JP2006045353A - ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006045353A
JP2006045353A JP2004228578A JP2004228578A JP2006045353A JP 2006045353 A JP2006045353 A JP 2006045353A JP 2004228578 A JP2004228578 A JP 2004228578A JP 2004228578 A JP2004228578 A JP 2004228578A JP 2006045353 A JP2006045353 A JP 2006045353A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
bis
longitudinal direction
benzoxazole
width direction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004228578A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3953057B2 (ja
Inventor
Kazutake Okamoto
和丈 岡本
Keizo Kawahara
恵造 河原
Masayuki Tsutsumi
正幸 堤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2004228578A priority Critical patent/JP3953057B2/ja
Publication of JP2006045353A publication Critical patent/JP2006045353A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3953057B2 publication Critical patent/JP3953057B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

【課題】 電子部品の基材フィルムとして好適なフィルムおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 ポリイミドベンゾオキサゾールを含むフィルムであって、フィルムの長手方向および幅方向の引張弾性率がいずれも6000MPa以上であり、フィルムの長手方向および幅方向の引張破断伸度がいずれも10%以上であり、フィルムの長手方向および幅方向の線膨張係数がいずれも15ppm/℃以下であるポリイミドベンゾオキサゾールフィルム。当該フィルムは、ポリアミド酸を含む溶液を乾燥してなるゲルフィルムを150〜250℃にて2〜10分間処理して、その後ただちに、300〜550℃にて2〜10分間処理する工程を含み、150℃以上にて処理する時間が合計で20分以下である製造方法により得ることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムおよびその製造方法に関する。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンを原料として製造されるポリイミドフィルムは、種々の分野で広く利用されている。特に、フレキシブルプリント配線用銅張基板(FPC)やテープ・オートメーテッド・ボンディング(TAB)用キャリアテープなどの製造に用いる基材フィルムとして広く使用されている。
また、ベンゾオキサゾール環を含有するポリイミドフィルム(以下、「ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム」ともいう)も報告されている。しかし、従来のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、フィルムをカットする際や二次加工の際にひび割れや破断が生じたりするなど、ハンドリング性に欠ける。
ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの従来公知の製造方法は、例えば、金属フレームなどに固定してフィルムを製造するなどといった、枚葉であり、小スケールのものばかりである。(特許文献1〜3)。
特開昭61−264027号公報 特開2000−85007号公報 特開平6−56992号公報
本発明は、電子部品の基材フィルムとして特に好適なポリイミドベンゾオキサゾールフィルムを提供することを課題とする。本発明は、そのようなポリイミドベンゾオキサゾールフィルムを工業的規模で生産する製造方法を提供することも課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下の発明を完成した。
(1)ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを重縮合してなるポリイミドベンゾオキサゾールを含むフィルムであって、フィルムの長手方向および幅方向の引張弾性率がいずれも6000MPa以上であり、フィルムの長手方向および幅方向の引張破断伸度がいずれも10%以上であり、フィルムの長手方向および幅方向の線膨張係数がいずれも15ppm/℃以下であるポリイミドベンゾオキサゾールフィルム。
(2)当該フィルムの幅が300mm以上であり面積が15m以上である、上記(1)記載のポリイミドベンゾオキサゾールフィルム。
(3)ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを重合してなるポリアミド酸を含む溶液を乾燥してゲルフィルムを得て、得られたゲルフィルムを150〜250℃にて2〜10分間処理して、その後ただちに、300〜550℃にて2〜10分間処理する工程を含み、150℃以上にて処理する時間が合計で20分以下である、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの製造方法。
(4)フィルムの長手方向および幅方向の引張弾性率がいずれも6000MPa以上であり、フィルムの長手方向および幅方向の引張破断伸度がいずれも10%以上であり、フィルムの長手方向および幅方向の線膨張係数がいずれも15ppm/℃以下であるポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの製造方法である、上記(3)記載の製造方法。
(5)幅が300mm以上であり面積が15m以上のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの製造方法である、上記(3)または(4)記載の製造方法。
