JP7469383B2 - 金属張積層板及び回路基板 - Google Patents

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本発明は、金属張積層板、接着シート、接着性ポリイミド樹脂組成物及び回路基板に関する。
近年、電子機器の小型化、軽量化、省スペース化の進展に伴い、薄く軽量で、可撓性を有し、屈曲を繰り返しても優れた耐久性を持つフレキシブルプリント配線板(FPC;Flexible Printed Circuits)の需要が増大している。FPCは、限られたスペースでも立体的かつ高密度の実装が可能であるため、例えば、HDD、DVD、スマートフォン等の電子機器の可動部分の配線や、ケーブル、コネクター等の部品にその用途が拡大しつつある。
上述した高密度化に加えて、機器の高性能化が進んだことから、伝送信号の高周波化への対応も必要とされている。高周波信号を伝送する際に、伝送経路における伝送損失が大きい場合、電気信号のロスや信号の遅延時間が長くなるなどの不都合が生じる。そのため、今後はFPCにおいても、伝送損失の低減が重要となる。高周波化に対応するために、低誘電率、低誘電正接を特徴とした液晶ポリマーを誘電体層としたFPCが用いられている。しかしながら、液晶ポリマーは、誘電特性に優れているものの、耐熱性や金属層との接着性に改善の余地がある。
FPC等の回路基板の材料となる金属張積層板には、配線加工される金属層と、絶縁樹脂層とを、接着剤樹脂による接着層を介して接着させた形態(3層金属張積層板)が知られている(例えば、特許文献1)。このような3層金属張積層板を、高周波信号伝送を行う回路基板への利用を図る上では、接着層の誘電特性の改善が重要であると考えられる。
ところで、ポリイミドを主成分とする接着層に関する技術として、ダイマー酸などの脂肪族ジアミンから誘導されるジアミン化合物を原料とするポリイミドと、少なくとも2つの第1級アミノ基を官能基として有するアミノ化合物と、を反応させて得られる架橋ポリイミド樹脂を、カバーレイフィルムの接着剤層に適用する使用することが提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2の架橋ポリイミド樹脂は、環状シロキサン化合物からなる揮発成分を発生させず、優れた半田耐熱性を有し、繰り返し高温にさらされる使用環境でも、配線層とカバーレイフィルムとの接着力を低下させない、という利点を有するものである。しかしながら、特許文献2では、高周波信号伝送への適用可能性や、3層金属張積層板における接着層への適用については検討されていない。
国際公開WO2016/031960 特許第5777944号公報
本発明の目的は、接着性に優れ、誘電率及び誘電正接が小さく、高周波伝送においても伝送損失の低減が可能な接着層を備えた金属張積層板及び回路基板を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究の結果、回路基板において配線層と絶縁樹脂層との接着機能を担う接着層にポリイミドを使用するとともに、該ポリイミドの原料となるモノマーの種類と量を制御することによって、優れた接着性を維持しつつ、低誘電率化及び低誘電正接化が可能となることを見出し、本発明を完成した。
本発明の金属張積層板は、絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層の少なくとも片側の面に積層された接着層と、前記接着層を介して前記絶縁樹脂層に積層された金属層と、を有するものである。
本発明の金属張積層板における前記接着層は、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含有するポリイミドを有している。
そして、前記ポリイミドは、前記ジアミン残基の100モル部に対して、
ダイマー酸の二つの末端カルボン酸基が1級のアミノメチル基又はアミノ基に置換されてなるダイマー酸型ジアミンから誘導されるジアミン残基を50モル部以上含有することを特徴とする。
本発明の金属張積層板において、前記ポリイミドは、前記テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、下記の一般式(1)及び/又は(2)で表されるテトラカルボン酸無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基を合計で90モル部以上含有していてもよい。
Figure 0007469383000001
一般式(1)中、Xは、単結合、または、下式から選ばれる2価の基を示し、一般式(2)中、Yで表される環状部分は、4員環、5員環、6員環、7員環又は8員環から選ばれる環状飽和炭化水素基を形成していることを表す。
Figure 0007469383000002
上記式において、Zは-C-、-(CH)n-又は-CH-CH(-O-C(=O)-CH)-CH-を示すが、nは1~20の整数を示す。
本発明の金属張積層板において、前記ポリイミドは、前記ジアミン残基の100モル部に対して、
前記ダイマー酸型ジアミンから誘導されるジアミン残基を50モル部以上99モル部以下の範囲内で含有していてもよく、
下記の一般式(B1)~(B7)で表されるジアミン化合物から選ばれる少なくとも1種のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を1モル部以上50モル部以下の範囲内で含有していてもよい。
Figure 0007469383000003
式(B1)~(B7)において、Rは独立に炭素数1~6の1価の炭化水素基又はアルコキシ基を示し、連結基Aは独立に-O-、-S-、-CO-、-SO-、-SO-、-COO-、-CH-、-C(CH-、-NH-若しくは-CONH-から選ばれる2価の基を示し、nは独立に0~4の整数を示す。ただし、式(B3)中から式(B2)と重複するものは除き、式(B5)中から式(B4)と重複するものは除くものとする。
本発明の金属張積層板は、前記金属層が銅箔からなり、該銅箔における前記接着層と接する面が防錆処理されていてもよい。
本発明の回路基板は、上記いずれかの金属張積層板の前記金属層を配線に加工してなるものである。
本発明の接着シートは、絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層の少なくとも片側の面に積層された接着層と、前記接着層を介して前記絶縁樹脂層に積層された金属層と、を有する金属張積層板において前記接着層を形成するための接着シートである。
本発明の接着シートは、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含有するポリイミドを有している。
そして、前記ポリイミドは、前記ジアミン残基の100モル部に対して、
ダイマー酸の二つの末端カルボン酸基が1級のアミノメチル基又はアミノ基に置換されてなるダイマー酸型ジアミンから誘導されるジアミン残基を50モル部以上含有することを特徴とする。
本発明の接着シートにおいて、前記ポリイミドは、前記テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、上記の一般式(1)及び/又は(2)で表されるテトラカルボン酸無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基を合計で90モル部以上含有していてもよい。
本発明の接着シートにおいて、前記ポリイミドは、前記ジアミン残基の100モル部に対して、
前記ダイマー酸型ジアミンから誘導されるジアミン残基を50モル部以上99モル部以下の範囲内で含有していてもよく、
上記の一般式(B1)~(B7)で表されるジアミン化合物から選ばれる少なくとも1種のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を1モル部以上50モル部以下の範囲内で含有していてもよい。
本発明の接着性ポリイミド樹脂組成物は、絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層の少なくとも片側の面に積層された接着層と、前記接着層を介して前記絶縁樹脂層に積層された金属層と、を有する金属張積層板において前記接着層を形成するための組成物である。
本発明の接着性ポリイミド樹脂組成物は、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含有するポリイミドを含むものである。
そして、前記ポリイミドは、前記ジアミン残基の100モル部に対して、
ダイマー酸の二つの末端カルボン酸基が1級のアミノメチル基又はアミノ基に置換されてなるダイマー酸型ジアミンから誘導されるジアミン残基を50モル部以上含有することを特徴とする。
本発明の接着性ポリイミド樹脂組成物において、前記ポリイミドは、前記テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、上記の一般式(1)及び/又は(2)で表されるテトラカルボン酸無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基を合計で90モル部以上含有していてもよい。
本発明の接着性ポリイミド樹脂組成物において、前記ポリイミドは、前記ジアミン残基の100モル部に対して、
前記ダイマー酸型ジアミンから誘導されるジアミン残基を50モル部以上99モル部以下の範囲内で含有していてもよく、
上記の一般式(B1)~(B7)で表されるジアミン化合物から選ばれる少なくとも1種のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を1モル部以上50モル部以下の範囲内で含有していてもよい。
本発明の金属張積層板は、特定のテトラカルボン酸残基及びジアミン残基を導入したポリイミドによって接着層を形成することで、接着性の確保と低誘電率化及び低誘電正接化を可能とした。本発明の金属張積層板を利用することによって、例えば、10GHz以上という高周波信号を伝送する回路基板等への適用も可能となる。従って、回路基板において信頼性と歩留まりの向上を図ることができる。
