JPH10279710A - 芳香族ポリアミドフイルムおよびそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

芳香族ポリアミドフイルムおよびそれを用いた磁気記録媒体

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JPH10279710A
JPH10279710A JP8947197A JP8947197A JPH10279710A JP H10279710 A JPH10279710 A JP H10279710A JP 8947197 A JP8947197 A JP 8947197A JP 8947197 A JP8947197 A JP 8947197A JP H10279710 A JPH10279710 A JP H10279710A
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film
recording medium
magnetic recording
curl
aromatic polyamide
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JP8947197A
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Nobuaki Ito
伸明 伊藤
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】再現性よく平坦性が良好な磁気記録媒体を得る
ことのできる芳香族ポリアミドフイルムを提供する。 【解決手段】200℃でのMD方向の熱収縮率が0.0
5〜2%、磁性層を設ける面と反対側の面の十点平均粗
さRzが10〜200nm、MD方向のF−1値XとT
D方向のF−1値Yの比X/Yが0.5〜0.9である
ことを特徴とする芳香族ポリアミドフイルムとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密度記録媒体に
好適な芳香族ポリアミドフイルム、およびそれを用いた
磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリアミドフィルムは、その優れ
た耐熱性、機械特性を活かして種々の用途に検討されて
いる。特にパラ配向系の芳香族ポリアミドは、剛性、強
度等の機械特性が他のポリマより優れているため、フィ
ルムの薄物化に非常に有利であり、プリンターリボン、
磁気テープ、コンデンサー等の用途が考えられ、例え
ば、磁気記録媒体としては特開昭58ー168655、特開昭62ー
112218などが知られている。
【0003】磁気記録媒体分野においては、真空蒸着、
スパタリング、イオンプレーテイングなどの方法によ
り、Co、Ni、Crなどを基材フイルム上に形成させ
た金属薄膜型の磁気記録媒体が記録密度の向上に有望視
されている。金属薄膜型の磁気記録媒体は面内の記録密
度の向上と同時に磁性層が薄くできるため記録媒体全体
の厚みを薄くできるので、長尺化が可能であり、記録容
量の増大に非常に有効である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】金属薄膜型の磁気記録
媒体は、磁性層形成時に熱がかかるため、耐熱性フイル
ムを使用して熱的損傷を減らすことが有効であるが、磁
性層を形成する際にフイルムのカールが大きく、カール
の除去が難しい。この対策として、例えば特開昭56-169
38ではカール戻しに必要なフイルムの高温での熱収縮率
の範囲を提案しているが、再現性よく平滑な磁気テープ
を得るには充分ではないことがわかった。
【0005】本発明はかかる問題点を解決し、芳香族ポ
リアミドの優れた高剛性、耐熱性を活かし、平坦な磁気
記録媒体を再現性良く得ることができる芳香族ポリアミ
ドフイルムおよびこれを用いた磁気記録媒体を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】 本発明は、20
0℃でのMD方向の熱収縮率が0.05〜2%、磁性層
を設ける面と反対側の面の十点平均粗さRzが10〜2
00nm、MD方向のF−1値XとTD方向のF−1値
Yの比X/Yが0.5〜0.9であることを特徴とする
芳香族ポリアミドフイルム、およびこのフイルムの一面
に磁性層を設けてなることを特徴とする磁気記録媒体で
ある。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の芳香族ポリアミドとして
は、次の一般式(I)および/または一般式(II)で表
わされる繰り返し単位を50モル%以上含むものが好ま
しく、70モル%以上からなるものがより好ましい。
【0008】一般式(I)
【化1】 一般式(II)
【化2】 ここで、Ar1、Ar2、Ar3は 例えば、
