JP5979284B2 - 易滑性多層ポリイミドフィルムロール - Google Patents

易滑性多層ポリイミドフィルムロール Download PDF

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Description

本発明は、微粒子などの滑剤をフィルム全体に対して少ない添加量で含有せしめ、フィルム本来の物性を損なうことが極めて少ない、滑り性のある易滑性多層ポリイミドフィルムに関し、詳しくは、表面のみに特異的形態を形成することにより滑り性と高物性とを兼ね備えたポリイミドフィルムを使用した銅張積層基板及び回路基板に関するものである。
ポリイミドフィルムは、耐熱性、耐薬品性、機械的強度及び電気的特性などに優れていることから、フレキシブルプリント配線板、TABテープ基材、チップオンフィルム用基材、磁気記録媒体用基材などといった電子情報分野において広く用いられている。一般に、高分子フィルムの製造においては、フィルム表面に微細な突起を設けることによってフィルムに滑り性を付与している。より詳しくは、フィルム同士が重なるときやフィルムと平滑な面が重なるときに、フィルム表面の微細な突起に起因してその重なった部分に空気が適度に巻き込まれることにより、フィルムが滑りやすくなる。フィルムが充分な滑り性を呈さないと、フィルムをロール状に巻く際にシワが生じやすくなったり、長尺のフィルムを搬送する際に蛇行が生じやすくなったりして、フィルムの取り扱いが極めて困難になる。
フィルムの表面に微細な突起を形成させる公知の手段として、フィルムに滑材と呼ばれる無機または有機の微粒子を微小量含有させる手段が挙げられる。それによって、フィルムの表面近傍に存在する滑材がフィルムの表面の微細な突起になって上述の滑り性を発揮し得る。例えば、ポリイミドフィルムにフィラーとしてリン酸カルシウムなどの無機化合物からなる微粒子を混合し、フィルム表面に微細な突起を生じさせることにより易滑性を付与する方法(特許文献1参照)、シリカなどの無機化合物からなる微粒子を混合し、フィルム表面に微細な突起を生じさせ、表面摩擦を減らす方法(特許文献2参照)が採用されてきた。また、微細な無機微粒子を分散させ溶媒中で重合したポリアミック酸溶液を流延製膜してポリイミドフィルムを製造する方法(特許文献3参照)などが知られている。具体的には、有機溶媒中に予め無機微粒子を分散させた後、このフィラー分散有機極性溶媒に芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを加えて反応させることにより、ポリアミド酸溶液を調製し、このポリアミド酸溶液を製膜し、次いで加熱イミド化することにより、易滑性ポリイミドフィルムを製造する方法が採用されてきた。
特開昭62−068852号公報 特開昭62−068853号公報 特開平06−145378号公報
また、ポリアミド酸溶液中に、メジアン平均径が0.8〜1.0μmで、かつ5μm以上の粒子径の割合が2%以下の粒子径分布を有する無機微粒子が、5〜30重量%の濃度で均一に分散した低粘度無機微粒子含有溶液を、無機微粒子を含まないポリアミド酸溶液と混合し、このポリアミド酸溶液を製膜した後イミド化する製法によるフィルム表面同志の静摩擦係数が0.1〜1.2易滑性ポリイミドフィルム(特許文献4参照)、熱可塑性ポリイミドからなるポリイミド表面層を有し、少なくともポリイミド表面層約1μm中にピロメリット酸成分とp−フェニレンジアミン成分とを80%以上含有するポリイミドからなりメジアン径が0.3〜0.8μmでかつ最大径が2μm以下である全芳香族ポリイミド粒子をポリイミド表面層のポリイミドに対して約0.5〜10質量%の割合で分散してなる易滑性の改良されたポリイミドフィルム(特許文献5参照)なども知られている。
特開2002−256085号公報 特開2005−126707号公報 かかる滑材はポリイミドフィルムを取り扱いやすくする上で極めて重要である。しかし、上記のような滑剤を含むポリイミドフィルムは、滑材自体がフィルム中の異物として作用し、フィルムが引き裂かれるきっかけとなることが知られており、機械強度、伸度、及び弾性率への悪影響は大きい。
従来のポリイミド系フィルムにおける滑材処方は、フィルムに滑り性を与える反面、本来フィルムの持つべき特性への悪影響を完全に排除できるレベルには至っておらず、特に高弾性率のフィルムにおいては、未だ充分な滑材添加処方が見出されていないのが現状である。本発明は、フィルムが本来有する特性を損なうことなく、かつ十分な滑り性を付与できる多層フィルムを提供することにある。
すなわち本発明は、下記の構成によるものである。
1.下記(a)層と(b)層とが少なくとも積層されてなり、(a)層と(b)層の厚さの比:(a)/(b)が0.01〜0.1、(b)層の厚さが2μm〜40μm、長手方向の引張弾性率と幅方向の引張弾性率がいずれも6.0GPa以上であることを特徴とする絶縁性基板用多層ポリイミドフィルムを巻き取りロールに巻き取ってなるフィルムロール。
(a)層:平均粒子径が0.05〜2.5μmの無機微粒子を0.5質量%〜50質量%含有する、少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてピロメリット酸、芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール構造を有するポリイミドを主成分とする層。