本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[金属張積層板]
本実施の形態の金属張積層板は、絶縁樹脂層と、絶縁樹脂層の少なくとも片側の面に積層された接着層と、接着層を介して前記絶縁樹脂層に積層された金属層と、を備えており、いわゆる3層金属張積層板である。3層金属張積層板は、接着層が、絶縁樹脂層の片面又は両面に設けられていればよく、金属層は、接着層を介して絶縁樹脂層の片面又は両面に設けられていればよい。つまり、本実施の形態の金属張積層板は、片面金属張積層板でもよいし、両面金属張積層板でもよい。本実施の形態の金属張積層板の金属層をエッチングするなどして配線回路加工することによって、片面FPC又は両面FPCを製造することができる。
<絶縁樹脂層>
絶縁樹脂層としては、電気的絶縁性を有する樹脂により構成されるものであれば特に限定はなく、例えばポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ETFEなどを挙げることができるが、ポリイミドによって構成されることが好ましい。絶縁樹脂層を構成するポリイミド層は、単層でも複数層でもよいが、非熱可塑性ポリイミド層を含むことが好ましい。ここで、「非熱可塑性ポリイミド」とは、一般に加熱しても軟化、接着性を示さないポリイミドのことであるが、本発明では、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、300℃における貯蔵弾性率が3.0×10Pa以上であるポリイミドをいう。
ポリイミドは、特定の酸無水物とジアミン化合物とを反応させて得られる前駆体のポリアミド酸をイミド化して製造されるので、酸無水物とジアミン化合物を説明することにより、非熱可塑性ポリイミドの具体例が理解される(後述する接着層を形成する熱可塑性ポリイミドについても同様である)。なお、本発明におけるポリイミドとしては、いわゆるポリイミドの他、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミドエステル、ポリエーテルイミド、ポリシロキサンイミド等の構造中にイミド基を有するものが含まれる。
(酸無水物)
非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドに使用される酸無水物としては、例えば、3,3’、4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、1,4-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル)二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、2,3',3,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-、2,3,3',4'-又は3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3'',4,4''-、2,3,3'',4''-又は2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-又は3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,7,8-、1,2,6,7-又は1,2,9,10-フェナンスレン-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,3,5,6-シクロヘキサン二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,6-又は2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-(又は1,4,5,8-)テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-(又は2,3,6,7-)テトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9-、3,4,9,10-、4,5,10,11-又は5,6,11,12-ペリレン-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物、2,2‐ビス〔4-(3,4‐ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、4,4’- (ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレングリコール ビスアンヒドロトリメリテート等の酸二無水物が挙げられる。
(ジアミン化合物)
非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドに使用されるジアミン化合物としては、芳香族ジアミン化合物又は脂肪族ジアミン化合物を挙げることができる。それらの具体例としては、1,4-ジアミノベンゼン(p-PDA;パラフェニレンジアミン)、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-TB)、2,2’-n-プロピル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-NPB)、4-アミノフェニル-4’-アミノベンゾエート(APAB)、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、9,9-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、2,2-ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-メチレンジ-o-トルイジン、4,4’-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4’-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、3,3’-ジアミノジフェニルエタン、3,3’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシベンジジン、3,3''-ジアミノ-p-テルフェニル、4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン、2'-メトキシ-4,4'-ジアミノベンズアニリド、4,4'-ジアミノベンズアニリド、1,3-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、6-アミノ-2-(4-アミノフェノキシ)ベンゾオキサゾール、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ダイマー酸の二つの末端カルボン酸基が1級のアミノメチル基又はアミノ基に置換されてなるダイマー酸型ジアミン等のジアミン化合物が挙げられる。
非熱可塑性ポリイミドにおいて、上記酸無水物、ジアミン化合物の種類や、2種以上の酸無水物、ジアミン化合物を適用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張係数、貯蔵弾性率、引張弾性率等を制御することができる。また、非熱可塑性ポリイミドにおいて、ポリイミドの構造単位を複数有する場合は、ブロックとして存在しても、ランダムに存在していてもよいが、面内ばらつきを抑制する観点から、ランダムに存在することが好ましい。
絶縁樹脂層の厚みは、例えば1~125μmの範囲内にあることが好ましく、5~50μmの範囲内がより好ましい。絶縁樹脂層の厚みが上記下限値に満たないと、十分な電気絶縁性が担保出来ないなどの問題が生じることがある。一方、絶縁樹脂層の厚みが上記上限値を超えると、金属張積層板の反りが生じやすくなるなどの不具合が生じる。また、絶縁樹脂層の厚みと接着層との厚みの比(絶縁樹脂層の厚み/接着層の厚み)は、0.5~2.0の範囲内が好ましい。このような比率にすることで、金属張積層板の反りを抑制することができる。
絶縁樹脂層を構成する非熱可塑性ポリイミド層は低熱膨張性であり、熱膨張係数(CTE)が好ましくは10ppm/K以上30ppm/K以下の範囲内、より好ましくは10ppm/K以上25ppm/K以下の範囲内である。CTEが10ppm/K未満であるか、又は30ppm/Kを超えると、反りが発生したり、寸法安定性が低下したりする。使用する原料の組合せ、厚み、乾燥・硬化条件を適宜変更することで所望のCTEを有するポリイミド層とすることができる。
絶縁樹脂層は、例えば回路基板に適用する場合において、誘電損失の悪化を抑制するために、10GHzにおける誘電正接(Tanδ)は、0.02以下、より好ましくは0.0005以上0.01以下の範囲内、更に好ましくは0.001以上0.008以下の範囲内がよい。絶縁樹脂層の10GHzにおける誘電正接が0.02を超えると、FPC等の回路基板に使用した際に、高周波信号の伝送経路上で電気信号のロスなどの不都合が生じやすくなる。一方、絶縁樹脂層の10GHzにおける誘電正接の下限値は特に制限されないが、回路基板の絶縁樹脂層としての物性制御を考慮している。
絶縁樹脂層は、例えば回路基板の絶縁層として適用する場合において、インピーダンス整合性を確保するために、絶縁層全体として、10GHzにおける誘電率が4.0以下であることが好ましい。絶縁樹脂層の10GHzにおける誘電率が4.0を超えると、FPC等の回路基板に使用した際に、絶縁樹脂層の誘電損失の悪化に繋がり、高周波信号の伝送経路上で電気信号のロスなどの不都合が生じやすくなる。
絶縁樹脂層は、必要に応じて、フィラーを含有してもよい。フィラーとしては、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム、有機ホスフィン酸の金属塩等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
<接着層>
