JP3243966B2 - 磁気記録媒体用ベースフィルム - Google Patents

磁気記録媒体用ベースフィルム

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JP3243966B2
JP3243966B2 JP09281995A JP9281995A JP3243966B2 JP 3243966 B2 JP3243966 B2 JP 3243966B2 JP 09281995 A JP09281995 A JP 09281995A JP 9281995 A JP9281995 A JP 9281995A JP 3243966 B2 JP3243966 B2 JP 3243966B2
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光弘 堀内
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体用ベース
フィルムに関し、更に詳しくは、優れた平滑性、走行
性、耐熱性、耐摩耗性、易接着性を有する磁気記録媒体
用ベースフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体としては、ポリエステルフ
ィルム、芳香族ポリアミドあるいは芳香族ポリイミドフ
ィルムなどのベースフィルムに磁性層を設けてなる磁気
記録媒体が知られている(例えば、特開昭58−168
655号公報、特開昭62−112218号公報な
ど)。
【0003】近年、磁気記録のハード、ソフトの高性能
化および磁気テープの加工工程速度の高速化などの変化
が急であり、使用される磁気記録媒体用ベースフィルム
にも様々な特性付与が必要となってきている。
【0004】磁気記録密度、電磁変換特性の向上には、
優れた平滑性を有するベースフィルムが望まれている。
また、ベースフィルムは、磁気テープ加工工程中におい
て多数のロールと接触し、更に近年、磁気テープ加工行
程速度は高速化の傾向にあるため、優れた走行性と耐摩
耗性を有するベースフィルムが望まれている。
【0005】また、ベースフィルムは、磁気テープ加工
工程中、あるいは、磁気テープを使用する際などにおい
て様々な高温条件下に曝される。例えば、磁気テープ加
工工程中における高温条件下は、塗布型磁性層形成にお
いてはカレンダー行程などが、蒸着型磁性層形成におい
ては蒸着工程などが挙げられるし、磁気テープを使用す
る際における高温条件下は、夏場の締め切った車内、長
時間連続使用により高温となったハード内などが挙げら
れる。ベースフィルムは磁気テープの耐熱性を支配する
ため、優れた耐熱性を有するベースフィルムが望まれて
いる。
【0006】また、ベースフィルムと磁性層、あるい
は、バックコート層との接着性が良好であると、磁気テ
ープとした際に、走行性、耐久性が良好となるため、優
れた接着性を有するベースフィルムが望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の磁気記録媒体用ベースフィルムでは、上記ベースフ
ィルムに望まれている要求特性全てを高いレベルで維持
させることが困難であった。
【0008】例えば、ポリエステルベースフィルムで
は、高温条件下においてベースフィルムに寸法変化が生
じるなどの耐熱性の問題や、高速化した磁気テープ加工
工程中においてベースフィルム自身が削れて加工工程中
のロールを汚したり、フィルム表面に傷が発生するなど
の耐摩耗性の問題が生じる。また、芳香族ポリアミドあ
るいは芳香族ポリイミドベースフィルムでは、走行性な
どの問題や、繰り返し走行時に磁性層が剥がれてデータ
が欠落するなどの接着性の問題が生じ、特に、このよう
なデータの欠落は、高記録密度、高信頼性が要求される
磁気テープにおいては大きな問題となっている。
【0009】本発明は、芳香族ポリアミドあるいは芳香
族ポリイミドが有する優れた耐熱性を活かし、フィルム
表面の水に対する接触角とフィルム表面の中心線平均粗
さを同時に制御することによって優れた平滑性と走行
性、耐摩耗性を有する磁気記録媒体用ベースフィルムを
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、芳香族ポリア
ミドあるいは芳香族ポリイミドからなる磁気記録媒体用
ベースフィルムであって、該ベースフィルムの少なくと
も片面の水に対する接触角が50°以上であり、かつ、
該片面の中心線平均粗さが0.3〜100nmであるこ
とを特徴とするものである。
【0011】本発明における芳香族ポリアミドとは、次
の一般式(I)および/または一般式(II)で表される
繰り返し単位を50モル%以上含むものが好ましく、7
0モル%以上からなるものがより好ましい。
【0012】一般式(I)
【化1】 一般式(II)
【化2】 ここで、Ar1 、Ar2 、Ar3 は、例えば、
【化3】 などが挙げられ、X、Yは−O−,−CH2 −,−CO
−,−SO2 −、−S−,−C(CH3 2 −等から選
ばれるが、これに限定されるものではない。更にこれら
の芳香環上の水素原子の一部が、塩素、フッ素、臭素な
どのハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、メチル基、プ
ロピル基などのアルキル基(特にメチル基)、メトキシ
基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基など