(b)層:無機微粒子の含有率が0.1質量%以下である、少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてピロメリット酸、芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール構造を有するポリイミドを主成分とする層。
2.多層ポリイミドフィルムの構成が(a)層−(b)層−(a)層の三層構造である1.の絶縁性基板用多層ポリイミドフィルムを巻き取りロールに巻き取ってなるフィルムロール。
3.面方向での線膨張係数が−10ppm/℃〜10ppm/℃である1.〜2.のいずれかに記載の絶縁性基板用多層ポリイミドフィルムを巻き取りロールに巻き取ってなるフィルムロール。
本発明の(a)層:平均粒子径が0.05〜2.5μmの無機微粒子を0.5質量%〜50質量%含有する、芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とを反応させて得られるポリイミドを主成分とする層と、(b)層:平均粒子径が0.05〜2.5μmの無機微粒子の含有率が0.1質量%以下である、芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類と反応させて得られるポリイミドを主成分とする層、とを積層した長手方向の引張弾性率と幅方向の引張弾性率がいずれも6.0GPa以上である多層ポリイミドフィルムは、微粒子などの滑剤をフィルム全体に対して少ない添加量で含有し、そのためフィルム本来の物性を損なうことが極めて少ない、滑り性のある易滑性多層ポリイミドフィルムとなり、かかるポリイミドフィルムは銅張積層基板や回路基板などの絶縁性基板なに有効であり、工業的に極めて有意義である。
以下、本発明を詳述する。
本発明での、芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とを反応させて得られるポリイミドは、例えば芳香族テトラカルボン酸類(無水物、酸、およびアミド結合性誘導体を総称して類という、以下同)と芳香族ジアミン類(アミン、およびアミド結合性誘導体を総称して類という、以下同)とを反応させて得られるポリアミド酸溶液を、成形して後イミド化して得られるものであり、例えば層であるフィルムとなす場合には、流延、乾燥、熱処理(イミド化)してフィルムとなす方法で得られる。
前記のポリイミド(フィルム)は、特に限定されるものではないが、下記の芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸(無水物)類との組み合わせが好ましい例として挙げられる。
A.ピロメリット酸残基を有する芳香族テトラカルボン酸類、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類との組み合わせ。
B.フェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とビフェニルテトラカルボン酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
C.ジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類とピロメリット酸残基を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
中でも特にA.のベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン残基を有するポリイミドフィルムが好ましい。
前記のベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類の分子構造は特に限定されるものではなく、具体的には以下のものが挙げられる。これらのジアミンは全ジアミンの70モル%以上することが好ましく、より好ましくは80モル%以上である。
これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましく、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールがより好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
さらに、全ジアミンの30モル%以下であれば下記に例示されるジアミン類を一種または二種以上を併用しても構わない。そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリルおよび上記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
前記の芳香族テトラカルボン酸無水物類の分子構造は特に限定されるものではなく、具体的には、以下のものが挙げられる。これらの酸無水物は全酸無水物の70モル%以上することが好ましく、より好ましくは80モル%以上である。
これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
