JPH08235560A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH08235560A
JPH08235560A JP7038194A JP3819495A JPH08235560A JP H08235560 A JPH08235560 A JP H08235560A JP 7038194 A JP7038194 A JP 7038194A JP 3819495 A JP3819495 A JP 3819495A JP H08235560 A JPH08235560 A JP H08235560A
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film
magnetic
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magnetic recording
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JP7038194A
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Nobuaki Ito
伸明 伊藤
Wasuke Yoneyama
和祐 米山
Akimitsu Tsukuda
佃  明光
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 出力特性、耐熱性、走行性、耐久性に優れた
磁気記録媒体を提供する。 【構成】 芳香族ポリアミドからなる基材フィルムの片
面に磁性層を設け、もう一方の面にバックコート層を設
けてなる磁気記録媒体であって、該基材フィルムは厚さ
が2μm以上7μm以下、クロロホルム抽出物量が1%
以下であり、磁性層は厚さが3μm以下、保持力150
0エルステッド以上であり、記録媒体の長手方向のヤン
グ率が20℃で1000kg/mm2 以上であることを
特徴とする磁気記録媒体とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体に関し、
さらに詳しくは芳香族ポリアミドフィルムを使用した薄
くても出力特性の良好な磁気テープなどの磁気記録媒体
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリアミドフィルムは、その優れ
た耐熱性、機械特性を活かして種々の用途に検討されて
いる。特にパラ配向系の芳香族ポリアミドは剛性、強度
等の機械特性が他のポリマより優れているため、フィル
ムの薄物化に非常に有利であり、プリンターリボン、磁
気テープ、コンデンサー等の用途が考えられている。例
えば磁気記録媒体では特開昭58ー168655 号公報、特開昭
62ー112218 号公報などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、ビデオやオーデ
イオなど小型化、記録時間の長時間化の要請が大きく、
記録波長が1μm以下と短波長化し、かつテープ厚みは
薄膜化の方向にきている。一方で高速でデータ処理を行
うコンピュータの外部メモリとして使用することもあ
り、この場合にはテープデッキ内での発熱量も多くな
り、テープ自身の温度があがってくるが、このような条
件下でも安定して使用できる磁気テープの要求が増加し
てきている。
【0004】しかしながら、記録媒体を薄くしていくと
テープの強度が不足したり、また高温条件下では走行
性、耐久性や出力特性が悪化したりする問題が生ずる。
【0005】本発明はかかる問題点を解決し、芳香族ポ
リアミドの優れた高剛性、耐熱性を活かし、かつ薄くて
も走行性、出力特性の安定した、耐久性の優れた磁気記
録媒体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、芳香族ポリア
ミドからなる基材フィルムの片面に磁性層を設け、もう
一方の面にバックコート層を設けてなる磁気記録媒体で
あって、該基材フィルムは厚さが2μm以上7μm以
下、クロロホルム抽出物量が1%以下であり、磁性層は
厚さが3μm以下、保持力1500エルステッド以上で
