol/lの範囲である。
また、加水分解の際に、水溶液とよく混和する有機溶媒にジアセトキシ体をあらかじめ溶解しておいて、これにアルカリ水溶液を加えても差し支えない。その際に使用可能な溶媒として例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、グリコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミドやN,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホオキシド等が挙げられる。
次に、本発明の式(1)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物の合成方法について説明する。その製造方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。例として上記のように合成された44BPHBおよびトリメリット酸無水物誘導体からエステル化反応により式(5)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物を製造する方法について説明する。
この際適用できる方法として、例えば、44BPHBのヒドロキシ基とトリメリット酸無水物のカルボキシル基を高温で直接脱水反応させるか、ジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水試薬を用いて脱水縮合させる方法、あるいは44BPHBのジアセテート化体とトリメリット酸無水物とを高温で反応させ脱酢酸してエステル化する方法(エステル交換法)、トリメリット酸無水物のカルボキシル基を酸ハライドに変換し、これと44BPHBとを脱酸剤(塩基)の存在下で反応させる方法(酸ハライド法)、トシルクロリド/N,N−ジメチルホルムアミド/ピリジン混合物を用いてトリメリット酸無水物中のカルボキシル基を活性化してエステル化する方法等が挙げられる。上述の方法の中でも酸ハライド法が経済性、反応性の点で好ましく適用できる。
次に、例として式(5)で表される本発明のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物の酸ハライド法による合成方法について具体的に説明するが、特に限定されない。
酸ハライド法によるエステル化反応は次のようにして行う。トリメリット酸無水物クロリドと44BPHBを反応させてエステル化し、式(1)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物を合成する。まずトリメリット酸無水物クロリドを溶媒に溶解し、セプタムキャップで密栓する。この溶液に、44BPおよび適当量の塩基(脱酸剤)を同一溶媒に溶解したものをシリンジまたは滴下ロートにて滴下する。滴下終了後、反応混合物を1〜24時間撹拌する。この際44BPHBに対するトリメリット酸無水物クロリドの添加量は通常2倍モルであるが、反応終了後のトリメリット酸無水物クロリドの分離のしやすさおよび44BPHBの分離のしにくさの観点から、44BPHBに対してトリメリット酸無水物クロリドを過剰に添加してもよい。その際のトリメリット酸無水物クロリドの添加量は44BPHBに対して2〜10倍モル量、好ましくは2〜5倍モル量である。
このエステル化反応の際、使用可能な溶媒としては、特に限定されないが、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ピコリン、ピリジン、アセトン、クロロホルム、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド(以下DMAcと称する)、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド(以下DMFと称する)、ヘキサメチルホスホルアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,2−ジメトキシエタン−ビス(2−メトキシエチル)エーテル等の非プロトン性溶媒、およびフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール等のプロトン性溶媒が挙げられる。またこれらの溶媒を単独でも、2種類以上混合して用いてもよい。原料の溶解性の観点からDMFやDMAcが好適に用いられる。
上記エステル化反応は、−10℃〜50℃で行われるが、より好ましくは0〜30℃で行われる。副反応を避け、収率を向上させるという点から、反応温度は50℃以下であることが好ましい。
該エステル基含有テトラカルボン酸二無水物を得る反応は、溶質濃度1質量%〜50質量%の範囲で行われる。副反応の制御、沈殿の濾過工程を考慮して、好ましくは5質量%〜30質量%の範囲で行われる。
反応に用いる脱酸剤としては、特に限定されないが、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等の有機3級アミン類、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基が用いられる。
得られた該エステル基含有テトラカルボン酸二無水物の分離・精製は以下のようにして行う。上記エステル化反応終了後、用いた溶媒に対する目的物の溶解度が高い場合は、反応混合物からまず生成した塩酸塩を濾別し、濾液をエバポレーターで溶媒留去し、100℃〜230℃で24時間真空乾燥して粉末状の粗生成物を得ることができる。一方、目的物の溶解度が低い場合には、反応溶液から析出した目的物と塩酸塩の混合物を濾別し、これを大量の水で繰り返し洗浄して塩酸塩のみ溶解除去する。その際、洗浄液に1質量%硝酸銀水溶液を滴下して塩化銀の白色沈殿の生成の有無をもって、塩酸塩が完全に除去されたかどうか簡便に判断することができる。