さらに、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%以下であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種または二種以上を併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
前記の芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とを反応(重合)させてポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの重量が、通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%となるような量が挙げられる。
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌および/または混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液から、本発明の層の一であるポリイミドフィルムを形成するためには、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥することによりグリーンフィルム(自己支持性の前駆体フィルムを得て、次いで、グリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させる方法が挙げられる。支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
支持体上に塗布したポリアミド酸を乾燥してグリーンシートを得る条件は特に限定はなく、温度としては70〜150℃が例示され、乾燥時間としては、5〜180分間が例示される。そのような条件を達する乾燥装置も従来公知のものを適用でき、熱風、熱窒素、遠赤外線、高周波誘導加熱などを挙げることができる。次いで、得られたグリーンシートから目的のポリイミドフィルムを得るために、イミド化反応を行わせる。その具体的な方法としては、従来公知のイミド化反応を適宜用いることが可能である。例えば、閉環触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、必要により延伸処理を施した後に、加熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)が挙げられる。この場合の加熱温度は100〜500℃が例示され、フィルム物性の点から、より好ましくは、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間処理する2段階熱処理が挙げられる。
別のイミド化反応の例として、ポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることもできる。この方法では、ポリアミド酸溶液を支持体に塗布した後、イミド化反応を一部進行させて自己支持性を有するフィルムを形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。この場合、イミド化反応を一部進行させる条件としては、好ましくは100〜200℃による3〜20分間の熱処理であり、イミド化反応を完全に行わせるための条件は、好ましくは200〜400℃による3〜20分間の熱処理である。
本発明の多層ポリイミドフィルムは、面方向での線膨張係数が−10ppm/℃〜20ppm/℃であることが好ましく、より好ましくは−10ppm/℃〜15ppm/℃、さらに好ましくは−10ppm/℃〜10ppm/℃である。線膨張係数がこの範囲を超えると、例えばSiウェハーにこの多層ポリイミドフィルムを接着積層した場合、Siウェハーの線膨張係数との乖離が大きくなり、反りや剥離などの問題が発生し易くなる。
本発明の多層ポリイミドフィルムの引張破断強度は特に限定されないが、250MPa以上が好ましく、より好ましくは300MPa以上、さらに好ましくは350MPa以上である。引張破断強度が250MPaより低いと、搬送中にフィルム破断が起こりやすくなり、歩留まりが低下する。
本発明の多層ポリイミドフィルムの引張破断伸度も特に限定されないが、5%〜80%が好ましく、より好ましくは10%〜75%、さらに好ましくは15%〜70%である。引張破断伸度がこれらの範囲を超えると、搬送中にフィルム破断が起こりやすくなり、歩留まりが低下する。
本発明の多層ポリイミドフィルムの引張弾性率は、6.0GPa以上が好ましく、より好ましくは6.5GPa以上、さらに好ましくは7.0GPa以上である。
本発明の多層ポリイミドフィルムの多層化(積層)方法は、両層の密着に問題が生じなければ、特に限定されるものではなく、例えば、共押し出しによる方法、一方の層である(b)層のポリイミドフィルム上に他方の(a)層のポリイミドのポリアミド酸溶液を流延してこれをイミド化する方法、一方の層である(b)層のポリイミドフィルムの前駆体フィルム上に他方の(a)層ポリイミドの前駆体フィルムを積層し共にイミド化する方法、(b)層上に(a)のポリイミドのポリアミド酸溶液をスプレーコートなどで塗布してイミド化する方法などが挙げられるが、特に好ましい製造方法は、共押し出しによる多層ポリイミドフィルムの製造方法である。