あり、記録媒体の長手方向のヤング率が20℃で100
0kg/mm2 以上であることを特徴とする磁気記録媒
体である。
【0007】本発明の芳香族ポリアミドとは、次の一般
式(I)および/または一般式(II)で表わされる繰り
返し単位を50モル%以上含むものが好ましく、70モ
ル%以上からなるものがより好ましい。
【0008】一般式(I)
【化1】 一般式(II)
【化2】 ここで、Ar1 、Ar2 、Ar3 は 例えば、
【化3】 などが挙げられ、X、Yは−O−,−CH2 −,−CO
−,−SO2 −,−S−,−C(CH3 2 −等から選
ばれるが、これに限定されるものではない。更にこれら
の芳香環上の水素原子の一部が、ハロゲン基(特に塩
素)、ニトロ基、C1 〜C3 のアルキル基(特にメチル
基)、C1 〜C3 のアルコキシ基などの置換基で置換さ
れているものも含み、また、重合体を構成するアミド結
合中の水素が他の置換基によって置換されているものも
含む。
【0009】特性面からは上記の芳香環がパラ位で結合
されたものが、全芳香環の50%以上、好ましくは70
%以上を占める重合体が、フィルムの剛性が高く耐熱性
も良好となるため好ましい。また吸湿率を小さくする点
からは、芳香環上の水素原子の一部がハロゲン基(特に
塩素)で置換された芳香環が全体の30%以上である重
合体が好ましい。
【0010】より好ましい構造としては
【化4】 を50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上か
らなるものである(ここでm、nは0〜4)。
【0011】本発明の芳香族ポリアミドは、一般式
(I)および/または一般式(II)で表される繰り返し
単位を50モル%以上含むものであって、50モル%未
満は他の繰り返し単位が共重合(たとえば芳香族ポリイ
ミドなど)、またはブレンドされていても差し支えな
く、またフィルムの物性を損なわない程度に導電性粒
子、滑剤、酸化防止剤その他の添加剤等がブレンドされ
ていてもよい。
【0012】本発明の基材となるフイルムの厚さは2μ
m以上7μm以下の範囲である必要がある。好ましくは
2μm以上5μm以下である。2μmより薄いとテープ
としたときの強度が不足し、7μmより厚いとテープが
厚くなり小型化、長時間化が難しくなる。
【0013】本発明のフイルムはクロロホルム抽出物量
が1%以下の必要がある。好ましくは0.3%以下、よ
り好ましくは0.1%以下である。1%より大きいと使
用中にフイルムより不純物が表面に出てきて磁気テープ
の走行性を悪化させ、またテープの耐久性も悪化する。
【0014】磁性層の厚さは3μm以下が必要である。
好ましくは2μm以下、より好ましくは1.5μm以下
である。3μmより厚いと短波長記録には適さなくな
り、高密度記録が困難になり、また出力の低下を招く。
なお下限は出力との関係で決まってくるが、一般には
0.1μm以上である。
【0015】また保持力は1500エルステッド以上が
必要である。好ましくは1650エルステッド、より好
ましくは1800エルステッド以上である。1500エ
ルステッドより小さいと短記録波長をした際に電磁変換
特性が悪化し出力低下を招く。
【0016】本発明の磁気記録媒体は、長手方向のヤン
グ率が20℃で測定して1000kg/mm2 以上であ
る必要がある。好ましくは1200kg/mm2 以上、
より好ましくは1400kg/mm2 以上である。10
00kg/mm2 より小さいと腰の弱い磁気テープとな
り、出力が出なかったり、テープが変形して実用に耐え
なくなる。
【0017】バックコート層の厚さは1μm以下である
ことが好ましい。この層を設けることにより、ガイドピ
ンとの摩擦を低下させたり、安定化させることができ、
テープの走行性や耐久性が向上する。ただし強度が小さ
いので1μmよりできるだけ薄くしてテープの強度を低
下させないようにすることが好ましい。
【0018】本発明の磁気記録媒体の走行性、耐久性を
安定化させるには、適度な粗さを持つために、基材フィ
ルム中に粒子を存在させておくことが好ましい。粒子の
種類としては、SiO2 、TiO2 、Al2 3 、Ca