本発明によれば、高い剛性、強度、耐熱性を有するポリイミドベンゾオキサゾールフィルムを提供でき、そういったポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、寸法精度の要求が厳しいフレキシブルプリント配線用銅張基板(FPC)やテープ・オートメーテッド・ボンディング(TAB)用キャリアテープなどの製造に用いる基材フィルムとして有用である。また、本発明の製造方法は、上記優れたポリイミドベンゾオキサゾールフィルムを工業的規模で提供し得る。
本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムのポリイミドベンゾオキサゾールは、ベンゾオキサゾール構造を主鎖に有するポリイミドであり、典型的には下記式(1)の繰り返し単位を有する。
Figure 2006045353
本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、溶剤中でベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを開環重付加反応に供して得られる高分子溶液(ポリアミド酸溶液)を支持体上に塗布して乾燥せしめ、その後、さらに、脱水縮合(イミド化)させることで得られる。
<芳香族ジアミン類>
芳香族ジアミン類とは、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンおよびその芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基、シアノ基等で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。ここで、上記アルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部または全部は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類は、単独で用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。本発明で用いるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、具体的には以下のものが挙げられる。
Figure 2006045353
Figure 2006045353
Figure 2006045353
Figure 2006045353
Figure 2006045353
Figure 2006045353
Figure 2006045353
Figure 2006045353
Figure 2006045353
Figure 2006045353
Figure 2006045353
Figure 2006045353
Figure 2006045353
これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましく、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールがより好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つのアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化2」〜「化5」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、全ジアミンの30モル%以下であれば下記に例示されるベンゾオキサゾール構造を有しないジアミン類を一種または二種以上を併用しても構わない。そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリルおよび上記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
<芳香族テトラカルボン酸無水物類>
本発明で用いられるテトラカルボン酸無水物は芳香族テトラカルボン酸無水物類であり、典型的には下記式(2)のように表される。
Figure 2006045353
芳香族テトラカルボン酸無水物類のより具体的な例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2006045353
Figure 2006045353
Figure 2006045353
Figure 2006045353
Figure 2006045353
Figure 2006045353
これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%以下であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種または二種以上を併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、まず、(a)ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類とテトラカルボン酸無水物類とを溶媒中で重合させてポリアミド酸溶液を得て(以下、工程(a)ともいう。)、次いで、(b)ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して自己支持性がでる程度、具体的には乾燥後の全重量に対する残留溶媒量が10〜50重量%になる条件で乾燥することにより自己支持性を有するゲルフィルム(以下グリーンフィルムとも呼ぶ)を得て(以下、工程(b)ともいう。)、次いで、(c)グリーンフィルムを後述の条件で熱処理して、イミド化反応させる(以下、工程(c)ともいう。)ことにより製造される。
上記工程(a)〜(c)において、必要によりフィルム(グリーンフィルムを含む。)の延伸処理を行ってもよい。延伸処理を行う場合の面積倍率は、好ましく2以下であり、より好ましくは1.5以下であり、さらに好ましくは1.3以下である。なお、さらに好ましくは延伸処理を行わない無延伸フィルムとするのが好ましい。面積倍率を上記範囲内にすることにより、イミド化後の伸度の低下を抑制することができる。
無延伸フィルムとは、テンター延伸、ロール延伸、インフレーション延伸などといった機械的外力による意図的な延伸を加えずに得られるフィルムをいう。例えばグリーンフィルムの両端を固定した場合に、溶媒蒸発にともない収縮挙動が生じる場合があるが、この場合は機械的外力を意図的に加えていないから、本発明では無延伸フィルムとして扱う。
<工程(a)>
ベンゾオキサゾール環を有する芳香族ジアミン類と、テトラカルボン酸無水物類とを重合してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの重量が、通常5〜40重量%、好ましくは8〜30重量%となるような量が挙げられる。
