JP2555742B2 - 積層フィルム - Google Patents

積層フィルム

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JP2555742B2 JP1256184A JP25618489A JP2555742B2 JP 2555742 B2 JP2555742 B2 JP 2555742B2 JP 1256184 A JP1256184 A JP 1256184A JP 25618489 A JP25618489 A JP 25618489A JP 2555742 B2 JP2555742 B2 JP 2555742B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は芳香族ポリアミドから成る積層フィルムに関
するものである。
[従来の技術] 粒子を含有した芳香族ポリアミドフィルムとしては、
たとえば特開昭60-127523号のフィルムが知られてい
る。
[発明が解決しようとする課題] しかし、従来の芳香族ポリアミドフィルムは、フィル
ムの加工工程、たとえば包装用途における印刷工程、磁
気媒体用途における磁性層塗布や蒸着工程、あるいは感
熱転写用途における感熱転写層塗布などの工程速度の増
大にともない、接触するロールによってフイルム表面に
傷がつくという欠点が最近、問題となってきている。ま
た、高温・高湿下で、フイルムを取り扱う時に摩擦係数
が高くなり、ハンドリング性が不良になるという問題点
も出てきている。
さらに、フイルムの主要な用途であるビデオテープ
は、ソフト用(制作された映像作品をパッケージ媒体に
記録固定、複製・増製したもの)に用いられるケースが
多く、この場合、従来のビデオテープではマスターから
の高速でダビングするときのS/Nの低下が大きく、画質
が悪くなるという問題点もある。
本発明はかかる問題点を改善し、表面が傷つきにくく
(以下耐久性という)、高温・高湿下での走行性、ハン
ドリング性の良好なフイルムを提供することを目的とす
る。
[課題を解決するための手段] 本発明は、芳香族ポリアミドから成る積層フィルムで
あって、該フィルムはB層の少なくとも片面に不活性粒
子を含有するA層が積層されており、A層に含有される
不活性粒子の平均粒径がA層厚さの0.1〜10倍、該粒子
のA層における含有量が0.5〜50wt%、A層の厚さが0.0
05〜3μmであることを特徴とする積層フイルムであ
る。
本発明の芳香族ポリアミドとは一般式 HN−Ar1−NHOC−Ar2−CO で示される繰り返し単位を50モル%以上含む重合体から
成るものが好ましく、より好ましくは、70モル%以上で
ある。
ここでAr1、Ar2は少なくとも1個の芳香環を含み、同
一でも異なっていてもよく、これらの代表例としては次
のものがあげられる。
また、これらの芳香環の環上の水素の一部が、ハロゲ
ン基(特に塩素)、ニトロ基、C1〜C3のアルキル基(特
にメチル基)、C1〜C3のアルコキシ基などの置換基で置
換されているものも含む。また、Xは−O−、−CH
2−、−SO2−、−S−、−CO−などである。これらは単
独または共重合の形で含まれる。
特に薄物の磁気テープ用途などには、機械特性、環境
変化(温度、湿度)に対する寸法安定性などの点から、
パラ結合を主体としたものが好ましく、さらに芳香環に
塩素を導入したものがより好ましい。
例えば、 (ここでp,qは0〜3でp+q≧1) を50モル%以上含むものが挙げられる。
また、本発明の芳香族ポリアミドには本発明を阻害し
ない範囲内で、A、B各層に、滑剤、酸化防止剤、その
他の添加剤等や他のポリマーがブレンドされてもよい。
また本発明のA、B各層のポリマ組成は同じでも異な
る種類のものでもよい。
本発明のA層中の不活性粒子は、フィルム中での粒径
比(粒子の長径/短径)が1.0〜1.3の粒子、特に、球形
状の粒子の場合に耐久性、走行性がより一層良好となる
ので望ましい。
また、本発明のA層中の不活性粒子は単一粒子指数が
0.5以上、好ましくは0.7以上である場合に耐久性、走行
性がより一層良好となるので特に望ましい。
本発明のA層中の不活性粒子の種類は特に限定されな
いが、上記の好ましい粒子特性を満足するにはアルミナ
珪酸塩、1次粒子が凝集した状態のシリカなどは好まし
くなく、コロイダルシリカに起因する実質的に球形のシ
リカ粒子、架橋高分子による粒子(たとえば架橋ポリス
チレン)などがよい。またその他の粒子、例えば炭酸カ
ルシウム、二酸化チタン、アルミナ等の粒子でも層厚さ
と平均粒径の適切なコントロールにより十分使いこなせ
