JP2016192530A - 銅張積層板、プリント配線板及びその使用方法 - Google Patents

銅張積層板、プリント配線板及びその使用方法 Download PDF

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【課題】 電子機器の小型化・高性能化に伴う高周波化への対応を可能とする銅張積層板、プリント配線板及びその使用方法を提供する。
【解決手段】 銅張積層板は、ポリイミド絶縁層と、銅箔を備え、ポリイミド絶縁層は、銅箔に接する接着性ポリイミド層(i)と低膨張性ポリイミド層(ii)とを有し、接着性ポリイミド層(i)が酸無水物成分に対しPMDAを50モル%以上含有し、ジアミン成分に対しBAPPを50モル%以上含有し、E=√ε×Tanδ[εは空洞共振器摂動法による10GHzの誘電率、Tanδは同誘電正接を示す]に基づき算出されるE値が0.009未満である。銅箔は、接着性ポリイミド層(i)と接する面が粗化処理され、Rzが1.0μm以下、Raが0.2μm以下であり、接着性ポリイミド層(i)と接する面に付着したNi量が1.4mg/dm以下、Zn量が0.01〜0.2mg/dm、Cr量が0.02〜0.2mg/dm、Zn+Crが0.03〜0.3mg/dmである。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子機器の小型化・高性能化に伴う高周波化への対応を可能とする銅張積層板、プリント配線板及びその使用方法を提供することにある。
近年、電子機器の小型化、軽量化、省スペース化の進展に伴い、薄く軽量で、可撓性を有し、屈曲を繰り返しても優れた耐久性を持つフレキシブルプリント配線板(FPC;Flexible Printed Circuits)の需要が増大している。FPCは、限られたスペースでも立体的かつ高密度の実装が可能であるため、例えば、HDD、DVD、携帯電話等の電子機器の可動部分の配線や、ケーブル、コネクター等の部品にその用途が拡大しつつある。
上述した高密度化に加えて、機器の高性能化が進んだことから、伝送信号の高周波化への対応も必要とされている。情報処理や情報通信においては、大容量の情報を伝送・処理するために伝送周波数を高くする取り組みが行われており、プリント基板材料は絶縁層の薄化と絶縁層の低誘電化による伝送損失の低下が求められている。従来のポリイミドを用いたFPCは、ポリイミドの誘電率や誘電正接が高く、高周波域での伝送損失が高いため、高周波化への適応が難しかった。従って、これまでは、高周波化に対応するために、低誘電率、低誘電正接を特徴とした液晶ポリマーを誘電体層としたFPCが主に用いられている。しかしながら、液晶ポリマーは、誘電特性に優れているものの、耐熱性や金属箔との接着性に改善の余地がある。
誘電特性と金属箔との接着性を改善するため、導体回路を形成する銅箔に接するポリイミド層のイミド基濃度を制御した銅張積層板が提案されている(特許文献1)。特許文献1によると、銅箔の表面粗度Rzと銅箔に接する面の低イミド基濃度のポリイミド層の組み合わせによって、誘電特性を制御できるとしているものの、その制御には限界があり、伝送特性も十分に満足できるものではなかった。
また、絶縁樹脂層の誘電特性を改善するため、脂肪族ジアミンを原料として形成したベースフィルムを用いた銅張積層板が提案されている(特許文献2)。特許文献2によると、絶縁樹脂層の誘電特性を制御しているものの、伝送特性は十分に満足できるものではなかった。
特許第5031639号公報 国際公開WO2014/208644号
本発明は、電子機器の小型化・高性能化に伴う高周波化への対応を可能とする銅張積層板、プリント配線板及びその使用方法を提供することにある。
上述した課題を解決するため、本発明者らは、銅箔における表皮効果に着目し、特定の表面状態を有する銅箔を導体層として使用するとともに、該銅箔と組み合わせて、特定の誘電特性を有するポリイミドを絶縁層に使用することで、高周波領域における伝送特性に優れたFPC等の回路基板が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の銅張積層板は、ポリイミド絶縁層と、該ポリイミド絶縁層の少なくとも一方の面に積層された銅箔を備えている。そして、本発明の銅張積層板は、前記ポリイミド絶縁層が、下記の構成Ia〜Ic:
Ia)前記銅箔の表面に接する接着性ポリイミド層(i)と、前記接着性ポリイミド層(i)に直接又は間接的に積層された低膨張性ポリイミド層(ii)と、を有すること;
Ib)前記接着性ポリイミド層(i)が、テトラカルボン酸無水物成分とジアミン成分とを反応させて得られるポリイミドからなり、前記酸無水物成分に対し、ピロメリット酸二無水物(PMDA)を50モル%以上含有し、前記ジアミン成分に対し、2,2‐ビス[4‐(4‐アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を50モル%以上含有すること;
Ic)下記の数式(a)、
=√ε×Tanδ ・・・(a)
[ここで、εは、空洞共振器摂動法による10GHzにおける誘電率を示し、Tanδは、空洞共振器摂動法による10GHzにおける誘電正接を示す]
に基づき算出される、誘電特性を示す指標であるE値が0.009未満であること;
を備えている。
本発明の銅張積層板は、更に、前記銅箔が、下記の構成IId及びIIe:
IId)前記接着性ポリイミド層(i)と接する面が粗化処理されており、該銅箔表面の十点平均粗さ(Rz)が1.0μm以下、算術平均高さ(Ra)が0.2μm以下であること;
IIe)前記接着性ポリイミド層(i)と接する面に付着したニッケル元素の量(Ni)が1.4mg/dm以下であり、亜鉛元素の量(Zn)が0.01〜0.2mg/dmの範囲内、クロム元素の量(Cr)が0.02〜0.2mg/dmの範囲内であり、かつ亜鉛元素及びクロム元素の総量(Zn+Cr)が0.03〜0.3mg/dmの範囲内であること;
を備えている。
本発明の銅張積層板は、前記銅箔における前記ポリイミド絶縁層と接する面の二乗平均粗さ(Rq)が、0.05μm以上0.5μm未満の範囲内であってもよい。
本発明の銅張積層板は、前記銅箔における前記接着性ポリイミド層(i)と接する面が粗化処理され、該銅箔断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察により測定される該粗化処理の粗化高さの最大値が、0.6μm未満であってもよい。
本発明の銅張積層板は、前記銅箔における前記接着性ポリイミド層(i)と接する面に付着したニッケル元素の量(Ni)が0.01mg/dm以下であってもよく、コバルト元素の量(Co)が0.01〜0.5mg/dmの範囲内、モリブデン元素の量(Mo)が0.01〜0.5mg/dmの範囲内であってもよく、かつコバルト元素及びモリブデン元素の総量(Co+Mo)が0.1〜0.7mg/dmの範囲内であってもよい。
