JP5402254B2 - 多層ポリイミドフィルム - Google Patents
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Description
ポリイミドフィルムがこれらの用途に用いられる際の重要な要求特性の一つとして、フィルム表面の易滑性が挙げられる。すなわち、易滑処理されていないフィルム表面が平滑なポリイミドフィルムは、フィルム加工工程において、加工機械のフォルム支持体(例えばロールなど)との摩擦係数が大きく、しわが入ったり、ロールに巻き付いたりするため、例えばフレキシブルプリント基板を生産する際に、銅箔とのラミネートができないといったトラブルが生じることがある。
従来、ポリイミドフィルム表面に易滑性を付与する方法としては、サンドブラストなどの表面処理をする方法が知られているが、この方法では、得られるポリイミドフィルムの表面にブラストの粒子やブラスト後のフィルム破片などが付着するため、ポリイミドフィルムに銅張り前工程で接着剤を塗布した際に、気泡をかみ込みかんだり、粗大フィラー部で接着剤をはじいたりして、フレキシブルプリント基板の歩留まりが悪化するという問題があった。
従来知られているこれらの易滑性ポリイミドフィルムの製法においては、フィラーを添加するコストと工程により経済性においても課題があり、また低粘度の有機溶媒中にフィラーを混合する際に、フィラーが沈降凝集して粗大粒子となり、この粗大粒子に起因してフィルム表面に粗大突起が生じ、ポリイミドフィルムに銅張り前工程で接着剤を塗布した時に、気泡をかみ込んだり、粗大突起部で接着剤をはじいたりして、フレキシブルプリント基板の歩留まりが悪化するという問題があった。
表面を平滑にしたいという要望と、フィルムハンドリングの観点からの滑材による凹凸が必要だという要望から、片面平滑、片面滑材入りの多層フィルムが考えられる。ポリエステルフィルムなどに於いては、フィルムの片面のみに滑材粒子による凸部を形成して滑り性を得る例が見られているが、ポリイミドフィルムにおいては帯電しやすいが為に、フィルムの両面に十分な突起が無いと良好な滑り性を得ることが出来ないとされていた。
表裏の表面粗さが異なるフィルムを実際に生産する場合、片側の表面粗さが細かいと、滑らず巻けないし、それを巻くときスリップをおこし擦り傷を発生する。しかし片側の表面粗さを、粗くすると、これにより平滑面を傷つけることになり、更に粗いとフィルムを平面に固定しようとしたときに、この粗さが、平滑面側に転写されることになってしまう。
しかしながら本発明者らは、特定の条件を満たすことによりフィルム片面のみに滑材粒子による凸部を形成するだけで、十分なフィルムハンドリング性を実現することができることを見出し、更には安定した表裏で粗さが異なりしかも一方面が平滑な長尺フィルムを連続的に製造する際に、粘着力の弱い保護フィルムを一面に貼る事で、これらを解決し本発明の多層ポリイミドフィルムを得ることができた。
すなわち本発明は、以下の構成からなる。
1. 下記(a)層と(b)層とが積層されてなる多層ポリイミドフィルムであって、(a)層が平均粒子径0.05〜2.5μmの無機微粒子を0.05質量%〜50質量%含有する、芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とを反応させて得られるポリイミドを主成分とする層であり、(b)層が平均粒子径0.05〜2.5μmの無機微粒子の含有率が0.01質量%以下で含有する、芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類と反応させて得られるポリイミドを主成分とする層であることを特徴とする多層ポリイミドフィルム。
2. (a)層と(b)層の厚さの比(a)/(b)が0.005〜50であり、かつ(a)層の厚さが0.01μm〜50μm、(b)層の厚さが1μm〜50μmである1.の多層ポリイミドフィルム。
3. (a)層及び(b)層を構成するポリイミドがいずれも、少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてピロメリット酸、芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール構造を有するポリイミドであり、かつ多層ポリイミドフィルムの面方向での線膨張係数が−8ppm/℃〜8ppm/℃であり、長手方向の引張弾性率と幅方向の引張弾性率がいずれも6.0GPa以上である1.〜2.いずれかの多層ポリイミドフィルム。
4. (b)層側に、さらに非ポリイミド系ポリマーからなる保護フィルムが積層されたことを特徴とする1.〜3.いずれかの多層ポリイミドフィルム。
以下(a)層と(b)層とを構成するポリイミドフィルムについて詳述する。
本発明におけるポリイミドフィルムは、特に限定されるものではないが、下記の芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸(無水物)類との組み合わせが好ましい例として挙げられる。
A.ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
B.ジアミノジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類とピロメリット酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