るものである。
不活性粒子の大きさは、A層中での平均粒径がフイル
ム厚さの0.1〜10倍が必要であり、好ましくは0.5〜5
倍、さらに好ましくは1.1〜3倍の範囲である。平均粒
径/A層厚さの比が上記の範囲より小さいと耐久性、走行
性が不良となり、逆に大きくても耐久性、走行性、摩擦
係数が不良となるので好ましくない。
またA層中の不活性粒子は平均粒径が0.005〜0.5μm
が好ましく、より好ましくは0.02〜0.45μmの範囲であ
る場合に、耐久性、走行性、摩擦係数がより一層良好と
なるので望ましい。
本発明のA層中の不活性粒子の含有量は0.5〜50wt%
が必要であり、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましく
は2〜15wt%である。不活性粒子の含有量が上記の範囲
より少なくても、逆に大きくても耐久性が不良となるの
で好ましくない。
本発明のA層の厚さは0.005〜3μmが必要であり、
好ましくは0.01〜1μm、さらに好ましくは0.03〜0.5
μmである。A層の厚さが上記の範囲より小さいと耐久
性、摩擦係数が不良となり逆に大きいと耐久性が不良と
なるので好ましくない。
本発明のA層の表面の平均突起高さは5〜500nm、好
ましくは10〜300nm、さらに好ましくは15〜200nmの範囲
である場合に耐久性、摩擦係数がより一層良好となるの
で特に望ましい。
本発明のA層の表面の中心線深さRpは特に限定されな
いが、Rpが200nm以下、特に150nm以下の場合に出力特性
がより一層良好となるので特に望ましい。
一方、B層には不活性粒子を含有している必要は特に
ないが、平均粒径が0.005〜2μm、特に0.02〜0.45μ
mの不活性粒子が0.001〜0.2wt%、特に0.005〜0.15wt
%含有されていると、摩擦係数、耐久性がより一層良好
となるのみならず、フイルムの巻姿が良好となるのでき
わめて望ましい。含有する不活性粒子はA層に用いられ
るものと種類、大きさは同じでも異なっていても良い。
上記の積層構成はA/B,あるいはA/B/Aなどがあるが、
もちろんA層と異なる表面状態を有するC層をA層と反
対面に設けたA/B/Cでも、あるいはそれ以上の多層構成
でもよい。
本発明の積層フィルムの厚みは0.5〜50μm、より好
ましくは1〜20μm、さらに好ましくは2〜10μmであ
る。
本発明の積層フィルムは、少なくとも一方向のヤング
率が400kg/mm2以上、より好ましくは700kg/mm2以上であ
る。また縦方向と横方向のヤング率比は0.3〜3、より
好ましくは0.5〜2の範囲にある場合に耐久性、出力特
性が良好であり望ましい。
本発明の積層フィルムは、屈曲試験後の強度保持率が
70%以上であることが好ましい。より好ましくは80%以
上である。
さらにA層の表面硬度は10以上、より好ましくは20以
上の場合、耐久性、走行性がいっそう向上するので望ま
しい。
また熱収縮率は、250℃(10分間の測定)で10%以
下、より好ましくは5%以下である。
次に本発明の製造法について説明するが、これに限定
されるものではない。
まず、芳香族ポリアミドであるが、酸クロリドとジア
ミンとからの場合は、N−メチルピロリドン(NMP)、
ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド
(DMF)などの非プロトン性有機極性溶媒中で、溶液重
合したり、水系媒体を使用する界面重合などで合成され
る。ポリマ溶液は、単量体として酸クロリドとジアミン
を使用すると塩化水素が副生するため、これを中和する
ために水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウ
ムなどの無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロ
ピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、ト
リエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機の
中和剤を添加する。
また、イソシアネートとカルボン酸との反応は、非プ
ロトン性有機極性溶媒中、触媒の存在下で行なわれる。
これらのポリマ溶液はそのままフィルムを形成する製
膜原液にしてもよく、ポリマを一度単離してから上記の
溶媒に再溶解して製膜原液を調製してもよい。また有機
の中和剤を使用した場合には、加熱や減圧下にポリマ溶
液を放置して中和物の一部または全部を蒸発させてから