本発明のプリント配線板は、上記のいずれかの銅張積層板の銅箔を配線回路加工してなる。
本発明のプリント配線板の使用方法は、上記プリント配線板を、1GHz〜40GHzの範囲内の周波数領域で使用する。
本発明の銅張積層板は、銅箔の表皮効果による抵抗の増大を抑制することにより、ポリイミド絶縁層の誘電特性を効果的に活用できるので、高速信号伝送を必要とする電子材料として好適に用いることができる。
実施例1で用いた銅箔の断面のSEM写真である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
<銅張積層板>
本実施の形態の銅張積層板は、ポリイミド絶縁層と、該ポリイミド絶縁層の少なくとも一方の面に銅箔を備えた銅張積層板であって、ポリイミド絶縁層の片面側のみに銅箔を備えた片面銅張積層板であってもよいし、ポリイミド絶縁層の両側に銅箔を備えた両面銅張積層板でもよい。なお、両面銅張積層板は、例えば、片面銅張積層板を形成した後、互いにポリイミド絶縁層を向き合わせて熱プレスによって圧着し形成することや、片面銅張積層板のポリイミド絶縁層に銅箔を圧着し形成すること等により得ることができる。
<ポリイミド絶縁層>
ポリイミド絶縁層を形成するポリイミドとしては、いわゆるポリイミドを含めて、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミドエステル、ポリエーテルイミド、ポリシロキサンイミド等の構造中にイミド基を有する耐熱性樹脂がある。
ポリイミド絶縁層は、銅箔の表面に接する接着性ポリイミド層(i)と、低膨張性ポリインド層(ii)と、を有する。
接着性ポリイミド層(i)は、テトラカルボン酸無水物成分とジアミン成分とを反応させて得られるポリイミドからなり、原料の酸無水物成分として、少なくとも、ピロメリット酸二無水物(PMDA)と、原料のジアミン成分として、2,2‐ビス[4‐(4‐アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を使用する。PMDAは、ポリイミドの半田耐熱性の向上に寄与し、BAPPは、ポリイミドの銅箔との接着性向上に寄与する。このような観点から、原料の酸無水物成分に対してPMDAを、ジアミン成分に対してBAPPを、それぞれ50モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは90〜100モル%の範囲内で使用する。更に、PMDA及びBAPPをいずれも50モル%以上、特に90モル以上使用することで、ポリイミドの高いフィルム強度(特に引き裂き強度)と銅箔との高い接着力を両立し、結果として、ポリイミド絶縁層と銅箔とのピール強度を改善することができる。
また、接着性ポリイミド層(i)は、原料の酸無水物成分として、3,3',4,4' ‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)及び4,4'-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)からなる群より選ばれる1種以上のテトラカルボン酸無水物を使用することが好ましい。BPDA及びODPAは、ポリイミドの半田耐熱性低下に影響を与えない程度にガラス転移温度を下げる効果があり、例えば、銅箔との熱圧着(ラミネート)においても十分な接着力を確保することができる。ポリイミドのガラス転移温度は、好ましくは280〜320℃の範囲内がよい。また、BPDA及びODPAは、ポリイミドのフィルム強度の低下に寄与する反面、イミド基濃度を低下させるので、誘電特性を改善し、更にポリイミドの極性基の減少に寄与し、ポリイミドの吸湿特性を改善し、FPCの伝送損失を低くすることができる。このような観点から、接着性ポリイミド層(i)の原料の酸無水物成分として、BPDA又はODPAを4〜10モル%の範囲内で使用することが好ましい。この場合、PMDAは、原料の酸無水物成分に対して90〜96モル%の範囲内で使用することが好ましい。ここで、「イミド基濃度」は、ポリイミド中のイミド基部(−(CO)−N−)の分子量を、ポリイミドの構造全体の分子量で除した値を意味する。
ポリイミド絶縁層は、銅張積層板を形成した際の反りや寸法安定性の低下を抑制するために、熱線膨張係数(CTE)が10〜30ppm/Kの範囲内にすることが好ましい。また、ポリイミド絶縁層は、複数層のポリイミド層を有するが、低膨張性ポリイミド層(ii)は、ベースフィルム層(絶縁樹脂層の主層)としての適用が好適である。低膨張性ポリイミド層(ii)を構成するポリイミドのCTEは、1 〜25ppm/Kの範囲内、好ましくは1 〜25ppm/Kの範囲内、より好ましくは10 〜20ppm/Kの範囲内がよい。
ポリイミド絶縁層の厚さは、例えば、6〜50μmの範囲内であるのがよく、好ましくは9〜45μmの範囲内であることがよい。ポリイミド絶縁層の厚さが6μmに満たないと、銅張積層板の製造等における搬送時にシワが入るなどの不具合が生じるおそれがあり、一方ポリイミド絶縁層の厚さが50μmを超えると銅張積層板の製造時の寸法安定性や屈曲性等において問題が生じるおそれがある。なお、複数のポリイミド層からポリイミド絶縁層を形成する場合には、その合計の厚みが上記範囲内になるようにすればよい。
(誘電特性)
ポリイミド絶縁層は、フレキシブル回路基板(以下、「FPC」と記すことがある)等の回路基板に使用した際の高周波域における伝送特性を確保するために、ポリイミド絶縁樹脂層全体として、式(a);
=√ε×Tanδ ・・・(a)
[ここで、εは、空洞共振器摂動法による10GHzにおける誘電率を示し、Tanδは、空洞共振器摂動法による10GHzにおける誘電正接を示す]
に基づき算出される、空洞共振器摂動法による10GHzにおける誘電特性を示す指標であるE値が0.009未満であり、好ましくは0.0025〜0.007の範囲内がよく、より好ましくは0.0025〜0.006の範囲内がよい。E値が、上記上限を超えると、FPC等の回路基板に使用した際に、高周波信号の伝送経路上で電気信号のロスなどの不都合が生じやすくなる。
(誘電率及び誘電正接)
ポリイミド絶縁層は、FPC等の回路基板に使用した際に、1〜40HGz帯において、液晶ポリマーを用いて作製した銅張積層板同等レベルの伝送損失とするために、10GHzにおける誘電率(ε)は、好ましくは3.3以下がよく、誘電正接(Tanδ)は、好ましくは0.005未満とすることがよい。ポリイミド絶縁層の10GHzにおける誘電率が3.3を超え、誘電正接が0.005以上であると、FPC等の回路基板に使用した際に、電気信号のロスの不都合が発生しやすくなる。