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜80時間連続して撹拌および/または混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の重量は、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは8〜30重量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜500Pa・sであり、より好ましくは30〜300Pa・sである。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。さらに、重合反応時および重合反応後に、フィルムにすべり性を付与するなどといったハンドリング性の向上のために、有機系または無機系の滑剤を添加してもよい。
<工程(b)>
ポリアミド酸溶液を塗布する支持体は、ポリアミド酸溶液をフィルム状に成形するに足る程度の平滑性、剛性を有していればよく、表面が金属、プラスチック、ガラス、磁器などであるドラムまたはベルト状回転体などが例示される。適度な剛性と高い平滑性を有する高分子フィルムは、上記支持体として好ましく利用できる。好ましくは、支持体の表面は金属であり、より好ましくは、錆び難く耐腐食に優れるステンレスである。支持体の表面にはCr、Ni、Snなどの金属メッキを施してもよい。支持体の表面は必要に応じて鏡面にしたり、あるいは梨地状に加工することができる。支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、スキージコーティング、リバースコーティング、ダイコーティング、アプリケータコーティング、ワイヤーバーコーティング等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
グリーンフィルムを自己支持性が出る程度に乾燥する際の残留溶媒量は、好ましくは20〜50重量%であり、より好ましくは25〜50重量%である。当該残留溶媒量が20重量%より低い場合は、イミド化反応が不所望に進行してしまい、あるいは、分子量低下により、グリーンフィルム自体が脆くなりやすい。また、50重量%を超える場合は、自己支持性が不十分となり、フィルムの搬送が困難になる場合がある。工程(b)にて得られるゲルフィルム(グリーンフィルム)は、少なくともベンゾオキサゾール構造を有するポリアミド酸を含み、一部のポリアミド酸はイミド化していてもよい。
上記のようなグリーンフィルムを得るための乾燥条件としては、150℃未満での処理が挙げられる。例えば、N−メチルピロリドンを溶媒として用いる場合の乾燥温度は、好ましくは70〜130℃、より好ましくは75〜125℃であり、さらに好ましくは80〜120℃である。乾燥温度が130℃より高い場合は、分子量低下がおこり、グリーンフィルムが脆くなりやすい。また、グリーンフィルム製造時にイミド化が一部進行し、イミド化工程時に所望の物性が得られにくくなる。また70℃より低い場合は、乾燥時間が長くなり、分子量低下がおこりやすく、また乾燥不十分でハンドリング性が悪くなる傾向がある。また、乾燥時間としては乾燥温度にもよるが、好ましくは10〜90分間であり、より好ましくは15〜80分間である。乾燥時間が90分間より長い場合は、分子量低下によりフィルムが脆くなりやすく、また10分間より低い場合は、乾燥不十分でハンドリング性が悪くなる傾向がある。また、乾燥効率の向上または乾燥時の気泡発生抑制のために、70〜130℃の範囲で温度を段階的に昇温して、乾燥してもよい。
そのような条件を達する乾燥装置も従来公知のものを適用でき、熱風、熱窒素、遠赤外線、高周波誘導加熱などを挙げることができる。
<工程(c)>
工程(b)で得られたグリーンフィルムを構成するポリアミド酸をイミド化することでポリイミドフィルムが得られる。その具体的な方法としては、従来公知のイミド化反応を適宜用いることが可能である。例えば、閉環触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、加熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)やポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることができる。
ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの厚さを制御するために、ポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度を適宜調節し得る。
熱閉環法による場合には、フィルムを加熱すべき最高の温度は、好ましくは250〜550℃である。前記範囲内にすることで、閉環反応の充分なる進行と劣化の抑制とを両立し得る。熱閉環法による場合の加熱プロファイルについて、以下にやや詳しく説明する。
好ましくは、イミド化のための加熱は2段階以上の加熱工程を有する。前記加熱工程としては、150〜250℃にて2〜10分間処理(以下、「第1段目の加熱」ともいう)して、その後ただちに、300〜550℃にて2〜10分間処理(以下、「第2段目の加熱」ともいう)する工程を含み、150℃以上にて処理する時間が合計で20分以下であることが好ましい。
加熱工程の説明において、「処理する」とは、規定された範囲の温度下に規定された時間フィルムを存在させることを意味し、必ずしもフィルム自体の温度が規定された温度に、規定された時間到達することを要するものではない。加熱を施す態様は特に制限されず、フィルムをバッチ式の加熱手段に投入してもよいし、予め温度が定められたトンネル炉などにフィルムを搬送することでもよい。長尺のフィルムを処理することを考慮すると、異なる温度に設定された複数の区画を有するトンネル炉に規定の速度でフィルムを搬送することによる加熱が好ましい。安定した物性としわなどの抑制のために、より好ましくは、両端部を把持した状態で搬送する。把持方式としては、ピンテンター方式やクリップテンター方式が一般的である。フィルム幅方向の把持機構を有しないロールツーロール方式も可能である。
第2段目の加熱を第1段目の加熱の「後ただちに行う」とは、第1段目の加熱終了後に、温度が150℃未満である環境にフィルムを曝すことなしに、300〜550℃の環境下にフィルムを存在させることを意味する。そのような方法の実現手段としては、典型的には、異なる温度に設定したゾーンを有する連続式の乾燥炉等でのフィルムの搬送が挙げられる。
第1段目の加熱と第2段目の加熱の温度差は好ましくは150℃以上であり、より好ましくは200℃以上であり、さらに好ましくは230℃以上である。そのような温度差を設けることで、急激なイミド化反応が可能であり、その結果として、フィルムが高密度、高配向性となって所望の特性を呈するものと考えられる。
第1段目の加熱の処理時間は、好ましくは2〜10分、より好ましくは3〜7分である。上記範囲内にすることにより、グリーンフィルム中の溶剤を十分に蒸発させることができるので後の加熱による気泡発生等を効果的に抑制することができ、かつ、ポリアミド酸の不所望な解離に起因する分子量低下を抑制することができ、結果として、良好なる物性を得ることができる。