水洗操作の際、該エステル基含有テトラカルボン酸二無水物が一部加水分解を受けて、ジカルボン酸に変化する場合があるが、80℃〜250℃、好ましくは120℃〜200℃で真空乾燥することで、一部加水分解してジカルボン酸が生成しても容易に酸無水物に戻すことができる。また有機酸の酸無水物と処理する方法も適用可能である。使用可能な有機酸の酸無水物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸などが挙げられるが、除去の容易さの点で無水酢酸が好適に用いられる。このようにして得られた粗生成物を、これと反応しない適当な溶媒で再結晶、洗浄、加熱真空乾燥することで重合に供することのできる高純度の該エステル基含有テトラカルボン酸二無水物を得ることができる。
<ポリエステルイミド前駆体の製造方法>
本発明に係るポリエステルイミド前駆体を製造する方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。より具体的には、以下の方法により得られる。まずジアミンを重合溶媒に溶解し、これに本発明のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物粉末を徐々に添加し、メカニカルスターラーを用い、0〜100℃、好ましくは20℃〜60℃で0.5時間〜100時間好ましくは1時間〜48時間攪拌する。この際モノマー濃度は5質量%〜50質量%、好ましくは10質量%〜40質量%である。ポリエステルイミド前駆体の重合度を十分高くするという点から、濃度範囲は5質量%以上であることが好ましく、モノマーや生成するポリマーの溶解性を十分確保するという点から50質量%以下であることが好ましい。よって、このモノマー濃度範囲で重合を行うことにより均一で高重合度のポリイミド前駆体溶液を得ることができる。ポリエステルイミド前駆体の重合度が増加しすぎて、重合溶液が攪拌しにくくなった場合は、適宜同一溶媒で希釈することもできる。
本発明に係るポリエステルイミド前駆体を製造する方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。より具体的には、以下の方法により得られる。まずジアミンを重合溶媒に溶解し、これに本発明のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物粉末を徐々に添加し、メカニカルスターラーを用い、0〜100℃、好ましくは20℃〜60℃で0.5時間〜100時間好ましくは1時間〜48時間攪拌する。この際モノマー濃度は5質量%〜50質量%、好ましくは10質量%〜40質量%である。ポリエステルイミド前駆体の重合度を十分高くするという点から、濃度範囲は5質量%以上であることが好ましく、モノマーや生成するポリマーの溶解性を十分確保するという点から50質量%以下であることが好ましい。よって、このモノマー濃度範囲で重合を行うことにより均一で高重合度のポリイミド前駆体溶液を得ることができる。ポリエステルイミド前駆体の重合度が増加しすぎて、重合溶液が攪拌しにくくなった場合は、適宜同一溶媒で希釈することもできる。
ポリエステルイミドフィルムの靭性の観点からポリエステルイミド前駆体の重合度はできるだけ高いことが望ましい。上記モノマー濃度範囲で重合を行うことによりポリマーの重合度が十分高く、モノマー及びポリマーの溶解性も十分確保することができる。また、脂肪族ジアミンを使用した場合、重合初期にしばしば塩形成が起こり、重合が妨害されるが、塩形成を抑制しつつできるだけ重度を上げるためには、重合時のモノマー濃度が高すぎないように注意を払うべきである。
また、ポリエステルイミドフィルムの靭性の観点から、ポリエステルイミド前駆体の固有粘度は好ましくは0.1dL/g〜20.0dL/gの範囲であり、さらにポリエステルイミド前駆体のハンドリングの観点から0.5dL/g〜5.0dL/gの範囲であることがより好ましい。
本発明に係るポリエステルイミドフィルムの要求特性およびポリエステルイミド前駆体の重合反応性を損なわない範囲で、式(2)で表される本発明のポリエステルイミド前駆体重合の際に使用可能な芳香族ジアミンとしては、特に限定されないが、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノデュレン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(2−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、3−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4−アミノフェニル−3’−アミノベンゾエート、4−アミノ−2−メチルフェニル−4’−アミノベンゾエート、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(4−アミノ−2−メチルフェニル)テレフタレート、ベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、p−ターフェニレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(4−アミノ−2−メチルフェニル)テレフタレート、等が挙げられる。またこれらを2種類以上併用することもできる。
本発明に係るポリエステルイミドフィルムの要求特性およびポリエステルイミド前駆体の重合反応性を損なわない範囲で、本発明のポリエステルイミド前駆体重合の際に使用可能な脂肪族ジアミンとしては、特に限定されないが、例えば、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、シス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.0]デカン、1,3−ジアミノアダマンタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−プロパンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン等が挙げられる。またこれらを2種類以上併用することもできる。
