JP2020015236A - 両面金属張積層板及び回路基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】絶縁樹脂層の厚みが十分に確保され、電子機器の高性能化に伴う高周波伝送への対応を可能とする両面金属張積層板及び回路基板の提供。【解決手段】両面金属張積層板100は、複数のポリイミド層を含む樹脂積層体50と、樹脂積層体の両面にそれぞれ積層された金属層10A,10Bと、を備え、樹脂積層体の厚みが40〜180μmであり、金属層に接している第1のポリイミド層20A,20Bと、第1のポリイミド層に直接又は間接的に積層された第2のポリイミド層30A,30Bと、を含むとともに、2つの第1のポリイミド層を構成するポリイミドが、それぞれ同一又は異なる種類の接着性ポリイミドである。金属層は、第1のポリイミド層と接する表面の十点平均粗さRzが1.2μm以下、算術平均高さRaが0.2μm以下であり、かつ、第1のポリイミド層と接する面に付着したニッケル元素量が1.4mg/dm2以下の銅箔からなる。【選択図】図1
Description
本発明は、電子機器の小型化・高性能化に伴う高周波化への対応を可能とする両面金属張積層板及び回路基板に関する。
近年、電子機器の小型化、軽量化、省スペース化の進展に伴い、薄く軽量で、可撓性を有し、屈曲を繰り返しても優れた耐久性を持つフレキシブル回路基板(FPC;Flexible Printed Circuits)の需要が増大している。FPCは、限られたスペースでも立体的かつ高密度の実装が可能であるため、例えば、HDD、DVD、携帯電話、スマートフォン等の電子機器の配線や、ケーブル、コネクター等の部品にその用途が拡大しつつある。
情報処理や情報通信においては、大容量の情報を伝送・処理するために伝送周波数を高くする取り組みが行われており、回路基板材料は絶縁樹脂層の低誘電化による伝送損失の低下が求められている。そこで、高周波化に対応するために、低誘電率、低誘電正接を特徴とした液晶ポリマーを誘電体層としたFPCが用いられている。しかしながら、液晶ポリマーは、誘電特性に優れているものの、耐熱性や金属箔との接着性に改善の余地があることから、耐熱性や接着性に優れた絶縁樹脂材料としてポリイミドが注目されている。
回路基板の高周波伝送特性を改善するために、銅箔における表皮効果に着目し、ポリイミド層と接する銅箔表面の粗度とともに、防錆金属の種類や付着量を制御する提案がなされている(例えば、特許文献1、2)。
一方、二つの片面銅張積層板のポリイミド樹脂面を貼り合わせることによって、絶縁樹脂層の厚みが50μm以上の両面銅張積層板を製造することも提案されている(例えば、特許文献3、4)。
回路基板において、高周波化への要請が今後益々強まり、高周波伝送特性に対する要求水準が厳しくなると予想される。このような観点から、絶縁樹脂層の誘電特性の改善だけでなく、絶縁樹脂層の厚みを大きくするという選択肢も必要となってくる。しかし、特許文献1、2の実施例では、絶縁樹脂層の厚みが25μmであり、例えば50μmを超える厚みに厚膜化することは検討されていない。
一方、特許文献3、4では、高周波伝送への対応については考慮されておらず、厚膜の絶縁樹脂層を採用する場合の銅箔の構成についても検討されていない。また、特許文献3、4のように、二つの片面銅張積層板のポリイミド樹脂面を貼り合わせることによって絶縁樹脂層の厚みを大きくする方法では、信頼性を高める観点から、銅箔と絶縁樹脂層との接着強度だけでなく、貼り合わせ面の接着強度についても十分に確保する必要がある。
一方、特許文献3、4では、高周波伝送への対応については考慮されておらず、厚膜の絶縁樹脂層を採用する場合の銅箔の構成についても検討されていない。また、特許文献3、4のように、二つの片面銅張積層板のポリイミド樹脂面を貼り合わせることによって絶縁樹脂層の厚みを大きくする方法では、信頼性を高める観点から、銅箔と絶縁樹脂層との接着強度だけでなく、貼り合わせ面の接着強度についても十分に確保する必要がある。
本発明は、絶縁樹脂層の厚みが十分に確保され、電子機器の高性能化に伴う高周波伝送への対応を可能とする両面金属張積層板及び回路基板を提供することにある。
本発明者らは、特定の厚みを有する絶縁樹脂層とともに、銅箔表面の状態が制御された銅箔を使用することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の両面金属張積層板は、複数のポリイミド層を含む樹脂積層体と、前記樹脂積層体の両面にそれぞれ積層された金属層と、を備えた両面金属張積層板である。
本発明の両面金属張積層板において、前記樹脂積層体は、全体の厚みが40〜180μmの範囲内であり、前記金属層に接している第1のポリイミド層と、前記第1のポリイミド層に直接又は間接的に積層された第2のポリイミド層と、を含むとともに、2つの前記第1のポリイミド層を構成するポリイミドが、それぞれ同一又は異なる種類の接着性ポリイミドである。
本発明の両面金属張積層板において、前記金属層は、前記第1のポリイミド層と接する表面の十点平均粗さ(Rz)が1.2μm以下、算術平均高さ(Ra)が0.2μm以下であり、かつ、前記第1のポリイミド層と接する面に付着したニッケル元素の量(Ni)が1.4mg/dm2以下である銅箔からなることを特徴とする。
本発明の両面金属張積層板において、前記樹脂積層体は、全体の厚みが40〜180μmの範囲内であり、前記金属層に接している第1のポリイミド層と、前記第1のポリイミド層に直接又は間接的に積層された第2のポリイミド層と、を含むとともに、2つの前記第1のポリイミド層を構成するポリイミドが、それぞれ同一又は異なる種類の接着性ポリイミドである。
本発明の両面金属張積層板において、前記金属層は、前記第1のポリイミド層と接する表面の十点平均粗さ(Rz)が1.2μm以下、算術平均高さ(Ra)が0.2μm以下であり、かつ、前記第1のポリイミド層と接する面に付着したニッケル元素の量(Ni)が1.4mg/dm2以下である銅箔からなることを特徴とする。
本発明の両面金属張積層板は、前記金属層における前記第1のポリイミド層と接する面に付着したニッケル元素の量(Ni)が0.01mg/dm2以下でってもよく、コバルト元素の量(Co)が0.01〜0.5mg/dm2の範囲内、モリブデン元素の量(Mo)が0.01〜0.5mg/dm2の範囲内であってもよく、かつコバルト元素及びモリブデン元素の総量(Co+Mo)が0.1〜0.7mg/dm2の範囲内であってもよい。
本発明の両面金属張積層板は、前記第2のポリイミド層を構成するポリイミドが、酸無水物成分とジアミン成分とを反応させて得られるポリイミドであってもよく、前記ジアミン成分が、全ジアミン成分に対して4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル(m−TB)を20モル%以上含有するものであってもよい。
本発明の両面金属張積層板において、前記樹脂積層体は、前記金属層側から、それぞれ、少なくとも前記第1のポリイミド層、前記第2のポリイミド層がこの順に積層された構造を有するものであってもよい。
本発明の両面金属張積層板において、前記樹脂積層体は、少なくとも4層以上のポリイミド層からなる積層構造を有するものであってもよい。
本発明の両面金属張積層板において、前記樹脂積層体は、その厚み方向の中心を基準にして、厚み方向に対称な層構造を有するものであってもよい。
本発明の回路基板は、上記いずれかの両面金属張積層板の前記金属層を配線回路加工してなるものである。
本発明の両面金属張積層板は、金属層の表皮効果による抵抗の増大を効果的に抑制するとともに、十分な厚みを有する樹脂積層体を備えているため、高速信号伝送を必要とする電子材料として好適に用いることができる。
以下、本発明の実施の形態について、適宜図面を参照して説明する。
[両面金属張積層板]
本実施の形態の両面金属張積層板は、複数のポリイミド層を含む樹脂積層体と、この樹脂積層体の両面にそれぞれ積層された金属層と、を備えている。
本実施の形態の両面金属張積層板は、複数のポリイミド層を含む樹脂積層体と、この樹脂積層体の両面にそれぞれ積層された金属層と、を備えている。
<樹脂積層体>
樹脂積層体は、少なくとも、金属層に接している第1のポリイミド層と、第1のポリイミド層に直接又は間接的に積層された第2のポリイミド層と、を含んでいる。樹脂積層体は、金属層側から、それぞれ、少なくとも第1のポリイミド層、第2のポリイミド層がこの順に積層された構造を有することが好ましい。なお、樹脂積層体は、第1のポリイミド層、第2のポリイミド層以外の任意の樹脂層を有していてもよい。また、樹脂積層体は、その厚み方向の中心を基準にして、厚み方向に対称な層構造を有することが好ましいが、厚み方向に非対称な層構造を有するものであってもよい。
樹脂積層体は、少なくとも、金属層に接している第1のポリイミド層と、第1のポリイミド層に直接又は間接的に積層された第2のポリイミド層と、を含んでいる。樹脂積層体は、金属層側から、それぞれ、少なくとも第1のポリイミド層、第2のポリイミド層がこの順に積層された構造を有することが好ましい。なお、樹脂積層体は、第1のポリイミド層、第2のポリイミド層以外の任意の樹脂層を有していてもよい。また、樹脂積層体は、その厚み方向の中心を基準にして、厚み方向に対称な層構造を有することが好ましいが、厚み方向に非対称な層構造を有するものであってもよい。
樹脂積層体の全体の厚みは40〜180μmの範囲内であり、好ましくは50〜160μmの範囲内である。樹脂積層体の全体の厚みが40μmに満たないと十分な高周波伝送特性が得られなくなるおそれがあり、180μmを超えると寸法安定性や屈曲性等において問題が生じるおそれがある。
両面金属張積層板を形成した際の反りや寸法安定性の低下を抑制する観点から、樹脂積層体の全体として、CTEを10〜30ppm/Kの範囲内に制御することが好ましい。この場合、樹脂積層体においてベース層(主層)として機能する第2のポリイミド層のCTEは、好ましくは1 〜25ppm/Kの範囲内、より好ましくは10〜20ppm/Kの範囲内がよい。
樹脂積層体は、FPC等の回路基板に使用した際に、3GHzにおける誘電率が好ましくは3.6以下であり、誘電正接が0.005未満であることがよい。樹脂積層体の誘電特性をこのような範囲内に制御することによって、FPC等の回路基板に使用した際の、高周波信号の伝送経路上で伝送ロスを効果的に抑制可能であり、例えば液晶ポリマーを用いて作製した回路基板と同等レベルの伝送損失を実現できる。
更に、樹脂積層体は、FPC等の回路基板に使用した際に液晶ポリマー同等レベルに伝送損失を低下させるには、10GHzにおける誘電率が好ましくは3.5以下であり、誘電正接が0.005以下であることがよい。樹脂積層体の誘電特性をこのような範囲内に制御することによって、FPC等の回路基板に使用した際の、高周波信号の伝送経路上で伝送ロスを効果的に抑制可能であり、例えば液晶ポリマーを用いて作製した回路基板と同等レベルの伝送損失を実現できる。
また、樹脂積層体は、下記の数式(a)、
E1=√ε1×Tanδ1 ・・・(a)
[ここで、ε1は、スプリットポスト誘電体共振器(SPDR)により測定される10GHzにおける誘電率を示し、Tanδ1は、スプリットポスト誘電体共振器(SPDR)により測定される10GHzにおける誘電正接を示す]
に基づき算出される、誘電特性を示す指標であるE1値が、好ましくは0.009未満、より好ましくは0.0025〜0.0085の範囲内がよく、さらに好ましくは0.0025〜0.008の範囲内がよい。E1値が、0.009未満であることによって、優れた高周波伝送特性を有するFPC等の回路基板を製造できる。一方、E1値が上記上限を超えると、FPC等の回路基板に使用した際に、高周波信号の伝送経路上で電気信号のロスなどの不都合が生じやすくなる。
E1=√ε1×Tanδ1 ・・・(a)
[ここで、ε1は、スプリットポスト誘電体共振器(SPDR)により測定される10GHzにおける誘電率を示し、Tanδ1は、スプリットポスト誘電体共振器(SPDR)により測定される10GHzにおける誘電正接を示す]
に基づき算出される、誘電特性を示す指標であるE1値が、好ましくは0.009未満、より好ましくは0.0025〜0.0085の範囲内がよく、さらに好ましくは0.0025〜0.008の範囲内がよい。E1値が、0.009未満であることによって、優れた高周波伝送特性を有するFPC等の回路基板を製造できる。一方、E1値が上記上限を超えると、FPC等の回路基板に使用した際に、高周波信号の伝送経路上で電気信号のロスなどの不都合が生じやすくなる。
(第1のポリイミド層)
第1のポリイミド層を構成するポリイミドは、接着性ポリイミドである。接着性ポリイミドは、熱可塑性ポリイミドであり、ガラス転移温度(Tg)が360℃以下であるものが好ましく、より好ましくは200〜320℃の範囲内である。ここで、熱可塑性ポリイミドとは、一般にガラス転移温度(Tg)が明確に確認できるポリイミドのことであるが、本発明では、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、300℃における貯蔵弾性率が3.0×108Pa未満であるポリイミドをいう。樹脂積層体は、2つの金属層に隣接する2つの第1のポリイミド層を有している。これら2つの第1のポリイミド層を構成するポリイミドは、同一の種類でもよく、異なる種類でもよい。なお、接着性ポリイミドの詳細については後述する。