のアルコキシ基などの置換基で置換されているものも含
み、また、重合体を構成するアミド結合中の水素が他の
置換基によって置換されているものも含む。
【0013】特性面からは、上記の芳香環がパラ位で結
合されたものが全芳香環の50%以上、好ましくは75
%以上を占める重合体が、フィルムの剛性が高く耐熱性
も良好となるため好ましい。また、芳香環上の水素原子
の一部が、ハロゲン基(特に塩素)やニトロ基などの極
性基で置換された芳香環が全体の30%以上であると、
フィルム表面の水に対する接触角が向上するために好ま
しい。更に、芳香環上の水素原子の一部が、ハロゲン基
(特に塩素)で置換された芳香環が全体の30%以上で
あると耐湿性が向上し、吸湿による寸法変化、剛性低下
などの特性が改善されるために好ましい。
【0014】本発明の芳香族ポリアミドは、一般式
(I)および/または一般式(II)で表される繰り替え
し単位を50モル%以上含むものであって、50モル%
未満は他の繰り替えし単位が共重合、またはブレンドさ
れていても差し支えない。
【0015】本発明における芳香族ポリイミドとは、重
合体の繰り返し単位の中に芳香環とイミド環を1つ以上
含むものであり、一般式(III )および/または一般式
(IV)で示される繰り返し単位を50モル%以上含むも
のが好ましく、より好ましくは70モル%以上である。
【0016】一般式(III )
【化4】 一般式(IV)
【化5】 ここでAr4 、Ar6 は少なくとも1個の芳香環を含
み、イミド環を形成する2つのカルボニル基は芳香環上
の隣接する炭素原子に結合している。このAr4 は、芳
香族テトラカルボン酸あるいはこの無水物に由来する。
代表例としては次の様なものが挙げられる。
【0017】
【化6】 ここでZは−O−,−CH2 −,−CO−,−SO
2 −、−S−,−C(CH3 2 −等から選ばれるが、
これに限定されるものではない。
【0018】また、Ar6 は無水カルボン酸あるいはこ
のハライドに由来する。Ar5 、Ar7 は例えば
【化7】 などが挙げられ、X、Yは−O−,−CH2 −,−CO
−,−SO2 −、−S−,−C(CH3 2 −等から選
ばれるが、これに限定されるものではない。更にこれら
の芳香環上の水素原子の一部が、塩素、フッ素、臭素な
どのハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、メチル基、プ
ロピル基などのアルキル基(特にメチル基)、メトキシ
基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基など
のアルコキシ基などの置換基で置換されているものも含
み、また、重合体を構成するアミド結合中の水素が他の
置換基によって置換されているものも含む。
【0019】本発明の芳香族ポリイミドは、一般式(II
I )および/または一般式(IV)で表される繰り替えし
単位を50モル%以上含むものであって、50モル%未
満は他の繰り替えし単位が共重合、またはブレンドされ
ていても差し支えない。
【0020】また、本発明の芳香族ポリアミド、芳香族
ポリイミドには、フィルムの物性を損なわない程度に滑
剤、酸化防止剤その他の添加剤等がブレンドされていて
もよい。
【0021】本発明の磁気記録媒体用ベースフィルムの
接触角は、該ベースフィルムの少なくとも片面の表面の
水に対する接触角が50°以上であることが必要であ
り、より好ましくは60°以上、更に好ましくは70°
以上である。ベースフィルム表面の水に対する接触角が
50°未満であると、磁気テープ加工工程中の各種ロー
ル、高速ダビング機のガイドロール、ビデオデッキある
いはカセットに設置されている金属ピンなどとフィルム
との摩擦が大きくなるために走行性、耐摩耗性が悪化す
る。ベースフィルム表面の水に対する接触角の上限は特
に限定されないが、ベースフィルム表面の水に対する接
触角が120°以上であると、磁気テープ製造工程中の
ロールにおいてフィルムが揺動し、スリット工程におい
ては正確なスリットが行なえないなどの問題が生じるこ
とがある。該ベースフィルム上に磁性層を設けて磁気テ
ープとする際には、磁性面あるいは走行面は特に限定さ
れないが、水に対する接触角が50°以上である表面を
走行面とする方が良好な走行性、耐摩耗性が得られるた
めに好ましい。該ベースフィルムの両表面の水に対する
接触角が50°以上であると、どちらの表面に磁性層を
設けても良好な走行性、耐摩耗性が得られるためより好
ましい。
【0022】本発明の磁気記録媒体用ベースフィルムの
表面は、表面の中心線平均粗さが0.3〜100nmで
ある必要があり、好ましくは0.4〜70nmであり、
より好ましくは0.5〜50nmである。ベースフィル
ム表面の中心線平均粗さが100nmを越えると、磁性
層側である場合には粗悪な表面であるために電磁変換特
性が不良となり、非磁性層側である場合には良好な走行
性を得ることができるが磁気テープをキュアした際に、
非磁性層側の粗悪な形状が磁性層側に転写されるために
電磁変換特性が不良となる。ベースフィルム表面の中心
線平均粗さが0.3nm未満であると、磁性層側である
場合には良好な電磁変換特性を得ることができるが摩擦
係数の上昇によって走行性が不良となり、引いては削れ
によるデータの欠落などが生じ、非磁性層側である場合
には同じく摩擦係数の上昇による、磁気テープ加工工程
中あるいは磁気テープとして使用する際にフィルム破れ
などが生じる。また、磁性層側と非磁性層側のベースフ