ポリエステルイミドフィルムの低線熱膨張特性発現という観点から、剛直で直線的な構造を有するジアミン即ち、p−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、3−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4−アミノフェニル−3’−アミノベンゾエート、4−アミノ−2−メチルフェニル−4’−アミノベンゾエート、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(4−アミノ−2−メチルフェニル)テレフタレート、ベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、p−ターフェニレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(4−アミノ−2−メチルフェニル)テレフタレート、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン等をジアミン成分として使用することが好ましい。この際、上記剛直構造のジアミンの含有量は全ジアミン使用量の5モル%〜100モル%、好ましくは30モル%〜95モル%である。
本発明に係るポリエステルイミド前駆体の重合反応性、ポリエステルイミドの要求特性を著しく損なわない範囲で、本発明の式(1)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物以外の芳香族テトラカルボン酸二無水物を共重合成分として併用することができる。その際に使用可能な芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、特に限定されないが、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ハイドロキノン−ビス(トリメリテートアンハイドライド)、p−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、メチルハイドロキノン−ビス(トリメリテートアンハイドライド)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。また、これらを2種類以上用いてもよい。
重合反応性および本発明のポリエステルイミドの要求特性を著しく損なわない範囲で、本発明のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物以外の脂肪族テトラカルボン酸二無水物を共重合成分として併用することができる。使用可能な脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、特に限定されないが、ビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(ジオキソテトラヒドロフリル−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−テトラリン−1,2−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。またこれらを2種類以上併用することもできる。
本発明のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物と併用する上記脂肪族テトラカルボン酸二無水物の含有量は全テトラカルボン酸二無水物使用量の0〜95モル%、好ましくは0〜50モル%の範囲である。
重合反応の際使用される溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホオキシド等の非プロトン性溶媒が好ましいが、原料モノマーと生成するポリイミド前駆体が溶解すれば問題はなく特にその構造には限定されない。具体的に例示するならば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン等の環状エステル溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、トリエチレングリコール等のグリコール系溶媒、m−クレゾール、p−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール等のフェノール系溶媒、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシドなどが好ましく採用される。さらに、その他の一般的な有機溶剤、即ちフェノール、o−クレゾール、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルブ、プチルセロソルブ、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロへキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ系溶媒なども添加して使用できる。
本発明のポリエステルイミド前駆体はその重合溶液を、大量の水やメタノール等の貧溶媒中に滴下・濾過・乾燥し、粉末として単離することもできる。
<ポリエステルイミドの製造方法>
本発明のポリエステルイミドは、上記の方法で得られたポリエステルイミド前駆体を脱水閉環反応(イミド化反応)することで製造することができる。この際ポリエステルイミドの使用可能な形態は、フィルム、粉末、成型体、ワニスおよび金属箔との積層体が挙げられる。
本発明のポリエステルイミドは、上記の方法で得られたポリエステルイミド前駆体を脱水閉環反応(イミド化反応)することで製造することができる。この際ポリエステルイミドの使用可能な形態は、フィルム、粉末、成型体、ワニスおよび金属箔との積層体が挙げられる。
まずポリエステルイミドフィルムを製造する方法について述べる。ポリエステルイミド前駆体の重合溶液(ワニス)をガラス、銅、アルミニウム、ステンレス、シリコン等の基板上に流延し、オーブン中40℃〜180℃、好ましくは50℃〜150℃で乾燥する。得られたポリエステルイミド前駆体フィルムを基板上で真空中、窒素等の不活性ガス中、あるいは空気中、200℃〜450℃、好ましくは250℃〜430℃で加熱することで本発明のポリエステルイミドフィルムを製造することができる。加熱温度はイミド化の閉環反応を十分に行なうという観点から200℃以上、生成したポリエステルイミドフィルムの熱安定性の観点から450℃以下が好ましい。またイミド化は真空中あるいは不活性ガス中で行うことが望ましいが、イミド化温度が高すぎなければ空気中で行っても、差し支えない。