【化3】 などが挙げられ、X、Yは −O−,−CH2−,−CO−,−SO2−, −S−,
−C(CH32− 等から選ばれるが、これに限定されるものではない。更
にこれらの芳香環上の水素原子の一部が、ハロゲン基
(特に塩素)、ニトロ基、C1 〜C3 のアルキル基(特
にメチル基)、C1 〜C3 のアルコキシ基などの置換基
で置換されているものも含み、また、重合体を構成する
アミド結合中の水素が他の置換基によって置換されてい
るものも含む。特性面からは上記の芳香環がパラ位で結
合されたものが、全芳香環の50%以上、好ましくは7
0%以上を占める重合体が、フィルムの剛性が高く耐熱
性も良好となるため好ましい。また吸湿率を小さくする
点からは、芳香環上の水素原子の一部がハロゲン基(特
に塩素)で置換された芳香環が全体の30%以上である
重合体が好ましい。
【0009】芳香族ポリアミドのより好ましい構造とし
ては
【化4】 (ここでm、nは0〜4)を50モル%以上、さらに好
ましくは70モル%以上からなるものである。
【0010】本発明の芳香族ポリアミドは、一般式
(I)および/または一般式(II)で表される繰り返し
単位を50モル%以上含むものが好ましく、たとえば芳
香族ポリイミドなど他の繰り返し単位が50モル%未
満、共重合、または、ブレンドされていてもよく、また
フィルムの物性を損なわない程度に、導電性粒子、滑
剤、酸化防止剤その他の添加剤等がブレンドされていて
もよい。
【0011】本発明のフイルムの厚さは1.5μm以上
10μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以上7
μm以下である。1.5μmより薄いとテープとしたと
きの強度が不足し、10μmより厚いとテープが厚くな
り小型化、長時間化が難しくなる傾向がある。
【0012】本発明のフイルムは200℃でのMD方向
の熱収縮率が0.05〜2%であり、好ましくは0.1
〜1%である。0.05%より小さいとMD方向のカー
ルを戻すことができない。一方、2%より大きいと逆方
向にカールしたり、一旦はカールが戻っても使用時に徐
々に変形して再びカールが発生したりする問題が生じ
る。
【0013】本発明のフイルムは磁性層を設ける面(A
面と称する)と反対側の面(B面と称する)の十点平均
粗さRzが10〜200nmであることが必要であり、
好ましくは20〜100nmである。カールを戻す際に
は加熱ロールに接触させてフイルムを収縮させる方法が
よく行われ、磁性層を傷つけないためにはB面を加熱ロ
ールに接触させる。この際にB面のRzが10nmより
小さいとフイルムとロールの摩擦が大きくなり、カール
が戻らなかったり、戻りが不均一になり、再現性よく平
坦な磁気記録媒体ができない。一方、B面のRzが20
0nmより大きいと、加熱されたフイルムが変形して磁
性面があれ、さらに、ロール上でフイルムが滑りすぎ、
ロールとの接触の安定性に欠ける。これらのカール戻し
のためにはフイルムのB面の摩擦係数は0.1〜2が好
ましい。
【0014】本発明のフイルムはMD方向のF−1値X
とTD方向のF−1値Yの比X/Yが0.5〜0.9で
あることが必要であり、好ましくは0.6〜0.8であ
る。ここでF−1値とは、フイルムが1%伸びた際のフ
イルムの強度である。このF−1値が0.5より小さい
とMD方向の強度が不足するため加熱ロール上でフイル
ムが伸びて、カールは戻らない。一方、0.9より大き
いと幅方向の強度が不足してTD方向の収縮が不均一に
なり、シワが入ったりタルミが発生する。
【0015】本発明のMD方向のF−1値は、テープに
した際に十分な強度となる、6kg/mm2以上が好ま
しく、より好ましくは8kg/mm2以上である。
【0016】本発明のフイルムはB面の粗さや摩擦係数
を維持するために、フイルム中に粒子を存在させておく
ことが好ましい。粒子の種類としては、SiO2、Ti
2、Al23、CaSO4、BaSO4、CaCO3、カ
−ボンブラック、ゼオライト、その他の金属微粉末など
の無機粒子や、シリコン粒子、ポリイミド粒子、架橋共
重合体粒子、架橋ポリエステル粒子、テフロン粒子など
の有機高分子などがあるが、耐熱性の点から無機粒子が
より好ましい。粒子径は0.01〜2.0μmが好まし
く、より好ましくは0.05〜0.5μmである。ま
た、粒子の含有量は0.01〜10wt%が好ましく、
0.1〜5wt%がより好ましい。
【0017】A面とB面との表面性は同じでも異なって
いてもよいが、摩擦係数を下げることで磁気記録媒体を
生産する際の走行安定性や、カール戻し時の再現性を向
上させることができるので、特に金属薄膜型の場合には
B面側をA面側より粗らすことが好ましい。表面性を変
えるには公知の方法で行うことができ、例えば表面に粒
子とバインダーを塗布する方法、口金や積層管で積層す
る方法などがある。
【0018】フイルムの磁性面側の平均表面粗さRa
は、0.1〜30nmが好ましく、より好ましくは0.