ィルム表面の中心線平均粗さが、磁性層側では0.3〜
50nm、非磁性層側では0.5〜70nmであると良
好な電磁変換特性および走行性が得られるため好まし
く、より好ましくは、ベースフィルム表面の中心線平均
粗さが磁性層側で0.4〜40nm、非磁性層側で1〜
60nm、更に好ましくはベースフィルムの中心線平均
粗さが磁性層側で0.5〜30nm、非磁性層側で2〜
50nmである。
【0023】本発明の磁気記録媒体用ベースフィルムの
表面自由エネルギーにおける分散力成分は、該ベースフ
ィルムの少なくとも片面の表面の表面自由エネルギーに
おける分散力成分が15dyn/cm以上であるのが好
ましく、より好ましくは20dyn/cm以上である。
ベースフィルム表面の表面自由エネルギーにおける分散
力成分が15dyn/cm未満であると、ベースフィル
ム上に磁性層を設けて磁気テープとする際に、ベースフ
ィルムと磁性層の接着性が不良となるため、磁気テープ
加工工程中あるいは磁気テープとして使用する際に、磁
性層が剥がれ落ち、データの欠落による磁気記録再生不
良や削れの問題が生じ易い。該ベースフィルム上に磁性
層を設けて磁気テープとする際には、磁性面あるいは走
行面は特に限定されないが、表面自由エネルギーにおけ
る分散力成分が15dyn/cm以上である表面を磁性
面とする方が良好な接着性が得られるため好ましい。該
ベースフィルムの両表面の表面自由エネルギーにおける
分散力成分が15dyn/cm以上であると、どちらの
表面に磁性層を設けても良好な磁気記録再生が得られる
ためにより好ましい。また、良好な接着性を得るために
は、該ベースフィルムの表面自由エネルギーにおける分
散力、極性力、水素結合力の各成分が、それぞれ、15
dyn/cm(分散力成分)以上、5dyn/cm(極
性力成分)以上、2dyn/cm(水素結合力成分)以
上であるのが好ましい。
【0024】本発明の磁気記録媒体用ベースフィルムが
適度な粗さを持つためには、ベースフィルム中に粒子を
存在させておくことが望ましい。粒子の種類としては、
SiO2 、TiO2 、Al2 3 、CaSO4 、BaS
4 、CaCO3 、カ−ボンブラック、ゼオライト、そ
の他の金属微粉末などの無機粒子や、シリコン粒子、ポ
リイミド粒子、架橋共重合体粒子、架橋ポリエステル粒
子、テフロン粒子などの有機高分子などが挙げられる
が、耐熱性の点から無機粒子の方がより望ましい。本発
明の磁気記録媒体用ベースフィルムに含有される粒子の
平均一次粒径は0.005〜2μmの範囲にある粒子を
用いた場合、電磁変換特性、走行性とも良好となるため
望ましく、より望ましくは0.01〜1μmである。ま
た、本発明の磁気記録媒体用ベースフィルムに含有され
る粒子は、単分散粒子もしくは透過型電子顕微鏡によっ
て凝集粒子を観察し、その凝集粒子を構成する1次粒子
の数で表される平均凝集度が望ましくは50以下、より
望ましくは20以下の粒子を用いた場合、本発明の中心
線平均粗さの範囲内となるため望ましい。分散方法とし
ては、超音波分散、サンドミルなど公知の方法を用いる
ことができる。本発明の磁気記録媒体用ベースフィルム
に含有される粒子の含有量は、望ましくは0.01〜5
wt%、より望ましくは0.05〜3wt%である。粒
子の含有量が0.01wt%未満であると、ベースフィ
ルム表面の中心線平均粗さが減少し、本発明の範囲を下
回ることがある。この場合、表面が平滑過ぎるため、滑
り性が悪化し、走行性不良となり易い。また、粒子の含
有量が5wt%を越えると、ベースフィルム表面の中心
線平均粗さが増加し、本発明の範囲を越えることがあ
る。この場合、表面性に欠けるため、磁気テープとした
ときの電磁変換特性が不良となり易い。
【0025】本発明の磁気記録媒体用ベースフィルム
は、もちろん単層フィルムでも用いられるが、積層フィ
ルムであっても良い。積層フィルムとする際には、本発
明の水に対する接触角が50°以上である表面が最表層
となるように積層するのが好ましい。ここで積層された
表層部のフィルムと、基層部(積層された表層部のフィ
ルム以外のフィルム構成部分)は同じ種類でも異なるも
のでも良い。この基層部を構成する少なくとも一層にも
粒子を含有していても良く、粒子の種類、粒子の平均一
次粒径、含有量は本発明のフィルムに望ましく用いられ
るものを、使用することが望ましい。基層部における粒
子の径が積層された本発明のベースフィルム中の粒子の
径よりも大きいと、ベースフィルム表面が適度のうねり
持ち走行性が良好となるため望ましい。
【0026】本発明の磁気記録媒体用ベースフィルムの
表面は、フィルム表面を波長546nmで多重干渉計を
用いて観察した時に干渉縞の数が3重環以上を有する粗
大突起数が、100個/mm2 以下であるのが好まし
く、より好ましくは70個/mm2 以下、さらに好まし
くは50個/mm2 以下である。表面の粗大突起数が1
00個/mm2 を越えるベースフィルムを使用した場
合、磁性層側ではドロップアウトが発生するために電磁
変換特性が悪化し易く、非磁性層側ではフィルムを巻き
取った後に粗大突起の形状が磁性層側に転写され電磁変
換特性が悪化し易い。
【0027】本発明の磁気記録媒体用ベースフィルムの
厚みは、50μm以下であるのが好ましく、より好まし
くは20μm以下、更に好ましくは10μm以下である
と本発明の効果である優れた走行性、電磁変換特性を有
する薄膜の磁気記録媒体が実現されるので好ましい。
【0028】本発明の磁気記録媒体用ベースフィルムの