また、イミド化反応は、熱処理に代えて、ポリエステルイミド前駆体フィルムをピリジンやトリエチルアミン等の3級アミン存在下、無水酢酸等の脱水環化試薬を含有する溶液に浸漬することによって行うことも可能である。また、これらの脱水環化試薬をあらかじめポリエステルイミド前駆体ワニス中に室温で投入・攪拌し、それを上記基板上に流延・乾燥することで、部分的にイミド化したポリエステルイミド前駆体フィルムを作製することもでき、これを更に上記のように熱処理することでポリエステルイミドフィルムが得られる。
ポリエステルイミド前駆体の重合溶液をそのままあるいは同一の溶媒で適度に希釈した後、そのワニスを150℃〜230℃に加熱することで、ポリイミド自体が用いた溶媒に溶解する場合、本発明のポリエステルイミドのワニスを容易に製造することができる。溶媒に不溶な場合は、結晶性のポリエステルイミド粉末を沈殿物として得ることができる。この際、イミド化の副生成物である水等を共沸留去するために、トルエンやキシレン等を添加しても差し支えない。また触媒としてγ―ピコリン等の塩基を添加することができる。得られたワニスを大量の水やメタノール等の貧溶媒中に滴下して析出させ、これを濾過しポリエステルイミドを粉末として単離することもできる。またポリエステルイミド粉末が溶媒に可溶である場合は、これを上記重合溶媒に再溶解してポリエステルイミドのワニスとすることができる。
本発明のポリエステルイミドは、該エステル基含有テトラカルボン酸二無水物とジアミンを溶媒中高温で反応(ワンポット重合)させることにより、ポリエステルイミド前駆体を単離することなく、一段階で製造することもできる。この際、反応温度は反応促進の観点から、130℃〜250℃、好ましくは150℃〜230℃の範囲に保持するとよい。またポリエステルイミドが用いた溶媒に不溶な場合、ポリエステルイミドは沈殿物として得られ、可溶な場合はポリエステルイミドのワニスとして得られる。ワンポット重合の際使用可能な溶媒は特に限定さないが、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性溶媒が例として挙げられが、より好ましくはm−クレゾール等のフェノール系溶媒やNMP等のアミド系溶媒が用いられる。これらの溶媒にイミド化反応の副生成物である水を共沸留去するために、トルエンやキシレン等を添加することができる。またイミド化触媒としてγ−ピコリン等の塩基を添加することができる。得られたワニスを大量の水やメタノール等の貧溶媒中に滴下・濾過しポリエステルイミドを粉末として単離することができる。またポリエステルイミドが溶媒に可溶である場合はその粉末を上記溶媒に再溶解してポリイミドワニスとすることができる。
上記ポリエステルイミドワニスを基板上に塗布し、40℃〜400℃、好ましくは100℃〜350℃で乾燥するによってもポリエステルイミドフィルムを形成することができる。
上記のように得られたポリエステルイミド粉末を200℃〜450℃、好ましくは250℃〜430℃で加熱圧縮することでポリエステルイミドの成型体を作製することもできる。
ポリエステルイミド前駆体溶液中にN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドやトリフルオロ無水酢酸等の脱水試薬を添加・撹拌して0〜100℃、好ましくは0〜60℃で反応させることにより、ポリエステルイミドの異性体であるポリエステルイソイミドが生成する。イソイミド化反応は上記脱水試薬を含有する溶液中にポリエステルイミド前駆体フィルムを浸漬することでも可能である。ポリエステルイソイミドワニスを上記と同様な手順で製膜した後、250℃〜450℃、好ましくは270℃〜400℃で熱処理することにより、ポリエステルイミドへ容易に変換することができる。
本発明のポリエステルイミド前駆体のワニスを金属箔例えば銅箔上に塗付・乾燥後、上記の条件によりイミド化することで、金属層とポリエステルイミド樹脂層の積層体を得ることができる。更に塩化第二鉄水溶液等のエッチング液を用いて金属層を所望する回路状にエッチングすることで、無接着剤型フレキシブルプリント基板を製造することができる。
フレキシブルプリント基板の金属箔としては、種々の金属箔を使用することができるが、好ましくは、銅箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などを挙げることができる。これらの金属箔は、マット処理、メッキ処理、クロメート処理、アルミニウムアルコラート処理、アルミニウムキレート処理、シランカップリング剤処理などの表面処理を行ってもよい。金属箔の厚みは、特に限定されないが、好ましくは35μm以下、さらに好ましくは6〜18μmである。
フレキシブルプリント基板は、以下の様にして製造することができる。まず、本発明のポリエステルイミド前駆体ワニスを金属箔上にブレードコーターや、リップコーター、グラビアコーター等を用いて塗工し、その後乾燥させてポリエステルイミド前駆体層を形成する。塗工厚は、ポリエステルイミド前駆体ワニスの固形分濃度に影響されるが、ポリエステルイミド前駆体層を、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気下にて、200℃〜450℃にて熱イミド化させることによりポリエステルイミド樹脂絶縁層を形成することができる。ポリエステルイミド樹脂絶縁層の厚みは、100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは3μm〜25μmである。
本発明のポリエステルイミドおよびその前駆体中に、必要に応じて酸化安定剤、フィラー、接着促進剤、シランカップリング剤、感光剤、光重合開始剤、増感剤、末端封止剤、架橋剤等の添加物を加えることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これら実施例に限定されるものではない。なお、以下の例における物性値は、次の方法により測定した。