本発明の(b)層ポリイミドの表面に薄く(a)層のポリイミド層を形成した多層ポリイミドフィルムは、(b)層ポリイミド(フィルム)の持つ高弾性率、低線膨張係数をほぼそのまま維持し、かつ表面滑性を改良されたものである。この多層ポリイミドフィルムは、構成が二層構造である(a)層−(b)層でもよいが、三層構造(a)層−(b)層−(a)層であることがより好ましい。
本発明の多層ポリイミドフィルムにおける(a)層と(b)層の厚さの比:(a)/(b)(三層構成の場合においては、両(a)層の合計を示す)は、0.005〜0.5であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.2、さらに好ましくは0.01〜0.1である。(a)/(b)が0.005に満たない場合は、(a)層による表面特性の改良効果が不足する場合があるため好ましくない。一方、(a)/(b)が0.5を超える場合は、(b)層の高弾性率および低線膨張係数が損なわれてしまうため好ましくない。
本発明の多層ポリイミドフィルムにおける(a)層の厚みは0.01μm〜5μmが好ましく、より好ましくは0.05μm〜5μm、さらに好ましくは0.1μm〜5μmである。(a)層が0.01μmに満たない場合は、(a)層による表面特性の改良効果が不足する場合があるため好ましくない。一方、(a)層が5μmを超える場合は、(b)層の高弾性率および低線膨張係数が損なわれてしまうため好ましくない。
また、本発明の多層ポリイミドフィルムの(b)層の厚みは1〜50μmが好ましく、より好ましくは2μm〜40μm、さらに好ましくは3μm〜30μmである。(b)層がこの範囲を超える、極薄ポリイミドフィルムおよび/または極厚ポリイミドフィルムを製膜することは、非常に困難である。
本発明の多層ポリイミドフィルムに用いる無機微粒子の材質は特に限定されず、SiO2、TiO2、B2O3、Al2O3、Sb2O3、BeO、MgO、CaO、SrO等の金属酸化物、AlN等の金属窒化物、IIa族のアルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ra)のオルトリン酸塩化合物、同じくIIa族のアルカリ土類金属の炭酸塩、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ta、W、Pt、Au、Pb、Bi、C、Si等の金属または半金属、鉱物類およびこれらの合金などが挙げられ、これらは複合して用いてもよい。この中でも、SiO2を好ましく用いることができる。
本発明で用いる無機微粒子の平均粒子径は0.05μm〜2.5μmであり、好ましくは0.05μm〜1.0μm、より好ましくは0.05μm〜0.5μm、さらに好ましくは0.05μm〜0.1μmである。平均粒子径が2.5μmを越えるとフィルム表面に突起を形成することに有効ではあるが、フィルムに物理的損傷を与えてフィルムの機械的強度を低下させることがある。一方、平均粒子径が0.05μmよりも小さいと、無機微粒子の二次凝集によってかえって粗大突起などを作りやすい。ここで、本発明における平均粒径とは、レーザー散乱式粒度分布計(LB−500、堀場製作所社製)を用いて得られる粒子径分布より算出した、重量平均粒子径をさす。
本発明で用いる無機粒子の粒子径のCV値は25%以下であり、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。CV値は小さければ小さいほど好ましいが、製造の容易さからは下限値は1%程度である。粒子径のCV値とは、粒子径の標準偏差を平均粒子径で除した値であり、平均粒子径の測定において同時に導出される。CV値が低いことは、粒子径のバラツキが小さいことを意味する。
なお、上述の平均粒子径、CV値を有する無機粒子自体は公知であり、化学還元法により得られる金属微粒子やゾルゲル法により得られる金属酸化物微粒子等が挙げられる。
ポリイミドフィルム中に無機粒子を含有させる手段としては、例えば、ポリイミドフィルムの前駆体であるポリアミド酸の溶液中に無機粒子を配合する手段などがある。具体的には、ポリアミド酸を合成する前に有機極性溶媒に無機粒子を添加して分散させたのちに上述したように酸無水物類とジアミン類とを反応させたり、前記反応途中に無機粒子を添加したり、ポリアミド酸溶液を得た後に無機粒子を添加したりする手段などが挙げられる。好ましくは、上述の手段のうち、ポリアミド酸を合成する前に有機極性溶媒中に無機粒子を添加して分散させる手段、またはポリアミド酸類とジアミン類との反応途中に無機粒子を添加する手段が挙げられる。そのような手段であれば無機粒子を凝集させ難く、効率的に均一に分散させ得る。
本発明の多層ポリイミドフィルムには、(a)層には0.5質量%〜50質量%の無機微粒子を、(b)層には0.1質量%以下の無機微粒子を含有せしめることが必要である。