ヤング率は、20℃、相対湿度60%における少なくと
も一方向の引張りヤング率が800kg/mm2 以上で
あることが望ましく、より望ましくは900kg/mm
2 以上、更に望ましくは1000kg/mm2 以上であ
る。ヤング率が800kg/mm2 未満のベースフィル
ムを使用した場合、磁気テープ加工工程中あるいは磁気
テープとした後のテープ走行中、ストップ/スタート
時、早送り/巻き戻し時などにおいて、ベースフィルム
に加わる様々なテンションによって、寸法変化が生じ易
く、記録再生特性が不良となり易い。ベースフィルムの
ヤング率が高い場合、これらベースフィルムに加わる様
々なテンションにも耐えることが可能であり加工上有利
であるため望ましい。
【0029】また、本発明の磁気記録媒体用ベースフィ
ルムは、長手方向にテンシライズあるいは幅方向にテン
シライズされても良い。テンシライズの度合いは特に限
定されないが、伸度、引き裂き抵抗力などの機械的特性
を考慮すると、長手方向の引張りヤング率EMDと幅方向
の引張りヤング率ETDが、0.5≦EMD/ETD≦2の範
囲にあると実用的である。
【0030】本発明の磁気記録媒体用ベースフィルムの
破断伸度は、10%以上が望ましく、より望ましくは2
0%以上、更に望ましくは30%以上である。ベースフ
ィルムの破断伸度が高い場合、磁気テープが適度な柔軟
性を持ち加工上有利であるため望ましい。
【0031】本発明の磁気記録媒体用ベースフィルムの
寸法変化率は、長手方向に対して1mm2 当たり1kg
の荷重をかけた時の100℃、10分間での寸法変化率
が2%以下であることが望ましい。ベースフィルムの寸
法変化率が低い場合、高温、高テンション条件下での寸
法安定性が良好となり優れた磁気記録再生特性が得られ
るため望ましい。
【0032】本発明の磁気記録媒体用ベースフィルムの
熱収縮率は、200℃、10分間での熱収縮率が5%以
下がであることが望ましく、より望ましくは2%以下で
ある。ベースフィルムの熱収縮率が低い場合、温度変化
による磁気テープの寸法変化が小さくなり良好な電磁変
換特性が保てるため望ましい。
【0033】本発明の磁気記録媒体用ベースフィルムの
吸湿率は、5%以下が望ましく、より望ましくは3%以
下、更に望ましくは2%以下である。フィルムの吸湿率
が低い場合、湿度変化によるテープの寸法変化が小さく
なり良好な電磁変換特性を保てるため望ましい。
【0034】これらの特性は、積層された場合には積層
フィルムについても満足することが望ましい。
【0035】本発明の磁気記録媒体用ベースフィルム上
に磁性層を設けて磁気テープとする際の磁性層を形成す
る方法は、強磁性粉末を各種バインダーを用いて磁性塗
料とし、ベースフィルム上に塗布する湿式法、蒸着法、
スパッタリング法、イオンプレーティング法などの乾式
法があり、特に限定されるものではないが、ここでは湿
式法を例にとって説明する。磁性体となる磁性粉末の種
類は特に限定されないが、強磁性粉末、例えば、酸化
鉄、酸化クロム、Fe,Co、Fe−Co、Fe−Co
−Ni、Co−Ni等が好ましく用いられる。磁性粉末
は各種バインダーを用いて磁性塗料とすることができる
が、熱硬化性樹脂系バインダーおよび放射線硬化系バイ
ンダーが好ましく、その他添加剤として分散剤、潤滑
剤、帯電防止剤等を用いても良い。例えば、塩化ビニル
・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体、ポリウレタ
ンプレポリマおよびポリイソシアネートよりなるバイン
ダーを用いることができる。
【0036】また、本発明の磁気記録媒体用ベースフィ
ルムを用いて磁気テープとする際には、非磁性層側に易
滑性と耐久性を付与するためにバックコート層を設けて
もよく、その方法は特に限定されるものではない。
【0037】本発明で使用する芳香族ポリアミドは、酸
ハロゲン化物、酸無水物などのジカルボン酸成分とジア
ミン成分とを溶液中で反応させて得ることができる。
【0038】酸クロリドとジアミンから芳香族ポリアミ
ドを得る場合は、N−メチルピロリドン(NMP)、ジ
メチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミ
ド(DMF)などの非プロトン性有機極性溶媒中での溶
液重合や水系媒体を使用する界面重合などにより合成さ
れる。ポリマ溶液は、単量体として酸クロリドとジアミ
ンを使用する場合には塩化水素が副生するが、これを中
和する場合には水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭
酸リチウムなどの無機の中和剤、またはエチレンオキサ
イド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチル
アミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンな
どの有機の中和剤が使用される。 また、イソシアネー
トとカルボン酸との反応は、非プロトン性有機極性溶媒
中、触媒の存在下で行なわれる。
【0039】これらのポリマ溶液はそのまま製膜原液と
して使用してもよく、ポリマを一度単離してから上記の
有機溶媒や、硫酸等の無機溶剤に再溶解して製膜原液を
調製してもよい。
【0040】本発明の芳香族ポリアミドフィルムを得る
ためには、ポリマの固有粘度(ポリマ0.5gを硫酸中
で100mlの溶液として30℃で測定した値)が0.