<赤外吸収スペクトル>
フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社製FT−IR5300)を用い、KBr法にてエステル基含有テトラカルボン酸二無水物の赤外線吸収スペクトルを測定した。また透過法にてエポリエステルイミド前駆体およびポリエステルイミドフィルム(約5μm厚)の赤外線吸収スペクトルを測定した。
フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社製FT−IR5300)を用い、KBr法にてエステル基含有テトラカルボン酸二無水物の赤外線吸収スペクトルを測定した。また透過法にてエポリエステルイミド前駆体およびポリエステルイミドフィルム(約5μm厚)の赤外線吸収スペクトルを測定した。
<1H−NMRスペクトル>
日本電子社製NMR分光光度計(ECP400)を用い、重水素化ジメチルスルホキシド中でエステル基含有テトラカルボン酸二無水物の1H−NMRスペクトルを測定した。
日本電子社製NMR分光光度計(ECP400)を用い、重水素化ジメチルスルホキシド中でエステル基含有テトラカルボン酸二無水物の1H−NMRスペクトルを測定した。
<示差走査熱量分析(融点および融解曲線)>
エステル基含有テトラカルボン酸二無水物の融点および融解曲線は、ブルカーエイエックス社製示差走査熱量分析装置(DSC3100)を用いて、窒素雰囲気中、昇温速度2℃/分で測定した。融点が高く融解ピークがシャープであるほど、高純度であることを示す。
エステル基含有テトラカルボン酸二無水物の融点および融解曲線は、ブルカーエイエックス社製示差走査熱量分析装置(DSC3100)を用いて、窒素雰囲気中、昇温速度2℃/分で測定した。融点が高く融解ピークがシャープであるほど、高純度であることを示す。
<固有粘度:η>
0.5質量%のポリエステルイミド前駆体溶液を、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
0.5質量%のポリエステルイミド前駆体溶液を、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
<ガラス転移温度:Tg>
ブルカーエイエックス社製熱機械分析装置(TMA4000)を用いて動的粘弾性測定により、周波数0.1Hz、昇温速度5℃/分における損失ピークからポリエステルイミドフィルム(20μm厚)のガラス転移温度を求めた。
ブルカーエイエックス社製熱機械分析装置(TMA4000)を用いて動的粘弾性測定により、周波数0.1Hz、昇温速度5℃/分における損失ピークからポリエステルイミドフィルム(20μm厚)のガラス転移温度を求めた。
<線熱膨張(係数):CTE>
ブルカーエイエックス社製熱機械分析装置(TMA4000)を用いて、熱機械分析により、荷重0.5g/膜厚1μm、昇温速度5℃/分における試験片の伸びより、100〜200℃の範囲での平均値としてポリエステルイミドフィルム(20μm厚)の線熱膨張(係数)を求めた。
ブルカーエイエックス社製熱機械分析装置(TMA4000)を用いて、熱機械分析により、荷重0.5g/膜厚1μm、昇温速度5℃/分における試験片の伸びより、100〜200℃の範囲での平均値としてポリエステルイミドフィルム(20μm厚)の線熱膨張(係数)を求めた。
<5%質量減少温度:Td 5>
ブルカーエイエックス社製熱質量分析装置(TG−DTA2000)を用いて、窒素中または空気中、昇温速度10℃/分での昇温過程において、ポリエステルイミドフィルム(20μm厚)の初期質量が5%減少した時の温度を測定した。これらの値が高いほど、熱安定性が高いことを表す。
ブルカーエイエックス社製熱質量分析装置(TG−DTA2000)を用いて、窒素中または空気中、昇温速度10℃/分での昇温過程において、ポリエステルイミドフィルム(20μm厚)の初期質量が5%減少した時の温度を測定した。これらの値が高いほど、熱安定性が高いことを表す。
<複屈折:△n>
アタゴ社製アッベ屈折計(アッベ4T)を用いて、ポリエステルイミドフィルム(20μm厚)に平行な方向(nin)と垂直な方向(nout)の屈折率をアッベ屈折計(ナトリウムランプ使用、波長589nm)で測定し、これらの屈折率の差から複屈折(Δn=nin−nout)を求めた。この値が高いほど、ポリマー鎖の面内配向度が高いことを意味する。
アタゴ社製アッベ屈折計(アッベ4T)を用いて、ポリエステルイミドフィルム(20μm厚)に平行な方向(nin)と垂直な方向(nout)の屈折率をアッベ屈折計(ナトリウムランプ使用、波長589nm)で測定し、これらの屈折率の差から複屈折(Δn=nin−nout)を求めた。この値が高いほど、ポリマー鎖の面内配向度が高いことを意味する。
<誘電率:εcal>
アタゴ社製アッベ屈折計(アッベ4T)を用いて、ポリエステルイミドフィルムの平均屈折率〔nav=(2nin+nout)/3〕に基づいて次式:εcal=1.1×nav 2により1MHzにおけるポリエステルイミドフィルムの誘電率(εcal)を算出した。
アタゴ社製アッベ屈折計(アッベ4T)を用いて、ポリエステルイミドフィルムの平均屈折率〔nav=(2nin+nout)/3〕に基づいて次式:εcal=1.1×nav 2により1MHzにおけるポリエステルイミドフィルムの誘電率(εcal)を算出した。
<吸水率>
50℃で24時間真空乾燥したポリエステルイミドフィルム(膜厚20μm〜30μm)を24℃の水に24時間浸漬した後、余分の水分を拭き取り、質量増加分から吸水率(%)を求めた。殆どの用途においてこの値が低いほど好ましい。
50℃で24時間真空乾燥したポリエステルイミドフィルム(膜厚20μm〜30μm)を24℃の水に24時間浸漬した後、余分の水分を拭き取り、質量増加分から吸水率(%)を求めた。殆どの用途においてこの値が低いほど好ましい。
<吸湿膨張係数:CHE>
ポリエステルイミドフィルム(5mm×20mm×膜厚20μm)を100℃で数時間真空乾燥後、これをブルカーエイエックスエス社製熱機械分析装置(TMA4000)に速やかにセット(チャック間:15mm)して膜厚1μm当たり0.5gの静荷重を試験片にかけ、室温で乾燥窒素を1時間流した後、神栄社製精密湿度供給装置(SRG−1R−1)を用いて相対湿度(RH)80%のウエットガスをTMA4000装置内に導入して、室温における試験片の伸びより、ポリエステルイミドフィルムの吸湿膨張係数を求めた。この値が低いほど吸湿寸法安定性が高いことを意味する。