接着層は、テトラカルボン酸無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基及びジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を含有するポリイミドを含むものであり、熱可塑性ポリイミドからなることが好ましい。ここで、「熱可塑性ポリイミド」とは、一般にガラス転移温度(Tg)が明確に確認できるポリイミドのことであるが、本発明では、DMAを用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、300℃における貯蔵弾性率が3.0×10Pa未満であるポリイミドをいう。なお、本発明において、テトラカルボン酸残基とは、テトラカルボン酸二無水物から誘導された4価の基のことを意味し、ジアミン残基とは、ジアミン化合物から誘導された2価の基のことを意味する。
(テトラカルボン酸残基)
接着層を形成する熱可塑性ポリイミドは、は、テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、下記の一般式(1)及び/又は(2)で表されるテトラカルボン酸無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基(以下、「テトラカルボン酸残基(1)、「テトラカルボン酸残基(2)」と記すことがある)を、合計で90モル部以上含有することが好ましい。本発明では、テトラカルボン酸残基(1)及び/又は(2)を、テトラカルボン酸残基の100モル部に対して合計で90モル部以上含有させることによって、接着層を形成する熱可塑性ポリイミドに溶剤可溶性を付与するとともに、熱可塑性ポリイミドの柔軟性と耐熱性の両立が図りやすく好ましい。テトラカルボン酸残基(1)及び/又は(2)の合計が90モル部未満では、熱可塑性ポリイミドの溶剤溶解性が低下する傾向になる。
Figure 0007469383000004
一般式(1)中、Xは、単結合、または、下式から選ばれる2価の基を示し、一般式(2)中、Yで表される環状部分は、4員環、5員環、6員環、7員環又は8員環から選ばれる環状飽和炭化水素基を形成していることを示す。
Figure 0007469383000005
上記式において、Zは-C-、-(CH)n-又は-CH-CH(-O-C(=O)-CH)-CH-を示すが、nは1~20の整数を示す。
テトラカルボン酸残基(1)を誘導するためのテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物(ODPA)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)、2,2-ビス〔4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物(BPADA)、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)などを挙げることができる。
また、テトラカルボン酸残基(2)を誘導するためのテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘプタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-シクロオクタンテトラカルボン酸二無水物、などを挙げることができる。
接着層を形成する熱可塑性ポリイミドは、発明の効果を損なわない範囲で、上記一般式(1)又は(2)で表されるテトラカルボン酸無水物以外の酸無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基を含有することができる。テトラカルボン酸残基(1)又は(2)以外の酸無水物残基としては、前述の絶縁樹脂層における非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドに使用される酸無水物として例示したものの残基を挙げることができる。
(ジアミン残基)
接着層を形成する熱可塑性ポリイミドは、ジアミン残基の100モル部に対して、ダイマー酸型ジアミンから誘導されるダイマー酸型ジアミン残基を50モル部以上、例えば50モル部以上99モル部以下の範囲内、好ましくは80モル部以上、例えば80モル部以上99モル部以下の範囲内で含有する。ダイマー酸型ジアミン残基を上記の量で含有することによって、接着層の誘電特性を改善させるとともに、接着層に必要な柔軟性を確保することができる。ジアミン残基の100モル部に対して、ダイマー酸型ジアミン残基が50モル部未満であると、絶縁樹脂層と金属層との間に介在する接着層として十分な接着性が得られないことがあり、また金属張積層板の反りが生じることがある。
ここで、ダイマー酸型ジアミンとは、ダイマー酸の二つの末端カルボン酸基(-COOH)が、1級のアミノメチル基(-CH-NH)又はアミノ基(-NH)に置換されてなるジアミンを意味する。ダイマー酸は、不飽和脂肪酸の分子間重合反応によって得られる既知の二塩基酸であり、その工業的製造プロセスは業界でほぼ標準化されており、炭素数が11~22の不飽和脂肪酸を粘土触媒等にて二量化して得られる。工業的に得られるダイマー酸は、オレイン酸やリノール酸などの炭素数18の不飽和脂肪酸を二量化することによって得られる炭素数36の二塩基酸が主成分であるが、精製の度合いに応じ、任意量のモノマー酸(炭素数18)、トリマー酸(炭素数54)、炭素数20~54の他の重合脂肪酸を含有する。本発明では、ダイマー酸は分子蒸留によってダイマー酸含有量を90重量%以上にまで高めたものを使用することが好ましい。また、ダイマー化反応後には二重結合が残存するが、本発明では、更に水素添加反応して不飽和度を低下させたものもダイマー酸に含めるものとする。
ダイマー酸型ジアミンの特徴として、ダイマー酸の骨格に由来する特性をポリイミドに付与することができる。すなわち、ダイマー酸型ジアミンは、分子量約560~620の巨大分子の脂肪族であるので、分子のモル体積を大きくし、ポリイミドの極性基を相対的に減らすことができる。このようなダイマー酸型ジアミンの特徴は、ポリイミドの耐熱性の低下を抑制しつつ、誘電率と誘電正接を小さくして誘電特性を向上させることに寄与すると考えられる。また、2つの自由に動く炭素数7~9の疎水鎖と、炭素数18に近い長さを持つ2つの鎖状の脂肪族アミノ基とを有するので、ポリイミドに柔軟性を与えるのみならず、ポリイミドを非対象的な化学構造や非平面的な化学構造とすることができるので、ポリイミドの低誘電率化及び低誘電正接化を図ることができると考えられる。
ダイマー酸型ジアミンは、市販品が入手可能であり、例えばクローダジャパン社製のPRIAMINE1073(商品名)、同PRIAMINE1074(商品名)、同PRIAMINE1075(商品名)、コグニスジャパン社製のバーサミン551(商品名)、同バーサミン552(商品名)等が挙げられる。
また、接着層を形成する熱可塑性ポリイミドは、下記の一般式(B1)~(B7)で表されるジアミン化合物から選ばれる少なくとも1種のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を、全ジアミン成分100モル部に対して、合計で1モル部以上50モル部以下の範囲内で含有することが好ましく、1モル部以上20モル部以下の範囲内で含有することがより好ましい。一般式(B1)~(B7)で表されるジアミン化合物は、屈曲性を有する分子構造を持つため、これらから選ばれる少なくとも一種のジアミン化合物を上記範囲内の量で使用することによって、ポリイミド分子鎖の柔軟性を向上させ、熱可塑性を付与することができる。ジアミン(B1)~ジアミン(B7)の合計量が全ジアミン成分の100モル部に対して50モル部を超えると、ポリイミドの溶剤溶解性が低くなることがあり、1モル部未満であるとポリイミドの柔軟性が不足し、高温での加工性が低下することがある。
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式(B1)~(B7)において、Rは独立に炭素数1~6の1価の炭化水素基又はアルコキシ基を示し、連結基Aは独立に-O-、-S-、-CO-、-SO-、-SO-、-COO-、-CH-、-C(CH-、-NH-若しくは-CONH-から選ばれる2価の基を示し、nは独立に0~4の整数を示す。ただし、式(B3)中から式(B2)と重複するものは除き、式(B5)中から式(B4)と重複するものは除くものとする。
なお、式(B1)~(B7)において、末端の二つのアミノ基における水素原子は置換されていてもよく、例えば-NR(ここで、R,Rは、独立してアルキル基などの任意の置換基を意味する)であってもよい。
式(B1)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B1)」と記すことがある)は、2つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B1)は、少なくとも1つのベンゼン環に直結したアミノ基と2価の連結基Aとがメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B1)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-、-CH-、-C(CH-、-CO-、-SO-、-S-、-COO-が好ましい。
ジアミン(B1)としては、例えば、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルプロパン、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、(3,3’-ビスアミノ)ジフェニルアミン等を挙げることができる。
式(B2)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B2)」と記すことがある)は、3つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B2)は、少なくとも1つのベンゼン環に直結したアミノ基と2価の連結基Aとがメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B2)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-が好ましい。