5以上であることが好ましい。
【0041】製膜原液には溶解助剤として無機塩、例え
ば、塩化カルシウム、塩化マグネシム、塩化リチウム、
硝酸リチウムなどを添加することもできる。製膜原液中
のポリマ濃度は2〜40wt%程度の範囲内にあることが
好ましい。
【0042】一方、ポリアミド酸あるいは芳香族ポリイ
ミドの溶液を得る場合は、ポリアミド酸の場合はN−メ
チルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(D
MAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)などの非プ
ロトン性有機極性溶媒中でテトラカルボン酸二水物と芳
香族ジアミンを反応させて得ることができる。このポリ
アミド酸は、そのまま製膜原液として使用される場合
と、ピリジンなどのイミド化触媒や無水酢酸などの脱水
剤を添加してポリイミド溶液とし、製膜原液として使用
される場合がある。また、上記のようにポリイミド溶液
を調整する方法において、ポリイミド粉末を析出させ、
これを再度、溶媒に溶解させて製膜原液として使用する
こともできる。製膜原液中のポリマ濃度は5〜40wt
%程度の範囲内にあることが好ましい。
【0043】粒子の添加方法は、粒子を予め溶媒中に十
分スラリ−化した後、更に超音波分散などの公知の方法
で粒子を分散させ重合用溶媒または希釈用溶媒として使
用する方法や、製膜原液を調製した後に直接添加する方
法などがある。
【0044】上記のように調製された製膜原液は、いわ
ゆる溶液製膜法により製膜される。溶液製膜法には乾湿
式法、乾式法、湿式法などがあり、いづれの方法で製膜
されても差し支えないが、ここでは乾湿式法を例にとっ
て説明する。
【0045】乾湿式法で製膜する場合は、該原液を口金
からドラム、エンドレスベルトなどの支持体上に押し出
して薄膜とし、次に薄膜層から溶媒を飛散させ、薄膜が
自己保持性を持つまで乾燥する。乾燥条件は室温〜22
0℃、60分以内の範囲内であり、好ましくは室温〜2
00℃の範囲内である。乾燥温度が220℃を越えた場
合には、フィルム表面の粗大突起数が増加し、本発明の
優れた表面特性を損なう場合がある。また、この乾燥工
程で用いられるドラム、エンドレスベルトの表面欠点頻
度を制御することによって、粗大突起数を制御できる。
乾式工程を終えたフィルムは支持体から剥離され、次に
湿式工程の湿式浴へ導入され脱塩、脱溶媒などが行なわ
れる。さらに延伸、乾燥、熱処理が行なわれてフィルム
となる。製膜工程中で行われる延伸工程において、延伸
倍率は面倍率で0.8〜8.0(面倍率とは、延伸後の
フィルム面積を延伸前のフィルム面積で除した値と定義
する。1以下はリラックスを意味する。)の範囲内にあ
ることが好ましく、より好ましくは1.1〜5.0であ
る。また延伸あるいは熱処理後にフィルムを徐冷するこ
とが有効であり、50℃/秒以下の速度で冷却すること
が有効である。製膜工程中で行われる熱処理工程におい
て、熱処理時の空気は、相対湿度40〜90%の範囲内
にある空気を熱風として用いる方が好ましく、相対湿度
50〜80%の範囲内にある空気を用いる方がより好ま
しい。熱処理時に用いる空気の相対湿度が90%を超え
るた場合は、フィルム表面上に凸凹状の欠点が多数生
じ、本発明の優れた表面特性を損なう場合がある。熱処
理時に用いる空気の相対湿度が40%未満の場合は、フ
ィルム表面の水に対する接触角が低くなり、本発明の接
触角の範囲を下回る場合がある。また、熱処理時の温度
は、200℃〜450℃の範囲内で行うことが好まし
く、250℃〜350℃の範囲内で行うことがより好ま
しい。熱処理温度が450℃を超えた場合は、フィルム
の結晶化が進み過ぎるため得られたフィルムは、機械的
特性が悪化するし、熱処理温度が200℃未満の場合
も、フィルムの乾燥および熱処理が十分でないため得ら
れたフィルムの機械的特性が悪化する。また、熱処理時
間は、30〜300秒の範囲内で行うことが好ましい。
熱処理時間が30秒未満でも300秒以上でも、熱処理
不十分あるいは過剰な熱処理が原因で、得られるフィル
ムの機械的特性が悪化する。また、本発明における芳香
族ポリイミドは、化学閉環あるいは熱閉環のどちらの方
法でイミド化しても構わない。
【0046】なお本発明のフィルムは、積層フィルムで
あってもよい。例えば、2層の積層フィルムである場合
には、重合した芳香族ポリアミド溶液を二分し、それぞ
れ異なる粒子を添加した後に積層する。更に3層以上の
積層フィルムである場合も同様である。これらの積層の
方法としては、例えば、口金内での積層、複合管での積
層、一旦1層を形成しておき、その上に他の層を形成す
る方法などがある。
【0047】以上のように形成された本発明の磁気記録
媒体用ベースフィルム表面には、本発明の範囲外となら
ない程度に、コロナ放電処理あるいはプラズマ放電処理
などの表面改質を行ってもよく、その方法は特に限定さ
れるものではない。
【0048】また、本発明の磁気記録媒体用ベースフィ
ルム上に磁性層を設けて磁気記録媒体とした場合、その
用途は、例えば、8mmなどの民生用、プロ用、D−
1、2、3などの放送局用、DDS−2、3、4、QI
C、データ8mmなど多数挙げられるが、これらに限定
されるものではない。
【0049】
【実施例】本発明の物性の測定方法、効果の評価方法は
次の方法による。
【0050】(1)接触角 20℃、50%RHの条件下で、マイクロメーターを用
いてフィルム表面に純水を滴下し、水滴とフィルム表面
のなす接触角を接触角計CA−D型(協和界面科学
((株)製)で測定した。
【0051】(2)中心線平均粗さ 小坂研究所製の高精度薄膜段差測定器ET−10を用い
て測定した。測定条件は、触針先端半径が0.5μm、
触針加重が5mg、測定長が1mm、カットオフ値が
0.08mmであり、10回の測定を行い、その平均値
を中心線平均粗さとした。
【0052】(3)表面自由エネルギーにおける分散力
成分 表面自由エネルギーおよびその各成分(分散力、極性