C.フェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とビフェニルテトラカルボン酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
D.上記のABCの一種以上の組み合わせ。
本発明で特に好ましく使用できるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを反応させて得られるポリイミドベンゾオキサゾールを主成分とするポリイミドベンゾオキサゾールフィルムに使用される、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類として、下記の化合物が例示できる。
本発明においては、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを70モル%以上使用することが好ましい。
そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種又は二種以上、併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0dl/g以上が好ましく、4.0dl/g以上がさらに好ましい。
この場合、イミド化反応を一部進行させる条件としては、好ましくは100〜200℃による3〜20分間の熱処理であり、イミド化反応を完全に行わせるための条件は、好ましくは200〜400℃による3〜20分間の熱処理である。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
本発明の多層ポリイミドフィルムは、無延伸フィルムであっても延伸フィルムであってもよく、ここで無延伸フィルムとは、テンター延伸、ロール延伸、インフレーション延伸などによってフィルムの面拡張方向に機械的な外力を意図的に加えずに得られるフィルムをいう。
多層の構成は、(b)層上に(a)層が積層されたものであり、本発明の多層ポリイミドフィルムにおける(a)/(b)の厚さの比は特に限定されないが、(a)/(b)の厚さの比((a)/(b))は0.005〜50であり、(a)/(b)の厚さの比が50を超えると(b)層の平滑性が失われがちとなり、一方0.005未満の場合、表面特性の改良効果が不足し易滑性が失われる場合が多い。
(a)層の厚さが0.01μm〜50μm、であり、更に望ましくは、1μmから40μm、更に望ましくは3μmから35μmである。(a)層が薄いと滑材による充分なすべり滑り性が得られない。厚すぎると、製膜時間が長くなるため、経済的ではない。
(b)層の厚さが1μm〜50μm、であり、更に望ましくは、3μmから40μm、更に望ましくは5μmから35μmである。(b)層が薄いと(a)層に含まれる滑材の凹凸の影響が、(b)層表面に現れ、充分な平滑化が得られない。厚すぎると、製膜時間が長くなるため、経済的ではない。
本発明の多層ポリイミドフィルムの厚さは特に限定されないが、フレキシブルプリント回路板の基材として用いる場合は、多層ポリイミドフィルムとしての厚さが3〜150μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。
<多層ポリイミドフィルムの線膨張係数測定>
測定対象の多層ポリイミドフィルムについて、下記条件にてMD方向およびTD方向の伸縮率を測定し、90℃〜100℃、100℃〜110℃、…と10℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を400℃まで行い、100℃から350℃までの全測定値の平均値をCTE(平均値)として算出した。MD方向、TD方向の意味は、流れ方向(MD方向;長尺フィルムの長さ方向)および幅方向(TD方向;長尺フィルムの幅方向)を示すものである。
面方向の線膨張係数はMD方向、TD方向の値の平均値である。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 10mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
<多層ポリイミドフィルムの引張弾性率の測定>
測定対象の多層ポリイミドフィルムを、MD方向およびTD方向にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(登録商標)機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度を測定した。
(a)層には平均粒子径が0.05μm〜2.5μmの無機微粒子を0.5〜50質量%含有せしめ、(b)層にはこれらの無機微粒子を0〜0.1質量%含有せしめ、好ましくはできるだけ含有せしめないこと(0質量%とする)で上記の目的を達成する。(a)層の無機微粒子の含有量は0.5〜50質量%であるが、好ましくは0.5〜5質量%であり、これらの範囲を超えるものは、易滑性の付与と経済性から逸脱する場合が多い。
無機微粒子としては、無機の0.05μm〜2.5μm程度より好ましくは0.05〜0.2μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