ジアミン(B2)としては、例えば1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、3-[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ベンゼンアミン、3-[3-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ベンゼンアミン等を挙げることができる。
式(B3)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B3)」と記すことがある)は、3つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B3)は、1つのベンゼン環に直結した、2つの2価の連結基Aが互いにメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B3)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-が好ましい。
ジアミン(B3)としては、例えば1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、4,4'-[2-メチル-(1,3-フェニレン)ビスオキシ]ビスアニリン、4,4'-[4-メチル-(1,3-フェニレン)ビスオキシ]ビスアニリン、4,4'-[5-メチル-(1,3-フェニレン)ビスオキシ]ビスアニリン等を挙げることができる。
式(B4)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B4)」と記すことがある)は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B4)は、少なくとも1つのベンゼン環に直結したアミノ基と2価の連結基Aとがメタ位にあることで高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B4)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-、-CH-、-C(CH-、-SO-、-CO-、-CONH-が好ましい。
ジアミン(B4)としては、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4,4'-(3-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド等を挙げることができる。
式(B5)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B5)」と記すことがある)は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B5)は、少なくとも1つのベンゼン環に直結した、2つの2価の連結基Aが互いにメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B5)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-が好ましい。
ジアミン(B5)としては、4-[3-[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]フェノキシ]アニリン、4,4’-[オキシビス(3,1-フェニレンオキシ)]ビスアニリン等を挙げることができる。
式(B6)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B6)」と記すことがある)は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B6)は、少なくとも2つのエーテル結合を有することで高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B6)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-C(CH-、-O-、-SO-、-CO-が好ましい。
ジアミン(B6)としては、例えば、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル(BAPE)、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン(BAPK)等を挙げることができる。
式(B7)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B7)」と記すことがある)は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B7)は、ジフェニル骨格の両側に、それぞれ屈曲性の高い2価の連結基Aを有するため、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B7)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-が好ましい。
ジアミン(B7)としては、例えば、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル等を挙げることができる。
接着層を形成する熱可塑性ポリイミドは、発明の効果を損なわない範囲で、上記ダイマー酸型ジアミン及びジアミン(B1)~(B7)以外のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を含むことができる。上記ダイマー酸型ジアミン及びジアミン(B1)~(B7)以外のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基としては、前述の絶縁樹脂層における非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドに使用されるジアミン化合物として例示したものの残基を挙げることができる。
接着層を形成する熱可塑性ポリイミドにおいて、上記テトラカルボン酸残基及びジアミン残基の種類や、2種以上のテトラカルボン酸残基又はジアミン残基を適用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張係数、引張弾性率、ガラス転移温度等を制御することができる。また、熱可塑性ポリイミドにおいて、ポリイミドの構造単位を複数有する場合は、ブロックとして存在しても、ランダムに存在していてもよいが、ランダムに存在することが好ましい。
熱可塑性ポリイミドのイミド基濃度は、33重量%以下であることが好ましい。ここで、「イミド基濃度」は、ポリイミド中のイミド基部(-(CO)-N-)の分子量を、ポリイミドの構造全体の分子量で除した値を意味する。イミド基濃度が33重量%を超えると、樹脂自体の分子量が小さくなるとともに、極性基の増加によって低吸湿性も悪化する。本実施の形態では、上記ジアミン化合物の組み合わせを選択することによって、熱可塑性ポリイミド中の分子の配向性を制御することで、イミド基濃度低下に伴うCTEの増加を抑制し、低吸湿性を担保している。また、ポリイミドの吸湿性が高くなると、ポリイミドフィルムの誘電特性の悪化の要因となるので、低吸湿性の担保は誘電率及び誘電正接の増大を防ぐことができるため好ましい。
熱可塑性ポリイミドの重量平均分子量は、例えば10,000~400,000の範囲内が好ましく、20,000~350,000の範囲内がより好ましい。重量平均分子量が10,000未満であると、接着層の強度が低下して脆化しやすい傾向となる。一方、重量平均分子量が400,000を超えると、過度に粘度が増加して塗工作業の際に接着層の厚みムラ、スジ等の不良が発生しやすい傾向になる。
接着層を形成する熱可塑性ポリイミドは、例えば回路基板の絶縁樹脂層と配線層との間に介在するものであることから、銅の拡散を抑制するために完全にイミド化された構造が最も好ましい。但し、ポリイミドの一部がアミド酸となっていてもよい。そのイミド化率は、フーリエ変換赤外分光光度計(市販品:日本分光製FT/IR620)を用い、1回反射ATR法にてポリイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを測定することによって、1015cm-1付近のベンゼン環吸収体を基準とし、1780cm-1のイミド基に由来するC=O伸縮の吸光度から算出することができる。
(架橋形成)
接着層を形成する熱可塑性ポリイミドがケトン基を有する場合に、該ケトン基と、少なくとも2つの第1級のアミノ基を官能基として有するアミノ化合物のアミノ基を反応させてC=N結合を形成させることによって、架橋構造を形成することができる。架橋構造の形成によって、接着層を形成する熱可塑性ポリイミドの耐熱性を向上させることができる。ケトン基を有する熱可塑性ポリイミドを形成するために好ましいテトラカルボン酸無水物としては、例えば3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)を、ジアミン化合物としては、例えば、4,4’―ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゾフェノン(BABP)、1,3-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン(BABB)等の芳香族ジアミンを挙げることができる。
接着層を形成する熱可塑性ポリイミドの架橋形成に使用可能な上記アミノ化合物としては、ジヒドラジド化合物、芳香族ジアミン、脂肪族アミン等を例示することができる。これらの中でも、ジヒドラジド化合物が好ましい。ジヒドラジド化合物を使用した場合は、他のアミノ化合物を使用した場合に比べて架橋後の硬化時間を短縮させることができる。ジヒドラジド化合物としては、例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、2,6-ナフトエ二酸ジヒドラジド、4,4-ビスベンゼンジヒドラジド、1,4-ナフトエ酸ジヒドラジド、2,6-ピリジン二酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等のジヒドラジド化合物が好ましい。以上のジヒドラジド化合物は、単独でもよいし、2種類以上混合して用いることもできる。