第1のポリイミド層を構成するポリイミドは、接着性ポリイミドである。接着性ポリイミドは、熱可塑性ポリイミドであり、ガラス転移温度(Tg)が360℃以下であるものが好ましく、より好ましくは200〜320℃の範囲内である。ここで、熱可塑性ポリイミドとは、一般にガラス転移温度(Tg)が明確に確認できるポリイミドのことであるが、本発明では、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、300℃における貯蔵弾性率が3.0×108Pa未満であるポリイミドをいう。樹脂積層体は、2つの金属層に隣接する2つの第1のポリイミド層を有している。これら2つの第1のポリイミド層を構成するポリイミドは、同一の種類でもよく、異なる種類でもよい。なお、接着性ポリイミドの詳細については後述する。
(第2のポリイミド層)
第2のポリイミド層を構成するポリイミドは、酸無水物成分とジアミン成分とを反応させて得られる非熱可塑性ポリイミドであり、低熱膨張性ポリイミドである。ここで、非熱可塑性ポリイミドとは、一般に加熱しても軟化、接着性を示さないポリイミドのことであるが、本発明では、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、300℃における貯蔵弾性率が3.0×108Pa以上であるポリイミドをいう。第2のポリイミド層を複数層有する場合、各層を構成するポリイミドは、同一の種類でもよく、異なる種類でもよい。なお、低熱膨張性ポリイミドの詳細については後述する。
第2のポリイミド層を構成するポリイミドは、酸無水物成分とジアミン成分とを反応させて得られる非熱可塑性ポリイミドであり、低熱膨張性ポリイミドである。ここで、非熱可塑性ポリイミドとは、一般に加熱しても軟化、接着性を示さないポリイミドのことであるが、本発明では、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、300℃における貯蔵弾性率が3.0×108Pa以上であるポリイミドをいう。第2のポリイミド層を複数層有する場合、各層を構成するポリイミドは、同一の種類でもよく、異なる種類でもよい。なお、低熱膨張性ポリイミドの詳細については後述する。
<金属層>
金属層は、銅又は銅合金を含む銅箔によって構成されている。銅箔としては、後述する表面状態を有する銅箔であれば特に制限はなく、圧延銅箔でもよく、電解銅箔でもよい。
金属層は、銅又は銅合金を含む銅箔によって構成されている。銅箔としては、後述する表面状態を有する銅箔であれば特に制限はなく、圧延銅箔でもよく、電解銅箔でもよい。
金属層の第1のポリイミド層と接する表面の十点平均粗さ(Rz)は、1.2μm以下であり、0.05〜1.0μmの範囲内であることが好ましい。また、金属層の第1のポリイミド層と接する表面の算術平均高さ(Ra)は、0.2μm以下であることが好ましい。
信号配線に高周波信号が供給されている状態では、その信号配線の表面にしか電流が流れず、電流が流れる有効断面積が少なくなって直流抵抗が大きくなり、信号が減衰するという問題(表皮効果)がある。金属層における樹脂積層体に接する面の表面粗度を下げることで、この表皮効果による信号配線の抵抗増大を抑制できる。しかし、金属層の表面粗度がある程度まで下がると、導体損失の低減にそれほど効果が得られなくなる。また、電気性能要求基準を満足させるために表面粗度を下げると、金属層と樹脂積層体との接着力(剥離強度)が弱くなる。そこで、電気性能要求を満足させることが可能であり、樹脂積層体との接着性を確保する、という観点から、金属層の表面が、上記表面粗度の規定を満足し、かつ粗化処理されていることが好ましい。
金属層の原料である銅箔の粗化処理は、例えば電気めっき法により銅箔と同じ材料(例えば銅)で銅箔の表面に微細な凹凸を有する皮膜(塊状皮膜)を付着させることにより形成することができる。なお、銅箔の粗化処理は、金属層の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察により確認されるが、表皮効果によって金属層表面を流れる電流に対して、金属層表面の微細な凹凸が与える影響をより的確に反映しているものと推察される。このような観点から、SEM観察によって測定される金属層の粗化高さの最大値は、好ましくは0.6μm未満がよい。金属層の粗化高さの最大値が0.6μm未満であることで、樹脂積層体との接着性の確保と、配線の抵抗増大の抑制というトレード・オフの関係にある要求を同時に満足させることができる。
金属層は、銅箔の表面に防錆層を有している。金属層の第1のポリイミド層と接する面に付着したニッケル元素の量(Ni)は、例えば1.4mg/dm2以下であり、好ましくは0.8mg/dm2以下、より好ましくは0.1mg/dm2以下であり、最も好ましくは0.01mg/dm2以下である。ニッケル元素は、第1のポリイミド層との接着性及びその長期耐熱信頼性又は耐薬品性に有効な金属種であるが、この付着量が多すぎるとエッチング残渣の原因となるので、1.4mg/dm2以下とする。また、ニッケルは、銅に対して全率固容体であり、合金状態を作り出すことができ、又はニッケルは、銅に対して拡散しやすく、合金状態を作りやすい。このような状態は、銅単体と比較して電気抵抗が大きく、言い換えると導電率が小さくなる。このようなことから、銅箔表面におけるニッケル元素の付着量が多いと、ニッケルと合金化した銅の抵抗増大が生じる。その結果、表皮効果による信号配線の抵抗増大による信号伝送時の損失が大きくなる。このような観点から、本実施の形態の両面金属張積層板において、銅箔は、第1のポリイミド層と接する面に付着したニッケル元素の量を0.01mg/dm2以下に制御することが最も好ましい。
金属層は、第1のポリイミド層と接する側の表面に、少なくともコバルト及びモリブデンを析出させる金属析出処理がなされていることが好ましい。このような金属析出処理によって、金属層の表面のニッケル元素の量(Ni)、コバルト元素の量(Co)及びモリブデン元素の量(Mo)が制御されていることが好ましい。
導体損失の低減に関与する因子として、金属層の表面粗度以外に、金属層の表面に金属析出処理された金属元素の付着量が導体損失に影響しており、このような金属元素の付着量が多いと導体損失が低減しにくい。一方、金属析出処理された金属元素の付着量が少なくなるほど、樹脂と金属層との間の接着強度及びその長期信頼性又は耐薬品性が低下する。このような観点から、本実施の形態の両面金属張積層板においては、銅との合金状態を作り難く、ニッケルに比べて抵抗増大を生じさせにくい金属元素であるコバルト及びモリブデンを金属層の表面に一定量存在させることによって、導体損失を抑制しながら、樹脂と金属層との間の接着強度、その長期信頼性、及び、耐薬品性を確保している。従って、本実施の形態で用いる金属層は、第1のポリイミド層と接する面に付着したコバルト元素の量(Co)が0.01〜0.5mg/dm2の範囲内、モリブデン元素の量(Mo)が0.01〜0.5mg/dm2の範囲内であることが好ましい。また、コバルト元素及びモリブデン元素の総量(Co+Mo)を0.1〜0.7mg/dm2の範囲内とすることで、両面金属張積層板の配線加工時における配線間のポリイミド部分のエッチング残渣を抑制し、エッチングによる薬液に対する耐性低下の抑制、及び金属層とポリイミド間の接着強度及びその長期信頼性の低下を抑制できる。
金属層として使用する銅箔の金属析出処理については、銅箔の表面に上述した金属元素を所定量で析出させることができる手段であれば特に制限されない。例えば、金属析出処理の一例として、上記金属を用いた防錆処理等を挙げることができる。具体的には上記金属を所定量含んだ浴を用いてめっき処理を行い、銅箔の表面に上記金属を析出させる方法等を挙げることができる。
また、本実施の形態の両面金属張積層板に使用する銅箔は、上記金属析出処理のほかに、接着力の向上を目的として、銅箔の表面に、例えばサイディング、アルミニウムアルコラート、アルミニウムキレート、シランカップリング剤等による表面処理を施してもよい。
本実施の形態の両面金属張積層板では、金属層としては、市販されている銅箔を用いることができる。その具体例としては、福田金属箔粉工業社製の銅箔CF−T49A−DS−HD(商品名)などが挙げられる。
本実施の形態の両面金属張積層板において、例えばFPCの製造に用いる場合の金属層の好ましい厚みは3〜50μmの範囲内であり、より好ましくは5〜30μmの範囲内であるが、回路パターンの線幅を細線化するために、5〜20μmの範囲内が最も好ましい。金属層の厚みは、高周波伝送における導体損失の増大を抑制する観点では厚い方が好ましいが、一方で、厚みが大きくなり過ぎると微細化への適用が困難になるとともに、屈曲性が低下して回路加工した場合の配線層と絶縁樹脂層との接着性が損なわれるおそれがある。このようなトレード・オフの関係を考慮して、金属層の厚みは上記範囲内とすることがよい。
次に、図面を参照しながら、本実施の形態の両面金属張積層板の構造を具体的に説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る両面銅張積層板(両面CCL)100の構成を示す模式的断面図である。両面CCL100は、金属層としての銅箔層10A,10Bと、樹脂積層体としての樹脂積層体50を備えており、樹脂積層体50の両面に、銅箔層10A,10Bが積層された構造をしている。ここで、樹脂積層体50は、複数のポリイミド層によって構成されており、第1のポリイミド層としての接着性ポリイミド層20A,20Bと、第2のポリイミド層としての低熱膨張性ポリイミド層30A,30Bと、第3のポリイミド層としての熱可塑性ポリイミド層40A,40Bとを備えている。
両面CCL100において、接着性ポリイミド層20A,20Bは、それぞれ銅箔層10A,10Bに直接接している。接着性ポリイミド層20A,20Bは、ガラス転移温度(Tg)が360℃以下、例えば200〜320℃の範囲内の熱可塑性ポリイミドによって構成されていることが好ましい。接着性ポリイミド層20Aと接着性ポリイミド層20Bは、同じ厚みでも異なる厚みでもよく、これらを構成するポリイミドは、同じ種類でもよいし、異なる種類でもよい。
また、両面CCL100において、低熱膨張性ポリイミド層30A,30Bは、ガラス転移温度(Tg)が、例えば280℃以上の非熱可塑性ポリイミドによって構成されていることが好ましい。また、低熱膨張性ポリイミド層30A,30Bは、それぞれ接着性ポリイミド層20A,20Bに接していてもよいが、直接接しておらず、間接的に積層されていてもよい。低熱膨張性ポリイミド層30Aと低熱膨張性ポリイミド層30Bは、同じ厚みでも異なる厚みでもよく、これらを構成するポリイミドは、同じ種類でもよいし、異なる種類でもよい。
また、両面CCL100において、熱可塑性ポリイミド層40A,40Bは、これらの境界面(接合面60)における接着性を確保するため、ガラス転移温度(Tg)が360℃以下、例えば200〜320℃の範囲内の熱可塑性ポリイミドによって構成されていることが好ましい。熱可塑性ポリイミド層40A,40Bは、接着性ポリイミド層20A,20Bと同じ材質であってもよい。熱可塑性ポリイミド層40Aと熱可塑性ポリイミド層40Bは、同じ厚みでも異なる厚みでもよく、これらを構成するポリイミドは、同じ種類でもよいし、異なる種類でもよい。
樹脂積層体50は、図1に示すような6層構造に限定されるものではない。樹脂積層体50は、少なくとも、銅箔層10A,10Bに接している接着性ポリイミド層20A,20B(第1のポリイミド層)と、これらの接着性ポリイミド層20A,20Bにそれぞれ直接又は間接的に積層された低熱膨張性ポリイミド層30A,30B(第2のポリイミド層)と、を含んでいればよい。従って、樹脂積層体50は、少なくとも4層以上のポリイミド層を含んでいればよく、例えば図2に示すように、第1のポリイミド層としての接着性ポリイミド層20A,20Bと、第2のポリイミド層としての低熱膨張性ポリイミド層30A,30Bと、1層の熱可塑性ポリイミド層40Aとを備えた5層構造でもよい。また、樹脂積層体50は、図1、図2に示す以外の任意の層を含んでいてもよい。樹脂積層体50は、ポリイミド層以外の樹脂層を含んでいてもよいが、複数のポリイミド層のみからなることが好ましい。
樹脂積層体50を構成するポリイミド層は、必要に応じて、無機フィラーを含有してもよい。具体的には、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
銅箔層10A,10Bは、厚みや材質が同じ構成の銅箔でもよいし、異なる構成の銅箔でもよい。
本実施の形態において、銅箔層10A、接着性ポリイミド層20A、低熱膨張性ポリイミド層30A、及び熱可塑性ポリイミド層40Aは、一旦、片面銅張積層板(片面CCL)を形成した後、両面CCL100の一部分となっている。同様に、銅箔層10B、接着性ポリイミド層20B、低熱膨張性ポリイミド層30B、及び熱可塑性ポリイミド層40Bは、一旦、片面銅張積層板(片面CCL)を形成した後、両面CCL100の一部分となっている。つまり、両面CCL100は、図3に示すように、2つの片面CCL70A,70Bの熱可塑性ポリイミド層40A,40B側を向き合わせて配置し、熱プレスによって接合面60で熱圧着されることによって形成されている。つまり、接合面60は熱圧着面である。なお、2つの片面CCL70A,70Bは、全く同一の構成であってもよいし、層数、樹脂種、金属層などが異なるものであってもよい。また、片面CCL70A,70Bのポリイミド層を4層以上とする場合は、接着性ポリイミド層と、これに隣接する低熱膨張性ポリイミド層とを積層単位として、該積層単位が交互に繰り返されるように構成することが好ましい。