ポリイミド絶縁層の厚さや物性のコントロールのしやすさから、接着性ポリイミド層(i)及び低膨張性ポリイミド層(ii)は、ポリアミド酸溶液を銅箔上に直接塗布した後、熱処理により乾燥、硬化する所謂キャスト(塗布)法によって形成することが好ましい。また、ポリイミド絶縁層を複数層とする場合、異なる構成成分からなるポリアミド酸溶液の上に他のポリアミド酸溶液を順次塗布して形成することができる。ポリイミド絶縁層が複数層からなる場合、同一の構成のポリイミド前駆体樹脂を2回以上使用してもよい。
ポリイミド絶縁層における低膨張性ポリイミド層(ii)を形成するために特に好適なポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸無水物を含む酸無水物成分と、ダイマー酸の二つの末端カルボン酸基が1級のアミノメチル基又はアミノ基に置換されてなるダイマー酸型ジアミン及び芳香族ジアミンを含むジアミン成分と、を反応させて得られるポリイミドであって、前記ダイマー酸型ジアミンが、全ジアミン成分に対し、好ましくは1〜15モル%の範囲内、より好ましくは4〜15モル%の範囲内がよい。ダイマー酸型ジアミンが1モル%未満であると、ポリイミドの誘電特性が低下する傾向になり、15モル%を超えると、ポリイミドのガラス転移温度の低下によって耐熱性が悪化する傾向となる。
このようなポリイミドは、下記の一般式(1)及び(2)で表される構造単位を有するポリイミドが好ましい。
[式中、Arは芳香族テトラカルボン酸無水物から誘導される4価の芳香族基、Rはダイマー酸型ジアミンから誘導される2価のダイマー酸型ジアミン残基、Rは芳香族ジアミンから誘導される2価の芳香族ジアミン残基をそれぞれ表し、m、nは各構成単位の存在モル比を示し、mは0.04〜0.4の範囲内、nは0.6〜0.96の範囲内である]
基Arは、例えば下記の式(3)又は式(4)で表されるものを挙げることができる。
[式中、Wは単結合、炭素数1〜15の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO−、−NH−若しくは−CONH−から選ばれる2価の基を示す]
特に、ポリイミドの極性基を減らし、誘電特性を向上させるという観点から、基Arとしては、式(3)、又は式(4)中のWが単結合、炭素数1〜15の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−CO−で表されるものが好ましく、式(3)、又は式(4)中のWが単結合、炭素数1〜15の2価の炭化水素基、−CO−で表されるものがより好ましい。
なお、上記一般式(1)及び(2)で表される構成単位は、単独重合体中に存在しても、共重合体の構成単位として存在してもよい。構成単位を複数有する共重合体である場合は、ブロック共重合体として存在しても、ランダム共重合体として存在してもよい。
ポリイミドは、一般に、酸無水物とジアミンとを反応させて製造されるので、酸無水物とジアミンを説明することにより、低膨張性ポリイミド層(ii)を形成するためのポリイミドの具体例が理解される。上記一般式(1)及び(2)において、基Arは酸無水物の残基ということができ、基R及び基Rはジアミンの残基ということができるので、好ましいポリイミドを酸無水物とジアミンにより説明する。
基Arを残基として有する酸無水物としては、例えば無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物が好ましく例示される。また、酸無水物として、例えば2,2',3,3'-、2,3,3',4'-又は3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3'',4,4''-、2,3,3'',4''-又は2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-又は3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,7,8-、1,2,6,7-又は1,2,9,10-フェナンスレン-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,3,5,6-シクロヘキサン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,6-又は2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-(又は1,4,5,8-)テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-(又は2,3,6,7-)テトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9-、3,4,9,10-、4,5,10,11-又は5,6,11,12-ペリレン-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物等が挙げられる。
基Rはダイマー酸型ジアミンから誘導される2価のダイマー酸型ジアミン残基である。ダイマー酸型ジアミンとは、ダイマー酸の二つの末端カルボン酸基(‐COOH)が、1級のアミノメチル基(‐CH‐NH)又はアミノ基(‐NH)に置換されてなるジアミンを意味する。
ダイマー酸は、不飽和脂肪酸の分子間重合反応によって得られる既知の二塩基酸であり、その工業的製造プロセスは業界でほぼ標準化されており、炭素数が11〜22の不飽和脂肪酸を粘土触媒等にて二量化して得られる。工業的に得られるダイマー酸は、オレイン酸やリノール酸などの炭素数18の不飽和脂肪酸を二量化することによって得られる炭素数36の二塩基酸が主成分であるが、精製の度合いに応じ、任意量のモノマー酸(炭素数18)、トリマー酸(炭素数54)、炭素数20〜54の他の重合脂肪酸を含有する。本発明では、ダイマー酸は分子蒸留によってダイマー酸含有量を90重量%以上にまで高めたものを使用することが好ましい。また、ダイマー化反応後には二重結合が残存するが、本発明では、更に水素添加反応して不飽和度を低下させたものもダイマー酸に含めるものとする。
ダイマー酸型ジアミンの特徴として、ダイマー酸の骨格に由来する特性を付与することができる。すなわち、ダイマー酸型ジアミンは、分子量約560〜620の巨大分子の脂肪族であるので、分子のモル体積を大きくし、ポリイミドの極性基を相対的に減らすことができる。このようなダイマー酸型ジアミンの特徴は、ポリイミドの耐熱性の低下を抑制しつつ、誘電特性を向上させることに寄与すると考えられる。また、2つの自由に動く炭素数7〜9の疎水鎖と、炭素数18に近い長さを持つ2つの鎖状の脂肪族アミノ基とを有するので、ポリイミドに柔軟性を与えるのみならず、ポリイミドを非対象的な化学構造や非平面的な化学構造とすることができるので、ポリイミドの低誘電率化を図ることができると考えられる。
ダイマー酸型ジアミンは、市販品が入手可能であり、例えばクローダジャパン社製のPRIAMINE1073(商品名)、同PRIAMINE1074(商品名)、コグニスジャパン社製のバーサミン551(商品名)、同バーサミン552(商品名)等が挙げられる。