SO4 、BaSO4 、CaCO3 、カ−ボンブラック、
ゼオライト、その他の金属微粉末などの無機粒子や、シ
リコン粒子、ポリイミド粒子、架橋共重合体粒子、架橋
ポリエステル粒子、テフロン粒子などの有機高分子など
があるが、耐熱性の点から無機粒子の方がより好まし
い。粒子径としては0.01〜1.0μm、より好まし
くは0.05〜0.5μmの範囲である場合に電磁変換
特性、走行性とも良好となるので好ましい。また含有量
は0.01〜10wt%、好ましくは0.1〜5wt%
である場合に電磁変換特性、走行性とも良好となるので
好ましい。
【0019】フイルムの表面粗さは好ましくはRpで3
〜300nm、より好ましくは5〜100nm、Raで
0.2〜50nm、より好ましくは0.3〜10nm、
Rzで3〜400nmより好ましくは5〜100nmで
ある。
【0020】また、本発明の磁気記録媒体は、基材フイ
ルムの長手方向のヤング率が20℃で測定して1000
kg/mm2 以上あることが好ましい。またフイルムは
長手方向にテンシライズまたは幅方向にテンシライズさ
れても差し支えない。テンシライズの度合いは特に限定
されないが、伸度、引き裂き抵抗力等の特性を考慮に入
れると、長手方向の引張りヤング率EMDと幅方向の引張
りヤング率ETDが、 0.5≦EMD/ETD≦2 の範囲であるのが実用的である。
【0021】本発明の磁気記録媒体における基材フイル
ムの伸度は10%以上、より好ましくは20%以上、更
に好ましくは30%以上であるとテープが適度な柔軟性
を持つので望ましい。
【0022】本発明の磁気記録媒体における基材フィル
ムの吸湿率は、4%以下、より好ましくは3%以下、更
に好ましくは2%以下であると湿度変化によるテープの
寸法変化が小さく良好な電磁変換特性を保てるので望ま
しい。
【0023】本発明は、上記基材フィルム上の片面に磁
性層を設けた磁気記録媒体である。磁性層を形成する方
法は、強磁性粉末を各種バインダ−を用いて磁性塗料と
し基材フィルム上に塗布する湿式法、蒸着法、スパッタ
リング法、イオンプレ−ティング法などの乾式法があ
り、特に限定されるものではないが、ここでは湿式法を
例にとって説明する。
【0024】磁性体となる磁性粉末の種類は特に限定さ
れないが、強磁性粉末、例えば、酸化鉄、酸化クロム、
Fe、Ba−Fe、Co、Fe−Co、Fe−Co−N
i、Co−Ni、Co−Cr等が好ましく用いられる。
特にFe主体のメタル粉や、Ba−Fe、あるいはFe
にCo、Cr、Niを含有した磁性粉が保持力が高くな
り好ましい。
【0025】また磁性体の粒子径(長軸)は0.3μm
以下が好ましく、より好ましくは0.2μm以下であ
る。
【0026】磁性粉末は各種バインダーを用いて磁性塗
料とすることができるが、熱硬化性樹脂系バインダーお
よび放射線硬化系バインダーが好ましく、その他添加剤
として分散剤、潤滑剤、帯電防止剤等を用いてもよい。
例えば、塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共
重合体、ポリウレタンプレポリマおよびポリイソシアネ
ートよりなるバインダーを用いることができる。
【0027】磁性層とフイルムの接着性を向上させるた
めに、フイルム表面には中間層を設けてもよい。
【0028】バックコート層は非磁性粉末、結合剤樹
脂、潤滑剤等を有機溶剤で分散させて塗料を調製し、フ
イルムに塗布乾燥して形成させる。バックコート層に使
用される非磁性粉末としてはCaCO3 、カーボンブラ
ック、TiO2 、α−Fe2 3 等がある。結合剤樹脂
および有機溶剤としては前記磁性層で使用したものと同
じものが使用できる。バックコート層は厚さが1μm以
下であると好ましい。1μmより厚いとテープ全体の強
度が不足してくる。
【0029】また記録媒体の全厚は10μm以下が好ま
しい。これより厚いと小型化することができなくなる。
好ましくは7μm以下、より好ましくは5μm以下であ
る。また本磁気記録媒体の長手方向の1mm2 あたり1
kgの荷重をかけたときの120℃、10分間の寸法変
化率が2%以下であることが好ましい。より好ましくは
1.5%以下、更に好ましくは1.0%以下である。本