測定法
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(又は、N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
2.ポリイミドフィルムの厚さ
測定対象のポリイミドフィルムについて、マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定した。
測定対象の無機微粒子を溶媒に分散し、堀場製作所社製のレーザー散乱式粒度分布計LB−500により粒子径分布を求め、重量平均粒子径を算出した。
フィルム2枚を重ね合わせ、重ねたフィルムを親指と人差し指で挟み、軽く摺り合わせたときに、フィルムとフィルムが滑る場合を○、滑らない場合を×とした。
長尺状の多層ポリイミドフィルムを巻取りロ−ル(心棒の外径:15cm)に2m/分の速度で巻取る際に、皺が生じず円滑に巻取りが可能である場合を○、部分的に皺が発生する場合を△、皺が発生したり、ロ−ルに巻きついて円滑に巻取りが出来ない場合を×とした。
貼りあわせてあった、保護フィルムを剥がして、ポリイミド表面を光学顕微鏡で観察した。表面に傷が認められないものを○、表面傷が観察されるものを×とした。保護フィルムのラミネート、ロール巻きつけがうまく出来なかったものは評価できないため、−とした。
(ポリアミド酸溶液A1〜A4の作成)
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール223質量部、N,N−ジメチルアセトアミド4416質量部を加えて完全に溶解させた後、ピロメリット酸二無水物217質量部、コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックス(DMAC−ST30、日産化学工業製)をシリカが表1記載量になるよう加え、25℃の反応温度で24時間攪拌すると、褐色で粘調なポリアミド酸溶液A1〜A4が得られた。その内容を表1に示す。
ポリアミド酸溶液A1を、ポリエチレンテレフタレート製フィルムA−4100(東洋紡績株式会社製)の無滑剤面上に、コンマコーターを用いてコーティングし、110℃にて5分間乾燥後、支持体から剥がさずにポリアミド酸フィルムを巻き取った。
得られたポリアミド酸フィルムを製膜機の巻きだし部に取り付け、上記のポリアミド酸溶液A2をポリアミド酸溶液A1の塗布量を表2に示す厚さ比となるように、コンマコーターを用いてポリアミド酸フィルム面にコーティングし、110℃にて20分間乾燥することで、2層構成のポリアミド酸フィルムを得た。2層全体の厚さが熱処理後に表2に示す厚さとなるように、塗布厚さは調整した。
この多層ポリアミド酸フィルムを3つの熱処理ゾーンを有するピンテンターに通し、一段目150℃×2分、2段目220℃×2分、3段目475℃×4分間の熱処理を行い、500mm幅にスリットして、多層ポリイミドフィルムを得た。このとき、熱処理後巻き取る前に剥離可能な非ポリイミド保護フィルムとして、PETフィルムに微粘着層の付いたフィルム(フィルムA)をポリアミド酸溶液A側にラミネートしてから、巻き取った。得られたフィルムをフィルム1とした。
ポリアミド酸溶液A2をA3に変えた以外は全く実施例1と同様にして、フィルム2を得た。その内容を実施例1と同様に表2に示した。
出来上がるフィルム厚さを38μmから5μmに変えた以外は全く実施例1と同様にして、フィルム3を得た。その内容を実施例1と同様に表2に示した。
ポリアミド酸溶液A2をA4に変えて、A4のコーティング厚さを表2に示した以外は全く実施例1と同様にして、フィルム4を得た。その内容を実施例1と同様に表2に示した。
出来上がるフィルム中の(a)厚さを7μmから35μmに変え、出来上がるフィルム中の(b)厚さを28μmから3μmに変えた以外は全く実施例1と同様にして、フィルム8を得た。その内容を実施例1と同様に表2に示した。
出来上がるフィルム中の(a)厚さを7μmから35μmに変え、出来上がるフィルム中の(b)厚さを28μmから1μmに変えた以外は全く実施例1と同様にして、フィルム9を得た。その内容を実施例1と同様に表2に示した。
ポリアミド酸溶液A2を、ポリエチレンテレフタレート製フィルムA−4100(東洋紡績株式会社製)の無滑剤面上に、コンマコーターを用いてコーティングし、110℃にて5分間乾燥後、支持体から剥がさずにポリアミド酸フィルムを巻き取った。
得られたポリアミド酸フィルムを製膜機の巻きだし部に取り付け、上記のポリアミド酸溶液A4をポリアミド酸溶液A1の塗布量を表2に示す厚さ比となるように、コンマコーターを用いてポリアミド酸フィルム面にコーティングし、110℃にて20分間乾燥することで、2層構成のポリアミド酸フィルムを得た。2層全体の厚さが熱処理後に表2に示す厚さとなるように、塗布厚さは調整した。
この多層ポリアミド酸フィルムを3つの熱処理ゾーンを有するピンテンターに通し、一段目150℃×2分、2段目220℃×2分、3段目475℃×4分間の熱処理を行い、500mm幅にスリットして、多層ポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムをフィルム5とした。