また、基Rは、例えば下記の式(5)〜式(7)で表されるものを挙げることができる。
[式(5)〜式(7)において、Rは独立に炭素数1〜6の1価の炭化水素基又はアルコキシ基を示し、Zは単結合、炭素数1〜15の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO−、−NH−若しくは−CONH−から選ばれる2価の基を示し、nは独立に0〜4の整数を示す]
特に、ポリイミドの極性基を減らし、誘電特性を向上させるという観点から、基Rとしては、式(5)〜式(7)中のZが単結合、炭素数1〜15の2価の炭化水素基、Rが炭素数1〜6の1価の炭化水素基、nが0〜4の整数であることが好ましい。
基Rを残基として有するジアミンとしては、例えば4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2’-メトキシ-4,4’-ジアミノベンズアニリド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンズアニリド、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[1-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4,4'-(4-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、ビス[4,4'-(3-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、9,9-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、2,2−ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’-メチレンジ-o-トルイジン、4,4’-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4’-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルエタン、3,3’-ジアミノジフェニルエタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、ベンジジン、3,3’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシベンジジン、4,4''-ジアミノ-p-テルフェニル、3,3''-ジアミノ-p-テルフェニル、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン等が挙げられる。
低膨張性ポリイミド層(ii)を形成するためのポリイミドの誘電特性を踏まえ、ポリイミドの前駆体の調製に好適に用いられる芳香族テトラカルボン酸無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)等を挙げることができる。その中でも、特に好ましい酸無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)等を挙げることができる。これらの芳香族テトラカルボン酸無水物は、2種以上を組み合わせて配合することもできる。
また、低膨張性ポリイミド層(ii)を形成するためのポリイミドの誘電特性を踏まえ、ポリイミドの前駆体の調製に好適に用いられる芳香族ジアミンとしては、例えば、2,2’−ジビニル−4,4’−ジアミノビフェニル(VAB)、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン等を挙げることができる。その中でも、特に好ましいジアミン成分としては、2,2’−ジビニル−4,4’−ジアミノビフェニル(VAB)、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)等を挙げることができる。これらの芳香族ジアミンは、2種以上を組み合わせて配合することもできる。
上記酸無水物及びジアミンはそれぞれ、その1種のみを使用してもよく2種以上を併用して使用することもできる。また、上記一般式(1)及び(2)に含まれないその他のジアミン及び酸無水物を上記の酸無水物又はジアミンと共に使用することもでき、この場合、その他の酸無水物又はジアミンの使用割合は好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下とすることがよい。酸無水物及びジアミンの種類や、2種以上の酸無水物又はジアミンを使用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張性、接着性、ガラス転移温度等を制御することができる。
一般式(1)及び(2)で表わされる構成単位を有するポリイミドは、上記芳香族テトラカルボン酸無水物、ダイマー酸型ジアミン及び芳香族ジアミンを溶媒中で反応させ、前駆体樹脂を生成したのち加熱閉環させることにより製造できる。例えば、酸無水物成分とジアミン成分をほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0〜100℃の範囲内の温度で30分〜24時間撹拌し重合反応させることでポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が得られる。反応にあたっては、生成する前駆体が有機溶媒中に5〜30重量%の範囲内、好ましくは10〜20重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチル−2−ピロリドン、2−ブタノン、ジメチルスホキシド、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。また、このような有機溶剤の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応によって得られるポリアミド酸溶液(ポリイミド前駆体溶液)の濃度が5〜30重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。
合成された前駆体は、通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。また、前駆体は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。前駆体をイミド化させる方法は、特に制限されず、例えば前記溶媒中で、80〜400℃の範囲内の温度条件で1〜24時間かけて加熱するといった熱処理が好適に採用される。