第2段目の加熱の処理時間は、好ましくは2〜10分、より好ましくは3〜7分である。上記範囲内にすることにより、十分にイミド化させることができ、かつ、フィルムの劣化を抑制することができる。
本発明では、第1段目の加熱と第2段目の加熱の間に別の工程を設けてもよいが、特に好ましくは、第1段目の加熱の後ただちに第2段目の加熱を施す。第1段目の加熱の前や第2段目の加熱の後に別の工程を設けてもよいし設けなくてもよい。本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの製造において、150℃以上にて処理する時間の合計は、好ましくは20分以下であり、より好ましくは4〜10分である。上記のような範囲にすることにより、電子部品の基材フィルムとして好適なフィルムを工業的規模で生産できるという利点がある。
好ましくは、製造工程中における150℃以上の処理は連続的になされる。換言すると、ひとたびフィルムを150℃以上の環境下に存在させたならば、150℃未満の環境下に曝すことなく、上記の加熱処理を合計20分以下で行った後に、室温にまで冷却させることが好ましい。
化学閉環法を施す場合には、ポリアミド酸溶液を支持体に塗布した後、イミド化反応を一部進行させて自己支持性を有するフィルムを形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。この場合、イミド化反応を一部進行させる条件としては、好ましくは150〜250℃による2〜5分間の熱処理であり、イミド化反応を完全に行わせるための条件は、好ましくは300〜550℃による2〜5分間の熱処理である。
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
熱閉環反応であっても、化学閉環法であっても、支持体に形成されたポリイミドフィルムの前駆体(グリーンシート、フィルム)を完全にイミド化する前に支持体から剥離してもよいし、イミド化後に剥離してもよい。
本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、フィルムの長手方向および幅方向の引張弾性率がいずれも6000MPa以上であり、フィルムの長手方向および幅方向の引張破断伸度がいずれも10%以上(好ましくは15%以上)であり、フィルムの長手方向および幅方向の線膨張係数がいずれも15ppm/℃以下である。このようなフィルムによって本発明の目的が達せられる。引張弾性率、引張破断伸度、線膨張係数の測定方法は実施例の欄に記載する。
ここで、フィルムの長手方向および幅方向は、長尺の帯状を呈する本発明のフィルムの長手方向および幅方向をさす。
フィルムの引張弾性率が6000MPaよりも小さいと、特にフィルムが薄い場合に剛直性が不足して取り扱い難くなるという不具合がある。フィルムの長手方向および幅方向の引張弾性率はいずれも、好ましくは6000〜10000MPaであり、より好ましくは6500〜9000MPaである。フィルムの長手方向および幅方向の引張弾性率がいずれも上記好ましい範囲内であれば、フィルムを薄くしても充分に取り扱い易くなるという利点がある。ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの引張弾性率を上昇させる手段としては、イミド化の際に上述の加熱処理を施すことの他に、加熱処理時に1.01〜1.3倍程度の延伸を行うこと等が挙げられる。
フィルムの引張破断伸度が10%よりも小さいと、フィルム巻き取り時にしわ・たるみの原因になり易いという不具合がある。フィルムの長手方向および幅方向の引張破断伸度はいずれも、好ましくは15〜80%であり、より好ましくは20〜60%である。フィルムの長手方向および幅方向の引張破断伸度がいずれも上記好ましい範囲内であれば、フィルム巻き取り時にしわ・たるみを抑制でき、高品位のフィルムを得ることができるという利点がある。ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの引張破断伸度を上昇させる手段としては、イミド化の際に上述の加熱処理を施すこと等が挙げられる。
フィルム線膨張係数が15ppm/℃よりも大きいと、温度変化による寸法変化が大きく電子部品用の基板として用いる場合に残留応力が生じて故障の原因になり易いという不具合がある。フィルムの長手方向および幅方向の線膨張係数はいずれも、好ましくは0〜10ppm/℃であり、より好ましくは0〜7ppm/℃である。フィルムの長手方向および幅方向の線膨張係数がいずれも上記好ましい範囲内であれば、寸法変化が小さく、電子部品用の基板として用いる際に信頼性が向上するという利点がある。ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの線膨張係数を低くする手段としては、イミド化の際に上述の加熱処理を施すことの他に、加熱処理時に1.01〜1.3倍程度の延伸を行うこと等が挙げられる。
ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの厚さは特に限定されないが、例えばプリント配線基板用ベース基板に用いることを考慮すると、通常1〜150μm、好ましくは3〜50μmである。この厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。
本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの大きさは特に限定はない。上述したトンネル炉を用いる製造方法によれば、長大なフィルム、例えば、幅300mm以上、面積15m以上のフィルムを製造することができる。
本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムでは、当該フィルム表面に微細な突起を形成して、滑り性を発現させるために滑材が添加されていてもよい。滑材としては公知の有機、無機の微粒子を使用することができる。有機粒子、無機粒子の材質は特に限定されず、フィラーとして通常用いられる素材を用いればよい。具体的には、ベンゾグアナミン粒子、ポリイミド粒子などの耐熱性樹脂微粒子、SiO、TiO、B、Al、Sb、BeO、MgO、CaO、SrO等の金属酸化物、AlN等の金属窒化物、IIa族のアルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ra)のオルトリン酸塩化合物、同じくIIa族のアルカリ土類金属の炭酸塩、Al、TiV、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ta、W、Pt、Au、Pb、Bi、C、Si等の金属、半金属の微粉末、上記金属を含む合金粉末や複合粉末、その他の鉱物類を用いることができる。かかる滑材の平均粒子径は、好ましくは0.05〜2.5μmの範囲である。フィルムの全重量に対する滑材の添加量は、好ましくは0.003〜2.0%である。滑剤粒子は球形であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンまたはN,Nージメチルアセトアミドに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。ここで、ポリマーを得るための重合溶媒(後述)がN−メチル−2−ピロリドンである場合にはN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、上記重合溶媒がN,Nージメチルアセトアミドである場合にはN,Nージメチルアセトアミドに溶解した。