(a)層における無機微粒子の含有量は、1.0質量%〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは5.0質量%〜50質量%、さらに好ましくは10質量%〜50質量%である。また、(b)層における無機微粒子の含有量は、0.05質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.02質量%以下である。(a)層における無機粒子の含有量が50重量%を超えると、フィルムの機械強度が大幅に低下し、製膜を行うことが困難である。一方、0.5重量%より少ないと滑り性を向上させる効果が少ないため好ましくない。また、(b)層における無機粒子の含有量が0.1重量%を超えると、多層ポリイミドフィルムとして高弾性率を達成できないことがある。(b)層には無機粒子含有しないことが特に好ましい。
上記構造の多層ポリイミドフィルムにすることで表面に凹凸ができ、滑性が向上する。また、使用する滑剤量がフィルム全体として減少し、コスト的にも優位となる。
以下、実施例および比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(又は、N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
2.ポリイミドフィルムの厚さ
測定対象のポリイミドフィルムについて、マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定した。
3.ポリイミドフィルムの引張弾性率、引張破断強度、および引張破断伸
測定対象のポリイミドフィルムについて、下記条件で引張破壊試験を行い、幅方向(TD方向)および長手方向(MD方向)について、引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度を測定した。
装置名 : 島津製作所社製 オートグラフ
サンプル長さ : 100mm
サンプル幅 : 10mm
引張り速度 : 50mm/min
チャック間距離 : 40mm
4.ポリイミドフィルムの線膨張係数(CTE)
測定対象のポリイミドフィルムについて、下記条件にてMD方向およびTD方向の伸縮率を測定し、90〜100℃、100〜110℃、…と10℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を400℃まで行い、100℃から350℃までの全測定値の平均値をCTE(ppm/℃)として算出した。
装置名 : MACサイエンス社製 TMA4000S
サンプル長さ : 10mm
サンプル幅 : 2mm
初荷重 : 34.5g/mm2
昇温開始温度 : 25℃
昇温終了温度 : 400℃
昇温速度 : 5℃/min
雰囲気 : アルゴン
5.無機微粒子の平均粒子径
測定対象の無機微粒子を溶媒に分散し、堀場製作所社製のレーザー散乱式粒度分布計LB−500により粒子径分布を求め、重量平均粒子径を算出した。
6.多層ポリイミドフィルムの評価:耐熱性
多層ポリイミドフィルムをN2雰囲気下で400℃、18時間の加熱処理後の外観検査により、変色の全く見られないものを○、変色が見られるものを×とした。
7.多層ポリイミドフィルムの評価:滑り性
フィルム2枚を重ね合わせ、重ねたフィルムを親指と人差し指で挟み、軽く摺り合わせたときに、フィルムとフィルムが滑る場合を○、滑らない場合を×とした。
8.多層ポリイミドフィルムの評価:ロール巻取り性
長尺状の多層ポリイミドフィルムを巻取りロ−ル(心棒の外径:15cm)に2m/分の速度で巻取る際に、皺が生じず円滑に巻取りが可能である場合を○、部分的に皺が発生する場合を△、皺が発生したりロ−ルに巻きついて円滑に巻取りが出来ない場合を×とした。
〔製造例1〜9〕
(ポリアミド酸溶液A1〜A9の作成)
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール223質量部、N,N−ジメチルアセトアミド4416質量部を加えて完全に溶解させた後、ピロメリット酸二無水物217質量部、コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックス(DMAC−ST30、日産化学工業製)をシリカが表1、表2記載量になるよう加え、25℃の反応温度で24時間攪拌すると、褐色で粘調なポリアミド酸溶液A1〜A9が得られた。
(実施例1〜8)
ポリアミド酸溶液A1とポリアミド酸溶液A3〜A8をステンレスベルトに3層共押し出しT型ダイを用いてコーティングした。ここで、A1を(b)層、A3〜A8を(a)層として用いた。次いで、110℃にて5分間乾燥することにより得られた自己支持性をもつポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離し、3つの熱処理ゾーンを有するピンテンターに通し、一段目150℃×2分、2段目220℃×2分、3段目475℃×4分間の熱処理を行い、テンター通過後20分間に6本のロールを通過させて両面フリーのプロセスを与え、最終的に500mm幅にスリットして、実施例1〜8の多層ポリイミドフィルムを得た。
得られた実施例1〜8の多層ポリイミドフィルムの物性値を表3に示す。なお、表中の(a)層の厚さは、表裏両(a)層の厚さの合計を示す。
(比較例1〜3)