製膜に供することもできる。
製膜原液には溶解助剤として無機塩、例えば塩化カル
シウム、塩化マグネシム、塩化リチウム、硝酸リチウム
などを添加する場合もある。製膜原液中のポリマ濃度は
2〜40wt%程度が好ましい。
上記のように調製された製膜原液は、いわゆる溶液製
膜法によりフィルム化が行なわれる。溶液製膜法には乾
湿式法、乾式法、湿式法などがあるが、乾湿式法、乾式
法が表面性のよいフィルムを得るには好ましい。
なお芳香族ポリアミドの製膜原液中に不活性粒子を含
有せしめる方法としては、重合前に粒子を添加しておく
方法、重合後に添加する方法、製膜直前に製膜原液に混
練する方法などを採用できる。
湿式法で製膜する場合には該原液を口金から直接製膜
用浴中に押し出すか、又は一旦ドラム等の支持体上に押
し出し、支持体ごと湿式浴中に導入する方法が採用され
る。この浴は一般に水系媒体からなるものであり、水の
他に有機溶媒や無機塩等を含有していてもよい。湿式浴
を通すことでフィルム中に含有された塩類、有機溶媒等
の抽出が行なわれるが、これら湿式浴全体を通過する時
間はフィルムの厚みにもよるが10秒〜30分である。さら
にフィルムの長手方向に延伸が行なわれる。次いで乾
燥、横延伸、熱処理が行なわれるがこれらの処理は一般
に200〜500℃で、合計で1秒〜30分である。
乾湿式法で製膜する場合は該原液を口金からドラム、
エンドレスベルト等の支持体上に押し出して薄膜とし、
次いでかかる薄膜層から溶媒を飛散させ薄膜が自己保持
性をもつまで乾燥する。乾燥条件は室温〜300℃、60分
以内の範囲である。乾式工程を終えたフィルムは支持体
から剥離されて湿式工程に導入され、上記の湿式法と同
様に脱塩、脱溶媒などが行なわれ、さらに延伸、乾燥、
熱処理が行なわれてフィルムとなる。
乾式法のプロセスを採用した場合には、ドラム、ある
いはエンドレスベルト等の上で乾燥され、自己保持性を
もったフィルムを、これら支持体から剥離し、フィルム
の長手方向に延伸を行なう。さらに残存溶媒を除去する
ための乾燥や、延伸、熱処理が行なわれるが、これらの
処理は200〜500℃で1秒〜30分である。
以上のように形成されるフィルムはその製膜工程中で
延伸が行なわれるが、延伸倍率は面倍率で0.8〜5.0(面
倍率とは延伸後のフィルム面積を延伸前のフィルムの面
積で除した値で定義する。1以下はリラックスを意味す
る。)の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは
1.1〜3.0である。
また本発明の積層フィルムの屈曲試験後の強度保持率
を高く維持するには延伸あるいは熱処理後のフィルムを
除冷することが有効であり、100℃〜200℃の条件で1秒
以上保持することが有効である。
本発明の積層フィルムを形成するには、A層側に相当
する製膜原液と、B層側に相当する製膜原液の2種類を
公知の方法例えば特開昭56-162617のように合流管で積
層したり、口金内で積層して形成することができる。ま
たいずれか一種の製膜原液でフィルムを形成しておき、
その上に他の製膜原液を流延して脱溶媒を行ない、積層
フィルムとすることもできる。特に合流管や、口金内で
積層する場合は、原液の粘度が100〜10000ポイズになる
ように調節することが好ましい。この範囲より小さいと
原液が口金から出る前に液どうしが混合しやすくなり好
ましくない。また各層の液の粘度は同じことが好ましい
が、多少の粘度差があってもよく、粘度差は50%以内を
目標とするとよい。
さらに乾式法、乾湿式法を採用する場合、乾燥工程中
で各液が混合することがある。支持体上へキャストされ
た原液は加熱されると一旦粘度が低下し、その後溶媒の
蒸発に伴なって再び粘度が上昇するが、粘度が10ポイズ
より下がると各液が混合しやすくなるので、10ポイズ好
ましくは50ポイズより粘度が下がらないよう乾燥条件を
十分調節する必要がある。例えば乾燥温度を少なくとも
2段階に分けて上げていく方法が採用できる。
以上のようにして本発明の積層フィルムは製造される
が、さらに磁性層やコーテイング層などを付着させる前
に前処理として、グロー放電処理やコロナ放電処理を施
すと磁性層やコーテイング層の密着性、耐久性が向上し
より好ましい。
[効果] 本発明は、芳香族ポリアミドフィルム中に不活性粒子
を含有せしめ、粒子の大きさとA層の関係、含有量、層
厚さを特定範囲としたため、耐久性や走行性が非常に優
れたものとなる。本発明の積層フィルムの用途は特に限
定はないが、磁気記録媒体、感熱転写リボンやその他印
刷を施して使用する用途などがあり、耐久性や走行性の