片面CCL70A,70Bを構成する各ポリイミド層は、厚さや物性のコントロールのしやすさから、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の樹脂溶液を、銅箔層10A,10Bの原料である銅箔上に塗布し、塗布膜を形成した後、熱処理により乾燥、硬化する所謂キャスト(塗布)法によって形成することが好ましい。つまり、片面CCL70A,70Bにおいて、銅箔層10A,10Bに積層している接着性ポリイミド層20A,20B、低熱膨張性ポリイミド層30A,30B、熱可塑性ポリイミド層40A,40Bは、いずれもキャスト法により順次形成されたものである。
キャスト法において、塗布膜は、ポリアミド酸の樹脂溶液を銅箔の上に塗布した後に乾燥することによって形成できる。片面CCL70A,70Bの形成においては、ポリアミド酸溶液の上に、異なる構成成分からなる他のポリアミド酸溶液を順次塗布して形成することができるし、また、同一の構成のポリアミド酸溶液を2回以上塗布してもよい。また、多層押出により、同時に複数層の塗布膜を積層形成してもよい。また、ポリアミド酸の塗布膜を一旦イミド化して単層又は複数層のポリイミド層とした後に、更にその上にポリアミド酸の樹脂溶液を塗布し、イミド化してポリイミド層を形成することも可能である。塗布する方法は特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。この場合、銅箔は、カットシート状、ロール状のもの、又はエンドレスベルト状などの形状のものを使用できる。生産性を得るためには、ロール状又はエンドレスベルト状の形態とし、連続生産可能な形式とすることが効率的である。さらに、回路基板における配線パターン精度の改善効果をより大きく発現させる観点から、銅箔は長尺に形成されたロール状のものが好ましい。
イミド化の方法は、特に制限されず、例えば、80〜400℃の範囲内の温度条件で1〜60分間の範囲内の時間加熱するといった熱処理が好適に採用される。銅箔10A,10Bの酸化を抑制するため、低酸素雰囲気下での熱処理が好ましく、具体的には、窒素又は希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、水素などの還元ガス雰囲気下、あるいは真空中で行うことが好ましい。熱処理により、塗布膜中のポリアミド酸がイミド化し、ポリイミドが形成される。
以上のようにして、複数層のポリイミド層と、銅箔10A又は10Bとを有する片面CCL70A,70Bを製造することができる。このようにして得られた2つの片面CCL70A,70Bを、図3に示すように、熱可塑性ポリイミド層40A,40Bの表面が互いに対向するように配置し、接合面60で熱圧着させることによって、両面CCL100を製造できる。熱圧着は、2つの片面CCL70A,70Bを長尺に形成し、一対の加熱ロールを用いてロール・トゥ・ロール方式で搬送しながら実施することが好ましく、この場合、片面CCLの搬送性及び接合性の観点から、加熱ロール間の搬送速度を1〜10m/分の範囲内で行うことがより好ましい。
<ポリイミド>
次に、樹脂積層体50を構成する好ましいポリイミドについて説明する。
次に、樹脂積層体50を構成する好ましいポリイミドについて説明する。
(接着性ポリイミド)
接着性ポリイミドは、酸無水物成分とジアミン成分とを反応させて得られる熱可塑性ポリイミドである。接着性ポリイミドの原料となる酸無水物成分としては、ポリイミドの合成に使用される一般的な酸無水物を特に制限なく利用できるが、特に、金属層との接着性と低誘電特性とを両立させる観点から、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とピロメリット酸二無水物(PMDA)とを組み合わせて使用することが好ましい。例えば、原料の全酸無水物成分の100モル部に対して、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を40〜100モル部の範囲内、好ましくは50〜100モル部の範囲内、ピロメリット酸二無水物を0〜60モル部の範囲内、好ましくは0〜50モル部の範囲内で使用することが好ましい。ビフェニルテトラカルボン酸二無水物は、ポリイミドの半田耐熱性低下に影響を与えない程度にガラス転移温度を下げる効果があり、金属層との十分な接着力を確保することができる。また、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物は、ポリイミドのイミド基濃度を低下させるとともに、ポリマーの秩序構造を形成しやすくして、分子の運動抑制により誘電特性を改善する。さらに、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物は、ポリイミドの極性基の減少に寄与するので吸湿特性を改善する。このようなことから、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物は、FPCの伝送損失を低くすることができる。なお、「イミド基濃度」は、ポリイミド中のイミド基部(−(CO)2−N−)の分子量を、ポリイミドの構造全体の分子量で除した値を意味する。
接着性ポリイミドは、酸無水物成分とジアミン成分とを反応させて得られる熱可塑性ポリイミドである。接着性ポリイミドの原料となる酸無水物成分としては、ポリイミドの合成に使用される一般的な酸無水物を特に制限なく利用できるが、特に、金属層との接着性と低誘電特性とを両立させる観点から、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とピロメリット酸二無水物(PMDA)とを組み合わせて使用することが好ましい。例えば、原料の全酸無水物成分の100モル部に対して、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を40〜100モル部の範囲内、好ましくは50〜100モル部の範囲内、ピロメリット酸二無水物を0〜60モル部の範囲内、好ましくは0〜50モル部の範囲内で使用することが好ましい。ビフェニルテトラカルボン酸二無水物は、ポリイミドの半田耐熱性低下に影響を与えない程度にガラス転移温度を下げる効果があり、金属層との十分な接着力を確保することができる。また、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物は、ポリイミドのイミド基濃度を低下させるとともに、ポリマーの秩序構造を形成しやすくして、分子の運動抑制により誘電特性を改善する。さらに、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物は、ポリイミドの極性基の減少に寄与するので吸湿特性を改善する。このようなことから、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物は、FPCの伝送損失を低くすることができる。なお、「イミド基濃度」は、ポリイミド中のイミド基部(−(CO)2−N−)の分子量を、ポリイミドの構造全体の分子量で除した値を意味する。
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物としては、例えば3,3',4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,3’,3,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を上記範囲内で使用することによって、剛直構造による秩序構造が形成されるので、低誘電正接化が可能になるとともに、熱可塑性でありながら、ガス透過性が低く、長期耐熱接着性に優れた接着性ポリイミドが得られる。ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が40モル部未満であると、秩序構造の形成が困難となって上記作用効果が発揮されない。なお、ピロメリット酸二無水物は、任意成分であるが、ガラス転移温度の制御の役割を担うモノマーであり、ポリイミドの半田耐熱性の向上に寄与する。
なお、接着性ポリイミドは、酸無水物成分として、発明の効果を妨げない範囲で上記以外の酸無水物を使用可能である。そのような酸無水物としては、例えば、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、2,2',3,3'-、2,3,3',4'-又は3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3'',4,4''-、2,3,3'',4''-又は2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-又は3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,7,8-、1,2,6,7-又は1,2,9,10-フェナンスレン-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,3,5,6-シクロヘキサン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,6-又は2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-(又は1,4,5,8-)テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-(又は2,3,6,7-)テトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9-、3,4,9,10-、4,5,10,11-又は5,6,11,12-ペリレン-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物等が挙げられる。
接着性ポリイミドの原料となるジアミン成分としては、ポリイミドの合成に使用される一般的なジアミンを特に制限なく利用できるが、下記の一般式(1)〜(8)で表されるジアミン化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
上記式(1)〜(7)において、R1は独立に炭素数1〜6の1価の炭化水素基又はアルコキシ基を示し、連結基Aは独立に−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO2−、−COO−、−CH2−、−C(CH3)2−、−NH−又は−CONH−から選ばれる2価の基を示し、n1は独立に0〜4の整数を示す。ただし、式(3)中から式(2)と重複するものは除き、式(5)中から式(4)と重複するものは除くものとする。ここで、「独立に」とは、上記式(1)〜(7)の内の一つにおいて、または二つ以上において、複数の連結基A、複数のR1若しくは複数のn1が、同一でもよいし、異なっていてもよいことを意味する。
上記式(8)において、連結基Xは単結合、又は−CONH−から選ばれる2価の基を示し、Yは独立に水素、炭素数1〜3の1価の炭化水素基又はアルコキシ基を示し、nは0〜2の整数を示し、p及びqは独立して0〜4の整数を示す。
なお、上記式(1)〜(8)において、末端の二つのアミノ基における水素原子は置換されていてもよく、例えば−NR2R3(ここで、R2,R3は、独立してアルキル基などの任意の置換基を意味する)であってもよい。
式(1)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(1)」と記すことがある)は、2つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(1)は、少なくとも1つのベンゼン環に直結したアミノ基と2価の連結基Aとがメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(1)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、−O−、−CH2−、−C(CH3)2−、−CO−、−SO2−、−S−が好ましい。
ジアミン(1)としては、例えば、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、(3,3’−ビスアミノ)ジフェニルアミン等を挙げることができる。
式(2)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(2)」と記すことがある)は、3つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(2)は、少なくとも1つのベンゼン環に直結したアミノ基と2価の連結基Aとがメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(2)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、−O−が好ましい。
ジアミン(2)としては、例えば1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3−[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ベンゼンアミン、3−[3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ベンゼンアミン等を挙げることができる。
式(3)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(3)」と記すことがある)は、3つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(3)は、1つのベンゼン環に直結した、2つの2価の連結基Aが互いにメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(3)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、−O−が好ましい。