力、水素結合力)が既知の4種の液体(本発明ではPa
nzerによる方法(日本接着協会誌vol.15、N
o.3、p96に記載の水、エチレングリコール、ホル
ムアミド、ヨウ化メチレンの数値を用いた)を用い、2
0℃、50%RHの条件下で接触角計CA−D型(協和
界面科学(株)製)にて各液体のフィルム表面上での接
触角を測定した。この値を拡張Fowkes式より導出
される下記式を用いて各成分を計算した。
【0053】(γSd・γLd)1/2+(γSp・γLp)1/2+(γSh
・γLh)1/2= γL(1+COS θ)/2 ここで、γLd、γLp、γLh、γL は、測定液の分散力、
極性力、水素結合力の各成分および各成分のトータルの
表面自由エネルギーを示し、γSd、γSp、γShは、測定
面上の分散力、極性力、水素結合力の各成分を示す。ま
た、θは測定面上での測定液の接触角を表す。1つの測
定面に対して5回の測定を行い、その平均値をθとし
た。既知の値およびθを上記の式へ代入し、連立方程式
により測定面の分散力、極性力、水素結合力の各成分を
求める。なお計算は、数値計算ソフトである「Mathemat
ica 」の「FindMinimum 」のコマンドを用いた。
【0054】(4)表面粗大突起個数(H3) フィルム表面100cm2 の範囲を実体顕微鏡によって
偏光下で異物を観測し、マーキングする。マーキングし
た異物の高さを波長546nmで多重干渉計を用いて観
測し、干渉縞の数で評価する。三重環以上の異物の個数
をH3とした。
【0055】(5)引張りヤング率 インストロンタイプの引っ張り試験機を用いて、20
℃、60%RHの条件下で測定した。試験片は、幅が1
0mm、長さが50mmであり、引っ張り速度は300
mm/分である。試験片は、恒温恒湿槽を用いそれぞれ
48時間調温調湿した試験片を槽から取り出し素早く測
定した。
【0056】(6)吸湿率 フィルムを200℃で1時間乾燥した後の絶乾状態の重
量をW0 とし、該フィルムを20℃、相対湿度75%中
で48時間吸湿させた後の重量をW1 として、(W1 ー
W0 )/W0 に100を乗じた値を吸湿率とした。
【0057】(7)電磁変換特性 フィルムに下記組成の磁性塗料をグラビヤロールにより
塗布し、磁気配向させ、乾燥させる。更に、小型テスト
カレンダー装置(スチロール/ナイロンロール、5段)
で、70℃、200kg/cmの線圧でカレンダー処理
した後、70℃、48時間キュアリングする。このパン
ケーキから、250mのフィルムをVTRカセットに組
み込みVTRカセットテープとした。
【0058】(磁性塗料の組成) ・Co含有酸化鉄 :100重量部 ・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 : 10重量部 ・ポリウレタンエラストマ : 10重量部 ・ポリイソシアネート : 5重量部 ・レシチン : 1重量部 ・メチルエチルケトン : 75重量部 ・メチルイソブチルケトン : 75重量部 ・トルエン : 75重量部 ・カーボンブラック : 2重量部 ・ラウリン酸 :1.5重量部 このテープに家庭用VTRを用いてテレビ試験波形発生
機により100%クロマ信号を記録し、その再生信号か
らカラービデオノイズ測定機でクロマS/Nを測定しA
とした。また、上記と同じ信号を記録したマスターテー
プのパンケーキを磁界転写方式のビデオソフト高速プリ
ントシステム(スプリンタ)を用いてAを測定したのと
同じ試料テープ(未記録)のパンケーキへダビングした
後のテープのクロマS/Nを上記と同様にして測定しB
とした。このダビングによるクロマS/Nの低下(A−
B)が3dB未満の場合は電磁変換特性が優(◎)、3
dB以上5dB未満の場合は良(○)、5dB以上の場
合は不良(×)と判定した。良以上で使用可能である。
【0059】(7)走行性 幅1/2インチのテ−プ状にスリットしたフィルムをテ
−プ走行性試験機TBT−300型((株)横浜システ
ム研究所製)を使用し、60℃、80%RH雰囲気で走
行させ、50パス目の摩擦係数を下記の式より求めた。
【0060】μK=0,733log(T2 /T1 ) ここでT1 は入側張力、T2 は出側張力である。ガイド
径は6mmφで、ガイド材質はポリオキシメチレン(表
面粗さ20〜40nm程度のもの)であり、巻き付け角
は180°、走行速度は3.3cm/秒、繰返しストロ
−クは15cmである。この測定によって得られたμK
が0.35以下の場合は走行性○、0.35を越える場
合は走行性×と判定した。
【0061】(8)耐摩耗性 幅1/2インチのテープ状にスリットしたフィルムをテ
ープ走行試験機を使用して、ガイドピン(表面粗度はR
aで100nm程度)上を、走行速度250m/分、走
行回数1パス、巻き付け角度60°、走行張力90gで
走行させる。この時、フィルム表面上に入った傷を顕微
鏡で観察し、幅1μm以上の傷がテープ幅あたり2本未
満の場合は優(◎)、2本以上5本未満は良(○)、5
本以上の場合は不良(×)と判定した。良以上で使用可
能である。
【0062】(9)接着性 上記(6)で得られたVTRテープの磁性面上にクロス
カットを100個入れ、ニチバン(株)製セロハンテー
プをその上に貼付けて指で強く押し付けた後、180°
方向に急速に剥離し、セロハンテープ上に残存する磁性
片の個数で判定した。残存個数が10個未満の場合は優
(◎)、10個以上20個未満の場合は良(○)、20
個以上の場合は不良(×)とした。良以上で使用可能で
ある。
【0063】以下に実施例に基づいて本発明を説明する
が、これらに限定されるものではない。
【0064】実施例1 N−メチルピロリドン(以下NMPと略す)に芳香族ジ
アミン成分として80モル%に相当する2−クロルパラ
フェニレンジアミンと、20モル%に相当する4,4−
ジアミノジフェニルエーテルとを溶解させ、これに10
0モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを
添加して2時間撹拌した後、重合を完了した。これに水
酸化リチウムを添加して中和を行い、ポリマ濃度10重
量%、粘度3000ポイズの芳香族ポリアミド溶液を得
た。このポリマ溶液に、超音波分散処理で分散させた平
均1次粒子径が15nmの乾式シリカをポリマ当たり
2.0重量%添加した。
【0065】このポリマ溶液を5μmカットのフィルタ
ーに通して濾過を行った後、径が30μm以上の表面欠
点の頻度が0.006個/mm2のベルト上に流延し、
180℃の熱風で1.5分間加熱して溶媒を蒸発させ、
自己保持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥離し
た。次いで、剥離したフィルムをNMPの濃度勾配をつ
けた水槽内へ導入し、残存溶媒と中和によって生じた無
機塩の抽出を行い、テンター内で水分の乾燥と熱処理を
行い、フィルム厚み6.0μmの芳香族ポリアミドフィ
ルムを得た。この間に、フィルムを長手方向と幅方向に
それぞれ1.2倍、1.3倍延伸させ、280℃、相対
湿度50%の空気で60秒間の乾燥と熱処理を行った後
に、20℃/秒の速度で徐冷した。
【0066】得られたフィルム表面の水に対する接触角
は、磁性層側が65°、非磁性層側が67°であり、表
面自由エネルギーにおける分散力成分は、どちらの面も
23dyn/cmであった。中心線平均粗さは磁性層側
で4nm、非磁性層側で5nmであり、表面粗大突起個
数H3は磁性層側で4個/100mm2 、非磁性層側3
0個/100mm2 であった。ヤング率は1230kg
/cm2 であり、吸湿率は2.0%であった。このフィ
ルムの電磁変換特性、走行性、耐摩耗性、接着性は、い
ずれも良好であった。
【0067】実施例2 NMPに芳香族ジアミン成分として85モル%に相当す
る2−クロルパラフェニレンジアミンと、15モル%に
相当する4,4−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解
させ、これに100モル%に相当する2−クロルテレフ
タル酸クロリドを添加して2時間撹拌したあと、重合を
完了した。これに水酸化リチウムを添加して中和を行
い、ポリマ濃度10重量%、粘度300ポイズの芳香族
ポリアミド溶液Cを得た。このポリマ溶液に、超音波分
散処理で分散させた平均1次粒子径が15nmの乾式シ
リカをポリマ当たり1.0重量%添加したポリマ溶液A
と、ポリマ当たり2.0重量%添加したポリマ溶液Bを
得た。
【0068】これらのポリマ溶液A,B,Cを5μmカ
ットのフィルターに通した後に、磁性層が形成される側
にポリマ溶液Aが、非磁性層側にポリマ溶液Bが、基層
部にポリマ溶液Cとなるように矩形合流部にて3層積層
とし、径が30μm以上の表面欠点の頻度が0.006
個/mm2 のベルト上に流延し、180℃の熱風で2分
間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィルム
をベルトから連続的に剥離した。次いで、剥離したフィ
ルムをNMPの濃度勾配をつけた水槽内へ導入し、残存
溶媒と中和によって生じた無機塩の抽出を行い、フィル
ム厚み6.2μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
この間に、フィルムを長手方向と幅方向にそれぞれ1.
2倍、1.3倍延伸させ、280℃、相対湿度60%の
空気で90秒間の乾燥と熱処理を行った後に、20℃/
秒の速度で徐冷した。
【0069】得られたフィルム表面の水に対する接触角
は、磁性層側が80°、非磁性層側が75°であり、表
面自由エネルギーにおける分散力成分は、磁性層側が3
2dyn/cm、非磁性層側が30dyn/cmであっ
た。中心線平均粗さは、磁性層側が1nm、非磁性層側
が5nmであり、表面粗大突起個数H3は、磁性層側が
2個/100mm2 、非磁性層側が25であった。ヤン
グ率は1250kg/cm2 であり、吸湿率は1.8%
であった。
【0070】このフィルムの電磁変換特性、走行性、耐
摩耗性、接着性は、いずれも良好であった。
【0071】実施例3 NMPに芳香族ジアミン成分として40モル%に相当す
るパラフェニレンジアミンと、60モル%に相当する
4,4−ジアミノジフェニルメタンとを溶解させ、これ
に100モル%に相当するテレフタル酸クロライドを添
加して2時間撹拌した後、重合を完了すること以外は、
実施例1と同様の操作によって5.9μmの芳香族ポリ
アミドフィルムを得た。
【0072】得られたフィルム表面の水に対する接触角
は、磁性層側が55°、非磁性層側が57°であり、表
面自由エネルギーにおける分散力成分は、どちらの面も
16dyn/cmであった。中心線平均粗さは磁性層側
で4nm、非磁性層側で5nmであり、表面粗大突起個
数H3は磁性層側で5個/100mm2 、非磁性層側3
0個/100mm2 であった。ヤング率は850kg/
cm2 であり、吸湿率は3.6%であった。このフィル
ムの電磁変換特性、走行性、耐摩耗性、接着性は、いず
れも良好であった。
【0073】比較例1 実施例1と同様のポリマ溶液に、超音波分散処理で分散
させた平均1次粒子径が15nmの乾式シリカをポリマ
当たり2.0重量%添加した。
【0074】このポリマ溶液を5μmカットのフィルタ
ーに通して濾過を行った後、径が30μm以上の表面欠
点の頻度が0.006個/mm2 のベルト上に流延し、
180℃の熱風で1.0分間加熱して溶媒を蒸発させ、
自己保持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥離し
た。次いで、剥離したフィルムをNMPの濃度勾配をつ
けた水槽内へ導入し、残存溶媒と中和によって生じた無
機塩の抽出を行い、テンター内で水分の乾燥と熱処理を
行い、フィルム厚み6.3μmの芳香族ポリアミドフィ
ルムを得た。この間に、フィルムを長手方向と幅方向に
それぞれ1.2倍、1.3倍延伸させ、280℃、相対
湿度5%の空気で30秒間の乾燥と熱処理を行った後
に、20℃/秒の速度で徐冷した。