<接着層の製造>
接着層を形成する熱可塑性ポリイミドは、上記のテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を溶媒中で反応させ、ポリアミド酸を生成したのち加熱閉環させることにより製造できる。例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物をほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0~100℃の範囲内の温度で30分~24時間撹拌し重合反応させることでポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が得られる。反応にあたっては、生成する前駆体が有機溶媒中に5~50重量%の範囲内、好ましくは10~40重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、2-ブタノン、ジメチルスホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホルアミド、N-メチルカプロラクタム、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム、クレゾール等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。また、このような有機溶媒の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応によって得られるポリアミド酸溶液の濃度が5~50重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。
合成されたポリアミド酸は、通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。また、ポリアミド酸は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。ポリアミド酸の溶液の粘度は、500cps~100,000cpsの範囲内であることが好ましい。この範囲を外れると、コーター等による塗工作業の際にフィルムに厚みムラ、スジ等の不良が発生し易くなる。
ポリアミド酸をイミド化させて熱可塑性ポリイミドを形成させる方法は、特に制限されず、例えば前記溶媒中で、80~400℃の範囲内の温度条件で1~24時間かけて加熱するといった熱処理が好適に採用される。
以上のようにして得られた熱可塑性ポリイミドを架橋形成させる場合は、ケトン基を有する熱可塑性ポリイミドを含む樹脂溶液に、上記アミノ化合物を加えて、熱可塑性ポリイミド中のケトン基とアミノ化合物の第1級アミノ基とを縮合反応させる。この縮合反応により、樹脂溶液は硬化して硬化物となる。この場合、アミノ化合物の添加量は、ケトン基1モルに対し、第1級アミノ基が合計で0.004モル~1.5モル、好ましくは0.005モル~1.2モル、より好ましくは0.03モル~0.9モル、最も好ましくは0.04モル~0.5モルとなるようにアミノ化合物を添加することができる。ケトン基1モルに対して第1級アミノ基が合計で0.004モル未満となるようなアミノ化合物の添加量では、アミノ化合物による熱可塑性ポリイミドの架橋が十分ではないため、硬化させた後の接着層において耐熱性が発現しにくい傾向となり、アミノ化合物の添加量が1.5モルを超えると未反応のアミノ化合物が熱可塑剤として作用し、接着層の耐熱性を低下させる傾向がある。
架橋形成のための縮合反応の条件は、熱可塑性ポリイミドにおけるケトン基とアミノ化合物の第1級アミノ基が反応してイミン結合(C=N結合)を形成する条件であれば、特に制限されない。加熱縮合の温度は、縮合によって生成する水を系外へ放出させるため、又は熱可塑性ポリイミドの合成後に引き続いて加熱縮合反応を行なう場合に当該縮合工程を簡略化するため等の理由で、例えば120~220℃の範囲内が好ましく、140~200℃の範囲内がより好ましい。反応時間は、30分~24時間程度が好ましく、反応の終点は、例えばフーリエ変換赤外分光光度計(市販品:日本分光製FT/IR620)を用い、赤外線吸収スペクトルを測定することによって、1670cm-1付近のポリイミド樹脂におけるケトン基に由来する吸収ピークの減少又は消失、及び1635cm-1付近のイミン基に由来する吸収ピークの出現により確認することができる。
熱可塑性ポリイミドのケトン基とアミノ化合物の第1級のアミノ基との加熱縮合は、例えば、(a)熱可塑性ポリイミドの合成(イミド化)に引き続き、アミノ化合物を添加して加熱する方法、(b)ジアミン成分として予め過剰量のアミノ化合物を仕込んでおき、熱可塑性ポリイミドの合成(イミド化)に引き続き、イミド化若しくはアミド化に関与しない残りのアミノ化合物とともに熱可塑性ポリイミドを加熱する方法、又は、(c)アミノ化合物を添加した熱可塑性ポリイミドの組成物(後述する接着性ポリイミド樹脂組成物)を所定の形状に加工した後(例えば任意の基材に塗布した後やフィルム状に形成した後)に加熱する方法、等によって行うことができる。
(接着層の厚み)
接着層の厚みは、例えば0.1~100μmの範囲内にあることが好ましく、0.3~50μmの範囲内がより好ましい。本実施の形態の3層金属張積層板において、接着層の厚みが上記下限値に満たないと、十分な接着性が担保出来なかったりするなどの問題が生じることがある。一方、接着層の厚みが上記上限値を超えると、寸法安定性が低下するなどの不具合が生じる。また、絶縁樹脂層と接着層との積層体である絶縁層全体の低誘電率化及び低誘電正接化の観点から、接着層の厚みは、3μm以上とすることが好ましい。
(接着層のCTE)
接着層を形成する熱可塑性ポリイミドは、高熱膨張性であり、CTEが、好ましくは35ppm/K以上、より好ましくは35ppm/K以上80ppm/K以下の範囲内、更に好ましくは35ppm/K以上70ppm/K以下の範囲内である。使用する原料の組合せ、厚み、乾燥・硬化条件を適宜変更することで所望のCTEを有するポリイミド層とすることができる。
(接着層の誘電正接)
接着層は、例えば回路基板に適用する場合において、誘電損失の悪化を抑制するために、10GHzにおける誘電正接(Tanδ)は、0.004以下、より好ましくは0.001以上0.004以下の範囲内、更に好ましくは0.002以上0.003以下の範囲内がよい。接着層の10GHzにおける誘電正接が0.004を超えると、FPC等の回路基板に使用した際に、高周波信号の伝送経路上で電気信号のロスなどの不都合が生じやすくなる。一方、接着層の10GHzにおける誘電正接の下限値は特に制限されない。
(接着層の誘電率)
接着層は、例えば回路基板の絶縁層として適用する場合において、インピーダンス整合性を確保するために、10GHzにおける誘電率が4.0以下であることが好ましい。接着層の10GHzにおける誘電率が4.0を超えると、FPC等の回路基板に使用した際に、接着層の誘電損失の悪化に繋がり、高周波信号の伝送経路上で電気信号のロスなどの不都合が生じやすくなる。
(フィラー)
接着層は、必要に応じて、フィラーを含有してもよい。フィラーとしては、例えば、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム、有機ホスフィン酸の金属塩等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
<金属層>
本実施の形態の金属張積層板における金属層の材質としては、特に制限はないが、例えば、銅、ステンレス、鉄、ニッケル、ベリリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム、銀、金、スズ、ジルコニウム、タンタル、チタン、鉛、マグネシウム、マンガン及びこれらの合金等が挙げられる。この中でも、特に銅又は銅合金が好ましい。なお、後述する本実施の形態の回路基板における配線層の材質も金属層と同様である。
金属層の厚みは特に限定されるものではないが、例えば金属層として銅箔を用いる場合、好ましくは35μm以下であり、より好ましくは5~25μmの範囲内がよい。生産安定性及びハンドリング性の観点から、銅箔の厚みの下限値は5μmとすることが好ましい。なお、銅箔を用いる場合は、圧延銅箔でも電解銅箔でもよい。また、銅箔としては、市販されている銅箔を用いることができる。
(防錆処理)
本実施の形態における金属層として、銅箔を用いる場合、該銅箔は、母材銅箔と、前記母材銅箔における接着層(又は絶縁樹脂層)形成面側の表面上に形成された防錆処理層を備えていることが好ましい。防錆処理によって、金属張積層板の配線加工時における銅箔と接着層の接着強度の低下抑制、エッチングによる薬液に対する耐性低下の抑制を図ることができる。母材銅箔は、電解銅箔及び圧延銅箔のうちのいずれであってもよい。このような母材銅箔の厚みは、一般的な銅張積層板に用いられる銅箔の厚み範囲であれば特に制限はないが、銅張積層板の可撓性の観点から、70μm以下であることが好ましい。厚みが70μmを超えると得られる銅張積層板の用途が限定されるため好ましくない。また、銅張積層板をフレキシブル銅張積層板として用いる場合においては、前記母材銅箔の厚みが5~35μmの範囲であることが好ましい。前記母材銅箔の厚みが5μm未満では、製造時においてシワ等が入りやすく、薄い銅箔の製造にコストがかかる傾向にあり、他方、厚みが35μmを超えると、得られる銅張積層板を用いた場合において、パソコン、携帯電話や携帯情報端末(PDA)の表示部である液晶ディスプレイを駆動するIC実装基板等の薄型化や小型化が不十分となる傾向にある。