ポリイミド絶縁層は、必要に応じて、ポリイミド層中に無機フィラーを含有してもよい。具体的には、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
<銅箔>
本実施の形態の銅張積層板において、銅箔は、接着性ポリイミド層(i)と接する面が、粗化処理されており、十点平均粗さ(Rz)が1.0μm以下、算術平均粗さ(Ra)が0.2μm以下である。なお、銅箔の材質は、銅合金であってもよい。
信号配線に高周波信号が供給されている状態では、その信号配線の表面にしか電流が流れず、電流が流れる有効断面積が少なくなって直流抵抗が大きくなり、信号が減衰するという問題(表皮効果)がある。銅箔のポリイミド絶縁層に接する面の表面粗度を下げることで、この表皮効果による信号配線の抵抗増大を抑制できる。このような知見のもと、本発明者らは、導体損失の低減に関して更に検討を進めたところ、銅箔の表面粗度がある程度まで下がると、導体損失の低減にそれほど効果が現れないことがわかった。また、電気性能要求基準を満足させるために表面粗度を下げると、銅箔とポリイミド絶縁層との接着力(剥離強度)が弱くなる。そこで、電気性能要求を満足させることが可能であり、ポリイミド絶縁層との接着性を確保という観点から、銅箔の表面が、クロメート処理されていることが必要である。
本実施の形態の銅張積層板において、接着性ポリイミド層(i)と接する銅箔の表面に、亜鉛及びクロムを析出させる金属析出処理がなされていて、銅箔の表面に存在する亜鉛元素の量(Zn)が0.01〜0.2mg/dmの範囲内、好ましくは0.02〜0.15mg/dmの範囲内がよく、クロム元素の量(Cr)が0.02〜0.2mg/dmの範囲内、好ましくは0.02〜0.15mg/dmの範囲内がよく、かつ亜鉛元素及びクロム元素の総量(Zn+Cr)が0.03〜0.3mg/dmの範囲内となるように制御されている。亜鉛元素は、銅箔の酸化を抑制し、クロム元素は、ポリイミド絶縁層とのピール強度向上に有効であるが、これらの金属元素は、量が多すぎるとエッチング残渣の原因となるので、銅箔の表面に存在する亜鉛元素及びクロム元素を上記範囲内の付着量とする。
亜鉛元素及びクロム元素の析出処理は、例えば亜鉛めっき処理及びクロメート処理を順次行うことにより形成することができる。亜鉛めっき及びクロメート処理は、公知の方法で行うことができ、クロム元素の析出処理における亜鉛めっき層の溶解とクロム元素付着との競合関係の観点を考慮し、上記範囲内の付着量に制御できる。
また、本実施の形態の銅張積層板において、接着性ポリイミド層(i)と接する銅箔の表面に付着したニッケル元素の量(Ni)が1.4mg/dm以下、好ましくは0.8mg/dm以下、より好ましくは0.1mg/dm以下がよい。ニッケル元素は、ポリイミド絶縁層との接着性及びその長期耐熱信頼性又は耐薬品性に有効な金属種であるが、この付着量が多すぎるとエッチング残渣の原因となるので、1.4mg/dm以下とする。
ニッケルは、銅に対して全率固容体であり、合金状態を作り出すことができ、又はニッケルは、銅に対して拡散しやすく、合金状態を作りやすい。このような状態は、銅単体と比較して電気抵抗が大きく、言い換えると導電率が小さくなる。このようなことから、銅箔表面におけるニッケル元素の付着量が多いと、ニッケルと合金化した銅の抵抗増大が生じる。その結果、表皮効果による信号配線の抵抗増大による信号伝送時の損失が大きくなる。このような観点から、本実施の形態の銅張積層板において、銅箔は、接着性ポリイミド層(i)と接する面に付着したニッケル元素の量を0.01mg/dm以下に制御することが最も好ましい。
また、本発明者らは、金属析出処理された金属の付着量が少なくなるほど、樹脂と銅箔との間の接着強度及びその長期信頼性又は耐薬品性が低下することを確認している。このような観点から、本実施の形態の銅張積層板においては、銅との合金状態を作り難く、ニッケルに比べて抵抗増大を生じさせにくい金属であるコバルト及びモリブデンを、銅箔の表面に一定量存在させることによって、導体損失を抑制しながら、樹脂と銅箔との間の接着強度、その長期信頼性、及び、耐薬品性を確保している。従って、本実施の形態で用いる銅箔は、接着性ポリイミド層(i)と接する面に付着したコバルト元素の量(Co)が0.01〜0.5mg/dmの範囲内、モリブデン元素の量(Mo)が0.01〜0.5mg/dmの範囲内である。また、コバルト元素及びモリブデン元素の総量(Co+Mo)が0.1〜0.7mg/dmの範囲内とすることで、銅張積層板の配線加工時における配線間のポリイミド部分のエッチング残渣を抑制し、エッチングによる薬液に対する耐性低下の抑制、及び銅箔とポリイミド間の接着強度及びその長期信頼性の低下を抑制できる。
本実施の形態の銅張積層板に使用する銅箔の金属析出処理については、銅箔の表面に上述した金属を所定量で析出させることができる手段であれば特に制限されない。例えば、金属析出処理の一例として、上記金属を用いた防錆処理等を挙げることができ、具体的には上記金属を所定量含んだ浴を用いてめっき処理を行い、銅箔の表面に上記金属を析出させる方法等を挙げることができる。
また、本実施の形態の銅張積層板に使用する銅箔は、上記金属析出処理のほかに、接着力の向上を目的として、銅箔の表面に、例えばサイディング、アルミニウムアルコラート、アルミニウムキレート、シランカップリング剤等による表面処理を施してもよい。
本実施の形態の銅張積層板では、銅箔として市販されている銅箔を用いることができる。その具体例としては、福田金属箔粉工業社製のCF−T49A−DS−HD(商品名)などが挙げられる。
上記のとおり、銅箔のポリイミド絶縁層に接する面の表面粗度を下げることで、表皮効果による信号配線の抵抗増大を抑制できる。しかし、電気性能要求基準を満足させるために表面粗度を下げると、銅箔とポリイミド絶縁層との接着力(剥離強度)が弱くなる。そこで、電気性能要求を満足させることが可能であり、ポリイミド絶縁層との接着性を確保という観点から、表面粗さのパラメータとして、二乗平均粗さ(Rq)を制御することが好ましい。本出願人は、特願2013−205950号で示したシミュレーション試験の結果から、二乗平均粗さ(Rq)は、他の表面粗さの指標に比べ、表皮効果によって銅箔表面を流れる電流に対して、銅箔表面の微細な凹凸が与える影響をより的確に反映しているものと推察しており、銅箔におけるポリイミド絶縁層と接する面の表面粗さの指標として、二乗平均粗さ(Rq)を使用し、この二乗平均粗さ(Rq)を上記範囲内に規定することによって、ポリイミド絶縁層との接着性の確保と、配線の抵抗増大の抑制というトレード・オフの関係にある要求を同時に満足させることができることを見出している。
本実施の形態の銅張積層板において、銅箔は、ポリイミド絶縁層と接する面の二乗平均粗さ(Rq)が、好ましくは0.05μm以上0.5μm未満の範囲内であり、より好ましくは0.1μm以上0.4μm以下の範囲内がよい。ここで定義される二乗平均粗さ(Rq)は、JIS B0601:2001に基づくものである。なお、銅箔の材質は、銅合金であってもよい。