向上にその効果は大きい。また優れた耐熱性を有してい
るが、高温で使用したり加工する際にもこの効果は維持
できる。特に、加工工程でフィルム表面の傷が製品の性
能上特に問題になる磁気記録媒体では、この積層フィル
ムをベースフィルムとして使用するとその効果は顕著で
ある。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法] 本発明の特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次
の通りである。
(1)粒子の平均粒径 フィルムの断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で写真観
察し、粒子を検知する。この写真をイメージアナライザ
ーで、粒子数100個以上について数値処理し、数平均径
Dを平均粒径とする。
D=ΣDi/N (ここで、Diは粒子の円相当径、Nは粒子数) (2)粒径比 上記(1)の測定において、粒子の(長径の平均値)
/(短径の平均値)の比で表わし、下式で計算される。
長径=ΣD1i/N、短径=ΣD2i/N (ここで、D1i、D2iはそれぞれ個々の粒子の長径(最大
径)と短径(最短径)、Nは粒子数) (3)単一粒子指数 上記(1)の測定において、粒子の占める全面積を
A、そのうち2個以上の粒子が凝集している凝集体の占
める面積をBとしたとき、(A−B)/Aをもって単一粒
子指数とする。
(4)Ra(中心線平均粗さ)、Rp(中心線深さ) 小坂研究所製の薄膜段差測定器(ET−10)を用い、触
針先端半径0.5μm、触針荷重5mgカットオフ値0.008m
m、測定長0.5mmの条件で10回測定し、その平均値でRa、
Rpを表わした。
なお、Ra、Rpの定義は、たとえば奈良治郎著「表面粗
さの測定、評価法」(総合技術センター、1983)に示さ
れているものである。
(5)屈曲試験後の強度保持率 JPCA規格(JPCA-FC01-1986)の耐屈曲性試験機にフィ
ルム単体をセットし(ここでループの内径は5mmとす
る)、毎分120回程度の速度で往復運動を繰り返す。100
00回往復させた後のフィルムを引っ張り試験機で強度を
測定し、屈曲試験を行なわないフィルムの強度と比較し
て強度保持率を求める。
(6)耐久性 フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたも
のをテープ走行性試験機を使用して、ガイドピン(表面
粗度:Raで100nm)上を走行させる(走行速度100m/分、
走行回数10パス、巻き付け角:60°、走行張力:20g)。
ここでA層をガイドピン側にして走行させる。
試験後、テープのA層側に入った傷を顕微鏡で観察
し、幅2.5μm以上の傷がテープ幅あたり10本未満は
○、10本以上は×と判定した。
(7)走行性 フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたも
のをテープ走行性試験機を使用して、ガイドピン(表面
粗度:Raで100nm)上を走行させる(走行速度100m/分、
走行回数10パス、巻き付け角:60°、走行張力:65g)。
ここでA層をガイドピン側にして走行させる。この時、
動摩擦係数の変動を測定し、変動値が20%以内のものは
○、これをこえるものは×とした。測定雰囲気は60℃、
80%RHである。
(8)A層の厚さ 2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、フィルム
中の粒子の内最も高濃度の粒子に起因する元素と芳香族
ポリアミドの炭素元素の濃度比(M+/C+)を粒子濃度と
し、A層の表面から深さ(厚さ)方向の分析を行なう。
表層では表面という界面のために粒子濃度は低く表面か
ら遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。本発明フィル
ムの場合は深さ[I]でいったん極大値となった粒子濃
度がまた減少し始める。この濃度分布曲線をもとに極大
値の粒子濃度の1/2になる深さ[II](ここでII>I)
を積層厚さとした。
なお、フィルム中にもっとも多く含有する粒子が有機
高分子粒子の場合はSIMSでは測定が難しいので、表面か
らエッチングしながらXPS(X線光電子分光法)、IR
(赤外分光法)あるいはコンフォーカル顕微鏡などで、
その粒子濃度のデプスプロファイルを測定し、上記同様
の手法から積層厚さを求めても良い。
さらに、上述した粒子濃度のデプスプロファイルから
ではなく、フィルムの断面観察あるいは薄膜段差測定機