ポリアミド酸溶液A2を、ポリエチレンテレフタレート製フィルムA−4100(東洋紡績株式会社製)の無滑剤面上に、コンマコーターを用いてコーティングし、110℃にて5分間乾燥後、支持体から剥がさずにポリアミド酸フィルムを巻き取った。
得られたポリアミド酸フィルムを3つの熱処理ゾーンを有するピンテンターに通し、一段目150℃×2分、2段目220℃×2分、3段目475℃×4分間の熱処理を行い、500mm幅にスリットして、単層ポリイミドフィルム6を得た。その内容を同様に表3に示した。
ポリアミド酸溶液A2をポリアミド酸溶液A1に変えた以外は比較例2と同様にして、単層ポリイミドフィルム7を得た。その内容を同様に表3に示した。
出来上がるフィルム中の(b)厚さを1μmから0.5μmに変えた以外は全く実施例6と同様にして、フィルム10を得た。その内容を同様に表3に示した。
上記の実施例、比較例で得られた各多層ポリイミドフィルム、単層ポリイミドフィルム
を使用して下記の応用テストを実施した。
具体的には、剥離可能な非ポリイミド保護フィルム付き多層ポリイミドフィルムの場合は、これをA4サイズに切り取り、剥離可能な非ポリイミド保護フィルムを剥がした後に、また保護フィルムのついていない場合はそのままこれをA4サイズに切り取り、開口部を有するステンレス製の枠を被せてスパッタリング装置内の基板ホルダーに固定した。基板ホルダーと、フィルム面は密着するように固定する。このため、基板ホルダー内に冷媒を流すことによってフィルムの温度を設定できる。次いで、それぞれ(b)面を、単層の場合は任意の面のフィルム表面のプラズマ処理を行った。プラズマ処理条件はアルゴンガス中で、周波数13.56MHz、出力200W、ガス圧1×10−3Torrの条件であり、処理時の温度は2℃、処理時間は2分間であった。次いで、周波数13.56MHz、出力450W、ガス圧3×10−3Torrの条件、ニッケル−クロム(クロム10質量%)合金のターゲットを用い、アルゴン雰囲気下にてDCマグネトロンスパッタリング法により、1nm/秒のレートで厚さ7nmのニッケル−クロム合金被膜(下地層)を形成し、次いで、基板の温度を2℃に設定するよう、基板のスパッタ面の裏面を2℃に温度コントロールした冷媒を中に流した、基板ホルダーのSUSプレートと接する状態でスパッタリングを行った。10nm/秒のレートで銅を蒸着し、厚さ0.25μmの銅薄膜を形成させた。各フィルムからの金属化ポリイミドフィルムを得た。銅およびNiCr層の厚さは蛍光X線法によって確認した。
その後、パターン化するため、得られた金属化ポリイミドフィルムを使用し、フォトレジスト:FR−200、シプレー社製を塗布・乾燥後にガラスフォトマスクで密着露光し、さらに1.2質量%KOH水溶液にて現像した。次に、HClと過酸化水素を含む塩化第二銅のエッチングラインで、40℃、2kgf/cm2のスプレー圧でエッチングし、評価試験に必要な図1に示すようなパターンである、導体幅と導体間隔は40μm/40μm、パターン本数は20本のテストパターンを形成後、洗浄を行い、乾燥後処理使用した。
以上のようにパターン化した後に、それぞれの抵抗値を測定した。断線があり、抵抗値が無限大となったものを××、抵抗値のばらつきが20%以上となったものを×、抵抗値のばらつきが20%未満のものを○とした。
多層ポリイミドフィルムの表面が平滑でなければ、その上に形成した薄膜の抵抗値はばらつき、極端な場合は断線が生じることが判った。
イスなどに有効に使用できる。
銅張積層基板及び回路基板においても、易滑性を備えることで取扱い上、製造上有利であり、かつ銅などとの接着性に優れており、これら銅張積層基板及び回路基板の性能に寄与することが大である。
Claims (3)
- 下記(a)層と(b)層とが積層されてなり、さらに(b)層側に非ポリイミド系ポリマーからなる保護フィルムが積層された多層ポリイミドフィルムであって、(a)層が平均粒子径0.05〜2.5μmの無機微粒子を0.05質量%〜50質量%含有する、芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とを反応させて得られるポリイミドを主成分とする層であり、(b)層が平均粒子径0.05〜2.5μmの無機微粒子の含有率が0〜0.01質量%で、芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類と反応させて得られるポリイミドを主成分とする層であることを特徴とする多層ポリイミドフィルム。
- (a)層と(b)層の厚さの比(a)/(b)が0.005〜50であり、かつ(a)層の厚さが0.01μm〜50μm、(b)層の厚さが1μm〜50μmである請求項1記載の多層ポリイミドフィルム。
- (a)層及び(b)層を構成するポリイミドがいずれも、少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてピロメリット酸、芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール構造を有するポリイミドであり、多層ポリイミドフィルムの面方向での線膨張係数が−8ppm/℃〜8ppm/℃であり、かつ長手方向の引張弾性率と幅方向の引張弾性率がいずれも6.0GPa以上である請求項1〜2いずれかに記載の多層ポリイミドフィルム。
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