2.ポリイミドフィルムの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定した。
3.ポリイミドフィルムの引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度
乾燥後のフィルムを長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ長さ100mm、幅10mmの短冊状に切り出して試験片を得た。この試験片について、引張試験機(島津製作所製オートグラフ(R)機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmにて、引張弾性率、引張強度及び引張破断伸度を求めた。
4.フィルムの線膨張係数(CTE)
測定対象のフィルムについて、下記条件にて長手方向(MD)および幅方向(TD)の伸縮率を測定し、30℃〜45℃、45℃〜60℃、…と15℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を300℃まで行い、各方向ごとの全測定値の平均値をCTEとして算出した。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
(実施例1)
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、500重量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを入れた。次いで、9500重量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、485重量部のピロメリット酸二無水物を加え、さらに球状アモルファスシリカ粒子シーホスターKE−P30(日本触媒株式会社製)0.9重量部をホモジナイザーにて予備分散したN−メチル−2−ピロリドン500重量部を加えて、25℃にて40時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液が得られた。この還元粘度は(ηsp/C)は4.0であった。
(ポリアミド酸のフィルムの製造)
このポリアミド酸溶液を支持体としてのステンレスベルトにコーティングした。コーティングではスキージを用い、スキージとベルト間のギャップを650μmに調節した。その後、コーティングしたものを3つの区画を有する熱風式乾燥機内を搬送させた。3つのゾーンとも110℃に設定し、各ゾーンに10分間存在するようなスピードで搬送した。すなわち、110℃における10分間の乾燥を連続して3回行ったことになる。さらに換言すれば、110℃にて30分間乾燥したことと同等である。
(ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの製造)
乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離し、紙巻に巻き取った。得られたグリーンフィルムは、幅500mm、長さ70m、厚み40μmであった。得られたグリーンフィルムを、4つのゾーンからなる連続式の熱処理炉に通した。第1および第2のゾーンを200℃に設定し、第3および第4のゾーンを450℃に設定した。各ゾーンを3分間ずつ経るようにフィルムを搬送した。第4のゾーンを出たあとは自然放冷にて室温まで冷却して、ワインダ−にて巻取り、厚み25μmの褐色のポリイミドフィルムを得た。
(実施例2、3)
表1のように条件を変えたことの他は、実施例1と同様にポリイミドフィルムを得た。
(実施例4)
(ポリアミド酸の重合)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、500重量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンズオキサゾールを入れた。次いで、9500重量部のN,N−ジメチルアセトアミドを加えて完全に溶解させてから、498重量部のピロメリット酸二無水物を加え、さらに球状アモルファスシリカ粒子シーホスターKE−P30(日本触媒株式会社製)0.9重量部をホモジナイザーにて予備分散したN,Nージメチルアセトアミド500重量部を加えて、25℃にて40時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液が得られた。この還元粘度は(ηsp/C)は4.5であった。
(ポリアミド酸のフィルムおよびポリイミドフィルムの製造)
このポリアミド酸溶液を用いて、実施例1と同様に操作してポリアミド酸フィルムを経てポリイミドフィルムを得た。但し、表1のように条件を変えた。
(実施例5)
実施例4で得られるポリアミド酸溶液を用いて、実施例1と同様に操作してポリイミドフィルムを得た。但し、表1のように条件を変えた。
(比較例1、2)
表1のように条件を変えたことの他は、実施例2と同様にポリイミドフィルムを得た。
(比較例3)
実施例1にて用いたグリーンフィルムを切り取って、A4サイズの金枠に固定した。200℃に昇温したマッフル炉に投入し5分間熱処理をした。その後、一旦、室温環境下にフィルムを取り出した後に、450℃に昇温したマッフル炉で5分間熱処理をおこなった。その後、フィルムを取り出して室温にまで自然冷却した。
(比較例4)
実施例1にて用いたグリーンフィルムを切り取って、A4サイズの金枠に固定した。225℃に昇温したマッフル炉に投入し225℃で20分間加熱処理をした。その後、マッフル炉の温度を20分間かけて300℃にまで加熱して、300℃にて1時間保った。その後、フィルムを取り出し室温にまで自然冷却した。そして窒素雰囲気中で30℃で27分間加熱して、その後、75分間かけて400℃にまで加熱して、400℃にて2時間保った。その後、室温にまで冷却した。
各実施例、比較例でのフィルムの製造条件を表1にまとめ、得られたフィルムの物性を表2にまとめる。表中、GFはグリーンフィルム(ポリアミド酸フィルム)を表し、IFはポリイミドフィルムを表し、MDはフィルムの長手方向を表し、TDはフィルムの幅方向を表す。
Figure 2006045353
Figure 2006045353