2〜10nmである。
【0019】また本発明のフイルムのヤング率はMD方
向が800kg/mm2以上、TD方向は1000kg
/mm2以上あることが好ましい。
【0020】本発明のフイルムの伸度は10%以上が好
ましく、より好ましくは20%以上、更に好ましくは3
0%以上であるとテープが適度な柔軟性を持つので望ま
しい。
【0021】本発明のフィルムの吸湿率は、4%以下が
好ましく、より好ましくは3%以下、更に好ましくは2
%以下である。吸湿率が小さいほど湿度変化によるテー
プの寸法変化が小さく良好な電磁変換特性を保てるので
望ましい。
【0022】さらに本発明のフイルムは、金属薄膜型の
磁気記録媒体に用いると優れた効果が発揮できるが、酸
化鉄やメタル粉をバインダーとともに塗布する磁気記録
媒体として使用することもでき、金属薄膜型と同様にカ
ールの調節に有効である。
【0023】本発明の磁気記録媒体は、上記のフイルム
に磁性層を設けたものである。記録媒体の全厚は厚すぎ
ると小型化することができなくなる場合があるので10
μm以下が好ましく、より好ましくは7μm以下、さら
に好ましくは5μm以下である。
【0024】磁性層の厚さは好ましくは2μm以下、よ
り好ましくは1μm以下である。短波長記録には薄い方
が良いが薄すぎると出力の低下を招くので下限は一般に
は0.1μm以上が好ましい。磁性層としては、Ni、
Cr、Fe、Co等の金属やこれらの合金が用いられる
が、限定されない。
【0025】磁気記録媒体としては、一般にはバックコ
ート層を設けることが好ましい。金属薄膜型の場合、カ
ール戻しを行ってからバックコート層を設けると良い。
バックコート層の厚さは1μm以下であることが好まし
い。
【0026】さらに磁性層の上には、耐久性向上のため
に保護層を設けることができる。例えばカーボン層や潤
滑剤層などであり、1種あるいは数種組み合わせて設け
ることができる。
【0027】次に本発明の製造方法について説明する
が、これに限定されるものではない。
【0028】芳香族ポリアミドは、酸クロリドとジアミ
ンから得る場合には、N−メチルピロリドン(NM
P)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホ
ルムアミド(DMF)などの非プロトン性有機極性溶媒
中で、溶液重合したり、水系媒体を使用する界面重合な
どで合成される。単量体として酸クロリドとジアミンを
使用することによって副生する塩化水素を中和する場合
には、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、炭酸カルシ
ウム、炭酸リチウムなどの無機の中和剤、または、エチ
レンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、
トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノー
ルアミンなどの有機の中和剤が使用される。また、イソ
シアネートとカルボン酸との反応は、非プロトン性有機
極性溶媒中、触媒の存在下で行なわれる。
【0029】これらのポリマ溶液はそのまま製膜原液と
して使用してもよく、あるいはポリマを一度単離してか
ら上記の有機溶媒や、硫酸等の無機溶剤に再溶解して製
膜原液を調製してもよい。
【0030】本発明の芳香族ポリアミドフィルムを得る
ためにはポリマの固有粘度(ポリマ0.5gを硫酸中で
100mlの溶液として30℃で測定した値)は、0.