発明の磁気記録媒体は磁気記録媒体の薄膜化の要請に応
えて薄膜で使用されることが多いので、寸法変化率が2
%より大きいと高温下で使用された場合テープ走行中、
あるいはストップ/スタート時にかかるテンションによ
りテープの伸縮が起こり記録再生性が低下する。
【0030】次に本発明の製造方法を説明するが、これ
に限定されるものではない。
【0031】まず芳香族ポリアミドであるが、酸クロリ
ドとジアミンから得る場合には、N−メチルピロリドン
(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメ
チルホルムアミド(DMF)などの非プロトン性有機極
性溶媒中で、溶液重合したり、水系媒体を使用する界面
重合などで合成される。ポリマ溶液は、単量体として酸
クロリドとジアミンを使用すると塩化水素が副生する
が、これを中和する場合には水酸化カルシウム、水酸化
リチウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどの無機の
中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイ
ド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールア
ミン、ジエタノールアミン、などの有機の中和剤が使用
される。また、イソシアネートとカルボン酸との反応
は、非プロトン性有機極性溶媒中、触媒の存在下で行な
われる。
【0032】これらのポリマ溶液はそのまま製膜原液と
して使用してもよく、あるいはポリマを一度単離してか
ら上記の有機溶媒や、硫酸等の無機溶剤に再溶解して製
膜原液を調製してもよい。
【0033】本発明の芳香族ポリアミドフィルムを得る
ためにはポリマの固有粘度(ポリマ0.5gを硫酸中で
100mlの溶液として30℃で測定した値)は、0.
5以上であることが好ましい。
【0034】製膜原液には溶解助剤として無機塩例えば
塩化カルシウム、塩化マグネシム、塩化リチウム、硝酸
リチウムなどを添加する場合もある。製膜原液中のポリ
マ濃度は2〜40wt%程度が好ましい。
【0035】粒子の添加方法は、粒子を予め溶媒中に十
分スラリ−化した後、重合用溶媒または希釈用溶媒とし
て使用する方法や、製膜原液を調製した後に直接添加す
る方法などがある。
【0036】上記のように調製された製膜原液は、いわ
ゆる溶液製膜法によりフィルム化が行なわれる。溶液製
膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法などがありいづれの
方法で製膜されても差し支えないが、ここでは乾湿式法
を例にとって説明する。
【0037】乾湿式法で製膜する場合は該原液を口金か
らニッケル、ステンレス、銅、チタン、ハステロイ、タ
ンタル等の材質からなるドラム、エンドレスベルト等の
支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層か
ら溶媒を飛散させ薄膜が自己保持性をもつまで乾燥す
る。乾燥条件は室温〜250℃、60分以内の範囲であ
り、好ましくは室温〜200℃の範囲である。乾燥温度
が250℃を越えると急激な加熱によるボイドの発生、
表面の荒れ等が起こり工業材料、磁気材料として実用的
なフィルムが得られない。
【0038】上記乾式工程を終えたフィルムは支持体か
ら剥離されて湿式工程に導入され、ここでフィルム中に
含有されている溶剤や不純物が除去される。この浴は一
般に水系媒体からなるものであり、水の他に有機溶媒や
無機塩等を含有していてもよい。しかし一般には水分量
は30%以上好ましくは50%以上含有されているもの
であり、浴温度は通常0〜100℃で使用される。さら
にフイルム中の不純物を減少させるために浴温を50℃
以上に上げたり、有機溶剤の浴を設けてこの中を通すこ
とが有効である。有機溶剤としてはクロロホルム、塩化
メチレン、フレオン等のハロゲン化炭化水素や、アルコ
ール、ケトン、エーテル等である。この湿式工程では剥
離されたフイルムはかかる浴中に緊張下に浸漬され、フ
イルム中の不純物は1%以下まで抽出される。
【0039】湿式工程を出たフィルムは更に延伸、乾