ジアミン(3)としては、例えば1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、4,4’−[2−メチル−(1,3−フェニレン)ビスオキシ]ビスアニリン、4,4’−[4−メチル−(1,3−フェニレン)ビスオキシ]ビスアニリン、4,4’−[5−メチル−(1,3−フェニレン)ビスオキシ]ビスアニリン等を挙げることができる。これらの中でも、接着性ポリイミドの高CTE化に寄与するとともに、イミド基濃度を減少させ、誘電特性を改善するモノマーとして、特に1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)が好ましい。
式(4)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(4)」と記すことがある)は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(4)は、少なくとも1つのベンゼン環に直結したアミノ基と2価の連結基Aとがメタ位にあることで高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(4)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、−O−、−CH2−、−C(CH3)2−、−SO2−、−CO−、−CONH−が好ましい。
ジアミン(4)としては、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4,4’−(3−アミノフェノキシ)]ベンズアニリド等を挙げることができる。
式(5)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(5)」と記すことがある)は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(5)は、少なくとも1つのベンゼン環に直結した、2つの2価の連結基Aが互いにメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(5)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、−O−が好ましい。
ジアミン(5)としては、4−[3−[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]フェノキシ]アニリン、4,4’−[オキシビス(3,1−フェニレンオキシ)]ビスアニリン等を挙げることができる。
式(6)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(6)」と記すことがある)は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(6)は、少なくとも2つのエーテル結合を有することで高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(6)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、−C(CH3)2−、−O−、−SO2−、−CO−が好ましい。
ジアミン(6)としては、例えば、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル(BAPE)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン(BAPK)等を挙げることができる。これらの中でも、金属層との接着性向上に大きく寄与するモノマーとして、2,2‐ビス[4‐(4‐アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)が特に好ましい。
式(7)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(7)」と記すことがある)は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(7)は、ジフェニル骨格の両側に、それぞれ屈曲性の高い2価の連結基Aを有するため、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(7)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、−O−が好ましい。
ジアミン(7)としては、例えば、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)]ビフェニル等を挙げることができる。
一般式(8)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(8)」と記すことがある)は、1ないし3つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。ジアミン(8)は、剛直構造を有しているため、ポリマー全体に秩序構造を付与する作用を有している。そのため、ジアミン(1)〜ジアミン(7)の1種以上と、ジアミン(8)の1種以上とを所定の比率で組み合わせて用いることによって、低誘電正接化が可能になるとともに、熱可塑性でありながら、ガス透過性が低く、長期耐熱接着性に優れたポリイミドが得られる。ここで、連結基Xとしては、単結合、−CONH−が好ましい。
ジアミン(8)としては、例えば、パラフェニレンジアミン(PDA)、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル(m−TB)、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−n−プロピルビフェニル(m−NPB)、2’−メトキシ−4,4’−ジアミノベンズアニリド(MABA)、4,4‘−ジアミノベンズアニリド(DABA)等を挙げることができる。これらの中でも、接着性ポリイミドの誘電特性の改善、更に低吸湿化や高耐熱化に大きく寄与するモノマーとして、特に4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル(m−TB)が好ましい。
ジアミン(1)〜(7)を使用することによって、ポリイミド分子鎖の柔軟性を向上させ、熱可塑性を付与することができる。ジアミン(1)〜(7)の合計量が全ジアミン成分の100モル部に対して40モル部未満であるとポリイミド樹脂の柔軟性不足で十分な熱可塑性が得られない場合があり、97モル部を超えると、ガス透過性が高くなって長期耐熱性が低下する場合がある。従って、ジアミン(1)〜(7)の合計量は、全ジアミン成分の100モル部に対して、40〜97モル部の範囲内が好ましく、60〜95モル部の範囲内とすることがより好ましい。
また、ジアミン(8)を使用することによって、モノマー由来の剛直構造により、ポリマー全体に秩序構造が形成されるので、低誘電正接化が可能になるとともに、熱可塑性でありながら、ガス透過性が低く、長期耐熱接着性に優れたポリイミドが得られる。ジアミン(8)の合計量が、全ジアミン成分の100モル部に対して3モル部未満であると秩序構造の形成が困難となって上記作用効果が発揮されない場合があり、60モル部を超えると、熱可塑性が損なわれる場合がある。従って、ジアミン(8)の合計量は、全ジアミン成分の100モル部に対して、3〜60モル部の範囲内が好ましく、5〜40モル部の範囲内とすることがより好ましい。
接着性ポリイミドは、銅箔層10A,10Bに接している接着性ポリイミド層20A,20B及び/又は熱可塑性ポリイミド層40A,40Bに好ましく適用できるが、図3に示すように、2つの片面CCL70A,70Bを貼り合わせる場合には、接合面60における十分な接着強度を確保するため、少なくとも片方の熱可塑性ポリイミド層40A又は40Bに接着性ポリイミドを適用することが好ましい。
なお、接着性ポリイミドは、ジアミン成分として、発明の効果を妨げない範囲で上記以外のジアミンを使用可能である。
(低熱膨張性ポリイミド)
低熱膨張性ポリイミドは、酸無水物成分とジアミン成分とを反応させて得られるポリイミドである。低熱膨張性ポリイミドの原料となる酸無水物成分としては、ポリイミドの合成に使用される一般的な酸無水物を特に制限なく利用できるが、低誘電特性を付与するため、原料の酸無水物成分として、少なくとも、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル)二無水物(TAHQ)から選ばれる1種以上を使用することが好ましい。ここで、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物としては、3,3',4,4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)が特に好ましく、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物としては、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)が特に好ましい。
低熱膨張性ポリイミドは、酸無水物成分とジアミン成分とを反応させて得られるポリイミドである。低熱膨張性ポリイミドの原料となる酸無水物成分としては、ポリイミドの合成に使用される一般的な酸無水物を特に制限なく利用できるが、低誘電特性を付与するため、原料の酸無水物成分として、少なくとも、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル)二無水物(TAHQ)から選ばれる1種以上を使用することが好ましい。ここで、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物としては、3,3',4,4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)が特に好ましく、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物としては、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)が特に好ましい。
PMDAは、ポリイミドの熱線膨張係数(CTE)を低下させることができる。BPDAは、ポリイミドの半田耐熱性低下に影響を与えない程度にガラス転移温度を下げる効果がある。また、BPDAは、ポリイミドのイミド基濃度を低下させるとともに、ポリマーの秩序構造を形成しやすくして、分子の運動抑制により誘電特性を改善する。さらに、BPDAは、ポリイミドの極性基の減少に寄与するので吸湿特性を改善する。従って、BPDAを使用することによって、FPCの伝送損失を低くすることができる。以上の観点から、低熱膨張性ポリイミドは、原料の酸無水物成分に対してPMDA及びBPDAから選ばれる1種以上を好ましくは60モル%以上、より好ましくは80モル%以上使用することがよい。また、低誘電特性を改善して伝送損失を低減する観点から、原料の全酸無水物成分の100モル部に対して、BPDAを5〜60モル部の範囲内、好ましくは5〜50モル部の範囲内、ピロメリット酸二無水物を40〜95モル部の範囲内、好ましくは50〜95モル部の範囲内で使用することが好ましい。
なお、低熱膨張性ポリイミドは、酸無水物成分として、発明の効果を妨げない範囲で上記以外の酸無水物を使用可能である。
低熱膨張性ポリイミドの原料となるジアミン成分としては、ポリイミドの合成に使用される一般的なジアミンを特に制限なく利用できるが、接着性ポリイミドの説明で例示した上記ジアミン(1)〜(8)の中から選ばれるジアミンが好ましく、ジアミン(8)がより好ましい。
ジアミン(8)は、芳香族ジアミンであり、低CTE化や誘電特性の改善、更に低吸湿化や高耐熱化に寄与する。このような観点から、低熱膨張性ポリイミドは、原料の全ジアミン成分に対し、ジアミン(8)を、好ましくは20モル%以上、より好ましくは70〜100モル%の範囲内で使用することがよい。ジアミン(8)の中でも、上記一般式(8)において、Yが炭素数1〜3のアルキル基であるものが好ましく、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルジフェニル(m−TB)、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルがより好ましい。これらの中でも、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルジフェニル(m−TB)が最も好ましい。
また、低熱膨張性ポリイミドは、ジアミン(8)に加えて、原料の全ジアミン成分に対し、ジアミン(3)およびジアミン(6)から選ばれるジアミンを、0〜30モル%の範囲内で使用することが好ましい。ジアミン(3)及びジアミン(6)は、ポリイミドのイミド基濃度を減少させるので、誘電特性を改善する。このような観点から、原料の全ジアミン成分に対し、ジアミン(3)又はジアミン(6)を、好ましくは1〜30モル%の範囲内、より好ましくは5〜30モル%の範囲内で使用することがよい。ここで、ジアミン(3)としては、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)が好ましく、ジアミン(6)としては、2,2‐ビス[4‐(4‐アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)が好ましい。