5以上であることが好ましい。製膜原液には溶解助剤と
して無機塩、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシ
ム、塩化リチウム、硝酸リチウムなどを添加する場合も
ある。製膜原液中のポリマ濃度は2〜40wt%程度が好
ましい。
【0031】粒子の添加方法は、粒子を予め溶媒中に十
分スラリ−化した後、重合用溶媒または希釈用溶媒とし
て使用する方法や、製膜原液を調製した後に直接添加す
る方法などがある。
【0032】上記のように調製された製膜原液は、いわ
ゆる溶液製膜法によりフィルム化が行なわれる。溶液製
膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法などがありいづれの
方法で製膜されてもよいが、ここでは乾湿式法を例にと
って説明する。
【0033】乾湿式法で製膜する場合は該原液を口金か
らニッケル、ステンレス、銅、チタン、ハステロイ、タ
ンタル等の材質からなるドラム、エンドレスベルト等の
支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層か
ら溶媒を飛散させ薄膜が自己保持性をもつまで乾燥す
る。乾燥条件は室温〜250℃、60分以内が好まし
く、より好ましくは室温〜200℃である。乾燥温度が
250℃を越えると急激な加熱によるボイドの発生、表
面の荒れ等が起こり実用的なフィルムが得られない。
【0034】上記乾式工程を終えたフィルムは支持体か
ら剥離されて湿式工程に導入され、ここでフィルム中に
含有されている溶剤や不純物が除去される。この浴は一
般に水系媒体からなるものであり、水の他に有機溶媒や
無機塩等を含有してもよい。また、この浴は、水を30
%以上好ましくは50%以上含有するのが好ましく、浴
温度は通常0〜100℃で使用される。さらにフイルム
中の不純物を減少させるために浴温を50℃以上に上げ
たり、あるいは有機溶剤の浴を設けてこの中を通すこと
が有効である。本発明のMD方向の熱収縮率を得るに
は、MD方向に実効延伸倍率として1.1倍以上延伸
し、定長下で2秒以上保持することで達成することが好
ましい。実効延伸倍率は、延伸前後の設備の速度比や、
幅方向の機械的比率から求めた値とは通常一致しないこ
とが多いので、実効延伸倍率は、上記乾式工程の支持体
からの剥離直前で正方形の升目を記入し、さらに乾燥、
延伸を終えた最終フイルム上でそれに該当するMD、T
D方向の寸法を測定し、延伸後の寸法を延伸前の寸法で
除して、MD及びTD方向について求める。
【0035】湿式工程を出たフィルムは更に乾燥、延伸
が行われる。乾燥、延伸は250〜400℃で、延伸倍
率は面倍率で0.8〜5.0(面倍率とは延伸後のフィ
ルム面積を延伸前のフィルムの面積で除した値で定義す
る。1以下はリラックスを意味する。)が好ましく、よ
り好ましい延伸倍率は1.1〜3.0である。本発明の
MDとTDのF−1値の比を達成するにはTD/MDの
実効延伸倍率の比を1.1以上にするのが好ましい。
【0036】さらに、TD方向の熱収縮率を所定の範囲
にするためには、上記TDの延伸温度よりも低い温度で
TD方向に再延伸することが好ましい。
【0037】A面とB面で表面性を変えるには公知の方
法で行うことができる。例えば表面に粒子とバインダー
を塗布する方法、口金や積層管で異なる粒子を含有した
ポリな溶液を積層する方法などがある。
【0038】次にこのフィルムに磁性層を設ける。金属
薄膜を設けるには、A面側に事前にグロー放電処理やコ
ロナ処理などの表面処理を行うことがフイルムと磁性層
の密着性を向上させるに有効である。
【0039】次いで真空蒸着やスパタリング等の方法で
磁性層を設ける。この際A面を内側にしてカールが発生
することが多いが、磁気記録媒体として使用するにはカ
ールを除去する必要がある。このためにはB面側を加熱
ロールに接触させてフイルムを加熱収縮させ、カールを
除去する方法が、生産性、安定性の点で好ましい。また
B面側をロールに接触させるので、磁性層を傷つけるこ
ともない。カールは完全に除去され平坦であることが望
ましいが、磁性面と磁気ヘッドとの接触が良好に維持さ
れれば多少の残留は問題とならない。またカールの方向
はカール量が小さければ内面、あるいは外面のどちら側
でも支障はない。
【0040】さらにカール除去後、磁性層と反対側の面
に公知の方法によりバックコート層を設けることが好ま
しい。これらの処理が終わった後、スリットして本発明
の磁気記録媒体が得られる。
【0041】測定方法、評価法 本発明の物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に