前記母材銅箔、銅箔と接着層との間の接着強度(ピール強度)や耐薬品性を向上させるという観点から、表面に粗化処理を施したものを用いることが好ましい。そして、前記母材銅箔の十点平均粗さ(Rz)は、上記観点及び得られる銅張積層板の屈曲性及び導体損失低減の観点から、例えば1.5μm以下であることが好ましく、0.1~1.0μmの範囲であることがより好ましい。
本発明にかかる防錆処理層は、前記母材銅箔における前記接着層の形成面側の表面上に形成される防錆性を有する層である。本発明においては、このような防錆処理層を前記母材銅箔に形成させることにより前記母材銅箔に十分な防錆性を付与すると共に、接着層と銅箔との間の接着強度を向上させることが可能となる。このような防錆処理層の厚みは、例えば10~50nmの範囲であることが好ましい。厚みが前記下限未満では、母材銅箔表面が均一に覆われず十分な防錆効果が得られにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、防錆処理層の銅エッチング液に対する溶解性(エッチング性)が不十分となる傾向にある。
前記防錆処理層は、亜鉛を含有するめっき処理層とクロメート処理層とを備えることが好ましい。このような処理層は、亜鉛化合物を含有するめっき液を用いて、前記母材銅箔の表面にめっき処理を施すことにより亜鉛めっき処理層を形成し、更にクロメート処理層を備えることにより、防錆効果及び接着層との接着性を更に向上させることができる。前記クロメート処理層は、前記防錆処理層の表面上にクロム酸化物等を含有するクロメート処理剤を用いて、浸漬又は電解クロメート処理を施すことにより形成することができる。
また、前記防錆処理層中における亜鉛含有量が0.01mg/dm以上であることが好ましい。亜鉛含有量が前記下限未満では、防錆処理層の銅エッチング液に対する溶解性(エッチング性)が不十分となると共に、防錆処理層の銅張積層板の製造時における熱劣化によって接着層と銅箔との間の接着強度が不十分となる傾向にある。また、防錆処理層のエッチング性、並びに接着層と銅箔との間の接着強度を更に向上させるという観点から、亜鉛含有量は0.01~1.5mg/dmの範囲であることがより好ましい。
更に、前記防錆処理層中に亜鉛以外の金属を含有してもよい。亜鉛以外の金属としては、例えばニッケル、コバルト、モリブデン等が挙げられる。例えば前記防錆処理層中におけるニッケル含有量が0.1mg/dm以上であることが好ましい。ニッケル含有量が前記下限未満では、銅箔表面の防錆効果が十分でなく、加熱後や高温や高湿度の環境下において銅箔表面の変色が起きやすくなる傾向にある。また、防錆処理層や接着層に母材銅箔からの銅の拡散することを十分に防止するという観点から、ニッケル含有量は0.1~3mg/dmの範囲であることがより好ましい。
ニッケルは、銅に対して全率固容体であり、合金状態を作り出すことができ、又はニッケルは、銅に対して拡散しやすく、合金状態を作りやすい。このような状態は、銅単体と比較して電気抵抗が大きく、言い換えると導電率が小さくなる。このようなことから、前記防錆処理層中にニッケルが多く含まれると、ニッケルと合金化した銅の抵抗増大が生じる。その結果、表皮効果による信号配線の抵抗増大による信号伝送時の損失が大きくなる。このような観点から、本実施の形態の銅張積層板において、例えば10GHzという高周波伝送を行う回路基板等に工程に使用する場合、ニッケル量を0.01mg/dm以下に抑制することが好ましい。
前記防錆処理層中のニッケル量を0.01mg/dm以下に抑制する場合、前記防錆処理層中に少なくともコバルト及びモリブデンを含有することが好ましい。このような防錆処理層は、ニッケルが0.01mg/dm以下であり、コバルトが0.01~0.5mg/dmの範囲内、モリブデンが0.01~0.5mg/dmの範囲内であり、かつコバルト元素及びモリブデン元素の総量(Co+Mo)が0.1~0.7mg/dmの範囲内となるように制御されていることが好ましい。このような範囲内とすることで、銅張積層板の配線加工時における配線間の樹脂部分のエッチング残渣を抑制し、エッチングによる薬液に対する耐性低下の抑制、及び銅箔と樹脂間の接着強度及びその長期信頼性の低下を抑制できる。
また、本実施の形態の銅張積層板に使用する銅箔は、上記防錆処理のほかに、接着力の向上を目的として、銅箔の表面に、例えばサイディング、アルミニウムアルコラート、アルミニウムキレート、シランカップリング剤等による表面処理を施してもよい。
<金属張積層板の製造方法>
金属張積層板は、例えば、接着層と絶縁樹脂層とが積層された樹脂フィルムを用意し、その接着層側に、金属をスパッタリングしてシード層を形成した後、例えばメッキによって金属層を形成することによって調製してもよい。
また、金属張積層板は、接着層と絶縁樹脂層とが積層された樹脂フィルムを用意し、その接着層側に、銅箔などの金属箔を熱圧着などの方法でラミネートすることによって調製してもよい。
さらに、金属張積層板は、銅箔などの金属箔の上に、接着層を形成するための塗布液をキャストし、乾燥して塗布膜とし、該塗布膜の上に、絶縁樹脂層を形成するための塗布液をキャストし、乾燥して塗布膜とした後、一括して熱処理することによって調製してもよい。この場合、接着層を形成するための塗布液としては、接着性ポリイミド樹脂組成物(後述)や、接着層を形成する熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸溶液を用いることができる。また、接着層を形成する熱可塑性ポリイミドについては、上記方法で架橋形成をさせてもよい。
[回路基板]
本実施の形態の金属張積層板は、主にFPC、リジッド・フレックス回路基板などの回路基板材料として有用である。すなわち、本実施の形態の金属張積層板の金属層を常法によってパターン状に加工して配線層を形成することによって、本発明の一実施の形態であるFPCを製造できる。
[接着シート]
本実施の形態の接着シートは、絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層の少なくとも片側の面に積層された接着層と、前記接着層を介して前記絶縁樹脂層に積層された金属層と、を有する金属張積層板において前記接着層を形成するための接着シートである。この接着シートは、上述の接着層を形成する熱可塑性ポリイミドをシート状に形成してなるものである。すなわち、接着シートを形成する熱可塑性ポリイミドは、上記接着層と同様に、所定量のテトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含むものである。
接着シートは、銅箔、ガラス板、ポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルムなどの任意の基材に積層された状態であってもよい。接着シートの厚み、熱膨張係数、誘電正接、誘電率などは、上記接着層に準ずる。また、接着シートは、フィラーなどの任意成分を含有することができる。
本実施の形態の接着シートの製造方法の態様として、例えば、[1]支持基材に、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥し、熱処理してイミド化した後、支持基材から剥がして接着シートを製造する方法、[2]支持基材に、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥した後、ポリアミド酸のゲルフィルムを支持基材から剥がし、熱処理してイミド化して接着シートを製造する方法、[3]支持基材に、接着性ポリイミド樹脂組成物(後述)の溶液を塗布・乾燥した後、支持基材から剥がして接着シートを製造する方法、を挙げることができる。なお、接着シートを構成する熱可塑性ポリイミドについて、上記方法で架橋形成をさせてもよい。
ポリイミド溶液(又はポリアミド酸溶液)を支持基材上に塗布する方法としては特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。製造される接着シートは、ポリアミド酸溶液中でイミド化を完結させたポリイミド溶液を支持基材上に塗布・乾燥することによって形成することが好ましい。本実施の形態のポリイミドは溶剤可溶性であるので、ポリアミド酸を溶液の状態でイミド化し、ポリイミドの塗布液としてそのまま使用できるので有利である。
以上のようにして得られる接着シートは、これを用いて回路基板の接着層を形成した場合に、優れた柔軟性と誘電特性(低誘電率及び低誘電正接)を有するものとなり、例えばFPC、リジッド・フレックス回路基板などの接着層として好ましい特性を有するものとなる。
[接着性ポリイミド樹脂組成物]
本実施の形態の接着性ポリイミド樹脂組成物は、絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層の少なくとも片側の面に積層された接着層と、前記接着層を介して前記絶縁樹脂層に積層された金属層と、を有する金属張積層板において前記接着層を形成するためものである。接着性ポリイミド樹脂組成物は、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含有するポリイミドを含むものであり、前記ジアミン残基の100モル部に対して、ダイマー酸の二つの末端カルボン酸基が1級のアミノメチル基又はアミノ基に置換されてなるダイマー酸型ジアミンから誘導されるジアミン残基を50モル部以上、例えば50モル部以上99モル部以下の範囲内、好ましくは80モル部以上、例えば80モル部以上99モル部以下の範囲内で含有し、前記テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、上記一般式(1)及び/又は(2)で表されるテトラカルボン酸無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基を90モル部以上含有する。
また、接着性ポリイミド樹脂組成物は、上記一般式(B1)~(B7)で表されるジアミン化合物から選ばれる少なくとも1種のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を1モル部以上50モル部以下の範囲内で含有することが好ましい。