ポリアミド酸溶液A1とポリアミド酸溶液A1、A2をステンレスベルトに3層共押し出しT型ダイを用いてコーティングした。ここで、A1を(b)層、A1、A2を(a)層として用いた。次いで、110℃にて5分間乾燥することにより得られた自己支持性をもつポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離し、3つの熱処理ゾーンを有するピンテンターに通し、一段目150℃×2分、2段目220℃×2分、3段目475℃×4分間の熱処理を行い、テンター通過後20分間に6本のロールを通過させて両面フリーのプロセスを与え、最終的に500mm幅にスリットして、比較例1〜3の多層ポリイミドフィルムを得た。
得られた比較例1〜3の多層ポリイミドフィルムの物性値を表4に示す。なお、表中の「不能」は、品位の良いフィルムを得ることができず、測定不能であることを示す。
(比較例4〜6)
ポリアミド酸溶液A7〜A9とポリアミド酸溶液A6をステンレスベルトに3層共押し出しT型ダイを用いてコーティングした。ここで、A7〜A9を(b)層、A6を(a)層として用いた。次いで、110℃にて5分間乾燥することにより得られた自己支持性をもつポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離し、3つの熱処理ゾーンを有するピンテンターに通し、一段目150℃×2分、2段目220℃×2分、3段目475℃×4分間の熱処理を行い、テンター通過後20分間に6本のロールを通過させて両面フリーのプロセスを与え、最終的に500mm幅にスリットして、比較例4〜6の多層ポリイミドフィルムを得た。
得られた比較例4〜6の多層ポリイミドフィルムの物性値を表4に示す。これらのポリイミドフィルムは表層が非常に脆く容易に剥離するため、滑り性が悪かった。
(比較例7〜13)
ポリアミド酸溶液A3〜A9をステンレスベルトにT型ダイを用いてコーティングした。次いで、110℃にて5分間乾燥することにより得られた自己支持性をもつポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離し、3つの熱処理ゾーンを有するピンテンターに通し、一段目150℃×2分、2段目220℃×2分、3段目475℃×4分間の熱処理を行い、テンター通過後20分間に6本のロールを通過させて両面フリーのプロセスを与え、最終的に500mm幅にスリットして、比較例7〜13の単層ポリイミドフィルムを得た。
得られた比較例7〜13の単層ポリイミドフィルムの物性値を表5に示す。これらのポリイミドフィルムは総じて非常に脆いため、搬送するのが困難であった。
本発明のa)層:平均粒子径が0.05〜2.5μmの無機微粒子を0.5質量%〜50質量%含有する、芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とを反応させて得られるポリイミドを主成分とする層と、(b)層:平均粒子径が0.05〜2.5μmの無機微粒子の含有率が0.1質量%以下である、芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類と反応させて得られるポリイミドを主成分とする層とを積層した長手方向の引張弾性率と幅方向の引張弾性率がいずれも6.0GPa以上の多層ポリイミドフィルムは、微粒子などの滑剤をフィルム全体に対して少ない添加量で含有し、そのためフィルム本来の物性を損なうことが極めて少ない、滑り性のある易滑性多層ポリイミドフィルムとなり、かかるポリイミドフィルムは銅張積層基板や回路基板などの絶縁性基板なに有効であり、工業的に極めて有意義である。

Claims (3)

  1. 下記(a)層と(b)層とが少なくとも積層されてなり、(a)層と(b)層の厚さの比:(a)/(b)が0.01〜0.1、(b)層の厚さが2μm〜40μm、長手方向の引張弾性率と幅方向の引張弾性率がいずれも6.0GPa以上であることを特徴とする絶縁性基板用多層ポリイミドフィルムを巻き取りロールに巻き取ってなるフィルムロール。
    (a)層:平均粒子径が0.05〜2.5μmの無機微粒子を0.5質量%〜50質量%含有する、少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてピロメリット酸、芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール構造を有するポリイミドを主成分とする層。
    (b)層:無機微粒子の含有率が0.1質量%以下である、少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてピロメリット酸、芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール構造を有するポリイミドを主成分とする層。
  2. 多層ポリイミドフィルムの構成が(a)層−(b)層−(a)層の三層構造である請求項1記載の絶縁性基板用多層ポリイミドフィルムを巻き取りロールに巻き取ってなるフィルムロール。
  3. 面方向での線膨張係数が−10ppm/℃〜10ppm/℃である請求項1〜2のいずれかに記載の絶縁性基板用多層ポリイミドフィルムを巻き取りロールに巻き取ってなるフィルムロール。
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