なお、低熱膨張性ポリイミドは、ジアミン成分として、発明の効果を妨げない範囲で上記以外のジアミンを使用可能である。
(ポリイミドの合成)
樹脂積層体50を構成するポリイミドは、上記酸無水物及びジアミンを溶媒中で反応させ、前駆体樹脂を生成したのち加熱閉環させることにより製造できる。例えば、酸無水物成分とジアミン成分をほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0〜100℃の範囲内の温度で30分〜24時間撹拌し重合反応させることでポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が得られる。反応にあたっては、生成する前駆体が有機溶媒中に5〜30重量%の範囲内、好ましくは10〜20重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチル−2−ピロリドン、2−ブタノン、ジメチルスホキシド、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。また、このような有機溶剤の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応によって得られるポリアミド酸溶液(ポリイミド前駆体溶液)の濃度が5〜30重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。
樹脂積層体50を構成するポリイミドは、上記酸無水物及びジアミンを溶媒中で反応させ、前駆体樹脂を生成したのち加熱閉環させることにより製造できる。例えば、酸無水物成分とジアミン成分をほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0〜100℃の範囲内の温度で30分〜24時間撹拌し重合反応させることでポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が得られる。反応にあたっては、生成する前駆体が有機溶媒中に5〜30重量%の範囲内、好ましくは10〜20重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチル−2−ピロリドン、2−ブタノン、ジメチルスホキシド、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。また、このような有機溶剤の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応によって得られるポリアミド酸溶液(ポリイミド前駆体溶液)の濃度が5〜30重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。
ポリイミドの合成において、上記酸無水物及びジアミンはそれぞれ、その1種のみを使用してもよく2種以上を併用して使用することもできる。酸無水物及びジアミンの種類や、2種以上の酸無水物又はジアミンを使用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張性、接着性、ガラス転移温度等を制御することができる。
合成された前駆体は、通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。また、前駆体は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。前駆体をイミド化させる方法は、特に制限されず、例えば前記溶媒中で、80〜400℃の範囲内の温度条件で1〜24時間かけて加熱するといった熱処理が好適に採用される。
<回路基板>
本実施の形態の回路基板は、本実施の形態の両面CCL100の銅箔層10A,10Bを常法によってパターン状に加工して配線層を形成することによって製造することができる。銅箔層10A,10Bのパターニングは、例えばフォトリソグラフィー技術とエッチングなどを利用する任意の方法で行うことができる。
本実施の形態の回路基板は、本実施の形態の両面CCL100の銅箔層10A,10Bを常法によってパターン状に加工して配線層を形成することによって製造することができる。銅箔層10A,10Bのパターニングは、例えばフォトリソグラフィー技術とエッチングなどを利用する任意の方法で行うことができる。
なお、回路基板を製造する際に、通常行われる工程として、例えば前工程でのスルーホール加工や、後工程の端子メッキ、外形加工などの工程は、常法に従い行うことができる。
以上のようにして得られる本実施の形態の両面CCL100は、インピーダンス整合性に優れており、FPCに代表される回路基板材料として使用することによって、電気信号の伝送特性を改善し、電子機器の信頼性を向上させることができる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[粘度の測定]
粘度の測定は、E型粘度計(ブルックフィールド社製、商品名;DV−II+Pro)を用いて、25℃における粘度を測定した。トルクが10%〜90%になるよう回転数を設定し、測定を開始してから2分経過後、粘度が安定した時の値を読み取った。
粘度の測定は、E型粘度計(ブルックフィールド社製、商品名;DV−II+Pro)を用いて、25℃における粘度を測定した。トルクが10%〜90%になるよう回転数を設定し、測定を開始してから2分経過後、粘度が安定した時の値を読み取った。
[ガラス転移温度(Tg)の測定]
ガラス転移温度は、5mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、動的粘弾性測定装置(DMA:ユー・ビー・エム社製、商品名;E4000F)を用いて、30℃から400℃まで昇温速度4℃/分、周波数11Hzで測定を行い、弾性率変化(tanδ)が最大となる温度をガラス転移温度とした。なお、DMAを用いて測定された30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、300℃における貯蔵弾性率が3.0×108Pa未満を示すものを「熱可塑性」とし、30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、300℃における貯蔵弾性率が3.0×108Pa以上を示すものを「非熱可塑性」とした。
ガラス転移温度は、5mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、動的粘弾性測定装置(DMA:ユー・ビー・エム社製、商品名;E4000F)を用いて、30℃から400℃まで昇温速度4℃/分、周波数11Hzで測定を行い、弾性率変化(tanδ)が最大となる温度をガラス転移温度とした。なお、DMAを用いて測定された30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、300℃における貯蔵弾性率が3.0×108Pa未満を示すものを「熱可塑性」とし、30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、300℃における貯蔵弾性率が3.0×108Pa以上を示すものを「非熱可塑性」とした。
[熱膨張係数(CTE)の測定]
3mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、サーモメカニカルアナライザー(Bruker社製、商品名;4000SA)を用い、5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度で30℃から265℃まで昇温させ、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、250℃から100℃までの平均熱膨張係数(熱膨張係数)を求めた。
3mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、サーモメカニカルアナライザー(Bruker社製、商品名;4000SA)を用い、5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度で30℃から265℃まで昇温させ、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、250℃から100℃までの平均熱膨張係数(熱膨張係数)を求めた。
[吸湿率の測定]
ポリイミドフィルムの試験片(幅4cm×長さ25cm)を2枚用意し、80℃で1時間乾燥した。乾燥後直ちに23℃/50%RHの恒温恒湿室に入れ、24時間以上静置し、その前後の重量変化から次式により求めた。
吸湿率(重量%)=[(吸湿後重量−乾燥後重量)/乾燥後重量]×100
ポリイミドフィルムの試験片(幅4cm×長さ25cm)を2枚用意し、80℃で1時間乾燥した。乾燥後直ちに23℃/50%RHの恒温恒湿室に入れ、24時間以上静置し、その前後の重量変化から次式により求めた。
吸湿率(重量%)=[(吸湿後重量−乾燥後重量)/乾燥後重量]×100
[誘電率及び誘電正接の測定]
誘電率及び誘電正接は、ベクトルネットワークアナライザ(Agilent社製、商品名;ベクトルネットワークアナライザE8363C)およびスプリットポスト誘電体共振器(SPDR)を用いて、周波数10GHzにおける樹脂シート(硬化後の樹脂シート)の誘電率(ε1)および誘電正接(Tanδ1)を測定した。なお、測定に使用した樹脂シートは、温度;24〜26℃、湿度;45〜55%の条件下で、24時間放置したものである。
また、樹脂積層体の誘電特性を示す指標であるE1は、下式(a)に基づいて算出した。
E1=√ε1×Tanδ1 ・・・(a)
誘電率及び誘電正接は、ベクトルネットワークアナライザ(Agilent社製、商品名;ベクトルネットワークアナライザE8363C)およびスプリットポスト誘電体共振器(SPDR)を用いて、周波数10GHzにおける樹脂シート(硬化後の樹脂シート)の誘電率(ε1)および誘電正接(Tanδ1)を測定した。なお、測定に使用した樹脂シートは、温度;24〜26℃、湿度;45〜55%の条件下で、24時間放置したものである。
また、樹脂積層体の誘電特性を示す指標であるE1は、下式(a)に基づいて算出した。
E1=√ε1×Tanδ1 ・・・(a)
[銅箔の表面粗さの測定]
1)二乗平均粗さ(Rq)の測定
触針式表面粗さ計(株式会社小坂研究所製、商品名;サーフコーダET−3000)を用い、Force;100μN、Speed;20μm、Range;800μmの測定条件によって求めた。なお、表面粗さの算出は、JIS−B0601:2001に準拠した方法により算出した。
2)算術平均高さ(Ra)及び十点平均粗さ(Rz)の測定
触針式表面粗さ計(株式会社小坂研究所製、商品名;サーフコーダET−3000)を用い、Force;100μN、Speed;20μm、Range;800μmの測定条件によって求めた。なお、表面粗さの算出は、JIS−B0601:1994に準拠した方法により算出した。
1)二乗平均粗さ(Rq)の測定
触針式表面粗さ計(株式会社小坂研究所製、商品名;サーフコーダET−3000)を用い、Force;100μN、Speed;20μm、Range;800μmの測定条件によって求めた。なお、表面粗さの算出は、JIS−B0601:2001に準拠した方法により算出した。
2)算術平均高さ(Ra)及び十点平均粗さ(Rz)の測定
触針式表面粗さ計(株式会社小坂研究所製、商品名;サーフコーダET−3000)を用い、Force;100μN、Speed;20μm、Range;800μmの測定条件によって求めた。なお、表面粗さの算出は、JIS−B0601:1994に準拠した方法により算出した。
[銅箔の粗化高さの測定]
断面試料作製装置(日本電子社製、商品名;SM−09010クロスセクションポリッシャ)によるイオン照射で対象銅箔の断面形成加工を行い、露出した銅箔断面を5200倍でSEM観察することにより銅箔断面の像を得た。得られた画像を用いて、画像中に記されたスケールに基づき、粗化高さを算出した。
断面試料作製装置(日本電子社製、商品名;SM−09010クロスセクションポリッシャ)によるイオン照射で対象銅箔の断面形成加工を行い、露出した銅箔断面を5200倍でSEM観察することにより銅箔断面の像を得た。得られた画像を用いて、画像中に記されたスケールに基づき、粗化高さを算出した。
[金属析出処理した銅箔の表面の金属元素の測定]
銅箔の分析面裏面をマスキングした上で、1N−硝酸にて分析面を溶解し、100mLに定容した後にパーキンエルマー社製誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)Optima4300を用いて測定した。
銅箔の分析面裏面をマスキングした上で、1N−硝酸にて分析面を溶解し、100mLに定容した後にパーキンエルマー社製誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)Optima4300を用いて測定した。
[ピール強度の測定]
1)銅箔と樹脂層とのピール強度及び長期信頼性の評価
テンシロンテスター(東洋精機製作所社製、商品名;ストログラフVE−1D)を用いて、片面銅張積層板における銅箔を幅1.0mmの配線に加工した配線加工基材の樹脂層側を両面テープによりSUS板に固定し、180°方向に50mm/分の速度で、樹脂層から金属配線を剥離するときの力を求めた。