また、銅箔の表面粗度の低下に伴うポリイミド絶縁層との接着力低下を抑制するという観点から、銅箔の表面が粗化処理されていることが好ましい。
銅箔の粗化処理は、例えば電気めっき法により銅箔と同じ材料(例えば銅)で銅箔の表面に微細な凹凸を有する皮膜(塊状皮膜)を付着させることにより形成することができる。なお、銅箔の粗化処理は、銅箔の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察により確認されるが、表皮効果によって銅箔表面を流れる電流に対して、銅箔表面の微細な凹凸が与える影響をより的確に反映しているものと推察される。このような観点から、SEM観察によって測定される銅箔の粗化高さの最大値は、好ましくは0.6μm未満がよい。銅箔の粗化高さの最大値が0.6μm未満であることで、ポリイミド絶縁層との接着性の確保と、配線の抵抗増大の抑制というトレード・オフの関係にある要求を同時に満足させることができる。
本実施の形態の銅張積層板において、例えばFPCの製造に用いる場合の銅箔の好ましい厚みは3〜50μmの範囲内であり、より好ましくは5〜30μmの範囲内であるが、回路パターンの線幅を細線化するためには、銅箔の厚みは5〜20μmの範囲内が好ましい。
<プリント配線板>
本実施の形態のプリント配線板は、本実施の形態の銅張積層板の銅箔を常法によってパターン状に加工して配線層を形成することによって、本発明の一実施の形態であるプリント配線板の製造することができる。
以下、代表的にキャスト法の場合を例に挙げて本実施の形態のプリント配線板の製造方法について、具体的に説明する。
まず、銅張積層板の製造方法は、以下の工程(1)〜(3)を含むことができる。
工程(1):
工程(1)は、接着性ポリイミド層(i)及び低膨張性ポリイミド層(ii)を形成するためのポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の樹脂溶液を得る工程である。
工程(2):
工程(2)は、銅箔上に、ポリアミド酸の樹脂溶液を塗布し、塗布膜を形成する工程である。銅箔は、カットシート状、ロール状のもの、又はエンドレスベルト状などの形状で使用できる。生産性を得るためには、ロール状又はエンドレスベルト状の形態とし、連続生産可能な形式とすることが効率的である。さらに、プリント配線板における配線パターン精度の改善効果をより大きく発現させる観点から、銅箔は長尺に形成されたロール状のものが好ましい。
塗布膜を形成する方法は、ポリアミド酸の樹脂溶液を銅箔の上に直接塗布した後に乾燥することで形成できる。塗布する方法は特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。
ポリイミド絶縁層を複数層とする場合、異なる構成成分からなる前駆体の層の上に他の前駆体を順次塗布して形成することができる。前駆体の層が3層以上からなる場合、同一の構成の前駆体を2回以上使用してもよい。層構造が簡単である2層は、工業的に有利に得ることができるので好ましい。また、前駆体の層の厚み(乾燥後)は、例えば、6〜100μmの範囲内、好ましくは9〜75μmの範囲内にあることがよい。
ポリイミド絶縁層を複数層とする場合、銅箔に接する接着性ポリイミド層(i)が熱可塑性ポリイミド絶縁層となるように前駆体の層を形成することが好ましい。熱可塑性ポリイミドを用いることで、銅箔との密着性を向上させることができる。このような熱可塑性ポリイミドは、ガラス転移温度(Tg)が360℃以下であるものが好ましく、より好ましくは200〜320℃である。
また、単層又は複数層の前駆体の層を一旦イミド化して単層又は複数層のポリイミド絶縁層とした後に、更にその上に前駆体の層を形成することも可能である。
工程(3):
工程(3)は、塗布膜を熱処理してイミド化し、ポリイミド絶縁層を形成する工程である。イミド化の方法は、特に制限されず、例えば、80〜400℃の範囲内の温度条件で1〜60分間の範囲内の時間加熱するといった熱処理が好適に採用される。銅箔の酸化を抑制するため、低酸素雰囲気下での熱処理が好ましく、具体的には、窒素又は希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、水素などの還元ガス雰囲気下、あるいは真空中で行うことが好ましい。熱処理により、塗布膜中のポリアミド酸がイミド化し、ポリイミドが形成される。
以上のようにして、接着性ポリイミド層(i)及び低膨張性ポリイミド層(ii)を有するポリイミド絶縁層と銅箔とを有する銅張積層板を製造することができる。
また、回路基板の製造方法は、上記(1)〜(3)の工程に加え、さらに、以下の工程(4)を含むことができる。
工程(4):
工程(4)は、銅張積層板の銅箔をパターニングして配線層を形成する工程である。本工程では、銅箔を所定形状にエッチングすることによってパターン形成し、配線層に加工することによってプリント配線板を得る。エッチングは、例えばフォトリソグラフィー技術などを利用する任意の方法で行うことができる。
なお、以上の説明では、プリント配線板の製造方法の特徴的工程のみを説明した。すなわち、プリント配線板を製造する際に、通常行われる上記以外の工程、例えば前工程でのスルーホール加工や、後工程の端子メッキ、外形加工などの工程は、常法に従い行うことができる。
以上のように、本実施の形態のポリイミド絶縁層及び銅箔を使用することによって、インピーダンス整合性に優れた銅張積層板を形成することができる。また、本実施の形態のポリイミド絶縁層及び銅箔を用いることにより、FPCに代表される回路基板において、電気信号の伝送特性を改善し、信頼性を向上させることができる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[粘度測定]
樹脂の粘度はE型粘度計(ブルックフィールド社製、商品名;DV−II+Pro)を用いて、25℃における粘度を測定した。トルクが10%〜90%になるよう回転数を設定し、測定を開始してから2分経過後、粘度が安定した時の値を読み取った。
[ピール強度及び長期信頼性の測定]
ピール強度は、テンシロンテスター(東洋精機製作所社製、商品名;ストログラフVE−1D)を用いて、導体層側の金属が幅1mmの配線に加工された基材(金属/樹脂層で構成された積層体)の樹脂層側を両面テープによりSUS板に固定し、基材を180°方向に50mm/分の速度で、樹脂層から金属配線を剥離するときの力を求めた。
長期信頼性は、上記の配線加工基材を150℃の大気雰囲気下で1000時間熱処理した後に求められた剥離する時の力と、熱処理前の力の百分率を保持率とした。
合否判定は、ピール強度が1.0kN/m以上を「合」、1.0kN/m未満を「否」と評価し、長期信頼性についてはピール強度の保持率が70%以上を「優」、60%以上を「良」、50%以上を「可」、50%未満を「不可」と評価した。