本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、電子部品の基材フィルムとして好適な機械特性と耐熱性を具備し、寸法精度の要求が厳しいフレキシブルプリント配線用銅張基板(FPC)やテープ・オートメーテッド・ボンディング(TAB)用キャリアテープなどの製造に用いる基材フィルムとして好適に使用される。

Claims (5)

  1. ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを重縮合してなるポリイミドベンゾオキサゾールを含むフィルムであって、フィルムの長手方向および幅方向の引張弾性率がいずれも6000MPa以上であり、フィルムの長手方向および幅方向の引張破断伸度がいずれも10%以上であり、フィルムの長手方向および幅方向の線膨張係数がいずれも15ppm/℃以下であるポリイミドベンゾオキサゾールフィルム。
  2. 当該フィルムの幅が300mm以上であり面積が15m以上である、請求項1記載のポリイミドベンゾオキサゾールフィルム。
  3. ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを重合してなるポリアミド酸を含む溶液を乾燥してゲルフィルムを得て、得られたゲルフィルムを150〜250℃にて2〜10分間処理して、その後ただちに、300〜550℃にて2〜10分間処理する工程を含み、150℃以上にて処理する時間が合計で20分以下である、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの製造方法。
  4. フィルムの長手方向および幅方向の引張弾性率がいずれも6000MPa以上であり、フィルムの長手方向および幅方向の引張破断伸度がいずれも10%以上であり、フィルムの長手方向および幅方向の線膨張係数がいずれも15ppm/℃以下であるポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの製造方法である、請求項3記載の製造方法。
  5. 幅が300mm以上であり面積が15m以上のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの製造方法である、請求項3または4記載の製造方法。
JP2004228578A 2004-08-04 2004-08-04 ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムおよびその製造方法 Active JP3953057B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004228578A JP3953057B2 (ja) 2004-08-04 2004-08-04 ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004228578A JP3953057B2 (ja) 2004-08-04 2004-08-04 ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006045353A true JP2006045353A (ja) 2006-02-16
JP3953057B2 JP3953057B2 (ja) 2007-08-01