長期信頼性は、上記の配線加工基材を150℃の大気雰囲気下で1000時間熱処理した後に求められた剥離する時の力と、熱処理前の力の百分率を保持率とした。
合否判定は、ピール強度が1.0kN/m以上を「合」、1.0kN/m未満を「否」と評価し、長期信頼性についてはピール強度の保持率が70%以上を「優」、60%以上を「良」、50%以上を「可」、50%未満を「不可」と評価した。
2)両面銅張積層板における熱圧着面の樹脂層間のピール強度
両面銅張積層板を幅1.0mmに加工した後、幅;8cm×長さ;4cmに切断し、測定サンプルを調製した。テンシロンテスター(東洋精機製作所製、商品名;ストログラフVE−1D)を用いて、測定サンプルの片方の面を両面テープによりアルミ板に固定し、熱圧着面から分離させて、90°方向に50mm/分の速度で、10mm剥離したときの中央強度を求めた。
1)銅箔と樹脂層とのピール強度及び長期信頼性の評価
テンシロンテスター(東洋精機製作所社製、商品名;ストログラフVE−1D)を用いて、片面銅張積層板における銅箔を幅1.0mmの配線に加工した配線加工基材の樹脂層側を両面テープによりSUS板に固定し、180°方向に50mm/分の速度で、樹脂層から金属配線を剥離するときの力を求めた。
長期信頼性は、上記の配線加工基材を150℃の大気雰囲気下で1000時間熱処理した後に求められた剥離する時の力と、熱処理前の力の百分率を保持率とした。
合否判定は、ピール強度が1.0kN/m以上を「合」、1.0kN/m未満を「否」と評価し、長期信頼性についてはピール強度の保持率が70%以上を「優」、60%以上を「良」、50%以上を「可」、50%未満を「不可」と評価した。
2)両面銅張積層板における熱圧着面の樹脂層間のピール強度
両面銅張積層板を幅1.0mmに加工した後、幅;8cm×長さ;4cmに切断し、測定サンプルを調製した。テンシロンテスター(東洋精機製作所製、商品名;ストログラフVE−1D)を用いて、測定サンプルの片方の面を両面テープによりアルミ板に固定し、熱圧着面から分離させて、90°方向に50mm/分の速度で、10mm剥離したときの中央強度を求めた。
[耐薬品性の評価]
片面銅張積層板における銅箔を幅1.0mmの配線に加工した後、濃度20wt%に調整した塩酸水溶液に50℃で1時間浸漬した後に配線を剥離し、配線や配線を引き剥がした樹脂層側を観察し、金属/樹脂層間に染み込んだ塩酸水溶液の染み込み幅を評価した。
耐薬品性は、染み込みなしを「優」、染み込み幅が20μm未満を「良」、染み込み幅が30μm未満を「可」、染み込み幅が30μm以上を「不可」と評価した。
片面銅張積層板における銅箔を幅1.0mmの配線に加工した後、濃度20wt%に調整した塩酸水溶液に50℃で1時間浸漬した後に配線を剥離し、配線や配線を引き剥がした樹脂層側を観察し、金属/樹脂層間に染み込んだ塩酸水溶液の染み込み幅を評価した。
耐薬品性は、染み込みなしを「優」、染み込み幅が20μm未満を「良」、染み込み幅が30μm未満を「可」、染み込み幅が30μm以上を「不可」と評価した。
合成例に用いた略号は、以下の化合物を示す。
BTDA:3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BPDA:3,3',4,4'‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
DSDA:3,3',4,4'‐ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物
DAPE:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
m‐TB:2,2'‐ジメチル‐4,4'‐ジアミノビフェニル
TPE−R:1,3-ビス(4‐アミノフェノキシ)ベンゼン
DMAc:N,N‐ジメチルアセトアミド
BTDA:3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BPDA:3,3',4,4'‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
DSDA:3,3',4,4'‐ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物
DAPE:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
m‐TB:2,2'‐ジメチル‐4,4'‐ジアミノビフェニル
TPE−R:1,3-ビス(4‐アミノフェノキシ)ベンゼン
DMAc:N,N‐ジメチルアセトアミド
実施例及び比較例に用いた銅箔は、以下の銅箔を示す。
銅箔1:電解銅箔、厚さ;12μm、Rz;0.5μm、Ra;0.1μm、Rq;0.2μm、粗化処理後の粗化高さの最大値;0.25μm、Ni;0.01mg/dm2、Zn;0.11mg/dm2、Cr;0.14mg/dm2、Co;0.36mg/dm2、Mo;0.23mg/dm2)
銅箔2:電解銅箔、厚さ;12μm、Rz;0.8μm、Ra;0.2μm、Rq;0.2μm、粗化処理後の粗化高さの最大値;0.09μm、Ni;0.46mg/dm2、Zn;0.04mg/dm2、Cr;0.04mg/dm2、Co;0.08mg/dm2、Mo;0.07mg/dm2)
銅箔1:電解銅箔、厚さ;12μm、Rz;0.5μm、Ra;0.1μm、Rq;0.2μm、粗化処理後の粗化高さの最大値;0.25μm、Ni;0.01mg/dm2、Zn;0.11mg/dm2、Cr;0.14mg/dm2、Co;0.36mg/dm2、Mo;0.23mg/dm2)
銅箔2:電解銅箔、厚さ;12μm、Rz;0.8μm、Ra;0.2μm、Rq;0.2μm、粗化処理後の粗化高さの最大値;0.09μm、Ni;0.46mg/dm2、Zn;0.04mg/dm2、Cr;0.04mg/dm2、Co;0.08mg/dm2、Mo;0.07mg/dm2)
(合成例1)
熱電対および攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、312gのDMAcを入れた。この反応容器に14.67gのDAPE(0.073モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、23.13gのBTDA(0.072モル)を加えた。その後、3時間撹拌を続け、溶液粘度2,960mPa・sのポリアミド酸の樹脂溶液aを調製した。
次に、厚さ12μmの電解銅箔の片面(Rz;2.1μm)に、ポリアミド酸の樹脂溶液aを硬化後の厚みが約25μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結した。塩化第二鉄水溶液を用いて銅箔をエッチング除去して、ポリイミドフィルムa(熱可塑性、Tg;283℃、CTE;53ppm/K、吸湿率;1.30重量%)を調製した。
熱電対および攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、312gのDMAcを入れた。この反応容器に14.67gのDAPE(0.073モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、23.13gのBTDA(0.072モル)を加えた。その後、3時間撹拌を続け、溶液粘度2,960mPa・sのポリアミド酸の樹脂溶液aを調製した。
次に、厚さ12μmの電解銅箔の片面(Rz;2.1μm)に、ポリアミド酸の樹脂溶液aを硬化後の厚みが約25μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結した。塩化第二鉄水溶液を用いて銅箔をエッチング除去して、ポリイミドフィルムa(熱可塑性、Tg;283℃、CTE;53ppm/K、吸湿率;1.30重量%)を調製した。
(合成例2)
熱電対および攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、312gのDMAcを入れた。この反応容器に球状フィラー(シリカ、平均粒径1.2μm、アドマテックス社製、「SE4050」)を6.60g加え、超音波分散装置にて3時間分散させた。この溶液に14.67gのDAPE(0.073モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、23.13gのBTDA(0.072モル)を加えた。その後、3時間撹拌を続け、溶液粘度3,160mPa・sのポリアミド酸の樹脂溶液b(シリカ含有量;10体積%)を調製した。樹脂溶液bを用いて、合成例1と同様にして、ポリイミドフィルムb(熱可塑性、Tg;283℃、CTE;51ppm/K、吸湿率;1.31重量%)を調製した。
熱電対および攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、312gのDMAcを入れた。この反応容器に球状フィラー(シリカ、平均粒径1.2μm、アドマテックス社製、「SE4050」)を6.60g加え、超音波分散装置にて3時間分散させた。この溶液に14.67gのDAPE(0.073モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、23.13gのBTDA(0.072モル)を加えた。その後、3時間撹拌を続け、溶液粘度3,160mPa・sのポリアミド酸の樹脂溶液b(シリカ含有量;10体積%)を調製した。樹脂溶液bを用いて、合成例1と同様にして、ポリイミドフィルムb(熱可塑性、Tg;283℃、CTE;51ppm/K、吸湿率;1.31重量%)を調製した。
(合成例3)
熱電対および攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、308gのDMAcを入れた。この反応容器に27.14gのBAPP(0.066モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、14.86gのPMDA(0.068モル)を加えた。その後、3時間撹拌を続け、溶液粘度2,850mPa・sのポリアミド酸の樹脂溶液cを調製した。樹脂溶液cを用いて、合成例1と同様にして、ポリイミドフィルムc(熱可塑性、Tg;312℃、CTE;55ppm/K、吸湿率;0.54重量%)を調製した。
熱電対および攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、308gのDMAcを入れた。この反応容器に27.14gのBAPP(0.066モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、14.86gのPMDA(0.068モル)を加えた。その後、3時間撹拌を続け、溶液粘度2,850mPa・sのポリアミド酸の樹脂溶液cを調製した。樹脂溶液cを用いて、合成例1と同様にして、ポリイミドフィルムc(熱可塑性、Tg;312℃、CTE;55ppm/K、吸湿率;0.54重量%)を調製した。
(合成例4)
熱電対および攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、308gのDMAcを入れた。この反応容器に22.57gのm−TB(0.106モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、6.20gのBPDA(0.021モル)及び18.37gのPMDA(0.084モル)を加えた。その後、3時間撹拌を続け、溶液粘度20,000mPa・sのポリアミド酸の樹脂溶液dを調製した。樹脂溶液dを用いて、合成例1と同様にして、ポリイミドフィルムd(非熱可塑性、Tg;385℃、CTE;15ppm/K)を調製した。
熱電対および攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、308gのDMAcを入れた。この反応容器に22.57gのm−TB(0.106モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、6.20gのBPDA(0.021モル)及び18.37gのPMDA(0.084モル)を加えた。その後、3時間撹拌を続け、溶液粘度20,000mPa・sのポリアミド酸の樹脂溶液dを調製した。樹脂溶液dを用いて、合成例1と同様にして、ポリイミドフィルムd(非熱可塑性、Tg;385℃、CTE;15ppm/K)を調製した。
(合成例5)
熱電対および攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、255gのDMAcを入れた。この反応容器に22.13gのTPE−R(0.076モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、16.17gのDSDA(0.047モル)及び6.78gのPMDA(0.031モル)を加えた。その後、2時間撹拌を続け、溶液粘度2,640mPa・sのポリアミド酸の樹脂溶液eを調製した。樹脂溶液eを用いて、合成例1と同様にして、ポリイミドフィルムe(熱可塑性、Tg;277℃、CTE;61ppm/K、吸湿率;0.90重量%)を調製した。
熱電対および攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、255gのDMAcを入れた。この反応容器に22.13gのTPE−R(0.076モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、16.17gのDSDA(0.047モル)及び6.78gのPMDA(0.031モル)を加えた。その後、2時間撹拌を続け、溶液粘度2,640mPa・sのポリアミド酸の樹脂溶液eを調製した。樹脂溶液eを用いて、合成例1と同様にして、ポリイミドフィルムe(熱可塑性、Tg;277℃、CTE;61ppm/K、吸湿率;0.90重量%)を調製した。