本実施の形態の接着性ポリイミド樹脂組成物は、溶剤可溶性であり、任意成分として、有機溶媒を含有することができる。好ましい有機溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチル-2-ピロリドン、2-ブタノン、ジメチルスホキシド、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム等が挙げられる。これらの溶媒は、2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。
本実施の形態の接着性ポリイミド樹脂組成物は、さらに別の任意成分として、上述の架橋形成に用いる少なくとも2つの第1級のアミノ基を官能基として有するアミノ化合物、無機フィラー、可塑剤、エポキシ樹脂などの他の樹脂成分、硬化促進剤、カップリング剤、充填剤、顔料、溶剤、難燃剤などを適宜配合することができる。
以上のようにして得られる接着性ポリイミド樹脂組成物は、これを用いて接着層又は接着シートを形成した場合に、優れた柔軟性と誘電特性(低誘電率及び低誘電正接)を有するものとなり、例えばFPC、リジッド・フレックス回路基板などの接着層の形成材料として好ましく適用できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[熱膨張係数(CTE)の測定]
3mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、サーモメカニカルアナライザー(Bruker社製、商品名;4000SA)を用い、5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度で30℃から300℃まで昇温させ、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、250℃から100℃までの平均熱膨張係数(熱膨張係数)を求めた。
[銅箔の表面粗度の測定]
銅箔の表面粗度は、AFM(ブルカー・エイエックスエス社製、商品名:Dimension Icon型SPM)、プローブ(ブルカー・エイエックスエス社製、商品名:TESPA(NCHV)、先端曲率半径10nm、ばね定数42N/m)を用いて、タッピングモードで、銅箔表面の80μm×80μmの範囲について測定し、十点平均粗さ(Rzjis)を求めた。
[金属析出処理した銅箔の表面の金属元素の測定]
銅箔の分析面裏面をマスキングした上で、1N-硝酸にて分析面を溶解し、100mLに定容した後にパーキンエルマー社製誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-AES)Optima4300を用いて測定した。
[反りの評価方法]
反りの評価は、以下の方法で行った。10cm×10cmのフィルムを置き、フィルムの4隅の反り上がっている高さの平均を測定し、10mm以下を「良」、10mmを超える場合を「不可」とした。
[誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)の測定]
誘電率及び誘電正接は、空洞共振器摂動法誘電率評価装置(Agilent社製、商品名;ベクトルネットワークアナライザE8363C)及びスプリットポスト誘電体共振器(SPDR共振器)を用いて、周波数10GHzにおける樹脂シート(又は絶縁樹脂層に樹脂シートが積層した絶縁層)の誘電率および誘電正接を測定した。なお、測定に使用した樹脂シート(又は絶縁樹脂層に樹脂シートが積層した絶縁層)は、温度;24~26℃、湿度;45~55%の条件下で、24時間放置したものである。
[レーザー加工性の評価方法]
レーザー加工性の評価は、以下の方法で行った。UV-YAG、第3高調波355nmのレーザー光を周波数60kHz、1.0Wの強度で照射して有底ビア加工し、接着剤層に抉れやアンダーカットが発生しないものを「可」、接着剤層に抉れやアンダーカットが発生したものを「不可」と評価した。
[ピール強度の測定]
ピール強度は、以下の方法で行った。引張試験機(東洋精機製作所製、ストログラフVE)を用いて、試験片幅5mmの絶縁樹脂層を接着剤層の90°方向に、速度50mm/minで引っ張ったときの剥離強度を測定した。なお、ピール強度が0.9kN/m以上を「良」、ピール強度が0.4kN/m以上0.9kN/m未満を「可」、ピール強度が0.4kN/m未満を「不可」と評価した。
本実施例で用いた略号は以下の化合物を示す。
BTDA:3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
BPDA:3,3’,4,4’-ジフェニルテトラカルボン酸二無水物
6FDA:4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物
BPADA:2,2-ビス〔4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
APB:1,3-ビス(3‐アミノフェノキシ)ベンゼン
BAPP:2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
DDA:炭素数36の脂肪族ジアミン(クローダジャパン株式会社製、商品名;PRIAMINE1074、アミン価;210mgKOH/g、環状構造及び鎖状構造のダイマージアミンの混合物、ダイマー成分の含有量;95重量%以上)
m-TB:2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル
ODPA:4,4’-オキシジフタル酸無水物(別名;5,5’-オキシビス-1,3-イソベンゾフランジオン)
N-12:ドデカン二酸ジヒドラジド
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
DMAc:N,N-ジメチルアセトアミド
(合成例1)
<接着層用の樹脂溶液の調製>
1000mlのセパラブルフラスコに、56.18gのBTDA(0.174モル)、93.82gのDDA(0.176モル)、210gのNMP及び140gのキシレンを装入し、40℃で1時間良く混合して、ポリアミド酸溶液を調製した。このポリアミド酸溶液を190℃に昇温し、4時間加熱、攪拌し、140gのキシレンを加えてイミド化を完結したポリイミド溶液1(固形分;30重量%、粘度;5,100cps、重量平均分子量;66,100)を調製した。
(合成例2~10)
<接着層用の樹脂溶液の調製>
表1に示す原料組成とした他は、合成例1と同様にしてポリイミド溶液2~10を調製した。
Figure 0007469383000007
(合成例11)
<接着層用の樹脂溶液の調製>
合成例1で調製したポリイミド溶液1の100g(固形分として30g)に1.1gのN-12(0.004モル)を配合し、0.1gのNMP及び10gのキシレンを加えて希釈し、更に1時間攪拌することでポリイミド溶液11を調製した。
(合成例12~17)
<接着層用の樹脂溶液の調製>
表2に示すポリイミド溶液5~10を用いた他は、合成例11と同様にしてポリイミド溶液12~17を調製した。
Figure 0007469383000008
(合成例18)
<絶縁樹脂層用のポリイミドフィルムの調製>
窒素気流下で、300mlのセパラブルフラスコに、2.196gのDDA(0.0041モル)、16.367gのm‐TB(0.0771モル)及び212.5gのDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、4.776gのBPDA(0.0162モル)及び14.161gのPMDA(0.0649モル)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液P(粘度;26,000cps)を調製した。
銅箔(表面粗度Rz;2.1μm)にポリアミド酸溶液Pを硬化後の厚みが約25μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結し、金属張積層体Pを調製した。金属張積層体Pについて、塩化第二鉄水溶液を用いて銅箔をエッチング除去して、ポリイミドフィルムP(CTE;20ppm/K、Dk;2.95、Df;0.0041)を調製した。
(作製例1)
<接着層用の樹脂シートの調製>
ポリイミド溶液1を離型処理されたPETフィルムの片面に塗布し、80℃で15分間乾燥を行った後、剥離することによって、樹脂シート1a(厚さ;25μm)を調製した。樹脂シート1aの誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)を表3に示す。
(作製例2~7)
<接着層用の樹脂シートの調製>
ポリイミド溶液1を使用し、作製例1と同様にして、樹脂シートの厚さを変更した樹脂シート1b~1gを調製した。樹脂シート1b~1gの誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)を表3に示す。
Figure 0007469383000009
(作製例8~16)
<接着層用の樹脂シートの調製>
表4に示すポリイミド溶液を使用した以外は、作製例1と同様にして、厚さが25μmの樹脂シート2a~10aを調製した。樹脂シート2a~10aの誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)を表4に示す。
Figure 0007469383000010
(作製例17)
<防錆処理を有する銅箔の調製>
電解銅箔(厚さ;12μm、樹脂層側のMD方向(Machine Direction;長尺な銅箔の流れ方向)の表面粗度Rz;0.3μm)を用意した。この銅箔の表面に粗化処理を行った後、コバルト及びモリブデンの所定量含んだめっき処理(金属析出処理)して、更に亜鉛めっき及びクロメート処理を順次行い、銅箔1(Ni;0.01mg/dm以下、Co;0.23mg/dm、Mo;0.36mg/dm、Zn;0.11mg/dm、Cr;0.14mg/dm)を調製した。
[実施例1]