[耐薬品性の評価]
耐薬品性の評価は、導体層側の金属を幅1mmの配線に加工した基材(金属/樹脂層で構成された積層体)を濃度20wt%に調整された塩酸水溶液に50℃で1時間浸漬した後に配線を剥離し、配線や配線を引き剥がした樹脂層側を観察し、金属/樹脂層間に染み込んだ塩酸水溶液の染み込み幅を評価した。
耐薬品性は、染み込みなしを「優」、染み込み幅が20μm未満を「良」、染み込み幅が30μm未満を「可」、染み込み幅が30μm以上を「不可」と評価した。
[誘電率及び誘電正接の測定]
誘電率及び誘電正接は、空洞共振器摂動法誘電率評価装置(Agilent社製、商品名;ベクトルネットワークアナライザE8363C)およびSPDR共振器を用いて、所定の周波数における樹脂シート(硬化後の樹脂シート)の誘電率および誘電正接を測定した。なお、測定に使用した樹脂シートは、温度;24〜26℃、湿度;45〜55%の条件下で、24時間放置したものである。
[銅箔の表面粗さの測定]
1)二乗平均粗さ(Rq)の測定
触針式表面粗さ計(株式会社小坂研究所製、商品名;サーフコーダET−3000)を用い、Force;100μN、Speed;20μm、Range;800μmの測定条件によって求めた。なお、表面粗さの算出は、JIS−B0601:2001に準拠した方法により算出した。
2)算術平均高さ(Ra)の測定
触針式表面粗さ計(株式会社小坂研究所製、商品名;サーフコーダET−3000)を用い、Force;100μN、Speed;20μm、Range;800μmの測定条件によって求めた。なお、表面粗さの算出は、JIS−B0601:1994に準拠した方法により算出した。
3)十点平均粗さ(Rz)の測定
触針式表面粗さ計(株式会社小坂研究所製、商品名;サーフコーダET−3000)を用い、Force;100μN、Speed;20μm、Range;800μmの測定条件によって求めた。なお、表面粗さの算出は、JIS−B0601:1994に準拠した方法により算出した。
[銅箔の粗化高さの測定]
断面試料作製装置(日本電子社製、商品名;SM−09010クロスセクションポリッシャ)によるイオン照射で対象銅箔の断面形成加工を行い、露出した銅箔断面を5200倍でSEM観察することにより銅箔断面の像を得た。得られた画像を用いて、画像中に記されたスケールに基づき、粗化高さを算出した。
[金属析出処理した銅箔の表面の金属元素の測定]
銅箔の分析面裏面をマスキングした上で、1N−硝酸にて分析面を溶解し、100mLに定容した後にパーキンエルマー社製誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)Optima4300を用いて測定した。
[伝送特性の評価]
銅張積層板を回路加工し、特性インピーダンスを50Ωとしたマイクロストリップ線路を回路加工した評価サンプルを使用し、回路加工した側(伝送線路側)の伝送特性を評価した。SOLT法(SHORT−OPEN−LOOD−Thru)にて校正したベクトルネットワークアナライザにより、所定の周波数領域でSパラメータを測定することにより、S21(挿入損失)で評価を行った。
伝送損失の評価は、周波数が10GHzにおいて、2.2dB/10cm以上2.4dB/10cm未満を「良」、2.4dB/10cm以上2.7dB/10cm未満を「可」、2.7dB/10cm以上を「不可」とした。また、周波数が40GHzにおいて、5.7dB/10cm以上6.2dB/10cm未満を「良」、6.2dB/10cm以上6.7dB/10cm未満を「可」、6.7dB/10cm以上を「不可」と評価した。
合成例に用いた略号は、以下の化合物を示す。
(A)ポリイミド原料
DDA:ダイマー酸型ジアミン(クローダジャパン株式会社製、商品名;PRIAMINE1074、炭素数;36、アミン価;205mgKOH/g、ダイマー成分の含有量;95重量%以上)
m‐TB:2,2’‐ジメチル‐4,4’‐ジアミノビフェニル
TPE‐R:1,3‐ビス(4‐アミノフェノキシ)ベンゼン
BAPP:2,2‐ビス[4‐(4‐アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BPDA:3,3’,4,4’‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
DMAc:N,N‐ジメチルアセトアミド
(合成例1)
反応容器に、重合後の固形分濃度が12wt%となる量のDMAcを加え撹拌し、BAPPを投入した。投入したジアミンが完全に溶解するまで充分に撹拌を行った後、酸無水物:ジアミンのモル比率が0.990:1.000となるようPMDAを加えた。その後、室温で3時間撹拌を続け、粘度2,300cPのポリアミド酸溶液Aを得た。
(合成例2)
反応容器に、重合後の固形分濃度が15wt%となる量のDMAcを加え撹拌し、m−TB及びDDAをモル比率(m−TB:DDA)が90:10となるように投入した。投入したジアミンが完全に溶解するまで充分に撹拌を行った後、酸無水物:ジアミンのモル比率が0.985:1.000となるようPMDAおよびBPDAを加えた。PMDAとBPDAはモル比率(PMDA:BPDA)が80:20となるよう加えた。その後、室温で3時間撹拌を続け、粘度26,000cPのポリアミド酸溶液Bを得た。
(実施例1)
電解銅箔(厚さ;12μm、ポリイミド絶縁層側のMD方向(Machine Direction;長尺な銅箔の流れ方向)の表面粗度Rz;0.5μm、Ra;0.1μm、Rq;0.2μm)を用意した。この銅箔の表面に粗化処理を行った後、コバルト及びモリブデンを所定量含んだめっき処理(金属石種る処理)をし、更に亜鉛めっき処理及びクロメート処理を行い、銅箔1を得た。銅箔1における金属析出処理した金属元素の分析値を表1に示す。また、銅箔1の断面におけるSEM写真を図1に示す。SEM写真を参照すると、粗化処理の粗化高さの最大値は0.25μmであった。
銅箔1の金属析出処理した面に、ポリアミド酸溶液A、ポリアミド酸溶液B、及びポリアミド酸溶液Aを順次塗布(キャスト)し、熱処理後の厚みがそれぞれ、4μm、42μm及び4μmとなるようにした。乾燥後、130℃から最終的に300℃以上まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結して、片面銅張積層板1を得た。得られた片面銅張積層板1のポリイミド絶縁層側に、銅箔1を重ね合わせ、360℃、圧力6.7MPamの条件で15分間熱圧着(ラミネート)して、両面銅張積層板1を得た。両面銅張積層板1の評価結果を表2に示す。表2に示すとおり、両面銅張積層板1の10GHz及び40GHzにおける伝送損失はそれぞれ、2.3dB/10cm及び6.1dB/10cmであり、また、銅箔をエッチング除去して得られたフィルムの誘電特性を表3に示す。
(実施例2)