(合成例6)
熱電対および攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、200gのDMAcを入れた。この反応容器に1.335gのm−TB(0.0063モル)及び10.414gのTPE−R(0.0356モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、0.932gのPMDA(0.0043モル)及び11.319gのBPDA(0.0385モル)を加えた。その後、2時間撹拌を続け、溶液粘度1,420mPa・sのポリアミド酸の樹脂溶液fを調製した。樹脂溶液fを用いて、合成例1と同様にして、ポリイミドフィルムf(熱可塑性、Tg;256℃、CTE;52ppm/K、吸湿率;0.36重量%)を調製した。
熱電対および攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、200gのDMAcを入れた。この反応容器に1.335gのm−TB(0.0063モル)及び10.414gのTPE−R(0.0356モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、0.932gのPMDA(0.0043モル)及び11.319gのBPDA(0.0385モル)を加えた。その後、2時間撹拌を続け、溶液粘度1,420mPa・sのポリアミド酸の樹脂溶液fを調製した。樹脂溶液fを用いて、合成例1と同様にして、ポリイミドフィルムf(熱可塑性、Tg;256℃、CTE;52ppm/K、吸湿率;0.36重量%)を調製した。
(合成例7)
熱電対および攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、250gのDMAcを入れた。この反応容器に12.323gのm−TB(0.0580モル)及び1.886gのTPE−R(0.0064モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、8.314gのPMDA(0.0381モル)及び7.477gのBPDA(0.0254モル)を加えた。その後、3時間撹拌を続け、溶液粘度31,500mPa・sのポリアミド酸の樹脂溶液gを調製した。樹脂溶液gを用いて、合成例1と同様にして、ポリイミドフィルムg(非熱可塑性、Tg;303℃、CTE;15.6ppm/K、吸湿率;0.61重量%)を調製した。
熱電対および攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、250gのDMAcを入れた。この反応容器に12.323gのm−TB(0.0580モル)及び1.886gのTPE−R(0.0064モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、8.314gのPMDA(0.0381モル)及び7.477gのBPDA(0.0254モル)を加えた。その後、3時間撹拌を続け、溶液粘度31,500mPa・sのポリアミド酸の樹脂溶液gを調製した。樹脂溶液gを用いて、合成例1と同様にして、ポリイミドフィルムg(非熱可塑性、Tg;303℃、CTE;15.6ppm/K、吸湿率;0.61重量%)を調製した。
[実施例1]
長尺の銅箔1の表面に、樹脂溶液cを硬化後の厚みが約2〜3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。次に、その上に樹脂溶液dを硬化後の厚みが約34μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液fを硬化後の厚みが約2〜3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。このようにして、3層のポリアミド酸層を形成した後、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分で行い、イミド化を完結し、ポリイミド層の厚みが38μmの片面銅張積層板1Aを調製した。片面銅張積層板1Aにおける銅箔と樹脂層とのピール強度は、1.0kN/mを超えており合否判定は「合」、長期信頼性の評価は、ピール強度の保持率が70%を超えており「優」であった。また、耐薬品性の評価は、染み込みがなく「優」であった。
長尺の銅箔1の表面に、樹脂溶液cを硬化後の厚みが約2〜3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。次に、その上に樹脂溶液dを硬化後の厚みが約34μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液fを硬化後の厚みが約2〜3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。このようにして、3層のポリアミド酸層を形成した後、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分で行い、イミド化を完結し、ポリイミド層の厚みが38μmの片面銅張積層板1Aを調製した。片面銅張積層板1Aにおける銅箔と樹脂層とのピール強度は、1.0kN/mを超えており合否判定は「合」、長期信頼性の評価は、ピール強度の保持率が70%を超えており「優」であった。また、耐薬品性の評価は、染み込みがなく「優」であった。
片面銅張積層板1Aを2つ準備し、ポリイミド層面同士で貼り合わせ、同時に一対の加熱ロール間に4m/分の速度で連続的に供給して熱圧着(ロール表面温度;390℃、ロール間の線圧;134kN/m)することで、ポリイミド層の厚みが76μmの両面銅張積層板1を調製した。両面銅張積層板1における熱圧着面のピール強度は1.0kN/mを超えていた。
両面銅張積層板1の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム1を調製した。このポリイミドフィルム1の誘電率ε1;3.39、誘電正接Tanδ1;0.0057、これら誘電特性から計算されるE1は0.0105であった。また、CTEは21ppm/Kであった。
両面銅張積層板1の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム1を調製した。このポリイミドフィルム1の誘電率ε1;3.39、誘電正接Tanδ1;0.0057、これら誘電特性から計算されるE1は0.0105であった。また、CTEは21ppm/Kであった。
[参考実施例1]
樹脂溶液fの代わりに、樹脂溶液cを使用したこと以外、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが38μmの片面銅張積層板1A’を調製した。この過程で、片面銅張積層板1A’にコルゲーションの発生は観察されなかった。
樹脂溶液fの代わりに、樹脂溶液cを使用したこと以外、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが38μmの片面銅張積層板1A’を調製した。この過程で、片面銅張積層板1A’にコルゲーションの発生は観察されなかった。
片面銅張積層板1A’を2つ準備し、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが76μmの両面銅張積層板1’を調製した。両面銅張積層板1’における熱圧着面のピール強度は0.5kN/m未満であった。
[実施例2]
樹脂溶液fの代わりに、樹脂溶液aを使用したこと以外、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが38μmの片面銅張積層板2Aを調製した。この過程で、片面銅張積層板2Aにコルゲーションの発生は観察されなかった。
樹脂溶液fの代わりに、樹脂溶液aを使用したこと以外、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが38μmの片面銅張積層板2Aを調製した。この過程で、片面銅張積層板2Aにコルゲーションの発生は観察されなかった。
片面銅張積層板1A及び片面銅張積層板2Aを準備し、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが76μmの両面銅張積層板2を調製した。両面銅張積層板2における熱圧着面のピール強度は1.0kN/mを超えていた。
両面銅張積層板2の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム2を調製した。このポリイミドフィルム2の誘電率ε1;3.40、誘電正接Tanδ1;0.0061、これら誘電特性から計算されるE1は0.0112であった。また、CTEは22ppm/Kであった。
両面銅張積層板2の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム2を調製した。このポリイミドフィルム2の誘電率ε1;3.40、誘電正接Tanδ1;0.0061、これら誘電特性から計算されるE1は0.0112であった。また、CTEは22ppm/Kであった。
[実施例3]
樹脂溶液fの代わりに、樹脂溶液bを使用したこと以外、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが38μmの片面銅張積層板3Aを調製した。この過程で、片面銅張積層板3Aにコルゲーションの発生は観察されなかった。
樹脂溶液fの代わりに、樹脂溶液bを使用したこと以外、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが38μmの片面銅張積層板3Aを調製した。この過程で、片面銅張積層板3Aにコルゲーションの発生は観察されなかった。
片面銅張積層板1A及び片面銅張積層板3Aを準備し、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが76μmの両面銅張積層板3を調製した。両面銅張積層板3における熱圧着面のピール強度は1.0kN/mを超えていた。
両面銅張積層板3の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム3を調製した。このポリイミドフィルム3の誘電率ε1;3.40、誘電正接Tanδ1;0.0061、これら誘電特性から計算されるE1は0.0112であった。また、CTEは21ppm/Kであった。
両面銅張積層板3の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム3を調製した。このポリイミドフィルム3の誘電率ε1;3.40、誘電正接Tanδ1;0.0061、これら誘電特性から計算されるE1は0.0112であった。また、CTEは21ppm/Kであった。
[実施例4]
樹脂溶液fの代わりに、樹脂溶液eを使用したこと以外、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが38μmの片面銅張積層板4Aを調製した。この過程で、片面銅張積層板4Aにコルゲーションの発生は観察されなかった。
樹脂溶液fの代わりに、樹脂溶液eを使用したこと以外、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが38μmの片面銅張積層板4Aを調製した。この過程で、片面銅張積層板4Aにコルゲーションの発生は観察されなかった。
片面銅張積層板1A及び片面銅張積層板4Aを準備し、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが76μmの両面銅張積層板4を調製した。両面銅張積層板4における熱圧着面のピール強度は1.0kN/mを超えていた。
両面銅張積層板4の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム4を調製した。このポリイミドフィルム4の誘電率ε1;3.22、誘電正接Tanδ1;0.0062、これら誘電特性から計算されるE1は0.0111であった。また、CTEは23ppm/Kであった。
両面銅張積層板4の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム4を調製した。このポリイミドフィルム4の誘電率ε1;3.22、誘電正接Tanδ1;0.0062、これら誘電特性から計算されるE1は0.0111であった。また、CTEは23ppm/Kであった。
[参考実施例2]
片面銅張積層板4Aを2つ準備し、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが76μmの両面銅張積層板2’を調製した。両面銅張積層板2’における熱圧着面のピール強度は1.0kN/mを超えていた。
片面銅張積層板4Aを2つ準備し、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが76μmの両面銅張積層板2’を調製した。両面銅張積層板2’における熱圧着面のピール強度は1.0kN/mを超えていた。
[実施例5]