ポリエステルイミドフィルム(5mm×20mm×膜厚20μm)を100℃で数時間真空乾燥後、これをブルカーエイエックスエス社製熱機械分析装置(TMA4000)に速やかにセット(チャック間:15mm)して膜厚1μm当たり0.5gの静荷重を試験片にかけ、室温で乾燥窒素を1時間流した後、神栄社製精密湿度供給装置(SRG−1R−1)を用いて相対湿度(RH)80%のウエットガスをTMA4000装置内に導入して、室温における試験片の伸びより、ポリエステルイミドフィルムの吸湿膨張係数を求めた。この値が低いほど吸湿寸法安定性が高いことを意味する。
<弾性率、破断伸び、破断強度>
東洋ボールドウィン社製引張試験機(テンシロンUTM−2)を用いて、ポリエステルイミド試験片(3mm×30mm×20μm厚)について引張試験(延伸速度:8mm/分)を実施し、応力―歪曲線の初期の勾配から弾性率を、フィルムが破断した時の伸び率から破断伸び(%)を求めた。破断伸びが高いほどフィルムの靭性が高いことを意味する。
東洋ボールドウィン社製引張試験機(テンシロンUTM−2)を用いて、ポリエステルイミド試験片(3mm×30mm×20μm厚)について引張試験(延伸速度:8mm/分)を実施し、応力―歪曲線の初期の勾配から弾性率を、フィルムが破断した時の伸び率から破断伸び(%)を求めた。破断伸びが高いほどフィルムの靭性が高いことを意味する。
<難燃性評価>
UL−94V規格に従ってポリエステルイミド試験片(125mm×13mm×20μm厚)の難燃性を評価した。
UL−94V規格に従ってポリエステルイミド試験片(125mm×13mm×20μm厚)の難燃性を評価した。
[合成例1]
<エステル基含有テトラカルボン酸二無水物(TA44BPHB)の合成>
式(5)で表される本発明のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物(TA44BPHB)は以下のように合成した。まず、4−アセトキシ安息香酸に塩化チオニルを加え、窒素雰囲気下80℃で3時間還流した。その後反応溶液にベンゼンを加えて過剰の塩化チオニルを共沸留去し、白色針状結晶の4−アセトキシ安息香酸クロライド(4−ABC)を得た。
<エステル基含有テトラカルボン酸二無水物(TA44BPHB)の合成>
式(5)で表される本発明のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物(TA44BPHB)は以下のように合成した。まず、4−アセトキシ安息香酸に塩化チオニルを加え、窒素雰囲気下80℃で3時間還流した。その後反応溶液にベンゼンを加えて過剰の塩化チオニルを共沸留去し、白色針状結晶の4−アセトキシ安息香酸クロライド(4−ABC)を得た。
次に記載の4−ABC(19.86g、100mmol)を脱水済みのテトラヒドロフラン(THF)34mLに溶かしセプタムシールして溶液Aを調製した。また別の容器に4,4’−ビフェノール(44BP)9.31g(50mmol)をとり、THF42mL、脱酸剤としてピリジン16.2mL(200mmol)を加えてセプタムシールし溶液Bを調製した。氷浴中、溶液Aに溶液Bをシリンジにてゆっくり滴下し、12時間反応させた。白色の析出物を反応溶液から濾別し、これをまずTHFで洗浄後、水で繰り返し洗浄してピリジン塩酸塩のみ溶解除去した。この沈殿物を160℃で12時間真空乾燥して生成物を得た。FT−IRスペクトルおよび1H−NMRスペクトルから下記式(12)で表される目的のジアセトキシ体であることが確認された(収率:80%)。
FT−IR:1759cm−1(末端C=O)、1734cm−1(芳香族エステルC=O)、1603cm−1(ビフェニレン基)
1H−NMR:δ2.3ppm(CH3、6H)、δ8.2ppm(末端フェニル基上2,2’位CaromH、4H)、δ7.8ppm(ビフェニル基上2,2’位CaromH、4H)、δ7.4ppm(ビフェニル基上3,3’位CaromH、4H+末端フェニル基上3,3’位CaromH、4H)
DSC:融点219.5℃
1H−NMR:δ2.3ppm(CH3、6H)、δ8.2ppm(末端フェニル基上2,2’位CaromH、4H)、δ7.8ppm(ビフェニル基上2,2’位CaromH、4H)、δ7.4ppm(ビフェニル基上3,3’位CaromH、4H+末端フェニル基上3,3’位CaromH、4H)
DSC:融点219.5℃
次に、このジアセトキシ体15.3g(30mmol)にN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)100mLを加えて溶解し、酸化防止剤として0.2質量%のNaHSO3を含む0.6mol/l水酸化ナトリウム水溶液180mLを加え、室温で10分間攪拌してアセトキシ基の加水分解を行った。反応後、微量の不溶物を濾過により取り除き、濾液に1mol/l塩酸水溶液を加えて弱酸性とし、析出物を大量の水で洗浄後80℃で12時間真空乾燥して収率87%で白色粉末を得た。更に純度を高めるため、γ−ブチロラクトンで再結晶を行った。FT−IRスペクトルおよび1H−NMRスペクトルから下記式(11)で表される目的のジオール体(44BPHB)であることが確認された。また示差走査熱量(DSC)曲線においてシャープな融解ピークよりが観測され、高純度であることが示唆される。
FT−IR:3416cm−1(OH)、1703cm−1(エステルC=O)、1603cm−1(ビフェニレン基)
1H−NMR:δ10.6ppm(OH、2H)、δ7.8〜8.0ppm(末端フェニル基上CaromH、8H)、δ7.0〜7.3ppm(ビフェニル基上CaromH、8H)
DSC:融点359.4℃
FT−IR:3416cm−1(OH)、1703cm−1(エステルC=O)、1603cm−1(ビフェニレン基)
1H−NMR:δ10.6ppm(OH、2H)、δ7.8〜8.0ppm(末端フェニル基上CaromH、8H)、δ7.0〜7.3ppm(ビフェニル基上CaromH、8H)