よる。
【0042】(1)熱収縮率 幅10mm×長さ250mmのMD方向に長いサンプル
を切り出し200mmの間隔に標線を描いた。これを2
00℃のオーブンで10分間加熱後、フイルムを取り出
し標線の間隔を測定し、加熱前後の寸法より収縮率を求
めた。
【0043】(2)十点平均粗さRz 小坂研究所製の薄膜段差測定器(ET−10)で、触針
先端半径0.5μm、触針荷重5mg、カットオフ値
0.008mm、測定長0.5mmの条件で5回測定し
その平均で表した。
【0044】(3)F−1値 インストロンタイプの引っ張り試験機で測定した。試験
片は10mm幅で試長200mm長さ、引張り速度は2
0mm/分である。フイルムが1%伸張した時の強度を
求めた。
【0045】(4)摩擦係数 直径8mm、長さ30mmのクロムメッキを施した金属
ピン(表面粗さは0.4S)に、10mm幅に切り出し
たフイルムのB面側を当て、フイルムを走行させ、その
張力より求めた。
【0046】(5)カール戻し 磁性層は設けられており、バックコート層はない状態で
実施する。
【0047】200℃に加熱された表面粗度0.4Sの
加熱ロールに、MD方向に40kg/cm2の張力でフ
イルムのB面側を0.3秒以上接触させた。
【0048】(6)磁気テープのカール評価 カール戻しを行った試料からMD方向にスリットし、
3.8mm幅のテープを作る。これから長さ10cmの
サンプルを切り出し、25℃、55%RHの雰囲気中で
2時間放置した後、水平面に置いた。
【0049】A.カールの方向 磁性層を内側にしてカールしたものを+、磁性層を外側
にしてカールしたものを−とした。
【0050】B.カール量 MD方向にカールしたテープの曲率半径を計測して求め
た。
【0051】半径が∞(カールなし)〜3cmのものを
○、3〜1cmのものを△、1cmより小さいものを×
とする。
【0052】C.再現性 カール戻しを5回実施し、2回以上カールの曲率が1c
m未満のものを×とした。
【0053】
【実施例】以下、実施例にもとづいて本発明を説明する
が、これらに限定されるものではない。
【0054】実施例1 重合槽に水分率50ppmのNーメチルー2ーピロリド
ン(NMP)を仕込み、この中に芳香族ジアミン成分と
して85モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジ
アミンと、15モル%に相当する4、4’−ジアミノジ
フェニルエ−テルとを溶解させた。これに98.5モル
%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加
し、2時間撹拌して重合を完了した。さらに発生塩化水
素の97モル%を炭酸リチウムで中和し、ついでジエタ
ノールアミンを5モル%添加してポリマ溶液を得た。
【0055】これを2分割し、一方にはNMP中で一次
粒径0.018μmの乾式シリカ粒子を平均粒径0.3
μmに分散させたスラリーを、粒子量がポリマに対して
1.8wt%となるように添加した。そしてポリマ濃度
11wt%、30℃での溶液粘度を4000ポイズに調
整して製膜原液とした(これをB液とする)。
【0056】もう一方のポリマ溶液には一次粒径0.0
8μmの単分散粒子を0.1wt%添加してポリマ濃度
11wt%、30℃での溶液粘度を4100ポイズに調
整して製膜原液とした(これをA液とする)。
【0057】A液、B液ともそれぞれ3μmカットのフ
ィルタ−を通した後、最終のフイルム厚みでA液側が
2.0μm、B液側が1.8μmになるように口金内で
複合し、口金より金属ベルト上に流延した。ここでB液
がベルト面側になるように流延した。この流延されたフ
ィルムを130℃の熱風で3分間加熱して溶媒を蒸発さ
せ、自己保持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥
離した。次に水槽内へフィルムを導入して残存溶媒と中
和で生じた無機塩等の抽出を行なった。なお50℃の水
/NMPの混合浴中(比率は90/10wt%)で縦方向
(MD方向)に実効倍率で1.15倍延伸し、5秒間定
長下に保持したまま走行させた。
【0058】つぎにテンタ−に導入し300℃で水分の
乾燥と延伸、熱処理を行なった。この間にフィルムの幅
方向に実効倍率で1.47倍延伸を行なった。さらに2
00℃でTD方向に1.03倍の延伸を行った。得られ
たフィルムは厚み3.8μmでフイルム特性は表1に示
した。
【0059】次にこのフイルムのA面側をグロー放電処
理してクリーニングした後真空蒸着法によりCoを0.