銅箔1の表面に、樹脂溶液fを硬化後の厚みが約2〜3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。次に、その上に樹脂溶液gを硬化後の厚みが約21μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液fを硬化後の厚みが約2〜3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。このようにして、3層のポリアミド酸層を形成した後、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分で行い、イミド化を完結し、ポリイミド層の厚みが25μmの片面銅張積層板5Bを調製した。片面銅張積層板5Bにおける銅箔と樹脂層とのピール強度は、1.0kN/mを超えており合否判定は「合」、長期信頼性の評価は、ピール強度の保持率が70%を超えており「優」であった。また、耐薬品性の評価は、染み込みがなく「優」であった。
銅箔1の表面に、樹脂溶液fを硬化後の厚みが約2〜3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。次に、その上に樹脂溶液gを硬化後の厚みが約21μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液fを硬化後の厚みが約2〜3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。このようにして、3層のポリアミド酸層を形成した後、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分で行い、イミド化を完結し、ポリイミド層の厚みが25μmの片面銅張積層板5Bを調製した。片面銅張積層板5Bにおける銅箔と樹脂層とのピール強度は、1.0kN/mを超えており合否判定は「合」、長期信頼性の評価は、ピール強度の保持率が70%を超えており「優」であった。また、耐薬品性の評価は、染み込みがなく「優」であった。
片面銅張積層板5Bを2つ準備し、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが50μmの両面銅張積層板5を調製した。両面銅張積層板5における熱圧着面のピール強度は1.0kN/mを超えていた。
両面銅張積層板5の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム5を調製した。このポリイミドフィルム5の誘電率ε1;3.43、誘電正接Tanδ1;0.0033、これら誘電特性から計算されるE1は0.0061であった。また、CTEは20ppm/Kであった。
両面銅張積層板5の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム5を調製した。このポリイミドフィルム5の誘電率ε1;3.43、誘電正接Tanδ1;0.0033、これら誘電特性から計算されるE1は0.0061であった。また、CTEは20ppm/Kであった。
[実施例6]
銅箔1の表面に、樹脂溶液fを硬化後の厚みが約2〜3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。次に、その上に樹脂溶液gを硬化後の厚みが約21μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液aを硬化後の厚みが約2〜3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。このようにして、3層のポリアミド酸層を形成した後、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分で行い、イミド化を完結し、ポリイミド層の厚みが25μmの片面銅張積層板6Bを調製した。
銅箔1の表面に、樹脂溶液fを硬化後の厚みが約2〜3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。次に、その上に樹脂溶液gを硬化後の厚みが約21μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液aを硬化後の厚みが約2〜3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。このようにして、3層のポリアミド酸層を形成した後、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分で行い、イミド化を完結し、ポリイミド層の厚みが25μmの片面銅張積層板6Bを調製した。
片面銅張積層板5B及び片面銅張積層板6Bを準備し、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが50μmの両面銅張積層板6を調製した。両面銅張積層板6における熱圧着面のピール強度は1.0kN/mを超えていた。
両面銅張積層板6の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム6を調製した。このポリイミドフィルム6の誘電率ε1;3.45、誘電正接Tanδ1;0.0038、これら誘電特性から計算されるE1は0.0071であった。また、CTEは21ppm/Kであった。
両面銅張積層板6の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム6を調製した。このポリイミドフィルム6の誘電率ε1;3.45、誘電正接Tanδ1;0.0038、これら誘電特性から計算されるE1は0.0071であった。また、CTEは21ppm/Kであった。
[実施例7]
樹脂溶液aの代わりに、樹脂溶液bを使用したこと以外、実施例6と同様にして、ポリイミド層の厚みが25μmの片面銅張積層板7Bを調製した。この過程で、片面銅張積層板7Bにコルゲーションの発生は観察されなかった。
樹脂溶液aの代わりに、樹脂溶液bを使用したこと以外、実施例6と同様にして、ポリイミド層の厚みが25μmの片面銅張積層板7Bを調製した。この過程で、片面銅張積層板7Bにコルゲーションの発生は観察されなかった。
片面銅張積層板5B及び片面銅張積層板7Bを準備し、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが50μmの両面銅張積層板7を調製した。両面銅張積層板7における熱圧着面のピール強度は1.0kN/mを超えていた。
両面銅張積層板7の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム7を調製した。このポリイミドフィルム7の誘電率ε1;3.45、誘電正接Tanδ1;0.0039、これら誘電特性から計算されるE1は0.0072であった。また、CTEは20ppm/Kであった。
両面銅張積層板7の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム7を調製した。このポリイミドフィルム7の誘電率ε1;3.45、誘電正接Tanδ1;0.0039、これら誘電特性から計算されるE1は0.0072であった。また、CTEは20ppm/Kであった。
[実施例8]
樹脂溶液aの代わりに、樹脂溶液eを使用したこと以外、実施例6と同様にして、ポリイミド層の厚みが25μmの片面銅張積層板8Bを調製した。この過程で、片面銅張積層板8Bにコルゲーションの発生は観察されなかった。
樹脂溶液aの代わりに、樹脂溶液eを使用したこと以外、実施例6と同様にして、ポリイミド層の厚みが25μmの片面銅張積層板8Bを調製した。この過程で、片面銅張積層板8Bにコルゲーションの発生は観察されなかった。
片面銅張積層板5B及び片面銅張積層板8Bを準備し、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが50μmの両面銅張積層板8を調製した。両面銅張積層板8における熱圧着面のピール強度は1.0kN/mを超えていた。
両面銅張積層板8の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム8を調製した。このポリイミドフィルム8の誘電率ε1;3.43、誘電正接Tanδ1;0.0040、これら誘電特性から計算されるE1は0.0074であった。また、CTEは22ppm/Kであった。
両面銅張積層板8の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム8を調製した。このポリイミドフィルム8の誘電率ε1;3.43、誘電正接Tanδ1;0.0040、これら誘電特性から計算されるE1は0.0074であった。また、CTEは22ppm/Kであった。
[実施例9]
片面銅張積層板8Bを2つ準備し、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが50μmの両面銅張積層板9を調製した。両面銅張積層板9における熱圧着面のピール強度は1.0kN/mを超えていた。
両面銅張積層板9の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム8を調製した。このポリイミドフィルム8の誘電率ε1;3.43、誘電正接Tanδ1;0.0048、これら誘電特性から計算されるE1は0.0089であった。また、CTEは24ppm/Kであった。
片面銅張積層板8Bを2つ準備し、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが50μmの両面銅張積層板9を調製した。両面銅張積層板9における熱圧着面のピール強度は1.0kN/mを超えていた。
両面銅張積層板9の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム8を調製した。このポリイミドフィルム8の誘電率ε1;3.43、誘電正接Tanδ1;0.0048、これら誘電特性から計算されるE1は0.0089であった。また、CTEは24ppm/Kであった。
[参考実施例3]
銅箔2を使用したこと以外、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが38μmの片面銅張積層板3’を調製した。片面銅張積層板3’における銅箔と樹脂層とのピール強度は、1.0kN/mを超えており合否判定は「合」、長期信頼性の評価は、ピール強度の保持率が50%未満であり「不可」であった。また、耐薬品性の評価は、染み込みが確認されたが、30μm未満であり「可」であった。
銅箔2を使用したこと以外、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが38μmの片面銅張積層板3’を調製した。片面銅張積層板3’における銅箔と樹脂層とのピール強度は、1.0kN/mを超えており合否判定は「合」、長期信頼性の評価は、ピール強度の保持率が50%未満であり「不可」であった。また、耐薬品性の評価は、染み込みが確認されたが、30μm未満であり「可」であった。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。
10A,10B…銅箔層、20A,20B…接着性ポリイミド層、30A,30B…低熱膨張性ポリイミド層、40A,40B…熱可塑性ポリイミド層、50…樹脂積層体、60…接合面、70A,70B…片面CCL、100…両面CCL
Claims (7)
- 複数のポリイミド層を含む樹脂積層体と、前記樹脂積層体の両面にそれぞれ積層された金属層と、を備えた両面金属張積層板であって、
前記樹脂積層体は、全体の厚みが40〜180μmの範囲内であり、前記金属層に接している第1のポリイミド層と、前記第1のポリイミド層に直接又は間接的に積層された第2のポリイミド層と、を含むとともに、2つの前記第1のポリイミド層を構成するポリイミドが、それぞれ同一又は異なる種類の接着性ポリイミドであり、
前記金属層は、前記第1のポリイミド層と接する表面の十点平均粗さ(Rz)が1.2μm以下、算術平均高さ(Ra)が0.2μm以下であり、かつ、前記第1のポリイミド層と接する面に付着したニッケル元素の量(Ni)が1.4mg/dm2以下である銅箔からなることを特徴とする両面金属張積層板。 - 前記金属層における前記第1のポリイミド層と接する面に付着したニッケル元素の量(Ni)が0.01mg/dm2以下であり、コバルト元素の量(Co)が0.01〜0.5mg/dm2の範囲内、モリブデン元素の量(Mo)が0.01〜0.5mg/dm2の範囲内であり、かつコバルト元素及びモリブデン元素の総量(Co+Mo)が0.1〜0.7mg/dm2の範囲内である請求項1に記載の両面金属張積層板。
- 前記第2のポリイミド層を構成するポリイミドが、酸無水物成分とジアミン成分とを反応させて得られるポリイミドであり、前記ジアミン成分が、全ジアミン成分に対して4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル(m−TB)を20モル%以上含有するものである請求項1又は2に記載の両面金属張積層板。
- 前記樹脂積層体は、前記金属層側から、それぞれ、少なくとも前記第1のポリイミド層、前記第2のポリイミド層がこの順に積層された構造を有するものである請求項1から3のいずれか1項に記載の両面金属張積層板。
- 前記樹脂積層体は、少なくとも4層以上のポリイミド層からなる積層構造を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の両面金属張積層板。
- 前記樹脂積層体は、その厚み方向の中心を基準にして、厚み方向に対称な層構造を有する請求項1から5のいずれか1項に記載の両面金属張積層板。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載の両面金属張積層板の前記金属層を配線回路加工してなる回路基板。
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