DSC:融点359.4℃
次に、ナス型フラスコにトリメリット酸クロリド4.20g(20mmol)を入れ、DMAc6.7mLに溶解させ、セプタムシールして溶液Aを調製した。更に別のフラスコ中で上記44BPHB2.84g(6.66mmol)をDMAc12.3mLに溶解し、これにピリジン3.2mL(40mmol)を加えて完全に加熱溶解し、セプタムシールして溶液Bを調製した。
室温で攪拌しながら、溶液Aに溶液Bを速やかに滴下し、その後室温で12時間攪拌した。析出した白色沈殿物を濾別し、これを水洗してピリジン塩酸塩を溶解除去した。洗浄済みの白色沈殿を160℃で12時間真空乾燥し、収率93%で粗生成物を得た。これをγ−ブチロラクトンから2回再結晶し、180℃で12時間真空乾燥して生成物を得た。FT−IRスペクトル(図1)および1H−NMRスペクトル(図2)より、この生成物は下記式(5)で表される目的のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物(TA44BPHB)であることが確認された。また、示差走査熱量曲線(図3)において観測されたシャープな融解ピークより高純度であることが示唆される。
[実施例1]
<ポリエステルイミド前駆体の重合、イミド化およびポリエステルイミドフィルム特性の評価>
よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中にp−フェニレンジアミン(以下PDAと称する)3mmolを入れ、モレキュラーシーブス4Aで十分に脱水したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解した後、この溶液に式(5)で表される本発明のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物粉末(TA44BPHB)3mmolを一度に加えた(溶質濃度:20質量%)。室温で24時間攪拌後、溶液粘度が増加して攪拌しにくくなったため、10質量%まで同一溶媒で適宜希釈しトータル48時間撹拌して均一で粘稠なポリエステルイミド前駆体溶液を得た。
<ポリエステルイミド前駆体の重合、イミド化およびポリエステルイミドフィルム特性の評価>
よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中にp−フェニレンジアミン(以下PDAと称する)3mmolを入れ、モレキュラーシーブス4Aで十分に脱水したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解した後、この溶液に式(5)で表される本発明のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物粉末(TA44BPHB)3mmolを一度に加えた(溶質濃度:20質量%)。室温で24時間攪拌後、溶液粘度が増加して攪拌しにくくなったため、10質量%まで同一溶媒で適宜希釈しトータル48時間撹拌して均一で粘稠なポリエステルイミド前駆体溶液を得た。
このポリエステルイミド前駆体溶液は室温および−20℃で一ヶ月間放置しても沈澱、ゲル化は全く起こらず、高い溶液貯蔵安定を示した。NMP中、30℃、0.5質量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリエステルイミド前駆体の固有粘度は2.35dL/gであった。
このポリエステルイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、80℃、3時間で乾燥して得たポリエステルイミド前駆体フィルムを基板上、250℃で1時間、更に300℃で1時間真空中で熱イミド化を行った後、残留応力を除去するために基板から剥がして350℃で1時間、熱処理を行い、膜厚20μmの淡黄色の透明なポリエステルイミドフィルムを得た。このポリエステルイミドフィルムは180°折曲げ試験によっても破断せず、可撓性を示した。また如何なる有機溶媒に対しても全く溶解性を示さなかった。このポリエステルイミドフィルムについて動的粘弾性測定を行った結果、359℃にガラス転移点(動的粘弾性曲線における損失ピークより決定)が観測された。
また、線熱膨張係数は−5.0ppm/Kと極めて低い値を示した。これは、非常に大きな複屈折値(△n=0.175)から判断して、ポリエステルイミド鎖の高度な面内配向によるものと考えられる。また本発明のポリエステルイミドはV−0クラスの優れた難燃性および極めて低い吸水率0.43%を示した。平均屈折率より見積もった誘電率は3.18であり、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンからなる代表的な全芳香族低熱膨張性ポリイミドの誘電率(3.5)より低い値であった。これらの結果はポリイミド骨格中にエステル基を導入した効果である。また5%質量減少温度は窒素中で482℃、空気中で459℃であり、十分高い熱安定性も有している。機械的特性は引張弾性率(ヤング率)7.03GPa、破断強度0.35GPa、破断伸び6.5%、吸湿膨張係数6.72ppm/RH%であった。
このようにこのポリエステルイミドは極めて低い線熱膨張係数、優れた難燃性、低吸水率、優れた寸法安定性、高ガラス転移温度、十分高い熱安定性および靭性、比較的低い誘電率を示した。表1に物性値をまとめる。得られたポリエステルイミド前駆体およびポリエステルイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを図4、図5にそれぞれ示す。
[実施例2]
ジアミン成分としてPDAを単独で使用する代わりに、PDAと4,4’−オキシジアニリン(以下ODAと称する)を併用し、実施例1に記載した方法に従って、ポリエステルイミド前駆体を共重合し、製膜、イミド化、物性評価を行った。この際の共重合組成はPDA75mol%、ODA25mol%である。吸湿膨張係数3.33ppm/RH%でその他の物性値を表1に示す。実施例1と同様に優れた特性を示したのに加え、屈曲性モノマーであるODAを一部使用したため、靭性が大幅に改善された。得られたポリエステルイミド前駆体およびポリエステルイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを図6、図7にそれぞれ示す。