燥、熱処理が行われてフィルムとなる。
【0040】以上のように形成されるフィルムはその製
膜工程中で、機械特性が本発明の範囲となるように延伸
が行なわれるが、延伸倍率は面倍率で0.8〜5.0
(面倍率とは延伸後のフィルム面積を延伸前のフィルム
の面積で除した値で定義する。1以下はリラックスを意
味する。)の範囲内にあることが好ましく、より好まし
くは1.1〜3.0である。また熱処理後のフィルムを
徐冷する事により寸法変化率を低減することができ、1
00℃/秒以下の速度で冷却する事が有効である。
【0041】次にこのフィルムに磁性層を塗布する。磁
性層を塗布する方法は公知の方法で行うことができる
が、グラビアロールを使用する方法が塗膜の均一性の点
ではより好ましい。塗布後の乾燥温度は80℃〜150
℃が好ましい。またカレンダー工程は25℃〜150℃
の範囲で行うのが好ましい。
【0042】この後、磁性層と反対側の面に更に走行性
を向上させるために、公知の方法によりバックコート層
を設ける。
【0043】更に、この磁性層を塗布したフィルムをキ
ュアした後スリットして本発明の磁気記録媒体となる。
例えば8mmなどの民生用、プロ用、D−1、2、3な
どの放送局用、DDS−2、3、4、QIC、データ8
mmなどのデータ用が挙げられるがこれに限定されるも
のではない。
【0044】
【測定方法、評価法】本発明の物性の測定方法、効果の
評価方法は次の方法による。
【0045】(1)ヤング率 テンシロン型引張り試験機により歪・応力曲線における
接線の勾配から求めた。サンプルは幅10mm、試長1
00mmとし、引張り速度は300mm/分で行った。
【0046】(2)クロロホルム抽出物量 裁断したフイルムをソックスレー抽出器に仕込み、この
中へ精製したクロロホルムを入れ、2時間沸点で加熱抽
出を行う。次にこの液をロータリーエバポレーターに移
し、減圧度を調整しながら恒量になるまで濃縮し残留物
の重量を測定する。これを仕込んだフイルムの重量で除
して求める。
【0047】(3)出力 磁性層を塗布したものを8mm幅にスリットし、8mm
VTRで評価した。RF出力を市販のMP6−180と
比較し、これより出力が大きいもの、あるいは出力はや
や小さいが、実用上問題ないものを○とした。
【0048】(4)走行性 磁性層、バックコート層を形成したフィルムを幅1/2
インチの幅にスリットしたものをテ−プ走行性試験機を
使用してガイドピン(表面粗度:Raで100nm)上
を走行させる(走行速度100m/分、巻き付け角:6
0度)。走行試験の前に60℃、80%RHの雰囲気下
で48時間エージングを施す。走行試験は磁性面をガイ
ドピン側にして、40℃、80%RH雰囲気で10パス
走行させ、次にバックコート面をガイドピン側にして1
0パス走行させる。動摩擦係数の変動を測定し、テープ
表裏いずれかの摩擦係数の変動率が20%以内のものは
○、これをこえるものは×とした。
【0049】(5)耐久性 走行性試験を行う条件で走行パス数を磁性面、バックコ
ート面側ともそれぞれ100パスとし、試験終了後にテ
ープの観察を行う。所々にわずかなテープ変形があるも
のまでは○、全長に渡ってテープ変形のあるものは×と
した。
【0050】(6)表面粗さ 小坂研究所製薄膜段差測定器で針圧5mg、カットオフ
0.08mmで試長0.5mmを5回測定し、平均値を
求めた。触針の先端半径は0.5μである。
【0051】
【実施例】以下に実施例にもとずいて本発明を説明する
が、これらに限定されるものではない。
【0052】実施例1 重合槽に水分率50ppmのNーメチルー2ーピロリド
ン(NMP)を仕込み、この中に芳香族ジアミン成分と
して85モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジ
アミンと、15モル%に相当する4、4’−ジアミノジ
フェニルエ−テルとを溶解させた。これに98モル%に
相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、1
時間撹拌して重合を完了した。さらに水酸化リチウムで
発生塩化水素の97モル%を中和し、ついでジエタノー