【0075】得られたフィルム表面の水に対する接触角
は、磁性層側が30°、非磁性層側が33°であり、表
面自由エネルギーにおける分散力成分は、どちらの面も
14dyn/cmであった。中心線平均粗さは磁性層側
で70nm、非磁性層側で75nmであり、表面粗大突
起個数H3は磁性層側で7個/100mm2 、非磁性層
側35個/100mm2 であった。ヤング率は1210
kg/cm2 であり、吸湿率は2.1%であった。
【0076】このフィルムの電磁変換特性、走行性、耐
摩耗性、接着性は、いずれも不良であった。
【0077】比較例2 実施例1と同様のポリマ溶液に、超音波分散処理で分散
させた平均1次粒子径が15nmの乾式シリカをポリマ
当たり2.0重量%添加した。
【0078】このポリマ溶液を5μmカットのフィルタ
ーに通して濾過を行った後、径が30μm以上の表面欠
点の頻度が0.006個/mm2 のベルト上に流延し、
180℃の熱風で1.0分間加熱して溶媒を蒸発させ、
自己保持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥離し
た。次いで、剥離したフィルムをNMPの濃度勾配をつ
けた水槽内へ導入し、残存溶媒と中和によって生じた無
機塩の抽出を行い、テンター内で水分の乾燥と熱処理を
行い、フィルム厚み6.2μmの芳香族ポリアミドフィ
ルムを得た。この間に、フィルムを長手方向と幅方向に
それぞれ1.2倍、1.3倍延伸させ、280℃、相対
湿度95%の空気で30秒間の乾燥と熱処理を行った後
に、20℃/秒の速度で徐冷した。
【0079】得られたフィルム表面の水に対する接触角
は、磁性層側が28°、非磁性層側が30°であり、表
面自由エネルギーにおける分散力成分は、どちらの面も
17dyn/cmであった。中心線平均粗さは磁性層側
で125nm、非磁性層側で150nmであり、表面粗
大突起個数H3は磁性層側で15個/ 100mm2
非磁性層側50個/100mm2 であった。ヤング率は
1200kg/cm2であり、吸湿率は2.2%であっ
た。
【0080】このフィルムの接着性は良好であったが、
電磁変換特性、走行性、耐摩耗性はいずれも不良であっ
た。
【0081】比較例3 実施例1と同様のポリマ溶液に、超音波分散処理で分散
させた平均1次粒子径が15nmの乾式シリカをポリマ
当たり7.0重量%添加した。
【0082】以下、実施例1と同様の操作によって、
5.8μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0083】得られたフィルム表面の水に対する接触角
は、磁性層側で55°、非磁性層側で50°であり、表
面自由エネルギーにおける分散力成分は、どちらの面も
22dyn/cmであった。中心線平均粗さは磁性層側
で150nm、非磁性層側で175nmであり、表面粗
大突起個数H3は磁性層側で10個/100mm2 、非
磁性層側35個/100mm2 であった。ヤング率は1
230kg/cm2 であり、吸湿率は2.0%であっ
た。
【0084】このフィルムの走行性、接着性は良好であ
ったが、電磁変換特性、耐摩耗性は不良であった。
【0085】比較例4 実施例1と同様のポリマ溶液に、添加粒子を用いずに、
実施例1と同様の操作によって、5.8μmの芳香族ポ
リアミドフィルムを得た。
【0086】得られたフィルム表面の水に対する接触角
は、どちらの表面も65°であり、表面自由エネルギー
における分散力成分は、どちらの表面も23dyn/c
mであった。中心線平均粗さは磁性層側で0.1nm、
非磁性層側で0.2nmであり、表面粗大突起個数H3
は磁性層側で5個/100mm2 、非磁性層側30個/
100mm2 であった。ヤング率は1260kg/cm
2 であり、吸湿率は2.0%であった。
【0087】このフィルムの電磁変換特性、接着性は良
好であったが、走行性、耐摩耗性は不良であった。
【0088】
【表1】
【表2】
【0089】
【発明の効果】本発明は、機械特性、耐熱性に優れた芳
香族ポリアミドあるいは芳香族ポリイミドからなるベー
スフィルムであって、該ベースフィルム表面の水に対す
る接触角と中心線平均粗さを同時に制御することによっ
て、優れた耐熱性、機械特性、平滑性、走行性、耐摩耗
性、加工性を有する磁気記録媒体用ベースフィルムとな
り、該ベースフィルムを用いて磁気記録媒体を得た場合
には、優れた耐熱性、機械特性、走行性、電磁変換特
性、耐摩耗性を有する磁気記録媒体を得ることが可能で
ある。更に、表面自由エネルギーにおける分散力成分を
同時に制御することによって、優れた接着性を有するベ
ースフィルムが得られ、該ベースフィルムを用いて磁気
記録媒体を得た場合には、優れた耐久性を有する磁気記
録媒体を得ることが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−186335(JP,A) 特開 平1−205711(JP,A) 特開 昭61−115234(JP,A) 特開 平3−21447(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/73

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリアミドあるいは芳香族ポリイ
    ミドからなる磁気記録媒体用ベースフィルムであって、
    該ベースフィルムの少なくとも片面の水に対する接触角
    が50°以上であり、かつ、該片面の中心線平均粗さが
    0.3〜100nmであることを特徴とする磁気記録媒
    体用ベースフィルム。
  2. 【請求項2】 少なくとも片面の表面自由エネルギーに
    おける分散力成分が15dyn/cm以上であることを
    特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体用ベースフィ
    ルム。
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