2μmの厚みに蒸着した。得られたフイルムは蒸着面側
にMD、TD方向とも大きくカールしていた。そこで2
00℃の加熱ロールにこのフイルムを接触させてカール
戻しを行った。結果を表1に示した。得られた磁気テー
プのカールは小さく良好であった。TD方向のカ−ルも
ほとんどなかった。
【0060】実施例2 実施例1と同じポリマ溶液を2種用い、実施例1と同じ
方法で製膜を行った。B液には実施例1と同じ粒子を
0.6wt%添加して製膜し3.8μmのフイルムを得
たのち、さらに蒸着層を形成してカール戻しを行ったが
良好であった。結果を表1に示した。
【0061】実施例3 実施例1と同じ原料(A液、B液)を用い製膜した。こ
こでMD方向の実効延伸倍率を1.1倍として10秒間
保持し、つぎにTD方向に280℃で1.6倍延伸した
後、さらに250℃でTD方向に1.03倍の延伸を行
った。
【0062】これに蒸着層を形成し、カール戻しを行っ
たところ良好であった。結果を表1に示した。
【0063】実施例4 実施例1と同じ原料でフイルムを作成した。ここでA面
側の厚みを2.2μ、B面側の厚みを2.2μmになる
ように積層を行い、最終的に4.4μのフイルムを得
た。MD方向の実効延伸倍率を1.25倍として延伸し
て15秒保持し、さらに270℃でTD方向に1.4倍
延伸後さらに200℃で1.03の再延伸を行った。得
られたフイルムの特性は表1に示した。また磁性層を設
けたフイルムのカール戻しを行った。表1に示すように
良好であった。
【0064】比較例1 実施例1と同じ原料を使用して製膜した。MD延伸は
1.02倍、1秒間保持し、TD延伸は350℃で1.
1としたところ、MD方向の熱収縮率は表1に示すよう
に小さなものであった。
【0065】これをカール戻ししたところ十分にカール
が戻らなかった。
【0066】比較例2 実施例1と同じ原料を使用して製膜した。MDの延伸倍
率を1.35倍で10秒間保持し、TDを280℃で
1.35倍延伸しさらに200℃で1.02倍の再延伸
をしたところ、MD方向の熱収縮率は表1に示すように
非常に大きなものとなった。これをカール戻ししたとこ
ろカールが逆方向になり、平坦性が悪いものとなった。
【0067】比較例3 実施例1の原料でB面側の粒子添加量を0.04%とし
て実施例1と同一条件でフイルムを作成した。これをカ
ール戻しをしたが、表面が平滑であり、表1に示したよ
うにカール戻しが安定せず再現性が乏しいものとなっ
た。
【0068】
【表1】
【0069】
【発明の効果】高温での熱収縮率、B面側の平面性とF
−1値のMD、TD方向の比率を一定範囲とした本発明
のフイルムを使用することでカールが小さく平坦性にす
ぐれた磁気記録媒体が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G11B 5/66 G11B 5/66 // B29K 77:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】200℃でのMD方向の熱収縮率が0.0
    5〜2%、磁性層を設ける面と反対側の面の十点平均粗
    さRzが10〜200nm、MD方向のF−1値XとT
    D方向のF−1値Yの比X/Yが0.5〜0.9である
    ことを特徴とする芳香族ポリアミドフイルム。
  2. 【請求項2】200℃でのMD方向の熱収縮率が0.1
    〜1%であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族
    ポリアミドフイルム。
  3. 【請求項3】MD方向のF−1値XとTD方向のF−1
    値Yの比X/Yが0.6〜0.8であることを特徴とす
    る請求項1または2に記載の芳香族ポリアミドフイル
    ム。
  4. 【請求項4】請求項1、2または3に記載のフイルムの
    一面に磁性層を設けることを特徴とする磁気記録媒体。
JP8947197A 1997-04-08 1997-04-08 芳香族ポリアミドフイルムおよびそれを用いた磁気記録媒体 Pending JPH10279710A (ja)

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