銅箔1(表面粗度Rz;0.3μm)の上に、樹脂シート1a(厚さ;25μm、Dk;2.4、Df;0.0020)を置き、さらにその上にポリイミドフィルム1(東レデュポン社製、商品名;カプトンEN―S、厚さ;25μm、CTE;16ppm/K、Dk;3.79、Df;0.0126)を重ねた状態で、温度170℃、圧力0.85MPa、時間1分の条件で真空ラミネートし、その後オーブンにて温度160℃、時間1時間の条件で加熱し、銅張積層板1を調製した。銅張積層板1の評価結果を表5に示す。
[実施例2]
樹脂シート1aに代えて樹脂シート1g(厚さ;50μm、Dk;2.4、Df;0.0020)を使用したこと以外、実施例1と同様にして、銅張積層板2を調製した。銅張積層板2の評価結果を表5に示す。
[実施例3]
樹脂シート1aに代えて樹脂シート1gを使用したこと、及びポリイミドフィルム1に代えて液晶ポリマーフィルム3(クラレ社製、商品名;CT-Z、厚さ;50μm、CTE;18ppm/K、Dk;3.40、Df;0.0022)を使用したこと以外、実施例1と同様にして、銅張積層板3を調製した。銅張積層板3の評価結果を表5に示す。
実施例1~3の結果をまとめて表5に示す。
Figure 0007469383000011
[実施例4]
合成例18で調製したポリイミドフィルムPの片面に、ポリイミド溶液1を塗布し、80℃で15分間乾燥を行い、絶縁フィルム4(接着層の厚さ;3μm)を調製した。銅箔1の防錆処理面側に絶縁フィルム4の接着層面を重ねた状態で、温度170℃、圧力0.85MPa、時間1分の条件で、真空ラミネートし、その後オーブンにて温度160℃、時間1時間の条件で加熱し、銅張積層板4を調製した。銅張積層板4の評価結果を表6に示す。
[実施例5]
接着層の厚さを1μmにしたこと以外、実施例4と同様にして、銅張積層板5を調製した。銅張積層板5の評価結果を表6に示す。
[実施例6]
接着層の厚さを0.3μmにしたこと以外、実施例4と同様にして、銅張積層板6を調製した。銅張積層板6の評価結果を表6に示す。
実施例4~6の結果をまとめて表6に示す。
Figure 0007469383000012
[実施例7]
実施例4で調製した銅張積層板4のポリイミドフィルム面に、ポリイミド溶液1を塗布し、80℃で15分間乾燥を行い、接着層の厚さを3μmにした後、銅箔1の防錆処理面を接着層面に重ねた状態で、温度170℃、圧力0.85MPa、時間1分の条件で、真空ラミネートし、その後オーブンにて温度160℃、時間1時間の条件で加熱し、銅張積層板7を調製した。銅張積層板7の評価結果を表7に示す。
[実施例8]
接着層の厚さを1μmにしたこと以外、実施例7と同様にして、銅張積層板8を調製した。銅張積層板8の評価結果を表7に示す。
[実施例9]
接着層の厚さを0.3μmにしたこと以外、実施例7と同様にして、銅張積層板9を調製した。銅張積層板9の評価結果を表7に示す。
実施例7~9の結果をまとめて表7に示す。
Figure 0007469383000013
[実施例10]
ポリイミドフィルム1の片面に、ポリイミド溶液1を塗布し、80℃で15分間乾燥を行い、絶縁フィルム5(接着層の厚さ;12μm)を調製した。銅箔1の防錆処理面側に絶縁フィルム5の接着層面を重ねた状態で、温度170℃、圧力0.85MPa、時間1分の条件で、真空ラミネートし、その後オーブンにて温度160℃、時間1時間の条件で加熱し、銅張積層板10を調製した。銅張積層板10の評価結果を表8に示す。
[実施例11]
銅箔1の防錆処理面側に、ポリイミド溶液1を塗布し、80℃で15分間乾燥を行い、銅箔付きフィルム6(接着層の厚さ;5μm)を調製した。銅箔付きフィルム6の接着層面とポリイミドフィルム2(東レデュポン社製、商品名;カプトンEN、厚さ;5μm、CTE;16ppm/K、Dk;3.70、Df;0.0076)を重ねた状態で、温度170℃、圧力0.85MPa、時間1分の条件で真空ラミネートし、その後オーブンにて温度160℃、時間1時間の条件で加熱し、銅張積層板11を調製した。銅張積層板11の評価結果を表8に示す。
[実施例12]
実施例4で調製した銅張積層板4のポリイミドフィルム面に、ポリイミド溶液13を塗布し、80℃で15分間乾燥を行い、接着層の厚さを25μmにした後、銅箔1の防錆処理面を接着層面に重ねた状態で、温度170℃、圧力0.85MPa、時間1分の条件で、真空ラミネートし、その後オーブンにて温度160℃、時間1時間の条件で加熱し、銅張積層板12を調製した。銅張積層板12の評価結果を表8に示す。
[実施例13]
実施例4で調製した銅張積層板4のポリイミドフィルム面に、ポリイミド溶液16を塗布し、80℃で15分間乾燥を行い、接着層の厚さを25μmにした後、銅箔1の防錆処理面を接着層面に重ねた状態で、温度170℃、圧力0.85MPa、時間1分の条件で、真空ラミネートし、その後オーブンにて温度160℃、時間1時間の条件で加熱し、銅張積層板13を調製した。銅張積層板13の評価結果を表8に示す。
Figure 0007469383000014
(合成例19~21)
<接着層用の樹脂溶液の調製>
表9に示す原料組成とした他は、合成例1と同様にしてポリイミド溶液19~21を調製した。
Figure 0007469383000015
(作製例18~20)
<接着層用の樹脂シートの調製>
表10に示すポリイミド溶液を使用した以外は、作製例1と同様にして、厚さが25μmの樹脂シート18a~20aを調製した。樹脂シート18a~20aの誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)を表10に示す。
Figure 0007469383000016
(比較例1)
ポリイミドフィルム1の片面に、ポリイミド溶液19を塗布し、80℃で15分間乾燥を行い、絶縁フィルム7(接着層の厚さ;12μm)を調製した。銅箔1の防錆処理面側に絶縁フィルム7の接着層面を重ねた状態で、温度170℃、圧力0.85MPa、時間1分の条件で、真空ラミネートし、その後オーブンにて温度160℃、時間1時間の条件で加熱し、銅張積層板18を調製した。銅張積層板18の評価結果を表11に示す。
(比較例2)
ポリイミド溶液20を使用した以外、比較例1と同様にして、銅張積層板19を調製した。銅張積層板19の評価結果を表11に示す。
(比較例3)
ポリイミド溶液21を使用した以外、比較例1と同様にして、銅張積層板20を調製した。銅張積層板20の評価結果を表11に示す。
Figure 0007469383000017
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。

Claims (4)

  1. 絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層の少なくとも片側の面に積層された接着層と、前記接着層を介して前記絶縁樹脂層に積層された金属層と、を有する金属張積層板であって、
    前記金属層が銅箔からなり、該銅箔における前記接着層と接する面に、防錆処理によって形成された亜鉛を含有するめっき処理層及びクロメート処理層を含む防錆処理層を有するとともに、該防錆処理層におけるニッケル含有量が0.01mg/dm以下、コバルト含有量が0.01~0.5mg/dmの範囲内、モリブデン含有量が0.01~0.5mg/dmの範囲内であり、かつコバルト元素及びモリブデン元素の総量(Co+Mo)が0.1~0.7mg/dmの範囲内であり、
    前記絶縁樹脂層が非熱可塑性ポリイミド層であり、その10GHzにおける誘電正接が0.02以下であり、
    前記接着層は、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含有する熱可塑性ポリイミドを含む熱可塑性ポリイミド層であり、
    前記熱可塑性ポリイミドは、前記ジアミン残基の100モル部に対して、
    ダイマー酸の二つの末端カルボン酸基が1級のアミノメチル基又はアミノ基に置換されてなるダイマー酸型ジアミンから誘導されるジアミン残基を50モル部以上含有することを特徴とする金属張積層板。
  2. 前記熱可塑性ポリイミドは、前記テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、
    下記の一般式(1)及び/又は(2)で表されるテトラカルボン酸無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基を合計で90モル部以上含有することを特徴とする請求項1に記載の金属張積層板。
    Figure 0007469383000018
    [一般式(1)中、Xは、単結合、または、下式から選ばれる2価の基を示し、一般式(2)中、Yで表される環状部分は、4員環、5員環、6員環、7員環又は8員環から選ばれる環状飽和炭化水素基を形成していることを表す。]
    Figure 0007469383000019
    [上記式において、Zは-C-、-(CH)n-又は-CH-CH(-O-C(=O)-CH)-CH-を示すが、nは1~20の整数を示す。]
  3. 前記熱可塑性ポリイミドは、前記ジアミン残基の100モル部に対して、
    前記ダイマー酸型ジアミンから誘導されるジアミン残基を50モル部以上99モル部以下の範囲内で含有し、
    下記の一般式(B1)~(B7)で表されるジアミン化合物から選ばれる少なくとも1種のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を1モル部以上50モル部以下の範囲内で含有する請求項1又は2に記載の金属張積層板。
    Figure 0007469383000020
    [式(B1)~(B7)において、Rは独立に炭素数1~6の1価の炭化水素基又はアルコキシ基を示し、連結基Aは独立に-O-、-S-、-CO-、-SO-、-SO-、-COO-、-CH-、-C(CH-、-NH-若しくは-CONH-から選ばれる2価の基を示し、nは独立に0~4の整数を示す。ただし、式(B3)中から式(B2)と重複するものは除き、式(B5)中から式(B4)と重複するものは除くものとする。]
  4. 請求項1又は2に記載の金属張積層板の前記金属層を配線に加工してなる回路基板。
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