ルアミンを7モル%添加してポリマ溶液を得た。
【0053】これにNMP中で一次粒径0.02μmの
乾式シリカ粒子を平均粒径0.2μmに分散させたスラ
リーを、粒子量がポリマに対して1.5wt%となるよ
うに添加した。そしてポリマ濃度11wt%、30℃で
の溶液粘度を3000ポイズに調整して製膜原液とし
た。
【0054】この製膜原液を3μmカットのフィルタ−
を通した後、口金より金属ベルト上に流延した。この流
延されたフィルムを140℃の熱風で3分間加熱して溶
媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィルムをベルトから
連続的に剥離した。次に50℃の水槽内へフィルムを導
入して残存溶媒と中和で生じた無機塩等の抽出を行なっ
た。抽出時間は2分である。さらに30℃の塩化メチレ
ンの浴へ2分間浸漬した。なおこれら浴中で縦方向(M
D方向)に1.2倍延伸した。
【0055】つぎにテンタ−に導入し280℃で1分間
で水分の乾燥と熱処理を行なった。この間にフィルムの
幅方向に1.3倍延伸を行ない4.5μmのフイルムを
得た。このフィルムの特性を第1表に示す。またフイル
ムの吸湿率は1.5%である。表面粗さは、Raが5n
m、Rp31nm、Rz35nmであった。
【0056】次にこのフイルムの製膜時の金属ベルトと
接しない側の表面に、次の組成から成る磁性塗料を調製
し、グラビアロールで所定の塗布厚になるように塗布
し、硬化した後、カレンダー処理した。磁性層の厚さは
1.5μmとした。またこの磁気記録媒体の保持力は1
700エルステッドであった。
【0057】 磁性粉(メタル粉) 100重量部 塩ビ系共重合体 10重量部 ポリウレタン 10重量部 硬化剤 5重量部 研磨剤 5重量部 トルエン 80重量部 メチルエチルケトン 120重量部 さらにこれに非磁性面に0.5μmのバック層を設け
た。バックコート層用塗料は次の組成から成っている。
【0058】 カーボンブラック 80重量部 塩ビ系共重合体 20重量部 ポリウレタン 50重量部 トルエン 200重量部 メチルエチルケトン 400重量部 これをスリットして磁気テープとし、出力、走行性、耐
久性を評価したが非常に優れたものであった。
【0059】実施例2 実施例1と同じポリマ溶液を用い、実施例1と同様のプ
ロセスで製膜を行った。流延乾燥、抽出、テンター条件
は実施例1と同じであるが、延伸条件はMD方向が1.
15倍、TD方向は1.5倍である。得られたフイルム
の厚さは4.5μmである。
【0060】次にこのフイルムに実施例1と同様に磁性
層1.5μm、バックコート層0.5μmを設け、磁気
テープの評価を行ったが、出力、走行性、耐久性の非常
に優れたものであった。
【0061】実施例3 芳香族ジアミン成分として2−クロルパラフェニレンジ
アミンを95モル%、4、4’−ジアミノジフェニルエ
−テルを5モル%として実施例1と同様に重合、中和を
行った。ポリマ濃度は9wt%、30℃での溶液粘度を
4000ポイズに調整して製膜原液とした。
【0062】さらに実施例1と同様に金属ベルト上に流
延し、2分間溶媒を蒸発させ、さらに水槽内へフィルム
を導入して残存溶媒と中和で生じた無機塩等の抽出を行
なった。抽出時間は1.5分である。さらに30℃の塩
化メチレンの浴へ1分間浸漬した。なおこれら浴中で縦
方向(MD方向)に1.2倍延伸した。
【0063】つぎにテンタ−に導入し300℃で1分間
の間に水分の乾燥と熱処理を行なった。この間にフィル
ムの幅方向に1.3倍延伸を行ない、さらに50℃/秒
150℃まで徐冷し、3.5μmのフイルムを得た。こ
のフィルムの主な特性を第1表に示す。また吸湿率は
1.2%である。
【0064】次にこのフイルムに実施例1の磁性塗料を
塗布して磁性層を2μm設け、配向をやや上げて保持力
1800エルステッドの磁性層を得た。さらに非磁性面
に0.5μmのバックコート層を設けた。
【0065】これをスリットして磁気テープを作成し出
力、走行性、耐久性を評価したが非常に優れたものであ
った。
【0066】実施例4 実施例3と同じポリマ溶液を用い、実施例3と同様のプ
ロセスで製膜を行った。得られたフイルムの厚さは3.