Family

ID=36024316

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004228578A Active JP3953057B2 (ja) 2004-08-04 2004-08-04 ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3953057B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008038083A (ja) * 2006-08-09 2008-02-21 Toyobo Co Ltd ポリイミドフィルム
JP2008115245A (ja) * 2006-11-02 2008-05-22 Toyobo Co Ltd 耐熱離型シート
JP2008285514A (ja) * 2007-05-15 2008-11-27 Toyobo Co Ltd ポリイミドフィルムの製造方法
JP2008285515A (ja) * 2007-05-15 2008-11-27 Toyobo Co Ltd ポリイミドフィルムの製造方法
JP2009013245A (ja) * 2007-07-03 2009-01-22 Toyobo Co Ltd ポリイミドフィルム
JP2011245676A (ja) * 2010-05-25 2011-12-08 Toyobo Co Ltd 積層体およびその製造方法
WO2019033761A1 (zh) * 2017-08-18 2019-02-21 南京工业大学 一种膜电容器复合介电薄膜的制备方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008038083A (ja) * 2006-08-09 2008-02-21 Toyobo Co Ltd ポリイミドフィルム
JP2008115245A (ja) * 2006-11-02 2008-05-22 Toyobo Co Ltd 耐熱離型シート
JP2008285514A (ja) * 2007-05-15 2008-11-27 Toyobo Co Ltd ポリイミドフィルムの製造方法
JP2008285515A (ja) * 2007-05-15 2008-11-27 Toyobo Co Ltd ポリイミドフィルムの製造方法
JP2009013245A (ja) * 2007-07-03 2009-01-22 Toyobo Co Ltd ポリイミドフィルム
JP2011245676A (ja) * 2010-05-25 2011-12-08 Toyobo Co Ltd 積層体およびその製造方法
WO2019033761A1 (zh) * 2017-08-18 2019-02-21 南京工业大学 一种膜电容器复合介电薄膜的制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3953057B2 (ja) 2007-08-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5979284B2 (ja) 易滑性多層ポリイミドフィルムロール
JP3953051B2 (ja) ポリイミドフィルムおよびそれを用いた銅張積層フィルム
JP5402254B2 (ja) 多層ポリイミドフィルム
JP4967497B2 (ja) ポリイミドフィルム
JP4774901B2 (ja) ポリイミドフィルムの製造方法
JP4929596B2 (ja) ポリイミドフィルムとその製造方法
JP3953057B2 (ja) ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムおよびその製造方法
JP4807073B2 (ja) ポリイミドフィルムの製造方法
JP3858892B2 (ja) ポリイミドフィルム
JP7230148B2 (ja) 金属張積層板及び回路基板
JP2006348259A (ja) ポリイミドフィルムおよびその製造方法
JP4977953B2 (ja) ポリイミド前駆体フィルム、ポリイミドフィルムの製造方法およびポリイミドフィルム
JP2014201632A (ja) ポリイミドフィルム、および、その製造方法
JP4649960B2 (ja) ポリイミドフィルムおよびその製造方法
JP2007069562A (ja) 高分子フィルムの製造方法
JP2006327022A (ja) ポリイミドフィルムの製造装置
JP2008138105A (ja) ポリイミドフィルムの製造方法
JP2007177116A (ja) ポリイミドフィルムの製造方法
JP4967496B2 (ja) ポリイミドフィルム
JP2006137884A (ja) ポリイミドフィルムの製法
JP4967495B2 (ja) ポリイミドフィルム
JP2008038083A (ja) ポリイミドフィルム
JP3937235B2 (ja) ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム
JP2005307044A (ja) ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムおよびその製造方法
JP2006027135A (ja) 高分子フィルムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061212

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070209

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070410

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070423

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 3953057

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100511

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110511

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110511

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130511

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130511

Year of fee payment: 6

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350