ジアミン成分としてPDAを単独で使用する代わりに、PDAと4,4’−オキシジアニリン(以下ODAと称する)を併用し、実施例1に記載した方法に従って、ポリエステルイミド前駆体を共重合し、製膜、イミド化、物性評価を行った。この際の共重合組成はPDA75mol%、ODA25mol%である。吸湿膨張係数3.33ppm/RH%でその他の物性値を表1に示す。実施例1と同様に優れた特性を示したのに加え、屈曲性モノマーであるODAを一部使用したため、靭性が大幅に改善された。得られたポリエステルイミド前駆体およびポリエステルイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを図6、図7にそれぞれ示す。
[実施例3]
ジアミン成分としてPDAの代わりに、o−トリジンを用い、実施例1に記載した方法に従って、ポリエステルイミド前駆体を共重合し、製膜、イミド化、物性評価を行った。物性値を表1に示す。実施例1と同様に優れた特性を示した。
ジアミン成分としてPDAの代わりに、o−トリジンを用い、実施例1に記載した方法に従って、ポリエステルイミド前駆体を共重合し、製膜、イミド化、物性評価を行った。物性値を表1に示す。実施例1と同様に優れた特性を示した。
[実施例4]
ジアミン成分としてPDAの代わりに、m−トリジンを用い、実施例1に記載した方法に従って、ポリエステルイミド前駆体を共重合し、製膜、イミド化、物性評価を行った。吸湿膨張係数2.99ppm/RH%でその他の物性値を表1に示す。実施例1と同様に優れた特性を示した。
ジアミン成分としてPDAの代わりに、m−トリジンを用い、実施例1に記載した方法に従って、ポリエステルイミド前駆体を共重合し、製膜、イミド化、物性評価を行った。吸湿膨張係数2.99ppm/RH%でその他の物性値を表1に示す。実施例1と同様に優れた特性を示した。
[比較例1]
式(5)で表される本発明のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物の代わりに、式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物(以下TAHQと称する)を用いて、実施例1に記載した方法に従って、ポリエステルイミド前駆体を重合し、製膜・イミド化を行った。このポリエステルイミドフィルムは180°折曲げ試験によっても破断し、充分な可撓性が得られなかった。吸水率および誘電率は実施例1に記載の本発明のポリエステルイミドフィルムより高い値であった。これはTAHQとPDAから得られるポリエステルイミドでは疎水性基として働く芳香族エステル結合の含有率がより低く、その結果として吸水の原因となるイミド基の含有率がより高いためである。
式(5)で表される本発明のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物の代わりに、式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物(以下TAHQと称する)を用いて、実施例1に記載した方法に従って、ポリエステルイミド前駆体を重合し、製膜・イミド化を行った。このポリエステルイミドフィルムは180°折曲げ試験によっても破断し、充分な可撓性が得られなかった。吸水率および誘電率は実施例1に記載の本発明のポリエステルイミドフィルムより高い値であった。これはTAHQとPDAから得られるポリエステルイミドでは疎水性基として働く芳香族エステル結合の含有率がより低く、その結果として吸水の原因となるイミド基の含有率がより高いためである。
本発明のポリエステルイミドは、フレキシブルプリント配線回路(FPC)用基板、テープオートメーションボンディング(TAB)用基材、各種電子デバイスにおける電気絶縁膜および液晶ディスプレー用基板、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレー用基板、電子ペーパー用基板、太陽電池用基板、特にFPCおよびTAB用基材として好適に利用できる。
Claims (8)
- 固有粘度が0.1dL/g〜20.0dL/gの範囲であることを特徴とする請求項2に記載のポリエステルイミド前駆体。
- 請求項2または請求項3に記載のポリエステルイミド前駆体を加熱あるいは脱水試薬を用いて環化反応(イミド化)させて得られることを特徴とするポリエステルイミドの製造方法。
- 請求項2または請求項3に記載のポリエステルイミド前駆体を単離することなしに、ポリエステルイミド前駆体の原料であるテトラカルボン酸二無水物及びジアミンを、溶媒中で、高温下一段階で重縮合反応することを特徴とするポリエステルイミドの製造方法。
- 請求項2または請求項3に記載のポリエステルイミド前駆体のワニスを金属層上に塗布、乾燥する工程と、前記ポリエステルイミド前駆体を加熱あるいは脱水試薬を用いてイミド化させてポリエステルイミド層を形成する工程と、を具備することを特徴とする積層板の製造方法。
- 請求項7に記載の積層板の金属層をエッチングしてパターニングを行うことを特徴とするフレキシブルプリント基板の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN104640907A (zh) * | 2012-09-19 | 2015-05-20 | 本州化学工业株式会社 | 聚酰亚胺及其成形体 |
CN110770314A (zh) * | 2017-06-14 | 2020-02-07 | 米其林集团总公司 | 具有涂覆硫化聚苯并噁嗪的表面的金属增强件或镀金属的增强件 |
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-
2008
- 2008-05-27 JP JP2008138742A patent/JP2009286853A/ja active Pending
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