等によってA層の積層厚さを求めてもよい。
[実施例] 以下に実施例に基づいて本発明を説明する。ただし本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 NMPを溶媒としてこの中に2−クロルパラフェニレン
ジアミン80モル%、4,4′−ジアミノジフェニルエーテ
ル20モル%のアミン成分と、2−クロルテレフタル酸ク
ロリド100モル%の酸成分を添加して重合し、さらに炭
酸リチウムで中和した。さらにこの中にNMP中に分散し
た平均粒径0.25μmのコロイダルシリカを添加し十分撹
拌してA層用のポリマ溶液を得た。コロイダルシリカの
含有量は15wt%(コロイダルシリカ/(コロイダルシリ
カ+芳香族ポリアミド))である。同様の方法で平均粒
径0.1μmのコロイダルシリカを0.05wt%含有するB層
用のポリマ溶液を製造した。いずれのポリマ溶液も、ポ
リマ濃度11wt%、溶液粘度を30℃で3000ポイズに調整し
て製膜原液とした。
これらの原液を2台の押出機で合流管に供給し、この
中で積層して金属ベルト上へ流延した。押出量を調節す
ることで最終の積層フィルムのA層の厚さを0.2μmに
なるように、また積層フィルムの厚みを10μmになるよ
うに条件を決めた。この流延されたフィルムを、まず10
0℃で乾燥し次いで140℃で自己保持性を持つまで乾燥
後、ベルトから剥離して水槽中に導入し、脱溶媒と脱塩
を行ない、次いでテンター内で水分の乾燥と熱処理、冷
却を行なって最終フィルムを得た。この間でフィルムは
水槽中で長手方向(MD方向)に1.3倍、テンター内で幅
方向(TD方向)に1.3倍延伸された。また熱処理は310℃
で5分、冷却は150℃で5秒保持した。
得られた10μm厚みの芳香族ポリアミドフィルムは、
MD、TD方向ともヤング率は1,200kg/mm2、強度56kg/m
m2、伸度48%と機械特性のすぐれたものであった。
次いでこのフィルムをスリットし耐久性、走行性を評
価したが非常に優れたものであった。あおこのフィルム
の屈曲試験を行なったところ強度保持率は95%と良好な
ものであった。
実施例2 実施例1と同じポリマを用い、コロイダルシリカの平
均粒径、添加量、及びA層の厚みを第1表の条件になる
ように製膜して10μmのフィルムを得た。このフィルム
をテープ状にスリットし評価を行なったところ、耐久
性、走行性とも良好なものであった。
実施例3 2−クロルパラフェニレンジアミン85モル%と4,4′
−ジアミノジフェニルスルホン15モル%をアミン成分と
し、2−クロルテレフタル酸クロリド100モル%を酸成
分としてNMP中で重合し、さらに水酸化リチウムで中和
してポリマ溶液を得た。なおコロイダルシリカは第1表
の条件になるように重合前に添加しておいて、A層、B
層の各々を形成する2種のポリマ溶液を作製した。これ
を2台の押出機を用いて口金に供給し、口金内で積層し
た。次いで実施例1と同様の工程で製膜し、さらにこの
フィルムをスリットして評価を行なったところ、耐久
性、走行性とも非常に良好であった。
この芳香族ポリアミドフィルムの機械特性は、ヤング
率1,200kg/mm2、強度52kg/mm2、伸度53%であった。ま
た熱収縮率を250℃、10分の条件で測定したところ、0.8
%であった。
比較例1〜4 実施例1と同じポリマを用い、コロイダルシリカの平
均粒径、添加量、及びA層の厚みを第1表のように本発
明から外れた条件になるように設定して製膜し、10μm
のフィルムを得た。これらの積層フィルムをスリットし
耐久性、走行性を測定したところ、満足できるものはな
かった。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ポリアミドから成る積層フィルムで
    あって、該フィルムはB層の少なくとも片面に不活性粒
    子を含有するA層が積層されており、A層に含有される
    不活性粒子の平均粒径がA層厚さの0.1〜10倍、該粒子
    のA層における含有量が0.5〜50wt%、A層の厚さが0.0
    05〜3μmであることを特徴とする積層フィルム。
  2. 【請求項2】B層が実質的に不活性粒子を含有しないこ
    とを特徴とする請求項(1)記載の積層フィルム。
  3. 【請求項3】B層が平均粒径0.005〜2μmの不活性粒
    子を0.001〜0.2wt%含有することを特徴とする請求項
    (1)記載の積層フィルム。
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