0μmである。
【0067】次にこのフイルムに実施例3と同様にまず
バックコート層0.5μmを設け、さらに厚さ2μm、
保持力2000エルステッドの磁性層を形成した。これ
をスリットして磁気テープの評価を行ったが、出力、走
行性、耐久性の非常に優れたものであった。
【0068】比較例1 実施例1の製膜原液を用いて金属ベルト上に流延した。
これを140℃で1.5分乾燥し、実施例1と同様に製
膜して1.8μmのフイルムを得た。さらに実施例1と
同様に磁性層、バックコート層をそれぞれ1.5μm、
0.5μm設け、スリットして磁気テープとした。
【0069】磁気テープの評価を行ったが出力が小さ
く、また走行性、耐久性は悪いものであった。
【0070】比較例2 芳香族ジアミン成分として50モル%に相当する2−ク
ロルパラフェニレンジアミンと、50モル%に相当する
4、4’−ジアミノジフェニルエ−テルとを溶解させ
た。これに99モル%に相当する2−クロルテレフタル
酸クロリドを添加し、2時間撹拌して重合を完了した。
さらに実施例1と同様にして4.5μmのフイルムを得
た。このフイルムは機械的にも耐熱的にも本発明のフイ
ルムより劣ったものある。これより磁気テープを作成し
て評価したが、出力、走行性、耐久性の悪いものであっ
た。
【0071】比較例3 実施例1の製膜原液を用いて乾式工程は実施例1と同じ
条件で製膜した。湿式工程は、水温10℃、浸漬時間を
1分とし、塩化メチレン浴を使用しなかった。第1表に
示すように抽出物量は多いフイルムとなった。実施例1
と同様に磁気テープを作成し評価を行なったが、出力は
問題ないが走行性、耐久性が悪いものであった。
【0072】比較例4 実施例1のフイルム、および磁性塗料、バックコート液
を使用して磁気テープを作成した。ただし磁性層の保持
力を1400エルステッドになるように磁性層を形成し
た。この磁気テープは走行性、耐久性は良好だが、出力
の劣ったものであった。
【0073】比較例5 実施例1のフイルム、および磁性塗料を使用して磁気テ
ープを作成した。磁性層の厚さは1.5μmである。た
だしバックコート層は設けなかった。この磁気テープは
出力は良好だが、走行性、耐久性の劣ったものであっ
た。
【0074】
【表1】
【0075】
【発明の効果】本発明は、耐熱性、機械特性に優れた芳
香族ポリアミドからなる極めて薄い基材フィルムを使用
しても、出力特性や走行性、耐久性の良好な磁気記録媒
体が得られる。またフイルム中の不純物量が少ないた
め、厳しい環境下(特に高温下)におかれても、耐久性
に優れ、走行性、出力特性が良好でかつ使用環境が悪化
しても変動がきわめて少ない磁気記録媒体が得られる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリアミドからなる基材フィルム
    の片面に磁性層を設け、もう一方の面にバックコート層
    を設けてなる磁気記録媒体であって、該基材フィルムは
    厚さが2μm以上7μm以下、クロロホルム抽出物量が
    1%以下であり、磁性層は厚さが3μm以下、保持力1
    500エルステッド以上であり、記録媒体の長手方向の
    ヤング率が20℃で1000kg/mm2 以上であるこ
    とを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 基材フイルムの厚さが2μm以上5μm
    以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 磁性層の厚さが2μm以下であることを
    特徴とする請求項1および2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 磁性層の保持力が1650エルステッド
    以上であることを特徴とする請求項1から3記載の磁気
    記録媒体。
  5. 【請求項5】 バックコート層の厚さが1μm以下であ
    ることを特徴とする請求項1から4記載の磁気記録媒
    体。
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