電解銅箔(厚さ;12μm、ポリイミド絶縁層側のMD方向の表面粗度Rz;0.8μm、Ra;0.2μm、Rq;0.2μm)を用意した。この銅箔の表面に粗化処理を行った後、ニッケルを所定量含んだめっき処理(金属析出処理)をし、その上にコバルト及びモリブデンを所定量含んだめっき処理、更に亜鉛めっき処理及びクロメート処理を順次行い、銅箔2を得た。銅箔2における金属析出処理した金属元素の分析値を表1に示す。また、銅箔2の断面におけるSEM写真を参照すると、粗化処理の粗化高さの最大値は0.09μmであった。
銅箔1の代わりに銅箔2を使用したこと以外、実施例1と同様にして、両面銅張積層板2を得た。両面銅張積層板2の評価結果を表2に示す。表2に示すとおり、両面銅張積層板2の10GHz及び40GHzにおける伝送損失はそれぞれ、2.2dB/10cm及び5.8dB/10cmであった。また、実施例1と同様にして銅箔をエッチング除去して得られたフィルムの誘電特性を表3に示す。
(実施例3)
電解銅箔(厚さ;12μm、ポリイミド絶縁層側のMD方向の表面粗度Rz;0.8μm、Ra;0.2μm、Rq;0.2μm)を用意した。この銅箔の表面に粗化処理を行った後、ニッケルを所定量含んだめっき処理(金属析出処理)をし、その上にコバルト及びモリブデンを所定量含んだめっき処理、更にクロメート処理を順次行い、銅箔3を得た。銅箔3における金属析出処理した金属元素の分析値を表1に示す。また、銅箔3の断面におけるSEM写真を参照すると、粗化処理の粗化高さの最大値は0.09μmであった。
銅箔1の代わりに銅箔3を使用したこと以外、実施例1と同様にして、両面銅張積層板3を得た。両面銅張積層板3の評価結果を表2に示す。表2に示すとおり、両面銅張積層板3の10GHz及び40GHzにおける伝送損失はそれぞれ、2.2dB/10cm及び6.1dB/10cmであった。また、実施例1と同様にして銅箔をエッチング除去して得られたフィルムの誘電特性を表3に示す。
(比較例1)
電解銅箔(厚さ;12μm、ポリイミド絶縁層側のMD方向の表面粗度Rz;1.0μm、Ra;0.2μm、Rq;0.1μm)を用意した。この銅箔の表面に粗化処理を行った後、ニッケルを所定量含んだめっき処理(金属析出処理)をし、更に亜鉛めっき処理及びクロメート処理をして、銅箔4を得た。銅箔4における金属析出処理した金属元素の分析値を表1に示す。また、銅箔4の断面におけるSEM写真を参照すると、粗化処理の粗化高さの最大値は0.25μmであった。
銅箔1の代わりに銅箔4を使用したこと以外、実施例1と同様にして、両面銅張積層板4を得た。両面銅張積層板4の評価結果を表2に示す。表2に示すとおり、両面銅張積層板4の10GHz及び40GHzにおける伝送損失はそれぞれ、2.5dB/10cm及び6.8dB/10cmであった。また、実施例1と同様にして銅箔をエッチング除去して得られたフィルムの誘電特性を表3に示す。
(比較例2)
市販のポリイミドフィルム(カネカ社製、商品名;PIXEO)を使用したこと以外、実施例1と同様にして、両面銅張積層板5を得た。両面銅張積層板5の評価結果を表2に示す。表2に示すとおり、両面銅張積層板5の10GHz及び40GHzにおける伝送損失はそれぞれ、2.8dB/10cm及び8.8dB/10cmであった。また、実施例1と同様にして銅箔をエッチング除去して得られたフィルムの誘電特性を表3に示す。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。

Claims (6)

  1. ポリイミド絶縁層と、該ポリイミド絶縁層の少なくとも一方の面に積層された銅箔を備えた銅張積層板であって、
    前記ポリイミド絶縁層が、下記の構成Ia〜Ic:
    Ia)前記銅箔の表面に接する接着性ポリイミド層(i)と、前記接着性ポリイミド層(i)に直接又は間接的に積層された低膨張性ポリイミド層(ii)と、を有すること;
    Ib)前記接着性ポリイミド層(i)が、テトラカルボン酸無水物成分とジアミン成分とを反応させて得られるポリイミドからなり、前記酸無水物成分に対し、ピロメリット酸二無水物(PMDA)を50モル%以上含有し、前記ジアミン成分に対し、2,2‐ビス[4‐(4‐アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を50モル%以上含有すること;
    Ic)下記の数式(a)、
    =√ε×Tanδ ・・・(a)
    [ここで、εは、空洞共振器摂動法による10GHzにおける誘電率を示し、Tanδは、空洞共振器摂動法による10GHzにおける誘電正接を示す]
    に基づき算出される、誘電特性を示す指標であるE値が0.009未満であること;
    を備え、
    更に、前記銅箔が、下記の構成IId及びIIe:
    IId)前記接着性ポリイミド層(i)と接する面が粗化処理されており、該銅箔表面の十点平均粗さ(Rz)が1.0μm以下、算術平均高さ(Ra)が0.2μm以下であること;
    IIe)前記接着性ポリイミド層(i)と接する面に付着したニッケル元素の量(Ni)が1.4mg/dm以下であり、亜鉛元素の量(Zn)が0.01〜0.2mg/dmの範囲内、クロム元素の量(Cr)が0.02〜0.2mg/dmの範囲内であり、かつ亜鉛元素及びクロム元素の総量(Zn+Cr)が0.03〜0.3mg/dmの範囲内であること;
    を備えた銅張積層板。
  2. 前記銅箔における前記ポリイミド絶縁層と接する面の二乗平均粗さ(Rq)が、0.05μm以上0.5μm未満の範囲内である請求項1に記載の銅張積層板。
  3. 前記銅箔における前記接着性ポリイミド層(i)と接する面が粗化処理され、該銅箔断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察により測定される該粗化処理の粗化高さの最大値が、0.6μm未満である請求項1又は2に記載の銅張積層板。
  4. 前記銅箔における前記接着性ポリイミド層(i)と接する面に付着したニッケル元素の量(Ni)が0.01mg/dm以下であり、コバルト元素の量(Co)が0.01〜0.5mg/dmの範囲内、モリブデン元素の量(Mo)が0.01〜0.5mg/dmの範囲内であり、かつコバルト元素及びモリブデン元素の総量(Co+Mo)が0.1〜0.7mg/dmの範囲内である請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅張積層板。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の銅張積層板の銅箔を配線回路加工してなるプリント配線板。
  6. 請求項5に記載のプリント配線板を、1GHz〜40GHzの範囲内の周波数領域で使用するプリント配線板の使用方法。
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